(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L33/48
(21)【出願番号】P 2022154961
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2018182778の分割
【原出願日】2018-09-27
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】阪本 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 昭
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0284641(US,A1)
【文献】特開2017-120889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の上面に配置された第1壁部と、
前記第1壁部の上面に配置された第2壁部と、
前記第1壁部の側面と前記第2壁部の側面を内側面とし、前記基体の上面を底面とする凹部と、
前記凹部の底面に実装される発光素子と、
前記凹部に配置される封止部材と、を備え、
前記第1壁部の上面は、前記発光素子の上面よりも低
く、
前記第1壁部の上面は、第1面と、前記第1面よりも下に位置する第2面と、を有し、
前記第2壁部は、前記第2面上に配置されている発光装置。
【請求項2】
基体と、
前記基体の上面に配置された第1壁部と、
前記第1壁部の上面に配置された第2壁部と、
前記第1壁部の側面と前記第2壁部の側面を内側面とし、前記基体の上面を底面とする凹部と、
前記凹部の底面に実装される発光素子と、
前記凹部に配置される封止部材と、を備え、
前記第1壁部の上面は、前記発光素子の上面よりも低
く、
前記封止部材は、蛍光体を含有する樹脂を含み、
前記第1壁部は、光反射性物質を含む発光装置。
【請求項3】
前記基体は、支持部と電極部を有し、
前記発光素子は、前記電極部上に配置される、
請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1壁部は、前記電極部上に配置される
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1壁部は、前記基体の上面に平行な上面を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2壁部は、光反射性物質を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子を用いた発光装置は高い発光効率を容易に得られることもあり、ディスプレイ等のバックライトおよび照明装置等の多くの機器で用いられている。発光装置の小型化を図るため、発光素子の実装後に発光素子を囲む光反射性樹脂を形成する発光装置の製造方法が知られている。例えば、基板上のLED素子を透光性樹脂で覆う第1の工程と、透光性樹脂の硬化後にLED素子の中間部の透光性樹脂をダイシングブレードにより除去する第2の工程と、第2の工程によって形成された溝部に光反射性樹脂を充填する第3の工程と、光反射性樹脂の硬化後にLED素子の周囲に光反射性樹脂を残すように基板を切断して個々の発光ダイオードに分離する第4の工程とを含む発光ダイオードの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の製造方法では、溝を形成する際のブレードの摩耗により光反射性樹脂壁の形状が変化する虞がある。そこで本開示では、小型化が可能な構成を有する発光装置を効率的に製造できる製造方法並びに小型化が可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、例えば、次の手段により解決することができる。
【0006】
基体と、前記基体の上面に形成された第1壁部と、前記第1壁部の側面を内側面とし、前記基体の上面を底面とする凹部と、を備える基板を準備する工程と、
前記凹部の底面に発光素子を実装する工程と、
前記発光素子と前記第1壁部を覆う封止部材を設ける工程と、
前記第1壁部上の前記封止部材を除去することにより、前記封止部材の上面から前記第1壁部に達する溝部を形成する工程と、
前記溝部内に第2壁部を設ける工程と、
前記第2壁部を含む位置で前記第2壁部及び前記基板を切断する工程と、を有する発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
上記の製造方法によれば、小型化が可能な構成を有する発光装置を効率的に製造することができる。また、上記の発光装置によれば、発光装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施形態1の製造方法が有する基板を準備する工程を説明する模式的断面図である。
【
図1B】実施形態1の製造方法が有する発光素子を実装する工程を説明する模式的断面図である。
【
図1C】実施形態1の製造方法が有する封止部材を設ける工程を説明する模式的断面図である。
【
図1D】実施形態1の製造方法が有する溝部を形成する工程を説明する模式的断面図である。
【
図1E】実施形態1の製造方法が有する第2壁部を設ける工程を説明する模式的断面図である。
【
図1F】実施形態1の製造方法が有する第2壁部及び基板を切断する工程を説明する模式的断面図である。
【
図2A】実施形態1に係る発光装置を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1に係る発光装置1の製造方法]
図1A乃至
図1Fは実施形態1に係る発光装置1の製造方法を説明する模式的断面図である。
図1A乃至
図1Fに示すように、実施形態1に係る発光装置1の製造方法は、基体13と、基体13の上面に形成された第1壁部11と、第1壁部11の側面を内側面とし、基体13の上面を底面とする凹部Xと、を備える基板10を準備する工程と、凹部Xの底面に発光素子20を実装する工程と、発光素子20と第1壁部11を覆う封止部材30を設ける工程と、第1壁部11上の封止部材30を除去することにより、封止部材30の上面から第1壁部11に達する溝部Yを形成する工程と、溝部Y内に第2壁部12を設ける工程と、第2壁部12を含む位置で第2壁部12及び基板10を切断する工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
【0010】
(基板10を準備する工程)
まず、
図1Aに示すように、基体13と第1壁部11とを備える基板10を準備する。第1壁部11は基体13の上面にあらかじめ形成されている。基板10が基体13と第1壁部11を備えることにより、基板10は第1壁部11の側面を内側面とし、基体13の上面を底面とする凹部Xを備える。なお、第1壁部11が基体13の上面に形成されている場合には、第1壁部11の下面が基体13の上面に接している場合のほか、第1壁部11の下面と基体13の上面との間に両者を接着する接着剤が介在している場合や、後述のように、第1壁部11と基体13とが一体に形成されている場合を含む。
【0011】
基体13は、例えば支持部131と電極部132を有する。基体13が支持部131と電極部132を有する場合は、支持部131の上面及び/又は電極部132の上面が基体13の上面となる。
【0012】
支持部131は、電極部132を支持する部であり、例えば、樹脂成形体、セラミックス、ガラスエポキシ等の絶縁性部材、表面に絶縁性部材を形成した金属部材等を用いて作製されている。
【0013】
電極部132は、凹部Xの底面に実装される発光素子20と電気的に接続される部であり、例えば、銅、鉄、銀、金、アルミニウムなど及びこれらの合金を用いてなる。特に、銅を主材とするものは熱伝導率や強度などの観点から電極部132として好ましく用いることができる。
【0014】
電極部132は、少なくともその一部が凹部Xの底面において露出する。凹部Xの底面に露出する電極部132の表面には、光反射性部材及び/又はダイボンド部材との接合性を高めるために、金、銀などのメッキ処理を施すようにしてもよい。この場合、電極部132は、前述した材料よりなる下地層とメッキ層とを有する。後述する溝部Yは第1壁部11には達するが基体13には達しないため、溝部Yの形成により、メッキが剥がれて電極部132の下地層が露出することはない。ゆえに、メッキ処理を施せば、下地層が銅等の比較的酸化しやすい金属層を備える場合であっても、下地層が露出して電極部132が酸化することが効果的に防止される。なお、メッキ処理に用いられる金属は、メッキ処理を施す目的に応じて、言い換えればメッキ処理を施す領域に応じて異なるようにしてもよい。
【0015】
第1壁部11の上面は、凹部Xの底面に実装される発光素子20の上面よりも低いことが好ましい。このようにすれば、後述の発光素子20を実装する工程において、各種器具が、第1壁部11に接触しにくくなるため、凹部Xの底面(つまり平面視において第1壁部11で囲まれた領域内)における発光素子20の実装可能領域を大きくすることができる。各種器具とは、例えば、キャピラリやジグなどの発光素子20を保持する器具や、ワイヤボンディングを行う際に用いる、発光素子20と基板10(具体的には凹部Xの底面に露出する電極部132)とを電気的に接続させる器具などをいう。上面が低いかどうかは、例えば、基板10の上下方向における、基体13の上面(凹部Xの底面)からの長さにより判断することができる。
【0016】
凹部Xの数は1つであってもよいし、複数であってもよい。凹部Xは基板10の上側に向けて開口している。凹部Xの内側面は、凹部Xの開口が凹部Xの底面より大きくなるように、外側に向かって傾斜する傾斜面Pを備えることが好ましい。つまり、第1壁部11の断面視形状としては、半円形状、半楕円形状、多角形等が挙げられるが、なかでも、台形状、半円形状であることが好ましい。このようにすれば、第1壁部11の上面が発光素子20の上面より高い場合であっても、また低い場合にはより一層、上述した各種の器具が第1壁部11に接触しにくくなる。ゆえに、発光素子20の実装可能領域をさらに大きくすることができる。
【0017】
第1壁部11は、基板10が凹部Xを有するものとなる形状に形成されていればよく、例えば、基体13の上面に平面視で格子状に形成されている。この場合、第1壁部11は、例えば、平面視において、行方向に伸びる複数の壁部と、列方向に伸びる複数の壁部と、を有し、前者の壁部と後者の壁部が垂直(垂直とみなせる場合を含む。)に交差するよう形成されている。このような格子状の第1壁部11を設ければ、大きさや形状(凹部Xの内部空間や開口面積など)などが均一(均一とみなせる場合を含む。)である複数の凹部Xを、基体13の上面におけるスペースを無駄にすることなく、基体13上に容易に形成することができる。
【0018】
第1壁部11の材料としては、絶縁性材料を用いることができる。例えば、セラミック、樹脂、誘導体、バルプ、ガラス、または複合材料等が挙げられる。樹脂としては、当該分野で使用されているものであればどのようなものを用いてもよい。具体的には、エポキシ樹脂、トリアジン誘導体エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。第1壁部11は、基体13(特に支持部131。以下、本段落において同じ。)と別の材料で形成されていてもよいが、第1壁部11と基体13との密着性が優れるよう、基体13と同じ材料で基体13と一体に形成されていることが好ましい。このように、第1壁部11と基体13が一体に形成される場合であっても、本実施形態では、基体13と第1壁部11とを概念的に分離して理解し、基体13の上面に第1壁部11が形成されているものとみなす。
【0019】
第1壁部11の側面(つまり凹部Xの内側面)は高い光反射率を有していることが好ましい。これにより、簡単に、発光素子20を収容する凹部Xの光反射率を高めることができる。第1壁部11が高い光反射率を有する場合としては、セラミックや樹脂などを第1壁部11として用いる場合のように第1壁部11の材料そのものが高い光反射率を有する場合のほか、第1壁部11の材料に光反射性物質を含有させることにより、第1壁部11が高い光反射率を有する場合を含む。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、ガラスフィラー等が挙げられる。
【0020】
本実施形態では、本工程により、基体13の上面に第1壁部11があらかじめ形成されている基板10を準備するものとする。ただし、まず第1壁部11を備えない基体13を配置し、ついでこの基体13に第1壁部11を配置することにより本工程による準備を行うことも可能である。
【0021】
第1壁部11と基体13との密着性及び/又は製造法定の簡略化の観点から、基板10には、リードフレームと樹脂部材とが一体成型された樹脂成形体付リードフレームを用いることが好ましい。この場合、リードフレームが電極部132となり、樹脂部材が支持部131と第1壁部11とになる。このような樹脂成形体付リードフレームを用いれば、電極部132、支持部131、及び第1壁部11を一体成型することができる。樹脂部材としては、当該分野で公知のものを用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等が挙げられる。
【0022】
(発光素子20を実装する工程)
次いで、
図1Bに示すように、凹部Xの底面に発光素子20を実装する。基板10が電極部132を有する場合、発光素子20は電極部132上に実装される。発光素子20の数は1つであってもよいが、複数であってもよい。1つの凹部X内に配置される発光素子20の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。発光素子20と基板10(電極部132)との電気的接続は、例えば、フリップチップ方式やワイヤボンディング方式などにより行うことができる。本実施形態ではワイヤボンディング方式によるものとする。ワイヤボンディングによる場合、発光素子20を実装する工程は、発光素子20と電極部132とをワイヤで接続する工程を含む。発光素子20と電極部132とをワイヤで接続するとは、基板10に設けられた電極部132と発光素子20の一対の電極の一方または双方をワイヤを用いて互いに電気的に接続することをいう。発光素子20の一対の電極の一方のみがワイヤで接続される場合、発光素子20の一対の電極の他方は、例えばダイボンディングにより電極部132に接続される。ワイヤは発光素子20の電極と基板10の電極部132とを互いに電気的に接続できる部材であればよく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属、及び、これらの合金を用いたものが挙げられる。本工程では、キャピラリやジグなどの発光素子20を保持する器具やワイヤボンディングを行う際に用いる発光素子20と電極部132とを電気的に接続させる器具を用いることができる。
【0023】
発光素子20には発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができる。発光素子20には、紫外領域から赤外領域までの間の任意の領域に発光波長がある発光素子を、目的に応じて適宜選択して用いることができる。サファイア基板10やGaN基板などの成長用基板上に、窒化物半導体(例:InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN)、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等の種々の半導体などにより発光層を含む積層構造が形成されたものを、発光素子20として用いることができる。発光素子20は、例えば、正負一対の電極を同一面側に備えていてもよいし、正負一対の電極を対向する面に各々備えていてもよい。本実施形態では、発光素子20が正負一対の電極を同一面側に備えており、両電極がワイヤにより電極部132に接合されているものとする。
【0024】
(封止部材30を設ける工程)
次いで、
図1Cに示すように、発光素子20と第1壁部11を覆う封止部材30を設ける。封止部材30は、発光素子20やワイヤを覆うことにより、発光素子20やワイヤを塵芥、水分、外力等から保護するための部材である。封止部材30は、発光素子20の光を透過する材料を用いた部材であることが好ましい。具体的な材料としては、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂材料を挙げることができる。封止樹脂はポッティングや圧縮成形の方法で設けることができる。
【0025】
封止部材30は、蛍光体を含有する樹脂材料を用いてなることが好ましい。蛍光体は発光素子20からの光の少なくとも一部を吸収し異なる波長の光を発する材料からなる。蛍光体の具体的な材料としては、例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子を発光素子20として用いる場合には、これらの発光素子で励起可能な蛍光体として、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子との組み合わせにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を得ることができる。
【0026】
封止部材30は、蛍光体のほか、所望に応じて着色材や光拡散剤等のフィラーを含有する樹脂材料を用いてなるものであってもよい。
【0027】
(溝部Yを形成する工程)
次いで、
図1Dに示すように、第1壁部11上の封止部材30を除去することにより、封止部材30の上面から第1壁部11に達する溝部Yを形成する。除去には例えばブレードを用いることができる。溝部Yは、第1壁部11の上面の一部が除去されることにより、溝部Yの底面が第1壁部11の上面(正確には第1壁部11の上面が存在した位置)よりも下に位置していることが好ましく、特に、溝部Yの底面は第1壁部11の高さT1の2分の1程度の高さT2に位置していることが好ましい。この際、溝部Yは第1壁部の上面の一部のみを除去する溝であることが好ましい。溝部Yの先端(つまり溝部Yの底面)は、ブレードの劣化や摩耗による影響が表れやすい刃先部分により形成されるが、溝の底面が第1壁部に形成されることにより、溝の底面の形状が最終製品である発光装置における凹部の内側面の形状に関与しない。このため、安定した形状の発光装置を効率的に製造することができる。
さらに、第1壁部11と後述する第2壁部12の接触面積が増えるため、第1壁部11と第2壁部12の密着性が高まり、好ましい。また、溝部Yの幅W2は第1壁部11の幅W1の2分の1程度の幅であることが好ましい。このようにしても、第1壁部11と第2壁部12の接触面積が増えるため、第1壁部11と第2壁部12の密着性が高まり、好ましい。なお、溝部Yの底面の高さT2や第1壁部11の高さT1は、例えば、基体13の上面(凹部Xの底面)を基準にして測定することができる。
なお、溝の形成はブレードの他、レーザーを用いて行うこともできる。
【0028】
(第2壁部12を設ける工程)
次いで、
図1Eに示すように、溝部Y内に第2壁部12を設ける。第2壁部12は光反射性物質を含有する樹脂材料を用いてなることが好ましい。樹脂材料や光反射性物質には、第1壁部11で用いる材料や物質と同じ材料や物質を用いることができ。第2壁部12はポッティングや圧縮成形などの方法で設けることができる。圧縮成形による場合は、圧縮成形後、第2壁部12の上面を研磨することにより、第2壁部12と封止部材30の上面を面一にしてもよい。
【0029】
(第2壁部12及び基板10を切断する工程)
次いで、
図1Fに示すように、第2壁部12を含む位置で第2壁部12及び基板10を切断する。第2壁部12を含む位置で切断するとは、溝部Yの内側面が第2壁部12の一部で被覆されるよう切断すること、換言すると、溝部Yの内側面に第2壁部12の一部が付着したまま残るように切断すること意味する。また、基板10を切断するとは、第1壁部11と基体13を切断することをいい、基体13を切断するとは、基板10が個片化されるよう、支持部131と電極部132のいずれか一方または双方を切断することをいう。本工程により、封止部材30の側面が第2壁部12により被覆された状態で、基板10が個片化される。つまり、本工程により、封止部材30の側面が第2壁部12により被覆された状態となるように、溝部Y内に配置されている第2壁部12の一部と、その第2壁部12の一部の下方に配置されている第1壁部11の一部及び基体13の一部が除去され、これにより基板10が個片化され、1つ以上の発光装置1が得られる。切断後において、封止部材30の側面を被覆する第2壁部12の厚みW3は薄く、例えば80μm程度である。切断にはブレードやレーザーなどを用いることができる。
【0030】
以上説明した実施形態1に係る発光装置1の製造方法によれば、封止部材30の側面が比較的薄い厚みW3の第2壁部12で被覆された、小型化が可能な構成を有する発光装置1を、簡単な方法で製造することができる。したがって、小型化が可能な構成を有する発光装置1を効率的に製造することができる。
【0031】
[実施形態1に係る発光装置1]
図2は実施形態1に係る発光装置1を示す模式的断面図である。
図2に示すように、実施形態1に係る発光装置1は、基体13と、基体13の上面に配置された第1壁部11と、第1壁部11の上面に配置された第2壁部12と、第1壁部11の側面と第2壁部12の側面を内側面とし、基体13の上面を底面とする凹部Xと、凹部Xの底面に実装される発光素子20と、凹部Xに配置される封止部材30と、を備えている。封止部材30は、発光素子20を覆うとともに、第1壁部11の内側面と上面、及び第2壁部12の内側面を覆う。その他、基体13や第1壁部11などの部材や部は、前述した製造方法における部材や部と同じ構成を有するので、説明を省略する。実施形態1に係る発光装置によれば、発光素子20と第1壁部11との距離(例えば最短距離)をより短くすることができるため、発光装置の小型化を図ることができる。
【0032】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明によって特許請求の範囲に記載された構成は何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1 発光装置
10 基板
11 第1壁部
12 第2壁部
13 基体
131 支持部
132 電極部
20 発光素子
30 封止部材
P 傾斜面
X 凹部
Y 溝部
W1 第1壁部の幅
W2 溝部の幅
W3 第2壁部の厚み
T1 第1壁部の高さ
T2 溝部の底面の高さ