(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20230831BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230831BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G3/04 018
B60R16/02 623T
F16L57/00 A
(21)【出願番号】P 2020066138
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 卓也
(72)【発明者】
【氏名】村上 康行
(72)【発明者】
【氏名】太田 三幹
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-039047(JP,A)
【文献】特開2010-051042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132638(US,A1)
【文献】特開2013-150402(JP,A)
【文献】国際公開第2019/093264(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、
一対の側面部及び底面部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開口を塞ぐカバーとが備えられ、
車両搭載される搭載姿勢において長手方向の先端側が下方に向かって傾斜する先端傾斜部分が形成され、
前記搭載姿勢において、前記先端傾斜部分の前記底面部の傾斜方向の下流側に、排水口が設けられるとともに、
前記先端傾斜部分の上流側において前記プロテクタ本体と前記カバーとの間の隙間から侵入した水を前記側面部に向かって案内する案内リブが前記カバーの内面に設けられた
プロテクタ。
【請求項2】
前記カバーにおける前記先端傾斜部分は、前記カバーにおける他の部分に対してヒンジ部によって枢動可能に連結された開閉カバー部であり、
前記隙間は、前記プロテクタ本体と前記ヒンジ部との隙間である
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記排水口は、前記長手方向において、前記案内リブの下流側先端部に対応する位置に配置された
請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記先端傾斜部分は、前記搭載姿勢において、前記長手方向に直交する幅方向の一方に対して他方が下方に向かうように傾斜し、
前記案内リブは、前記カバーの前記内面において、前記幅方向における一方側から傾斜下方となる他方側に向かうとともに、前記長手方向における先端側に向かうように配置された
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記先端傾斜部分における一対の前記側面部及び前記底面部の内面に沿う防水リブが設けられ、
前記排水口は前記防水リブより前記傾斜方向の上流側に配置された
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記搭載姿勢において、
前記防水リブは、前記案内リブの下流側先端部の鉛直方向の直下位置より前記下流側に配置された
請求項5に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記防水リブは、前記長手方向において複数設けられ、
前記排水口は、最も上流側の前記防水リブにおける上流側の側面に沿って設けられた
請求項5又は請求項6に記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記排水口は、前記防水リブの上流側の側面、及び幅方向の両側に設けた前記側面部の一方における内面に沿って設けられた
請求項5乃至請求項7のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記案内リブの下流側先端部と前記側面部との間隔に比べて、前記防水リブの前記側面部からの突出長さが長い
請求項5乃至請求項8のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記プロテクタ本体において、前記側面部の下端が前記底面部の下面より下方に突出する
請求項1乃至請求項9のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両に配索されるワイヤーハーネスを内部に挿通させて保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転性能や安全性などを向上させるために様々な電子機器類が車両に搭載されている。これらの電子機器類を電気的に接続するワイヤーハーネスは、車両に対して三次元的に配策されており、配策経路に応じて所定の方向に曲げられた状態でプロテクタによって保護されている。
【0003】
このように三次元的に配策されるワイヤーハーネスを保護するプロテクタの一例として、ワイヤーハーネスの配策方向に合わせて屈曲させたプロテクタ本体に対して、プロテクタ本体の上面側開口を覆うようにカバーを係止させる構成が特許文献1に開示されている。
【0004】
近年、電子機器類の増加や、電子機器類を配置する配置空間の確保などにより、ワイヤーハーネスの配策がより複雑になっている。このようなワイヤーハーネスの三次元的な配策経路に合わせて、例えば、プロテクタの形状に合わせてカバーの一部を開閉できるようにヒンジを設けたり、プロテクタ本体に組み付けるカバーを分割したりすることがある。
【0005】
しかしながら、ヒンジを設けたり、カバーを分割したりした場合、プロテクタ本体とカバーとの間に生じた隙間から水が浸入するおそれがある。このように隙間から侵入した水は、車両に搭載した状態で下方側に向けて傾斜するカバーの裏面を分散しながら流れるため、プロテクタの内部で水が分散して溜まるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した問題を鑑み、隙間を介して内部に侵入した水を確実に排水できるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、一対の側面部及び底面部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の開口を塞ぐカバーとが備えられ、車両搭載される搭載姿勢において長手方向の先端側が下方に向かって傾斜する先端傾斜部分が形成され、前記搭載姿勢において、前記先端傾斜部分の前記底面部の傾斜方向の下流側に、排水口が設けられるとともに、前記先端傾斜部分の上流側において前記プロテクタ本体と前記カバーとの間の隙間から侵入した水を前記側面部に向かって案内する案内リブが前記カバーの内面に設けられたことを特徴とする。
【0009】
前記隙間とは、プロテクタ本体の先端傾斜部分の上流側において、カバーとの間に設けられた隙間であればどのようなものでもよい。例えば、ヒンジ部により一部を開閉自在に構成したカバーにおけるヒンジ部とプロテクタ本体との隙間や、分割できるように構成したカバーとプロテクタ本体との隙間、カバーとプロテクタ本体との間に設けられた開口などを含む。
【0010】
前記案内リブは、先端が側面部と当接又は離間していてもよい。また、前記案内リブは、単数又は複数設けられてもよい。
さらにまた、前記案内リブは、一対の側面部の一方側から他方側に向かうとともに、長手方向における先端側に向かうような直線状又は、上流側に向けて凸状となる円弧形状で構成されてもよいし、長手方向における先端側に向かうに伴い、一対の側面部の中央部分から両側面部に向かって末広がりとなるような直線状又は円弧状に構成されていてもよい。
【0011】
この発明により、隙間を介して内部に侵入した水を、案内リブで収集しながら側面部に向けて流すことができる。このため、カバーの内面を分散して流れる水を案内リブで収集できるとともに、側面部を伝って底面部に流し、その水を底面部の下流側に設けられた排水口に向けて流すことができる。したがって、隙間を介して内部に侵入した水を確実に排水できる。
【0012】
この発明の態様として、前記カバーにおける前記先端傾斜部分は、前記カバーにおける他の部分に対してヒンジ部によって枢動可能に連結された開閉カバー部であり、前記隙間は、前記プロテクタ本体と前記ヒンジ部との隙間であってもよい。
前記ヒンジ部は、先端傾斜部分の幅方向に沿って配置する場合や、先端傾斜部分の長手方向に沿って配置される場合を含む。
【0013】
この発明により、プロテクタ本体における先端傾斜部分の上流側と先端傾斜部分との傾斜角度に合わせて、先端傾斜部分を開閉カバー部で確実に覆うことができる。また、プロテクタ本体とヒンジ部との間に生じる隙間から侵入した水を、案内リブで収集しながら流し、排水口から排出できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記排水口は、前記長手方向において、前記案内リブの下流側先端部に対応する位置に配置されてもよい。
この発明により、案内リブに沿って収集された水を、案内リブの先端側から、下流側先端部に対応する位置に配置された排水口へ確実に案内できる。このため、プロテクタ本体とヒンジ部との隙間から侵入した水を、より確実に排水口に向けて流して排水できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記先端傾斜部分は、前記搭載姿勢において、前記長手方向に直交する幅方向の一方に対して他方が下方に向かうように傾斜し、前記案内リブは、前記カバーの前記内面において、前記幅方向における一方側から傾斜下方となる他方側に向かうとともに、前記長手方向における先端側に向かうように配置されてもよい。
【0016】
この発明によると、案内リブは搭載姿勢における下方側に向かうように配置されているため、車両搭載された状態において、プロテクタ本体とヒンジ部との隙間から侵入した水を、案内リブに沿って下方側に向けて確実に案内できる。したがって、隙間から侵入した水をより確実に排水口に向けて流すことができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記先端傾斜部分における一対の前記側面部及び前記底面部の内面に沿う防水リブが設けられ、前記排水口は前記防水リブより前記傾斜方向の上流側に配置されてもよい。
【0018】
この発明により、搭載姿勢において側面部を介して下方に流れてきた水を、防水リブよりも下流側に流れないように堰き止めることができ、堰き止められた水を防水リブよりも上流側に設けられた排水口から排出できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記搭載姿勢において、前記防水リブは、前記案内リブの下流側先端部の鉛直方向の直下位置より前記下流側に配置されてもよい。
この発明により、案内リブの下流側先端部が防水リブよりも上流側に配置されているため、案内リブに沿った水を防水リブよりも上流側の側面部を伝って下方に流すことができる。これにより、水が下流側に流れたとしても、防水リブが水を堰き止めて、防水リブよりも上流側に設けられた排水口から排水できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記防水リブは、前記長手方向において複数設けられ、前記排水口は、最も上流側の前記防水リブにおける上流側の側面に沿って設けられてもよい。
この発明により、排水口を介して隙間から内部に侵入してきた水を確実に排水できるとともに、隙間から侵入した水の量が多い場合には、下流側に配置された防水リブで先端傾斜部分における先端に水が流れることを確実に防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記排水口は、前記防水リブの上流側の側面、及び幅方向の両側に設けた前記側面部の一方における内面に沿って設けられてもよい。
この発明により、防水リブの上流側において、防水リブの上流側の側面と側面部との交差部分に、防水リブの上流側の側面及び側面部と排水口の外縁とが面一となるように、排水口が配置される。これにより、流れてきた水が内部に溜まることなく外部に排水できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記案内リブの下流側先端部と前記側面部との間隔に比べて、前記防水リブの前記側面部からの突出長さが長くてもよい。
この発明により、案内リブの下流側先端部から側面部を伝って流れる水が、少なくとも防水リブを越えて先端側に流れることを防止できる。したがって、水が先端側に流れることがなく、確実に外部へ排水できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記プロテクタ本体において、前記側面部の下端が前記底面部の下面より下方に突出してもよい。
この発明により、側面部を介して排水口から流れ落ちてきた水を底面部よりも下端側に突出する側面部の下端に伝って流すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、隙間を介して内部に侵入した水を確実に排水できるプロテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
本実施形態のプロテクタ1は、車両に3次元的に配索されるワイヤーハーネス100を内部に挿通させて保護している。このようなプロテクタ1について、
図1から
図12に基づいて説明する。
【0027】
図1はワイヤーハーネス100を挿通させたプロテクタ1の概略斜視図を示し、
図2はワイヤーハーネス100を挿通させたプロテクタ1を上方向Zuから視たプロテクタ1の平面図を示し、
図3はワイヤーハーネス100を挿通させたプロテクタ1の左側面図を示す。
図4はプロテクタ1の概略分解斜視図を示し、
図5はコルゲート40の長手方向と直交する面で切断したコルゲート40の断面図を示す。
【0028】
図6は先端傾斜部本体23の延出方向X及び横幅方向Yと直交する方向のうち上方向Zuから視た先端傾斜部本体23の平面図を示し、
図7は
図6中のA-A矢視断面図を示す。
図8は先端傾斜カバー部33の延出方向X及び横幅方向Yと直交する方向のうち下方向Zdから視た先端傾斜カバー部33の底面図を示し、
図9は
図8中のC-C矢視断面図を示す。
【0029】
図10は、
図6中のB-B切断面に対応する先端傾斜部13の断面図を示し、
図11及び
図12はプロテクタ1を前方側Hfの下方向Zdから視た部分断面斜視図を示す。なお、
図11及び
図12は
図10中のD-D切断面に沿って切断した断面図を表示する。
また、
図10乃至
図12において、先端傾斜部13の内部構造を明確にするため、コルゲート40とワイヤーハーネス100の図示は省略する。
【0030】
ここで、
図1中の上下方向を上下方向Zとし、第1保護部11の長手方向(
図1において左上と右下とを結ぶ方向)を幅方向Wとし、第2保護部12の長手方向(
図1において左下と右上とを結ぶ方向)を奥行方向Hとする。
【0031】
また、上下方向Zにおいて上側を上方向Zuとするとともに、下側を下方向Zdとする。また、幅方向Wにおいて手前側(
図1において右下側)を右側Wrとするとともに、奥側(
図1において左上側)を左側Wlとする。そして、奥行方向Hにおいて奥側(
図1において右上側)を前方側Hfとするとともに、手前側(
図1において左下側)を後方側Hbとする。
なお、
図1中で示した方向は、便宜上、
図2乃至
図12において同様とする。
【0032】
プロテクタ1は、
図1乃至
図3に示すように、硬質の合成樹脂製の筐体であり、ワイヤーハーネス100を挿通できるように両端が開口している。このプロテクタ1は、配索経路に沿ったワイヤーハーネス100の形状を維持した状態で車両に固定される。
【0033】
この樹脂製のプロテクタ1は、基端側(
図1中の右側)から先端側(
図1中の左下方側)に向けてこの順で配置された、第1保護部11と、第2保護部12と、先端傾斜部13との3つの部分から構成されている。そして、第1保護部11と第2保護部12との連結部位における左側Wlと、先端傾斜部13の中央部分における右側Wrには、プロテクタ1を車両に締結固定するための固定部14が設けられている。
【0034】
固定部14は、
図2に示すように、プロテクタ1の底部から水平方向へ突出する平面視略円形状の平板であり、中央部分にはプロテクタ1と車両とを締結固定するためのボルト孔14aが上下方向Zと平行となるように設けられている。このように構成されたボルト孔14aにボルトを挿通させ、ナットを用いて車両に締結固定することで、プロテクタ1を車両に搭載することができる。なお、プロテクタ1を車両に搭載した搭載状態において、固定部14は水平となる。
【0035】
第1保護部11は、
図1乃至
図3に示すように、幅方向Wに沿って延出した部分であり、第1保護部11の右側Wrは、右側Wrに向かうに伴い下方向Zdに向けて傾斜するとともに、後方側Hbに向けてわずかに傾斜している。
第2保護部12は、第1保護部11の左側Wlの端部から奥行方向Hに沿って後方側Hbに延出した部分であり、後方側Hbに向かうに伴い下方向Zdに向けて傾斜している。
【0036】
先端傾斜部13は、第2保護部12の後方側Hbの端部から延出した部分であり、後方側Hbに向かうに伴い下方向Zd及び左側Wlに向けて傾斜している。すなわち、先端傾斜部13の延出方向Xは、奥行方向Hに対して交差している。また先端傾斜部13は、正面視において、右側Wrから左側Wlに向かうに伴い下方向Zdに向かうように、斜め下方側に傾いている。
【0037】
このような3つの部分から構成されたプロテクタ1は、
図1乃至
図4に示すように、プロテクタ本体20と、カバー30とで構成されており、プロテクタ1の両端開口部分にはワイヤーハーネス100を挿通させるコルゲート40が嵌合されている。
【0038】
はじめに、ワイヤーハーネス100を挿通させるコルゲート40について説明する。
コルゲート40は、
図5に示すように、中空状に構成された樹脂製の環状円柱体であり、外径方向に隆起する隆起部41と、内径方向に凹んだ溝部42とが長手方向(円柱の高さ方向)に沿って交互に所定のピッチで配置された蛇腹構造で構成されている。
【0039】
次に、プロテクタ1を構成するプロテクタ本体20及びカバー30について説明する。
プロテクタ本体20は、
図4及び
図6、
図7に示すように、ワイヤーハーネス100を配索する底面を構成する底面部20aと、底面部20aの両端から上方向Zuに立設する一対の側面部20bとで構成されている。すなわち、プロテクタ本体20は、上方向Zuの開口する断面凹状に構成されている。
【0040】
このプロテクタ本体20は、
図4に示すように、基端側(
図1中の右側)から先端側(
図1中の左下方側)に向けてこの順で配置された、第1保護部本体21と、第2保護部本体22と、先端傾斜部本体23の3つの部分で構成されている。
【0041】
第1保護部本体21は、第1保護部11に対応する保護部材であり、ワイヤーハーネス100を幅方向Wに沿って配索させる第1底面21aと、第1底面21aの両端から上下方向Zに沿って立設する一対の第1側面21bとで一体に構成されている。このプロテクタ本体20の右側Wrの端部には、ワイヤーハーネス100を挿通させる基端側開口が構成される。また、対となる第1側面21bの幅方向Wの両端部には、後述する第1係止部31cを係止するための第1被係止部21cが外面に設けられている。
【0042】
第2保護部本体22は、第2保護部12に対応する保護部材であり、第1保護部本体21と同様に、ワイヤーハーネス100を奥行方向Hに沿って配索させる第2底面22aと、第2底面22aの両端から上下方向Zに沿って立設する一対の第2側面22bとで一体に構成されている。また、対となる第2側面22bの外面には、後述する第2係止部32cを係止するための第2被係止部22cが外面に設けられている。
【0043】
先端傾斜部本体23は、先端傾斜部13に対応する保護部材であり、第2保護部本体22における後方側Hbの端部から延出方向Xに沿って延出している。この先端傾斜部本体23は、第1保護部本体21と同様に、ワイヤーハーネス100を配索させる先端側底面23aと、先端側底面23aの両端から上下方向Zに沿って立設する一対の先端側側面23bとで一体に構成されている。なお、先端側側面23bの下端は先端側底面23aよりも下方向Zdに突出している(
図7参照)。
【0044】
また、対となる先端側側面23bの延出方向Xの中央部分及び後方側Hbの端部には、後述する基端側係止部34c及び先端側係止部35cを係止するための第3被係止部23cが外面に設けられている。
なお、上述の第1底面21aと、第2底面22aと、先端側底面23aとで、底面部20aを構成し、第1側面21bと第2側面22bと先端側側面23bとで側面部20bを構成している。
【0045】
以下、先端傾斜部本体23について詳述する。
ここで、先端傾斜部本体23の延出する延出方向Xに沿った上方向Zuを上流側Xuとし、下方向Zdを下流側Xdとする。また、延出方向Xと直交する方向であって、先端側底面23aに沿った方向を横幅方向Yとし、横幅方向Yの左側Wlを幅左側Ylとし、横幅方向Yの右側Wrを幅右側Yrとする。
【0046】
先端傾斜部本体23の下流側Xdの端部における内面には、
図6及び
図7に示すように、延出方向Xに沿った3つの防水リブ24が所定の間隔を隔てて設けられている。
この防水リブ24は、
図6及び
図7に示すように、溝部42の長手方向に沿った長さと同じ長さの板厚を有する板状体であり、延出方向Xから視て略U字状に構成されている。
【0047】
この防水リブ24は、先端側底面23aから上方に突出する下方リブ24aと、先端側側面23bから内側に向けて突出する側方リブ24bとで構成されている。
下方リブ24aは、先端側底面23aの内面から法線方向に突出した板状体であり、上端面(上方向Zuの面)は溝部42の外径と略同径の円弧状に構成されている。
【0048】
側方リブ24bは、先端側側面23bの内面から内側に向けて突出した板状体であり、側方リブ24bの上端は上方向Zuに向かうに伴い外側に傾斜するテーパ状に構成されている。この側方リブ24bの突出長さ(突出長L1とする。)は、溝部42の外径と隆起部41の外径との差よりも大きく、対となる側方リブ24b同士の間隔が溝部42の外径と略同じ長さとなるように構成されている。
【0049】
このように構成された防水リブ24は、上述のように、先端傾斜部本体23の端部から延出方向Xに沿って3つ並んで配置されている。なお、延出方向Xに沿った防水リブ24同士の間隔はコルゲート40における隆起部41の間隔の整数倍(本実施形態においては2倍)となるように構成されている。
【0050】
すなわち、防水リブ24は溝部42が嵌合可能に構成され、コルゲート40を嵌合させた状態でプロテクタ本体20とカバー30とを組み付けた場合に、防水リブ24が延出方向Xに沿って抜け落ちることを防止する機能も有する。
【0051】
また、先端側底面23aの延出方向Xの下流側Xdには、
図6及び
図7に示すように、先端側底面23aを板厚方向に貫通する排水口25が設けられている。
詳しくは、排水口25は、平面視において略正方形状に構成された貫通孔であり、横幅方向Yに沿った長さが先端側底面23aの略半分となるように構成されている。
【0052】
この排水口25の幅左側Ylの端面は、幅左側Ylに設けられた先端側側面23bの内壁面と面一となる。また、排水口25の下流側Xdの端面は上流側Xuに設けられた防水リブ24の壁面と面一となるように構成されている。
【0053】
カバー30は、
図4に示すように、プロテクタ本体20の上方向Zuの開口を塞ぐ蓋であり、平面視L字状に構成されている。このカバー30は、基端側(
図1中の右側)から先端側(
図1中の左下方側)に向けてこの順で配置された、第1カバー部31と、第2カバー部32と、先端傾斜カバー部33の3つの部分で構成されている。
【0054】
第1カバー部31は、第1保護部11に対応する蓋であり、第1保護部本体21の上方向Zuの開口を塞いでいる。この第1カバー部31は、第1上面部31aと、第1上方側面部31bと、第1被係止部21cと係止するように構成された第1係止部31cとで構成されている。
【0055】
第1上面部31aは、第1保護部11の上面を構成する平板であり、幅方向Wに沿って延出している。この第1上面部31aの幅方向の長さは、第1底面21aの幅方向の長さよりもわずかに長くなるように構成されている。
【0056】
第1上方側面部31bは、第1上面部31aの幅方向両端から下方向Zdに向けてわずかに立設している。この第1上方側面部31bは、プロテクタ本体20にカバー30を係止した状態において、第1側面21bの外面と当接するように設けられている。
第1係止部31cは、第1被係止部21cと係止するように構成された係止片であり、第1上面部31aにおける第1被係止部21cに対応する位置から下方向Zdに向けて立設している。
【0057】
第2カバー部32は、第2保護部12に対応する蓋であり、第2保護部本体22の上方向Zuの開口を塞いでいる。この第2カバー部32は、第2上面部32aと、第2上方側面部32bと、第2係止部32cとで構成されている。
【0058】
第2上面部32aは、第2保護部12の上面を構成する平板であり、奥行方向Hに沿って延出している。この第2上面部32aは、第1上面部31aと同様に、幅方向の長さが第2底面22aの幅方向の長さよりもわずかに長くなるように構成されている。
【0059】
第2上方側面部32bは、第2上面部32aの幅方向両端から下方向Zdに向けてわずかに立設しており、プロテクタ本体20にカバー30を係止した状態において、第2側面22bの外面と当接するように設けられている。
第2係止部32cは、第2被係止部22cと係止するように構成された係止片であり、第2上面部32aにおける第2被係止部22cに対応する位置から下方向Zdに向けて立設している。
【0060】
先端傾斜カバー部33は、先端傾斜部13に対応する蓋であり、第1カバー部31の上方向Zuの開口を塞いでいる。この先端傾斜カバー部33は、
図1乃至
図4、
図8に示すように、基端側カバー34と、先端側カバー35と、ヒンジ部36とで構成されている。
【0061】
基端側カバー34は、先端傾斜部本体23の基端側(前方側Hf)を塞ぐ蓋であり、上面を構成する基端側上面34aと、基端側上面34aから下方向Zdに向けて立設する基端側側面34bと、基端側係止部34cで構成されている。
【0062】
基端側上面34aは、第1上面部31aなどと同様に、横幅方向Yに沿った長さが、プロテクタ本体20とカバー30とを係止させた状態において対向する先端側底面23aの横幅方向Yの長さと比べてわずかに長くなるように構成された平板である。
【0063】
基端側側面34bは、基端側上面34aの幅方向両端から下方向Zdに向けてわずかに立設している。なお、プロテクタ本体20にカバー30を係止した状態において、基端側側面34bは先端側側面23bの外面と当接するように設けられている。
【0064】
基端側係止部34cは、先端側側面23bの延出方向Xの中央部分に設けられた第3被係止部23cと係止するように構成された係止片であり、基端側上面34aの後方側Hbの端部から下方向Zdに向けて立設している。
【0065】
先端側カバー35は、先端傾斜部本体23の先端側(後方側Hb)を塞ぐ蓋であり、上面を構成する先端側上面35aと、先端側上面35aから下方向Zdに向けて立設する先端側上側面35bと、先端側係止部35cで構成されている。
【0066】
先端側上面35aは、横幅方向Yに沿った長さが、プロテクタ本体20とカバー30とを係止させた状態において対向する先端側底面23aの横幅方向Yの長さと比べてわずかに長くなるように構成された平板である。
【0067】
先端側上側面35bは、先端側上面35aの横幅方向Yから下方向Zdに向けてわずかに立設している。なお、プロテクタ本体20にカバー30を係止させた状態において、先端側上側面35bは先端側側面23bの外面と当接するように設けられている。
【0068】
先端側係止部35cは、先端側側面23bの下流側Xdの端部に設けられた第3被係止部23cと係止するように構成された係止片であり、先端側上面35aの後方側Hbの端部から下方向Zdに向けて立設している。
【0069】
このように構成された基端側カバー34と先端側カバー35とは、ヒンジ部36を介して連結されている。
このヒンジ部36は、
図8に示すように、基端側上面34aと先端側上面35aにおける横幅方向Yの中央部分を連結しており、ヒンジ部36を枢動軸として基端側カバー34に対して先端側カバー35を枢動できるように構成されている(
図2参照)。なお、ヒンジ部36の横幅方向Yの両端部分には、隙間Gが形成されている。
【0070】
また、このように構成された先端側カバー35の裏面には、下流側Xdの端部から所定の間隔を隔てて複数の並んだコルゲート係止リブ37と、コルゲート係止リブ37の上流側Xuに設けられた案内リブ38とが備えられている。
【0071】
コルゲート係止リブ37は、先端側カバー35の横幅方向Yの中央部分から突出した板状体であり、溝部42の長手方向の幅と同じ長さの板厚を有する。このコルゲート係止リブ37の下端面(下方向Zdの面)は、溝部42の外径と略同径の円弧状に構成されている。
【0072】
このように構成されたコルゲート係止リブ37は、
図8及び
図9に示すように、下流側Xdの端部から延出方向Xに沿って3つ並んで配置されている。なお、延出方向Xに沿ったコルゲート係止リブ37同士の間隔は、防水リブ24と同様に、コルゲート40における隆起部41の間隔の整数倍(本実施形態においては2倍)となるように構成されている。
【0073】
案内リブ38は、
図8に示すように、コルゲート係止リブ37の上流側Xuに設けられた棒状のリブであり、幅右側Yrから幅左側Ylに向かうに伴い上流側Xuから下流側Xdに向かって延出している。すなわち、案内リブ38は、幅右側Yrから先端傾斜部13の傾斜下方である幅左側Ylに向かうとともに、下流側Xdに向かうように構成されている。
【0074】
また、案内リブ38の下流側Xdの端部は、コルゲート係止リブ37に対して所定の間隔を隔てて配置されるとともに、先端側上側面35bと当接しないように先端側上側面35bから所定の間隔を隔てて設けられている。なお、案内リブ38の突出長さは、
図9に示すように、コルゲート係止リブ37の突出長さのおよそ半分程度である。
【0075】
次に、このように構成されたプロテクタ本体20とカバー30とを組み付けて製造されるプロテクタ1の先端傾斜部13について説明する。
プロテクタ1は、先端傾斜部本体23の下流側Xdの端部に複数配置された防水リブ24に対してワイヤーハーネス100を挿通させたコルゲート40を嵌合させる。その後、コルゲート係止リブ37をコルゲート40と嵌合するとともに、プロテクタ本体20にカバー30とを組み付けて係止することで製造することができる。これにより、先端傾斜部13においてコルゲート係止リブ37と防水リブ24がコルゲート40の溝部42に嵌合されるため、溝部42が延出方向Xに沿って抜けることを防止できる。
【0076】
また、先端傾斜部13における案内リブ38は、コルゲート40の外周面と当接しないように構成されているとともに(図示省略)、案内リブ38の下流側Xdの端部と先端側側面23bとが突出長L1よりも短い間隔長L2だけ離れている(
図10参照)。
【0077】
また、案内リブ38は、防水リブ24及びコルゲート係止リブ37よりも上流側Xuに設けられるとともに、幅左側Ylから幅右側Yrに向かうに伴い上流側Xuから下流側Xdに向かうように延出している。そして、案内リブ38の下流側Xdの端部は、防水リブ24よりも上流側Xuに配置されるとともに、案内リブ38の下流側Xdの端部の鉛直方向(下方向Zd)の直下よりも下方向Zdに排水口25が設けられている。
【0078】
なお、排水口25は、案内リブ38の下流側Xdの端部と対応するように、幅左側Ylに設けられている。すなわち、案内リブ38における下流側Xdの端部は配置されている側の下方向Zdに排水口25が設けられている。
【0079】
このように構成されたプロテクタ1を車両に搭載した搭載状態において、先端傾斜部13に侵入してきた水の流れについて
図11及び
図12に基づいて説明する。
ここで、
図11及び
図12は、先端傾斜部13を前方側Hfかつ下方向Zdから視た概略斜視図であり、
図10におけるD-D切断面で切断した断面を表示する。すなわち、
図11は、内部を可視化した先端傾斜部13の概略断面斜視図を示し、
図12は内部を可視化した先端傾斜部13の概略断面斜視図に基づいて、内部に侵入した水の流れを説明する。
【0080】
プロテクタ1にワイヤーハーネス100を配策した状態において、固定部14を車両に締結固定することで、プロテクタ1は車両に搭載される。このプロテクタ1が車両に固定された状態において、
図2及び
図11、
図12に示すように、先端傾斜部13は後方側Hbかつ下方向Zdに延出するとともに、先端傾斜部13は、幅右側Yrから幅左側Ylに向かうに伴い上方向Zuに向かうように傾いている。
【0081】
この先端傾斜部13は、上述のように先端傾斜部本体23に対して基端側カバー34と先端側カバー35とを係止させている。この基端側カバー34と先端側カバー35とを連結するヒンジ部36の横幅方向Yの両端側は、隙間Gが形成されているため、隙間Gから内部に水が浸入することとなる(矢印I1で示す。)。
【0082】
ここで、プロテクタ1が車両に搭載された状態で、先端傾斜部13は下方向Zdに向けて傾斜しているため、先端傾斜部13の内部に侵入してきた水は先端側カバー35の裏面を伝って下方向Zdに流れることとなる(矢印I2で示す。)。
この先端側カバー35の裏面を伝って流れてきた水は、ヒンジ部36の下流側Xdに設けられた案内リブ38に沿って左側Wlに流れることとなる(矢印I3で示す。)。
【0083】
そして、案内リブ38に沿って流れた水は左側Wlの先端側側面23bに案内され、先端側側面23bを伝って下方向Zdに流れることとなる(矢印I4で示す。)。ここで、案内リブ38における下流側Xdの端部は配置されている側の下方向Zdに排水口25が設けられているため、流れた水はそのまま排水口25へと案内され、排出することができる(矢印I5で示す。)。
なお、このようにプロテクタ1の外部に排出された水は、先端側底面23aよりも下方向Zdに延出している先端側側面23bを伝って、プロテクタ1の下流側Xdに流れる(矢印I6で示す。)。
【0084】
さらにまた、防水リブ24が案内リブ38の下流側Xdに配置されているため、仮に水が下流側Xdに流れたとしても防水リブ24によって堰き止められ、防水リブ24の壁面に沿って下方向Zdに流されることとなる。これにより、先端側側面23bを伝って流れる水が先端傾斜部13の下流側Xdに向かうことなく、排水口25を介してプロテクタ1の外部に排出される。
【0085】
このように、内部を挿通するワイヤーハーネス100を保護するプロテクタ1は、車両搭載される搭載姿勢において延出方向Xの先端側が下方向Zdに向かって傾斜する先端傾斜部13が形成されている。また、一対の先端側側面23b及び先端側底面23aを有する断面凹状のプロテクタ本体20と、プロテクタ本体20の開口を塞ぐカバー30とが備えられている。そして、搭載姿勢において、先端傾斜部13の先端側底面23aの傾斜方向の下流側Xdに、排水口25が設けられている。加えて、先端傾斜部13の上流側Xuにおいてプロテクタ本体20とカバー30との間の隙間Gから侵入した水を先端側側面23bに向かって案内する案内リブ38がカバー30の内面に設けられている。
【0086】
これにより、隙間Gを介して内部に侵入した水を、案内リブ38で収集しながら先端側側面23bに向けて流すことができる。このため、カバー30の内面を分散して流れる水を案内リブ38で収集しながら先端側側面23bを伝って先端側底面23aに流し、その水を先端側底面23aの下流側Xdに設けられた排水口25に向けて流すことができる。したがって、隙間Gを介して内部に侵入した水を確実に排水できる。
【0087】
また、カバー30における先端傾斜部13は、カバー30における基端側カバー34に対してヒンジ部36によって枢動可能に連結された先端側カバー35が設けられている。そして、プロテクタ本体20とヒンジ部36との間に隙間Gが形成されている。これにより、プロテクタ本体20における先端傾斜部13の上流側Xuと先端傾斜部13との傾斜角度に合わせて、先端傾斜部13を先端傾斜カバー部33で確実に覆うことができる。また、プロテクタ本体20とヒンジ部36との間に生じる隙間Gから侵入した水を、上述のように案内リブ38で収集しながら流して排水口25から排出できる。
【0088】
また、排水口25は、延出方向Xにおいて、案内リブ38の下流側Xd先端部に対応する位置に配置されることにより、案内リブ38に沿って収集された水を、案内リブ38の先端側から、下流側Xd先端部に対応する位置に配置された排水口25へ確実に案内できる。このため、プロテクタ本体20とヒンジ部36との隙間Gから侵入した水を、より確実に排水口25に向けて流して排水できる。
【0089】
さらにまた、先端傾斜部13は、搭載姿勢において、延出方向Xに直交する横幅方向Yの幅右側Yrに対して幅左側Ylが下方向Zdに向かうように傾斜している。また、案内リブ38は、カバー30の内面において、横幅方向Yにおける幅右側Yrから下方向Zdとなる幅左側Ylに向かうとともに、延出方向Xにおける下流側Xdに向かうように配置されている。
【0090】
すなわち、案内リブ38は搭載姿勢における先端傾斜部13の傾斜方向である下方向Zd側に向けて配置されている。このため、プロテクタ1が車両搭載された状態において、プロテクタ本体20とヒンジ部36との隙間Gから侵入した水を、案内リブ38に沿って下方向Zd側に向けて確実に案内できる。したがって、隙間Gから侵入した水をより確実に排水口25に向けて流すことができる。
【0091】
また、先端傾斜部13における一対の先端側側面23b及び先端側底面23aの内面に沿う略U字状の防水リブ24が設けられ、排水口25は防水リブ24より傾斜方向の上流側Xuに配置されている。これにより、プロテクタ1の搭載姿勢において先端側側面23bを介して下方向Zdに流れてきた水を、防水リブ24よりも下流側Xdに流れないように堰き止めることができ、堰き止められた水を防水リブ24よりも上流側Xuに設けられた排水口25から排出できる。
【0092】
さらにまた、搭載姿勢において、防水リブ24は、案内リブ38の下流側Xd先端部の鉛直方向の直下位置より下流側Xdに配置されている。すなわち、案内リブ38の下流側Xd先端部が防水リブ24よりも上流側Xuに配置されているため、案内リブ38に沿った水を防水リブ24よりも上流側Xuの先端側側面23bを伝って下方向Zdに流すことができる。これにより、水が下流側Xdに流れたとしても、防水リブ24が水を堰き止めて、防水リブ24よりも上流側Xuに設けられた排水口25から排水できる。
【0093】
また、防水リブ24は、延出方向Xにおいて複数設けられ、排水口25は、最も上流側Xuの防水リブ24における上流側Xuの側面に沿って設けられている。これにより、排水口25を介して隙間Gから内部に侵入してきた水を確実に排水できるとともに、隙間Gから内部に侵入した水の量が多い場合には、下流側Xdに配置された防水リブ24で先端傾斜部13における先端に水が流れることを確実に防止できる。
【0094】
また、排水口25は、防水リブ24の上流側Xuの側面、及び横幅方向Yの両側に設けた先端側側面23bの一方における内面に沿って設けられている。これにより、防水リブ24の上流側Xuにおいて、防水リブ24の上流側Xuの側面と先端側側面23bとの交差部分に、防水リブ24の上流側Xuの側面及び先端側側面23bと排水口25の外縁とが面一となるように、排水口25を配置できる。これにより、流れてきた水が内部に溜まることなく外部に排水できる。
【0095】
また、案内リブ38の下流側Xd先端部と先端側側面23bとの間隔(間隔長L2)に比べて、防水リブ24の先端側側面23bからの突出長さ(突出長L1)が長い。これにより、案内リブ38の下流側Xd先端部から先端側側面23bを伝って流れる水が、少なくとも防水リブ24を越えて先端側に流れることを防止できる。したがって、水が先端側に流れることがなく、確実に外部へ排水できる。
【0096】
さらにまた、プロテクタ本体20において、先端側側面23bの下端が先端側底面23aの下面より下方向Zdに突出している。これにより、先端側側面23bを介して排水口25から流れ落ちてきた水を先端側底面23aよりも下端側に突出する先端側側面23bの下端側を伝って流すことができる。
【0097】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、電線は、ワイヤーハーネス100に対応し、
以下同様に、
プロテクタは、プロテクタ1に対応し、
長手方向は、延出方向Xに対応し、
下方は、下方向Zdに対応し、
先端傾斜部分は、先端傾斜部13に対応し、
側面部は、先端側側面23bに対応し、
底面部は、先端側底面23aに対応し、
プロテクタ本体は、プロテクタ本体20に対応し、
カバーは、カバー30に対応し、
排水口は、排水口25に対応し、
隙間は、隙間Gに対応し、
案内リブは、案内リブ38に対応し、
ヒンジ部は、ヒンジ部36に対応し、
開閉カバー部は、先端傾斜カバー部33に対応し、
下流側先端部は、案内リブ38の幅左側Ylの端部に対応し、
幅方向は、横幅方向Yに対応し、
防水リブは、防水リブ24に対応し、
上流側は、上流側Xuに対応し、
下流側は、下流側Xdに対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0098】
例えば、本実施形態において、ヒンジ部36により開閉自在に構成したカバー30におけるヒンジ部36とプロテクタ本体20との間に形成される空間を隙間Gとしている。しかしながら、隙間Gとは、プロテクタ本体20の先端傾斜部13の上流側Xuにおいて、カバー30との間に設けられた隙間であればどのようなものでもよい。具体的には、分割できるように構成したカバー30とプロテクタ本体20との間にできる隙間Gや、カバー30とプロテクタ本体20との間に設けられた開口などを含む。
なお、ヒンジ部36は、先端傾斜部13の横幅方向Yに沿って配置する場合に限定されず、先端傾斜部13の延出方向Xに沿って配置される構成としてもよい。
【0099】
また、本実施形態において、案内リブ38の幅左側Ylの端部は、先端側側面23bと所定の間隔(間隔長L2)だけ離間しているが、当接していてもよい。また、案内リブ38は、単数である必要はなく、例えば複数の案内リブ38が設けられてもよい。
【0100】
さらにまた、案内リブ38は、一対の先端側側面23bの一方側(幅右側Yr)から他方側(幅左側Yl)に向かうとともに、延出方向Xにおける下流側Xdに向かう直線状で構成されている。しかしながら、この形状に限定はされず、例えば上流側Xuに向けて凸状となる円弧形状で構成されてもよい。また、延出方向Xにおける先端側に向かうに伴い、一対の先端側側面23bの中央部分から両先端側側面23bに向かって末広がりとなるような直線状又は円弧状に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 プロテクタ
13 先端傾斜部
20 プロテクタ本体
23a 先端側底面
23b 先端側側面
24 防水リブ
25 排水口
30 カバー
33 先端傾斜カバー部
36 ヒンジ部
38 案内リブ
100 ワイヤーハーネス
G 隙間
X 延出方向
Xu 上流側
Xd 下流側
Y 横幅方向
Zd 下方向