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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】二次電池機能層用スラリーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/434 20210101AFI20230912BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20230912BHJP
【FI】
H01M50/434
H01M50/443 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020525489
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2019022447
(87)【国際公開番号】W WO2019244643
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2018116852
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】豊田 裕次郎
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195564(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/195563(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/002366(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/157899(WO,A1)
【文献】特開2014-229406(JP,A)
【文献】特開平08-041455(JP,A)
【文献】国際公開第2014/030507(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性無機粒子および水を含む組成物に対し、粉砕分散処理を施し分散液を得る工程を含み、さらに、
以下の二つの工程:
前記粉砕分散処理を施す工程の前に、前記非導電性無機粒子および前記水を、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤と混合して前記組成物を調製する工程と、
前記粉砕分散処理を施す工程の後に、前記分散液に、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤を添加する工程、
の少なくとも一方を含み、
前記粉砕分散処理前の組成物中の前記非導電性無機粒子の体積平均粒子径が、10μm以上120μm以下であり、前記粉砕分散処理後の分散液中の前記非導電性無機粒子の体積平均粒子径が、0.3μm以上1.5μm以下である、二次電池機能層用スラリーの製造方法。
【請求項2】
前記粉砕分散処理を施す工程の前に、前記非導電性無機粒子および前記水を、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤と混合して前記組成物を調製する工程と、
前記粉砕分散処理を施す工程の後に、前記分散液に、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤を添加する工程、
の双方を含む、請求項に記載の二次電池機能層用スラリーの製造方法。
【請求項3】
前記粉砕分散処理を高圧噴射式分散機により行う、請求項1または2に記載の二次電池機能層用スラリーの製造方法。
【請求項4】
前記非導電性無機粒子が、アルミナ粒子、ベーマイト粒子、および酸化チタン粒子からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1~の何れかに記載の二次電池機能層用スラリーの製造方法。
【請求項5】
前記二次電池機能層用スラリーの粘度が、1mPa・s以上30mPa・s以下である、請求項1~の何れかに記載の二次電池機能層用スラリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池機能層用スラリーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの二次電池は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そして、二次電池は、一般に、正極、負極、および、正極と負極とを隔離して正極と負極との間の短絡を防ぐセパレータなどの電池部材を備えている。
【0003】
このような二次電池の電池部材に、耐熱性、耐突き刺し性、および接着性などの機能を付与すべく、それら所期の機能を発現し得る層(以下、「機能層」という。)を付与することがある。例えば、電池部材の耐熱性や耐突き刺し性などを向上させるべく、アルミナ粒子などの非導電性無機粒子を含む機能層を用いることが従来から行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、機能層に用いられる非導電性無機粒子としてのアルミナ粒子は、例えば、原料を焼成してアルミナに変化させた後水の存在下でミリングしてスラリー化し、このスラリーを噴霧乾燥することで製造される。そして、噴霧乾燥して得られたアルミナ粒子を再度水中に投入し、分散させて得られた二次電池機能層用スラリーを、適切な基材に塗布し乾燥することで、アルミナ粒子を含む機能層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-134915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非導電性無機粒子を用いた上記従来の二次電池機能層用スラリーの製造方法には、非導電性無機粒子が水中に分散してなる二次電池機能層用スラリーを、一層効率良く製造することが求められていた。
そこで、本発明は、水中に非導電性無機粒子が良好に分散した二次電池機能層用スラリーを、効率良く製造する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そこで、本発明者は、上記従来の手法においては、アルミナ粒子を水中でミリング後に噴霧乾燥して再度水中で分散させている点に着目した。そして、本発明者は、アルミナ粒子などの非導電性無機粒子を、水中において粉砕しつつ同時に分散させる処理(粉砕分散処理)を行い、しかも粉砕分散処理の前後の少なくとも何れかに所定の分散剤を添加することで、水中で非導電性無機粒子が良好に分散した二次電池機能層用スラリーを、効率良く製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、非導電性無機粒子および水を含む組成物に対し、粉砕分散処理を施し分散液を得る工程を含み、さらに、以下の二つの工程:
前記粉砕分散処理を施す工程の前に、前記非導電性無機粒子および前記水を、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤と混合して前記組成物を調製する工程と、
前記粉砕分散処理を施す工程の後に、前記分散液に、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤を添加する工程、
の少なくとも一方を含むことを特徴とする。このように、非導電性無機粒子に水中で粉砕分散処理を行いつつ、粉砕分散処理の前後の少なくとも何れかのタイミングで上述した分散剤を添加すれば、水中に非導電性無機粒子が良好に分散した機能層用スラリーを、効率良く製造することができる。
なお、本発明において、「重量平均分子量」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0009】
ここで、本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、前記粉砕分散処理前の組成物中の前記非導電性無機粒子の体積平均粒子径が、10μm以上120μm以下であり、前記粉砕分散処理後の分散液中の前記非導電性無機粒子の体積平均粒子径が、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。非導電性無機粒子の粉砕分散処理前後の体積平均粒子径がそれぞれ上述した範囲内であれば、機能層用スラリーの製造効率を十分に確保しつつ、機能層用スラリーを用いて形成される機能層を備える二次電池の電池特性を向上させることができる。
なお、本発明において、「体積平均粒子径」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0010】
また、本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、
前記粉砕分散処理を施す工程の前に、前記非導電性無機粒子および前記水を、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤と混合して前記組成物を調製する工程と、
前記粉砕分散処理を施す工程の後に、前記分散液に、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤を添加する工程、
の双方を含むことが好ましい。このように、非導電性無機粒子に水中で粉砕分散処理を行いつつ、粉砕分散処理の前後の双方のタイミングで上述した分散剤を添加すれば、水中に非導電性無機粒子が十分良好に分散した機能層用スラリーを、効率良く製造することができる。また、粉砕分散処理後の分散剤の添加は、分散処理後に得られる分散液中における非導電性無機粒子の分散状態を確認してから、必要に応じて分散剤を追加できるといった利点がある。
【0011】
そして、本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、前記粉砕分散処理を高圧噴射式分散機により行うことが好ましい。高圧噴射式分散機を用いて粉砕分散処理を行えば、水中で非導電性無機粒子が一層良好に分散した機能層用スラリーを製造することができる。
【0012】
なお、本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、前記非導電性無機粒子が、アルミナ粒子、ベーマイト粒子、および酸化チタン粒子からなる群から選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0013】
更に、本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、前記二次電池機能層用スラリーの粘度が、1mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましい。得られる機能層用スラリーの粘度が上述した範囲内であれば、当該機能層用スラリーを用いて、平滑性に優れる機能層を形成することができる。
なお、本発明において、「粘度」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法によれば、水中に非導電性無機粒子が良好に分散した二次電池機能層用スラリーを、効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法は、二次電池の電極やセパレータなどの電池部材を構成する機能層の形成に用いる、二次電池機能層用スラリーを製造する際に用いることができる。
【0016】
そして、本発明の製造方法を用いれば、水中に非導電性無機粒子が良好に分散した二次電池機能層用スラリーを、効率良く製造することができる。
【0017】
(二次電池機能層用スラリーの材料)
ここで、本発明の製造方法においては、機能層用スラリーの材料として、非導電性無機粒子、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤、および水を用いる。また、機能層用スラリーの材料としては、上述した非導電性無機粒子、所定の分散剤、および水以外の材料(その他の材料)を用いてもよい。そして、本発明の製造方法により製造される機能層用スラリーは、非導電性無機粒子、所定の分散剤、および水を含み、任意に、その他の材料(成分)を含んでいていてもよい。
【0018】
<非導電性無機粒子>
非導電性無機粒子は、二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的に安定である無機材料からなる粒子であれば特に限定されない。非導電性無機粒子としては、例えば、アルミナ粒子、ベーマイト粒子、酸化チタン粒子、酸化マグネシウム粒子、水酸化マグネシウム粒子が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。そして、これらの中でも、アルミナ粒子、ベーマイト粒子、酸化チタン粒子が好ましい。
【0019】
<分散剤>
分散剤としては、スルホン酸基を有し、且つ重量平均分子量が1000以上15000以下である重合体を使用する。
重合体である分散剤がスルホン酸基を有することで、分散剤が非導電性無機粒子に良好に吸着して、非導電性無機粒子を水中で良好に分散させることができる。ここで、重合体である分散剤にスルホン酸基を導入する方法は特に限定されず、スルホン酸基含有単量体を含む単量体組成物を重合してスルホン酸基を有する重合体を製造してもよいし、スルホン酸基を有さない重合体に、公知の変性反応によりスルホン酸基を導入してもよいが、前者が好ましい。換言すると、分散剤は、スルホン酸基含有単量体単位を含む重合体であることが好ましい。
なお、本発明において、「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の繰り返し単位が含まれている」ことを意味する。
【0020】
<<スルホン酸基含有単量体単位>>
分散剤の一例であるスルホン酸基含有単量体単位を含む重合体のスルホン酸基含有単量体単位を形成しうるスルホン酸基含有単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、2-(N-アクリロイル)アミノ-2-メチル-1,3-プロパン-ジスルホン酸が挙げられる。これらのスルホン酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、スルホン酸基含有単量体はナトリウム塩などの塩の状態で用いてもよい。そして、これらの中でも、3-アリロキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、2-(N-アクリロイル)アミノ-2-メチル-1,3-プロパン-ジスルホン酸が好ましい。
なお、本発明において「(メタ)アリル」とは、アリルおよび/またはメタリルを意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0021】
<<その他の単量体単位>>
分散剤の一例であるスルホン酸基含有単量体単位を含む重合体は、スルホン酸基含有単量体単位以外の単量体単位(その他の単量体単位)を含むことができる。
その他の単量体単位としては、上述したスルホン酸基含有単量体と共重合可能な単量体から形成される単量体単位であれば特に限定されないが、例えば、カルボン酸基含有単量体単位、リン酸基含有単量体単位を挙げることができる。
【0022】
カルボン酸基含有単量体単位を形成しうるカルボン酸基含有単量体としては、モノカルボン酸およびその誘導体や、ジカルボン酸およびその酸無水物並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸が挙げられる。
モノカルボン酸誘導体としては、例えば、2-エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α-アセトキシアクリル酸、β-trans-アリールオキシアクリル酸、α-クロロ-β-E-メトキシアクリル酸、β-ジアミノアクリル酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。
ジカルボン酸誘導体としては、例えば、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸や、マレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸エステルが挙げられる。
ジカルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸が挙げられる。
また、カルボン酸基含有単量体としては、加水分解によりカルボン酸基を生成する酸無水物も使用できる。
その他、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチルなどのα,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノエステルおよびジエステルも挙げられる。
これらのカルボン酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、カルボン酸基含有単量体はナトリウム塩などの塩の状態で用いてもよい。
【0023】
リン酸基含有単量体単位を形成しうるリン酸基含有単量体としては、例えば、リン酸-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル-(メタ)アクリロイルオキシエチルが挙げられる。
これらのリン酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、リン酸基含有単量体はナトリウム塩などの塩の状態で用いてもよい。
なお、本発明において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
【0024】
そして、非導電性無機粒子を水中で一層良好に分散させる観点から、重合体は、スルホン酸基に加え、カルボン酸基を有することが好ましく、例えば、重合体は、スルホン酸基含有単量体単位に加え、カルボン酸基含有単量体単位を含むことが好ましい。
ここで、重合体がスルホン酸基含有単量体単位とカルボン酸基含有単量体単位の双方を含む場合、重合体中のカルボン酸基含有単量体単位の含有割合に対するスルホン酸基含有単量体単位の含有割合の比(スルホン酸基/カルボン酸基単量体比)は、質量基準で、好ましくは1/999以上、より好ましくは0.01以上であり、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下である。カルボン酸基/スルホン酸基単量体比が1/999以上であれば、分散剤の使用による機能層用スラリー過度な粘度上昇が抑制され、1以下であれば、分散剤が非導電性無機粒子により良好に吸着しうるため、非導電性無機粒子を水中でより一層良好に分散させることができる。
【0025】
また、分散剤として、スルホン酸基含有単量体単位とカルボン酸基含有単量体単位の双方を含む重合体を用いる場合、重合体中のスルホン酸基含有単量体単位の含有割合とカルボン酸基含有単量体単位の含有割合の合計は、重合体中の全単量体単位を100質量%として、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
なお、スルホン酸基含有単量体単位を含む重合体は、既知の方法で重合することができる。
【0026】
<<重量平均分子量>>
ここで、重合体である分散剤の重量平均分子量は、1000以上15000以下であることが必要であり、3000以上であることが好ましく、4000以上であることがより好ましく、6000以上であることが更に好ましく、12000以下であることが好ましい。分散剤の重量平均分子量が1000未満であると、非導電性無機粒子に吸着した分散剤の立体障害の効果が小さくなり非導電性無機粒子同士の凝集が起きやすくなる。そのため、非導電性無機粒子が水中に良好に分散した機能層用スラリーを得ることができない。一方、分散剤の重量平均分子量が15000超であると、分散剤が非導電性無機粒子に良好に吸着することができず、非導電性無機粒子が水中で良好に分散した機能層用スラリーを得ることができない。また、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層の耐熱収縮性が低下する。
【0027】
<<水溶性>>
そして、重合体である分散剤は、水溶性であること(即ち、水溶性重合体であること)が好ましい。分散剤として水溶性重合体を用いれば、非導電性無機粒子を水中で一層良好に分散させることができる。
なお、本発明において、重合体が「水溶性」であるとは、25℃において重合体0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が0.5質量%未満であることをいう。
【0028】
<<添加量>>
ここで、分散剤の添加量は、非導電性無機粒子100質量部当たり、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0,5質量部以上であることが更に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。分散剤の添加量が、非導電性無機粒子100質量部当たり0.05質量部以上であれば、非導電性無機粒子に吸着した分散剤の立体障害の効果が大きくなり非導電性無機粒子同士の凝集が一層起き難くなる。そのため、非導電性無機粒子が水中に一層良好に分散した機能層用スラリーを得ることができる。更には、得られた機能層用スラリーを長期保管して凝集物が生成した場合であっても、再分散処理を施すことで、機能層用スラリーの良好な分散状態を復元することができる(すなわち、機能層用スラリーが再分散性に優れる)。一方、分散剤の添加量が、非導電性無機粒子100質量部当たり5質量部以下であれば、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層への持ち込み水分量が過度に高まることもなく、当該機能層を備える二次電池の電池特性を十分に確保することができる。
なお、本発明において、「分散剤の添加量」は、機能層用スラリーを製造するに際し、機能層用スラリーの材料として添加する分散剤の総量を意味し、例えば、非導電性無機粒子および水を含む組成物の調製時に添加する分散剤の量と、組成物に粉砕分散処理を施し得られる分散液に添加する分散剤の量の合計である。すなわち、分散剤の添加工程として、後述する前添加工程のみで全分散剤の添加を実施する場合は、「分散剤の添加量」は前添加工程における添加量に相当し、後述する後添加工程のみで全分散剤の添加を実施する場合は、「分散剤の添加量」は後添加工程における添加量に相当し、前添加工程と後添加工程のみで全分散剤の添加の実施する場合は、「分散剤の添加量」は、前添加工程における添加量および後添加工程における添加量の合計に相当する。
【0029】
<その他の材料>
機能層用スラリーの材料として任意に用いうる、上述した非導電性無機粒子および所定の分散剤、並びに水以外の材料としては、特に限定されず、二次電池の機能層に含まれうる既知の成分が挙げられる。このような成分としては、例えば、結着材、増粘剤、濡れ剤が挙げられる。
【0030】
<<結着材>>
結着材としては、特に限定されることなく、既知の粒子状重合体(粒子状結着材)、例えば、熱可塑性エラストマーが挙げられる。そして、熱可塑性エラストマーとしては、結着力の観点から、共役ジエン系重合体およびアクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がより好ましい。
なお、本発明において、「粒子状重合体」は、通常、非水溶性の重合体からなる。ここで、重合体が「非水溶性」であるとは、25℃において重合体0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が90質量%以上となることを指す。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン単量体単位を含む重合体を指す。そして、共役ジエン系重合体の具体例としては、特に限定されることなく、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む共重合体、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム(NBR)(アクリロニトリル単位およびブタジエン単位を含む共重合体)、並びに、それらの水素化物などが挙げられる。
また、アクリル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体を指す。ここで、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2-エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができる。なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
これらの結着材は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
そして、結着材として好ましく使用し得るアクリル系重合体は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むことがさらに好ましい。これにより、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層の強度を高めることができる。なお、本発明において、(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルを意味する。
【0032】
ここで、結着材の添加量は、非導電性無機粒子100質量部当たり、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが更に好ましく、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に好ましい。結着材の添加量が、非導電性無機粒子100質量部当たり1質量部以上であれば、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層から非導電性無機粒子が脱落するのを十分に防止するとともに、当該機能層を備える電池部材のピール強度を高めることができる。一方、結着材の添加量が、非導電性無機粒子100質量部当たり20質量部以下であれば、二次電池の内部抵抗の過度な上昇を防ぎ、電池特性を十分に確保することができる。
【0033】
なお、結着材として使用し得る上述した重合体の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。中でも、水中で重合をすることができ結着材を含む水分散液をそのまま機能層用スラリーの材料として好適に使用できるので、乳化重合法および懸濁重合法が好ましい。
【0034】
<<増粘剤>>
増粘剤としては、特に限定されず既知の増粘剤を使用することができるが、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層の耐熱収縮性を高める観点から、例えば、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、並びに、ポリアクリルアミド等の水溶性重合体(上述した分散剤に該当するものを除く)が好ましい。
そして、増粘剤の添加量は、非導電性無機粒子100質量部当たり、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが更に好ましく、10質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。増粘剤の添加量が、非導電性無機粒子100質量部当たり0.1質量部以上であれば、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層の耐熱収縮性を高めることができ、一方、10質量部以下であれば、得られる機能層用スラリーを用いて平滑性に優れる機能層を形成することができる。
【0035】
<<濡れ剤>>
濡れ剤としては、特に限定されず既知の濡れ剤を使用することができるが、得られる機能層用スラリーを用いて平滑性に優れる機能層を形成する観点から、ノニオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤が好ましく、中でも、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体などのノニオン性界面活性剤が好ましい。
そして、濡れ剤の添加量は、非導電性無機粒子100質量部当たり、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.15質量部以上であることが更に好ましく、2質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。濡れ剤の添加量が、非導電性無機粒子100質量部当たり0.05質量部以上であれば、得られる機能層用スラリーの基材との濡れ性を確保して、ハジキの発生を抑制することができ、一方、2質量部以下であれば、二次電池の内部抵抗の過度な上昇を防ぎ、電池特性を十分に確保することができる。
【0036】
(二次電池機能層用スラリーの製造手順)
ここで、本発明の製造方法では、上述した材料を用いた所定の手順を経て、二次電池機能層用スラリーを製造する。
具体的に、本発明の製造方法は、非導電性無機粒子および水を含む組成物に対し、粉砕分散処理を施し分散液を得る工程(粉砕分散工程)を備えることを必要とし、さらには、以下の二つの工程:
上記粉砕分散工程の前に、非導電性無機粒子と、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤と、水とを混合して組成物を調製する工程(前添加工程)、
上記粉砕分散工程の後に、得られた分散液に対してスルホン酸基を有し重量平均分子量が1000以上15000以下である分散剤を添加する工程(後添加工程)、
の少なくとも一方を備えることを必要とする。そして、本発明の製造方法は、上述した粉砕分散工程、並びに前添加工程および後添加工程以外の工程(その他の工程)を備えていてもよい。
【0037】
<前添加工程>
前添加工程では、粉砕分散処理工程に先んじて所定の分散剤を添加して、続く粉砕分散処理工程における粉砕分散処理対象として、非導電性無機粒子および水に加え、所定の分散剤を含む組成物を調製する。
非導電性無機粒子、所定の分散剤、および水を混合して組成物を調製する方法は特に限定されないが、これらの成分を同時に混合してもよいし、所定の分散剤を含む水溶液を用いる場合は、当該水溶液に更に水で希釈した後、得られた希釈液に非導電性無機粒子を添加してもよい。
【0038】
<粉砕分散工程>
粉砕分散工程では、組成物中に含まれる非導電性無機粒子を粉砕して微粒化しつつ水中に分散させて(すなわち、組成物に粉砕分散処理を施して)、分散液を得る。なお、本発明の製造方法においては、粉砕分散処理中の組成物に分散剤を添加することもできる。
【0039】
<<分散処理に用いる装置>>
粉砕分散工程の粉砕分散処理に用いる装置は、非導電性無機粒子を粉砕しつつ水中に分散可能な装置であれば特に限定されず、例えば、メディア型分散機、メディアレス型分散機などの既知の分散機を使用することができる。
ここで、メディア型分散機としては、例えば、ビーズミルや、ボールミルが挙げられる。
また、メディアレス型分散機としては、例えば、ジェットミル等の高圧噴射式分散機(加圧した処理対象を衝突板に衝突させるか、加圧した処理対象同士を衝突させることで粉砕および分散を行う装置)や、ホモジナイザーが挙げられる。
なお、高圧噴射式分散機の具体例としては、スターバースト(登録商標、スギノマシン社製)、超高圧湿式微粒化装置(吉田工業社製)、ナノジェットパル(登録商標、常光社製)、G-smasher(リックス社製)、ナノマイザー(登録商標、ナノマイザー社製)が挙げられる。
そしてこれらの中でも、分散メディア(ビーズ、ボールなど)の摩耗や破損による分散液への異物混入を防ぐ観点からは、メディアレス型分散機を用いることが好ましい。
更にメディアレス型分散機の中でも、非導電性無機粒子が一層良好に分散した機能層用スラリーを得る観点からは、高圧噴射式分散機がより好ましく、その上、衝突板の摩耗や破損による分散液への異物混入を防ぐ観点からは、加圧した処理対象同士を衝突させることで粉砕および分散を行う高圧噴射式分散機が特に好ましい。
【0040】
そして、高圧噴射式分散機を用いた粉砕分散処理において、処理対象としての、非導電性無機粒子、水、および任意に所定の分散剤を含む組成物に負荷する圧力は、70MPa以上であることが好ましく、150MPa以上であることがより好ましく、700MPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがより好ましく、245MPa以下であることが更に好ましい。組成物に負荷する圧力が70MPa以上であれば、非導電性無機粒子の粉砕を十分に進行させることができる。そのため、得られる機能層用スラリー中の粗大成分量を低減して、当該機能層用スラリーを用いて機能層を形成した場合の機能層の破膜を抑制して電極の短絡を十分に防止することができる。一方、組成物に負荷する圧力が700MPa以下であれば、非導電性無機粒子が適度に粉砕され、比表面積が過度に上昇することもない。そのため、得られる機能層用スラリー中において、分散剤量の不足による非導電性無機粒子の分散状態悪化が抑制され、機能層用スラリーの増粘や凝集を防ぐことができる。
【0041】
<<粉砕分散処理前後の非導電性無機粒子の性状>>
ここで、粉砕分散処理前における非導電性無機粒子(即ち、組成物中の非導電性無機粒子)は、体積平均粒子径が、120μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。機能層用スラリーを調製する材料として、体積平均粒子径が120μm以下の非導電性無機粒子を用いれば、粉砕分散処理に過度な時間を要することもなく、機能層用スラリーの生産効率を十分に確保することができる。一方、粉砕分散処理前における非導電性無機粒子の体積平均粒子径の下限は、粉体としての取り扱い性を十分に確保して粉砕分散工程を良好に実施する観点から、10μm以上であることが好ましく、35μm以上であることがより好ましい。
【0042】
また、粉砕分散処理前における非導電性無機粒子は、比表面積が4g/m以下であることが好ましく、3.5g/m以下であることがより好ましい。機能層用スラリーを調製する材料として、比表面積が4g/m以下の非導電性無機粒子を用いれば、得られる機能層用スラリー中において、分散剤量の不足による非導電性無機粒子の分散状態悪化が抑制され、機能層用スラリーの増粘や凝集を防ぐことができる。一方、粉砕分散処理前における非導電性無機粒子の比表面積の下限は特に限定されないが、例えば1g/m以上であり、例えば1.5g/m以上である。
なお、本発明において、「比表面積」は、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
【0043】
そして、粉砕分散処理後における非導電性無機粒子(即ち、分散液中の非導電性無機粒子)は、体積平均粒子径が、0.3μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが更に好ましく、0.6μm以上であることが特に好ましく、1.5μm以下であることが好ましく、1.4μm以下であることがより好ましく、1.3μm以下であることが更に好ましい。粉砕分散処理後における非導電性無機粒子の体積平均粒子径が0.3μm以上であれば、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層の密度が過度に上昇することもない。そのため、当該機能層を備える電池部材を用いた二次電池において、機能層を備える電池部材(特にはセパレータ)のイオン透過性を確保して、電池特性を向上させることができる。一方、粉砕分散処理後における非導電性無機粒子の体積平均粒子径が1.5μm以下であれば、得られる機能層用スラリーを用いて形成される機能層中で非導電性無機粒子を均一に分散させることができる。そのため、当該機能層を備える電池部材を用いた二次電池の電池特性を向上させることができる。
【0044】
<後添加工程>
前添加工程では、上述した粉砕分散処理工程で得られる分散液に、所定の分散剤を添加する。分散剤を添加した分散液は、既知の方法で混合することが好ましい。
なお、上述した通り、本発明の製造方法は、前添加工程と、後添加工程の少なくとも一方を備えればよいが、後添加工程は、分散処理後に得られる分散液中における非導電性無機粒子の分散状態を確認してから、必要に応じて分散剤を追加できるといった利点がある。また、本発明の製造方法が、前添加工程と後添加工程の双方を備えれば、水中に非導電性無機粒子が十分良好に分散した機能層用スラリーを、効率良く製造することができる。
ここで、分散剤を前添加工程と後添加工程で分割して添加する場合、前添加工程での分散剤の添加量は、非導電性無機粒子100質量部当たり、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.15質量部以上であることが更に好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。また、分散剤を前添加工程と後添加工程で分割して添加する場合、後添加工程での分散剤の添加量は、非導電性無機粒子100質量部当たり、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.15質量部以上であることが更に好ましく、0.2質量部以上であることが特に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。
そして、分散剤を前添加工程と後添加工程で分割して添加する場合、前添加工程での分散剤の添加量は、分散剤の総添加量(例えば、前添加工程での分散剤の添加量と後添加工程での分散剤の添加量の合計)を100質量%として、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
【0045】
<その他の工程>
その他の工程としては、特に限定されないが、例えば、上述した粉砕分散工程、並びに、前添加工程および/または後添加工程を経て製造される分散液に、上述したその他の材料を添加する工程(調製工程)、粗大成分を除去する工程(粗大成分除去工程)、磁性物質を除去する工程(磁性物質除去工程)などが挙げられる。
なお、上述したその他の材料(結着材、増粘剤、濡れ剤など)は、例えば前添加工程および/または後添加工程で分散剤と共に添加することもできるが、分散剤を非導電性無機粒子に良好に吸着させて、得られる機能層用スラリー中で非導電性無機粒子を一層良好に分散させる観点から、その他の材料の添加は調製工程のみで行うこと(換言すると、その他の材料の添加は、分散剤の添加の後に行い、粉砕分散工程、前添加工程、および後添加工程では行わないこと)が好ましい。
また、粗大成分除去工程や、磁性物質除去工程は、何れも既知の手法を用いて実施することができる。
【0046】
(二次電池機能層用スラリー)
上述のようにして得られる機能層用スラリーの粘度は、1mPa・s以上であることが好ましく、5mPa・s以上であることがより好ましく、10mPa・s以上であることが更に好ましく、30mPa・s以下であることが好ましい。機能層用スラリーの粘度が1mPa・s以上であれば、当該スラリーを塗布する際の固液分離を抑制して、塗布層の層厚のばらつきを抑えることができ、30mPa・s以下であれば、機能層用スラリーのレベリング性が確保される。従って、上述した範囲内の粘度を有する機能層用スラリーを用いれば、平滑性に優れる機能層を形成することができる。
【0047】
また、機能層用スラリーの固形分濃度は、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。機能層用スラリーの固形分濃度が20質量%以上であれば、当該スラリーの保存安定性を確保することができる。一方、機能層用スラリーの固形分濃度が60質量%以下であれば、当該スラリーのレベリング性を確保して、平滑性に優れる機能層を形成することができる。
【0048】
得られた二次電気機能層用スラリーを、適切な基材(例えば、電極基材、セパレータ基材、離型基材)に塗布し、乾燥することで、機能層を形成することができる。このような基材としては、既知の基材、例えば特開2017-134915号公報に記載されたものを用いることができる。
そして、得られた機能層を備える二次電池を用い、既知の方法で二次電池を組み立てることができる。
【実施例
【0049】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、複数種類の単量体を共重合して製造される重合体において、ある単量体を重合して形成される単量体単位の前記重合体における割合は、別に断らない限り、通常は、その重合体の重合に用いる全単量体に占める当該ある単量体の比率(仕込み比)と一致する。
【0050】
そして、実施例および比較例において、非導電性無機粒子の体積平均粒子径および比表面積、分散剤の重量平均分子量、二次電池機能層用スラリーの粘度、635メッシュを通過させた際のメッシュ残渣量(非導電性無機粒子の分散性)、ジルコニウム量、並びに、セパレータの耐熱収縮性、ピール強度、および機能層形成によるガーレー値増加率は、下記の方法で測定および評価した。
【0051】
<体積平均粒子径>
イオン交換水を供給したフローセル内に、組成物(粉砕分散処理前)と分散液(粉砕分散処理後)を、それぞれ散乱強度が50%程度になるように滴下し、超音波分散した後、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所製、「SALD-7100」)により粒子径分布(体積基準)を測定した。そして、測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を、非導電性無機粒子の体積平均粒子径(D50)とした。
<比表面積>
湿式比表面積測定装置(島津製作所製、「フローソーブIII 2305」)を用いて、非導電性無機粒子のBET比表面積を測定した。
<重量平均分子量>
分散剤の重量平均分子量を、濃度10mMのLiBr-NMP溶液を使用し、下記の測定条件でゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
・分離カラム:Shodex KD-806M(昭和電工株式会社製)
・検出器:示差屈折計検出器 RID-10A(株式会社島津製作所製)
・溶離液の流速:0.3mL/分
・カラム温度:40℃
・標準ポリマー:TSK 標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
<粘度>
機能層用スラリーの粘度は、B型粘度計を使用し、JIS K7117-1に準拠して、温度25℃、回転数60rpmの条件下で測定した。
<メッシュ残渣量>
機能層用スラリー1kgを635メッシュSUS金網でろ過した。次いで、金網上の捕集物をイオン交換水で洗浄した後に、105℃で1時間乾燥し、乾燥後の捕集物が付着した金網を秤量して、以下の式によりメッシュ残渣量を算出した。
メッシュ残渣量(質量ppm)=(a-b)/(c×d/100)×1000000
a:乾燥後の捕集物が付着した金網の質量(g)
b:金網の質量(g)
c:機能層用スラリーの質量(g)
d:機能層用スラリーの固形分濃度(質量%)
そして、求めたメッシュ残渣量を用いて、下記の基準で評価した。メッシュ残渣量が少ないほど、凝集物が少なく、得られた機能層用スラリー中で非導電性無機粒子が良好に分散していることを示す。
A:メッシュ残渣量が50質量ppm未満
B:メッシュ残渣量が50質量ppm以上150質量ppm未満
C:メッシュ残渣量が150質量ppm以上450質量ppm未満
D:メッシュ残渣量が450質量ppm以上
<ジルコニウム量>
機能層用スラリーをPTTE内部小容器に少量取り、約150℃のホットプレート上で乾固させた。次いで、この容器に、蒸留水5ml、硝酸2.5ml、および硫酸2.5mlを入れ、容器の内容物(乾固物、蒸留水、硝酸、硫酸)を加圧分解容器に移して、230℃の乾燥機中で1夜間(約10時間)放置し、乾固物を溶解させた。そして、ICP-AESを用いて、乾固物が溶解した溶液中のジルコニウムイオンの量を測定して、機能層用スラリー中に含まれるジルコニウム量(質量ppm)を固形分質量基準で算出した。
<耐熱収縮性>
機能層用スラリーを、セパレータ基材(ポリエチレン製、厚み:12μm)の片面に塗布し、50℃で3分間乾燥させて、セパレータ基材上に機能層(厚み:4μm)を備えるセパレータを得た。
得られた機能層を備えるセパレータを、12cm×12cmの正方形に切り出し、かかる正方形の内部に1辺が10cmの正方形を描いて試験片とした。そして、試験片を130℃の恒温槽に入れて1時間放置した後、内部に描いた正方形の面積変化(={(放置前の正方形の面積-放置後の正方形の面積)/放置前の正方形の面積}×100%)を熱収縮率として求め、以下の基準で評価した。この熱収縮率が小さいほど、機能層の保護機能が高く、機能層を備えるセパレータの耐熱収縮性が優れていることを示す。
A:熱収縮率が1%未満
B:熱収縮率が1%以上5%未満
C:熱収縮率が5%以上10%未満
D:熱収縮率が10%以上
<ピール強度>
機能層用スラリーを、セパレータ基材(ポリエチレン製、厚み:12μm)の片面に塗布し、50℃で3分間乾燥させて、セパレータ基材上に機能層(厚み:4μm)を備えるセパレータを得た。
得られた機能層を備えるセパレータを長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とし、機能層表面を下にして機能層表面にセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付け、セパレータ基材の一端を垂直方向に引張り速度10mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した(なお、セロハンテープは試験台に固定されている。)。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、下記の基準で評価した。ピール強度が大きいほど、機能層がセパレータ基材と強固に接着していることを示す。
A:ピール強度が100N/m以上
B:ピール強度が75N/m以上100N/m未満
C:ピール強度が50N/m以上75N/m未満
D:ピール強度が50N/m未満
<機能層形成によるガーレー値増加率>
機能層を形成していないセパレータ基材のガーレー値G0(sec/100cc)を、ガーレー測定器(熊谷理機工業製、「SMOOTH&POROSITY METER」、測定径:φ2.9cm)を用いて測定した。
次いで、機能層用スラリーを、セパレータ基材(ポリエチレン製、厚み:12μm)の片面に塗布し、50℃で3分間乾燥させて、セパレータ基材上に機能層(厚み:4μm)を備えるセパレータを得た。
得られた機能層を備えるセパレータのガーレー値G1を、G0と同様にして測定した。そして、ガーレー値増加率(%)=(G1-G0)/G0×100を算出し、下記の基準で評価した。ガーレー値増加率が低いほど、機能層を備えるセパレータがイオン透過性に優れ、優れた電池特性(特にレート特性)を確保し易いことを示す。
A:ガーレー値増加率が1%以上15%未満
B:ガーレー値増加率が15%以上25%未満
C:ガーレー値増加率が25%以上35%未満
D:ガーレー値増加率が35%以上
【0052】
(実施例1)
<分散剤の調製>
攪拌機、還流冷却管および温度計を備えたSUS製セパラブルフラスコに、脱塩水249部を予め仕込み、90℃にて攪拌しながら、カルボン酸基含有単量体であるアクリル酸のナトリウム塩の水溶液286部(濃度35%、固形分100部)、スルホン酸基含有単量体である3-アリロキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸のナトリウム塩の水溶液250部(濃度40%、固形分100部)と、重合開始剤である過硫酸アンモニウムの水溶液(濃度5%)200部とを、それぞれ別々に3.5時間かけて滴下した。全ての滴下を終了後、さらに30分間にわたって沸点還流状態を維持して重合を完結させ、水溶性重合体(ポリカルボン酸・スルホン酸共重合体のナトリウム塩)を得た。得られた水溶性重合体の重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
<結着材の調製>
攪拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、「エマール2F」)0.15部、および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部を供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器にイオン交換水50部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、そして(メタ)アクリロニトリル単量体としてアクリロニトリル2部、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてブチルアクリレート93.8部、メタクリル酸2部、アリルグリシジルエーテル1部、N-メチロールアクリルアミド1.2部、およびキレート剤としてエチレンジアミン4酢酸ナトリウム4水和物(キレスト社製、「キレスト400G」)0.15部を混合して、単量体組成物を得た。この単量体組成物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して、重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加の終了後、さらに70℃で3時間攪拌してから反応を終了し、粒子状の結着材(アクリル系重合体)の水分散液を調製した。
<前添加工程>
イオン交換水に、上述した分散剤0.5部(分散剤の固形分相当量)を添加し、その後、非導電性無機粒子としてのα-アルミナ粒子(住友化学社製、「A-26」)100部を加え混合し、得られた混合液に対して電気伝導度が10μS/cmの水を添加して、α-アルミナ粒子と、分散剤と、水を含む組成物を得た。
<粉砕分散工程>
前添加工程で得られた組成物に対し、加圧した処理対象同士を衝突させることで粉砕および分散を行う高圧噴射式分散機(スギノマシン社製、「サンバースト」、処理能力:300L/時)を用いて、圧力:245MPa、流量:200L/時、パス回数:3回、の条件で粉砕分散処理を施し、分散液を得た。
<調製工程>
粉砕分散工程で得られた分散液を、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の4%水溶液12.5部(増粘剤の固形分相当量で0.5部)と混合し、得られた混合液に、結着材(アクリル系重合体)の水分散液13.3部(結着材の固形分相当量で6部)と、濡れ剤としてのノニオン性界面活性剤の水溶液0.5部(濡れ剤の固形分相当量)を添加し混合することで、調製液を得た。
<磁性物質除去工程>
調製工程で得られた調製液から、室温、磁束密度10000ガウスの条件でマグネットフィルター(トックエンジニアリング社製)により磁性物質を除去し、二次電池機能層用スラリーを得た。得られた二次電池機能層用スラリーについて、粘度、メッシュ残渣量、ジルコニウム量、並びに、セパレータの耐熱収縮性、ピール強度、および機能層形成によるガーレー値増加率を測定および評価した。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例2)
粉砕分散工程を以下のようにして実施した以外は、実施例1と同様にして分散剤および結着材を調製し、前添加工程、調製工程、粗大成分除去工程および磁性物質除去工程を実施して二次電池機能層用スラリーを得た。そして実施例1と同様にして各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
<粉砕分散工程>
前添加工程で得られた組成物に対し、ビーズミル(アシザワファインテック社製、「スターミル LMZ2」)を用いて、ビーズ径:0.3mmφ、周速:13m/秒、流量:2L/分、パス回数:20回の条件で粉砕分散処理を施し、分散液を得た。
【0054】
(実施例3)
粉砕分散工程の際に、高圧噴射式分散機の圧力を70MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして分散剤および結着材を調製し、前添加工程、粉砕分散工程、調製工程、粗大成分除去工程および磁性物質除去工程を実施して二次電池機能層用スラリーを得た。そして実施例1と同様にして各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例4)
分散剤の調製の際に、重合開始剤である過硫酸アンモニウムの水溶液(濃度5%)の量を200部から400部に変更して分散剤の重量平均分子量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして分散剤および結着材を調製し、前添加工程、粉砕分散工程、調製工程、粗大成分除去工程および磁性物質除去工程を実施して二次電池機能層用スラリーを得た。そして実施例1と同様にして各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
(実施例5)
<分散剤の調製>
実施例1と同様にして、水溶性重合体(ポリカルボン酸・スルホン酸共重合体のナトリウム塩)を調製した。
<結着材の調製>
実施例1と同様にして、粒子状の結着材(アクリル系重合体)の水分散液を調製した。
<組成物の調製>
イオン交換水に、非導電性無機粒子としてのα-アルミナ粒子(住友化学社製、「A-26」)100部を加え混合し、更に電気伝導度が10μS/cmの水を添加して、α-アルミナ粒子と水を含む組成物を得た。
<粉砕分散工程>
上記で得られた組成物に対し、加圧した処理対象同士を衝突させることで粉砕および分散を行う高圧噴射式分散機(スギノマシン社製、「サンバースト」、処理能力:300L/時)を用いて、圧力:245MPa、流量:200L/時、パス回数:3回、の条件で粉砕分散処理を施し、分散液を得た。
<後添加工程>
粉砕分散工程で得られた分散液に、上述した分散剤0.5部(分散剤の固形分相当量)を添加し、攪拌した。
<調製工程および磁性物質除去工程>
上述の後添加工程で分散剤が添加された分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして調製液を得た。そして、得られた調製液から、実施例1と同様にして磁性物質を除去し、二次電池機能層用スラリーを得て、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例6)
<分散剤の調製>
実施例1と同様にして、水溶性重合体(ポリカルボン酸・スルホン酸共重合体のナトリウム塩)を調製した。
<結着材の調製>
実施例1と同様にして、粒子状の結着材(アクリル系重合体)の水分散液を調製した。
<前添加工程>
イオン交換水に、上述した分散剤0.3部(分散剤の固形分相当量)を添加し、その後、非導電性無機粒子としてのα-アルミナ粒子(住友化学社製、「A-26」)100部を加え混合し、得られた混合液に対して電気伝導度が10μS/cmの水を添加して、α-アルミナ粒子と、分散剤と、水を含む組成物を得た。
<粉砕分散工程>
前添加工程で得られた組成物に対し、加圧した処理対象同士を衝突させることで粉砕および分散を行う高圧噴射式分散機(スギノマシン社製、「サンバースト」、処理能力:300L/時)を用いて、圧力:245MPa、流量:200L/時、パス回数:3回、の条件で粉砕分散処理を施し、分散液を得た。
<後添加工程>
粉砕分散工程で得られた分散液に、上述した分散剤0.2部(分散剤の固形分相当量)を添加し、攪拌した。
<調製工程および磁性物質除去工程>
上述の後添加工程で分散剤が添加された分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして調製液を得た。そして、得られた調製液から、実施例1と同様にして磁性物質を除去し、二次電池機能層用スラリーを得て、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
分散剤の調製の際に、重合開始剤である過硫酸アンモニウムの水溶液(濃度5%)の量を200部から100部に変更して分散剤の重量平均分子量を表1のように変更した以外は、実施例3と同様にして分散剤および結着材を調製し、前添加工程、粉砕分散工程、調製工程、粗大成分除去工程および磁性物質除去工程を実施して二次電池機能層用スラリーを得た。そして実施例1と同様にして各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。
【0059】
なお、以下に示す表1中、
「無機粒子」は、非導電性無機粒子を示し、
「α-Al」は、α-アルミナ粒子を示し、
「共重合体Na塩」は、ポリカルボン酸・スルホン酸共重合体のナトリウム塩を示し、
「CMC-Na」は、カルボキシメチルセルロースのナトリム塩を示し、
「ACL」は、アクリル系重合体を示し、
「ノニオン性」は、ノニオン性界面活性剤を示し、
「高圧噴射」は、高圧噴射式分散機を示し、
「粒子径」は、体積平均粒子径を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1より、非導電性無機粒子および水を含む組成物に対し、粉砕分散処理を施す工程を経ると共に、粉砕分散処理の前後の少なくとも一方で、スルホン酸基を有し重量平均分子量が1000~15000の範囲内である分散剤を添加する工程を経て機能層用スラリーを調製した実施例1~6では、重量平均分子量が15000を超える分散剤を用いた比較例1に比して、分散性に優れる機能層用スラリーが得られていることが分かる。また実施例1~6では、水中のα-アルミナ粒子を一旦噴霧乾燥により乾燥して再度水中で分散するといった手間が省略され、機能層用スラリーの製造効率を高めることができた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の二次電池機能層用スラリーの製造方法によれば、水中に非導電性無機粒子が良好に分散した二次電池機能層用スラリーを、効率良く製造することができる。