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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】回折導光板および回折導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230911BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20230911BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20230911BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20230911BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B5/00 Z
G02B27/28 Z
G02B1/04
G02B3/00 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021565786
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 KR2020010731
(87)【国際公開番号】W WO2021029693
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0099705
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0100670
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スンファ・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ジョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジェヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ミン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-068376(JP,A)
【文献】特開2016-191733(JP,A)
【文献】特開2015-199841(JP,A)
【文献】特開2016-013932(JP,A)
【文献】特開2006-003624(JP,A)
【文献】特開2007-093803(JP,A)
【文献】特開2001-171012(JP,A)
【文献】特表2017-530406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297107(US,A1)
【文献】特表2009-516225(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106842397(CN,A)
【文献】米国特許第06117923(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0072435(KR,A)
【文献】特開2002-047346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/00
G02B 27/28
G02B 1/04
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子パターンが一面に形成された光学層を含み、
前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成され、
前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差は0.01以下であり、
前記回折格子パターンが一面に形成された光学層はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相であり、
前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は下記化学式4および5で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを含む、回折導光板。
【化1】
前記化学式4において、
およびR はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、炭素数1~40のアルキル、炭素数1~40のアルコキシ、炭素数3~40のシクロアルキル、炭素数1~40のアルケニル、炭素数6~60のアリール、またはO、N、SiおよびSのうち1個以上を含む炭素数1~40のヘテロアリールであり、
fおよびgはそれぞれ独立して、1~7の整数であり、
hおよびiはそれぞれ独立して、0~6の整数であり、
f+hは7以下の整数であり、
g+iは7以下の整数であり、
【化2】
前記化学式5において、
Ar およびAr はそれぞれ独立して、1個以上の水酸基が置換された炭素数6~60のアリールであり、
およびR 10 はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、炭素数1~40のアルキル、炭素数1~40のアルコキシ、炭素数3~40のシクロアルキル、炭素数1~40のアルケニル、炭素数6~60のアリール、またはO、N、SiおよびSのうち1個以上を含む炭素数1~40のヘテロアリールであり、
mおよびnはそれぞれ独立して、0~4の整数である。
【請求項2】
前記回折格子パターンおよび前記光学層の一面は屈折率がそれぞれ1.65以上である、請求項1に記載の回折導光板。
【請求項3】
前記チオール化合物および前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の重量比は5:5~9:1である、請求項1又は2に記載の回折導光板。
【請求項4】
前記エピスルフィド化合物は下記化学式1で表される化合物を含み、
前記チオール化合物は下記化学式2および3で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の回折導光板:
【化3】
前記化学式1において、
およびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり、
およびRはそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~10のアルキレンであり、
aは0~4の整数であり、
bは0~6の整数であり、
【化4】
前記化学式2において、
およびRはそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~10のアルキレンであり、
cは0~4の整数であり、
dは0~6の整数であり、
【化5】
前記化学式3において、
A環は窒素(N)および硫黄(S)原子のうち1個以上を含む5員または6員の芳香族ヘテロ環であり、
eは1~3の整数である
【請求項5】
厚さが0.1~10mmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項6】
前記回折格子パターンは1以上のパターン単位体を含み、
前記パターン単位体間の周期(pitch)は0.1~1μmであり、高さ(height)は0.1~1μmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項7】
ワープ(Warp)が100μm以下であり、
ヘイズが4.0%以下であり、
鉛筆硬度がHB以上であり、
厚さ偏差が3.0%以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項8】
透過率が80%以上であり、
黄色度(YI;Yellow Index)が1~30である、請求項1から7のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項9】
ウェアラブルデバイスの回折導光レンズ用である、請求項1から8のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項10】
平板型下部基板、平板型上部基板、前記平板型下部基板と前記平板型上部基板の間に位置する緩衝型スペーサ、および前記平板型下部基板または前記平板型上部基板に含まれる回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を含み、前記緩衝型スペーサによってモールディング空間が区切られるモールド装備を準備する段階;
前記モールディング空間に硬化性組成物を緩衝する段階;および
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階;を含み、
前記硬化性組成物はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含み、
前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は下記化学式4および5で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを含み、
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階は下記式1を満たすように行われる、回折導光板の製造方法:
【化6】
前記化学式4において、
およびR はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、炭素数1~40のアルキル、炭素数1~40のアルコキシ、炭素数3~40のシクロアルキル、炭素数1~40のアルケニル、炭素数6~60のアリール、またはO、N、SiおよびSのうち1個以上を含む炭素数1~40のヘテロアリールであり、
fおよびgはそれぞれ独立して、1~7の整数であり、
hおよびiはそれぞれ独立して、0~6の整数であり、
f+hは7以下の整数であり、
g+iは7以下の整数であり、
【化7】
前記化学式5において、
Ar およびAr はそれぞれ独立して、1個以上の水酸基が置換された炭素数6~60のアリールであり、
およびR 10 はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、炭素数1~40のアルキル、炭素数1~40のアルコキシ、炭素数3~40のシクロアルキル、炭素数1~40のアルケニル、炭素数6~60のアリール、またはO、N、SiおよびSのうち1個以上を含む炭素数1~40のヘテロアリールであり、
mおよびnはそれぞれ独立して、0~4の整数である。
[式1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.95}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.05}。
【請求項11】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の曲げ弾性率はそれぞれ3GPa以上である、請求項10に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項12】
前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートは曲げ弾性率が1~20GPaである、請求項10又は11に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項13】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の表面平坦度はそれぞれ5μm以下である、請求項10から12のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項14】
前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は0.1~10MPaである、請求項10から13のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項15】
前記緩衝型スペーサは非弾性層と弾性層が積層された構造、非弾性層の間に弾性層が備えられた構造、または弾性層の間に非弾性層が備えられた構造である、請求項10から14のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項16】
前記チオール化合物および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の重量比は5:5~9:1である、請求項10から15のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項17】
前記エピスルフィド化合物は下記化学式1で表される化合物を含み、
前記チオール化合物は下記化学式2および3で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項10から16のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法:
【化8】
前記化学式1において、
およびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり、
およびRはそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~10のアルキレンであり、
aは0~4の整数であり、
bは0~6の整数であり、
【化9】
前記化学式2において、
およびRはそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~10のアルキレンであり、
cは0~4の整数であり、
dは0~6の整数であり、
【化10】
前記化学式3において、
A環は窒素(N)および硫黄(S)原子のうち1個以上を含む5員または6員の芳香族ヘテロ環であり、
eは1~3の整数である
【請求項18】
前記硬化性組成物の硬化収縮率は15%以下である、請求項10から17のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項19】
前記硬化性組成物は-5~0℃の温度で12時間維持された後の粘度が4000cP以下である、請求項10から18のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2019年8月14日付韓国特許出願第10-2019-0099705号及び2020年8月11日付韓国特許出願第10-2020-0100670号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は回折導光板および回折導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近仮想現実デバイス(Virtual Reality Device)および拡張現実デバイス(Augmented Reality Device)などを用いて、ユーザーに3次元の画像を提供する装置の開発が行われている。
【0004】
仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイスは一般的なメガネのようなレンズに回折導光パターンを形成して所望するイメージをユーザーに見えるようにすることができる。
【0005】
一般的に、仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス用途のレンズは屈折率が高いガラスを使用する。ガラスは高い屈折率、光透過度、平坦度および強度を有し得るが、破損時、ユーザーの眼球に致命的な損傷を与え、密度が高いため重量が重いので長時間着用するには不便である。
【0006】
そのため、仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス用途に使用できるように、高い光透過度および高い屈折率を有し、さらに軽く破損時に相対的に安全なレンズに対する研究が必要である。
【0007】
ガラスに代わるための高屈折プラスチックの場合、非常に軽く、多様な色の実現が可能であるが、表面平坦度および厚さ均一度のような物性が従来のガラスに大きく達しない問題がある。
【0008】
さらに、回折格子を形成するインプリント工程の際、強度が低いため形態変形が発生したり、高屈折の実現のために無機粒子を多量使用する場合は最終製品のヘイズを誘発するだけでなく、基材と高屈折プラスチックの間の界面接着力が不良であるため高い鉛筆硬度を確保することが難しい問題があり、それを改善するための研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は優れた厚さ均一度および平坦度を有すると同時に、ヘイズが低く鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れ、ガラスまたは強化ガラスに比べて軽く、かつ高屈折率の実現が可能な、回折導光板を提供する。
【0010】
また、本発明は簡単な工程で前記回折導光板を製造する回折導光板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書では、回折格子パターンが一面に形成された光学層を含み、前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成され、前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差は0.01以下であり、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相である回折導光板が提供される。
【0012】
また、本明細書では、平板型下部基板、平板型上部基板、前記平板型下部基板と前記平板型上部基板の間に位置する緩衝型スペーサ、および前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を含み、前記緩衝型スペーサによってモールディング空間が区切られるモールド装備を準備する段階;前記モールディング空間に硬化性組成物を緩衝する段階;および前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階;を含み、前記硬化性組成物はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香族環化合物を含み、前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階は下記式1を満たすように行われる回折導光板の製造方法が提供される。
[式1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.95}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.05}。
【0013】
以下、発明の具体的な実施形態による回折導光板および回折導光板の製造方法についてより詳細に説明する。
【0014】
本明細書で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0015】
また、ある部材が他の部材「上に」位置しているというとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0016】
また、使われる程度の用語「~(する)段階」または「~の段階」は「~のための段階」を意味しない。
【0017】
本明細書で使われる「エピスルフィド化合物」の定義は1個以上のエピスルフィドを含む化合物を意味し、このとき、エピスルフィドはエポキシドの酸素(O)原子が硫黄(S)原子に置換された化合物を意味する。
【0018】
本明細書で使われる「チオール化合物」の定義は1個以上のチオール基(-SH)を含む化合物を意味する。
【0019】
本明細書で「硬化」は熱硬化および光硬化の両方をいずれも含む意味であり、「硬化性組成物」は熱硬化および/または光硬化が可能な組成物を意味する。
【0020】
本明細書で高屈折は350~800nmの波長領域または532nmの波長で約1.6以上を意味する。
【0021】
発明の一実施形態によれば、回折格子パターンが一面に形成された光学層を含み、前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成され、前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差は0.01以下であり、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相である、回折導光板が提供されることができる。
【0022】
前記一実施形態による回折導光板に含まれる回折格子パターンが一面に形成された光学層において、前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成され、このような光学層がエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相である場合、回折導光板の鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れる。また、前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差は殆どないため、界面から始まる透過率低下の問題またはヘイズ発生の問題がないだけでなく、回折導光板に入射された光(すなわち、導波(light guide)される光)が回折導光板内で全反射される効率を高め、これを仮想現実デバイスなどに使用する場合、より輝度が高い高解像度イメージをディスプレイすることができる。
【0023】
従来の回折導光板の場合、基材上にインプリント用樹脂組成物を塗布し乾燥して樹脂層を形成した後、前記樹脂層上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(Template)をインプリントする工程によってパターン部を有する導光板を製造したが、このような方法で製造された回折導光板は基材とパターン部の間に界面が存在し、また、界面接着力が不良で鉛筆硬度などの機械的物性を確保することが難しかった。しかし、前記一実施形態による回折導光板は、前記回折格子パターンが前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成されて高い鉛筆硬度および強度などの優れた機械的特性を示すことができる。
【0024】
また、前記回折導光板に含まれた回折格子パターンが一面に形成された光学層はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相であることによって、ガラス(Glass)と類似の高屈折率を有してウェアラブルデバイスの回折導光レンズとして使用することができる。そのため、従来のガラスの破損により発生する問題およびガラスの重い重量のため長時間着用が難しい問題などを防止することができる。さらに、前記回折導光板は無機粒子を追加的に含まなくても高屈折率の実現が可能であり、無機粒子によるヘイズを誘発せずヘイズが低いため視認性が高い。また、前記回折導光板は後述する回折導光板の製造方法によって製造することができ、これによって優れた厚さ均一度および平坦度を有することができる。
【0025】
前記回折格子パターンが一面に形成された光学層は、エピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香族環化合物を含む高分子の連続相であることによって、前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差は0.01以下、0.005以下、0.001以下、または0.001~0.0001であり得る。前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差が0.01を超えると、前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の界面から始まる透過率低下の問題またはヘイズが発生し得る。したがって、前記回折格子パターンと前記光学層の一面の間の屈折率差が前記範囲を満たすことによって、界面から始まる透過率低下の問題またはヘイズ発生の問題がないだけでなく、導波(light guide)される光の全反射効率を高め、これを仮想現実デバイスなどに使用する場合より輝度が高いイメージをディスプレイすることができる。
【0026】
図1は前記一実施形態による回折導光板に含まれる光学層の断面を概略的に示す図である。具体的には、前記光学層300は一面に回折格子パターン200が形成されており、前記回折格子パターンは1以上のパターン単位体400を含み得る。
【0027】
具体的には、前記回折格子パターン200は一側面で他側面方向に沿って離隔して備えられる2以上のパターン単位体400を含み得る。前記パターン単位体は導波される光の回折が可能なパターンであれば特に限定しないが、四角柱、六角柱、三角錐、円錐、楕円錐、または半球などの形態を有する格子パターンであるか、バー(Bar)または縞パターンであり得る。一方、前記パターン単位体の断面形状は特に限定しないが、例えば、四角形、三角形、菱形形状、台形形状、放物線形状などを有することができる。前記パターン単位体の断面方向は回折導光板と垂直な方向であり得る。
【0028】
また、前記回折格子パターン200に含まれる前記パターン単位体400の間の周期(pitch)は0.1~1μm、0.2~0.9μm、0.3~0.8μmまたは0.4~0.7μmであり、高さ(height)は0.1~1μm、0.2~0.9μm、0.3~0.8μmまたは0.4~0.7μmであり得る。
【0029】
前記周期(pitch)はパターン単位体400が繰り返される間隔を意味し、具体的には、一つのパターン単位体の一地点とこれと隣接する他の一つのパターン単位体の一地点の間の長さを意味する。また、一つのパターン単位体の一地点と他の一つのパターン単位体の一地点はパターン単位体間に互いに対応する位置を意味し、その長さの方向は光学層300と平行な方向である。また、前記高さ(height)の方向は前記光学層と垂直な方向である。
【0030】
前記回折格子パターン200に含まれる2以上のパターン単位体400を含む場合、2以上のパターン単位体の形態は同一であり得、具体的には、断面形状、周期、高さなどが互いに同一である。これによって、前記回折導光板の全領域で回折される光量が同一である。また、回折格子パターン200に含まれる2以上のパターン単位体400の形態は相違し得、具体的には、断面形状は同一であるが周期および高さが相違し得、また、周期は同一であるが断面形状および高さが相違し得る。
【0031】
前記光学層300の厚さは0.1~10mm、0.2~9mm、0.3~8mm、0.4~7mm、または0.5~5mmであり得る。前記光学層300の厚さが過度に薄いと、前記光学層を含む回折導光板に入射された光が回折導光板の内部で不要に全反射される回数が多くなり、これによって回折導光板で出射される出射光の輝度が低くなるので、このような回折導光板を仮想現実デバイスなどに使用する場合は解像度が低下し得る。一方、前記光学層の厚さが過度に厚いと、前記光学層を含む回折導光板に対する外部光の透過率が減少して外部映像の輝度が低くなり、そのため視認性が低下し得る。
【0032】
前記回折格子パターン200が一面に形成された光学層300はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相であり得る。
【0033】
前記回折導光板は後述する回折導光板の製造方法によってワンステップ(One-step)工程で前記回折格子パターンが一面に形成された光学層が形成され、前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成され、前記光学層と前記光学層の一面に形成された回折格子パターンは同一の硬化性組成物の硬化物を含み得る。すなわち、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相に該当する。また、前記高分子の連続相は無機粒子を含まずとも、高屈折率の実現が可能であるため、多量の無機粒子を使用する場合に発生するヘイズ誘発に関する問題を防止することができる。
【0034】
前記チオール化合物および前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の重量比は5:5~9:1であり得る。
【0035】
前記チオール化合物および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の重量比は5:5~9:1、7:3~8.5:1.5、または7:3~8:2であり得る。前記チオール化合物および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の重量比が5:5未満であれば回折導光板の高屈折率を実現することが難しく、9:1を超えるとこれらを含む硬化性組成物の硬化時、硬化速度の制御が難しくなり、回折導光板で脈理現象が発生する問題がある。
【0036】
前記エピスルフィド化合物は下記化学式1で表される化合物を含み得る。
【化1】
前記化学式1において、
およびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり、
およびRはそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~10のアルキレンであり、
aは0~4の整数であり、
bは0~6の整数である。
【0037】
前記化学式1で表されるエピスルフィド化合物は、分子の両末端にエピスルフィドが連結された脂肪族鎖状骨格を有しており、脂肪族鎖内ではアルキレン基が硫黄(S)原子によって連結されるチオエーテル(thio ether)形態の繰り返し単位を備えることができる。
【0038】
前記エピスルフィド化合物は上述した特定の化学構造によって分子内に原子屈折が大きい硫黄(S)原子を高い含有量で含み得るが、このような高い硫黄原子の含有量によって回折導光板の屈折率を高めることができる。また、前記エピスルフィド化合物は開環重合によって硬化が可能であるが、エピスルフィド基の開環重合によって形成されるアルキレンスルフィド基は、回折導光板の高屈折率をさらに高めることができる。
【0039】
一方、前記化学式1において、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0040】
また、RおよびRはそれぞれ独立して単結合、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、またはイソブチレンであり得るが、これに限定されるものではない。
【0041】
また、aおよびbはそれぞれ独立して0または1であり得る。
【0042】
化学式1のaは、チオエーテル繰り返し単位に含まれたアルキレン基の炭素数に関するものであり、aが過度に大きい場合、分子内の炭素鎖の長さが長くなることにより、回折導光板のガラス転移温度が低くなり、そのため回折導光板の耐熱性が低下する問題が発生し得、また、相対的な硫黄の含有量が低くなることにより、回折導光板の屈折率が低くなる問題が発生し得る。
【0043】
化学式1のbは、アルキレン基が硫黄(S)原子によって連結されるチオエーテル(thio ether)繰り返し単位の繰り返し数であり、bが過度に大きい場合、分子の鎖長が長くなることにより硬化時に回折導光板のガラス転移温度が低くなり、そのため回折導光板の耐熱性が低下する問題が発生し得る。
【0044】
また、前記化学式1で表される化合物を単独で使用したり、あるいは2種以上混合して使用することもできる。
【0045】
前記エピスルフィド化合物は、例えば、ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(β-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタンなどからなる群より選ばれた少なくとも一つを含み得るが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0046】
前記エピスルフィド化合物の含有量は、全体回折導光板100重量%に対して、50~99重量%、60~95重量%、または70~90重量%であり得る。前記エピスルフィド化合物の含有量が過度に多いと、回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題がある。反面、前記エピスルフィド化合物の含有量が過度に少ないと、回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題があり、硬度および強度などの機械的物性が低下する問題が発生し得る。
【0047】
前記チオール化合物は下記化学式2および3で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを含み得る。
【化2】
前記化学式2において、
およびRはそれぞれ独立して、単結合または炭素数1~10のアルキレンであり、
cは0~4の整数であり、
dは0~6の整数であり、
【化3】
前記化学式3において、
A環は窒素(N)および硫黄(S)原子のうち1個以上を含む5員または6員の芳香族ヘテロ環であり、
eは1~3の整数であり、
具体的には、前記化学式2で表されるチオール化合物は、分子の両末端にチオール基(-SH)が連結された脂肪族鎖状骨格を有しており、脂肪族鎖内では、アルキレン基が硫黄(S)原子によって連結されるチオエーテル(thio ether)形態の繰り返し単位を備えることができる。
【0048】
一方、化学式3で表されるチオール化合物は、窒素(N)および/または硫黄(S)のようなヘテロ原子を含む、5員または6員芳香族環に1個以上のチオール基が連結されることができる。
【0049】
前記化学式2または3で表されるチオール化合物は、前記エピスルフィド化合物との硬化反応、すなわち、エピスルフィド基の開環重合反応において、エピスルフィド基と反応してジスルフィド結合などを形成することができ、分子内に原子屈折が大きい硫黄(S)原子を高い含有量で含んで回折導光板の屈折率をさらに高め、回折導光板の物理的強度を向上させることができる。
【0050】
一方、前記化学式2において、RおよびRはそれぞれ独立して単結合、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、またはイソブチレンであり得るが、これに限定されるものではない。
【0051】
また、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり得る。
【0052】
化学式2のcは、チオエーテル繰り返し単位に含まれたアルキレン基の炭素数に関するものであり、cが過度に大きい場合、分子内の炭素鎖の長さが長くなることにより、回折導光板のガラス転移温度が低くなり、そのため回折導光板の耐熱性が低下する問題が発生し得、また、相対的な硫黄の含有量が低くなることにより回折導光板の屈折率が低くなる問題が発生し得る。
【0053】
化学式2のdは、アルキレン基が硫黄(S)原子によって連結されるチオエーテル(thio ether)繰り返し単位の繰り返し数であり、dが過度に大きい場合、分子の鎖長が長くなることにより回折導光板のガラス転移温度が低くなり、そのため回折導光板の耐熱性が低下する問題が発生し得る。
【0054】
また、前記化学式3において、A環はピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、チオフェン、チアゾールまたはチアジアゾールであり得るが、これに限定されるものではない。
【0055】
また、eは2または3であり得る。
【0056】
また、前記化学式2または3で表される化合物を単独で使用したり、あるいは2種以上混合して使用することもできる。
【0057】
前記チオール化合物は、例えば、下記化合物より選ばれた少なくとも一つを含み得る。
【化4】
【0058】
前記チオール化合物の含有量は、全体回折導光板100重量%に対して、1~30重量%、5~25重量%、または7~10重量%であり得る。前記チオール化合物の含有量が過度に多いと回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高め、硬度および強度などの物理的特性が低下する問題が発生し得る。反面、前記チオール化合物の含有量が過度に少ないと回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題がある。
【0059】
前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は下記化学式4および5で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを含み得る。
【化5】
前記化学式4において、
およびRはそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、炭素数1~40のアルキル、炭素数1~40のアルコキシ、炭素数3~40のシクロアルキル、炭素数1~40のアルケニル、炭素数6~60のアリール、またはO、N、SiおよびSのうち1個以上を含む炭素数1~40のヘテロアリールであり、
fおよびgはそれぞれ独立して、1~7の整数であり、
hおよびiはそれぞれ独立して、0~6の整数であり、
f+hは7以下の整数であり、
g+iは7以下の整数であり、
【化6】
前記化学式5において、
ArおよびArはそれぞれ独立して、1個以上の水酸基が置換された炭素数6~60のアリールであり、
およびR10はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、炭素数1~40のアルキル、炭素数1~40のアルコキシ、炭素数3~40のシクロアルキル、炭素数1~40のアルケニル、炭素数6~60のアリール、またはO、N、SiおよびSのうち1個以上を含む炭素数1~40のヘテロアリールであり、
mおよびnはそれぞれ独立して、0~4の整数である。
【0060】
具体的には、前記化学式4で表される2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は、2個のナフタレンが連結された骨格を有しており、それぞれのナフタレンに1個以上の水酸基が連結されることができる。
【0061】
一方、化学式5で表される2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は、フルオレンの9位に1個以上の水酸基が置換されたアリール基が2個の置換された形態を示すことができる。
【0062】
前記化学式4または5で表される前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は、芳香族官能基の共役(Conjugation)系によって回折導光板の高屈折率を実現することができ、また、このような芳香族官能基によって、回折導光板で前記芳香環化合物を含むことにより硫黄原子の含有量が減少しても、屈折率減少を最小化させることができ、さらに、前記回折導光板のガラス転移温度(Tg)を増加させて機械的特性を向上させることができる。
【0063】
一方、前記化学式4において、RおよびRはそれぞれ独立して重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、メチルまたはエチルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0064】
また、fおよびgはそれぞれ独立して1または2であり得る。
【0065】
また、hおよびiはそれぞれ独立して0または1であり得る。
【0066】
また、前記化学式5において、ArおよびArはそれぞれ独立して1または2個の水酸基が置換されたフェニルまたはナフタレニルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0067】
また、RおよびR10はそれぞれ独立して重水素、ハロゲン、シアノ、ニトリル、ニトロ、アミノ、メチルまたはエチルであり得るが、これに限定されるものではない。
【0068】
また、mおよびnはそれぞれ独立して0または1であり得る。
【0069】
また、前記化学式4または5で表される化合物を単独で使用したり、あるいは2種以上混合して使用することもできる。
【0070】
前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物は、例えば、下記化合物より選ばれた少なくとも一つを含み得る。
【化7】
【0071】
前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の含有量は、全体回折導光板100重量%に対して、0.1~10重量%、0.5~5重量%、または1~3重量%であり得る。前記2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の含有量が過度に多いと回折導光板の屈折率が低下する問題があり、含有量が過度に少ないと硬化反応速度が過度に速いため回折導光板で脈理現象が発生する問題がある。
【0072】
また、前記高分子の連続相は触媒をさらに含むこともできる。前記触媒は、例えば、アミン、アンモニウム塩、あるいはリン酸塩などが挙げられ、具体的には例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物などが挙げられる。また、市販のものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU-CAT3503N、UCAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。
【0073】
前記触媒の含有量は、全体回折導光板100重量%に対して、0.001~10重量%、0.01~5重量%、または0.1~1重量%であり得る。
【0074】
また、前記回折導光板は、この他にも、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料など、本発明が属する技術分野で、ディスプレイ用基板に特定機能を付与するために使われるその他添加剤をさらに含むこともできる。
【0075】
前記高分子の連続相は光硬化物または熱硬化物であり得る。
【0076】
前記回折格子パターン200および前記光学層300の一面は532nm波長での屈折率がそれぞれ1.65以上、1.70以上、1.72以上、または1.73~2.5であり得る。一般的なガラス基材の場合、光屈折率が532nm波長で1.65以上である。したがって、前記回折格子パターンが一面に形成された光学層を含む回折導光板はプラスチック材質にもかかわらず、ガラス基材と等しい水準の光屈折率を実現できるので、ガラス基材に代わることができる。また高い光屈折率によってウェアラブルデバイスのレンズとして使われる場合、光損失を最小化して光情報の移動を図ることができる。
【0077】
また、前記回折導光板のガラス転移温度は40℃以上、40℃~150℃、50℃~130℃、または80~100℃であり得る。ウェアラブルデバイスの場合、持続的な映像の伝送および出力が行われ、そのためレンズの温度が上昇する。一方、前記回折導光板はガラス転移温度を40℃以上に実現できるので、ウェアラブルデバイスのレンズとして使用しても温度による物性変化を最小化して高い耐久性を実現することができる。
【0078】
前記回折導光板のヘイズは4.0%以下、3.0%以下、2.0%以下または1.5~0.01%であり得る。前記回折導光板は無機粒子を含まずとも屈折率が1.65以上であるため、ヘイズを誘発しないので視認性が高い。
【0079】
また、回折導光板の鉛筆硬度はHB以上、H以上、または2H以上であり得る。前記回折格子パターン200は前記光学層300の一面に界面なしに一体化した構造で形成されることによって、鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れる。
【0080】
また、前記回折導光板は1以上のパターン単位体を含んでも、厚さ偏差は3.0%以下、2.5%以下、1%以下、または0.1~1%であり得る。前記厚さ偏差の値が低いほど前記回折導光板の厚さ均一度は高いので、前記一実施形態による回折導光板は優れた厚さ均一度を有することができる。
【0081】
また、前記回折導光板の厚さ偏差は下記一般式1のように導き出すことができる。
[一般式1]
厚さ偏差(%)=(最大偏差/平均厚さ)×100
【0082】
厚さは25℃および50RH%雰囲気で、ミツトヨ社のDigimatic Thick 547-401装備を用いる接触式測定方法により、最大厚さまたは最小厚さを測定することができる。または、厚さは25℃および50RH%でマイクロ-エプシロン社のIFS-2405-1またはIFC-2451-MP装備を用いる非接触式測定方法により、最大厚さまたは最小厚さを測定することができる。
【0083】
一方、平均厚さは25℃および50RH%雰囲気で、ミツトヨ社のDigimatic Thick 547-401装備を用いる接触式測定方法により、任意に配置された試験片の任意の点を原点として、半径10mmおよび22.5度の間隔で測定された厚さの平均値であり得る。または平均厚さは25℃および50RH%雰囲気で、ファイバープロ社のOWTM(Optical Wafer Thickness Measurement system)装備を用いる非接触式測定方法により、任意に配置された試験片の任意の点を原点として、横および縦それぞれに対して1mm間隔で測定された厚さの平均値であり得る。
【0084】
前記回折導光板の厚さは0.1~10mmであり得る。
【0085】
前記回折導光板のワープ(Warp)は100μm以下、50μm以下、20μm以下、10μm以下、または0.1~10μmであり得る。前記一実施形態による回折導光板の製造方法によって製造された回折導光板は前記ワープ範囲を満たし得、回折導光板のワープが100μmを超えると回折導光板に入射された光の反射角が維持できず、これを仮想現実デバイスなどに使用する場合の解像度が低下し得る。
【0086】
ワープ(Warp)は前記回折導光板の全体的な屈曲を数値で示したものであり、下記一般式2のように導き出すことができる。
[一般式2]
ワープ=中央面と基準面の最大偏差-中央面と基準面の最小偏差
【0087】
前記一般式2において、中央面は回折導光板の厚さの中間に該当する面であり、基準面は測定領域内での中央面に対する最小2乗フィット(Least squares fit)により計算された面である。したがって、前記ワープは前記基準面と中央面の間の最大偏差および最小偏差の差に該当する。
【0088】
一方、前記中央面は25℃および50RH%雰囲気で、ファイバープロ社のOWTM(Optical Wafer Thickness Measurement system)装備を用いる非接触式測定方法により導き出すことができる。
【0089】
また、前記回折導光板は透過率、具体的には、厚さが1mmであるときJIS K 7361に従って測定された透過率値が80%以上、80~99%、または85~90%で非常に高い透過率を有することができる。
【0090】
また、前記回折導光板は黄色度(YI;Yellow Index)、具体的にはASTM E313-1973に従って測定された黄色度が1~30、2~22、2.1~10、2.2~5、または2.3~4で、低い黄色度を示すことができる。
【0091】
前記回折導光板はウェアラブルデバイスの回折導光レンズ用であり得る。具体的には、前記ウェアラブルデバイスは拡張現実デバイスまたは仮想現実デバイスであり、前記回折導光板は前記ウェアラブルデバイスのレンズとして含まれ得、前記回折導光板に含まれた回折格子パターンによって、光情報の入力、移動および送出を容易にすることができる。
【0092】
発明の他の実施形態によれば、上述した回折導光板を製造する方法を提供する。
【0093】
本発明者らは、硬化性組成物を通常のモールド装備に注入した後硬化して基材を製造する場合、硬化性組成物の硬化収縮によって硬化途中に硬化物がモールド基板から剥離し、製造される基材の表面に剥離跡が残って、厚さ均一度が大きく毀損される問題があることを認識しており、また、モールディング工程によって製造された基材上にインプリント用樹脂組成物を塗布して乾燥して樹脂層を形成した後、前記樹脂層上にインプリント工程によって回折導光板を製造する場合、基材とインプリントされた樹脂層の間の界面接着力が不良であるため高い鉛筆硬度を確保することが難しいことを認識し、本発明を開発するに至った。
【0094】
前記他の実施形態による回折導光板の製造方法は、平板型下部基板、平板型上部基板、前記平板型下部基板と前記平板型上部基板の間に位置する緩衝型スペーサ、および前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を含み、前記緩衝型スペーサによってモールディング空間が区切られるモールド装備を準備する段階;
前記モールディング空間に硬化性組成物を緩衝する段階;および
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階;を含み、
前記硬化性組成物はエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含み、
前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階は下記式1を満たす。
[式1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.95}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.05}。
【0095】
前記他の実施形態による回折導光板の製造方法は、前記緩衝型スペーサを用いることによって、硬化性組成物の硬化時、硬化性組成物の硬化収縮により硬化物がモールド装備の平板型下部基板および平板型上部基板から剥離される現象を最小化し、表面平坦度および厚さ均一度が非常に優れる回折導光板を製造することができる。
【0096】
また、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(template)を用いることによって、硬化性組成物が硬化すると同時にテンプレートに陰刻された回折格子パターンが硬化物の上部または下部に圧着されることにより、最終的に製造される回折導光板の一面に回折格子パターンが形成される。これによって、追加的な樹脂層形成工程およびインプリント工程を行うことなく、簡単なワンステップ(One-Step)工程で回折格子パターンが一面に形成された光学層を含む回折導光板を製造することができ、前記回折格子パターンは前記光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成されることによって鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れる。
【0097】
一方、前記緩衝型スペーサの圧縮応力は前記式1を満たす。前記緩衝型スペーサの圧縮応力は前記平板型上部基板の荷重と前記硬化性組成物の硬化収縮力の合計の5%以内の差を有しているので、前記硬化性組成物を硬化する段階で前記硬化性組成物の硬化時収縮に応じて前記平板型上部基板が前記硬化性組成物に密着する。そのため、製造される回折導光板は優れた表面平坦度を示し、優れた厚さ均一度を実現することもできる。
【0098】
また、前記緩衝型スペーサの圧縮応力は前記式1を満たすことによって、前記平板型下部基板または平板型上部基板に含まれる前記テンプレートもまた、硬化性組成物に密着することができ、これによって、前記テンプレートに陰刻された回折格子パターンが硬化物の一面に回折格子パターンとして鮮明に現れる。
【0099】
一方、前記緩衝型スペーサの圧縮応力が{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.95}より小さい場合、平衡が到達する前に硬化が完了して回折導光板厚さの不均一が発生し、回折格子パターンが鮮明に現れないこともある。そして、前記緩衝型スペーサの圧縮応力が{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.05}より大きい場合、硬化時収縮の不均一が発生して回折導光板の外観特性が不良である。
【0100】
具体的には、本発明の一実施例によれば、前記式1は下記式1-1、式1-2、または式1-3を満たすことができる。
[式1-1]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.97}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.03}
[式1-2]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.98}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.02}
[式1-3]
{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×0.99}≦緩衝型スペーサの圧縮応力≦{(平板型上部基板の荷重+硬化性組成物の硬化収縮力)×1.01}
【0101】
具体的には、前記緩衝型スペーサの圧縮応力は前記平板型上部基板の荷重と前記硬化性組成物の硬化収縮力の合計の3%以内、2%以内、または1%以内の差を有し、そのため製造される回折導光板はより優れた表面平坦度を示し、より優れた厚さ均一度を実現することもできる。
【0102】
前記平板型上部基板の荷重、前記硬化性組成物の硬化収縮力および前記緩衝型スペーサの圧縮応力の単位はkgfまたはNであり得る。
【0103】
前記緩衝型スペーサは、前記硬化性組成物の硬化収縮によって硬化性組成物の硬化物が前記平板型上部基板から剥離されることを防止するようにする役割をする。具体的には、前記緩衝型スペーサは、前記硬化性組成物が硬化することにより硬化収縮する程度および前記平板型上部基板の荷重を考慮した圧縮応力を有するので、前記硬化性組成物の硬化収縮により前記平板型上部基板の荷重によって圧縮され、前記硬化性組成物を硬化する段階で前記硬化性組成物と前記平板型上部基板が密着した状態を保持するようにする役割をする。また、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが前記平板型上部基板に含まれて前記平板型上部基板上に位置する場合、前記緩衝型スペーサは前記硬化性組成物を硬化する段階で前記テンプレートと硬化性組成物が密着した状態を保持するようにする役割をする。
【0104】
前記平板型上部基板の荷重は3.4N~34N、5.9N~27N、または7N~25Nであり得る。前記平板型上部基板の荷重が前記範囲内の場合、前記硬化性組成物の硬化時硬化収縮による変形を最小化することができ、前記硬化性組成物の光硬化時の透過率低下を最小化することができ、また、前記硬化性組成物の熱硬化時の反応熱の排出不均一を最小化し、前記硬化性組成物の均一な硬化を誘導することができる。一方、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが前記平板型上部基板に含まれて前記平板型上部基板上に位置する場合、前記平板型上部基板の荷重は前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートによる荷重を含む荷重に該当する。
【0105】
前記式1において、硬化性組成物の硬化収縮力は下記のような方法で測定される。具体的には、25℃および50RH%雰囲気でTA社のTexure Analyzer装備を用いて、下部ジグの上に一定量の硬化性組成物を塗布した後、上部ジグを下降して硬化性組成物と接触させて力の初期値を記録する。そして、温度を90℃に上昇させて5時間維持した後、力の最終値を記録して力の最終値と初期値の間の差から得られた値で測定される。
【0106】
前記式1において、緩衝型スペーサの圧縮応力は下記のような方法で測定される。具体的には、25℃および50RH%雰囲気で、TA社のTexture Analyzerを用いて試験片面積5×5mm、圧縮速度1mm/minで圧縮するとき、試験片の変形((初期厚さ-変形後厚さ)/初期厚さ)に到達する瞬間の力の測定値であり得る。
【0107】
前記モールディング空間は前記緩衝型スペーサによって区切られる。具体的には、前記平板型下部基板上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが備えられる場合、前記モールディング空間は前記緩衝型スペーサによって区切られ、前記テンプレートと前記平板型上部基板の間に備えられる空の空間を意味する。または前記平板型上部基板上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレートが備えられる場合、前記モールディング空間は前記緩衝型スペーサによって区切られ、前記テンプレートと前記平板型下部基板の間に備えられる空の空間を意味する。
【0108】
前記他の実施形態による回析導光板の製造方法は、前記モールディング空間に硬化性組成物を緩衝する段階を含み得る。
【0109】
具体的には、前記硬化性組成物を緩衝する段階は、前記モールディング空間に前記硬化性組成物を注入して前記硬化性組成物が前記平板型下部基板(または前記平板型上部基板)と回折格子パターンが陰刻されたテンプレートに密着するように十分に埋めることを意味する。特に、前記硬化性組成物は前記テンプレートの陰刻されたパターン表面全体に密に密着することができる。具体的には、前記硬化性組成物を緩衝する段階は、前記モールディング空間に前記硬化性組成物を95vol%以上、97vol%以上、99vol%以上または100vol%で注入することを意味する。
【0110】
また、前記硬化性組成物を緩衝する段階は、前記緩衝型スペーサと平板型下部基板に区切られたモールディング空間に前記硬化性組成物を注入し、前記テンプレートを含む平板型上部基板を積層する方法;前記緩衝型スペーサと前記テンプレートを含む平板型下部基板に区切られたモールディング空間に前記硬化性組成物を注入し、前記平板型上部基板を積層する方法;または前記モールド装備に注入口を備えて前記硬化性組成物を注入する方法など多様な方法を用いることができる。
【0111】
一方、前記硬化性組成物は光硬化性組成物または熱硬化性組成物であり得、回折導光板を製造するためのものであれば制限なく適用することができる。具体的には、前記硬化性組成物は、モールドキャスティングを用いて回折導光板を製造できるものであれば制限なく適用することができる。例えば、前記硬化性組成物は、上述したエピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含み得る。具体的には、前記硬化性組成物は、前記化学式1で表されるエピスルフィド化合物、前記化学式2または3で表されるチオール化合物、および前記化学式4または5で表される2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含み得る。一方、前記化学式1~5に係る説明は、上記した回折導光板の説明で記載したとおりである。
【0112】
また、前記光硬化性組成物において、チオール化合物および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物の重量比は5:5~9:1、7:3~8.5:1.5、または7:3~8:2であり得る。前記チオール化合物および2個以上の水酸基を含む芳香環化合物の重量比が5:5未満であれば高屈折率を実現することが難しく、9:1を超えると前記硬化性組成物の硬化時に硬化速度の制御が難しいため硬化した回折導光板で脈理現象が発生し、硬化性組成物の長期保管が難しい。
【0113】
また、前記光硬化性組成物全体100重量%で、前記エピスルフィド化合物の含有量は50~99重量%、60~95重量%、または70~90重量%であり得る。前記エピスルフィド化合物の含有量が過度に多いと、相対的にチオール化合物などの硬化物の含有量が少なくなり未硬化の副生成物などが発生し、これによって硬化物である回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題がある。反面、前記エピスルフィド化合物の含有量が過度に少ないと、相対的にチオール化合物などの硬化剤の含有量が多くなり、硬化剤が硬化性組成物内に十分に溶解されないか、未硬化の副生成物などが発生し、そのため硬化物である回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題がある。
【0114】
また、前記光硬化性組成物全体100重量%で、前記チオール化合物の含有量は1~30重量%、5~25重量%、または7~10重量%であり得る。前記チオール化合物の含有量が過度に多いと固形のチオール化合物が硬化性組成物に十分に溶解されないか、相対的にエピスルフィド化合物などの他の組成の含有量が少なくなり、未硬化の副生成物などが発生し、そのため硬化物である回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題がある。反面、前記チオール化合物の含有量が過度に少ないと、相対的にエピスルフィド化合物などの他の組成の含有量が多くなり、未硬化の副生成物などが発生し、そのため硬化物である回折導光板のガラス転移温度を低下させて黄色度(YI;Yellow Index)を高める問題がある
【0115】
また、前記光硬化性組成物に含まれた前記2個以上の水酸基を含む芳香環化合物は、前記エピスルフィド化合物およびチオール化合物との硬化反応において、2個以上の水酸基がエピスルフィド化合物と開環重合反応して架橋が行われ、チオール化合物に比べて遅い反応速度、例えば、1/1,000の反応速度で開環重合反応が起きることによって硬化反応速度を制御することができる。また、前記2個以上の水酸基を含む芳香環化合物において、芳香環は脂肪族水酸基に比べて遅い反応速度、例えば、1/2の反応速度で開環重合反応が起きることによって硬化反応速度を制御できるので、硬化性組成物の混合後にも急速な硬化反応が起きることを防止して長期保管、例えば、0℃の温度条件で7日以上硬化反応が行われないようにすることができ、さらに、急速な硬化による回折導光板での脈理現象を防止することができる。
【0116】
また、前記光硬化性組成物全体100重量%で、前記2個以上の水酸基を含む芳香環化合物の含有量は0.1~10重量%、0.5~5重量%、または1~3重量%であり得る。前記2個以上の水酸基を含む芳香族環化合物の含有量が過度に多いと硬化性組成物に十分に溶解されず硬化物である回折導光板の屈折率が低下する問題があり、過度に少ないと硬化反応速度を制御できない問題がある。
【0117】
また、前記光硬化性組成物は触媒をさらに含むこともできる。前記触媒は硬化性組成物の硬化反応を促進する役割をするものであれば特に限定しないが、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物などが挙げられる。また、市販のものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU-CAT3503N、UCAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。
【0118】
前記触媒の含有量は、全体硬化性組成物100重量%に対して、0.001~10重量%、0.01~5重量%、または0.1~1重量%であり得る。前記触媒の含有量が過度に多いと硬化反応が急速に行われて過熱による硬化性組成物の取り扱いの安全上の問題があり、長期保管が難しくて脈理現象が発生し得る。一方、触媒の含有量が過度に少ないと未硬化によって硬化物である回折導光板の光学および機械的物性が低下し得る。
【0119】
また、前記硬化性組成物は、この他にも、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料など、本発明が属する技術分野で、ディスプレイ用基板に特定機能を付与するために使われるその他添加剤をさらに含むこともできる。
【0120】
前記光硬化性組成物は光硬化性組成物または熱硬化性組成物であり得る。具体的には、前記硬化性組成物は熱硬化性組成物であり得る。
【0121】
一方、前記硬化性組成物は硬化収縮率が15%以下、1%~15%以下、1%以上12%以下、または1%以上10%以下であり得るが、これに限定するものではない。
【0122】
また、前記硬化性組成物は長期保管が可能であり、特に、触媒が含まれた状態でも長期保管が可能である。また、急速な硬化によって発生する脈理現象を抑制することができる。具体的には、前記硬化性組成物は-5~0℃の温度で12時間維持された後の粘度が4000cP以下、3000cP以下、2500cP以下、2000cP以下、1000cP以下、500cP以下、300cP以下、100~200cPであり得る。
【0123】
前記他の実施形態による回析導光板の製造方法は、前記平板型上部基板の荷重で前記硬化性組成物を圧縮し、前記硬化性組成物を硬化する段階を含み得る。
【0124】
図2は硬化性組成物を硬化する段階で、モールド装備の断面を概略的に示す図である。具体的には、図2は平板型下部基板501と回折格子パターンが陰刻されたテンプレート504を含む平板型上部基板502の間に備えられる緩衝型スペーサ503を含むモールディング装備のモールディング空間に、硬化性組成物600を注入して緩衝されたことを示す図である。このように、硬化性組成物が緩衝された後、光硬化および/または熱硬化して回折導光板を製造することができる。
【0125】
前記熱硬化するために前記硬化性組成物の熱処理時の昇温速度は2℃/min以下、1℃/min以下または0.1~0.5℃/minであり得る。前記昇温速度が前記範囲内の場合、前記硬化性組成物に伝達される熱の位置間偏差を最小化し、反応熱の排出不均一を最小化して前記硬化性組成物の均一な硬化を誘導することができる。
【0126】
前記熱硬化時最終温度は50~100℃、または60~80℃であり得、前記最終温度到達前の最終温度より低い温度で等温維持区間を三回以上設けることによって前記硬化性組成物に伝達される熱の位置間の偏差を最小化することができる。前記等温維持区間の間の温度差は10℃~20℃であり得、前記等温維持区間の維持時間はそれぞれ1時間~5時間であり得る。例えば、前記硬化性組成物を常温(25℃)で2時間放置した後、45℃で2時間、60℃で2時間、75℃で2時間、90℃で4時間の間熱硬化して回折導光板を製造することができる。
【0127】
前記硬化性組成物を硬化する段階で、前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートによって前記光学層の一面に回折格子パターンが形成されることができる。前記回折格子パターンは先に述べた回折導光板に含まれる光学層の一面に形成された回折格子パターンに係る説明と同様である。
【0128】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の曲げ弾性率は、それぞれ3GPa以上、10GPa以上、20GPa以上、または40GPa~300GPaであり得る。前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の曲げ弾性率が前記範囲内の場合、前記平板型上部基板のボーイング(bowing)現象を最小化できるので、製造される回折導光板の厚さ均一度を大きく増加させる。
【0129】
前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートの曲げ弾性率は1~20GPa、1.5~15GPa、または2~10GPaであり得る。前記回折格子パターンが陰刻されたテンプレートの曲げ弾性率が1GPa未満であれば前記硬化性組成物が硬化収縮することにより回折格子パターンの均一性が阻害され得、20GPaを超えると過度な剛性によりテンプレートに陰刻された回折格子パターンが損傷し得る。
【0130】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の表面平坦度はそれぞれ5μm以下、2μm以下、または0.01~1μmであり得る。前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の表面平坦度が前記範囲内の場合、製造される回折導光板の表面平坦度も一般的な回折導光板より非常に向上することができる。
【0131】
前記表面平坦度の測定方法は下記のとおりである。具体的には、25℃および50RH%雰囲気で、QED社のASI(aspheric stitching interferometry)装備で直径200mm領域で0.16×0.16mm当たり一点を測定するか、またはDUKIN社の3次元形状測定機装備を用いて、直径200mm領域で任意の原点を基準として半径5mmおよび11.25度の間隔で測定された高さのピーク値と最低値の間の差より得られた値で測定されることができる。
【0132】
前記平板型下部基板および前記平板型上部基板はそれぞれ透明基板であり得る。具体的には、前記平板型下部基板および前記平板型上部基板はそれぞれ有機基板であり得、これは優れた透光性によって効果的に前記硬化性組成物の光硬化を行うことができる。
【0133】
前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は0.1MPa~10MPa、0.1MPa~5MPa、0.1MPa~3MPa、または0.1MPa~2MPaであり得る。前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数が前記範囲内の場合、前記平板型上部基板の接触時均一に前記硬化性組成物に荷重を伝達し、前記回折導光板の厚さ均一度を高めることができ、前記テンプレートに陰刻された回折格子パターンが硬化物の一面に回折格子パターンとして鮮明に現れる。
【0134】
前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数の測定方法は下記のとおりである。25℃および50RH%の雰囲気で、TA社のTexture Analyzerを用いて試験片面積5×5mm、圧縮速度1mm/minで圧縮時に測定される力の試験片変形((初期厚さ-変形後厚さ)/初期厚さ)に対する傾きを意味する。また、緩衝型スペーサが2以上の相違する層で構成される場合の緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は、面積5×5mm積層された試験片を準備して圧縮速度1mm/minで圧縮時測定される力の試験片変形((初期厚さ-変形後厚さ)/初期厚さ)に対する傾きの測定値であり得る。
【0135】
前記緩衝型スペーサは、非弾性層と弾性層が積層された構造、非弾性層の間に弾性層が備えられた構造、または弾性層の間に非弾性層が備えられた構造であり得る。一方、前記緩衝型スペーサが非弾性層と弾性層が積層された構造、非弾性層の間に弾性層が備えられた構造、または弾性層の間に非弾性層が備えられた構造である場合は前記緩衝型スペーサの圧縮弾性係数は弾性層の圧縮弾性係数を意味する。
【0136】
前記緩衝型スペーサは前記硬化性組成物の収縮程度を考慮して設計できるので、前記非弾性層で支持役割を遂行し、前記弾性層で前記硬化性組成物の収縮による高さ変化を調節する役割を遂行することができる。
【0137】
前記硬化性組成物の硬化収縮率は15%以下、1%~15%、1%~12%、または1%~10%であり得る。
【0138】
前記硬化性組成物の硬化収縮率は下記一般式3のように導き出すことができる。
[一般式3]
硬化収縮率(%)={(硬化前体積-完全硬化後体積)/硬化前体積}×100
【0139】
前記他の実施形態による回折導光板の製造方法は、前記モールド装備から回折導光板を取得する段階をさらに含み得る。具体的には、前記回折導光板を取得する段階は、前記平板型上部基板、前記平板型下部基板および回折格子パターンが陰刻されたテンプレートを除去して回折導光板を取得することができる。前記平板型上部基板、前記平板型下部基板およびテンプレートを除去するのは、前記硬化性組成物の硬化が完了した後、前記平板型上部基板、前記平板型下部基板およびテンプレートを前記硬化性組成物の硬化物である回折導光板から分離することを意味する。
【0140】
前記他の実施形態による回折導光板の製造方法によって製造される回折導光板の厚さおよび厚さ偏差、屈折率、ガラス転移温度、ヘイズなどの物性に係る説明は、先立って記載した回折導光板で言及したとおりである。また、前記回折導光板は上述したように、ウェアラブルデバイスの回折導光レンズ用であり得る。
【0141】
一方、回折導光板の厚さは、前記平板型下部基板および前記平板型上部基板の離隔距離および前記硬化性組成物の硬化収縮率に応じて調節し得、前記回折導光板の用途に応じて前記範囲内で前記回折導光板の厚さを調節することができる。
前記平板型下部基板、前記平板型上部基板および回折格子パターンが陰刻されたテンプレートの表面はそれぞれ離型剤で表面処理されたものであり得る。前記離型剤は当業界で一般的に使われるものであれば制限なく適用することができる。一例として前記離型剤で表面処理したものはフッ素系シランカップリング剤を用いて表面コートされたものであり得る。前記離型剤を用いて表面コートされた場合、前記回折導光板を取得する段階で、前記回折導光板の表面の損傷を最小化し、前記平板型下部基板、前記平板型上部基板および前記テンプレートを除去することができる。
【発明の効果】
【0142】
本発明によれば、優れた厚さ均一度および平坦度を有すると同時に、ヘイズが低く鉛筆硬度および強度などの機械的特性に優れ、ガラスまたは強化ガラスに比べて軽く、かつ高屈折率の実現が可能な、回折導光板を提供することができ、また、このような回折導光板を簡単なワンステップ(One-step)工程で製造できる回折導光板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
図1】本発明の一実施形態による回折導光板に含まれる光学層の断面を概略的に示す図である。
図2】本発明の他の実施形態による回折導光板の製造方法のうち硬化性組成物を硬化する段階で、モールド装備の断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0144】
下記の実施例で発明についてより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0145】
製造例1:硬化性組成物の製造
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド89.0重量部、2,2’-チオジエタンチオール7.0重量部、2.2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフタレン3.0重量部、および触媒であるN,N-ジシクロヘキシルメチルアミン1.0重量部を含む硬化性組成物を製造した。
【0146】
製造された硬化性組成物の硬化収縮力は、前述した硬化収縮力の測定方法で測定し、測定された硬化収縮力を試料の体積で除して計算した圧縮応力係数は2.5*10N/mであった。
【0147】
製造例2:硬化性組成物の製造
ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド89.5重量部、2,2’-チオジエタンチオール9.5重量部、および触媒であるN,N-ジシクロヘキシルメチルアミン1.0重量部を含む硬化性組成物を製造した。
【0148】
製造された硬化性組成物の硬化収縮力は、前述した硬化収縮力の測定方法で測定し、測定された硬化収縮力を試料の体積で除して計算した圧縮応力係数は2.5*10N/mであった。
【0149】
製造例3:インプリント樹脂組成物の製造
粒径20nmのジルコニア粒子8.3重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)8.3重量部、ブチルカルビトールアセテート83.0重量部およびエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート0.4重量部を含むインプリント樹脂組成物を製造した。
【0150】
<実施例および比較例:回折導光板の製造>
実施例1
下部基板として屈曲弾性率が70GPa、表面平坦度が0.5μm、厚さが30mm、直径が200mmのガラス基板を準備し、前記下部基板上に回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(屈曲弾性率:3GPa)を付着した。このとき、下部基板の円中心とテンプレートの円中心が接するように付着し、前記テンプレートの直径は150mm、厚さは200μmであるポリエチレンテレフタレート(PET)であり、陰刻された回折格子パターンの周期(pitch)は405nmであり、深さ(depth)は500nmであった。
【0151】
その後、圧縮弾性係数が1.0MPa、高さが1,007μm、断面積が10×10mmのシリコン材質の緩衝型スペーサを前記下部基板の円周に接するように120°間隔で備えてモールディング空間を形成した後、前記製造例1により製造された硬化性組成物をモールディング空間に注入した後、上部基板として屈曲弾性率70GPa、荷重が8.2N、直径が200mm、表面平坦度が0.5μmのガラス基板を用いて前記硬化性組成物をモールディング空間に緩衝させた。
【0152】
さらに、前記硬化性組成物をjeiotech社の対流オーブンに入れ、常温で2時間放置した後、昇温速度を1℃/minに設定した後45℃で2時間、60℃で2時間、75℃で2時間、90℃で4時間の間熱硬化して0.8mm厚さの回折導光板を製造した。
【0153】
比較例1
製造例1により製造された硬化性組成物の代わりに製造例2により製造された硬化性組成物を使用することを除いては、実施例1と同様の方法で回折導光板を製造した。
【0154】
比較例2
下部基板として屈曲弾性率が70GPa、表面平坦度が0.5μm、厚さが30mm、直径が200mmのガラス基板を用いて、圧縮弾性係数が1.0MPa、高さが804μm、断面積が10×10mmのシリコン材質の緩衝型スペーサを前記下部基板の円周に接するように120°間隔で備えてモールディング空間を形成した後、前記製造例1により製造された硬化性組成物をモールディング空間に注入した後、上部基板として屈曲弾性率が70GPa、荷重が8.2N、直径が200mm、表面平坦度が0.5μmのガラス基板を用いて前記硬化性組成物をモールディング空間に緩衝させた。
【0155】
さらに、前記硬化性組成物をjeiotech社の対流オーブンに入れ、常温で2時間放置した後、昇温速度を1℃/minに設定した後45℃で2時間、60℃で2時間、75℃で2時間、90℃で4時間の間熱硬化してプラスチック基材を製造した。
【0156】
前記プラスチック基材に前記製造例3により製造されたインプリント樹脂組成物(屈折率1.70)を塗布後、乾燥して、1μm厚さのインプリント樹脂層を形成した。その後、前記インプリント樹脂層上に周期(pitch)405nm、深さ(depth)1μmの回折格子パターンが陰刻されたテンプレート(直径150mm、厚さ200μm、ポリエチレンテレフタレート)を40℃の温度および20barの圧力条件で圧着して回折格子を形成した後、1000mJ/cmのUV(360nm光源)照射して硬化して0.8mm厚さの回折導光板を製造し、6×5cmの長方形形状で裁った。
【0157】
比較例3
製造例1により製造された硬化性組成物の代わりに製造例2により製造された硬化性組成物を使用することを除いては、比較例2と同様の方法で回折導光板を製造した。
【0158】
評価
1.屈折率の測定
実施例および比較例の回折導光板の屈折率をEllipso Technology社のspectroscopic ellipsometryを用いて測定し、その結果を下記表1に示した。
【0159】
2.ヘイズの測定
実施例および比較例の回折導光板のヘイズをASTM D-1003によって測定し、その結果を下記表1に示した。
【0160】
3.鉛筆硬度の測定
実施例および比較例の回折導光板の表面に荷重0.5kg、角度45°に鉛筆を固定させた後、鉛筆硬度別に引っ掻いて肉眼で引っ掻かれているかどうかを判断し、スクラッチが生じない最大鉛筆硬度を下記表1に示した。
【0161】
4.ワープ(Warp)の測定
実施例および比較例の回折導光板を長軸600mmおよび短軸400mmの長方形領域の試験片を準備し、下記一般式2によりワープを計算し、その結果は下記表1に示した。
[一般式2]
ワープ=中央面と基準面の最大偏差-中央面と基準面の最小偏差
【0162】
前記中央面は25℃および50RH%雰囲気で、ファイバープロ社のOWTM(Optical Wafer Thickness Measurement system)装備を用いる非接触式測定方法により、前記回折導光板の厚さおよび前記回折導光板の下部に設けられた基準光学体と前記回折導光板の間の距離を測定して導き出すことができる。一方、前記基準面は中央面に対する最小2乗フィット(Least squares fit)で計算することができる。
【0163】
5.ガラス転移温度の測定
実施例1および2の回折導光板と比較例2および3のプラスチック基材に対してPerkin Elmer社のPyris 6 DSC(Differential Scanning Calorimetry)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果は下記表1に示した。
【0164】
【表1】
【0165】
下記表1によれば、回折格子パターンが光学層の一面に界面なしに一体化した構造で形成され、エピスルフィド化合物、チオール化合物、および2個以上の水酸基を有する芳香環化合物を含む高分子の連続相を有する実施例1の回折導光板は、屈折率およびガラス転移温度が高く鉛筆硬度に優れ、ワープおよびヘイズが低いため視認性が高いことを確認した。
【0166】
反面、芳香族ヘテロ環式化合物を使用しない比較例1は実施例1に比べて屈折率およびガラス転移温度が低くワープが高いことを確認した。また、回折格子パターンと光学層の間に界面がある比較例2および3は、実施例1に比べてワープおよびヘイズが顕著に高く、鉛筆硬度が低下することを確認した。
【符号の説明】
【0167】
200 回折格子パターン
300 光学層
400 パターン単位体
501 平板型下部基板
502 平板型上部基板
503 緩衝型スペーサ
504 回折格子パターンが陰刻されたテンプレート
600 硬化性組成物
図1
図2