(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】空間的原子層堆積におけるガス分離制御
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230905BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230905BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20230905BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
C23C16/455
C23C16/52
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021125040
(22)【出願日】2021-07-30
(62)【分割の表示】P 2017513115の分割
【原出願日】2015-09-09
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2014-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ニン
(72)【発明者】
【氏名】マーカス, スティーヴン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ンゴ, タイ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン, ケヴィン
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-100786(JP,A)
【文献】特開2011-192772(JP,A)
【文献】特開平05-090168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 16/455
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ容積を画定する壁を有する処理チャンバであって、サセプタアセンブリ及びガス供給アセンブリを含み、前記ガス供給アセンブリと前記サセプタアセンブリとの間に少なくとも1つの第1の処理領域及び少なくとも1つの第2の処理領域を有し、前記少なくとも1つの第1の処理領域及び前記少なくとも1つの第2の処理領域の各々がガスカーテンによって分離されている、処理チャンバと、
前記チャンバ容積及び真空源と流体連通するチャンバ排気システムであって、前記処理チャンバの下流且つ前記真空源の上流にチャンバ排気スロットルバルブを含む、チャンバ排気システムと、
前記少なくとも1つの第1の処理領域及び真空源と流体連通する第1の排気システムであって、第1のスロットルバルブ及び第1の圧力計を備えた、第1の排気システムと、
前記少なくとも1つの第2の処理領域及び真空源と流体連通する第2の排気システムであって、第2のスロットルバルブ及び第2の圧力計を備えた、第2の排気システムと、
前記第1の排気システム及び前記第2の排気システムと通信し、前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計からの信号に応答して、前記第1のスロットルバルブ及び前記第2のスロットルバルブをそれぞれ制御するコントローラであって、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域におけるガスの分離を維持するように、且つ
、前記第1の処理領域に供給されるガスの量を前記第1の処理領域から除去されるガスの量と等しくするように、また、前記第2の処理領域に供給されるガスの量を前記第2の処理領域から除去されるガスの量と等しくするように構成されたコントローラと、
を備える空間的原子層堆積システム。
【請求項2】
前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計の少なくとも1つは、対応するスロットルバルブの上流にある、請求項1に記載の堆積システム。
【請求項3】
前記第1の圧力計は前記第1のスロットルバルブの上流にあり、前記第2の圧力計は前記第2のスロットルバルブの上流にある、請求項1に記載の堆積システム。
【請求項4】
前記第1の圧力計及び前記第2の圧力計は絶対圧力ゲージである、請求項1に記載の堆積システム。
【請求項5】
前記第1の圧力計は絶対圧力ゲージであり、及び前記第2の圧力計は差圧計である、請求項1に記載の堆積システム。
【請求項6】
前記第1の処理領域と前記第2の処理領域の間の絶対圧力差が、5torrまでである、請求項1に記載の堆積システム。
【請求項7】
チャンバ容積を画定する壁を有する処理チャンバであって、サセプタアセンブリ及びガス供給アセンブリを含み、少なくとも1つの第1の処理領域、少なくとも1つの第2の処理領域、少なくとも1つの第3の処理領域、及び少なくとも1つの第4の処理領域を有し、各処理領域が、前記ガス供給アセンブリと前記サセプタアセンブリとの間に配置され、ガスカーテンによって隣接する処理領域から分離されている、処理チャンバと、
前記チャンバ容積及び真空源と流体連通するチャンバ排気システムであって、前記処理チャンバの下流且つ前記真空源の上流にチャンバ排気スロットルバルブを含む、チャンバ排気システムと、
前記少なくとも1つの第1の処理領域及び真空源と流体連通する第1の排気システムであって、第1のスロットルバルブ及び第1の圧力計を備えた、第1の排気システムと、
前記少なくとも1つの第2の処理領域及び真空源と流体連通する第2の排気システムであって、第2のスロットルバルブ及び第2の圧力計を備えた、第2の排気システムと、
前記少なくとも1つの第3の処理領域と流体連通する第3の排気システムであって、第3のスロットルバルブ及び第3の圧力計を備えた、第3の排気システムと、
前記少なくとも1つの第4の処理領域と流体連通する第4の排気システムであって、第4のスロットルバルブ及び第4の圧力計を備えた、第4の排気システムと、
前記第1の排気システム、前記第2の排気システム、前記第3の排気システム、及び前記第4の排気システムと通信し、前記第1の圧力計からの信号に応答して前記第1のスロットルバルブを制御し、前記第2の圧力計からの信号に応答して前記第2のスロットルバルブを制御し、前記第3の圧力計からの信号に応答して前記第3のスロットルバルブを制御し、及び前記第4の圧力計からの信号に応答して前記第4のスロットルバルブを制御するコントローラであって、前記第1の処理領域及び前記第2の処理領域におけるガスの分離を維持するように、且つ
、前記第1の処理領域に供給されるガスの量を前記第1の処理領域から除去されるガスの量と等しくするように、また、前記第2の処理領域に供給されるガスの量を前記第2の処理領域から除去されるガスの量と等しくするように構成されたコントローラと、
を備える空間的原子層堆積システム。
【請求項8】
前記第1の圧力計、前記第2の圧力計、前記第3の圧力計、及び前記第4の圧力計の少なくとも1つは、対応するスロットルバルブの上流にある、請求項7に記載の堆積システム。
【請求項9】
前記第1の圧力計、前記第2の圧力計、前記第3の圧力計、及び前記第4の圧力計の各々は、対応する各スロットルバルブの上流にある、請求項7に記載の堆積システム。
【請求項10】
前記第1の圧力計、前記第2の圧力計、前記第3の圧力計、及び前記第4の圧力計は、絶対圧力ゲージである、請求項7に記載の堆積システム。
【請求項11】
前記第1の圧力計は絶対圧力ゲージであり、及び前記第2の圧力計は前記第1の圧力計に対する圧力差を測定する差圧計である、請求項7に記載の堆積システム。
【請求項12】
前記第3の圧力計は絶対圧力ゲージであり、及び前記第4の圧力計は前記第3の圧力計に対する圧力差を測定する差圧計である、請求項11に記載の堆積システム。
【請求項13】
前記第3の圧力計及び前記第4の圧力計は、前記第1の圧力計に対する圧力差を測定する差圧計である、請求項11に記載の堆積システム。
【請求項14】
前記第1の処理領域、前記第2の処理領域、前記第3の処理領域、及び前記第4の処理領域の各々の間の絶対圧力差が、5torrまでである、請求項7に記載の堆積システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、広くは、基板を処理する装置に関する。特に、本開示の実施形態は、空間的原子層堆積チャンバ内でガス分離を制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの形成は、一般に、クラスタツールとも称され得る、複数のチャンバを包含する基板処理用のシステム又はプラットフォーム内で行われる。ある事例では、マルチチャンバの処理プラットフォーム又はクラスタツールの目的が、制御された環境内で、順次、2以上の処理を1枚の基板に対して実行することである。しかし、他の事例では、マルチチャンバ処理プラットフォームが、複数の基板に対して単一の処理ステップしか実行しないこともある。基板が処理される速度を最大化するために、更なるチャンバが用いられ得る。後者の場合、基板に対して実行されるプロセスは、典型的にはバッチプロセスであり、バッチプロセスでは、比較的多数、たとえば25枚又は50枚の基板が、所与のチャンバ内で同時に処理される。バッチ処理は、原子層堆積(ALD)プロセス及び一部の化学気相堆積(CVD)プロセスなどの、経済的に実行可能な様態において個々の基板に対して実行するには時間がかかりすぎるプロセスにとって、特に有益である。
【0003】
空間的ALDという概念は、異なる気相反応性化学物質の明確な分離に基づく。気相反応を回避するために、化学物質の混合が防止される。空間的ALDチャンバの一般的な設計は、サセプタ(又はウエハ表面)とガス注入器との間の狭い間隙を含み得る。この間隙は、約0.5mmから約2.5mmの範囲内であり得る。真空ポンピングチャネルが、各化学物質シャワーヘッドの周りに配置される。気相混合を最小化するために、不活性ガスパージチャネルが、化学物質シャワーヘッドの間に存在する。これらの固有の設計特徴にもかかわらず、ガス流及びポンピングレベルは、異なるチャネルからの化学物質の気相混合を避けるように扱われる。当該技術分野においては、気相混合を最小化するための装置及び方法が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1以上の実施形態は、処理チャンバを含む堆積システムを対象とする。処理チャンバは、チャンバ容積を画定する壁を有する。処理チャンバは、サセプタアセンブリ及びガス供給アセンブリを含み、ガス供給アセンブリとサセプタアセンブリとの間に少なくとも1つの第1の処理領域を有し、ガス供給アセンブリとサセプタアセンブリとの間に少なくとも1つの第2の処理領域を有する。少なくとも1つの第1の処理領域と少なくとも1つの第2の処理領域の各々は、ガスカーテンによって分離されている。チャンバ排気システムは、チャンバ容積と流体連通している。チャンバ排気システムは、処理チャンバの下流にチャンバ排気スロットルバルブを含む。第1の排気システムは、少なくとも1つの第1の処理領域と流体連通している。第1の排気システムは、第1のスロットルバルブ及び第1の圧力計を備える。第2の排気システムは、少なくとも1つの第2の処理領域と流体連通している。第2の排気システムは、第2のスロットルバルブ及び第2の圧力計を備える。コントローラは、第1の排気システム及び第2の排気システムと通信し、第1の圧力計及び/又は第2の圧力計からの信号に応答して、第1のスロットルバルブ及び/又は第2のスロットルバルブのうちの1以上を制御する。
【0005】
本開示の更なる実施形態は、処理チャンバを備えた堆積システムを対象とする。処理チャンバは、チャンバ容積を画定する壁を有し、サセプタアセンブリ及びガス供給アセンブリを含む。処理チャンバは、少なくとも1つの第1の処理領域、少なくとも1つの第2の処理領域、少なくとも1つの第3の処理領域、及び少なくとも1つの第4の処理領域を有する。処理領域の各々は、ガス供給アセンブリとサセプタアセンブリとの間に配置されている。処理領域の各々は、ガスカーテンによって隣接する処理領域から分離されている。チャンバ排気システムは、チャンバ容積と流体連通している。チャンバ排気システムは、処理チャンバの下流にチャンバ排気スロットルバルブを含む。第1の排気システムは、少なくとも1つの第1の処理領域と流体連通し、第1のスロットルバルブ及び第1の圧力計を備える。第2の排気システムは、少なくとも1つの第2の処理領域と流体連通し、第2のスロットルバルブ及び第2の圧力計を備える。第3の排気システムは、少なくとも1つの第3の処理領域と流体連通し、第3のスロットルバルブ及び第3の圧力計を備える。第4の排気システムは、少なくとも1つの第4の処理領域と流体連通し、第4のスロットルバルブ及び第4の圧力計を備える。コントローラは、第1の排気システム、第2の排気システム、第3の排気システム、及び第4の排気システムと通信し、第1の圧力計からの信号に応答して、第1のスロットルバルブを制御し、第2の圧力計からの信号に応答して、第2のスロットルバルブを制御し、第3の圧力計からの信号に応答して、第3のスロットルバルブを制御し、第4の圧力計からの信号に応答して、第4のスロットルバルブを制御する。
【0006】
本開示の更なる実施形態は、処理チャンバを備えた堆積システムを対象とする。処理チャンバは、チャンバ容積を画定する壁を有し、サセプタアセンブリ及びガス供給アセンブリを含む。処理チャンバは、少なくとも1つの第1の処理領域、少なくとも1つの第2の処理領域、少なくとも1つの第3の処理領域、及び少なくとも1つの第4の処理領域を有する。処理領域の各々は、ガス供給アセンブリとサセプタアセンブリとの間に配置されている。処理領域の各々は、ガスカーテンによって隣接する処理領域から分離されている。チャンバ排気システムは、チャンバ容積と流体連通している。チャンバ排気システムは、処理チャンバの下流にチャンバ排気スロットルバルブを含む。第1の排気システムは、少なくとも1つの第1の処理領域と流体連通し、第1のスロットルバルブ及び第1の圧力計を備える。第2の排気システムは、少なくとも1つの第2の処理領域と流体連通し、第2のスロットルバルブ及び第2の圧力計を備える。第3の排気システムは、少なくとも1つの第3の処理領域と流体連通し、第3のスロットルバルブ及び第3の圧力計を備える。第4の排気システムは、少なくとも1つの第4の処理領域と流体連通し、第4のスロットルバルブ及び第4の圧力計を備える。コントローラは、第1の排気システム、第2の排気システム、第3の排気システム、及び第4の排気システムと通信し、第1の圧力計からの信号に応答して、第1のスロットルバルブを制御し、第2の圧力計からの信号に応答して、第2のスロットルバルブを制御し、第3の圧力計からの信号に応答して、第3のスロットルバルブを制御し、第4の圧力計からの信号に応答して、第4のスロットルバルブを制御する。第1の圧力計は、第1のスロットルバルブの下流に配置された絶対圧力ゲージであり、第2の圧力計は、第2のスロットルバルブの下流に配置された絶対圧力ゲージである。第3の圧力計は、第1の圧力計に対する圧力差を測定する差圧計であり、第4の圧力計は、第2の圧力計に対する圧力差を測定する差圧計である。
【0007】
本開示の上述の特徴が詳細に理解され得るやり方において、上で短く要約された本発明のより具体的な説明が、実施形態に言及することによって認識され、それらのうちの幾つかは、添付の図面の中において示される。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、付随する図面は、この開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1以上の実施形態による、空間的原子層堆積チャンバの側面断面図である。
【
図2】本開示の1以上の実施形態による、ローティングステーションを有する、4つのガス供給アセンブリユニットを有するように構成された基板処理システムの概略平面図である。
【
図3】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの断面図を示す。
【
図4】本開示の1以上の実施形態による、サセプタアセンブリ及びガス供給アセンブリユニットの斜視図を示す。
【
図5】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの断面図を示す。
【
図6】本開示の1以上の実施形態による、パイ形状ガス供給アセンブリの概略を示す。
【
図7】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略を示す。
【
図8A】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【
図8B】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【
図8C】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【
図9】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【
図10】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【
図11】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【
図12】本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態は、スループットを最大化して処理の効率性と均一性を向上させる、連続基板堆積のための基板処理システムを提供する。この基板処理システムは、堆積前及び堆積後の基板のトリートメントのためにも使用され得る。本開示の実施形態は、バッチプロセス内での堆積均一性を向上させるための装置及び方法に関する。
【0010】
本明細書及び添付された特許請求の範囲で使用される際に、「基板」及び「ウエハ」という用語は、共に、処理が行われる表面又は表面の部分を指すために相互交換可能に使用される。更に、基板に対して言及がなされるとき、そうではないことが文脈によって明白に示されない限り、基板の一部分のみに対する言及でもあり得ることを、当業者は理解するだろう。例えば、
図1に関して説明される空間的に分離されたALDでは、各前駆体が基板に供給されるが、個々の前駆体の流れは何れもどの時点においても基板の一部分にしか供給されない。更に、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1以上の膜又は特徴が上部に堆積又は形成された基板との両方を意味し得る。
【0011】
この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される際に、「反応性ガス(reactive gas)」、「処理ガス(process gas))」、「前駆体」、「反応物質(reactant)」などの用語は、相互交換可能に使用されて、原子層堆積プロセスにおいて反応性である核種を含むガスを意味する。例えば、第1の「反応性ガス」は、単に基板の表面上に吸着され、且つ、第2の反応性ガスとの更なる化学反応に利用され得る。
【0012】
本開示の実施形態は、バッチ処理チャンバの各処理領域内の各化学物質シャワーヘッド(チャネル)に対する真空ポンピングの自動制御を介して、空間的ALD内での気相混合を最小化する、方法及び装置を対象とする。
【0013】
図1は、本開示の1以上の実施形態による、処理チャンバ20の一部分の概略断面図である。処理チャンバ20は、概して、真空又は少なくとも低圧条件下で操作される密封可能な筐体である。チャンバ100は、基板60の頂面61全域に1以上のガスを供給することが可能な、ガス供給アセンブリ30を含む。ガス供給アセンブリ30は、当業者に知られている任意の適切なアセンブリであってよく、説明される具体的なガス供給アセンブリは、本開示の範囲を限定するものと理解されるべきではない。ガス供給アセンブリ30の出力面は、基板60の第1の表面61に面している。
【0014】
本開示の実施形態で使用される基板は、任意の適切な基板であってよい。ある実施形態では、基板は、剛性で、個々に分離した、概して平面の基板である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際に、基板について使われるときの「個々に分離した」という用語は、当該基板が固定の寸法を有することを意味する。1以上の実施形態の基板は、200mm又は300mmの直径のシリコン基板のような、半導体基板である。幾つかの実施形態では、基板は、シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、ゲルマニウム、りん化ガリウム、りん化インジウム、サファイア、及び炭化ケイ素のうちの1以上である。
【0015】
ガス供給アセンブリ30は、1以上のガス流を基板60に搬送する複数のガスポート、及びガス流を処理チャンバ20から外に搬送するため、各ガスポート間に配置された複数の真空ポートを備える。
図1の実施形態では、ガス供給アセンブリ30が、第1の前駆体注入器120、第2の前駆体注入器130、及びパージガス注入器140を備える。注入器120、130、140は、メインフレームなどの(図示せぬ)システムコンピュータによって、又は、プログラマブル論理コントローラなどのチャンバ固有のコントローラによって制御され得る。前駆体注入器120は、化合物Aの反応性前駆体の連続的な(又はパルス状の)流れを、複数のガスポート125を通して、処理チャンバ20に注入する。前駆体注入器130は、化合物Bの反応性前駆体の連続的な(又はパルス状の)流れを、複数のガスポート135を通して、処理チャンバ20に注入する。パージガス注入器140は、非反応性ガス又はパージガスの連続的な(又はパルス状の)流れを、複数のガスポート145を通して、処理チャンバ20に注入する。パージガスは、処理チャンバ20から反応性材料及び反応性副生成物を除去する。パージガスは、典型的には、窒素、アルゴン、及びヘリウムなどの不活性ガスである。ガスポート145は、化合物Aの前駆体を化合物Bの前駆体から分離し、前駆体間の相互汚染を回避するように、ガスポート125とガスポート135との間に配置されている。
【0016】
別の一態様では、前駆体の処理チャンバ20への注入に先立って、(図示せぬ)遠隔プラズマ源が前駆体注入器120及び前駆体注入器130に連結されていてもよい。遠隔プラズマ源内で化合物に電場をかけることによって、反応性核種のプラズマが生成され得る。意図した化合物を活性化することが可能な、任意の電源が用いられ得る。例えば、DC、高周波(RF)、及びマイクロ波(MW)をベースにした放電技法を用いた電源が使用され得る。RF電源が使用されるならば、それは、容量的に又は誘導的に接続され得る。更に、熱に基づく技術、気体絶縁破壊技術、高エネルギー光源(例えば、UVエネルギー)、又はX線源への曝露によって、活性化が引き起こされ得る。例示的な遠隔プラズマ源は、MKS Instruments,Inc.及びAdvanced Energy Industries,Inc.などの供給元から入手可能である。
【0017】
チャンバ100は、処理チャンバ20に連結されたポンピングシステム150を更に含む。ポンピングシステム150は、概して、処理チャンバ20から1以上の真空ポート155を通して、ガス流を排気するように構成される。真空ポート155は、ガス流が基板表面と反応した後に、処理チャンバ20からガス流を排気し、更に、前駆体間のクロス汚染を制限するために、各ガスポート間に配置されている。
【0018】
チャンバ100は、処理チャンバ20の各ポート間に配置された複数のパーティション160を含む。各パーティションの下部は基板60の第1の表面61に近接するように、例えば、第1の表面61から約0.5mm以上の距離に、延在する。パーティション160の下部はこのように、ガス流が基板表面と反応した後で、ガス流が真空ポート155に向かって当該下部の周辺を流れることができるのに十分な距離だけ、基板表面から離されている。矢印198は、ガス流の方向を示す。パーティション160は、ガス流に対する物理的なバリアとして機能するため、前駆体間の相互汚染も抑える。図示されている配設は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。図示されているガス供給システムは、実現可能な一供給システムに過ぎず、他の種類のシャワーヘッド及びガス供給アセンブリも用いられ得ることが、当業者には理解されよう。
【0019】
この種の(すなわち複数のガスが、同時に基板に向かって個別に流動している)原子層堆積システムは、空間的ALDと称される。稼働中、基板60は、(例えば、ロボットによって)処理チャンバ20に供給され、処理チャンバに入る前又は後にシャトル65上に配置され得る。シャトル65は、軌道70又は他の何らかの適切な移動機構に沿って移動し、ガス供給アセンブリ30の下方(又は上方)を通過して、処理チャンバ20を通る。
図1に示す実施形態では、シャトル65は、チャンバを通る直線的経路で移動する。
図2は、以下で更に説明されるように、ウエハがカルーセル処理システムを通って円形経路を移動する実施形態を示す。
【0020】
戻って
図1を参照すると、基板60が処理チャンバ20を通って移動する際に、基板60の第1の表面61は、ガスポート125から来る反応性ガスA及びガスポート135から来る反応性ガスB、及び中間のガスポート145から来るパージガスに反復して曝露される。パージガスの注入は、基板の表面110を次の前駆体に曝露させるのに先立って、前の前駆体から未反応物を除去するように設計されている。様々なガス流(例えば、反応性ガス又はパージガス)へのそれぞれの曝露の後、当該ガス流は、ポンピングシステム150によって真空ポート155を通して排出される。真空ポートは各ガスポートの両側に配置され得るので、ガス流は両側の真空ポート155を通して排出される。こうして、各ガスポートからのガス流は、基板60の第1の表面61に向かって下向きに垂直に、次いで基板表面110を渡ってパーティション160の下部の周辺を、最後に真空ポート155に向かって上方に、流れる。このようにして、各ガスは基板表面110の全体に均一に供給され得る。矢印198は、ガス流の方向を示す。基板60は、様々なガス流に曝露されている間にも回転していてもよい。基板の回転は、形成された層におけるストリップの形成の防止に役立ち得る。基板の回転は、連続的又は不連続の工程であってもよく、基板がガス供給アセンブリ30の下方を通過している間に、又は、基板がガス供給アセンブリ30の前及び/又は後の領域内にあるときに起こり得る。
【0021】
図1の直線的システムでは、概して、ガス供給アセンブリ30の後に十分な空間が提供され、最後のガスポートにまで完全に曝露されることを保証する。一旦、基板60がガス供給アセンブリ30の下方を完全に通過すると、第1の表面61は、処理チャンバ20内の全てのガスポートに完全に曝露されたことになる。その後、基板は、戻るように反対方向へと、又は前方へと搬送され得る。基板60が反対方向に移動するならば、基板表面は、第1の曝露とは逆の順序で、反応性ガスA、パージガス、及び反応性ガスBに再度曝露され得る。
【0022】
基板表面110がそれぞれのガスに曝露される程度は、例えば、ガスポートから出る各ガスの流量及び基板60の移動の速度によって決定され得る。一実施形態では、各ガスの流量は、吸着された前駆体を基板表面61から除去しないように制御される。各パーティションの間の幅、処理チャンバ20上に配置されたガスポートの数、及び基板がガス供給アセンブリを横断して通過した回数もまた、基板表面61が様々なガスに曝露される程度を決定し得る。結局、堆積された膜の量及び質は、上述の要因を変更することによって最適化され得る。
【0023】
ガス供給アセンブリの下方に配置された基板に向かって下向きにガスの流れを方向付けする、ガス供給アセンブリ30を用いた処理を説明してきたが、これは違う向きでも可能であることが理解されるだろう。ある実施形態では、ガス供給アセンブリ30が、ガスの流れを基板表面に向けて上向きに導く。本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用される際に、「通過した」という用語は、基板の表面全体がガス供給プレートからの各ガス流に曝露されるように、基板がガス供給アセンブリの一方の側から他方の側へと移動されたことを意味する。更なる説明がない限り、「通過した」という用語は、ガス供給アセンブリ、ガス流、又は基板位置の任意の特定の方向を示唆しない。
【0024】
ある実施形態では、シャトル65が、複数の基板を搬送し得るサセプタである。概して、サセプタは、基板の全域で均一な温度を形成することに役立つ。サセプタ66は、両方向(
図1の配設に対して左から右及び右から左)に、又は(
図2に関して)円周方向に可動である。サセプタは、基板を搬送するための頂面を有し、加熱され得る。一実施例として、サセプタは、サセプタの下方又はサセプタ本体内に配置された、放射熱ランプ90、加熱プレート、抵抗コイル、又は他の加熱デバイスによって加熱されてもよい。
【0025】
図1は、内部に個別のガスポートが示されている、処理チャンバの断面図を示す。本実施形態は、個別のガスポートの幅が、ガス供給プレートの幅全体にわたってほぼ同じである直線的処理システムであるか、又は、個別のガスポートが、パイの形に合わせて幅を変化させるパイ形状のセグメントであるか、の何れかであり得る。
【0026】
複数のウエハが同じ処理の流れを経験するように、これらのウエハを同時に処理するために、複数のガス注入器を有する処理チャンバを使用することができる。例えば、
図2に示すように、処理チャンバ100は、4つのガス供給アセンブリ30及び4つの基板60を有する。処理の開始の際、基板60は、ガス供給アセンブリ30の間に配置されることができる。カルーセルのサセプタ66を45度だけ回転させることにより、結果として、各基板60が、膜堆積のために注入器アセンブリ30の方へ移動することになる。これは、
図2で示されている位置である。更に45度だけ回転させることにより、基板60は、ガス供給アセンブリ30から離れる方向へ移動することになる。空間的ALD注入器を用いることで、ウエハが注入器アセンブリに対して移動している最中に、ウエハ上に膜が堆積される。ある実施形態では、基板60が、ガス供給アセンブリ30の下方で停止しないように、サセプタ66が回転される。基板60及びガス供給アセンブリ30の数は、同一であるか又は異なっていてもよい。ある実施形態では、ガス供給アセンブリと同一の数のウエハが処理される。1以上の実施形態では、処理されるウエハの数が、ガス供給アセンブリの数の整数倍である。例えば、ガス供給アセンブリが4個の場合、4x個のウエハが処理されており、xは1以上の整数値である。
【0027】
図2で示されている処理チャンバ100は、単に1つの可能な構成を表すものであり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。ここでは、処理チャンバ100は、複数のガス供給アセンブリ30を含む。示される実施形態では、処理チャンバ100の周りで4つのガス供給アセンブリ30が、均等に間隔をあけて配置されている。示されている処理チャンバ100は八角形であるが、これは1つの可能な形状であり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことが、当業者には理解されよう。更に、各セグメントは、複数の異なる反応性ガスが同一のセグメントから流れている空間タイプの配設の中にガスを搬送するように構成されるか、又は単一の反応性ガス若しくは反応性ガスの混合物を搬送するように構成されることができる。
【0028】
処理チャンバ100には、円形のサセプタ66又はサセプタアセンブリとして示される、基板支持体装置が含まれる。基板支持装置すなわちサセプタ66は、ガス供給アセンブリ30の各々の下方で、複数の基板60を移動させることが可能である。チャンバ100に対して又はチャンバ100から基板60をローディング/アンローディングすることを可能にするために、処理チャンバ100の側面にロードロック82が連結されていてもよい。
【0029】
処理チャンバ100は、複数のガス供給アセンブリ30のうちの任意の又は各々の間に配置された、複数又は1セットの第1のトリートメントステーション80を含み得る。ある実施形態では、第1のトリートメントステーション80の各々が、同一のトリートメントを基板60に提供する。
【0030】
トリートメントステーションの数、及び異なるタイプのトリートメントステーションの数は、処理に応じて変更することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、又はそれよりも多いトリートメントステーションが、ガス供給アセンブリ30の間に配置され得る。各トリートメントステーションが、他の全てのセットのトリートメントステーションとは異なる処理を独立して提供することができるか、又は同じタイプ及び異なるタイプの処理が混在することができる。ある実施形態では、個別のトリートメントステーションのうちの1以上が、他の個別のトリートメントステーションのうちの1以上とは、異なるトリートメントを提供する。
図2で示される実施形態は、それらの間で幾つかのタイプのトリートメントステーションを含むことができる空間を伴った4つのガス供給アセンブリを示しているが、当業者は、処理チャンバがそれらの間にガスカーテンを伴った8つのガス供給アセンブリと容易に組み合わされ得ることを理解するだろう。
【0031】
トリートメントステーションは、基板、基板上の膜、又はサセプタアセンブリに対して、任意の適切なタイプのトリートメントを提供することができる。例えば、UVランプ、フラッシュランプ、プラズマ源、及びヒータなどである。そのとき、ウエハは、ガス供給アセンブリ30を有する位置の間で、例えば、ウエハにプラズマを供給するシャワーヘッドを有する位置まで移動される。プラズマステーションは、トリートメントステーション80と称されている。1以上の実施例では、各堆積層の後に、プラズマトリートメントを用いて窒化ケイ素膜を形成し得る。ALD反応は、理論的には、表面が飽和している限り自己制御的であることから、堆積ガスへの更なる曝露が膜に対する損傷を引き起こすことはない。
【0032】
カルーセルの回転は、連続的又は非連続的であり得る。連続処理の場合、順に、ウエハが注入器の各々に曝露されるように、ウエハは常に回転している。非連続処理の場合、ウエハを注入器領域へ移動させて停止させることができ、その後、注入器の間の領域84へ移動させて停止させることができる。例えば、カルーセルは、ウエハが注入器間領域から注入器を越えて移動し(又は、注入器に隣接して停止し)、次の注入器間領域へと移動し、そこで基板が再度休止し得るように回転し得る。注入器間での休止により、各層堆積の間に、更なる処理ステップ(例えばプラズマへの曝露)のための時間が提供され得る。
【0033】
ある実施形態では、処理チャンバが、複数のガスカーテン40を備える。各ガスカーテン40は、ガス供給アセンブリ30からの処理ガスの動きがガス供給アセンブリ領域から離れて移動することと、トリートメントステーション80からのガスがトリートメントステーション領域から離れて移動することとを妨げるか又は最小化するための、バリアを生成する。ガスカーテン40は、個別の処理セクションを隣接するセクションから分離できる、任意の適切なガス流及び真空流の組み合わせを含むことができる。ある実施形態では、ガスカーテン40は、パージ(又は不活性)ガス流である。1以上の実施形態では、ガスカーテン40が、処理チャンバからガスを除去する真空流である。ある実施形態では、ガスカーテン40が、順に、パージガス流、真空流、及びパージガス流が存在しているような、パージガス流と真空流の組合せである。1以上の実施形態では、ガスカーテン40は、順に、真空流、パージガス流、及び真空流が存在しているような、真空流とパージガス流の組合せである。
図2に示すガスカーテン40は、各々、ガス供給アセンブリ30とトリートメントステーション80との間に配置されているが、これらのカーテンは、処理経路に沿って任意の1以上のポイントに配置され得ることを理解されたい。
【0034】
図3は、注入器とも称されるガス供給アセンブリ220及びサセプタアセンブリ230を含む、処理チャンバ200の一実施形態を示す。本実施形態では、サセプタアセンブリ230が剛体である。ある実施形態の剛体は、0.05mm未満の下垂許容範囲を有する。アクチュエータ232が、例えば、サセプタアセンブリ230の外径領域における3つの場所に配置され得る。本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用される際に、「外径」及び「内径」という用語は、それぞれ、外縁端及び内縁端に近い領域を指す。外径は、サセプタアセンブリ230の最内端の特定の位置(例えば、シャフト240の近く)ではないが、サセプタアセンブリ230の外端231に近い領域である。これは、
図3において、アクチュエータ232の配置から確認することができる。アクチュエータ232の数は、1つから、利用可能な物理的空間内に適合する任意の数まで変更可能である。ある実施形態は、外径領域231に配置された、2組、3組、4組、又は5組のアクチュエータ232を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際に、「アクチュエータ」という用語は、サセプタアセンブリ230又はサセプタアセンブリ230の一部分を、ガス供給アセンブリ220へ向かって又はこれから離れるように移動させることができる、任意の単一の又は複数の構成要素機構を指すものである。例えば、アクチュエータ232は、サセプタアセンブリ230が、ガス供給アセンブリ220と実質的に平行であることを保証するために使用され得る。この関連で使用される「実質的に平行(substantially parallel)」という用語は、この明細書及び付随する特許請求の範囲において使用される際に、複数の構成要素の平行度が、構成要素間の距離に対して5%を上回って変動しないことを意味する。
【0035】
一旦、アクチュエータ232からサセプタアセンブリ230に圧力が加えられると、サセプタアセンブリ230は水平になり得る。アクチュエータ232によって圧力が加えられる際に、間隙210の距離は、約0.1mmから約2.0mmまでの範囲内、又は0.2mmから約1.8mmまでの範囲内、又は約0.3mmから約1.7mmまで範囲内、又は約0.4mmから約1.6mmでの範囲内、又は約0.5mmから約1.5mmまでの範囲内、又は約0.6mmから約1.4mmまでの範囲内、又は約0.7mmから約1.3mmまでの範囲内、又は約0.8mmから約1.2mmまでの範囲内、又は約0.9mmから約1.1mmまでの範囲内、或いは約1mmになるよう設定され得る。
【0036】
サセプタアセンブリ230は、ガス供給アセンブリ220の下方に配置されている。サセプタアセンブリ230は、頂面241、及び任意選択的に、頂面241内の少なくとも1つの凹部243を有する。凹部243は、処理されているウエハ260の形状及びサイズに応じて、任意の適切な形状及びサイズであり得る。図示した実施形態では、凹部243が、凹部243の外縁端の周囲に段差領域を有する。段差は、ウエハ260の外縁端を支持するようにサイズ決定され得る。段差によって支持される基板260の外縁端の分量は、例えば、ウエハの厚さ、及びウエハの裏側に既にある特徴の存在に応じて、変動し得る。
【0037】
ある実施形態では、
図3に示すように、サセプタアセンブリ230の頂面241内の凹部243は、凹部243内で支持されているウエハ260が、サセプタアセンブリ230の頂面241とほぼ同一平面上にある頂面261を有するようにサイズ決定される。本明細書及び添付された特許請求の範囲で使用される際に、「ほぼ同一平面上」という用語は、ウエハの上面とサセプタアセンブリの上面が、±0.2mm内で同一平面上にあることを意味する。ある実施形態では、該上面が、±0.15mm、±0.10mm、又は±0.05mm内で同一平面上にある。
【0038】
図3のサセプタアセンブリ230は、サセプタアセンブリ230を上昇、下降、及び回転させることが可能な支持ポスト240を含む。サセプタアセンブリ230は、支持ポスト240の中心部内に、ヒータ、又はガスライン、又は電子部品を含み得る。支持ポスト240は、サセプタアセンブリ230とガス供給アセンブリ220との間の間隙を増大又は低減させ、サセプタアセンブリ230を概略位置へと移動させる主たる手段であり得る。その後、アクチュエータ232は、既定の間隙を作り出すため、サセプタアセンブリの位置に関して微調整を行うことができる。
【0039】
図3に示す処理チャンバ100は、その内部でサセプタアセンブリ230が複数のウエハ260を保持できるところの、カルーセル型のチャンバである。ガス供給アセンブリ220は、複数の個別の注入器ユニット221を含み得る。各注入器ユニット221は、ウエハが注入器ユニット221の下方を移動する際に、ウエハ260上に膜又は膜の一部分を堆積させることが可能である。
図4に、カルーセル型の処理チャンバ200の斜視図を示す。サセプタアセンブリ230のほぼ反対側で、サセプタアセンブリ230の上に配置された、2つのパイ形状の注入器ユニット221が示されている。この注入器ユニット221の数は、単なる例としてのみ示す。更に多くの又はより少ない注入器ユニット221が含まれ得ることは理解されるだろう。ある実施形態では、サセプタアセンブリ230の形状に合わせた形を作るために、十分な数のパイ形状注入器ユニット221が存在する。ある実施形態では、個別のパイ形状の注入器ユニット221の各々は、他の任意の注入器ユニット221に影響を与えることなく、個別に移動させ、取り外し、及び/又は交換することができる。例えば、1つのセグメントが持ち上げられて、ロボットが、サセプタアセンブリ230とガス供給アセンブリ220との間の領域にアクセスして、ウエハ260をロード/アンロードすることが可能である。
【0040】
図5は、サセプタアセンブリ230が剛体ではない、本開示の別の1つの実施形態を示す。ある実施形態では、サセプタアセンブリ230は、約0.1mm未満、又は約0.05mm未満、又は約0.025mm未満、又は約0.01mm未満の下垂許容範囲を有する。ここで、サセプタアセンブリ230の外径領域231と内径領域239に配置されたアクチュエータ232が存在する。アクチュエータ232は、サセプタアセンブリ230の内縁及び外縁の周りで、任意の好適な数の場所に位置決めすることができる。ある実施形態では、アクチュエータ232が、外径領域231及び内径領域239の両方の3つの場所に配置される。外径領域231と内径領域239の両方のアクチュエータ232が、サセプタアセンブリ230に圧力を加える。
【0041】
図6は、本開示の1以上の実施形態による、ガス供給アセンブリ220を示している。概して円形のガス供給アセンブリ220の一部分又は一セグメントの前面225が、図示されている。この明細書及び付随する特許請求の範囲において使用する際に、「概して円形(generally circular)」という用語は、構成要素の全体形状が、80度未満の如何なる内角度も有しないことを意味する。したがって、概して円形は、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形などを含む任意の形状を有し得る。概して円形は、形状を円又は完全な多角形に限定するものと考えられるべきではないが、卵形及び不完全な多角形も含み得る。ガス供給アセンブリ220は、前面225に、複数の細長いガスポート125、135、145を含む。ガスポートは、ガス供給アセンブリ220の内径領域239から外径領域231まで延在する。
【0042】
個別のポートの形状又はアスペクト比は、ガス供給アセンブリのセグメントの形状又はアスペクト比に正比例するか、又はそれとは異なり得る。幾つかの実施形態では、個別のポートは、経路272を辿ってガス供給アセンブリ220を通り過ぎるウエハの各箇所が、各ガスポートの下でほぼ同一の滞留時間を有することになるように形作られている。基板の経路は、ガスポートに対して垂直であり得る。ある実施形態では、ガス供給アセンブリの各々は、基板が進む経路に対して実質的に垂直な方向に延在する、複数の細長いガスポートを備える。この明細書及び付随する特許請求の範囲において使用される際に、「実質的に垂直(substantially perpendicular)」という用語は、移動の大まかな方向がガスポートの軸に対してほぼ垂直であることを意味する。パイ形状のガスポートでは、ガスポートの軸は、ポートの幅の中心点がポートの長さに沿って延在するとして画定された線であると見なされ得る。個別のパイ形状のセグメントの各々は、単一の反応性ガス、或いは、空間的に分離されている複数の反応性ガス又は(例えば、典型的なCVDプロセスにおける場合のように)組み合わされた複数の反応性ガスを供給するよう構成され得る。
【0043】
複数のガスポートは、第1の反応性ガスを処理チャンバに供給するための第1の反応性ガスポート125、及び、パージガスを処理チャンバに供給するためのパージガスポート145を含む。
図6に示す実施形態は、第2の反応性ガスを処理チャンバに供給するための第2の反応性ガスポート135も含む。
【0044】
真空ポート155が、第1の反応性ガスポート125及び第2の反応性ガスポート135を、隣接するパージガスポート145から分離する。別の言い方をすると、真空ポートは、第1の反応性ガスポート125とパージガスポート145との間に、及び、第2の反応性ガスポート135とパージガスポート145との間に配置される。真空ポートは、処理チャンバからガスを排気する。
図6に示す実施形態では、真空ポート155の一部分が、第1の反応性ガスポート125と第2反応性ガスポート135の各々の内縁端227及び外縁端228の上にくるように、真空ポート155が反応性ガスポートをぐるりと囲んで延在する。
【0045】
使用される際に、基板は、経路272に沿ってガス供給プレート220の近くを通過する。通過中に、基板は、パージガスポート145、第1の真空ポート1155a、第1の反応性ガスポート125、第2の真空ポート155b、パージガス145、第1の真空ポート155a、第2の反応性ガスポート135、及び第2の真空ポート155bの順番で、チャンバの中へ流れるか又はチャンバから外へ流れるかのうちの何れかのガス流と遭遇する。第1の真空ポート155a及び第2の真空ポート155bは、単一の真空ポート155として連結されているように示されている。
【0046】
図7は、本開示の1以上の実施形態による、空間的原子層堆積チャンバの概略を示す。見られ得るように、チャンバのポンピングための1つのポンプ、及び注入器(ガス供給アセンブリ)のポンピングのための2つの他のポンプが存在する。更に、1つの不活性パージガスがチャンバ容積へ入り、幾つかの異なるガス(不活性ガス及び反応性化学物質)がガス供給アセンブリへ入る。
【0047】
チャンバパージ205は、不活性ガスをチャンバの中へ流し、サセプタアセンブリとガス供給アセンブリとの間に配置された反応領域の外側のチャンバ空間を加圧する。チャンバスロットルバルブが、チャンバの圧力を制御するために使用される。チャンバ内の圧力はゲージ206によって測定され得る。
【0048】
化学物質前駆体A及びBは、注入器(ガス供給アセンブリ)内の独立した化学物質チャネルを通って、チャンバの中へ流れる。各化学物質チャネルは、真空ポンピングチャネルによって囲まれている。不活性ガスパージカーテンは、化学物質チャネルの間に配置され、反応性ガスの分離を維持する。
【0049】
ポンピングチャネルA及びBのためのスロットルバルブ制御は、フォアライン(foreline)圧力制御を使用し、それは、スロットルバルブが、スロットルバルブの下流における圧力設定点に到達するように角度を調整することを意味し得る。これは、スロットルバルブの上流の圧力が制御される、通常の圧力制御の逆である。A及びBポンピングラインのための下流/フォアライン圧力制御は、各ポンピングチャネルからポンプアウトされるガスの量が、そのチャネルの中へ流れるガスの量と等しく、且つ、不活性分離ガスの部分を含み得ることを保証するのに役立ち得る。全体として、ガス供給アセンブリを通ってチャンバ内を流れるガスの量は、ポンプA及びBによってチャンバからポンプアウトされるはずである。
【0050】
フォアライン圧力測定値とポンプの中へ流れる実際のガスとの間の典型的な関係は、基本的に直線的である。これは、質量保存の法則に一致する。理論的に、ポンプへのガススループット(Q、TorrL/s)は、ポンプフォアライン圧力(P、torr)と直線的な関係を有し、その傾斜は、ポンピング速度(C、L/S)である。ここで、Q=C×Pである。実際には、真空ポンプ速度、ガス核種、フォアライン圧力計の物理的な位置、及びフォアライン圧力計によって検出される実際のガス温度などに応じて、曲線となる。本開示の1以上の実施形態は、有利なことに、一貫したガス圧力制御を提供する。ある実施形態では、処理システムが、異なるチャンバ条件に対するデータ曲線を自動的にモニターし、ガスの実際の流れに基づいてフォアライン圧力を制御する。有利なことに、1以上の実施形態は、フォアライン圧力の制御を提供し、処理チャンバの処理領域内のガス圧力を操作する。有利なことに、本開示の1以上の実施形態は、ガス流の制御を提供し、気相反応を最小化する。
【0051】
未だ
図7を参照すると、本開示の1以上の実施形態は、チャンバ容積202を画定する壁201を有する処理チャンバ200を対象とする。
図7で示されている実施形態は、
図4で示されたものなどの、概して円形の処理システムの概略的な表現である。処理チャンバ200は、サセプタアセンブリ230及びガス供給アセンブリ220を含む。少なくとも1つの第1の処理領域321及び少なくとも1つの第2の処理領域322が存在する。
図7で示されるように、第1の処理領域321は、Aと指定された第1の処理ガスに関連付けられ、第2の処理領域322は、Bと指定された第2の処理ガスに関連付けられる。これは、単に例示的な1つの可能な配設であり、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきでないことを、当業者は理解するだろう。第1の処理領域321と第2の処理領域322の各々は、ガス供給アセンブリ220とサセプタアセンブリ230との間に配置される。第1の処理領域321と第2の処理領域322の各々は、ガスカーテン327によって分離されている。ガスカーテンは、第1の処理ガスAと第2の処理ガスBの混合を妨げ又は最小化する、ガスと真空との任意の適切な組み合わせであり得る。
【0052】
チャンバ排気システム340は、チャンバ容積202と流体連通している。チャンバ排気システム340は、チャンバ容積内で低減された圧力状態を維持する。チャンバ容積202内の圧力は、第1の処理領域321と第2の処理領域322内の圧力と同じであり又は異なり得る。チャンバ排気システム340は、処理チャンバ200の下流に配置されたチャンバ排気スロットルバルブ341を含む。本明細書で使用される際に、「上流」及び「下流」という用語は、処理チャンバの内装からの排気ガス流の流れに従った相対的な方向を指す。チャンバ排気スロットルバルブ341の下流は、真空源399である。真空源399は、ハウスバキューム(house vacuum)又は個別の真空ポンプを含む、任意の適切な真空源であり得るが、それらに限定されるものではない。
【0053】
処理チャンバは、少なくとも1つの第1の処理領域321と流体連通する第1の排気システム350を含む。
図7で示されている第1の排気システム350は、第1の処理ガスAポート125の何れかの側に延在する真空ポート155を含む。
図6で示されたように、真空ポートは、処理ガスAポート125の4つの側部の全ての周りで延在し得る。第1の排気システム350は、第1のスロットルバルブ351及び第1の圧力計352を備える。
図7で示されている実施形態は、第1のスロットルバルブ351の下流に配置された第1の圧力計352を有するが、これは可能な配設の1つの表現に過ぎない。第1の排気システム350は、真空源399と同じであり又は異なり得る、適切な真空源に連結されている。
【0054】
処理チャンバ200は、少なくとも1つの第2の処理領域322と流体連通する第2の排気システム360を含む。
図7で示されている第2の排気システム360は、第2の処理ガスBポート135の何れかの側に延在する真空ポート155を含む。
図6で示されたように、真空ポートは、処理ガスBポート135の4つの側部の全ての周りで延在し得る。第2の排気システム360は、第2のスロットルバルブ361及び第2の圧力計362を備える。
図7で示されている実施形態は、第2のスロットルバルブ361の下流に配置された第2の圧力計362を有するが、これは可能な配設の1つの表現に過ぎない。第2の排気システム360は、真空源399と同じであり又は異なり得る、適切な真空源に連結されている。
【0055】
コントローラ390は、第1の排気システム350及び第2の排気システム360と通信する。コントローラ390は、第1の圧力計352からの信号に応答して、第1のスロットルバルブ351を制御し、第2の圧力計362からの信号に応答して、第2のスロットルバルブ361を制御することができる。ある実施形態では、コントローラ390が、圧力計からの測定値に応じて、スロットルバルブを開/閉することにより、第1の処理領域321と第2の処理領域322内のガスの分離を維持する。コントローラ390は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアのうちの1以上を備えた、任意の適切なコントローラであり得る。ある実施形態では、コントローラ390が、中央処理装置、メモリ、ストレージ、及び/又は処理チャンバに関連付けられた物理的な構成要素と通信するように構成された回路を有する、コンピュータを含む。例えば、コンピュータは、非限定的に、ガス圧力、流量、及び圧力差許容値を含む、処理パラメータをユーザが入力することを可能にする、コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読指示命令を含み得る。
【0056】
図8Aは、
図7の処理チャンバの概略的な表現を示す。第1の処理ガスAと第2の処理ガスBは、概略的に、ガスポート125、135の境界を示す四角形によって表されている。真空ポート155も、ガスポート125、135の各々の周りで示されている四角形として表されている。この概略的な表現は、単なる例示に過ぎず、ガスポート又は真空ポートの形状又は幅を示唆する又は限定するものと考えられるべきではない。
図8Aで示される実施形態は、第1のスロットルバルブ351の下流に配置された第1の圧力計352及び第2のスロットルバルブ361の下流に配置された第2の圧力計362を有する。示されていないが、
図7のものなどのコントローラも含まれ得ることは理解されるだろう。
【0057】
図7及び
図8Aで示された実施形態では、コントローラ390が、スロットルバルブ351、361の下流の排気ラインにおける圧力をモニターする。排気ラインにおける圧力が低過ぎるならば、処理領域における圧力が高過ぎ、コントローラは、適切なスロットルバルブを更に開くことをもたらす。排気ラインにおける圧力が高過ぎるならば、処理領域における圧力が低過ぎ、コントローラは、適切なスロットルバルブを部分的に閉じる。コントローラ390は、スロットルバルブを完全に閉じて、チャンバ容積202を孤立させることもあり得る。
【0058】
図8Bで示される実施形態は、第1のスロットルバルブ351の上流に配置された第1の圧力計352及び第2のスロットルバルブ361の上流に配置された第2の圧力計362を有する。
図8Bで示される実施形態では、コントローラが、スロットルバルブの上流の排気ラインにおける圧力をモニターする。ここでは、圧力計が、スロットルバルブの処理チャンバ側に配置されている。排気ラインにおける圧力が低過ぎるならば、処理領域における圧力が低過ぎ、コントローラは、適切なスロットルバルブを閉じた位置へ向けて動かすことをもたらす。排気ラインにおける圧力が高過ぎるならば、処理領域における圧力が高過ぎ、コントローラは、適切なスロットルバルブを更に開くことをもたらす。
【0059】
採用される圧力計は、任意の適切な圧力計であり得る。ある実施形態では、圧力計が、完全な真空又は処理チャンバの外側の状態を基準にした絶対圧力ゲージである。ある実施形態では、差圧計が使用される。差圧計は、2つのポイントの間の圧力における差異を測定する。
【0060】
ある実施形態では、圧力計が、コントローラの上流にあり、コントローラが、第1の圧力計に対する第2の圧力計によって測定された圧力における差異を決定する。1以上の実施形態では、
図8Cで示されるように、第1の圧力計が絶対圧力ゲージであり、第2の圧力計が、第1の排気システムにおける圧力に対する圧力を測定する差圧計である。
【0061】
ある実施形態では、第1の圧力領域321と第2の圧力領域322との間の絶対圧力差が約5torrまでであるように、コントローラ390が、処理領域内のガス流を調整する。ある実施形態では、差圧であれ絶対圧であれ、圧力の間の差異が約5torr、4torr、3torr、又は2torr以下であるように、コントローラ390が、処理領域の1以上の中のガス流を調整するように構成される。
【0062】
図9は、処理チャンバ200の別の1つの実施形態を示す。処理チャンバ200は、第1の処理ガスAポートに隣接する第1の処理領域321、第2の処理ガスBポートに隣接する第2の処理領域322、第3の処理ガスCポートに隣接する第3の処理領域323、及び第4の処理ガスDポートに隣接する第4の処理領域324を含む。処理領域は、それぞれのガスポートに隣接していると説明されたが、処理領域は、ガス供給アセンブリとサセプタアセンブリとの間に存在すると理解されるだろう。少なくとも1つの第1の処理領域321、少なくとも1つの第2の処理領域322、少なくとも1つの第3の処理領域323、及び少なくとも1つの第4の処理領域324の各々は、ガスカーテン325によって分離されている。
【0063】
第3の排気システム370は、少なくとも1つの第3の処理領域323と流体連通している。第3の排気システム370は、第3のスロットルバルブ371及び第3の圧力計372を備える。第4の排気システム380は、少なくとも1つの第4の処理領域324と流体連通している。第4の排気システム380は、第4のスロットルバルブ381及び第4の圧力計382を含む。
【0064】
(図示せぬ)コントローラは、第1の排気システム350、第2の排気システム360、第3の排気システム370、及び第4の排気システム380と通信し、第1の圧力計352、第2の圧力計362、第3の圧力計372、及び第4の圧力計382からの信号に応答して、スロットルバルブ351、361、371、381を制御する。
【0065】
図9で示されている実施形態では、第1の圧力計352が第1のスロットルバルブ351の下流にあり、第2の圧力計362が第2のスロットルバルブ361の下流にあり、第3の圧力計372が第3のスロットルバルブ371の下流にあり、且つ、第4の圧力計382が第4のスロットルバルブ381の下流にある。
図10で示されている実施形態では、第1の圧力計352が第1のスロットルバルブ351の上流にあり、第2の圧力計362が第2のスロットルバルブ361の上流にあり、第3の圧力計372が第3のスロットルバルブ371の上流にあり、且つ、第4の圧力計382が第4のスロットルバルブ381の上流にある。
【0066】
ある実施形態では、第1の圧力計352、第2の圧力計362、第3の圧力計372、及び第4の圧力計382の各々が、絶対圧力ゲージである。1以上の実施形態では、コントローラ390が、第1の圧力計352に対する、第2の圧力計362、第3の圧力計372、又は第4の圧力計382のうちの1以上によって測定された圧力における差異を決定する。
【0067】
図11は、本開示の別の一実施形態を示す。ここで、第1の圧力計352は、第1のスロットルバルブ351の上流に配置された絶対圧力ゲージであり、第2の圧力計362、第3の圧力計372、及び第4の圧力計382の各々は、第1の圧力計に対する圧力差を測定する差圧計である。
【0068】
図12は、本開示の別の一実施形態を示す。第1の圧力計352は、第1のスロットルバルブ351の下流に配置された絶対圧力ゲージであり、第2の圧力計362は、第2のスロットルバルブ361の下流に配置された絶対圧力ゲージである。第3の圧力計372は、第1の圧力計352に対する圧力差を測定する差圧計である。第4の圧力計382は、第2の圧力計362に対する圧力差を測定する差圧計である。この種の実施形態は、第1の処理ガスと第3の処理ガスが同じであり、第2の処理ガスと第4の処理ガスが同じである場合に使用され得るが、必ずしもそうとは限らない。
【0069】
ある実施形態のコントローラ390は、処理領域の各々に対して、且つ、処理容積に対して、スロットルバルブの全てを制御する。ある実施形態では、4つの異なる処理領域(すなわち、4つの異なる処理状態)が存在し、コントローラ390は、ガスカーテンによって各領域が隣接する領域から孤立するように、全ての4つの処理領域と処理チャンバ容積内の圧力を維持する。
【0070】
圧力計の位置は、スロットルバルブの前(上流)又は後(下流)に変更することができる。ある実施形態では、圧力計がスロットルバルブの前であるときに、圧力計が、できるだけ処理領域の近くに配置される。
【0071】
既定の厚さの膜を成長させるため、第1の処理状態と第2の処理状態への曝露が順次反復され得る。例えば、基板が処理チャンバの中心軸の周りを回転することによって、表面が順次且つ反復的に第1の処理状態と第2の処理状態に曝露され、それぞれの曝露によって(堆積の)膜の厚さが成長するように、バッチ処理チャンバは、第1の処理状態を持つ2つのセクションと、第2の処理状態を持つ2つのセクションとを交互のパターンで含み得る。
【0072】
ある実施形態において、1以上の層は、プラズマ増強原子層堆積(PEALD)プロセスの間に形成され得る。プラズマの使用によって、表面反応が好適で且つ起こり得るようになる励起状態へと核種を昇位させるために十分なエネルギーが供給され得る。プロセス内へのプラズマの導入は、連続的又はパルス状であり得る。ある実施形態において、前駆体(又は反応性ガス)及びプラズマの連続パルスが、層を処理するために用いられる。ある実施形態において、試薬が、局所的(即ち、処理領域内)又は遠隔的(すなわち、処理領域外)の何れかでイオン化され得る。ある実施形態において、イオン又は他のエネルギーを有する若しくは発光する核種が、堆積膜と直接接触しないように、遠隔イオン化が、堆積チャンバの上流で起こり得る。あるPEALDプロセスでは、プラズマが、遠隔プラズマ発生装置システムによるなど、処理チャンバの外側で生成される。プラズマは、当業者には既知の、任意の適切なプラズマ生成のプロセス又は技術を介して生成され得る。例えば、プラズマは、マイクロ波(MW)発振器又は高周波(RF)発振器のうちの1以上によって生成され得る。プラズマの周波数は、使用される特定の反応性核種に応じて調整され得る。適切な周波数は、限定されないが、2MHz、13.56MHz、40MHz、60MHz、及び100MHzを含む。本明細書で開示されている堆積プロセスの間にプラズマを使用してもよいが、プラズマが必要では場合があることに留意すべきである。実際、他の実施形態は、プラズマなしの非常に穏やかな条件下での堆積プロセスに関する。
【0073】
1以上の実施形態によれば、基板は、層を形成する前及び/又は後に処理を受ける。この処理は、同一のチャンバ内で又は1以上の個別の処理チャンバ内で行なわれ得る。ある実施形態では、基板が、更なる処理のために、第1のチャンバから別の第2のチャンバへ移動される。基板は第1チャンバから別の処理チャンバに直接移動され得るか、又は、基板は、第1チャンバから1以上の移送チャンバに移動され、次いで、別の既定の処理チャンバへ移動され得る。従って、処理装置は、移送ステーションと連通した複数のチャンバを備え得る。この種の装置は、「クラスタツール」又は「クラスタシステム」などと称され得る。
【0074】
概して、クラスタツールは、基板の中心測定及び配向、ガス抜き、アニール、堆積、及び/又はエッチングを含む、様々な機能を実行する複数のチャンバを備えたモジュール式のシステムである。1以上の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバと中央移送チャンバを含む。中央移送チャンバは、複数の処理チャンバ及び複数のロードロックチャンバの間で基板を往復搬送することができるロボットを収納し得る。移送チャンバは、通常、真空状態に維持され、1つのチャンバから別のチャンバへ、及び/又はクラスタツールの前端に置かれたロードロックチャンバへ、基板を往復搬送するための中間段階を提供する。本開示に対して適合され得る2つのよく知られたクラスタツールは、両方とも、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から購入することが可能な、Centura(登録商標)とEndura(登録商標)である。しかし、チャンバの正確な配置及び組み合わせは、本明細書で説明されたプロセスの具体的なステップを実行するという目的のために変形され得る。使用可能な他の処理チャンバは、限定されないが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチ、予洗浄、化学洗浄、RTPなどの熱処理、プラズマ窒化、ガス抜き、配向、ヒドロキシル化、及びその他の基板処理を含み得る。クラスタツールのチャンバ内で処理を実行することにより、その次の膜を堆積させる前に酸化することなく、空気中の不純物による基板の表面汚染を回避することができる。
【0075】
1以上の実施形態によれば、基板は、連続的に真空又は「ロードロック」条件下にあり、1つのチャンバから次のチャンバへ移動されるときに、周囲空気に曝露されない。移送チャンバは、このように真空下にあり、真空圧力下で「ポンプダウン」される。不活性ガスが、処理チャンバまたは移送チャンバ内に存在し得る。ある実施形態では、基板の表面上に層が形成された後に、反応物の一部又は全部を除去するために、不活性ガスがパージガスとして使用される。1以上の実施形態によれば、反応物が堆積チャンバから移送チャンバ及び/又は処理チャンバへ移動するのを防止するために、堆積チャンバの出口でパージガスが注入される。こうして、不活性ガスの流れが、チャンバの出口でカーテンを生成する。
【0076】
処理の間、基板は加熱又は冷却され得る。こうした加熱または冷却は、限定するものではないが、基板支持体(例えばサセプタ)の温度を変化させること、及び基板表面へ加熱された又は冷却されたガスを流すことを含む、任意の適切な手段により、達成することができる。ある実施形態では、基板支持体が、伝導的に基板温度を変化させるように制御することができるヒータ/クーラを含む。1以上の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるために、使用されるガス(反応性ガスまたは不活性ガスの何れか)が加熱又は冷却される。ある実施形態では、基板温度を対流によって変化させるために、ヒータ/クーラが、チャンバ内部で基板表面に隣接するように配置される。
【0077】
基板は、処理の間に、静止又は回転させることもできる。回転する基板は、連続的にまたは不連続なステップで、回転させることができる。例えば、基板は、処理全体を通して、回転させてもよいし、又は、基板は、様々な反応性ガス又はパージガスへの曝露の間に、少量ずつ回転させることができる。処理の間、基板を(連続的又は段階的のいずれかで)回転させることは、例えば、ガス流の形状寸法における局所的な変動性の影響を最小限に抑えることにより、より均一な堆積又はエッチングを生成する助けとなり得る。
【0078】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の及び更なる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。