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特許7341180ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A01K23/00 S
A01K23/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021046104
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144905
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】福元 大地
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-80833(JP,A)
【文献】特開2003-210062(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203207(JP,U)
【文献】特開2020-188749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、前記横方向と直交し且つ前記ペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、吸収性コアを含む本体部を有するペット用おむつであって、
前記本体部には、前記ペットの大便が通過可能な尻尾穴が形成され、
前記縦方向に伸長された状態で前記本体部に固定され、前記縦方向において少なくとも前記尻尾穴の前記腹側の端縁と前記吸収性コアの前記背側の端縁との間で延在する伸縮部材を更に備え
前記本体部は、前記尻尾穴の端縁に連結された基端部と前記基端部の反対側に設けられ、前記尻尾穴の端縁に非接続の先端部とを含む舌片を含み、前記舌片は、前記基端部を起点として折り返されたときに前記尻尾穴を開口し、
前記舌片の前記先端部は、前記舌片が折り返されていない状態で前記腹側又は前記横方向に向けられている、ペット用おむつ。
【請求項2】
前記尻尾穴は、前記本体部の一部が切り取られることよって形成されている、請求項1に記載のペット用おむつ。
【請求項3】
前記吸収性コアの前記背側の端縁は、前記尻尾穴の前記腹側の端縁よりも前記腹側に配置されている、請求項1又は2に記載のペット用おむつ。
【請求項4】
前記横方向における前記尻尾穴の開口幅は、前記腹側に向かうにつれて連続的に狭められている、請求項1~の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項5】
前記伸縮部材は、前記縦方向における前記尻尾穴の中央位置を超えて延在する、請求項1~の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項6】
前記伸縮部材は、前記縦方向において前記尻尾穴の前記背側の端縁を超えて延在する、請求項1~の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項7】
前記縦方向における前記本体部の中心線に対して前記尻尾穴と線対称な位置に仮想尻尾穴を設定したときに、前記伸縮部材は、前記仮想尻尾穴の前記腹側の端縁を超えて延在する、請求項1~の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項8】
前記尻尾穴よりも前記腹側に設けられ、前記横方向における前記本体部の側端縁の外側に延出する一対のファスニングタブと、
前記尻尾穴よりも前記背側に設けられ、前記一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、
を更に備え、
前記伸縮部材は、前記縦方向において前記一対のファスニングタブの前記背側の端縁を超えて延在する、請求項1~の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項9】
前記伸縮部材は、前記縦方向において前記ターゲット部の前記腹側の端縁を超えて延在する、請求項に記載のペット用おむつ。
【請求項10】
前記一対のファスニングタブの前記背側の端縁よりも前記腹側に配置され、前記横方向に伸縮するウエストギャザーを更に備え、
前記伸縮部材は、前記ウエストギャザーの前記背側の端縁を超えて延在する、請求項又はに記載のペット用おむつ。
【請求項11】
前記吸収性コアよりも前記横方向の外側の位置に配置された防漏ギャザーを更に備え、
前記伸縮部材は、前記防漏ギャザーよりも前記横方向の外側の位置に配置されている、
請求項1~10の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項12】
前記防漏ギャザーは、前記縦方向に延在する第2の伸縮部材と、前記第2の伸縮部材の収縮によって起立する起立部と、前記縦方向における前記起立部の起立支点となる縦固定部と、を含み、
前記縦固定部は、前記縦方向において前記吸収性コアよりも外側の位置で前記本体部に固定されている、請求項11に記載のペット用おむつ。
【請求項13】
前記伸縮部材の伸長倍率は、前記第2の伸縮部材の伸長倍率よりも高い、請求項12に記載のペット用おむつ。
【請求項14】
前記伸縮部材の有効長は、前記第2の伸縮部材の有効長よりも長く、
前記横方向における前記尻尾穴の最大開口幅は、前記横方向における前記本体部の中心線と前記防漏ギャザーの前記横方向の内端縁との間の距離よりも小さい、請求項13又は13に記載のペット用おむつ。
【請求項15】
前記縦方向における前記尻尾穴の前記背側の端縁と前記吸収性コアの前記背側の端縁との間の距離は、前記横方向における前記尻尾穴の前記横方向の側端縁と前記伸縮部材との間の距離よりも大きい、請求項1~14の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項16】
ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、前記横方向と直交し且つ前記ペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、表面シート、裏面シート及び吸収性コアを含むペット用おむつを連続的に製造する方法であって、
前記表面シートが前記縦方向に連続されてなる帯状表面シート、及び、前記裏面シートが前記縦方向に連続されてなる帯状裏面シートを前記縦方向に沿った搬送方向に搬送する工程と、
一対の伸縮部材を前記縦方向に伸長された状態で前記帯状裏面シートに固定する工程と、
前記帯状表面シートと、前記一対の伸縮部材が固定された前記帯状裏面シートと、前記帯状表面シートと前記帯状裏面シートの間で前記縦方向に所定の間隔を空けて配列された複数の前記吸収性コアと、を含む本体複合体を形成する工程と、
前記本体複合体における前記一対の伸縮部材の間の位置に切断ラインに沿った切り込みを入れて前記ペットの大便を通過させるための尻尾穴を形成する工程と、
前記尻尾穴が形成された後に、前記本体複合体を前記一対の伸縮部材と共に前記横方向に沿って切断して前記ペット用おむつを形成する工程と、
を含み、
前記切断ラインは、前記搬送方向の反対方向に開放された略U字状、前記横方向に開放された略U字状を有する、ペット用おむつの製造方法。
【請求項17】
前記尻尾穴の形成と同時、又は、前記尻尾穴を形成した後に、前記ペットの後脚を通すための一対の脚回り開口部を前記本体複合体に形成する工程を更に含む、請求項16に記載のペット用おむつの製造方法。
【請求項18】
前記尻尾穴は、前記吸収性コアと重ならない位置に形成される、請求項16又は17に記載のペット用おむつの製造方法。
【請求項19】
前記帯状裏面シートは、帯状裏面不織布と、前記帯状裏面不織布と前記帯状表面シートとの間に配置される液不透過性の帯状裏面フィルムとを含み、
前記本体複合体は、前記帯状表面シートと前記帯状裏面フィルムとが直接接着された接着領域と、前記帯状表面シートと前記帯状裏面フィルムとが直接接着されていない非接着領域とを含み、
前記尻尾穴は、前記接着領域に形成される、請求項1618の何れか一項に記載のおむつの製造方法。
【請求項20】
前記本体複合体は、一対のファスニングタブと、前記一対のファスニングタブに係合するターゲット部を更に含み、
前記尻尾穴は、前記縦方向における前記吸収性コアと前記ターゲット部との間に形成される、請求項1619の何れか一項に記載のおむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペット用おむつ及びペット用おむつの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、犬や猫などのペットに装着されるペット用おむつが開示されている。特許文献1のペット用おむつは、ペットが排泄した大便を通過させる尻尾穴がペットの臀部を覆う臀当て部に形成されたおむつ本体と、当該尻尾穴を通過した大便を回収する大便袋を備えている。このペット用おむつは、おむつ本体の吸水体で尿を吸収すると共に大便を大便袋に回収することによって、ペットの毛などに大便が付着することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6232688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のペット用おむつに形成された尻尾穴は、大便を通過させるためにペットの肛門に対面する位置に維持される必要がある。しかしながら、例えば散歩中などペットが活発に動く場合には、ペット用おむつにずれが生じて尻尾穴の位置がずれることがある。特に、ペット用おむつのずれによって尻尾穴の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じると、当該隙間から大便がペット用おむつの内部に入り込んでペットに付着するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、ペットに便が付着しにくいペット用おむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様のペット用おむつは、ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、横方向と直交し且つペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、吸収性コアを含む本体部を有する。本体部には、ペットの大便が通過可能な尻尾穴が形成されている。ペット用おむつは、縦方向に伸長された状態で本体部に固定され、縦方向において少なくとも尻尾穴の腹側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間で延在する伸縮部材を更に備える。
【0007】
上記態様のペット用おむつでは、伸縮部材が少なくとも尻尾穴の腹側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間で延在しているので、当該伸縮部材の伸縮によって本体部の尻尾穴と吸収性コアとの間の領域が吸収性コア側に引っ張られ、ペットの臀部に押し当てられる。これにより、ペット用おむつのフィット性が向上し、尻尾穴の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。したがって、ペット用おむつの内部に便が入り込みにくくなり、ペットに大便が付着しにくくなる。
【0008】
一態様では、本体部には、尻尾穴に重なるように設けられた舌片が更に形成され、舌片は、尻尾穴の端縁に連結された基端部と基端部の反対側の先端部とを含み、基端部を起点として折り返されたときに尻尾穴を開口し、舌片の先端部は、舌片が折り返されていない状態で腹側又は横方向に向けられていてもよい。本態様では、舌片の先端部が腹側又は横方向に向けられているので、基端部を起点として折り返されたときに舌片がペットの肛門の下方に配置されることが防止される。したがって、排泄時に大便がペット用おむつに付着することが抑制される。
【0009】
一態様では、尻尾穴は、前記本体部の一部が切り取られることよって形成されていてもよい。本態様では、上述した舌片がペットの肛門の下方に配置されることが防止されるので、排泄時に大便がペット用おむつに付着することが抑制される。
【0010】
一態様では、吸収性コアの背側の端縁は、尻尾穴の腹側の端縁よりも腹側に配置されていてもよい。本態様では、尻尾穴の横方向の両側及び背側には吸収性コアが配置されない領域が形成される。これらの領域は、吸収性コアの分だけ剛性が低いのでペットの臀部に沿って柔軟に変形する。したがって、ペット用おむつのフィット性が更に向上し、尻尾穴の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。
【0011】
一態様では、横方向における尻尾穴の開口幅は、腹側に向かうにつれて連続的に狭められていてもよい。排便時の肛門の幅は大便の幅よりも大きいため、横方向における尻尾穴の開口幅を腹側に向かうにつれて狭めることで、尻尾穴の開口面積を小さくしつつ大便を通過させることができる。また、尻尾穴の開口面積を小さくすることにより、尻尾穴から尿が漏れることを抑制することができる。
【0012】
一態様では、伸縮部材は、縦方向における尻尾穴の中央位置を超えて延在してもよい。本態様では、伸縮部材の収縮によって本体部の尻尾穴の横方向の外側の領域がペットの臀部に押し当てられるので、ペット用おむつのフィット性を更に向上させることができる。
【0013】
一態様では、伸縮部材は、縦方向において尻尾穴の背側の端縁を超えて延在してもよい。本態様では、伸縮部材の収縮によって本体部の尻尾穴の背側の領域がペットの臀部に押し当てられるので、ペット用おむつのフィット性を更に向上させることができる。
【0014】
一態様では、縦方向における本体部の中心線に対して尻尾穴と線対称な位置に仮想尻尾穴を設定したときに、伸縮部材は、仮想尻尾穴の腹側の端縁を超えて延在してもよい。本態様では、伸縮部材が中心線を超えて腹側まで延在しているので、伸縮部材の収縮によって本体部の腹側の領域がペットの腹部に押し当てられる。したがって、ペット用おむつのフィット性を更に向上させることができる。
【0015】
一態様では、尻尾穴よりも腹側に設けられ、横方向における本体部の側端縁の外側に延出する一対のファスニングタブと、尻尾穴よりも背側に設けられ、一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、を更に備え、伸縮部材は、縦方向において一対のファスニングタブの背側の端縁を超えて延在していてもよい。本態様では、伸縮部材が一対のファスニングタブの背側の端縁を超えて延在するため、ターゲット部に係合するために一対のファスニングタブを引っ張り上げたときに伸縮部材が腹側に伸長し、伸縮部材の収縮力によって本体部がペットに押し当てられる。したがって、ペット用おむつのフィット性を更に向上させることができる。
【0016】
一態様では、伸縮部材は、縦方向においてターゲット部の腹側の端縁を超えて延在してもよい。一般的に、犬や猫などのペットは、排便時には臀部を突き出し、背部を丸めた体勢をとる。本態様では、伸縮部材がターゲット部の腹側の端縁を超えて延在しているため、排便時にペットの背部を丸めたときに本体部の背側の領域に張力が作用して伸縮部材が伸長し、伸縮部材の収縮力によって本体部がペットに押し当てられる。したがって、ペット用おむつのフィット性を更に向上させることができる。
【0017】
一態様のペット用おむつは、一対のファスニングタブの背側の端縁よりも腹側に配置され、横方向に伸縮するウエストギャザーを更に備え、伸縮部材は、ウエストギャザーの背側の端縁を超えて延在してもよい。本態様では、伸縮部材は、ウエストギャザーの背側の端縁を超えて延在して延在しているので、ウエストギャザーの収縮によって伸縮部材が腹側に伸長される。その結果、伸縮部材の収縮力が高められ、ペットに対してペット用おむつが押し当てられるためペット用おむつのフィット性が向上される。
【0018】
一態様のペット用おむつは、吸収性コアよりも横方向の外側の位置に配置された防漏ギャザーを更に備え、伸縮部材は、防漏ギャザーよりも横方向の外側の位置に配置されている。本態様では、伸縮部材が防漏ギャザーよりも横方向の外側の位置に配置されているので、本体部の横方向の側端縁をペットの足回りに密着して配置させることができる。したがって、ペット用おむつのフィット性をより向上させることができる。
【0019】
一態様では、防漏ギャザーは、縦方向に延在する第2の収縮部材と、第2の収縮部材の収縮によって起立する起立部と、縦方向における起立部の起立支点となる縦固定部と、を含み、縦固定部は、縦方向において吸収性コアよりも外側の位置で本体部に固定されていてもよい。本態様では、吸収性コアよりも横方向の外側の位置に防漏ギャザーの起立部が起立した状態で配置されるので、尿漏れを抑制することができる。
【0020】
一態様では、伸縮部材の伸長倍率は、第2の収縮部材の伸長倍率よりも高くてもよい。本態様では、防漏ギャザーよりも横方向の外側の位置に相対的に収縮力の強い伸縮部材が配置されることになるので、本体部の側端縁をペットの足回りに沿ってより密着させることができる。したがって、ペット用おむつのフィット性を向上させることができる。
【0021】
一態様では、伸縮部材の有効長は、第2の収縮部材の有効長よりも長く、横方向における尻尾穴の最大幅は、本体部の縦方向に沿った中心線と防漏ギャザーの横方向の内端縁との間の距離よりも小さくてもよい。本態様では、伸縮部材の有効長が第2の収縮部材の有効長よりも長いので、ペットが激しく動くなどして第2の収縮部材が切断された場合であっても、伸縮部材の収縮力によってペット用おむつをペットにフィットさせることができる。
【0022】
一態様では、縦方向における尻尾穴の背側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間の距離は、横方向における尻尾穴の横方向の側端縁と伸縮部材との間の距離よりも長くてもよい。本態様では、尻尾穴の背側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間の距離が相対的に長く設定されている。本体部の尻尾穴の背側の端縁と吸収性コアの背側の端縁との間の領域は、吸収性コアが配置されず剛性が低いので、この領域の長さを比較的長く設定することによってペット用おむつをペットにフィットさせることができる。
【0023】
一態様では、ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向、及び、横方向と直交し且つペットの腹側から背側を繋ぐ縦方向に延在し、且つ、表面シート、裏面シート及び吸収性コアを含むペット用おむつを連続的に製造する方法が提供される。この方法は、表面シートが縦方向に連続されてなる帯状表面シート、及び、裏面シートが縦方向に連続されてなる帯状裏面シートを縦方向に沿った搬送方向に搬送する工程と、一対の伸縮部材を縦方向に伸長された状態で帯状裏面シートに固定する工程と、帯状表面シートと、一対の伸縮部材が固定された帯状裏面シートと、帯状表面シートと帯状裏面シートの間で縦方向に所定の間隔を空けて配列された複数の吸収性コアと、を含む本体複合体を形成する工程と、本体複合体における一対の伸縮部材の間の位置に切断ラインに沿った切り込みを入れて尻尾穴を形成する工程と、尻尾穴が形成された後に、本体複合体を一対の伸縮部材と共に横方向に沿って切断してペット用おむつを形成する工程と、を含む。切断ラインは、搬送方向の反対方向に開放された略U字状、横方向に開放された略U字状、又は、環状を有する。
【0024】
上記態様のペット用おむつの製造方法では、一対の伸縮部材が縦方向に伸長された状態で帯状裏面シートに固定されるので、本体複合体を切断してペット用おむつを形成した際に、一対の伸縮部材の収縮力によって当該ペット用おむつが縦方向に収縮する。収縮したペット用おむつに歪みがなく連続した綺麗な尻尾穴を形成することは容易でない。これに対し、上述したペット用おむつを製造する方法では、尻尾穴が形成された後に、本体複合体を一対の伸縮部材と共に切断するので、綺麗な尻尾穴を形成することができる。
【0025】
一態様のペット用おむつの製造方法は、尻尾穴の形成と同時、又は、尻尾穴を形成した後に、ペットの後脚を通すための一対の脚回り開口部を本体複合体に形成する工程を更に含んでもよい。本態様によれば、綺麗な尻尾穴を形成することができる。
【0026】
一態様では、尻尾穴は、吸収性コアと重ならない位置に形成されてもよい。高い剛性を有する吸収性コアに重ならない位置に尻尾穴を形成することで綺麗な尻尾穴を形成することができる。
【0027】
一態様では、帯状裏面シートは、帯状裏面不織布と、帯状裏面不織布と帯状表面シートとの間に配置される液不透過性の帯状裏面フィルムとを含み、本体複合体は、帯状表面シートと帯状裏面フィルムとが直接接着された接着領域と、帯状表面シートと帯状裏面フィルムとが直接接着されていない非接着領域とを含み、尻尾穴は、接着領域に形成されてもよい。本態様では、皺が発生しにくい接着領域に尻尾穴を形成することによって綺麗な尻尾穴を形成することができる。
【0028】
一態様では、本体複合体は、一対のファスニングタブと、一対のファスニングタブに係合するターゲット部を更に含み、尻尾穴は、縦方向における吸収性コアとターゲット部との間に形成されてもよい。吸収性コアとターゲット部との間の領域は、吸収性コアの剛性によって本体複合体に皺が発生しにくいので、吸収性コアとターゲット部との間に尻尾穴を形成することにより綺麗な尻尾穴を形成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の種々の態様によれば、ペットへの便の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図2図1のA-A線に沿ったペット用おむつを模式的に示す断面図である。
図3】ペット用おむつを装着した状態を示す図である。
図4】尻尾穴の変形例を示す図である。
図5】尻尾穴の別の変形例を示す図である。
図6】別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図7】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図8】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図9】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図10】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図11】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図12】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図13】更に別の実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図14】一実施形態に係るペット用おむつの製造方法を示すフローチャートである。
図15】ペット用おむつの製造方法が適用される製造装置の一例を模式的に示す図である。
図16】本体複合体の一部を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0032】
図1は、実施形態に係るペット用おむつを表面側Z1からから見た平面図である。図2は、図1に示すA-A線に沿ったペット用おむつを模式的に示す断面図である。図1及び図2では、皺が形成されない状態までペット用おむつ1を伸長させた伸長状態のペット用おむつ1を示している。以下の説明では、特段の説明がない限り伸長状態における位置関係について説明する。また、図2に示す断面図では、説明の便宜上、各部材を厚み方向Zにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚み方向Zに接している。
【0033】
ペット用おむつ1は、ペットに使用されるおむつである。本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、犬、猫、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。一実施形態のペット用おむつ1は、犬又は猫用のおむつである。このペット用おむつ1は、ペットの散歩時に好適に利用される。図1に示すように、ペット用おむつ1は、ペットの胴回り方向に沿って配置される横方向X、及び、当該横方向Xと直交する縦方向Yに延在している。縦方向Yは、ペットの腹側から背側を繋ぐ方向である。厚み方向Zは、横方向X及び縦方向Yと直交する方向であり、着用状態においてペットに当てられる表面側Z1、及び、着用状態において外側に向けられる裏面側Z2を含む。図3に示すように、実施形態に係るペット用おむつは、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように装着される。
【0034】
ペット用おむつ1は、本体部2を有している。本体部2は、少なくとも表面シート10、裏面シート20及び吸収性コア30を含んでいる。表面シート10は、本体部2においてペットに当てられる面を構成し、表面側Z1に配置されている。表面シート10は、体液を吸収性コア30側に透過させる液透過性を有する。表面シート10は、縦方向Yの中央に位置し、吸収性コア30を覆うセンターシート11と、センターシート11の横方向Xの両側部を覆うサイドシート12とを含んでいる。図2に示すように、横方向Xにおけるサイドシート12の内側部分は裏面側Z2に折り返されている。折り返されたサイドシート12の間には、縦方向Yに伸長された状態の伸縮部材(第2の伸縮部材)13が配置されている。サイドシート12及び伸縮部材13は、防漏ギャザー80を構成する。防漏ギャザー80は、起立性の防漏用ギャザーであり、吸収性コア30よりも表面側Z1に配置されている。防漏ギャザー80の詳細については、後述する。
【0035】
裏面シート20は、本体部2において着用時に外側に位置する面を構成し、裏面側Z2に配置されている。裏面シート20は、液不透過性の裏面フィルム21と、裏面フィルム21よりも裏面側Z2に位置する裏面不織布22とを含んでいる。なお、一実施形態では、裏面不織布22が裏面フィルム21よりも表面側Z1に配置されてもよい。裏面フィルム21の横方向Xの長さは、裏面不織布22の横方向Xの長さよりも短く形成され、裏面不織布22が裏面フィルム21よりも横方向Xの両側に延出していてもよい。
【0036】
吸収性コア30は、表面シート10と裏面シート20の間に配置されている。吸収性コア30は、例えば植物由来のパルプ及び高分子吸収剤(SAP)を含み、例えばペットの尿を吸収する。図2に示すように、吸収性コア30の上面及び下面は、コアラップ32によって覆われていてもよい。吸収性コア30は、本体部2の横方向Xの略中央に配置されている。横方向Xにおける吸収性コア30の幅は、横方向Xにおける本体部2の幅よりも短い。また、横方向Xにおける吸収性コア30の幅は、吸収性コア30の背側の端縁30Rと吸収性コア30の腹側の端縁30Fとの間の位置で部分的に狭められていてもよい。
【0037】
吸収性コア30の背側の端縁30Rは、本体部2の縦方向Yの中心線CL2よりも背側に配置されている。吸収性コア30の腹側の端縁30Fは、後述する腹側端縁2Fよりも背側に配置されている。すなわち、吸収性コア30の縦方向Yの長さは、本体部2の縦方向Yの長さよりも短い。また、吸収性コア30の背側の端縁30Rは、後述する尻尾穴70の腹側の端縁70Fよりも腹側に配置されている。
【0038】
本体部2は、縦方向Yの背側に位置する背側端縁2Rと、縦方向Yの腹側に位置する腹側端縁2Fとを有している。背側端縁2Rは、着用時に背側においてペットの胴回り方向に配置され、腹側端縁2Fは、着用時に腹側においてペットの胴回り方向に配置される。また、本体部2は、背側端縁2R側に位置する背側域51と、腹側端縁2F側に位置する腹側域52と、縦方向Yにおいて背側域51と腹側域52との間に位置する中間域53とを有している。本体部2の背側域51には、本体部2から横方向Xの外側に張り出す一対の延出部14が形成されている。本体部2の腹側域52には、本体部2から横方向Xの外側に張り出す一対の延出部15が形成されている。一対の延出部15は、ペットの後脚を通すための一対の脚回り開口部15sを画成する。
【0039】
一対の延出部15には、一対のファスニングタブ90がそれぞれ設けられている。一対のファスニングタブ90は、本体部2の縦方向Yの腹側端縁2Fの付近において本体部2よりも横方向Xの外側に延出している。一対のファスニングタブ90の各々は、延出部15に接合された基材シート91と、基材シート91上に設けられた接合部92とを有していてもよい。接合部92は、ファスニングタブ90の表面側Z1の面に配置されている。接合部92は、例えばメカニカルファスナであり、本体部2の裏面側Z2に形成されたターゲット部45に接合可能に構成されている。なお、一対のファスニングタブ90は、後述する尻尾穴70よりも腹側に設けられ、ターゲット部45は、尻尾穴70よりも背側に設けられている。一実施形態では、本体部2はターゲット部45を備えず、一対のファスニングタブ90の接合部92が裏面シート20の裏面側Z2に直接接合するように構成されてよい。
【0040】
また、本体部2の腹側端縁2F付近には、横方向Xに伸縮するウエストギャザー93が設けられていてもよい。ウエストギャザー93は、例えば一対のファスニングタブ90の背側の端縁90Rよりも腹側に配置され、横方向に伸縮することで腹側域52をペットの腹部に密着させる。
【0041】
本体部2には、尻尾穴70が形成されている。尻尾穴70は、例えば本体部2の背側に開放された略U字状の切り込み50を入れることによって、本体部2に形成された略舌形状の開口部である。尻尾穴70は、ペットの尻尾を挿通可能であると共にペットの大便を通過可能な排泄穴として利用される。尻尾穴70は、横方向Xの最大開口幅W1よりも縦方向Yの最大開口幅W2が大きな縦長形状を有している。尻尾穴70の横方向Xの最大開口幅W1は、ペットの肛門98の幅よりも大きく設計されている(図3参照)。一実施形態では、尻尾穴70の横方向Xの開口幅は、腹側に向かうにつれて連続的に狭められていてもよい。
【0042】
図1に示す実施形態では、尻尾穴70の背側の端縁70R及び尻尾穴70の腹側の端縁70Fは、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2よりも背側に配置されている。なお、中心線CL2は、背側端縁2R及び腹側端縁2Fから等しい距離に位置し、横方向Xに沿って延在する仮想線である。すなわち、中心線CL2は、ペット用おむつ1を縦方向Yに二つ折りしたときの折り目が形成される部分であり、ペット用おむつ1をペットに装着したときに、本体部2の中心線CL2よりも腹側の領域がペットの排尿口に当てられる。
【0043】
図1に示すように、尻尾穴70の背側の端縁70Rは、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2とターゲット部45の腹側の端縁45Fとの中間点MPよりも腹側に配置されている。一実施形態では、尻尾穴70の縦方向Yの最大開口幅W2は、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2との間の距離D1よりも大きくてもよい。また、尻尾穴70の縦方向Yの最大開口幅W2は、尻尾穴70の背側の端縁70Rと中間点MPとの間の距離D2より大きくてもよい。具体的には、尻尾穴70の縦方向Yの最大開口幅W2は、35mm以上80mm以下、より好ましくは40mm以上80mm以下であってもよい。さらに、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2との間の距離D1は、尻尾穴70の背側の端縁70Rと中間点MPとの間の距離D2よりも小さくてもよい。
【0044】
また、尻尾穴70の腹側の端縁70Fは、吸収性コア30の背側の端縁70Rよりも背側に形成されている。したがって、横方向Xにおける本体部2の尻尾穴70の外側、及び、本体部2の尻尾穴70の背側には、吸収性コア30が配置されない領域が形成される。一実施形態では、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁70Rとの間の距離D3は、吸収性コア30の背側の端縁30Rと縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2との間の距離D4よりも短くてもよい。すなわち、吸収性コア30の背側の端縁30Rは、尻尾穴70の腹側の端縁70Fに近接した位置に配置される。
【0045】
尻尾穴70は、本体部2の横方向Xの中心線CL1上に形成されている。なお、中心線CL1は、横方向Xにおける本体部2の一対の側端縁2Sから等しい距離に位置し、縦方向Yに沿って延在する仮想線である。一実施形態では、横方向Xにおける尻尾穴70の最大開口幅W1は、横方向Xにおける本体部2の中心線CL1と防漏ギャザー80の横方向Xの内端縁80Sとの間の距離D5より小さくてもよい。また、縦方向Yにおける尻尾穴70の背側の端縁70Rと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間の距離D6は、横方向Xにおける尻尾穴70の側端縁70Sと後述する伸縮部材40との間の距離D7より大きくてもよい。なお、尻尾穴70の形状は、略舌形状に限定されず、半円形状、矩形状、台形状、多角形状又は楕円形状を有していてもよい。
【0046】
本体部2には、舌片72が形成されている。舌片72は、例えば本体部2に対して切り込み50を入れることで形成されるフラップ状の部材であり、例えば表面シート10及び裏面シート20の一部によって構成されている。舌片72は、尻尾穴70の開口形状と略一致する形状を有し、尻尾穴70に対して重なるように配置されている。舌片72は、尻尾穴70の背側の端縁70Rに連結された基端部72Rと、基端部72Rの反対側に位置する先端部72Fと、基端部72Rと先端部72Fとを接続する側部72Sとを有している。先端部72Fは、本体部2の中間域53に接続されている。一方、先端部72F及び側部72Sは、本体部2の中間域53に対して非接続であり、遊離している。舌片72の先端部72Fは、舌片72が折り返されていない状態(尻尾穴70に対して重なっている状態)のときに腹側に向けられている。
【0047】
図3に示すように、舌片72は、基端部72Rを起点として裏面側Z2へ折り返されることで尻尾穴70を開口するように構成されている。上述のように、舌片72の先端部72Fは腹側に向けられているので、尻尾穴70に尻尾が挿入され、舌片72が基端部72Rを起点として裏面側Z2に折り返されたときに、舌片72は尻尾の背面側に当接する。舌片72が尻尾の背面側に配置されることで、排泄時に大便が舌片72に付着することが抑制される。なお、一実施形態では、舌片72の先端部72F及び側部72Sは、不連続な切り込み、例えばミシン目を介して本体部2の中間域53に仮止めされており、舌片72をミシン目に沿って引き裂くことで先端部72F及び側部72Sを本体部2の中間域53に対して遊離させてもよい。
【0048】
また、一実施形態では、図4に示すように、本体部2の横方向Xに開放された略U字状の切り込み50を入れることで舌片72を形成してもよい。図4に示す舌片72の先端部72Fは、舌片72が折り返されていない状態のときに横方向Xに向けられている。図4に示す実施形態では、尻尾穴70に尻尾が挿入され、舌片72が基端部72Rを起点として裏面側Z2に折り返されたときに、舌片72はペットの尻尾の側部に当接する。また、別の実施形態では、図5に示すように、尻尾穴70の端縁の全周に亘って環状の切り込み50を入れて、本体部2の一部を切り取ることによって、舌片72を有しない尻尾穴70が形成されていてもよい。図4及び図5に示す実施形態でも、尻尾穴70に尻尾が挿入されたときに舌片72がペットの肛門98の下方に配置されることがないので、排泄時に大便がペット用おむつ1に付着することが抑制される。
【0049】
次に、防漏ギャザー80についてより詳細に説明する。防漏ギャザー80は、吸収性コア30の横方向Xの外側に配置され、吸収性コア30に排泄された尿が横方向Xに漏れることを抑制する。一実施形態では、防漏ギャザー80は、縦方向Yに延在する伸縮部材13と、伸縮部材13の収縮によって起立する起立部81と、横方向Xにおける起立部81の起立支点となる横固定部82と、縦方向Yにおける起立部81の起立支点となる縦固定部83とを含んでいる。防漏ギャザー80の起立部81、横固定部82及び縦固定部83は、サイドシート12によって構成されている。起立部81は、サイドシート12のうちセンターシート11に対して非接続な部分であり、起立部81には伸長状態の伸縮部材13が配置されている。
【0050】
横固定部82は、サイドシート12のうち起立部81の横方向Xの外側においてセンターシート11に固定された部分であり、横方向Xにおける起立部81の起立支点となる。横固定部82は、起立部81に対して横方向Xの外側の位置で本体部2の縦方向Yの全域に形成されていてもよい。
【0051】
縦固定部83は、サイドシート12のうち起立部81の縦方向Yの外側においてセンターシート11に固定された部分であり、縦方向Yにおける起立部81の起立支点となる。一実施形態では、縦固定部83は、第1縦固定部83R及び第2縦固定部83Fを含む。第1縦固定部83Rは、横固定部82に対して横方向Xの内側の位置であって、吸収性コア30の背側の位置に形成されている。より詳細には、第1縦固定部83Rの腹側の端縁83Iは、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間の位置に配置されている。第2縦固定部83Fは、横固定部82に対して横方向Xの内側の位置であって、吸収性コア30よりも腹側の位置に形成されている。すなわち、縦固定部83は、縦方向Yにおいて吸収性コア30よりも外側の位置で本体部2に固定されている。
【0052】
上述のように、起立部81は、横固定部82に対して横方向Xの内側、且つ、縦固定部83に対して縦方向Yの内側に配置されている。起立部81には縦方向Yに伸長された伸縮部材13が接続され、当該伸縮部材13が縦方向Yに収縮することによって本体部2が閉じる方向に変形する。この変形によって、起立部81は、横固定部82を起点として立ち上がる。このように、起立部81は、吸収性コア30を横方向Xから挟み込む位置において起立することで尿漏れを防止する。
【0053】
ペット用おむつ1は、長さ方向に伸縮可能な一対の伸縮部材(第1の伸縮部材)40を更に備えている。図1に示すように、一対の伸縮部材40は、防漏ギャザー80の伸縮部材13よりも横方向Xの外側に配置されている。図1に示す実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて本体部2の全域に延在している。伸縮部材40は、縦方向Yに伸長された状態で本体部2に固定されることによって、本体部2が閉じる方向に変形する力を付与する。一対の伸縮部材40は、例えば長さ方向に収縮可能な糸ゴム又は平ゴムであり、本体部2の表面シート10と裏面シート20との間で本体部2の側端縁2Sに沿って配置されている。なお、一対の伸縮部材40は、本体部2の表面シート10及び裏面シート20に縫い合わされた状態で縦方向Yに延在していてもよい。
【0054】
一実施形態では、ペット用おむつ1が伸長状態であるとき、伸縮部材40の伸長倍率は、防漏ギャザー80の伸縮部材13の伸長倍率よりも高くてもよい。なお、伸長倍率とは、伸縮部材40又は伸縮部材13の自然長を1としたときの伸び度合いを示す。伸縮部材40又は伸縮部材13の自然長とは、外力が付与されていないときの伸縮部材40又は伸縮部材13の長さである。例えば、伸縮部材40の伸長倍率は、(伸長状態の伸縮部材40の長さ)/(自然状態の伸縮部材40の長さ)によって求められる。伸長倍率が大きいほど、伸縮部材40又は伸縮部材13の収縮力は増加する。伸縮部材40の伸長倍率を伸縮部材13の伸長倍率よりも高くすることによって、伸縮部材40の収縮力によって本体部2の側端縁2Sをペットに密着させることができ、例えばペットが激しく動いた場合であってもペット用おむつ1にずれが生じることを抑制することができる。
【0055】
一実施形態では、伸縮部材40の有効長が、伸縮部材13の有効長よりも長くてもよい。有効長とは、伸縮部材40又は伸縮部材13のうち実際に収縮する部分の長さである。例えば図1に示す実施形態では、伸縮部材40の有効長は、本体部2の縦方向Yの長さに一致しており、伸縮部材13の有効長は、第1縦固定部83Rの腹側の端縁と第2縦固定部83Fの背側の端縁との間の距離に一致している。伸縮部材40の有効長を伸縮部材13の有効長よりも長くすることによって、例えばペットが激しく動くなどして伸縮部材13が切断された場合であっても伸縮部材40の収縮力によってペット用おむつ1のフィット性を確保することができる。
【0056】
図1に示す実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて本体部2の全域に延在している。したがって、伸縮部材40は、尻尾穴70と吸収性コア30との間の領域から横方向Xに延びる領域に重なる。この構成によれば、伸縮部材40の収縮によって本体部2の尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間の領域が吸収性コア30側に引っ張られてペットの臀部に押し当てられる。これにより、本体部2とペットの臀部とのフィット性が向上し、本体部2とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。その結果、ペット用おむつ1の内部に便が入り込みにくくなり、ペットに便が付着しにくくなる。
【0057】
特に、ペット用おむつ1では、本体部2の尻尾穴70と吸収性コア30との領域に吸収性コア30が配置されていないので、この領域は吸収性コア30の分だけ剛性が低い。したがって、尻尾穴70と吸収性コア30との領域がペットの臀部に沿って柔軟に変形するので、本体部2とペットの臀部との間により隙間が生じにくくなる。
【0058】
なお、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて本体部2の全域に延在していなくてもよく、例えば図6に示すように、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて少なくとも尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間で延在していればよい。伸縮部材40が、少なくとも尻尾穴70の腹側の端縁70Fと吸収性コア30の背側の端縁30Rとの間で延在していれば、伸縮部材40の収縮力によって本体部2の尻尾穴70と吸収性コア30との間の領域が吸収性コア30側に引っ張られるので、本体部2とペットの臀部との間に隙間を生じにくくすることができる。
【0059】
別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおける尻尾穴70の中央位置を超えて延在していてもよい。例えば、図7に示す実施形態では、縦方向Yにおいて、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、尻尾穴70の背側の端縁70Rと尻尾穴70の中央位置との間に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、吸収性コア30の背側の端縁30Rに一致する位置に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40の収縮によって尻尾穴70の横方向Xの外側の領域がペットの臀部に押し当てられるので、尻尾穴70の横方向Xの側端縁70Sとペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。
【0060】
別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向において尻尾穴70の背側の端縁70Rを超えて延在していてもよい。例えば、図8に示す実施形態では、縦方向Yにおいて、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、尻尾穴70の背側の端縁70Rとターゲット部45との間に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいて吸収性コア30の背側の端縁30Rに一致する位置に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40の収縮によって本体部2のうち尻尾穴70の背側の領域がペットの背部に押し当てられるので、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0061】
更に別の実施形態では、縦方向Yの中心線CL2に対して尻尾穴70と線対称な位置に仮想尻尾穴75を設定したときに、伸縮部材は70、当該仮想尻尾穴75の腹側の端縁75Fを超えて延在していてもよい。例えば、図9に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、縦方向Yにおいて尻尾穴70の腹側の端縁70Fに一致する位置に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいて仮想尻尾穴75の腹側の端縁75Fとファスニングタブ90との間に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40が中心線CL2を超えて腹側まで延在しているので、伸縮部材40の収縮によって本体部2の腹側の領域がペットの腹部に押し当てられ、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0062】
更に別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向Yにおいて一対のファスニングタブ90の背側の端縁90Rを超えて延在していてもよい。例えば、図10に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、縦方向Yにおいて尻尾穴70の腹側の端縁70Fと一致する位置に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいてファスニングタブ90の背側の端縁90Rと当該ファスニングタブ90の腹側の端縁90Fとの間に配置されている。この実施形態では、伸縮部材40が一対のファスニングタブ90の背側の端縁90Rを超えて延在しているので、ターゲット部45に係合するために一対のファスニングタブ90を引っ張り上げた張力によって伸縮部材40が腹側に伸長され、伸縮部材40の収縮力によって本体部2がペットの臀部に押し当てられる。したがって、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0063】
更に別の実施形態では、伸縮部材40は、縦方向においてターゲット部45の腹側の端縁45Fを超えて延在していてもよい。例えば、図11に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、縦方向Yにおいてターゲット部45の腹側の端縁45Fとターゲット部45の背側の端縁45Rとの間に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、吸収性コア30の背側の端縁30Rと一致する位置に配置されている。一般的に、犬や猫などのペットは、排便時には臀部を突き出し、背部を丸めた体勢をとる。この実施形態では、伸縮部材40がターゲット部45の腹側の端縁45Fを超えて延在することによって、排便時にペットの背部を丸めたときに伸縮部材40が伸長し、伸縮部材40の収縮力によって本体部2がペットの背部に押し当てられる。したがって、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0064】
更に別の実施形態では、伸縮部材40は、ウエストギャザー93の背側の端縁93Fを超えて延在していてもよい。例えば、図12に示す実施形態では、伸縮部材40の背側の端縁40Rが、尻尾穴70の腹側の端縁70Fと一致する位置に配置され、伸縮部材40の腹側の端縁40Fが、縦方向Yにおいてウエストギャザー93と腹側端縁2Fとの間に配置されている。伸縮部材40がウエストギャザー93の背側の端縁93Fを超えて延在することにより、ウエストギャザーの収縮によって伸縮部材40が腹側に伸長される。このため、伸縮部材40の収縮によって本体部2がペットの腹部に押し当てられ、ペット用おむつ1のフィット性が向上する。
【0065】
なお、図1に示す実施形態では、尻尾穴70の腹側の端縁70Fが、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2よりも背側に配置されているが、一実施形態では、尻尾穴70の腹側の端縁70Fが、縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2よりも腹側に配置されてもよい。例えば、図13に示す実施形態では、尻尾穴70の背側の端縁70Rが中心線CL2よりも背側に配置され、尻尾穴70の腹側の端縁70Fが中心線CL2よりも腹側に配置されている。このように、尻尾穴70の位置を設定することにより、ペットが座った姿勢をとったときに尻尾穴70が略水平に配置されるので大便をより確実に通過させることができる。
【0066】
図3は、ペットにペット用おむつ1を装着した状態を示す図である。ペット用おむつ1をペットに装着するときには、まずペットの尻尾を尻尾穴70を通しておむつの裏面側Z2に出すことで、ペットの肛門98を尻尾穴70から露出させる。このとき、舌片72が基端部72Rを起点として裏面側Z2に折り返されることで、舌片72が尻尾の背面側に当接される。次いで、本体部2の腹側端縁2Fをペットの腹に当てる。そして、本体部2の縦方向Yの中心線CL2付近をペットの排尿口に当てつつ、本体部2の背側端縁2Rをペットの背部に当てる。次いで、一対のファスニングタブ90を胴回り方向にペットの背中側に引っ張り、本体部2のターゲット部45の外面に一対のファスニングタブ90を係止する。これにより、図3に示すように、ペットの腹、背中、及び股下を覆うようにペット用おむつ1が装着される。
【0067】
以上説明したように、上述した実施形態に係るペット用おむつ1では、尻尾穴70によってペットの肛門98が本体部2の尻尾穴70から露出されるので、ペットの尿をペット用おむつ1で受けつつ、ペットの大便を尻尾穴70を通過させて外部に排出することができる。特に、ペット用おむつ1では、尻尾穴70が縦長形状を有しているので、ペットにペット用おむつ1を装着したときに、確実にペットの肛門98を本体部2から露出させることができる。また、尻尾穴70の背側の端縁70Rを縦方向Yにおける本体部2の中心線CL2とターゲット部45の腹側の端縁45Fとの中間点MPよりも腹側に配置することによって、ペット用おむつ1を装着したときに、尻尾穴70の背側の端縁70Rを尻尾の背部に確実に当接させることができる。したがって、ペット用おむつ1のずれが抑制され、尿漏れを防止しつつ大便をペット用おむつ1の外部に排出することができる。なお、ペット用おむつ1には、尻尾穴70から排出された大便を回収するための便袋は取り付けられない。
【0068】
ところで、尻尾穴70の端縁とペットの臀部との間に隙間が存在すると、当該隙間から大便がペット用おむつ1の内部に入り込んでペットに付着するおそれがある。特に軟便の場合は、尻尾穴70の端縁とペットの臀部との間に僅かな隙間が存在するだけで、当該隙間をつたってペット用おむつ1の中に軟便が入り込み、ペット用おむつ1の内部で広がることがある。この場合には、ペットに広がって付着した大便をシャワー等で洗い流す手間が生じることとなる。これに対して、ペット用おむつ1では、伸縮部材40の収縮によって本体部2の尻尾穴70と吸収性コア30と間の領域がペットの臀部に押し当てられので、尻尾穴70の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくい。したがって、当該隙間からペット用おむつ1の内部に大便が入り込み、ペットに大便が付着することが抑制される。
【0069】
次に、図14及び図15を参照して、上述したペット用おむつ1の製造方法について説明する。図14は、一実施形態に係るペット用おむつの製造方法を示すフローチャートである。図15は、一実施形態に係るペット用おむつの製造方法が適用される製造装置の一例を模式的に示す図である。このペット用おむつの製造方法は、後述する各工程を実行することにより、上述したペット用おむつ1を連続的に製造する。なお、以下の説明において、「上流」及び「下流」の用語は、後述する搬送方向CDの搬送方向を基準として使用される。
【0070】
図15に示すように、製造装置100は、搬送ローラ102、伸縮部材供給装置104,105、吸収性コア供給装置106、接着装置108、尻尾穴形成装置110、折り畳み装置112及び切断装置114を備えている。
【0071】
一実施形態に係るペット用おむつの製造方法では、まず搬送ローラ102が、ペット用おむつ1の表面シート10が縦方向Yに連続された帯状のシート部材である帯状表面シート210、及び、ペット用おむつ1の裏面シート20が縦方向に連続された帯状のシート部材である帯状裏面シート220を搬送方向CDに搬送する(ステップST1)。帯状表面シート210及び帯状裏面シート220が搬送される搬送方向CDは、ペット用おむつ1の縦方向Yに沿った方向である。帯状表面シート210には、搬送方向CDに所定の間隔を空けて配置された複数の一対のファスニングタブ90が形成されていてもよい。
【0072】
帯状裏面シート220は、裏面フィルム21が縦方向Yに連続してなる液不透過性の帯状裏面フィルム221と、裏面不織布22が縦方向Yに連続してなる帯状裏面不織布222とを含む。帯状表面シート210と帯状裏面シート220とが貼り合わされたときに、帯状裏面シート220は、裏面フィルム21が縦方向Yに連続してなる液不透過性の帯状裏面フィルム221は、帯状裏面不織布222と帯状表面シート210との間に配置される。後述するように、切断装置114によって縦方向Yの長さが所定の寸法になるように帯状表面シート210及び帯状裏面シート220が切断されることにより、これら帯状表面シート210及び帯状裏面シート220から表面シート10及び裏面シート20がそれぞれ形成される。帯状裏面シート220には、搬送方向CDに所定の間隔を空けて配置され、一対のファスニングタブ90に係合するターゲット部45が形成されていてもよい。
【0073】
次に、伸縮部材供給装置104が、帯状表面シート210に一対の伸縮部材13を固定する(ステップST2)。一対の伸縮部材13は、搬送方向CD、すなわち縦方向Yに伸長された状態で帯状表面シート210に固定される。次に、伸縮部材供給装置105が、帯状裏面シート220に一対の伸縮部材40を固定する(ステップST3)。一対の伸縮部材40は、搬送方向CD、すなわち縦方向Yに伸長された状態で帯状裏面シート220に固定される。一対の伸縮部材13が固定された帯状表面シート210及び一対の伸縮部材40が固定された帯状裏面シート220は、搬送方向CDの下流側へ搬送される。
【0074】
次に、吸収性コア供給装置106が、帯状裏面シート220上に複数の吸収性コア30を配置する(ステップST4)。複数の吸収性コア30は、帯状裏面シート220上に搬送方向CDに所定の間隔を空けて配置される。次に、帯状裏面シート220、複数の吸収性コア30及び帯状表面シート210が順に積層された状態で、接着装置108が、例えばホットメルト接着剤(HMA)を用いて接着領域R1を形成して、帯状裏面シート220と帯状表面シート210とを接着する(ステップST5)。これにより、帯状表面シート210と、帯状裏面シート220と、帯状表面シート210と帯状裏面シート220の間で縦方向Yに所定の間隔を空けて配列された複数の吸収性コア30と、を含む本体複合体200が形成される。形成された本体複合体200は、搬送方向CDの下流側へ搬送される。
【0075】
図16は、本体複合体200の一部を概略的に示す平面図である。図16に示すように、本体複合体200は、接着領域R1及び非接着領域R2を含む。図16では、白抜き部分が接着領域R1に相当し、網掛け部分が非接着領域R2に相当する。接着領域R1は、接着装置108によって帯状表面シート210と帯状裏面フィルム221とが直接接着された領域である。非接着領域R2は、帯状表面シート210と帯状裏面フィルム221とが直接接着されていない領域である。具体的には、非接着領域R2は、帯状表面シート210と帯状裏面フィルム221との間に吸収性コア30が介在する領域、及び、帯状表面シート210と帯状裏面不織布222とが接着された領域である。
【0076】
次に、尻尾穴形成装置110が、接着装置108の下流側の位置において本体複合体200に尻尾穴70を形成する(ステップST6)。図15に示すように、尻尾穴形成装置110は、回転可能な一対のローラ110Aと、尻尾穴70を形成するカッター110Bと、一対の脚回り開口部15sを形成するカッター110Cを備えている。カッター110Bは、一対のローラ110Aのうち一方のローラ110Aの外周面に取り付けられ、略U字形状の刃先を有する。カッター110Bは、一対のローラ110Aの間を通過する本体複合体200に対して搬送方向CDの反対方向(上流側)に開放された略U字状の切断ラインに沿った切り込み50を入れ、尻尾穴70を形成する(ステップST6)。言い換えれば、切り込み50は、搬送方向CDの下流側に向けて突出する略U字状を有している。図16に示すように、尻尾穴70は、縦方向Yにおいて吸収性コア30とターゲット部45との間の位置であって、横方向Xにおいて一対の伸縮部材40の間の位置で本体複合体200に形成される。
【0077】
略U字状の切り込み50が形成されることにより、舌形状を有する舌片72が形成される。舌片72の先端部72Fは、当該舌片72が折り返されていない状態のときに搬送方向CDの下流側に向けられている。この舌片72が裏面側に折り返されることで尻尾穴70が開口される。
【0078】
なお、一実施形態では、ステップST6において、横方向X(搬送方向CDに垂直な方向)に開放された略U字状の切り込みを入れて尻尾穴70を形成してもよい。言い換えれば、尻尾穴形成装置110は、横方向Xに向けて突出する略U字状の切り込みを形成する。これにより、図4に示すように、舌片72が折り返されていない状態のときに、先端部72Fが横方向Xに向く舌片72が形成される。この舌片72が裏面側に折り返されることで尻尾穴70が開口される。
【0079】
別の実施形態では、ステップST6において、環状の切断ラインに沿った切り込みを入れて尻尾穴70を形成してもよい。ここで、環状の切断ラインとは、本体複合体200の一部を一周に亘って切り取る線を意味し、その平面形状は円環状に限定されず、矩形環状、多角環状等の任意の環形状を含む。環状の平面形状を有する切断ライン沿って切り込みを入れて本体複合体200の一部を切り取ることによって、図5に示すように、舌片72を有しない尻尾穴70が形成される。
【0080】
一実施形態では、尻尾穴70は、本体複合体200の接着領域R1に形成される。接着領域R1は、帯状表面シート210と帯状裏面フィルム221とが直接接着された領域であるので、切り込み50を形成する際に本体複合体200に皺が発生しにくく、歪みが少なく連続した綺麗な尻尾穴70を形成することが可能となる。
【0081】
カッター110Bは、本体複合体200の両側部の一部を切断して、本体複合体200に一対の延出部14及び一対の延出部15に相当する部分を形成すると共に、ペットの後脚を通すための一対の脚回り開口部15sを形成する。一対の脚回り開口部15sは、尻尾穴70と同時に形成されてもよいし、尻尾穴70を形成した後であって折り畳み装置112によって本体複合体200が折り畳まれる前に形成されてもよい。尻尾穴70及び一対の脚回り開口部15sが形成された本体複合体200は、搬送方向CDの下流側へ搬送される。
【0082】
尻尾穴形成装置110の下流側には、尻尾穴センサ122が設けられていてもよい。尻尾穴センサ122は、例えば本体複合体200の尻尾穴70が形成された領域を撮像し、撮像された画像に対して画像認識処理を実行することによって本体複合体200に適切な位置に尻尾穴70が形成されているか否かを判定する。尻尾穴センサ122によって本体複合体200に尻尾穴70が形成されていないと判定された場合には、尻尾穴センサ122は、尻尾穴70に不具合があることを示す情報を製造装置100のオペレータに通知する。
【0083】
次に、折り畳み装置112が、一対の延出部14及び一対の延出部15を本体複合体200の内側に折り畳む(ステップST7)。次に、切断装置114が、本体複合体200を横方向Xに沿って切断して、本体複合体200を複数のペット用おむつ1に分割する。図15に示すように、切断装置114は、回転可能な一対のローラ114Aと、本体複合体200を切断するカッター114Bとを備えている。カッター114Bは、一対のローラ114Aのうち一方のローラ114Aの外周面に取り付けられ、ローラ114Aの軸方向に沿って延在する。一対のローラ114Aによって搬送された本体複合体200を一対の伸縮部材13及び一対の伸縮部材40と共に切断し、本体複合体200を複数のペット用おむつ1に分割する。その結果、複数のペット用おむつ1が製造される。
【0084】
本体複合体200を切断した際には、一対の伸縮部材40の収縮力によってペット用おむつ1が縦方向Yに収縮する。このように収縮したペット用おむつ1に歪みがなく連続した綺麗な尻尾穴70を形成することは容易でない。特に、切り込み50の切断ラインが、搬送方向CDの反対方向に開放された略U字状、横方向Xに開放された略U字状、又は、環状の有する場合には、切り込みの始点の面積が相対的に広くなるため、ペット用おむつ1に付与されるせん断力が分散し、歪んだ尻尾穴70や切り込みが途切れた非連続な尻尾穴70が形成されやすい。これに対し、上述したペット用おむつ1の製造方法では、尻尾穴形成装置110によって尻尾穴70が形成された後に、切断装置114によって本体複合体200を一対の伸縮部材40と共に横方向Xに沿って切断していので、綺麗な尻尾穴70を形成することができる。
【0085】
以上、種々の実施形態に係るペット用おむつ、及び、ペット用おむつの製造方法について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…ペット用おむつ、2…本体部、2S…側端縁、10…表面シート、13…伸縮部材、20…裏面シート、30…吸収性コア、40…伸縮部材、45…ターゲット部、70…尻尾穴、72…舌片、72F…先端部、72R…基端部、75…仮想尻尾穴、80…防漏ギャザー、81…起立部、83…縦固定部、90…ファスニングタブ、93…ウエストギャザー、98…肛門、CL1,CL2…中心線、MP…中間点、W1,W2…最大開口幅。

図1
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