(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】多結晶シリコン製造装置
(51)【国際特許分類】
C01B 33/035 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
C01B33/035
(21)【出願番号】P 2020114568
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 成大
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌彦
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0222619(US,A1)
【文献】特開2013-249251(JP,A)
【文献】特開平08-045847(JP,A)
【文献】特開2014-101256(JP,A)
【文献】特開2010-235440(JP,A)
【文献】特開2006-240934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーメンス法により多結晶シリコンを製造する多結晶シリコン製造装置であって、
ベースプレート
の上面に
対して水平方向に移動可能に設置され、芯線ホルダと電極を電気的に接続する保持体であって、前記芯線ホルダを前記ベースプレートに対して
少なくとも上下方向で揺動可能に保持する保持体を備えることを特徴とする多結晶シリコン製造装置。
【請求項2】
前記保持体は、ベースプレートに水平方向に移動可能に設置された台座と、前記台座に
対して少なくとも上下方向で揺動可能に設置され、芯線ホルダと電極を電気的に接続する電極アダプタとを有することを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項3】
前記台座は、上部に曲面部を有し、
前記電極アダプタは、前記曲面部に沿って
少なくとも上下方向で揺動可能となり、かつ前記電極に対して水平方向にスライド可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項4】
前記電極アダプタは、前記曲面部に
沿って少なくとも上下方向で揺動可能に設置される電極アダプタ本体部と、前記電極アダプタ本体部から水平方向に延在し、前記電極に接触する電極アダプタスライド部とを有し、
前記電極を前記電極アダプタスライド部とともに挟持するための抑え部が設けられることを特徴とする請求項3に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項5】
前記台座、前記電極アダプタ及び前記電極の各々が平面と半径5mm以上の曲面部又は球面のみで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項6】
前記台座、前記電極アダプタ及び前記電極の各々が角度90度未満の入隅部がないことを特徴とする請求項5に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項7】
前記ベースプレートに設置された前記台座が絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多結晶シリコン製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシーメンス法により多結晶シリコンを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコンは、半導体製造用の単結晶シリコンや太陽電池製造用シリコンの原料である。多結晶シリコンの製造方法としてはシーメンス法が知られており、この方法では、一般に、シラン系原料ガスを加熱されたシリコン芯線に接触させることにより、該シリコン芯線の表面にCVD(Chemical Vapor Deposition)法で多結晶シリコンを析出させる。
【0003】
シーメンス法は、シリコン芯線を鉛直方向2本、水平方向1本の鳥居型(逆U字型)に組み立て、その両端部のそれぞれを芯線ホルダに接続し、ベースプレート上に配置した一対の金属製の電極に固定する。一般的には反応炉内には複数組の逆U字型シリコン芯線を配置した構成となっている。
【0004】
逆U字型のシリコン芯線を析出温度まで通電により加熱し、原料ガスとして例えばトリクロロシランと水素の混合ガスをシリコン芯線上に接触させると、多結晶シリコンがシリコン芯線上で気相成長し、所望の直径の多結晶シリコン棒が逆U字状に形成される。
【0005】
電極は絶縁物を挟んでベースプレートを貫通しており、別の電極に接続されるか、若しくは、反応炉外に配置された電源に接続される。多結晶シリコンの析出工程中に、この電極部に多結晶シリコンが析出してしまうことを防止したり、電極部の温度の上昇により析出中の多結晶シリコンを金属汚染させてしまうことを防止したりするために、電極、ベースプレート及びベルジャは水などの冷媒により冷却される。
【0006】
図4は、従来技術における、電極ホルダが電極に取り付けられて芯線ホルダ11を保持している態様を例示的に説明するための概念図である。この図に示した例では、金属製の電極14とカーボン製の芯線ホルダ11は、電極14の消耗を抑える等の目的で、電極アダプタ13を介して接続され、電極アダプタ13は電極14に螺合によって固定されている。
【0007】
電極14から芯線ホルダ11を介して芯線ホルダ11の頂部に保持されたシリコン芯線(不図示)に電流を供給し、ジュール熱によってシリコン芯線の表面を水素雰囲気中で900℃~1200℃程度の温度範囲に加熱する。この状態で、原料ガスとして例えばトリクロロシランと水素の混合ガスを反応炉内に供給することで、シリコン芯線上に高純度のシリコンを気相成長させて多結晶シリコンロッド(多結晶シリコン棒)を育成する。
【0008】
この工程中、多結晶シリコンロッドの径の増大に伴ってカーボン製の芯線ホルダ1側にも多結晶シリコンの析出が進行し、次第に芯線ホルダ11と一体化する。なお、多結晶シリコンロッドの成長に伴い電気抵抗が低下するため、多結晶シリコンロッドの表面温度を析出反応に適した温度に維持するため、供給する電流は徐々に高めてゆく。
【0009】
また、一般に、多結晶シリコンロッドに供給される電流は、析出反応終了時点で2000アンペア~4000アンペアの大電流となる。多結晶シリコンロッドの直径が大きくなるに従って、ロッド表面からの放熱量は増える。このため、析出反応に必要な温度(900~1200℃)を保つためには、その放熱により失われる熱量を補償するように、多結晶シリコンロッドに供給する電気エネルギを高くしていく必要がある。
【0010】
また、多結晶シリコンは温度の上昇とともに電気抵抗率が下がる性質があるため、基本的に高温となるロッドの中心に最も電流が流れる。このため、ロッドのブリッジ部では逆U字型の内側が高温、最大電流となる。
【0011】
これはロッドが逆U字型であるため、コーナーで内側を通った方が電気回路として距離が短くなることと、コーナーの直胴とブリッジがそれぞれの輻射を受けやすく熱せられやすいなどの要因が原因として考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2006-240934号公報
【文献】特許第2805457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、ロッド直径が太くなるにつれ、ブリッジ部の内側と外側で温度差が大きくなり、成長中のブリッジ部の伸びの差や成長終了後の冷却時の縮みがより顕著になりクラックが発生しやすくなるといった問題がある。
【0014】
成長中のクラックはロッド逆U字部のコーナー内側の高温に対して外側の低温により逆U字が開くような力が発生する。このとき足元の電極が固定されているとロッドが変形できずに応力が一定値を超え、クラックに至る。この成長中のクラックは通電電流に乱れを引き起こし、ロッド温度が乱れ、結晶の均質性に悪い影響を与えてしまう。さらにクラックの影響が大きくなると通電不可能となり途中で反応を中断せざるを得なくなってしまう。
【0015】
一方、成長終了後の冷却時は、より高温のコーナー内側が最も縮まるため、逆U字が閉じるような力が発生する。そして、ロッドが変形できずに応力が一定値を超えるとクラックに至る。冷却時のクラックは成長時のクラックよりも大規模になることが経験的に知られており、ロッド全体にクラックが伝播し、ロッドの倒壊を招くことがある。
【0016】
このようにシーメンス法においてロッドのクラック発生原因には逆U字の内側と外側の温度差によって発生し、そのためロッド全体温度変化による単純な伸び縮みの他に、ロッド直胴部とブリッジ部との接点を支点とした回転させる力を含む2次元的な力が加わることが分かる。
【0017】
クラック発生が与えるロッド製造の経済的なダメージは大きく懸案事項であった。しかしながら、先に述べた2次元的な力に対応するには、伸び縮みと回転する機構が必要である上、シーメンス法の性質上使用可能な材質が耐高温性、高強度、低汚染源、である必要があり、さらには、効率的・品質的に安定した製造を続けるにはバッチ間の清掃及び設置が容易に可能である必要がある。このため、課題解決は非常に困難であった。
【0018】
電極アダプタに関しては、これまでも新規な構造が提案されてきている。
【0019】
例えば、特許文献1(特開2006-240934号公報)には、電極とホルダが電気的に接続され摺動可能とした装置が提案されているが、ロッド直胴部とブリッジ部の接点を支点とした回転運動に対応できない。
【0020】
特許文献2(特許第2805457号)では、ばね要素によって電極ホルダの水平及び傾斜運動を可能にしているが、ばね要素を使用しているため形状は複雑であるためバッチ間の清掃は非常に困難であり全ての表面を清浄に保つことは不可能に近い。また、ばねによる保持は移動量が大きくなればなるほど移動に必要な力が大きくなり、より大径化が進み必要移動量が大きくなると十分な移動量を確保できなくなるといった問題点がある。
【0021】
上述のように、従来技術の電極アダプタは移動に対する自由度及び又はバッチ間で行われる清掃に対する対策が十分ではない。よって本特許は電極アダプタの水平方向運動及び回転運動が可能でかつ清掃が容易な多結晶シリコンの製造装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明による多結晶シリコン製造装置は、
シーメンス法により多結晶シリコンを製造する多結晶シリコン製造装置であって、
ベースプレートに水平方向に移動可能に設置され、芯線ホルダと電極を電気的に接続する保持体であって、前記芯線ホルダを前記ベースプレートに対して回転可能に保持する保持体を備えている。
【0023】
本発明による多結晶シリコン製造装置において、
前記保持体は、ベースプレートに水平方向に移動可能に設置された台座と、前記台座に回転可能に設置され、芯線ホルダと電極を電気的に接続する電極アダプタとを有してもよい。
【0024】
本発明による多結晶シリコン製造装置において、
前記台座は、上部に曲面部を有し、
前記電極アダプタは、前記曲面部に沿って回転可能となり、かつ前記電極に対して水平方向にスライド可能となってもよい。
【0025】
本発明による多結晶シリコン製造装置において、
前記電極アダプタは、前記曲面部に回転可能に設置される電極アダプタ本体部と、前記電極アダプタ本体部から水平方向に延在し、前記電極に接触する電極アダプタスライド部とを有し、
前記電極を前記電極アダプタスライド部とともに挟持するための抑え部が設けられてもよい。
【0026】
本発明による多結晶シリコン製造装置において、
前記台座、前記電極アダプタ及び前記電極の各々が平面と半径5mm以上の曲面部又は球面のみで構成されてもよい。
【0027】
本発明による多結晶シリコン製造装置において、
前記台座、前記電極アダプタ及び前記電極の各々が角度90度未満の入隅部がなくてもよい。
【0028】
本発明による多結晶シリコン製造装置において、
前記ベースプレートに設置された前記台座が絶縁体であってもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、電極アダプタの水平方向運動及び回転運動が可能で、かつ清掃が容易な多結晶シリコンの製造ができ、多結晶シリコンの成長中及び成長後の冷却時のクラックを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施の形態による電極ホルダが金属電極に取り付けられて芯線ホルダを保持している一態様の概念を示した平面図である。
【
図2】
図1のI-I断面で切断した側方断面図である。
【
図3】
図1に対応した図面であって、本発明の実施の形態の変形例を示した平面図である。
【
図4】従来型の電極ホルダが金属電極に取り付けられて芯線ホルダを保持している一態様の概念を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本実施の形態では、シーメンス法により多結晶シリコンを製造する多結晶シリコン製造装置を提供する。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の多結晶シリコン製造装置は、反応器ベースプレート(ベースプレート)20に水平方向に移動可能に設置され、芯線ホルダ1と金属電極(電極)4を電気的に接続する保持体100を有している。この保持体100は、芯線ホルダ1を反応器ベースプレート20に対して回転可能(揺動可能)に保持する構成となっている。保持体100は、芯線ホルダ1を反応器ベースプレート20に対して上下方向に回転可能に保持してもよいし、水平面内において回転可能に保持してもよい。
図2では、保持体100が芯線ホルダ1を反応器ベースプレート20に対して上下方向で回転可能(揺動可能)に保持していることを示すための矢印R1,R2が示されている。また、
図2では、保持体100が反応器ベースプレート20に対して水平方向に移動可能となっていることを示すための矢印S1,S2も示されている。
【0032】
保持体100は、反応器ベースプレート20に水平方向に移動可能に設置されたアダプタ台(台座)3と、アダプタ台3に対して回転可能(揺動可能)に設置され、芯線ホルダ1と金属電極4を電気的に接続する電極アダプタ2とを有してもよい。
【0033】
アダプタ台3は、上部に曲面部3aを有してもよい。電極アダプタ2は、曲面部3aに沿って回転可能となり、かつ金属電極4に対して水平方向にスライド可能となってもよい。
【0034】
電極アダプタ2は、台座3の曲面部3aに回転可能に設置される電極アダプタ本体部2aと、電極アダプタ本体部2aから水平方向に延在し、金属電極4に接触する電極アダプタスライド部2bとを有してもよい。電極アダプタ本体部2aと電極アダプタスライド部2bとは一体に形成されてもよい。
【0035】
図2に示すように、電極アダプタ本体部2aは平面視において四角形状からなり、電極アダプタスライド部2bも平面視において四角形状からなってもよい。またアダプタ台3も平面視において四角形状からなってもよい。なお、アダプタ台3の曲面部3aは平面視において円形状となってもよい。
【0036】
図1及び
図2に示した態様では、金属電極4が絶縁体5を介して反応器ベースプレート20上に固定されて、略直方体の突出部で構成されている。この金属電極4を挟み込むように電極アダプタスライド部2bが抑え板10等からなる抑え部をボルト9a及びナット9bで締め付けることで接触されている。電極アダプタスライド部2bの所定の間隔Wの間で金属電極4を電極アダプタスライド部2bと抑え板10で挟持することができる。ボルト9a及びナット9bの締め付けを緩めることで、金属電極4に対する電極アダプタ2の位置を水平方向でスライドさせることができる。電極アダプタ本体部2aは上部に芯線ホルダ1を接続可能な凸部2a
1を有している。電極アダプタ本体部2aの下部はアダプタ台3と曲面部3aで接続されている。このような態様を採用することで、芯線ホルダ1をスライド移動させ、また回転運動させることができるようになる。
【0037】
金属電極4内では冷媒30が提供され(
図2参照)、金属電極4を内部から冷却するように構成されてもよい。
【0038】
図2に示す態様では、電極アダプタ本体部2aとアダプタ台3との間に上下方向で間隙Gが設けられており、電極アダプタ本体部2aは
図2の上下方向に沿って回転可能(揺動可能)となり(
図2のR1参照)、かつ
図2の左右方向で移動可能となっている(
図2のS1参照)。また、電極アダプタ本体部2aが上下方向に沿って回転される場合には電極アダプタスライド部2bも上下方向に沿って回転されることになり(
図2のR2参照)、電極アダプタ本体部2aが左右方向に沿って移動する場合には電極アダプタスライド部2bも左右方向に沿って移動されることになる(
図2のS2参照)。
【0039】
なお、一例としては、金属電極4が水平方向で回転可能(揺動可能)に取り付けられてもよい。この場合には電極アダプタ本体部2aはアダプタ台3に対して、水平方向でも回転可能となる。
【0040】
バッチ間にわたって連続使用する電極アダプタ2、アダプタ台3、金属電極4及び抑え板10は全て平面と半径5mm以上のアールの緩い簡単な球面又は曲面部で構成されもよく、さらには角度90度未満の入隅部を有さないような形状としても良い。この場合には、例えばベンコットなどの一般的なクロス状の清掃具を使って人手で容易に清掃できる。また、ボルト9a及びナット9bは小型部品であるため、バッチ毎に新品に交換しても経済的な負荷は軽微である。また、ボルト9a及びナット9bを2セット用意して一方を使用中に他方を清掃しても時間的な負荷は軽微である。また、90度未満の入隅部を有さないような態様を採用することで、清掃しづらい部分を作らない態様となる点で有益である。また、鋭角の角部に堆積した膜は、(堆積した膜の応力が高くなり膜が厚くなったり、及び/又は当該入隅部に対し十分な密着性を保たずに堆積したりするために)堆積時に脱落を起こし、チャンバー内で舞い上がり、汚染源となる可能性があるが、90度未満の入隅部が存在しない態様を採用することで、当該事象が生じることを防止できる。また、120度未満の入隅部が存在しない態様を採用することで、清掃のしやすさをさらに向上させ、また汚染源となる可能性をさらに低減させることができる点でより好ましい。また、60度未満の入隅部が存在しない態様を採用することも可能である。この場合には、90度未満の入隅部が存在しない態様と比較すると効果は低くなるが、清掃のしやすさや、汚染源となる可能性を低減させる点で、一定程度の効果を得ることができる。なお、
図1の「c1」及び
図2の「c2」は90度となっており、「c3」は90度超過の角度となっている。
【0041】
また、アダプタ台3は反応器ベースプレート20への通電を防ぐために絶縁体であることが望ましい。但し、これに限られることはなく、アダプタ台3として導電性のある部材を用いてもよい。この場合には、摺動性の高い材質を使用して、アダプタ台3と反応器ベースプレート20との間に絶縁体の平板を入れることでも目的の機能は達成される。
【0042】
また、電極アダプタスライド部2bが金属電極4から意図せず外れないように、金属電極4の頂点部にストッパーとなるカバー40を設置させても良い(
図3参照)。
【0043】
図3に示すように、アダプタ台3は水平方向に延びたガイド部50に設けられ、当該ガイド部50に沿って水平方向に移動可能となってもよい。
図3に示す態様では、平面視において、ガイド部50は電極アダプタスライド部2bと同じ方向で延在している。
【0044】
金属電極4と電極アダプタスライド部2bの可動部を保護するカバーを設置しても良く、また接触部での通電、摺動の補助となるカーボンシートを挟んでも良い。
【実施例】
【0045】
シーメンス法により、多結晶シリコンロッドの直径が約φ160mmとなるまで成長させる反応を5バッチずつ行い、クラックの発生率を確認した。
図4に該当する最も一般的な固定された従来型の金属電極及び電極アダプタでは成長時に2バッチでロッドのクラック発生による電流の乱れが確認され、冷却時のクラックは5バッチ全てで確認されうち1バッチでロッドの倒壊が確認された。他方、
図1及び
図2に示した、本実施の形態による構成のものを用いた場合には、成長中にクラック発生が原因と思われる電流の乱れは無く、冷却時のクラックは3バッチで確認されたがロッドの倒壊は無かった。
【符号の説明】
【0046】
1 芯線ホルダ
2 電極アダプタ
2a 電極アダプタ本体部
2b 電極アダプタスライド部
3 アダプタ台(台座)
4 金属電極(電極)
5 絶縁体
9a ボルト
9b ナット
10 抑え板
20 反応器ベースプレート(ベースプレート)
30 冷媒
100 保持体
S1,S2 スライド方向
R1,R2 回転方向(揺動方向)