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特許7341719排水処理装置及び排水処理装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】排水処理装置及び排水処理装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230904BHJP
   B01D 61/00 20060101ALI20230904BHJP
   B01D 65/06 20060101ALI20230904BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20230904BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/00 500
B01D65/06
B01D63/00 510
B01D61/58
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019090884
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2020185522
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓
(72)【発明者】
【氏名】石田 進
(72)【発明者】
【氏名】三好 太郎
(72)【発明者】
【氏名】グェン タン フォン
(72)【発明者】
【氏名】ガンバト ゾルザヤ
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-509298(JP,A)
【文献】特開2014-184403(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038402(WO,A1)
【文献】特開2019-063773(JP,A)
【文献】実開昭53-146755(JP,U)
【文献】特開2004-033981(JP,A)
【文献】特開2017-064629(JP,A)
【文献】特開2017-000965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 53/22
61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から前記夾雑物及び前記溶解性物質を取り除き且つ前記排水に含まれる水分を前記駆動溶液に透過させるFO(Forward Osmosis)膜と、
前記駆動溶液又は前記駆動溶液及び前記FO膜を透過した水分からなる集水溶液の流路を形成する流路形成板と、を備え、
前記FO膜は平膜であり、
前記流路は流れ方向変更箇所を有するとともに、空隙率が10~60%の多孔体構造物を有し
前記流れ方向変更箇所を有する流路は、前記FO膜及び前記流路形成板により、前記FO膜の略全域にわたって形成されることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記流れ方向変更箇所にU字形状の流路形成板を有することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記流路の断面積が25~700mm であることを特徴とする請求項1又は2記載の排水処理装置。
【請求項4】
気体を散気する散気手段をさらに備え、
前記散気手段は前記FO膜に前記気体を散気することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記FO膜への負荷を増減する増減手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記散気手段は所定の基準に基づいて前記FO膜に前記気体を散気し又は前記増減手段は所定の基準に基づいて前記FO膜への負荷を増減することを特徴とする請求項4又は5記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記所定の基準は一定の時間間隔、又は、前記駆動溶液の量及び前記集水溶液の量の差分であることを特徴とする請求項記載の排水処理装置。
【請求項8】
前記流路を洗浄する洗浄溶液が前記流路を流れ、前記洗浄溶液は有機酸であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項9】
前記駆動溶液を前記FO膜に供給する供給手段と、
前記集水溶液を集水する集水手段と、をさらに備え、
前記集水手段は前記供給手段よりも前記排水の水面側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載された排水処理装置が複数連結されていることを特徴とする排水処理装置。
【請求項11】
夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から前記夾雑物及び前記溶解性物質を取り除き且つ前記排水に含まれる水分を前記駆動溶液に透過させるFO膜と、前記駆動溶液又は前記駆動溶液及び前記FO膜を透過した水分からなる集水溶液の流路を形成する流路形成板と、を備え、前記FO膜は平膜であり、前記流路は流れ方向変更箇所を有するとともに、空隙率が10~60%の多孔体構造物を有し、前記流れ方向変更箇所を有する流路は、前記FO膜及び前記流路形成板により、前記FO膜の略全域にわたって形成されることを特徴とする排水処理装置の製造方法において、
前記FO膜を固定するための固定枠に前記流路形成板を形成する形成ステップと、
前記流路形成板が形成された固定枠に前記FO膜を固定する固定ステップと、を有することを特徴とする排水処理装置の製造方法。
【請求項12】
夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から前記夾雑物及び前記溶解性物質を取り除き且つ前記排水に含まれる水分を前記駆動溶液に透過させるFO膜と、前記駆動溶液又は前記駆動溶液及び前記FO膜を透過した水分からなる集水溶液の流路を形成する流路形成板と、を備え、前記FO膜は平膜であり、前記流路は流れ方向変更箇所を有するとともに、空隙率が10~60%の多孔体構造物を有し、前記流れ方向変更箇所を有する流路は、前記FO膜及び前記流路形成板により、前記FO膜の略全域にわたって形成されることを特徴とする排水処理装置の製造方法において、
前記FO膜を固定するための固定枠に前記流路形成板を形成する形成ステップと、
前記流路形成板が形成された固定枠に前記FO膜を支持する支持手段を固定する支持手段固定ステップと、
前記支持手段に前記FO膜を被覆する被覆ステップと、を有することを特徴とする排水処理装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水処理装置及び排水処理装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排水FS(Feed Solution)に溶解している有機物(以下、「溶解性物質」という。)や排水FSに分散されている夾雑物を排水FSから分離除去する排水処理が実行されるときに用いられるFO(Forward Osmosis)膜が知られている(例えば、特許文献1参照。)。FO膜は2種類の溶質濃度の異なる水溶液、例えば、所定の溶質濃度の排水FS及び排水FSの溶質濃度よりも高い溶質濃度を有する海水等の駆動溶液DS(Draw Solution)の間に介在する。そうすると、FO膜は排水FSに含まれる夾雑物及び溶解性物質を取り除き且つ排水FSに含まれる水分を駆動溶液DSに透過する。当該FO膜はFO膜を支持する支持基材、例えば、樹脂製フレーム等とともにFO膜エレメントを構成する。
【0003】
図8は排水FS及び駆動溶液DSの間に介在する従来のFO膜エレメント80を説明するために用いられる概略図であり、図8(a)はFO膜エレメント80の正面図であり、図8(b)はFO膜エレメント80の平面図であり、図8(c)は図8(a)におけるFO膜エレメントの8a-8a線に沿う断面図であり、図8(d)は図8(b)におけるFO膜エレメントの8b-8b線に沿う断面図であり、図8(e)は図8(a)における供給部83aから供給される駆動溶液DSの流路を説明するために用いられる図である。
【0004】
図8のFO膜エレメント80はFO膜81,82、供給管83、及び集水管84を備え、排水FSに浸漬されている。FO膜81,82はシート状に形成された平膜であり、供給管83に接続される供給管接続部81a,82a、集水管84に接続される集水管接続部81b,82b、及びFO膜81,82が互いに接合する接合部85を有する。供給管83は供給部83a、複数の供給孔83b、及び供給管底部83cを有し、駆動溶液DSは供給部83aから供給管83の内部に供給される。
【0005】
供給管83の内部に供給された駆動溶液DSは各供給孔83bからFO膜81,82、供給管83、及び集水管84によって囲まれた空間Sを経由して集水管84に進む。このとき、排水FS中の水分はFO膜81,82を透過し、空間Sを流れる駆動溶液DSはFO膜81,82を透過した排水FS中の水分を浚って集水管84に進む。集水管84は集水部84a、複数の集水孔84b、及び集水管底部84cを有し、駆動溶液DS及び駆動溶液DSに浚われた排水FS中の水分(以下、「集水溶液CS(Catchment Solution)」という。)は各集水孔84bを経由して集水部84aから集水される。
【0006】
ところで、FO膜エレメント80において、供給部83a周辺の各供給孔83bから空間Sに供給される駆動溶液DSは空間Sの供給部83a及び集水部84a側の空間S1(図8(e))を経由して集水部84a周辺の各集水孔84bで集水され、供給管底部83c周辺の各供給孔83bから空間Sに供給される駆動溶液DSは空間Sの供給管底部83c及び集水管底部84c側の空間S2(図8(e))を経由して集水管底部84c周辺の各集水孔84bに集水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-64629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、供給部83a周辺の各供給孔83bから空間S1に供給される駆動溶液DSの圧力は供給管底部83c周辺の各供給孔83bから空間S2に供給される駆動溶液DSの圧力よりも高く、空間S1を流れる駆動溶液DSの流速は空間S2を流れる駆動溶液DSの流速よりも高い。したがって、排水処理は空間S2よりも空間S1で進行し、排水FSから分離除去される溶解性物質及び夾雑物がFO膜81,82の表面又は細孔の内部に付着、堆積するファウリング現象は、空間S2に対応するFO膜81,82の領域87よりも空間S1に対応するFO膜81,82の領域86において生じやすい虞がある。
【0009】
そのため、ファウリング現象がFO膜81,82の領域86に生じるとともに、FO膜81,82の領域87に生じていないとき、排水FS中の水分はFO膜81,82の領域87で透過するとともに、FO膜81,82の領域86で透過しない。すなわち、排水FS中の水分はFO膜81,82の全体で均一に透過せず、FO膜81,82を用いた排水FSの処理を効率的に実行することができないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、FO膜を用いた排水の処理を効率的に実行することができる排水処理装置及び排水処理装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理装置は、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から前記夾雑物及び前記溶解性物質を取り除き且つ前記排水に含まれる水分を前記駆動溶液に透過させるFO(Forward Osmosis)膜と、前記駆動溶液又は前記駆動溶液及び前記FO膜を透過した水分からなる集水溶液の流路を形成する流路形成板と、を備え、前記FO膜は平膜であり、前記流路は流れ方向変更箇所を有するとともに、空隙率が10~60%の多孔体構造物を有し、前記流れ方向変更箇所を有する流路は、前記FO膜及び前記流路形成板により、前記FO膜の略全域にわたって形成されることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理装置の製造方法は、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から前記夾雑物及び前記溶解性物質を取り除き且つ前記排水に含まれる水分を前記駆動溶液に透過させるFO膜と、前記駆動溶液又は前記駆動溶液及び前記FO膜を透過した水分からなる集水溶液の流路を形成する流路形成板と、を備え、前記FO膜は平膜であり、前記流路は流れ方向変更箇所を有するとともに、空隙率が10~60%の多孔体構造物を有し、前記流れ方向変更箇所を有する流路は、前記FO膜及び前記流路形成板により、前記FO膜の略全域にわたって形成されることを特徴とする排水処理装置の製造方法において、前記FO膜を固定するための固定枠に前記流路形成板を形成する形成ステップと、前記流路形成板が形成された固定枠に前記FO膜を固定する固定ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理装置の製造方法は、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水、並びに、水分を含み且つ前記排水以外の駆動溶液の間に配設され、前記排水から前記夾雑物及び前記溶解性物質を取り除き且つ前記排水に含まれる水分を前記駆動溶液に透過させるFO膜と、前記駆動溶液又は前記駆動溶液及び前記FO膜を透過した水分からなる集水溶液の流路を形成する流路形成板と、を備え、前記FO膜は平膜であり、前記流路は流れ方向変更箇所を有するとともに、空隙率が10~60%の多孔体構造物を有し、前記流れ方向変更箇所を有する流路は、前記FO膜及び前記流路形成板により、前記FO膜の略全域にわたって形成されることを特徴とする排水処理装置の製造方法において、前記FO膜を固定するための固定枠に前記流路形成板を形成する形成ステップと、前記流路形成板が形成された固定枠に前記FO膜を支持する支持手段を固定する支持手段固定ステップと、前記支持手段に前記FO膜を被覆する被覆ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、FO膜を用いた排水の処理を効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る排水処理装置としてのFO膜エレメントによって構成されるFO膜モジュールを有する排水処理システムを概略的に示すブロック図である。
図2図1におけるFO膜モジュールを構成するFO膜エレメントを示す概略図である。
図3図2のFO膜エレメントの製造方法の手順を示すフローチャートである。
図4図3の第1の製造方法の変形例の手順を示すフローチャートである。
図5図2のFO膜エレメントを用いて実行される排水処理の手順を示すフローチャートである。
図6図2のFO膜エレメントの変形例を説明するために用いられる図である。
図7】複数のFO膜エレメントが連結されて一体化された一体型FO膜エレメントを説明するために用いられる図である。
図8】排水FS及び駆動溶液DSの間に介在する従来のFO膜エレメントを説明するために用いられる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る排水処理装置としてのFO膜エレメント20によって構成されるFO膜モジュール13を有する排水処理システム10を概略的に示すブロック図である。排水処理システム10は排水処理を実行する。
【0018】
図1の排水処理システム10は、夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水FSから大型の夾雑物を除去するためのスクリーン11と、大型の夾雑物がスクリーン11によって除去された排水FSを貯留する排水貯留槽12とを備え、排水貯留槽12はFO膜モジュール13を有する。また、排水処理システム10は、海水等の駆動溶液DSをFO膜モジュール13に供給する駆動溶液供給部14を備える。FO膜モジュール13は後述のFO膜エレメント20を専用の筺体(ケーシング)に格納することによって構成され、大型の夾雑物が除去され且つ排水貯留槽12に供給された排水FSに浸漬されている。
【0019】
FO膜モジュール13及び駆動溶液供給部14の間にはポンプP1(増減手段)が接続されている。ポンプP1が駆動すると、駆動溶液DSが駆動溶液供給部14からFO膜モジュール13に供給される。また、排水貯留槽12の外部にはポンプP2(増減手段)が配置され、ポンプP2はFO膜モジュール13に接続されている。ポンプP2が駆動すると、ポンプP1が駆動しているか否かに関わらず、駆動溶液DSが駆動溶液供給部14からFO膜モジュール13に供給される。また、ポンプP1,P2の少なくともいずれかが駆動すると、集水溶液CSがFO膜モジュール13から排水貯留槽12の外部に排出される。
【0020】
図2は、図1におけるFO膜モジュール13を構成するFO膜エレメント20を示す概略図であり、図2(a)はFO膜エレメント20の正面図であり、図2(b)はFO膜エレメント20の平面図であり、図2(c)は図2(b)におけるFO膜エレメント20の2a-2a線に沿う断面図であり、図2(d)は図2(b)におけるFO膜エレメント20の2b-2b線に沿う断面図である。
【0021】
図2のFO膜エレメント20は駆動溶液DSを供給する供給部21(供給手段)と、排水FS及び駆動溶液DSの間に配設されたときに排水FSから夾雑物及び溶解性物質を取り除き且つ排水FSに含まれる水分を透過するFO膜22,23(除去手段)と、駆動溶液DS及びFO膜22,23を透過した排水FSに含まれていた水分からなる集水溶液CSを集水する集水部24(集水手段)と、FO膜22,23を支持する不図示のフレームとを有する。
【0022】
FO膜エレメント20は供給部21が排水貯留槽12の底部側に位置するとともに、集水部24が排水貯留槽12に貯留された排水の水面側に位置するように浸漬される。FO膜エレメント20はシート状に形成された平膜であるFO膜22,23がポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂からなるフレームに取り付けられるとともに、FO膜22,23が互いに接合することによって形成され、フレームに取り付けられたFO膜22,23は対向している。
【0023】
FO膜22,23は、駆動溶液DSの溶質濃度が排水FSの溶質濃度よりも高いとき、排水FSから夾雑物及び溶解性物質を取り除き且つ排水FSに含まれる水分を透過する分離活性層と、分離活性層を支持する支持体と、分離活性層及び支持体に係合して分離活性層及び支持体を一体化する支持層とを有し、分離活性層、支持層、及び支持体は耐薬品性、例えば、耐酸性、耐アルカリ性、若しくは耐塩素性、又は、界面活性剤への耐性のよい素材が用いられる。
【0024】
分離活性層には、例えば、ポリアミド、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル-ポリアクリロニトリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリイミド、又はポリビニルアルコール等によって形成された多孔質膜が用いられ、支持層には、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、ポリアミド、又はポリイミド等で形成された多孔質膜が用いられ、支持体には、例えば、ポリエステル、ポリアミド、又はポリオレフィン等で形成された不織布が用いられる。
【0025】
FO膜エレメント20の内部は流路形成板25(形成手段)を備え、流路形成板25はFO膜22,23に挟持されている。したがって、流路形成板25及びFO膜22,23(対向する2つの除去手段)は供給部21からFO膜エレメント20に供給された駆動溶液DSの流路27を形成するとともに、その駆動溶液DSの流れ方向を規制する。そのため、駆動溶液DSが供給部21からFO膜エレメント20に供給されると、駆動溶液DSは流路27に沿って進むとともに、排水FSに含まれる水分は流路27を構成するFO膜22,23を透過し、駆動溶液DSはFO膜22,23を透過した水分を浚って集水溶液CSとなり、集水溶液CSは集水部24で集水される。
【0026】
本実施の形態において、流路形成板25及びFO膜22,23は一の方向に流れる駆動溶液DSが他の方向へ流れを変更する流れ方向変更箇所26を複数有するように流路27を形成する(図2(c))。流路27は、FO膜22,23が排水FS及び駆動溶液DSの間に介在し、排水FSに含まれる水分がFO膜22,23を透過する領域を確保するために、FO膜エレメント20の内部に可能な限り隙間なく形成されるのがよい。
【0027】
流路27には、FO膜22,23の変形を防止するための流路材28、例えば、不織布若しくはスポンジ、樹脂製ビーズ、織物、ネット、又は、金属若しくはセラミック製の複数の粒状物が一体に成型される有孔材が配設される。すなわち、流路材28には、空隙を有し且つ空気や水が通過する多孔体構造物が用いられる。なお、流路材28はFO膜22,23を傷つけず且つ空隙が均一に形成されている多孔体構造物がよい。
【0028】
本実施の形態では、排水処理システム10はポンプP1,P2を備えるので、流路材28が流路27に配設されていないとき、ポンプP1,P2が駆動すると、FO膜エレメント20が膨張し又は収縮する。例えば、ポンプP1のみが駆動したとき、FO膜エレメント20が膨張してFO膜22,23への負荷は増加する。その後、ポンプP1が停止すると、FO膜エレメント20は膨張する前の状態に戻り、FO膜22,23への負荷は減少する。一方、ポンプP2のみが駆動したとき、FO膜エレメント20が収縮してFO膜22,23への負荷は増加する。その後、ポンプP2が停止すると、FO膜エレメント20は収縮する前の状態に戻り、FO膜22,23への負荷は減少する。
【0029】
FO膜22,23への負荷の増減幅が大きいと、FO膜22,23が過剰な変形を繰り返し、破損する場合がある。これに対応して、流路材28が流路27に配設されると、ポンプP1,P2の駆動に関わらずFO膜22,23が過剰に変形するのを防止することができ、もって、FO膜22,23が破損し難くすることができる。また、流路材28には多孔体構造物が用いられるので、駆動溶液DSが均一に流路27を流れるのを補助することができる。
【0030】
続いて、具体的な流路27を流れる駆動溶液DSの流速、流路27の断面積、及び流路材28の空隙率について説明する。
【0031】
排水FSに含まれる水分は浸透圧によってFO膜22,23を透過し、駆動溶液DSに浚われるため、流路27を流れる駆動溶液DSの濃度はFO膜22,23近傍であるほど低い。すなわち、駆動溶液DSには濃度勾配がある。ところで、排水FSの濃度及び駆動溶液DSの濃度の差が大きいほどFO膜22,23に生じる浸透圧は大きく、浸透圧が大きいほどFO膜22,23を透過する排水FS中の水分の量は多い。したがって、FO膜22,23近傍の駆動溶液DSの濃度が低いという濃度勾配の影響が小さいほど効率的な排水処理が期待される。これに対応して、流路27を流れる駆動溶液DSの流速を高速にすると、駆動溶液DSはFO膜22,23を透過した排水FS中の水分を素早く浚うため、濃度勾配の影響を小さくすることができる。一方、駆動溶液DSの流速を高速にするために必要な電力は大きい。
【0032】
本実施の形態では、駆動溶液DSの濃度勾配の影響を小さくするとともに、過剰な電力消費を回避するため、駆動溶液DSの流速は0.01~1m/s、流路27の断面積である流路断面積29(図2(d))は25~700mm、流路材28の空隙率は10~60%の範囲内で調整され、その結果、流路27を流れる駆動溶液DSの流量及びFO膜22,23を透過する排水FS中の水分のFO膜透過量が同程度になるように調整されている。
【0033】
ところで、FO膜エレメント20は排水貯留槽12に浸漬されているが、排水貯留槽12はFO膜エレメント20に空気、酸素、窒素、又はメタン等の気体を散気する散気装置(散気手段)を備えてもよい。散気装置はFO膜エレメント20に空気等を散気するので、例えば、排水FSから分離除去される溶解性物質及び夾雑物がFO膜22,23の表面に付着するのを防止することができ、もって、ファウリング現象が発生するのを抑制することができる。さらに、散気装置は、例えば、4枚の板からなる角管に囲まれたFO膜エレメント20に気体を散気してもよい。これにより、散気装置から散気された気体は効率的にFO膜エレメント20を構成するFO膜22,23の表面に接触することができる。
【0034】
散気装置は、ファウリング現象が発生するのを確実に抑制するため、FO膜エレメント20に空気等を連続的に散気してもよいが、この場合、散気装置が駆動する際に消費される電力は大きく、これは近年の消費電力の削減の要請に反している。これに対応して、散気装置はFO膜エレメント20に空気等を所定の基準に基づいて定期的に散気してもよい。
【0035】
具体的に、FO膜エレメント20への空気等の定期的な散気を実現するために、タイマー機能を有する散気装置が一定の時間間隔、例えば、1時間~5日、好ましくは5時間~1日の間隔で空気等を散気してもよい。また、FO膜22,23を透過する透過量として駆動溶液DSの量及び集水溶液CSの量の差分を算出し、算出された駆動溶液DSの量及び集水溶液CSの量の差分の変化に基づいて散気装置が空気等を散気してもよい。例えば、散気装置は、駆動溶液DSの量及び集水溶液CSの量の差分が所定の閾値以下のとき、ファウリング現象が発生しているとして散気し、駆動溶液DSの量及び集水溶液CSの量の差分が所定の閾値よりも大きいとき、散気しない。これらにより、ファウリング現象が発生するのを確実に抑制することができるとともに、消費電力の削減を実現することができる。
【0036】
ファウリング現象が発生するのを抑制するために、散気装置がFO膜エレメント20に定期的に空気等を散気する以外に、ポンプP1,P2の電源のON,OFFを制御してもよい。例えば、ポンプP1の電源をOFFにし、ポンプP2の電源のON,OFFを短時間で繰り返すと、FO膜22,23は収縮状態及び収縮状態からの復帰を繰り返す。これにより、FO膜22,23は微動するので、排水FSから分離除去される溶解性物質及び夾雑物がFO膜22,23の表面に付着した場合であっても、FO膜22,23の表面からその溶解性物質及び夾雑物を剥離することができる。
【0037】
図3は、図2のFO膜エレメント20の製造方法(第1の製造方法)の手順を示すフローチャートである。
【0038】
図3において、まず、FO膜22,23を取り付けるためのフレーム(固定枠)であって流路形成板25が形成されているフレームが射出成型やプレス加工によって得られ(S301、形成ステップ)、流路材28がフレームに嵌合される(S302)。次いで、流路27の端部に供給部21及び集水部24が固定されるとともに(S303)、FO膜22,23が巻き付けられ(S304)、FO膜22,23と、フレーム、供給部21又は集水部24とが接着剤、固定器具、又は熱融着等によってこれらの間に隙間が生じないように接合され(S305、固定ステップ)、本処理は終了する。なお、製造されたFO膜エレメント20は必要に応じてネットや格子状部材等で覆われてもよい。
【0039】
図3の製造方法によれば、流路27が形成されたフレームに流路材28が嵌合された後に(S301,S302)FO膜22,23が取り付けられている(S304,S305)ので、複雑な流路27を有するFO膜エレメント20を簡単に作製することができる。
【0040】
図4は、図3の第1の製造方法の変形例(第2の製造方法)の手順を示すフローチャートである。
【0041】
図4において、まず、FO膜22,23を取り付けるためのフレームであって流路形成板25が形成されているフレームが射出成型やプレス加工によって得られ(S401)、流路材28がフレームに嵌合される(S402)。次いで、流路27の端部に供給部21及び集水部24が固定されるとともに(S403)、FO膜22,23を構成する支持体と、フレーム、供給部21又は集水部24とが接着剤、固定器具、又は熱融着等によってこれらの間に隙間が生じないように接合される。すなわち、FO膜22,23を構成する支持体がフレームに直接形成される(S404、支持手段固定ステップ)。続いて、支持体にFO膜22,23を構成する支持層及び分離活性層が順次形成され(S405、被覆ステップ)、FO膜エレメント20が製造されて本処理は終了する。なお、製造されたFO膜エレメント20は必要に応じてネットや格子状部材等で覆われてもよい。
【0042】
図4の製造方法によれば、FO膜22,23を構成する支持体がフレームに直接形成され(S404)、その後、支持体に支持層及び分離活性層が順次形成されるので(S405)、FO膜22,23を取り付ける際にFO膜22,23が破損するリスクを低減することができる。
【0043】
図5は、図2のFO膜エレメント20を用いて実行される排水処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
図5において、まず、排水FS中の大型の夾雑物がスクリーン11によって除去され(ステップS501)、大型の夾雑物が除去された排水FSは排水貯留槽12に移動し、排水貯留槽12は大型の夾雑物が除去された排水FSによって充たされる。排水貯留槽12を充たす排水FSにはFO膜モジュール13が浸漬されるとともに、FO膜モジュール13が有するFO膜エレメント20も排水FSに浸漬されている。次いで、FO膜モジュール13に接続されたポンプP2が駆動し(S502)、駆動溶液DSは駆動溶液供給部14から供給部21を経由してFO膜エレメント20に供給され、FO膜エレメント20の流路27を一定の流速及び一定の流量で通過する(S503)。
【0045】
このとき、FO膜22,23は排水FS及び駆動溶液DSの間に位置し、排水FSに含まれる水分はFO膜22,23を透過してFO膜エレメント20の流路27に移動する(S504)。駆動溶液DSはFO膜エレメント20の流路27に移動した水分を浚い、集水溶液CSとして集水部24を経由してFO膜エレメント20の外部に排出され(S505)、本処理は終了する。
【0046】
ところで、排水処理が長期間継続して実行されると、散気装置がFO膜エレメント20に定期的に空気等を散気し又はポンプP1,P2の電源のON,OFFを制御してもFO膜22,23にファウリング現象が発生する場合がある。この場合、図5の排水処理を中止し、洗浄溶液を用いてFO膜エレメント20を洗浄する必要がある。具体的に、まず、FO膜モジュール13が排水貯留槽12から取り出され、FO膜エレメント20の供給部21から洗浄溶液が一定時間供給される。供給部21から供給された洗浄溶液は集水部24から回収される。その後、洗浄が終了すると、FO膜モジュール13が排水貯留槽12に浸漬され、排水処理が再開される。
【0047】
洗浄溶液には、例えば、硝酸水溶液、リン酸水溶液、酢酸水溶液、クエン酸水溶液、若しくはシュウ酸水溶液等の酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液若しくは次亜塩素酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液、又は、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液等の界面活性剤がFO膜22,23を構成する分離活性層、支持層、及び支持体の素材に応じて用いられる。
【0048】
その他、洗浄溶液を用いてFO膜エレメント20を洗浄するために、駆動溶液供給部14からFO膜モジュール13に供給される駆動溶液DSを洗浄溶液に変更してもよい。そうすると、洗浄溶液は駆動溶液供給部14からFO膜エレメント20の供給部21を経由してFO膜エレメント20の内部へ供給される。洗浄溶液はFO膜エレメント20の内部へ供給された後、例えば、数時間から24時間後に集水部24から回収される。これにより、FO膜モジュール13を排水貯留槽12から取り出すことなくFO膜エレメント20を洗浄することができる。
【0049】
駆動溶液供給部14から洗浄溶液を供給してFO膜エレメント20を洗浄する場合、洗浄溶液はFO膜モジュール13を排水貯留槽12から取り出してFO膜エレメント20を洗浄する場合と同様の洗浄溶液を使用することができるが、洗浄溶液の濃度に応じて洗浄溶液がFO膜エレメント20の内部からFO膜22,23をリークするときがある。
【0050】
ところで、FO膜エレメント20が有するFO膜22,23は排水FSから夾雑物及び溶解性物質を取り除き且つ排水FSに含まれる水分を透過するので、排水FSは濃縮される。濃縮された排水FSは、酢酸等の低分子有機酸を基質としてメタンを生成するメタン菌によって発酵され、その結果、バイオガスとしてのメタン及び発酵残渣である消化液が生成される。
【0051】
したがって、駆動溶液供給部14から洗浄溶液を供給してFO膜エレメント20を洗浄する場合、洗浄溶液として酢酸水溶液、クエン酸水溶液、又はシュウ酸水溶液等の低分子有機酸が用いられれば、洗浄溶液はFO膜22,23をリークしてもメタン菌の基質になる。すなわち、FO膜22,23をリークした洗浄溶液は濃縮された排水FSとともにメタン菌によって発酵されるので、駆動溶液供給部14から洗浄溶液を供給してFO膜エレメント20を洗浄する場合、洗浄溶液として酢酸水溶液、クエン酸水溶液、又はシュウ酸水溶液等の低分子有機酸が用いられるのがよい。
【0052】
次に、本発明に係るFO膜エレメント20の排水処理システム10に対する影響を従来のFO膜エレメント80と比較しながら評価した結果について説明する。
【0053】
本評価のために、まず、膜面積が1×10mm(1000mm×1000mm)の2枚のFO膜22,23を有するとともに、FO膜22,23間の距離が2mmのFO膜エレメント20が準備された。準備されたFO膜エレメント20は、流路形成板25を有し、流れ方向変更箇所26の数に1を加えた数を流路27の数と定義したとき、流路27の数が10であるとともに、空隙率が30%の流路材28が流路27に嵌合されている。
【0054】
また、FO膜エレメント20の比較対象として、膜面積が1×10mm(1000mm×1000mm)の2枚のFO膜81,82を有するとともに、FO膜81,82間の距離が2mmのFO膜エレメント80が準備された。準備されたFO膜エレメント80は流路材28を有さず、また、FO膜エレメント20が有する流路形成板25は有さない。したがって、駆動溶液DSは空間Sを供給管83から集水管84の方向に流路材28の抵抗を受けることなく流れる。
【0055】
その他、FO膜エレメント20,80に用いられるFO膜22,23,81,82の性能、例えば、FO膜22,23,81,82の各々を透過する流束は10L/m/hであり、また、駆動溶液DS及びFO膜22,23,81,82の境界付近で駆動溶液DSの濃度勾配が生じるのを防止する観点からFO膜エレメント20の流路27及びFO膜エレメント80の空間Sを流れる駆動溶液DSの流速は0.1m/sであることを前提とした。
【0056】
その結果、まず、FO膜エレメント20を構成するFO膜22,23及びFO膜エレメント80を構成するFO膜81,82はいずれも排水FS中の水分を1分間当たり0.33L透過する。次に、FO膜エレメント20の流路断面積29は200mmであり、流路材の空隙率が30%であるから、FO膜エレメント20の流路27を1分間当たり0.36Lの駆動溶液DSが通過する。一方、FO膜エレメント80の流路(すなわち、空間S)の断面積である流路断面積88(図8(d))は2000mmであり、FO膜エレメント80は流路材を有さないから、FO膜エレメント80の流路を1分間当たり12Lの駆動溶液DSが通過する。
【0057】
したがって、FO膜エレメント20において、流路を流れる駆動溶液DSの流量及びFO膜を透過する排水FS中の水分のFO膜透過量は同等であるが、FO膜エレメント80において、空間Sを流れる駆動溶液DSの流量はFO膜を透過する排水FS中の水分のFO膜透過量の約36倍であり、FO膜エレメント20を流れる駆動溶液DSの流量の約33倍である。
【0058】
つまり、FO膜エレメント20,80のいずれを用いてもFO膜22,23を透過する排水FS中の水分の量はFO膜81,82を透過する排水FS中の水分の量と同一であるにも関わらず、FO膜エレメント80を用いると過剰な駆動溶液DSを空間Sに供給しなければならない。したがって、排水FSから一定の量の水分を得るために、FO膜エレメント20が排水処理に用いられるのがよく、無駄な駆動溶液DSを供給しなければならないFO膜エレメント80が排水処理に用いられるのは適切ではない。
【0059】
また、FO膜エレメント20,80に駆動溶液DSを供給する動力を試算したところ、FO膜エレメント80に駆動溶液DSを供給する動力はFO膜エレメント20に駆動溶液DSを供給する動力の約30倍になった。したがって、近年の消費電力の削減に対する要請に応じるためにもFO膜エレメント20が排水処理に用いられるのがよく、無駄に電力を消費するFO膜エレメント80が排水処理に用いられるのは適切ではない。
【0060】
本実施の形態において、FO膜エレメント20は夾雑物、溶解性物質及び水分を含む排水FS、並びに、駆動溶液DSの間に配設され、排水FSから夾雑物及び溶解性物質を取り除き且つ排水FSに含まれる水分を駆動溶液DSに透過させるFO膜22,23と、駆動溶液DSの流路を形成する流路形成板25とを備える。これにより、流路形成板は駆動溶液DSの流れ方向を規制するので、駆動溶液DSを一定の流速及び一定の流量でFO膜全体に斑なく供給することができる。その結果、排水FS中の水分はFO膜22,23の全体を均一に透過し、FO膜22,23を用いた排水FSの処理を効率的に実行することができる。
【0061】
また、流路形成板25及びFO膜22,23がFO膜エレメント20の内部を分割し、流路27をFO膜エレメント20の内部に形成するので、一度に大量の駆動溶液DSがFO膜エレメント20に供給されるのを防止することができ、もって、FO膜エレメント20に駆動溶液DSを供給するための動力を抑制することができる。
【0062】
さらに、FO膜エレメント20は供給部21が排水貯留槽12の底部側に位置するとともに、集水部24が排水貯留槽12に貯留された排水の水面側に位置するように浸漬される。これにより、空気が駆動溶液DSとともにFO膜エレメント20の内部に流入しても空気は駆動溶液DSの水勢と、空気の浮力とに基づいてFO膜エレメント20から排出されやすくなり、空気がFO膜エレメント20を構成するFO膜22,23及び駆動溶液DSの接触を阻害するのを抑制することができる。
【0063】
図6は、図2のFO膜エレメント20の変形例を説明するために用いられる図である。図6(a)はFO膜エレメント20の第1の変形例であるFO膜エレメント61を説明するために用いられる図であり、図6(b)はFO膜エレメント20の第2の変形例であるFO膜エレメント62を説明するために用いられる図である。なお、図6(a)(b)はいずれも図2(c)に対応している。
【0064】
図6(a)のFO膜エレメント61の構成、作用はFO膜エレメント20の構成、作用と基本的に同一であるが、流れ方向変更箇所26周辺の構成が異なる。具体的に、FO膜エレメント20は流れ方向変更箇所26にU字形状の流路形成板25を有し、流路27が流れ方向変更箇所26で湾曲するように形成されているが、FO膜エレメント61はU字形状の流路形成板25を有さず、これに代えて、FO膜エレメント61ではFO膜22,23が取り付けたられたフレーム61a及び流路形成板25が流れ方向変更箇所26を形成している。これにより、FO膜エレメント61はFO膜エレメント20と同様の効果を有するとともに、U字形状の流路形成板25を使用しなくてよいので、FO膜エレメント20よりも簡単且つ安価に作製することができる。
【0065】
図6(b)のFO膜エレメント62の構成、作用はFO膜エレメント20の構成、作用と基本的に同一であるが、FO膜エレメント20は複数の流れ方向変更箇所26を有し、FO膜エレメント62は流れ方向変更箇所26を有さない。FO膜エレメント62は矩形状のFO膜22,23が長尺状のフレーム62aに取り付けられることによって構成され、その長手方向の一端に供給部21を備えるとともに、その長手方向の他端に集水部24を備える。すなわち、FO膜22,23と長尺状のフレーム62aによって流路が形成される。FO膜エレメント62はFO膜エレメント20の流路27の数1つ分に相当し、供給部21からFO膜エレメント62の内部に供給された駆動溶液DSはFO膜エレメント62の内部で流れ方向を変更することなく集水部24で集水される。
【0066】
したがって、FO膜エレメント62は図2のFO膜エレメント20と同様の効果を奏することができる。すなわち、FO膜エレメント62は駆動溶液DSを一定の流速及び一定の流量でFO膜22,23の全体に斑なく供給し、FO膜22,23を用いた排水FSの処理を効率的に実行することができる。しかしながら、FO膜エレメント62のFO膜22,23の膜面積は、FO膜エレメント20のFO膜22,23の膜面積の約10%であるため、FO膜エレメント62が処理する排水FSの量もFO膜エレメント20が処理する排水FSの量の約10%となる。
【0067】
これに対応して、FO膜エレメント62は長手方向に連結面62bを有してもよい。連結面62bは一のFO膜エレメント62及び他のFO膜エレメント62を着脱可能に連結し、例えば、10のFO膜エレメント62が連結面62bを介して連結されたとき、10のFO膜エレメント62が連結された連結FO膜エレメントが有するFO膜の膜面積はFO膜エレメント20,60が有するFO膜22,23の膜面積に相当する。その結果、FO膜エレメント62はFO膜エレメント20が処理する排水FSの量と同等の量を処理することができる。
【0068】
図7は、複数のFO膜エレメント20,61が連結されて一体化された一体型FO膜エレメント70を説明するために用いられる図である。
【0069】
図7の一体型FO膜エレメント70は供給部連結材71、集水部連結材72、駆動溶液導入部73、及び集水溶液合流部74を備え、各FO膜エレメント20,61が有する供給部21は供給部連結材71に嵌合されることによって連結し、各FO膜エレメント20,61が有する集水部24は集水部連結材72に嵌合されることによって連結する。駆動溶液導入部73には駆動溶液供給部14から供給される駆動溶液DSが導入される。駆動溶液導入部73に導入された駆動溶液DSは分岐して供給部連結材71に連結された各供給部21からFO膜エレメント20,61に供給され、その後、各FO膜エレメント20,61の流路27及び各集水部24を経由し、集水溶液CSとして集水溶液合流部74で合流する。集水溶液合流部74で合流した集水溶液CSは一体型FO膜エレメント70の外部に排出される。
【0070】
図7の一体型FO膜エレメント70によれば、各FO膜エレメント20,61を連結するので、処理される排水FSの量に応じて排水FSの処理に必要なFO膜22,23の面積を簡単に拡充することができる。
【0071】
以上、本発明について、上述の実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
FS 排水
DS 駆動溶液
CS 集水溶液
10 排水処理システム
13 FO膜モジュール
20 FO膜エレメント
22,23 FO膜
25 流路形成板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8