(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ノズル管理装置、ノズル管理方法、及び塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20230907BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20230907BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230907BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/02
B05C11/00
H01L21/30 564Z
(21)【出願番号】P 2019092934
(22)【出願日】2019-05-16
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】近藤 士朗
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-216598(JP,A)
【文献】特開2007-008103(JP,A)
【文献】特開2010-172877(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012856(JP,U)
【文献】米国特許第06117237(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00-7/26
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから吐出される液体に含まれる溶媒を気化させて所定ガスを生成するガス生成部と、
前記溶媒のミストを生成するミスト生成部と、
前記ガス生成部により生成された前記所定ガスを前記ノズルの先端の周辺領域に供給するガス供給部と、を備え、
前記ガス生成部は、前記ミスト生成部により生成されたミストと、前記溶媒とを気化させて前記所定ガスを生成する、ノズル管理装置。
【請求項2】
前記所定ガスは、前記溶媒の飽和ガスである、請求項1に記載のノズル管理装置。
【請求項3】
前記液体は、第1溶媒と、前記第1溶媒とは異なる種類の第2溶媒とを含み、
前記所定ガスは、前記ミスト生成部により生成されたミストと、前記第1溶媒と、前記第2溶媒とを気化させたガスである、請求項1又は請求項2に記載のノズル管理装置。
【請求項4】
前記液体に含まれる前記第1溶媒と前記第2溶媒との混合比と、前記所定ガスを生成するために用いられる前記第1溶媒と前記第2溶媒との混合比とは、同一である、請求項3に記載のノズル管理装置。
【請求項5】
前記ガス生成部は、前記溶媒を加熱して気化させる加熱部を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のノズル管理装置。
【請求項6】
前記ミストを気化させるために昇温された不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を有する、請求項5に記載のノズル管理装置。
【請求項7】
前記ガス生成部は、前記加熱部で気化した前記溶媒を含む前記不活性ガスを冷却して前記溶媒の一部を結露させる冷却部を有する、請求項6に記載のノズル管理装置。
【請求項8】
前記ノズルの先端における周辺領域を区画するノズル受を有し、
前記ガス供給部は、前記ノズル受内に前記所定ガスを供給する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のノズル管理装置。
【請求項9】
前記ガス供給部から供給される前記所定ガスの流量を調整する流量調整部を有する、請求項1から請求項8
のいずれか一項に記載のノズル管理装置。
【請求項10】
前記ノズルの位置を検出する位置検出部を有し、
前記流量調整部は、前記位置検出部の検出結果に応じて前記所定ガスの流量を調整する、請求項9に記載のノズル管理装置。
【請求項11】
前記位置検出部は、前記ノズルを移動させる移動装置から前記ノズルの位置情報を取得し、
前記流量調整部は、前記位置検出部が取得した前記位置情報に応じて前記所定ガスの流量を調整する、請求項10に記載のノズル管理装置。
【請求項12】
ノズルから吐出される液体に含まれる溶媒を気化させて所定ガスを生成することと、
前記溶媒のミストを生成することと、
生成された前記所定ガスを前記ノズルの先端の周辺領域に供給することと、を含み、
前記溶媒のミストと、前記溶媒とを気化させて前記所定ガスを生成する、ノズル管理方法。
【請求項13】
基板に塗布液を塗布するノズルと、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のノズル管理装置と、を備える、塗布装置。
【請求項14】
前記ノズル管理装置の前記ガス供給部は、基板への非塗布時に前記ノズルを待機させる待機位置に前記所定ガスを供給する、請求項13に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル管理装置、ノズル管理方法、及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体又はガラスなどの基板に薄膜を形成するため、基板上に所定の液体をスリットノズル等のノズルから吐出する塗布装置が用いられる。この塗布装置に適用されるものとして、基板への塗布を行っていない間に、スリットノズルの先端の洗浄又は乾燥を防止するため、ノズルの先端を所定の液体に浸漬させ、又は、所定の液体をノズル先端に吹き付けるようにした構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズル先端を液体に浸漬させると、毛細管現象により液体がノズル先端からスリットノズルの内部に浸入し、基板への塗布時に塗布ムラが発生する場合がある。また、ノズル先端に液体を吹き付ける場合であっても、ノズル先端に付着した液滴がスリットノズルの内部に浸入し、同様の問題が生じる場合がある。
【0005】
このような事情を鑑み、本発明は、ノズル先端の乾燥を防止しつつ、基板への塗布時に塗布ムラが生じるのを防止することが可能なノズル管理装置、ノズル管理方法、及び塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様においては、ノズル管理装置を提供する。ノズル管理装置は、ノズルから吐出される液体に含まれる溶媒を気化させて所定ガスを生成するガス生成部を備える。ノズル管理装置は、溶媒のミストを生成するミスト生成部を備える。ノズル管理装置は、ガス生成部により生成された所定ガスをノズルの先端の周辺領域に供給するガス供給部を備える。ガス生成部は、ミスト生成部により生成されたミストと、溶媒とを気化させて所定ガスを生成する。
【0007】
本発明の第2態様においては、ノズル管理方法を提供する。ノズル管理方法は、ノズルから吐出される液体に含まれる溶媒を気化させて所定ガスを生成することを含む。ノズル管理方法は、溶媒のミストを生成することを含む。ノズル管理方法は、生成された所定ガスをノズルの先端の周辺領域に供給することを含む。ノズル管理方法は、溶媒のミストと、溶媒とを気化させて所定ガスを生成する。
【0008】
本発明の第3態様においては、塗布装置を提供する。塗布装置は、基板に塗布液を塗布するノズルを備える。塗布装置は、第1態様に記載のノズル管理装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、ノズル先端の乾燥を防止しつつ、基板への塗布時に塗布ムラが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る塗布装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る塗布装置の一例を模式的に示す平面図である。
【
図5】ノズルの先端に所定ガスを供給する供給動作の一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る塗布装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係る塗布装置の動作の一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る塗布装置の動作の一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る塗布装置の動作の一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係るノズル管理装置の一例を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係る塗布装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図12】第4実施形態に係る塗布装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図13】第5実施形態に係る塗布装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図14】第6実施形態に係る塗布装置の一例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。図面においては、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。水平面における一方向をX方向と表記する。X方向は、後述するステージ10とノズル20との間の相対移動方向である。水平面においてX方向に直交する方向をY方向と表記する。X方向及びY方向を含む水平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向と反対の方向が-方向である。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る塗布装置100の一例を模式的に示す側面図である。
図2は、塗布装置100の一例を模式的に示す平面図である。
図1及び
図2に示す塗布装置100は、基板Sの表面に薄膜を形成するための塗布液(液体)を塗布するのに用いられる。基板Sの表面に薄膜を形成する例としては、例えばファンアウト型PLP(Fan-out Panel Level Package)技術において、基板Sであるガラス基板に、光の吸収又は加熱により変質する反応層(分離層)を形成するための塗布液を塗布する場合が挙げられる。
また、塗布液は、上述した分離層を形成するための液以外であってもよく、典型的には、基板Sの表面にデバイス等を載置するために用いる接着層を形成するための液であってもよいし、基板Sに塗布する感光性を有する薬液(レジスト)等であってもよい。
【0013】
塗布装置100は、
図1及び
図2に示すように、ステージ10と、ノズル20と、ノズル管理装置30と、移動装置40と、制御部50とを備える。ステージ10は、例えば平面視で矩形状のステージであり、上面には基板Sを載置する載置面11を有する。ステージ10は、例えば建屋の床面上に設置される。載置面11は、基板Sを支持可能な寸法に設定されている。なお、ステージ10は、載置された基板Sを吸着して保持させる吸着機構を備えていてもよい。
【0014】
ステージ10の載置面11には、例えば、不図示の基板搬送装置により外部から搬送された基板Sが載置される。また、ステージ10の載置面11からは、例えば塗布液Q1等が塗布された基板Sが同じく不図示の基板搬送装置により搬出される。なお、塗布装置100は、ステージ10と不図示の基板保管部との間で基板Sの受け渡しを行う受け渡し装置を備えていてもよいし、作業者が手作業でステージ10に対する基板Sの受け渡しを行ってもよい。
【0015】
ステージ10の上方には、後述するノズル20により塗布位置P2が設定される。塗布位置P2は、基板Sに対して塗布液(液体)Q1の塗布を行う位置である。本実施形態において、塗布位置P2は、ノズル20による塗布液Q1の塗布を開始する塗布開始位置である。塗布位置P2は、ステージ10の載置面11に対して+X側かつ+Z側の領域に設定される。なお、塗布位置P2は、ステージ10の載置面11に載置される基板Sの大きさ又は位置に応じて設定される。
【0016】
ノズル20は、基板Sの表面上に所定の薄膜を形成するための塗布液Q1を基板Sに向けて(下方に向けて)吐出する。
図3は、ノズル20の一例を示す図である。
図3(A)は側面図、
図3(B)は
図3(A)におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図3(A)に示すように、ノズル20は、Y方向に延びる長尺状である。ノズル20の-Z方向の先端21には、Y方向に沿ったスリット状の開口部21aが設けられる。開口部21aは、-Z方向(下方)に向けられている。
【0017】
ノズル20は、開口部21aから塗布液Q1等を-Z方向に吐出する。開口部21aのY方向の寸法は、例えば、載置面11に支持された状態の基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域に塗布液Q1が塗布されないようになっている。あるいは、開口部21aのY方向の寸法が基板SのY方向の寸法よりも大きい場合は、開口部21aのうち、基板Sの外側に対向する部分を所定の閉塞部材等で塞ぎ、基板SのY方向の寸法に合わせるように調整可能としてもよい。
【0018】
ノズル20は、後述する移動装置40によりX方向及びZ方向に移動可能となっている。このノズル20は、位置検出部22によりステージ10に対する位置(塗布装置100における位置)が検出される。位置検出部22は、ノズル20の位置を検出し、検出結果を制御部50に送信する。位置検出部22は、少なくともノズル20が待機位置P1に配置されているか否かを検出可能である。待機位置P1は、例えば、ノズル20が塗布液Q1を基板Sに塗布していないときに退避する位置である。また、待機位置P1は、ノズル20に対してメンテナンスを行う位置である。
【0019】
このような位置検出部22としては、例えば待機位置P1に光センサ等の非接触式のセンサ又は接触式のセンサなど、各種センサを用いる構成等が挙げられる。なお、位置検出部22の構成は、センサを用いる構成に限定されない。例えば、位置検出部22は、後述する移動装置40によるノズル20の移動量に基づいてノズル20の位置を検出する構成であってもよい。
【0020】
図3(B)に示すように、ノズル20の内部には、塗布液Q1を開口部21aに流通させる流通路21bと、流通路21bの上流側に塗布液Q1を保持する塗布液保持部21cとが設けられている。塗布液保持部21cには、図示しない塗布液供給装置が接続されている。この塗布液供給装置は、塗布液を貯留するタンクと、送液用のポンプとを備えている。このポンプを駆動することにより、タンクから塗布液Q1が不図示の配管を介して塗布液保持部21cに送られる。その結果、塗布液保持部21c内の塗布液Q1が押し出されることで、流通路21bを介して開口部21aから塗布液Q1が吐出される。
【0021】
図1及び
図2に示すように、ノズル管理装置30は、ステージ10に対して、ノズル20との相対的な移動方向であるX方向の端部側に配置される。本実施形態では、ノズル管理装置30は、ステージ10の+X側に配置されている。なお、ノズル管理装置30は、ステージ10から離間して配置されてもよいし、ステージ10の+Xに接続して配置されてもよい。例えば、ノズル管理装置30は、ステージ10に対して、ノズル20による塗布動作の開始位置(塗布位置P2)に近い方の端部側に配置される。なお、ステージ10に対するノズル管理装置30の配置は任意である。
【0022】
ノズル管理装置30は、ガス生成部31と、ガス供給部32と、ノズル受33と、を有する。ガス生成部31は、ノズル20から吐出される塗布液Q1の溶媒Q2を含む所定ガスGを生成する。所定ガスGは、溶媒Q2を気化させたガスを含んでいる。また、所定ガスGは、例えば、後述するミスト生成部36頭により生成された溶媒Q2のミストを含んでもよい。所定ガスGは、例えば溶媒Q2の飽和ガスであってもよい。また、塗布液Q1が複数種類の溶媒Q2を含む場合は、所定ガスGは、複数種類の溶媒Q2を気化させて混合した混合ガスであってもよい。この場合、塗布液Q1における複数種類の溶媒Q2の混合比と、所定ガスGにおける複数種類の溶媒Q2の混合比とは同一であってもよいし異なってもよい。
【0023】
ガス供給部32は、ガス生成部31で生成された所定ガスGをノズル20の周辺領域25に供給する。ガス供給部32は、ノズル受33内に所定ガスGを供給する。ノズル受33は、ノズル20の先端21における周辺領域25の少なくとも一部を区画する。すなわち、ガス供給部32は、ノズル受33内に所定ガスGを供給することで、ノズル20の先端21における周辺領域25を所定ガスGによる雰囲気を形成させる。
【0024】
図4は、ノズル管理装置30の一例を示す図である。ガス生成部31は、
図4に示すように、加熱部34と、不活性ガス供給部35と、ミスト生成部36と、溶媒補充部37とを有する。加熱部34は、溶媒Q2を加熱して気化させる。加熱部34は、溶媒Q2を気化して所定ガスGを生成する容器34aと、容器34aで生成された所定ガスGを送り出す供給管34bと、容器34a内を加熱するヒータ34cとを備える。容器34aは、底面側の一部に溶媒Q2を貯留する。供給管34bは、所定ガスGを容器34aからガス供給部32に送り出す。この所定ガスGには、溶媒Q2のミストを含んでもよい。ヒータ34cは、例えば、容器34a内を少なくとも常温以上に加熱する。加熱温度は、例えば、容器34a内に設置された温度センサの出力等により制御される。ヒータ34cとしては、容器34a内を加熱可能な任意のヒータが用いられる。なお、ヒータ34cを備えるか否かは任意であり、ヒータ34cがなくてもよい。
【0025】
不活性ガス供給部35は、供給管35aを介して加熱部34の容器34aに不活性ガスを供給する。不活性ガス供給部35は、ミスト生成部36で生成された溶媒Q2のミスト、及び容器34aに貯留している溶媒Q2を気化させるために、不図示の加熱装置等によって昇温された不活性ガスを供給する。不活性ガスは、溶媒Q2に対して不活性なガスであり、例えば窒素ガス等が用いられる。ミスト生成部36は、加熱部34の容器34aに溜まった溶媒Q2を取り出し、ミストを形成して再度容器34a内に送り出す。すなわち、ミスト生成部36は、容器34aに対して溶媒Q2を循環させる。
【0026】
ミスト生成部36は、溶媒Q2を流通させる流通管36aと、溶媒Q2を循環させるポンプ36bと、溶媒Q2をミスト化するミストノズル36cとを備える。流通管36aの一端は、加熱部34の容器34a内の下部に開口部を有し、貯留する溶媒Q2内に配置される。流通管36aの他端は、ポンプ36bを介してミストノズル36cに接続される。ポンプ36bは、流通管36aの開口部から容器34a内の溶媒Q2を吸引してミストノズル36cに送る。ミストノズル36cは、加熱部34の容器34a内の上部に配置され、流通管36aにより送られた溶媒Q2をミスト化して容器34a内に噴出させる。
【0027】
溶媒補充部37は、加熱部34の容器34aに貯留する溶媒Q2を補充する。溶媒補充部37は、溶媒Q2を収容するタンク37aと、補充する溶媒Q2を送り出す送液管37bとを備える。送液管37bは、一端がタンク37a内に配置され、他端が加熱部34の容器34a内に配置される。例えば、容器34aに設置された液面センサ等の出力により、容器34a内の溶媒Q2が減少した場合には、不図示の送液ポンプ等を駆動することでタンク37a内の溶媒Q2が送液管37bを介して容器34aに送られる。
【0028】
このように構成されたガス生成部31においては、昇温された不活性ガスにより、容器34aに貯留している溶媒Q2の液面から気化したガスと、ミストノズル36cから噴出されるミスト化した溶媒Q2が気化したガスとにより、容器34a内には溶媒Q2の飽和ガス(溶媒Q2を含む不活性ガス)である所定ガスGが生成される。この所定ガスGは、不活性ガス供給部35により送られる不活性ガスの供給圧力によって、供給管34bによりガス供給部32に送られる。なお、所定ガスGは、溶媒Q2が飽和していないガスであってもよい。
【0029】
また、容器34aは、ヒータ34cにより加熱されている。従って、所定ガスGは、溶媒Q2の飽和蒸気圧が高くなった状態で供給管34bを介してガス供給部32に送られる。なお、供給管34bは常温下に配置されている。従って、加熱された所定ガスGが供給管34bにおいて冷却され、供給管34bの内面に溶媒Q2を結露させることになる。すなわち、供給管34bは、所定ガスGを冷却する冷却部である。なお、供給管34bの一部に、所定ガスGを冷却するための冷却装置が設けられてもよい。所定ガスGが冷却されることで、所定ガスGとして、溶媒Q2の飽和ガスを容易かつ確実に生成することができる。また、容器34aから送り出される所定ガスGが、溶媒Q2が飽和していないガスであっても、供給管34bにより冷却されることで、溶媒Q2の飽和ガスとすることもできる。
【0030】
供給管34bにおいて結露した溶媒Q2は、不図示の排出部等から排出され、例えば、容器34a内に戻されてもよい。なお、溶媒Q2の結露は、後述する流量調整部38でも生じる場合がある。この場合も同様に流量調整部38で結露した溶媒Q2が排出され、例えば、容器34a内に戻される。また、所定ガスGの生成により容器34a内の溶媒Q2が減少した場合は、溶媒補充部37により溶媒Q2が適宜補充される。
【0031】
ガス供給部32は、
図4に示すように、流量調整部38を備える。流量調整部38は、供給管34bに接続され、ノズル受33内に供給する所定ガスGの流量を調整する。流量調整部38としては、例えば、開閉量を調整可能なバルブ等を備え、単位時間あたりの所定ガスGの流量を調整可能な構成が適用される。流量調整部38は、例えば後述する制御部50の制御により、所定ガスGの流量を調整可能である。
【0032】
ガス供給部32は、供給管34bを介して送られる所定ガスGを、流量調整部38により流量を調節してノズル受33の内部に供給する。
図5は、ガス供給部32により所定ガスGが供給される場合の一例を示す図である。
図5に示すように、ノズル受33の内部に供給される所定ガスGは、ノズル受33に溜められて、このノズル受33に配置されたノズル20の先端21における周辺領域25を所定ガスGの雰囲気にする。
【0033】
所定ガスGは溶媒Q2の飽和ガスであるため、ガス供給部32において所定ガスGが結露する場合がある。なお、ノズル受33は、内側の底面が傾斜して設けられており、傾斜した底面の下部には溶媒排出部33aが設けられている。溶媒排出部33aは、結露した溶媒Q2を排出する。排出された溶媒Q2は、廃棄されてもよいし、例えば、ガス生成部31の加熱部34における容器34aに戻されて、再利用されてもよい。
【0034】
移動装置40は、
図1及び
図2に示すように、ノズル20を移動させる。移動装置40は、ステージ10に支持される基板Sに対してノズル20をX方向に移動させることにより、基板Sとノズル20とを相対的に移動させる。また、移動装置40は、基板Sに対してノズル20をZ方向に移動させることにより、ノズル20の先端21と基板Sとのギャップを調整することができる。移動装置40は、例えばノズル20を支持しかつノズル20をZ方向に移動させる門型フレームと、この門型フレームをX方向に移動させる駆動装置とを有する構成であってもよい。移動装置40は、ノズル20を、待機位置P1、塗布位置P2にそれぞれ移動させることができる。
【0035】
制御部50は、ノズル20からの塗布液Q1の塗布動作、ノズル管理装置30の動作、及び移動装置40による動作、を制御する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置を有している。制御部50は、例えば、後述する記憶部54に記憶された各種プログラム、各種情報に基づいて、塗布装置100の各種動作を制御する。これらのプログラム、情報等は、ノズル20への塗布液Q1の供給装置、ノズル管理装置30、及び移動装置40の各動作を制御するためのプログラム、情報等を含む。制御部50は、
図1に示すように、動作制御部51と、判定部52と、指示部53と、記憶部54とを有する。
【0036】
動作制御部51は、待機位置P1でノズル20を待機させる待機動作、ノズル20の周辺領域25に所定ガスGを供給する所定ガス供給動作、及び塗布位置P2でノズル20から基板Sに塗布液Q1を塗布する塗布動作、をそれぞれ制御する。動作制御部51は、待機動作においては、移動装置40を制御してノズル20を待機位置P1で待機させる。また、動作制御部51は、所定ガス供給動作においては、ノズル管理装置30を駆動させて、溶媒Q2の飽和ガスである所定ガスGをノズル受33に供給させる。また、動作制御部51は、塗布動作においては、移動装置40を制御してノズル20を基板Sに対してX方向に移動させつつ、ノズル20への塗布液Q1の供給を制御して、先端21の開口部21aから塗布液Q1を基板Sに吐出させる。
【0037】
判定部52は、位置検出部22の検出結果に基づいて、ノズル20が待機位置P1に配置されているか否かを判定する。指示部53は、判定部52によりノズル20が待機位置P1に配置されていると配置された場合に、ノズル管理装置30を駆動させ、流量調整部38を制御してノズル受33に所定ガスGの供給を開始させる。
【0038】
なお、ノズル20の待機中は、開口部21aに続く流通路21bに塗布液Q1が溜まっている場合がある。上記した判定部52によりノズル20が待機位置P1に配置されていると判定して、ノズル受33に所定ガスGを供給させることで、
図5に示すように、開口部21aを含む周辺領域25が所定ガスGの雰囲気となる。その結果、流通路21bの塗布液Q1から溶媒が気化することを抑制している。また、開口部21aが液中にないので液体が表面張力等により流通路21bに侵入することがなく、塗布液Q1の性状が変わるのを抑制している。
【0039】
次に、上述のように構成された塗布装置100における動作を説明する。
図6は、実施形態に係る塗布装置100の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図7から
図9は、実施形態に係る塗布装置100の動作の一例を示す図である。実施形態に係る塗布装置100の制御方法では、制御部50の制御により各部が動作を行う。
図6に示すように、先ず、制御部50の動作制御部51は、ノズル管理装置30のガス生成部31において所定ガスGを生成させる(ステップST01)。
【0040】
この状態で、制御部50は、ノズル20を待機位置P1で待機させる(ステップST02)。ステップST02において、位置検出部22は、待機位置P1に移動させたノズル20を検出し、制御部50に送信する。判定部52は、位置検出部22の検出結果に基づいて、ノズル20が待機位置P1に配置されたと判定する。続いて、動作制御部51は、
図7に示すように、ガス供給部32を介してノズル受33に所定ガスGを供給し、ノズル20の周辺領域25を所定ガスGの雰囲気とする(ステップST03)。この動作により、ノズル20中の塗布液Q1から溶媒が気化することを抑制することができる。
【0041】
続いて、動作制御部51(制御部50)は、基板Sに対する塗布動作を開始するか否かを判定する(ステップST04)。動作制御部51は、例えば、不図示の基板搬送装置により基板Sがステージ10の載置面11に搬入されたことが検出された場合、基板Sに対する塗布動作を開始すると判定する。また、動作制御部51は、基板Sの搬入が検出されない場合(載置面11に基板Sがない場合)、基板Sに対する塗布動作を開始しないと判定する。なお、動作制御部51は、他のタイミングで基板Sに対する塗布動作を開始すると判定してもよい。また、基板Sに対する塗布動作の開始は、オペレータ等によるマニュアル操作により開始させてもよい。
【0042】
ステップST04において、基板Sに対する塗布動作を開始すると判定した場合(ステップST04のYES)、動作制御部51は、
図8に示すように、移動装置40によりノズル20を塗布位置P2に移動させる(ステップST05)。なお、ノズル20が塗布位置P2に移動することにより、判定部52においてノズル20が待機位置P1に配置されないと判定される。その結果、動作制御部51は、ガス供給部32からの所定ガスGの供給を停止させる(ステップS06)。すなわち、ノズル20が待機位置P1にない場合は、所定ガスGの供給を停止するので、所定ガスGが無駄に消費されるのを防止できる。
【0043】
続いて、動作制御部51は、基板Sに対して塗布動作を行わせる(ステップST07)。ステップST07において、動作制御部51は、ノズル20を塗布位置P2に移動させ、さらに、基板Sに対する開口部21aの高さを調整することで、吐出開始位置の位置合わせを行う。位置合わせを行った後、動作制御部51は、ノズル20の開口部21aから基板Sに対して塗布液Q1を吐出させつつ、移動装置40によってノズル20を-X方向に移動させ、基板Sに塗布液Q1を塗布させる。
【0044】
続いて、動作制御部51は、基板SのX方向の寸法に対応した所定距離だけノズル20を-X方向に移動させた後、ノズル20からの塗布液Q1の吐出を停止させ、移動装置40によるノズル20の移動を停止させる。このように、移動装置40により基板Sとノズル20とをX方向に相対的に移動させつつ、ノズル20から塗布液Q1を基板Sに吐出することにより、基板Sに塗布液Q1の塗膜が形成される。すなわち、1枚の基板Sに対する塗布動作が完了する。
【0045】
1枚の基板Sに対する塗布動作が完了した後、動作制御部51は、すべての基板Sに対して塗布動作が完了したか否かを判断する(ステップST08)。ステップST08について、動作制御部51は、例えば1枚の基板Sに対する塗布動作が完了する毎に塗布動作完了の回数を+1だけカウントし、カウントした回数の合計が予め設定された基板Sの枚数に到達した場合に、すべての基板Sに対して塗布動作が完了したと判断する。また、動作制御部51は、カウントした回数が予め設定された基板Sの枚数に到達していない場合には、すべての基板Sに対して塗布動作が完了していないと判断する。
【0046】
なお、ステップST08の判断手法は、上記した判断手法に限定されない。例えば塗布動作の対象となる基板Sのうち最後の基板Sがステージ10に搬入された場合に、不図示の基板搬送装置等から制御部50に対して最後の基板Sの搬送が完了した旨の信号が送信される構成であってもよい。この場合、動作制御部51は、当該信号を受信しているか否かを判定し、受信している場合に、すべての基板Sに対して塗布動作が完了したと判断してもよい。
【0047】
ステップST08において、すべての基板に対して塗布動作が完了していないと判断した場合(ステップS08のNO)、動作制御部51は、ステップST02以降の動作を繰り返し行わせる。ノズル20が再び待機位置P1に配置された場合(ステップST02)、動作制御部51は、
図9に示すように、ガス供給部32を介してノズル20の周辺領域25に再び所定ガスGを供給させ(ステップST03)、ステップS04以降の動作を行わせる。なお、
ステップST08において、すべての基板Sに対して塗布動作が完了していないと判断した場合、動作制御部51が、ステップST02以降の動作を繰り返し行わせることに限定されない。例えば、動作制御部51は、ステップST02以降の動作を繰り返し行わせてもよい。すなわち、すべての基板に対して塗布動作が完了するまではノズル20を待機位置P1に待機させず、連続して基板Sへの塗布動作を行わせてもよい。
【0048】
また、動作制御部51は、ステップST08において、すべての基板に対して塗布動作が完了したと判断した場合(ステップST08のYES)、ノズル20を待機位置P1に移動させ、ステージ10及びノズル管理装置30の各動作を停止させて、塗布装置100における動作を完了させる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、ノズル20が待機位置P1にあるときに、溶媒Q2を含む所定ガスGがノズル20の周辺領域に供給されるため、ノズル20の待機時間が長くなってもノズル20の先端21の乾燥を防止することができ、その結果、基板Sへの塗布時に塗布ムラが生じるのを防止することができる。
【0050】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係るノズル管理装置130の一例を示す図である。第1実施形態では、1種類の溶媒Q2により所定ガスGを生成する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態では、2種類の溶媒Q2、Q3により所定ガスGを生成する場合について説明する。本実施形態は、塗布液Q1が溶媒Q2、Q3を含んで生成されている場合に適用されてもよいし、塗布液Q1が溶媒Q2又は溶媒Q3の一方を含んで生成されている場合に適用されてもよい。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
【0051】
図10に示すように、ノズル管理装置130は、ガス生成部131及びガス供給部132と、を有する。ガス生成部131は、溶媒Q2及び溶媒Q3のそれぞれの飽和ガスを生成するために加熱部34、不活性ガス供給部35、ミスト生成部36及び溶媒補充部37を2セット用意されている。なお、ガス生成部131において、溶媒Q2の飽和ガスを生成するための構成と、溶媒Q3の飽和ガスを生成するための構成とが同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、容器34aを加熱するヒータ34cが一方にはあり、他方にはない構成であってもよい。また、不活性ガス供給部35は、それぞれ個別に設けられることに限定されず、1つの不活性ガス供給部35が供用されてもよい。
【0052】
上記したように、溶媒Q2の飽和ガスは、容器34aから供給管34bを介して送り出される。同様に、溶媒Q3の飽和ガスは、別の容器34aから別の供給管34bを介して送り出される。ガス供給部132は、流量調整部38と、混合部39とを備える。混合部39は、溶媒Q2の飽和ガスが送られる供給管34bと、溶媒Q3の飽和ガスが送られる供給管34bとが接続される。混合部39は、溶媒Q2の飽和ガスと溶媒Q3の飽和ガスと所望の混合比で混合して所定ガスGとする。
【0053】
溶媒Q2の飽和ガスと溶媒Q3の飽和ガスとの混合比は、例えば、溶媒Q2及び溶媒Q3の揮発性に応じて設定される。また、溶媒Q2の飽和ガスと溶媒Q3の飽和ガスとの混合比は、塗布液Q1における溶媒Q2と溶媒Q3との比に対して同一であってもよいし、異なってもよい。ガス供給部132により、溶媒Q2の飽和ガスと溶媒Q3の飽和ガスとを混合した所定ガスGがノズル受33に供給される。
【0054】
このように、第2実施形態によれば、溶媒Q2、Q3を含む所定ガスGがノズル20の周辺領域25に供給されることで、ノズル20の先端21の乾燥を防止する点は上記した第1実施形態と同様である。
【0055】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る塗布装置300の一例を示す図である。塗布装置300は、チャンバCと、ノズル管理装置230とを有する。
図11に示すように、チャンバCは、塗布装置300の各部を囲むように設けられている。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。ノズル管理装置230は、ガス生成部31と、ガス供給部232とを有する。ガス生成部31の構成については、第1実施形態と同様である。
【0056】
ガス供給部232は、ガス生成部31によって生成された所定ガスGを、チャンバC内に噴出して、チャンバC内を所定ガスGの雰囲気にする。すなわち、ガス供給部232から噴出された所定ガスGは、ノズル20の待機位置P1を含む塗布装置300の全体に供給される。従って、待機位置P1にあるノズル20の周辺領域25においても同様に所定ガスGの雰囲気とすることができる。
【0057】
このように、第3実施形態によれば、ノズル20の位置にかかわらず、ノズル20の周辺領域25に対して所定ガスGを供給することができる。なお、
図11では、待機位置P1にあるノズル20とは異なる向きに所定ガスGを噴出させているが、この構成に代えて、ガス供給部232から待機位置P1のノズル20の先端21に向けて所定ガスGを噴出させてもよい。この構成により、チャンバC内を所定ガスGの雰囲気にしつつ、所定ガスGをノズル20の周辺領域25に対して効率よく供給することができる。
【0058】
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態に係る塗布装置400の一例を示す図である。塗布装置400は、ノズル管理装置330を有する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
図12に示すように、ノズル管理装置330は、ガス生成部31及びガス供給部32に加えて、予備吐出部60を有する。ガス生成部31及びガス供給部32については、第1実施形態と同様の構成を有する。
【0059】
予備吐出部60は、ノズル20に対して塗布液Q1の予備吐出動作を行うために設けられる。予備吐出動作は、基板Sに対して塗布液Q1の吐出を行う前に、開口部21aから塗布液Q1等を予備的に吐出する動作である。予備吐出では、塗布液Q1を吐出することで、ノズル20の先端21における塗布液Q1の状態を調整する。なお、ノズル管理装置330は、例えば、予備吐出部60に代えて、又は予備吐出部60とは別にノズル20の先端21を洗浄する洗浄部を有してもよい。この洗浄部は、例えば、溶媒Q2(Q3)を貯留する洗浄槽であり、この貯留槽にノズル20の先端21部分を浸漬させて先端21を洗浄する構成であってもよい。
【0060】
制御部50は、基板Sに対する塗布動作を行わない場合、例えば、ノズル20に対して所定ガスGを供給する供給動作と、ノズル20に対して予備吐出を行う予備吐出動作とを交互に行わせてもよい。制御部50は、予備吐出動作を行わせる場合、ノズル20を予備吐出位置P3に配置し、開口部21aから塗布液Q1を吐出させる。また、ノズル管理装置330が上記した洗浄部を備える場合、例えば、ノズル20に対して所定ガスGを供給する供給動作と、ノズル20の先端21を洗浄する洗浄動作とを交互に行わせてもよい。制御部50は、洗浄動作を行わせる場合、ノズル20の先端を洗浄槽の溶媒Q2(Q3)に浸漬させる。
【0061】
このように、第4実施形態によれば、所定ガスGの供給によりノズル20の先端21を防止するだけでなく、実際に塗布液Q1をノズル20から吐出させ、又はノズル20の先端が洗浄されるので、ノズル20の待機時間が長くなってもノズル20の先端21の乾燥等をより確実に防止することができる。
【0062】
[第5実施形態]
図13は、第5実施形態に係る塗布装置500の一例を示す図である。塗布装置500は、ノズル管理装置430を有する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
図13に示すように、ノズル管理装置430は、ガス生成部31及びガス供給部432を有する。本実施形態では、ガス供給部432(ノズル受33)がX方向に移動可能となっている。ガス供給部432(ノズル受33)は、不図示の移動装置により移動し、制御部50によりその動作及び移動位置が制御される。
【0063】
ガス生成部31からガス供給部432に所定ガスGを供給させる供給管435が設けられる。供給管435は、ガス供給部432の移動に追従するように伸縮可能又は変形可能に設けられている。ガス生成部31及びガス供給部432の他の構成については、第1実施形態と同様の構成を有する。ノズル管理装置430は、基板Sへの塗布動作を行っていないノズル20の下方にガス供給部432(ノズル受33)を移動させ、この状態でガス供給部432により所定ガスGをノズル受33に供給する。その結果、ノズル20がステージ10の上方で待機する場合であっても、先端21を含む周辺領域25を所定ガスGの雰囲気とすることができる。
【0064】
このように、第5実施形態によれば、ガス供給部432がX方向に移動可能であるため、ノズル20がステージ10の上方を含む任意の位置で待機する場合でも、ノズル20の周辺領域25に対して所定ガスGを供給することができる。
【0065】
[第6実施形態]
図14は、第6実施形態に係る塗布装置600の一例を示す図である。塗布装置600は、ノズル管理装置530を有する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
図14に示すように、ノズル管理装置530は、ガス生成部31及びガス供給部32を有する。ガス生成部31及びガス供給部32の構成については、第1実施形態と同様である。本実施形態では、ノズル管理装置530がステージ10の+Y側に配置されている。また、ノズル20の待機位置P1は、ステージ10の+Y側に設定されている。待機位置P1は、X方向が長手方向となっている。このため、待機位置P1と塗布位置P2との間でノズル20を移動させる場合、Z軸周りに回動させることになる。
【0066】
このように、第6実施形態によれば、ノズル管理装置530がステージ10の+Y側に配置されているので、塗布装置600のX方向における全長を短くすることができ、例えば、X方向の設置スペースが短い場合であっても塗布装置600を設置することができる。また、待機位置P1までノズル20を回動させることで、ノズル20の交換等を行うことができ、ノズル20の交換位置と待機位置とを兼用させることができる。
【0067】
以上、実施形態及び実施例について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態においては、基板Sとノズル20とを相対的に移動させる構成として、基板Sをステージ10に載置し、移動装置40がノズル20をX方向に移動させる構成としたが、これに限定されない。例えば、ステージ10が基板Sを載置した状態でX方向に移動し、ノズル20が停止する構成であってもよい。また、ステージ10及びノズル20の両方がX方向に移動する構成であってもよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、ガス生成部31、131において、溶媒Q2、Q3を加熱部34により加熱して気化させているが、この形態に限定されない。例えば、ガス生成部31、131は、超音波又は電磁波等により溶媒Q2、Q3を気化させて所定ガスGを生成してもよい。また、上記した実施形態では、ミスト生成部36がミストノズル36cにより溶媒Q2、Q3のミストを形成しているが、この形態に限定されない。ミスト生成部36は、例えば、超音波又は電磁波等により溶媒Q2、Q3のミストを形成させてもよい。
【符号の説明】
【0069】
G・・・所定ガス
P1・・・待機位置
P2・・・塗布位置
P3・・・予備吐出位置
Q1・・・塗布液
Q2、Q3・・・溶媒
S・・・基板
10・・・ステージ
11・・・載置面
20・・・ノズル
21・・・先端
22・・・位置検出部
25・・・周辺領域
30、130、230、330、430、530・・・ノズル管理装置
31、131・・・ガス生成部
32、132、232、432・・・ガス供給部
33・・・ノズル受
34・・・加熱部
34b・・・供給管(冷却部)
34c・・・ヒータ
35・・・不活性ガス供給部
36・・・ミスト生成部
37・・・溶媒補充部
38・・・流量調整部
39・・・混合部
40・・・移動装置
50・・・制御部
51・・・動作制御部
60・・・予備吐出部
100、300、400、500、600・・・塗布装置
139・・・混合部