(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】カカオマス及び該カカオマスを含有するチョコレート
(51)【国際特許分類】
A23G 1/02 20060101AFI20230911BHJP
A23G 1/30 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A23G1/02
A23G1/30
(21)【出願番号】P 2019179352
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059157
【氏名又は名称】大東カカオ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅崇
(72)【発明者】
【氏名】河原 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 千尋
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103415(WO,A1)
【文献】Emmanuel Ohene Afoakwa et al.,Matrix effects on flavour volatiles release in dark chocolates varying in particle size distribution and fat content using GC-mass spectrometry and GC-olfactometry,Food Chemistry,2009年,Vol. 113,p.208-215
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を0.8質量%以上含有するカカオマス
(ただし、平均粒子径が114.3μmのカカオマス、59.0質量部の砂糖と35.5質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク、49.9質量部の砂糖と44.6質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク及び40.8質量部の砂糖と53.7質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレークを除く)。
【請求項2】
粒子径が90μm以上の粒子を3質量%未満含有する請求項1に記載のカカオマス。
【請求項3】
粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を0.8質量%以上含有するカカオマス
(ただし、平均粒子径が114.3μmのカカオマス、59.0質量部の砂糖と35.5質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク、49.9質量部の砂糖と44.6質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク及び40.8質量部の砂糖と53.7質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレークを除く)からなるチョコレートの風味増強剤。
【請求項4】
請求項1若しくは請求項2に記載のカカオマス又は請求項3に記載のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上含有するチョコレート。
【請求項5】
請求項4に記載のチョコレートを使用して得られる食品。
【請求項6】
請求項1若しくは請求項2に記載のカカオマス又は請求項3に記載のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合するチョコレートの製造方法。
【請求項7】
請求項1若しくは請求項2に記載のカカオマス又は請求項3に記載のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合するチョコレートの風味を増強させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カカオマス及び該カカオマスを含有するチョコレートに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、菓子の中でも一般消費者に広く好まれている商品である。チョコレートは嗜好品であることから、チョコレートの風味はチョコレートを特徴付ける上で非常に重要である。そのため、より風味が豊かなチョコレートを開発することは、チョコレート製造メーカーにとって、非常に重要な課題である。チョコレートの風味を増強させる方法としては、例えば、特許文献1~5等が提案されている。
【0003】
チョコレートの原料に使用されるカカオマスは、チョコレートの風味を決める重要な原料である。チョコレートにカカオマスが多く配合されると、より風味豊かなチョコレートが得られる。しかしながら、カカオマスにはココアバターが多く含まれることから、ノンテンパリング型チョコレートにはカカオマスを多く配合することができなかった。そのため、ノンテンパリング型チョコレートは、風味が乏しいチョコレートが多かった。また、カカオマスは比較的高価であることから、製品の価格を抑えたい場合には、チョコレートにカカオマスを多く配合することができなかった。そのため、安価なチョコレートは、風味が乏しいチョコレートが多かった。
【0004】
以上のような背景から、チョコレートの風味をより増強することができるカカオマスの開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-252114号公報
【文献】国際公開第2015/050165号
【文献】国際公開第2015/050156号
【文献】特開2008-228677号公報
【文献】特開2019-58146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、チョコレートの風味をより増強することがカカオマスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、カカオマスに含まれる特定の大きさの粒子を特定範囲とすることにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を0.8質量%以上含有するカカオマス(ただし、平均粒子径が114.3μmのカカオマス、59.0質量部の砂糖と35.5質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク、49.9質量部の砂糖と44.6質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク及び40.8質量部の砂糖と53.7質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレークを除く)である。
本発明の第2の発明は、粒子径が90μm以上の粒子を3質量%未満含有する第1の発明に記載のカカオマスである。
本発明の第3の発明は、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を0.8質量%以上含有するカカオマス(ただし、平均粒子径が114.3μmのカカオマス、59.0質量部の砂糖と35.5質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク、49.9質量部の砂糖と44.6質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレーク及び40.8質量部の砂糖と53.7質量部のココアリカーとをリファイニングしたD90が50±1μmのチョコレートフレークを除く)からなるチョコレートの風味増強剤である。
本発明の第4の発明は、第1の発明若しくは第2の発明に記載のカカオマス又は第3の発明に記載のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上含有するチョコレートである。
本発明の第5の発明は、第4の発明に記載のチョコレートを使用して得られる食品である。
本発明の第6の発明は、第1の発明若しくは第2の発明に記載のカカオマス又は第3の発明に記載のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合するチョコレートの製造方法である。
本発明の第7の発明は、第1の発明若しくは第2の発明に記載のカカオマス又は第3の発明に記載のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合するチョコレートの風味を増強させる方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、チョコレートの風味をより増強することができるカカオマスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態のカカオマスは、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を0.8質量%以上含有する。
本発明の実施の形態のカカオマスは、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を0.8質量%以上含有し、好ましくは1.0~10.0質量%含有し、より好ましくは1.2~5.0質量%含有する。カカオマスが、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子を前記範囲で含有すると、チョコレートの風味をより増強することができる。
【0011】
本発明でカカオマスは、焙煎処理等を行ったカカオ豆から皮を除去して得られるカカオニブ又は焙煎処理等を行ったカカオニブを、磨砕することで得られるカカオ豆由来の原料のことである。カカオマスは、チョコレートの原料として使用され、ココアマス、カカオリカー、ココアリカーということもある。また、カカオマスを搾油することで、ココアパウダーとココアバターが得られる。
【0012】
本発明の実施の形態のカカオマスは、粒子径が90μm以上の粒子を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する。
【0013】
本発明の実施の形態のカカオマスは、粒子径が30μm以上90μm未満の粒子を好ましくは5.0~15.0質量%含有し、より好ましくは6.0~13.0質量%含有し、さらに好ましくは7.0~11.0質量%含有する。
【0014】
本発明の実施の形態のカカオマスは、粒子径が30μm未満の粒子を好ましくは80~98質量%含有し、より好ましくは82~97質量%含有し、さらに好ましくは85~95質量%含有する。
【0015】
本発明でカカオマスの粒子の粒子径は、レーザ回折・散乱法で測定する。レーザ回折・散乱法でのカカオマスの粒子の粒子径の測定は、株式会社島津製作所社製のレーザ回折式粒子径分布測定装置(SALD-2300)で測定することができる。
【0016】
本発明の実施の形態のカカオマスは、カカオ豆又はカカオニブを原料とし、焙煎工程、磨砕工程等を経て製造される。本発明の実施の形態のカカオマスは、通常のカカオマスの製造で行われる滅菌工程、乾燥工程、分離工程(カカオ豆から皮を分離する工程)等を経て製造することもできる。
【0017】
本発明の実施の形態のカカオマスの製造における焙煎工程の条件は、使用される機器のよって変わるため、特に制限されることはない。本発明の実施の形態のカカオマスの製造における焙煎工程は、好ましくは100~150℃で0.5~3時間で焙煎処理が行われる。
【0018】
本発明の実施の形態のカカオマスの製造における磨砕工程は、焙煎されたカカオニブをブーレードミル、ビーズミル、トリプルストーンミル等の磨砕機を使用して磨砕することができる。カカオマスの製造における磨砕工程の条件は、使用される機器のよって変わるため、特に制限されることはないが、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子の含有量が、前記範囲となるように、処理速度等が適宜調整される。
【0019】
本発明の実施の形態のカカオマスは、チョコレートの風味をより増強することができる。そのため、本発明の実施の形態のカカオマスは、チョコレートの風味増強剤として使用することができる。また、本発明の実施の形態のカカオマスを使用すると、より少量のカカオマスで良好な風味を有するチョコレートを製造することができる。
【0020】
本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤は、本発明の実施の形態のカカオマスからなる。
【0021】
本発明の実施の形態のチョコレートは、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上含有する。
本発明の実施の形態のチョコレートは、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上含有し、好ましくは0.8~70質量%含有し、より好ましくは1~65質量%含有する。チョコレートが本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を前記範囲で含有すると、チョコレートの風味をより増強することができる。
【0022】
本発明でチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。本発明でチョコレートは、食用油脂、糖質、カカオ豆由来原料(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を原料とし、チョコレートの製造工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含有しない食品のことである。また、本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくは水分が3質量%以下である。
【0023】
本発明の実施の形態のチョコレートは、本発明の実施の形態のカカオマスを配合する以外は、油脂、糖質、ココアパウダー、乳製品、香料、乳化剤等の通常チョコレートの製造に使用される原料を使用することができる。
【0024】
本発明の実施の形態のチョコレートは、油脂を好ましくは20~70質量%含有し、より好ましくは25~65質量%含有し、さらに好ましくは30~60質量%含有する。
なお、本発明で油脂(チョコレートに含まれる油脂)は、チョコレートに含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分である。例えば、チョコレートがカカオマス、全脂粉乳、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと、全脂粉乳に含まれる乳脂と、油脂aとの混合油である。すなわち、本発明で油脂は、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される油脂は、特に制限されることない。本発明の実施の形態のチョコレートの製造には、通常のチョコレートの製造に使用される食用油脂(ココアバター、大豆油、菜種油、高エルシン酸菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、イリッペ脂、サル脂、乳脂や、これらの油脂の混合油、これらの油脂又は混合油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)等)を使用することができる。
【0025】
本発明の実施の形態のチョコレートは、糖質を10~60質量%含有し、好ましくは15~38質量%含有し、より好ましくは20~35質量%含有する。
なお、本発明で糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される糖類は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖、乳糖である。
【0026】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用されるその他の原料は、例えば、本発明の実施の形態のカカオマスの条件を満たさないカカオマス、ココアパウダー、アスパルテーム、ステビア、サッカリン等の甘味料、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等である。
【0027】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法は、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合する。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法は、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合し、好ましくは0.8~70質量%配合し、より好ましくは1~65質量%配合する。チョコレートに本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を前記範囲で配合すると、チョコレートの風味をより増強することができる。
【0028】
本発明の実施の形態のチョコレートは、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を前記範囲で配合すること以外、従来公知のチョコレートの製造方法で製造することができる。本発明の実施の形態のチョコレートは、例えば、食用油脂、糖質、カカオマス、乳製品、香料、乳化剤等を原料とし、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造される。本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造される。また、本発明の実施の形態のチョコレートの製造において、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤は、好ましくは微粒化工程より後の工程で配合される。また、本発明の実施の形態のチョコレートは、微粒化工程を経て製造されたチョコレートに、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を添加することでも製造することができる。
【0029】
本発明の実施の形態のチョコレートは、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を前記範囲で配合することで、チョコレートの風味をより増強することができる。
【0030】
本発明の実施の形態のチョコレートの風味を増強させる方法は、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合する。
本発明の実施の形態のチョコレートの風味を増強させる方法は、本発明の実施の形態のカカオマス又は本発明の実施の形態のチョコレートの風味増強剤を0.8質量%以上配合し、好ましくは0.8~70質量%配合し、より好ましくは1~65質量%配合する。
【0031】
本発明の実施の形態の食品は、本発明の実施の形態のチョコレートを使用して得られる食品である。本発明の実施の形態の食品は、好ましくはベーカリー食品、冷凍菓子である。ベーカリー食品の具体例は、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、カットパン、ウェハース、サブレ、ラングドシャ、マカロン等の焼き菓子、バターケーキ類(パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等)、スポンジケーキ類(ショートケーキ、ロールケーキ、トルテ、デコレーションケーキ、シフォンケーキ等)、シュー菓子、発酵菓子、パイ、ワッフル等の洋生菓子、菓子パン、フランスパン、シュトーレン、パネトーネ、ブリオッシュ、ドーナツ、デニッシュ、クロワッサン等のパン等である。また、冷凍菓子の具体例は、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等である。
【0032】
本発明の実施の形態の食品は、従来公知の食品の製造方法を用いることによって、製造することができる。例えば、ベーカリー食品、冷凍菓子等の食品と、本発明の実施の形態のチョコレートを組み合わせることで製造することができる。食品と、本発明の実施の形態のチョコレートを組み合わせる手段は、包む、巻く、混合、接着、被覆、挟む、注入、埋没、トッピング等である。
【実施例】
【0033】
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに何ら制限されない。
【0034】
〔カカオマスの粒子の測定〕
カカオマスの粒子の粒子径は、レーザ回折・散乱法で測定した。レーザ回折・散乱法でのカカオマスの粒子の粒子径の測定は、株式会社島津製作所社製のレーザ回折式粒子径分布測定装置(SALD-2300)で測定した。
【0035】
〔カカオマスの製造1〕
発酵させたカカオ豆を、シロッコロースターを使用して、100~150℃で0.5~3時間焙煎した後、カカオ豆から皮を除去することで、焙煎カカオニブAを得た。焙煎カカオニブAを、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子が0.8質量%以上になるように、磨砕機で磨砕することで、カカオマスA得た。また、焙煎カカオニブAを、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子が0.8質量%未満になるように、磨砕機で磨砕することで、カカオマスaを得た。得られたカカオマスA及びカカオマスaの粒子の粒子径を表1に示した。
【0036】
〔カカオマスの製造2〕
発酵させたカカオ豆から皮を除去したカカオニブを、ドラムロースターを使用して、100~150℃で0.5~3時間焙煎することで、焙煎カカオニブBを得た。焙煎カカオニブBを、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子が0.8質量%以上になるように、磨砕機で磨砕することで、カカオマスB得た。また、焙煎カカオニブBを、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子が0.8質量%未満になるように、磨砕機で磨砕することで、カカオマスbを得た。得られたカカオマスB及びカカオマスbの粒子の粒子径を表1に示した。
【0037】
〔カカオマスの製造3〕
発酵させたカカオ豆から皮を除去したカカオニブを、縦型ロースターを使用して、100~150℃で0.5~3時間焙煎することで、焙煎カカオニブCを得た。焙煎カカオニブCを、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子が0.8質量%未満になるように、磨砕機で磨砕することで、カカオマスc1得た。また、焙煎カカオニブCを、粒子径が50μm以上90μm未満の粒子が0.8質量%未満になるように、磨砕機で磨砕することで、カカオマスc2を得た。得られたカカオマスc1及びカカオマスc2の粒子の粒子径を表1に示した。
【0038】
【0039】
表1より、カカオマスA及びカカオマスBは実施例であり、カカオマスa、カカオマスb、カカオマスc1、カカオマスc2は比較例である。
【0040】
〔チョコレートの評価1〕
通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)で製造されたスイートチョコレート(50μm以上90μm未満の粒子含有量0.5質量%未満、油脂含有量52.8質量%、砂糖含有量31.3質量%、水分3質量%以下)に、カカオマスの含有量が0.5質量%、1質量%、3質量%、5質量%、10質量%になるように、実施例のカカオマスA又は比較例のカカオマスaを添加した。得られたチョコレートを3名の専門パネルが食し、チョコレートの風味を評価した。評価は、実施例のカカオマスAを添加したチョコレートの風味と比較例のカカオマスaを添加したチョコレートの風味との比較を行い、下記評価基準により評価した。結果を表2に示した。なお、チョコレートの風味を評価した専門パネルは、チョコレートの風味等の官能評価の訓練を定期的に受けており、チョコレートの風味等の官能評価結果に個人差が少ない。
【0041】
〔チョコレートの風味の評価基準〕
○:比較例のカカオマスを添加したチョコレートよりも、実施例のカカオマスを
添加したチョコレートの方が、風味が強い。
×:比較したチョコレートで風味に差がない。
【0042】
【0043】
表2からわかるように、1質量%添加品、3質量%添加品、5質量%添加品、10質量%添加品は、比較例であるカカオマスaを添加したチョコレートよりも、実施例のカカオマスAを添加したチョコレートの方が、風味が強かった。
一方、表2からわかるように、0.5質量%添加品は、実施例のカカオマスAを添加したチョコレートと比較例のカカオマスaを添加したチョコレートとで風味に差がなかった。
【0044】
〔チョコレートの評価2〕
通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)で製造されたホワイトチョコレート(50μm以上90μm未満の粒子含有量0.5質量%未満、油脂含有量39.8質量%、砂糖含有量39.4質量%、水分3質量%以下)に、カカオマスの含有量が60質量%になるように、実施例のカカオマスA、比較例のカカオマスa、実施例のカカオマスB、比較例のカカオマスb、比較例のカカオマスc1又は比較例のカカオマスc1を添加した。得られたチョコレートをバニラアイスにコーティングした。得られたバニラアイスを5名の専門パネルが食し、チョコレート部分の風味を評価した。評価は、評価Aとして実施例のカカオマスAを添加したチョコレートの風味と比較例のカカオマスaを添加したチョコレートの風味との比較、評価Bとして実施例のカカオマスBを添加したチョコレートの風味と比較例のカカオマスbを添加したチョコレートの風味との比較、評価Cとして比較例のカカオマスc1を添加したチョコレートの風味と比較例のカカオマスc2を添加したチョコレートの風味との比較を行い、上記評価基準により評価した。結果を表3に示した。なお、チョコレートの風味を評価した専門パネルは、チョコレートの風味等の官能評価の訓練を定期的に受けており、チョコレートの風味等の官能評価結果に個人差が少ない。
【0045】
【0046】
表3の評価Aの結果からわかるように、比較例であるカカオマスaを添加したチョコレートよりも、実施例のカカオマスAを添加したチョコレートの方が、風味が強かった。また、表3の評価Bの結果からわかるように、比較例であるカカオマスbを添加したチョコレートよりも、実施例のカカオマスBを添加したチョコレートの方が、風味が強かった。
一方、表3の評価Cの結果からわかるように、カカオマスc1を添加したチョコレートとカカオマスc2を添加したチョコレートとで風味に差がなかった。