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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/005 20120101AFI20230904BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230904BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230904BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20230904BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20230904BHJP
   B24B 49/02 20060101ALI20230904BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20230904BHJP
【FI】
B24B37/005 Z
H01L21/304 622N
H01L21/68 N
H01L21/68 G
B24B41/06 L
B24B49/02 Z
B24B37/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020018824
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021122902
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 暢行
(72)【発明者】
【氏名】安田 穂積
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-091766(JP,A)
【文献】特開平08-335624(JP,A)
【文献】特開2018-092962(JP,A)
【文献】特開2020-009880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/005
H01L 21/304
H01L 21/683
H01L 21/68
B24B 41/06
B24B 49/02
B24B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するためのテーブルと、
前記テーブルに支持された基板を研磨するための研磨パッドを保持するためのパッドホルダと、
前記パッドホルダを前記基板に対して昇降させるための昇降機構と、
前記テーブルに支持された基板を前記テーブルの中心方向に押圧して位置合わせするための少なくとも3個のセンタリング機構と、
を含み、
前記少なくとも3個のセンタリング機構はそれぞれ、前記テーブルの周囲に配置された回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられたセンタリング部材と、を含み、
前記センタリング部材は、前記回転シャフトが第1の方向に回転したときに前記基板と接触する第1の接触部と、前記回転シャフトが前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転したときに前記基板と接触する第2の接触部と、を含む、
基板処理装置。
【請求項2】
前記回転シャフトを前記第1の方向に回転させて前記第1の接触部で前記基板を押圧して第1の位置合わせを行った後、前記回転シャフトを前記第2の方向に回転させて前記第2の接触部で前記基板を押圧して第2の位置合わせを行う制御部をさらに含む、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記位置合わせの成否を判定するように構成される、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度と、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの前記初期
位置からの第2の回転角度と、を比較し、前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とが等しい場合、または前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが小さい場合には、前記位置合わせが成功したと判定するように構成される、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが大きい場合には、前記位置合わせが失敗したと判定し、再度、前記第1の位置合わせを行うように構成される、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記基板の直径を算出するように構成される、
請求項2から5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回転シャフトの初期位置からの回転角度と、前記基板の直径と、を対応付けた参照テーブルを含み、
前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度と、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第2の回転角度と、前記参照テーブルと、に基づいて、前記基板の直径を算出するように構成される、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第1の直径を算出し、前記第2の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第2の直径を算出し、前記第1の直径と前記第2の直径を比較し、前記第1の直径と前記第2の直径とが等しい場合には、前記第1の直径または前記第2の直径を前記基板の直径として算出するように構成される、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが大きい場合には、前記第2の直径を前記基板の直径として算出するように構成される、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが小さい場合には、前記第1の直径を前記基板の直径として算出するとともに、再度、前記第1の位置合わせを行うように構成される、
請求項8または9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
テーブルに基板を設置する設置ステップと、
前記テーブルに設置された基板を前記テーブルの中心方向に押圧して位置合わせする位置合わせステップと、
を含み、
前記位置合わせステップは、前記テーブルの周囲に配置された回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられたセンタリング部材と、をそれぞれ含む、少なくとも3個のセンタリング機構を用いて行われ、
前記回転シャフトを第1の方向に回転させて前記センタリング部材の第1の接触部で前記基板を押圧する第1の位置合わせステップと、
前記第1の位置合わせステップの後、前記回転シャフトを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させて前記センタリング部材の第2の接触部で前記基板を押圧する第2の
位置合わせステップと、
を含む、基板処理方法。
【請求項12】
前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記位置合わせの成否を判定する判定ステップをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度を検出するステップと、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの前記初期位置からの第2の回転角度を検出するステップと、をさらに含み、
前記判定ステップは、前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とを比較し、前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とが等しい場合、または前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが小さい場合には、前記位置合わせが成功したと判定する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記判定ステップは、前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが大きい場合には、前記位置合わせが失敗したと判定し、再度、前記第1の位置合わせステップを行う、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の位置合わせステップを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせステップを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記基板の直径を算出する直径算出ステップをさらに含む、
請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度を検出するステップと、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの前記初期位置からの第2の回転角度を検出するステップと、をさらに含み、
前記直径算出ステップは、前記第1の回転角度と、前記第2の回転角度と、前記回転シャフトの初期位置からの回転角度と前記基板の直径とを対応付けた参照テーブルと、に基づいて、前記基板の直径を算出する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記直径算出ステップは、前記第1の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第1の直径を算出するステップと、前記第2の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第2の直径を算出するステップと、を含み、前記第1の直径と前記第2の直径を比較し、前記第1の直径と前記第2の直径とが等しい場合には、前記第1の直径または前記第2の直径を前記基板の直径として算出する、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記直径算出ステップは、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが大きい場合には、前記第2の直径を前記基板の直径として算出する、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記直径算出ステップは、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが小さい場合には、前記第1の直径を前記基板の直径として算出し、再度、前記第1の位置合わせステップを行う、
請求項17または18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体加工工程において用いられる基板処理装置の一種にCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)装置が存在する。CMP装置は、基板の被研磨面が向いている方向によって「フェースアップ式(基板の被研磨面が上向きの方式)」と「フェースダウン式(基板の被研磨面が下向きの方式)」に大別され得る。
【0003】
フェースアップ式のCMP装置は、基板の被研磨面を上向きにしてテーブルに設置し、基板よりも小径の研磨パッドを回転させながら基板に接触させて揺動させることによって基板を研磨するように構成される。このようなCMP装置では、基板をテーブルに設置するときに基板をテーブルの中心に位置決め(センタリング)する。基板の位置決めに関して、特許文献1には、基板の周囲に配置された複数の芯出しピンを基板の周縁に当接させて押圧力を加えることによって、基板を複数の芯出しピンの中心に位置決めすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2008-537316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、オリエンテーションフラットまたはノッチなどの異形部分を有する基板がプリアライメントされていない場合の基板の位置決め精度については考慮されていない。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載された技術は、基板の異形部分が所定の向きになるようにプリアライメントされていることが前提となっており、プリアライメントされた基板に対して複数の芯出しピンを用いて位置決めを行うものである。したがって、基板がプリアライメントされていない場合には、基板の位置決めがずれるおそれがある。
【0007】
そこで、本願は、異形部分を有するプリアライメントされていない基板の位置決め精度を向上させることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、基板を支持するためのテーブルと、前記テーブルに支持された基板を研磨するための研磨パッドを保持するためのパッドホルダと、前記パッドホルダを前記基板に対して昇降させるための昇降機構と、前記テーブルに支持された基板を前記テーブルの中心方向に押圧して位置合わせするための少なくとも3個のセンタリング機構と、を含み、前記少なくとも3個のセンタリング機構はそれぞれ、前記テーブルの周囲に配置された回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられたセンタリング部材と、を含み、前記センタリング部材は、前記回転シャフトが第1の方向に回転したときに前記基板と接触する第1の接触部と、前記回転シャフトが前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転したときに前記基板と接触する第2の接触部と、を含む、基板処理装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。
図2】一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す平面図である。
図3】一実施形態による多軸アームを概略的に示す斜視図である。
図4】一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す斜視図である。
図5】一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す側面図である。
図6】一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図であり、第1の位置合わせおよび第2の位置合わせにおいてセンタリング部材がノッチを押圧しない場合を示している。
図7】一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図であり、第1の位置合わせにおいてセンタリング部材がノッチを押圧した場合を示している。
図8】一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図であり、第2の位置合わせにおいてセンタリング部材がノッチを押圧した場合を示している。
図9】一実施形態による基板処理方法を示すフローチャートである。
図10】一実施形態による基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る基板処理装置および基板処理方法の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
図1は、一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。図2は、一実施形態による基板処理装置の全体構成を概略的に示す平面図である。図1および図2に示される基板処理装置1000は、テーブル100と、多軸アーム200と、支持部材300A,300Bと、センタリング機構400A,400B,400Cと、ドレッサ500と、膜厚計測器(終点検出器)600と、洗浄ノズル700A、700Bと、を有する。
【0012】
<テーブル>
テーブル100は、処理対象となる基板WFを支持するための部材である。一実施形態において、テーブル100は、基板WFを支持するための支持面100aを有し、図示していないモータなどの駆動機構によって回転可能に構成される。支持面100aには複数の穴102が形成されており、テーブル100は、穴102を介して基板WFを真空吸着することができるように構成される。
【0013】
<多軸アーム>
図3は、一実施形態による多軸アームを概略的に示す斜視図である。図2および図3に示すように、多軸アーム200は、テーブル100に支持された基板WFに対して各種処理を行うための複数の処理具を保持する部材であり、テーブル100に隣接して配置される。本実施形態の多軸アーム200は、基板WFを研磨するための大径の研磨パッド222と、基板WFを洗浄するための洗浄具232と、基板WFを仕上げ研磨するための小径の研磨パッド242と、基板WFの直径を計測するための撮影部材(カメラ)252と、を保持するように構成される。
【0014】
具体的には、多軸アーム200は、基板WFに対して直交する方向(高さ方向)に伸びる揺動シャフト210と、揺動シャフト210を回転駆動するモータなどの回転駆動機構212と、揺動シャフト210に支持されており揺動シャフト210の周りに放射状に配置される第1のアーム220、第2のアーム230、第3のアーム240、および第4のアーム250と、を含む。第1のアーム220には高さ方向に伸びる回転シャフト224
が取り付けられており、回転シャフト224の先端にはパッドホルダ226が取り付けられている。パッドホルダ226には大径の研磨パッド222が保持される。パッドホルダ226は、例えばエアシリンダなどの駆動機構で構成される昇降機構227によって基板WFに対して高さ方向に昇降可能になっている。第2のアーム230には高さ方向に伸びる回転シャフト234が取り付けられており、回転シャフト234の先端には洗浄具ホルダ236が取り付けられている。洗浄具ホルダ236には洗浄具232が保持される。洗浄具ホルダ236は、例えばエアシリンダなどの駆動機構で構成される昇降機構237によって基板WFに対して高さ方向に昇降可能になっている。第3のアーム240には高さ方向に伸びる回転シャフト244が取り付けられており、回転シャフト244の先端にはパッドホルダ246が取り付けられている。パッドホルダ246には小径の研磨パッド242が保持される。パッドホルダ246は、例えばエアシリンダなどの駆動機構で構成される昇降機構247によって基板WFに対して高さ方向に昇降可能になっている。第4のアーム250には撮影部材252が保持される。
【0015】
第1のアーム220は、研磨パッド222とともにノズル228をさらに保持するように構成される。ノズル228は、研磨パッド222を挟んで研磨パッド222の揺動方向の両側に設けられ、研磨液または洗浄水を基板WFに放出するように構成される。第2のアーム230は、洗浄具232とともにアトマイザ238をさらに保持するように構成される。アトマイザ238は、洗浄具232を挟んで洗浄具232の揺動方向の両側に設けられ、純水などの液体を基板WFに放出するように構成される。第3のアーム240は、研磨パッド242とともにノズル248をさらに保持するように構成される。ノズル248は、研磨パッド242を挟んで研磨パッド242の揺動方向の両側に設けられ、研磨液または洗浄水を基板WFに放出するように構成される。
【0016】
図2に示すように、本実施形態では、第1のアーム220、第2のアーム230、第3のアーム240、および第4のアーム250は、平面視で反時計回りに90度ずれて揺動シャフト210の周りに放射状に伸びる。回転駆動機構212は、揺動シャフト210を回転駆動することによって、大径の研磨パッド222、洗浄具232、小径の研磨パッド242、および撮影部材252のいずれかを基板WF上に移動させることができる。また、回転駆動機構212は、揺動シャフト210を回転駆動することによって、研磨パッド222または研磨パッド242をドレッサ500上に移動させることができる。また、回転駆動機構212は、揺動シャフト210を時計回りおよび反時計回りに交互に回転駆動することによって、第1のアーム220、第2のアーム230、第3のアーム240、および第4のアーム250を揺動させる揺動機構の機能を有する。具体的には、回転駆動機構212は、研磨パッド222、洗浄具232、または研磨パッド242が基板WF上に位置している状態で、揺動シャフト210を時計回りおよび反時計回りに交互に回転駆動することによって、研磨パッド222(パッドホルダ226)、洗浄具232(洗浄具ホルダ236)、または研磨パッド242(パッドホルダ246)を基板WFに対して揺動させることができる。本実施形態では、研磨パッド222、洗浄具232、または研磨パッド242を回転駆動機構212によって基板WFの径方向に旋回揺動させる、すなわち円弧に沿って往復運動させる例を示すが、これに限定されない。例えば、揺動機構は、研磨パッド222、洗浄具232、または研磨パッド242を基板の径方向に直線揺動させる、すなわち直線に沿って往復運動させるような構成を有し得る。
【0017】
また、多軸アーム200は、回転シャフト224、234、244を回転させるための図示していないモータなどの回転駆動機構を含んでおり、これにより、研磨パッド222、洗浄具232、および研磨パッド242を、回転シャフト224、234、244を軸に回転させることができるようになっている。基板処理装置1000は、例えば研磨パッド222が基板WF上にある場合には、テーブル100を回転させるとともに研磨パッド222を回転させ、昇降機構227によって研磨パッド222を基板WFに押圧しながら
回転駆動機構212によって研磨パッド222を揺動させることによって、基板WFの研磨を行うように構成される。
【0018】
<支持部材>
図1および図2に示すように、基板処理装置1000は、テーブル100の外側の研磨パッド222の揺動経路に配置された第1の支持部材300Aと、テーブル100を挟んで第1の支持部材300Aと反対側の研磨パッド222の揺動経路に配置された第2の支持部材300Bと、を含む。第1の支持部材300Aおよび第2の支持部材300Bは、基板WFを挟んで線対称になっている。このため、以下では第1の支持部材300Aおよび第2の支持部材300Bをまとめて支持部材300として説明する。また、以下では、一例として、大径の研磨パッド222を基板WFに対して揺動させる場合の支持部材300の機能について説明を行うが、洗浄具232または小径の研磨パッド242についても同様である。
【0019】
支持部材300は、揺動シャフト210の回転によってテーブル100の外側へ揺動された研磨パッド222を支持するための部材である。すなわち、基板処理装置1000は、基板WFを研磨する際に研磨パッド222を基板WFの外側に飛び出すまで揺動させる(オーバーハングさせる)ことによって、基板WFの被研磨面を均一に研磨するように構成される。ここで、研磨パッド222をオーバーハングさせた場合には、パッドホルダ226が傾くなど様々な要因によって基板WFの周縁部に研磨パッド222の圧力が集中して、基板WFの被研磨面が均一に研磨されないおそれがある。そこで、本実施形態の基板処理装置1000は、基板WFの外側にオーバーハングした研磨パッド222を支持するための支持部材300をテーブル100の両側に設けている。
【0020】
図4は、一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す斜視図である。図5は、一実施形態によるテーブルおよび支持部材を概略的に示す側面図である。図5に示すように、第1の支持部材300Aおよび第2の支持部材300Bはそれぞれ、研磨パッド222の基板WFと接触する研磨面222aの全体を支持可能な支持面301a,301bを有する。すなわち、支持面301a,301bはそれぞれ、研磨パッド222の研磨面222aの面積よりも大きな面積を有しているので、研磨パッド222が完全に基板WFの外側までオーバーハングしたとしても研磨面222aの全体が支持面301a,301bに支持される。これにより、本実施形態では、研磨パッド222は、基板WF上を揺動しているときには研磨面222aの全体が基板WFに接触して支持されており、テーブル100の外側まで揺動しているときも研磨面222aの全体が支持部材300に支持されているので、揺動中に基板WFの被研磨面および支持面301a,301bの領域からはみ出さないようになっている。
【0021】
<駆動機構>
図4および図5に示すように、基板処理装置1000は、支持部材300の高さを調整するための駆動機構310を含む。駆動機構310は、モータおよびボールねじなどの様々な公知の機構で構成することができ、支持部材300(支持面301aおよび支持面301b)を所望の高さに調整することができる。また、基板処理装置1000は、支持部材300の水平方向の位置、すなわちテーブル100に支持された基板WFの径方向に沿った位置を調整することによって基板WFに対する支持部材300の距離を調整するための駆動機構320を含む。駆動機構320は、モータおよびボールねじなどの様々な機構で構成することができる。
【0022】
駆動機構320は、後述する方法によって得られた基板WFの直径に基づいて、テーブル100に設置された基板WFに対する支持部材300の距離を調整することができる。例えば、基板WFの被研磨面を均一に研磨するためには、基板WFと支持部材300との
間に隙間がないことが好ましい。しかしながら、基板WFは研磨処理中にテーブル100の回転に伴って回転する一方、支持部材300は回転しないので、支持部材300を基板WFの外周部に接触させることはできない。そこで、駆動機構320は、得られた基板WFの直径に基づいて、基板WFの外周部に接触しない範囲で最も接近する位置に支持部材300を配置することができる。また、駆動機構310、320は、後述する膜厚計測器600によって得られた基板WFの被研磨面の膜厚プロファイルに応じて支持部材300の高さおよび水平方向の位置を調整することができる。
【0023】
<センタリング機構および制御部>
図1図2、および図4に示すように、基板処理装置1000は、テーブル100に支持された基板WFをテーブル100の中心方向に押圧して位置合わせするための少なくとも3個のセンタリング機構400A,400B,400Cを含む。センタリング機構400A,400B,400Cは、テーブル100の周囲に適宜の間隔をあけて配置される。
【0024】
図6は、一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図であり、第1の位置合わせおよび第2の位置合わせにおいてセンタリング部材がノッチを押圧しない場合を示している。図6に示すように、センタリング機構400A,400B,400Cはそれぞれ、高さ方向に伸びる回転シャフト430と、回転シャフト430に取り付けられたセンタリング部材440と、を含む。回転シャフト430は図示していないモータなどの回転駆動機構によって回転可能に構成される。センタリング部材440は、テーブル100または基板WFと同じ高さ位置で回転シャフト430に取り付けられた棒状の部材であり、回転シャフト430の両側に伸びている。センタリング部材440は、回転シャフト430が第1の方向(例えば時計回り方向)に回転したときに基板WFと接触する第1の接触部440aと、回転シャフト430が第1の方向とは反対の第2の方向(例えば反時計回り方向)に回転したときに基板WFと接触する第2の接触部440bと、を含む。また、基板処理装置1000は、センタリング機構400A,400B,400Cを用いて基板WFの位置合わせを実行するための制御部410を含む。
【0025】
制御部410は、テーブル100に基板WFが設置されていない状態で、回転シャフト430およびセンタリング部材440の初期位置の設定を行う。具体的には、制御部410は、テーブル100に基板WFが設置されていない状態で、第1の接触部440aがテーブル100の外周に接触するまで回転シャフト430を第1の方向に回転させる。制御部410は、この状態から第2の接触部440bがテーブル100の外周に接触するまで回転シャフト430を第2の方向に回転させ、回転シャフト430の第2の方向の回転角度を検出する。制御部410は、検出した回転角度に基づいて、回転シャフト430およびセンタリング部材440の回転範囲の中央を回転シャフト430およびセンタリング部材440の初期位置として設定する。なお、回転シャフト430およびセンタリング部材440の初期位置の設定の際には、回転シャフト430を回転駆動するモータの出力トルクを所定値で制限することによって、テーブル100に接触したときの回転シャフト430またはセンタリング部材440の破損を防止することができる。
【0026】
制御部410は、テーブル100に基板WFが設置されたら、センタリング機構400A,400B,400Cのそれぞれの回転シャフト430を同じタイミングで第1の方向に回転させて第1の接触部440aで基板WFを押圧する。すると、3個のセンタリング部材440のうち基板WFに一番近いセンタリング部材の第1の接触部440aが基板WFをテーブル100の中心方向に押圧する。その後、残りのセンタリング部材440の第1の接触部440aも順次基板WFをテーブル100の中心方向に押圧し、その結果、基板WFは3方向からテーブル100の中心方向に押圧される。3個のセンタリング部材440の第1の接触部440aが均等に基板WFを押圧したところで基板WFはテーブル100の中心位置にセンタリングされて位置合わせされる。以下では、回転シャフト430
を第1の方向に回転させて行う基板WFの位置合わせを「第1の位置合わせ」という。
【0027】
また、制御部410は、第1の位置合わせを行った後、回転シャフト430を第2の方向に回転させて第2の接触部440bで基板WFを押圧することによって基板WFをテーブル100の中心位置にセンタリングして位置合わせするようになっている。以下では、回転シャフト430を第2の方向に回転させて行う基板WFの位置合わせを「第2の位置合わせ」という。
【0028】
すなわち、図6に示すように、基板WFの外周部にノッチ(切り欠き)NCがある場合を考慮すると、ノッチNCがセンタリング機構400A,400B,400Cの近傍にない場合には、第1の位置合わせのときも第2の位置合わせのときもセンタリング部材440がノッチNCを押圧せず、問題なく基板WFの位置合わせが行われる。
【0029】
しかしながら、本実施形態では、基板WFがプリアライメントされていないのでノッチNCはランダムな位置に配置される。これにより、3個のセンタリング部材440のいずれかがノッチNCを押圧した場合には、基板WFの位置合わせがテーブル100の中心からずれる。図7は、一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図であり、第1の位置合わせにおいてセンタリング部材がノッチを押圧した場合を示している。図7に示す例では、センタリング機構400Aのセンタリング部材440の第1の接触部440aがノッチNCを押圧しているので、基板WFは一点鎖線450で示す正常な位置合わせの場所からずれる。そこで、本実施形態では、制御部410は、第1の位置合わせを行った後、第2の位置合わせを行うようになっている。これにより、図7に示すように、第2の位置合わせを行った後に基板WFは正しく位置合わせされる。
【0030】
他方、第2の位置合わせにおいて基板WFが正しく位置合わせされない可能性もある。図8は、一実施形態によるセンタリング機構を概略的に示す平面図であり、第2の位置合わせにおいてセンタリング部材がノッチを押圧した場合を示している。図8に示すように、第1の位置合わせにおいて正常に位置合わせが行われたが、第2の位置合わせにおいてセンタリング部材440がノッチNCを押圧して位置ずれが生じるおそれがある。
【0031】
そこで、本実施形態の制御部410は、第1の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の回転角度、および第2の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の回転角度に基づいて、基板WFの位置合わせの成否を判定するように構成される。具体的には、制御部410は、第1の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の初期位置からの第1の回転角度と、第2の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の初期位置からの第2の回転角度と、を比較する。制御部410は、第1の回転角度と第2の回転角度とが等しい場合には、図6に示すように、第1の位置合わせを行ったときも、第2の位置合わせを行ったときもセンタリング部材440がノッチNCを押圧しなかったと考えられるので、基板WFの位置合わせが成功したと判定するように構成される。
【0032】
一方、制御部410は、第1の回転角度より第2の回転角度のほうが小さい場合には、図7に示すように、第1の位置合わせにおいてセンタリング部材440がノッチNCを押圧して位置ずれが生じたが、第2の位置合わせにおいて正常に位置合わせが行われたと考えられるので、基板WFの位置合わせが成功したと判定するように構成される。
【0033】
他方、図8に示すように、制御部410は、第1の回転角度より第2の回転角度のほうが大きい場合には、第1の位置合わせにおいて正常に位置合わせが行われたが、第2の位置合わせにおいてセンタリング部材440がノッチNCを押圧して位置ずれが生じたと考えられるので、基板WFの位置合わせが失敗したと判定する。この場合、制御部410は、第2の位置合わせにおいて第2の接触部440bのいずれかが基板WFのノッチNCを
押圧して基板WFの位置合わせがずれているので、再度、第1の位置合わせを行うことによって、基板WFをテーブル100の中心位置にセンタリングするようになっている。
【0034】
本実施形態のセンタリング部材440は、第1の接触部440aおよび第2の接触部440bのいずれか一方がノッチNCを押圧する可能性はあるが、両方がノッチNCを押圧することはないように構成されている。したがって、本実施形態によれば、基板WFの外周部にノッチNCがある場合であっても、確実に基板WFをテーブル100の中心位置に位置合わせすることができる。本実施形態では、基板WFにノッチNCが形成されている場合を例に説明を行ったが、基板WFの外周部にオリエンテーションフラット(オリフラ)が形成されている場合も同様に確実に基板WFをテーブル100の中心位置に位置合わせすることができる。以上より、本実施形態によれば、異形部分を有するプリアライメントされていない基板WFの位置決め精度を向上させることができる。
【0035】
<基板WFの直径算出>
次に、基板WFの位置合わせに基づく基板WFの直径の算出について説明する。制御部410は、第1の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の回転角度、および第2の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の回転角度に基づいて、基板WFの直径を算出するように構成される。具体的には、制御部410は、回転シャフト430の初期位置からの回転角度と、基板WFの直径と、を対応付けた参照テーブルを含んでいる。すなわち、基板WFは、規格で定められた所定のサイズを有しているが、実際には基板WFの直径には公差(バラツキ)が存在する。そこで、制御部410は、例えば直径が既知であるテーブル100に対して第1の接触部440aおよび第2の接触部440bを押圧したときの回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度に基づいて、回転シャフト430の回転角度と基板WFの直径との対応関係の参照テーブルをあらかじめ作成して保存している。制御部410は、保存している参照テーブルに基づいて、基板WFを位置合わせする際の回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度に対応する直径を導き出すことによって、基板WFの直径を算出することができる。
【0036】
具体的には、制御部410は、第1の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の初期位置からの第1の方向の回転角度と参照テーブルに基づいて基板WFの第1の直径を算出する。その後、制御部410は、第2の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の初期位置からの第2の方向の回転角度と参照テーブルに基づいて基板WFの第2の直径を算出する。制御部410は、図6に示す例のように、第1の直径と第2の直径を比較して両者が等しい場合には、第1の位置合わせおよび第2の位置合わせのいずれを行ったときも基板WFのノッチNCを押圧していないと考えられるので、第1の直径または第2の直径のいずれかを基板WFの直径として出力する。
【0037】
一方、図7に示す例では、第1の位置合わせにおいてセンタリング部材440がノッチNCを押圧しているので、破線460で示すように基板WFの正しい直径より小さい直径が算出される。そこで、制御部410は、第1の直径よりも第2の直径のほうが大きい場合には、第1の位置合わせを行ったときに基板WFのノッチNCを押圧したと考えられるので、第2の直径を基板WFの直径として出力する。
【0038】
他方、図8に示す例のように、第1の直径より第2の直径のほうが小さい場合には、制御部410は、第2の位置合わせを行ったときに基板WFのノッチNCを押圧したと考えられるので、第1の直径を基板WFの直径として出力するとともに、再度、第1の位置合わせを行う。本実施形態によれば、制御部410は、回転シャフト430の第1の方向の回転角度および第2の方向の回転角度のうち、ノッチNCを押圧しなかったときの回転角度を用いて基板WFの直径を正しく算出することができる。
【0039】
<ドレッサ>
図1および図2に示すように、ドレッサ500は、揺動シャフト210の回転による研磨パッド222、242の旋回経路に配置される。ドレッサ500は、表面にダイヤモンド粒子などが強固に電着しており、研磨パッド222、242を目立て(ドレッシング)するための部材である。ドレッサ500は、図示していないモータなどの回転駆動機構によって回転するように構成される。ドレッサ500の表面には図示していないノズルから純水を供給可能になっている。基板処理装置1000は、ノズルから純水をドレッサ500に供給しながらドレッサ500を回転させるとともに、研磨パッド222、242を回転させ、ドレッサ500に押圧しながらドレッサ500に対して揺動させる。これによって、ドレッサ500により研磨パッド222、242が削り取られ、研磨パッド222、242の研磨面がドレッシングされる。
【0040】
<膜厚計測器>
図1および図2に示すように、基板処理装置1000は、基板WFを研磨しながら基板WFの被研磨面の膜厚プロファイルを計測するための膜厚計測器600を含む。膜厚計測器600は、渦電流式センサまたは光学式センサなどの様々なセンサで構成することができる。図1に示すように、高さ方向に伸びる回転シャフト610がテーブル100に隣接して配置されている。回転シャフト610は、図示していないモータなどの回転駆動機構によって回転シャフト610の軸周りに回転可能になっている。回転シャフト610には揺動アーム620が取り付けられおり、膜厚計測器600は、揺動アーム620の先端に取り付けられている。膜厚計測器600は、回転シャフト610の回転によって回転シャフト610の軸周りに旋回揺動するように構成される。具体的には、膜厚計測器600は、基板WFの研磨中に、回転シャフト610の回転によって基板WFの径方向に沿って揺動することができるようになっている。膜厚計測器600は、研磨パッド222が基板WF上を揺動しているときには基板WF上から退避した位置に揺動し、研磨パッド222が基板WF上を揺動していないときに基板WF上を揺動するように構成される。すなわち、膜厚計測器600は、基板WF上を揺動する研磨パッド222と干渉しないタイミングで基板WF上を揺動することができるようになっており、研磨パッド222によって研磨される基板WFの膜厚プロファイルを経時的に計測することができる。膜厚計測器600は、計測した基板WFの膜厚プロファイルが所望の膜厚プロファイルになったら、基板WFの研磨の終点を検出することができる。
【0041】
<洗浄ノズル>
図1および図2に示すように、洗浄ノズル700A、700Bは、テーブル100に隣接して配置される。洗浄ノズル700Aは、テーブル100と支持部材300Aとの間の隙間に向けて純水などの洗浄液を供給するように構成される。これにより、テーブル100と支持部材300Aとの間に入った研磨カスなどを洗い流すことができる。洗浄ノズル700Bは、テーブル100と支持部材300Bとの間の隙間に向けて純水などの洗浄液を供給するように構成される。これにより、テーブル100と支持部材300Bとの間に入った研磨カスなどを洗い流すことができる。
【0042】
<フローチャート>
次に、本実施形態による基板WFの位置合わせを含む基板処理方法の手順を説明する。図9は、一実施形態による基板の位置合わせの手順を示すフローチャートである。図9に示すように、基板処理方法は、まず、制御部410によってセンタリング機構400A,400B,400Cの初期位置を設定する(初期設定ステップS105)。続いて、基板処理方法は、テーブル100に基板WFを設置する(設置ステップS110)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって基板WFの第1の位置合わせを行う(第1の位置合わせステップS120)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって第1の位置
合わせステップS120における回転シャフト430の初期位置からの第1の回転角度を検出する(ステップS130)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって基板WFの第2の位置合わせを行う(第2の位置合わせステップS140)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって第2の位置合わせステップS140における回転シャフト430の初期位置からの第2の回転角度を検出する(ステップS150)。
【0043】
続いて、基板処理方法は、制御部410によって、第1の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の回転角度、および第2の位置合わせを行ったときの回転シャフト430の回転角度に基づいて、基板WFの位置合わせの成否を判定する(判定ステップS160)。具体的には、制御部410は、第1の回転角度と第2の回転角度とを比較し、第1の回転角度と第2の回転角度とが等しい場合、または第1の回転角度より第2の回転角度のほうが小さい場合には、基板WFの位置合わせが成功したと判定して(ステップS160、Yes)、基板WFの位置合わせ処理を終了する。
【0044】
一方、制御部410は、第1の回転角度より第2の回転角度のほうが大きい場合には、基板WFの位置合わせが失敗したと判定する(ステップS160、No)。この場合、基板処理方法は、制御部410によって、再度、第1の位置合わせステップを行い(ステップS170)、基板WFの位置合わせ処理を終了する。本実施形態によれば、異形部分を有するプリアライメントされていない基板WFの位置決め精度を向上させることができる。
【0045】
図10は、一実施形態による基板の位置合わせおよび直径の算出の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、基板処理方法は、まず、制御部410によってセンタリング機構400A,400B,400Cの初期位置を設定する(初期設定ステップS205)。続いて、基板処理方法は、テーブル100に基板WFを設置する(設置ステップS210)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって基板WFの第1の位置合わせを行う(第1の位置合わせステップS220)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって第1の位置合わせステップS220における回転シャフト430の初期位置からの第1の回転角度を検出する(ステップS230)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって第1の回転角度と参照テーブルとに基づいて第1の直径を算出する(ステップS240)。
【0046】
続いて、基板処理方法は、制御部410によって基板WFの第2の位置合わせを行う(第2の位置合わせステップS250)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって第2の位置合わせステップS250における回転シャフト430の初期位置からの第2の回転角度を検出する(ステップS260)。続いて、基板処理方法は、制御部410によって第2の回転角度と参照テーブルとに基づいて第2の直径を算出する(ステップS270)。
【0047】
続いて、基板処理方法は、制御部410によって第1の直径と第2の直径が等しいか否かを判定する(ステップS280)。基板処理方法は、第1の直径と第2の直径が等しいと判定された場合には(ステップS280、Yes)、第1の直径または第2の直径を基板WFの直径として算出して(ステップS282)、処理を終了する。一方、基板処理方法は、第1の直径と第2の直径が等しくないと判定された場合には(ステップS280、No)、制御部410によって第1の直径より第2の直径のほうが大きいか否かを判定する(ステップS284)。基板処理方法は、第1の直径より第2の直径のほうが大きいと判定された場合には(ステップS284、Yes)、第2の直径を基板WFの直径として算出して(ステップS286)、処理を終了する。一方、基板処理方法は、第1の直径より第2の直径のほうが小さいと判定された場合には(ステップS284、No)、第1の直径を基板WFの直径として算出し(ステップS288)、再度、基板WFの第1の位置
合わせを行い(ステップS290)、処理を終了する。本実施形態によれば、異形部分を有するプリアライメントされていない基板WFの位置決め精度を向上させるとともに、基板WFの直径を正しく算出することができる。
【0048】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0049】
本願は、一実施形態として、基板を支持するためのテーブルと、前記テーブルに支持された基板を研磨するための研磨パッドを保持するためのパッドホルダと、前記パッドホルダを前記基板に対して昇降させるための昇降機構と、前記テーブルに支持された基板を前記テーブルの中心方向に押圧して位置合わせするための少なくとも3個のセンタリング機構と、を含み、前記少なくとも3個のセンタリング機構はそれぞれ、前記テーブルの周囲に配置された回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられたセンタリング部材と、を含み、前記センタリング部材は、前記回転シャフトが第1の方向に回転したときに前記基板と接触する第1の接触部と、前記回転シャフトが前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転したときに前記基板と接触する第2の接触部と、を含む、基板処理装置を開示する。
【0050】
さらに本願は、一実施形態として、前記回転シャフトを前記第1の方向に回転させて前記第1の接触部で前記基板を押圧して第1の位置合わせを行った後、前記回転シャフトを前記第2の方向に回転させて前記第2の接触部で前記基板を押圧して第2の位置合わせを行う制御部をさらに含む、基板処理装置を開示する。
【0051】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記位置合わせの成否を判定するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0052】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度と、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの前記初期位置からの第2の回転角度と、を比較し、前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とが等しい場合、または前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが小さい場合には、前記位置合わせが成功したと判定するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0053】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが大きい場合には、前記位置合わせが失敗したと判定し、再度、前記第1の位置合わせを行うように構成される、基板処理装置を開示する。
【0054】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記基板の直径を算出するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0055】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記回転シャフトの初期位置からの回転角度と、前記基板の直径と、を対応付けた参照テーブルを含み、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度と、前記第2の位置
合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第2の回転角度と、前記参照テーブルと、に基づいて、前記基板の直径を算出するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0056】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第1の直径を算出し、前記第2の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第2の直径を算出し、前記第1の直径と前記第2の直径を比較し、前記第1の直径と前記第2の直径とが等しい場合には、前記第1の直径または前記第2の直径を前記基板の直径として算出するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0057】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが大きい場合には、前記第2の直径を前記基板の直径として算出するように構成される、基板処理装置を開示する。
【0058】
さらに本願は、一実施形態として、前記制御部は、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが小さい場合には、前記第1の直径を前記基板の直径として算出するとともに、再度、前記第1の位置合わせを行うように構成される、基板処理装置を開示する。
【0059】
さらに本願は、一実施形態として、テーブルに基板を設置する設置ステップと、前記テーブルに設置された基板を前記テーブルの中心方向に押圧して位置合わせする位置合わせステップと、を含み、前記位置合わせステップは、前記テーブルの周囲に配置された回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられたセンタリング部材と、をそれぞれ含む、少なくとも3個のセンタリング機構を用いて行われ、前記回転シャフトを第1の方向に回転させて前記センタリング部材の第1の接触部で前記基板を押圧する第1の位置合わせステップと、前記第1の位置合わせステップの後、前記回転シャフトを前記第1の方向とは反対の前記第2の方向に回転させて前記センタリング部材の第2の接触部で前記基板を押圧する第2の位置合わせステップと、を含む、基板処理方法を開示する。
【0060】
さらに本願は、一実施形態として、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記位置合わせの成否を判定する判定ステップをさらに含む、基板処理方法を開示する。
【0061】
さらに本願は、一実施形態として、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度を検出するステップと、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの前記初期位置からの第2の回転角度を検出するステップと、をさらに含み、前記判定ステップは、前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とを比較し、前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とが等しい場合、または前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが小さい場合には、前記位置合わせが成功したと判定する、基板処理方法を開示する。
【0062】
さらに本願は、一実施形態として、前記判定ステップは、前記第1の回転角度より前記第2の回転角度のほうが大きい場合には、前記位置合わせが失敗したと判定し、再度、前記第1の位置合わせステップを行う、基板処理方法を開示する。
【0063】
さらに本願は、一実施形態として、前記第1の位置合わせステップを行ったときの前記回転シャフトの回転角度、および前記第2の位置合わせステップを行ったときの前記回転シャフトの回転角度に基づいて、前記基板の直径を算出する直径算出ステップをさらに含む、基板処理方法を開示する。
【0064】
さらに本願は、一実施形態として、前記第1の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの初期位置からの第1の回転角度を検出するステップと、前記第2の位置合わせを行ったときの前記回転シャフトの前記初期位置からの第2の回転角度を検出するステップと、をさらに含み、前記直径算出ステップは、前記第1の回転角度と、前記第2の回転角度と、前記回転シャフトの初期位置からの回転角度と前記基板の直径とを対応付けた参照テーブルと、に基づいて、前記基板の直径を算出する、基板処理方法を開示する。
【0065】
さらに本願は、一実施形態として、前記直径算出ステップは、前記第1の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第1の直径を算出するステップと、前記第2の回転角度と前記参照テーブルとに基づいて第2の直径を算出するステップと、を含み、前記第1の直径と前記第2の直径を比較し、前記第1の直径と前記第2の直径とが等しい場合には、前記第1の直径または前記第2の直径を前記基板の直径として算出する、基板処理方法を開示する。
【0066】
さらに本願は、一実施形態として、前記直径算出ステップは、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが大きい場合には、前記第2の直径を前記基板の直径として算出する、基板処理方法を開示する。
【0067】
さらに本願は、一実施形態として、前記直径算出ステップは、前記第1の直径より前記第2の直径のほうが小さい場合には、前記第1の直径を前記基板の直径として算出し、再度、前記第1の位置合わせステップを行う、基板処理方法を開示する。
【符号の説明】
【0068】
100 テーブル
222 研磨パッド
226 パッドホルダ
227 昇降機構
400A,400B,400C センタリング機構
410 制御部
430 回転シャフト
440 センタリング部材
440a 第1の接触部
440b 第2の接触部
1000 基板処理装置
NC ノッチ
WF 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10