(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20230831BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20230831BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/46 B
H05K7/20 D
H05K7/20 R
(21)【出願番号】P 2021106158
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽介
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-147107(JP,A)
【文献】特開2016-035981(JP,A)
【文献】特開2001-118972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と熱的に接続されるベースプレートと、前記ベースプレートの主表面上に、前記ベースプレートの主表面の延在方向に対して所定の立設角度θ1にて立設された、前記ベースプレートと熱的に接続された複数の板状放熱フィンと、を備え、
前記放熱フィンが、
前記ベースプレートの主表面に沿って前記放熱フィンの幅方向に一端から他端まで延在した、前記ベースプレート側に位置する平面部であるフィン基部と、
前記フィン基部と同一平面上に、前記フィン基部の一端から前記放熱フィンの高さ方向にフィン先端部へ延在した、平面部である垂直部と、
前記フィン基部と前記垂直部に対して所定の傾斜角度θ2にて、前記垂直部から前記他端まで延在し、前記フィン先端部から前記フィン先端部と前記フィン基部との間のフィン中間部まで延在した、平面部である傾斜部と、
前記フィン基部と前記垂直部と前記傾斜部とを接続する平面部であるねじれ部と、
を有するヒートシンク。
【請求項2】
前記傾斜角度θ2が、2.0°以上20°以下である請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記フィン基部の前記立設角度θ1が、70°以上90°以下である請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記垂直部における前記フィン先端部から、さらに平面状の天面部が延出している請求項1乃至3のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記天面部が、隣接する他の前記放熱フィンのフィン先端部と当接することで、複数の前記放熱フィンから形成された放熱フィン群の天面が、開口部を有する請求項4に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記フィン基部の底部から、さらに平面状の底面部が延出している請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記放熱フィンの高さに対する前記フィン基部の高さが、5.0%以上40%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記放熱フィンの幅に対する前記ねじれ部の幅が、50%以上90%以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項9】
前記放熱フィンが、前記フィン基部の幅方向に沿って複数配置されており、前記フィン基部の一端が、隣接する前記放熱フィンの前記フィン基部の他端と連結部を介して接している請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項10】
前記ベースプレートが、熱伝導部材である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項11】
前記放熱フィンが、第1の放熱フィンと、前記第1の放熱フィンの高さ方向に前記第1の放熱フィンに積層された第2の放熱フィンと、を有する多段構造を備え、前記第1の放熱フィンが、熱輸送部材を介して前記ベースプレートと熱的に接続され、前記第2の放熱フィンが、前記熱輸送部材と熱的に接続されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項12】
前記第1の放熱フィンのフィン先端部と前記熱輸送部材の間に空隙部が形成されている請求項11に記載のヒートシンク。
【請求項13】
前記第1の放熱フィンのフィン先端部と前記熱輸送部材の間に断熱材が介装されている請求項11または12に記載のヒートシンク。
【請求項14】
前記熱輸送部材が、管状コンテナを有するヒートパイプまたは平面型コンテナを有するベーパーチャンバである請求項11乃至13のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項15】
前記ベースプレートが、熱輸送部材からなる熱伝導部材である請求項10に記載のヒートシンク。
【請求項16】
前記垂直部側から前記放熱フィンの幅方向に沿って、冷却風が供給される請求項1乃至15のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の発熱体を冷却する、放熱フィンを備えたヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化に伴い、電子機器内部には、電子部品等の発熱体が高密度に搭載されている。電子部品等の発熱体を冷却する手段としてヒートシンクが使用される場合がある。また、ヒートシンクには送風ファン等による強制空冷が実施される、すなわち、ヒートシンクに冷却風が供給されることで、ヒートシンクの冷却性能を発揮させることがある。
【0003】
電子機器の高機能化に伴って電子部品等の発熱体の発熱量が増大しており、ヒートシンクの冷却性能を向上させることがますます重要となっている。ヒートシンクの冷却性能を向上させるために、放熱フィンのフィン効率を向上させることが提案されている。そこで、奥行き長さ方向で隣り合う放熱フィン群同しで、ベースプレートの一面部に対する放熱面の傾斜角度が異なっており、ヒートシンクの奥行き長さ方向の一方側から見たときに、隣り合う放熱フィン群の端面同士が支持基板上で交差しているヒートシンクが提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、放熱フィンがオフセット配置されていることで、冷却風が、前方の放熱フィン群を通過する過程で徐々に成長した温度境界層を、後方の放熱フィン群に流入するときに乱流となって温度境界層を崩して、低温の冷却風と高温の冷却風とを混ぜ合わせる。これにより、放熱フィンの表面に低温の冷却風を接触させやすくして、放熱フィンのフィン効率を向上させるというものである。
【0005】
しかし、特許文献1では、放熱フィンがオフセット配置されており、放熱面の傾斜角度が異なっている放熱フィン群を通過する際に、冷却風に乱流が生じるものの冷却風の圧力損失が増大して、冷却風の流れが分散し、また、放熱フィン間の冷却風の風速が低下してしまうという問題があった。その結果、特許文献1では、ヒートシンクの放熱特性が十分向上しない場合があるという問題があった。
【0006】
また、放熱フィンのフィン効率は、フィン効率=(放熱フィンの平均温度-周囲温度)/(フィン基部の温度-周囲温度)にて定義されることから、放熱フィンのフィン効率を向上させるためには、発熱体に最も近く最も高温となる放熱フィンのフィン基部の温度を放熱フィンの平均温度になるべく近づける必要がある。しかし、特許文献1では、放熱フィンのうち、最も高温となるフィン基部における冷却風の流速は、発熱体に最も遠く最も低温になるフィン先端部における冷却風の流速よりも、ベースプレートの存在によって小さい傾向にあることから、フィン基部が高温になりやすい。従って、特許文献1では、放熱フィンのフィン基部の温度が放熱フィンの平均温度よりも非常に高くなってしまい、依然として、優れたフィン効率が得られないという問題があった。
【0007】
また、電子機器内部には、電子部品等の発熱体が高密度に搭載されており、ヒートシンクの設置可能容積が限定されているので、それぞれの放熱フィンの表面積を増大させることで、ヒートシンクの放熱特性を向上させることは難しい。また、それぞれの放熱フィンの表面積を増大させる代わりに、放熱フィンの設置枚数を増やすと、冷却風の圧力損失が増大して、放熱フィン間の冷却風の風速が低下してしまうという問題があった。また、冷却風の圧力損失が増大するのを補うために、冷却風の風速を大きくしても、やはり、放熱フィンのフィン基部の温度と放熱フィンの平均温度との差が大きくなり、優れたフィン効率が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、放熱フィンのフィン基部における冷却風の流速がフィン先端部における冷却風の流速よりも速くなることで、フィン基部の温度と放熱フィンの平均温度との差を低減して優れたフィン効率が得られ、また、冷却風に乱流が生じつつ冷却風の圧力損失増大を防止して、放熱フィン間の冷却風の風速の低下を防止できるヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]発熱体と熱的に接続されるベースプレートと、前記ベースプレートの主表面上に、前記ベースプレートの主表面の延在方向に対して所定の立設角度θ1にて立設された、前記ベースプレートと熱的に接続された複数の板状放熱フィンと、を備え、
前記放熱フィンが、
前記ベースプレートの主表面に沿って前記放熱フィンの幅方向に一端から他端まで延在した、前記ベースプレート側に位置する平面部であるフィン基部と、
前記フィン基部と同一平面上に、前記フィン基部の一端から前記放熱フィンの高さ方向にフィン先端部へ延在した、平面部である垂直部と、
前記フィン基部と前記垂直部に対して所定の傾斜角度θ2にて、前記垂直部から前記他端まで延在し、前記フィン先端部から前記フィン先端部と前記フィン基部との間のフィン中間部まで延在した、平面部である傾斜部と、
前記フィン基部と前記垂直部と前記傾斜部とを接続する平面部であるねじれ部と、
を有するヒートシンク。
[2]前記傾斜角度θ2が、2.0°以上20°以下である[1]に記載のヒートシンク。
[3]前記フィン基部の前記立設角度θ1が、70°以上90°以下である[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[4]前記垂直部における前記フィン先端部から、さらに平面状の天面部が延出している[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[5]前記天面部が、隣接する他の前記放熱フィンのフィン先端部と当接することで、複数の前記放熱フィンから形成された放熱フィン群の天面が、開口部を有する[4]に記載のヒートシンク。
[6]前記フィン基部の底部から、さらに平面状の底面部が延出している[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[7]前記放熱フィンの高さに対する前記フィン基部の高さが、5.0%以上40%以下である[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[8]前記放熱フィンの幅に対する前記ねじれ部の幅が、50%以上90%以下である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[9]前記放熱フィンが、前記フィン基部の幅方向に沿って複数配置されており、前記フィン基部の一端が、隣接する前記放熱フィンの前記フィン基部の他端と連結部を介して接している[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[10]前記ベースプレートが、熱伝導部材である[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[11]前記放熱フィンが、第1の放熱フィンと、前記第1の放熱フィンの高さ方向に前記第1の放熱フィンに積層された第2の放熱フィンと、を有する多段構造を備え、前記第1の放熱フィンが、熱輸送部材を介して前記ベースプレートと熱的に接続され、前記第2の放熱フィンが、前記熱輸送部材と熱的に接続されている[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[12]前記第1の放熱フィンのフィン先端部と前記熱輸送部材の間に空隙部が形成されている[11]に記載のヒートシンク。
[13]前記第1の放熱フィンのフィン先端部と前記熱輸送部材の間に断熱材が介装されている[11]または[12]に記載のヒートシンク。
[14]前記熱輸送部材が、管状コンテナを有するヒートパイプまたは平面型コンテナを有するベーパーチャンバである[11]乃至[13]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[15]前記ベースプレートが、熱輸送部材からなる熱伝導部材である[10]に記載のヒートシンク。
[16]前記垂直部側から前記放熱フィンの幅方向に沿って、冷却風が供給される[1]乃至[15]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
【発明の効果】
【0011】
本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンが、ベースプレートの主表面に沿って放熱フィンの幅方向に一端から他端まで延在した平面部であるフィン基部と、フィン基部と同一平面上に、フィン基部の一端から放熱フィンの高さ方向にフィン先端部へ延在した、平面部である垂直部と、フィン基部と垂直部に対して所定の傾斜角度θ2にて、垂直部から放熱フィンの幅方向の他端まで延在し、フィン先端部からフィン先端部とフィン基部との間のフィン中間部まで延在した、平面部である傾斜部と、フィン基部と垂直部と傾斜部とを接続する平面部であるねじれ部と、を有することにより、傾斜部とねじれ部が冷却風をフィン先端部からフィン基部の方向へ導き、放熱フィンのフィン基部における冷却風の流速がフィン先端部における冷却風の流速よりも速くなることで、フィン基部の温度と放熱フィンの平均温度との差を低減して優れたフィン効率が得られる。また、本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンが、上記した傾斜部とねじれ部とを有することにより、放熱フィンがオフセット配置されていなくても、冷却風が並列配置されている隣接した放熱フィンへ円滑に送られるので、冷却風に乱流を生じさせつつ冷却風の圧力損失の増大を防止して、放熱フィン間の冷却風の風速の低下を防止できる。従って、本発明のヒートシンクは、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0012】
本発明のヒートシンクの態様によれば、フィン基部と垂直部に対する傾斜部の傾斜角度θ2が2.0°以上20°以下であることにより、傾斜部とねじれ部が冷却風をフィン先端部からフィン基部の方向へより確実に導きつつ、冷却風の圧力損失の増大をより確実に防止して、放熱フィン間の冷却風の風速の低下をより確実に防止できる。
【0013】
本発明のヒートシンクの態様によれば、ベースプレートの主表面に対するフィン基部の立設角度θ1が、70°以上90°以下であることにより、放熱フィンの設置が可能な空間における放熱フィンの設置枚数を確実に確保しつつ、傾斜部とねじれ部が冷却風をフィン先端部からフィン基部の方向へより確実に導くことができる。
【0014】
本発明のヒートシンクの態様によれば、垂直部におけるフィン先端部から、さらに平面状の天面部が延出していることにより、天面部を隣接する放熱フィンに当接させることで、複数の放熱フィンから形成される放熱フィン群の機械的強度が向上する。
【0015】
本発明のヒートシンクの態様によれば、前記天面部が隣接する他の放熱フィンのフィン先端部と当接して、複数の放熱フィンから形成された放熱フィン群の天面が開口部を有することにより、放熱フィン群への冷却風の流入が円滑化し、冷却風の圧力損失の増大を防止できる。
【0016】
本発明のヒートシンクの態様によれば、フィン基部の底部から、さらに平面状の底面部が延出していることにより、ベースプレートと放熱フィンとの熱的接続性が向上し、また、底面部を隣接する放熱フィンに当接させることで、複数の放熱フィンから形成される放熱フィン群の機械的強度が向上する。
【0017】
本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンの高さに対するフィン基部の高さが5.0%以上40%以下であることにより、冷却風をフィン先端部からフィン基部の方向へより確実に導きつつ、冷却風の圧力損失の増大をより確実に防止して、放熱フィン間の冷却風の風速の低下をより確実に防止できる。
【0018】
本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンの幅に対するねじれ部の幅が50%以上90%以下であることにより、冷却風をフィン先端部からフィン基部の方向へより確実に導きつつ、冷却風の圧力損失の増大をより確実に防止して、放熱フィン間の冷却風の風速の低下をより確実に防止できる。
【0019】
本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンが、第1の放熱フィンと前記第1の放熱フィンの高さ方向に前記第1の放熱フィンに積層された第2の放熱フィンとを有する多段構造を備え、前記第1の放熱フィンが、熱輸送部材を介して前記ベースプレートと熱的に接続され、前記第2の放熱フィンが、前記熱輸送部材と熱的に接続されていることにより、放熱フィンが高さ方向にて分割された態様となり、また、熱輸送部材によりベースプレートから第2の放熱フィンへ熱輸送されるので、放熱フィンのフィン効率がさらに向上する。
【0020】
本発明のヒートシンクの態様によれば、前記第1の放熱フィンのフィン先端部と前記熱輸送部材の間に断熱材が介装されていることにより、熱輸送部材の凝縮部が第1の放熱フィンによって昇温してしまうことを防止して、熱輸送部材の蒸発部と凝縮部の温度差の低減を抑制できるので、熱輸送部材の熱輸送特性が向上する。熱輸送部材の熱輸送特性が向上することにより、第1の放熱フィンから第2の放熱フィンへの熱輸送が円滑化されて、放熱フィンのフィン効率がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンの斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンの傾斜部の傾斜角度θ2を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンにおける冷却風の流れを示す説明図である。
【
図5】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンの立設角度θ1を示す説明図である。
【
図6】本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの正面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの正面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの側面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの側面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
【
図12】本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、
図1は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンの斜視図である。
図3は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンの傾斜部の傾斜角度θ2を示す説明図である。
図4は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンにおける冷却風の流れを示す説明図である。
図5は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられた放熱フィンの立設角度θ1を示す説明図である。
【0023】
図1に示すように、第1実施形態例に係るヒートシンク1は、平板状のベースプレート20と、ベースプレート20上に立設された板状である複数の放熱フィン10、10、10・・・と、を備えている。放熱フィン10がベースプレート20の主表面21上に、直接、取り付けられることで、放熱フィン10がベースプレート20と熱的に接続されている。放熱フィン10は、ベースプレート20の主表面21上に、ベースプレート20の主表面21の延在方向に対して所定の立設角度θ1にて立設されてベースプレート20と熱的に接続されている。また、複数の放熱フィン10、10、10・・・が、ベースプレート20の主表面21上に並列配置されて、放熱フィン群11を形成している。
【0024】
ベースプレート20は、冷却対象である発熱体100と熱的に接続される。発熱体100が、ベースプレート20の、主表面21と対向した受熱面22と当接することで、ベースプレート20は、発熱体100と熱的に接続される。ベースプレート20は、熱伝導部材で形成されている。熱伝導部材としては、例えば、銅、銅合金等の金属部材が挙げられる。
【0025】
放熱フィン10は、薄い平板状であり、主表面12と側面13を有している。放熱フィン10は、主に、主表面12が放熱フィン10の放熱に寄与する。側面13の幅が、放熱フィン10の厚さを構成する。放熱フィン10の材質は、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を挙げることができる。
【0026】
図1に示すように、複数の放熱フィン10、10、10・・・は、その主表面12の延在方向に対して略平行方向に、また、複数の放熱フィン10、10、10・・・の主表面12、12、12・・・が略同一平面上となるように、並列配置されている。より具体的には、後述するように、複数の放熱フィン10、10、10・・・のフィン基部31、31、31・・・が、相互に、略平行方向且つ略同一平面上となるように、並列配置されている。また、複数の放熱フィン10、10、10・・・は、その主表面12の延在方向に対して略直交方向に、略直線上に並列配置されている。より具体的には、後述するように、複数の放熱フィン10、10、10・・・のフィン基部31、31、31・・・が、その延在方向に対して略直交方向に、略直線上に並列配置されている。上記から、放熱フィン10の主表面12が、隣接する他の放熱フィン10の主表面12に対し略平行に並ぶように配置されている。従って、複数の放熱フィン10、10、10・・・は、オフセット配置ではなく整列配置となっている。また、ヒートシンク1を構成する複数の放熱フィン10、10、10・・・が、ベースプレート20の一端から他端まで、略等間隔に並列配置されている。
【0027】
図1、2、3に示すように、放熱フィン10の主表面12は、平面部の延在方向が異なる複数の領域を有している。放熱フィン10の主表面12は、平面部の延在方向が異なる複数の領域として、フィン基部31と、フィン基部31とは同一平面上に位置する垂直部32と、フィン基部31と垂直部32に対して傾斜している傾斜部33と、フィン基部31と垂直部32と傾斜部33以外の領域であるねじれ部34と、を有している。
【0028】
フィン基部31は、ベースプレート20の主表面21に沿って放熱フィン10の幅方向に一端35から他端36まで延在した、ベースプレート20側に位置する平面部である。フィン基部31は、放熱フィン10のベースプレート20に対する接続部であり、放熱フィン10は、フィン基部31にてベースプレート20に取り付けられている。フィン基部31は、平坦面となっている。放熱フィン10では、フィン基部31は、放熱フィン10の幅方向に一端35から他端36まで略同じ高さで延在している。
【0029】
垂直部32は、フィン基部31と同一平面上に、フィン基部31の一端35から放熱フィン10の高さ方向にフィン先端部37へ延在した、平面部である。垂直部32は、フィン基部31と連続しており、フィン基部31に対して垂直方向に伸延している領域である。垂直部32の延在方向は、フィン基部31の延在方向と同じである。また、垂直部32は、放熱フィン10の幅方向の一端35に位置しており、放熱フィン10の幅方向の他端36までは伸延していない。垂直部32は、平坦面となっている。放熱フィン10では、垂直部32は、フィン基部31からフィン先端部37まで、略同じ幅で延在している。
【0030】
傾斜部33は、フィン基部31と垂直部32に対して所定の傾斜角度θ2にて、垂直部32から他端36まで延在し、フィン先端部37からフィン先端部37とフィン基部31との間のフィン中間部38まで延在した、平面部である。傾斜部33は、垂直部32と連続しており、フィン基部31とは連続していない。傾斜部33は、フィン基部31と垂直部32に対して所定の傾斜角度θ2にて傾斜している領域なので、傾斜部33の延在方向は、フィン基部31と垂直部32の延在方向とは異なっている。また、傾斜部33は、放熱フィン10の幅方向の他端36に位置しており、放熱フィン10の幅方向の一端35までは伸延していない。傾斜部33は、平坦面となっている。放熱フィン10では、傾斜部33は、フィン先端部37からフィン中間部38まで略同じ幅で延在している。
【0031】
ねじれ部34は、フィン基部31と垂直部32と傾斜部33とを接続する平面部である。ねじれ部34は、フィン基部31と垂直部32と傾斜部33のいずれにも連続しており、フィン基部31と垂直部32の延在方向とは異なっており、また、傾斜部33の延在方向とも異なっている。ねじれ部34は、放熱フィン10の幅方向の他端36に位置しており、放熱フィン10の幅方向の一端35までは伸延していない。また、ねじれ部34は、フィン中間部38に位置している。
【0032】
図4に示すように、送風ファン(図示せず)からヒートシンク1に供給される冷却風Fは、放熱フィン10の一端35から他端36の方向へ流通するように供給される。すなわち、垂直部32側から放熱フィン10の幅方向に沿って、冷却風Fが供給される。ヒートシンク1へ冷却風Fが供給されることで、ヒートシンク1は優れた冷却性能を発揮できる。冷却風Fは、ベースプレート20の主表面21に沿うように、垂直部32における放熱フィン10の側面13と対向する側からヒートシンク1へ、すなわち、隣接する放熱フィン10の主表面12間に形成された空間へ供給される。ヒートシンク1へ供給された冷却風Fが、ベースプレート20の主表面21の延在方向に、放熱フィン10の主表面12に沿って流通することで、ヒートシンク1を冷却する。
【0033】
図4に示すように、ヒートシンク1の放熱フィン10では、フィン基部31と垂直部32の延在方向とは異なっている傾斜部33と、フィン基部31と垂直部32の延在方向とは異なっており、また、傾斜部33の延在方向とも異なっているねじれ部34と、が、冷却風Fをフィン先端部37からフィン基部31の方向へと導く。冷却風Fがフィン先端部37からフィン基部31の方向へと導かれることで、放熱フィン10のフィン基部31における冷却風Fの流速がフィン先端部37における冷却風Fの流速よりも速くなる。放熱フィン10のうち、ベースプレート20に最も近く、最も高温となりやすいフィン基部31における冷却風Fの流速が速くなり、ベースプレート20に最も遠く、最も高温となりにくいフィン先端部37における冷却風Fの流速が適度に抑えられることで、フィン基部31の温度と放熱フィン10全体の平均温度との差が低減されるので、優れたフィン効率が得られる。
【0034】
また、
図4に示すように、ヒートシンク1の放熱フィン10が、傾斜部33とねじれ部34とを有することにより、傾斜部33とねじれ部34は、フィン基部31と垂直部32に対して突出した部位となっているので、冷却風Fは放熱フィン10の主表面12から剥離されやすい。従って、放熱フィン10がオフセット配置されておらず整列配置されていても、冷却風Fは、放熱フィン10から隣接した他の放熱フィン10へ円滑に送られる。上記から、ヒートシンク1の放熱フィン10では、冷却風Fに乱流を生じさせつつ冷却風Fの圧力損失の増大を防止して、複数の放熱フィン10、10、10・・・間の冷却風Fの風速の低下を防止できるので、ヒートシンク1は、優れた放熱特性を発揮することができる。
【0035】
傾斜部33のフィン基部31と垂直部32に対する傾斜角度θ2は、0°超であれば、特に限定されないが、その下限値は、傾斜部33とねじれ部34が冷却風Fをフィン先端部37からフィン基部31の方向へより確実に導くことができる点から、2.0°が好ましく、3.0°がより好ましく、5.0°が特に好ましい。一方で、傾斜角度θ2の上限値は、冷却風Fの圧力損失の増大をより確実に防止して、複数の放熱フィン10、10、10・・・間の冷却風Fの風速の低下をより確実に防止できる点から、20°が好ましく、15°がより好ましく、10°が特に好ましい。
【0036】
図1~4に示すように、ヒートシンク1の放熱フィン10では、垂直部32におけるフィン先端部37から、平面状の天面部40が延出している。天面部40は、垂直部32に対して鉛直方向に延出している。フィン先端部37から天面部40が延出していることにより、放熱フィン10の天面部40を隣接する他の放熱フィン10のフィン先端部37に当接させることで、複数の放熱フィン10、10、10・・・から形成される放熱フィン群11の機械的強度が向上する。
【0037】
放熱フィン10の天面部40が、隣接する他の放熱フィン10のフィン先端部37と当接することで、複数の放熱フィン10、10、10・・・から形成された放熱フィン群11の天面14が、開口部15を有している。傾斜部33のフィン先端部37が、放熱フィン群11の天面14に開口部15を形成する。放熱フィン群11の天面14が開口部15を有することにより、放熱フィン群11への冷却風Fの流入が円滑化し、冷却風Fの圧力損失の増大を防止できる。この場合、放熱フィン10の天面部40の延出方向の寸法が、放熱フィン10と隣接する他の放熱フィン10との間の幅を規定している。なお、放熱フィン10の天面部40は、放熱フィン群11の機械的強度が向上することが主たる機能であるので、放熱フィン10のフィン効率を向上させる点からは、天面部40は設けなくてもよい。
【0038】
図1~4に示すように、ヒートシンク1の放熱フィン10では、フィン基部31の底部から、平面状の底面部41が延出している。底面部41は、放熱フィン10の一端35から他端36まで設けられている。底面部41は、フィン基部31に対して鉛直方向に延出している。フィン基部31から底面部41が延出していることにより、ベースプレート20と放熱フィン10との熱的接続性が向上し、また、底面部41を隣接する他の放熱フィン10に当接させることで、複数の放熱フィン10、10、10・・・から形成される放熱フィン群11の機械的強度が向上する。
【0039】
ヒートシンク1では、複数の放熱フィン10、10、10・・・は、フィン基部31の幅方向に対して略平行方向に、フィン基部31が略同一平面上となるように、並列配置されている。また、複数の放熱フィン10、10、10・・・は、フィン基部31の幅方向に対して略直交方向に、略直線上となるように、並列配置されている。ヒートシンク1では、フィン基部31の一端35は、隣接する他の放熱フィン10のフィン基部31の他端36とは接していない。フィン基部31の幅方向に対して略平行方向に、並列配置されている複数の放熱フィン10、10、10・・・について、放熱フィン10のフィン基部31と隣接する他の放熱フィン10のフィン基部31との間には、空隙が形成されている。
【0040】
放熱フィン10の高さに対するフィン基部31の高さの比率は、特に限定されないが、その下限値は、放熱フィン10の高さ100%に対して、冷却風Fをフィン先端部37からフィン基部31の方向へより確実に導く点から、5.0%が好ましく、10%が特に好ましい。一方で、放熱フィン10の高さに対するフィン基部31の高さの比率の上限値は、放熱フィン10の高さ100%に対して、冷却風Fの圧力損失の増大をより確実に防止して、放熱フィン10と放熱フィン10との間の冷却風Fの風速の低下をより確実に防止できる点から、40%が好ましく、30%が特に好ましい。
【0041】
放熱フィン10の幅に対するねじれ部34の幅の比率は、特に限定されないが、その下限値は、放熱フィン10の幅100%に対して、冷却風Fをフィン先端部37からフィン基部31の方向へより確実に導く点から、50%が好ましく、60%が特に好ましい。一方で、放熱フィン10の幅に対するねじれ部34の幅の比率の上限値は、放熱フィン10の幅100%に対して、冷却風Fの圧力損失の増大をより確実に防止して、放熱フィン10と放熱フィン10との間の冷却風Fの風速の低下をより確実に防止できる点から、90%が好ましく、80%が特に好ましい。なお、ねじれ部34の幅とは、フィン基部31及び垂直部32の平面方向に対して平行方向におけるねじれ部34の領域の幅を意味する。
【0042】
図5に示すように、放熱フィン10は、ベースプレート20の主表面21上に、ベースプレート20の主表面21の延在方向に対して所定の立設角度θ1にて立設されている。放熱フィン10のフィン基部31の、ベースプレート20の主表面21の延在方向に対する立設角度θ1は、特に限定されないが、その下限値は、放熱フィン10の設置が可能な空間における放熱フィン10の設置枚数を確実に確保する点から、70°が好ましく、80°が特に好ましい。一方で、立設角度θ1の上限値は、90°、すなわち、ベースプレート20の主表面21に対してフィン基部31が垂直となるように放熱フィン10が立設されることが好ましい。なお、立設角度θ1は、放熱フィン10の両主表面12のうち、フィン基部31と垂直部32に対して傾斜部33とねじれ部34が突出している側の主表面12における、フィン基部31のベースプレート20の延在方向に対する立設角度を意味する。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。第2実施形態例に係るヒートシンクは、第1実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素は共通しているので、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、
図6は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの正面図である。
【0044】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、フィン基部31の一端35は、隣接する他の放熱フィン10のフィン基部31の他端36とは接していなかったが、
図6に示すように、第2実施形態例に係るヒートシンク2では、複数の放熱フィン10、10、10・・・が、それぞれ、フィン基部31の幅方向に沿って複数配置されており、フィン基部31の一端35が、隣接する他の放熱フィン10のフィン基部31の他端36と連結部42を介して接し、フィン基部31の幅方向に沿って複数配置されている複数の放熱フィン10、10、10・・・が、一体化されている。従って、フィン基部31の幅方向に対して略平行方向に並列配置されている複数の放熱フィン10、10、10・・・について、放熱フィン10のフィン基部31と隣接する他の放熱フィン10のフィン基部31との間には、空隙が形成されていない。
【0045】
ヒートシンク2では、フィン基部31の幅方向に対して略平行方向に並列配置されている複数の放熱フィン10、10、10・・・が、それぞれのフィン基部31にて連結部42を介して接していることにより、フィン基部31の幅方向に対して略平行方向に並列配置されている複数の放熱フィン10、10、10・・・間のフィン基部31における冷却風の流速を高めることができる。隣接する放熱フィン10のフィン基部31間に連結部42が設けられていない場合には、冷却風の下流側の放熱フィン10ほどフィン基部31における冷却風に分散が生じる傾向があるが、隣接する放熱フィン10のフィン基部31間に連結部42が設けられていることにより、フィン基部31における冷却風の速い流速をさらに確実に維持できるようになる。なお、連結部42は、フィン基部31と一体成型されていてもよく、フィン基部31とは別部材である連結部材を用いて形成されていてもよい。連結部材を用いて連結部42が形成されている場合には、隣接する放熱フィン10のフィン基部31間は、連結部材で連結されている態様となる。連結部材としては、例えば、はんだ等を挙げることができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。第3実施形態例に係るヒートシンクは、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素は共通しているので、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、
図7は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
図8は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの正面図である。
図9は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの側面図である。
【0047】
上記した第1、第2実施形態例に係るヒートシンク1、2では、放熱フィン10がベースプレート20の主表面21上に、直接、取り付けられることで、放熱フィン10がベースプレート20と熱的に接続されていた。これに代えて、
図7~9に示すように、第3実施形態例に係るヒートシンク3では、放熱フィン10は、熱輸送部材50を介してベースプレート20と熱的に接続されている。
【0048】
熱輸送部材50は、コンテナ55と、コンテナ55の内部に収容されたウィック構造体(図示せず)と、コンテナ55の内部に封入された作動流体(図示せず)と、コンテナ55の内部空間である蒸気流路(図示せず)と、を備えている。コンテナ55の内部は、密閉されており、脱気処理により減圧されている。
【0049】
図7~9に示すように、ヒートシンク3では、上記した放熱フィン10と同じ構造を有する第1の放熱フィン10-1と、第1の放熱フィン10-1の高さ方向に第1の放熱フィン10-1に積層された、上記した放熱フィン10と同じ構造を有する第2の放熱フィン10-2と、を有する多段構造となっている。熱輸送部材50は側面視U字形状であり、第1の放熱フィン10-1は、熱輸送部材50の第1の部位51を介してベースプレート20と熱的に接続されている。第2の放熱フィン10-2は、熱輸送部材50の第1の部位51と対向した第2の部位52と熱的に接続されている。
【0050】
複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・は、その主表面12の延在方向に対して略平行方向に、また、複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・の主表面12、12、12・・・が略同一平面上となるように、並列配置されている。また、複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・は、その主表面12の延在方向に対して略直交方向に、略直線上に並列配置されている。複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、その主表面12の延在方向に対して略平行方向に、また、複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・の主表面12、12、12・・・が略同一平面上となるように、並列配置されている。また、複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、その主表面12の延在方向に対して略直交方向に、略直線上に並列配置されている。
【0051】
第1の放熱フィン10-1のフィン先端部37と熱輸送部材50の第2の部位52との間に空隙部53が形成されている。空隙部53が形成されていることにより、第1の放熱フィン10-1から熱輸送部材50の第2の部位52への熱伝達が防止されるので、熱輸送部材50の熱輸送特性が向上する。
【0052】
熱輸送部材50は、コンテナ55の第1の部位51にベースプレート20を熱的に接続させることで、第1の部位51が蒸発部(受熱部)として機能し、第1の部位51とは異なる第2の部位52に熱交換手段である放熱フィン10(放熱フィン10-2)を熱的に接続させることで、第2の部位52が凝縮部(放熱部)として機能する。熱輸送部材50の蒸発部にて発熱体100から受熱すると、作動流体が液相から気相へ相変化する。気相に相変化した作動流体が、蒸気流路を、コンテナ55の蒸発部から凝縮部へ流れることで、発熱体100からの熱が蒸発部から凝縮部へ輸送される。蒸発部から凝縮部へ輸送された発熱体100からの熱は、熱交換手段である放熱フィン10(放熱フィン10-2)の設けられた凝縮部にて、気相の作動流体が液相へ相変化することで潜熱として放出される。凝縮部にて放出された潜熱は、凝縮部に設けられた放熱フィン10(放熱フィン10-2)によって、凝縮部からヒートシンク3の外部環境へ放出される。凝縮部にて液相に相変化した作動流体は、ウィック構造体の毛細管力によって凝縮部から断熱部へと還流される。また、第1の放熱フィン10-1は、熱輸送部材50の蒸発部である第1の部位51を介してベースプレート20と熱的に接続されているので、第1の放熱フィン10-1はベースプレート20から伝達された熱をヒートシンク3の外部環境へ放出する。
【0053】
ヒートシンク3では、熱輸送部材50は、管状のコンテナ55を有するヒートパイプであり、管状のコンテナ55の一方の端部が第1の部位51、管状のコンテナ55の他方の端部が第2の部位52となっている。また、管状のコンテナ55は扁平加工されており、熱輸送部材50であるヒートパイプは、放熱フィン10の幅方向に、複数、並列配置されている。
【0054】
ヒートシンク3では、放熱フィン10が高さ方向に、第1の放熱フィン10-1と第2の放熱フィン10-2に分割された態様となり、また、熱輸送部材50によりベースプレート20から第2の放熱フィン10-2へ発熱体100からの熱が輸送されるので、放熱フィン10のフィン効率がさらに向上する。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。第4実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素は共通しているので、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、
図10は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの側面図である。
【0056】
第3実施形態例に係るヒートシンク3では、第1の放熱フィン10-1のフィン先端部37と熱輸送部材50の第2の部位52との間に空隙部53が形成されており、空隙部53には、部材が挿入されていなかったが、
図10に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク4では、第1の放熱フィン10-1のフィン先端部37と熱輸送部材50の第2の部位52との間に形成された空隙部53に断熱材60が介装されている。
【0057】
断熱材60としては、例えば、シリコンゴムが挙げられる。
【0058】
第1の放熱フィン10-1のフィン先端部37と熱輸送部材50の第2の部位52との間に断熱材60が介装されていることにより、熱輸送部材50の凝縮部が第1の放熱フィン10-1によって昇温してしまうことを防止して、熱輸送部材50の蒸発部と凝縮部の温度差の低減を抑制できるので、熱輸送部材50の熱輸送特性が向上する。熱輸送部材50の熱輸送特性が向上することにより、第1の放熱フィン10-1から第2の放熱フィン10-2への熱輸送が円滑化されて、放熱フィン10のフィン効率がさらに向上する。
【0059】
次に、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。第5実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素は共通しているので、第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、
図11は、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
【0060】
第1~第4実施形態例に係るヒートシンク1、2、3、4では、ベースプレート20は、金属部材からなる熱伝導部材であったが、これに代えて、
図11に示すように、第5実施形態例に係るヒートシンク5では、熱伝導部材であるベースプレートとして、金属部材に代えて、熱輸送部材61が使用されている。
【0061】
ヒートシンク5のベースプレートである熱輸送部材61は、コンテナ65と、コンテナ65の内部に収容されたウィック構造体(図示せず)と、コンテナ65の内部に封入された作動流体(図示せず)と、コンテナ65の内部空間である蒸気流路(図示せず)と、を備えている。コンテナ65の内部は、密閉されており、脱気処理により減圧されている。
【0062】
図11に示すように、ヒートシンク5は、発熱体100と熱的に接続される受熱部62を有する熱輸送部材61と、熱輸送部材61と熱的に接続された複数の放熱フィン10、10、10・・・と、複数の放熱フィン10、10、10・・・と熱的に接続された管体63と、を備えている。複数の放熱フィン10、10、10・・・は、上記した放熱フィン10と同じ構造を有している。複数の放熱フィン10、10、10・・・は、複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・と、第1の放熱フィン10-1の高さ方向に第1の放熱フィン10-1に積層された、第1の放熱フィン10-1と同じ構造を有する複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・と、を有する多段構造となっている。
【0063】
複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・は、フィン基部31が管体63の一方の面に取り付けられていることで、管体63と熱的に接続されている。複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・には、フィン基部31が管体63の一方の面に取り付けられた複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・と、フィン基部31が熱輸送部材61の放熱部64に取り付けられた複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・と、がある。複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・は、管体63の伸び方向に沿って並列配置されている。
【0064】
複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、フィン基部31が、管体63の一方の面に対向した管体63の他方の面に取り付けられていることで、管体63と熱的に接続されている。上記から、複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・と対向して配置されている。複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、管体63の伸び方向に沿って並列配置されている。
【0065】
管体63は、コンテナ65の両側に取り付けられている。また、管体63は、熱輸送部材61とは、熱輸送部材61の放熱部64にて接続されている。熱輸送部材61は、受熱部62から管体63との接続部まで連通し、且つ作動流体が封入された一体である内部空間を有している。また、熱輸送部材61の内部空間が、管体63の内部空間と連通している。すなわち、ヒートシンク5では、熱輸送部材61の内部空間と管体63の内部空間は一体の空間であり、前記一体の空間が、密閉されて脱気処理により減圧されている。
【0066】
管体63の伸び方向は、熱輸送部材61の熱輸送方向とは異なる方向となっている。ヒートシンク5では、管体63の伸び方向は、熱輸送部材61の熱輸送方向に対して略直交方向となっている。
【0067】
ヒートシンク5では、被冷却体である発熱体100を、熱輸送部材61のコンテナ65の例えば一方端に熱的に接続して、コンテナ65の一方端を受熱部62として機能させる。コンテナ65の一方端が発熱体100から受熱すると、コンテナ65の一方端において、液相の作動流体へ熱が伝達されて、液相の作動流体が気相の作動流体へと相変化する。気相の作動流体は、コンテナ65の蒸気流路をコンテナ65の受熱部62から例えば他方端に位置する放熱部64へ流通する。気相の作動流体が、コンテナ65の一方端から他方端へ流通することで、熱輸送部材61が、その一方端から他方端へ熱を輸送する。コンテナ65の放熱部64へ流通した気相の作動流体の一部が、潜熱を放出して液相の作動流体へ相変化し、放出された潜熱は、熱輸送部材61に取り付けられている第1の放熱フィン10-1へ伝達される。第1の放熱フィン10-1へ伝達された熱は、第1の放熱フィン10-1を介してヒートシンク5の外部環境へ放出される。コンテナ65の放熱部64にて液相に相変化した作動流体は、コンテナ65に収納されたウィック構造体の毛細管力により、コンテナ65の放熱部64からコンテナ65の受熱部62へ還流する。
【0068】
また、コンテナ65の内部空間と管体63の内部空間とは連通しているので、受熱部62にて液相の作動流体から相変化した気相の作動流体のうち、コンテナ65の放熱部64にて液相に相変化しなかった作動流体は、コンテナ65の内部空間から管体63の内部空間へ流入する。管体63の内部空間へ流入した気相の作動流体は、第1の放熱フィン10-1と第2の放熱フィン10-2の熱交換機能により、管体63内部にて潜熱を放出して、液相の作動流体へ相変化する。管体63内部にて放出された潜熱は、第1の放熱フィン10-1と第2の放熱フィン10-2へ伝達される。第1の放熱フィン10-1と第2の放熱フィン10-2へ伝達された熱は、第1の放熱フィン10-1と第2の放熱フィン10-2を介してヒートシンク5の外部環境へ放出される。管体63の内部空間にて気相から液相に相変化した作動流体は、管体31の内部に設けられたウィック構造体(図示せず)の毛細管力によって、管体63の中央部及び先端部から、管体63とコンテナ65の接続部へ還流する。管体63とコンテナ65の接続部へ還流した液相の作動流体は、コンテナ65の放熱部64にて、コンテナ65に収納されたウィック構造体へ還流する。コンテナ65に収納されたウィック構造体へ還流した液相の作動流体は、このウィック構造体の毛細管力により、コンテナ65の放熱部64からコンテナ65の受熱部62へ還流する。
【0069】
次に、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。第6実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素は共通しているので、第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、
図12は、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
【0070】
第3実施形態例に係るヒートシンク3では、熱輸送部材50は管状のコンテナ55を有するヒートパイプであったが、これに代えて、
図12に示すように、第6実施形態例に係るヒートシンク6では、熱輸送部材50は平面型コンテナ70を有するベーパーチャンバとなっている。また、ヒートシンク6では、熱伝導部材であるベースプレートとして、熱輸送部材50が使用されている。平面型コンテナ70は、第1の主表面71と第1の主表面71に対向した第2の主表面72を有している。
【0071】
ヒートシンク6でも、上記した放熱フィン10と同じ構造を有する第1の放熱フィン10-1と、第1の放熱フィン10-1の高さ方向に第1の放熱フィン10-1に積層された、上記した放熱フィン10と同じ構造を有する第2の放熱フィン10-2と、を有する多段構造となっている。複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・は、フィン基部31が熱輸送部材50の第1の主表面71に取り付けられていることで、熱輸送部材50と熱的に接続されている。複数の第1の放熱フィン10-1、10-1、10-1・・・は、第1の主表面71の全体にわたって、熱輸送部材50と熱的に接続されている。
【0072】
また、複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、フィン基部31が熱輸送部材50の第2の主表面72に取り付けられていることで、熱輸送部材50と熱的に接続されている。複数の第2の放熱フィン10-2、10-2、10-2・・・は、第2の主表面72の全体にわたって、熱輸送部材50と熱的に接続されている。
【0073】
ヒートシンク6では、被冷却体である発熱体(
図12では、図示せず)を、熱輸送部材50の平面型コンテナ70の例えば第1の主表面71に熱的に接続して、平面型コンテナ70の第1の主表面71を受熱部として機能させる。発熱体から熱輸送部材50へ伝達された熱は、熱輸送部材50の熱輸送作用により、平面型コンテナ70全体にわたって熱拡散する。平面型コンテナ70全体にわたって拡散した熱は、熱輸送部材50から第1の放熱フィン10-1、および第2の放熱フィン10-2へ伝達され、第1の放熱フィン10-1、および第2の放熱フィン10-2へ伝達された熱は、第1の放熱フィン10-1、および第2の放熱フィン10-2からヒートシンク6の外部環境に放出される。
【0074】
次に、本発明のヒートシンクの他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例に係るヒートシンクでは、フィン基部の底部から、さらに平面状の底面部が延出していたが、ヒートシンクの使用条件等に応じて、フィン基部の底面部は設けなくてもよい。また、上記各実施形態例に係るヒートシンクでは、複数の放熱フィンは、整列配置されていた、すなわち、その主表面の延在方向に対して略平行方向に、且つその主表面が略同一平面上となるように並列配置され、また、複数の放熱フィンは、その主表面の延在方向に対して略直交方向に、略直線上に並列配置され、その主表面が、隣接する他の放熱フィンの主表面に対し略平行に並ぶように配置されていたが、これに代えて、複数の放熱フィンは、オフセット配置でもよい。複数の放熱フィンのオフセット配置としては、例えば、隣接する放熱フィンが相互に三角形の位置に設置される千鳥状の配置が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のヒートシンクは、ヒートシンクの設置スペースが制限される環境下、フィン基部の温度と放熱フィンの平均温度との差を低減して優れたフィン効率が得られ、また、冷却風に乱流が生じつつ冷却風の圧力損失増大を防止して、放熱フィン間の冷却風の風速の低下を防止できるので、例えば、狭小空間に設置された回路基板に搭載された高発熱量の電子部品、例えば、中央演算処理装置等の電子部品を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0076】
1、2、3、4、5、6 ヒートシンク
10 放熱フィン
20 ベースプレート
21 主表面
31 フィン基部
32 垂直部
33 傾斜部
34 ねじれ部
35 一端
36 他端
37 フィン先端部
38 フィン中間部