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特許7346733可変エッチング深さを有する斜め格子を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】可変エッチング深さを有する斜め格子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230911BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230911BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
G02B5/18
H01L21/302 105A
H01L21/302 201B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022527127
(86)(22)【出願日】2020-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020057249
(87)【国際公開番号】W WO2021096660
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】16/681,260
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0324202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0258008(US,A1)
【文献】特開平9-184909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/32
H01L 21/302
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折光学素子を形成する方法であって、
基板の上に光学格子層を設けることと、
前記光学格子層の上にハードマスクをパターニングすることと、
前記ハードマスクの上に犠牲層を形成することであって、前記犠牲層は、前記光学格子層の上面から測定して不均一な高さを有する、前記ハードマスクの上に犠牲層を形成することと、
傾斜した底面を有するトレンチを前記光学格子層内に凹設するために、前記光学格子層をエッチングすることと、
前記トレンチの傾斜した底面に沿って、第2のハードマスクを形成することと、
前記ハードマスク及び前記第2のハードマスクの上に、光学平坦化層(OPL)及びフォトレジスト(PR)を形成することと、
前記OPL、前記PR、及び前記第2のハードマスクを貫通する複数の垂直トレンチをエッチングすることと、
前記OPL及び前記PRを除去することと
光学格子を形成するために、前記OPL及び前記PRの除去後に、前記光学格子層内に角度付きの複数のトレンチをエッチングすることであって、前記複数のトレンチのうちの第1のトレンチの第1の深さは、前記複数のトレンチのうちの第2のトレンチの第2の深さとは異なる、光学格子を形成するために、前記光学格子層内に角度付きの複数のトレンチをエッチングすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記犠牲層を形成することは、
前記ハードマスクの上に前記犠牲層を堆積させることと、
傾斜した底面を有する前記トレンチを形成するために、前記犠牲層をエッチングすることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トレンチを形成するために、垂直エッチングを行うこと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記角度付きの複数のトレンチをエッチングすることは、前記光学格子層の上面によって画定される平面に対する垂線に対して非ゼロの角度で角度付きイオンエッチングを行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記角度付きイオンエッチングは反応性イオンビームによって行われ、前記基板は前記反応性イオンビームに対して走査方向に沿って走査される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の上にエッチングストップ層を形成することを更に含み、前記光学格子層は前記エッチングストップ層の上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
回折光学素子を形成する方法であって、
基板の上に光学格子層を設けることと、
前記光学格子層の上にハードマスクを設けることであって、前記ハードマスクは開口部を含む、前記光学格子層の上にハードマスクを設けることと、
前記ハードマスクの上に犠牲層を形成することと、
前記犠牲層に凹部を形成することであって、前記凹部によって、前記犠牲層は、前記光学格子層の上面から測定して不均一な高さを有するようになる、前記犠牲層に凹部を形成することと、
傾斜した底面を有するトレンチを前記光学格子層内に凹設するために、前記光学格子層をエッチングすることと、
前記トレンチの傾斜した底面に沿って、第2のハードマスクを形成することと、
前記ハードマスク及び前記第2のハードマスクの上に、光学平坦化層(OPL)及びフォトレジスト(PR)を形成することと、
前記OPL、前記PR、及び前記第2のハードマスクを貫通する複数の垂直トレンチをエッチングすることと、
前記OPL及び前記PRを除去することと
光学格子を形成するために、前記OPL及び前記PRの除去後に、前記光学格子層を貫通する角度付きの複数のトレンチをエッチングすることであって、前記複数のトレンチのうちの第1のトレンチの第1の深さは、前記複数のトレンチのうちの第2のトレンチの第2の深さとは異なる、光学格子を形成するために、前記光学格子層を貫通する角度付きの複数のトレンチをエッチングすることと
を含む方法。
【請求項8】
前記犠牲層を形成することは、
前記ハードマスクの上に前記犠牲層を堆積させることと、
前記トレンチの傾斜した底面を形成するために、前記犠牲層をエッチングすることと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記エッチングは、前記光学格子層の上面によって画定される平面に対する垂線に対して非ゼロの角度で角度付きイオンエッチングを行うことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記角度付きイオンエッチングは反応性イオンビームによって行われ、前記基板は前記反応性イオンビームに対して走査方向に沿って走査される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の上にエッチングストップ層を形成することを更に含み、前記光学格子層は前記エッチングストップ層の上に形成される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
回折光学素子を形成する方法であって、
基板の上に光学格子層を設けることと、
前記光学格子層の上にハードマスクをパターニングすることと、
前記ハードマスクの上に犠牲層を堆積させることと、
前記犠牲層にトレンチを形成するために、前記犠牲層の一部を除去することであって、前記トレンチは、第1の平面を画定する傾斜した底面を含み、前記第1の平面は、前記光学格子層の上面によって画定される第2の平面と非平行である、前記犠牲層にトレンチを形成するために、前記犠牲層の一部を除去することと、
光学格子を形成するために、前記光学格子層内に角度付きの複数のトレンチをエッチングすることであって、前記複数のトレンチのうちの第1のトレンチの第1の深さは、前記複数のトレンチのうちの第2のトレンチの第2の深さとは異なる、光学格子を形成するために、前記光学格子層内に角度付きの複数のトレンチをエッチングすることと
を含む方法。
【請求項13】
前記光学格子層の上面から測定して不均一な高さを有する前記犠牲層を形成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トレンチを前記光学格子層内に凹設するために、前記光学格子層をエッチングすることと、
前記トレンチの傾斜した底面に沿って、第2のハードマスクを形成することと、
前記ハードマスク及び前記第2のハードマスクの上に、光学平坦化層(OPL)及びフォトレジスト(PR)を形成することと、
前記OPL、前記PR、及び前記第2のハードマスクを貫通する複数の垂直トレンチをエッチングすることと、
前記OPL及び前記PRを除去することであって、前記OPL及び前記PRの除去後に、前記複数のトレンチを前記光学格子層内にエッチングする、前記OPL及び前記PRを除去することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記エッチングは、前記光学格子層の上面によって画定される前記第2の平面に対する垂線に対して非ゼロの角度で角度付きイオンエッチングを行うことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記角度付きイオンエッチングは反応性イオンビームによって行われ、前記基板は前記反応性イオンビームに対して走査方向に沿って走査される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、光学格子を製造する方法に関するものである。より具体的には、本開示は、可変深さを有するトレンチを有する斜め光学格子を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]光学レンズ等の光学素子は長い間、様々な利点を得るように光を操作するために使用されてきた。最近、マイクロ回折格子は、ホログラフィック及び拡張/仮想現実(AR及びVR)デバイスに利用されている。AR及びVRデバイスの1つは、人間の眼から短い距離内に画像を表示するように配置された、ヘッドセット等のウェアラブルディスプレイシステムである。このようなウェアラブルヘッドセットは、しばしば頭部搭載型ディスプレイと呼ばれ、ユーザの眼から数センチメートル以内に画像を表示するフレームを備えている。画像は、マイクロディスプレイ等のディスプレイ上にコンピュータによって生成された画像であってよい。光学部品は、画像がユーザに見えるように、ディスプレイ上に生成された所望の画像の光をユーザの眼に輸送するように配置されている。画像が生成されるディスプレイは、ライトエンジンの一部を形成し得るため、画像は、光学部品によって案内されるコリメート光ビームを生成して、ユーザに見える画像を提供する。
【0003】
[0003]ディスプレイから人間の眼に画像を伝えるために、様々な種類の光学部品が使用されてきた。拡張現実レンズ又はコンバイナにおいて適切に機能するために、光学格子の形状寸法は、様々な効果を達成するように設計され得る。一部のデバイスでは、2つ以上の異なる領域等の複数の異なる領域がレンズの表面に形成され、ある領域の格子の形状寸法は、他の領域の格子の形状寸法と異なっている。
【0004】
[0004]角度付き表面レリーフ光学格子は、基板又は基板上の膜スタックに角度付きトレンチを直接エッチングすることによって製造することができる。光学格子の効率を制御するパラメータの1つは、トレンチの深さである。残念ながら、回折場と視野で様々な高さ、幅、及び/又は形状を有する光学格子を形成する現在のアプローチは、困難であることがわかっている。
【0005】
[0005]したがって、可変深さのトレンチを有する格子を製造する改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本概要は、発明を実施するための形態において以下に更に説明する概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されるものである。本概要は、請求された主題の重要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図しておらず、また、請求された主題の範囲を決定する際の補助として意図されているものでもない。
【0007】
[0007]本開示の実施形態は、回折光学素子を形成する方法を提供するものであり、本方法は、基板の上に光学格子層を設けることと、光学格子層の上にハードマスクをパターニングすることと、ハードマスクの上に犠牲層を形成することとを含み、犠牲層は、光学格子層の上面から測定して不均一な高さを有する。本方法は更に、光学格子を形成するために、光学格子層内に複数の角度付きトレンチをエッチングすることを含んでいてよく、複数のトレンチのうちの第1のトレンチの第1の深さは、複数のトレンチのうちの第2のトレンチの第2の深さとは異なる。
【0008】
[0008]本開示の実施形態は更に、基板の上に光学格子層を設けることと、光学格子層の上にハードマスクを設けることであって、ハードマスクは一連の開口部を含む、光学格子層の上にハードマスクを設けることと、ハードマスクの上に犠牲層を形成することとを含む、回折光学素子を形成する方法を提供するものである。本方法は更に、犠牲層に凹部を形成することであって、凹部によって、犠牲層は、光学格子層の上面から測定して不均一な高さを有するようになる、犠牲層に凹部を形成することと、光学格子を形成するために、光学格子層を貫通する複数の角度付きトレンチをエッチングすることであって、複数の角度付きトレンチのうちの第1のトレンチの第1の深さは、複数のトレンチのうちの第2のトレンチの第2の深さとは異なる、光学格子を形成するために、光学格子層を貫通する複数の角度付きトレンチをエッチングすることと含み得る。
【0009】
[0009]本開示の実施形態は更に、基板の上に光学格子層を設けることと、光学格子層の上にハードマスクをパターニングすることと、ハードマスクの上に犠牲層を堆積させることとを含む、回折光学素子を形成する方法を提供するものである。本方法は更に、犠牲層にトレンチを形成するために、犠牲層の一部を除去することであって、トレンチは、第1の平面を画定する傾斜した底面を含み、第1の平面は、光学格子層の上面によって画定される第2の平面と非平行である、犠牲層にトレンチを形成するために、犠牲層の一部を除去することと、光学格子を形成するために、光学格子層内に複数の角度付きトレンチをエッチングすることであって、複数のトレンチのうちの第1のトレンチの第1の深さは、複数のトレンチのうちの第2のトレンチの第2の深さとは異なる、光学格子を形成するために、光学格子層内に複数の角度付きトレンチをエッチングすることとを含み得る。
【0010】
[0010]添付の図面は、その原理の実用化を含む、本開示の例示的なアプローチを以下のように示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係るディスプレイ装置の概略断面図である。
図2A】本開示の実施形態に係る光学格子部品を示す側断面図である。
図2B】本開示の実施形態に係る図2Aの光学格子部品を示す上面図である。
図3A】本開示の実施形態に係る、概略的に描かれた処理装置を示す図である。
図3B】本開示の実施形態に係る抽出プレート部品及び基板を示す上面図である。
図4A-4C】本開示の実施形態に係る角度付き構造の形成を示す側断面図である。
図4D-4F】本開示の実施形態に係る角度付き構造の形成を示す側断面図である。
図5A-5C】本開示の実施形態に係る角度付き構造の形成を示す側断面図である。
図5D-5F】本開示の実施形態に係る角度付き構造の形成を示す側断面図である。
図5G-5H】本開示の実施形態に係る角度付き構造の形成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0018]図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図していない。図面は、本開示の例示的な実施形態を描写することを意図しており、したがって、範囲を限定するものとはみなすべきではない。図面において、同様の番号付けは、同様の要素を表す。
【0013】
[0019]更に、幾つかの図面における特定の要素は、例示的な明瞭さのために、省略されることがある、又は非縮尺で図示される場合がある。断面図は、例示的な明瞭さのために、「真の」断面図においてさもなければ可視である特定の背景線が省略された、「断片」、又は「近視眼的」断面図の形態であり得る。更に、分かりやすくするために、一部の図面では参照番号を省略することがある。
【0014】
[0020]以下に、本開示に係る方法を、方法の実施形態を示す添付の図面を参照しながら、より完全に説明する。本方法は、多くの異なる形態で具体化され得るものであり、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。その代わり、これらの実施形態は、開示が徹底的かつ完全であり、当業者にシステム及び方法の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0015】
[0021]図1は、ディスプレイ装置100に実装された導波管104の概略断面図である。ディスプレイ装置100は、拡張現実、仮想現実、及び複合又は混合現実の用途、並びに他のディスプレイ用途、例えば、ハンドヘルドディスプレイデバイス用に構成され得る。
【0016】
[0022]ディスプレイ装置100は、ユーザ視点101から環境130を見るユーザのため等に、導波管104を使用し、導波管104を通して周囲環境130を透視する。ディスプレイ装置100に実装されるとき、導波管104の第1の表面122は、ユーザの眼111に隣接し、ユーザの眼111に面して配置される。導波管104の第2の表面124は、第1の表面122の反対側に、周囲環境130に隣接し、周囲環境130に面して配置される。平面的に図示したが、導波管104は、所望の用途に応じて、湾曲している場合がある。
【0017】
[0023]ディスプレイ装置100は更に、生成された仮想画像の光120を導波管104に案内するための画像マイクロディスプレイ128を含む。仮想画像の光120は、導波管104を伝搬する。一般に、導波管104は、入力結合領域106と、導波管領域108と、出力結合領域110とを含む。入力結合領域106は、画像マイクロディスプレイ128から光120(仮想画像)を受け取り、光120は導波管領域108を通って、ユーザの視点101と視野によって周囲環境130と重なった仮想画像の視覚化が可能な出力結合領域110に移動する。画像マイクロディスプレイ128は、仮想画像の光を導波管104に投影するように動作可能なシリコン上の液晶マイクロディスプレイ等の高解像度ディスプレイ生成器である。
【0018】
[0024]導波管104は、入力格子構造112及び出力格子構造114を含む。入力格子構造112は、導波管104の、入力結合領域106に対応するエリアに形成される。出力格子構造114は、導波管104の、出力結合領域110に対応するエリアに形成される。入力格子構造112及び出力格子構造114は、導波管104内の光伝搬に影響を与える。例えば、入力格子構造112は画像マイクロディスプレイ128からの光を入力結合し、出力格子構造はユーザの眼111に対して光を出力結合する。
【0019】
[0025]例えば、入力格子構造112は、ユーザの眼111において表示される仮想画像の視野に影響を与える。出力格子構造114は、導波管104から収集され、出力結合される光120の量に影響を与える。更に、出力格子構造114は、ユーザの視点101からの仮想画像の視野を変調し、ユーザが画像マイクロディスプレイ128から仮想画像を見ることができる視野角を増加させる。別の実施例では、入力結合領域106と出力結合領域110との間の導波管領域108にも、格子構造(図示せず)が形成される。更に、それぞれその中に所望の格子構造が形成された複数の導波管104を使用して、ディスプレイ装置100を形成することができる。
【0020】
[0026]図2Aは、本開示の実施形態に係る光学格子部品200を示す側断面図である。図2Bは、光学格子部品200を示す上面図である。光学格子部品200は、本開示の様々な実施形態に従って、眼鏡に配置される光学格子として使用され得る、又は眼鏡に一体的に形成され得る。光学格子部品200は、基板202と、基板202に配置された光学格子206とを含む。光学格子206は、図1の入力格子構造112及び/又は出力格子構造114と同一又は類似であってよい。幾つかの実施形態では、基板202は、公知のガラス等の光学的に透明な材料である。幾つかの実施形態では、基板202はシリコンである。後者の場合、基板202はシリコンであり、別のプロセスを用いて、ガラス又は石英等の別の光学基板の表面の膜に格子パターンを転写することができる。なお、本実施形態は、この文脈に限定されない。光学格子206は、以下に更に説明するように、光学格子層207に配置され得る。図2A及び図2Bの非限定的な実施形態では、光学格子部品200は更に、基板202と光学格子層207との間に配置された、エッチングストップ層204を含む。本開示の幾つかの実施形態によれば、光学格子層207は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、TiO、又は他の材料等の光学的に透明な材料であってよい。
【0021】
[0027]本開示の幾つかの実施形態によれば、光学格子206は、100nmから1000nmの範囲の格子高さHを含み得る。このように、光学格子206は、AR&VR装置の接眼レンズにおける使用に適切であり得る。本明細書の実施形態は、この文脈に限定されない。幾つかの実施形態によれば、エッチングストップ層204は、光学的に透明な材料であってよく、10nmから100nmの厚さを有していてよい。本実施形態は、この文脈に限定されない。エッチングストップ層204に適した材料の例としては、SiN、SiO、TiN、SiC、及び他の材料が挙げられる。光学格子206が眼鏡の接眼レンズに適用される又は組み込まれる実施形態では、特に適切な材料は、光学的に透明な材料である。光学格子部品200が、接眼レンズ用の光学格子を製造するためのマスターを形成する実施形態では、エッチングストップ層204は、光学的に透明である必要はない。更に、エッチングストップ層204は、幾つかの実施形態において省略され得る。
【0022】
[0028]図2Aに更に示すように、光学格子206は、基板202の平面(例えば、x-y平面)に対する垂線に対して非ゼロの傾斜角で配置された、角度付き部品又は構造212として示す複数の角度付き構造を含み得る。角度付き構造212は、斜め格子の1又は複数のフィールド内に含まれていてよく、斜め格子は共に「マイクロレンズ」を形成する。図2Aの例では、第1の方向(y軸)が基板202の平面、この場合、x-y平面に平行である、図示したデカルト座標系のy軸に平行な方向に沿って均一な高さを画定する。他の実施形態では、角度付き構造212は、y軸に平行な方向に沿って可変高さを画定し得る。複数のトレンチ214は、基板202の上面又は光学格子層207の上面等の平面に対する垂線に対して非ゼロの傾斜角で配置され得る。以下により詳細に説明するように、複数のトレンチ214の1又は複数のトレンチ深さ「d」及び/又は幅「w」は、エッチング前に光学格子206の上に設けられたマスク又は犠牲層の存在により変化し得る。
【0023】
[0029]幾つかの実施形態では、Y方向に沿った光学格子206の幅は、数ミリメートルから数センチメートルの規模であってよく、一方、格子高さHは、1マイクロメートル以下の規模であってよい。従って、格子高さHの変化は、数百ナノメートル以下の規模の範囲であり得る。格子高さH又は深さdの滑らかな変化の例としては、格子の隣接するライン間の格子高さH又は深さdの変化が10%未満、5%未満、又は1%未満である。本実施形態は、これに限定されない。したがって、接眼レンズにおいて、格子高さHは、接眼レンズの表面に沿って所定の方向に、例えば、ミリメートルからセンチメートルの距離にわたって連続的かつ非階段的に変化し得る。より具体的には、5mmの距離にわたる50%の格子高さHの変化は、1マイクロメートルのピッチを有する約5×10本のラインにわたって格子高さHが連続的に変化することを伴う可能性がある。この変化は、0.5/5×10又は約0.01%の隣接するラインの相対的高さの平均変化を伴う。
【0024】
[0030]ここで、概略的に描写した処理装置300を示す図3Aを参照する。処理装置300は、例えば本実施形態の光学格子を生成するために、基板の一部をエッチングする、又は基板に堆積させるための処理装置を表す。処理装置300は、当技術分野で周知の任意の便利な方法によってその中にプラズマ304を生成するためのプラズマチャンバ302を有するプラズマベースの処理システムであってよい。光学格子層207(図2A~2B)を反応的にエッチング又は堆積させるために、不均一エッチング又は不均一堆積が行われ得る抽出開孔308を有する抽出プレート306が図示のように設けられ得る。プロセスチャンバ324には、例えば、前述の光学格子構造を含む基板202が配置される。基板202の基板平面は、図示のデカルト座標系のX-Y平面によって表され、基板202の平面に対する垂線は、Z軸(Z方向)に沿っている。
【0025】
[0031]図3Aに更に示すように、公知のシステムと同様に、プラズマチャンバ302と基板202、又は基板プラテン314との間にバイアス供給装置320を用いて電圧差が印加されると、イオンビーム310が抽出され得る。バイアス供給装置320は、例えば、プロセスチャンバ324と基板202が同じ電位に保持されるように、プロセスチャンバ324に結合され得る。
【0026】
[0032]様々な実施形態によれば、イオンビーム310は、垂線326に沿って抽出され得る、又は垂線326に対してφとして示す非ゼロの入射角で抽出され得る。
【0027】
[0033]イオンビーム310内のイオンの軌道は、互いに平行であり得る、又は互いに10度以下等の狭い角度広がり範囲に存在し得る。他の実施形態では、後述するように、イオンビーム310内のイオンの軌道は、例えば扇形に互いに収束又は広がっていてよい。したがって、φの値は、個々の軌道が平均値から数度まで変化する入射角の平均値を表し得る。様々な実施形態では、イオンビーム310は、連続ビームとして、又は公知のシステムと同様にパルスイオンビームとして抽出され得る。例えば、バイアス供給装置320は、プラズマチャンバ302とプロセスチャンバ324との間の電圧差を、パルスDC電圧として供給するように構成されていてよく、パルス電圧の電圧、パルス周波数、及びデューティサイクルは、互いに独立して調整され得る。
【0028】
[0034]様々な実施形態では、反応性ガス等のガスが、供給源322によってプラズマチャンバ302に供給され得る。プラズマ304は、プラズマチャンバ302に供給される種の正確な組成に依存して、様々なエッチング種又は堆積種を生成し得る。
【0029】
[0035]様々な実施形態では、イオンビーム310は、図3Bに示すデカルト座標系のX方向に沿って延びる長軸を有するリボン反応性イオンビームとして提供され得る。基板202を含む基板プラテン314を抽出開孔308に対して、ひいては走査方向330に沿ってイオンビーム310に対して走査することにより、イオンビーム310が基板202をエッチングし得る、又は基板202に堆積させ得る。イオンビーム310は、不活性ガス、反応性ガスを含む任意の便利な混合ガスで構成されていてよく、幾つかの実施形態では他のガス種と組み合わせて提供され得る。特定の実施形態では、イオンビーム210及び他の反応種は、光学格子層207等の層の指向性反応性イオンエッチング(RIE)を行うための、基板202に対するエッチングレシピとして提供され得る。上記エッチングレシピは、当技術分野で周知のように、酸化物等の材料又は他の材料をエッチングするための周知の反応性イオンエッチング化学物質を使用し得る。他の実施形態では、基板202がイオンビーム310に対して走査されたときに、基板202、又はより具体的には、光学格子層207を物理的スパッタリングによってエッチングするためにイオンビーム310が提供されるところでは、イオンビーム310は不活性種で形成され得る。
【0030】
[0036]図3Bの例では、イオンビーム310は、X方向に沿ったビーム幅に延びるリボン反応性イオンビームとして提供され、ビーム幅は、X方向に沿った最も広い部分においてさえも、基板202の全幅を露光するのに十分である。例示的なビーム幅は、10cm、20cm、30cm、又はそれ以上の範囲であってよく、一方、Y方向に沿った例示的なビーム長は、2mm、3mm、5mm、10mm、又は20mmの範囲であってよい。本実施形態は、この文脈に限定されない。
【0031】
[0037]特に、走査方向330は、Y方向に沿った2つの対向する(180度の)方向における基板202の走査、又は単に左に向かう走査若しくは右に向かう走査を表し得る。図3Bに示すように、イオンビーム310の長軸は、走査方向330に垂直に、X方向に沿って延びている。従って、基板202の走査方向330に沿って基板202の左側から右側までの十分な長さの走査が行われる場合、基板202の全体がイオンビーム310に露光され得る。
【0032】
[0038]図2A図2Bの角度付き構造212等の格子特徴は、処理レシピを使用して、イオンビーム310に対して基板202を走査することによって達成され得る。手短に言えば、処理レシピは、例えば、基板202の走査中にイオンビーム310によって引き起こされるエッチング速度又は堆積速度を変化させる効果を有する、一連のプロセスパラメータのうちの少なくとも1つのプロセスパラメータを変化させることを伴い得る。上記プロセスパラメータは、基板202の走査速度、イオンビーム310のイオンエネルギー、パルスイオンビームとして提供される場合のイオンビーム310のデューティサイクル、イオンビーム310の広がり角、及び基板202の回転位置を含み得る。本明細書の少なくとも幾つかの実施形態では、処理レシピは、光学格子層207の材料(複数可)、及びイオンビーム310のエッチングイオンの化学的性質を更に含み得る。更に他の実施形態では、処理レシピは、寸法及びアスペクト比を含む光学格子層207の開始形状寸法を含み得る。本実施形態は、この文脈に限定されない。
【0033】
[0039]図4A図4Eは、本開示の実施形態に係る回折光学素子400を形成するためのプロセスを示す図である。図4Aに示すように、基板402の上に光学格子層407が形成され得、光学格子層407の上にハードマスク層410が形成され得る。図示しないが、幾つかの実施形態では、基板402と光学格子層407との間にエッチングストップ層が設けられ得る。エッチングストップ層は、特に窒化チタン又は窒化タンタル等の、エッチングプロセスに対して耐性を有する材料から形成される。基板402は、ガラス等の光学的に透明な材料からできていてよい。光学格子層407及び/又はハードマスク410は、例えば、化学気相堆積(CVD)プロセス、物理的気相堆積(PVD)プロセス、又はスピンオンプロセスによって形成され得る。
【0034】
[0040]格子層407は、光学的に透明な材料から形成され得る。一例では、格子層407は、窒化ケイ素又は酸化ケイ素等のケイ素系材料、又は酸化チタン等のチタン系材料から形成される。格子層407の材料は、約1.3から2.4等の高屈折率、又はそれ以上の屈折率を有する。一般に、格子層407は、約150nmから700nm等の、約1マイクロメートル未満の厚さを有する。しかしながら、本明細書の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0035】
[0041]図4Bに示すように、ハードマスク410は、その中に一連の開口部又は間隙411を形成するようにパターニングされ得る。幾つかの実施形態では、ハードマスク410は、フォトレジストスタック(図示せず)から形成され、ハードマスク層は、格子層407の上に共形的に形成される。ハードマスク410は、例えば、化学気相堆積プロセスを用いて窒化チタンから形成される。図示のように、ハードマスク410は、間隙411によって互いに分離された複数のハードマスク要素412として形成される。各間隙411は、光学格子層407の上面413に対して選択的なエッチングプロセスを用いて形成され得る。幾つかの実施形態では、ハードマスク要素412は、フォトレジストスタックをエッチングすることによって形成される。幾つかの実施形態では、ハードマスク要素412は、同じ高さ及び/又は幅を有する。他の実施形態では、ハードマスク要素412の1又は複数は、異なる又は不均一な高さ及び/又は厚さを有する。
【0036】
[0042]図4Cに示すように、次に、犠牲層420が、光学格子層407及びハードマスク410の上に形成され得る。幾つかの実施形態では、犠牲層420は、光学格子層407及びハードマスク410の上に堆積されたマスクである。非限定的な実施形態では、犠牲層420は、例えば、3D印刷を用いて回折光学素子400の上に形成されたフォトレジスト型材料であってよい。他の実施形態では、犠牲層420は、シリコン等の光学的に透明な材料であってよい。非限定的な一実施形態では、犠牲層420は、垂直エッチング及び角度付きエッチングの両方において均一な特性を有利に提供する窒化ケイ素であってよい。
【0037】
[0043]図4Dに示すように、犠牲層420は、イオンエッチング、反応性又はスパッタ等のサブトラクティブプロセス425を使用して凹設され得る。図示した実施形態では、サブトラクティブプロセス425は、光学格子層407の上面413に対して可変高さ「H」を有する犠牲層420を生成する、方向426に沿って横断する反応性イオンエッチング(RIE)であってよい。例えば、犠牲層420は、傾斜した底面422を有する凹部又はトレンチ421を形成するように処理され得る。図示したように、傾斜した底面422は、光学格子層407の上面413によって画定される平面と非平行である平面を画定し得る。非限定的であるが、傾斜した底面422は、概して平面及び/又は曲面であってよい。更に、傾斜した底面422の勾配方向は、サブトラクティブプロセス425の格子ベクトルとアライメントされる必要はない。
【0038】
[0044]図4Eに示すように、回折光学素子400は、次に、犠牲層420及び光学格子層407を貫通する複数の角度付きトレンチ428を形成するためにエッチング427される。幾つかの実施形態では、エッチング427は、角度付きイオンエッチングであり、角度付きイオンエッチングは、反応性イオンビームによって実行される。基板402は、反応性イオンビームに対して走査方向に沿って走査され得る。図示したように、エッチング427は、光学格子層407の上面413によって画定される平面に対する垂線433に対して、非ゼロの角度(θ)で送達され得る。エッチングプロセス中、ハードマスク410及び犠牲層420は、光学格子層407から複数の斜め格子構造430を形成するためのパターンガイドとして機能する。斜め格子構造430のより複雑な及び/又はニュアンスのある形状は、最初に不均一な犠牲層420を形成し、次に、エッチング427中に追加の選択的エリア処理(SAP)エッチングサイクルを実行することによって達成できることが理解されるであろう。
【0039】
[0045]犠牲層420及びハードマスク410が、次に、各斜め格子構造430の上から除去され、図4Fに示す光学格子445が結果的にでき得る。幾つかの実施形態では、犠牲層420の可変高さに起因して、複数のトレンチのうちの第1のトレンチ428Aの第1の深さは、第2のトレンチ428Bの第2の深さとは異なっている。
【0040】
[0046]図5A図5Hは、本開示の実施形態に係る回折光学素子500を形成するためのプロセスを示す図である。図5Aに示すように、基板502の上に光学格子層507が形成され得、光学格子層507の上にハードマスク層510が形成され得る。回折光学素子500は、基板502と光学格子層507との間に設けられたエッチングストップ層505を更に含み得る。基板502は、シリコン等の光学的に透明な材料からできていてよい。幾つかの実施形態では、エッチングストップ層505は、例えば、化学気相堆積(CVD)プロセス、物理的気相堆積(PVD)プロセス、又はスピンオンプロセスによって形成され得る。エッチングストップ層505は、特に窒化チタン又は窒化タンタル等の、エッチングプロセスに耐性のある材料から形成される。
【0041】
[0047]図5Bに示すように、ハードマスク510は、その中に開口部又は間隙511を形成するようにパターニングされ得る。幾つかの実施形態では、ハードマスク510は、フォトレジストスタック(図示せず)から形成され、ハードマスク層は、格子層507の上に共形的に形成される。ハードマスク層510は、例えば、化学気相堆積プロセスを用いて窒化チタンから形成される。幾つかの実施形態では、間隙511は、光学格子層507の上面513に対して選択的なエッチングプロセスを用いて形成され得る。
【0042】
[0048]図5Bに更に示すように、犠牲層520が、光学格子層507及びパターンニングされたハードマスク510の上に形成され得る。幾つかの実施形態では、犠牲層520は、光学格子層507及びハードマスク510の上に堆積されたマスクである。非限定的な実施形態では、犠牲層520は、例えば、3D印刷を用いて回折光学素子500の上に形成されたフォトレジスト型材料であってよい。他の実施形態では、犠牲層520は、ケイ素系材料、例えば窒化ケイ素又は酸化ケイ素、又はチタン系材料、例えば酸化チタン等の光学的に透明な材料であってよい。
【0043】
[0049]図5Cに示すように、犠牲層520は、イオンエッチング、反応性又はスパッタ等のサブトラクティブプロセス525を使用して凹設され得る。図示した実施形態では、サブトラクティブプロセス525は、光学格子層507の上面513に対して可変高さ「H」を有する犠牲層520を生成するために、方向526に沿って横断する、RIEであってよい。例えば、犠牲層420は、傾斜した底面522を有する凹部又はトレンチ521を形成するように処理され得る。図示したように、傾斜した底面522は、光学格子層507の上面513によって画定される平面と非平行である平面を画定し得る。非限定的であるが、傾斜した底面522は、概して平面及び/又は曲面であってよい。
【0044】
[0050]幾つかの実施形態では、図5Dに示すように、トレンチ521及び傾斜した底面522を含む犠牲層520が、光学格子層507に転写され得る。幾つかの実施形態では、可変エッチング深さ(VED)プロファイル、例えば、2次元楔形状は、可変深さを達成するためのフォトレジストの可変露光の光学デバイス及び方法であるグレートーンスクリーン(図示せず)による垂直エッチングを使用して形成され得る。より具体的には、グレートーンリソグラフィは、レジスト膜を光造形し、単一の露光プロセスでフォトレジストに3次元プロファイルを形成する技法である。グレイトーンリソグラフィとRIEを組み合わせることで、レジストのプロファイルを3次元構造に変換することができる。
【0045】
[0051]図示したように、サブトラクティブプロセス561は、トレンチ521を更に光学格子層507に延在させて、光学格子層507の傾斜した底面532を形成する。非限定的であるが、傾斜した底面532は、概して平面及び/又は曲面であってよい。犠牲層520を最初に成形することによって、光学格子層507における精度が向上し得る。
【0046】
[0052]図5Eに示すように、犠牲層520の任意の残りの部分が除去され得、第2のハードマスク534がトレンチ521内に形成される。図示したように、第2のハードマスク534は、傾斜した底面532の上に堆積される。
【0047】
[0053]次に、図5Fに示すように、光学平坦化層(OPL)538及びフォトレジスト(PR)540が、第1のハードマスク510及び第2のハードマスク534の上に形成され得る。次いで、複数の垂直トレンチ544が、OPL538、PR540、及び第2のハードマスク534を貫通して形成され得る。幾つかの実施形態では、垂直トレンチ544は、光学格子層507の上面513に対して選択的な垂直RIEにより形成される。OPL538及びPR540が除去され、その結果、図5Gに示す回折光学素子500を得ることができる。
【0048】
[0054]図5Hに示すように、回折光学素子500が、次に、エッチング527され、光学格子層507を貫通する複数の角度付きトレンチ528A~Nが形成される。幾つかの実施形態では、エッチング527は、角度付きイオンエッチングであり、角度付きイオンエッチングは、エッチングストップ層505に対して選択的な反応性イオンビームによって行われる。基板502は、反応性イオンビームに対して走査方向に沿って走査され得る。図示したように、エッチング527は、光学格子層507の上面513によって画定される平面に対する垂線に対して非ゼロの角度で送達され得る。エッチング527中、第2のハードマスク534は、複数の斜め格子構造530を形成するためのパターンガイドとして機能する。図示のように、複数のトレンチのうちの第1のトレンチ528Aの第1の深さは、エッチング527により、第2のトレンチ528Bの第2の深さと異なっている。その後、第1及び第2のハードマスク510、534が除去され、その結果、図4Fのデバイス400と同様の構造を得ることができる。
【0049】
[0055]本明細書では、便宜上及び明確化のために、「上部」「底部」「上方」「下方」「垂直」「水平」「横」「縦」等の用語を用いて、図に示す構成要素及びその構成部品の相対的配置及び配向について説明する。用語には、具体的に言及された語句、その派生語、及び類似の輸入語句が含まれるものとする。
【0050】
[0056]本明細書で使用する、単数形で記載され、単語「a」又は「an」が前に付く要素又は工程は、除外すると明示されていない限り、複数の要素又は工程も含むと理解すべきである。更に、本開示の「一実施形態」への言及は、限定的なものではない。追加の実施形態が言及された特徴を組み込むことも可能である。
【0051】
[0057]更に、用語「実質的な」又は「実質的に」、並びに用語「おおよそ」又は「約」は、幾つかの実施形態において交換可能に使用することができ、当業者によって受け入れられる任意の相対的尺度を使用して説明することができる。例えば、これらの用語は、所定の機能を提供することができる偏差を示すために、基準パラメータとの比較として機能し得る。非限定的であるが、基準パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満等の量であってよい。
【0052】
[0058]また更に、当業者は、層、領域、又は基板等の要素が、別の要素の「上に」形成される、堆積される、又は配置されると言及される場合、その要素は別の要素の上に直接あってよい、又は介入する要素が存在する場合があることを理解するだろう。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接」あると言及される場合、介在する要素は存在しない。
【0053】
[0059]本明細書で使用する「堆積した」及び/又は「堆積された」は、例えば、化学気相堆積(CVD)、低圧CVD(LPCVD)、及びプラズマCVD(PECVD)等を非限定的に含む、堆積されるべき材料に適した現在周知の又は後に開発された任意の技法を含み得る。「堆積した」及び/又は「堆積された」は、半大気CVD(SACVD)及び高密度プラズマCVD(HDPCVD)、急速熱CVD(RTCVD)、超高真空CVD(UHVCVD)、限定反応処理CVD(LRPCVD)、及び有機金属CVD(MOCVD)等も含み得る。「堆積した」及び/又は「堆積された」は、スパッタリング堆積、イオンビーム堆積、電子ビーム堆積、レーザーアシスト堆積、熱酸化、熱窒化、スピンオン法、及び物理的気相堆積(PVD)も含み得る。「堆積した」及び/又は「堆積された」は、原子層堆積(ALD)、化学酸化、分子線エピタキシ(MBE)、メッキ、蒸着も含み得る。
【0054】
[0060]様々な実施形態では、設計ツールが提供され、例えば本明細書に記載されるように回折光学素子400及び500の層をパターニングするために使用されるデータセットを作成するように構成され得る。例えば、データセットは、本明細書に記載されるような構造のための層をパターニングするためのリソグラフィ工程中に使用されるフォトマスクを生成するために作成され得る。このような設計ツールは、1又は複数のモジュールの集合体を含み得る、又はハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで構成され得る。したがって、例えば、ツールは、1又は複数のソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュール、ソフトウェア/ハードウェアモジュール、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは置き換えの集合体であってよい。別の例として、ツールは、ソフトウェアを実行するコンピューティングデバイス又は他のアプライアンスであり得る、又はハードウェアに実装され得る。
【0055】
[0061]本明細書で使用するモジュールは、任意の形式のハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを用いて実装される場合がある。例えば、1又は複数のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、論理コンポーネント、ソフトウェアルーチン、又は他の機構が、モジュールを構成するために実装され得る。実装態様において、本明細書に記載の様々なモジュールは、個別のモジュールとして実装され得る、又は記載の機能及び特徴は、1又は複数のモジュール間で一部又は全部が共有され得る。言い換えると、本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるように、本明細書に記載の様々な特徴及び機能性は、任意の所定のアプリケーションに実装され得る。更に、様々な特徴及び機能性は、様々な組み合わせ及び順列で、1又は複数の別個の又は共有のモジュールに実装され得る。様々な特徴又は機能性の要素は、個別のモジュールとして個別に説明又は請求され得るが、当業者であれば、これらの特徴及び機能性は、1又は複数の共通のソフトウェア及びハードウェア要素間で共有可能であることを理解するであろう。
【0056】
[0062]本明細書に記載の実施形態を用いることにより、斜め光学格子構造を有する導波管が形成される。本実施形態の斜め格子構造の第1の技術的利点は、導波管を通過する光をより良く収集し、案内することによる導波管の機能向上を含み、したがって、投影画像の鮮明さが向上する。本実施形態の斜め格子構造の第2の技術的利点は、より時間がかかり困難なプロセスを排除することによる導波管の製造効率の改善を含む。更に、本実施形態の斜め格子構造の第3の技術的利点は、2次元又は3次元の形状を提供し、導波管をより広い範囲の用途で使用することを可能にすることを含む。
【0057】
[0063]本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際に、本明細書に記載されたものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び変更が、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。したがって、そのような他の実施形態及び変更は、本開示の範囲内に含まれるものとする。更に、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実装態様の文脈で本明細書に記載されている。当業者であれば、その有用性がそれらに限定されず、本開示が、任意の数の目的のための任意の数の環境で有益に実装され得ることを認識するであろう。したがって、以下に示す特許請求の範囲は、本明細書に記載の本開示の全域と主旨を考慮して解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H