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特許7345585半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-07
(45)【発行日】2023-09-15
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20230908BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/78 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022035934
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2020191285の分割
【原出願日】2016-06-13
(65)【公開番号】P2022066502
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-326672(JP,A)
【文献】特開2013-171996(JP,A)
【文献】特開2013-033850(JP,A)
【文献】特開平10-189690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/50 -21/52
H01L 21/58
H01L 21/301
H01L 21/60 -21/607
H01L 21/67 -21/687
H05K 13/00 -13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイをダイシングテープの下から突き上げる突き上げユニットと、
前記ダイを吸着するコレットが装着されるヘッドと、
を備え、
前記突き上げユニットは、
前記ダイシングテープと接触する四角状の複数の第1ブロックと、前記ダイシングテープを吸引するドームヘッドと、を有する第1のユニットと、
前記複数の第1ブロックのそれぞれに独立して上下動を伝える複数の第2ブロックを有する第2のユニットと、
前記複数の第2ブロックのそれぞれに独立して上下動を与える複数の駆動出力部のそれぞれに独立して上下動を与える複数のプランジャ機構と、複数のモータと、をそれぞれ備える第3のユニットおよび第4のユニットと、
を備え
記第1のユニットは前記第2のユニットの上に装着するよう構成され
前記第2のユニットは前記第3のユニットの上に装着するよう構成され、
前記第3のユニットおよび前記第4のユニットは縦に積層して構成される半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第3のユニットの前記駆動出力部は前記第4のユニットの前記駆動出力部よりも外周側に配置される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第3のユニットの前記プランジャ機構のカムまたはリンクは前記第4のユニットの前記プランジャ機構のカムまたはリンクよりも外周側に配置される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第3のユニットは前記第4のユニットに対して、(180度/前記駆動出力部の数)の角度ずらして配置される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項1の半導体製造装置において、
前記モータは前記プランジャ機構の側部に配置される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第1のユニットは前記複数の第2ブロックの上下動を前記複数の第1ブロックの上下動に変換するように構成される半導体製造装置。
【請求項7】
突き上げユニットと、コレットが装着されるヘッドと、を備え、前記突き上げユニットは、ダイシングテープと接触する四角状の複数の第1ブロックと、前記ダイシングテープを吸引するドームヘッドと、を有する第1のユニットと、前記複数の第1ブロックのそれぞれに独立して上下動を伝える複数の第2ブロックを有する第2のユニットと、前記複数の第2ブロックのそれぞれに独立して上下動を与える複数の駆動出力部のそれぞれに独立して上下動を与える複数のプランジャ機構と、複数のモータと、をそれぞれ備える第3のユニットおよび第4のユニットと、を備え、前記第1のユニットは前記第2のユニットの上に装着するよう構成され、前記第2のユニットは前記第3のユニットの上に装着するよう構成され、前記第3のユニットおよび前記第4のユニットは縦に積層して構成される半導体製造装置にダイを有するダイシングテープを保持するウェハリングを搬入する工程と、
前記突き上げユニットで前記ダイを突き上げて前記コレットで前記ダイをピックアップする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば突き上げユニットを備えるダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
一般に、ダイと呼ばれる半導体チップを、例えば、配線基板やリードフレームなど(以下、総称して基板という。)の表面に搭載するダイボンダにおいては、一般的に、コレット等の吸着ノズルを用いてダイを基板上に搬送し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりボンディングを行うという動作(作業)が繰り返して行われる。
【0003】
ダイボンダ等の半導体製造装置によるダイボンディング工程の中には、半導体ウェハ(以下、ウェハという。)から分割されたダイを剥離する剥離工程がある。剥離工程では、ダイシングテープ裏面から突き上げユニットによってダイを突き上げて、ダイ供給部に保持されたダイシングテープから、1個ずつ剥離し、コレット等の吸着ノズルを使って基板上に搬送する。
【0004】
例えば、特開2012-4393号公報(特許文献1)によれば、ダイシングテープに貼り付けられた複数のダイのうち剥離対象のダイを突き上げてダイシングテープから剥離する際に、ダイの周辺部のうちの所定部におけるダイシングテープを突き上げて剥離起点を形成し、その後、所定部以外部分のダイシングテープを突き上げてダイをダイシングテープから剥離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-4393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウェハからダイをピッアップする場合、品種(例えばダイサイズ)に合せた治具をセットする必要がある。しかし、品種交換時の調整が煩雑で時間を要する。ピックアップ動作が特許文献1のような多段突上げ等では予め動作仕様に合わせた構造に作り込まれているため、突き上げユニットは後から変更することができない。
本開示の課題は突き上げユニットを品種に合わせて容易に変更することが可能な半導体製造装置を提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、ダイをダイシングテープの下から突き上げる突き上げユニットと、前記ダイを吸着するコレットが装着されるヘッドと、を備える。前記突き上げユニットは、前記ダイシングテープと接触する四角状の複数の第1ブロックと、前記ダイシングテープを吸引するドームヘッドと、を有する第1のユニットと、前記複数の第1ブロックのそれぞれに独立して上下動を伝える複数の第2ブロックを有する第2のユニットと、複数のモータと、を備える。前記第2のユニットは、さらに、前記複数の第2ブロックのそれぞれに独立して上下動を与える複数のプランジャ機構を備え、前記プランジャ機構は前記モータの回転を前記上下動に変換するよう構成される。前記第1のユニットは前記第2のユニットの上に装着するよう構成される。
【発明の効果】
【0008】
上記半導体製造装置によれば、突き上げユニットを品種合わせて容易に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係るダイボンダを上から見た概念図
図2図1において矢印A方向から見たときにピックアップヘッドおよびボンディングヘッドの動作を説明する図
図3図1のダイ供給部の外観斜視図を示す図
図4図1のダイ供給部の主要部を示す概略断面図
図5】実施例に係る突き上げユニットの外観斜視図
図6A図5の第1ユニットの一部の上面図
図6B図5の第2ユニットの一部の上面図
図6C図5の第3ユニットの一部の上面図
図7図5の突き上げユニットの縦断面図
図8図5の突き上げユニットの縦断面図
図9】実施例に係る突き上げユニットとピックアップヘッドのうちコレット部との構成を示した図
図10】実施例に係るダイボンダのピックアップ動作を説明するためのフローチャート
図11】実施例に係る半導体装置の製造方法を説明するためのフローチャート
図12A】変形例に係る突き上げユニットの外観斜視図
図12B】変形例に係る突き上げユニットの外観斜視図
図13図12Aの第1ユニットの縦断面図
図14A図12Aの突き上げユニットの一部の縦断面図
図14B図14Aの突き上げユニットの一部から第1ユニットを取り外した状態の縦断面図
図15】変形例2に係る突き上げユニットの外観斜視図
図16図15の第3ユニットの縦断面図
図17図16の第3ユニットの一部の上面図
図18図15の第3ユニットの変形例の一部の上面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例
【0011】
図1は実施例に係るダイボンダの概略を示す上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【0012】
ダイボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5、基板供給部6と、基板搬出部7と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。
【0013】
まず、ダイ供給部1は基板Pに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突き上げユニット13と、を有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突き上げユニット13の位置に移動させる。
【0014】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23と、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部と、を有する。ピックアップヘッド21は、突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット22(図2も参照)を有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッド21は、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0015】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識する為のステージ認識カメラ32を有する。
【0016】
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板P上にボンディングし、又は既に基板Pの上にボンディングされたダイの上に積層する形でボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42(図2も参照)を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動部43と、基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板PにダイDをボンディングする。
【0017】
搬送部5は、一枚又は複数枚の基板P(図1では4枚)を載置した基板搬送パレット51と、基板搬送パレット51が移動するパレットレール52とを具備し、並行して設けられた同一構造の第1、第2搬送部とを有する。基板搬送パレット51は、基板搬送パレット51に設けられた図示しないナットをパレットレール52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。
このような構成によって、基板搬送パレット51は、基板供給部6で基板Pを載置し、パレットレール52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部7まで移動して、基板搬出部7に基板Pを渡す。第1、第2搬送部は、互いに独立して駆動され、一方の基板搬送パレット51に載置された基板PにダイDをボンディング中に、他方の基板搬送パレット51は、基板Pを搬出し、基板供給部6に戻り、新たな基板Pを載置するなどの準備を行なう。
【0018】
制御部8は、ダイボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0019】
次に、ダイ供給部1の構成について図3および図4を用いて説明する。図3はダイ供給部の外観斜視図を示す図である。図4はダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0020】
ダイ供給部1は、水平方向(XY方向)に移動するウェハ保持台12と、上下方向に移動する突き上げユニット13と、を備える。ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。突き上げユニット13は支持リング17の内側に配置される。
【0021】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、突き上げユニット13によりダイD下方よりダイDを突き上げ、ダイDのピックアップ性を向上させている。なお、薄型化に伴いダイを基板に接着する接着剤は、液状からフィルム状となり、ウェハ11とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(DAF)18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルム18を有するウェハ11では、ダイシングは、ウェハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウェハ11とダイアタッチフィルム18をダイシングテープ16から剥離する。なお、以降では、ダイアタッチフィルム18の存在を無視して、剥離工程を説明する。
【0022】
次に、突き上げユニット13について図5、6A~6D、7、8を用いて説明する。図5は実施例に係る突き上げユニットの外観斜視図である。図6A図5の第1ユニットの一部の上面図である。図6B図5の第2ユニットの一部の上面図である。図6C図5の第3ユニットの一部の上面図である。図7図5の突き上げユニットの縦断面図である。図8図5の突き上げユニットの縦断面図である。
【0023】
突き上げユニット13は、第1ユニット13aと、第1ユニット13aが装着される第2ユニット13bと、第2ユニット13bが装着される第3ユニット13cと、を備える。第2ユニット13bおよび第3ユニット13cは品種に関係なく共通な部分で、第1ユニット13aは品種ごとに取替可能な部分である。
【0024】
第1ユニット13aはブロックA1~A6を有するブロック部13a1と、複数の吸着孔を有するドームヘッド13a2と、吸引孔13a3と、ドーム吸着の吸引孔13a4と、を有し、第2ユニット13bの同心円状のブロックB1~B6の上下運動を同心四角状の6つのブロックA1~A6の上下運動に変換する。6つのブロックA1~A6は独立に上下運動が可能である。同心四角状のブロックA1~A6の平面形状はダイDの形状に合うように構成される。ダイサイズが小さい場合は、同心四角状のブロックの数は6つよりも少なく構成される。この場合、例えば、第3ユニットの出力部および第2ユニットの同心円状のブロックは使用されないことになる。これは、第3ユニットの複数の出力部および第2ユニットの同心円状のブロックが互いに独立に上下動する(上下動しない)ことにより可能となっている。
【0025】
第2ユニット13bは、円管状のブロックB1~B6と、外周部13b2と、を有し、第1ユニット13aの円周上に配置される出力部C1~C6の上下運動を同心円状の6つのブロックB1~B6の上下運動に変換する。6つのブロックB1~B6は独立に上下運動が可能である。
【0026】
第3ユニット13cは中央部13c0と6つの周辺部13c1~13c6とを備える。中央部13c0は上面の円周上に等間隔に配置され独立して上下する6つの出力部C1~C6を有する。周辺部13c1~13c6はそれぞれ出力部C1~C6を互いに独立に駆動可能である。周辺部13c1~13c6はそれぞれモータM1~M6を備え、中央部13c0にはモータの回転をカムまたはリンクによって上下動に変換するプランジャ機構P1~P6を備える。プランジャ機構P1~P6は出力部C1~C6に上下動を与える。なお、モータM2、M5およびプランジャ機構P2、P5は図示されていない。
【0027】
次に、突き上げユニットとコレットとの関係について図9を用いて説明する。図9は実施例に係る突き上げユニットとピックアップヘッドのうちコレット部との構成を示した図である。
【0028】
図9に示すようにコレット部20は、コレット22と、コレット22を保持するコレットホルダー23と、それぞれに設けられダイDを吸着するための吸引孔22v、23vとを有する。
【0029】
第1ユニット13aは上面周辺部にドームヘッド13a2を有する。ドームヘッド13a2は複数の吸着孔HLと空洞部CVとを有し、吸引孔13a3から吸引して、コレット22でピックアップされるダイDの周辺のダイDdをダイシングテープ16を介して吸引する。図9ではブロック部13a1の周囲に吸着孔HLを一列のみ示しているが、ピックアップ対象でないダイDdを安定し保持するために複数列設けている。同心四角状のブロックA1~A6の各ブロックの間の隙間A1v、A2v、A3v、A4v、A5vおよび第1ユニット13aのドーム内の空洞部を介してドーム吸着の吸引孔13a4から吸引して、コレット22でピックアップされるダイDをダイシングテープ16を介して吸引する。吸引孔13a3からの吸引と吸引孔13a4からの吸引は独立に行うことができる。
【0030】
本実施例の突き上げユニット13は、第1ユニットのブロックの形状、ブロックの数を変更することにより、種々のダイに適用可能であり、例えばブロック数が6つの場合は、ダイサイズが20mm□以下のダイに適用可能である。第3ユニットの出力部の数、第2ユニットの同心円状のブロックの数および第1ユニットの同心四角状のブロックの数を増やすことにより、ダイサイズが20mm□より大きいダイにも適用可能である。
【0031】
次に、上述した構成よる突き上げユニット13によるピックアップ動作について図10を用いて説明する。図10はピックアップ動作の処理フローを示すフローチャートである。
【0032】
ステップS1:制御部8はピックアップするダイDが突き上げユニット13の真上に位置するようにウェハ保持台12を移動し、ダイシングテープ16の裏面に第3ユニットの上面が接触するように突き上げユニット13を移動する。このとき、図9に示すように、制御部8は、ブロック部13a1の各ブロックA1~A6がドームヘッド13a2の表面と同一平面を形成するようにし、ドームヘッド13a2の吸着孔HLと、ブロック間の隙間A1v、A2v、A3v、A4v、A5vとによってダイシングテープ16を吸着する。
【0033】
ステップ2:制御部8は、コレット部20を下降させ、ピックアップするダイDの上に位置決めし、吸引孔22v、23vによってダイDを吸着する。
【0034】
ステップ3:制御部8は、ブロック部13a1のブロックを外側から順次上昇させて剥離動作を行う。すなわち、制御部8はモータM6でプランジャ機構P6を駆動し、最も外側のブロックA6のみを数十μmから数百μm上昇させて停止させる。この結果、ブロックA6の周辺においてダイシングテープ16が盛り上がった突き上げ部分が形成され、ダイシングテープ16とダイアタッチフィルム18の間に微小な空間、即ち剥離起点ができる。この空間によりアンカー効果、即ちダイDにかかるストレスが大幅に低減し、以後の剥離動作を確実に行うことができる。次に、制御部8はモータM5でプランジャ機構P5を駆動し、2番目に外側のブロックA5のみをブロックA6よりも高く上昇させ停止させる。次に、制御部8はモータM4でプランジャ機構P4を駆動し、3番目に外側のブロックA4のみをブロックA5よりも高く上昇させ停止させる。次に、制御部8はモータM3でプランジャ機構P3を駆動し、4番目に外側のブロックA3のみをブロックA4よりも高く上昇させ停止させる。次に、制御部8はモータM2でプランジャ機構P2を駆動し、5番目に外側のブロックA2のみをブロックA3よりも高く上昇させ停止させる。最後に、制御部8はモータM1でプランジャ機構P1を駆動し、最も内側のブロックA1のみをブロックA2よりも高くが上昇させ停止させる。
【0035】
ステップS4:制御部8はコレットを上昇させる。ステップS3の最後の状態では、ダイシングテープ16とダイDとの接触面積はコレットの上昇により剥離できる面積となり、コレット22の上昇によりダイDを剥離することができる。
【0036】
ステップS5:制御部8はブロック部13a1の各ブロックA1~A6がドームヘッド13a2の表面と同一平面を形成するようにし、ドームヘッド13a2の吸着孔HLと、ブロック間の隙間A1v、A2v、A3v、A4v、A5vとによるダイシングテープ16の吸着を停止する。制御部8はダイシングテープ16の裏面から第1ユニットの上面が離れるように突き上げユニット13を移動する。
【0037】
制御部8はステップS1~S5を繰り返して、ウェハ11の良品のダイをピックアップする。
【0038】
次に、実施例に係るダイボンダを用いた半導体装置の製造方法について図11を用いて説明する。図11は半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS11:ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はウェハリング14が充填されたウェハカセットからウェハリング14をダイ供給部1に供給する。また、基板Pを準備し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8は基板供給部6で基板Pを基板搬送パレット51に載置する。
【0040】
ステップS12:制御部8はステップS1~S5によって分割したダイをウェハからピックアップする。
【0041】
ステップS13:制御部8はピックアップしたダイを基板P上に搭載又は既にボンディングしたダイの上に積層する。制御部8はウェハ11からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Pにボンディングする。
【0042】
ステップS14:制御部8は基板搬出部7で基板搬送パレット51からダイDがボンディングされた基板Pを取り出す。ダイボンダ10から基板Pを搬出する。
【0043】
<変形例1>
次に、突き上げユニットの変形例1について図12A、12B、13、14A、14Bを用いて説明する。図12Aは変形例1に係る突き上げユニットの外観斜視図である。図12Bは変形例1に係る突き上げユニットの外観斜視図である。図13図12Aの第1ユニットの縦断面図である。図14A図12Aの突き上げユニットの第1ユニットおよび第2ユニットの一部の縦断面図である。図14B図12Aの第1ユニットを取り外した状態の縦断面図である。
【0044】
突き上げユニット13Aは、第1ユニット13Aaと、第1ユニット13Aaが装着される第2ユニット13Abと、を備える。第2ユニット13Abは品種に関係なく共通な部分で、第1ユニット13Aaは品種ごとに取替可能な部分である。
【0045】
第1ユニット13Aaは、実施例の第1ユニット13aとブロック数が異なるが、他は第1ユニット13aと同様である。第1ユニット13Aaは、ブロックAA1~AA4を有するブロック部13Aa1と、複数の吸着孔を有するドームヘッド13Aa2と、吸引孔13a3と、ドーム吸着の吸引孔13a4と、第2ユニット13Abの同心円状のブロックBA1~BA4の上下運動を同心四角状の4つのブロックA1~A4に伝達する部材aA1~aA4と、を備える。
【0046】
第2ユニット13Abは、外周部13Ab1と、外周部13Ab1を覆うことにより第1ユニット13Aaを装着する部材13Ab2と、部材13Ab2を外周部13Ab1にロック(固定)する部材12Ab3と、同軸の円管状(パイプ状)のブロックBA1~BA4と、ブロックBA1~BA4をそれぞれ駆動する駆動部CA1~CA4と、を備える。部材12Ab3のロックを外すことにより、部材13Ab2は上に移動することが可能になり、第1ユニット13Aaを第2ユニット13Abに脱着可能になる。駆動部CA1~CA4は上下方向に、上から駆動部CA1、CA2、CA3、CA4の順に配置される。4つの駆動部CA1~CA4はそれぞれ独立に4つのブロックBA1~BA4を上下に駆動可能であり、その結果4つのブロックAA1~AA4は独立に上下運動が可能である。駆動部CA1~CA4を上下方向に配置するため、実施例よりも横方向の大きさを小さくすることができる。
【0047】
突き上げユニット13Aによるピックアップ動作は図10に示す実施例の突き上げユニット13による動作と同様である。突き上げユニット13Aを備えるダイボンダを用いた半導体装置の製造方法は図11に示す実施例の半導体装置の製造方法と同様である。
【0048】
<変形例2>
次に、突き上げユニットの変形例2について図15~17を用いて説明する。図15は変形例2に係る突き上げユニットの外観斜視図である。図16図15の第3ユニットの縦断面図である。図17図16の第3ユニットの一部の上面図である。
【0049】
突き上げユニット13Bは、第1ユニット13Baと、第1ユニット13Baが装着される第2ユニット13Bbと、第2ユニット13Bbが装着される第3ユニット13Bcと、を備える。第2ユニット13Bbおよび第3ユニット13Bcは品種に関係なく共通な部分で、第1ユニット13Baは品種ごとに取替可能な部分である。
【0050】
第1ユニット13Baは第1ユニット13aとブロック数が異なるが同様な構造であり、最大12のブロックを備える。第2ユニット13Bbは第2ユニット13bとブロック数が異なるが同様な構造であり、最大12のブロックを備える。
【0051】
第3ユニット13Bcは中央部13Bc0と12個の周辺部13c1~13c6、13d1~13d6とを備える。中央部13Bc0は上面の外側の円周上に等間隔に配置され独立して上下する6つの出力部C1~C6と内側の円周上に等間隔に配置され独立して上下する6つの出力部D1~D6を有する。周辺部13c1~13c6は周辺部13d1~13d6の上に配置される。周辺部13c1~13c6、13d1~13d6はそれぞれ出力部C1~C6、D1~D6を互いに独立に駆動可能である。周辺部13c1~13c6、13d1~13d6はそれぞれモータM1~M6、Md1~Md6を備え、中央部13Bc0にはモータの回転をカムまたはリンクによって上下動に変換するプランジャ機構P1~P6、Pd1~Pd6を備える。プランジャ機構P1~P6、Pd1~Pd6は出力部C1~C6、D1~D6に上下動を与える。なお、モータM1、M2、M4、M5、Md1、Md2、Md4、Md5およびプランジャ機構P1、P2、P4、P5、Pd1、Pd2、Pd4、Pd5は図示されていない。
【0052】
第3ユニットを縦に積層し出力部を増やすことにより、さらに多くのブロックを動作させることができる。上段に配置した第3ユニットは出力部に加え、下段ユニット用のプランジャの軸が貫通するスペースが必要となる。変形例2では上段と下段の第3のユニットのモータの回転を上下動に変換するプランジャ機構のカムまたはリンク位置を同心円上の内周部と外周部にずらせて配置しているが、図18に示すように、上下の第3のユニットの角度を(180°/設置ポイント数、例えば6出力の第3のユニットでは30°)ずらして配置することでプランジャ出力部の軸が貫通するスペースを確保してもよい。これにより2段積層で、出力部とも12点程度の対応が可能である。また、上段のユニットの出力部を1~3ヶ所減らしスペースを確保してもよい。
【0053】
実施例では、第3ユニットにモータの回転をカムまたはリンクで上下動の動作点が円周上に6点存在する。第2ユニット内で6点の円周上の動作点から6重の同心円上の動作円に展開する。第1ユニットでは同心円上の動作円からダイサイズの角ブロックの各部品に接続される。変形例1では、第2ユニット内で上下方向に配置された4点の動作点から4重の同心円上の動作円に展開する。第1ユニットでは同心円上の動作円からダイサイズの角ブロックの各部品に接続される。変形例2では第3ユニットの動作点は最大12点配置される。最大12段階、6段階または4段階に分解して突上げることで、複数のサイズのダイに対して部品とプロセスの共用化を行うことができる。
【0054】
また、実施例および変形例では、各段が互いに影響されない(干渉が起きない)突上げストロークを実現することで突上げ方向/引き込み方向どちらにもプログラミング次第で自由に設定可能な突上げ機構を提供することができる。すなわち、各段が其々独立しており互いに干渉しない取り合いとなっているため設計が容易となる。また、突上げ高さ/上下タイミング等を自由に選定できる。
【0055】
突上げ治具上面の同心円構造までは共通とできるため、ダイサイズによる品種交換は、品種切り替え部品(第1ユニット)を交換することで完了する。品種切り替え部品の設計は容易なものとなる。品種切り替え部品の設計が迅速にでき納期/価格を抑えることが可能である。部品の共用化も進められる。また、品種切り替えに係る時間を短縮することができる。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0057】
例えば、実施例ではプランジャ機構の上下動はモータを用いて行っているが、モータを用いずエアシリンダなどの軸の前後動作を平面カムを用いて上下動に変換してもよい。
【0058】
また、大きな出力やストロークが必要な場合にモータの回転をカムまたはリンクのサイズが大きくなり、所定のスペースに収まらない場合も第3ユニットの1段あたりの出力部を減らして対応しその分を積層し補うことも可能となる。
【0059】
また、第3ユニットの出力部から第2ユニットのブロックを上昇させるプランジャ機構は、カメラシャッタのレリーズのように、フレキシブルなガイド内をワイヤ状の芯が前後する構造としてもよい。この場合、モータやエアシリンダなどのプランジャカムの駆動部の配置を離れた位置に設置でき配置の自由度が向上する。
【0060】
また、第1ユニットの複数のブロックの数が12個、6個または4個の例について説明したが、3個以上あればよい。第2ユニットの複数のブロックの数が12個、6個または4個の例について説明したが、第1ユニットの複数のブロックの数と同じであればよい。第3ユニットの複数の駆動出力部の数が12個または6個の例について説明したが、第2ユニットの複数のブロックの数と同じであればよい。
【0061】
また、第1ユニットの複数のブロックは同心四角状のものについて説明したが、四角状ブロックを平行に並べて構成してもよい。
【0062】
また、実施例ではピックアップ対象ダイと周辺ダイを同じタイミングで吸着/解放したが、ピックアップ対象ダイと周辺ダイを別々のタイミングで吸着/解放を行ってもよい。これにより、より確実な剥離を行うことができる。
【0063】
また、実施例では各段のブロックは順次突き上げたが、各段が独立し各々別々の動作が可能であるので突上げ/引き下げ両方向の動作を混在してもよい。
【0064】
また、実施例では第1ユニットにブロックを用いてダイを突き上げる例を説明したが、ブロックに代えてピン(ニードル)を用いてもよい。
【0065】
また、実施例では、ダイアタッチフィルムを用いる例を説明したが、基板に接着剤を塗布するプリフォーム部を設けてダイアタッチフィルムを用いなくてもよい。
【0066】
また、実施例では、ダイ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダについて説明したが、これに限定されるものではなく、ダイ供給部からダイをピックアップする半導体製造装置に適用可能である。
例えば、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ダイ供給部のダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダにも適用可能である。
また、中間ステージがなく、ダイ供給部からダイをピックアップしダイピックアップヘッドを上に回転してダイをボンディングヘッドに受け渡しボンディングヘッドで基板にボンディングするフリップチップボンダに適用可能である。
また、中間ステージとボンディングヘッドがなく、ダイ供給部からピックアップヘッドでピックアップしたダイをトレイ等に載置するダイソータに適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1:ダイ供給部
11:ウェハ
13:突き上げユニット
13a:第1ユニット
13a1:ブロック部
13a2:吸着部
13a3:吸引部
13a4:吸引部
A1~A6:同心四角状のブロック
13b:第2ユニット
B1~B6:同心円状のブロック
13c:第3ユニット
13c0:中央部
13c1~13c6:周辺部
C1~C6:出力部
16:ダイシングテープ
2:ピックアップ部
21:ピックアップヘッド
3:中間ステージ部
31:中間ステージ
4:ボンディング部
41:ボンディングヘッド
7:制御部
10:ダイボンダ
D:ダイ
P:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18