(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】光学材料用組成物および光学材料
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20230905BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20230905BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20230905BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20230905BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
C08F2/44 B
C08F20/10
G02B1/04
G02C7/00
G02C7/10
(21)【出願番号】P 2020561433
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2019049279
(87)【国際公開番号】W WO2020129933
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2018235551
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018236343
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018236344
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165021
【氏名又は名称】千々松 宏
(72)【発明者】
【氏名】大原 礼子
(72)【発明者】
【氏名】花崎 太一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 潤治
(72)【発明者】
【氏名】百田 潤二
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016778(JP,A)
【文献】特開2012-173704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-301/00
C08G18/00-18/87
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
(メタ)アクリレート化合物を含む重合性単量体 100質量部
(B)極大吸収波長が360nm以上380nm未満であり、下記式(1)で表わされる紫外線吸収剤 0.001~0.3質量部
を含有してなることを特徴とする、光学材料用組成物。
【化1】
(ただし、R
1は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1~8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が各々1~8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1~3のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2~10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基またはシアノ基を表わす。R
2はヒドロキシ基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキルチオ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基を表わし、R
3は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルキル基またはアルコキシ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基を表わし、R
2とR
3が架橋された環状構造であってもよい。)
【請求項2】
前記式(1)で表わされる紫外線吸収剤のR
2
とR
3
とが架橋され、メチレンジオキシ基を形成している、請求項1に記載の光学材料用組成物。
【請求項3】
前記式(1)で表わされる紫外線吸収剤のR
1
が、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アルキル基の炭素数が1~8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が各々1~8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1~3のカルボキシアルキル基、又はアルキル基の炭素数の合計が2~10のアルキルオキシカルボニルアルキル基である、請求項1又は2に記載の光学材料用組成物。
【請求項4】
前記式(1)で表される紫外線吸収剤の含有量が0.01~0.2質量部である、請求項1乃至3のいずれかに記載の光学材料用組成物。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれかに記載の光学材料用組成物を重合硬化させてなる硬化体からなる光学材料であり、波長400nmの光線透過率が5%以下で且つ波長420nmの光線透過率が70%以下であり、380~500nmの波長域の光線カット率が35%以上である光学材料。
【請求項6】
請求項
5に記載の光学材料からなるプラスチックレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期保存安定性の良好な紫外線吸収剤を含んでなる光学材料用組成物およびそれからなる光学材料であり、特に、青色光のカット率が高いプラスチックレンズを形成できる、光学材料用組成物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、眼が紫外線に暴露することによる悪影響が、問題視されている。さらに、近年、目の健康に対して、青色領域(380~500nm)の光線(以下、青色光ともいう)もエネルギーが強いため、網膜などの損傷の原因になると言われている。青色光による損傷を「ブルーライトハザード」といい、それを防ぐため、特に比較的短波長の380~420nm程度の青色光をカットすることが望ましいと言われている。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、プラスチック部材の凸面上に配設された多層膜を備え、その多層膜は、400~500nmの波長範囲における平均反射率が2~10%であるレンズが提案されている。しかしながら、このレンズでは、青色光のカット率を測定すると、30%前後であった。
【0004】
また、特許文献2、3には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、光線カット率を高めたレンズ用重合性組成物が記載されているが、405nm以下の吸収に着目しており、青色光カット率に関しては何ら議論されていない。
【0005】
また、特許文献4、5には、2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール紫外線吸収剤を含有し、青色光のカット率を向上させたレンズ用重合性組成物が提案されているが、本紫外線吸収剤はモノマーへの溶解度が低いため、長期保存安定性が良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-093689号公報
【文献】特開2008-056854号公報
【文献】特開2010-84006号公報
【文献】特許5620033号公報
【文献】特許6294386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、長期間保存安定性が良好な光学材料用組成物及びそれからなる光学材料を提供することにあり、特に青色光のカット率が高いプラスチックレンズを形成できる、光学材料用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、極大吸収波長が360nm以上380nm未満であり、特定構造のベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を用いることにより、前記の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1](A)重合性単量体 100質量部、(B)極大吸収波長が360nm以上380nm未満であり、下記式(1)で表わされる紫外線吸収剤 0.001~0.3質量部、を含有してなることを特徴とする、光学材料用組成物である。
【0010】
【0011】
(ただし、R1は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1~8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が各々1~8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1~3のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2~10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基またはシアノ基を表わす。R2はヒドロキシ基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキルチオ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基を表わし、R3は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルキル基またはアルコキシ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基を表わし、R2とR3が架橋された環状構造であってもよい。)
本発明は、以下の態様をとることができる。
[2]前記重合性単量体(A)が、ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、キシリレンジイソシネート、4,4’-メチレンビスフェニルビスイソシアネート、2,4’-メチレンビスフェニルビスイソシアネート及びメチル-1,3-フェニレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物、並びにペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)及び1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンから選ばれる少なくとも1種のポリチオール化合物を含んでなる、前記[1]記載の光学材料用組成物。
[3]前記重合性単量体(A)が、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、及び5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とする混合物を含んでなる、前記[1]記載の光学材料用組成物。
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載の光学材料用組成物を重合硬化させてなる硬化体からなる光学材料であり、波長400nmの光線透過率が5%以下で且つ波長420nmの光線透過率が70%以下であり、380~500nmの波長域の光線カット率が35%以上である光学材料。
[5]前記[4]記載の光学材料からなるプラスチックレンズ。
【0012】
なお、本発明において、各化合物の極大吸収波長等の測定は、該測定に影響を与えない溶媒中で測定した。該溶媒としては、たとえば、クロロホルムが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化することにより、青色光のカット率の高い光学材料、特に該光学材料からなるプラスチックレンズを得ることができ、また、該組成物の保存安定性が良好であるため、その利用価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光学材料用組成物は、
(A)重合性単量体 100質量部
(B)極大吸収波長が360nm以上380nm未満であり、かつ特定の構造を有する紫外線吸収剤 0.001~0.3質量部
を含有してなることを特徴とする、光学材料用組成物である。
【0015】
以下、各成分について説明する。
<(A)成分:重合性単量体>
本発明では公知の重合性単量体を使用することができる。
【0016】
光学材料用組成物に好適に使用される重合性単量体としては、公知の重付加系単量体(以下、単に「(A1)成分」とする場合もある)、カチオン重合性単量体(以下、単に「(A2)成分」とする場合もある)及びラジカル重合性単量体(以下、単に「(A3)成分」とする場合もある)、が使用できる。
【0017】
<(A1)重付加系重合性単量体>
本発明における重付加系重合性単量体は、公知のものが特に制限なく使用でき、例えばポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタン-ポリウレア樹脂、ポリチオウレタン-ポリウレア樹脂等の樹脂を得るための原料となる単量体である。具体的には、それぞれ、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とポリアミン化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とポリアミン化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とポリアミン化合物の組み合わせ、により使用され、これらの単量体の組み合わせは、単独もしくは混合して使用できる。
【0018】
以下、重付加系重合性単量体について詳細に説明する。
<(A1-1)ポリイソシアネート化合物>
前記ポリイソシアネート化合物(以下、単に(A1-1)成分とする場合もある)としては、特に限定されず、その具体例としては、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、水添2,6-トリレンジイソシアネート、水添メタフェニレンジイソシアネート、水添パラフェニレンジイソシアネート、水添2,4-トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添メタキシリレンジイソシアネート、水添パラキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート化合物;フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6-ナフタリンジイソシアネート、1,5-ナフタリンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュウレット反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂環または芳香環を有していないイソシアネート化合物;ジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジスルフィド-6,6’-ジイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシジフェニルジスルフィド-3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート、ベンジリデンスルホン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン-4,4’-ジイソシアネート、4-メチルジフェニルメタンスルホン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジイソシアナトジベンジルスルホン、4,4’-ジメチルジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート、4,4’-ジ-tert-ブチルジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン-3,3’-ジイソシアネート、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート、4-メチル-3-イソシアナトベンゼンスルホニル-4’-イソシアナトフェノールエステル、4-メトキシ-3-イソシアナトベンゼンスルホニル-4’-イソシアナトフェノールエステル、4-メチル-3-イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド-3'-メチル-4’-イソシアネート、ジベンゼンスルホニル-エチレンジアミン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシベンゼンスルホニル-エチレンジアミン-3,3’-ジイソシアネート、4-メチル-3-イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド-4-メチル-3’-イソシアネート、チオフェン-2,5-ジイソシアネート、チオフェン-2,5-ジイソシアナトメチル、1,4-ジチアン-2,5-ジイソシアネート、1,4-ジチアン-2,5-ジイソシアナトメチル、1,4-ジチアン-2,3-ジイソシアナトメチル、1,4-ジチアン-2-イソシアナトメチル-5-イソシアナトプロピル、1,3-ジチオラン-4,5-ジイソシアネート、1,3-ジチオラン-4,5-ジイソシアナトメチル、1,3-ジチオラン-2-メチル-4,5-ジイソシアナトメチル、1,3-ジチオラン-2,2-ジイソシアナトエチル、テトラヒドロチオフェン-2,5-ジイソシアネート、テトラヒドロチオフェン-2,5-ジイソシアナトメチル、テトラヒドロチオフェン-2,5-ジイソシアナトエチル、テトラヒドロチオフェン-3,4-ジイソシアナトメチル等の硫黄含有イソシアネート化合物を挙げることができる。これらの中でも、脂環族イソシアネート化合物が好ましい。
【0019】
<(A1-2) ポリチオール化合物>
前記ポリチオール化合物(以下、単に(A1-2)成分とする場合もある)としては、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,1-プロパンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール、1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン等の脂肪族チオール;1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、2,2’-ジメルカプトビフェニル、4,4’-ジメルカプトビフェニル、4,4’-ジメルカプトビベンジル、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,4-ナフタレンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2,7-ナフタレンジチオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、4,5-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、9,10-アントラセンジメタンチオール、1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、フェニルメタン-1,1-ジチオール、2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族チオール;2,5-ジクロロベンゼン-1,3-ジチオール、1,3-ジ(p-クロロフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、3,4,5-トリブロム-1,2-ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6-テトラクロル-1,5-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族チオール;1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらのアルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族チオール;ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、2-メルカプトエチルチオ-1,3-プロパンジチオール、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4’-チオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4’-ジチオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオール、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ビス(1,3-ジメルカプト-2-プロピル)スルフィド等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族チオール;3,4-チオフェンジチオール、テトラヒドロチオフェン-2,5-ジメルカプトメチル、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物などが挙げられる。
【0020】
<(A1-3) ポリオール化合物>
前記ポリオール化合物(以下、単に(A1-3)成分とする場合もある)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2-メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、ビシクロ[4.3.0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール等の脂肪族ポリオール;ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、テトラブロムビスフェノールA等の芳香族ポリオール及びそれらとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;ビス-〔4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス-〔4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス-〔4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス-〔4-(4-ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル〕スルフィド、ビス-〔2-メチル-4-(ヒドロキシエトキシ)-6-ブチルフェニル〕スルフィド及びこれらの化合物に水酸基1個当たり平均3分子以下のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドが付加された化合物;ビス(2-ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2-ビス-(2-ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4-ジチアン-2,5-ジオール、ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4-ヒドロキシ-2-チアブチル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチルチオエチル)-シクロヘキサン等の硫黄原子を含有したポリオールなどが挙げられる。
【0021】
<(A1-4)ポリアミン化合物>
前記ポリアミン化合物(以下、単に(A1-4)成分とする場合もある)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンが挙げられる。
【0022】
<(A2)カチオン重合性単量体>
本発明におけるカチオン重合性単量体は、公知のものが特に制限なく使用でき、例えばエポキシ樹脂やポリスルフィド樹脂などの樹脂を得るための原料となる単量体である。具体的には、開環重合する単量体であるポリエポキシ化合物、ポリエピチオ化合物、ポリチエタン化合物や、ポリエピチオ化合物とポリチオール化合物の反応により得られるものが挙げられ、単量体として公知のポリエポキシ化合物(以下、単に(A2-1)成分とする場合もある)、ポリエピチオ化合物(以下、単に(A2-2)成分とする場合もある)またはポリチエタン化合物(以下、単に(A2-3)成分とする場合もある)が制限なく使用できる。また、ポリチオール化合物に関しては、前記(A1-2)にて例示したものが挙げられる。
【0023】
以下、カチオン重合性単量体について詳細に説明する。
<(A2-1)ポリエポキシ化合物>
前記ポリエポキシ化合物としては、大きく分けて、脂肪族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物に分類され、その具体例としては、以下のものを例示することができる。
【0024】
脂肪族エポキシ化合物としては、エチレンオキシド、2-エチルオキシラン、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2,2’-メチレンビスオキシラン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0025】
脂環族エポキシ化合物としては、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス-2,2-ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0026】
芳香族エポキシ化合物としては、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0027】
<(A2-2)ポリエピチオ化合物>
前記ポリエピチオ化合物の具体例としては、ビス(1,2-エピチオエチル)スルフィド、ビス(1,2-エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(エピチオエチルチオ)メタン、ビス(エピチオエチルチオ)ベンゼン、ビス[4-(エピチオエチルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(エピチオエチルチオ)フェニル]メタン等のエピチオエチルチオ化合物;ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)エタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2-メチルプロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2-メチルブタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2-メチルペンタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-3-チアペンタン、1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2-メチルヘキサン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-3,6-ジチアオクタン、1,2,3-トリス(2,3-エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-1-(2,3-エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2-(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3-チアペンタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3-チアペンタン、1-(2,3-エピチオプロピルチオ)-2,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-4-チアヘキサン、1,5,6-トリス(2,3-エピチオプロピルチオ)-4-(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3-チアヘキサン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-4-(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-4,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-4,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-2,4,5-トリス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,1,1-トリス[[2-(2,3-エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]-2-(2,3-エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2-テトラキス[[2-(2,3-エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-4,8-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-4,7-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)-5,7-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3-エピチオプロピルチオ化合物;1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス[[2-(2,3-エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]-1,4-ジチアン、2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン等の環状脂肪族の2,3-エピチオプロピルチオ化合物;1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4-(2,3-エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2-ビス[4-(2,3-エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4-(2,3-エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(2,3-エピチオプロピルチオ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族の2,3-エピチオプロピルチオ化合物;ビス(2,3-エピチオプロピル)エーテル、ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)エタン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2-メチルプロパン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2-メチルブタン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2-メチルペンタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-3-チアペンタン、1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2-メチルヘキサン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-3,6-ジチアオクタン、1,2,3-トリス(2,3-エピチオプロピルオキシ)プロパン、2,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、2,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-1-(2,3-エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2-(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3-チアペンタン、1,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3-チアペンタン、1-(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-4-チアヘキサン、1,5,6-トリス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-4-(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3-チアヘキサン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-4-(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-4,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-4,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-2,4,5-トリス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,1,1-トリス[[2-(2,3-エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]-2-(2,3-エピチオプロピルオキシ)エタン、1,1,2,2-テトラキス[[2-(2,3-エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]エタン、1,11-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-4,8-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-4,7-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)-5,7-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3-エピチオプロピルオキシ化合物;1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス[[2-(2,3-エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]-1,4-ジチアン、2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン等の環状脂肪族の2,3-エピチオプロピルオキシ化合物;1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、ビス[4-(2,3-エピチオプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2-ビス[4-(2,3-エピチオプロピルオキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(2,3-エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(2,3-エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス(2,3-エピチオプロピルオキシ)ビフェニル等の芳香族の2,3-エピチオプロピルオキシ化合物等を挙げることができる。
【0028】
<(A2-3)ポリチエタン化合物>
ポリチエタン化合物としては、金属含有チエタン化合物または非金属チエタン化合物を用いることができる。これらのポリチエタン化合物は、WO2005/095490や特開2003-327583号公報に開示されるように、分子内に1つ以上のチエタニル基を含有する。好ましくはチエタニル基を合計2つ以上含有する化合物である。例えば、ビスチエタニルスルフィド、ビス(3-チエタニルチオ)ジスルフィド、ビス(3-チエタニルチオ)メタン、3-(((3’-チエタニルチオ)メチルチオ)メチルチオ)チエタン等のスルフィド系チエタン化合物;ビス(3-チエタニル)ジスルフィド、ビス(3-チエタニル)トリスルフィド、ビス(3-チエタニル)テトラスルフィド、ビス(3-チエタニル)ペンタスルフィド等のポリスルフィド系チエタン化合物等が挙げられる。
【0029】
<(A3)ラジカル重合性単量体>
本発明におけるラジカル重合性単量体は、公知のものが特に制限なく使用でき、例えば(メタ)アクリレート化合物(以下、単に(A3-1)成分とする場合もある)、(メタ)アクリレート基を有さない炭素-炭素不飽和結合を有するラジカル重合性単量体(以下、単にビニル化合物または(A3-2)成分とする場合もある)を単独もしくは混合して使用できる。
【0030】
<(A3-1)(メタ)アクリレート化合物>
(メタ)アクリレート化合物としては、分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリレート基を有する公知の化合物が特に制限なく使用でき、具体的な(メタ)アクリレート化合物を例示すれば、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンオリゴマーテトラ(メタ)アクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(特に平均分子量308、330、508、736)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA-ジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(特に平均分子量478、776、804)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(特に平均分子量468)、メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0031】
<(A3-2)ビニル化合物>
具体的なビニル化合物を例示すれば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、エチルビニルエーテル、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、1,4-ペンタジエン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルプロパンジシロキサン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルスルホキシド、ジビニルペルスルフィド、ジメチルジビニルシラン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、メチルトリビニルシラン、α-メチルスチレン及びα-メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
【0032】
また、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量550)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量350)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1500)、ポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量450)、メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量750)、ブトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1600)、メタクリロイルオキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量560)、フェノキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量600)、メタクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量430)、アクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量420)、ビニロキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量560)、スチリロキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量650)、メトキシポリエチレンチオグリコールアリルチオエーテル(特に平均分子量730)、等を挙げることができる。
【0033】
重合性単量体(A)としては、ポリイソシアネート化合物及びポリチオール化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物の組み合わせ、ポリエピチオ化合物及び/またはポリチエタン化合物、ポリエピチオ化合物及びポリチオール化合物の組み合わせであることが好ましい。
【0034】
また、上記した中でも、重合性単量体(A)は、ポリイソシアネート化合物及びポリチオール化合物の組み合わせ、又はポリエピチオ化合物及びポリチオール化合物の組み合わせであることがより好ましい。
重合性単量体(A)がポリイソシアネート化合物及びポリチオール化合物の組み合わせの場合において、特に、重合性単量体(A)がビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、キシリレンジイソシネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びトリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物、並びにペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)及び1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパンから選ばれる少なくとも1種のポリチオール化合物を含んでなることが好ましい。
重合性単量体(A)がエピチオ化合物及びポリチオール化合物の組み合わせである場合において、特に、重合性単量体(A)がビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド、及び5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とする混合物を含んでなることが好ましい。
【0035】
<(B)極大吸収波長が360nm以上380nm未満のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤>
本発明において、紫外線や青色光のカット能を光学材料に付与するために、極大吸収波長が360nm以上380nm未満の(B)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(以下、単に(B)成分とする場合もある)を含有する。
本発明のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、下記式(1)で表わされるものである。
本発明において、極大吸収波長とは、吸収スペクトルにおいて現れる極大吸収の頂点(凸形状のスペクトルの頂点)の波長を意味する。また、極大吸収波長が複数確認される場合があるが、この場合は、少なくとも一つの極大吸収波長が本発明において特定する波長範囲に確認されればよい。例えば、上記した極大吸収波長が360nm以上380nm未満のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、極大吸収波長の少なくとも一つが360nm以上380nm未満に存在するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を意味する。
【0036】
【0037】
(ただし、R1は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1~8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が各々1~8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1~3のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2~10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基またはシアノ基を表わす。R2はヒドロキシ基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキルチオ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基を表わし、R3は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルキル基またはアルコキシ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基を表わし、R2とR3が架橋された環状構造であってもよい。)
一般式(1)中、R1の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のアルコキシ基;ヒドロキシル基;アミノ基、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノn-プロピルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の置換されても良い炭素数1~4の直鎖または分岐のアミノ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基等の置換されても良いアルキル基の炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシオクチル基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のヒドロキシアルキル基;メチルカルボニルオキシメチル基、エチルカルボニルオキシメチル基、プロピルカルボニルオキシメチル基、ブチルカルボニルオキシメチル基、ヘキシルカルボニルオキシメチル基、ヘプチルカルボニルオキシメチル基、オクチルカルボニルオキシメチル基、メチルカルボニルオキシエチル基、エチルカルボニルオキシエチル基、プロピルカルボニルオキシエチル基、ブチルカルボニルオキシエチル基、ヘキシルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルカルボニルオキシエチル基、オクチルカルボニルオキシエチル基等の置換されても良いアルキル基の炭素数が各々1~8の直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシアルキル基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等のカルボキシアルキル基;メチルオキシカルボニルメチル基、エチルオキシカルボニルエチル基、プロピルオキシカルボニルエチル基等のアルキル基の炭素数が各々1~8の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニルアルキル基;フェニル基、ベンジル基、トリル基、基シリル基等のアリール基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基;スルホ基;シアノ基等が挙げられる。また、R2の具体例としては、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキルチオ基;モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の置換されても良い炭素数1~4の直鎖または分岐のアミノ基;等が挙げられる。R3の具体例としては、水素原子;ヒドロキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等の置換されても良い炭素数1~8の直鎖または分岐のアルコキシ基;モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の置換されても良い炭素数1~4の直鎖または分岐のアミノ基;等が挙げられる。また、R2とR3が架橋された環構造の場合には、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基等が挙げられる。
【0038】
上記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物は、上記の中でも好ましくは、R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、n-オクチルオキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、ヒドロキシエチル基、メチルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルカルボニルオキシエチル基であり、R2としては、メトキシ基、エトキシ基、n-オクチルオキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基であり、R3としては水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-オクチルオキシ基、ジメチルアミノ基であり、R2とR3が架橋された環構造の場合には、メチレンジオキシ基である。
【0039】
ここで、R2あるいはR2とR3に電子供与性置換基を選択し、及び/またはR1に電子吸引性置換基を選択するのが、極大吸収波長の観点から好ましい。
【0040】
電子供与性置換基としては、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキルチオ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1~4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基が挙げられる。上記したように、R2とR3が架橋され、メチレンジオキシ基を形成している場合は、R2及びR3は電子供与性置換基である。また、電子吸引性置換基としては、ニトロ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、スルホ基、シアノ基が挙げられる。
【0041】
本発明の一般式(1)で表わされるベンゾトリアゾール誘導体化合物としては、たとえば、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-5-メチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-5-エチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-5-ブチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-5-オクチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-5-メチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-5-ブチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノ-5-メチルフェニル)-5-メチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノ-5-メチルフェニル)-5-ブチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノ-5-メチルフェニル)-5-オクチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノ-5-メチルフェニル)-5-メチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4,5-ジメトキシフェニル)-5-メチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4,5-ジメトキシフェニル)-5-ブチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4,5-ジメトキシフェニル)-5-オクチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-2H-ベンゾトリアゾール、6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、6-(5-イソヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、6-(5-オクチルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、6-(5-メチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、7-(5-メチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-オール、7-(5-ブチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-オール、7-(5-オクチルオキシカルボニル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-オール、7-(5-メチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-オール等が挙げられる。
【0042】
(B)成分は、上記式(1)において、R2とR3が架橋され、メチレンジオキシ基を形成している化合物が好ましい。具体的には、(B)成分としては、6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、6-(5-イソヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、6-(5-オクチルオキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール、6-(5-メチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オールなどが好ましく、中でも6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オールがより好ましい。
【0043】
前記(B)成分の吸光係数は、取り扱いが良く、効率良く効果を発揮するためには、10~200(L/(g・cm))の範囲であることが好ましい。この範囲を満足することにより、光学材料用組成物を重合硬化して得られる光学材料の強度を低下させることなく、紫外線や青色光のカット性能に優れた効果が得られる。
【0044】
また、前記(B)成分の配合量は、前記(A)成分100質量部当たり、0.005~0.3質量部であることにより、紫外線や青色光のカット能に優れた効果を有し、且つ得られる光学材料の強度を低下させることなく重合硬化することができる。かかる効果をより高めるためには、前記(B)化合物の配合量は、0.01~0.2質量部であるとより好ましい。
【0045】
上記した(A)成分及び(B)成分を含有する本発明の光学材料用組成物は、紫外線吸収剤が析出し難く、長期保存安定性に優れる。
【0046】
<添加剤>
本発明の光学材料用組成物には、重合硬化のために、必要に応じて重合触媒や重合開始剤を添加することができる。また、本発明の光学材料用組成物は、その他の任意成分として、効果を損なわない範囲で公知の各種配合剤、たとえば、帯電防止剤、内部離型剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、染料、含量、香料、溶剤、レベリング剤、樹脂改質剤、光安定剤、赤外線吸収剤、可視光吸収剤、等を含んでいてもよい。さらに、上記の紫外線吸収剤に加えて、極大吸収波長が360nm以上380nm未満の範囲にはない、公知の紫外線吸収剤を含むこともできる。
・重合触媒
重合触媒としては、3級アミン類及びこれらに対応する無機または有機塩類、ホスフィン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、ルイス酸類、または有機スルホン酸を挙げることが出来る。
具体的な反応触媒を例示すると、以下のものが挙げられる。
【0047】
3級アミン;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N-イソプロピル-N-メチルブチルアミン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N,N-ジメチルピペラジン、N,N-ジエチルピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリドン、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルジベンジルアミン、ピリジン、N-メチルピラゾール、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、ベンジルメチルイミダゾール、N-メチルピロール、ジフェニルメチルアミン。
【0048】
ホスフィン類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィ、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン。
【0049】
4級アンモニウム塩類;テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1-n-ドデシルピリジニウムクロライド。
【0050】
4級ホスホニウム塩類;テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド。
【0051】
ルイス酸;トリフェニルアルミニウム、ジメチルスズジクロライド、ジメチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズジクロライド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズマレエートポリマー、ジブチルスズジリシノレート、ジブチルスズビス(ドデシルメルカプチド)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエートポリマー、ジオクチルスズビス(ブチルマレエート)、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジリシノレート、ジオクチルスズジオレエート、ジオクチルスズジ(6-ヒドロキシ)カプロエート、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジドデシルスズジリシノレート;その他各種金属塩、例えば、オレイン酸銅、アセチルアセトン酸銅、アセチルアセトン酸鉄、ナフテン酸鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、オクタン酸カリウム、チタン酸2-エチルヘキシル。
【0052】
有機スルホン酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸。
【0053】
重合触媒の添加量は、(A)成分の合計量を100質量部として、0.001~1質量部が好適であり、好ましくは0.002~0.5質量部であり、より好ましくは0.005~0.4質量部である。
・重合開始剤
重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤等を特に制限なく使用することができる。代表的な重合開始剤を例示すると、以下のものが挙げられる。
【0054】
熱重合開始剤:ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、tert-ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等。
【0055】
光重合開始剤:ベンゾフェノン;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;1,2-ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリコキシレート等のα-ジカルボニル系化合物;2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6-ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキシド系化合物;1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]等。
【0056】
重合開始剤の添加量は、(A)成分の合計量を100質量部として、好ましくは0.01~0.5質量部、より好ましくは0.05~0.4質量部である。
・内部離形剤
内部離型剤としては、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、アルキル第4級アンモニウム塩、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、オキシアルキレン型酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアルカリ金属塩、オキシアルキレン型酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物等が挙げられる。例えば、酸性リン酸エステルとしては、STEPAN社製のZelecUN、三井化学株式会社製のMR用内部離型剤、城北化学工業株式会社製のJPシリーズ、東邦化学工業株式会社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業株式会社製のAP、DPシリーズ等、を用いることができる。
・樹脂改質剤
本発明の光学材料用組成物には、樹脂の光学物性、耐衝撃性、比重等の諸物性の調節及び、光学材料用組成物の粘度やポットライフの調整を目的に、樹脂改質剤を本実施形態の効果を損なわない範囲で加えることができる。例えば、エピスルフィド化合物、アルコール化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物を含むオレフィン化合物等を用いることができる。
・可視光吸収剤
可視光吸収剤としては、極大吸収波長が400nm~750nmの範囲にある化合物であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ペリレン系化合物、ポルフィリン化合物、カロテノイド系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、インディゴ系化合物、ネオジム化合物、テトラアザポルフィリン化合物等を用いることができる。
【0057】
<光学材料>
本発明の光学材料は、上記した光学材料用組成物を重合硬化させてなる硬化体からなる。該光学材料は、波長400nmの光線透過率が5%以下で且つ波長420nmの光線透過率が70%以下であり、380~500nmの波長域の光線カット率(青色光カット率ともいう)が35%以上であることが好ましい。
光学材料の波長400nmの光線透過率は、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
光学材料の波長420nmの光線透過率は、より好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下である。
380~500nmの波長域の光線カット率は、より好ましくは38%以上、さらに好ましくは40%以上である。
なお、380~500nmの波長域の光線カット率は、380nmから500nmまでの波長領域について、10nmごとに透過率を求め、これら10nmごとの透過率の平均値(380~500nmの透過率(T)の平均値ともいう)から算出され、以下の式により求められる。
青色光カット率=100-(380~500nmの透過率(T)の平均値)
【0058】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して得られる光学材料は、使用用途について特に制限はないが、通常の眼鏡レンズや、ゴーグル、視力矯正用眼鏡レンズ、撮像機器用レンズ、液晶プロジェクター用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、コンタクトレンズ等の各種プラスチックレンズに好適に使用できる。
【0059】
光学材料の製造方法としては、前記式(1)から選ばれる1種以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を重合性単量体と混合して光学材料用組成物とした後、公知の製造方法を用いて重合硬化・成形を行う方法が挙げられる。
【0060】
光学材料用組成物を用いた前記プラスチックレンズの製造方法も、特に限定されるものではないが、通常、注型重合が採用される。たとえば、光学材料用組成物に必要に応じて重合開始剤を混合し、その混合液をレンズ成形用鋳型中に注入し、通常-20℃~150℃の間で加熱することにより、プラスチックレンズが得られる。
<光学材料の二次加工;コーティング層の積層>
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して得られる光学材料、特に前記光学材料からなるプラスチックレンズは、必要に応じて、片面または両面にコーティング層を施して用いてもよい。
【0061】
コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
【0062】
これらのコーティング層はそれぞれ、公知の紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
【0063】
ハードコート層を設ける場合は、有機ケイ素化合物、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の微粒子状無機物等を含有するコーティング液を塗布、硬化することによって得られる。また、耐衝撃性を向上あるいはハードコート層との密着性の向上の目的で、プラスチックレンズの表面に、ポリウレタンを主成分とするプライマー層を設けることができる。さらに、ハードコート層上に、反射防止の性能を付与するために、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル等を用いて反射防止層を施すこともできる。さらに、その反射防止層上に、撥水性向上のため、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を用いて撥水膜を施すことができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0065】
光学材料用組成物を重合硬化して得られたプラスチックレンズの物性は次の方法により求めた。
(1)400nm、420nmでの光線透過率の測定
波長380~800nmの透過率を分光光度計(UV-2550,島津製作所株式会社製)を用いて測定し、上記波長の光線透過率及び視感透過率を求めた。
(2)青色領域(380nm~500nmの波長域)の光線カット率の測定
波長380~500nmの透過率を分光光度計(UV-2550,島津製作所株式会社製)を用いて測定し、10nmごとの透過率(T(%))から、下記式にて青色光カット率を計算した。
青色光カット率(%)=100-(380~500nmの透過率(T)の平均値)
【0066】
紫外線吸収剤の極大吸収波長は次の方法により求めた。
測定機器として、株式会社島津製作所製 島津分光光度計 UV-2550を使用した。測定は、測定対象物を溶媒(クロロホルム)に溶解させた溶液(濃度1.0×10-4mol/L)を調製し、光路長10mmの石英セルを使用して行った。
【0067】
実施例1
ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン 50.28質量部に、触媒としてジメチルチンジクロライド 0.06質量部、離型剤として酸性リン酸エステルJP-506H(城北化学工業株式会社製) 0.15質量部、紫外線吸収剤として6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール(極大吸収波長:367nm) 0.04質量部を添加し撹拌混合した後、さらにペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート) 25.50質量部、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン 24.22質量部を添加し、10mmHgの減圧下で30分間攪拌混合して光学材料用組成物を調製した。ついで、この光学材料用組成物を、予め準備したガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(中心厚2.0mm)の中に注入し、電気炉中で20℃~120℃まで24時間かけて重合を行った。重合終了後、ガスケット及びモールドを取り外した後、120℃で2時間熱処理してプラスチックレンズを得た。得られたレンズの評価結果を表1に示す。
【0068】
実施例2
キシリレンジイソシアネート 52.02質量部に、触媒としてジメチルチンジクロライド 0.04質量部、離型剤として酸性リン酸エステルJP-506H(城北化学工業株式会社製) 0.15質量部、紫外線吸収剤として6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール(極大吸収波長:367nm) 0.04質量部を添加し撹拌混合した後、さらに1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン 47.98質量部を添加し、10mmHgの減圧下で30分間攪拌混合して光学材料用組成物を調製した。ついで、この光学材料用組成物を、予め準備したガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(中心厚2.0mm)の中に注入し、電気炉中で20℃~120℃まで24時間かけて重合を行った。重合終了後、ガスケット及びモールドを取り外した後、120℃で2時間熱処理してプラスチックレンズを得た。得られたレンズの評価結果を表1に示す。
【0069】
実施例3
十分に乾燥させたフラスコに6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール(極大吸収波長:367nm) 0.04質量部、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド 90.9質量部を仕込んで20℃で1時間攪拌して溶液を調製した。この溶液にN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン0.019質量部、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン0.09質量部を5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とする混合物9.1質量部に溶解させた溶液を加えて20℃で30分間攪拌して光学材料用組成物を調製した。この光学材料用組成物を600Paにて1時間脱泡を行い、1μmPTFEフィルターにて濾過を行った後、この光学材料用組成物を、予め準備したガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(中心厚2.0mm)の中に注入した。このガラスモールドを30℃~80℃まで21時間かけて重合を行った。重合終了後、ガスケット及びモールドを取り外した後、120℃で3時間熱処理してプラスチックレンズを得た。得られたレンズの評価結果を表1に示す。
【0070】
実施例4
メチルメタアクリレート90.00質量部、エチレングリコールジメタアクリレート10.00質量部、紫外線吸収剤として6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール(極大吸収波長:367nm)0.04質量部、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチルニトリルを0.10質量部混合し、室温でよく攪拌した後、50mmHgに減圧して10分間脱気して、光学材料用組成物を得た。ついで、この光学材料用組成物を、予め準備したガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(中心厚2.0mm)の中に注入し、電気炉中で40℃~85℃まで24時間かけて重合を行った。重合終了後、ガスケット及びモールドを取り外した後、100℃で2時間熱処理してプラスチックレンズを得た。得られたレンズの評価結果を表1に示す。
【0071】
実施例5~8
実施例1~4において、紫外線吸収剤の添加量を表1に示す通りに変えた以外は、実施例1~4と同様にしてプラスチックレンズを得た。得られたレンズの評価結果を表1に示す。
【0072】
上記した実施例1~8にて作製した光学材料用組成物は、室温(25℃)、24時間以内に紫外線吸収剤の析出が確認されず、長期保存安定性に優れていた。
【0073】
比較例1、2
実施例1、5において、紫外線吸収剤を2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ―2H-ベンゾトリアゾール(極大吸収波長:352nm)に変えた以外は同様にして、プラスチックレンズを得た。得られたレンズの評価結果を表1に示す。
【0074】
【0075】
表中に示した重合性単量体(A)、紫外線吸収剤(B)は以下のとおりである。
(重合性単量体)
A1:ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
A2:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
A3:1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン
A4:キシリレンジイソシアネート
A5:ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド
A6:5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とする混合物
A7:メチルメタアクリレート
A8:エチレングリコールジメタアクリレート
(紫外線吸収剤)
B1:6-(5-ヘプチルカルボニルオキシエチル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール
B2;2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール
【0076】
以上の実施例、比較例の結果から、次のことが分かる。
実施例1~8では、いずれも眼に有害な紫外線や青色光をカットすることができ、ブルーライトハザードの抑制に効果的である。対して、比較例1、2では、420nmの透過率が高く、青色光カット率も低いことから、本発明の範囲外の紫外線吸収剤を用いると、青色光カット性能が不十分である。