(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B65D5/66 301D
(21)【出願番号】P 2019112178
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】小平 健太
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00519389(EP,A1)
【文献】特開平07-232708(JP,A)
【文献】特開2005-047620(JP,A)
【文献】特開2013-133145(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183806(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱と、
前記包装箱に収容される、少なくとも1つの物品と、
を備え、
前記包装箱は、
上部開口及び下部開口を有し、前記物品を収容可能な箱本体と、
前記上部開口を開閉可能に塞ぐ上蓋部と、
前記上部開口に設けられたヘッダー部と、
前記下部開口を塞ぐ下蓋部と、
を備え、
前記箱本体は、対向する第1面及び第2面と、対向する第3面及び第4面とで構成された角筒状に形成され、
前記箱本体の上部開口は、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面の上端をそれぞれ構成する第1辺、第2辺、第3辺、及び第4辺によって矩形状に形成され、
前記上蓋部は、
前記第1辺に折り曲げ可能に連結され、前記上部開口を塞ぐ上蓋フラップと、
前記上蓋フラップの先端に折り曲げ可能に連結され、前記第2面に接するように前記上部開口に差し込まれる差込フラップと、
前記第3辺及び第4辺のそれぞれに、折り曲げ可能に連結された一対の横フラップと、
を備え、
前記物品が前記下蓋部に設置された状態で前記包装箱に収容されたとき、前記物品の上端と前記上蓋部との間に高さ方向に第1長さのクリアランスが形成され、
前記差込フラップは、少なくとも1つの凹部を備え、
前記凹部が形成されている箇所の前記上部開口への差込長さが、前記第1
長さよりも短
く、
前記凹部が、前記差込フラップの中央付近に1つ形成され、
前記差込フラップにおける前記凹部の両側が、突状部を形成しており、
前記ヘッダー部は、前記第2辺に連結され、上方に突出する第1ヘッダー板と、前記第1ヘッダー板の上縁に折り曲げ可能に連結されており、前記上部開口に差し込まれる第2ヘッダー板とを有し、
前記差込フラップが前記上部開口に差し込まれるとき、前記差込フラップにおいて前記凹部が形成されている部分は前記第2ヘッダー板と接触せず、前記突状部のみが前記第2ヘッダー板と接触する、
包装体。
【請求項2】
前記凹部の前記第1辺の方向の長さが、前記第1辺の長さの50%以上である、請求項
1に記載の包装体。
【請求項3】
前記凹部の両端縁は、曲線により凹状に形成されている、請求項
1または
2に記載の包装体。
【請求項4】
前記物品が、前記第3面または前記第4面のいずれか一方の面、及び前記第2面に接する位置に配置されたとき、
前記物品において前記第2面に接触する接触位置と、前記一方の面との間に隙間が形成されるように、前記物品が形成されている、請求項
1から
3のいずれかに記載の包装体。
【請求項5】
前記物品の上端の平面形状が、円形状、楕円状である、請求項
4に記載の包装体。
【請求項6】
前記突状部の前記第1辺に沿う長さが、前記接触位置と前記一方の面との間の長さよりも短く形成されている、請求項
4に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収容するために、紙やプラスチックなどのシート材で形成された包装箱が利用されている。例えば、特許文献1に記載の包装箱は、正面部、背面部、及び一対の側面部を有する角筒状の箱本体を備えており、本体部の上部開口及び下部開口は、それぞれ上蓋部及び下蓋部により塞がれている。そして、上部開口は、箱本体の背面部の上端縁に折り曲げ可能に連結される上蓋フラップと、この上蓋フラップの先端に折り曲げ可能に連結される差込フラップと、を備えている。上蓋フラップは、上部開口と同じ形状に形成され、差込フラップは、上蓋フラップが上部開口を閉じたときに、箱本体の背面部の内面側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような包装箱では、上蓋部を閉じるとき、差込フラップが商品の上端部に干渉するおそれがあり、これによって差込フラップが差し込みにくいという問題があった。特に、上蓋部を上蓋フラップ及び差込フラップを機械で折り曲げながら、閉じる場合には、機械の調整が難しいという問題があった。
【0005】
これを解決するため、差込フラップが商品に干渉しないように包装箱の上蓋部と商品との間にクリアランスを設けることもできるが、このようにすると、包装箱の高さが高くなり、包装箱が大型化するという問題が生じる。これに対して、差込フラップを短くし、クリアランスも小さくすることも考えられるが、そのようにすると、差込フラップと箱本体との接触面積が小さくなり、上蓋部が開いてしまうおそれがある。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、差込フラップを容易に差し込むことができる、包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装体は、包装箱と、前記包装箱に収容される、少なくとも1つの物品と、を備え、前記包装箱は、上部開口及び下部開口を有し、前記物品を収容可能な箱本体と、前記上部開口を開閉可能に塞ぐ上蓋部と、前記下部開口を塞ぐ下蓋部と、を備え、前記箱本体は、対向する第1面及び第2面と、対向する第3面及び第4面とで構成された角筒状に形成され、前記箱本体の上部開口は、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面の上端をそれぞれ構成する第1辺、第2辺、第3辺、及び第4辺によって矩形状に形成され、前記上蓋部は、前記第1辺に折り曲げ可能に連結され、前記上部開口を塞ぐ上蓋フラップと、前記上蓋フラップの先端に折り曲げ可能に連結され、前記第2面に接するように前記上部開口に差し込まれる差込フラップと、前記第3辺及び第4辺のそれぞれに、折り曲げ可能に連結された一対の横フラップと、を備え、前記物品が前記下蓋部に設置された状態で前記包装箱に収容されたとき、前記物品の上端と前記上蓋部との間に高さ方向に第1長さのクリアランスが形成され、前記差込フラップは、少なくとも1つの凹部を備え、前記凹部が形成されている箇所の前記上部開口への差込長さが、前記第1の長さよりも短い。
【0007】
この構成によれば、包装箱に物品が収容されたとき、物品の上端と上蓋部との間に第1長さのクリアランスが形成され、且つ、包装箱の上部開口に差し込まれる差込フラップに凹部が形成され、凹部が形成されている箇所の上部開口への差込長さが第1長さよりも短く形成されている。そのため、差込フラップを上部開口に差し込んだとき、凹部が形成されている箇所は、物品に接触しないようになっている。したがって、差込フラップを差し込むときに、差込フラップと物品との干渉を低減することができるため、差込フラップを容易に差し込むことができる。
【0008】
また、差込フラップと物品との干渉を防止するために、包装箱の高さを不要に高くする必要がないため、包装箱をできるだけ小さくすることができる。
【0009】
差込フラップにおいて、凹部が形成されている以外の箇所は、上部開口への差込長さが長く、第2面との接触面積が確保されるため、差込フラップが上部開口から離脱するのを抑制することができる。
【0010】
差込フラップが上部開口に差し込まれるとき、差込フラップの先端は第2面に接触しつつ、差し込まれるが、このとき、凹部が形成されていない場合と比べ、差込フラップの先端と第2面との接触長さを短くすることができる。すなわち、凹部が形成されている部分は第2面と接触しないため、差込フラップと第2面との摩擦を低減することができる。その結果、差込フラップを容易に差し込むことができる。
【0011】
上記包装体においては、前記凹部が、前記差込フラップの中央付近に1つ形成され、前記差込フラップにおける前記凹部の両側が、突状部を形成するように構成することができる。
【0012】
この構成によれば、凹部が差込フラップの中央付近に形成されているため、包装箱の第2辺の中央付近での物品と差込フラップとの干渉を低減することができる。すなわち、物品が最も配置されやすい箇所において、差込フラップと物品との干渉を抑制することができるため、差込フラップをさらに差し込みやすくすることができる。
【0013】
上記包装体において、前記凹部の前記第1辺の方向の長さは特には限定されないが、例えば、前記第1辺の長さの50%以上とすることができる。これにより、差込フラップと物品との干渉をさらに低減することができる。
【0014】
上記包装体において、前記凹部の両端縁は、前記上蓋フラップ側に凸となるような曲線状に形成することができる。
【0015】
差込フラップは、凹部が形成されている箇所では、物品と干渉しないが、その両側においては物品と干渉する可能性がある。そこで、凹部の両端縁を、上蓋フラップ側に凸となるような曲線状に形成することで、差込フラップの差込中に、凹部の両側縁を物品となめらかに接触させることができる。したがって、物品と差込フラップとが干渉しても、差込フラップを差し込みやすくすることができる。
【0016】
上記包装体においては、前記物品が、前記第3面または前記第4面のいずれか一方の面、及び前記第2面に接する位置に配置されたとき、前記物品において前記第2面に接触する接触位置と、前記一方の面との間に隙間が形成されるように、前記物品を形成することができる。
【0017】
この構成によれば、物品において前記第2面に接触する接触位置と、一方の面との間に隙間が形成されるように、物品が形成されているため、この隙間に突状部を差し込むことができる。これにより、物品と突状部とが干渉しないか、あるいは干渉を小さくできるため、差込フラップをさらに差し込みやすくすることができる。
【0018】
上記包装体においては、前記物品の上端の平面形状を、円形状または楕円状にすることができる。
【0019】
この構成によれば、物品の上端の平面形状が円形状または楕円状であるため、上述した隙間と対応する物品の縁部の形状を曲線状にすることができる。これにより、突状部が物品の縁部に接したとしても、曲線に沿って差し込むことができるため、差込フラップを容易に差し込むことができる。
【0020】
上記包装体においては、前記突状部の前記第1辺に沿う長さを、前記接触位置と前記一方の面との間の長さよりも短く形成することができる。
【0021】
この構成によれば、突状部を隙間に対して接触することなく差し込むことができる。したがって、差込フラップをさらに容易に差し込むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る包装箱によれば、差込フラップを箱本体の上部開口に差し込みやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装体の斜視図である。
【
図3】
図1の包装箱の上蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の包装箱の背面部の内壁面を前方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る包装体の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は包装体の斜視図である。
図1に示すように、この包装体は、円柱状の2つの商品(物品)1,2と、これら物品を収容する包装箱3と、を備えている。以下、各部材について詳細に説明する。なお、以下では、
図1に示す方向を基準に説明を行うが、本発明に係る包装体は、この方向には限定されずに構成することができる。
【0025】
<1.包装箱の概要>
図2は包装箱の展開図である。
図1に示すように、本実施形態に係る包装箱は、上下方向に長い縦長の直方体であり、商品1,2が収容される角筒状の箱本体4を備えている。そして、箱本体4の下部開口にはいわゆるワンタッチ底により下蓋部5が形成されており、上部開口には上蓋部6及びヘッダー部7が設けられている。まず、
図2を参照しつつ、この包装箱の展開図について説明する。以下の説明では、説明の便宜上、
図2の横方向を幅方向、上下方向を縦方向と称して説明を行うことがある。
【0026】
本実施形態に係る包装箱は、
図2に示すように展開することができ、プラスチック、紙などの変形可能な薄板状の材料で形成されている。この包装箱の箱本体4は、
図2の右から左へ、矩形状に形成された第1側面部41、正面部42、第2側面部43、及び背面部44が、この順で連結されている。これら各部の連結部分はそれぞれ折り曲げ可能となっている。また、背面部44の左側の辺には、のりしろ部45が折り曲げ可能に連結されており、箱本体4が組み立てられるときには、のりしろ部45が第1側面部41の背面に接着される。なお、
図2においては、折り曲げ線を細線で表している。
【0027】
正面部42は、包装箱の正面を向く面であり、例えば、商品の名称などが表示されている。一方、背面部44は、正面部42と同じ大きさに形成され、包装箱が組み立てられたときには、正面部42と対向する位置に配置される。そして、背面部44には、例えば、商品の使用方法、成分表,会社名などが表示される。第1側面部41及び第2側面部43は、同じ大きさに形成され、第1側面部41が正面部42に向かって右側に配置され、第2側面部43は第1側面部41と対向する位置、つまり正面部42に向かって左側に配置される。そして、箱本体4の上部開口401及び下部開口402は、長方形状に形成されている。なお、正面部42を包装箱3の背面、背面部44を包装箱3の正面として用いることもでき、それに合わせた表示を適宜行うことができる。
【0028】
次に、ヘッダー部7について説明する。
図1に示すように、ヘッダー部7は、箱本体4の上端から上方に突出しており、吊り掛け孔70が形成されている。この吊り掛け孔70に、陳列棚の吊り掛け棒を挿通することで、包装体を吊り掛ける。ヘッダー部7は、板状に形成された第1ヘッダー板71及び第2ヘッダー板72とで構成されている。第1ヘッダー板71は、背面部44の上縁から上方に突出しており、背面部44と同じ幅の矩形状に形成されている。また、第2ヘッダー板72は、第1ヘッダー板71の上縁に折り曲げ可能に連結されており、第1ヘッダー板71と同じ幅の矩形状に形成されている。但し、第2ヘッダー板72の上下方向の長さは、第1ヘッダー板71よりも長くなっている。そのため、包装箱3が組み立てられるとき、第2ヘッダー板72が、第1ヘッダー板71と重なるように折り曲げられると、箱本体4の上部開口401から、その内部へと挿入されるようになっている。また、第1ヘッダー板71及び第2ヘッダー板72には、それぞれ貫通孔711,721が形成されており、両ヘッダー板71,72が重ね合わせられたときに、両貫通孔711,721が一致し、上述した吊り掛け孔70を形成するようになっている。
【0029】
続いて、上蓋部6について、
図3も参照しつつ説明する。
図3は上蓋部が開いた状態を示す斜視図である。上蓋部6は、正面部42の上端縁(第1辺)に折り曲げ可能に連結された矩形状の上蓋フラップ61、この上蓋フラップ61の先端に折り曲げ可能に連結された差込フラップ62、第1側面部41及び第2側面部43の上辺にそれぞれ折り曲げ可能に連結された第1上部横フラップ63、及び第2上部横フラップ64で構成されている。
【0030】
上蓋フラップ61は、箱本体4の上部開口401とほぼ同じ大きさの矩形状に形成されている。なお、後述するように、差込フラップ62の抜け止めのためには、上部開口401よりも前後方向の長さ(正面部42と背面部44との間の長さ)がやや短い形状が好ましい。また、差込フラップ62は、上蓋部6が箱本体4の上部開口401を閉じたとき、上部開口401に、上述した第2ヘッダー板72と重なるように差し込まれる。
【0031】
図2に示すように、差込フラップ62は、幅方向に延びる帯状に形成されており、上端の両側が円弧状に形成されている。また、上端の中央には幅方向に延びる凹部65が形成されている。凹部65は、幅方向に直線状に延びる底縁部651と、底縁部651の両端から上方に向かって延びる一対の側縁部652とで構成されている。側縁部652は、底縁部651の両側から下側に凸の円弧状に延び(曲線による凹状に形成されている)、差込フラップ62の先端縁に連結されている。また、側縁部652と差込フラップ62の先端縁との連結部分も円弧状に形成されている。そして、このような凹部65が形成されることで、差込フラップ62の両端には、凹部65の両側に突状部653が形成される。ここで、凹部65の幅D1は、側縁部652の上端間の距離を示し、この幅D1は、差込フラップ62の基端部(上蓋フラップとの連結部分)の幅D2の50%~90%上であることが好ましく、70%~80%であることがさらに好ましい。これは、幅D1が50%以上であることで、後述するように、差込フラップ62と商品1,2との干渉の低減効果が大きくなり、90%以下とすることで、差込フラップ62が上部開口401から簡単に離脱するのを防止することができるからである。
【0032】
また、差込フラップ62において、凹部65が形成されている箇所の差込長さをH1と規定する。差込長さH1とは、差込フラップ62の基端部と、凹部65の底縁部651との距離である。また、底縁部651の両端6511,6512と、差込フラップの両側との距離をK1,K2と規定する。この距離K1,K2は、突状部653の幅と規定することもできる。
【0033】
第1上部横フラップ63は、第1側面部41の上縁に折り曲げ可能に連結され、第2上部横フラップ64は、第2側面部43の上縁に折り曲げ可能に連結されている。これら両横フラップ63,64は、同じ大きさの矩形状に形成されている。第1上部横フラップ63の幅は、第1側面部41の上辺とほぼ同じであり、第1側面部41からの突出長さは、正面部42の幅の半分よりやや短い長さである。第2上部横フラップ64も同様である。
【0034】
続いて、下蓋部5について説明する。下蓋部5は、いわゆるワンタッチ底により形成されている。具体的には、
図2に示すように、正面部42の下端縁に折り曲げ可能に連結された第1大フラップ51、背面部44の下端縁に折り曲げ可能に連結された第2大フラップ52、第1側面部41の下端縁に折り曲げ可能に連結された第1小フラップ53、及び第2側面部43の下端縁に折り曲げ可能に連結された第2小フラップ54、により構成されている。両大フラップ51、52は、矩形状のフラップ本体511、521を備えており、このフラップ本体511、521の一方の辺(以下、折り曲げ辺という)512,522には折り曲げ可能に三角形状の糊しろ513,523が連結されている。各糊しろ513,523は、隣接する小フラップ53,54に接着されるようになっている。また、各フラップ本体511,521の中央付近には、凹部514、524が形成されており、これら凹部514,524同士が係合することで、両フラップ本体511,521同士が固定されるようになっている。一方、両小フラップ53,54は、台形状に形成されている。
【0035】
<2.商品>
次に、商品1,2について、
図4~
図6も参照しつつ説明する。
図4は商品が収容された包装箱の縦断面図、
図5は前方から背面板の内壁面を見た図、
図6は
図1の横断面図である。本実施形態に係る商品1,2は、
図1に示すように、円柱状に形成されている。ここでは説明の便宜上、左側に配置される商品を第1商品1、右側に配置される商品を第2商品2と称することとする。まず、
図4に示すように、両商品1,2が包装箱3に収容されたとき、両商品1,2の底面が下蓋部に設置される。このとき、両商品1,2の上端と上蓋部6との間には、上下方向の長さがH2(第1長さ)の隙間が形成されている。この長さH2は、差込フラップ62の凹部65が形成されている箇所の差込長さH1よりも長くなっている。このように商品1,2と包装箱3の高さが規定されているため、
図4及び
図5に示すように、商品1,2の上端部には、凹部65は干渉しないようになっている。また、
図4に示すように、折り曲げられた第2ヘッダー板72の下端部は、凹部65の底縁部651とほぼ同じ位置まで延びており、これによって、第2ヘッダー板72も商品1,2の上端部に干渉しないようになっている。
【0036】
図6に示すように、2つの商品1,2の外径の合計の長さは、包装箱3の幅よりも小さく形成されている。したがって、商品1,2は包装箱3の中で、幅方向に移動可能となっている。但し、包装箱3の前後方向の長さ(正面部42と背面部44との距離)は、商品1,2の外径とほぼ同じになっているため、包装箱3内で、商品1,2が前後方向に移動するのは規制されている。
【0037】
また、第1商品1は断面円形に形成されているため、背面部44と第2側面部43に接したときには、背面部44との接点Eと第2側面部43との間に、幅方向の長さがS1の平面視三角形状の隙間C1が形成される。同様に、第2商品2も断面円形に形成されているため、背面部44と第1側面部41に接したときには、背面部44との接点Fと第1側面部41との間に幅方向の長さがS2の平面視三角形状の隙間C21が形成される。そして、これら隙間C1,C2の幅S1,S2は、上述した差込フラップの突状部の幅K1,K2よりも広くなっている。したがって、差込フラップ62が上部開口401に差し込まれるとき、突状部653は、商品1,2の側面に干渉することなく、差し込まれる。
【0038】
<3.包装箱の組立>
次に、上記のように構成された包装箱の組み立てについて、
図7及び
図8も参照しつつ説明する。
図7は商品が収容された包装箱の断面図、
図8は上蓋部を閉じる様子を示す斜視図である。なお、
図8では、第1上部横フラップ63及び第2上部横フラップ64を省略している。まず、
図2のように展開された状態から箱本体4を組み立てる。具体的には、各部41~45の連結部分を折り曲げ、のりしろ部45を第1側面部41の内壁面に接着することで、角筒状に形成する。このとき、第2ヘッダー板72も折り曲げられ、上部開口401から箱本体4の内部に挿入する。
【0039】
次に、箱本体4の下部開口402を閉じる下蓋部5を組み立てる。まず、第1大フラップ51の折り曲げ辺512を折り曲げつつ、糊しろ513を、これと隣接する第1小フラップ53に接着する。このとき、第1大フラップ51の折り曲げ辺512と、第1小フラップ31の斜辺とを一致させる。同様に、第2大フラップ52の折り曲げ辺522を折り曲げつつ、糊しろ523を、これと隣接する第2小フラップ54に接着する。このとき、第2大フラップ52の折り曲げ辺522と、第2小フラップ54の斜辺とを一致させる。この状態で、すべてのフラップが同一平面に位置するように移動させると、第1大フラップ51の凹部514と第2大フラップ52の凹部524とが係合し、下部開口102を塞ぐ長方形状の下蓋部5が形成される。
【0040】
これに続いて、箱本体4の上部開口101から、第1及び第2商品1,2を箱本体4の内部空間へ収容する。次に、箱本体4の上部開口401を閉じる上蓋部6を組み立てる。まず、両上部横フラップ63,64を折り曲げた後、上蓋フラップ61及び差込フラップ62を折り曲げる。そして、
図7及び
図8に示すように、差込フラップ62の先端をヘッダー部7に沿わせながら、上蓋フラップ61を折り曲げ、差込フラップ62を上部開口401に差し込む。このとき、差込フラップ62は、突状部653のみがヘッダー部7に接しつつ、差し込まれていく。こうして、上蓋フラップ61によって上部開口401が閉じられ、包装箱3の組み立てが完了する。
【0041】
<4.特徴>
本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)包装箱に商品1,2が収容されたとき、商品1,2の上端と上蓋部6との間に長さがH2のクリアランスが形成され、且つ、包装箱3の上部開口401に差し込まれる差込フラップ62に凹部65が形成され、凹部65が形成されている箇所の上部開口401への差込長さH1がH2よりも短く形成されている。そのため、差込フラップ62を上部開口401に差し込んだとき、凹部65が形成されている箇所は、商品1,2に接触しないようになっている。したがって、差込フラップ62を差し込むときに、差込フラップ62と商品1,2との干渉を低減することができるため、差込フラップ62を容易に差し込むことができる。
【0042】
(2)差込フラップ62と商品1,2との干渉を防止するために、包装箱3の高さを不要に高くする必要がないため、包装箱3をできるだけ小さくすることができる。
【0043】
(3)差込フラップ62において、凹部65が形成されている以外の箇所、つまり突状部653は、上部開口401への差込長さが長く、ヘッダー部7や背面部44との接触面積が確保されるため、差込フラップ62が上部開口401から離脱するのを抑制することができる。なお、突状部653の差込長さは、例えば、15~20mm程度であることが好ましい。
【0044】
(4)差込フラップ62が上部開口401に差し込まれるとき、差込フラップ62の先端はヘッダー部7に接触しつつ、差し込まれるが、このとき、凹部が形成されていない場合と比べ、差込フラップ62の先端とヘッダー部7との接触長さを短くすることができる。すなわち、
図8に示すように、差込フラップ62において、凹部65が形成されている部分はヘッダー部7と接触せず、突状部653のみがヘッダー部7と接するため、差込フラップ62とヘッダー部7との摩擦を低減することができる。その結果、差込フラップ62を容易に差し込むことができる。
【0045】
(5)本実施形態では、
図6に示すように、商品1,2と包装箱3との隙間C1,C2の幅S1,S2を差込フラップ62の突状部653の幅K1,K2よりも大きくしているため、差込フラップ62を差し込むときに、突状部653が商品1,2に接しないようになっている。したがって、差込フラップ62を容易に差し込むことができる。なお、商品1,2の上端が円形であるため、
図6に示すように、隙間C1,C2を構成する商品1,2の縁部は、円弧状に形成されている。したがって、仮に突状部653が商品1,2に干渉したとしても、突状部653が円弧状の縁部に沿って差し込まれるため、スムーズに差し込まれるようにすることができる。特に、突状部653の側縁、つまり凹部65の側縁部652は上蓋フラップ61側に凸の円弧状に形成されているため(曲線による凹状に形成されている)、商品1,2との干渉を和らげることができ、差込をよりスムーズに行うことができる。
【0046】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0047】
(1)商品1,2の形状は特には限定されず、上記実施形態のように円柱状のほか、
図9に示すように、上端の平面形状が、正方形状(a)、多角柱状(b)、菱形状(c)、楕円状(d)等、種々の形状にすることができる。但し、
図9(b)~
図8(d)に示すように、側面部41、43と商品1、2の間に隙間が形成される形状であれば、突状部653が挿入されやすいため好ましく、さらには
図9(d)に示すように、商品1、2の外縁が曲線によって形成されていれば、突状部653との干渉を和らげることができるため、さらに好ましい。
【0048】
また、包装箱3に収容される商品の数も特には限定されず、1個、または3個以上であってもよい。さらに、複数の商品の形状は同じでなくてもよい。また、
図6に示すように、商品1,2は幅方向に移動可能に配置されてもよいし、包装箱3の幅方向の大きさを調整して、幅方向に移動できないようにすることもできる。このように、包装箱3の幅方向及び前後方向の大きさは、適宜調整することができる。
【0049】
(2)差込フラップ62の凹部65の形状は特には限定されず、商品1、2との干渉を低減できるように、差込フラップ62の幅方向のいずれかに形成されていればよい。但し、差込フラップ62の幅方向の中央付近に形成されることが好ましい。また、凹部65の数も特には限定されず、複数形成されていてもよい。
【0050】
(3)下蓋部5の形態は特には限定されず、下部開口402を閉じることができればよい。したがって、例えば、上蓋部6と同様に構成することもできる。
【0051】
(4)ヘッダー部7は必ずしも必要ではなく、必要に応じて適宜設ければよい。
【符号の説明】
【0052】
1,2 商品(物品)
3 包装箱
4 箱本体
401 上部開口
402 下部開口
41 第1側面部(第3面)
42 正面部(第1面)
43 第2側面部(第4面)
44 背面部(第2面)
5 下蓋部
6 上蓋部
61 上蓋フラップ
62 差込フラップ
65 凹部
653 突状部