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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】歩行型作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/16 20060101AFI20230904BHJP
   B60K 23/02 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A01B33/16
B60K23/02 K
B60K23/02 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020037901
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021136931
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】冨田 宗樹
(72)【発明者】
【氏名】梅野 覚
(72)【発明者】
【氏名】原田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 将大
(72)【発明者】
【氏名】田中 正浩
(72)【発明者】
【氏名】菊池 豊
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3000787(JP,U)
【文献】実開平6-12158(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/16
B60K 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業部が設けられた車体と、
前記車体に設けられた、駆動軸回りに回転する一対の車輪と、
前記一対の車輪を回転させる駆動部と、
前記車体の進行方向後方に設けられ、作業者が把持するハンドル杆と、
前記車体の前記一対の車輪よりも前方に設けられ、前記車体が前傾したときに前記一対の車輪が接している面から所定以上の力を受けて第1の変形状態に遷移する変形部と、
前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記駆動部による前記一対の車輪の回転を強制的に停止する停止部と、
前記車体に対する前記ハンドル杆の姿勢を維持する姿勢維持部と、
前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記姿勢維持部が前記ハンドル杆の姿勢を維持する機能を解除する解除部と、
を備える歩行型作業機。
【請求項2】
所定の作業を行う作業部が設けられた車体と、
前記車体に設けられた、駆動軸回りに回転する一対の車輪と、
前記一対の車輪を回転させる駆動部と、
前記車体の進行方向後方に設けられ、作業者が把持するハンドル杆と、
前記車体の前記一対の車輪よりも前方に設けられ、前記車体が前傾したときに前記一対の車輪が接している面から所定以上の力を受けて第1の変形状態に遷移する変形部と、
前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記駆動部による前記一対の車輪の回転を強制的に停止する停止部と、
前記車体に対する前記ハンドル杆の姿勢を維持する姿勢維持部と、
前記変形部が前記第1の変形状態と異なる第2の変形状態に遷移したことと連動して、前記姿勢維持部が前記ハンドル杆の姿勢を維持する機能を解除する解除部と、を備え、
前記第2の変形状態は、前記変形部が前記第1の変形状態に遷移した後に、前記一対の車輪が接している面から更に力を受けて遷移する所定の変形状態、又は前記変形部が前記第1の変形状態に遷移していく間の所定の変形状態である、
歩行型作業機。
【請求項3】
前記一対の車輪の回転方向を切り替える切替部と、
前記切替部が前記一対の車輪の回転方向を前記車体が後進する方向に切り替えたことと連動して、前記変形部の位置及び/又は姿勢を、前記車体が前傾したときに前記面と接触しない第1の状態から前記面と接触する第2の状態に遷移させる遷移部と、
を備える請求項1又は2に記載の歩行型作業機。
【請求項4】
所定の作業を行う作業部が設けられた車体と、
前記車体に設けられた、駆動軸回りに回転する一対の車輪と、
前記一対の車輪を回転させる駆動部と、
前記車体の進行方向後方に設けられ、作業者が把持するハンドル杆と、
前記車体の前記一対の車輪よりも前方に設けられ、前記車体が前傾したときに前記一対の車輪が接している面から所定以上の力を受けて第1の変形状態に遷移する変形部と、
前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記駆動部による前記一対の車輪の回転を強制的に停止する停止部と、
前記一対の車輪の回転方向を切り替える切替部と、
前記切替部が前記一対の車輪の回転方向を前記車体が後進する方向に切り替えたことと連動して、前記変形部の位置及び/又は姿勢を、前記車体が前傾したときに前記面と接触しない第1の状態から前記面と接触する第2の状態に遷移させる遷移部と、
を備える歩行型作業機。
【請求項5】
前記駆動部は、発動機であり、
前記停止部は、前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記発動機が有する点火プラグへの給電を停止するキルスイッチである、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の歩行型作業機。
【請求項6】
前記停止部は、前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記駆動軸と前記駆動部との間のクラッチを切断する、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の歩行型作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が、車体の進行方向(前進方向)の後方に設けられたハンドル杆を把持した状態で随行しながら、車体に設けられた作業部により作業を実施する歩行型作業機が知られている。この種の歩行型作業機には、ハンドル杆の近傍にクラッチ杆が設けられており、作業者がクラッチ杆を操作することにより、発動機から走行車輪への動力の伝達がオン/オフされるものもある。特に、作業者がハンドル杆と共にクラッチ杆を握ると伝達状態(オン)となり、クラッチ杆から手を放すと遮断状態(オフ)となるものは、デッドマンクラッチと呼ばれている。
【0003】
しかしながら、歩行型作業機を後進させているときに、作業者が背後の障害物と車両との間にクラッチ杆ごと挟まれ、挟まれた体によってクラッチ杆を戻すことができずに動力源からの伝達が切れない状態となることが起こり得る。歩行型作業機を後進させる場合としては、例えば、方向転換(挟所での旋回・切り返し)、畝合わせ、倉庫からの出し入れなどがある。
【0004】
これに対し、後進時における作業者の挟まりを防止することを目的とした安全装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1には、ハンドル杆がループ式の作業車両において、ハンドル杆の後端よりも後方へ突出させた挾圧杆と、デッドマンクラッチを「入」状態に保持する保持手段とを設けるとともに、挾圧杆を前後移動可能にした技術が開示されている。特許文献1によると、挾圧杆の前方移動によって保持手段の保持を解除できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-88769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、デッドマンクラッチの保持状態を解除することができるのは、作業者が作業装置によってほぼ水平に挟圧された場合に限られる。したがって、作業者がハンドル杆によって斜め下側から突き上げられるように挟圧される場合には適用できない。
【0007】
そこで、本発明は、作業者に対するハンドル杆による挟圧を抑制することが可能な歩行型作業機提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の歩行型作業機は、所定の作業を行う作業部が設けられた車体と、前記車体に設けられた、駆動軸回りに回転する一対の車輪と、前記一対の車輪を回転させる駆動部と、前記車体の進行方向後方に設けられ、作業者が把持するハンドル杆と、前記車体の前記一対の車輪よりも前方に設けられ、前記車体が前傾したときに前記一対の車輪が接している面から所定以上の力を受けて第1の変形状態に遷移する変形部と、前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記駆動部による前記一対の車輪の回転を強制的に停止する停止部と、前記車体に対する前記ハンドル杆の姿勢を維持する姿勢維持部と、前記変形部が前記第1の変形状態に遷移したことと連動して、前記姿勢維持部が前記ハンドル杆の姿勢を維持する機能を解除する解除部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歩行型作業機、作業者に対するハンドル杆による挟圧を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る歩行型作業機(傾斜検出機構が第1の状態にある場合)を示す概略図である。
図2図2(a)は、ハンドル杆の下端部近傍を断面した状態を示す斜視図であり、図2(b)は、ハンドル杆に設けられた回動部材に対するワイヤの接続状態を示す斜視図である。
図3】変速レバーの下端部近傍に設けられた表示板を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る歩行型作業機(傾斜検出機構が第2の状態にある場合)を示す概略図である。
図5図5(a)は、傾斜検出機構が第1の状態にある場合を示す図であり、図5(b)は、傾斜検出機構が第2の状態にある場合を示す図である。
図6図6(a)、図6(b)は、変速レバーと連動する連動機構を示す斜視図である。
図7】傾斜検出機構が車体の傾斜(前傾)を検出したときの状態を示す図である。
図8図8(a)は、第2の実施形態に係る傾斜検出機構が第1の状態にある場合を示す図であり、図8(b)は、第2の実施形態に係る傾斜検出機構が第2の状態にある場合を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る傾斜検出機構が車体の傾斜(前傾)を検出したときの状態を示す図である。
図10図10(a)は、第3の実施形態に係る傾斜検出機構が第1の状態にある場合を示す図であり、図10(b)は、第3の実施形態に係る傾斜検出機構が第2の状態にある場合を示す図である。
図11図11(a)、図11(b)は、図10(a)、図10(b)から、変形部の一部やスイッチ等を取り外した状態を示す図である。
図12】第3の実施形態に係る傾斜検出機構が車体の傾斜(前傾)を検出したときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態に係る歩行型作業機100について、図1図7に基づいて詳細に説明する。本第1の実施形態の歩行型作業機100は、例えば、歩行型耕耘機(歩行型トラクタ)であり、発動機から動力を得て自動走行し、自動走行中に耕耘作業を行う装置であるものとする。
【0012】
図1には、歩行型作業機100の構成が概略的に示されている。なお、図1では、歩行型作業機100の前進方向を+X方向、後進方向を-X方向、X軸に水平面内で直交する方向(左右方向)をY軸方向、鉛直方向をZ軸方向としている。
【0013】
歩行型作業機100は、図1に示すように、車体10と、車体10の進行方向後方(-X側)に設けられた作業部12と、車体10に設けられたY軸方向に延びる駆動軸としての車軸14と、車軸14の両端部に設けられた一対の車輪16A、16Bと、車体10の-X側に設けられ、作業者が把持するハンドル杆18と、一対の車輪16A、16Bを回転させる駆動部としての発動機20と、を備える。また、歩行型作業機100の車体10の前側(+X側)かつ下側(-Z側)には、挟圧抑制機構としての傾斜検出機構22が設けられている。
【0014】
車体10は、発動機20のほか、燃料タンクやマフラなど、車輪16A、16Bを回転駆動するために必要な装置を保持する。
【0015】
作業部12は、ロータリ耕耘装置であり、発動機20からの動力を得て耕耘爪24が回転する。作業部12は、車輪16A、16Bを中心に作業者がハンドル杆18を上下させることで昇降可能に構成されており、耕耘作業時は下方に降下させて、耕耘爪24を土中に貫入させた状態で使用する。なお、歩行型作業機100においては、安全のため、後進時は耕耘爪24が動作しないようになっている。あるいは、耕耘爪24が動作しているときは、歩行型作業機100は後進できないようになっている。
【0016】
車輪16A、16Bは、発動機20からクラッチを介して車軸14に供給される動力により回転する。
【0017】
ハンドル杆18は、作業者が把持して歩行型作業機100を操作するためのものである。ハンドル杆18には、クラッチ杆26や、ハンドル上下レバー28が設けられている。なお、不図示ではあるが、ハンドル杆18には、エンジンスイッチやアクセルレバーも設けられている。
【0018】
クラッチ杆26は、ハンドル杆18の上側に配置され、作業者がハンドル杆18と共に把持できるようになっている。クラッチ杆26は、クラッチワイヤを介してクラッチに接続されており、作業者がハンドル杆18と共にクラッチ杆26を握ると、クラッチワイヤが引っ張られてクラッチが接続され、発動機20から車軸14へ動力が伝達される(伝達状態となる)。一方、作業者がクラッチ杆26から手を放すと、クラッチワイヤが元に戻ってクラッチが切断され、発動機20から車軸14への動力の伝達が遮断される(遮断状態となる)。このように、作業者は、クラッチ杆26を操作することによって歩行型作業機100の駆動/停止を制御することができる。
【0019】
図2(a)には、ハンドル杆18の下端部近傍を断面した状態が斜視図にて示されている。ハンドル杆18は、車体10に設けられた調整土台82に対して回転軸36を介して回動自在に設けられている。このハンドル杆18の角度(姿勢)は、例えば3段階で変更可能となっている。より具体的には、ハンドル杆18に一体的に設けられたピン78が、調整土台82に設けられた複数の貫通孔80のいずれかに嵌合することで、ハンドル杆18の姿勢(角度)が維持されている。すなわち、本第1の実施形態では、ピン78を含んで、ハンドル杆18の姿勢を維持する姿勢維持部としての機能が実現されている。ここで、ピン78には、図2(a)に示すようにワイヤ76のインナーワイヤ(アウタケーブルに被覆されているインナー部分)の一端部が接続されている。なお、ワイヤ76のインナーワイヤの他端部は、図2(b)に示すように、ハンドル杆18に設けられた回動部材72に接続されている。回動部材72は、軸74を中心として回動可能となっている。この回動部材72には、ハンドル上下レバー28に一端が接続されているワイヤ38のインナーワイヤの他端も接続されている。図2(b)のように回動部材72が中立の状態(ワイヤ64、38のいずれも引っ張られていない状態)では、ピン78は、複数の貫通孔80のいずれかに嵌合している。一方、作業者がハンドル上下レバー28を握れば、ワイヤ38のインナーワイヤが図2(b)の矢印I方向に引っ張られるため、回動部材72が矢印J方向に回動し、ワイヤ76のインナーワイヤが矢印K方向に引っ張られる。これにより、ピン78が貫通孔80から抜けるため、ハンドル杆18の角度調整が可能になる。このように、作業者は、ハンドル上下レバー28を握ることで、簡易にハンドル杆18の角度を調整することができる。
【0020】
図1に戻り、ハンドル杆18の近傍には、切替部としての変速レバー30が設けられている。作業者は、変速レバー30を操作することで、動作モードを変更することができる。図3には、変速レバー30の下端部近傍(車体10上)に設けられた表示板32が示されている。変速レバー30は、表示板32に設けられた溝部34に沿って移動可能となっている。作業者は、変速レバー30の位置を、図3に示す「1」~「5」の各位置に合わせることで、車輪16A、16Bも耕耘爪24も回転しない「中立」モード、高速で前進して耕耘爪24が回転しない「高速」前進モード、低速で前進して耕耘爪24が回転しない「低速」前進モード、後進して耕耘爪24が回転しない「後進」モード、低速で前進して耕耘爪24が回転する「耕耘」モードに変更することができる。なお、モードとしては、図3に示す以外のモードがあってもよい。
【0021】
傾斜検出機構22は、図1に示すような地面と接触しない状態(第1の状態)と、図4に示すような地面と接触する状態(第2の状態)との間で切替可能である。
【0022】
以下、傾斜検出機構22について、詳細に説明する。
【0023】
図5(a)には、傾斜検出機構22が第1の状態にある場合が示され、図5(b)には、傾斜検出機構22が第2の状態にある場合が示されている。図5(a)に示すように、傾斜検出機構22は、車体10にねじ止めされる本体部40と、本体部40に設けられた2つの固定軸42、44に取り付けられた変形部46と、本体部40に設けられた停止部としてのスイッチ48と、を備える。
【0024】
変形部46は、車輪部50と、車輪部50を保持する第1腕部52と、第1腕部52に対して軸53を介して回動自在に接続された第2腕部54(図5(b)参照)と、第2腕部54に対して軸55を介して回動自在に接続され、固定軸44に回動自在に設けられた第3腕部56と、第3腕部56の上端部に設けられた円形の押し当て部57と、固定軸44に回動自在に設けられた接触部58と、を有する。
【0025】
第3腕部56の上端部(+Z端部)には、矢印A方向の力(固定軸44を中心とする時計回り方向の力)を常時付勢する引張りバネ60が設けられている。また、軸55には、引張り部材62が設けられている。
【0026】
更に、変形部46には、2本のワイヤ64、66それぞれのインナーワイヤの一端部が接続されている。具体的には、接触部58に、ワイヤ64のインナーワイヤの一端部が接続され、引張り部材62の-X側端部に、ワイヤ66のインナーワイヤの一端部が接続されている。
【0027】
本第1の実施形態においては、図5(a)の状態(第1の状態)からワイヤ66が矢印B方向に引っ張られると、引張り部材62が略-X方向に移動する。この引張り部材62の移動に伴って、図5(b)に示すように、軸55が略-X方向に移動するため、第2腕部54と第3腕部56が略一直線状になる。この状態では、図5(a)と図5(b)を比較するとわかるように、第1腕部52のX軸に対する角度が大きくなる。また、第3腕部56の上端部に設けられた押し当て部57が接触部58に押し当てられる。図5(b)の変形部46の状態(第2の状態)は、車体10の前傾を検出できる状態である。
【0028】
ここで、ワイヤ66のインナーワイヤが、図5(a)の矢印B方向に引っ張られ変形部46が第1の状態から第2の状態に遷移するのは、作業者が変速レバー30を「後進」モードの位置に位置決めしたときである。図6(a)、図6(b)には、変速レバー30と連動する連動機構が斜視図にて示されている。連動機構は、後進時に用いられる後進ギア68を含んでいる。後進ギア68は、図6(a)の状態から図6(b)の状態になると不図示のギアと噛み合い、歩行型作業機100の後進に必要な動力を車軸14に伝達する。
【0029】
連動機構においては、変速レバー30が「後進」モード以外の場合、後進ギア68は図6(a)に示す位置に存在している。そして、作業者によって変速レバー30が「後進」モードの位置に操作されると、当該操作に連動する不図示の機構により、後進ギア68が図6(a)の矢印C方向に移動する。これにより、図6(b)に示す位置まで後進ギア68が移動すると、後進ギア68は連動部材70の一端部を押し、連動部材70が回転軸71を中心として揺動する。この揺動により、連動部材70に接続されたワイヤ66のインナーワイヤが矢印D方向に引っ張られ、図5(a)の矢印B方向に引っ張られるようになっている。なお、作業者が変速レバー30を「後進」モード以外の位置に操作すると、引張りバネ60の作用(引張り力)により、ワイヤ66のインナーワイヤが元に戻るため、変形部46は、図5(b)の第2の状態から図5(a)の第1の状態に戻る。また、連動機構においても、ワイヤ66のインナーワイヤが矢印D方向とは逆向きに引っ張られるため、連動部材70や後進ギア68が図6(b)の状態から図6(a)の状態に戻る。このように、本第1の実施形態では、後進ギア68、連動部材70、ワイヤ66を含んで、変形部46を地面と接触しない第1の状態と接触する第2の状態との間で遷移させる遷移部としての機能が実現されている。
【0030】
図7には、傾斜検出機構22が車体10の傾斜(前傾)を検出したときの状態が示されている。図7に示すように、車体10が前傾し、本体部40と地面との間の距離が近づくと、車輪部50に対して地面から所定以上の力(引張りバネ60の付勢力に抗する力)が作用し、第1腕部52が固定軸42を中心として反時計回りに回動する(矢印E参照)。この回動に連動して、第3腕部56が引張りバネ60の付勢力に抗して、固定軸44を中心として反時計回りに回動する。これにより、押し当て部57が、接触部58を固定軸44回りに反時計回りに回動させる(矢印G参照)。このときの変形部46の状態を「変形状態」と呼ぶ。
【0031】
このように変形部46が変形状態になる場合、歩行型作業機100が後進している途中で車体10が前傾したため、作業者がハンドル杆18によって斜め下側から突き上げられるように挟圧されている可能性が高い。ここで、挟圧とは、歩行型作業機100が後進している場合に、作業者がハンドル杆18と後方の壁等の障害物とで挟まれることをいう。挟圧の状態が継続すると重大な事故となり得る。本第1の実施形態では、変形部46が変形状態になったときに、接触部58によってスイッチ48が押される。スイッチ48は、発動機20の点火プラグへの給電を停止するキルスイッチであるため、発動機20が停止する。これにより、車輪16A、16Bの回転が停止し、歩行型作業機100が停止する。
【0032】
また、変形状態では、接触部58が回動することにより、ワイヤ64のインナーワイヤが矢印H方向に引っ張られる。ここで、ワイヤ64のインナーワイヤの他端部(接触部58に接続されている側と反対側の端部)は、図2(b)に示すように、ハンドル杆18に設けられた回動部材72に接続されている。この回動部材72には、前述のように、ピン78に一端が接続されているワイヤ76のインナーワイヤの他端も接続されている。したがって、ワイヤ64のインナーワイヤが図7の矢印H方向に引っ張られると、ワイヤ64のインナーワイヤは図2(b)の矢印I方向に引っ張られるので、回動部材72が矢印J方向に回動し、ワイヤ76のインナーワイヤが矢印K方向に引っ張られる。これにより、図2(a)のピン78が貫通孔80から抜け、ハンドル杆18の姿勢が維持されなくなる。このように、ハンドル杆18の姿勢が維持されない状態では、作業者がハンドル杆18の角度を自由に変更することができるため、ハンドル杆18による作業者の挟圧を抑制することができる。なお、本第1の実施形態では、ワイヤ64、回動部材72、ワイヤ76等を含んで、ピン78を貫通孔80から抜き、ハンドル杆18の姿勢が維持された状態を解除する解除部としての機能が実現されている。
【0033】
本第1の実施形態においては、傾斜検出機構22によって車体10の前傾が検出された場合(変形部46が変形状態になった場合)に、発動機20の動作を停止し、ハンドル杆18の姿勢を維持するピン78を貫通孔80から抜くため、歩行型作業機100を後進させたときに、作業者がハンドル杆18によって挟圧されたとしても回避動作がしやすくなっている。
【0034】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、傾斜検出機構22は、車体10の車輪16A、16Bよりも前方(+X側)に設けられ、車体10が前傾したときに車輪16A,16Bが接している面(地面)と接触し、地面から所定以上の力を受けたときに図7の変形状態に遷移する変形部46を有している。そして、スイッチ48は、変形部46が図7の変形状態に遷移したことと連動して、発動機20による車輪16A、16Bの回転を強制的に停止させる。したがって、本第1の実施形態では、車体10が前傾したとき、すなわち、作業者がハンドル杆18によって斜め下側から突き上げられるように挟圧されている可能性が高い場合に、強制的に発動機20を停止させることができる。これにより、作業者がハンドル杆18と後方の障害物との間で挟圧され、クラッチ杆26を戻すことができない状態になったとしても、車輪16A、16Bを停止させることにより、挟圧が抑制されるため、作業者はその状態から逃げやすくなる。
【0035】
また、本第1の実施形態では、変形部46が図7の変形状態に遷移したことと連動して、車体10に対するハンドル杆18の姿勢を維持するピン78が調整土台82の貫通孔80から抜けるようになっているため、車体10が前傾したときに、ハンドル杆18の姿勢維持を解除することができる。これにより、作業者がハンドル杆18によって斜め下側から突き上げられるように挟圧された可能性が高い場合であっても、ハンドル杆18の姿勢維持を解除することで、作業者はハンドル杆18と障害物との間から逃げやすくなる。
【0036】
また、本第1の実施形態では、作業者が変速レバー30を用いて「後進」モードを選択したことと連動して、変形部46が図5(a)の第1の状態から図5(b)の第2の状態に遷移するため、作業者がハンドル杆18によって挟圧される可能性の高い後進時にのみ、傾斜検出機構22の機能を発揮させることが可能となる。これにより、後進時以外に傾斜検出機構22の機能が発揮されないため、必要以上に発動機20が停止したり、ハンドル杆18の姿勢維持が解除されたりするのを防止することができる。
【0037】
また、本第1の実施形態では、スイッチ48は、発動機20が有する点火プラグへの給電を停止するキルスイッチであるため、歩行型作業機100にバッテリや電池を搭載しなくても、車体10が前傾したことに応じて、車輪16A、16Bの回転を停止させることが可能である。
【0038】
また、本第1の実施形態では、変形部46のうち、地面と接触する箇所が車輪部50となっている。これにより、変形部46と地面との間の抵抗を低減することができる。なお、車輪部50に代えて、その他の構成(例えばスキー板状のものなど)を採用してもよい。
【0039】
なお、上記第1の実施形態では、スイッチ48が接触部58によって押されるタイミングと、ピン78が貫通孔80から抜けるタイミングは、同一のタイミングであってもよいし、異なるタイミングであってもよい。例えば、図7のように変形部46が変形したタイミング(変形部46が第1の変形状態になったタイミング)で、スイッチ48が押され、図7から更に第1腕部52が傾斜したタイミング(第2の変形状態になったタイミング)で、ピン78が貫通孔80から抜けるようにしてもよい。また、これとは逆に、第1腕部52が所定量傾斜したタイミング(第2の変形状態になったタイミング)で、ピン78が貫通孔80から抜け、第1腕部52がさらに傾斜して図7の変形状態になったタイミング(変形部46が第1の変形状態になったタイミング)で、スイッチ48が押されるようにしてもよい。
【0040】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について図8(a)~図9に基づいて説明する。本第2の実施形態では、第1の実施形態の傾斜検出機構22に代えて、図8(a)、図8(b)に示すような傾斜検出機構122が採用されている。図8(a)には、傾斜検出機構122が第1の状態にある場合が示され、図8(b)には、傾斜検出機構122が第2の状態にある場合が示されている。
【0041】
傾斜検出機構122は、図8(a)に示すように、車体10にねじ止めされる本体部140と、本体部140に設けられた固定軸142に取り付けられた変形部146と、本体部140に設けられたスイッチ148と、を備える。
【0042】
変形部146は、車輪部150と、一端において車輪部150を保持する腕部152と、腕部152の他端を保持するねじり軸機構153と、固定軸142に回動自在に設けられ、ねじり軸機構153が固定されたL字状部材154と、腕部152に対して一体的に設けられた接触部158と、を有する。
【0043】
ねじり軸機構153は、図8(b)に示すように、矩形筒状の外殻250と、外殻250内部の四隅部に設けられたゴム252と、外殻250の内部に設けられた矩形筒状の内殻254とを有する。ねじり軸機構153の内殻254に対して回転方向の力が作用すると、ゴム252の弾性力に抗して、内殻254が外殻250内で回転する。そして、内殻254への力の作用が無くなると、ゴム252の弾性力により内殻254は元の状態に戻る。本第2の実施形態においては、腕部152と接触部158が、内殻254に固定されているため、腕部152と接触部158は、内殻254の中心軸回りに回動できるようになっている。なお、ねじり軸機構153としては、例えば三木プーリ株式会社のサスペンションユニットDR-Sを用いることができる。
【0044】
接触部158には、ワイヤ164のインナーワイヤの一端部が接続されている。また、L字状部材154には、ワイヤ166のインナーワイヤの一端部が接続されている。なお、ワイヤ164は、上記第1の実施形態のワイヤ64と同様、ハンドル杆18の姿勢を維持するピン78を貫通孔80から抜く際に引っ張られるワイヤである。また、ワイヤ166は、上記第1の実施形態のワイヤ66と同様、変速レバー30を「後進」モードの位置に位置決めしたときに引っ張られるワイヤである。
【0045】
本第2の実施形態では、作業者が変速レバー30を「後進」モードの位置に操作すると、図8(a)において矢印Lで示すように、ワイヤ166のインナーワイヤが引っ張られるため、L字状部材154が固定軸142を中心として反時計回りに回動する。これにより、変形部146全体が固定軸142を中心として反時計回りに回動し、図8(b)に示すような第2の状態に遷移するようになっている。
【0046】
図9には、車体10が傾斜(前傾)したときの傾斜検出機構122の状態が示されている。図9に示すように、車体10が前傾し、本体部140と地面との間の距離が近づくと、車輪部150に対して地面からの所定以上の力が作用し、腕部152がねじり軸機構153に対して反時計回りに回動する(矢印M参照)。この回動により、接触部158も反時計回りに回動する(矢印N参照)。このときの変形部146の状態を「変形状態」と呼ぶ。このような変形状態になる場合、作業者がハンドル杆18によって斜め下側から突き上げられるように挟圧されている可能性が高い。本第2の実施形態では、この変形状態になったときに、接触部158によってスイッチ148が押されるため、発動機20の点火プラグへの給電が停止し、車輪16A,16Bの回転が停止するようになっている。
【0047】
また、変形状態では、接触部158が回動することにより、ワイヤ164のインナーワイヤが引っ張られる(矢印Q参照)ので、第1の実施形態と同様、ピン78によるハンドル杆18の姿勢維持状態が解除される。
【0048】
このように、本第2の実施形態においても、傾斜検出機構122によって車体10の前傾が検出された場合(変形部146が変形状態になった場合)に、発動機20の動作が停止され、ハンドル杆18の姿勢維持状態が解除される。これにより、歩行型作業機100を後進させたときに、作業者がハンドル杆18によって挟まれたとしても回避動作を行うことが可能となる。
【0049】
なお、上記第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、スイッチ148が接触部158によって押されるタイミングと、ピン78が貫通孔80から抜けるタイミングは、同一のタイミングであってもよいし、異なるタイミングであってもよい。
【0050】
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態について図10(a)~図12に基づいて説明する。本第3の実施形態では、第1の実施形態の傾斜検出機構22に代えて、図10(a)、図10(b)に示すような傾斜検出機構222が採用されている。図10(a)には、傾斜検出機構222が第1の状態にある場合が示され、図10(b)には、傾斜検出機構222が第2の状態にある場合が示されている。
【0051】
傾斜検出機構222は、図10(a)に示すように、車体10にねじ止めされる本体部240と、本体部240に設けられた不図示の固定軸に取り付けられた変形部246と、変形部246の一部に固定されたスイッチ248と、を備える。なお、図11(a)には、図10(a)の傾斜検出機構222から、変形部246(後述する回動部262のガイド部材262aと回動部材262b以外の部分)と、スイッチ248と、ワイヤ264を取り外した状態が示されている。
【0052】
図10(a)に示すように、変形部246は、本体部240に対して回動可能な回動部262と、回動部262に対してスライド可能に設けられた腕部252と、腕部252の一端部に設けられた車輪部250と、を有する。
【0053】
回動部262は、図11(a)に示すように、Y軸方向を長手方向とする直方体状のガイド部材262aと、ガイド部材262aに固定された回動部材262bと、を有する。また、回動部262は、図10(a)に示すように、回動部材262bに固定されたスイッチ保持部材262cを有する。回動部材262bは、図11(a)に示すように、本体部240の+Y側の面に立設された回動軸240aに対して設けられている。これにより、回動部262は、回動軸240aを中心としてY軸回りに回動できるようになっている。回動部材262bの回動軸240aからオフセットした位置には、ワイヤ266のインナーワイヤの一端部が接続されている。なお、ワイヤ266のアウタケーブルは、本体部240に設けられたワイヤ固定部材241に固定されており、インナーワイヤは、ワイヤ固定部材241を貫通した状態となっている。ここで、ワイヤ266は、上記第1の実施形態のワイヤ66と同様、変速レバー30を「後進」モードの位置に位置決めしたときに引っ張られるワイヤである。
【0054】
腕部252には、矩形状の貫通孔252aが形成されており、貫通孔252aには、回動部262のガイド部材262aが係合している。ガイド部材262aが直方体状で、貫通孔252aが矩形状であることから、腕部252は、貫通孔252aの長手方向(図10(a)ではX軸方向)に沿ってスライド移動できるようになっており、その他の方向へは移動及び回転ができないようになっている。また、腕部252には、ガイド部材262aを貫く軸部材267が設けられており、軸部材267には、圧縮コイルバネ265が挿通されている。この圧縮コイルバネ265により、腕部252が、ガイド部材262aから遠ざかる方向に常時付勢されている。
【0055】
腕部252には、ワイヤ264のアウタケーブルの一端が固定されており、回動部262のガイド部材262aには、ワイヤ264のインナーワイヤの一端が接続されている。なお、ワイヤ264は、上記第1の実施形態のワイヤ64と同様、ハンドル杆18の姿勢を維持するピン78を貫通孔80から抜く際に引っ張られるワイヤである。
【0056】
本第3の実施形態では、作業者が変速レバー30を「後進」モードの位置に動かすと、図10(a)、図11(a)において矢印Oで示すように、ワイヤ266のインナーワイヤが引っ張られるため、回動部262が回動軸240aを中心として反時計回りに回動する。これにより、変形部246全体が回動し、図10(b)に示すような第2の状態に遷移するようになっている。図11(b)には、図11(a)の構成において、第2の状態に遷移した状態が示されている。この図11(b)に示すように、第2の状態になると、回動部262の回動部材262bが、ワイヤ固定部材241の下面に接触するため、回動部262の反時計回り方向への更なる回動が阻止されている。
【0057】
図12には、車体10が傾斜(前傾)したときの傾斜検出機構222の状態が示されている。図12に示すように、車体10が前傾すると、車輪部250に対して地面から所定以上の力が作用し、腕部252が圧縮コイルバネ265の付勢力に抗して上方に移動する(矢印P参照)。このときの変形部246の状態を「変形状態」と呼ぶ。このような変形状態になる場合、作業者がハンドル杆18によって斜め下側から突き上げられるように挟圧されている可能性が高い。本第3の実施形態では、この変形状態になったときに、腕部252によってスイッチ248が押されるため、発動機20の点火プラグへの給電が停止し、車輪16A、16Bの回転が停止するようになっている。
【0058】
また、変形状態では、腕部252が上方に移動することにより、ワイヤ264のインナーワイヤがアウタケーブルに対して下側に引っ張られるので、第1の実施形態と同様、ピン78によるハンドル杆18の姿勢維持状態が解除される。
【0059】
このように、本第3の実施形態においても、傾斜検出機構222によって車体10の前傾が検出された場合(変形状態になった場合)に、発動機20の動作が停止され、ハンドル杆18の姿勢維持状態が解除されるので、歩行型作業機100を後進させたときに、作業者がハンドル杆18によって挟まれたとしても回避動作を行うことが可能となる。
【0060】
なお、上記第3の実施形態においても、第1、第2の実施形態と同様、スイッチ248が腕部252によって押されるタイミングと、ピン78が貫通孔80から抜けるタイミングは、同一のタイミングであってもよいし、異なるタイミングであってもよい。
【0061】
なお、上記第1~第3の実施形態では、傾斜検出機構22、122、222の変形部46、146、246が、変速レバー30が「後進」モードの位置に動かされたときだけ、車体10の傾斜を検出できる状態に変形する場合について説明したが、これに限られるものではない。変形部46、146、246は、常時、車体10の傾斜を検出できる状態になっていてもよい。この場合、車輪部50、150、250を補助輪として使用してもよい。また、変速レバー30とは連動させずに、変形部46、146、246を第1の状態から第2の状態に手動で遷移させることができるようにしてもよい。
【0062】
なお、上記第1~第3の実施形態においては、傾斜検出機構22、122、222が前傾を検出した場合に、発動機20の点火プラグへの給電を停止する場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、傾斜検出機構22、122、222は、車輪16A、16Bの回転を停止させればよいため、例えば、発動機20と車軸14との間のクラッチを切断するようにしてもよいし、車輪16A、16Bにブレーキをかけるようにしてもよい。
【0063】
なお、上記第1~第3の実施形態においては、傾斜検出機構22、122、222が前傾を検出した場合に、車輪16A,16Bを停止させ、かつ、ハンドル杆18の姿勢維持状態を解除する場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、傾斜検出機構22、122、222は、車輪16A,16Bを停止させることと、ハンドル杆18の姿勢維持状態を解除することの一方のみを行うこととしてもよい。
【0064】
なお、上記第1~第3の実施形態の傾斜検出機構の構成は、一例である。すなわち、車体10が前傾したときに地面から所定以上の力を受けて変形し、変形に応じて、スイッチを押したり、ワイヤを引っ張る変形部を有していれば、その他の構成であってもよい。
【0065】
なお、上記第1~第3の実施形態の傾斜検出機構は、車体10が前傾したことを検出する場合について説明したが、左右方向への傾斜などを検出してもよい。
【0066】
なお、上記第1~第3の実施形態においては、歩行型作業機が歩行型耕耘機である場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、歩行型耕耘機以外の歩行型作業機(例えば、歩行型草刈り機、田植え機など)であってもよい。
【0067】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 車体
12 作業部
14 車軸(駆動軸)
16A、16B 車輪
18 ハンドル杆
20 発動機(駆動部)
22、122、222 傾斜検出機構(挟圧抑制機構)
30 変速レバー(切替部)
46、146、246 変形部
48、148、248 スイッチ(停止部)
64、164、264 ワイヤ(解除部の一部)
66、166、266 ワイヤ(遷移部の一部)
68 後進ギア(遷移部の一部)
70 連動部材(遷移部の一部)
72 回動部材(解除部の一部)
76 ワイヤ(解除部の一部)
78 ピン(姿勢維持部)
100 歩行型作業機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12