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▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】アミンを合成する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/14 20060101AFI20230908BHJP
   C07C 211/09 20060101ALI20230908BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230908BHJP
【FI】
C07C209/14
C07C211/09
C07B61/00 300
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020554475
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019057682
(87)【国際公開番号】W WO2019192903
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】18165995.4
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アルテンホフ,アンスガー ゲレオン
(72)【発明者】
【氏名】ルイケン,ヘルマン
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-222149(JP,A)
【文献】特開平02-233143(JP,A)
【文献】特表2018-500310(JP,A)
【文献】国際公開第2017/037069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 209/16
C07C 211/27
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
[式中、
mは、1、2、又は3であり、
mが1である場合、
R1は、脂肪族C1-60炭化水素基、又は少なくとも1つの脂環式環若しくは芳香環を含むC4-60炭化水素基であり、前記C1-60炭化水素基若しくはC4-60炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R2は、水素(H)、C1-6アルキル、若しくはフェニルであるか、
又は
R1、R2は一緒になって、-(CH2)j-Y-(CH2)k-(式中、Yは、メチレン、酸素(O)、硫黄(S)、若しくはNR3(式中、R3はC1-4アルキルである)であり、j及びkは、独立して、整数1~4である)であり、
mが2又は3である場合、
R1は、少なくとも1つの脂環式環又は芳香環を含む、2価又は3価のC4-20炭化水素基であり、前記炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R2は、水素(H)、C1-6アルキル、又はフェニルであり、
R4及びR5は、独立して、水素(H)又はC1-16アルキルであり、
R6及びR7は、独立して、水素(H)又はC1-4アルキルである]
のアミンを調製する方法であって、
1. 式(2)
【化2】
のアミノアルコールを式(3)
【化3】
のカルボニル化合物と反応させ、引き続いて、得られた反応生成物を不均一系水素化触媒上で水素(H2)で水素化して、式(4)
【化4】
の中間体を形成するステップ、及び
2. ステップ1で得られた中間体を、水素(H2)及び不均一系水素化触媒の存在下で、式(5)
【化5】
のアミン成分と反応させて、対応する式(1)のアミンを形成するステップ
を含み、式(2)~(5)における、m並びに基R1、R2、R4、R5、R6、及びR7が、式(1)で定義した通りである、方法。
【請求項2】
ステップ1において、式(2)のアミノアルコールが、式(3)のカルボニル化合物のカルボニル基のモル量に基づいたモル量の0.8~1.9倍である量で使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ2において、式(5)のアミン成分が、式(4)の中間体のアルコール基のモル量に基づいた量の1.5~10倍である量で使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R1が、場合により置換されている、フェニレン、シクロへキシレン、ジシクロヘプチレン、トリシクロドデシレン、ペンタシクロペンタデシレン、フランジイル、テトラヒドロフランジイル、チオフェンジイル、テトラヒドロチオフェンジイル、又はN,N'-ピペラジン-ビス(2,2-ジメチルプロパン)ジイル基であり、
R2が、水素(H2)、メチル、又はフェニルである、
mが2である式(1)のアミンを調製するための、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R1が、C3-50アルキル、C3-50アルコキシアルキル、C4-12シクロアルキル、C4-30アルコキシシクロアルキル、C4-30アルキルシクロアルキル、又は式(A)、(B)、若しくは(C)
【化6】
[式(A)、(B)、及び(C)において、
Xは、C1-18アルキル、C1-18アルコキシ、及びC1-18ジアルキルアミノからなる群から選択される、同じ又は異なる基であり、
Zは、酸素(O)、硫黄(S)、又はNR9(式中、R9はC1-4アルキルである)であり、
nは、整数0~3である]
の基であり、
R2が、水素(H)、メチル、エチル、又はフェニルであるか、
或いは
R1及びR2が一緒になって、-(CH2)j-Y-(CH2)k-(式中、Yは、メチレン又は酸素(O)であり、j及びkは、独立して、整数1~2である)である、
mが1である式(1)のアミンを調製するための、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
R1及びR2が、共にメチルであるか、若しくは共にフェニルである、R1が3-メチルブチルであり、R2がメチルである、又はR1がn-ペンチルであり、R2がエチルである、
又は
R1が、i-プロピル、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、4-エチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,3-ジメトキシフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2,5-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,4,5-トリメトキシフェニル、2,4,6-トリメトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ジメチルアミノフェニル、3-ジメチルアミノフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R2が、水素(H)若しくはメチルである、
又は
R1及びR2が一緒になって、n-ペンチレンである、
mが1である式(1)のアミンを調製するための、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
R1がフェニルであり、R2が水素である、mが1である式(1)のアミンを調製するための、請求項1から3、5、6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
R6及びR7が水素(H)であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
R4若しくはR5がメチルであり、その他の基が、それぞれの場合で水素(H)であるか、又はR4及びR5が共に水素(H)であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
求項1から3、5から9のいずれか一項に記載の式(1)[式中、mが1であり、且つR4が水素(H)であり、R5がメチルであるか(式(1.1))、又はR4がメチルであり、R5が水素(H)である(式(1.2))]のアミンを調製する方法であって、
【化7】
- ステップ1において、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を、式(3)のカルボニル化合物と反応させて、式(4.1)及び(4.2)
【化8】
のそれぞれの中間体を形成し、
- ステップ2において、ステップ1で得られた中間体を、式(5)のアミン成分と反応させて、式(1.1)及び(1.2)の対応するアミンを形成する、
方法。
【請求項11】
ステップ1において、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を、ベンズアルデヒドと反応させ、ステップ2において、得られた中間体(N-ベンジル-1-アミノプロパン-2-オール及びN-ベンジル-2-アミノプロパン-1-オール)を、アンモニアと反応させる、N1-ベンジル-1,2-プロピレンジアミン及びN2-ベンジル-1,2-プロピレンジアミンを調製するための、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')が、MIPOAとMIPOA'とのモル比15:1~23:1で使用されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ1及び2において使用される不均一系水素化触媒が、元素周期表のVIIIB族及び/又はIB族からの1種以上の金属を含む触媒であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
触媒が、担体材料を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用される不均一系水素化触媒が、Cu及び/又はNi及び/又はCoを含む触媒であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
使用される不均一系水素化触媒が、銅、ニッケル、及びコバルトを含む担持触媒であり、触媒の触媒活性材料が、水素によるその還元の前に、アルミニウム、銅、ニッケル、及びコバルトの酸素含有化合物を含み、且つSnOとして計算される、スズの酸素含有化合物を0.2重量%~0.5重量%含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
- ステップ1において、
水素化金属として、元素周期表のVIIIB族からの少なくとも1種の金属、及び追加で、酸化物担体上の助触媒を含み、元素周期表のVIIIB族からの金属の少なくとも80%が、触媒の表面と、触媒の表面から計算された、触媒の半径の80%以下に対応する浸透深さとの間の層に存在する、エッグシェル触媒である不均一系水素化触媒が使用されるか、
又は
触媒活性金属としてPd及び/若しくはPtを含み、担体として活性炭若しくは酸化アルミニウムを有する、担持触媒である不均一系水素化触媒が使用され、
- ステップ2において、請求項13から16のいずれか一項に記載の触媒が使用される
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(1)
【0002】
【化1】
[式中、
mは、1、2、又は3であり、
mが1である場合、
R1は、脂肪族C1-60炭化水素基又は少なくとも1つの脂環式環若しくは芳香環を含むC4-60炭化水素基であり、前記C1-60若しくはC4-60炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R2は、水素(H)、C1-6アルキル、若しくはフェニルであり、
又は
R1、R2は一緒になって、-(CH2)j-Y-(CH2)k-(式中、Yは、メチレン、酸素(O)、硫黄(S)、若しくはNR3(式中、R3はC1-4アルキルである)であり、j及びkは、独立して、整数1~4である)であり
mが2又は3である場合、
R1は、少なくとも1つの脂環式環又は芳香環を含む、2価又は3価のC4-20炭化水素基であり、前記炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R2は、水素(H)、C1-6アルキル、又はフェニルであり、
R4及びR5は、独立して、水素(H)又はC1-16アルキルであり、
R6及びR7は、独立して、水素(H)又はC1-4アルキルである]
のアミンを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
このようなアミンは、とりわけ、生物学的活性物質の調製における中間体として用いられている(Mokrov G.V.ら、Russian Chemical Bulletin、59(6)、1254~1266、210)。それらはまた、ポリウレタンフォームの架橋剤としても用いられている(US 8,552,078 B2)。このようなアミンを調製する方法は、一般に公知である。
【0004】
Mokrov G. V.ら(Mokrov G.V.ら、Russian Chemical Bulletin、59(6)、1254~1266、210)は、とりわけ、ベンズアルデヒドと3倍過剰の1,2-エタンジアミン(1,2-EDA)との反応によるN-ベンジル-1,2-エタンジアミンの調製を記載している。
【0005】
Kurganov A.ら(Liebigs Ann. Chem. 1980、786~790)は、とりわけ、ベンズアルデヒドと1,2-プロパンジアミン(1,2-PDA)との反応によるN1-ベンジル-1,2-プロパンジアミンの調製を記載している。
【0006】
US 8,552,078 B2(Air Products and Chemicals, Inc.)には、ポリアミンと、好適なアルデヒド及びケトンとの反応、例えば、1,2-EDAをベンズアルデヒドと反応させて、N-ベンジル-1,2-エチレンジアミンを形成することが記載されている。
【0007】
WO 2016/023839 A1(Sika Technology AG)には、1,2-PDAと、適切なアルデヒド又はケトンとの反応(例えば、ベンズアルデヒドと反応させて、N1-ベンジル-1,2-プロピレンジアミンを形成する)が記載されている。
【0008】
WO 2017/037069 A1(Sika Technology AG)には、1,2-EDAと、適切なアルデヒド又はケトンとの反応(例えば、ベンズアルデヒドと反応させて、N-ベンジル-1,2-エタンジアミンを形成する)が記載されている。主な副生成物は、多様にアルキル化された1,2-EDA(例えば、N,N'-ベンジル-1,2-エチレンジアミン)である。
【0009】
WO 2016/023837 A1(Sika Technology AG)には、1,2-PDAと二官能性又は三官能性のカルボニル化合物との反応(例えば、テレフタルアルデヒドと反応させて1,4-ビス(2-アミノプロピルアミノメチル)ベンゼンを形成する)が記載されている。
【0010】
WO 2017/037070 A1(Sika Technology AG)には、1,2-EDAと二官能性又は三官能性のカルボニル化合物との反応(例えば、テレフタルアルデヒドと反応させて1,4-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)ベンゼンを形成する)が記載されている。
【0011】
上記の先行技術によれば、適切にアルキル化されたアミンは、1,2-EDA又は1,2-PDAを、適切なアルデヒド又はケトンと反応させることによって調製することができる。これは、両方の窒素原子がアルキル化された、望ましくない副生成物の形成を伴う。1,2-EDA/1,2-PDAを、等モル量のアルデヒド/ケトンと反応させる場合、対応する副生成物が無視できない量で形成されるので、その選択率を改善する必要がある。このような副生成物の形成は、過剰の1,2-EDA又は1,2-PDAを用いることによって減らすことができる。しかし、反応混合物からの過剰のジアミンを取り出さねばならない問題が生じ、これは主として蒸留によって実現される。言い換えれば、過剰のジアミン(出発物質)を使用することによって選択率を高めることが可能であるものの、これは、蒸留に要するエネルギーのために、方法のランニングコストの増加を伴う。
【0012】
特に、比較的少量の所望のアミン(例えば、ほんの数トン)が製造される場合、さらなる問題が生じる。蒸留によって取り出されたジアミン(出発物質)を、制限されずに反応に再循環させることはできない。これは、所望の量のアミンが製造された後、取り出されたジアミン(出発物質)の廃棄(例えば、焼却)が、通常必要であることを意味する。これは、特に、比較的費用がかかる出発物質、例えば1,2-EDA又は1,2-PDAの場合には、相当な経済的欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】US 8,552,078 B2
【文献】WO 2016/023839 A1
【文献】WO 2017/037069 A1
【文献】WO 2016/023837 A1
【文献】WO 2017/037070 A1
【非特許文献】
【0014】
【文献】Russian Chemical Bulletin、59(6)、1254~1266、210
【文献】Liebigs Ann. Chem. 1980、786~790
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、既存の、式(1)のアミンを調製する既存の方法の経済的実行可能性を改善し、先行技術の1つ以上の欠点、特に、前述の欠点に対処することであった。したがって、式(1)のアミンを、高い変換率、収量、空時収量(STY)、及び選択率で調製することができる方法を見出すべきである。このような方法はまた、対応するジアミン(例えば、1,2-EDA又は1,2-PDA)以外の出発物質をベースにした、式(1)のアミンを調製することも可能にするはずである。
【0016】
[空時収量は、「生成物量/(触媒体積・時間)」(kg/(lcat・時間))及び/又は「生成物量/(反応器容積・時間)」(kg/(l反応器・時間))で表される]。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、式(1)
【0018】
【化2】
[式中、
mは、1、2、又は3であり、
mが1である場合、
R1は、脂肪族C1-60炭化水素基又は少なくとも1つの脂環式環若しくは芳香環を含むC4-60炭化水素基であり、前記C1-60若しくはC4-60炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R2は、水素(H)、C1-6アルキル、若しくはフェニルであり、
又は
R1、R2は一緒になって、-(CH2)j-Y-(CH2)k-(式中、Yは、メチレン、酸素(O)、硫黄(S)、若しくはNR3(式中、R3はC1-4アルキルである)であり、j及びkは、独立して、整数1~4である)であり、
mが2又は3である場合、
R1は、少なくとも1つの脂環式環又は芳香環を含む、2価又は3価のC4-20炭化水素基であり、前記炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R2は、水素(H)、C1-6アルキル、又はフェニルであり、
R4及びR5は、独立して、水素(H)又はC1-16アルキルであり、
R6及びR7は、独立して、水素(H)又はC1-4アルキルである]
のアミンを調製する方法であって、
1. 式(2)
【0019】
【化3】
のアミノアルコールを式(3)
【0020】
【化4】
のカルボニル化合物と反応させ、引き続いて、得られた反応生成物を不均一系水素化触媒上で水素(H2)で水素化して、式(4)
【0021】
【化5】
の中間体を形成する、ステップと、
2. ステップ1で得られた中間体を、水素(H2)及び不均一系水素化触媒の存在下で、式(5)
【0022】
【化6】
のアミン成分と反応させて、対応する式(1)のアミンを形成するステップと
を含み、式(2)~(5)における、m並びに基R1、R2、R4、R5、R6、及びR7が、式(1)で定義した通りである、方法が見出された。
【0023】
驚くべきことに、本発明の方法を用いて、高い収量及び選択率で、式(1)のアミンが得られることが明らかになった。当業者は、原則として、第1及び第2のステップの両方において、収量の減少を認め、全体の減少は、先行技術の1つのステップの方法の減少よりも大きいと予測した。この予測の、鍵となる根拠は、第2のステップ(ステップ2)が、通常、ケトン又はアルデヒドのアミノ化よりも高い温度及び圧力で生じる、アルコールアミノ化であることである。より高い温度及び圧力は、初めに、対応するアルコール基を、次にアミン成分と反応させることができる、アルデヒド又はケトンへ酸化(脱水素化)させるために必要である。しかし、温度を高め、且つ圧力を高めることにより、通常、望ましくない副反応が相当な程度で生じる可能性が高くなる。これに関して、当業者は、アルコールのアミノ化よりも、アルデヒド又はケトンのアミノ化の方を好むであろう。特に、当業者は、先行技術の方法の選択率(1つのステップ、アルデヒド又はケトンのアミノ化)が、本発明の方法の選択率(2つのステップ;ステップ1:アルデヒド又はケトンのアミノ化、ステップ2:アルコールのアミノ化)よりも低くなることは予測しないであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の方法を用いて、高い収量及び選択率で、式(1)のアミンを調製することができ、使用される出発物質は、式(2)のアミノアルコール、例えば、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)又はモノエタノールアミン(MEOA)である。このような出発物質は、先行技術で使用されるジアミン、例えば1,2-EDA又は1,2-PDAよりも容易に、したがってより経済的に調製することができる。
【0025】
基R 1 ~R 7 の説明
概要:
「脂肪族基」は、脂環式環も、芳香環も含まない基を指す。それは、直鎖状又は分枝鎖状であってもよい。本発明によれば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素骨格は、対応するヘテロ原子、すなわち、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)を含むこともできる。
【0026】
mが1である場合、R1は1価の基であり、mが2である場合、R1は2価の基であり、mが3である場合、R1は3価の基である。したがって、R1の原子価は、mの値に対応する。
【0027】
R1は、好ましくは飽和されている。少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素基の場合、R1は、芳香環の形式的な部分であるもの以外のCC二重結合を含まないと理解される。
【0028】
R1がヘテロ原子を含む場合、これらは、好ましくは、以下のように炭化水素基に組み込まれる:C-O-C、C-S-C、C-N=C、C-N-CC、より好ましくは、C-O-C、C-S-C、C-N-CC、特に好ましくは、C-O-C、C-N-CC、又は更にC-O-C(C-N-CCは、窒素が全ての3個の炭素原子に結合していることを意味する)。
【0029】
本発明のヘテロ原子は、脂環式環若しくは芳香環の一部であってもよく、又は環の外部に位置してもよい。フリルは、ヘテロ原子が芳香環の一部である基の一例である。同様に、2,5-テトラヒドロフェニレンにおいて、ヘテロ原子は、脂環式環の一部である。4-メトキシベンジルは、ヘテロ原子が、芳香環の外部にある、基の一例である。全ての場合において、酸素は、C-O-C単位の炭素骨格の一部を形成する。
【0030】
アルコキシアルキル基は、対応するヘテロ原子(酸素(O))を含む脂肪族基の一例である。
【0031】
本発明の式における破線は、それぞれの場合で、基R1と付随した分子基(すなわち、式(1)、(3)、及び(4)の角括弧に示された分子断片)との間の結合を示す。
【0032】
mは、1、2、又は3であってもよい。好ましくは、mは1又は2であり、特に好ましくは1である。
【0033】
mが1である、アミンの調製:
本発明の方法は、初めに、mが1である、アミンの調製に関して以下により詳細に記載される。ここで、基R1~R7が以下に定義する通りであるアミンを調製することが好ましい。
【0034】
本発明の方法は、mが1である、式(1)のアミンを調製するのに特に好適であり、選択された基R1、R2、R6、及びR7は、R6R7N-基が-NHCHR1R2基に対応するようなものではない。例えば、R1がメチル、R2が水素(H)であると同時に、R6がエチル、R7が水素(H)であるべきではない。
【0035】
R 1 及びR 2 :
R1は、好ましくは、脂肪族C5-50炭化水素基、より好ましくは、C6-40炭化水素基、特に好ましくは、C7-30、又は更にC8-20炭化水素基である。
【0036】
R1は、同様に、好ましくは、C4-60炭化水素基、より好ましくは、C5-50炭化水素基、特に好ましくは、C6-40炭化水素基、又は更にC7-30炭化水素基であり、前記基は、少なくとも1つの脂環式環又は芳香環を含む。
【0037】
R1は、例えば、
- C3-50アルキル(好ましくは、C4-40アルキル、より好ましくは、C5-30アルキル、特に好ましくは、C6-20アルキル)、
- C3-50アルコキシアルキル(好ましくは、C4-40アルコキシアルキル、より好ましくは、C5-30アルコキシアルキル、特に好ましくは、C6-20アルコキシアルキル)、
- C4-12シクロアルキル(好ましくは、C4-10シクロアルキル、より好ましくは、C5-8シクロアルキル、特に好ましくは、シクロヘキシル)、
- C4-30アルコキシシクロアルキル(好ましくは、C6-20アルコキシシクロアルキル、より好ましくは、C7-15アルコキシシクロアルキル、特に好ましくは、C8-12アルコキシシクロアルキル)、
- C4-30アルキルシクロアルキル(好ましくは、C6-20アルキルシクロアルキル、より好ましくは、C7-15アルキルシクロアルキル、特に好ましくは、C8-12アルキルシクロアルキル)、又は
- 式(A)、(B)、若しくは(C)
【0038】
【化7】
[式(A)、(B)、及び(C)において、
Xは、C1-18アルキル、C1-18アルコキシ、及びC1-18ジアルキルアミノ、好ましくは、C1-12アルキル、C1-12アルコキシ、及びC1-12ジアルキルアミノ、より好ましくは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、及びC1-4ジアルキルアミノ、特に好ましくは、メチル、メトキシ、又はジメチルアミノからなる群から選択される、同じ又は異なる基であり、
Zは、酸素(O)、硫黄(S)、又はNR9(式中、R9は、C1-4アルキル、好ましくは、メチル若しくはエチル、特に好ましくは、メチルである)であり、好ましくは、酸素(O)又は硫黄(S)であり、より好ましくは、酸素(O)であり、
nは、整数0~3であり、好ましくは、0又は1又は2であり、より好ましくは、0又は1である]
の基であり得る。
【0039】
本発明との関連において、アルコキシシクロアルキル又はアルキルシクロアルキルは、少なくとも1つのアルコキシ又はアルキル基を有するシクロアルキル基を意味するものと理解すべきである。
【0040】
R1は、特に好ましくは、X、Z、及びnがそれぞれ上記で定義した通りである、式(A)の基である。
【0041】
R1が上記で定義した通りである場合、R2は、好ましくは、水素(H)、メチル、エチル、又はフェニルである。
【0042】
使用されるカルボニル化合物はまた、環状ケトン(例えば、シクロヘキサノン)であってもよい。このような場合において、R1及びR2は一緒になって、対応する環を形成する。この場合、R1、R2は一緒になって、好ましくは、-(CH2)j-Y-(CH2)k-(式中、
Yは、メチレン、酸素(O)、硫黄(S)、又はNR3(式中、R3は、C1-4アルキル、好ましくは、メチル若しくはエチル、より好ましくは、メチルである)であり、好ましくは、メチレン、酸素(O)、又は硫黄(S)であり、より好ましくは、メチレン又は酸素(O)であり、特に好ましくは、メチレンであり、
j及びkは、独立して、整数1~4であり、好ましくは、1~2であり、より好ましくは共に2である)
である。
【0043】
R2は、特に、水素(H)、メチル、エチル、若しくはフェニルであり、より好ましくは、水素(H)、メチル、若しくはフェニルであり、特に好ましくは、水素(H)若しくはメチルであり、又は更に専ら水素(H)である。
【0044】
以下のアルデヒド及びケトンが、好ましくは、カルボニル化合物として使用される:
- アルデヒド:
ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド(o-トルアルデヒド)、3-メチルベンズアルデヒド(m-トルアルデヒド)、4-メチルベンズアルデヒド(p-トルアルデヒド)、2,5-ジメチルベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド(クミンアルデヒド)、4-tert-ブチルベンズアルデヒド、2-メトキシベンズアルデヒド(o-アニスアルデヒド)、3-メトキシベンズアルデヒド(m-アニスアルデヒド)、4-メトキシベンズアルデヒド(アニスアルデヒド)、2,3-ジメトキシベンズアルデヒド、2,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2,5-ジメトキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(ベラトルムアルデヒド)、3,5-ジメトキシベンズアルデヒド、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド(アサロンアルデヒド)、2,4,6-トリメトキシベンズアルデヒド、3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド、フラン-2-アルデヒド、フラン-3-アルデヒド
- ケトン:
メチルイソアミルケトン、3-オクタノン、アセトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、2'-メチルアセトフェノン、3'-メチルアセトフェノン、4'-メチルアセトフェノン、2'-メトキシアセトフェノン、3'-メトキシアセトフェノン、4'-メトキシアセトフェノン、2',4'-ジメチルアセトフェノン、2',5'-ジメチルアセトフェノン、3',4'-ジメチルアセトフェノン、3',5'-ジメチルアセトフェノン、2',4'-ジメトキシアセトフェノン、2',5'-ジメトキシアセトフェノン、3',4'-ジメトキシアセトフェノン、3',5'-ジメトキシアセトフェノン、2',4',6'-トリメチルアセトフェノン、2',4',6'-トリメトキシアセトフェノン、又はシクロヘキサノン。
【0045】
したがって、
R1及びR2は、共にメチルであるか、若しくは共にフェニルであり、R1は3-メチルブチルであり、R2はメチルであり、又はR1はn-ペンチルであり、R2はエチルであり、
又は
R1は、i-プロピル、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、4-エチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,3-ジメトキシフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2,5-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,4,5-トリメトキシフェニル、2,4,6-トリメトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ジメチルアミノフェニル、3-ジメチルアミノフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R2は、水素(H)若しくはメチルであり、
又は
R1及びR2は共に、n-ペンチレンである
ことが好ましい。
【0046】
R1及びR2は共に、フェニルであり、
又は、
R1は、フェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R2は、水素(H)であり、
又は
R1は、フェニル、4-メチルフェニル、4-メトキシフェニルからなる群から選択され、
R2はメチルである
ことがより好ましい。
【0047】
特に好ましくは、R1はフェニルであり、R2は水素(H)である。
【0048】
明示的に別段の指示がない限り、基R4、R5、R6、及びR7について以下に記載することは、mが1である、式(1)のアミン、及びmが2又は3である、式(1)のアミンの両方に適用される。
【0049】
R 4 及びR 5 :
R4及びR5は、好ましくは、独立して、水素(H)又はC1-10アルキルであり、より好ましくは、水素(H)又はC1-4アルキルであり、特に、メチルである。特に、アミノアルコールとして、MEOA又は1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)又はその構造異性体2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を使用することが特に好ましい。したがって、R4若しくはR5がメチルであり、その他の基が、それぞれの場合で水素(H)であるか、又はR4及びR5が共に水素(H)である場合が非常に好ましい。
【0050】
使用されるMEOAは、エチレンオキシド(EO)とアンモニアとの反応から得ることができる。MIPOAは、プロピレンオキシド(PO)をアンモニアと反応させることによって製造することができる。これらは、効率が良く、したがって、製造の安価な手段である故に、本発明で使用されるMEOA及びMIPOAは、EOをアンモニアと反応させることによって、又はPOをアンモニアと反応させることによって製造することが好ましい。こうして製造されたMIPOAは、通常、少量のMIPOA'を含む。MIPOA及びMIPOA'は、互いに分離されないが、ステップ1において、MIPOA及びMIPOA'の混合物を反応させることが好ましい。MIPOA及びMIPOA'は、モル比15:1~23:1、好ましくは、16:1~22:1、より好ましくは、17:1~21:1、特に好ましくは、18:1~20:1で、POとアンモニアとの反応から得られる。したがって、MIPOA及びMIPOA'は、通常、適切なモル比、すなわち、15:1~23:1、好ましくは、16:1~22:1、より好ましくは、17:1~21:1、特に好ましくは、18:1~20:1で使用される。
【0051】
m=1で、ステップ1において、このようなMIPOA及びMIPOA'の混合物を、式(3)のカルボニル化合物と反応させる場合、これにより、2種の異なる中間体がもたらされる。MIPOAから得られる中間体について、R4=H及びR5=メチルである。MIPOA'から得られる中間体について、R4=メチル及びR5=Hである。これらの2種の中間体を、ステップ2に従って、式(5)のアミンと反応させる場合、式(1)の、2種の異なるアミンが得られる。次に、MIPOAから得られるアミンについて、R4=H及びR5=メチルであり、MIPOA'から得られるアミンについて、R4=メチル及びR5=Hである。式(1)の2種のアミンが形成されるモル比は、MIPOAとMIPOA'とのモル比に応じて決まる。
【0052】
したがって、本発明の方法について、式(1)[式中、mが1であり、且つR4が水素(H)であり、R5がメチルであるか(式(1.1))、又はR4がメチルであり、R5が水素(H)である(式(1.2))]のアミンの調製であって、
【0053】
【化8】
- ステップ1において、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を、式(3)のカルボニル化合物と反応させて、式(4.1)及び(4.2)
【0054】
【化9】
のそれぞれの中間体を形成し、
- ステップ2において、ステップ1で得られた中間体を、式(5)のアミン成分と反応させて、式(1.1)及び(1.2)の対応するアミンを形成する
調製が特に好ましい。
【0055】
したがって、式(1.1)及び式(1.2)のアミンは、同時に(すなわち、並行して)調製される。こうして得られた、式(1.1)のアミンと式(1.2)のアミンとのモル比は、本質的に、MIPOAとMIPOA'とのモル比によって決定される。実験に基づいて、式(1.1)のアミンの式(1.2)のアミンに対するモル比が、MIPOAのMIPOA'に対するモル比よりも小さいことが明らかになる。ステップ1において、MIPOA及びMIPOA'(モル比19:1)の混合物を、ベンズアルデヒドと反応させ、次いで、ステップ2において、得られた中間体を、アンモニアと反応させることが想定される。これにより、N1-ベンジル-1,2-プロパンジアミン及びN2-ベンジル-1,2-プロパンジアミンの混合物がもたらされる。第二級アルコールは、通常、それぞれのアミンについて、第一級アルコールよりも迅速に反応する。したがって、反応条件に応じて、N1-ベンジル-1,2-プロパンジアミンのN2-ベンジル-1,2-プロパンジアミンに対するモル比は、MIPOAのMIPOA'に対するモル比よりも大きくなることがある。
【0056】
R 6 及びR 7 :
R6及びR7は、好ましくは、独立して、水素(H)又はC1-2アルキルである。特に、ジメチルアミン(DMA)、メチルアミン、又はアンモニアを使用することが特に好ましい。したがって、R6及びR7が共にメチルであるか、若しくは共に水素(H)である場合、又はR6若しくはR7がメチルであり、その他の基が、それぞれの場合で水素(H)である場合がより好ましい。アンモニアを使用することが特に好ましい。したがって、R6及びR7が水素(H)である場合が特に好ましい。
【0057】
好ましくは本発明の方法を用いて、mが1である式(1)のアミンであって、
- R1及びR2は共にメチルであるか、若しくは共にフェニルであり、R1は3-メチルブチルであり、R2はメチルであり、又はR1はn-ペンチルであり、R2はエチルであり、
又は
R1は、i-プロピル、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、4-エチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,3-ジメトキシフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2,5-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,4,5-トリメトキシフェニル、2,4,6-トリメトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ジメチルアミノフェニル、3-ジメチルアミノフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R2は、水素(H)若しくはメチルであり、
又は
R1及びR2は一緒になって、n-ペンチレンであり、
- R4又はR5は、メチルであり、その他の基は、それぞれの場合で水素(H)であるか、又は両方が水素(H)であり、
- R6及びR7は水素(H)である、
アミンを調製することができる。
【0058】
特に好ましくは本発明の方法を用いて、mが1である式(1)のアミンであって、
- R1及びR2は共にフェニルであり、
又は
R1は、フェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R2は、水素(H)であり、
又は
R1は、フェニル、4-メチルフェニル、4-メトキシフェニルからなる群から選択され、
R2はメチルであり、
- R4又はR5は、メチルであり、その他の基は、それぞれの場合で水素(H)であるか、又は両方が水素(H)であり、
- R6及びR7は水素(H)である、
アミンを調製することができる。
【0059】
同様に、特に好ましくは本発明の方法を用いて、mが1である式(1)のアミンであって、
- R1及びR2は共にフェニルであるか、
又は
R1は、フェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R2は水素(H)であり、
又は
R1は、フェニル、4-メチルフェニル、4-メトキシフェニルからなる群から選択され、
R2はメチルであり、
- R4又はR5は、メチルであり、その他の基は、それぞれの場合で水素(H)であり、
- R6及びR7は水素(H)である、
アミンを調製することができる
【0060】
ステップ1において、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を、ベンズアルデヒドと反応させ、ステップ2において、得られた中間体(N-ベンジル-1-アミノプロパン-2-オール及びN-ベンジル-2-アミノプロパン-1-オール)を、アンモニアと反応させる、N1-ベンジル-1,2-プロピレンジアミン及びN2-ベンジル-1,2-プロピレンジアミンを調製することが非常に好ましい。
【0061】
同様に、ステップ1において、2-アミノエタノールをベンズアルデヒドと反応させ、ステップ2において、得られた中間体(N-ベンジル-2-アミノエタノール)を、アンモニアと反応させる、N-ベンジル-エチレンジアミンを調製することが非常に好ましい。
【0062】
mが2又は3である、アミンの調製
使用されたカルボニル化合物は、対応するジアルデヒド及びジケトン(m=2)又はトリアルデヒド及びトリケトン(m=3)である。しかし、加えて、ケトアルデヒド(例えば、2-アセチルベンズアルデヒド、3-アセチルベンズアルデヒド、又は4-アセチルベンズアルデヒド)を使用することもできる。
【0063】
R1は、好ましくは、2価又は3価のC4-20炭化水素基であり、より好ましくは、C5-16炭化水素基であり、特に好ましくは、C6-14炭化水素基である。
【0064】
mが3である場合、R1は、以下
【0065】
【化10】
のように定義することができ、ここで、R2は、好ましくは、水素(H)又はメチルである。
【0066】
mは、好ましくは2である。したがって、以下に記載の基は、mが2である式(1)のアミンの調製に関連する。
【0067】
R1は、好ましくは、場合により置換されている、フェニレン、シクロへキシレン、ジシクロヘプチレン、トリシクロドデシレン、ペンタシクロペンタデシレン、フランジイル、テトラヒドロフランジイル、チオフェンジイル、テトラヒドロチオフェンジイル、又はN,N'-ピペラジン-ビス(2,2-ジメチルプロパン)ジイル基である。
【0068】
R1は、特に好ましくは、式(D)
【0069】
【化11】
(式中、
oは、0又は1又は2であり、
Qは、それぞれの場合で1~4個の炭素原子を有する、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される、同じ又は異なる基である)
のフェニレン基である。
【0070】
R1は、更に特に好ましくは、式(E)
【0071】
【化12】
(式中、o及びQは、上記で定義した通りである)
のシクロへキシレン基である。
【0072】
R1は、更に特に好ましくは、式(F)
【0073】
【化13】
(式中、Zは、酸素(O)又は硫黄(S)である)
のフラン基又はチオフェン基である。
【0074】
R1は、更に特に好ましくは、式(G)
【0075】
【化14】
(式中、Zは、上記で定義した通りである)
のテトラヒドロフラン基又はテトラヒドロチオフェン基である。
【0076】
好ましくは、R1は、特に、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-シクロへキシレン、1,3-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレン、2(3),5(6)-ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン、3(4),8(9)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デシレン、4(5),11(12)-ペンタシクロ[6.5.1.13'6.02'7.09'13]ペンタデシレン、6,12-ペンタシクロ[9.2.1.15'8.04'9.02'10]ペンタデシレン、N,N'-ビス(2,2-ジメチル-1,3-プロピレン)ピペラジン、2,5-フリレン、2,5-チオフェニレン、2,5-テトラヒドロフェニレンからなる群から選択され、より好ましくは、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-シクロへキシレン、1,3-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレンからなる群から選択される。
【0077】
ここで、R2は、好ましくは、水素(H)又はメチルである。
【0078】
好ましくは本発明の方法を用いて、mが2である式(1)のアミンであって、
- R1が、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-シクロへキシレン、1,3-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレン、2(3),5(6)-ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン、3(4),8(9)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デシレン、4(5),11(12)-ペンタシクロ[6.5.1.13'6.02'7.09'13]ペンタデシレン、6,12-ペンタシクロ[9.2.1.15'8.04'9.02'10]ペンタデシレン、N,N'-ビス(2,2-ジメチル-1,3-プロピレン)ピペラジン、2,5-フリレン、2,5-チオフェニレン、2,5-テトラヒドロフェニレンからなる群から選択され、
R2が水素(H)であり、
又は
R1が、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-シクロへキシレン、1,3-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレンからなる群から選択され、
R2がメチルであり、
- R4又はR5が、メチルであり、その他の基は、それぞれの場合で水素(H)である。
- R6及びR7が、水素(H)である、
アミンを調製することができる。
【0079】
触媒
可能な触媒に関する以下の記載は、式(1)の全ての可能なアミンの本発明による調製に関連する。したがって、別段の指示がない限り、以下の説明は、mが1であるアミンと、mが2又は3であるアミンとの両方に関連する。
【0080】
本発明の方法で使用される不均一系水素化触媒は、以下、「触媒」と称されてもよい。
【0081】
本発明の方法において、ステップ1及び2で使用される不均一系水素化触媒は、好ましくは、元素周期表のVIIIB族及び/又はIB族からの1種以上の金属を含む触媒である。
【0082】
そのような元素の例は、Cu、Co、Ni、及び/又はFeであり、貴金属、例えば、Ru、Pt、Pd、及びReでもある。触媒は、例えば、Ag、Zn、In、Mn、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)、及び/又はMoでドープすることができる。
【0083】
元素周期表の族の名称は、CAS(ケミカルアブストラクツサービス)命名法に従う。
【0084】
元素の元素周期表のVIIIB族の好ましい金属は、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptである。元素周期表のIB族の好ましい元素は、Cu、Ag、及びAuである。
【0085】
触媒は、好ましくは、担体材料を有する。使用される担体材料は、特に、酸化アルミニウム(ガンマ、デルタ、シータ、アルファ、カッパ、カイ、又はその混合物)、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム(好ましくは、単斜晶系、正方晶系、又は立方晶系の変態)、ゼオライト、アルミノケイ酸塩、及び前記担体又は活性炭の混合物である。二酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムが特に好ましく、酸化アルミニウム、特に、ガンマ酸化アルミニウムが非常に好ましい。
【0086】
本発明の方法で使用される触媒は、好ましくは、Cu及び/又はNi及び/又はCoを含み、好ましくは、Cu及びNi及び/又はCoを含み、より好ましくは、Cu及びNi及びCoを含む。
【0087】
加えて、使用される触媒はまた、Cu及び/又はNi及び/又はCo及び/又はRuを含み、好ましくは、Cu、Ni、Co、及びRuを含むことができる。
【0088】
本発明の方法において、触媒が、成形体、すなわち任意の他の触媒活性物質を含まない形態で使用される場合、触媒は、好ましくは、触媒活性材料(katalytisch aktiver Masse)、及び場合により、成形助剤(例えば、グラファイト又はステアリン酸)のみからなる触媒の形態で使用される。
【0089】
これに関連して、担体材料、故に、特に、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)は、触媒活性材料の一部であると考えられる。
【0090】
触媒は、粉末に粉砕された触媒活性材料を反応容器に導入するか、又は粉砕し、成形助剤と混合し、成形し、且つ加熱処理した後の触媒活性材料を、成形された触媒体の形態、例えば、錠剤、ビーズ、リング、押出成形物(例えば、ストランド)として反応器に設置するように使用される。
【0091】
触媒の成分の記載される濃度(重量%)は、それぞれの場合で、別段の指示がない限り、その最後の加熱処理の後、及び水素によるその還元の前の、完成した触媒の触媒活性材料に基づく。
【0092】
したがって、本発明の方法において、銅及びニッケルを含む担持触媒、より好ましくは、銅、ニッケル、及びコバルトを含む担持触媒を使用することが好ましい。
【0093】
銅、ニッケル、及びコバルトを含む担持触媒であって、触媒の触媒活性材料が、水素によるその還元の前に、アルミニウム、銅、ニッケル、及びコバルトの酸素含有化合物を含み、且つSnOとして計算される、スズの酸素含有化合物を、0.2重量%~0.5重量%、好ましくは、0.6重量%~3.0重量%、又は更に0.7重量%~2.5重量%含む、担持触媒を使用することが非常に好ましい。
【0094】
同様に、銅及びニッケルを含む担持触媒であって、触媒の触媒活性材料が、水素によるその還元の前に、ジルコニウム、銅、及びニッケルの酸素含有化合物を含み、且つMoO3として計算される、モリブデンの酸素含有化合物を、0重量%~5重量%、好ましくは、0.1重量%~3重量%含む、担持触媒を使用することが非常に好ましい。
【0095】
その最後の加熱処理の後、及び水素によるその還元の前の、触媒の触媒活性材料は、触媒活性構成物質の質量及び上記の触媒担体材料の質量の合計として定められ、好ましくは、本質的に、以下の構成物質:担体材料(故に好ましくは、酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO2))、並びに銅及び/又はニッケル及び/又はコバルトの酸素含有化合物、並びに場合により、スズ又はモリブデンの酸素含有化合物を含む。
【0096】
触媒活性材料の上記構成物質の合計は、典型的には、70重量%~100重量%、好ましくは、80重量%~100重量%、より好ましくは、90重量%~100重量%、特には、>95重量%、極めて特には、>98重量%、とりわけ、>99重量%、例えば、特に好ましくは、100重量%である。
【0097】
本発明の触媒の触媒活性材料及び本発明の方法で使用されるものの触媒活性材料は、周期表のIA族~VIA族及びIB族~VIIB族及びVIIIB族から選択される、1種以上の元素(酸化状態0)又はその無機化合物若しくは有機化合物を更に含むことができる。
【0098】
そのような元素及びその化合物の例には、
遷移金属、例えば、Mn又はMnO2、Mo又はMoO3、W又は酸化タングステン、Ta又は酸化タンタル、Nb又は酸化ニオビウム又はシュウ酸ニオビウム、V又は酸化バナジウム又はピロリン酸バナジル;ランタニド、例えば、Ce若しくはCeO2又はPr若しくはPr2O3;アルカリ土類金属酸化物、例えば、SrO;アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、MgCO3、CaCO3、及びBaCO3;アルカリ金属酸化物、例えば、Na2O、K2O;アルカリ金属炭酸塩、例えば、Li2CO3、Na2CO3、及びK2CO3;酸化ホウ素(B2O3)が挙げられる。
【0099】
本発明の方法で使用される触媒の触媒活性材料は、好ましくは、金属形態(酸化状態=0)又はイオン形態(酸化状態≠0)のいずれの場合でも、とりわけ酸化形態で、任意のレニウム、任意のルテニウム、任意の鉄、及び/又は任意の亜鉛を含まない。
【0100】
本発明の方法で使用される触媒の触媒活性材料は、好ましくは、金属形態(酸化状態=0)又はイオン形態(酸化状態≠0)のいずれの場合でも、とりわけ酸化形態で、任意の銀及び/又は任意のモリブデンを含まない。
【0101】
触媒は、公知の方法によって、例えば、沈殿、沈着、含浸によって製造することができる。
【0102】
好ましい触媒は、その触媒活性材料において、水素による処理の前に、
ZrO2として計算される、ジルコニウムの酸素含有化合物20重量%~85重量%、好ましくは、20重量%~65重量%、より好ましくは、22重量%~40重量%、
CuOとして計算される、銅の酸素含有化合物1重量%~30重量%、特に好ましくは、2重量%~25重量%、
ニッケルの銅に対するモル比が、好ましくは、1よりも大きく、特には、1.2よりも大きく、極めて特には、1.8~8.5である、NiOとして計算される、ニッケルの酸素含有化合物14重量%~70重量%、好ましくは、15重量%~50重量%、より好ましくは、21重量%~45重量%、及び
MoO3として計算される、モリブデンの酸素含有化合物0重量%~5重量%、特に、0.1重量%~3重量%
を含む。
【0103】
さらなる変形形態において、これらの好ましい触媒は、その触媒活性材料において、水素による処理の前に、追加で
CoOとして計算される、コバルトの酸素含有化合物15重量%~50重量%、特に、21重量%~45重量%
を含む。
【0104】
好ましい触媒において、それぞれCuO、NiO、及びCoOとして計算される、銅、ニッケル、及び場合によりコバルトの酸素含有化合物は、一般に、触媒活性材料(水素による処理の前)において、15重量%~80重量%、好ましくは、35重量%~80重量%、より好ましくは、60重量%~78重量%の総含有量で存在し、ニッケルの銅に対するモル比は、特に好ましくは、1よりも大きい。
【0105】
特に好ましい触媒は、触媒活性材料において、水素による処理の前に
Al2O3として計算される、アルミニウムの酸素含有化合物20重量%~90重量%、好ましくは、40重量%~85重量%、より好ましくは、60重量%~80重量%、
CuOとして計算される、銅の酸素含有化合物1重量%~30重量%、好ましくは、2重量%~25重量%、より好ましくは、3重量%~20重量%、
ニッケルの銅に対するモル比が、特に好ましくは、1よりも大きく、好ましくは1.2よりも大きく、より好ましくは1.8~8.5である、NiOとして計算される、ニッケルの酸素含有化合物1重量%~40重量%、好ましくは、3重量%~30重量%、より好ましくは、5重量%~20重量%、及び
CoOとして計算される、コバルトの酸素含有化合物1重量%~40重量%、好ましくは、3重量%~30重量%、より好ましくは、5重量%~20重量%
を含む。
【0106】
それぞれNiO、CoO、及びCuOとして計算される、ニッケル、コバルト、及び銅の酸素含有化合物は、好ましくは、触媒活性材料(水素による処理の前)において、10重量%~80重量%、より好ましくは、15重量%~60重量%、特に好ましくは、20重量%~40重量%の総含有量で存在し、ニッケルの銅に対するモル比は、特に好ましくは、1よりも大きい。
【0107】
上記の触媒の製造は、WO 2012/000952 A1(BASF SE)及びWO 2014/184039 A1(BASF SE)に例として記載されている。
【0108】
非常に好ましい触媒は、その触媒活性材料において、水素による処理の前に、
Al2O3として計算される、アルミニウムの酸素含有化合物15重量%~80重量%、好ましくは、30重量%~70重量%、より好ましくは、35重量%~65重量%、
CuOとして計算される、銅の酸素含有化合物1重量%~20重量%、好ましくは、2重量%~18重量%、より好ましくは、5重量%~15重量%、
NiOとして計算される、ニッケルの酸素含有化合物5重量%~35重量%、好ましくは、10重量%~30重量%、より好ましくは、12重量%~28重量%、特に好ましくは、15重量%~25重量%、
CoOとして計算される、コバルトの酸素含有化合物5.0重量%~35重量%、好ましくは、10重量%~30重量%、より好ましくは、12重量%~28重量%、特に好ましくは、15重量%~25重量%、及び
SnOとして計算される、スズの酸素含有化合物0.2重量%~5.0重量%、好ましくは、0.4重量%~4.0重量%、より好ましくは、0.6重量%~3.0重量%、特に好ましくは、0.7重量%~2.5重量%
を含む。
【0109】
ニッケルの銅に対するモル比は、好ましくは、1よりも大きく、より好ましくは、1.2よりも大きく、特に好ましくは、1.8~8.5の範囲である。
【0110】
この種の非常に好ましい触媒の製造は、WO 2011/067199 A1に例として記載されている。
【0111】
上記の触媒は、ステップ1及びステップ2の両方において使用することができる。ステップ1及び2において使用される触媒は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0112】
- ステップ1において、
水素化金属として、元素周期表のVIIIB族からの、少なくとも1種の金属、及び追加で、酸化物担体上の助触媒を含み、元素周期表のVIIIB族からの金属の少なくとも80%が、触媒の表面と、触媒の表面から計算された、触媒の半径の80%以下に対応する浸透深さとの間の層に存在する、エッグシェル触媒である不均一系水素化触媒が使用されるか、
又は
触媒活性金属としてPd及び/若しくはPtを含み、担体として活性炭若しくは酸化アルミニウムを含む、担持触媒である不均一系水素化触媒が使用され、
- ステップ2において、
Cu及び/又はNi及び/又はCoを含む触媒が使用される
ことも可能である。
【0113】
ステップ2において、上記で、好ましいもの、より好ましいもの、特に好ましいものとして特定された、Cu及び/又はNi及び/又はCoを含む触媒のいずれかを使用することが可能である。
【0114】
エッグシェル触媒及び担持Pd/Pt触媒は以下により詳細に記載される。ステップ1は、本明細書のさらなる説明において、好ましいもの、より好ましいもの、特に好ましいものとして特定される触媒のいずれかを使用して実施することができる。
【0115】
エッグシェル触媒:
元素周期表のVIIIB族の金属は、好ましくは、本質的に均一な分散で、画定されたシェルに存在する。
【0116】
助触媒は、好ましくは、触媒の断面にわたって、本質的に均一な分散で存在する。
【0117】
好ましい実施形態において、触媒は、1.5~10mmの範囲内の直径を有し、元素周期表のVIIIB族の金属の少なくとも80%が、触媒の表面と、触媒の表面から計算された、1000μm以下の浸透深さとの間の層に存在する。
【0118】
この種の触媒において、元素周期表のVIIIB族の金属は、触媒でシェル構造を形成する。
【0119】
本発明で使用可能な触媒は、好ましくは、1.5~9mmの範囲内の直径を有する。特に好ましい実施形態において、本発明で使用可能な触媒の直径は、2.0~5mm、特に2.5~3.5mmである。
【0120】
本発明で使用可能な触媒において、元素周期表のVIIIB族の金属の、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、特に好ましくは、少なくとも95%、特に、少なくとも98%、特には100%は、触媒の表面と、触媒の表面から計算された、1000μm以下の浸透深さとの間の層に存在する。
【0121】
本発明で使用可能な触媒は、元素周期表のVIIIB族の金属(Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt)を含む。本発明の好ましい実施形態において、この金属はパラジウムである。
【0122】
本発明で使用可能な触媒は、追加で、少なくとも1種の助触媒を含む。これは、例えば、元素周期表のVIIIB族、IB族、及びIIB族の他の金属(Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg)であってもよい。好ましい実施形態において、本発明で使用可能な触媒は、元素周期表のVIIIB族の金属に加えて、元素周期表のIB族からの少なくとも1種の金属を含む。ここで銀が特に好ましい。
【0123】
特に好ましい実施形態において、本発明で使用可能な触媒は、パラジウム及び銀を含む。
【0124】
本発明で使用可能な触媒は、任意の所望の形状、例えば、押出成形物、中空押出成形物、錠剤、リング、球状粒子、又は球体であることができる。押出成形物の形態の触媒が好ましい。
【0125】
金属は、純金属形態であってもよく、又は化合物の形態、例えば、金属酸化物の形態であってもよい。ステップ2の作業条件の下、金属は、一般に、金属の形態である。いずれの酸化物も、水素化法で触媒を使用する前に、当業者に既知の方法で金属に変えることができる。これは、水素化反応器の内部又は外部で、例えば、事前の還元によって、且つ予備還元触媒による操作に必要であるか、又は有利である場合、後続の表面パッシベーションによって、行うことができる。
【0126】
周期表のVIIIB族の金属(複数可)、特に、パラジウムの触媒中の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、特に0.15重量%以上である。この含有量は、好ましくは、5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に0.6重量%以下である。より低い含有量及びより高い含有量が可能であるが、それらは、通常、活性が低すぎるか、又は原料に費用がかかりすぎるという理由で、経済的に満足できない。特に好ましい実施形態において、1種の水素化金属のみ、特にパラジウムが使用される。
【0127】
元素周期表のVIIIB族の水素化金属の量と、添加物又はドーパントの量との比は、それぞれの個々の場合で最適化されるパラメーターである。元素周期表のVIIIB族の金属、特に好ましくは、パラジウムの、助触媒、特に好ましくは銀に対する原子比は、好ましくは0.1~10、より好ましくは2~7、特に2.5~6である。
【0128】
本発明で使用可能な触媒の酸化物担体は、好ましくは、酸化アルミニウムであり、より好ましくは、δ-酸化アルミニウム、θ-酸化アルミニウム、及びα-酸化アルミニウムの混合物である。避けられない不純物に加えて、担体は、ある程度、他の添加物も含むことがある。例えば、担体は、他の無機酸化物、例えば、元素周期表のIIA族、IIIB族、IVB族、IIIA族、及びIVA族の金属の酸化物、特に、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、及び/又は酸化カルシウムを含むことがある。担体中の、酸化アルミニウム以外のそのような酸化物の最大含有量は、実際に存在する酸化物に応じて決まるが、構造の変化がX線回折パターンの有意な変化を伴うので、水素化触媒のX線回折パターンに基づいて、個々の場合で決定することができる。一般に、酸化アルミニウム以外のそのような酸化物の含有量は、50重量%未満、好ましくは30重量%未満、より好ましくは10重量%未満である。酸化アルミニウムの純度は、好ましくは、99%よりも高い。
【0129】
この種の、その酸化物担体を含むエッグシェル触媒の製造は、WO 2007/107477 A1(BASF AG)、特に5~10頁に記載されている。
【0130】
Pd/Pt触媒:
本発明の好ましい遷移金属触媒は、金属Pd及びPtの群から選択される、1種以上の金属を、活性成分として含むものである。少なくとも1種の、特に唯一の活性成分として金属Pdが特に好ましい(活性成分=触媒活性成分)。
【0131】
本発明で使用される、触媒用の担体材料は、好ましくは、活性炭又は酸化アルミニウムであり、より好ましくは、活性炭である。
【0132】
本発明との関係において特に好ましい触媒は、活性炭担持Pd(Pd/C)である。
【0133】
言及した触媒が、Pd及び/又はPtの含有量0.1重量%~25重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%、より好ましくは4重量%~11重量%[それぞれの場合で、完成した触媒の還元金属(複数可)(酸化状態0)に基づき、且つ乾燥触媒の全重量に基づく]を有する場合が有利である。
【0134】
そのような触媒は、市販されており、例えば、商品名Degussa E1002、Degussa E101、Degussa E105、Degussa E106、Engelhard C3630、Heraeus K201、Heraeus K202、Heraeus K203、Heraeus K204、Heraeus K219で入手可能である。
【0135】
触媒は、特には、1重量%~150重量%の範囲の、より特には、3重量%~10重量%の範囲(それぞれの場合で、乾燥触媒の重量に基づく)の水分含有量を有することができる。
【0136】
反応手順:
可能な反応器、反応手順、反応条件等に関する以下の記載は、式(1)の全ての可能なアミンの本発明による調製に関連する。したがって、別段の指示がない限り、以下の説明は、mが1であるアミンと、mが2又は3であるアミンとの両方に関連する。
【0137】
ステップ1及び2は、通常、液相において実施される。反応物は、場合により、好適な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、又はキシレンで希釈してもよい。ステップ1において、アルコール(例えば、メタノール又はイソプロパノール)も使用することができる。選択された反応条件によっては、反応物の、及び溶媒の、ある一定の比率は、その分圧に応じて気体状態である。
【0138】
本発明の方法は、連続式、又はバッチ式のいずれかで実施することができる。
【0139】
ステップ1及び2の好適な反応器の例は、オートクレーブ、撹拌槽反応器、又は固定床反応器、例えば、シェルアンドチューブ又はシャフト反応器である(シャフト反応器は、固定床反応器の好ましい種類である)。
【0140】
ステップ1:
本発明のステップ1で形成される反応生成物は、大抵、イミン又はシッフ塩基である。
【0141】
ステップ1において、アミノアルコールとカルボニル化合物との反応から形成された反応生成物は、中間体にin situ水素化することができる(in situ反応手順)。ここで、アミノアルコール及びカルボニル化合物を、水素(H2)及び不均一系水素化触媒の存在下で反応させる。同様に、本発明によれば、初めに、アミノアルコール及びカルボニル化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物を(場合により、さらなる精製の後)水素化することが可能である。ここで、アミノアルコール及びカルボニル化合物の反応は、水素(H2)及び不均一系水素化触媒の存在下では起こらない。
【0142】
in situ反応手順において、ステップ1の反応温度は、好ましくは、20~250℃、より好ましくは、40~200℃、特に好ましくは、60~180℃である。本発明の方法のステップ1は、好ましくは、絶対圧(=反応圧力)10~200バール、より好ましくは、30~150バール、特に好ましくは、50~120バールで実施される。反応圧力は、全ての反応物、存在する任意の溶媒、生成物、任意の副生成物、及び他の混入物の分圧で構成される。
【0143】
反応がin situで実施されない場合、アミノアルコール及びカルボニル化合物から、本発明の反応生成物への反応は、好ましくは、温度0~250℃で起こる。絶対圧は、好ましくは、1~200バールである。したがって、分圧について前述されたことが適用される。本発明の反応生成物から中間体への反応は、好ましくは、in situ反応手順について前述された圧力及び温度で実施される。
【0144】
ステップ1は、好ましくは、完全な変換で行われる。これは、アミノアルコール又はカルボニル化合物に基づいた変換率は、これらの化合物のどちらが不足しているかに応じて、およそ100%であることを意味する。特に、変換率は、70~95%、80~98%、又は更に90~100%である。不足して存在する化合物が、理論的に完全な変換を受ける化合物である(過剰のアミノアルコール及び不足したカルボニル化合物を使用することが好ましい。以下参照)。変換率は、例えば、反応器から少量の試料を取り出し、例えば、ガスクロマトグラフィーによって、その組成を分析することによって測定することができる。変換率(Conv)は、以下の式
【0145】
【数1】
(式中、
n=未反応のアミノアルコール/カルボニル化合物のモル量
n0=初めに用いられたアミノアルコール/カルボニル化合物のモル量)
によって計算される。
【0146】
式(2)のアミノアルコールは、式(3)のカルボニル化合物のカルボニル基のモル量に基づいたモル量の、好ましくは、0.8~1.9倍、より好ましくは、0.9~1.5倍、特に好ましくは、1.1~1.3倍、又は更に1.1倍~1.2倍である量で使用される。
【0147】
アミノアルコールが、上記の範囲に従ってわずかに過剰(最大でモル量の1.9倍)で使用される場合が特に有利である。次いで、アミノアルコールは、ステップ2に干渉しないので、粗中間体から分離する必要はない。ステップ2を実施した後、過剰のアミノアルコールを蒸留によって取り出すことができる。こうして取り出されたアミノアルコールは、場合により、ステップ1において(例えば、連続法で再循環させることによって)再利用することができる。アミノアルコールが、わずかに過剰でしか使用されない故に、エネルギー及び設備の費用は低い。ごく少量のアミンが製造される場合、ステップ1において、アミノアルコールを、制限なく再循環させることはできないが、代わりに(例えば、焼却によって)廃棄せねばならない。本発明の方法において、廃棄される反応物の、製造される生成物に対する比がより低いので、これは、1,2-EDA又は1,2-PDAが、大抵1.9倍よりも過剰で使用される先行技術の改善を示す。使用される過剰のアミノアルコールが少ないほど、この効果は大きくなる。これに関して、本実施形態における本発明の方法は、本発明の、より少量のアミンを調製するのに特に好適である。したがって、本発明の方法は、好ましくは、バッチ式で作業される。本発明の方法は、連続して作業することもでき、ステップ1及び2は、それぞれ、(同じ、又は異なる)固定床反応器において実施される。
【0148】
水素(H2)は、式(3)のカルボニル化合物のカルボニル基のモル量に基づいたモル量の、好ましくは、1~10倍、より好ましくは、2~5倍、特に好ましくは、3~4倍である量で使用される。
【0149】
ステップ1は、オートクレーブ又は撹拌槽反応器において実施することができる。これらの反応器は、バッチ作業に特に好適である。撹拌槽反応器であれば、半バッチ作業(反応物又は反応物溶液において供給する)も可能である。
【0150】
バッチ作業において、反応器(例えば、オートクレーブ又は撹拌槽反応器)に、通常、アミノアルコール及びカルボニル化合物、及び好ましくは懸濁触媒形態の不均一系水素化触媒(触媒)を初めに装入する。所望の反応圧力を、例えば、水素(H2)で加圧することによって設定することができる。同様に、アミノアルコール及びカルボニル化合物を、好適な反応器において一緒に反応させ、次いで、得られた反応生成物を(場合により、さらなる後処理の後)、同じ反応器又は異なる反応器において、水素(H2)及び不均一系水素化触媒の存在下で反応させることが可能である。
【0151】
半バッチ作業において、撹拌槽反応器に、初めに、アミノアルコール、及び好ましくは、懸濁触媒の形態の触媒を装入し、次いで、反応器を、所望の反応圧力が設定されるまで、水素で加圧する。次いで、カルボニル化合物を、反応温度及び反応圧力で添加する。添加は、分けて行っても、連続して行ってもよい。添加は、所望の変換率(上記参照)に到達するまで続けられる。同様に、アミノアルコールを、初めに装入したカルボニル化合物に添加することが可能である。この場合、アミノアルコール及びカルボニル化合物の反応の反応生成物の水素化は、in situで起こる。
【0152】
アミノアルコール及びカルボニル化合物は、好適な反応器において、(初めに装入された、アミノアルコール又はカルボニル化合物のいずれか、及びこれに添加した他の化合物と共に)反応させることも可能であり、次いで、得られた反応生成物を(場合により、さらなる後処理の後)、同じ反応器又は異なる反応器において、水素(H2)及び不均一系水素化触媒の存在下で水素化する。
【0153】
バッチ及び半バッチ作業において、触媒の量(無水で計算される)が、式(2)のアミノアルコールの、用いられた量に基づいて、0.1重量%~30.0重量%の範囲内、特に、1.0重量%~15.0重量%の範囲内であるような量で、選択された触媒を使用する場合が有利である。
【0154】
連続式反応手順では、固定床反応器(上記参照)が、通常用いられる。アミノアルコール及びカルボニル化合物の反応から得られる反応生成物の水素化は、上記のように、ここでin situで起こる。ここで、触媒空間速度は、通常、式(3)のカルボニル化合物0.01~2kg/(lcat・時間)(lcat=触媒体積)、特に、0.1~1kg/(lcat・時間)である。このような手順は、再循環の有無に関わらず行うことができる。再循環が実施されるならば、反応器を出る生成物流の一部を、反応器に戻して再循環させる。反応器の長さにわたって、より均一な温度プロファイルを得るように、再循環生成物流は、通常冷却される。
【0155】
連続式反応手順では、気体反応物(特に、水素(H2))を循環させることができる。循環ガスの流量は、好ましくは、(作業圧力で)40~1500m3/[触媒m3(床体積(Schuettvolumen))・時間]の範囲内、特に、(作業圧力で)100~700m3/[触媒m3(床体積)・時間]の範囲内である。循環ガスは、好ましくは、水素(H2)を、少なくとも10体積%、特には50体積%~100体積%、より特には80体積%~100体積%含む。
【0156】
適切な反応器及び反応手順の選択は、本質的に、製造されるアミンの所望の量に応じて決まる。この量が比較的少ない場合、バッチ作業において、オートクレーブ又は撹拌槽反応器の使用が好ましい。より多い量(例えば、数トン)のアミンが製造される場合、半バッチ作業又は更に連続式反応手順が有利である。
【0157】
ステップ1で形成された、反応の水は、形成された粗中間体から取り出すことができる。
【0158】
ステップ2:
ステップ1とは対照的に、ステップ2において、中間体とアミン成分との反応は、当然なことながら、水素及び適切な触媒の存在下で起こる。
【0159】
ステップ2の反応温度は、好ましくは、150~250℃、より好ましくは、170~230℃、特に好ましくは、180~220℃である。本発明の方法のステップ2は、好ましくは、絶対圧(=反応圧力)50~250バール、より好ましくは、70~220バール、特に好ましくは、100~200バールで実施される。反応圧力は、全ての反応物、存在する任意の溶媒、生成物、任意の副生成物、及び他の混入物の分圧で構成される。
【0160】
式(5)のアミン成分は、式(4)の中間体のアルコール基のモル量に基づいたモル量の、好ましくは、1.5~100倍、より好ましくは、1.5~30倍、特に好ましくは、2~25倍、又は更に2.5~20倍である量で使用される。
【0161】
水素(H2)は、式(4)の中間体のアルコール基のモル量に基づいたモル量の、好ましくは、0.1~10倍、より好ましくは、1~5倍、特に好ましくは、2~4倍である量で使用される。
【0162】
ステップ1で得られた中間体の約95%の変換率は、一般に可能である。中間体に基づいた変換率は、好ましくは、20~100%、より好ましくは、50~97%、特に好ましくは、70~95%である。変換率(Conv)は、以下の式
【0163】
【数2】
(式中、
n=未反応の中間体のモル量
n0=初めに用いられた中間体のモル量)
によって計算される。
【0164】
ステップ1と同様に、反応器及び反応手順の選択は、本質的に、製造される式(1)のアミンの所望の量に応じて決まる。
【0165】
中間体がバッチ作業において製造される場合、ステップ1における、そのさらなる反応は、一般に、バッチ作業において同様に実施される。ステップ1で形成された中間体は、反応器(例えば、撹拌槽反応器)に残り、次いで、ステップ2において、(同じ撹拌槽反応器において)反応を受けることができる。
【0166】
ステップ2は、例えば、オートクレーブ又は撹拌槽反応器において実施することができる。これらの反応器は、バッチ作業に特に好適である。
【0167】
ステップ1と同様に、ステップ2もまた、固定床反応器において連続式で実施することができる。したがって、ステップ1で、可能な反応器、再循環、循環ガス、及び循環ガス量について言及されたことは、ステップ2に適用される。
【0168】
バッチ作業において、触媒の量(無水で計算される)が、式(4)の中間体の、用いられた量に基づいて、0.1重量%~30.0重量%の範囲内、特に、1重量%~25.0重量%の範囲内であるような量で、選択された触媒を使用する場合が有利である。
【0169】
固定床反応器における、連続式反応手順では、触媒空間速度は、通常、式(4)の中間体化合物0.01~2kg/(lcat・時間)(lcat=触媒体積)、特に、0.3~0.6kg/(lcat・時間)である。
【0170】
連続式反応手順では、ステップ1及び2は、異なる反応器において実施することができ、
- アミノアルコール、水素(H2)、及びカルボニル化合物を、連続して第1の反応器に供給し、そこで、ステップ1の、中間体を形成する反応が起こり、
- 第1の反応器を出る中間体、水素(H2)、及びアミン成分を、連続して、第2の反応器に供給し、そこで、ステップ2の、式(1)のアミンを形成する反応が起こる。
【0171】
両方の反応器は、同じ不均一系水素化触媒又は異なる不均一系水素化触媒を備えることが可能である。ステップ1で製造された中間体は、好ましくは、1つ以上の圧力分離器(例えば、高圧分離器、場合により、中圧分離器)によって供給されるが、さもなければ、さらなる精製なしで第2の反応器に供給され、そこで、ステップ2において反応させる。ステップ1及び2の適切な反応条件は、既に上で記載したように選択することができる。同じことが、可能な反応器に適用される。
【0172】
連続式反応手順において、ステップ1及び2を、好ましくは、同じ反応器において、同じ不均一系水素化触媒で、引き続いて実施し、
- アミノアルコール、水素(H2)、及びカルボニル化合物を、連続して反応器に供給し、そこで、ステップ1の、中間体を形成する反応が起こり、
- 反応器を出る中間体を、好適な容器で一時的に保管し、一旦、中間体の所望の量が製造され、
- 容器からの中間体、水素(H2)、及びアミン成分を、連続して反応器に供給し、そこで、ステップ2の、式(1)のアミンを形成する反応が起こる。
【0173】
通常、本発明の中間体の所望の量は、初めに製造され、容器(例えば、槽)において、一時的に保管される。反応器からの出口流は、ここで、通常、1つ以上の圧力分離器(例えば、高圧分離器、場合により、中圧分離器)を通過する。次いで、前記中間体は、水素及び式(4)のアミンと共に反応器に戻る。ステップ1及び2の適切な反応条件は、既に上で記載されたように選択することができる。同じことが、可能な反応器に適用される。
【0174】
加えて、同様に、ステップ1及び2を、同時に、同じ反応器で、同じ不均一系水素化触媒で実施することが可能である。これについて、反応器には、全ての反応物を初めに装入し、そこで反応が実施される。この場合、中間体がin situで形成され、ステップ2において本発明のアミンに変換される。反応が、連続式、及びバッチ式の両方で行われることが可能である。しかし、in situでの、中間体の形成及びそれに続く反応、すなわち、上記のように、ステップ1及び2を順々に実施することは好ましくない。
【0175】
本発明に従って製造された、式(1)の粗アミンを更に精製することができる。例えば、1つ以上の蒸留ステップを施してもよい。通常、過剰のアミン成分(例えば、アンモニア)、任意の過剰のアミノアルコール、並びにステップ1及び2で形成された反応の水を、初めに留去することが可能である。高沸点化合物は、後続の蒸留ステップによって分離することができる。
【0176】
本発明の方法は、式(1)の正確に1種のアミンが製造される、その実施形態に制限されるものではないと指摘すべきである。
【0177】
本発明のアミンはまた、本発明の方法を用いて、例えば、
- ステップ1において、1種より多くのアミノアルコール及び/若しくは1種より多くのカルボニル化合物を反応させて、次いで得られた中間体を、1種のアミン成分、若しくは場合により、複数種のアミン成分と反応させることにより、又は
- ステップ1で得られた中間体を、ステップ2の、1種より多くのアミン成分と反応させることによって、同時に(すなわち、並行して)製造することもできる。
【0178】
例えば、N-ベンジル-1,2-エタンジアミン及びN-(4-メトキシベンジル)-1,2-エタンジアミンの混合物は、ステップ1において、MEOAを、ベンズアルデヒド及び4-メトキシベンズアルデヒドと反応させ、次いで、ステップ2において、得られた中間体をアンモニアと反応させることによって製造することができる。同様に、例えば、アミノアルコールの混合物(例えば、MIPOA及びMIPOA')を使用することができる。このような実施形態は、既に上で記載されている。
【0179】
既に上で述べられたように、本発明によれば、mが2又は3であるアミンを、並行して調製することもできる。例えば、テレフタルアルデヒド及び1-4-シクロヘキサンジカルバルデヒドは一緒に、ステップ1において、MIPOAと反応させ、ステップ2において、得られた中間体をアンモニアと反応させることができる。これにより、1,4-ビス(2-アミノプロピルアミノメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(2-アミノプロピルアミノメチル)シクロヘキサンの混合物がもたらされ、そのそれぞれが、式(1)のアミンである。
【0180】
複数種のアミノアルコール及び/又は複数種のアミン成分が、mが2又は3である、アミンの調製で使用される場合、式(1)における分子断片[R6R7NCHR5CHR4NHCHR2]-は、互いに異なってもよい。同じことが、式(4)の中間体における分子断片に適用される。例えば、テレフタルアルデヒドを、MIPOA及びMIPOA'と同時に反応させ、引き続いて、得られた中間体をアンモニアと反応させる場合、これにより、1,2-ビス(2-アミノプロピルアミノメチル)ベンゼン及び1,2-ビス(1-アミノ-2-メチルエチルアミノメチル)ベンゼンの形成だけでなく、1,2-(2-アミノプロピルアミノメチル)(2-アミノ-1-メチルエチルアミノメチル)ベンゼンの形成ももたらされる。後者の化合物において、一方の分子断片の、R4は水素(H)であり、R5はメチルであり、他方の分子断片の、R4はメチルであり、R5は水素(H)である。
【0181】
前述の段落に記載された混合物を、所望の最終用途に応じて、直接使用することができる。同様に、それぞれのアミンを分離すること(例えば、蒸留によって)が可能である。
【0182】
誤解を避けるために、式(1)の複数種のアミンが同時に製造される状況、すなわち、複数種の反応物が使用される状況において、上記の対応する好ましい、より好ましい、特に好ましいモル比は、それぞれの反応物のモル量の合計に基づくことを指摘すべきである。特に、これは以下のことを意味する。式(2)のアミノアルコール(複数可)は、式(3)のカルボニル化合物(複数可)中の、カルボニル基のモル量に基づいた上記モル量で使用される。水素(H2)は、式(3)のカルボニル化合物(複数可)中の、カルボニル基のモル量に基づいた上記モル量で使用される。式(5)のアミン成分(複数可)は、式(4)の中間体(複数可)中の、アルコール基のモル量に基づいた上記モル量で使用される。水素(H2)は、好ましくは、式(4)の中間体(複数可)中の、アルコール基のモル量に基づいた上記モル量で使用される。
【0183】
例えば、ベンズアルデヒド0.5mol及び2-メチルベンズアルデヒド0.5molを、1.3倍のモル量のMIPOA及びMIPOA'(モル比19:1)と反応させる場合、これは、MIPOA 1.235mol及びMIPOA' 0.065molを使用せねばならないことを意味する。
【0184】
以下の例は、いかようにも制限することなく、本発明を説明するのに役立つ。
【実施例
【0185】
ガスクロマトグラフィー(本発明の実施例について):RTX5アミンカラム、長さ30m、直径0.32mm、膜厚1.5μm。温度プログラム:開始温度60℃、4℃/分で280℃まで、15分間保持。
【0186】
本発明
ステップ1:
窒素ブランケット、温度計、及び還流冷却器を備えるガラスフラスコに、モノイソプロパノールアミン(モル比95:5のMIPOA及びMIPOA'、以下、集合的に「モノイソプロパノールアミン」と称する)82.6g(1.1mol)を装入し、フラスコを氷浴に浸漬し、次いで、ベンズアルデヒド(106.1g、1.0mol)を30分の時間をかけて滴下添加した。混合物は、放出される反応熱の結果として温かくなった。反応熱が停止すると、シッフ塩基及び過剰のモノイソプロパノールアミンの混合物は、固化した。次いで、これに、十分なTHFを添加し、混合物は、35℃で清澄溶液を形成した。それぞれが容量160mlを有し、傾斜翼(pitched blade)撹拌機、触媒ケージ、水素注入口、及び熱電対を備えた4個の高圧オートクレーブ間に、反応混合物全体を分配した。各オートクレーブに、電熱を装着した。それぞれの触媒ケージは、酸化アルミニウム担体上のPd/Ag触媒(WO 2007/107477 A1(BASF AG)、19f頁の例に従って、Pd0.3%、Ag0.1%、押出成形物、直径2.8mm)6gで満たした。オートクレーブを閉め、不活性化し、水素20バールで加圧し、次いで、内容物を100℃まで加熱した。反応温度に到達すると、水素圧力を、80バールまで高め、内容物を12時間撹拌した。消費された水素を補給した。試料をガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0187】
保持時間、アサインメント、及びGC面積%の値を含む分析結果を表1に示す。THFを差し引く。THF濃度は、およそ63%であった。アサインメントは、質量分析法と連結したガスクロマトグラフィー(GC-MS)によるものであった。N-ベンジル-モノイソプロパノールアミン(N-ベンジル-MIPOA及びN-ベンジル-MIPOA')に関する選択率は、95.6%であった。
【0188】
【表1】
【0189】
ステップ2:
得られた混合物に、トリエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)を添加して、後続の反応における揮発性化合物又は高沸点化合物の形成を評価することができた。使用された反応混合物のGCは、TEGDME7.5%(GC面積%)を含んだ。次いで、混合物50g(N-ベンジル-モノイソプロパノールアミンおよそ0.19mol)を、触媒ケージに還元不動態化アミノ化触媒10g(WO 2011/067199 A1(BASF AG)、例5に従って得られ、Al2O3担持のNi、Co、Cu、Snを含む)を予め導入した、ディスク型ガス撹拌機(Scheiben-Begasungsruehrer)、熱電対、電熱、水素注入口、及びアンモニア用液体注入口を備えた高圧オートクレーブ0.3Lに移した。次いで、アンモニア65g(3.8mol)を添加し、モル比約20:1に対応した。次いで、オートクレーブを、室温で、H230バールで加圧し、180℃まで撹拌しながら加熱した。この温度に到達すると、圧力を、水素による再加圧によって200バールまで高めた。圧力が、190バールまで落ちると(触媒の還元による水素の消費)、オートクレーブを、水素で200バールまで再加圧した。次いで、撹拌を、これらの条件の下、10時間続けた。次いで、反応混合物を濾過して、触媒を取り除いた。
【0190】
混合物は、前述のものと同じ方法を用いて、ガスクロマトグラフィーによって分析した。THF及びTEGDMEを差し引いた。TEGDMEは、を含有量7.5%で検出され、これは反応物混合物の相対量に対応した。このことから、GCを通過しない、揮発性副生成物も高沸点化合物も形成されなかったと結論づけられた。結果を表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
選択率の計算において、GC面積%は、重量%に等しい。
【0193】
N-ベンジル-モノイソプロパノールアミンのモル変換率は、93%であり、標的生成物N-ベンジルプロパンジアミン(N-ベンジル-PDA)の、2種の異性体N1-ベンジル-PDA及びN2-ベンジル-PDAの合計の選択率は、78%であった。1,2-プロパンジアミン及びベンジルアミンは、価値ある、さらなる生成物として形成された。ベンズアルデヒドから形成された、同定生成物のモル質量を考慮すると、ベンズアルデヒドからN-ベンジル-PDA(N1-ベンジルプロパンジアミン及びN2-ベンジルプロパンジアミン)への変換のモル選択率は、77%であった。N-ベンジル-モノイソプロパノールアミン(中間体)からN-ベンジル-PDAへの部分的変換を考慮すると、実際に、選択率は83%であった。
【0194】
比較例(本発明以外)
1,2-プロピレンジアミン(1,2-PDA)6.2g(0.08mol)及びイソプロパノール35.6gを、還流冷却器、並びに窒素ブランケット、温度計、及び撹拌機を備えたガラスフラスコに置き、これに、ベンズアルデヒド8.9g(0.08mol)を滴下添加した。内容物を、2時間撹拌し、次いで、上記のパラジウム触媒20ml(10.7g)(WO 2007/107477 A1(BASF AG)、19f頁の例による)を満たした触媒ケージを含むオートクレーブに移した。オートクレーブを、室温で、H220バールで加圧し、撹拌した。次いで、混合物を90℃まで加熱し、この温度に到達すると、水素圧力を90バールまで高め、これらの条件の下、撹拌を4時間続けた。水素圧力を、再加圧によって広範囲で一定に保って、消費された水素を補充した。次いで、試料をガスクロマトグラフィーによって分析した。方法は、以下の通りであった:カラムDB1、長さ30m、直径0.32mm、層厚さ3μm、温度プログラム、開始温度80℃、10℃/分で280℃まで、280℃で50分保持。
【0195】
保持時間、アサインメント、及びGC面積%の値を含む分析結果を表3に示す。イソプロパノールを差し引く。
【0196】
【表3】
【0197】
ベンズアルデヒドの変換率は、100%であり、1,2-PDAの変換率は、90.5%であった。モル質量を考慮することによって、ベンズアルデヒドからN-ベンジルプロパンジアミンへの変換の選択率を計算することができる。これは25%であった。
【0198】
結果の考察
例は、本発明の方法で達成され得る選択率(選択率77%)が、ベンズアルデヒドと1,2-PDAとのアミノ化によって達成された選択率(選択率25%)よりもかなり高いことを示す。当業者にとって特に驚くべきことは、感知され得るトルエンの形成がステップ2において起こらなかったことである。当業者は、有機化学において、ベンジル基が、いわゆる、アミノ基の保護基として用いられることを知る。これは、ベンジル基が、保護基としてのその機能において、複雑な、複数のステップの化学合成の間に、アミノ基が任意の望ましくない反応を受けるのを妨げることを意味する。合成の終わりに、保護基を再び切断する。これは、通常、用いた不均一系水素化触媒を使用して、ステップ2の反応条件の下で行われる。したがって、当業者は、ステップ2でかなりの程度までトルエンが形成される、すなわち、アミノ基が再び脱保護され、N-ベンジルプロパンジアミンがごく少量しか形成されないであろうと予測したであろう。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
式(1)
【化15】
[式中、
mは、1、2、又は3であり、
mが1である場合、
R 1 は、脂肪族C 1-60 炭化水素基、又は少なくとも1つの脂環式環若しくは芳香環を含むC 4-60 炭化水素基であり、前記C 1-60 炭化水素基若しくはC 4-60 炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R 2 は、水素(H)、C 1-6 アルキル、若しくはフェニルであるか、
又は
R 1 、R 2 は一緒になって、-(CH 2 ) j -Y-(CH 2 ) k -(式中、Yは、メチレン、酸素(O)、硫黄(S)、若しくはNR 3 (式中、R 3 はC 1-4 アルキルである)であり、j及びkは、独立して、整数1~4である)であり、
mが2又は3である場合、
R 1 は、少なくとも1つの脂環式環又は芳香環を含む、2価又は3価のC 4-20 炭化水素基であり、前記炭化水素基は、場合により、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)からなる群から独立して選択される、1つ以上のヘテロ原子を含み、
R 2 は、水素(H)、C 1-6 アルキル、又はフェニルであり、
R 4 及びR 5 は、独立して、水素(H)又はC 1-16 アルキルであり、
R 6 及びR 7 は、独立して、水素(H)又はC 1-4 アルキルである]
のアミンを調製する方法であって、
1. 式(2)
【化16】
のアミノアルコールを式(3)
【化17】
のカルボニル化合物と反応させ、引き続いて、得られた反応生成物を不均一系水素化触媒上で水素(H 2 )で水素化して、式(4)
【化18】
の中間体を形成するステップ、及び
2. ステップ1で得られた中間体を、水素(H 2 )及び不均一系水素化触媒の存在下で、式(5)
【化19】
のアミン成分と反応させて、対応する式(1)のアミンを形成するステップ
を含み、式(2)~(5)における、m並びに基R 1 、R 2 、R 4 、R 5 、R 6 、及びR 7 が、式(1)で定義した通りである、方法。
項2
ステップ1において、式(2)のアミノアルコールが、式(3)のカルボニル化合物のカルボニル基のモル量に基づいたモル量の0.8~1.9倍である量で使用されることを特徴とする、項1に記載の方法。
項3
ステップ2において、式(5)のアミン成分が、式(4)の中間体のアルコール基のモル量に基づいた量の1.5~10倍である量で使用されることを特徴とする、項1又は2に記載の方法。
項4
R 1 が、場合により置換されている、フェニレン、シクロへキシレン、ジシクロヘプチレン、トリシクロドデシレン、ペンタシクロペンタデシレン、フランジイル、テトラヒドロフランジイル、チオフェンジイル、テトラヒドロチオフェンジイル、又はN,N'-ピペラジン-ビス(2,2-ジメチルプロパン)ジイル基であり、
R 2 が、水素(H 2 )、メチル、又はフェニルである、
mが2である式(1)のアミンを調製するための、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項5
R 1 が、C 3-50 アルキル、C 3-50 アルコキシアルキル、C 4-12 シクロアルキル、C 4-30 アルコキシシクロアルキル、C 4-30 アルキルシクロアルキル、又は式(A)、(B)、若しくは(C)
【化20】
[式(A)、(B)、及び(C)において、
Xは、C 1-18 アルキル、C 1-18 アルコキシ、及びC 1-18 ジアルキルアミノからなる群から選択される、同じ又は異なる基であり、
Zは、酸素(O)、硫黄(S)、又はNR 9 (式中、R 9 はC 1-4 アルキルである)であり、
nは、整数0~3である]
の基であり、
R 2 が、水素(H)、メチル、エチル、又はフェニルであるか、
或いは
R 1 及びR 2 が一緒になって、-(CH 2 ) j -Y-(CH 2 ) k -(式中、Yは、メチレン又は酸素(O)であり、j及びkは、独立して、整数1~2である)である、
mが1である式(1)のアミンを調製するための、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項6
R 1 及びR 2 が、共にメチルであるか、若しくは共にフェニルである、R 1 が3-メチルブチルであり、R 2 がメチルである、又はR 1 がn-ペンチルであり、R 2 がエチルである、
又は
R 1 が、i-プロピル、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、4-エチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,3-ジメトキシフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2,5-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,4,5-トリメトキシフェニル、2,4,6-トリメトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ジメチルアミノフェニル、3-ジメチルアミノフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、2-フリル、及び3-フリルからなる群から選択され、
R 2 が、水素(H)若しくはメチルである、
又は
R 1 及びR 2 が一緒になって、n-ペンチレンである、
mが1である式(1)のアミンを調製するための、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項7
R 1 がフェニルであり、R 2 が水素である、mが1である式(1)のアミンを調製するための、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項8
R 6 及びR 7 が水素(H)であることを特徴とする、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項9
R 4 若しくはR 5 がメチルであり、その他の基が、それぞれの場合で水素(H)であるか、又はR 4 及びR 5 が共に水素(H)であることを特徴とする、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項10
先行する項のいずれか一項に記載の式(1)[式中、mが1であり、且つR 4 が水素(H)であり、R 5 がメチルであるか(式(1.1))、又はR 4 がメチルであり、R 5 が水素(H)である(式(1.2))]のアミンを調製する方法であって、
【化21】
- ステップ1において、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を、式(3)のカルボニル化合物と反応させて、式(4.1)及び(4.2)
【化22】
のそれぞれの中間体を形成し、
- ステップ2において、ステップ1で得られた中間体を、式(5)のアミン成分と反応させて、式(1.1)及び(1.2)の対応するアミンを形成する、
方法。
項11
ステップ1において、1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')を、ベンズアルデヒドと反応させ、ステップ2において、得られた中間体(N-ベンジル-1-アミノプロパン-2-オール及びN-ベンジル-2-アミノプロパン-1-オール)を、アンモニアと反応させる、N 1 -ベンジル-1,2-プロピレンジアミン及びN 2 -ベンジル-1,2-プロピレンジアミンを調製するための、項10に記載の方法。
項12
1-アミノプロパン-2-オール(MIPOA)及び2-アミノプロパン-1-オール(MIPOA')が、MIPOAとMIPOA'とのモル比15:1~23:1で使用されることを特徴とする、項10又は11に記載の方法。
項13
ステップ1及び2において使用される不均一系水素化触媒が、元素周期表のVIIIB族及び/又はIB族からの1種以上の金属を含む触媒であることを特徴とする、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
項14
触媒が、担体材料を含むことを特徴とする、項13に記載の方法。
項15
使用される不均一系水素化触媒が、Cu及び/又はNi及び/又はCoを含む触媒であることを特徴とする、項13又は14に記載の方法。
項16
使用される不均一系水素化触媒が、銅、ニッケル、及びコバルトを含む担持触媒であり、触媒の触媒活性材料が、水素によるその還元の前に、アルミニウム、銅、ニッケル、及びコバルトの酸素含有化合物を含み、且つSnOとして計算される、スズの酸素含有化合物を0.2重量%~0.5重量%含むことを特徴とする、項15に記載の方法。
項17
- ステップ1において、
水素化金属として、元素周期表のVIIIB族からの少なくとも1種の金属、及び追加で、酸化物担体上の助触媒を含み、元素周期表のVIIIB族からの金属の少なくとも80%が、触媒の表面と、触媒の表面から計算された、触媒の半径の80%以下に対応する浸透深さとの間の層に存在する、エッグシェル触媒である不均一系水素化触媒が使用されるか、
又は
触媒活性金属としてPd及び/若しくはPtを含み、担体として活性炭若しくは酸化アルミニウムを有する、担持触媒である不均一系水素化触媒が使用され、
- ステップ2において、項13から17のいずれか一項に記載の触媒が使用される
ことを特徴とする、項13に記載の方法。