(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】システム、処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230901BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230901BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20230901BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 J
F04B37/16 Z
F04C25/02 K
(21)【出願番号】P 2021156139
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅和
(72)【発明者】
【氏名】谷内 正導
(72)【発明者】
【氏名】坂下 政道
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-090287(JP,A)
【文献】特開2014-001643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
F04B 37/16
F04C 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象が処理
される処理室と、
回転体を内部に設けたケーシングを
備える排気装置と、
前記処理室を経由せずに前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理対象
が処理
されていない時間と前記時間での前記回転体の温度低下との関係に基づき、前記ガス供給部が前記ケーシング内に供給する前記不活性ガスの供給量を制御可能に構成された制御部と、
を備えたシステム。
【請求項2】
前記制御部で制御され、前記ケーシングを加熱するヒータを有している、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御部は、更に前記ヒータの設定温度に基づいて、前記回転体の温度低下を予測することが可能なように構成されている、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記時間と前記回転体の温度低下の間の関係は、前記ヒータの設定温度に応じて保持される、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記処理室と前記排気装置との間に、前記処理室の圧力を調整する圧力調整用バルブを有し、
前記制御部は、前記圧力調整用バルブが
稼働している場合に、前記不活性ガスの供給を停止するように前記ガス供給部を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
更に、前記処理室から排気されるガスを排気する排気管を有し、
前記ガス供給部は、前記圧力調整用バルブの下流の前記排気管に接続される、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス供給部は、加熱された前記不活性ガスを供給するよう構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記処理室で前記処理対象を処理している状態では、前記不活性ガスの供給を停止する、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記処理対象を処理している状態になるときの前記回転体の温度と指定温度とを比較し、前記指定温度以上であれば前記不活性ガスを供給しないように構成され、前記指定温度未満であれば前記不活性ガスを供給するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記処理対象を処理している状態になるときの前記回転体の温度が、所定温度以上になるように前記不活性ガスを供給するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記回転体の温度が所定温度より高く、前記回転体の温度が下降状態のときに、前記不活性ガスを供給するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項12】
更に、前記処理室で使用したガスを排気するポンプを有し、
前記排気装置は、前記処理室と前記ポンプとの間に配置され、
前記制御部は、前記処理対象が処理されていない状態の前記ポンプの排気速度に基づき、前記ガス供給部を制御して前記不活性ガスの供給量を制御するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部は、前記処理対象を処理している状態において前記処理室に供給されたガスの流量に応じて前記不活性ガスの流量を決定する、
請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記不活性ガスは、窒素ガス、または、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、キセノンガスのうち少なくともいずれか一つを含むガスである、
請求項1記載のシステム。
【請求項15】
処理対象が処理
される処理室と、
回転体を内部に設けたケーシングを
備える排気装置と、
前記処理室を経由せずに前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理対象
が処理
されていない時間と前記時間での前記回転体の温度低下との関係に基づき、前記ガス供給部が前記ケーシング内に供給する前記不活性ガスの供給量を制御可能に構成された制御部と、
を備えた
処理装置。
【請求項16】
基板を処理する工程と、
回転体を内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、処理室を経由せずに前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、を少なくとも備えたシステムにより、前記処理室で基板が処理されていない時間と前記時間での前記回転体の温度低下との関係に基づき、前記不活性ガスを前記ケーシング内に
供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
処理対象が処理される処理室と、
回転体を内部に設けたケーシングを備える排気装置と、
前記処理室を経由せずに前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
制御部と、を備えた処理装置で実行されるプログラムであって、
前記処理対象が処理されていない時間と前記時間での前記回転体の温度低下との関係に基づき、前記不活性ガスを前記ケーシング内に供給する手順を前記制御部に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、処理装置、半導体装置の製造方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の基板処理装置の成膜プロセスにおける原料ガスの使用量増加に伴い、ポンプ内部のガス曝露量の増加によって副生成物の付着が顕著となっており、ポンプ内部を反応が起きない温度に制御する必要がある。基板処理装置が待機状態になるとポンプに流入するガス流量が少なくなり、ポンプ内部の温度が下がるため、次のプロセス開始前にポンプ内部の温度を上げるための暖機運転が必要となることがある。
【0003】
成膜プロセスを行う基板処理装置としては、特許文献1に開示の基板処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ポンプ内部の副生成物の付着を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、処理対象が処理される処理室と、回転体を内部に設けたケーシングを備える排気装置と、前記処理室を経由せずに前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、前記処理対象が処理されていない時間と前記時間での前記回転体の温度低下との関係に基づき、前記ガス供給部が前記ケーシング内に供給する前記不活性ガスの供給量を制御可能に構成された制御部と、を備える構成が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の構成によれば、ポンプ内部の副生成物の付着を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す上面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の一例を示す正面側から見た縦断面図である。
【
図3】(A)は本開示の一実施形態に係る処理炉の一例を示す縦断面図であり、(B)は、ガス供給部の一部を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るブースタポンプの一例を示す縦断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のプロセスと時間との関係を示すグラフである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の温度制御動作の概念を説明する概略図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の、ガスの供給量とロータ温度と関係を示すグラフである。
【
図8】ブースタポンプに供給するガスの流量とロータ温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態に係るシステムの一例としての基板処理装置1について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
以下、本開示の限定的でない例示の実施例を説明する。全図面中、同一又は対応する構成については、同一又は対応する符号を付し、重複する説明を省略する。又、後述する収納室13側を正面側(前側)、後述する第1のユーティリティ系54A、第2のユーティリティ系54B側を背面側(後側)とする。更に、後述する第1の処理モジュール2A、第2の処理モジュール2Bの境界線(隣接面)に向う側を内側、境界線から離れる側を外側とする。
【0010】
本実施例に於いて、基板処理装置は、半導体装置(デバイス)の製造方法に於ける製造工程の一工程として、熱処理等の基板処理工程を実施する縦型基板処理装置(以下、基板 処理装置と称する)1として構成されている。
【0011】
図1、
図2に示される様に、基板処理装置1は、第1の処理モジュール2Aと、第2の処理モジュール2Bとを備えている。処理モジュール2A及び2Bは、おおよそ直方体の輪郭を有する筐体又は躯体を有し、それぞれの一側面が互いに平行に密着又は隣接して配置されている。処理モジュール2Aは、第1の処理炉4A(処理炉4A)と第1の搬送室5A(搬送室5A)により構成される。処理モジュール2Bは、第2の処理炉4B(処理炉4B)と第2の搬送室5B(搬送室5B)により構成される。
【0012】
処理炉4Aと処理炉4Bの下方には、搬送室5Aと搬送室5Bがそれぞれ配置されている。搬送室5Aと搬送室5Bの正面側に隣接して、移載室11が配置されている。移載室11は、おおよそ直方体の外形の筐体を有し、ウェーハ8を移載する移載機9が備えられる。移載室11の正面側には、ウェーハ8を複数枚収納するポッド(フープ)12を収納する収納室13が連結されている。収納室13、処理モジュール2A、2B、移載室11は、互いに直交する面からなる多面体を基調とした外径を有し、それぞれ着脱可能に構成され、その接続部は適切な気密性を有する。収納室13の前面には、I/Oポート14が設置され、I/Oポート14を介して基板処理装置1の内外にポッド12が搬入出される。
【0013】
搬送室5A、5Bと移載室11との境界壁(隣接面)には、両者の間で基板を搬入する為の第1のゲートバルブ15A(ゲートバルブ15A)と第2のゲートバルブ15B(ゲートバルブ15B)がそれぞれ設置される。移載室11の天井部には、移載室11にクリーンエアを供給するクリーンユニット17が設置されており、移載室11にクリーンエアとして、例えば不活性ガスを循環させる様に構成されている。移載室11を不活性ガスにて循環パージすることにより、移載室11を清浄な雰囲気とすることができる。
【0014】
処理モジュール2Aと処理モジュール2Bは細部を除き略同一(面対称)の構成を備える為、以下に於いては、代表して処理モジュール2Aについてのみ説明する。
【0015】
図3(A),(B)に示される様に、処理炉4Aは、円筒形状の第1の処理容器18A(反応管18A)と、反応管18Aの外周に設置された加熱手段(加熱機構)としての第1のヒータ19A(ヒータ19Aとを備える。反応管18Aは、例えば石英(Si)やシリコンカーバイド(SiC)によって形成される。反応管18Aの内部には、基板としてのウェーハ8を処理する第1の処理室21A(処理室21A)が形成される。又、反応管18Aには、温度検出器としての第1の温度検出部22Aが反応管18Aの内壁に沿って立設されている。
【0016】
基板処理に使用されるガスは、ガス供給系としての第1のガス供給機構23Aによって処理室21Aに供給される。ガス供給機構23Aが供給するガスは、成膜される膜の種類に応じて換えられる。ここでは、ガス供給機構23Aは、原料ガス供給部、反応ガス供給部、及び不活性ガス供給部を含む。ガス供給機構23Aは、後述する第1の供給ボックス24A(ガスボックス)に収納されている。
【0017】
原料ガス供給部は、原料ガスタンク25Aを備え、原料ガスタンク25Aにはガス供給管25aが接続されている。ガス供給管25aは切換えバルブ28gを介して第1ガス供給管25aa、及び第2ガス供給管25abが接続されている。
【0018】
第1ガス供給管25aaには、上流方向から順次、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)26a及び開閉弁であるバルブ28aが設けられている。第1ガス供給管25aaは第1のマニホールド27A(マニホールド27A)の側壁を貫通するノズル29aに接続されている。ノズル29aは、反応管18A内に上下方向に沿って立設し、第1のボート31A(ボート31A)に保持されるウェーハ8に向って開口する複数の供給孔が形成されている。ノズル29aの供給孔を通してウェーハ8に対して原料ガスが供給される。
【0019】
第2ガス供給管25abには、マスフローコントローラ(MFC)26f、及び開閉弁であるバルブ28fが設けられている。第2ガス供給管25abは、後述する第1のコンダクタンス可変バルブ36Aと第1のブースタポンプ38Aとの間の排気管34Aに接続されている。
【0020】
以下、同様の構成にて、反応ガス供給部は、反応ガスタンク25Bを備え、反応ガスタンク25Bからは、ガス供給管25b、MFC26b、バルブ28b及びノズル29bを介して、反応ガスがウェーハ8に対して供給される。不活性ガス供給部は、不活性ガスタンク25Cを備え、不活性ガスタンク25Cからは、ガス供給管25c,25d、MFC26c,26d、バルブ28c,28d、及びノズル29a,29bを介して、ウェーハ8に対して不活性ガスが供給される。
【0021】
また、不活性ガスタンク25Cからは、ガス供給管25e、MFC26e、及びバルブ28eを介して、後述する排気管34Aに対して不活性ガスを供給することができる。
【0022】
反応管18Aの下端開口部には、円筒形のマニホールド27Aが、Oリング等のシール部材を介して連結され、反応管18Aの下端を支持している。マニホールド27Aの下端開口部は、搬送室5Aの天井に対応して配置されており、円盤状の第1の蓋部32A(蓋部32A)によって開閉される。蓋部32Aの上面にはOリング等のシール部材が設置されており、これにより反応管18Aと外気とが気密にシールされる。蓋部32A上には、第1の断熱部33A(断熱部33A)が載置される。
【0023】
マニホールド27Aには、軸心に対して直交する方向、即ち反応管18Aの管軸に対して直交する方向に延出する第1の排気ポート30A(排気ポート30A)が形成され、排気ポート30Aを介して第1の排気管34Aが取付けられている。
【0024】
排気管34Aには、処理室21Aの圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての第1の圧力センサ35A(圧力センサ35A)と、圧力調整用バルブ(圧力調整部)としての第1のコンダクタンス可変バルブ36Aを介して、排気装置の一例としての第1のブースタポンプ38Aが接続されている。なお、第1のコンダクタンス可変バルブ36Aを調整することで、処理室21Aから排出されるガスの流量を調整することができる。
【0025】
排気管34Aには、第1のコンダクタンス可変バルブ36Aと第1のブースタポンプ38Aとの間に、不活性ガス供給部からの不活性ガスを供給するガス供給管25eが接続されている。
【0026】
第1のブースタポンプ38Aには、排気方向下流側にメインポンプ70Aが接続されている。メインポンプ70Aには、ドライポンプ等の真空ポンプが用いられている。
【0027】
又、ブースタポンプ38Aは、メインポンプ70Aの排気速度が減少する圧力領域(例えば、1Pa~1kPa)に於いて、排気速度を向上させる。その排気速度は、到達真空度付近を除き、回転体としてのロータの回転速度により決まるので、メインポンプ70Aのみ用いた場合に比べて排気速度のばらつきも軽減される。尚ブースタポンプ38Aとして、ルーツ型の他、回転翼型(軸流型)、スクリュー型、スクロール型等の各種のメカニカルブースタポンプが使用でき、更にはターボ分子ポンプ、イジェクタ等の圧縮作用を有するあらゆる種類のポンプが使用されうる。
【0028】
尚、コンダクタンス可変バルブ36Aは、圧力調整用のAPC(AutoPressure Controller)バルブを含む構成となっている。主に、排気管34A、圧力センサ35A、コンダクタンス可変バルブ36Aにより、第1の排気系としての排気系39Aが構成される。排気系39Aは、後述する第1の排気ボックス40A(排気ボックス40A)に収納されうる。
【0029】
処理室21Aは、複数枚、例えば10~150枚のウェーハ8を垂直に棚状に支持する基板保持具としてのボート31Aを内部に収納する。ボート31Aは、蓋部32A及び断熱部33Aを貫通する第1の回転軸41A(回転軸41A)により、断熱部33Aの上方に支持される。回転軸41Aは、蓋部32Aの下方に設置された第1の回転機構42A(回転機構42A)に接続されており、回転軸41Aは反応管18Aの内部を気密にシールした状態で回転可能に構成される。蓋部32Aは、昇降機構としての第1のボートエレベータ43A(ボートエレベータ43A)により上下方向に駆動される。これにより、ボート31A及び蓋部32Aが一体的に昇降され、反応管18Aに対してボート31Aが搬入 出される。
【0030】
図3(A)に示すように、基板処理装置1は、コントローラ46を備えている。
図3(A)に示す回転機構42A、ボートエレベータ43A、MFC26a~26f、バルブ28a~28f、切替えバルブ28g、コンダクタンス可変バルブ36A、圧力センサ35A、第1のポンプコントローラ63A(
図1参照)等は、これらを制御するコントローラ46に接続されている。
【0031】
(コントローラ)
コントローラ46は、例えばCPUを備えたマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなり、処理モジュール2A、2Bの動作を制御可能とする様に構成される。コントローラ46には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置47が接続されている。コントローラ46は、処理モジュール2Aと処理モジュール2Bとでそれぞれに1つずつ設置されてもよいし、共通して1つ設置されてもよい。
【0032】
コントローラ46には記憶媒体としての記憶部48が接続されている。記憶部48には、基板処理装置1の動作を制御する制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置1の各構成部に処理を実行させる為のプログラム(レシピとも言う)が、読出し可能に格納される。
【0033】
記憶部48は、コントローラ46に内蔵された記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリ)であってもよいし、可搬性の外部記憶装置(磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)であってもよい。又、コンピュータへのプログラムの提供は、インターネットの専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。プログラムは、必要に応じて、入出力装置47からの指示等にて記憶部48から読出され、読出されたレシピに従った処理をコントローラ46が実行することで、基板処理装置1はコントローラ46の制御のもと、所望の処理を実行する。コントローラ46は、基板処理装置1の任意の場所に設けたコントロールボックス(図示せず)に収納される。
【0034】
次に、基板処理装置1の背面構成について説明する。
【0035】
(ユーティリティ系)
処理モジュール2A、2Bの背面に近接して、後方に伸びる第1のユーティリティ系54A(ユーティリティ系54A)及び第2のユーティリティ系54B(ユーティリティ系54B)が設置されている。ユーティリティ系54A、54Bは、メンテナンスエリアを介在して対向して面対称に配置される。ユーティリティ系54A、54Bは、供給ボックス24A、24B、排気ボックス40A、40B、ブースタポンプ38A、38Bを有する。ユーティリティ系54A、54Bの各ボックスのメンテナンス口は、それぞれ内側(メンテナンスエリア側)に形成されている。
【0036】
ユーティリティ系54A、54Bは、細部を除き略同一の構成を備える為、以下に於いては、代表してユーティリティ系54Aについてのみ説明する。供給ボックス24Aは、搬送室5Aの背面の外側寄りの部分に隣接して配置される。排気ボックス40Aは、処理炉4Aの背面の外側寄りの部分に隣接して配置される。
【0037】
(ブースタポンプ38A)
次に、
図4にしたがって、ブースタポンプ38Aについて説明する。本実施例に於けるブースタポンプ38Aは、縦置きに設置する様に構成されている。縦置きに設置することで、フットプリント(設置面積)を小さくしている。なお、ブースタポンプ38Bもブースタポンプ38Aと同様である。
【0038】
ブースタポンプ38Aは、内部に空間(ロータ室)を有する本体(ケーシング)61Aと、本体61A内で回転する1乃至複数のロータ59Aと、排気管34Aと接続され本体61Aの上部側面に設けられた吸気口56Aと、本体61Aの側面下部に設けられ、ガスを排気する第1の排気口62Aと、ロータ59Aの回転軸57Aを回転するモータ58Aと、モータ58Aを制御する第1のポンプコントローラ63Aと、バラストガスや冷却水等を供給する為の付属設備(不図示)とから構成されている。なお、第1のポンプコントローラ63Aは、コントローラ46(
図3(A)参照)に接続されている。
【0039】
ブースタポンプ38Aの内部には、吸気口56A内、排気口62A内、及び本体61Aとロータ59Aとの間の移動する中間室によって、第1のガス流路65A(ガス流路65A)が形成されている。
【0040】
吸気口56Aから導入されたガスは、ガス流路65Aを流通して排気口62Aから排出される様に構成されている。吸気口56Aは、ロータ室を直接臨む様に回転軸57Aと直交して開口し、排気口62Aは、吸気口56Aと同じ若しくは反対側の側面に開口し、配管(
図4では不図示。
図3参照。)を介してメインポンプ70A(
図4では不図示。
図3参照。)の吸気口に接続される。
【0041】
回転軸57Aが上下方向に延伸して配置されている為、本体61Aは縦長である。本体61Aは鋳鉄製であり、大きな重量を有する。モータ58Aを本体61Aの上に設けたことにより、ブースタポンプ38Aの重心を極力低くでき、ブースタポンプ38Aを安定して設置できる様構成されている。
【0042】
図4に示すように、ブースタポンプ38Aの本体61Aの外面には、本体61Aを加熱する電気ヒータ72と、本体61Aの温度を検出する温度センサ74が設けられている。一例として、電気ヒータ72は、本体61Aの外周面を覆うように設けられており、本体61Aを介してロータ59Aを間接的に加熱可能としている。これら電気ヒータ72、及び温度センサ74は、コントローラ46に接続されている。
【0043】
回転軸57Aで駆動されるロータ59Aは、複数のロータ、例えば2つのロータからなる2段ルーツ式となっている。排気管34Aを介して吸気口56Aから吸引されるガスは、ロータ59Aの回転と共にガス流路65A内を回転しながら排気口62Aに導入される。
【0044】
ここで、吸気口56Aが本体61Aの上部側面に設けられ、排気ポート30Aと吸気口56Aは、同一又は略同一高さとなっている。従って、排気管34Aの形状を直線状とし、且つ水平に配置することができるので、排気ポート30Aと吸気口56Aとの距離を最短とすることができ、ブースタポンプ38Aの排気能力を最大限に活かすことができる。
【0045】
一方で排気口62Aを本体61Aの下部に設けることで、例えば、下のフロアに設置されたメインポンプ70A迄の配管(図示せず)の引回しを短くすることができる。
【0046】
次に、基板上に膜を形成する処理(成膜処理)の概略について説明する。ここでは、ウェーハ8に対して、原料ガスと、反応ガスとを供給することで、ウェーハ8上に膜を形成する例について説明する。尚、以下の説明に於いて、基板処理装置1を構成する各部の動作は、プロセスレシピを実行させるためのプログラムに基づき、コントローラ46により制御される。
【0047】
(ウェーハチャージ及びボートロード)
ゲートバルブ15Aを開き、ボート31Aに対してウェーハ8を搬送する。複数枚のウェーハ8がボート31Aに装填(ウェーハチャージ)されると、ゲートバルブ15Aが閉じられる。ボート31Aは、ボートエレベータ43Aによって処理室21Aに搬入(ボートロード)され、反応管18Aの下部開口は蓋部32Aによって気密に閉塞(シール) された状態となる。
【0048】
(圧力調整及び温度調整)
処理室21Aが所定の圧力(真空度)となる様に、ブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aによって真空排気(減圧排気)される。処理室21Aの雰囲気(空気)は、排気管34内を直線状又は略直線状に流通し、ブースタポンプ38A,及びメインポンプ70A内を通って排気される。処理室21Aの圧力は、圧力センサ35Aで測定され、この測定された圧力情報に基づき、コンダクタンス可変バルブ36Aがフィードバック制御される。又、処理室21Aのウェーハ8が所定の温度となる様に、ヒータ19Aによって反応管18Aが加熱される。この際、処理室21Aが所定の温度分布となる様に、温度検出部22Aが検出した温度情報に基づき、ヒータ19Aへの通電具合がフィードバック制御される。又、回転機構42Aによるボート31A及びウェーハ8の回転を開始する。
【0049】
(成膜処理)
[原料ガス供給工程]
処理室21Aの温度が予め設定された処理温度(一例として、後述する
図5で示すB℃)に安定すると、処理室21Aのウェーハ8に対して原料ガスを供給する。原料ガスは、MFC26aにて所望の流量となる様に制御され、ガス供給管25a、第1ガス供給管25aa、及びノズル29aを介して処理室21Aに供給される。
【0050】
原料ガスとしては、例えば、MCS(SiH3Cl:モノクロロシラン)ガス、DCS(SiH2C2:ジクロロシラン)ガス、TCS(SiHCl3:トリクロロシラン)ガス、HCD(Si2 C16 :ヘキサクロロジシラン)ガス、等の無機系ハロシラン原料ガスや、3DMAS(Si[N(CH3)2 ]3H:トリスジメチルアミノシラン)ガス、BTBAS(SiH2 [NH(C4H9)]2 :ビスターシャリブチルアミノシラン)ガス等のハロゲン基非含有のアミノ系(アミン系)シラン原料ガスや、MS(SiH4:モノシラン)ガス、DS(Si2H6 :ジシラン)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを用いることができる。
【0051】
[原料ガス排気工程]
次に、原料ガスの供給を停止し、ブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aにより処理室21Aを真空排気する。処理室21Aの原料ガスは、排気管34A内を直線状又は略直線状に流通し、ブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aを介して排気される。この時、不活性ガス供給部から不活性ガスを処理室21Aに供給してもよい(不活性ガスパージ)。
【0052】
不活性ガスとしては、例えば、 窒素(N2)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。この点は、後述する各工程(ステップ)においても同様である。
【0053】
[反応ガス供給工程]
次に、処理室21Aのウェーハ8に対して反応ガスを供給する。反応ガスは、MFC26bにて所望の流量となる様に制御され、ガス供給管25b及びノズル29bを介して処理室21Aに供給される。
【0054】
反応ガスとしては、例えば酸化ガスを用いることができる。酸化ガスとしては、例えば、酸素(O2)ガス、オゾン(O3)ガス、プラズマ励起されたO2(O2*)ガス、O2ガス+水素(H2)ガス、水蒸気(H2Oガス)、過酸化水素(H2O2)ガス、亜酸化窒素(N2O)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO2)ガス等の酸素(O)含有ガス等を用いることができる。酸化ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0055】
[反応ガス排気工程]
次に、反応ガスの供給を停止し、ブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aにより処理室21Aを真空排気する。処理室21Aの反応ガスは、排気管34A内を直線状又は略直線状に流通し、ブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aを介して排気される。この時、不活性ガス供給部から不活性ガスを処理室21Aに供給してもよい(不活性ガスパージ)。
【0056】
上述した4つの工程を行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことにより、ウェーハ8上に、所定組成及び所定の膜を形成することができる。
【0057】
(ボートアンロード及びウェーハディスチャージ)
ウェーハ8に対して所定の膜を形成した後、不活性ガス供給部から不活性ガスが供給され、処理室21Aが不活性ガスで置換されると共に、処理室21Aの圧力が常圧に復帰される。その後、ボートエレベータ43Aにより蓋部32Aが降下され、ボート31Aが反応管18Aから搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済ウェーハ8は、ボート31Aより取出される(ウェーハディスチャージ)。
【0058】
その後、ウェーハ8はポッド12に収納され、基板処理装置1外に搬出されてもよいし、処理炉4Bへ搬送され、例えばアニール等の基板処理が連続して行われてもよい。処理炉4Aでのウェーハ8の処理後に連続して処理炉4Bでウェーハ8の処理を行う場合、ゲートバルブ15A及び第2のゲートバルブ15Bを開とし、ボート31Aから第2のボート31B(ボート31B)へウェーハ8が直接搬送される。その後の処理炉4B内へのウェーハ8の搬入出は、上述の処理炉4Aによる基板処理と同様の手順で行われる。又、処理炉4Bでの基板処理は、例えば上述の処理炉4Aによる基板処理と同様の手順にて行われる。
【0059】
ウェーハ8に膜を形成する際の処理条件としては、例えば下記が例示される。処理温度(ウェーハ温度):300℃~700℃、 処理圧力(処理室の圧力):1Pa~4000Pa、原料ガス:100sccm~10000sccm、反応ガス(酸化ガス):100sccm~10000sccm、不活性ガス:100sccm~10000sccm、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内の値に設定することで、成膜処理を適正に進行させることができる。
【0060】
(ブースタポンプの暖機運転)
ところで、ブースタポンプ38Aを駆動し、ブースタポンプ38Aにガスが導入されると、ブースタポンプ38A内でガスが圧縮されて圧縮熱が生成され、ブースタポンプ38Aの温度が上昇する。
一方、メンテナンスで、ブースタポンプ38Aを長時間停止しているだけでなく、ブースタポンプ38Aを駆動していても、流れるガスの流量が少なければ、圧縮熱が生成されないため、ポンプ内の温度は低下する。ポンプの温度が低下した場合、ブースタポンプ38Aの暖機運転を行うが、暖機運転は時間がかかるため、装置稼働率の低下の要因の一つとなっていた。
【0061】
また、温度が低下したまま、ブースタポンプ38Aで処理ガス(一例として、原料ガス、反応ガス)の排気を行うと、冷えたロータ59A(場合によっては処理ガスが接する本体61A内部)に副生成物(一例としてSiO膜)が付着してしまい、ブースタポンプ38Aの駆動に支障が生ずる場合、言い換えれば、ブースタポンプ38Aの所定の性能が発揮できなくなったり、ブースタポンプ38Aが閉塞してしまう場合がある。
【0062】
そこで、本実施形態の基板処理装置1では、メンテナンス等により温度低下したロータ59Aに副生成物が付着しないように以下のような対策を行っている。
【0063】
図5に示すグラフでは、ブースタポンプ38A等の装置の駆動状況と時間との関係が示されている。
【0064】
(1)ブースタポンプ1次暖機運転
基板処理装置1を、メンテナンス後に最初に起動して、最初のウェーハ8を処理する前に、電気ヒータ72によるブースタポンプ38Aの本体61Aの加熱が開始されるとともに、不活性ガスタンク25Cの不活性ガスを、ガス供給管25e、MFC26e、及びバルブ28eを介して排気管34Aに供給しながらブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aを駆動し、ブースタポンプ38Aの1次暖機運転を行う。なお、ガス供給管25e、MFC26e、及びバルブ28eを介して排気管34Aに不活性ガスを供給する際に、コンダクタンス可変バルブ36Aは閉止する。
【0065】
1次暖機運転では、ブースタポンプ38Aで不活性ガスを圧縮してメインポンプ70Aへ排気することで圧縮熱が生成される。ここで、ブースタポンプ38Aは、吸引したガスを圧縮して排気するため、ロータを回転させると、ガスが圧縮され圧縮熱が生成される。そのため、ガスを圧縮して生成された圧縮熱でロータを加熱することができる。なお、処理室21Aを経由しないでブースタポンプ38Aに導入されるガスは、処理室21Aで処理対象を処理するガスと同種のガスであってもよく、異なるガスであってもよい。一例として、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度が目標温度(A℃)よりも若干低い温度(D℃)を保持されている場合について以下説明する。この場合、
図5に示すように、不活性ガスの圧縮熱による温度上昇が不足しているので、目標温度(A℃)と低い温度(D℃)の差(℃)が算出され、この差分の温度上昇を行えるように不活性ガスの流量が更に多く設定される。なお、ここで説明する目標温度(A℃)とは、副生成物がロータ59Aに付着しないロータ59Aの温度のことである。
【0066】
圧縮熱の発熱量は、ブースタポンプ38Aに供給する不活性ガスの供給量をMFC26eで調整することで増減させることができる。不活性ガスの供給量は、コントローラ46でMFC26eを制御することで調整される。例えば、ブースタポンプ38Aに供給する不活性ガスの供給量が多くなると圧縮熱の発熱量は増え、供給量が少なくなると発熱量は減少する。
【0067】
この1次暖機運転では、一般的には、ブースタポンプ38Aへの不活性ガスの供給量を、ウェーハ8の成膜中の基板の処理に寄与するガスの定常状態の供給量と同じに設定しているが、ブースタポンプ38Aへの不活性ガスの供給量は、必要に応じて増減可能である。
【0068】
(3)ブースタポンプ2次暖機運転
2次暖機運転では、算出された目標温度(A℃)と低い温度(D℃)との温度差以上の温度上昇を行えるよう不活性ガスの流量がブースタポンプ38Aへ供給される。この不活性ガスの圧縮熱による加熱により、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度を、目標温度(A℃)よりも高い温度(B℃)に到達させることができる。このように、2次暖機運転では、コントローラ46は、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度を、目標温度(A℃)よりも高い温度(B℃)に到達させることができる。
暖機運転において、電気ヒータ72の加熱だけでなく、不活性ガスの圧縮熱によるアシストによりロータ69Aの温度を上昇させているものの、不活性ガスの流量を一度に供給できる流量が限られているため、上述のようにウェーハ8の成膜中の基板の処理に寄与するガスの定常状態の供給量に合わせている。従い、この定常状態の供給量での圧縮熱による温度上昇のアシストで、目標温度(A℃)(好ましくは温度(B℃))に達する場合は、本実施形態のように2段階の暖機運転にする必要はない。
なお、MFC26eを制御して不活性ガスの供給量を調整し、温度(B℃)に到達後、MFC26fを制御して原料ガスを供給するようにしてもよい。例えば、ガス供給管25eのバルブ28eを閉じられ、排気管34Aへの不活性ガスの供給を停止される。続いて、原料ガスタンク25Aの原料ガスを、ガス供給管25a、切換えバルブ28g、第2ガス供給管25ab、MFC26f、及びバルブ28fを介して排気管34Aへ供給され、ブースタポンプ38Aは、原料ガスを圧縮し、ブースタポンプ38Aは原料ガスの圧縮熱で加熱される。よって、ロータ59Aが高い温度(B℃)が維持される。
【0069】
(4)プロセス(基板の処理)状態
2次暖機運転で、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度を、目標温度(A℃)よりも高い温度(B℃)に到達させているので、ブースタポンプ38Aは、ロータ59Aに副生成物が付着しないように、基板処理時の原料ガスの受け入れ態勢ができている。したがって、切換えバルブ28gを切り替え、処理室21Aのウェーハ8に対して原料ガスを供給して前述した原料ガス供給工程を行うことができる。
【0070】
なお、処理室21Aでは、反応ガス供給工程、及び反応ガス排気工程が引き続き行われ、それぞれの工程で基板の処理に寄与するガスの流量が制御される。例えば、処理室21Aでウェーハ8を処理した後の原料ガスは、開状態とされたコンダクタンス可変バルブ36Aを介して、ブースタポンプ38A、及びメインポンプ70Aに排気される。
【0071】
ここでは、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度を、目標温度(A℃)よりも高い温度(B℃)で保持される。例えば、コントローラ46がMFC26a、及び第1のコンダクタンス可変バルブ36Aを制御してブースタポンプ38Aへの原料ガスを含むそれぞれの工程で基板の処理に寄与するガスの供給量を調整する。
【0072】
なお、処理室21Aで、原料ガス供給工程、反応ガス供給工程、及び反応ガス排気工程が行われている間、コントローラ46により電気ヒータ72は制御されている。
【0073】
(5)ブースタポンプ3次暖機運転
ウェーハ8の処理(プロセス)が終了した後、処理室21Aから処理済みのウェーハ8を取り出して、次の未処理のウェーハ8を処理室21Aへ搬入するまでの待機状態では、処理室21Aからのガスはブースタポンプ38Aに導入されなくなる。
【0074】
このような待機状態では、排気されるガスの流量が少なくなり、圧縮熱が生成されにくく、ブースタポンプ38Aの温度が徐々に低下する。次の未処理のウェーハ8の処理が始まるまでの時間が長いと、ロータ59Aの温度が目標温度(A℃)よりも低下する場合があり、次のウェーハ8の処理の前で前述した暖機運転を行わなければならない。
【0075】
そのため、本実施形態では、コントローラ46が、ロータ59Aの温度が目標温度(A℃)まで低下する時点を予測し、ロータ59Aが、目標温度(A℃)よりも若干高い温度(一例としてC℃< B℃)となるように各部を制御し、不活性ガスタンク25Cの不活性ガスを、ガス供給管25e、MFC26e、及びバルブ28eを介して排気管34Aへ供給し、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度を、待機状態中であっても目標温度(A℃)よりも若干高い温度(C℃)で維持する。
【0076】
図6には、ロータ59Aの温度が目標温度以下となる時間を予測する概念が示されている。
図6に示すように、ウェーハ8の処理(成膜のプロセス)が終了し、装置が待機状態となった時点から、排気装置は運転しているが排気されるガスが減少し圧縮熱が生じなくなるため、ロータ59Aの温度が徐々に低下する。予め、ロータ59Aの温度と経過時間との関係を実験等で測定し、コントローラ46には、実験等で得られた温度と時間との関係(テーブル)が予め記憶されているため、コントローラ46は、ロータ59Aが、目標温度(A℃)よりも若干高い温度(一例としてC℃< B℃)となるように各部を制御することができる。コントローラ46には、B℃も予め記憶されている。
【0077】
以上のようにしてコントローラ46でロータ59Aの温度を制御しているので、次のウェーハ8の処理、及びそれ以降のウェーハ8の処理についても、初回のウェーハ8の処理時と同様に、ブースタポンプ38Aのロータ59Aに、副生成物が付着することを抑制できる。
【0078】
原料ガスの変更による副生成物付着防止の目標温度の変更や、ブースタポンプ38Aの変更による耐熱温度の変更が必要になった場合、待機時間とロータ温度の関係のテーブルから参照する値を変更することで、各種の変更に柔軟に対応することができる。
【0079】
なお、上記実施形態では、メンテナンス後の1次暖機運転時において、ブースタポンプ38Aへの不活性ガスの供給量を、ウェーハ8の成膜中の原料ガスの定常状態の供給量と同じに設定していたが、1次暖機運転時において、ブースタポンプ38Aへの不活性ガスの供給量を、ウェーハ8の成膜中の原料ガスの定常状態の供給量よりも増量することもできる。
【0080】
図7には、1次暖機運転時において、ブースタポンプ38Aへの不活性ガスの供給量を、ウェーハ8の成膜中の定常状態の供給量と同じに設定していた場合と、増量した場合とのロータ温度を比較したグラフが示されている。
図7において、縦軸はブースタポンプ38Aに供給する不活性ガスの流量を示し、横軸は時間を示している。
【0081】
図7に示すように、1次暖機運転時において、ブースタポンプ38Aへの不活性ガスの供給量をウェーハ8の成膜中の定常状態の供給量よりも増量することで、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの温度を迅速に昇温できることが分かる。
【0082】
なお、ブースタポンプ38Aに対して不活性ガスを過剰に供給すると、ロータ59Aを回転させるモータ58Aに大きな負荷が掛かり、ロータ59Aの回転数が低下して好ましくない。
図7中の※1の一点鎖線は、ブースタポンプ38Aのロータ59Aの回転数が低下しない流量(供給量)の上限を示しており、定常状態よりも不活性ガスの供給量を増量する場合、一点鎖線で示す上限未満となるようにブースタポンプ38Aへ供給する不活性ガスの供給量を設定することが好ましい。
【0083】
(電気ヒータによるブースタポンプ38Aの本体61Aの加熱)
本実施形態の基板処理装置1では、ブースタポンプ38Aの本体61Aを電気ヒータ72で加熱することができる。本体61Aを加熱することで、本体61Aの熱を本体61Aの内部に設けられたロータ59Aに付与し、ロータ59Aの温度を昇温させることができる。
【0084】
コントローラ46は、電気ヒータ72の設定温度と、本体61Aの温度を測定する温度センサ74からの温度検出値と、ロータ59Aの温度と時間との関係に基づいて、ロータ59Aの温度の低下を予測することができる。
【0085】
そのため、コントローラ46は、ロータ59Aの温度低下の予測に基いて電気ヒータ72の温度を制御し、ロータ59Aに副生成物が付着しないようにロータ59Aを加熱することができる。
【0086】
本実施形態の基板処理装置1では、電気ヒータ72でロータ59Aを加熱することができるため、圧縮熱だけでロータ59Aを加熱する場合に比較して、迅速にロータ59Aを加熱することができ、暖機運転に要する時間を短縮することができる。
【0087】
なお、
図8に示すグラフは、電気ヒータ72の設定温度、ロータ59Aの温度、及びメインポンプ70Aの排気速度との関係を示したものである。
図8において、縦軸はロータ59Aの温度を示し、横軸はブースタポンプ38Aに供給するガスの流量を示している。また、実線で示すグラフ線は、電気ヒータ72の設定温度をb℃に設定し、メインポンプ70Aの排気速度を小に設定したときのものであり、点線で示すグラフ線は、電気ヒータ72の設定温度をb℃に設定し、メインポンプ70Aの排気速度を大に設定したときのものである。
【0088】
図8から、ブースタポンプ38Aの本体61Aを電気ヒータ72でb℃に加熱しても、ブースタポンプ38Aを駆動してもブースタポンプ38Aへ供給するガスの供給量が零である場合、ロータ59Aの温度は、b℃よりも低いa℃までしか昇温できないことが分かる。これは、
図4に示すように、本体61Aとロータ59Aとの間に隙間があり、ブースタポンプ38Aの構造上、電気ヒータ等で直接的にロータ59Aを加熱できないためである。
【0089】
また、
図8から、本体61Aを電気ヒータ72で加熱し、ブースタポンプ38Aにガスを供給してブースタポンプ38Aを駆動すると、圧縮熱が生成され、ロータ温度が上昇することが分かり、さらに、ブースタポンプ38Aに供給するガスの流量を増やすことで、ロータ温度が高くなることが分かる。
【0090】
なお、ブースタポンプ38Aを駆動する際に、メインポンプ70Aも駆動するが、メインポンプ70Aの排気速度が小の場合(実線で示すグラフ線)と、大の場合(点線で示すグラフ線)とを比較すると、排気速度が大の方が排気速度が小よりもロータ温度は低くなっている。これは、ブースタポンプ38Aの排気側にあるメインポンプ70Aの排気速度が大きくなると、ブースタポンプ38Aのガスの圧縮量が減少して圧縮熱の生成量が減少するためである。したがって、ロータ温度が高くなるように、ブースタポンプ38Aとメインポンプ70Aとの能力のバランスを取ることが好ましい。
【0091】
本実施形態によれば、以下の一つまたは複数の効果が得られる。
【0092】
(1)制御部は、処理対象を処理した後、電気ヒータを駆動しつつ、ガス供給部を制御して所定量のガスをケーシング内に供給し、ロータの温度を目標温度以上とすることができる。よって、ロータに副生成物が付着しないようにすることができる。従い、副生成物がロータに付着することを抑制できるので、排気装置の閉塞を抑制でき、排気装置のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0093】
(2)メンテナンス後や処理対象の処理の待機中に、処理室を経由しないガスを排気装置に供給しながら排気装置を暖機運転することができる。
【0094】
(3)処理室と排気装置との間に、処理室の圧力を調整する圧力調整用の可変バルブを有し、制御部は、可変バルブが開状態の場合に、処理室を経由しないガスの供給を停止するようにガス供給部を制御することができる。処理室で使用されたガスを排気する際に、該ガスは、圧力調整用の可変バルブを通過して排気装置で排気される。排気装置を駆動してガスを排気している間は、圧縮熱が生成されてロータは加熱されているため、処理室を経由しないガスを排気装置に供給する必要はない。
【0095】
(4)ガスで基板を処理する処理室と、ロータを内部に設けたケーシングを備え、処理室で使用したガスを排気する排気装置と、処理室を経由せずに排気装置にガスを供給するガス供給部と、基板を処理した後、電気ヒータを駆動しつつ、前記ガス供給部を制御して所定量のガスをケーシング内に供給し、ロータの温度を目標温度以上にする制御部と、を有する。排気装置に吸引されたガスが圧縮されて排気されるため、ロータを回転させると、ガスが圧縮され圧縮熱が生成される。従い、ガスを圧縮して生成された圧縮熱でロータを加熱することができる。
【0096】
これにより、制御部は、電気ヒータを駆動しつつ、ガス供給部を制御して所定量のガスをケーシング内に供給するので、ロータの温度を目標温度以上とすることができる。従い、ロータに副生成物が付着しないようにすることができる。副生成物がロータに付着することを抑制できるので、排気装置の閉塞を抑制でき、排気装置のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0097】
(5)制御部は、排気装置とガス供給部とを備え、ロータの温度を目標温度以上とするように、ガス供給部を制御して処理室を経由しないで所定流量のガスを排気装置のケーシング内に供給することができる。これにより、長時間の待機状態であり、処理室に基板が無い状態で処理ガスを供給することが無い場合であっても、予め必要なガスの圧縮熱を予測してガス(例えば、不活性ガス)を供給することができる。これにより、ロータの温度が低下し、ロータに副生成物が付着することを防止することができる。
【0098】
このようにして、処理室を経由しないガス(例えば、不活性ガス)を供給しつつ排気装置を運転することができるので、副生成物がロータに付着することを抑制できるので、排気装置の閉塞等を抑制できる。結果として、排気装置のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0099】
[その他の実施形態]
以上、本開示の実施例を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0100】
本開示は、この様な態様に限定されず、ウェーハ8上に形成される膜の種類は限定されない。ウェーハ8上に形成される膜としては、一例として、SiO膜を挙げることができる。これらの他、若しくは、これらに 加え、アンモニア(NH3)ガス等の窒素(N)含有ガス(窒化ガス)、プロピレン(C3H6)ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl3)ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、SiN膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiB N膜、SiBCN膜等を形成することができる。これらの成膜を行う場合に於いても、上述の実施例と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
又例えば、本開示は、ウェーハ8上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む膜、すなわち、金属系膜を形成する 場合に於いても、好適に適用可能である。
【0102】
上述の実施形態では、ウェーハ8上に膜を堆積させる例について説明したが、本開示は、この様な態様に限定されない。例えば、ウェーハ8やウェーハ8上に形成された膜等に対して、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の処理を行う場合にも、好適に適用可能である。
【0103】
さらに、本開示は、処理装置として、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置でも適用できる。また、成膜処理には、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、またはその両方を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等を含む。更に、処理としては、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理でも構わない。
【0104】
又、本開示は以下の態様を含む。
(付記1)
本開示の一態様によれば、
ロータ(回転体)を内部に設けるケーシング(外枠)を備えた排気装置と、
処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室で基板が処理されていない状態において、予め予想される前記ロータの温度低下に基づき、前記不活性ガスの流量を決定することが可能なように構成された制御部と、
を少なくとも備えたシステムが提供される。
【0105】
(付記2)
前記制御部は、前記処理室で基板を処理している状態において前記処理室に供給されたガスの流量に応じて前記不活性ガスの流量を決定する、
(付記1)のシステム。
【0106】
(付記3)
更に、前記ロータが内部に設けられるケーシングを外部から加熱するヒータを有し、
前記制御部は、前記ヒータの設定温度と、前記ケーシング内に設けられた温度センサからの温度検出値と、前記ロータの温度と時間との関係(テーブル)に基づいて、前記ロータの温度の低下を予測することが可能なよう構成されている、
(付記1)のシステム。
【0107】
(付記4)
前記ロータの温度と時間との関係(テーブル)は、前記ヒータの設定温度に応じて保持される、
(付記3)のシステム。
【0108】
(付記5)
更に、前記処理室の圧力を調整する圧力調整用バルブを有し、
前記制御部は、前記圧力調整用バルブが稼働しているとき、前記不活性ガスの供給を停止する、
(付記1)のシステム。
【0109】
(付記6)
更に、前記処理室から排気されるガスを排気する排気管を有し、
前記ガス供給部は、前記圧力調整用バルブの下流の前記排気管に接続される、
(付記1)のシステム。
【0110】
(付記7)
前記ガス供給部は、加熱された前記不活性ガスを供給するよう構成されている、
(付記1)のシステム。
【0111】
(付記8)
前記制御部は、前記処理室で基板を処理している状態では、前記不活性ガスの供給を停止する、
(付記1)のシステム。
【0112】
(付記9)
前記制御部は、前記処理室で基板を処理している状態になるときの前記ロータの(予測)温度と指定温度(閾値)を比較し、指定温度(閾値)以上であれば前記不活性ガスを供給しないように構成され、指定温度(閾値)未満であれば前記不活性ガスを供給するように構成されている、
(付記3)のシステム。
【0113】
(付記10)
前記制御部は、前記処理室で基板を処理している状態になるときの前記ロータの(予測)温度が、指定温度(閾値)以上になるように前記不活性ガスを供給するように構成されている、
(付記9)のシステム。
【0114】
(付記11)
前記不活性ガスは、窒素(N2)ガス、または、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスである(付記1)、(付記5)、(付記7)乃至(付記10)のいずれか一つのシステム。
【0115】
(付記12)
本開示の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
ロータを内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、
前記処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室で基板が処理されていない状態において、予め予想される前記ロータの温度低下に基づき、前記不活性ガスの流量を決定することが可能なように構成された制御部と、
を少なくとも備えた基板処理装置が提供される。
【0116】
(付記13)
本開示の更に他の態様によれば、
基板を処理する工程と、
ロータを内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、を少なくとも備えたシステムにより、前記処理室で基板が処理されていない状態において、予め予想される前記ロータの温度低下に基づき、前記不活性ガスの流量を決定する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0117】
(付記14)
本開示の更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、ロータを内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、前記処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、を少なくとも備えた基板処理装置により実行されるプログラムであって、
前記処理室で基板が処理されていない状態において、予め予想される前記ロータの温度低下に基づき、前記不活性ガスの流量を決定する手順を前記基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【0118】
(付記15)
本開示の更に他の態様によれば、
ロータを内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、
処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室で基板が処理されていない状態のときに、ロータに供給される前記不活性ガスの流量を調整する制御部を備え、
前記制御部は、前記ロータの温度が所定温度より高くなるよう、前記処理室で基板を処理している状態のガスの流量に応じた前記不活性ガスを導入させる、
システムが提供される。
【0119】
(付記16)
前記制御部は、前記ロータの温度が所定温度より高い場合、前記不活性ガスの供給を停止する、
(付記15)のシステム。
【0120】
(付記17)
前記制御部は、前記ロータの温度が所定温度より高く、温度が下降状態のときに、前記不活性ガスを供給する、
(付記15)のシステム。
【0121】
(付記18)
本開示の更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、ロータを内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、前記処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、前記処理室で基板が処理されていない状態のときに、前記ロータに供給される前記不活性ガスの流量を調整する制御部と、を備えたシステムにより、前記ロータの温度が所定温度より高くなるよう、前記処理室で基板を処理している状態のガスの流量に応じた前記不活性ガスを導入させる工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0122】
(付記19)
本開示の更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
ロータを内部に設けるケーシングを備えた排気装置と、
前記処理室を介すことなく前記排気装置に不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室で基板が処理されていない状態のときに、前記ロータに供給される前記不活性ガスの流量を調整する制御部と、
を備えた基板処理装置により実行されるプログラムであって、
前記制御部に、前記ロータの温度が所定温度より高くなるよう、前記処理室で基板を処理している状態のガスの流量に応じた前記不活性ガスを導入させる手順を実行させるプログラムが提供される。
【0123】
(付記20)
本開示の更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
少なくとも前記処理室で使用したガスを排気するメインポンプと、
前記処理室と前記メインポンプとの間に配置され、ロータを内部に設けたケーシングを備え、少なくとも前記処理室で使用した前記ガスを前記メインポンプに向けて排気するブースタポンプと、
前記処理室を経由せずに前記ブースタポンプに不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室で基板が処理されていない状態のときに、予想される前記ロータの温度低下および前記メインポンプの排気速度に基づき、前記ガス供給部を制御して前記不活性ガスの供給量を制御する制御部と、
を備えたシステムが提供される。
【符号の説明】
【0124】
1 基板処理装置(システム)
21 処理室
25C 不活性ガスタンク(ガス供給部)
25e ガス供給管(ガス供給部)
38 ブースタポンプ(排気装置)
46 コントローラ(制御部)