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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】具材入り液状調味料
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20230904BHJP
   A23L 27/12 20160101ALI20230904BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20230904BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/12
A23L27/10 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019564712
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2019000314
(87)【国際公開番号】W WO2019139026
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2018001719
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514057743
【氏名又は名称】株式会社Mizkan Holdings
(73)【特許権者】
【識別番号】317006214
【氏名又は名称】株式会社Mizkan
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 一喜
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123817(JP,A)
【文献】特開2016-168008(JP,A)
【文献】特開2013-074851(JP,A)
【文献】特開2006-254803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00-27/30
A23L 27/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)果皮及び果肉から選ばれる少なくとも1種の固形具材、(B)おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種の水不溶性粉末、(C)果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種、並びに(D)粘度調整剤(ただし、セルロース及び親水性ガムを含むセルロース複合体を除く)を含有する、具材入り液状調味料であって、
前記液状調味料の常温にてB型粘度計で測定した粘度が、500mPa・s以上であり、
前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~3.0質量%であり、
前記果汁又は野菜汁の液状調味料中の含有量が、1.4~13.5質量%である、
具材入り液状調味料
【請求項2】
(A)果皮及び果肉から選ばれる少なくとも1種の固形具材(ただし、球状具材を除く)、(B)おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種の水不溶性粉末、(C)果汁、並びに(D)粘度調整剤(ただし、セルロース及び親水性ガムを含むセルロース複合体を除く)を含有する、具材入り液状調味料であって、
前記液状調味料の常温にてB型粘度計で測定した粘度が、500mPa・s以上であり、
前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~3.0質量%であり、
前記果汁の液状調味料中の含有量が、3.0~13.5質量%である、
請求項1に記載の具材入り液状調味料。
【請求項3】
前記粘度調整剤が、ガム類及び加工澱粉から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の具材入り液状調味料。
【請求項4】
さらに、食酢を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の具材入り液状調味料。
【請求項5】
果皮及び果肉から選ばれる少なくとも1種の固形具材を含む液状調味料に、おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種の水不溶性粉末と、果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種と、粘度調整剤(ただし、セルロース及び親水性ガムを含むセルロース複合体を除く)とを配合することを特徴とする、具材入り液状調味料における液状調味料全体の色合い及び具材の存在感を向上させる方法であって、前記液状調味料の常温にてB型粘度計で測定した粘度が、500mPa・s以上であり、前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~3.0質量%であり、かつ、前記果汁又は野菜汁の液状調味料中の含有量が、1.4~13.5質量%である、上記方法。
【請求項6】
果皮及び果肉から選ばれる少なくとも1種の固形具材(ただし、球状具材を除く)を含む液状調味料に、おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種の水不溶性粉末と、果汁と、粘度調整剤(ただし、セルロース及び親水性ガムを含むセルロース複合体を除く)とを配合することを特徴とする、請求項5に記載の方法であって、前記果汁の液状調味料中の含有量が、3.0~13.5質量%である、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果汁感と具材の存在感があり、かつ、保存中の色や臭いの変化が低減された具材入り液状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サラダや調理食品には、様々な味や形態の調味料が使用されている。なかでも、調味液中に果皮や果汁といった果実加工品を含む液状調味料は、果実特有の鮮やかな色合いとフルーティな風味があり、多様化する消費者の嗜好に応えるものである。
【0003】
しかしながら、果皮や果汁を加えた調味料は、その色合いや存在感を感じさせるために、含有量を多くすることが行われている。ところが、果皮や果汁は保存により変色しやすく、香りも減退して異臭の発生原因にもなる。また、果皮や果汁を多く含有させると、調味料全体の風味バランスが悪くなる。
【0004】
果皮や果汁を含有する飲食品では、色や香りの変化を低減させる様々な手段が提案されている。例えば、特許文献1では、水不溶性固形分(パルプ分)を含有するレモン果汁について、水不溶性固形分のメジアン径を一定の範囲にすることによって、レモン果汁中の水不溶性固形分の経時的な沈澱や褐変を抑制し、外観が良好なレモン果汁及びそれを含有する飲食品が提案されている。しかしながら、水不溶性固形分の大きさの調整には、物理的処理や化学的処理が必要であり、製造効率が低下する。また、特許文献2では、柑橘類果皮又はしょうがを配合した酸性液状食品に、ゴマの熱水抽出液とアルカリ材とを配合することによって、柑橘類果皮又はしょうがの香りの変質を防止することが提案されている。しかしながら、この方法では、香りの変質は抑制できても、具材の色合いや存在感については満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-118830号公報
【文献】特開2013-59340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、果汁感と具材の存在感があり、かつ、保存中の色や臭いの変化が低減された具材入り液状調味料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、液状調味料に、果皮や果肉などの色味の鮮やかな具材とともに、水不溶性粉末、粘度調整剤、並びに果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種を配合することによって、容器内においても容器から取り出した後においても、液状調味料の色合いが鮮やかで果汁感があること、具材が調味液中で目立ち存在感があること、保存中の色や臭いの変化が低減されることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明における「果汁感(fruit juice feeling)」とは、天然果実から搾汁した果汁が有するような適度な濁りのある、具材本来の自然で鮮やかな色調感を意味する。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)(A)具材、(B)水不溶性粉末、(C)果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種、並びに(D)粘度調整剤を含有する、具材入り液状調味料。
(2)前記具材が、果皮及び/又は果肉である、(1)に記載の具材入り液状調味料。
(3)前記水不溶性粉末が、穀類粉末である、(1)又は(2)に記載の具材入り液状調味料。
(4)前記穀類粉末が、おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種である、(3)に記載の具材入り液状調味料。
(5)前記粘度調整剤が、ガム類及び加工澱粉から選ばれる少なくとも1種である、(1)~(4)のいずれかに記載の具材入り液状調味料。
(6)前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~3.0質量%である、(1)~(5)のいずれかに記載の具材入り液状調味料。
(7)常温にてB型粘度計で測定した粘度が、500mPa・s以上である、(1)~(6)のいずれかに記載の具材入り液状調味料。
(8)前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~2.0質量%である、(6)に記載の具材入り液状調味料。
(9)前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~0.7質量%である、(6)に記載の具材入り液状調味料。
(10)20℃にてB型粘度計で測定した粘度が、500mPa・s以上である、(7)に記載の具材入り液状調味料。
(11)20℃にてB型粘度計で測定した粘度が、500~8000mPa・sである、(7)に記載の具材入り液状調味料。
(12)具材を含む液状調味料に、水不溶性粉末と、果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種と、粘度調整剤とを配合することを特徴とする、具材入り液状調味料における液状調味料全体の色合い及び具材の存在感を向上させる方法。
(13)具材を含む液状調味料に、水不溶性粉末と、果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種と、粘度調整剤とを配合することを特徴とする、具材入り液状調味料における液状調味料全体の色合い及び具材の存在感を向上させ、かつ、保存中の色や臭いの変化を低減する方法。
(14)前記具材が、果皮及び/又は果肉であり、前記穀類粉末が、おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種であり、前記粘度調整剤が、ガム類及び加工澱粉から選ばれる少なくとも1種である(12)又は(13)に記載の方法。
(15)前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~3.0質量%であり、常温にてB型粘度計で測定した粘度が、500~8000mPa・sである(12)~(14)のいずれかに記載の方法。
(16)下記の(a)~(c)の工程を含む、(1)~(11)のいずれかに記載の具材入り液状調味料を製造する方法。
(a)(A)具材、(B)水不溶性粉末、(C)果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種、並びに(D)粘度調整剤を含む原料を水に投入する工程
(b)(a)の工程により得られた原料含有液を、20~95℃となるように、加熱しないで、または加熱しながら均一な液状となるまで混合攪拌を行う工程
(c)(b)の工程により得られた混合液を、室温(15~25℃)になるまで放置するか、または冷却する工程
(17)前記具材が、果皮及び/又は果肉であり、前記穀類粉末が、おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、及びアマランサスパウダーから選ばれる少なくとも1種であり、前記粘度調整剤が、ガム類及び加工澱粉から選ばれる少なくとも1種である(16)に記載の具材入り液状調味料を製造する方法。
(18)前記水不溶性粉末の液状調味料中の含有量が、0.05~3.0質量%であり、常温にてB型粘度計で測定した粘度が、500~8000mPa・sである(16)又は(17)のいずれかに記載の具材入り液状調味料を製造する方法。
本願は、2018年1月10日に出願された日本国特許出願2018-001719号の優先権を主張するものであり、該特許出願の明細書に記載される内容を包含する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、果皮や果肉などの具材を含む調味液全体の色合いが鮮やかで、具材の存在感がある具材入り液状調味料が提供される。本発明の具材入り液状調味料は、おろし状又はピューレ状の調味料のような濁りと粘性があるため、果皮や果肉の含有量が少なくても濃厚な果汁感が感じられ、具材とともに配合する水不溶性粉末由来の臭いや風味変化の影響もない。また、果皮や果肉、果汁や野菜汁といった保存中に色や臭いが変化しやすい材料を多く使用しなくても良いため、当該材料に由来する保存中の変色や異臭の発生の影響がない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の具材入り液状調味料(以下、「本発明の液状調味料」という)は、(A)具材、(B)水不溶性粉末、(C)果汁、野菜汁、及び色素から選ばれる少なくとも1種、並びに(D)粘度調整剤を含有することを特徴とする。
【0011】
<液状調味料>
本発明において「液状調味料」とは、料理や食品素材の美味しさを引き立たせるために用いられる流動性を有する調味料という。本発明の液状調味料としては、野菜、肉類、又は魚介類等にかけて味付けをするドレッシングのほか、たれ類、ソース類、つゆ類、ポン酢等が挙げられる。
【0012】
<具材>
本発明の液状調味料において、「具材」とは、固形具材を意味し、果汁や野菜汁のような液状、ペースト状のものは含まない。本発明の液状調味料に用いる固形具材は、生具材、塩蔵した具材、乾燥具材のいずれでもよいが、乾燥具材が好ましい。
【0013】
本発明の液状調味料において使用する主たる具材は、色味の鮮やかな具材であれば限定はされないが、好ましくは、果皮及び/又は果肉である。
【0014】
本発明において「果皮」とは、果実の表面の皮を指し、子房壁が成熟した部分をいう。果皮は、通常、2層(外果皮、内果皮)又は3層(外果皮、中果皮、内果皮)に分かれており、層の数、厚さ、硬さ等は果実の種類によって異なるが、本発明においては、果皮として、一般に外果皮と呼ばれる部分を用いる。また、「果肉」とは、果実の皮と種子の間にある食用にする部分を指し、本発明においては、果肉として、一般に肉質または多汁質であって、内果皮又は中果皮と呼ばれる部分を用いる。果実は、果皮の種類によって、乾燥した硬い果皮を有し、多肉質ではない乾果と、果皮が液質又は多肉質である液果に分類されるが、本発明においては、いずれの果実の果皮及び/又は果肉を用いてもよい。また、果皮と果肉を用いる場合は、果肉が付着した果皮であってもよい。
【0015】
本発明において用いる果皮及び/又は果肉の由来となる果実としては、例えば、レモン、ゆず、すだち、ライム、みかん、グレープフルーツ、カボス、ダイダイ、オレンジ、りんご、パイナップル、桃、ぶどう、いちご、梨、バナナ、メロン、キウイ、カシス、アセロラ、ブルーベリー、ラズベリー、柿、アプリコット、グアバ、プラム、マンゴー、パパイヤ、ライチ等が挙げられる。果皮及び/又は果肉は、上記果実の一種又は二種以上の果皮及び/又は果肉を用いることができる。果皮と果肉を用いる場合は、果皮と果肉が同じ種類の果実に由来するものであっても、異なる種類の果実に由来するものであってもよい。
【0016】
果皮及び/又は果肉は、生のまま用いてよいが、乾燥、破砕、磨砕等の加工を施したものであってもよい。例えば、オレンジピール、陳皮(温州ミカンの皮の乾燥物)などの加工品が使用できる。果皮及び/又は果肉を乾燥させる場合は、所定の大きさにカットした後に乾燥してもよく、乾燥後にカットしてもよい。乾燥方法としては、熱風乾燥、凍結乾燥、減圧加熱乾燥、マイクロウェーブ乾燥、天日乾燥、自然乾燥等が挙げられる。
【0017】
本発明において用いる果皮及び/又は果肉(以下、単に「具材」ともいう)の形状は、直方体状、立方体(ダイス)状、球状、粒状など、いずれの形状でもよい。また、具材の大きさは、特に限定はされないが、色と形態を視覚的に認識でき、具材の存在感を得る点から、例えば、調味液中で膨潤後の具材の大きさが、1mm以上であり、好ましくは1~10mmであり、より好ましくは2~10mmである。ここで、具材の「大きさ」とは、具材が直方体状である場合は最長辺の長さ、立方体(ダイス)状である場合は一辺の長さ、球状や粒状の場合は直径の長さを意味し、液状調味料から具材を分取して測定した値である。
【0018】
本発明の液状調味料における具材の含有量は、湿重量で調味料全体の1~60質量%、好ましくは1~50質量%、より好ましくは1~40質量%である。具材の含有量が、湿重量で1%未満であると、容器内の液状調味料中において、また容器から取り出し後の液状調味料において、目立たず存在感が得られない。また具材の含有量が、湿重量で60質量%を超えると、具材が目立ちすぎて調味液とのバランスが悪い。
【0019】
本発明の液状調味料には、果皮及び/又は果肉以外に、他の具材を含有してもよい。他の具材としては、野菜類(タマネギ、キャベツ、白菜、ニンジン、ピーマン、大根、大根葉、ビート、レンコン、ゴボウ、ネギ、シソ、セロリ、パセリ、パプリカ(赤パプリカ、黄色パプリカ、オレンジパプリカ等)、トマト、きゅうり、とうもろこし、カリフラワー、なす、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、カボチャ等)、種実類(アーモンド、ピーナッツ、松の実、ココナッツ等)、きのこ類(しめじ、しいたけ、マッシュルーム、エリンギ、マイタケ等)、豆類(大豆、えんどう豆、レンズ豆、ひよこ豆、エジプト豆等)が挙げられる。これらの他の具材のなかでも、ニンジン、トマト、パプリカ等の色味の鮮やかな具材は、果皮及び/又は果肉に代えて使用することもできる。上記の他の具材は、一種のみ用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0020】
<水不溶性粉末>
本発明において「水不溶性粉末」とは、水に不溶性で調味液中に分散する粉末をいう。本発明において用いる水不溶性粉末は、調味液を混濁させることによって、果皮及び/又は果実が有する特有の鮮やかな色合いを高め、明度が低い調味液の場合は明度を上げて上記効果が得られる食用の粉末であれば特に限定はされないが、穀類粉末が好ましい。ここで、穀類は、イネ科植物の種子である禾穀類とマメ科の植物の種子である菽穀類の両方を指す。よって、本発明において用いることのできる穀類粉末としては、米類、麦類(小麦、大麦、裸麦、はと麦、えん麦、ライ麦、オーツ麦等)、豆類(大豆、小豆、インゲン豆、エンドウ豆等)、雑穀類(トウモロコシ、ソバ、アワ、ヒエ、アマランサス等)の粉末またはこれらの加工品が含まれ、具体的には、おから粉末、大豆粉末、きな粉、米粉、トウモロコシ粉、アマランサス粉等が挙げられる。これらの水不溶性粉末は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0021】
本発明の液状調味料における水不溶性粉末の含有量は、0.05~3.0質量%、好ましくは0.05~2.0質量%、より好ましくは、0.05~1.5質量%、最も好ましくは0.05~0.7質量%である。水不溶性粉末の含有量が上記範囲であると、調味液の濁り度が、果皮及び/又は果実が有する特有の鮮やかな色合いを高めるのに十分であり、果汁感が得られるので好ましい。水不溶性粉末の含有量が3.0質量%を超えると、調味液が白っぽくなり果汁感が失われるので好ましくない。また、水不溶性粉末の含有量が0.05質量%未満であると、果汁感が十分に得られないので好ましくない。
【0022】
<果汁、野菜汁、色素>
本発明において「果汁」とは、果実の搾汁液又は抽出等によって得られる果実の液部をいい、果実を裏ごし又はすりおろし処理したピューレ、おろしを使用する場合は、その内の液部をいう。本発明の液状調味料に使用する果汁としては、例えば、レモン、ゆず、すだち、ライム、みかん、グレープフルーツ、カボス、ダイダイ、オレンジ、りんご、パイナップル、桃、ぶどう、いちご、梨、バナナ、メロン、キウイ、カシス、アセロラ、ブルーベリー、ラズベリー、柿、アプリコット、グアバ、プラム、マンゴー、パパイヤ、ライチ等に由来する果汁が挙げられる。これらのうち、りんご、桃、ぶどう、アセロラ、ブルーベリー、梨、又は、レモン、ゆず、すだち、ライム、みかん、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類の果汁がより好ましい。これらの果汁は、一種又は二種以上を用いることができる。また、上記果汁は、凍結、濃縮、還元等の加工を行った後用いることもできる。
【0023】
本発明において「野菜汁」とは、野菜を破砕等して搾汁したものをいい、野菜を裏ごし又はすりおろし処理したピューレ、おろしを使用する場合は、その内の液部をいう。本発明の液状調味料に使用する野菜汁としては、搾汁が可能な野菜、例えば、タマネギ、大根、ニンジン等の根菜、トマト、ピーマン、パプリカ、きゅうり、ナス等の果菜、キャベツ、レタス、ほうれん草、白菜、セロリ、小松菜、チンゲン菜、モロヘイヤ、ケール、シソ、ニラ、パセリ等の葉菜、アスパラガス、たけのこ等の茎菜、ブロッコリー、カリフラワー等の花菜等に由来する野菜汁が挙げられる。これらのうち、タマネギ、大根がより好ましい。これらの野菜汁は、一種又は二種以上を用いることができる。
【0024】
また、上記果汁及び/又は野菜汁に、色素を併用してもよい。色素としては天然色素が好ましく、カロテノイド系、フラボノイド系、アントシアニン系、ベタシアニン系、アザフィロン系、ポルフィリン系等の食用の天然色素であれば特に限定はされないが、例えば、クチナシ色素、ベニバナ色素、β-カロテン、ウコン色素、マリーゴールド色素、ベニコウジ色素、ビートレッド、シソ色素、赤キャベツ色素、ムラサキイモ色素、ブドウ果皮色素、ベニコウジ色素、スピルリナ色素、クロロフィル等が挙げられる。
【0025】
<粘度調整剤>
本発明において、「粘度調整剤」は、液状調味料に好適な粘度を付与し、粉末の分散性を高める役割を果たすものをいい、例えば、ガム類、澱粉、加工澱粉、寒天、ペクチン、セルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンなどを使用することができる。ガム類としては、増粘多糖類として食品に利用されているガム類であれば特に限定はされないが、例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、ガティガム、グアーガム、タマリンドガム、カラヤガム、ジェランガム、トランスガントガムなどが挙げられ、キサンタンガム、ローカストビーンガムが好ましい。また、加工澱粉としては、小麦粉澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチなどの生澱粉に常法により架橋処理、エステル化処理、エーテル化処理、酸化処理などの処理を行った架橋澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、酸化澱粉等を使用することができ、例えば、ヒドロキシルプロピル化澱粉、ヒドロキシルプロピル化リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉などが挙げられる。湿熱処理などの物理的処理による加工澱粉を使用してもよい。これらのなかでも、入手し易く、粘度調整が容易であるという観点から、キサンタンガム、ローカストビーンガム、加工澱粉が好ましい。これらの粘度調整剤は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0026】
また、本発明における液状調味料の粘度は、常温(20℃)にてB型粘度計(ローターNo.3、回転数:30rpmの条件)で測定した粘度が500mPa・s以上であればよいが、好ましくは、500~8000mPa・s、好ましくは500~7000mPa・s、より好ましくは500~2000mPa・sである。ここで、「常温」とは、10~30℃、特に15~25℃を意味する。粘度が500mPa・s未満であると、具材が沈降して分散性が悪く、容器から取り出した後も、調味料に十分な色合いが得られず、また、粘度が8000mPa・sを超えると容器から取り出しにくくなって好ましくない。尚、上記粘度は、通常、原料の組み合わせ及びそれらの配合量、上記粘度調節剤等により調整することができる。また、この粘度は、B型粘度計等の粘度測定装置により測定することができる。
【0027】
<その他の原料>
本発明の液状調味料には、上記原料のほか、その種類に応じて通常の液状調味料において用いられる調味等のための原料を含有させることができる。本発明の液状調味料は、油脂を含まないノンオイルタイプ、油脂量を減少させた低オイルタイプ(10重量%以下)、油脂を含むオイルタイプ(乳化タイプ及び分離タイプを含む)のいずれのタイプの液状調味料であってもよいが、果皮及び/又は果肉の爽やかですっきりした風味を損なわないために、ノンオイルタイプが好ましい。例えば、本発明の液状調味料がノンオイルタイプのドレッシングである場合には、一般的に、水、食酢、糖類(高甘味度甘味料を含む)、食塩が基本原料となる。本発明の液状調味料には、このような基本原料に加えて、例えば、香辛料、香辛料抽出物、香味オイル、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、有機酸系調味料、発酵調味料(風味原料、旨味調味料)、酒類、フレーバーなどの呈味・風味成分、安定剤、着色料、カルシウム塩等などの添加剤などを用いることができる。これらの成分の含有量は、特に限定はされず、用途に応じて適宜決定することができる。
【0028】
上記食酢には、米や麦などの穀物や果汁を主原料として生産される醸造酢と、氷酢酸や酢酸の希釈液に砂糖等の調味料を加えるか、又はそれに醸造酢を加えた合成酢があり、本発明においてはいずれも使用できる。醸造酢としては、例えば、穀物酢(米酢、玄米酢、黒酢、粕酢、麦芽酢、はと麦酢、大豆酢等)、果実酢(りんご酢、ぶどう酢、レモン酢、カボス酢、ワイン酢、バルサミコ酢等)、エタノールを原料とした酢酸発酵によって製造される酒精酢、中国酢、シェリー酢などが挙げられ、また、合成酢としては、氷酢酸又は酢酸を水で適宜希釈したものなどが挙げられる。これらのうち、酢酸含有量が高く、原料に由来する風味が弱い、高酢酸濃度の醸造酢が好ましい。また、これらの食酢は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0029】
上記糖類としては、例えば、ショ糖、麦芽糖、果糖、異性化液糖、ブドウ糖、水あめ、デキストリンやソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類等が挙げられる。これらの糖類は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0030】
上記高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、甘草抽出物、ステビアやその酵素処理物等が挙げられる。これらの高甘味度甘味料は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0031】
上記食塩はそのものでもよいが、食塩を含有する食品でも良い。食塩を含有する食品は特に限定はないが、例として、醤油、味噌、出汁等が挙げられ、これらを用いる場合は、本発明の効果を阻害しない程度に色が濃くならないように使用する。
【0032】
上記醤油としては特に限定されるものではないが、例えば濃口醤油、淡口醤油、白醤油、溜り醤油、再仕込み醤油等が挙げられる。これらの醤油は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0033】
上記味噌としては特に限定されるものではないが、例えば麦味噌、米味噌、豆味噌、調合味噌などに加えて、その製法に起因する色の違いによって命名される赤味噌・白味噌・淡色味噌等が挙げられる。これらの味噌は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0034】
上記香辛料(spicy seasoning)とは、特有の香り、刺激的な呈味、色調を有し、香り付け、消臭、調味、着色等の目的で飲食品に配合する植物体の一部(植物の果実、果皮、花、蕾、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎など)をいい、香辛料にはスパイス(spice)又はハーブ(herb)が含まれる。スパイスとは香辛料のうち、利用部位として茎と葉と花を除くものをいい、例えば、胡椒(黒胡椒、白胡椒、赤胡椒)、ニンニク、ショウガ、ごま(ごまの種子)、唐辛子、ホースラディシュ(西洋ワサビ)、マスタード、ケシノミ、ナツメグ、シナモン、カルダモン、クミン、サフラン、オールスパイス、クローブ、山椒、ウイキョウ、カンゾウ、フェネグリーク、ディルシード、カショウ、ロングペパー、オリーブの実などが挙げられる。また、ハーブとは香辛料のうち、茎と葉と花を利用するものをいい、例えば、クレソン、コリアンダー、シソ、セロリ、タラゴン、チャイブ、チャービル、セージ、タイム、ローレル、ニラ、パセリ、マスタードグリーン(からしな)、ミョウガ、ヨモギ、バジル、オレガノ、ローズマリー、ペパーミント、サボリー、レモングラス、ディル、ワサビ葉、山椒の葉などが挙げられる。
【0035】
上記香辛料抽出物としては、一般的に「香辛料」又は「スパイス」と表示される食品の抽出物であれば何でもよく、その例としては唐辛子抽出物、マスタード抽出物(カラシ抽出物)、ショウガ抽出物(ジンジャー抽出物)、ワサビ抽出物、ペパー抽出物、ニンニク抽出物(ガーリック抽出物)、オニオン抽出物、サンショウ抽出物等が挙げられる。これらの香辛料抽出物は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0036】
上記香味オイルとしては、例えば、ジンジャーオイル、ガーリックオイル、マスタードオイル、オニオンオイル、ゴマ油、ねぎオイル、ニラオイル、セリオイル、しそオイル、わさびオイル、レモンオイル、魚介オイル、畜肉オイル等が挙げられる。これらの香味オイルは、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0037】
上記アミノ酸系調味料としては、例えば、L-グルタミン酸ナトリウム、DL-アラニン、グリシン、L-又はDL-トリプトファン、L-フェニルアラニン、L-又はDL-メチオニン、L-リシン、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アルギニン等が挙げられる。これらのアミノ酸系調味料は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0038】
上記核酸系調味料としては、例えば、5'-イノシン酸二ナトリウム、5'-グアニル酸二ナトリウム、5'-ウリジル酸二ナトリウム、5'-シチジル酸二ナトリウム、5'-リボヌクレオチドカルシウム、5'-リボヌクレオチド二ナトリウム等が挙げられる。これらの核酸系調味料は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0039】
上記有機酸系調味料としては、例えば、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの有機酸系調味料は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。二種以上の有機酸系調味料を併用することで、双方の呈味が相乗的に高まるため好ましい。
【0040】
上記風味原料としては、例えば、鰹だし、昆布だし、野菜エキス、鰹エキス、昆布エキス、魚介エキス、畜肉エキス等が挙げられる。これらの風味原料は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0041】
上記旨味調味料としては、例えば、たん白加水分解物、酵母エキス等が挙げられる。これらの旨味調味料は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0042】
上記酒類としては、清酒、合成清酒、みりん、焼酎、ワイン、リキュール、紹興酒等が挙げられる。これらの酒類は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0043】
上記フレーバーとしては、例えば、ジンジャーフレーバー、ガーリックフレーバー、マスタードフレーバー、オニオンフレーバー、ゴマフレーバー、ねぎフレーバー、ニラフレーバー、しそフレーバー、わさびフレーバー、レモンフレーバー等が挙げられる。これらのフレーバーは、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0044】
<具材入り液状調味料の製造方法>
本発明の液状調味料は、上記の原料を水に投入し、必要に応じて加熱しながら均一な液状となるまで混合攪拌する工程を含む製造方法により製造することができる。原料の混合攪拌は、従来、公知の方法によればよいが、上記混合攪拌工程における好ましい温度は、20~95℃であり、加熱しながら混合を行う場合には、風味、色調等の変質を抑制するために、加熱温度の上限を90℃とすることが好ましい。上記の混合攪拌工程により得られた混合液は、そのまま、あるいは、加熱殺菌や加圧殺菌などの殺菌処理に供した後、室温(15~25℃)になるまで放置するか、または冷却し、一般の液状調味料と同様に、容器に充填する。本発明の液状調味料に使用する容器としては、材質や形状は特に限定はされないが、例えば、プラスチック製容器、パウチ(ポリエチレンパウチ、アルミパウチ)、ペットボトル、スチール缶、アルミ缶、瓶容器などが挙げられる。また、本発明の液状調味料は容器に充填した後で、加熱殺菌、あるいはレトルト殺菌などの殺菌処理に供して液状調味料とすることができる。
【0045】
<具材入り液状調味料の使用態様>
本発明の液状調味料の使用態様は、特に限定されず、野菜や魚介類、肉類等の食材又は料理に振りかける、和えるなどして使用できる。使用時の食材又は料理は加熱状態であっても非加熱状態のいずれであってもよいが、サラダ、調理済みの揚げ物、焼き物(ステーキ、焼き魚)、豆腐などに、非加熱状態で用いることが好ましい。
【実施例
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(粘度の測定)
下記試験例で調製した試験品の液状調味料の粘度の測定は、測定用容器に調味料を約150cc充填し、20℃に調整した後、測定用容器をB型粘度計(東機産業社製、型名:BMII)にセットし、ローターを用いて(ローターNo.3、回転数:30rpmの条件)20秒間測定することによって行った。
【0048】
(試験例1)水不溶性粉末の含有量の検討
(1)試験品の調製(実施例1-1~6-1、比較例1-1~2-1/実施例1-2~6-2、比較例1-2~2-2、参考例)
表1-1及び表1-2に示す配合量(質量%)に従い、醸造酢(酸度15%)、食塩、砂糖、及びクエン酸からなる共通原料と、水不溶性粉末(おから粉末)、果皮(オレンジピール、陳皮)、果汁(みかん果汁)、粘度調整剤(リン酸架橋澱粉、キサンタンガム)を水に混合し、均一になるように攪拌した後、80℃5分の殺菌処理を行い、ボトルに充填し、試験品の具材入り液状調味料を調製した。
【0049】
(2)官能評価試験
試験品の具材入り液状調味料について、容器内の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」の官能評価を行った。また、当該液状調味料を常温で白色の平皿の上に約4.5ml取り出し、取り出し後の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」の官能評価を行った。各評価は、訓練された官能検査員のべ5名にて、下記基準により官能評価を行った。各評価項目の評価点の算出方法は、5名の評価を加重平均し、小数点2以下を四捨五入した。5点評点の3点を合格点(効果あり)とし、3点よりも高い3.5点を良好な効果があるものとし、4点以上をより良好な効果があるものとし、4.5点以上を最も良好な効果があるものとした。各評価項目の評価点で1項目でも評価点が3点未満となったものは不合格とした。また、水不溶性粉末の含有量が同じで、果汁の含有量が異なる表1-1の試験品と表1-2の試験品(例えば、実施例1-1と実施例1-2)は、その両方における各評価項目の評価点が3点以上であるものを合格とした。
【0050】
(容器内の調味料の色合い)
5:濁りが適度で「果汁感」が高く好ましい。
4:濁りがあって「果汁感」があり好ましい。
3:濁りがあって「果汁感」がある。
2:濁りが弱く「果汁感」が弱い、または濁りが強く「果汁感」が弱い。
1:濁りが殆どないか、濁りすぎていて「果汁感」が感じられない。
(容器内の具材の存在感)
5:具材が液中で目立ち、存在感がある。
4:具材が液中でやや目立つ。
3:具材が液中であるのが分かる。
2:具材が液中であるのが分かりにくく、存在感が低い。
1:具材が液中で殆ど目立たない。
【0051】
(容器から取り出し後の調味料の色合い)
5:濁りが適度で「果汁感」が高く好ましい。
4:濁りがあって「果汁感」があり好ましい。
3:濁りがあって「果汁感」がある。
2:濁りが弱く「果汁感」が弱い、または濁りが強く「果汁感」が弱い。
1:濁りが殆どないか、濁りすぎていて「果汁感」が感じられない。
(容器から取り出し後の具材の存在感)
5:具材が液中で目立ち、存在感がある。
4:具材が液中でやや目立つ。
3:具材が液中であるのが分かる。
2:具材が液中であるのが分かりにくく、存在感が低い。
1:具材が液中で殆ど目立たない。
【0052】
(3)保存試験
試験品の具材入り液状調味料を10℃と50℃で4日間保存した後、常温にもどし、50℃保存のサンプルについて10℃保存のサンプルと比較して、容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化を評価した。評価は訓練された官能検査員のべ5名にて、下記基準により行った。各評価項目の評価点の算出方法は、5名の評価を加重平均し、小数点2以下を四捨五入した。3点以上を許容範囲内とした。
【0053】
(容器内の調味料の色の変化)
5:色の変化がまったくない。
4:色の変化がほとんどない。
3:わずかに色の変化がある。
2:色の変化がある。
1:色の変化がかなりある。
(容器から取り出し後の調味料の色の変化)
5:色の変化がまったくない。
4:色の変化がほとんどない。
3:わずかに色の変化がある。
2:色の変化がある。
1:色の変化がかなりある。
【0054】
(4)試験結果
上記の各試験結果及び試験品の粘度の測定値を表1-1及び表1-2に示す。
【0055】
【表1-1】
【0056】
【表1-2】
【0057】
表1-1(果汁の含有量:1.2質量%)及び表1-2(果汁の含有量:0.6質量%)に示されるように、水不溶性粉末の含有量が、0.05~3.0質量%の範囲にある実施例1-1~6-1及び実施例1-2~6-2の具材入り液状調味料は、果汁の含有量に関わらず、容器内においても容器から取り出した後においても、液状調味料の色合いがよく、果汁感があって、具材の存在感があった。また、保存後においても容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化がなかった。これに対し、水不溶性粉末の含有量が0.05質量%未満である比較例1-1及び比較例1-2の液状調味料は、容器内においても容器から取り出した後においても、果汁感や具材の存在感が十分に得られず、水不溶性粉末の含有量が3.0質量%を超える比較例2-1及び比較例2-2の液状調味料は、調味液の濁りが強すぎて果汁感が失われた。また臭いに関して、実施例、比較例の液状調味料はいずれも水不溶性粉末由来の臭気は感じられず、保存後も果汁、果皮の劣化による異臭、又は水不溶性粉末由来の異臭は殆ど感じられず、良好であった。一方、果汁感を持たせるために果汁を比較的多く使用した参考例の液状調味料は、色合いや具材の存在感が、実施例の液状調味料に比べ弱く、保存後に果汁由来の異臭が認められた。
【0058】
(試験例2)粘度調整剤の種類と含有量の検討
(1)試験品の調製(実施例7~14、及び比較例3)
表2に示す配合量(質量%)に従い、醸造酢(酸度15%)、食塩、及び砂糖からなる共通原料と、水不溶性粉末(おから粉末)、果皮(オレンジピール、陳皮)、果汁(みかん果汁)、粘度調整剤(キサンタンガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ペクチン、寒天、リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉)を水に混合し、均一になるように攪拌した後、80℃5分の殺菌処理を行い、ボトルに充填し、試験品の具材入り液状調味料を調製した。
【0059】
(2)官能評価試験
試験品の具材入り液状調味料について、試験例1と同様にして、容器内の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」、容器から取り出し後の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」の官能評価を行った。
【0060】
(3)保存試験
試験品の具材入り液状調味料について、試験例1と同様にして、容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化を評価した。
【0061】
(4)試験結果
上記の各試験結果及び試験品の粘度の測定値を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2に示されるように、粘度が500mPa・s以上である実施例7~14の具材入り液状調味料は、容器内においても容器から取り出した後においても、液状調味料の色合いがよく、果汁感があって、具材の存在感があった。また、保存後においても容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化がなかった。これに対し、粘度が500mPa・s未満である比較例3の液状調味料は、おから粉末の分散性が悪く、沈降する傾向にあり、目的とする液状調味料が得られなかった。また臭いに関して、実施例、比較例の液状調味料はいずれも水不溶性粉末由来の臭気は感じられず、保存後も果汁、果皮の劣化による異臭、又は水不溶性粉末由来の異臭は殆ど感じられず、良好であった。
【0064】
(試験例3)濁り付与素材の種類の検討
(1)試験品の調製(実施例15~17、及び比較例4~6)
表3に示す配合量(質量%)に従い、醸造酢(酸度15%)、食塩、砂糖、及びクエン酸からなる共通原料と、調味液に濁りを付与できる素材(おから粉末、米粉、焙煎大豆パウダー、脱脂粉乳、りんごピューレ、乳化型香料)、果皮(オレンジピール、陳皮)、果汁(みかん果汁)、粘度調整剤(リン酸架橋澱粉、キサンタンガム)を水に混合し、均一になるように攪拌した後、80℃5分の殺菌処理を行い、ボトルに充填し、試験品の具材入り液状調味料を調製した。
【0065】
(2)官能評価試験
試験品の具材入り液状調味料について、試験例1と同様にして、容器内の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」、容器から取り出し後の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」の官能評価を行った。
【0066】
(3)保存試験
試験品の具材入り液状調味料について、試験例1と同様にして、容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化を評価した。
【0067】
(4)試験結果
上記の各試験結果及び試験品の粘度の測定値を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
表3に示されるように、水不溶性粉末であるおから粉末(実施例15)、米粉(実施例16)、焙煎大豆パウダー(実施例17)を用いた液状調味料は、容器内においても容器から取り出した後においても、液状調味料の色合いがよく、果汁感があって、具材の存在感があった。また、保存後においても容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化がなかった。更に臭いに関して、実施例の液状調味料はいずれも水不溶性粉末由来の臭気は感じられず、保存後も果汁、果皮の劣化による異臭、又は水不溶性粉末由来の異臭は殆ど感じられず、良好であった。これに対し、調味料に濁りを付与できても、脱脂粉乳(比較例4)、りんごピューレ(比較例5)、乳化型香料(比較例6)の液状調味料は、容器内においても容器から取り出した後においても、液状調味料の色合い及び具材の存在感について、おから粉末等の水不溶性粉末ほどの効果が得らなかった。特にりんごピューレは、色の変化が著しく、保存性が悪く、脱脂粉乳及び乳化型香料は、色の変化は許容範囲ではあるものの、劣化臭が認められた。
【0070】
(試験例4)具材の種類の検討
(1)試験品の調製(実施例18~22)
表4に示す配合量(質量%)に従い、醸造酢(酸度15%)、食塩、及び砂糖からなる共通原料と、水不溶性粉末(おから粉末)、色味の異なる種々の具材と果汁、粘度調整剤(リン酸架橋澱粉、キサンタンガム)を水に混合し、均一になるように攪拌した後、80℃5分の殺菌処理を行い、ボトルに充填し、試験品の具材入り液状調味料を調製した。
【0071】
(2)官能評価試験
試験品の具材入り液状調味料について、試験例1と同様にして、容器内の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」、容器から取り出し後の液状調味料の「色合い」及び「具材の存在感」の官能評価を行った。
【0072】
(3)保存試験
試験品の具材入り液状調味料について、試験例1と同様にして、容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化を評価した。
【0073】
(4)試験結果
上記の各試験結果及び試験品の粘度の測定値を表4に示す。
【0074】
【表4】
【0075】
表4に示されるように、具材(果実、野菜)と果汁の種類を変更しても、水不溶性粉末を所定量含有する具材入り液状調味料は、容器内においても容器から取り出した後においても、液状調味料の色合いがよく、果汁感があって、具材の存在感があった。また、保存後においても容器内及び容器から取り出し後の液状調味料の色の変化がなかった(実施例18~22)。更に臭いに関して、実施例の液状調味料はいずれも水不溶性粉末由来の臭気は感じられず、保存後も果汁、果皮の劣化による異臭、又は水不溶性粉末由来の異臭は殆ど感じられず、良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ドレッシングなどの液状調味料の製造分野において利用できる。
【0077】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。