(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】発光装置及び発光回路
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230830BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20230830BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230830BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20230830BHJP
H05B 45/40 20200101ALI20230830BHJP
【FI】
F21S2/00 100
F21V5/00 350
F21V23/00 200
F21S2/00 419
H05B45/20
H05B45/40
(21)【出願番号】P 2022187446
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2018238170の分割
【原出願日】2018-12-20
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 彰
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋平
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170912(JP,A)
【文献】米国特許第09447930(US,B1)
【文献】特開2016-009648(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104848058(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212263(US,A1)
【文献】国際公開第2015/141222(WO,A1)
【文献】特開2014-139941(JP,A)
【文献】特表2015-506104(JP,A)
【文献】特開2003-132713(JP,A)
【文献】特開2017-016924(JP,A)
【文献】特開2016-192332(JP,A)
【文献】特開2005-117028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 23/00
H05B 45/20
H05B 45/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域に配置された1以上の第1発光素子と、
前記第1領域の周囲の第2領域に配置された1以上の第2発光素子と、
光学部材と、
を備え、
前記光学部材は、
前記第1領域から入射した光を集光する第1集光部と、
前記第1集光部の周囲に配置され、前記第2領域から入射した光を導光する第1導光部と、
を有し、
前記第1導光部は、前記第1集光部の周囲を環状に囲む筒状部材であり、
前記第2発光素子から出射する光の色温度は、前記第1発光素子から出射する光の色温度とは異なり、
前記1以上の第1発光素子を含む第1回路と前記1以上の第2発光素子を含む第2回路は相互に並列に接続されており、前記第1回路において直列に接続された前記第1発光素子の段数は、前記第2回路において直列に接続された前記第2発光素子の段数よりも少ない発光装置。
【請求項2】
前記第1発光素子は2以上設けられており、
前記第1発光素子は前記第2領域にも配置された請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子が搭載された配線基板をさらに備え、
前記第1領域は前記配線基板の中心を含む円状の領域であり、
前記第2領域は前記第1領域の周囲に設定された円環状の領域であり、
前記第2発光素子は前記第2領域のみに配置されている請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1回路において前記第1発光素子と直列に接続された第1抵抗素子をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2領域に配置された1以上の第3発光素子と、
前記第2領域に配置された1以上の第4発光素子と、
をさらに備え、
前記第1発光素子から出射する光の色温度、前記第2発光素子から出射する光の色温度、前記第3発光素子から出射する光の色温度、及び、前記第4発光素子から出射する光の色温度は、相互に異なる請求項1~4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記1以上の第3発光素子を含む第3回路と前記1以上の第4発光素子を含む第4回路は相互に並列に接続されており、前記第3回路において直列に接続された前記第3発光素子の段数は、前記第4回路において直列に接続された前記第4発光素子の段数よりも少ない請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記第3回路において前記第3発光素子と直列に接続された第2抵抗素子をさらに備えた請求項6記載の発光装置。
【請求項8】
前記光学部材は、前記第2領域の周囲の第3領域から入射した光を導光する第2導光部をさらに有し、
前記第2導光部から出射する光の半値角は、前記第1導光部から出射する光の半値角よりも大きく、
前記第3発光素子及び前記第4発光素子は、それぞれ2以上設けられており、
前記第3発光素子及び前記第4発光素子は、前記第3領域にも配置された請求項5~7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記光学部材から出射する光の色を、黒体放射に沿って変化させることができる請求項5~8のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1集光部の形状は凸レンズ状である請求項1~9のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項11】
前記光学部材は、前記第1集光部と前記第1導光部の間に配置され、前記第1領域から出射し前記第1集光部に入射しない光を集光する第2集光部をさらに有する請求項1~10のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2集光部の形状は頂上部が陥没した略円錐体状である請求項11記載の発光装置。
【請求項13】
前記光学部材は透明材料により一体的に形成された請求項1~12のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項14】
第1領域に配置された複数の第1発光素子と、
前記第1領域の周囲の第2領域に配置された複数の第2発光素子と、
複数の抵抗素子と、
を備え、
前記第2発光素子から出射する光の色温度は、前記第1発光素子から出射する光の色温度とは異なり、
前記複数の第1発光素子及び前記複数の抵抗素子を含む第1回路のアノード側端子と、前記複数の第2発光素子を含む第2回路のアノード側端子は、直流電源の第1端子に接続されており、
前記第1回路のカソード側端子と、前記第2回路のカソード側端子は、前記直流電源の第2端子に接続されており、
前記複数の抵抗素子の抵抗値は、前記直流電源から入力される電流について、前記第1発光素子の光束が飽和する第1電流値が、前記第2発光素子が発光し始める第2電流値よりも大きく、前記第2発光素子の光束が飽和する第3電流値よりも小さくなるような値である発光回路。
【請求項15】
前記第1回路において、前記複数の第1発光素子は複数のグループに分けられており、
各前記グループ内で前記第1発光素子は並列に接続されており、
前記複数のグループと前記複数の抵抗素子は直接に接続されており、
前記第2回路において、前記複数の第2発光素子は直列に接続されている請求項14記載の発光回路。
【請求項16】
1以上の第3発光素子と、
1以上の第4発光素子と、
をさらに備え、
前記第1発光素子から出射する光の色温度、前記第2発光素子から出射する光の色温度、前記第3発光素子から出射する光の色温度、及び、前記第4発光素子から出射する光の色温度は、相互に異なり、
前記1以上の第3発光素子を含む第3回路と前記1以上の第4発光素子を含む第4回路は相互に並列に接続されており、前記第3回路において直列に接続された前記第3発光素子の段数は、前記第4回路において直列に接続された前記第4発光素子の段数よりも少ない請求項14または15に記載の発光回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置及び発光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明光の色温度を変更可能な照明装置が開発されている。また、近年、配光角の切替が可能な照明装置も要望されている。例えば、1つの照明装置により、ある状況では配光角を大きくして室内全体を照明し、他の状況では配光角を小さくして狭い範囲を照明することが要求されている。このような照明装置を実現する手段として、1台の照明装置に複数の種類の発光素子を設け、機械的な手段によって発光素子と光学系の位置関係を変化させることが考えられる。しかしながら、このような機械的な手段を設けた照明装置は、大型であり、高コストであり、切替に時間を要し、さらに、インテリア性を低下させるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、機械的な手段を用いずに色温度の変更及び配光角の切替が可能な発光装置、及び、発光回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光装置は、第1領域に配置された1以上の第1発光素子と、前記第1領域の周囲の第2領域に配置された1以上の第2発光素子と、光学部材と、を備える。前記光学部材は、前記第1領域から入射した光を集光する第1集光部と、前記第1集光部の周囲に配置され、前記第2領域から入射した光を導光する第1導光部と、を有する。前記第2発光素子から出射する光の色温度は、前記第1発光素子から出射する光の色温度とは異なる。前記1以上の第1発光素子を含む第1回路と前記1以上の第2発光素子を含む第2回路は相互に並列に接続されており、前記第1回路において直列に接続された前記第1発光素子の段数は、前記第2回路において直列に接続された前記第2発光素子の段数よりも少ない。
【0006】
実施形態に係る発光回路は、第1領域に配置された1以上の第1発光素子と、前記第1領域の周囲の第2領域に配置された1以上の第2発光素子と、を備える。前記第2発光素子から出射する光の色温度は、前記第1発光素子から出射する光の色温度とは異なる。前記1以上の第1発光素子を含む第1回路と前記1以上の第2発光素子を含む第2回路は相互に並列に接続されており、前記第1回路において直列に接続された前記第1発光素子の段数は、前記第2回路において直列に接続された前記第2発光素子の段数よりも少ない。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、機械的な手段を用いずに色温度の変更及び配光角の切替が可能な発光装置、及び、発光回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る照明装置を示す分解斜視端面図である。
【
図2A】第1の実施形態に係る照明装置を示す端面図である。
【
図2B】第1の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態の光源部を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る発光回路を示す回路図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る光学部材を示す斜視端面図である。
【
図5B】第1の実施形態に係る光学部材を示す端面図である。
【
図6A】第1の実施形態に係る光学部材を光入射方向から見た平面図である。
【
図6B】第1の実施形態に係る光学部材を光出射方向から見た平面図である。
【
図6C】第1の実施形態に係る光学部材を示す斜視図である。
【
図7A】横軸に入力電流をとり、縦軸に光束をとって、第1の実施形態の第1発光素子及び第2発光素子の挙動を示すグラフである。
【
図7B】横軸に入力電流をとり、縦軸に色温度をとって、第1の実施形態に係る発光装置の挙動を示すグラフである。
【
図8】第1発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】第2発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
【
図10】拡散板から出射した光の軌跡とカバー部材との位置関係を示す端面図である。
【
図11】第2の実施形態の光源部を示す平面図である。
【
図12】第2の実施形態に係る発光回路を示す回路図である。
【
図13】横軸にxをとり、縦軸にyをとって、発光装置から出射する光の色の変化を示す色度座標図である。
【
図14】第3の実施形態の光源部を示す平面図である。
【
図15】第4の実施形態の光源部を示す平面図である。
【
図16】第4の実施形態の光学部材を示す端面図である。
【
図17A】実施例における第1導光部及び第2導光部の寸法を示す図である。
【
図17B】横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、実施例の第1導光部から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図17C】横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、実施例の第2導光部から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る照明装置を示す分解斜視端面図である。
図2Aは、本実施形態に係る照明装置を示す端面図である。
図2Bは、本実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図3は、本実施形態の光源部を示す平面図である。
図4は、本実施形態に係る発光回路を示す回路図である。
【0010】
先ず、本実施形態に係る照明装置90の構成を概略的に説明する。照明装置90は、光源部10、光学部材20、拡散板30及びカバー部材40を備える。光源部10及び光学部材20により、発光装置1が構成されている。光源部10は、発光回路81を有している。
【0011】
発光回路81は、第1領域51に配置された1以上の第1発光素子11と、第2領域52に配置された1以上の第2発光素子12と、を有する。第2領域52は第1領域51の周囲に配置されている。第2発光素子12から出射する光の色温度は、第1発光素子11から出射する光の色温度とは異なる。発光回路81において、1以上の第1発光素子11を含む第1回路61と、1以上の第2発光素子12を含む第2回路62は相互に並列に接続されている。第1回路61において直列に接続された第1発光素子11の段数は、第2回路62において直列に接続された第2発光素子12の段数よりも少ない。
【0012】
光学部材20は、第1集光部22、第2集光部23、第1導光部24を有する。第1集光部22は第1領域51から入射する光を集光する。第2集光部23は、第1集光部22の周囲に配置され、第1領域51から出射し第1集光部22に入射しない光を集光する。第1導光部24は、第2集光部23の周囲に配置され、第2領域52から入射した光を内部で全反射させて導光する。第1導光部24から出射する光の半値角は、第1集光部22から出射する光の半値角よりも大きい。
【0013】
拡散板30は、光源部10から出射し、光学部材20を通過した光が入射する位置に配置されている。カバー部材40は、発光装置1及び拡散板30の側面を覆う位置に配置されている。カバー部材40の形状は略筒状であり、その内面において、拡散板30を通過した光の一部を反射する。
【0014】
以下、詳細に説明する。
光源部10には、1枚の配線基板19が設けられている。配線基板19の形状は、例えば、略円板状である。但し、これには限定されない。配線基板19は、例えば、樹脂材料からなる母材中に配線が設けられている。第1発光素子11及び第2発光素子12は、配線基板19の実装面19a上に搭載されている。
【0015】
第1発光素子11は、例えば4個設けられており、配線基板19の中心付近に位置する第1領域51に配置されている。例えば、第1領域51は配線基板19の中心を含む。第2発光素子12は、例えば7個設けられており、第1領域51の周囲に位置する第2領域52に円状に配置されている。第1発光素子11及び第2発光素子12は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。
【0016】
第1発光素子11は、例えば、色温度が2000K(ケルビン)の光を出射する。例えば4個の第1発光素子11が、例えば5個の抵抗素子71~75と共に、配線基板19の配線を介して直列に接続されて、第1回路61を構成している。
図4に示す例では、第1回路61において、正極側から負極側に向かって、抵抗素子71、第1発光素子11、抵抗素子72、抵抗素子73、第1発光素子11、抵抗素子74、第1発光素子11、抵抗素子75、第1発光素子11の順に直列に接続されている。すなわち、第1回路61において、第1発光素子11の総数は4であり、直列に接続された第1発光素子11の段数も4である。各第1発光素子11は、アノードが正極側に接続され、カソードが負極側に接続されている。
【0017】
第2発光素子12は、例えば、色温度が3000Kの光を出射する。第2発光素子12は、配線基板19の配線を介して直列に接続されて、第2回路62を構成している。
図4に示す例では、第2回路62において、正極側から負極側に向かって、例えば7個の第2発光素子12が抵抗素子を介さずに直列に接続されている。すなわち、第2回路62において、第2発光素子12の総数は7であり、直列に接続された第2発光素子12の段数も7である。各第2発光素子12は、アノードが正極側に接続され、カソードが負極側に接続されている。
【0018】
発光回路81においては、第1回路61の正極側端子と第2回路62の正極側端子が相互に接続されており、第1回路61の負極側端子と第2回路62の負極側端子が相互に接続されている。これにより、第1回路61と第2回路62は、正極側端子と負極側端子との間で並列に接続されている。なお、
図3及び
図4に示す例では、第1発光素子11の数が4であり、第2発光素子12の数が7である例を示したが、これには限定されない。第1領域51に第1発光素子11が配置され、第1領域51を囲む第2領域52に第2発光素子12が配置され、第1回路61において直列に接続された第1発光素子11の段数が、第2回路62において直列に接続された第2発光素子12の段数よりも少なければよい。
【0019】
図5Aは、本実施形態に係る光学部材を示す斜視端面図である。
図5Bは、本実施形態に係る光学部材を示す端面図である。
図6Aは、本実施形態に係る光学部材を光入射方向から見た平面図である。
図6Bは、本実施形態に係る光学部材を光出射方向から見た平面図である。
図6Cは、本実施形態に係る光学部材を示す斜視図である。
【0020】
光学部材20は、透明材料により一体的に形成された透明部材である。光学部材20の形状は概ね、中心軸Cを回転軸とした回転体であり、光入射面21と光出射面29を有する。光入射面21は光源部10に対向している。後述するように、光学部材20の光入射面21には凹凸が形成されており、この凹凸により光学的な機能を実現している。光出射面29は中心軸Cに対して直交した平面である。以下、光学部材20の中心軸Cが延びる方向のうち、光出射面29から光入射面21に向かう方向を「光入射方向」といい。光入射面21から光出射面29に向かう方向を「光出射方向」という。
【0021】
光入射面21の中央部には、光入射方向に突出した第1集光部22が設けられている。第1集光部22は、光源部10の第1領域51に対応する位置に配置されており、例えば、第1領域51に対向する位置に配置されている。第1集光部22の形状は凸レンズ状であり、例えば、回転楕円体の一部である。第1集光部22の外面22aは凸状の曲面である。外面22aの最小曲率半径は、0.3mm以上、かつ、13mm以下である。外面22aの最小曲率半径は、例えば、中心軸Cを含む断面において計測することができる。
【0022】
第1集光部22の周囲には、第2集光部23が設けられている。第2集光部23の形状は、頂上部が陥没した略円錐体状である。第2集光部23は、光源部10における第1領域51と第2領域52の間の領域に対向している。第2集光部23の表面は、内面23a、上面23b、外面23cを含んでいる。
【0023】
内面23aは第1集光部22の外面22aと接しており、光入射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。上面23bは内面23aの周囲に配置され、内面23aと接している。上面23bは光出射面29に対して平行な円環状の平面である。外面23cは上面23bの周囲に配置され、上面23bと接している。外面23cは、光出射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。また、外面23cは、光出射面29に対して外向きに、すなわち、光入射方向に向けて凸となるように湾曲している。外面23cの最小曲率半径は、0.6mm以上、かつ、28mm以下である。外面23cの最小曲率半径も、例えば、中心軸Cを含む断面において計測することができる。
【0024】
第2集光部23の周囲には、第1導光部24が設けられている。第1導光部24の形状は、第2集光部23の周囲を環状に囲む筒状である。第1導光部24は、光出射面29に対して垂直な面、例えば、中心軸Cを含む面の断面形状が台形である。第1導光部24の表面は、内面24a、上面24b、外面24cを含んでいる。
【0025】
内面24aは第2集光部23の外面23cと接しており、光入射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。第2集光部23の外面23cと第1導光部24の内面24aとの境界線28aは、第1集光部22の外面22aと第2集光部23の内面23aとの境界線28bよりも、光出射方向側に位置している。すなわち、境界線28aと光出射面29との距離は、境界線28bと光出射面29との距離よりも短い。
【0026】
上面24bは内面24aの周囲に配置され、内面24aと接している。上面24bは光出射面29に対して平行な円環状の平面である。上面24bは、光源部10の第2領域52に対応する位置に配置されており、例えば、第2領域52に対向する位置に配置されている。第2集光部23の上面23bと第1導光部24の上面24bとは、同一平面上に位置している。外面24cは、光出射面29に対し垂直でもよく、光出射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れる方向に傾斜していてもよい。
【0027】
第1導光部24の周囲には、平板部25が設けられている。平板部25の形状は、第1導光部24の周囲を囲む形状であればよく、好ましくは円環板状である。平板部25の上面25aは、光学部材20の光出射面29に対して平行であり、中心軸Cに対して直交した平面である。
【0028】
光入射面21は、全体が光出射方向から直接的に見える位置及び角度で配置されている。すなわち、第1集光部22の外面22a、第2集光部23の内面23a、上面23b、外面23c、第1導光部24の内面24a、上面24b、外面24c、平板部25の上面25aは、全て光出射面29に対向している。このため、光学部材20は、射出成型等により作製することができる。例えば、光出射面29側が開口した型に透明樹脂を流し込んで固化させ、光出射方向に引き出すことにより、光学部材20を成形することができる。
【0029】
拡散板30は、透明材料、例えば、ガラス又は樹脂材料からなり、入射する光を拡散させて透過する。例えば、拡散板30の一方又は両方の表面には微細な凹凸が形成されていてもよい。又は、拡散板30において、母材中に母材とは屈折率が異なる材料が分散されていてもよい。拡散板30の形状は光出射面29を覆う形状であればよく、好ましくは円板状である。拡散板30は、光学部材20の光出射面29側に配置されており、例えば、光出射面29に接している。
【0030】
カバー部材40は、鍔部41、収納部42、コーン部43を有する。カバー部材40は、不透明材料、例えば、白色樹脂材料、暗色樹脂材料又は金属材料により形成されている。カバー部材40の形状は概ね回転体であり、カバー部材40の中心軸は光学部材20の中心軸Cと略一致する。
【0031】
鍔部41の形状は、例えば、円環板状である。鍔部41は、照明装置90を取付対象部材、例えば、部屋の天井100に対して固定するための部分である。収納部42の形状は、上面の全体と底面の中央部分が開口した円筒状であり、光源部10、光学部材20、拡散板30を内部に収納する。拡散板30の外周部は、光学部材20の平板部25と、カバー部材40の収納部42の底面により挟まれて固定される。コーン部43の形状は、収納部42から離れるにつれて直径が大きくなる円錐台形状である。コーン部43の上面及び底面は開口しており、コーン部43の内部は収納部42の内部と連通している。コーン部43の内面は、カバー部材40が白色材料からなる場合は光を乱反射し、カバー部材40が暗色材料からなる場合は光を吸収する。
【0032】
次に、本実施形態に係る照明装置90の動作について説明する。
先ず、発光回路81の動作について説明する。
図7Aは、横軸に入力電流をとり、縦軸に光束をとって、本実施形態の第1発光素子及び第2発光素子の挙動を示すグラフである。
図7Bは、横軸に入力電流をとり、縦軸に色温度をとって、本実施形態に係る発光装置の挙動を示すグラフである。
【0033】
上述の如く、発光回路81において、第1回路61において直列に接続された第1発光素子11の段数は、第2回路62において直列に接続された第2発光素子12の段数よりも少ない。このため、発光回路81に印加する直流電流をゼロから連続的に増加させていくと、当初は、各第1発光素子11のアノード-カソード間に印加される電圧が、各第2発光素子12のアノード-カソード間に印加される電圧よりも高くなるため、第1発光素子11が先に導通する。このため、第1回路61のみに電流が流れ、第2回路62には電流が殆ど流れない。したがって、第1発光素子11のみが発光し、色温度が2000Kの光が出射される。そして、入力電流値が、第1発光素子11に流れる電流が概ね飽和する値I1になるまで、入力電流が増加するほど第1発光素子11の光束が増加する。
【0034】
発光回路81に印加する直流電流を増加させていくと、第2発光素子12にも電流が流れ始める。これにより、第2発光素子12も発光する。第2発光素子12が発光し始める電流値をI2とする。電流値が0以上I2以下の範囲においては、入力電流に応じて、光の色温度は2000Kで一定のまま、光束だけが変化する。電流値I2は電流値I1以下であることが好ましい。電流値がI2以上になると、光源部10から出射する光は、第1発光素子11から出射した光と第2発光素子12から出射した光が混合された光となり、色温度は2000Kと3000Kの間の値となる。そして、入力電流値が、第2発光素子12に流れる電流が飽和する値I3になるまで、入力電流値が増加するほど、第1発光素子11の光束はほぼ一定のまま、第2発光素子12の光束が増加する。また、第1発光素子11の光束と第2発光素子12の光束の割合が変化するため、光源部10から出射する光の色温度も変化する。したがって、電流値がI2以上I3以下の範囲においては、入力電流が大きくなるほど、光束が増加すると共に、光の色温度が2000Kから増加して、2000Kと3000Kとの間の所定の値に収斂する。抵抗素子71~75の抵抗値は、電流値がI3に到達したときに、各第1発光素子11のアノード-カソード間電圧と各第2発光素子12のアノード-カソード間電圧が等しくなるように調整されている。
【0035】
次に、光源部10から出射した光の挙動について説明する。
図8は、第1発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図9は、第2発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図10は、拡散板から出射した光の軌跡とカバー部材との位置関係を示す端面図である。
【0036】
第1領域51において第1発光素子11が点灯すると、第1発光素子11から出射した光の一部は、光学部材20の第1集光部22の外面22aに入射する。外面22aは、第1集光部22に光が入射する第1光入射領域である。以下、第1集光部22に入射した光を「光L1」という。光L1は、凸レンズ形状の第1集光部22によって集光されて、光出射面29から出射する。第1集光部22から出射した光L1の半値角θHW1は、例えば、24°である。
【0037】
第1発光素子11から出射した光の残部、すなわち、第1領域51から出射し、第1集光部22に入射しなかった光は、第2集光部23の内面23aに入射する。以下、第2集光部23に入射した光を「光L2」という。光L2は、第2集光部23内を通過し、少なくとも一部が外面23cにおいて全反射されて、光出射面29から出射する。外面23cは、光出射面29に対して外向きに湾曲しているため、光L2は外面23cにおいて全反射されることにより、集光される。
【0038】
第2領域52において第2発光素子12が点灯すると、第2発光素子12から出射した光の大部分は、光学部材20の第1導光部24の上面24bに入射する。上面24bは、第1導光部24に光が入射する第2光入射領域である。以下、第1導光部24に入射した光を「光L3」という。光L3の少なくとも一部は、第1導光部24の内面24aと外面24cとで全反射を繰り返すことにより、第1導光部24の内部を導光されると共に拡散されて、光出射面29から出射する。第1導光部24から出射した光L3の半値角θHW2は、例えば、68°である。光学部材20の第1導光部24から出射する光L3の半値角θHW2は、第1集光部22から出射する光L1の半値角θHW1よりも大きい。すなわち、θHW2>θHW1である。
【0039】
このように、発光装置1においては、第1発光素子11を点灯させると、第1領域51から光が出射し、第1集光部22によって集光された光L1、及び、第2集光部23によって集光された光L2が、発光装置1から出射する。これにより、半値角が小さい光を得ることができる。一方、第2発光素子12を点灯させると、第2領域52から光が出射し、第1導光部24によって拡散された光L3が発光装置1から出射する。これにより、半値角が大きい光を得ることができる。このように、発光装置1は、入力電流値を調整することにより、各発光素子の光束を変化させ、出射光の色温度及び配光角を制御することができる。
【0040】
光学部材20の光出射面29から出射した光は、拡散板30を通過する際に散乱される。これにより、使用者に第1発光素子11又は第2発光素子12が直接見えてしまうことによる「粒感」を軽減すると共に、光の出射角度に起因した「色ムラ」や「グレア」を軽減することができる。そして、拡散板30から出射した光はカバー部材40のコーン部43内に入射する。拡散板30から出射した光の一部は、コーン部43の内面に到達する。特に、配線基板19の実装面19aに対する角度が30°以下の方向に進む光は、必ずコーン部43の内面に到達する。なお、光L4は、拡散板30におけるコーン部43内に露出した部分の端から、実装面19aに対して30°の角度で出射し、コーン部43の中心軸を通過する光の軌跡を示している。
【0041】
コーン部43は、光L4がコーン部43の内面に入射するように、設計されている。コーン部43の内面が白色材料からなる場合は、コーン部43の内面に到達した光はコーン部43の内面によって乱反射され、照明装置90の外部に出射する。コーン部43の内面が暗色材料からなる場合は、コーン部43の内面に到達した光はコーン部43の内面によって吸収される。拡散板30から出射した光の他の一部は、コーン部43の内面には到達せずに、直接照明装置90の外部に出射する。
【0042】
次に、本実施形態の効果について説明する。
発光装置1においては、入力電流値を調整することにより、出射光の色温度、光束及び配光角を制御することができる。これにより、機械的な手段を設けることなく、電気的な手段のみで色温度、光束及び配光角を切り替えることができる。このため、発光装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、機械的な動作がないため、切替に時間を要さず、騒音が発生することもなく、信頼性も高い。さらに、照明装置90の外観を、配光角の切替が可能であることがわからないような外観とすることができるため、部屋の天井100に取り付けてダウンライトとして使用する場合等に、インテリア性を向上させることができる。
【0043】
また、1つの光学部材20を用いて、狭角照明から広角照明にわたって照明範囲を連続的に変化させることができるため、照明装置90のコストをより一層低減することができる。上述の如く、射出成型法等によって光学部材20を形成すれば、コストをより低減できる。また、使用者から見て、狭角照明時と広角照明時で発光領域の位置及び面積がほとんど変わらないため、狭角照明と広角照明を切り替えたときの不連続感が少ない。
【0044】
さらに、照明装置90においては、拡散板30から出射した光のうち、配線基板19の実装面19aに対する角度が30°以下の方向に進む光は、カバー部材40が白色材料からなる場合はコーン部43の内面によって乱反射され、カバー部材40が暗色材料からなる場合はコーン部43の内面で吸収されるため、拡散板30から照明装置90の外部に直接出射することがない。これにより、第1発光素子11及び第2発光素子12から浅い角度で出射した光が直接使用者の目に入ることを防止でき、グレアを抑えることができる。また、照明装置90においては、狭角照明用の光L1及びL2と、広角照明用の光L3とを、1つの光学部材20から出射させることができるため、発光面積を低減することができる。これにより、30°以下の光を遮断しつつ、コーン部43の高さを低くすることができ、照明装置90全体をコンパクトにすることができる。
【0045】
なお、センサーを用いて人を感知することで、色温度、光束及び配光角を切り替えてもよい。例えば、部屋が無人のときは第1発光素子11及び第2発光素子12の双方を消灯させておき、部屋の入口に人が現れたときは、第1発光素子11のみを点灯させて、比較的弱い光で入口付近のみを局所的に照明し、人が部屋の内部に入ってきたときは、第1発光素子11及び第2発光素子12の双方を点灯させて、部屋全体を明るく照明してもよい。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態の光源部を示す平面図である。
図12は、本実施形態に係る発光回路を示す回路図である。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。後述する他の実施形態についても同様である。
【0047】
本実施形態に係る発光装置2においては、光源部10aにおいて、第1領域51に1以上の第1発光素子11が設けられており、第2領域52に、第1発光素子11、第2発光素子12、第3発光素子13、及び、第4発光素子14が、それぞれ1以上設けられている。すなわち、第1発光素子11は第1領域51及び第2領域52の双方に設けられており、第2発光素子12、第3発光素子13、及び、第4発光素子14は、第2領域52のみに設けられている。なお、
図11においては、図を簡略化するために、発光素子の数を実際よりも少なく描いている。
図12に示す例では、第1発光素子11の総数、第2発光素子12の総数、第3発光素子13の総数、及び、第4発光素子14の総数は、それぞれ12である。
【0048】
本実施形態においては、例えば、第1発光素子11から出射される光の色温度は2700Kであり、第2発光素子12から出射される光の色温度は2000Kであり、第3発光素子13から出射される光の色温度は3500Kであり、第4発光素子14から出射される光の色温度は6500Kである。なお、各発光素子から出射される光の色温度は上記の例には限定されず、第1発光素子11から出射する光の色温度、第2発光素子12から出射する光の色温度、第3発光素子13から出射する光の色温度、及び、第4発光素子14から出射する光の色温度が、相互に異なっていればよい。
【0049】
光源部10aには、発光回路82が設けられている。発光回路82は、上述の第1~第4の発光素子と、複数の第1抵抗素子76及び複数の第2抵抗素子77を含んでいる。発光回路82には、第1回路61、第2回路62、第3回路63及び第4回路64が設けられている。発光回路82において、第1回路61と第2回路62は相互に並列に接続されており、第3回路63と第4回路64は相互に並列に接続されている。
【0050】
第1回路61においては、例えば、相互に並列に接続された3つの第1発光素子11からなる単位回路が4つ設けられており、この4つの単位回路と複数の第1抵抗素子76が直列に接続されている。したがって、第1回路61において、第1発光素子11の総数は12であり、直列に接続された第1発光素子11の段数は4である。なお、複数の第1抵抗素子76の抵抗値は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0051】
第2回路62においては、例えば12個の第2発光素子12が抵抗素子を介さずに直列に接続されている。したがって、第2回路62において、第2発光素子12の総数は12であり、直列に接続された第2発光素子12の段数も12である。
【0052】
第3回路63においては、例えば、相互に並列に接続された3つの第3発光素子13からなる単位回路が4つ設けられており、この4つの単位回路と複数の第2抵抗素子77が直列に接続されている。したがって、第3回路63において、第3発光素子13の総数は12であり、直列に接続された第3発光素子13の段数は4である。なお、複数の第2抵抗素子77の抵抗値は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0053】
第4回路64においては、例えば12個の第4発光素子14が抵抗素子を介さずに直列に接続されている。したがって、第4回路64において、第4発光素子14の総数は12であり、直列に接続された第4発光素子14の段数は12である。
【0054】
次に、本実施形態の動作について説明する。
第1発光素子11は、第1領域51及び第2領域52の双方に配置されているため、第1発光素子11から出射した光は、光学部材20の第1集光部22、第2集光部23及び第1導光部24から出射する。第2発光素子12、第3発光素子13及び第4発光素子14は第2領域52のみに配置されているため、第2発光素子12、第3発光素子13及び第4発光素子14から出射した光は、第1導光部24から出射する。
【0055】
第1回路61と第2回路62は同じ電源に接続されており、同じ電圧が印加される。これにより、第1の実施形態において説明したように、入力電流値をゼロから徐々に増加させていくと、第1発光素子11が先に発光し始め、第1発光素子11に流れる電流が飽和する付近から、第2発光素子12が発光し始める。この結果、入力電流値を変化させると、全体の色温度、光束及び配光角が所定の関係にしたがって変化する。
【0056】
第3回路63と第4回路64は同じ電源に接続されており、同じ電圧が印加される。これにより、入力電流値をゼロから徐々に増加させていくと、第3発光素子13が先に発光し始め、第3発光素子13に流れる電流が飽和する付近から、第4発光素子14が発光し始める。この結果、入力電流値を変化させると、全体の色温度及び光束が所定の関係にしたがって変化する。
【0057】
そして、第1回路61及び第2回路62に流す電流値と、第3回路63及び第4回路64に流す電流値との割合を制御することにより、第1発光素子11、第2発光素子12、第3発光素子13及び第4発光素子14から出射する光の割合を制御することができる。この制御を最適化することにより、発光装置2から出射する光の色を、黒体放射に沿って変化させることができる。
【0058】
図13は、横軸にxをとり、縦軸にyをとって、発光装置から出射する光の色の変化を示す色度座標図である。
図13に破線で示す曲線は黒体放射の色変化の理論曲線を表し、実線で示す曲線は本実施形態に係る発光装置が出射する光の色変化のシミュレーション結果を表し、一点鎖線で示す直線は2種類の発光素子のみを用いた発光装置が出射する光の色変化を表す。
図13に示すように、本実施形態によれば、発光装置2から出射する光を黒体放射に沿って変化させることができる。
【0059】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、色温度が相互に異なる4種類の発光素子を設けているため、第1の実施形態と比較して、色温度の調整範囲が広い。また、第1発光素子11を含む第1回路61と第2発光素子12を含む第2回路62を相互に並列に接続し、第1回路61において直列に接続された第1発光素子11の段数を、第2回路62において直列に接続された第2発光素子12の段数よりも少なくしているため、第1発光素子11を単独で発光させた状態から、第1発光素子11及び第2発光素子12の双方を発光させた状態まで、滑らかに連続的に推移させることができる。同様に、第3発光素子13を含む第3回路63と第4発光素子14を含む第4回路64を相互に並列に接続し、第3回路63において直列に接続された第3発光素子13の段数を、第4回路64において直列に接続された第4発光素子14の段数よりも少なくしているため、第3発光素子13を単独で発光させた状態から、第3発光素子13及び第4発光素子14の双方を発光させた状態まで、滑らかに連続的に推移させることができる。
【0060】
そして、第1回路61及び第2回路62が並列に接続された回路に流す電流値と、第3回路63及び第4回路64が並列に接続された回路に流す電流値を、適切に制御することにより、第1発光素子11を単独で発光させた状態から、全ての発光素子を発光させた状態まで、滑らかに連続的に推移させることができる。これにより、色温度、光束及び配光角を連続的に変化させることができ、調光の際に使用者が違和感を覚えることを抑制できる。また、光の色を黒体放射に沿って変化させることが可能となる。これにより、より自然な調光が可能となり、使用者に安心感を与えることができる。
【0061】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図14は、本実施形態の光源部を示す平面図である。
本実施形態に係る発光回路は、
図12に示す発光回路82と同様である。
【0062】
本実施形態に係る発光装置3においては、光源部10bにおいて、第1領域51に第1発光素子11及び第2発光素子12の双方が設けられている。第2領域52には、第1発光素子11、第2発光素子12、第3発光素子13及び第4発光素子14が設けられている。なお、
図14においては、図を簡略化するために、発光素子の数を実際よりも少なく描いている。後述する
図15及び
図17についても、同様である。
【0063】
本実施形態によれば、第2の実施形態と比較して、第1集光部22及び第2集光部23から出射され狭角領域を照明する光も、第1発光素子11を単独で発光させた状態から、第1発光素子11及び第2発光素子12の双方を発光させた状態まで、連続的に変化させることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第2の実施形態と同様である。
【0064】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態の光源部を示す平面図である。
図16は、本実施形態の光学部材を示す端面図である。
【0065】
本実施形態に係る発光装置4においては、光源部10cが設けられている。光源部10cにおいては、第1領域51に1以上の第1発光素子11が設けられている。第2領域52には、1以上の第1発光素子11、1以上の第2発光素子12、1以上の第3発光素子13及び1以上の第4発光素子14が設けられている。第3領域53にも、1以上の第1発光素子11、1以上の第2発光素子12、1以上の第3発光素子13及び1以上の第4発光素子14が設けられている。したがって、光源部10c全体には、第1発光素子11は3以上、第2発光素子12、第3発光素子13及び第4発光素子14はそれぞれ2以上設けられている。第1領域51は配線基板19の中心を含む円状の領域であり、第2領域は第1領域51の周囲に配置された円環状の領域であり、第3領域53は第2領域52の周囲に配置された円環状の領域である。
【0066】
本実施形態においては、例えば、第2の実施形態と同様に、第1発光素子11から出射される光の色温度は2700Kであり、第2発光素子12から出射される光の色温度は2000Kであり、第3発光素子13から出射される光の色温度は3500Kであり、第4発光素子14から出射される光の色温度は6500Kである。但し、これには限定されず、色温度が相互に異なっていればよい。
【0067】
また、発光装置4においては、光学部材20aが、第2領域52の周囲の第3領域53から入射した光を導光する第2導光部26及び平板部27をさらに有する。第2導光部26から出射する光の半値角は、第1導光部24から出射する光の半値角よりも大きい。
【0068】
第2導光部26は、平板部25の外側に設けられている。第2導光部26は、第1導光部24の周囲を環状に囲む透明な筒状部材である。第2導光部26は、光源部10cの第3領域53に対応する位置に配置されており、例えば、第3領域53に対向する位置に配置されている。
【0069】
第2導光部26の表面は、内面26a、上面26b、外面26cを含んでいる。内面26aは平板部25の上面25aと接しており、例えば、中心軸Cに対して平行である。上面26bは内面26aの周囲に配置され、内面26aと接している。上面26bは光出射面29に対して平行な円環状の平面であり、第3領域53に対向している。上面26bは、第2集光部23の上面23b及び第1導光部24の上面24bと同じ平面上に位置している。外面26cは、上面26bに接し、例えば、中心軸Cに対して平行である。第2導光部26は、光出射面29に対して垂直な面、例えば、中心軸Cを含む面の断面形状が長方形である。なお、第2導光部26の断面形状は、長方形以外の台形であってもよい。
【0070】
第2導光部26の内面26a及び外面26cのテーパー角、すなわち、中心軸Cとの角度は、第1導光部24の内面24a及び外面24cのテーパー角よりも小さい。したがって、第2導光部26のテーパー比は、第1導光部24のテーパー比よりも小さい。導光部の「テーパー比」とは、導光部の光入射面21側の端面の幅をWinとし、光出射面29側の端面の幅をWoutとし、導光部の中心軸Cに沿った長さをHとしたとき、(Wout-Win)/Hで定義される値である。第1導光部24の光入射面21側の端面は上面24bであり、光出射面29側の端面は境界線28aと平板部25の上面25aとを結ぶ平面であり、第2導光部26の光入射面21側の端面は上面26bであり、光出射面29側の端面は平板部25の上面25aと平板部27の上面27aとを結ぶ平面である。例えば、第1導光部24のテーパー比は0より大きく、かつ、0.54以下であり、第2導光部26のテーパー比は0以上、かつ、0.1以下である。これにより、第2導光部26から出射する光の半値角は、第1導光部24から出射する光の半値角よりも大きくなる。
【0071】
平板部27は、第2導光部26の外側に設けられている。平板部27の上面27aは、光出射面29に対して平行な円環状の平面である。平板部27の厚さは、例えば、平板部25の厚さと略同じである。第2導光部26及び平板部27を含む光学部材20aは、透明材料により一体的に形成されている。
【0072】
次に、本実施形態に係る発光装置の動作について説明する。
第3領域53に配置された第1発光素子11、第2発光素子12、第3発光素子13及び第4発光素子14が点灯すると、これらの発光素子から出射した光の大部分は、第2導光部26の上面26bに入射する。上面26bは、第2導光部26に光が入射する第3光入射領域である。上面26bから第2導光部26内に入射した光の少なくとも一部は、内面26aと外面26cで全反射を繰り返し、第2導光部26内を伝播し、光出射面29から出射する。第2導光部26から出射する光の半値角θHW3は、第1導光部24から出射する光の半値角θHW2よりも大きい。すなわち、θHW3>θHW2>θHW1である。
【0073】
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、色温度が相互に異なる4種類の発光素子を設けているため、広い範囲で色温度を制御することができる。また、第1発光素子11を単独で発光させた状態から、全ての発光素子を発光させた状態まで、滑らかに連続的に推移させることができる。これにより、色温度、光束及び配光角を連続的に変化させることができる。更に、光の色を黒体放射に沿って変化させることも可能である。
【0074】
また、光源部10cの第3領域53に発光素子が配置されており、光学部材20aが第3領域53から入射した光を導光する第2導光部26を有するため、より広い範囲で配光角を変化させることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第2の実施形態と同様である。
【0075】
次に、実施例に係る発光装置について説明する。
図17Aは、本実施例における第1導光部24及び第2導光部26の寸法を示す図である。
図17Bは、横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、本実施例の第1導光部24から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
図17Cは、横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、本実施例の第2導光部26から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0076】
例えば、第1導光部24の光入射方向側の端部の幅Winを3mmとし、光出射方向側の端部の幅Woutを6mmとし、第1導光部24の光出射方向における長さHを10.9mmとした場合、半値角θHW2は68°である。一方、第2導光部26の光入射方向側の端部の幅Winを3mmとし、光出射方向側の端部の幅Woutを3mmとし、第2導光部26の光出射方向における長さHを10.9mmとした場合、半値角θHW3は112°である。前述の如く、第1集光部22から出射する光L1の半値角θHW1は、例えば、24°である。これらの値を下記表1にまとめて示す。
【0077】
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、例えば、室内用の照明装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1、2、3、4:発光装置
10、10a、10b、10c:光源部
11:第1発光素子
12:第2発光素子
13:第3発光素子
14:第4発光素子
19:配線基板
19a:実装面
20、20a:光学部材
21:光入射面
22:第1集光部
22a:外面
23:第2集光部
23a:内面
23b:上面
23c:外面
24:第1導光部
24a:内面
24b:上面
24c:外面
25:平板部
25a:上面
26:第2導光部
26a:内面
26b:上面
26c:外面
27:平板部
27a:上面
28a、28b:境界線
29:光出射面
30:拡散板
40:カバー部材
41:鍔部
42:収納部
43:コーン部
51:第1領域
52:第2領域
53:第3領域
61:第1回路
62:第2回路
63:第3回路
64:第4回路
71、72、73、74、75:抵抗素子
76:第1抵抗素子
77:第2抵抗素子
81、82:発光回路
90:照明装置
100:天井
C:中心軸
H:長さ
I1、I2、I3:電流値
L1、L2、L3、L4:光
Win、Wout:幅
θHW1、θHW2、θHW3:半値角