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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】保冷庫、及び分析装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20230911BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20230911BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20230911BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
F25D25/00 E
G01N35/00 B
G01N35/08 A
C12M1/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022546816
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2020033587
(87)【国際公開番号】W WO2022049722
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和俊
(72)【発明者】
【氏名】大坂 明正
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086128(WO,A1)
【文献】特開2017-032209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
G01N 35/00
G01N 35/08
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項10】
庫内を保温する断熱箱体と、前記断熱箱体の庫内を冷却する冷却機と、前記断熱箱体に収納可能な被保温液が入った容器を架設する架設部と、前記架設部を備えた引き出し扉と、前後方向に可動できるスライドレールと、を備え、前記断熱箱体は上部にノズル挿入口と、前記架設部と摺動する摺動部材を備えた摺動部材保持体を有し、前記架設部に前記容器を架設して引き出した場合は、前記架設部と前記摺動部材が接触して摺動し、前記架設部が前記断熱箱体に収納され、前記架設部に架設物重量を超えた荷重が加わった場合に、前記架設部と前記摺動部材保持体が面接触する保冷庫と、前記断熱箱体内の前記容器に吸引ノズルを昇降させる昇降機構と、前記吸引ノズルで吸引される前記被保温液を送液する送液機構と、前記容器と前記送液機構の間に設置されたフローセルと、前記フローセルの温度を調整する温調機構と、前記フローセルの内部を検出する検出部と、を備える、
ことを特徴とする分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析装置に係り、特に分析装置で試薬を保冷する保冷庫に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代シーケンサは、DNA(deoxyribonucleic acid)などの核酸を解析する装置と
して広く用いられている。次世代シーケンサによる計測は、多数の微小反応場が固定されたフローセル(サンプル基板)を用いて実施される。次世代シーケンサは、フローセル上の反応場に対し対物レンズを介して励起光を照射し、CCD(Charge Coupled Device)
カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの2次元セ
ンサにより反応場からの蛍光を検出する。これにより塩基情報を蛍光画像として入手することができる。このように、フローセルに固定された微小反応場上で化学反応を生じさせ、蛍光観察することにより、目的とするDNAの塩基配列の解析が可能になる。
【0003】
蛍光反応のためには多種類の試薬を用いることになる。これらの試薬は常温で品質が悪化するため、装置に搭載する前はもとより、装置に搭載した後も冷蔵保存することで安定した分析を行うことができる。そのため、装置には試薬を保管、冷蔵するための試薬保冷庫を備えることになる。このような分析装置に搭載する試薬保冷庫の扉部は片開き式や引き出し式が考えられるが、ユーザビリティの観点や、誤って試薬をこぼした際に装置内に飛散することを避けるために、引き出し式にすることが多い。
【0004】
また、分析装置に搭載する試薬保冷庫は、一般的な食品用冷蔵庫と同じような構造をしているが、いくつか異なる点がある。
1点目は冷却時間の短縮化が求められている点である。食品用冷蔵庫は連続通電で常に冷却して使用するものであるが、分析装置は消費電力削減のために使用する際に電源を入れるのが一般的である。試薬保冷庫内を常温から冷蔵温度に冷却するには一定の時間が掛かる。しかし、この時間はユーザの待ち時間になってしまうため、可能な限り短くすることが求められている。
【0005】
2点目は引き出しに架設物重量以外の荷重が掛かる点である。蒸発防止のために試薬容器の上面にフィルムを設け、試薬を吸引する直前にフィルムを吸引ノズルにより突き破り、そのまま試薬を吸引することで蒸発を最小限にする手法をとることがある。この場合、吸引ノズルがフィルムを突き破る際に引き出しに荷重が掛かる。コンタミネーション防止のために試薬容器の数だけ吸引ノズルを備えた構成の場合、フィルムを突き破る荷重は吸引ノズルの数だけ増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-45122号公報
【文献】特開2005-221081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、スライドレールを用いた引き出し構造を備える食品用冷蔵庫は、保冷空間内にスライドレールを配置している(例えば特許文献1参照)。しかし、前述した冷却時間の短縮化を考えた場合、このスライドレールは本来冷却する必要のないものであるから、その分の冷却効率を落としている。冷却対象物以外の熱容量は極力小さくすることが望まれるが、その施策として、スライドレールを保冷空間外に配置することが考えられる。
【0008】
特許文献2に記載の装置は冷却ではなく加熱をする装置であり、目的は異なるものの、スライドレールを室外に配置している。しかし、単純にスライドレールを室外に配置する構造であるため、架設部が引き出し扉でしか保持されず、引き出し扉を固定端とした片持ち構造となる。架設物が軽量であればよいが、重量物を載せたり、前述したフィルムを突き破る荷重が掛かったりした場合、モーメントにより引き出し扉から離れた位置で架設部のたわみが発生し、変形、破損を起こす。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スライドレールを保冷空間外に配置した構造において、架設部に荷重が掛かった場合でも架設部の変形、破損を防ぐ引き出し式保冷庫、及びそれを用いた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記を目的を達成するために、本発明においては、庫内を保温する断熱箱体と、断熱箱体の庫内に冷気を供給する冷却機と、断熱箱体に収納可能な被保温液が入った容器を架設する架設部と、架設部を備えた引き出し扉と、前後方向に可動できるスライドレールを備え、断熱箱体は上部にノズル挿入口と、架設部と摺動する摺動部材を備えた摺動部材保持体を備え、架設部に容器を架設して引き出した場合は、架設部と摺動部材で接触して摺動し、架設部が断熱箱体に収納され、架設部に架設物重量を超えた荷重が加わった場合に、架設部と摺動部材保持体が面接触することを特徴とする保冷庫を提供する。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明においては、庫内を保温する断熱箱体と、断熱箱体の庫内を冷却する冷却機と、断熱箱体に収納可能な被保温液が入った容器を架設する架設部と、架設部を備えた引き出し扉と、前後方向に可動できるスライドレールと、を備え、断熱箱体は上部にノズル挿入口と、架設部と摺動する摺動部材を備えた摺動部材保持体を有し、架設部に容器を架設して引き出した場合は、架設部と摺動部材が接触して摺動し、架設部が断熱箱体に収納され、架設部に架設物重量を超えた荷重が加わった場合に、架設部と摺動部材保持体が面接触する保冷庫と、断熱箱体内の容器に吸引ノズルを昇降させる昇降機構と、吸引ノズルで吸引される被保温液を送液する送液機構と、容器と送液機構の間に設置されたフローセルと、フローセルの温度を調整する温調機構と、フローセルの内部を検出する検出部と、を備える分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
スライドレールを保冷空間外に配置した構造において、引き出しを閉じた状態で架設部に架設物重量を超えた荷重が加わった場合でも変形、破損を防ぐ効果を奏する。本発明の更なる特徴は、本発明の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1における引き出しクローズ時の保冷庫の外観斜視図である。
図2】実施例1における引き出しオープン時の保冷庫の外観斜視図である。
図3】実施例1における保冷庫および周辺部品の外観斜視図である。
図4】実施例1における引き出しクローズ時の保冷庫および周辺部品の断面図である。
図5図4におけるA-A断面図である。
図6】実施例1における引き出しオープン時の保冷庫および周辺部品の断面図である。
図7】実施例2における保冷庫および周辺部品の断面図である。
図8】実施例3における保冷庫および周辺部品の断面図である。
図9】実施例4における保冷庫および周辺部品の断面図である。
図10】実施例5における保冷庫および周辺部品の断面図である。
図11図10におけるB-B断面図である。
図12】実施例6に係る、本開示の保冷庫を搭載した核酸分析装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の種々の実施例を詳細に説明する。尚、図面は本発明の原理に則った実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1から図6に実施例1に係る保冷庫100を示す。図1から図6に示すように、実施例1における保冷庫100は、断熱箱体101、冷却機500、架設部102、引き出し扉103、スライドレール104を備える。
【0016】
断熱箱体101は庫内の冷気と庫外の外気を断熱する機能を持つ。具体的には樹脂材と熱伝導率の低い発砲スチロールや真空断熱材を組み合わせて構成することができる。また、その上部には試薬を搬送する吸引ノズル401がアクセスするノズル挿入口105を備える。コンタミネーション防止のために試薬容器301の数だけ吸引ノズル401を備えるため、ノズル挿入口105も試薬容器301の数だけある。
【0017】
冷却機500は断熱箱体101の内側に冷気を供給する機能を持つ。図4に示すように、冷却機500は一例として熱電素子501、冷却ヒートシンク502、冷却ファン503、放熱ヒートシンク504、放熱ファン505で構成される。ペルチェ等の熱電素子501で冷却ヒートシンク502を冷却し、冷却ファン503により断熱箱体101の内側に冷気を循環させることで庫内を冷却、保冷する。冷却側の反対は加熱されるので、その熱を放熱するための放熱ヒートシンク504、放熱ファン505を備える。冷却機500は一例として、断熱箱体101の庫内温度を2℃から8℃に制御する。
【0018】
架設部102は試薬容器301を架設する機能を持つ。一例として複数種類の試薬容器301をまとめる機能を持つ試薬容器保持体302を介して架設できる形状にしているが、試薬容器301を個別に一つずつ架設できる形状にしてもよい。試薬容器保持体302と架設部102が接触し、試薬容器301は吊り下がる構造としている。これは、試薬容器301の底と断熱箱体101の内側下面の間に隙間を設け、冷気の通り道を確保する意図がある。架設部102は引き出しを閉じると断熱箱体101に収納され、試薬と共に冷却されるため、熱容量を小さくするのが望ましい。
【0019】
引き出し扉103は架設部102とスライドレール104を繋ぎ、引き出しクローズの際は断熱箱体101と密接し、庫内を密閉すると共に扉前面の断熱をする機能を持つ。断熱箱体101と同様に樹脂材と熱伝導率の低い発砲スチロールや真空断熱材を組み合わせて構成することができる。断熱箱体101か引き出し扉103のどちらかにパッキン材を備えて密閉するのが望ましい。
【0020】
スライドレール104は引き出しを軽い力でスムーズに開閉する機能を持つ。スライドレール104を断熱箱体101の保冷空間外に配置することで、冷却部の熱容量を小さくすることができる。引き出しを閉めた勢いで試薬がこぼれないようにソフトクロージング機構を備えるのが望ましい。
【0021】
断熱箱体101は、摺動部材200を備えた摺動部材保持体106を備える。摺動部材200は引き出し開閉時に架設部102と摺動し、摺動抵抗を小さくするものである。摺動抵抗が大きいと、引き出し開閉が重くなる、ソフトクロージング機構が途中で止まって引き出しが自動で閉じないという問題が発生するため、摺動抵抗を小さくすることが重要である。また摺動部材200は弾性体を含み、上から下に力が加わった際に摺動点が上下方向に移動する構造とする。具体的には図6に示すように、ボール201と圧縮コイルばね202で構成されたボールプランジャを用いることができる。ボール201の摺動点は摺動部材保持体106の上面から飛び出す構造とする。
【0022】
架設部102に何も架設されていないもしくは試薬容器301を架設した状態で引き出しを開閉した場合、架設部102と摺動部材200のボール201で小さい抵抗で摺動する。アルミフィルム303が貼られた試薬容器301を架設部102に搭載し、引き出しを閉じ、吸引ノズル401がノズル挿入口105から下降して、アルミフィルム303を突き破ると架設部102に荷重が加わる。そうすると、摺動部材200の圧縮コイルばね202が縮み、架設部102と摺動部材保持体106が面接触する。この面接触が、架設部102が片持ち構造にならず、変形、破損を防ぐ効果がある。また、架設部102の摺動部材200と接する部分に集中荷重が掛かることがないので、同様に変形、破損を防ぐ効果がある。
【0023】
このように本実施例によれば、断熱箱体の庫内に弾性体を含む摺動部材を備えた摺動部材保持体を備えることにより、架設部に容器を架設して引き出した場合は架設部と摺動部材で接触して摺動し、架設部に架設物重量を超えた荷重が加わった場合は架設部と摺動部材保持体が面接触し、架設部の変形、破損を防ぐことが可能な冷凍庫を提供できる。
【実施例2】
【0024】
図7に実施例2における保冷庫100を示す。実施例2における保冷庫100は、実施例1と同様に断熱箱体101、冷却機500、架設部102、引き出し扉103、スライドレール104を備え、断熱箱体101は、ノズル挿入口105と、摺動部材200を備えた摺動部材保持体106を備える。実施例1と異なる点は、摺動部材保持体106の形状と、摺動部材200の構成である。摺動部材200はローラー203と圧縮コイルばね202で構成される。
【0025】
架設部102に何も架設されていないもしくは試薬容器301を架設した状態で引き出しを開閉した場合、架設部102と摺動部材200のローラー203で小さい抵抗で摺動する。アルミフィルム303を吸引ノズル401で突き破ると、摺動部材200の圧縮コイルばね202が縮み、架設部102と摺動部材保持体106が面接触する。そのため、架設部102の変形、破損を防ぐ効果がある。
【実施例3】
【0026】
図8に実施例3における保冷庫100を示す。実施例3における保冷庫100は、実施例1および実施例2と同様に断熱箱体101、冷却機500、架設部102、引き出し扉103、スライドレール104を備え、断熱箱体101は、ノズル挿入口105と、摺動部材200を備えた摺動部材保持体106を備える。実施例1および実施例2と異なる点は、摺動部材保持体106の形状と、摺動部材200の構成である。摺動部材200はローラー203と板ばね204で構成される。
【0027】
架設部102に何も架設されていないもしくは試薬容器301を架設した状態で引き出しを開閉した場合、架設部102と摺動部材200のローラー203で小さい抵抗で摺動する。アルミフィルム303を吸引ノズル401で突き破ると、摺動部材200の板ばね204が変形し、架設部102と摺動部材保持体106が面接触する。そのため、架設部102の変形、破損を防ぐ効果がある。
【実施例4】
【0028】
図9に実施例4における保冷庫100を示す。実施例4における保冷庫100は、実施例1から実施例3と同様に断熱箱体101、冷却機500、架設部102、引き出し扉103、スライドレール104を備え、断熱箱体101は、ノズル挿入口105と、摺動部材200を備えた摺動部材保持体106を備える。実施例1から実施例3と異なる点は、摺動部材保持体106の形状と、摺動部材200の構成である。摺動部材200は板ばね204で構成される。板ばね204は、架設部102と摺動する面を曲面とし、摺動抵抗を小さくする。
【0029】
架設部102に何も架設されていないもしくは試薬容器301を架設した状態で引き出しを開閉した場合、架設部102と摺動部材200の板ばね204の曲面で小さい抵抗で摺動する。アルミフィルム303を吸引ノズル401で突き破ると、摺動部材200の板ばね204が変形し、架設部102と摺動部材保持体106が面接触する。そのため、架設部102の変形、破損を防ぐ効果がある。
【実施例5】
【0030】
図10および図11に実施例5における保冷庫100を示す。実施例5における保冷庫100は、実施例1から実施例4と同様に断熱箱体101、冷却機500、架設部102、引き出し扉103、スライドレール104を備え、断熱箱体101は、ノズル挿入口105と、摺動部材200を備えた摺動部材保持体106を備える。実施例1から実施例4と異なる点は、断熱箱体101および架設部102の形状と、摺動部材200および摺動部材保持体106の配置である。
【0031】
実施例1から実施例4では、摺動部材200および摺動部材保持体106は断熱箱体101の内側両側面に配置していたが、実施例5では断熱箱体101の内側下面に配置している。それに伴い、架設部102は、試薬容器301の底との間に冷気の通り道を確保する形状としながら、摺動部材200と摺動できるように底部に形状を設けている。
【実施例6】
【0032】
図12に、本開示を用いた保冷庫100を搭載した分析装置の一例である核酸分析装置600を示す。核酸分析装置600は保冷庫100、吸引ノズル401、断熱箱体内の試薬容器301に吸引ノズル401を昇降させる昇降機構402、吸引ノズルで吸引される被保温液を送液する送液機構601、試薬容器と送液機構の間に設置されたフローセル602、フローセルの温度を調整する温調機構603、フローセルの内部を検出するための検出部604、XYステージ605、廃液タンク606を備える。
【0033】
吸引ノズル401は試薬容器301に保持される試薬を吸引する中空円筒形状の部品であり、試薬容器301の数だけある。
【0034】
昇降機構402は複数の吸引ノズル401を昇降させる機能を持つ。吸引ノズル401を下降させると試薬容器301の中に納まって試薬吸引が可能となり、吸引ノズル401を上昇させると保冷庫100の引き出しが開閉可能となる。
【0035】
分析のフローについて説明する。核酸分析装置600の電源を入れると同時に、保冷庫100の冷却が開始する。保冷庫100の引き出しを開け、試薬が入った試薬容器301を設置する。保冷庫100の引き出しを閉じると吸引ノズル401が昇降機構402によって下降する。その際、試薬容器301の上面に貼られたアルミフィルム303を突き破ることにより引き出しに荷重が掛かるが、実施例1から実施例5で説明した発明内容により保冷庫100の変形、破損は起こらない。送液機構601により、DNA断片が結合した流路を有するフローセル602に各反応試薬を送液する。温調機構603によってフローセル602を加熱および冷却をすることで、伸長反応をし、蛍光を発する。検出部604における蛍光検出と、XYステージ605によるフローセル602の移動を繰り返し、塩基配列の決定を行う。反応後余分なサンプルや試薬は、廃液タンク606に収容される。
【0036】
本実施例は核酸分析装置の例であるが、本発明は生化学分析装置など他の分析装置への適用が可能であり、核酸分析装置に限定するものではない。
【0037】
本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
100 保冷庫
101 断熱箱体
102 架設部
103 引き出し扉
104 スライドレール
105 ノズル挿入口
106 摺動部材保持体
200 摺動部材
201 ボール
202 圧縮コイルばね
203 ローラー
204 板ばね
301 試薬容器
302 試薬容器保持体
303 アルミフィルム
401 吸引ノズル
402 昇降機構
500 冷却機
501 熱電素子
502 冷却ヒートシンク
503 冷却ファン
504 放熱ヒートシンク
505 放熱ファン
600 核酸分析装置
601 送液機構
602 フローセル
603 温調機構
604 検出部
605 XYステージ
606 廃液タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12