(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20230906BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20230906BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230906BHJP
【FI】
H01L33/58
F21S41/151
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2019177206
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真樹
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102614(JP,A)
【文献】特開2014-143300(JP,A)
【文献】特開2019-096675(JP,A)
【文献】特開2016-072471(JP,A)
【文献】特開2019-186513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に発光素子を実装する実装工程と、
開口部を有する遮光フレームをシートに載置する遮光フレーム載置工程と、
前記遮光フレーム上に光反射性樹脂を塗布する光反射性樹脂塗布工程と、
側面に鍔部を備えた板状の透光性部材を、前記透光性部材と前記開口部との間に空間が形成される位置で前記透光性部材の上面が前記シートと対向するように前記鍔部を前記塗布した光反射性樹脂と接触させた後押圧して且つ前記空間に前記光反射性樹脂を流入させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により支持された導光支持部材を作製する導光支持部材形成工程と、
前記実装した発光素子の上面と前記透光性部材の下面とを接合して前記発光素子上に前記導光支持部材を固定する導光支持部材接合工程と、
を含み、
前記透光性部材は前記鍔部の厚さが漸次異なる、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記鍔部の周縁に向かって該鍔部の厚さが漸次小さくなる、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記空間への前記光反射性樹脂の流入に際しては、前記漸次異なる厚さの前記鍔部によって前記光反射性樹脂に含まれるボイドが移動する、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
上方から平面視したときに前記鍔部の延伸方向と直交する方向において、前記鍔部の厚さが該鍔部の周縁に向かって漸次小さくなる、請求項1~3のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記鍔部の厚さが最大となる最厚部分が、上方から平面視したときに前記鍔部の延伸方向と直交する方向における該鍔部の中央領域に設けられている、請求項1~4のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記最厚部分が前記鍔部の延伸方向に沿って延在している、請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
上方から平面視したときに前記鍔部の延伸方向と直交する方向において、前記鍔部の厚さが前記最厚部分から漸次小さくなる、請求項5または6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記鍔部の延伸方向において、前記鍔部の周縁に向かって該鍔部の厚さが漸次小さくなる、請求項1~3のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
前記発光素子の発光面に対向するように設けられた透光性部材と、
前記透光性部材の側面に設けられた第1光反射性部材と、
前記透光性部材の周りにおいて前記第1光反射性部材と接して設けられた遮光フレームと、
を備え、
前記透光性部材は側面に鍔部を備え、該鍔部の厚さが漸次異なっ
ており、
上方から平面視したときに前記鍔部の延伸方向と直交する方向において、前記鍔部の厚さが該鍔部の周縁に向かって漸次小さくなる、発光装置。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
前記発光素子の発光面に対向するように設けられた透光性部材と、
前記透光性部材の側面に設けられた第1光反射性部材と、
前記透光性部材の周りにおいて前記第1光反射性部材と接して設けられた遮光フレームと、
を備え、
前記透光性部材は側面に鍔部を備え、該鍔部の厚さが漸次異なっ
ており、
前記鍔部の厚さが最大となる最厚部分が、上方から平面視したときに前記鍔部の延伸方向と直交する方向における該鍔部の中央領域に設けられている、発光装置。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
前記発光素子の発光面に対向するように設けられた透光性部材と、
前記透光性部材の側面に設けられた第1光反射性部材と、
前記透光性部材の周りにおいて前記第1光反射性部材と接して設けられた遮光フレームと、
を備え、
前記透光性部材は側面に鍔部を備え、該鍔部の厚さが漸次異なっ
ており、
前記鍔部の延伸方向において、前記鍔部の周縁に向かって該鍔部の厚さが漸次小さくなっており、前記漸次異なる厚さの領域が前記鍔部の延伸方向に漸次狭くなる、発光装置。
【請求項12】
前記透光性部材上面が平面視形状として四角形を有しており、該四角形の対向する辺において対を成すように前記鍔部が設けられている、請求項
9~
11のいずれかに記載の発光装置。
【請求項13】
前記透光性部材は、前記鍔部に起因して上面と該上面の反対側の下面との大きさが互いに異なっている、請求項9~
12のいずれかに記載の発光装置。
【請求項14】
前記最厚部分が前記鍔部の延伸方向に沿って延在している、請求項
10に記載の発光装置。
【請求項15】
上方から平面視したときに前記鍔部の延伸方向と直交する方向において、前記鍔部の厚さが前記最厚部分から漸次小さくなる、請求項
10または
14に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用途等の光源としてLED等の発光素子を用いて構成した高出力の発光装置が用いられるようになってきている。例えば、特許文献1には、車載用の光源として用いられる高出力の発光装置において、発光素子の発光面の周縁部を覆うように放熱層を形成して、放熱効果を高めた発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできる発光装置を提供することを目的とする。さらに、本発明の実施形態は、このような発光装置を簡易に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る一実施形態の発光装置は、
基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
前記発光素子の発光面に対向するように設けられた透光性部材と、
前記透光性部材の側面に設けられた第1光反射性部材と、
前記透光性部材の周りにおいて前記第1光反射性部材と接して設けられた遮光フレームと、
を備え、
前記透光性部材は側面に鍔部を備え、該鍔部の厚さが漸次異なっている。
【0006】
また、本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法は、
基板上に発光素子を実装する実装工程と、
開口部を有する遮光フレームをシートに載置する遮光フレーム載置工程と、
前記遮光フレーム上に光反射性樹脂を塗布する光反射性樹脂塗布工程と、
側面に鍔部を備えた板状の透光性部材を、前記透光性部材と前記開口部との間に空間が形成される位置で前記透光性部材の上面が前記シートと対向するように前記鍔部を前記塗布した光反射性樹脂と接触させた後押圧して且つ前記空間に前記光反射性樹脂を流入させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により支持された導光支持部材を作製する導光支持部材形成工程と、
前記実装した発光素子の上面と前記透光性部材の下面とを接合して前記発光素子上に前記導光支持部材を固定する導光支持部材接合工程と、
を含み、
前記透光性部材は前記鍔部の厚さが漸次異なる。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された本発明に係る一実施形態の発光装置は、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできる。また、本発明に係る一実施形態の製造方法によれば、このような発光装置を簡易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る発光装置の平面図の一例である。
【
図2】
図2(A)は、実施形態に係る発光装置の
図1に示すIII-IIIに沿って切断したときの断面図の一例であり、
図2(B)は、実施形態に係る発光装置の
図1に示すIV-IVに沿って切断したときの断面図の一例である。
【
図3】
図3は、透光性部材(第一実施形態)の模式的斜視図を示す。
【
図4】
図4は、
図3に示す透光性部材の平面図及び側面図を示す。
【
図5】
図5(A)~(B)は、実装工程を示す模式的断面図である。
【
図6】
図6(A)~(E)は、遮光フレーム載置工程、光反射性樹脂塗布工程、及び導光支持部材形成工程を示す模式的断面図である。
【
図7】
図7(A)~(B)は、導光支持部材接合工程、及び第2光反射性部材形成工程を示す模式的断面図である。
【
図8】
図8は、透光性部材(第二実施形態)の模式的斜視図を示す。
【
図9】
図9は、
図8に示す透光性部材の平面図及び側面図を示す。
【
図10】
図10は、ボイド移動を説明するための模式図である。
【
図11】
図11(a)~(d)は、導光支持部材形成工程におけるボイド抑制を説明するための模式な経時変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態の発光装置の製造方法では、まず、発光素子が実装された基板と、遮光フレーム及び透光性部材が第1光反射性部材で支持された導光支持部材とを準備する。
導光支持部材の準備では、開口部を有する遮光フレームをシートに載置し、透光性部材と遮光フレームの開口部との間に空間が設けられるように、その開口部内に透光性部材を載置する。透光性部材の載置に際しては、その鍔部でもって、遮光フレームに設けた光反射性樹脂に対して押圧作用を及ぼし、透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間に光反射性樹脂を流入させる。
このようにして準備した導光支持部材は、基板に実装された発光素子上に固定され、その後、発光素子を囲む第2光反射性部材を形成する。
このような方法であれば、複数の発光装置を製造する際、複数の単位領域を含む発光素子が実装された基板を準備し、基板の各単位領域に遮光フレーム及び透光性部材が第1光反射性部材で支持された状態の導光支持部材をそれぞれ載置することができるため、より効率よく簡易に発光装置を製造することが可能となる。
このような方法で得られた発光装置は、平面視において、発光装置の光出射面である透光性部材の第1面と遮光フレームとの間に第1光反射性部材が介在する。光出射面の内側と外側との輝度差を大きくするための部材である遮光フレームは、光を吸収する性質を有するため、透光性部材と遮光フレームが直接接すると、発光装置の光の取りだし効率の低下を引き起こす虞がある。そこで、本実施形態の発光装置では、かかる光の取りだし効率の低下を「透光性部材と遮光フレームとの間に介在する第1光反射性部材」によって抑制している。これにより、出射面の内側と外側での輝度の差が大きく、かつ、光の取りだし効率の低下が抑制された好適な光学特性を有する発光装置が得られる。
さらに、本発明に係る実施形態の製造方法は、厚さが漸次異なる鍔部を備えた透光性部材を用いるところ、そのような透光性部材の使用によって、透光性部材と遮光フレームとの間の第1光反射性部材の領域にボイド(気泡)の残存を無くす又は抑制することができる。
【0010】
以下、本発明に係る実施形態の製造方法、及び該製造方法により得られる発光装置(以下では「実施形態の発光装置」とも称する)について図面を参照しながら説明する。但し、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。以下の説明において参照する図面は、本発明に係る実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔及び位置関係等が誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。
【0011】
≪実施形態の発光装置≫
実施形態の発光装置は、発光素子と透光性部材と遮光フレームとを少なくとも備えている。
図1ならびに
図2(A)及び
図2(B)に示すように、発光装置は、基板10と基板10上に設けられた発光素子1と、発光素子1の発光面に対向するように設けられた透光性部材3と、透光性部材3の側面に設けられた第1光反射性部材9aと、透光性部材3の周りにおいて第1光反射性部材9aと接して設けられた遮光フレーム5とを備えている。
【0012】
より具体的には、発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた発光素子1と、下面3bが発光素子1の発光面に対向するように設けられた板状の透光性部材3とを含み、さらに発光装置の光出射面を構成する透光性部材3の上面3aを露出させて、遮光フレーム5と透光性部材3の側面の少なくとも一部とを結合するように第1光反射性部材9aが設けられており、第1光反射性部材9aと基板10との間に、発光素子1の側面を覆うような第2光反射性部材9bが設けられている。以下、第1光反射性部材9aと第2光反射性部材9bとを合わせて「光反射性部材9」と呼ぶことがある。
【0013】
実施形態の発光装置では、遮光フレーム5の開口部5aに透光性部材3が位置付けられている。具体的には、透光性部材3の周りの第1光反射性部材9aを介して、遮光フレーム5が、その開口部5aに透光性部材3の上面3aが位置するように設けられている。図示するように、透光性部材3の上面3aは第1光反射性部材9a及び遮光フレーム5から露出している。また、透光性部材3の上面3aは、遮光フレーム5の上面と実質的に同じ高さに位置していてよい(つまり互いに面一となっていてよい)。
【0014】
実施形態の発光装置では、上方から(つまり発光装置の光出射面側から)平面視したときに、開口部5aの内周が発光装置の光出射面を構成する透光性部材3の上面3aの外周から離れて位置し、遮光フレーム5の開口部5aの内周と透光性部材3の上面3aの外周との間に第1光反射性部材9aが露出している。つまり、遮光フレーム5の枠部分と透光性部材3の上面3aとは第1光反射性部材9aを介して互いに離隔しているといえる。このようにして、発光装置の上面において透光性部材3と遮光フレーム5とを第1光反射性部材9aの表面を介在させることにより離隔させ、かつ透光性部材3の側面と遮光フレーム5とを第1光反射性部材9aを介在させることにより離隔させている。
【0015】
このように構成された実施形態の発光装置は、光出射面とその光出射面を取り囲む領域における輝度差を大きくでき、かつ発光素子が発光した光を効率よく取り出すことができる。
実施形態の発光装置において、開口部5aの内周と上面3aの外周との間隔は、光出射面の上面3aの内側と外側における輝度差を大きくすることと発光素子が発光した光を効率よく取り出すこととを両立させるために、5μm以上150μm以下であってよく、例えば40μm以上60μm以下であってよい。
【0016】
ここで、実施形態の発光装置では、透光性部材は、側面に鍔部を備えており、その鍔部の厚さが漸次異なっている。つまり、透光性部材は、外側に向かって延伸する鍔部を有するところ、その鍔部が漸次異なる厚さを有している。
【0017】
図3及び
図4に、実施形態において用いられる透光性部材3の一例を示す。透光性部材3は、発光素子1から出射される光を透過して外部に放出する部材である。実施形態に係る発光装置に設けられている透光性部材3は、鍔部30を有している。鍔部30は、図示されるように、透光性部材3の側面において外側へと突き出るような延伸形態を有する。
【0018】
実施形態の発光装置において、透光性部材3の鍔部30は、その厚さが漸次異なる形状を有している。つまり、鍔部30は、その厚み寸法が一定となっておらず、漸次変化する部分を有する。厚さが漸次異なる鍔部30は発光装置の製造時においてボイド残存の抑制に資する。具体的には、厚さが漸次異なる鍔部30を備えた透光性部材3は、導光支持部材の形成に際してボイド残存を無くす又は減じる作用を奏する。特に、厚さが漸次異なる鍔部を備えた透光性部材3によって、透光性部材3と遮光フレーム5との間の第1光反射性部材9aの領域にボイド(気泡)の残存が無い又は抑制された発光装置が得られる(かかるボイド残存の抑制の詳細は、「実施形態の発光装置の製造方法」で後述する)。このようなボイド残存が仮に存在すると、透光性部材と遮光フレームとの間に介在する第1光反射性部材によってもたらされる「光の取りだし効率の低下抑制」が減じられてしまう虞がある。また、ボイド残存は、発光装置の構成要素同士の接合強度を低下させる虞もある。より具体的には、透光性部材3と遮光フレーム5との間の第1光反射性部材9aの領域におけるボイドは、第1光反射性部材9aと透光性部材3との接合強度および/または第1光反射性部材9aと遮光フレーム5との接合強度の低下につながりる。実施形態の発光装置は、厚さが漸次異なる鍔部30を備えた透光性部材3を構成要件として有しており、そのような光の取りだし効率および/または接合強度に悪影響を及ぼす虞のあるボイド残存が抑制されたものとなっている。
【0019】
透光性部材3の鍔部30は、その外側に向かって厚さが漸次変化していてよい。特に、透光性部材3では、鍔部30の周縁に向かって鍔部の厚さが漸次小さくなっていることが好ましい。
図3に示すように、透光性部材の鍔部30は、周縁へと向かうにつれ鍔部30の厚さが次第に小さくなるように形成されている。これは、発光装置のボイド残存が抑制されたものとなることに関係する。具体的には、導光支持部材形成工程で透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間に光反射性樹脂が流入するに際して、鍔部30の周縁に向かって厚さが漸次小さい鍔部は上記流入時のボイドをより外側へと押し出すように移動させ易くする作用を有し、結果としてボイド残存がより抑制された発光装置がもたらされる。
【0020】
実施形態の発光装置において、透光性部材3は、全体として板状となっている。
図3及び
図4に示されるように、透光性部材3は平板形状を有している。明細書において「板状」とは、広義には、全体的な外観が平板状になっていることを意味しており、狭義には、厚み寸法よりも幅寸法(互いに直交する一方の幅寸法および/または他方の幅寸法)が相当程度大きくなっている形状を意味している。相当程度とは、例えば透光性部材の主面(すなわち、上面または下面)における互いに直交する一方の幅寸法および/または他方の幅寸法が、透光性部材の厚み寸法の2倍以上(例えば5倍以上)となる条件を満たす。これらの条件に限らず、当業者が板状と捉えることのできる実態的な形状を含む。また、“板状”といった用語は、柔軟に解釈されるものであり、透光性部材の隅に角丸め、面取り、角取り、及び/又は丸取り等の加工が行われた形状も板状の概念に含まれる。
【0021】
実施形態の発光装置では、そのような板状の透光性部材が、側面に鍔部を備えており、かかる鍔部においてその周縁に向かって厚さを漸次変化させることでもたらされる勾配部分(すなわち、勾配面を有する部分)が設けられている。
【0022】
透光性部材の平面視形状は四角形となっていてよい。より具体的には、透光性部材上面が平面視形状として四角形を有していてよい。換言すれば、上方から平面視したときに、透光性部材が四角形状を有していてよい。ここでいう「四角形」とは、略四角形を意味しており、それゆえ正方形、矩形(長方形)、平行四辺形および台形などを含め広く解釈される。例えば1つの透光性部材に対して複数の発光素子1が設けられる場合、透光性部材3は、その複数の発光素子1の全てに及ぶような四角形状およびサイズを有していてよい。
【0023】
透光性部材上面が四角形を有する場合、その四角形の対向する辺において対を成すように鍔部が設けられていてよい。つまり、四角形において互いに対向する1組の辺に対して鍔部が設けられていてよい。
図4に示すように、透光性部材3は、例えばその上面3aおよび下面3bが平面視形状として矩形(長方形)を有していてよい。透光性部材上面および下面が平面視形状として矩形を有する場合、そのような矩形の対向する長辺において対を成すように鍔部30が設けられていてよい。
【0024】
以下、実施形態の発光装置の全体構成および各構成部材について詳述する。
【0025】
実施形態の発光装置において、板状の透光性部材3は、上面と該上面の反対側の下面とを有している。ここでいう「上面」および「下面」は、発光装置(例えば
図2(A)・2(B)に示される発光装置)における方向に基づいている。説明の便宜上、以下では「上面」を“第1面”とも称し、「下面」を“第2面”とも称する。
【0026】
平面視において、透光性部材3の第2面3bの面積は透光性部材3の第1面3a(つまり実質的に発光装置の光出射面)の面積よりも大きくなっている。
実施形態の発光装置において、透光性部材3は、鍔部30に起因して上面と該上面の反対側の下面との大きさが互い異なっている(
図2(B)及び
図3参照)。
透光性部材3の第1面3aの面積を第2面3bよりも小さくすることにより、透光性部材3の第2面3bから入射される発光素子1からの出射光を、より小さな面積である第1面3aから放出させることができる(
図2(B)参照)。つまり、透光性部材3を通過することにより発光面の面積が絞られて、高輝度でより遠くを照らすことが可能となる。正面輝度の高い発光装置は、特にヘッドライト等の車載照明に適している。なお、車載照明においては、その灯火類の色についての様々な規定が有り、例えば前照灯(ヘッドライト)の灯光の色は白色または淡黄色であり、そのすべてが同一であることが定められている。
【0027】
さらに、透光性部材3の第2面3bの外周の少なくとも一部は、上方から平面視したときに遮光フレーム5の開口部5aの内周の外側に位置することが好ましい。
図1に示す実施形態の発光装置では、第2面3bの外周の一部(特に、透光性部材3の鍔部30の輪郭の少なくとも一部)が、上方から平面視したときに開口部5aの内周の外側に位置している。透光性部材3の第2面3bの外周が例えば矩形を有する場合、その外周の少なくとも一辺、例えば対向する2辺、好ましくは対向する2つの長辺が遮光フレーム5の開口部5aの内周よりも外側に位置するように構成することが好ましい。
【0028】
このように、ある好適な実施形態では、透光性部材3の第2面3bの外周の一部又は全てが上方から平面視したときに開口部5aの内周の外側に位置するようにし、透光性部材3の第1面3aの外周が平面視したときに遮光フレーム5の開口部5aの内周の内側に位置するようになっている。
つまり、かかる実施形態の発光装置では、発光装置を上方(つまり発光装置の光出射面側)から平面視したときに、遮光フレーム5の開口部5aの内側には、透光性部材3の第1面3aとその第1面3aの外周を取り囲む第1光反射性部材9aの上面を視認することができる。この際、開口部5aの内側の領域において、第1光反射性部材の下方の少なくとも一部に、透光性部材3が位置する。これにより、仮に第1光反射性部材9aにクラック及び/又は剥離等が生じたとしても、透光性部材3が開口部5aの内側に位置する部分については、開口部5aから漏れる光が透光性部材3から出射される光のみとなり易い。このような効果を高める観点から、透光性部材3の第2面3bの外周が長辺と短辺を有する矩形である場合には上述したように、少なくとも第2面3bの外周の長辺が遮光フレーム5の開口部5aの内周の外側に位置するように構成することが好ましい。
さらに、遮光フレーム5に覆われる領域では光反射性部材9からの漏れ光は遮光されるため、例えば発光素子1の側方に位置する第2光反射性部材9bにクラック及び/又は剥離が生じたとしても、発光素子1の側面から出射された光がクラック及び/又は剥離箇所を通過して光出射面側に漏れ伝わることをより一層効果的に抑制できる。
例えば、発光素子1から出射された青色光と、その青色光の一部が波長変換された黄色光とを混色させることにより白色光を発する発光装置を車載照明として用いた際に、光出射面から出射される白色光の他に、発光素子1から出射された青色光が漏れると、開口部5a内において色度差が生じ、照射エリア内に発光色むらが生じる虞がある。さらに、青色の漏れ光が視認されると、上述した車載照明としての規定が満たされず、車両の安全性が損なわれる虞がある。
【0029】
実施形態の発光装置の一形態では、透光性部材3の第1面3aの外周の少なくとも一部は、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置する(
図1参照)。例えば、透光性部材3の第1面3aの外周が矩形を有する場合、その矩形の長辺が発光素子1の外周の長辺よりも内側に位置してよい。ここで、
図1に示すように、複数の発光素子1を含む発光装置において発光素子1の外周という場合には、複数の発光素子1を一体として見て外周を規定するものとし、隣接する発光素子間で対向する個々の発光素子の外周は含まない。
このようにすると、複数の発光素子1から出た光を集光して、透光性部材3の第1面3aから出射することができる。よって、発光素子1が発光した光をより光束密度の高い状態で出射面の第1面3aから出射することができる。
【0030】
(基板)
基板10は、発光素子1等を支持する部材であり、少なくともその表面に発光素子1の外部電極に電気的に接続される配線を有する。基板10の主な材料としては、絶縁性材料であって、発光素子1からの光及び外からの光が透過しにくい材料が好ましい。具体的には、例えば、アルミナ及び/又は窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン並びにポリフタルアミド等から選択された少なくとも一種の樹脂を挙げることができる。なお、樹脂を用いる場合には、必要に応じて、ガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン及びアルミナ等から選択された少なくとも一種の無機フィラーを樹脂に混合してもよい。これにより、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、及び/又は光反射率の向上を図ることができる。また、基板10は、金属部材の表面に絶縁性材料を形成したものでもよい。配線は、上記絶縁性材料の上に、所定のパターンで形成される。配線の材料として、金、銀、銅、チタン、パラジウム、ニッケル及びアルミニウムから選択された少なくとも一種とすることができる。配線は、めっき、蒸着及び/又はスパッタ等によって形成することができる。
【0031】
(発光素子)
発光素子1としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子1は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色又は緑色の発光素子としては、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、ZnSe及びGaPから選択された少なくとも一種を用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs及び/又はAlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成、発光色、大きさ、及び/又は個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料及び/又はその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0032】
実施形態の発光装置に用いる発光素子1は、例えば、同一面側に正負の電極を有するものである。
図2(A)に示すように、発光素子1は、導電性接合部材11を介して基板10上にフリップチップ実装されていてよい。尚、
図2(A)では、発光素子1の正負の電極に接続される導電性接合部材11を簡略化して描いているが、実際には、同一面側に設けられた正負の電極それぞれに接続するように設けられる。発光素子1の正負の電極がそれぞれ導電性接合部材11を介して基板10上に設けられた正負の配線(図示省略)に接続されている。また、発光素子1は、電極の形成された面を下面として基板に実装され、下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子1は、上述したように、バンプ及び/又は導電ペーストなどの導電性接合部材を用いて基板上に接続されるため、金属ワイヤなどで接続される発光素子と比較して、電極と基板との接触面積を大きくでき、接続抵抗を低くできる。
【0033】
発光素子1は、例えば、透光性の支持基板上に窒化物半導体層を積層させた発光素子であり、支持基板が発光素子1の上面側となり、主な光出射面となる。なお、支持基板は除去してもよく、例えば、研磨及び/又はレーザーリフトオフ等で除去することができる。
【0034】
(透光性部材)
透光性部材3は、発光素子1から出射される光を透過して外部に放出する部材である。上述したように、透光性部材3は、側面に鍔部30を備えており、その鍔部30の厚さが漸次異なっている(
図3及び
図4参照)。
【0035】
透光性部材3は、光拡散材、又は入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有していてもよい。透光性部材3は、例えば、樹脂、ガラス及び/又は無機物等により形成することができる。蛍光体を含有する透光性部材は、例えば、蛍光体の焼結体、樹脂、ガラス、セラミック又は他の無機物に蛍光体を含有させたもの等が挙げられる。また、樹脂、ガラス及び/又はセラミック等の成形体の表面に蛍光体を含有する層を形成したものでもよい。透光性部材3の全体厚みは、例えば100~300μm程度である。
透光性部材3と発光素子1との接合は、
図2(A)に示すように、例えば、導光部材13を介して接合されていてよい。また、透光性部材3と発光素子1との接合には、導光部材13を用いることなく、圧着、焼結、表面活性化接合、原子拡散接合及び/又は水酸基接合による直接接合法が用いられてもよい。
【0036】
透光性部材3は、蛍光体を含んでいてもよい。透光性部材3に含有させることができる蛍光体としては、発光素子1からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体、CaAlSiN3:Euで表されるCASN系蛍光体、(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表されるSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、K2SiF6:Mnで表されるKSF系蛍光体、硫化物系蛍光体、並びに量子ドット蛍光体などから選択された少なくとも一種が挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0037】
あくまでも例示にすぎないが、透光性部材3は、いわゆる“YAG板”と称される板材であってよい。
【0038】
(遮光フレーム)
遮光フレーム5は、発光装置の上面において光出射面を除いた部分の輝度を下げるために設けられる部材である。光出射面を除いた部分の輝度を下げるためには、透光性部材3の第1面3a以外から外部に漏れる光を遮光する必要がある。この機能を考慮すると、遮光フレーム5は、例えば、光を透過させずに、光を反射及び/又は吸収する材料からなる部材または表面に光を反射及び/又は吸収する材料からなる膜を備えた部材であることが好ましい。
遮光フレーム5を構成する材料としては、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、セラミックス、ガラス、紙、金属等、及びこれらの材料の2種以上からなる複合材料などから選択して構成することができる。具体的には、遮光性に優れ、劣化しにくい材料から遮光フレーム5が形成されていてよい。例えば、遮光フレーム5は、金属からなる金属フレームまたは表面に金属膜を備えたフレームにより構成されていてよい。金属材料としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、チタン、またはこれらの合金等が挙げられる。
さらに、遮光フレーム5は、発光装置内部からの漏れ光を抑制するだけでなく、外部からの光の反射を抑制する機能を備えていることがより好ましい。外部からの光の反射を抑制する機能としては、例えば、光出射面側の表面に微細な凹凸を有すること、光吸収率の高い材料を用いること、などが挙げられる。微細な凹凸としては例えば平均算術粗さRaが0.5μm以上1.0μm以下が挙げられる。なお、遮光フレームの表面が微細な凹凸を有する場合、遮光フレーム表面の液体に対する濡れ性が高くなり、未硬化の樹脂材料が遮光フレームの表面に濡れ拡がりやすくなる。このため、例えば、遮光フレームの上面の縁には微細な凹凸加工を施さないことが好ましい。また、光吸収率の高い材料としては、黒色ニッケルめっき及び/又は黒色クロムめっき等が挙げられる。
また、遮光フレーム5の厚み(つまり遮光フレーム5の下面から上面までの高さ)は、発光装置として使用するときの強度を保ちつつ、軽さ及び/又は変形しにくさ等を考慮して、20μm~200μm程度が挙げられるが、透光性部材3の厚み等を考慮して、30~80μm程度が好ましい。
【0039】
遮光フレーム5は、平面視において、その外周が発光装置の外周と一致するように設けられてもよいが、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周の内側に位置するように設けられてもよい。これにより、後述する発光装置を単位領域ごと(つまり個々の発光装置ごと)に分割する分割工程において、分割線上に遮光フレーム5が配置されないため、分割時の遮光フレーム5の位置ずれ等が抑制される。
ここで、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周の内側に位置するように遮光フレーム5が設けられているとは、遮光フレーム5の外周の一部分が発光装置の外周の内側に位置するように遮光フレーム5が設けられていることを含む。
平面視における遮光フレーム5の幅は、第1面3aの光出射面の内側と外側との輝度差を大きくすることを考慮すると、少なくとも130μm以上であってよい。特に、製造工程における取り扱いの容易さを考慮すると、例えば500μm以上であってよい。
【0040】
(光反射性部材)
光反射性部材9は、遮光フレーム5の開口部5aと透光性部材3の側面の一部とを接合するように設けられる第1光反射性部材9aと、第1光反射性部材9aと基板10との間にて発光素子1の側面を覆うように設けられる第2光反射性部材9bとを含んでいてよい。
【0041】
第1光反射性部材9a及び第2光反射性部材9bは、発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆し、発光素子1の側面および透光性部材3の側面から出射される光を反射して発光装置の光出射面となる透光性部材3の上面3aから出射させる。このように発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆する光反射性部材を設けることにより光の取りだし効率を高くできる。光反射性部材は、例えば、光反射率の高い光反射性材料から形成する。具体的には、光反射性部材は、発光素子からの光に対する反射率が60%以上、例えば80%又は90%以上である光反射性材料を用いることができる。光反射性材料は、例えば、光反射性物質を含む樹脂からなる。詳細を後述するように、第1光反射性部材9aと第2光反射性部材9bとは別個に形成されるものであり、互いに異なる光反射性材料から形成してよく、同一の光反射性材料から形成してもよい。
【0042】
光反射性部材9を構成する母体の樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができ、その樹脂からなる母材に光反射性物質が含有されている。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びムライトなどから選択された少なくとも一種を用いることができる。例えば酸化チタン(TiO2)を用いてよい。また、光反射性物質として、母材の樹脂の屈折率と異なる粒子を母材の樹脂中に分散させてもよい。光反射性物質の含有濃度および/または密度により光の反射量、透過量が異なるため、発光装置の形状および/または大きさに応じて、適宜濃度、密度を調整することができる。また、光反射性部材は光反射性物質に加え、その他の顔料及び/又は蛍光体等を含有してもよい。特に、透光性部材3が蛍光体を含有する際には、第2光反射性部材9bに透光性部材3に含有される蛍光体と同様の蛍光体を含有させることにより、発光装置の側面から、発光素子からの出射光の漏れが視認されることを抑制できる。
【0043】
(導光部材)
発光装置において、透光性部材3と発光素子1との接合は、導光部材13を介して接合してよい。導光部材13は、
図2(A)に示すように、発光素子1の側面の一部または全部を被覆していてよい。透光性部材3の第2面3bの一部が発光素子1の主な光出射面である上面に対向していないような場合、導光部材13は、発光素子の上面と対向していない透光性部材3の一部を被覆していてもよい。なお、導光部材13は発光素子1と透光性部材3との間にも介在し、両者を接合する。以上のように構成された導光部材13は、発光素子1の上面及び側面からの出射光を透光性部材3へと効率よく導光させることができる。
【0044】
導光部材13は、取り扱いおよび加工が容易であるという観点から、樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びフッ素樹脂から選択された少なくとも一種を含む樹脂またはハイブリッド樹脂等からなる樹脂材料を用いることができる。導光部材13は、それを形成するための樹脂材料の粘性及び/又は樹脂材料と発光素子1との濡れ性を適宜調整して上述した形状に形成することができる。
【0045】
(その他の部材)
発光装置は、任意に、保護素子等の別の素子、電子部品等を有していてもよい。これらの素子及び電子部品は、光反射性部材内に埋設されていることが好ましい。
【0046】
≪実施形態の発光装置の製造方法≫
実施形態の発光装置の製造方法は、基板上に発光素子を実装する実装工程と、開口部を有する遮光フレームをシートに載置する遮光フレーム載置工程と、前記遮光フレーム上に光反射性樹脂を塗布する光反射性樹脂塗布工程と、側面に鍔部を備えた板状の透光性部材を、前記透光性部材と前記開口部との間に空間が形成される位置で前記透光性部材の上面が前記シートと対向するように前記鍔部を前記塗布した光反射性樹脂と接触させた後押圧して且つ前記空間に前記光反射性樹脂を流入させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により支持された導光支持部材を作製する導光支持部材形成工程と、前記実装した発光素子の上面と前記透光性部材の下面とを接合して前記発光素子上に前記導光支持部材を固定する導光支持部材接合工程とを含んでいる。
【0047】
かかる実施形態の製造方法により、例えば、
図1ならびに
図2(A)および2(B)に示す実施形態の発光装置を得ることができる。以下、実施形態の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0048】
(実装工程)
ここでは、基板上に発光素子を実装する。つまり、
図5(A)および5(B)に示すように、基板10の主面に対して少なくとも1つの発光素子1を実装する。例えば、基板10上に発光素子1をフリップチップ実装してよい。具体的には、例えば、同一面側の下面に正負の電極を有する発光素子1を、正の電極が基板10上に設けられた正の配線に対向し、負の電極が基板10上に設けられた負の配線に対向するようにそれぞれ導電性接合部材11により接合する。尚、
図5(B)では、
図2(A)等と同様、発光素子1の正負の電極及び基板10上に設けられた正負の配線に接続される導電性接合部材11を区別することなく簡略化して描いている。
【0049】
(遮光フレーム載置工程)
ここでは、開口部を有する遮光フレームをシートに載置する。つまり、
図6(A)に示すように、開口部5aが枠部分5bによって形成された遮光フレーム5をシート4の主面に載置する。
【0050】
遮光フレームは、予め所望の形状に加工された遮光フレームを準備し、複数の遮光フレームをシート上に個々に配置してよいし、複数の遮光フレームが単位領域ごとに行方向及び/又は列方向に連結した遮光フレームを準備し、一括してシート上に配置してもよい。シートは、表面に粘着性を有する耐熱性のシートを用いてよい。シートの基材としては、例えばポリイミドが挙げられる。
【0051】
(光反射性樹脂塗布工程)
ここでは、遮光フレーム上に光反射性樹脂を塗布する。つまり、
図6(B)に示すように、遮光フレームの枠部分5bに対して光反射性樹脂9a’を塗布する。
光反射性樹脂9a’の塗布量は、次の導光支持部材形成工程において、透光性部材3と遮光フレーム5との間において第1光反射性部材9aを隙間なく形成できる量であってよい。但し、発光装置の光出射面となる透光性部材3の第1面3aからの光の放出を妨げないため、透光性部材3の第1面3aに光反射性樹脂9a’が付着しないように、光反射性樹脂9a’の塗布量及び粘度を調整してよい。
光反射性樹脂9a’は、例えば、樹脂吐出装置のノズルを用いて、そのノズルの先端から吐出し、遮光フレーム5上に塗布することができる。光反射性樹脂9a’は、例えば、遮光フレーム5の開口に沿って開口を取り囲むように枠状に塗布してよいし、当該開口に沿って線状、点状に塗布してもよい。
後述するように、遮光フレーム5上に塗布された光反射性樹脂9a’に透光性部材3が接触することにより、未硬化の光反射性樹脂9a’が、遮光フレーム5及び透光性部材3の表面を伝って移動し、遮光フレーム5の開口部5aの内側面と透光性部材3の側面を被覆しながら、透光性部材3と開口部5aとの間の空間に光反射性樹脂9a’が充填される。
未硬化の光反射性樹脂9a’の粘度は、例えば5Pa・s以上15Pa・s以下であってよい。これにより、樹脂材料を透光性部材3と開口部5aとの間の空間への流動を確保することができるとともに、透光性部材3の上面3aへの濡れ広がりを抑制することができる。
【0052】
(導光支持部材形成工程)
ここでは、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより支持された導光支持部材を作製する。具体的には、透光性部材を用い、遮光フレーム上に配置した光反射性樹脂を透光性部材と遮光フレームとの開口部との間に流入させた後で硬化して第1光反射性部材を形成し、遮光フレームと透光性部材とが第1光反射性部材により支持された導光支持部材を得る。
導光支持部材形成工程では、
図6(C)~
図6(E)に示すように、側面に鍔部30を備えた板状の透光性部材3を用いる。かかる透光性部材3を、それと遮光フレーム5の開口部5aとの間に空間が形成される位置で透光性部材3の第2面3bがシート4と対向するように鍔部30を光反射性樹脂9a’と接触させた後押圧して且つ空間5aに光反射性樹脂9a’を流入させて第1光反射性部材9aを形成する。これにより、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより支持された導光支持部材60が得られる。
【0053】
導光支持部材形成工程で用いる透光性部材3は、発光装置の光出射面となる第1面3aとその反対側の第2面3bとを有し、第1面3aの外周が遮光フレーム5の開口部5aの内周より小さく、第2面3bの外周の少なくとも一部が遮光フレーム5の開口部5aの内周より大きい箇所を少なくとも含む板状部材であることが好ましい。
図6(C)および
図6(D)に示すように、透光性部材3をシート4へと載置させる際には、透光性部材3の第1面3aがシート4に接触する前に、透光性部材3の鍔部30が光反射性樹脂9a’と接触する。具体的には、透光性部材3と遮光フレーム5の開口部5aとの間に空間が形成される位置で透光性部材3の第1面3aがシート4と対向するように、透光性部材3を遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’と接触させる。これにより、光反射性樹脂9a’が流動し、
図6(E)に示すように上記空間(即ち、図示されるように、遮光フレームの枠部分5bと透光性部材3との隙間)に光反射性樹脂9a’が充填される。
より具体的には、透光性部材3の第2面3bの外周が遮光フレーム5の開口部5aの内周の外側に位置するように配置し(
図6(C)参照)、透光性部材3の鍔部30を遮光フレーム5上に塗布した光反射性樹脂9a’と接触させると(
図6(D)参照)、この接触点が起点となって、光反射性樹脂9a’が透光性部材3の鍔部30から側面へと流動し、透光性部材3の側面と遮光フレーム5の開口部5aとの間の空間に光反射性樹脂9a’を充填することができる(
図6(E)参照)。遮光フレーム5の開口部5a及び透光性部材3の第2面3bがいずれも長辺と短辺を有する矩形である場合には、平面視で第2面3bの長辺と開口部5aの長辺間の距離及び第2面3bの短辺と開口部5aの短辺間の距離が等しくなるように透光性部材3と遮光フレーム5とを配置してよい。
【0054】
なお、透光性部材3のシート4への載置にはコレットなどの吸着手段を用いてよい。例えば、コレット40などの吸着手段によってピックアップした状態で透光性部材3をシート4に載置してよく、そのような吸着手段で引き続いて透光性部材3を押圧することによって、透光性部材3の鍔部30と接触する光反射性樹脂9a’を流動させてよい(
図6(C)~
図6(E)参照)。
【0055】
(導光支持部材接合工程)
ここでは、
図7(A)に示すように、実装した発光素子1の発光面(つまり上面)に透光性部材3の第2面3bを接合することにより、発光素子1上に導光支持部材60を固定する。
上述のようにして得られた導光支持部材60の透光性部材3を発光素子1に対して位置合わせをして、透光性部材3を、例えば導光部材13により発光素子1の発光面に接合する。
図1ならびに
図2(A)及び
図2(B)に示す実施形態の発光装置を得る場合には、導光支持部材60は、例えば、
(i)透光性部材3の第2面3bの外周が、上方から平面視したときに発光素子1の外周の外側に位置するように、
(ii)透光性部材3の第1面3aの外周の少なくとも一辺が、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置するように、
位置合わせをする。
【0056】
導光支持部材60の透光性部材3と発光素子1とを接合する際、予め第2面3bに導光部材13を塗布した透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてよいし、発光素子1の上面に導光部材13を塗布した後に導光支持部材60の透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてもよい。導光部材13の塗布量、透光性部材3を発光素子1上に載置して押圧する際の荷重、および導光部材13として樹脂材料を用いる場合の当該樹脂材料の塗布時の粘度等は、導光支持部材の透光性部材3を発光素子1上に接合した後の導光部材13の望ましい形状を考慮して適宜設定してよい。
【0057】
(シート除去工程)
シート4は、導光支持部材接合工程後、あるいは第2光反射性部材形成工程後のシート除去工程で除去してよい。
【0058】
(第2光反射性部材形成工程)
ここでは、更なる光反射性部材を形成、すなわち、第2光反射性部材9bを形成する。具体的には、第2光反射性部材9bとなる未硬化の第2光反射性樹脂9b’を、基板10と遮光フレーム5との間の空間に充填することにより、基板10と遮光フレーム5との間で発光素子1と透光性部材3とを囲む第2光反射性部材9bを形成する(
図7(B)参照)。第2光反射性部材9bは、上述の第1光反射性部材9aと共に一体的な部材として構成される。なお、
図7(B)は、第2光反射性部材形成工程前にシート4が除去された例である。
例えば、基板10よりも一回り小さい(つまり平面視において外縁が基板10に内包される大きさの)遮光フレーム5を用いてよく、遮光フレームの外周側から、基板10と遮光フレーム5との間の空間に第2光反射性樹脂9b’を充填する。
基板10と遮光フレーム5との間の空間に第2光反射性樹脂9b’を充填した後、充填した第2光反射性樹脂9b’を硬化させる。これにより、第2光反射性部材9bが形成される。
【0059】
以上のようにして、実施形態の発光装置は製造される。
【0060】
上記説明は、単一の発光装置を示した図面を参照して行った。
しかしながら、実施形態の発光装置の製造方法では、基板及び遮光フレームとして、それぞれ個々の発光装置に対応する複数の単位領域に区分されたものを用いて複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置に分離してよい。
例えば、基板及び遮光フレームとして、複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の単位領域を含む基板を用いてよい。
また、例えば、遮光フレームとして、基板に対応する複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の単位領域を含む遮光フレームを用いてよい。あるいは、例えば、遮光フレームとして、基板に対応する複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の遮光フレームを用い、各遮光フレームを単位領域としてよい。
【0061】
より具体的には、以下のようにして複数の発光装置を作成してよい。
(1)発光素子実装工程において、上記単位領域にそれぞれ1又は2以上の発光素子を実装する。
(2)導光支持部材形成工程において、上記単位領域にそれぞれ導光支持部材を形成する。
(3)導光支持部材接合工程において、上記単位領域に実装された1又は2以上の発光素子を一括して覆うようにそれぞれ導光支持部材を接合する。
(4)第2光反射性部材形成工程において、各単位領域の基板と遮光フレームの間の空間にそれぞれ第2光反射性樹脂を充填する。
次いで、第2光反射性部材形成工程後に、分割工程において、光反射性部材及び基板を単位領域ごとに分割することで、発光装置を個片化する。分割は、例えばブレード等を用いた切断により行うことができる。
この単位領域ごとに分割することを考慮すると、単位領域ごとに分割する際の分割位置が遮光フレームの外周から離れていることが好ましい。言い換えれば、遮光フレームは、発光装置の外形より一回り小さいことが好ましい。この場合、例えば、遮光フレームとして、発光装置の外形より一回り小さい複数の遮光フレームを用いてよい。
【0062】
以上の発光装置の製造方法によれば、複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置に分離するようにしているので、発光装置を簡易に製造することができる。
【0063】
本発明に係る実施形態の製造方法では、鍔部の厚さが漸次異なる透光性部材を用いる。特に、発光装置の製造では導光支持部材形成工程において、側面に鍔部を備えた板状の透光性部材を用いるところ、本実施形態の製造方法で用いる透光性部材は、鍔部がその厚さを徐々に変化させた勾配部分を有している。
【0064】
図3および
図4ならびに
図8および9に本発明に係る実施形態で用いる透光性部材3を例示的に示す。
図3および
図4は、第1実施形態に係る透光性部材3を示している。一方、
図8および
図9は第2実施形態に係る透光性部材3を示している。図示されるように、双方の実施形態とも、透光性部材3は、その外側に向かって延伸する鍔部30を有し、鍔部30は厚み寸法が所定の方向に漸次的に変化する厚さ変化部分35を有している。
【0065】
透光性部材3は、鍔部の厚さが漸次異なる厚さ変化部分35を有するが、いずれの常套的な手法で作製できる。例えば、ブレードなどの機械加工手段を用いた切削加工を通じて、厚さの漸次異なる鍔部を備えた透光性部材3を作製してよい。
【0066】
鍔部の厚さ変化部分35は、
図3及び
図4、ならびに
図8及び
図9に示されているように、鍔部厚さが直線的に変化する部分となっていてよい。しかしながら、本発明に係る実施形態では、必ずしもこれに限定されず、厚さ変化部分は、鍔部厚さが曲線的又はステップ的に変化する部分となっていてよい。いずれの場合でもあっても、以下で詳述する“ボイド残存の抑制の効果”が奏される。
【0067】
厚さが漸次異なる鍔部を備えた透光性部材は、発光装置のボイド残存の抑制に資する。より具体的には、導光支持部材形成に際して、透光性部材と遮光フレームとの間の第1光反射性部材の領域においてボイド残存を減じる又は無くすように透光性部材が作用する。
【0068】
導光支持部材形成時のボイドは、透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間に光反射性樹脂を流入させる際に発生する気泡またはその類である。透光性部材の配置に際しては、透光性部材の鍔部で遮光フレーム上の光反射性樹脂を押圧することにより「透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間」に光反射性樹脂を流入させるが、その際にボイドが発生することがある。これは、透光性部材の配置に際して、透光性部材の鍔部と光反射性樹脂とが“面”で接し、一気に「透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間」に光反射性樹脂が流れ込むことが要因として考えられる。そのようなボイドが存在した状態で光反射性樹脂を硬化させて第1光反射性部材を形成すると、導光支持部材にボイドが残存してしまう虞がある。特に、平面視における、透光性部材と遮光フレームとの間に介在する第1光反射性部材の領域にボイド(気泡)が残存し易いと考えられる。
【0069】
導光支持部材のボイド残存は、発光装置の光学特性にとって望ましくない。例えば、透光性部材と遮光フレームとの間に介する第1光反射性部材でもたらされる「光の取りだし効率の低下抑制」といった効果がボイドにより減じられる虞がある。光出射面の内側と外側との輝度差を大きくする遮光フレームは、光を吸収する性質を有している。このため、透光性部材と遮光フレームが直接接すると、発光装置の光の取りだし効率の低下を引き起こす虞がある。そこで、本実施形態の発光装置では、かかる光の取りだし効率の低下を「透光性部材と遮光フレームとの間に介在する第1光反射性部材」によって抑制している。したがって、第1光反射性部材の領域にボイド(気泡)が存在してしまうと、発光装置において「光の取りだし効率の低下抑制」といった効果が減じられてしまう。本発明に係る実施形態の製造方法は、このような導光支持部材のボイド残存を低減又は無くすことができ、所望の光学特性を呈する発光装置を製造できる。
【0070】
また、導光支持部材中のボイド残存は、その構成要素同士の接合強度を低下させる虞がある。導光支持部材において、第1光反射性部材は、透光性部材と遮光フレームとの間に介して透光性部材と遮光フレームとを互いに接合している。そのような第1光反射性部材の領域にボイド(気泡)が存在してしまうと、かかる接合を低下させる虞がある。つまり、第1光反射性部材の領域にボイドが存在すると、第1光反射性部材と透光性部材との接合強度および/または第1光反射性部材と遮光フレームとの接合強度の低下が懸念される。本発明に係る実施形態の製造方法は、このようなボイド残存を低減又は無くすことができるので、導光支持部材の構成要素の接合強度がより好適に維持される。
【0071】
図3および
図4に示すように、厚さが漸次変化する鍔部30は、厚さ変化部分35として、厚みが一定の基礎部分35bに勾配部分35aが付加されたような形態を有していることが好ましい。よって、鍔部30は、勾配部分35aを備えることにより基礎部分35bより肉厚となるので、その点で透光性部材自体の構造強度が向上する。例えば、導光支持部材形成工程で透光性部材をシートへと載置する際に偶発的または非所望に外力が透光性部材に加えられたとしても、鍔部のより肉厚な形態により、鍔部が欠けたり割れたりするといった不都合な事象が減じられる。つまり、鍔部の厚さが漸次小さくなる透光性部材3は、導光支持部材のボイド残存を減じる又は無くす作用を奏しつつも、鍔部の肉厚な形態によって構造強度の向上をもたらす。
【0072】
ボイド残存の抑制について詳述する。導光支持部材形成工程の実施に際しては、遮光フレーム上に配置した光反射性樹脂を、透光性部材による押圧で「透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間」へと流入させる。かかる流入に伴ってボイドが一旦発生してしまった場合、透光性部材の鍔部がボイドを移動させるように作用する。特に、鍔部30の厚さが漸次異なる部分、すなわち、厚さ変化部分35は、上記流入時に発生したボイド80の移動を促進する(
図10および
図11(a)~(d))。
【0073】
つまり、導光支持部材形成工程における透光性部材と開口部との間の空間への流入に際して、漸次異なる厚さの鍔部30に起因してボイド80が移動する。具体的には、鍔部の厚さが相対的に厚い箇所から相対的に薄い箇所に向かってボイドが移動する。例えば
図11(a)~(d)に示すように、鍔部30の厚さ変化部分35は、光反射性樹脂の流動90を伴って、上記流入時のボイド80をより外側へと押し出すように移動させることができる。これにより、ボイドが外部へと抜け易くなり、導光支持部材においてボイド残存を減じる又は無くすことができる。導光支持部材は、透光性部材と遮光フレームの開口部との間の隙間に流入させた光反射性樹脂を硬化することにより得られるが、その硬化に先立ってボイドを外部へと排出できる。このようなことから分かるように、本発明に係る実施形態では、透光性部材の鍔部における厚さ変化部分は、導光支持部材形成工程時にボイド発生が抑制されるように光反射性樹脂の流れ込み性を改善する作用を有している。
【0074】
厚さ変化部分に起因して、鍔部の厚さ寸法はある方向に勾配を有している。好ましくは、鍔部の厚さ寸法が透光性部材の外側に向かって勾配を有している。つまり、鍔部の周縁に向かって該鍔部の厚さが漸次小さくなっていることが好ましい。これにより、仮に、上記流入時にボイドが発生したとしても、ボイドを外側により効果的に移動させることができる。その結果、導光支持部材のボイド残存をより効果的に低減することができ、ボイドの発生が抑制された発光装置が得られる。
【0075】
厚さ変化部分の変化程度を示す勾配角度は、20°以下であってよく、例えば10°以下、または5°以下等である。例えば、
図11で示される勾配角度αについていえば、0°<α≦20°、例えば0°<α≦10°または0°<α≦5°となっていてよい。このように、厚さ変化部分における勾配角度αは必ずしも大きな角度である必要はない。20°以下、10°以下または5°以下の小さい勾配角度であっても上記流入時にボイドの発生を抑制、または発生したボイドを外側へ移動させることができる効果が得られる。なお、厚さ変化部分というものは、透光性部材において相対的に肉厚な部分と相対的に肉薄な部分とをもたらすが、上記勾配角度が20°以上などの大きい角度になると、鍔部の“肉厚な部分”が過度に厚くなってしまう。鍔部において過度に厚い肉厚な部分は、導光支持部材形成工程で透光性部材をシートへと載置する際に鍔部と遮光フレームとが接触してしまう虞がある。あるいは、20°以上の大きい勾配角度では鍔部の“肉薄な部分”が相対的に過度に薄くなって鍔部が欠けたり割れたりする虞がある。
【0076】
第一実施形態としては、例えば
図3および
図4に示される透光性部材3が挙げられる。かかる透光性部材3は、鍔部30がその延伸方向と異なる方向に厚さを漸次変化させている。図示されるように、鍔部の厚さ変化部分35では、厚みが一定の基礎部分35bに勾配部分35aが付加されたような形態を有していてよい。つまり、鍔部30における最も薄い厚さ箇所であっても、例えば、20μm以上の所定の厚みを有している。
【0077】
図3および
図4に示されるように、好ましくは、鍔部の延伸方向と直交する方向に厚さ変化部分35が設けられている。つまり、
図3および
図4に示される透光性部材3では、上方から平面視したときに鍔部30の延伸方向と直交する方向で鍔部30の厚さが当該鍔部の周縁に向かって漸次小さくなっている。
【0078】
第一実施形態に係る製造方法では、導光支持部材形成工程における透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間への流入に際して、鍔部の延伸方向と直交する方向にボイドを効果的に移動させることができ、導光支持部材中のボイド残存をより効果的に低減できる。「鍔部の延伸方向と直交する方向」というのは、特にボイドが抜けやすい方向に相当する。なぜなら、透光性部材の配置に際して透光性部材の鍔部と光反射性樹脂とが接して光反射性樹脂が「透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間」に流れ込むことでボイドが生じることがあるが、そのボイドを遮光フレームの外側に向かって排出できる“逃げ道”が「鍔部の延伸方向と直交する方向」に存在するからである(
図4および
図11(a)~(d)参照)。
【0079】
ある態様では、「鍔部の延伸方向と直交する方向」において二手に分かれるように鍔部の厚さが漸次変化していてもよい。例えば、鍔部の厚さが最大となる最厚部分を境に二手に分かれるように鍔部の厚さが漸次変化していてもよい。かかる場合、
図3または
図4に示すように、鍔部30の厚さが最大となる最厚部分35cが、上方から平面視したときに鍔部30の延伸方向と直交する方向における当該鍔部30の中央領域に設けられていてよい。このような最厚部分35cは各鍔部30において好ましくは1つ設けられている。
【0080】
このように鍔部の最厚部分が中央領域に設けられていると、ボイドの外部への排出がより効果的となる。鍔部30の最厚部分35cが中央領域となる場合、外部に排出できる“逃げ道”となる2つの箇所から略均等な位置に最厚部分が位置付けられ、「鍔部の延伸方向と直交する方向」のいずれの箇所にボイドが発生したとしても比較的短い距離でボイドを外部に排出し易くなるからである(
図11(a)~(d)参照)。
【0081】
最厚部分は鍔部の延伸方向に沿って延在していてよい。
図3に示すように、鍔部30の最厚部分35cは、実質的に同じ厚さを維持しつつ鍔部30の延伸方向に沿うように設けられていてよい。なお、最厚部分の厚さは、透光性部材の最大厚さと同じであってよいものの、好ましくは透光性部材の最大厚さ未満となっている。つまり、透光性部材3の最大厚さ寸法を“T
1”とし、鍔部30の最厚部分35cの厚さ寸法を“T
2”とすると、T
2はT
1未満であることが好ましく、すなわち、T
2<T
1であることが好ましい(
図3参照)。仮にT
2がT
1と同じ又は略同じである場合を想定すると、導光支持部材形成工程で透光性部材をシートへと載置する際に、透光性部材の鍔部がシートと接するか、あるいは、シート上の遮光フレームと接してしまうことになり、光反射性樹脂の流動が妨げられ、その箇所に光反射性樹脂が行き渡らないことになる。つまり、T
2がT
1と同じ又は略同じである場合、透光性部材と遮光フレームとの間に光反射性部材が介在しない部分が生じてしまう。これにより、透光性部材と遮光フレームとの間に介在する光反射性部材によりもたらされる「光の取りだし効率の低下抑制」が減じられてしまう虞がある。したがって、鍔部30の最厚部分の厚さ寸法T
2は透光性部材の最大厚さ寸法T
1未満であることが好ましい。例えば0.1T
1<T
2<0.9T
1が挙げられるが、遮光フレームの厚みも考慮して、0.25T
1<T
2<0.5T
1程度とすることが好ましい。
【0082】
最厚部分が鍔部の延伸方向に沿って延在していると、「鍔部の延伸方向と直交する方向」におけるボイドの外部への排出がより効果的となる。最厚部分はボイドに対して堰き止めるように作用しつつ、その最厚部分を起点に最厚部分から離れる向きへとボイドを移動させるのに寄与する。これにつき、最厚部分35cが鍔部30の延伸方向に沿って延在していると、上記の堰止め効果がより高くなり、結果として最厚部分を起点に最厚部分から離れる向きにボイドをより効果的に移動させ易くなる。
【0083】
最厚部分が設けられる場合、その最厚部分から鍔部の厚さが徐々に変化するような勾配部分が設けられていてよい。つまり、上方から平面視したときに鍔部の延伸方向と直交する方向において、鍔部の厚さが最厚部分から漸次小さくなっていてよい。
図4に示すように、鍔部30の延伸方向と直交する方向に対向する一方の鍔部周縁部30Aと他方の鍔部周縁部30Bとを想定した場合、一方の鍔部周縁部30Aに向かって最厚部分35cから鍔部30の厚さが漸次小さくなると共に、他方の鍔部周縁部30Bに向かって最厚部分35cから鍔部30の厚さが漸次小さくなっていてよい。
【0084】
このような場合、導光支持部材形成工程における透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間への光反射性樹脂の流入に際して、一方の鍔部周縁部30Aに向かってボイドを移動させることができると共に、他方の鍔部周縁部30Bに向かってボイドを移動させることができる。つまり、「鍔部の延伸方向と直交する方向」において互いに逆向きに二手に分かれるようにボイドが移動するため、ボイドの移動距離が短くなり、導光支持部材中のボイド残存をより効果的に低減できる(
図10参照)。
【0085】
第二実施形態として、
図8および9に示される透光性部材3が挙げられる。かかる透光性部材3は、鍔部30の延伸方向において、鍔部30の周縁に向かって当該鍔部30の厚さが漸次小さくなっている。好ましくは、透光性部材3は、図示されるように、鍔部30の付け根部分32から外側に向かって設けられた厚さ変化部分35を有している。
【0086】
第二実施形態に係る製造方法では、導光支持部材形成工程における透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間への光反射性樹脂の流入に際して、鍔部の延伸方向及び/又はそれから拡角に広がる方向にボイドを移動させることができ、導光支持部材中のボイド残存を低減できる。特に第二実施形態では、透光性部材の配置に際して透光性部材の鍔部と光反射性樹脂とが接触して透光性部材と光反射性樹脂との間の隙間領域にボイドが一旦形成されそうになったとしても、ボイドが鍔部の延伸方向及び/又はそれから拡角に広がる方向に移動して外部へと抜け易くなり、結果としてボイド残存が無くなるか又は抑制される。
【0087】
第二実施形態に係る製造方法において、鍔部30の厚さ変化部分35は鍔部30の延伸方向に漸次狭くなっていてよい。つまり、
図9に示すように、透光性部材3を上方から平面視したときに、厚さ変化部分35が先細りとなる形態を有していてよい。これにより、導光支持部材形成工程において透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間へと光反射性樹脂が流入するに際して、鍔部の延伸方向及び/又はそれから拡角に広がる方向にボイドを移動させ易くなり、導光支持部材におけるボイドの残存がより抑制される。
【0088】
次に、鍔部30の厚さが漸次異なる透光性部材3について詳述する。本実施形態に係る発光装置において、透光性部材3の鍔部30は、その厚さが徐々に変化するような厚さ変化部分35を有している。鍔部30はその全てが厚さ変化部分35であってもよいし、部分的に厚さ変化部分35を備えていてもよい。
【0089】
透光性部材上面が平面視形状として例えば四角形を有する場合、その矩形の対向辺において対を成すように鍔部が設けられていてよく、その対を成す鍔部の各々に厚さ変化部分が設けられていてよい。例えば、透光性部材上面が平面視形状として矩形を有する場合、その長辺にて対を成すように鍔部30が設けられていてよい(
図3または
図4に示すように、長辺においてのみ対を成すように鍔部30が設けられ、短辺には鍔部が設けられていなくてよい)。ここで、一般的に、矩形の長辺に鍔部を備えた透光性部材(厚さ変化部分35がない透光性部材)というものは、特にボイド残存が引き起こされ易い。なぜなら、そのような長辺に鍔部を備えた透光性部材では、その透光性部材の配置に際して透光性部材の鍔部と光反射性樹脂とがより長い面で接触しやすく、光反射性樹脂が一気に「透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間」に流れ込む際に噛み込んだ又は巻き込んだ空気が抜けにくくなるからである。これにつき、実施形態の発光装置では、鍔部に設けられた厚さ変化部分が、ボイド残存に寄与するので、厚さ変化部分の効果がより顕在化し易い。
【0090】
鍔部は、透光性部材の主面の大きさが異なることに関係している。具体的には、透光性部材3は、鍔部30に起因して上面3aと該上面の反対側の下面3bとの大きさが互いに異なっている(
図3および
図4、または
図8および
図9参照)。上面3aは相対的に小さく“発光装置の光出射面”となっている一方、下面は相対的に大きく、発光素子から出射された光が入射する光入射面となっている。このような上面3aと下面3bは共に平面状であってよい。図示する形態から分かるように、透光性部材3の鍔部30では、下面3bを成している面の裏側に相当する部分が“厚さ変化部分”に起因して勾配を成していてよい。
【0091】
平面視でとらえてみると、上面3aと下面3bとの差に相当する部分が鍔部30に相当する。なお、鍔部は、透光性部材の下面に連なっていてよい。つまり、鍔部30は、透光性部材3の下面3bに対して面一となった面を有していてよい。鍔部30では、かかる下面3bと連なった面の反対側の面に厚さ変化部分が設けられていてよい。
【0092】
透光性部材3は、対称的な平面視形状を有していてよい。具体的には、鍔部30が透光性部材3の中心Oまたは中心線Mに対して点対称または線対称に配置されていると共に、各鍔部30に設けられている厚さ変化部分35もまた透光性部材3の中心Oまたは中心線Mに対して点対称または線対称に配置されていてよい(
図4および
図9参照)。
【0093】
第一実施形態に係る発光装置は、上記第一実施形態に係る製造方法で得られるものに相当する。したがって、透光性部材3は、
図3および
図4に示すように、鍔部30の延伸方向と直交する方向に厚さ変化部分35が設けられている。より具体的には、上方から平面視したときに鍔部30の延伸方向と直交する方向において、鍔部30の厚さが鍔部30の周縁に向かって漸次小さくなっている。このような透光性部材を備える発光装置は、上述の製造方法に起因して、ボイド残存が無いか又は抑制されているので、所望の光学特性および/またはより好適な接合強度を有する。つまり、透光性部材と遮光フレームとの間に介在する第1光反射性部材によって奏される「光の取りだし効率の低下抑制」といった効果がボイドで減じられることが防止又は低減される。あるいは、第1光反射性部材と透光性部材および/または遮光フレームとの間の接合強度がより好適なものとなっている。また、発光装置は、鍔部が相対的に肉厚な部分を有するので、その点で透光性部材自体の機械的強度が向上する。
【0094】
さらには、第一実施形態に係る発光装置では、鍔部の“厚さ変化部分”に起因して、透光性部材と第1光反射性部材との間の接合面積がより大きくなる。つまり、鍔部が“厚さ変化部分”を有する場合と、そうでない場合(例えば鍔部の厚さが一定の板状の鍔部の場合)とを比べた場合、前者の方が後者より相対的に大きい面を有するので、第1光反射性部材との間の接合面積がより大きくなる。よって、かかる接合面積増加の観点で、第一実施形態に係る発光装置は、透光性部材と第1光反射性部材との間でより向上した接合強度がもたらされる。
【0095】
第一実施形態に係る発光装置は、
図3または
図4に示すように、その透光性部材3につき、鍔部30の厚さが最大となる最厚部分35cが、上方から平面視したときに鍔部30の延伸方向と直交する方向における鍔部30の中央領域に設けられていてよい。換言すれば、各鍔部30の平面視においては、最厚部分35cを中心に“厚さ変化部分”35が線対称に設けられているともいえる。また、図示するように、最厚部分35cが鍔部30の延伸方向に沿って延在していてよい。つまり、
図3に示すように、鍔部30の最厚部分35cは、実質的に同じ厚さを維持しつつ鍔部30の延伸方向に沿うように設けられていてよい。最厚部分35cの厚さは、透光性部材3の厚さと同じであってよいものの、好ましくは透光性部材3の厚さ未満となっている。
【0096】
第一実施形態に係る発光装置において、透光性部材は、上方から平面視したときに鍔部の延伸方向と直交する方向において、鍔部の厚さが最厚部分から漸次小さくなっていてよい。図示するように(特に
図4に示されているように)、鍔部30の延伸方向と直交する方向に対向する一方の鍔部周縁部30Aと他方の鍔部周縁部30Bとを想定した場合、一方の鍔部周縁部30Aに向かって最厚部分35cから鍔部30の厚さが最厚部分35cから漸次小さくなると共に、他方の鍔部周縁部30Bに向かって最厚部分35cから鍔部30の厚さが最厚部分35cから漸次小さくなっていてよい。
【0097】
第二実施形態に係る発光装置は、上記第二実施形態に係る製造方法で得られるものに相当する。したがって、透光性部材3は、
図8および
図9に示すように、鍔部30の延伸方向において、鍔部30の周縁に向かって鍔部30の厚さが漸次小さくなっている。このような透光性部材を備える発光装置でも、上述の製造方法に起因して、ボイド残存が無いか又は抑制されているので、所望の光学特性および/またはより好適な接合強度が得られる。つまり、透光性部材と遮光フレームとの間に介在する第1光反射性部材によって奏される「光の取りだし効率の低下抑制」といった効果がボイドで減じられることが防止又は低減されていたり、あるいは、第1光反射性部材と透光性部材および/または遮光フレームとの間の接合強度がより好適なものとなっている。
【0098】
第二実施形態に係る発光装置において、鍔部の漸次異なる厚さの領域は鍔部の延伸方向に漸次狭くなっていてよい。つまり、
図8および
図9に示されるように、上方から平面視したときに、厚さ変化部分35が先細りとなる形態を有していてよい。これにより、ボイドの外部への排出がより効果的となる。つまり、導光支持部材形成工程における透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間への光反射性樹脂の流入に際してボイドをもたらす空気を外部へと抜けるように押し出し易くなり、結果としてボイド残存がより抑制された発光装置となり易くなる。
【0099】
実施形態の発光装置における透光性部材のより詳細な説明は、上述の製造方法にて説明しているので、重複を避けるために説明を省略する。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0101】
上記説明では、透光性部材上面が平面視形状として矩形を有する場合に長辺においてのみ対を成すように鍔部が設けられ、短辺には鍔部が設けられていない態様について説明したが、例えば、矩形の長辺のみならず、矩形の短辺にも鍔部が設けられ、その鍔部の各々に厚さ変化部分が設けられていてよい。かかる場合、例えば、厚さ変化部分に起因する最厚部分を各鍔部(すなわち、4つの鍔部の各々)に設けてよく、これによっても、導光支持部材形成工程における透光性部材と遮光フレームの開口部との間の空間への流入に際し、漸次異なる厚さの鍔部が当該流入時のボイドをより外側へと押し出すように移動させることができ、ひいては、ボイド残存が無いか又は抑制された発光装置を得ることができる。
【0102】
また、本発明の実施形態では、透光性部材の厚さ変化部分によって、光反射性部材の領域におけるボイド残存を無くす又は抑制できるので、光反射性部材の原料(すなわち、光反射性樹脂)の選択についてはより自由度が高いものとなる。つまり、ボイドは光反射性樹脂の粘度が高い方が生じやすいところ、本発明の実施形態では、透光性部材の厚さ変化部分でボイド残存を無くす又は抑制できるので、粘度が高い光反射性樹脂を積極的に用いることが可能となる。例えば、酸化チタンなどの光反射性物質の含有量がより多く比較的高い粘度を有する光反射性樹脂を積極的に用いることができる。
【0103】
なお、ボイドは光反射性樹脂の粘度が高い方が生じやすいということは、光反射性樹脂が流れ難い特性を有するとボイドが発生し易いことを意味している。これにつき、例えば、厚さ変化部分の面が平滑面などの滑面となっていてよい。滑面は光反射性樹脂の流動を助力するので、ボイドが残存し難くなる。つまり、鍔部における滑面はボイド残存を無くすか又は抑制することを促進することができる。よって、本発明の実施形態では、厚さ変化部分の面を研磨などで表面処理して滑面としてもよい。
【0104】
また、本発明の実施形態では、例えば、透光性部材の厚さ変化部分によって、発光装置の光反射率を局所的に変えること等も可能である。具体的には、厚さ変化部分は、鍔部において相対的に肉厚な部分と相対的に肉薄な部分とをもたらすが、発光装置においては、鍔部の肉厚な部分の近傍領域には相対的に光反射性部材が少ない領域がもたらされる一方、鍔部の肉薄な部分の近傍領域には相対的に光反射性部材が多い領域がもたらされる。よって、透光性部材の鍔部の厚さ変化部分によって、局所的に光反射率を変えること等も可能となる。
【符号の説明】
【0105】
1 発光素子
3 透光性部材
3a 上面/第1面(発光装置の光出射面)
3b 下面/第2面
30 透光性部材の鍔部
30A 一方の鍔部周縁部
30B 他方の鍔部周縁部
32 鍔部の付け根部分
35 鍔部の厚さ変化部分
35a 勾配部分
35b 基礎部分
35c 最厚部分
4 シート
5 遮光フレーム
5a 開口部
5b 枠部分
9 光反射性部材
9a 第1光反射性部材
9a’光反射性樹脂
9b 第2光反射性部材
9b’第2光反射性樹脂
10 基板
11 導電性接合部材
13 導光部材
40 コレット
60 導光支持部材
80 ボイド
90 光反射性樹脂の流動