(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230905BHJP
H01L 27/12 20060101ALI20230905BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/20
(21)【出願番号】P 2021528376
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 FR2019053192
(87)【国際公開番号】W WO2020128354
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-03-09
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
【住所又は居所原語表記】Parc Technologique des fontaines chemin Des Franques 38190 Bernin, France
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ピル, キム
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイティゾウ, クリステル
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/142849(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/144821(WO,A1)
【文献】特開2015-060887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/20
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板(1)であって、
シリコンキャリア基板(2)と、
前記キャリア基板上に配置された電気的絶縁層(3)と、
前記電気的絶縁層上に配置された単結晶層(4)と
を備える基板(1)において、前記基板(1)が、前記キャリア基板(2)と前記電気的絶縁層(3)との間に配置された炭化ケイ素SiCの層(5)であって、前記層が1nmと5nmとの間を含む厚さを有し、前記電気的絶縁層(3)の側にある炭化ケイ素SiCの前記層の表面(6)が粗い、炭化ケイ素SiCの層(5)をさらに備えることを特徴とする、半導体・オン・インシュレータ基板(1)。
【請求項2】
前記単結晶層(4)が、半導体層である、請求項1に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項3】
前記単結晶層(4)が、強誘電性材料を含む、請求項1に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項4】
前記強誘電性材料が、LiTaO
3、LiNbO
3、LiAlO
3、BaTiO
3、PbZrTiO
3、KNbO
3、BaZrO
3、CaTiO
3、PbTiO
3、KTaO
3から選択される、請求項3に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項5】
前記炭化ケイ素層(5)の前記表面(6)が、10nmRMS以上
の粗さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項6】
前記炭化ケイ素層(5)と前記電気的絶縁層(3)との間に配置されたポリシリコン電荷トラッピング層(8)をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項7】
前記キャリア基板(1)が、単結晶である、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項8】
前記電気的絶縁層(3)が、シリコン酸化物層である、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体・オン・インシュレータ基板。
【請求項9】
無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板(1)を製造するためのプロセスにおいて、
シリコンキャリア基板(2)を用意するステップと、
選択エッチングによって前記キャリア基板(2)の自由表面(9)を粗面化するステップと、
前記粗面化された表面(9)に炭化ケイ素層(5)を形成するステップであって、前記キャリア基板(2)の反対側にある前記炭化ケイ素層の表面が粗い、形成するステップと、
前記炭化ケイ素層(5)の前記粗い表面にボンディング層を形成するステップと、
前記ボンディング層へ電気的絶縁層(3)及び単結晶層(4)を移転するステップであって、前記電気的絶縁層(3)が前記ボンディング層との界面のところにある、移転するステップと、
を含むことを特徴とする、製造するためのプロセス。
【請求項10】
前記単結晶層(4)が、半導体層である、請求項9に記載の製造するためのプロセス。
【請求項11】
前記単結晶層(4)が、強誘電性材料を含む、請求項9に記載の製造するためのプロセス。
【請求項12】
前記強誘電性材料が、LiTaO
3、LiNbO
3、LiAlO
3、BaTiO
3、PbZrTiO
3、KNbO
3、BaZrO
3、CaTiO
3、PbTiO
3、KTaO
3から選択される、請求項11に記載の製造するためのプロセス。
【請求項13】
粗面化する前記ステップが、前記キャリア基板(2)の前記自由表面(9)の結晶面に沿った選択エッチングを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の製造するためのプロセス。
【請求項14】
粗面化する前記ステップが、
前記キャリア基板(1)の前記シリコンとの炭素含有化学種の反応を生じさせるように、前記炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに前記自由表面を曝露することによって前記キャリア基板(2)の前記自由表面(9)に炭化ケイ素の複数のアイランド(10)を核形成するステップと、
前記複数のアイランドを分離している前記キャリア基板の前記自由表面の領域(11)の選択エッチングを実行するステップと、
を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の製造するためのプロセス。
【請求項15】
前記選択エッチングが、ドライエッチングである、請求項13又は14に記載の製造するためのプロセス。
【請求項16】
前記選択ドライエッチングが、塩化水素酸を用いて実行される、請求項15に記載の製造するためのプロセス。
【請求項17】
前記炭化ケイ素層(5)が、前記キャリア基板(2)の前記シリコンとの炭素含有化学種の反応を生じさせるように、前記炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに前記粗面化された表面を曝露することによって形成される、請求項9~16のいずれか一項に記載の製造するためのプロセス。
【請求項18】
前記キャリア基板の前記粗面化された表面(9)上の前記炭化ケイ素層(5)が、化学気相堆積によって形成される、請求項9~17のいずれか一項に記載の製造するためのプロセス。
【請求項19】
前記電気的絶縁層(3)及び前記単結晶層(4)が移転される前に、前記炭化ケイ素層(5)上にポリシリコン電荷トラッピング層(8)を堆積するステップをさらに含む、請求項9~18のいずれか一項に記載の製造するためのプロセス。
【請求項20】
移転する前記ステップが、
電気的絶縁層(3)で覆われたドナー基板を用意するステップと、
単結晶層(4)を画定するように、前記ドナー基板に弱化領域を形成するステップと、
前記電気的絶縁層(3)及び前記ボンディング層を介して前記キャリア基板(2)に前記ドナー基板をボンディングするステップと、
前記キャリア基板(2)へ前記単結晶層(4)を移転させるように、前記弱化領域に沿って前記ドナー基板を切り離すステップと、
を含む、請求項9~18のいずれか一項に記載の製造するためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板に関する。本発明は、ドナー基板からレシーバ基板へと層を移転することによってこのような基板を製造するためのプロセスにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体・オン・インシュレータ基板は、一般にシリコンで作られているキャリア基板、基板上に配置されそして典型的にシリコン酸化物層である電気的絶縁層、及び活性層と呼ばれそして電子部品が作られ、絶縁性層上に配置されそして一般にシリコン層である半導体層を備える多層構造である。
【0003】
このような基板は、SeOI基板(SeOIは半導体・オン・インシュレータ(semiconductor-on-insulator)の頭字語である)、又は特に、半導体材料がシリコンであるときにSOI基板(SOIはシリコン・オン・インシュレータ(silicon-on-insulator)の頭字語である)と呼ばれる。
【0004】
キャリア基板と活性層との間に配置された酸化物層は、そのときには「埋め込まれる」と言われ、「BOX」(BOXは埋め込み酸化物(buried oxide)の頭字語である)と呼ばれる。
【0005】
SOI基板が、無線周波数デバイスを製造するために広く使用されている。このケースでは、無線周波数部品が、活性層に作られている。
【0006】
無線周波数用途のためのSOI基板で頻発する問題は、BOX層にトラップされた電荷が、キャリア基板で、反対の符号の電荷の同じ層の下での蓄積に結び付き、電気的伝導性平面を形成することである。
【0007】
この伝導性平面では、可動電荷キャリアが、活性層の無線周波数部品によって発生された電磁場と強く影響を及ぼし合う可能性がある。BOX層の直下に配置された平面でのキャリア基板の抵抗率の大きな低下は、そのときには、キャリア基板が高い電気抵抗率を有するときでさえ観察される。
【0008】
このことは、無線周波数部品と基板との間のカップリング損失、及び無線周波数部品自体同士の間の潜在的なクロストークのために信号のエネルギーの一部が無駄に消費されることにつながる。
【0009】
加えて、基板の電荷キャリアは、無線周波数デバイスを通って伝播している信号と干渉しやすく、そして信号の品質を劣化させやすい不必要な高調波を発生させることがある。
【0010】
これらの影響を制限するために、BOX層とキャリア基板との間でBOX層の直下にポリシリコン電荷トラッピング層を挿入することが、知られている慣例である。結晶を形成している結晶粒の境界は、そのときには電荷キャリアに対するトラップを形成し、トラップされた電荷キャリアはおそらくトラップ層自体から又は下のキャリア基板から発している。このようにして、電気的絶縁層の下の伝導性平面の出現及びキャリア基板の抵抗率の低下が防止される。
【0011】
しかしながら、このような電荷トラッピング層の有効性は常に最適ではなく、カップリング損失及び不必要な高調波の発生の影響が、それにもかかわらず生じることがある。
【0012】
特に、単結晶シリコンで作られたキャリア基板と接するポリシリコン層は、基板の製造中及び無線周波数部品の製造中に基板に適用された熱処理の影響の下で再結晶化する傾向を有する。具体的に、キャリア基板は、再結晶化のシードとして働く。ポリシリコン層の再結晶化は、結晶粒の数を減少させるので、電荷をトラップする前記層の能力もまた低下させる。
【発明の概要】
【0013】
本発明の1つの目標は、前述の欠点が克服されることを可能にする半導体・オン・インシュレータ基板を提供することである。
【0014】
本発明は、基板の可動電荷キャリアと活性層の無線周波数部品によって発生された電磁場との間の相互作用が限定されることを可能にするこのような基板を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、無線周波数部品と基板との間のカップリング損失の影響、及び不必要な高調波の発生を制限する又はそれどころか防止することをこれゆえ目的とする。
【0016】
この目的を達成するために、本発明は、無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板であって、
シリコンキャリア基板と、
上記キャリア基板上に配置された電気的絶縁層と、
上記電気的絶縁層上に配置された単結晶層と
を備える基板において、上記基板が、上記キャリア基板と上記電気的絶縁層との間に配置された炭化ケイ素SiCの層であり、上記層が1nmと5nmとの間を含む厚さを有し、上記電気的絶縁層の側にある炭化ケイ素SiCの上記層の表面が粗い、炭化ケイ素SiCの層をさらに備えることを主に特徴とする、半導体・オン・インシュレータ基板を提供する。
【0017】
粗いSiC層の存在は、キャリア基板と電荷トラッピング層との間の界面のところで通常観察される抵抗率の低下が限定されること、及びより優れた無線周波数性能を有する半導体・オン・インシュレータ基板が得られることを可能にする。
【0018】
粗いSiC層に関する1nmと5nmとの間を含む厚さは、SiC層が置かれるキャリア基板の粗さのレベルに起因する粗さのレベルが再現されること、したがってこのSiC層の表面積が最大化されることを可能にする。
【0019】
他の態様によれば、提案された基板は、様々な下記の特徴を有し、単独で又はこれらの技術的に可能な組み合わせのいずれかで実装され、
上記単結晶層が、半導体層であり、すなわち、上記単結晶層が半導体を含み、
上記単結晶層が、強誘電性層であり、すなわち、上記単結晶層が強誘電体材料を含む。上記強誘電性材料が、LiTaO3、LiNbO3、LiAlO3、BaTiO3、PbZrTiO3、KNbO3、BaZrO3、CaTiO3、PbTiO3、KTaO3から選択されることが好ましく、
上記炭化ケイ素層の上記表面が、10nmRMS以上の、好ましくは100nmRMS以上の粗さを有し、
上記基板が、上記炭化ケイ素層と上記電気的絶縁層との間に配置されたポリシリコン電荷トラッピング層をさらに備え、
上記キャリア基板が、単結晶であり、
上記電気的絶縁層が、シリコン酸化物層である。
【0020】
本発明は、無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板を製造するためのプロセスにおいて、
シリコンキャリア基板を用意するステップと、
選択エッチングによって上記キャリア基板の自由表面を粗面化するステップと、
上記粗面化された表面に炭化ケイ素層を形成するステップであり、上記キャリア基板の反対側にある上記炭化ケイ素の上記表面が粗い、形成するステップと、
上記炭化ケイ素層上にボンディング層を形成するステップと、
上記ボンディング層へ電気的絶縁層及び単結晶層を移転するステップであり、上記電気的絶縁層が上記ボンディング層との界面のところにある、移転するステップと
を含むことを主に特徴とする、製造するためのプロセスにさらに関する。
【0021】
エッチングは、キャリア基板が作られているシリコンがキャリア基板の全自由表面にわたり一様にエッチングされず、(特定の結晶面に対応する)この表面の特別な領域が他の領域よりも早くエッチングされることで「選択的」であると言われる。このようにして、粗面化操作は制御される。
【0022】
選択エッチングのパラメータ表示は、キャリア基板の自由表面からキャリア基板の厚さ内に形成されるキャビティに対する所望の深さが選択され、調節されること、これゆえその後に形成されるSiC層の表面に対して期待される粗さが調節されることを可能にする。
【0023】
他の態様によれば、提案した基板は、様々な下記の特徴を有し、単独で又はこれらの技術的に可能な組み合わせのいずれかで実装され、
上記単結晶層が、半導体層であり、すなわち、上記単結晶層が半導体を含み、
上記単結晶層が、強誘電性層であり、すなわち、上記単結晶層が強誘電体材料を含む。上記強誘電性材料が、LiTaO3、LiNbO3、LiAlO3、BaTiO3、PbZrTiO3、KNbO3、BaZrO3、CaTiO3、PbTiO3、KTaO3から選択されることが好ましく、
粗面化する上記ステップが、上記キャリア基板の上記自由表面の結晶面に沿った選択エッチングを含み、
粗面化する上記ステップが、
上記キャリア基板の上記シリコンとの炭素含有化学種の反応を生じさせるように、上記炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに前記自由表面を曝露することによって上記キャリア基板の上記自由表面に炭化ケイ素の複数のアイランドを核形成するステップと、
上記複数のアイランドを分離している上記キャリア基板の上記自由表面の領域の選択エッチングを実行するステップと
を含み、
上記選択エッチングが、ドライエッチングであり、
上記選択ドライエッチングが、塩化水素酸を用いて実行され、
上記炭化ケイ素層が、上記キャリア基板の上記シリコンとの炭素含有化学種の反応を生じさせるように、前記炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに前記粗面化された表面を曝露することによって形成され、
上記キャリア基板の上記粗面化された表面の上記炭化ケイ素層が、化学気相堆積によって形成され、
上記プロセスは、上記電気的絶縁層及び上記単結晶層が移転される前に、上記炭化ケイ素層上にポリシリコン電荷トラッピング層を堆積するステップをさらに含み、
移転する上記ステップが、
電気的絶縁層で覆われたドナー基板を用意するステップと、
単結晶層を画定するように、上記ドナー基板に弱化領域を形成するステップと、
上記電気的絶縁層及び上記ボンディング層を介して上記キャリア基板に上記ドナー基板をボンディングするステップと、
上記キャリア基板へ上記単結晶層を移転させるように、上記弱化領域に沿って上記ドナー基板を切り離すステップと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の利点及び特徴は、次の付随する図を参照して、実例であり非限定的な例として与えられた下記の説明を読むと明確になるだろう。
【
図1】本発明による無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板の1つの実施形態を図示する模式図である。
【
図2B】第1の実施形態による、
図1のキャリア基板をエッチングングするステップを図示する模式図である。
【
図2C】中間の基板を製造するために、第1の実施形態に従って、
図2Bの基板のエッチングングした表面にSiC層を形成するステップを図示する模式図である。
【
図3A】第2の実施形態による、キャリア基板上に炭化ケイ素の複数のアイランドを核形成するステップを図示する模式図である。
【
図3B】
図3Aの基板をエッチングングするステップを図示する模式図である。
【
図3C】連続したSiC層が得られるまでのSiC層の成長を図示する模式図である。
【
図4】
図2A、
図2B、及び
図2Cに図示したプロセスの第1の実施形態を介して得られた中間の基板から製造された無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板の模式図である。
【
図5】
図3A、
図3B、及び
図3Cに図示したプロセスの第2の実施形態を介して得られた中間の基板から製造された無線周波数用途のための半導体・オン・インシュレータ基板の模式図である。
【
図6】炭化ケイ素SiCの平滑な層又は炭化ケイ素SiCの粗い層を含む半導体・オン・インシュレータ基板のケースにおける基板の厚さの関数としての抵抗率を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の主題は、無線周波数用途のための、「SOI基板」と呼ばれる半導体・オン・インシュレータ基板に関する。
【0026】
図1は、本発明によるSOI基板の実施形態を図示する。
【0027】
参照番号1のもとでSOI基板は、シリコンキャリア基板2、キャリア基板上に配置された電気的絶縁層3、及び電気的絶縁層上に配置された単結晶層4を備える。「上に(on)」によって意味するものは、基板を全体として考えると、基板の底部(キャリア基板の側)から基板の表面(単結晶層側)までの層の相対的な位置であるが、この用語は、問題の層同士の間の直接接触を必ずしも意味する必要がない。
【0028】
キャリア基板2は、好ましくは単結晶である。
【0029】
電気的絶縁層3は、好ましくは酸化物層である。キャリア基板2と単結晶層4との間のSOI基板の電気的絶縁層の配置のために、このような酸化物層は埋め込み酸化物(buried oxide)に対する「BOX」という用語によって一般に示される。電気的絶縁層は、好ましくはシリコン酸化物層である。
【0030】
単結晶層4は、有利には活性層、すなわち、SOI基板にとって望まれる無線周波数用途に応じた無線周波数部品の生産を目的とする層である。
【0031】
単結晶層は、好ましくは半導体層である。単結晶層は、単結晶シリコンの層であることが特に好ましい。
【0032】
本発明によれば、SOI基板1は、キャリア基板2と電気的絶縁層3との間に配置された炭化ケイ素(SiC)の層5をさらに含む。SiC層5は、キャリア基板2と直接接触する。
図1の実施形態では、SiC層5は、電気的絶縁層3とも直接接触する。
【0033】
炭化ケイ素は、好ましくは多結晶である。
【0034】
電気的絶縁層との界面のところに配置されるSiC層の上側表面6は、粗い。これは、SiC層の上側表面がキャビティ7を含むことを意味する。これらのキャビティは、SiC層の表面の粗さ値に応じたサイズ、すなわち、(層の厚さに依存する)高さ及び(高さに垂直な方向の)幅を有する。
【0035】
半導体分野では、基板の表面は、この表面が、酸化物層で任意選択的に覆われることがあるもう1つの基板、例えばもう1つの半導体基板との高品質なボンディング(すなわち、その後の処理ステップに関して、接触界面における十分に高く均一なボンディングエネルギーを有するもの)を認めないときには粗いと考えられる。
【0036】
一般に、表面は、したがって、少なくとも6オングストローム、すなわち、0.6ナノメートル(nm)のRMS粗さを有するときには粗いと言われる。
【0037】
本発明によれば、SiC層の表面は、10nmRMS以上の、より好ましくは100nmRMS以上の粗さを有することが好ましい。RMS粗さは、問題とする基線長での粗さプロファイルのすべての縦座標の二乗平均平方根に対応する。当業者は、どんなRMS粗さが対応するか及びどのように測定するかを知っている。したがって、これらの要素は、本明細書では詳細には説明されない。
【0038】
図1では、SiC層の表面6は、鋸歯プロファイルを有するように模式的に示されている。
【0039】
SiC層5と接触して配置されている電気的絶縁層3の表面は、
図1に図示したように、前記SiC層の表面のプロファイルと相補的なプロファイルを有する。より正確に、SiC層と接触している電気的絶縁層の下側表面は、鋸歯プロファイルの歯の形状がSiC層のキャビティの形状に対応する鋸歯プロファイルを有する。
【0040】
結果として、キャリア基板2と電気的絶縁層3との間の界面を形成するSiC層5は、平滑でないだけでなく、それどころか、不規則であり、平らでなくそしてキャビティを含んでいる。
【0041】
SiC層の不規則で平らでないプロファイルは、前記SiC層の上側表面の表面積、すなわち、SiC層と電気的絶縁層との間の界面の表面積が大きくなることを可能にする。
【0042】
SiC層5の機能は、SOI基板に存在する電荷キャリアをトラップすることである。具体的に、炭化ケイ素結晶を形成しているSiC層の結晶粒界は、電荷キャリアをトラップする。
【0043】
キャリア基板と電気的絶縁層との間の界面の表面積を増加させることは、先行技術のポリシリコン電荷トラッピング層と比較して(特にその後の熱処理中の再結晶化がないという理由で)、又は平滑な炭化ケイ素層と比較して(界面の大きな表面積という理由で)SOI基板の電荷キャリアのトラッピングが改善されることを可能にする。
【0044】
図4に図示した第2の実施形態によれば、SOI基板1は、SiC層とは異なる少なくとも1つの電荷トラッピング層8をさらに備える。それ自体が知られているこのような電荷トラッピング層は、ポリシリコンで有利には作られる。
【0045】
電荷トラッピング層8は、SiC層5と電気的絶縁層3との間に配置される。電荷トラッピング層とSiC層との組み合わせは、SOI基板内部に存在する電荷キャリアのトラッピングをさらに向上させる。特に、SiC層は、電荷トラッピング層のポリシリコンの再結晶化を制限する。具体的に、SiC層は、キャリア基板2のシリコンと電荷トラッピング層8のポリシリコン結晶粒との間に障壁を形成し、したがって、ポリシリコン結晶粒がキャリア基板に従って再結晶化することを防止する。
【0046】
上に提示されたようなSOI基板を製造するためのプロセスがここで説明される。
【0047】
本発明のプロセスは、シリコンキャリア基板が選択エッチングによって前記キャリア基板の自由表面を粗面化することで開始するステップで先ず構成される。これは、キャビティがキャリア基板の自由表面に形成されることを可能にする。炭化ケイ素SiCの層が、粗面化された表面に次いで形成される。
【0048】
選択エッチングのタイプ及びエッチングパラメータは、キャビティの所望の深さに応じて、これゆえ後に形成されるSiC層の表面に対して期待される粗さに応じて選択されそして調節される。
【0049】
粗面化操作は、ここで説明しようとする2つの異なる実施形態に従って有利に実行されることがある。
【0050】
粗面化操作の第1の実施形態によれば、
図2A、
図2B、及び
図2Cを参照して、(
図2Aに示した)キャリア基板2が初めに用意される。
【0051】
キャリア基板の自由表面9が、選択エッチングを介して粗面化される。
図2Bの基板がそのときには得られる。
【0052】
エッチングは、シリコンが基板の全表面にわたり一様にエッチングされず、(特定の結晶面に対応する)表面の特別な領域が他の領域よりも早くエッチングされることで「選択的」であると言われる。
【0053】
選択エッチングは、好ましくはドライエッチングである。塩化水素酸がこのエッチングに対して特に適している。
【0054】
SiC層5が、
図2Cに図示したように、エッチングされた表面に次いで形成される。
【0055】
これを行うために、第1の実施形態によれば、エッチングされた表面9が、炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに曝露される。前駆体ガスがキャリア基板に存在するシリコンと反応して、炭化ケイ素SiCを形成する。SiC層は、これゆえ、キャリア基板の厚さで粗面化された表面から成長する。結果として、(初期にはシリコンキャリア基板の表面であった)SiC層の表面の自由表面は粗いままである。
【0056】
曝露時間、反応温度、又は前駆体ガスの性質などの、SiC層の形成の実験パラメータは、薄いSiC層、5nm以下の厚さのうちの好ましくは1つを形成するように調節される。1nm以上になるSiC層の厚さもまた好ましい。適用される温度が与えられると、SiC層は、多結晶構造を有利には有する。
【0057】
エッチングは、700℃と1300℃との間を含む温度で、大気圧で又は大気圧よりも低い圧力で好ましくは実行される。気体状の塩化水素酸HCIが、エッチングに対して好ましくは使用される。
【0058】
SiC層の形成に関して、700℃と1300℃との間を含む温度で、大気圧よりも低い圧力で好ましくは実行される。前駆体ガスとして、水素中にプロパン又はメタンを使用することが特に可能である。反応時間は、前駆体ガスの量に依存する、具体的に、反応は、自己制御型である、すなわち、炭素含有ガスは、キャリア基板の表面のシリコンと反応し、そして反応は自由表面に最早何もシリコンが存在しないときに停止する。
【0059】
或いは、第2の実施形態によれば、SiC層が化学気相堆積(CVD)によってエッチングされた表面に堆積される。SiC層は、キャリア基板から遠くへ、粗面化された表面から成長する。この実施形態は、SiC層が前の実施形態におけるよりも低温で堆積されるので、SiC層が非晶質構造を有するという理由で、余り好ましくない。SiC層は、エッチングされた表面の全体にわたり実質的に一様に堆積されるが、この堆積は、エッチングされた表面のキャビティを埋めない、そしてこれゆえ、SiC層の自由表面が、下にある表面9の粗さを少なくとも部分的に維持する。
【0060】
任意選択で、ポリシリコン電荷トラッピング層8が、SiC層上に堆積される。
【0061】
選択エッチングを実行するステップ、SiC層及び任意選択で電荷トラッピング層を形成するステップが、同じエピタキシ反応炉内で実行され、これがプロセスをかなり単純化することが特に有利である。或いは、前記ステップは、少なくとも2台の異なる機器を用いて実行されることがある。
【0062】
平滑化又は平坦化操作は、形成したSiC層には実行されない。例えば、化学機械研磨(CMP)は、SiC層の薄い厚さのために実行することがさらに不可能であるはずである。
【0063】
粗面化操作の第2の実施形態によれば、
図3A、
図3B、及び
図3Cを参照して、(
図3Aに示した)キャリア基板が初めに用意される。
【0064】
キャリア基板の自由表面9が、次いで2つのステップで粗面化される。第1のステップは、前記上側表面に炭化ケイ素の複数のアイランド10を核形成するステップ(又は芽生えさせるステップ)を含む。これを行うために、上側表面9が、炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに先ず曝露される。前駆体ガスがキャリア基板に存在するシリコンと反応して、炭化ケイ素SiCを形成する。
【0065】
複数のアイランドが融合しそしてエッチングされた表面で連続するSiC層を形成する前に、アイランド10は、炭素含有化学種への曝露を止めることによって得られる。この核形成ステップの終わりでは、SiCの複数のアイランドは、シリコン領域11によって互いに分離される。
【0066】
粗面化プロセスの第2のステップでは、選択エッチングがキャリア基板に実行される。シリコン領域だけがエッチングされ、ところがSiCの複数のアイランド10がエッチングされないことで、エッチングは「選択的」であると言われる。具体的に、SiCの複数のアイランドは、下にあるキャリア基板の材料をエッチングから保護するマスクの役割を果たす。選択エッチングは、好ましくはドライエッチングである。塩化水素酸が、このエッチングのために特に適している。
【0067】
【0068】
各々のアイランド10は、SiC層で覆われそしてエッチングされたシリコン領域12によって隣り合うアイランドとは分離されたキャリア基板のセグメントを含み、複数のアイランドとエッチングされた領域とは、キャリア基板の粗い表面をともに形成する。
【0069】
SiC層の形成(成長)は、次いで、
図3Cに図示したような、連続するSiC層5が得られるまで続く。
【0070】
これを行うために、第1の実施形態によれば、粗面化された表面9は、炭素含有化学種を含有している前駆体ガスに曝露される。前駆体ガスは、キャリア基板に存在するシリコンと反応し、炭化ケイ素SiCを形成する。
【0071】
曝露時間、圧力、反応温度、又は前駆体ガスの性質、及び前駆体ガスの流量などの、SiC層の形成の実験パラメータが、薄いSiC層、5nm以下の厚さのうちの好ましくは1つを形成するように調節される。1nm以上であることが、SiC層の厚さにとってさらに好ましい。
【0072】
SiC層は、700℃と1300℃との間を含む温度で、大気圧よりも低い圧力で、好ましくは形成される。反応時間は、700℃~1300℃の上記の範囲内を含む温度に関して好ましくは約数分である。炭素含有ガスと水素との間の流量比は、発芽速度及び成長速度並びにSiC層の最終厚さに影響する。
【0073】
或いは、SiC層は、粗面化操作の第1の実施形態に関して上に説明したようにCVDによって粗面化された表面に堆積されてもよい。
【0074】
任意選択で、ポリシリコン電荷トラッピング層8が、SiC層上に堆積される。
【0075】
SiCの複数のアイランドを核形成するステップ、選択エッチングを実行するステップ、SiC層の形成を続けるステップ及び任意選択で電荷トラッピング層を形成するステップは、同じエピタキシ反応炉内で実行され、これがプロセスをかなり単純化することが、特に有利である。
【0076】
実施形態がどうであれ、キャリア基板の自由表面9が粗面化された後で、ボンディング層がSiC層上に形成され、次いで電気的絶縁層3及び単結晶層4がボンディング層へ移転され、そのため電気的絶縁層がボンディング層との界面のところに配置される。SiC層とは違って、ボンディング層は、高品質ボンディングを確実にするために適した平滑な表面を有する。
【0077】
ボンディング層は、SiC層5への電気的絶縁層3及び単結晶層4の良い接着を確実にする。ボンディング層は、シリコン酸化物の層、接着剤層、接着剤、又はこの目的のために適しているいずれかの他の手段であってもよい。
【0078】
1つの好ましい実施形態によれば、移転は、良く知られたスマートカット(SmartCut)(商標)プロセスを使用して実行され、その主な段階が下記で想起される。
【0079】
レシーバ基板と呼ばれ、キャリア基板2、炭化ケイ素SiCの層5,及びボンディング層を備える第1の基板が用意される。任意選択で、レシービング基板は、SiC層上に電荷トラッピング層8を備え、ボンディング層が電荷トラッピング層上に配置される。ドナー基板と呼ばれる第2の基板がさらに用意される。
【0080】
弱化領域が、単結晶層4を画定するようにドナー基板に形成される。弱化領域は、移転させようとする単結晶層の厚さに実質的に対応する所定の深さのところでドナー基板に形成される。
【0081】
弱化領域は、ドナー基板中に水素及び/又はヘリウムの原子及び/又はイオンを注入することによって作られることが好ましい。
【0082】
ドナー基板は、次いでレシーバ基板にボンディングされる。
【0083】
電気的絶縁層3は、キャリア基板2と単結晶層4との間に配置される。
【0084】
第1の実施形態によれば、電気的絶縁層3は、レシーバ基板上にあり、前記層がSiC層5上に、又は存在するときには電荷トラッピング層8上に配置される。単結晶層4は、電気的絶縁層3にボンディングされ、これゆえボンディング界面のところに配置される。
【0085】
第2の実施形態によれば、電気的絶縁層3は、ドナー基板上にある。単結晶層4及び電気的絶縁層3の両方が、ボンディング層を用いてSiC層にボンディングされる。電気的絶縁層3は、それゆえにボンディング界面のところに配置される。
【0086】
層移転プロセスは、しかしながら、スマートカット(商標)プロセスに限定されず、したがって、例えば、レシーバ基板にドナー基板をボンディングするステップ及び次いで所望の厚さが単結晶層に対して得られるまでレシーバ基板とは反対のドナー基板の面を介してドナー基板をシンニングするステップからおそらく構成されるだろう。
【0087】
第1の実施形態及び第2の実施形態に従った移転の後で得られたSOI基板1が、それぞれ
図4及び
図5に示される。
【0088】
1つの実施形態によれば、単結晶層4は、強誘電性材料を含む。
【0089】
強誘電性材料は、LiTaO3、LiNbO3、LiAlO3、BaTiO3、PbZrTiO3、KNbO3、BaZrO3、CaTiO3、PbTiO3及びKTaO3から有利には選択される。
【0090】
前記単結晶層のドナー基板は、例えば、150mm又は200mm直径の標準化されたサイズの円形ウェハの形態を有利には取ることができる。本発明は、これらの寸法に又はこの形態にしかしながら決して限定されない。ウェハは、予め決められた結晶方位を有するドナー基板を形成するような方法で、強誘電性材料のインゴットから得られてきていることがある。或いは、ドナー基板は、キャリア基板に接合された強誘電性材料の層を含むことができる。
【0091】
移転しようとする強誘電性材料の単結晶層の結晶方位は、意図された用途に応じて選択される。このように、材料LiTaO3に関して、特に、SAWフィルタ(SAWは表面弾性波(Surface Acoustic Wave)の頭字語である)を形成するために薄層の特性を利用することが望まれるケースでは、30°と60°XYとの間を含む、又は40°と50°XYとの間を含む方位を選択することが定型的である。材料LiNbO3に関して、約128°XYの方位を選択することが定型的である。しかしながら、本発明は、特定の結晶方位に決して限定されない。
【0092】
単結晶層4の強誘電性材料の結晶方位がどうであろうとも、プロセスは、例えば、このドナー基板中へと水素及び/又はヘリウムの種(イオン及び/又は原子)を導入するステップを含む。この導入は、例えば、水素注入、すなわち、ドナー基板の平坦な面の水素イオン照射、に対応することがある。
【0093】
それ自体知られているように、注入した原子又はイオンの目的は、移転しようとする強誘電性材料の第1の層及び基板の残りを形成するもう1つの部分を画定する弱化平面を形成するためである。注入される種の特質、ドーズ及び注入される種のタイプ、並びに注入エネルギーは、移転しようとする層の厚さ及びドナー基板の物理化学的特性に応じて選択される。LiTaO3で作られたドナー基板のケースでは、したがって、約20~2000nm厚の第1の層を画定するために30と300keVとの間を含むエネルギーで1E16と5E17at/cm2との間を含む水素のドーズを注入することが、さらに特におそらく選択されるだろう。
【0094】
(実施例)電気抵抗率の測定
2つの基板がはじめに用意された。
【0095】
第1の基板は、キャリア基板の自由表面が平滑で、すなわち事前にエッチングを実行していないキャリア基板上にSiC層を堆積するステップと、次いでSiC層へ電気的絶縁層及び単結晶層を移転するステップとによって製造された。電気的絶縁層の側のSiC層の上側表面は、これゆえ平滑であった。
【0096】
第2の基板は、上に説明された製造プロセスの2つの実施形態のうちの一方に従って製造された。この第2の基板は、これゆえ、キャリア基板、上側表面が粗いSiC層、並びに粗いSiC層上に配置された電気的絶縁層及び単結晶層を備えていた。
【0097】
2つの基板の各々の電気抵抗率は、例えば、4探針によって測定された。
【0098】
図6は、SiC層が平滑であった第1の基板(曲線C1)及びSiC層が粗かった第2の基板(曲線C2)について、単結晶層の表面からの(μmでの)深さPの関数として基板の(ohm.cmでの)電気抵抗率Rの変化を表す。
【0099】
曲線C1に関して、抵抗率は、基板の自由表面から1μmよりもわずかに小さい深さ、これはSiC層の深さに対応する深さまで鋭く低下し、約5Ω.cmの最小値に達する。
【0100】
曲線C2に関して、抵抗率は、基板の自由表面から1μmよりもわずかに小さい深さまで、曲線C1に対するよりもはるかに小さく低下し、約90Ω.cmの最小値に達する。
【0101】
粗いSiC層は、キャリア基板とトラッピング層との間の界面の効果が限定されることを可能にすることを、これらの曲線は示す。界面のところの抵抗率の低下が大きいほど、この低下がSiC層の総合的なトラッピング性能に、より大きな負の影響を有する。