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特許7346698フラットパネルディスプレイ用の大面積高密度プラズマ処理チャンバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】フラットパネルディスプレイ用の大面積高密度プラズマ処理チャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230911BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022501126
(86)(22)【出願日】2019-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 US2019041759
(87)【国際公開番号】W WO2021010952
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アンウォー, スハール
(72)【発明者】
【氏名】セケイラ, ジーヴァン プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ユイ ルン
(72)【発明者】
【氏名】クデラ, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン, カール, エー.
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-168083(JP,A)
【文献】特開2006-310794(JP,A)
【文献】特開2006-319127(JP,A)
【文献】特開2001-274150(JP,A)
【文献】特開2001-028299(JP,A)
【文献】特開2004-304176(JP,A)
【文献】特開2015-206076(JP,A)
【文献】特表2019-501291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディフューザプレートを備えるガス分配アセンブリを備えるリッドプレートであって、
前記ディフューザプレートの一部分は、誘電体プレートによって分離されており、前記複数のディフューザプレートの各々は、第1の面内に形成された溝、及び前記溝の面と前記第1の面の反対側の第2の面との間に形成された1以上のオリフィス孔を含
前記1以上のオリフィス孔は、前記ディフューザプレートの厚み方向に対してある角度の方向に前記溝の前記面から延在しているオリフィス孔を含む、リッドプレート。
【請求項2】
前記複数のディフューザプレートは、複数の内側ディフューザプレート、及び前記内側ディフューザプレートの両側にある外側ディフューザプレートを更に備える、請求項1に記載のリッドプレート。
【請求項3】
前記複数の内側ディフューザプレートの各々は、その長さに沿った複数のオリフィス位置を含み、前記複数のオリフィス位置の各々は、前記1以上のオリフィス孔を有する、請求項2に記載のリッドプレート。
【請求項4】
前記外側ディフューザプレートは、その長さに沿った複数のオリフィス位置を含み、前記複数のオリフィス位置の各々は、単一のオリフィス孔を有する、請求項3に記載のリッドプレート。
【請求項5】
前記1以上のオリフィス孔は、中央オリフィス孔、及び前記中央オリフィス孔の両側にある2つの外側オリフィス孔を含む、請求項2に記載のリッドプレート。
【請求項6】
前記2つの外側オリフィス孔は、前記中央オリフィス孔に対して角度が付けられている、請求項5に記載のリッドプレート。
【請求項7】
前記溝は、半円形状プロファイルを含む、請求項1に記載のリッドプレート。
【請求項8】
前記溝は、矩形状プロファイルを含む、請求項1に記載のリッドプレート。
【請求項9】
前記溝は、その長さに沿って変化する深さを含む、請求項1に記載のリッドプレート。
【請求項10】
複数のディフューザプレートを備えるガス分配アセンブリを備えるリッドプレートであって、前記複数のディフューザプレートの一部分は、複数の誘電体プレート及び複数の分離プレートによって分離されており、前記複数のディフューザプレートの各々は、第1の面内に形成された溝、及び前記溝の面と前記第1の面の反対側の第2の面との間に形成された1以上のオリフィス孔を含
前記1以上のオリフィス孔は、前記ディフューザプレートの厚み方向に対してある角度の方向に前記溝の前記面から延在しているオリフィス孔を含む、リッドプレート。
【請求項11】
前記複数のディフューザプレートの各々は、複数の平行な行として方向付けられ、前記複数の分離プレートの各々は、複数の列として方向付けられている、請求項10に記載のリッドプレート。
【請求項12】
前記溝は、半円形状プロファイルを含む、請求項10に記載のリッドプレート。
【請求項13】
前記溝は、矩形状プロファイルを含む、請求項10に記載のリッドプレート。
【請求項14】
前記溝は、その長さに沿って変化する深さを含む、請求項10に記載のリッドプレート。
【請求項15】
複数のディフューザプレートを備えるガス分配アセンブリを備えるリッドプレートであって、前記複数のディフューザプレートは、複数の内側ディフューザプレート、及び前記内側ディフューザプレートの両側にある外側ディフューザプレートを備え、前記複数の内側ディフューザプレートは、1以上の誘電体プレート及び複数の分離プレートによって分離されており、前記複数のディフューザプレートの各々は、第1の面内に形成された溝、及び前記溝の面と前記第1の面の反対側の第2の面との間に形成された1以上のオリフィス孔を含
前記1以上のオリフィス孔は、前記ディフューザプレートの厚み方向に対してある角度の方向に前記溝の前記面から延在しているオリフィス孔を含む、リッドプレート。
【請求項16】
前記角度は鋭角である、請求項1から15のいずれか一項に記載のリッドプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバなどのプロセスチャンバに関する。特に、本開示の実施形態は、プロセスチャンバ用のリッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ソーラーパネルやフラットパネルディスプレイの製造では、半導体基板、ソーラーパネル基板、及び液晶ディスプレイ(LCD)、並びに/又は有機発光ダイオード(OLED)基板などの基板上に薄膜を堆積させて、その基板上に電子デバイスを形成するために、数多くのプロセスが採用されている。堆積は、一般に、温度制御された基板支持体上に配置された基板を有するチャンバの中に前駆体ガスを導入することによって実現される。前駆体ガスは、典型的には、チャンバの上部付近に配置されたガス分配プレートを通して導かれる。チャンバ内の前駆体ガスは、チャンバに結合された1以上の高周波(RF)源からチャンバ内に配置された導電性シャワーヘッドにRF電力を印加することによって、プラズマの中にエネルギー供給(例えば、励起)されてもよい。励起されたガスは、反応して、温度制御された基板支持体上に配置された基板の表面上に材料の層を形成する。
【0003】
[0003] 電子デバイスを形成するための基板のサイズは、今日では、通常、表面積が1平方メートルを超えている。これらの基板にわたる膜厚の均一性を実現することは困難である。膜厚の均一性は、基板のサイズが大きくなるにつれて更に難しくなる。伝統的に、プラズマは、ガス原子をイオン化し、堆積ガスのラジカルを生成するための従来のチャンバ内で生成される。それらは、容量結合電極構成を使用して、このサイズの基板上に膜層を堆積させるのに有用である。最近、丸い基板又はウエハ上への堆積において歴史的に利用されてきた誘導結合プラズマ構成への関心が、これらの大きな基板用の堆積プロセスに使用するために探求されている。しかし、誘導結合は、構造的支持構成要素として誘電材料を利用する。これらの誘電材料は、これらのより大きな基板向けに従来のチャンバで使用されているように、大気側であるチャンバの大面積構造部分の一方の側に対して大気圧が存在し、他方の側に減圧条件が存在することによって生じる構造的な荷重に耐える、構造的強度を有していない。したがって、誘導結合プラズマシステムは、大面積基板のプラズマプロセス用に開発されつつある。しかし、プロセスの均一性、例えば、大きな基板にわたる堆積厚さの均一性が所望のようにならない。
【0004】
[0004] したがって、当該技術分野で必要とされるのは、基板の堆積表面全体にわたって膜厚の均一性を改善するように構成された大面積基板について使用するためのチャンバのリッドアセンブリである。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本明細書で説明される実施形態は、チャンバの内部空間内のプラズマ密度及びガス分布を独立して制御するためのチャンバのリッドプレートを提供する。一実施形態では、リッドアセンブリが、複数のディフューザプレートを備えるガス分配アセンブリを含み、ディフューザプレートの一部分は誘電体プレートによって分離され、複数のディフューザプレートの各々は、第1の面内に形成された溝、及び溝の面と第1の面の反対側の第2の面との間に形成された1以上のオリフィス孔を含む。
【0006】
[0006] 別の一実施形態では、リッドプレートが、複数のディフューザプレートを備えるガス分配アセンブリを含み、複数のディフューザプレートの一部分は、複数の誘電体プレート及び複数の分離プレートによって分離され、複数のディフューザプレートの各々は、第1の面内に形成された溝、及び溝の面と第1の面の反対側の第2の面との間に形成された1以上のオリフィス孔を含む。
【0007】
[0007] 更に別の一実施形態では、リッドプレートが、複数のディフューザプレートを備えるガス分配アセンブリを含み、複数のディフューザプレートは、複数の内側ディフューザプレート、及び複数の内側ディフューザプレートの両側にある外側ディフューザプレートを備え、複数の内側ディフューザプレートは、1以上の誘電体プレート及び複数の分離プレートによって分離され、複数のディフューザプレートの各々は、第1の面内に形成された溝、及び溝の面と第1の面の反対側の第2の面との間に形成された1以上のオリフィス孔を含む。
【0008】
[0008] 上述の本開示の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009] 一実施形態によるチャンバの概略断面図である。
図2】[0010] 一実施形態によるプレートの概略断面図である。
図3A】[0011] 一実施形態によるプレートの概略斜視図である。
図3B】[0012] 一実施形態によるプレートの負の斜視図(negative perspective view)である。
図4】[0013] 一実施形態によるプレートの概略下面図である。
図5】[0014] リッドプレートの一実施態様の概略下面図である。
図6A】[0015] 図5のリッドプレートの断面図である。
図6B図5のリッドプレートの断面図である。
図7】[0016] 図6Aからのリッドプレートの拡大断面図である。
図8】[0017] ディフューザプレートの裏側面の平面図である。
図9A】[0018] ディフューザプレートの様々な構成を示す、図8からの断面図である。
図9B】ディフューザプレートの様々な構成を示す、図8からの断面図である。
図9C】ディフューザプレートの様々な構成を示す、図8からの断面図である。
図10】[0019] リッドプレートの別の一実施態様の概略下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0020] 理解し易くするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及びフィーチャは、更なる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0011】
[0021] 本明細書で説明される実施形態は、チャンバの内部空間内のプラズマ密度及びガス分布を独立して制御するためのチャンバのリッドアセンブリを提供する。リッドアセンブリは、プラズマ生成システム及びガス分配アセンブリを含む。プラズマ生成システムは、減圧に対して配向された下面、及び大気圧に対して配向されるように動作可能な上面を有する、複数の誘電体プレートを含む。1以上のコイルが、複数の誘電体プレート上又はその上に配置される。ガス分配アセンブリは、第1のディフューザ及び第2のディフューザを含む。第1のディフューザは、第2のディフューザの複数の第2のチャネルと交差する複数の第1のチャンネルを含む。
【0012】
[0022] 図1は、本明細書で説明される実施形態から利益を受け得る、PECVDチャンバなどのチャンバ100の概略断面図である。適切なチャンバは、カリフォルニア州サンタクララのカリフにあるアプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.)から入手することができる。以下で説明されるシステムは、例示的なチャンバであり、他の製造業者からのチャンバを含む他のチャンバが、本開示の態様を実現するために使用されてもよく、又は修正されてもよいことを理解されたい。チャンバ100は、チャンバ本体104、リッドアセンブリ106、及び基板支持アセンブリ108を含む。リッドアセンブリ106は、チャンバ本体104の上端に配置されている。
【0013】
[0023] 基板支持アセンブリ108は、チャンバ本体104の内部空間内に少なくとも部分的に配置されている。基板支持アセンブリ108は、基板支持体110及びシャフト112を含む。基板支持体110は、基板102を支持するための支持面118を有する。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、基板102が、約1平方メートル以上の表面積を有する基板などの大面積基板である。しかし、基板102は、何らかの特定のサイズ又は形状に限定されない。一態様では、用語「基板」が、例えば、フラットパネルディスプレイの製造に使用されるガラス又はポリマー基板などの、任意の多角形、正方形、矩形、湾曲、又は他の非円形のワークピースを指す。
【0014】
[0024] 基板支持体110は、典型的には、加熱要素(図示せず)を含む。基板支持体110は、チャンバ本体104を通って延びるシャフト112によって、チャンバ本体104の内部空間内で移動可能に配置されている。その場合、シャフト112は、基板支持体駆動システム114に接続されている、基板支持体駆動システム114は、持ち上げられた処理位置(図示されている)と、チャンバ本体104を通して形成された開口部116を通る、チャンバ本体104の内部空間への、及び、からの基板の移送を容易にする、下げられた位置との間で、基板支持体110を移動させる。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、基板支持体駆動システム114が、シャフト112及び基板支持体110を回転させる。
【0015】
[0025] リッドアセンブリ106は、チャンバ本体104の上端に配置されたリッドプレート122を含む。リッドプレート122は、ガス分配アセンブリ124及びプラズマ生成システム126を含む。ガス分配アセンブリ124は、リッドプレート122内に配置された第1のディフューザ128の1以上の第1のディフューザ入口130を含む。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、リッドプレート122が、アルミニウム含有材料を含む。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、ガス分配アセンブリ124が、リッドプレート122内に配置された第2のディフューザ136に結合された1以上の第2のディフューザ入口(図3A及び図3Bで示されている)を含む。1以上の第1のディフューザ入口130は、第1のガス源134に結合可能である。1以上の第1のディフューザ入口130の各々は、第1ディフューザ128の第1のチャネル(図3Bで示されている)と流体連通している。1以上の第2のディフューザ入口(図3A及び図3Bで示されている)は、第2のガス源138に結合可能である。1以上の第2のディフューザ入口(図3A及び図3Bで示されている)の各々は、第2のディフューザ136の第2のチャネル(図3Bで示されている)と流体連通している。幾つかの実施形態では、第1のガス源134によって提供されるガスが、第2のガス源138によって提供されるガスと同じである。
【0016】
[0026] 第1のディフューザ128は、第1のガス源134から、リッドプレート122の下面160と基板支持体110との間の処理領域120に、1以上の第1のガスを供給する。1以上の第1のガスは、第1のディフューザ128の各第1のチャネル(図3Bで示されている)の複数の第1の孔(図4で示されている)を通して、処理領域120に提供される。質量流量制御(MFC)デバイスなどの流量コントローラ141が、1以上の第1のディフューザ入口130の各々と第1のガス源134との間に配置されて、第1のガス源134から各第1のチャネル(図3Bで示されている)への第1のガスの流量を制御し、したがって、処理領域120内の第1のガス流の独立した制御を提供する。1以上の第2のガスは、第2のディフューザ136の各第2のチャネル(図3Bで示されている)の複数の第2の孔(図4で示されている)を通して、処理領域120に提供される。流量コントローラ141は、1以上の第2のディフューザ入口(図3A及び図3Bで示されている)の各々と第2のガス源138との間に配置されて、第2のガス源138から各第2のチャネル(図3Bで示されている)への第2のガスの流量を制御し、したがって、処理領域120内の第2のガス流の独立した制御を提供する。ポンプ155が、処理領域120と流体連通している。ポンプ155は、処理領域120内の圧力を制御し、処理領域120からガス及び副生成物を排出するように動作可能である。一実施形態では、第1のガスと第2のガスの各々が同じガスである。
【0017】
[0027] プラズマ生成システム126は、リッドプレート122内に平行に配置された1以上の空洞140を含む。1以上の空洞140の各々は、複数の誘電体プレート150用の凹部(図2から図4で示されている)を含む。1以上の空洞140の各々は、複数の誘電体プレート150上又はその上に配置された1以上のコイル142を含む。複数の誘電体プレート150は、1以上の空洞140内の大気圧の存在と、チャンバ本体104の内部空間内の減圧の存在と、によって生成される構造的負荷に耐える構造的強度を有する物理的バリアを提供する。複数の誘電体プレート150の各々は、下面151、及び下面151の反対側に方向付けられた上面153を含む。下面151は、処理領域120に対して(すなわち、向けて)方向付けられている。それによって、誘電体プレート150の各々の下面151は、減圧などの処理領域120内の第1の圧力に曝露される。上面153は、処理領域120とは反対に(すなわち、離れるように)方向付けられている。それによって、誘電体プレート150の各々の上面153は、大気圧などの処理領域120の外側の第2の圧力に曝露される。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、第1の圧力と第2の圧力が異なっている。
【0018】
[0028] 本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、誘電体プレートが、、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、石英、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ジルコニウム(ZrN)、及びガラス材料のうちの少なくとも1つを含む。各コイル142は、電源152に接続された電気入力端子144、及びアース154に接続された電気出力端子146を有する。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、各コイル142が、コイル142のインピーダンスなどの電気特性を調整するための整合回路を有する整合ボックス148を介して電源152に接続されている。各コイル142は、1以上の第1のガスと第2のガスのうちの少なくとも1つを誘導結合プラズマの中にエネルギー供給する電磁場を生成するように構成されている。それぞれの電源152に対して1以上の空洞140の各々の各コイル142を独立して接続することにより、各コイル142に提供される電力レベル及び周波数の独立した制御が可能になる。各コイル142に提供される電力レベル及び周波数の独立した制御により、誘導結合プラズマの密度を、各コイル142に対応するプロセスゾーン156a、156b、156c、156d(集合的にプロセスゾーン156と称される)内で独立して制御することが可能になる。コントローラ158は、チャンバ100に結合され、処理中にチャンバ100の諸態様を制御するように構成されている。
【0019】
[0029] 図2は、リッドプレート122の概略断面図である。図2は、ガス分配アセンブリ124の第1のディフューザ128の1以上の第1のディフューザ入口130、並びに、プラズマ生成システム126の複数の誘電体プレート150用の、1以上の空洞140、各コイル142、各電気入力端子144、各電気出力端子146、及び凹部201を示している。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、リッドアセンブリ106が、熱交換器(図示せず)に結合可能な複数の流体チャネル(図3Bで示されている)を含む、熱交換システムを含む。冷却器などの熱交換器は、複数の流体チャネル(図3Bで示されている)の流体入口202及び流体出口204を介して各流体チャネルと流体連通している。それによって、リッドプレート122は、所定の温度に維持されている。各コイル142は、1以上のターン(turn)を有する。
【0020】
[0030] 図3Aは、複数の誘電体プレート150及び各コイル142を有さないリッドプレート122の概略斜視図である。図3Bは、複数の誘電体プレート150及びコイル142を有さないリッドプレート122の負の斜視図である。リッドプレート122は、複数の第1のチャネル302を含む。第1のチャネル302の各々は、リッドプレート122内に配置されるか又は形成されている。複数の第1のチャネル302の各第1のチャネルは、凹部201のうちの1つに隣接して配置されている。凹部201の各々は、リッドプレート122内に配置された2つの隣接する第1のチャネル302の間にある。第1のチャネル302の各々は、1以上の第1のディフューザ入口130のうちの少なくとも1つの第1のディフューザ入口と流体連通している。
【0021】
[0031] 本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、リッドプレート122が、リッドプレート122内に配置されるか又は形成された複数の第2のチャネル304を含む。複数の第2のチャネル304の各第2のチャネルは、1以上の空洞140のうちの2つの隣接する空洞140の間に配置されている。第2のチャネル304の各々は、リッドプレート122内に形成された1以上の第2のディフューザ入口306のうちの少なくとも1つの第2のディフューザと流体連通している。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、リッドプレート122が、熱交換器(図示せず)に結合可能な熱交換システムの複数の流体チャネル308を含む。冷却器などの熱交換器は、流体入口202及び流体出口204を介して複数の流体チャネル308と流体連通している。複数の流体チャネル308は、1以上の空洞140と凹部201の外側の凹部とに隣接して配置されている。
【0022】
[0032] 図4は、リッドプレート122の概略下面図である。図4で示されているように、第1のチャネル302の各々と第2のチャネル304の各々とは交差している。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、第1のチャネル302の各々が、第2のチャネル304の各々と直交している。誘電体プレート150の各々は、第1のチャネル302に隣接して配置され、第2のチャネル304のうちの少なくとも1つに隣接して配置されている。複数の第1のチャネル302の各第1のチャネルは、リッドプレート122を通って延びる複数の第1の孔402を含む。流量コントローラ141は、第1のガス源134から複数の第1の孔402を通る第1のガスの流量を制御する。第1のガスの流量を制御することにより、複数の第1のチャネル302の各第1のチャネルに対応する、処理領域120の第1のゾーン406a、406b、406c、406d、406e、406f、406g、406h、406i(集合的に第1のゾーン406と称される)内の第1のガス流の独立した制御が提供される。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、第2のディフューザ136を有する一実施形態では、複数の第2のチャネル304の各第2のチャネルが、リッドプレート122を通って延びる複数の第2の孔404を含む。流量コントローラ141は、第2のガス源138から複数の第2の孔404を通る第2のガスの流量を制御する。第2のガスの流量を制御することにより、複数の第2のチャネル304の各第2のチャネルに対応する、処理領域120の第2のゾーン、408a、408b、408c(集合的に第2のゾーン408と称される)内の第2のガス流を独立して制御することができる。
【0023】
[0033] 図5は、リッドプレート122の一実施態様の概略下面図である。図5のリッドプレート122は、リッドプレート122の下面160の構造を概略的に示している。第1のゾーン406及び第2のゾーン408は図示されていないが、リッドプレート122は、上述のように1以上のゾーンを含み得る。
【0024】
[0034] リッドプレート122は、外側ディフューザプレート500及び内側ディフューザプレート505として示されている、複数のディフューザプレートを含む。内側ディフューザプレート505の各々は、誘電体プレート150及び/若しくは分離プレート510によって分離されるか、並びに/又はそれらの間に配置されている。外側ディフューザプレート500の各々は、それの片側に、誘電体プレート150及び1以上の分離プレート510を有する。
【0025】
[0035] 外側ディフューザプレート500、内側ディフューザプレート505、及び分離プレート510の各々は、アルミニウムなどの導電性材料で作製されてよい。
【0026】
[0036] この実施形態では、分離プレート510、ならびに、外側ディフューザプレート500及び内側ディフューザプレート505の各々が、それぞれ、複数のファスナ515及び520を含む。ファスナ515及び520の各々は、セラミック材料又は金属材料で作製されてよい。外側ディフューザプレート500と内側ディフューザプレート505の各々は、一体(すなわち、一体構造)であってもよく、又は外側ディフューザプレート500と内側ディフューザプレート505の各々は、複数の部品を含んでもよい。同様に、誘電体プレート150は、単一の材料片を含んでもよく、又は複数のプレートを含んでもよい。誘電体プレート150が複数のプレートである実施形態では、誘電体プレート150の各々が、ファスナ(図示せず)を使用してリッドプレート122に結合されてもよく、並びに/又は分離プレート510及び/若しくは外側ディフューザプレート500と内側ディフューザプレート505とに結合されてもよい。
【0027】
[0037] 外側ディフューザプレート500と内側ディフューザプレート505の各々は、1以上のオリフィス孔525(例えば、第1の孔402)を含む。1以上のオリフィス孔525の各々は、第1のチャネル302(図3Bでも示されている)のうちの対応する1つと流体連通している。幾つかの実施形態では、分離プレート510の各々が、1以上のオリフィス孔530(例えば、第2の孔404)を含む。分離プレート510の1以上のオリフィス孔530の各々は、第2のチャネル304(図3Bでも示されている)のうちの対応する1つと流体連通している。
【0028】
[0038] 図6A及び図6Bは、図5からのリッドプレート122の断面図である。図6Aでは、外側ディフューザ板プレート505と内側ディフューザプレート500の一部分が、それらの間の分離プレート510の部分と共に示されている。図6Bでは、内側プレート505のうちの1つが、その長さ方向に沿って示されている。
【0029】
[0039] 図7は、図6Aからのリッドプレート122の拡大断面図である。内側ディフューザプレート505のうちの1つ、ならびに2つの分離プレート510の一部分が図示されている。内側ディフューザプレート505は、複数の第1のチャネル302のうちの1つならびに1以上のオリフィス孔525と流体連通する溝700を含む。図示されていないが、内側ディフューザプレート505のうちの他のものも、同様に構成されてよい。加えて、外側ディフューザプレート500は、溝700、ならびに1以上のオリフィス孔525を含む。
【0030】
[0040] 内側ディフューザプレート505は、ファスナ520によってリッドプレート122の本体705に結合されている。各ファスナ520は、溝700及び1以上のオリフィス孔525の両側にあるそれぞれの皿孔710内に配置されている。同様に、分離プレート510は、ファスナ715(1つだけが図示されている)によって本体705に結合されている。ファスナ715は、皿孔720内に配置されている。ファスナ715及び520は、分離プレート510の(下)面725A及び内側ディフューザプレート505の(下)面725Bまで、それぞれの皿孔内で延在する。面725A及び面725Bは、平面的であるか又は平坦である。それによって、それらの面は、互いに同一平面上にある。加えて、それぞれの皿孔内のファスナ715及び520の延長部は、平坦又は平面的な下面を呈する(すなわち、突出や窪みがない)。それによって、より均一なプラズマ形成が促進される。図示されていないが、誘電体プレート150(すなわち、下面151)の各々も、面725Bと同一平面上にある。
【0031】
[0041] 溝700及び第1のチャネル302は、本体705内に形成された溝735内に配置された弾性シール(elastomeric seal)730によって流体的に密封されている。弾性シール730は、溝700及び第1のチャネル302を取り囲むようにサイズ決定されている。弾性シール730は、細長いOリングであってもよい。弾性シール730は、内側ディフューザプレート505の密封面740に対して圧縮される。密封面740は、面725B及び裏側面745の残り、ならびに内側ディフューザプレート505の他の外面よりも滑らかである。幾つかの実施形態では、密封面740が、約16(二乗平均平方根(RMS))又は16マイクロインチ(平均表面粗さ(Ra))の表面仕上げを含む。
【0032】
[0042] 図8は、ディフューザプレート800の裏側面745の平面図である。ディフューザプレート800は、外側ディフューザプレート500のうちの1つであってもよく、又は内側ディフューザプレート505のうちの1つであってもよい。
【0033】
[0043] ディフューザプレート800は、基板(図示せず)の長さ又は幅よりも長い長さ805を含む。一実施例では、長さ805が、約5フィートから約6フィート、又はそれよりも長い。密封面740は、溝700を取り囲むように図示されている。加えて、複数の孔810が、ディフューザプレート800の長さ805に沿って配置されている。各孔810は、ファスナ520(図7で示されている)を受け入れるようになっている。孔810は、ディフューザプレート800の縁部815と密封面740との間に形成されている。各ファスナ520は、ねじ回し、六角キー、TORX(登録商標)の下に市販されているビットと共に使用可能なドライバーなど、と共に使用され得る六角頭部又は凹んだインターフェースなどの工具インターフェースを有する、ねじ又はボルトである。
【0034】
[0044] オリフィス孔525は、この図面では示されていないが、複数のオリフィス位置825の各々において溝700内に形成されている。長さ820は、オリフィス孔525が溝700に沿って開始及び終了する位置を示している。長さ820は、長さ805よりも短い。オリフィス位置825は、長さ820の範囲内に位置付けられている。オリフィス位置825は、長さ820に沿った等ピッチ又は不等ピッチであってよい。オリフィス位置825の間のピッチは、約0.25インチから約1インチであってよい。
【0035】
[0045] 図9A図9Cは、ディフューザプレート800の様々な構成を示している、図8からの断面図である。特に、図9A図9Cは、溝700及び/又はオリフィス孔525のプロファイルの変形例を示している。
【0036】
[0046] 図9Aでは、ディフューザプレート900Aが、示されており、半円形状プロファイルを有する溝700を含む。加えて、3つのオリフィス孔525が、第1の面905と溝700の面910との間に形成されるように示されている。溝700の面910は、半径面(radius surface)又は曲面である。3つのオリフィス孔525が図示されているが、オリフィス孔の数は、図8で示されているオリフィス位置825の各々において、1つから5つであってよく又はそれより多くてよい。
【0037】
[0047] 図9Aで示されているオリフィス孔525は、中央オリフィス孔915及び2つの外側オリフィス孔920を含む。中央オリフィス孔915の直径と外側オリフィス孔920の直径は、同じであってもよく又は異なっていてもよい。中央オリフィス孔915及び外側オリフィス孔920の一部又は全部の直径は、約0.008インチから約0.04インチであってよい。外側オリフィス孔920の長さは、同じであるか又は実質的に等しくてよい。一方、中央オリフィス孔915の長さは、外側オリフィス孔920のものよりも短い。
【0038】
[0048] 中央オリフィス孔915は、第1の面905から約90度の角度にある軸925に沿って設けられている。外側オリフィス孔920は、軸925から鋭角930で形成されている。鋭角930は、軸925から約20度から約50度、例えば、約35度から約45度、例えば、約40度であってよい。
【0039】
[0049] 図示されていないが、長さ820に沿って他のオリフィス位置825にある他のオリフィス孔525(図8)は、図9Aで示されている中央オリフィス孔915及び外側オリフィス孔920と、同じであってよく又は異なっていてもよい。加えて、面910は、長さ805(図8)に沿って一定であってよい。しかし、面910は、長さ805に沿って異なっていてもよい。例えば、溝700は、長さ805に沿って、ディフューザプレート800の中央部分でより深くてよく、ディフューザプレート800の端部分においてより浅くてよい。
【0040】
[0050] 図9Bは、以下の例外を除いて図9Aで示されているディフューザプレート900Aと実質的に同様であるディフューザプレート900Bを示している。溝700は、四角形状プロファイルを有し、外側オリフィス孔920は、フレア付き部分935を含む。フレア付き部分935は、外側オリフィス孔920を溝700の面910に接続する。溝700は、面910から垂直な角度で延在する2つの側面940を含む。
【0041】
[0051] 図9Cは、以下の例外を除いて図9Aで示されているディフューザプレート900Aと実質的に同様であるディフューザプレート900Cを示している。ディフューザプレート900Cは、オリフィス位置825において単一のオリフィス孔945を含む。ディフューザプレート900Cの構成は、図5で示されている外側ディフューザプレート500として有益に利用され得る。単一のオリフィス孔945は、鋭角930で角度を付けられてよく、基板102(図1で示されている)の中心に向けてガスを誘導することができる。
【0042】
[0052] 図10は、リッドプレート122の別の一実施態様の概略下面図である。外側ディフューザプレート500及び内側ディフューザプレート505は、他の図面では単一の一体片として示されているが、図10で示されているリッドプレート122は、複数の分割されたディフューザプレートを含む。それらは、第1の複数の外側ディフューザプレート1000及び第2の複数の内側ディフューザプレート1005として示されている。第1の複数の外側ディフューザプレート1000及び第2の複数の内側ディフューザプレート1005は、複数の行1010内に配置されている。各行1010は、他の行1010と実質的に平行である。
【0043】
[0053] 第1の複数の外側ディフューザプレート1000は、2以上のディフューザセグメント1015を含み、第2の複数の内側ディフューザプレート1005は、2以上のディフューザセグメント1020を含む。ディフューザセグメント1015とディフューザセグメント1020の各々は、長さがより短い点を除いて、図8で示されているディフューザプレート800、ならびに図9A図9Cで示されているディフューザプレート900A~900Cと同様に構築されてよい。外側ディフューザプレート1000及び内側ディフューザプレート1005のより短い長さは、それらの熱膨張及び熱収縮の効果を最低限に抑えることができる。加えて、ディフューザセグメント1015及び1020の各々を通るガスの流れは、独立して制御されてよい。
【0044】
[0054] 要約すると、チャンバの内部空間内のプラズマ密度及びガス分布を独立して制御するためのチャンバのリッドアセンブリが提供される。各コイルに提供される電力レベル及び周波数を独立して制御することにより、誘導結合プラズマの密度を、各コイルに対応するプロセスゾーン内で独立して制御することが可能になる。第1のガスの流量を制御することにより、複数の第1のチャネルの各第1のチャネルに対応する処理領域の第1のゾーン内での第1のガス流の独立した制御が提供される。第2のガスの流量を制御することにより、複数の第2のチャネルの各第2のチャネルに対応する処理領域の第2のゾーン内での第2のガス流の独立した制御が提供される。幾つかの実施形態では、処理領域にわたる均一なガス流が所望され得る。しかし、他の実施形態では、処理領域にわたるガス流は均一でなくてもよい。不均一なガス流は、チャンバの何らかの(1以上の)物理的構造及び/又は幾何学的形状のために所望され得る。
【0045】
[0055] 以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10