(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】畜肉様大豆加工品含有食品
(51)【国際特許分類】
A23L 11/00 20210101AFI20230908BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20230908BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A23L11/00 F
A23L13/00 Z
A23J3/00 503
(21)【出願番号】P 2019147660
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591263514
【氏名又は名称】コープ食品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 智也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 佳弘
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105594811(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102018011(CN,A)
【文献】特開平10-056976(JP,A)
【文献】特開平01-309661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/00-11/70
A23L 13/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜肉様大豆加工品の含有量が10%以上である畜肉様大豆加工品含有食品において、
ひよこ豆及び/又はえんどう豆である豆類を含有し、
前記畜肉様大豆加工品100部に対する前記豆類の割合が10~50部であり、
前記豆類100部に対する食塩の割合が2~15部であることを特徴とする、
畜肉様大豆加工品含有食品
(但し、タピオカ80g、ポテトフレーク10g、ソルガムの粉10g、トウモロコシでんぷん8g、大豆の全粉30g、エンドウの全粉10g、ショートニング30g、白砂糖25g、全卵の液10g、無グルテンの粉ミルク15g、食塩0.5g、キサンタンゴム0.8g、ベーキングパウダー1.5g、水10g、胡桃15gを混合した無グルテンビスケットを除く)。
【請求項2】
小豆をさらに含有することを特徴とする、
請求項1記載の畜肉様大豆加工品含有食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜肉様大豆加工品特有の風味が低減された畜肉様大豆加工品含有食品に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の健康志向の高まりにより、以前より豆腐ハンバーグなど、肉の代わりに大豆加工品を用いた料理が提供されてきた。最近では、大豆を加工し、風味や食感を本物の肉に近いものとした畜肉様大豆加工品が開発され、いわゆる大豆ミートの名称でハンバーグやミートソース等様々な料理に活用されている。しかし、畜肉様大豆加工品には大豆に由来する特有の風味があるため、より本物の肉に近い風味とするために、畜肉様大豆加工品特有の風味を低減することが求められていた。
【0003】
大豆加工品の風味を改善する方法として、大豆蛋白、グルテン等の植物性蛋白を主体とした主原料に、各種の調味成分を包接させたサイクロデキストリンを主原料に対し特定量混合した後、特定量の水を加えながら、一軸型または二軸型エクストルーダーで処理した加工物を用いる方法が提案されている(特許文献1)。しかし、特別な処理が必要でありより簡便な方法で風味を改善する方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、より簡便な方法で畜肉様大豆加工品特有の風味が低減された畜肉様大豆加工品配合食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、畜肉様大豆加工品に特定の豆類及び食塩を配合し、その配合量を特定範囲に調節することにより、畜肉様大豆加工品特有の風味が低減することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、畜肉様大豆加工品の含有量が10%以上である畜肉様大豆加工品含有食品において、ひよこ豆及び/又はえんどう豆である豆類を含有し、前記畜肉様大豆加工品100部に対する前記豆類の割合が10~50部であり、前記豆類100部に対する食塩の割合が2~15部である、畜肉様大豆加工品含有食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、畜肉様大豆加工品特有の風味が低減された畜肉様大豆加工品配合食品を提供することができ、さらなるメニューの増加、展開に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0010】
<畜肉様大豆加工品>
本発明において、畜肉様大豆加工品とは、大豆を浸漬処理、加熱処理、脱脂処理、粉砕処理等の処理や、調味料等の各種原料との混合処理等を行うことで、外観、風味、食感を本物の肉に近づけたものであり、肉の代替として様々な肉料理に利用することができる。本発明に用いる畜肉様大豆加工品は、市販されているものを適宜選択して用いることができるが、畜肉様大豆加工品特有の風味を感じるという本発明の課題を生じにくいことから、畜肉様大豆加工品に含まれる大豆タンパク質の割合は、10%以上であると好ましい。
【0011】
本発明の畜肉様大豆加工品含有食品に含まれる畜肉様大豆加工品の割合は10%以上である。畜肉様大豆加工品の含有量が前記範囲未満の場合は、食品に配合しても畜肉様大豆加工品特有の風味を感じにくい。また、畜肉様大豆加工品特有の風味を低減するという本発明の効果を感じやすいことから、前記畜肉様大豆加工品の割合は30%以上70%以下であると好ましい。
【0012】
<豆類>
本発明の畜肉様大豆加工品含有食品は、ひよこ豆及び/又はえんどう豆である豆類を含有するものである。本発明の畜肉様大豆加工品含有食品に含まれる前記豆類の割合は、前記畜肉様大豆加工品100部に対して10~50部であり、20~50部であることが好ましい。豆類の含有量が前記範囲未満の場合、畜肉様大豆加工品特有の風味を低減することができない場合があり、前記範囲より多い場合は、配合量に応じた効果が得られにくいことや、前記豆類の風味が強くなり、配合する食品の風味を損なうことがある。また、ひよこ豆、えんどう豆は、単独で用いるよりも、併用して用いた方が畜肉様大豆加工品特有の風味をより低減することできるため好ましく、ひよこ豆とえんどう豆の割合は30:70~70:30であることができ、さらに40:60~60:40であることができる。
また、前記豆類は、本発明の畜肉様大豆加工品含有食品中に5~30%含有することができる。
【0013】
<小豆>
本発明の畜肉様大豆加工品含有食品は、ひよこ豆、えんどう豆の他に、小豆を含有することが好ましい。小豆を含有することにより、畜肉様大豆加工品特有の風味をより低減することができる。
小豆の含有量は特に限定していないが、畜肉様大豆加工品100部に対して5部以上30部以下であると好ましく、10部以上20部以下であるとより好ましい。
小豆の含有量が前記範囲であることにより、小豆の風味が強くなりすぎることなく、畜肉様大豆加工品特有の風味を低減することができる。
また、前記小豆は、本発明の畜肉様大豆加工品含有食品中に5~20%含有することができる。
【0014】
<食塩>
本発明の畜肉様大豆加工品含有食品は食塩を前記豆類100部に対して食塩を2~15部含有するものである。食塩の含有量が前記範囲であることにより、塩味が強くなりすぎることなく、前記豆類による畜肉様大豆加工品特有の風味を低減する効果を高めることができる。
また、前記食塩は、本発明の畜肉様大豆加工品含有食品中に0.3~3%含有することができ、0.5~2%含有することがより好ましい。
【0015】
<畜肉様大豆加工品含有食品>
本発明の畜肉様大豆加工品含有食品は、畜肉様大豆加工品、豆類、食塩を所定量含有するものであれば、食品の形態は特に限定しない。例えば、前記原料を混合、均質化したものをハンバーグ、つくね、餃子、焼売、ミートソース等の食品に用いてもよいし、各々の原料を別々にカレーやサラダのトッピング具材として添加して用いてもよい。あるいはそのまま食するものとして、畜肉様大豆加工品、豆類、食塩の各原料を缶詰やレトルトパウチ等に充填した容器詰め食品の形態であってもよい。
【0016】
<その他配合原料>
本発明の畜肉様大豆加工品含有食品は、本発明の効果を損なわない範囲でその他原料を適宜選択し、配合することができる。具体的には、緑豆、ササゲ、インゲンマメ等の上述の豆類以外の豆、玄米、発芽玄米、赤米、黒米、きび、粟、稗、小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、蕎麦、キヌア、アマランサス等の穀類、醤油、砂糖、食酢、核酸系旨味調味料、柑橘果汁、ケチャップ等の各種調味料、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、乳清タンパク質等の乳類、卵黄、卵白、全卵、ホスフォリパーゼA処理卵黄などの卵類、各種スパイスオイル、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸又はその塩、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、各種ペプチド、香辛料、香料、色素などが挙げられる。
【0017】
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0018】
<試験食品の調製>
畜肉様大豆加工品(不二製油株式会社製、粒状大豆蛋白)、ひよこ豆、えんどう豆、小豆、いんげん豆、米の各原料を水戻し、ボイル処理後、食塩とともに表1に記載の割合でレトルトパウチに充填、密封した。次いで120℃20分間レトルト殺菌した後、冷却し、実施例1~12、比較例1~5の畜肉様大豆加工品含有食品(サラダ用トッピング具材)を調製した。米は風味に影響しない原料として全体量の調整に用いた。前記調製した畜肉様大豆加工品含有食品に含まれる畜肉様大豆加工品の大豆タンパク質含有量は約15%であった。
調製した各試験食品を専門パネラーが喫食し、下記の基準で評価を行った。結果を表1に示す。
【0019】
<評価基準>
◎:畜肉様大豆加工品特有の風味を感じない。
○:畜肉様大豆加工品特有の風味をほとんど感じない。
△:畜肉様大豆加工品特有の風味をやや感じるが、気にならない範囲である。
×:畜肉様大豆加工品特有の風味を感じる。
【0020】
【0021】
評価の結果、ひよこ豆及び/又はえんどう豆である豆類を畜肉様大豆加工品100部に対して10~50部含有し、豆類100部に対して食塩を2~15部含有することにより、畜肉様大豆加工品特有の風味を感じにくくなることが分かった。
また、小豆を併用することにより、より風味を感じにくくなることが分かった。