IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本無線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-MEMS素子 図1
  • 特許-MEMS素子 図2
  • 特許-MEMS素子 図3
  • 特許-MEMS素子 図4
  • 特許-MEMS素子 図5
  • 特許-MEMS素子 図6
  • 特許-MEMS素子 図7
  • 特許-MEMS素子 図8
  • 特許-MEMS素子 図9
  • 特許-MEMS素子 図10
  • 特許-MEMS素子 図11
  • 特許-MEMS素子 図12
  • 特許-MEMS素子 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】MEMS素子
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
H04R19/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022033650
(22)【出願日】2022-03-04
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒丸 好光
(72)【発明者】
【氏名】幸田 義行
(72)【発明者】
【氏名】前田 潔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓太
(72)【発明者】
【氏名】木下 淳
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1787693(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104581585(CN,A)
【文献】特開2007-336341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックチャンバーを備えた基板と、
前記基板上に接合された可動電極を含む振動膜と、
前記可動電極に対向配置されている固定電極を含むバックプレートと
を備え、
前記振動膜は、前記バックプレートと前記振動膜とを連結する壁と、前記壁との接合部または前記振動膜の周縁部の少なくともいずれかに沿って配置されたスリットと、複数の振動部とを有し、
前記複数の振動部は
それぞ
記壁と前記振動膜との接合部と前記振動膜の周縁部との間の領域に存在し、かつ
前記壁は、前記振動膜の中心から、前記振動膜の周縁部に向かって相互に異なる方向に延出するように配置されている
MEMS素子。
【請求項2】
前記壁は、間欠的に列をなすように配置されており、
前記スリットは、前記壁に沿って配置されている、
請求項1記載のMEMS素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS素子に関し、特にマイクロフォン、各種センサ等として用いられるMEMS素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスを用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子として、複数のアコースティックホールを備えた固定電極を含むバックプレートと可動電極を含む振動膜が、スペーサーとなる絶縁膜を挟んで基板上に配置された容量型のMEMS素子が知られている。
【0003】
容量型のMEMS素子は、振動膜の振動により生じる可動電極の変位を可動電極と固定電極間の容量変化として検出し、検出信号として出力する構成となっている。この種のMEMS素子は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-55087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば図13に、従来の容量型のMEMS素子を説明するための断面模式図を示す。図13に示すように、従来の容量型のMEMS素子は、支持基板となる基板51上に絶縁膜52が形成され、この絶縁膜52上に導電性の可動電極を含む振動膜53が形成されている。さらに絶縁膜からなるスペーサー54と、導電性の固定電極55と絶縁膜56から構成されるバックプレート57が積層し、エアーギャップ構造が形成されている。58はバックプレート57に形成されたアコースティックホール、59は基板51に形成されたバックチャンバーである。このような容量型のMEMS素子に音圧等が加わると、振動膜53の中央部が大きく振動する。図13には、振動膜53がバックプレート57側に振れた状態と、バックチャンバー59側に振れた状態を破線で示している。
【0006】
容量型のMEMS素子では、図13に破線で示す振動膜53の変位を可動電極となる振動膜53とバックプレート57の固定電極55との間の容量値の変動として検出して検知信号として出力する。振動膜53は周縁部が基板51等に接合しているため、振動膜53の中央部の振幅と比較して周縁部の振幅は小さい。
【0007】
一般に、容量型のMEMS素子において、SNR(Signal-to-Noise Ratio)を高くするため振動膜53のばね定数を小さくすると、変位が大きくなりすぎて、振動膜53とバックプレート57が接触したり、変位の大きい振動膜53の中央部と変位の小さい周縁部とで、それぞれの振幅量に差が生じてしまう。その結果、バックプレート57に対して平行に変位する振動膜53の面積が小さくなり、AOP(Acoustic over load Point)が劣化してしまう。逆に振動膜53の変位が小さい振動膜53では、AOPの劣化は防ぐことができるもののSNRを高くできないという問題があった。
【0008】
しかし、この容量型のMEMS素子をマイクロフォンとして使用する場合には、SNRの低下を抑制しつつ、AOPを改善する必要がある。
【0009】
そこで本発明は、良好なSNRと改善されたAOPを有するMEMS素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のMEMS素子は、バックチャンバーを備えた基板と、前記基板上に接合された可動電極を含む振動膜と、前記可動電極に対向配置されている固定電極を含むバックプレートとを備え、前記振動膜は、前記バックプレートと前記振動膜とを連結する壁と、前記壁との接合部または前記振動膜の周縁部の少なくともいずれかに沿って配置されたスリットと、複数の振動部とを有し、前記複数の振動部は;それぞれ(i)前記壁と前記振動膜との接合部により取り囲まれた領域、または(ii)前記壁と前記振動膜との接合部と前記振動膜の周縁部との間の領域のいずれかに存在し、前記複数の振動部の少なくとも1つは前記(ii)の領域に存在する構成としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のMEMS素子によれば、振動膜の一部が壁によってバックプレートに接合しているため、振動膜の振幅を抑制し、さらに壁との接合部または周縁部の少なくともいずれかに沿って振動膜にスリットを設けることで形成される振動部からAOPが改善された検出信号が出力される。振動膜上には、振動部が複数形成され、全体として大きな検出信号が得られSNRを低下させない。このように本発明によれば、良好なSNRと改善されたAOPを有するMEMS素子を提供することが可能となる。その結果、高性能のマイクロフォン用MEMS素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態であるMEMS素子(実施形態1)の断面模式図である。
図2】実施形態1のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図3】実施形態1の変形例のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図4】実施形態1の別の変形例のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図5】本発明の別の実施形態であるMEMS素子(実施形態2)の断面模式図である。
図6】実施形態2のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図7】実施形態2の変形例のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図8】実施形態2の別の変形例のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図9】本発明のまた別の実施形態であるMEMS素子(実施形態3)の断面模式図である。
図10】実施形態3のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図11】実施形態3の変形例のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図12】実施形態4のMEMS素子における振動膜の一部を示す平面模式図である。
図13】従来の容量型のMEMS素子の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のMEMS素子について、図面を参照して説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではなく、以下に説明する部材、材料等は、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。また図面において同一符号は同等あるいは同一のものを示し、各構成要素間の大きさや位置関係などは便宜上のものであり、実態を反映したものではない。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明のMEMS素子の実施形態1を説明するための断面模式図である。図1に示すように、実施形態1に係るMEMS素子100は、支持基板として、例えばシリコン基板などにより構成される基板1上に、例えば熱酸化膜などにより構成される絶縁膜2が形成され、この絶縁膜2上に例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の可動電極を含む振動膜3が形成されている。さらに、例えばUSG(Undoped Silicate Glass)膜などにより構成される絶縁性のスペーサー4と、例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の固定電極5と例えば窒化シリコンなどにより構成される絶縁膜6とを含むバックプレート7が積層している。8はバックプレート7に形成されたアコースティックホール、9は基板1に形成されたバックチャンバーである。
【0015】
本実施形態のMEMS素子100では、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Aに接合して連結されるとともに、この壁10Aとの接合部に沿って配置されたスリット11aおよび11bを備えている。
【0016】
図2は、図1に示すMEMS素子100の振動膜3の一部を示す平面模式図であり、壁10Aとスリット11aおよび11bの配置を説明する図である。図1において基板1に形成されたバックチャンバー9が円形であり、図2の外周は、基板1のスペーサー4の内周に対応している。図1に示す断面模式図は、図2における振動膜3の中心とスリット11aおよび11bを通る断面図となる。
【0017】
図2に示すように、振動膜3のバックチャンバー9に対応する部分が円形の場合、振動膜3の中心に対して同心円状にリング状の壁10Aが配置される。スリット11aが壁10Aの内側に、スリット11bが壁10Aの外側に沿って、それぞれ配置されていることにより、振動膜3と壁10Aとの接合部の内側の領域と、接合部の外周と振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Aおよび12Bが形成されている。
【0018】
振動部12Aについて説明する。図2に示す振動膜3における壁10Aとの接合部の内側に壁10Aとの接合部に沿ってスリット11aが形成されている。このスリット11aを形成することで、壁10Aによって振動が制限されている領域が振動しやすくなり、スリット11aの内側の領域が振動部12Aとなる。振動部12Aの振動特性は、振動膜3を構成する材料や厚さ、振動部12Aとなる領域の大きさにより変化する。さらにスリット11aの数や長さ、スリット間の寸法、スリット11aと壁10Aとの間隔など、スリット11aの形状や配置により振動特性が変化する。
【0019】
次に振動部12Bについて説明する。図2に示す振動膜3における壁10Aとの接合部の外側に壁10Aとの接合部に沿ってスリット11bが形成されている。このスリット11bを形成することで、壁10Aによって振動が制限されている領域が振動しやすくなり、スリット11bと振動膜3の周縁部との間の領域が振動部12Bとなる。振動部12Bの振動特性は、振動膜3を構成する材料や厚さ、振動部12Bとなる領域の大きさにより変化する。さらにスリット11bの形状や配置によっても振動特性が変化する。
【0020】
そこで、本実施形態のMEMS素子100では、振動部12Aおよび12Bの振動特性をそれぞれ調整して、振動部12Aから出力される検出信号と振動部12Bから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Aおよび12Bの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。
【0021】
なお、本実施形態のMEMS素子100は、従来のMEMS素子と比較して壁10Aを備えるため、振動部12Aおよび12Bの振動の振幅は小さい。つまり、各振動部12Aおよび12BからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0022】
具体的には、SNRがほぼ等しくなるように振動特性を調整した図13に示す従来のMEMS素子と図1および2に示す本実施形態のMEMS素子100とを比較検討した。元信号の成分に対する全高調波歪(THD)+ノイズの比が10%に達するレベルを比較すると、従来のMEMS素子では122.2dBSPLであるのに対し、本実施形態のMEMS素子100では140.5dBSPLとなり、AOPの改善が確認された。
【0023】
次に、本発明のMEMS素子の実施形態1の変形例について説明する。図3は、実施形態1の変形例のMEMS素子における振動膜3の一部を示す平面模式図であり、実施形態1における図2に相当する平面模式図である。本変形例のMEMS素子では、実施形態1のMEMS素子100同様、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Aに接合して連結されるとともに、この壁10Aとの接合部に沿って配置されたスリット11aを備えている。一方スリット11bの代わりに、振動膜3の周縁部に沿って配置されたスリット11cを備えている点で実施形態1のMEMS素子100と相違している。
【0024】
図3に示すように、壁10Aの配置は実施形態1と同様であり、スリット11aが壁10Aの内側に、スリット11cが振動膜3の周縁部に沿って、それぞれ配置されていることにより、振動膜3と壁10Aとの接合部の内側の領域と、接合部の外周と振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Aおよび12Cが形成されている。
【0025】
振動部12Aは、上記実施形態1で説明した振動部12Aと同様の構造であり、振動特性ついても同様となる。
【0026】
振動部12Cについて説明する。図3に示す振動膜3における壁10Aとの接合部の外側には、スペーサー4、絶縁膜2および基板1に接合して振動が制限されている領域が存在するが、振動膜3の周縁部に沿ってスリット11cを形成することで、この領域が振動しやすくなり、壁10Aとスリット11cとの間の領域が振動部12Cとなる。振動部12Cの振動特性は、振動膜3を構成する材料や厚さ、振動部12Cとなる領域の大きさにより変化する。さらに壁10Aおよびスリット11cの形状や配置によっても振動特性が変化する。
【0027】
そこで、本変形例のMEMS素子では、振動部12Aおよび12Cの振動特性をそれぞれ調整して、振動部12Aから出力される検出信号と振動部12Cから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Aおよび12Cの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。本変形例のMEMS素子では、振動部12Cが、上記実施形態1で説明した振動部12Bと比較して振動膜3の周縁部で振動しやすくなる。その結果、振幅の大きな領域の面積を大きくすることができ、十分大きなSNRを得ることができる。
【0028】
なお、本変形例のMEMS素子についても、従来のMEMS素子と比較して壁10Aを備える構成となるため、振動部12Aおよび12Cの振動の振幅は小さい。つまり、各振動部からAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0029】
また本変形例のMEMS素子では、実施形態1のMEMS素子100で説明した壁10Aの外周に沿って配置したスリット11bをさらに追加することもできる。スリット11bを備える構造とした場合、振動部12Cの振動の振幅をさらに大きくすることができる。
【0030】
次に、本発明のMEMS素子の実施形態1の別の変形例について説明する。図4は、実施形態1の別の変形例のMEMS素子における振動膜3の一部を示す平面模式図であり、実施形態1における図2に相当する平面模式図である。本変形例のMEMS素子では、実施形態1のMEMS素子100同様、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Aに接合して連結されている。また壁10Aとの接合部に沿って配置されたスリットを備え、振動膜3の周縁部に沿って配置されたスリットを備えている点で実施形態1の変形例と類似し、スリットの形状が相違している。本変形例のスリットは、振動膜3の径方向に長い開口を有し、これが複数個並べて配置される。
【0031】
図4に示すように、壁10Aの配置は実施形態1と同様であり、スリット11dが壁10Aの内側に、スリット11eが振動膜3の周縁部に沿って、それぞれ配置されていることにより、振動膜3と壁10Aとの接合部の内側の領域と、接合部の外周と振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Dおよび12Eが形成されている。
【0032】
振動部12Dおよび12Eの振動特性は、上記実施形態1およびその変形例で説明した振動部12Aおよび12Cと同様、振動膜3を構成する材料や厚さ、壁10Aとスリット11dおよび11eの形状や配置により変化する。
【0033】
そこで、本変形例のMEMS素子でも、振動部12Dおよび12Eの振動特性をそれぞれ調整して、振動部12Dから出力される検出信号と振動部12Eから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Dおよび12Eの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、振幅の大きな領域の面積を大きくすることができ、十分大きなSNRを得ることができる。
【0034】
なお、本変形例のMEMS素子についても、従来のMEMS素子と比較して壁10Aを備える構成となるため、振動部12Dおよび12Eの振動の振幅は小さい。つまり、各振動部からAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0035】
また本変形例のMEMS素子では、実施形態1のMEMS素子100で説明したスリット11bに相当するスリットとして、壁10Aの外周に沿って振動膜3の径方向に長い開口を有するスリットを複数個さらに追加することもできる。スリット11bに相当するこのようなスリットを備える構造とした場合、振動部12Eの振動の振幅をより大きくすることができる。
【0036】
(実施形態2)
次に、本発明のMEMS素子の実施形態2について説明する。図5は、本発明のMEMS素子の実施形態2を説明するための断面模式図である。図5に示すように、実施形態2に係るMEMS素子200は、上記実施形態1同様、支持基板として、例えばシリコン基板などにより構成される基板1上に、例えば熱酸化膜などにより構成される絶縁膜2が形成され、この絶縁膜2上に例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の可動電極を含む振動膜3が形成されている。さらに、この振動膜3の上には、例えばUSG(Undoped Silicate Glass)膜などにより構成される絶縁性のスペーサー4と、例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の固定電極5と例えば窒化シリコンなどにより構成される絶縁膜6とを含むバックプレート7が積層している。
【0037】
本実施形態のMEMS素子200では、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Bに接合して連結されるとともに、この壁10Bに沿って配置されたスリット11fと、振動膜3の周縁部に沿って配置されたスリット11gを備えている。
【0038】
図6は、図5に示すMEMS素子200の振動膜3の一部を示す平面模式図であり、壁10Bとスリット11fおよび11gの配置を説明する図である。図5において基板1に形成されたバックチャンバー9が円形であり、図6の外周は、基板1のスペーサー4の内周に対応している。図5に示す断面模式図は、図6における振動膜3の中心と、壁10B、およびスリット11fおよび11gを通る断面図となる。
【0039】
図6に示すように、振動膜3のバックチャンバー9に対応する部分が円形の場合、振動膜3の中心から周縁部に向かって相互に異なる方向に延出し、中心で接合する壁10Bが配置される。壁10Bは振動膜3の周縁部でスペーサー4と接合する。スリット11fが振動膜3の中心近傍の壁10Bに沿って、スリット11gが振動膜3の周縁部に沿って、それぞれ配置されていることにより、振動膜3と壁10Bとの接合部と、振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Fが形成されている。
【0040】
図6に示すように、壁10Bによって振動膜3が3つの領域に区画され、スリット11fとスリット11gとの間のそれぞれの領域が独立した振動部12Fとなる。振動部12Fはそれぞれ特性の揃った振動部を構成するため、壁10Bにより振動膜3を均等に区画する。本実施形態では、壁10Bは円形の振動膜3の中心から径方向に延出しており、それぞれ異なる方向に延出する壁10Bの接合角は120度となっている。
【0041】
一つの振動部を例にとり詳細に説明する。図6に示す振動膜3における壁10Bとの接合部に沿ってスリット11fが形成されている。このスリット11fを形成することで、壁10Bによって振動が制限されている領域が振動しやすくなる。また振動膜3の周縁部に沿ってスリット11gが形成されている。このスリット11gを形成することで、壁11B、スペーサー4、絶縁膜2および基板1に接合して振動が制限されている領域が振動しやすくなり、スリット11fとスリット11gとの間の領域が振動部12Fとなる。振動部12Fの振動特性は、振動膜3を構成する材料や厚さ、振動部12Fとなる領域の大きさにより変化する。さらにスリット11fおよび11gの形状や配置によっても振動特性が変化する。
【0042】
このようにスリット11fおよび11gで囲まれた領域が一つの振動部12Fとなる。3個の振動部12Fは、振動膜3の中心の周囲に均等に配置されることで特性の揃ったものとなる。
【0043】
本実施形態のMEMS素子200では、振動部12Fの振動特性をそれぞれ調整して、各振動部12Fから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Fの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。
【0044】
なお、本実施形態のMEMS素子200は、従来のMEMS素子と比較して壁10Bを備える構成となるため、振動部12Fの振動の振幅が小さい。つまり、各振動部12FからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0045】
次に、本発明のMEMS素子の実施形態2の変形例について説明する。図7は、実施形態2の変形例のMEMS素子における振動膜3の一部を示す平面模式図であり、実施形態2における図6に相当する平面模式図である。本変形例のMEMS素子では、実施形態2のMEMS素子200同様、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Bに接合して連結されるとともに、この壁10Bに一部が沿って配置されたスリット11hを備えている。また、スリット11hの一部は振動膜3の周縁部に沿って配置されている。
【0046】
図7に示すように、壁10Bの配置は実施形態2と同様であり、スリット11hが壁10Bおよび振動膜3の周縁部に沿って配置されていることにより、振動膜3と壁10Bとの接合部と、振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12G形成されている。
【0047】
振動部12Gの振動特性は、上記実施形態2で説明した振動部12Fと同様、振動膜3を構成する材料や厚さ、壁10Bとスリット11hの形状や配置により変化する。
【0048】
そこで本変形例のMEMS素子でも、振動部12Gの振動特性をそれぞれ調整して、各振動部12Gから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Gの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。
【0049】
なお、本変形例のMEMS素子についても、従来のMEMS素子と比較して壁10Bを備える構成となるため、振動部12Gの振動の振幅が小さい。つまり、各振動部12GからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0050】
次に、本発明のMEMS素子の実施形態2の別の変形例について説明する。図8は実施形態2の別の変形例のMEMS素子における振動膜3の一部を示す平面模式図であり、実施形態2における図6に相当する平面模式図である。本変形例のMEMS素子では、実施形態2のMEMS素子200同様、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Bに接合して連結されている。また壁10Bとの接合部に沿ってスリットを備える点で実施形態2のMEMS素子と類似し、振動膜3の周縁部に沿ってスリットが配置されない点で実施形態2と相違している。本変形例のスリット11iは、振動膜3の中心と周縁部の中間の領域に配置される。
【0051】
図8に示すように、壁10Bの配置は実施形態2と同様であり、スリット11iが壁10Bに沿って配置されていることにより、振動膜3と壁10Bとの接合部と、振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Hが形成されている。
【0052】
振動部12Hの振動特性は、上記実施形態2で説明した振動部12Fと同様、振動膜3を構成する材料や厚さ、壁10Bとスリット11iの形状や配置により変化する。
【0053】
そこで本変形例のMEMS素子でも、振動部12Hの振動特性をそれぞれ調整して、各振動部12Hから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Hの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。
【0054】
なお、本変形例のMEMS素子についても、従来のMEMS素子と比較して壁10Bを備える構成となるため、振動部12Hの振動の振幅が小さい。つまり、各振動部12HからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0055】
本実施形態2およびその変形例では、壁10Bが振動膜3の中心から径方向にそれぞれ異なる方向に延出し、その結合角が120度の場合について説明している。しかしながら本発明のMEMS素子はこれに限定されず、例えば壁10Bの結合角が90度となるように配置し、4個の振動部を形成したり、壁10Bの結合角が60度となるように配置し、6個の振動部を形成することも可能である。
【0056】
(実施形態3)
次に、本発明のMEMS素子の実施形態3について説明する。図9は、本発明のMEMS素子の実施形態3を説明するための断面模式図である。図9に示すように、実施形態3に係るMEMS素子300は、上記実施形態1および2同様、支持基板1として、例えばシリコン基板などにより構成される基板1上に、例えば熱酸化膜などにより構成される絶縁膜2が形成され、この絶縁膜2上に例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の可動電極を含む振動膜3が形成されている。さらに、例えばUSG(Undoped Silicate Glass)膜などにより構成される絶縁性のスペーサー4と、例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の固定電極5と例えば窒化シリコンなどにより構成される絶縁膜6とを含むバックプレート7が積層している。
【0057】
本実施形態のMEMS素子300では、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ間欠的に列をなすように配置された壁10Cに接合して連結されるとともに、この壁10Cに沿って配置されたスリット11jと、振動膜3の周縁部に沿って配置されたスリット11kを備えている。
【0058】
図10は、図9に示すMEMS素子300の振動膜3の一部を示す平面模式図であり、壁10Cとスリット11jおよび11kの配置を説明する図である。図9において基板1に形成されたバックチャンバー9が円形であり、図10の外周は、基板1のスペーサー4の内周に対応している。図9に示す断面模式図は、図10における振動膜3の中心と、壁10Cの列、およびスリット11jおよび11kを通る断面図となる。
【0059】
図10に示すように、振動膜3のバックチャンバー9に対応する部分が円形の場合、振動膜3の中心から周縁部に向かって相互に異なる方向に延出し、中心で結合する壁10Cが間欠的に列をなすように配置される。振動膜3の周縁部では、壁10Cはスペーサー4と接合せず、間隙13が形成される。振動膜3と壁10Cとの接合部の列と、振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Iが形成されている。
【0060】
図10に示すように、壁10Cの列によって振動膜3が3つの領域に区画され、スリット11jとスリット11kとの間のそれぞれの領域が独立した振動部12Iとなる。振動部12Iはそれぞれ特性の揃った振動部を構成するため、壁10Cの列により振動膜3を均等に区画する。本実施形態では、壁10Cの列は円形の振動膜3の中心から径方向に延出するように配置されており、それぞれ異なる方向に延出するように配置された壁10Cの列の接合角は120度となっている。
【0061】
一つの振動部を例にとり詳細に説明する。図10に示す振動膜3における壁10Cとの接合部の列に沿ってスリット11jが形成されている。このスリット11jを形成することで、壁10Cによって振動が制限されている領域が振動しやすくなる。また振動膜3の周縁部に沿ってスリット11kが形成されている。このスリット11kを形成することで、壁10C、スペーサー4、絶縁膜2および基板1に接合して振動が制限されている領域が振動しやすくなり、スリット11jとスリット11kとの間の領域が振動部12Iとなる。振動部12Iの振動特性は、振動膜3を構成する材料や厚さ、振動部12Iとなる領域の大きさにより変化する。さらにスリット11jおよび11kの形状や配置、さらには壁10Cの形状や配置によっても振動特性は変化する。
【0062】
このようにスリット11jおよび11kで囲まれた領域が一つの振動部12Iとなる。3個の振動部12Iは、振動膜3の中心の周囲に均等に配置されることで特性の揃ったものとなる。
【0063】
本実施形態のMEMS素子300では、振動部12Iの振動特性をそれぞれ調整して、各振動部12Iから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Iの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。特に本実施形態のMEMS素子300は、壁10Cの間に間隙13が配置されるため、各振動部12I上の空間(エアーギャップ)が連通する構造となるため、各振動部が相互に干渉し合い大きなSNRを得ることができる。
【0064】
なお、本実施形態のMEMS素子300は、従来のMEMS素子と比較して壁10Cを備える構成となるため、振動部12Iの振動の振幅が小さい。つまり、各振動部12IからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0065】
次に、本発明のMEMS素子の実施形態3の変形例について説明する。図11は、実施形態3の変形例のMEMS素子における振動膜3の一部を示す平面模式図であり、実施形態3における図10に相当する平面模式図である。本変形例のMEMS素子では、実施形態3のMEMS素子300同様、振動膜3とバックプレート7がそれぞれ壁10Cに接合して連結されている。また壁10Cとの接合部に沿って配置されたスリットを備える点で実施形態3のMEMS素子300に類似し、スリットの形状と配置が相違している。本変形例のスリット11lは、2つの壁10Cに挟まれた間隙13に配置され、スリット11lの先端は各振動部12Jの領域に達する形状となっている。
【0066】
図11に示すように、壁10Cの配置は実施形態3と同様であり、スリット11lが2つの壁10Cに挟まれた間隙13に、壁10Cに沿って配置されていることにより、振動膜3と壁10Cとの接合部と、振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Jが形成される。
【0067】
振動部12Jの振動特性は、上記実施形態3で説明した振動部12Iと同様、振動膜3を構成する材料や厚さ、壁10Cとスリット11lの形状や配置により変化する。
【0068】
そこで本変形例のMEMS素子でも、振動部12Jの振動特性をそれぞれ調整して、各振動部12Jから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Jの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。
【0069】
なお、本変形例のMEMS素子についても、従来のMEMS素子と比較して壁10Cを備える構造となるため、振動部12Jの振動の振幅が小さい。つまり各振動部12JからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0070】
本実施形態3およびその変形例では、壁10Cが振動膜3の中心から径方向にそれぞれ異なる方向に延出し間欠的に列をなすように配置され、その結合角が120度の場合について説明した。しかしながら本発明のMEMS素子はこれに限定されず、例えば壁10Cの結合角が90度となるように配置し、4個の振動部を形成したり、壁10Cの結合角が60度となるように配置し、6個の振動部を形成することも可能である。また振動膜3の中心で結合しない構成、すなわち振動膜3の中心には壁10Cが配置されていない構成とすることも可能である。間隙13に配置されるスリット11lの数は、2つに限定されるものではない。
【0071】
(実施形態4)
次に、本発明のMEMS素子の実施形態4について説明する。実施形態4に係るMEMS素子は、振動部が形成される領域、すなわち壁が形成される位置が上記実施形態1と類似し、壁に間隙が存在する点において上記実施形態3と類似する。具体的には、図12にその一部が示される振動膜を有するMEMS素子として説明すると、このMEMS素子の断面模式図は、壁10Dと振動膜3の中心を通る断面の場合、図1に示す第1の実施形態の断面模式図とスリット11a、11bが存在しない点のみ相違する。したがって、図1を参照して説明すると、上記実施形態1同様、支持基板1として、例えばシリコン基板などにより構成される基板1上に、例えば熱酸化膜などにより構成される絶縁膜2が形成され、この絶縁膜2上に例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の可動電極を含む振動膜3が形成されている。さらに、例えばUSG(Undoped Silicate Glass)膜などにより構成される絶縁性のスペーサー4と、例えばポリシリコンなどにより構成される導電性の固定電極5と例えば窒化シリコンなどにより構成される絶縁膜6とを含むバックプレート7が積層している。
【0072】
図12は、実施形態4に係るMEMS素子を説明するためのMEMS素子における振動膜3の一部を示す平面模式図であり、実施形態1における図2に相当する平面模式図である。本実施形態4に係るMEMS素子では、実施形態1のMEMS素子100と比較し、壁10Dおよびスリット11mの形状と配置が相違している。本実施形態の壁10Dは、間欠的に列をなすように配置される。またスリット11mが、2つの壁10Dに挟まれた間隙13に、壁10Dに沿って配置され、スリット11mの先端は各振動部12Kおよび12Lの領域に達する形状となっている。
【0073】
図12に示すように、スリット11mが2つの壁10Dに挟まれた間隙13に、壁10Dに沿って配置されていることにより、振動膜3と壁10Dとの接合部の内側の領域と、接合部の外周と振動膜3の周縁部との間の領域にそれぞれ振動部12Kおよび12Lが形成される。
【0074】
振動部12Kおよび12Lの振動特性は、上記実施形態1で説明した振動部12Aおよび12Bと同様、振動膜3を構成する材料や厚さ、壁10Dおよびスリット11mの形状や配置により変化する。
【0075】
そこで、本実施形態のMEMS素子でも、振動部12Kおよび12Lの振動特性をそれぞれ調整して、振動部12Kから出力される検出信号と振動部12Lから出力される検出信号を加算して出力する。振動部12Kおよび12Lの振動特性の調整は、それぞれの振動の振幅が大きく、かつその振幅の大きい領域の面積が大きくなるようにする。その結果、十分大きなSNRを得ることができる。
【0076】
なお、本実施形態のMEMS素子は、従来のMEMS素子と比較して壁10Dを備える構造となるため、振動部12Kおよび12Lの振動の振幅が小さい。つまり各振動部12Kおよび12LからAOPが改善された検出信号がそれぞれ出力されることになる。
【0077】
また、本実施形態のMEMS素子では、スリット11mの代わりに実施形態1のMEMS素子100で説明したスリット11aとスリット11bに相当するスリットを、壁10Dの列の内側、壁10Dの列の外周に沿ってそれぞれ配置することもできる。さらにまた実施形態1の変形例のMEMS素子で説明したスリット11aとスリット11cに相当するスリットを、壁10Dの列の内側、振動膜3の周縁部に沿ってそれぞれ配置し、さらにスリット11bに相当するスリットを壁10Dの列の外周に沿って配置することもできる。
【0078】
以上の実施形態において、複数の振動部の振動特性をそれぞれ振動の振幅が大きく、その振幅の大きい領域の面積が大きくなるように調整すると説明したが、本発明はそのような形態に限定されるものではなく、それぞれの振動部における振動特性を適宜設定し、各振動部から出力される検出信号を加算して所望の検出信号とすることができる。また、スリットを2列配置して千鳥状に配置したり、各実施形態等で説明したスリットを組み合わせて配置したり種々変更することができる。
【0079】
(まとめ)
(1)本発明のMEMS素子の一実施形態は、バックチャンバーを備えた基板と、前記基板上に接合された可動電極を含む振動膜と、前記可動電極に対向配置されている固定電極を含むバックプレートとを備え、前記振動膜は、前記バックプレートと前記振動膜とを連結する壁と、前記壁との接合部または前記振動膜の周縁部の少なくともいずれかに沿って配置されたスリットと、複数の振動部とを有し、前記複数の振動部は;それぞれ(i)前記壁と前記振動膜との接合部により取り囲まれた領域、または(ii)前記壁と前記振動膜との接合部と前記振動膜の周縁部との間の領域のいずれかに存在し、前記複数の振動部の少なくとも1つは前記(ii)の領域に存在する構成とすることができる。
【0080】
本実施形態のMEMS素子によれば、振動膜に壁を配置することで振動膜の振幅が抑制され、さらに振動膜にスリットを設けることで振動部の振動特性を調整することができる。この振動部は複数形成され、全体としてSNRを低下させることなく、AOPが改善された検出信号を得ることができる。
【0081】
(2)前記壁は、前記振動膜の中心部を取り囲むように配置することができる。
【0082】
(3)前記複数の振動部が全て前記(ii)の領域に存在し、かつ前記壁は、前記振動膜の中心から、前記振動膜の周縁部に向かって相互に異なる方向に延出するように配置することができる。
【0083】
(4)前記壁は、間欠的に列をなすように配置されており、前記スリットは、前記壁に沿って配置されている構成とすることができ、SNRを低下させることなく、AOPが改善された検出信号を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 基板
2 絶縁膜
3 振動膜
4 スペーサー
5 固定電極
6 絶縁膜
7 バックプレート
8 アコースティックホール
9 バックチャンバー
10A~10D 壁
11a~11m スリット
12A~12K 振動部
13 間隙
【要約】
【課題】良好なSNRと改善されたAOPを有するMEMS素子を提供する。
【解決手段】MEMS素子100は、バックチャンバー9を備えた基板1と、基板1上に接合された可動電極を含む振動膜3と、可動電極に対向配置されている固定電極5を含むバックプレート7とを備え、振動膜3にはバックプレート7と連結する壁10Aと、スリット11a、11bと、複数の振動部12A、12Bが形成されている。スリット11a、11bは、壁10Aに沿って形成されている。振動部12Aは、壁10Aと振動膜3との接合部により取り囲まれた領域に存在し、振動部12Bは壁10Aと振動膜3との接合部と振動膜3の周縁部との間の領域に存在する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13