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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】基板洗浄装置及び基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 644C
H01L21/304 648G
H01L21/304 644B
H01L21/304 622Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019188424
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021064701
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】及川 文利
(72)【発明者】
【氏名】藤本 友章
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】深谷 孝一
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-212528(JP,A)
【文献】特開2011-103394(JP,A)
【文献】特表2009-536457(JP,A)
【文献】特開2007-273608(JP,A)
【文献】特開2010-254550(JP,A)
【文献】特開2008-277518(JP,A)
【文献】特開2018-113393(JP,A)
【文献】特開平06-045302(JP,A)
【文献】特開2008-084934(JP,A)
【文献】特開2009-088244(JP,A)
【文献】特開平10-125640(JP,A)
【文献】特開2006-278592(JP,A)
【文献】特開平10-261605(JP,A)
【文献】特開2020-043157(JP,A)
【文献】特開2020-031181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0235858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027-21/033
B08B 1/00 -13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させる基板回転部と、
前記基板の周縁部を洗浄するための周縁洗浄部材と、
前記周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させる周縁回転部と、
前記周縁洗浄部材の前記基板の周縁部に対する位置を移動させる移動部と、
前記移動部を制御することで前記周縁洗浄部材の前記基板の周縁部に対する位置を移動させ、前記基板の周縁部の一方側の面を含む一方側周縁領域、側面を含む側面領域及び他方側の面を含む他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄させる制御部と、
を備える基板洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記一方側周縁領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記側面領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記他方側周縁領域を洗浄するように制御する、又は前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記他方側周縁領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記側面領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記一方側周縁領域を洗浄するように制御する請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記周縁洗浄部材に加わる力を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて前記移動部の制御を行い、前記一方側周縁領域又は前記他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力と、前記側面領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力が異なるように制御する、請求項1又は2に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記一方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力と前記他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力とは略同一となるように制御する、請求項3に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記一方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力及び前記他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力は、前記側面領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力よりも大きくなるように制御する、請求項3又は4に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
基板回転部によって基板を回転させる工程と、
周縁回転部によって周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させ、前記周縁洗浄部材によって前記基板の周縁部を洗浄する工程と、
を備え、
前記基板の周縁部を洗浄する工程において、移動部によって前記周縁洗浄部材の前記基板の周縁部に対する位置を移動させ、前記基板の周縁部の一方側の面を含む一方側周縁領域、側面を含む側面領域及び他方側の面を含む他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の周縁部を洗浄する基板洗浄装置及び基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の周縁部を有効に洗浄することができず、その結果、基板の周縁部に洗浄されずに残ったパーティクルが基板の表面に再付着することがあるといった問題があった。このような問題を解決するために、半導体ウェハ等からなる基板の周縁部を洗浄することが行われている。特許文献1では、基板の周縁部を把持して該基板を回転させる複数の基板回転用ローラと、基板の端面及びベベル面に接触して該端面及びベベル面をスクラブ洗浄する洗浄部材を有する回転自在な洗浄ローラと、基板回転用ローラの動力を洗浄ローラに伝達して洗浄ローラを回転させる動力伝達機構とを有する基板洗浄装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-241794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された態様では基板の周縁部を洗浄することはできるが、その洗浄効果としては十分なものではなかった。
【0005】
本発明は、基板の周縁部をより確実に洗浄できる基板洗浄装置及び基板洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様による基板洗浄装置は、
基板を回転させる基板回転部と、
前記基板の周縁部を洗浄するための周縁洗浄部材と、
前記周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させる周縁回転部と、
前記周縁洗浄部材の前記基板の周縁部に対する位置を移動させる移動部と、
前記移動部を制御することで前記周縁洗浄部材の前記基板の周縁部に対する位置を移動させ、前記基板の周縁部の一方側の面を含む一方側周縁領域、側面を含む側面領域及び他方側の面を含む他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄させる制御部と、
を備えてもよい。
【0007】
本発明の第一態様による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記一方側周縁領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記側面領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記他方側周縁領域を洗浄するように制御する、又は前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記他方側周縁領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記側面領域を洗浄し、その後で前記周縁洗浄部材が所定の時間だけ前記一方側周縁領域を洗浄するように制御してもよい。
【0008】
本発明の第一態様による基板洗浄装置は、
前記周縁洗浄部材に加わる力を検出する検出部を備え、
前記制御部が、前記検出部による検出結果に基づいて前記移動部の制御を行い、前記一方側周縁領域又は前記他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力と、前記側面領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力が異なるように制御してもよい。
【0009】
本発明の第一態様による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記一方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力と前記他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力とは略同一となるように制御してもよい。
【0010】
本発明の第一態様による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記一方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力及び前記他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力は、前記側面領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄する際に前記周縁洗浄部材に加わる力よりも大きくなるように制御してもよい。
【0011】
本発明の第二態様による基板洗浄装置は、
基板を回転させる基板回転部と、
前記基板の周縁部を洗浄するための周縁洗浄部材と、
前記周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させる周縁回転部と、
を備え、
前記周縁洗浄部材が、少なくとも前記基板の側面の一方側の一部及び周縁部の一方側の面に当接して洗浄する第一周縁洗浄部材と、少なくとも前記基板の側面の他方側の一部及び周縁部の他方側の面に当接して洗浄する第二周縁洗浄部材とを有する、又は少なくとも前記基板の側面に当接して洗浄する第三周縁洗浄部材と、少なくとも前記基板の周縁部の一方側の面に当接して洗浄する第四周縁洗浄部材と、少なくとも前記基板の周縁部の他方側の面に当接して洗浄する第五周縁洗浄部材とを有してもよい。
【0012】
本発明の第三態様による基板洗浄装置は、
基板を回転させる基板回転部と、
前記基板に洗浄液を供給する基板洗浄液供給部と、
前記基板の周縁部を洗浄するための周縁洗浄部材と、
前記周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させる周縁回転部と、
前記周縁洗浄部材を前記基板の周縁部から離間させた後で、前記基板回転部による前記基板の回転を停止させるように制御する制御部と、
を備えてもよい。
【0013】
本発明の第三態様による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記周縁洗浄部材を前記基板の周縁部から離間させた後であって前記基板回転部による前記基板の回転を停止させる前に、前記基板洗浄液供給部からの洗浄液の供給を停止させるように制御してもよい。
【0014】
本発明の第三態様による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記周縁洗浄部材を前記基板の周縁部から離間させる前に前記周縁回転部による前記周縁洗浄部材の回転を停止させるように制御してもよい。
【0015】
本発明による基板洗浄装置において、
前記基板はウェハからなり、
前記洗浄部材は前記ウェハの形状に合わせて側面が湾曲してもよい。
【0016】
本発明による基板洗浄装置は、
前記基板の中心部から周縁部に向かって、前記周縁洗浄部材と前記基板との接触箇所に対して洗浄液を供給する周縁洗浄液供給部を備えてもよい。
【0017】
本発明による基板洗浄装置において、
前記周縁洗浄部材の前記基板の中心部側に隔壁が設けられてもよい。
【0018】
本発明による基板洗浄装置は、
前記隔壁を有するカバー部材を備え、
前記カバー部材が前記周縁洗浄部材を覆ってもよい。
【0019】
本発明による基板洗浄装置は、
前記基板の中心部から周縁部に向かって、前記周縁洗浄部材と前記基板との接触領域に対して洗浄液を供給する周縁洗浄液供給部を備え、
前記カバー部材に前記周縁洗浄液供給部を取り付けるための取付部が設けられてもよい。
【0020】
本発明による基板洗浄装置は、
前記基板の中心部から周縁部に向かって、前記周縁洗浄部材と前記基板との接触領域に対して洗浄液を供給する周縁洗浄液供給部を備え、
前記カバー部材に前記周縁洗浄液供給部から供給される洗浄液を排出する排出口が設けられてもよい。
【0021】
本発明による基板洗浄装置は、
前記周縁洗浄部材を洗浄するための周縁洗浄機構を備えてもよい。
【0022】
本発明による基板洗浄装置において、
前記周縁洗浄機構は、前記周縁洗浄部材に当接可能な接触部材、前記周縁洗浄部材に洗浄液を供給する洗浄液供給部材及び前記周縁洗浄部材を吸引する吸引部材のいずれか1つを有してもよい。
【0023】
本発明による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記周縁洗浄部材が前記基板の周縁部を洗浄していない時間に前記周縁洗浄機構が前記周縁洗浄部材を洗浄するように制御してもよい。
【0024】
本発明による基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記周縁洗浄部材が前記基板の周縁部を洗浄している時間と前記周縁洗浄機構が前記周縁洗浄部材を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように制御してもよい。
【0025】
本発明による基板洗浄装置は、
前記周縁回転部によって回転されるペンユニットを備え、
前記周縁洗浄部材はペンユニットの先端に設けられてもよい。
【0026】
本発明による基板洗浄装置は、
前記基板の一方側の面又は他方側の面に当接して洗浄する基板洗浄部材を備え、
前記制御部は、前記基板洗浄部材が前記基板の一方側の面又は他方側の面を洗浄する時間と前記周縁洗浄部材が前記基板の周縁部を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように制御してもよい。
【0027】
本発明の第一態様による基板洗浄方法は、
基板回転部によって基板を回転させる工程と、
周縁回転部によって周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させ、前記周縁洗浄部材によって前記基板の周縁部を洗浄する工程と、
を備え、
前記基板の周縁部を洗浄する工程において、移動部によって前記周縁洗浄部材の前記基板の周縁部に対する位置を移動させ、前記基板の周縁部の一方側の面を含む一方側周縁領域、側面を含む側面領域及び他方側の面を含む他方側周縁領域を前記周縁洗浄部材によって洗浄してもよい。
【0028】
本発明の第二態様による基板洗浄方法は、
基板回転部によって基板を回転させる工程と、
基板洗浄液供給部によって前記基板に洗浄液を供給する工程と、
周縁回転部によって周縁洗浄部材を前記基板回転軸に直交する方向で延びた周縁回転軸の周りで回転させ、前記周縁洗浄部材によって前記基板の周縁部を洗浄する工程と、
を備え、
前記周縁洗浄部材を前記基板の周縁部から離間させた後で、前記基板回転部による前記基板の回転を停止させてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板の周縁部をより確実に洗浄できる基板洗浄装置及び基板洗浄方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態による基板処理装置を含む処理装置の全体構成を示す概略平面図である。
図2図2(a)は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる周縁洗浄部材等を示した平面図であり、図2(b)は周縁洗浄部材を覆うカバー部材及び周縁洗浄部材を回転させる周縁回転部を示した側方図である。
図3図3は、本発明の実施の形態で用いられうる周縁洗浄部材、第一移動部、第二移動部、周縁回転部等を示した側方図であり、基板の側面を周縁洗浄部材が洗浄している態様を示した側方図である。なお図3ではカバー部材は図視されていない。
図4図4は、図3に対応した図面であり、基板の周縁部の一方側周縁領域を周縁洗浄部材が洗浄している態様を示した側方図である。
図5図5は、図3に対応した図面であり、基板の周縁部の他方側周縁領域を周縁洗浄部材が洗浄している態様を示した側方図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる周縁洗浄液供給部を示した平面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる周縁洗浄液供給部、周縁洗浄機構等を示した側方図である。図7における矢印は周縁洗浄液供給部から供給される洗浄液を示している。
図8図8は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる基板洗浄部材、基板洗浄液供給部等を示した斜視図である。
図9図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる基板洗浄装置で用いられ得る構成要素についてのブロック図である。
図10図10は、図3に対応した図面であり、隔壁の変形例を示した側方図である。
図11図11(a)は突出部を有する周縁洗浄部材を示した側方図であり、図11(b)は溝部を有する周縁洗浄部材を示した側方図である。
図12図12は、周縁洗浄部材を首振り機構によって移動させる態様を示した側方図である。
図13図13(a)は、本発明の第1の実施の形態の別の態様で用いられうる周縁洗浄部材、周縁回転部等を示した斜視図であり、図13(b)は図13(a)に示した周縁回転部等を駆動カバー部材で覆った態様を示した斜視図である。
図14図14は、本発明の第2の実施の形態の一態様で用いられうる基板洗浄装置の平面図である。
図15図15は、本発明の第2の実施の形態の一態様で用いられうる基板洗浄装置の側方図である。
図16図16は、本発明の第2の実施の形態の別の態様で用いられうる基板洗浄装置の平面図である。
図17図17は、本発明の第2の実施の形態の別の態様で用いられうる基板洗浄装置の側方図である。
図18図18は、本発明の変形例1の一態様で用いられうる周縁洗浄部材等を示した平面図である。
図19図19は、本発明の変形例1の別の態様で用いられうる周縁洗浄部材等を示した平面図である。
図20図20(a)は本発明の変形例2で用いられうる周縁洗浄部材がペンユニットの先端に設けられる態様を示した斜視図であり、図20(b)は本発明の変形例2で用いられうる周縁洗浄部材がペンユニットの先端に設けられる態様を示した側方部分断面図である。
図21図21は、本発明の変形例2におけるペンユニットの駆動態様を示した側方図である。
図22図22(a)は本発明の変形例3で用いられうる周縁洗浄部材を示した平面図であり、図22(b)は変形例3で用いられうる別の態様からなる周縁洗浄部材を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
第1の実施の形態
《構成》
基板洗浄装置等を含む基板処理装置の実施の形態について説明する。本実施の形態の基板洗浄装置を用いた基板洗浄方法、基板洗浄装置を生成するためにインストールされるプログラムや、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も本実施の形態により提供される。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の基板処理装置は、略矩形状のハウジング310と、多数の基板Wをストックする基板カセットが載置されるロードポート312と、を有している。ロードポート312は、ハウジング310に隣接して配置されている。ロードポート312には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。基板Wとしては、例えば半導体ウェハ等を挙げることができる。
【0033】
ハウジング310の内部には、複数(図1に示す態様では4つ)の研磨ユニット314a~314dと、研磨後の基板Wを洗浄する第1洗浄ユニット316及び第2洗浄ユニット318と、洗浄後の基板Wを乾燥させる乾燥ユニット320とが収容されている。研磨ユニット314a~314dは、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット316、318及び乾燥ユニット320も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。本実施の形態の基板処理装置によれば、直径300mm又は450mmの半導体ウェハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)における磁性膜の製造工程において、種々の基板Wを、研磨処理することができる。なお、別の実施の形態の基板処理装置としては、ハウジング310内に基板Wを研磨する研磨ユニットを設けず、基板Wの洗浄処理及び乾燥処理を行う装置としてもよい。
【0034】
ロードポート312、ロードポート312側に位置する研磨ユニット314a及び乾燥ユニット320に囲まれた領域には、第1搬送ロボット322が配置されている。また、研磨ユニット314a~314d並びに洗浄ユニット316、318及び乾燥ユニット320と平行に、搬送ユニット324が配置されている。第1搬送ロボット322は、研磨前の基板Wをロードポート312から受け取って搬送ユニット324に受け渡したり、乾燥ユニット320から乾燥後の基板Wを受け取ってロードポート312に戻したりする。
【0035】
第1洗浄ユニット316と第2洗浄ユニット318との間に、これら第1洗浄ユニット316と第2洗浄ユニット318の間で基板Wの受け渡しを行う第2搬送ロボット326が配置され、第2洗浄ユニット318と乾燥ユニット320との間に、これら第2洗浄ユニット318と乾燥ユニット320の間で基板Wの受け渡しを行う第3搬送ロボット328が配置されている。さらに、ハウジング310の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部に含まれる全体制御部350が配置されている。本実施の形態では、ハウジング310の内部に全体制御部350が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング310の外部に全体制御部350が配置されてもよいし、全体制御部350は遠隔地に設けられてもよい。
【0036】
第1洗浄ユニット316として、洗浄液の存在下で、基板Wの直径のほぼ全長にわたって直線状に延びるロール洗浄部材を接触させ、基板Wに平行な中心軸周りに自転させながら基板Wの表面をスクラブ洗浄するロール洗浄装置が使用されてもよい。例えば、水平又は垂直に基板Wを保持してこれを回転させながらロール洗浄部材を基板Wに接触させて洗浄処理してもよい。また、第2洗浄ユニット318として、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル洗浄部材の接触面を接触させ、ペンシル洗浄部材を自転させながら一方向に向けて移動させて、基板Wの表面をスクラブ洗浄するペンシル洗浄装置が使用されてもよい。また、乾燥ユニット320として、水平に保持しつつ回転する基板Wに向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板Wを乾燥させ、さらに基板Wを高速で回転させて遠心力によって基板Wを乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用されてもよい。
【0037】
なお、第1洗浄ユニット316としてロール洗浄装置ではなく、第2洗浄ユニット318と同様のペンシル洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。また、第2洗浄ユニット318としてペンシル洗浄装置ではなく、第1洗浄ユニット316と同様のロール洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。
【0038】
本実施の形態の洗浄液には、純水(DIW)等のリンス液と、アンモニア過酸化水素(SC1)、塩酸過酸化水素(SC2)、硫酸過酸化水素(SPM)、硫酸加水、フッ酸等の薬液が含まれている。本実施の形態で特に断りのない限り、洗浄液は、リンス液、薬液、又は、リンス液及び薬液の両方を意味している。
【0039】
本実施の形態では、基板Wが水平方向に延在して設けられ、「一方側」として「上方」を用い、「他方側」として「下方」を用いて説明するがこれに限られることはない。基板Wは、鉛直方向に延在して設けられてもよいし、水平方向と鉛直方向の間の斜め方向に延在して設けられてもよい。
【0040】
図2に示すように、本実施の形態の基板洗浄装置は、基板Wを支持するとともに回転させるスピンドル等からなる基板回転部110と、基板Wの周縁部を洗浄するための周縁洗浄部材10と、周縁洗浄部材10を基板回転軸130に直交する方向(基板Wの面内方向に平行な方向)で延びた周縁回転軸19の周りで回転させるモータ等を有する周縁回転部40と、を有してもよい。図3に示すように、基板洗浄装置は、基板Wの周縁部に対する周縁洗浄部材10の位置を移動させる移動部31,36を有してもよい。移動部31,36は、周縁洗浄部材10を基板Wの法線方向(図3の上下方向)に沿って移動するための第一移動部31と、周縁洗浄部材10を基板Wの面内方向(図3の左右方向)に沿って移動させ、基板Wの周縁部に近接又は離隔させるための第二移動部36と、を有してもよい。なお、基板Wを支持する支持部と、基板Wを回転させる回転部とは別体になっており、例えばチャック等の支持部によって基板Wが支持(保持)され、当該基板Wが回転部によって回転されるようにしてもよい。この場合には、支持部と回転部の両方によって基板回転部が構成されることになる。基板Wを支持する基板回転部110の支持部材の材料は硬さが固いものからなり、ウレタン等であってもよい。
【0041】
第二移動部36は、ベースプレート37と、ベースプレート37を基板Wの面内方向に沿って移動するための第二モータ38とを有してもよい。第一移動部31としては、ベースプレート37に固定され、第一モータ33を有する電動シリンダを採用してもよい。周縁洗浄部材10としてはPVA(ポリビニルアルコール)等からなるスポンジを採用してもよく、この場合には、周縁洗浄部材10はベベルスポンジから構成されることになる。周縁洗浄部材10はロール洗浄部材と同じ材料からなってもよい。なお、本実施の形態の周縁洗浄部材10は基板Wの周縁部(ベベル)を研磨するものではなく、基板Wの周縁部を洗浄するものである。
【0042】
基板Wの周縁部とは、基板Wの端部から面内方向の長さにおける1/10の範囲内にある領域を意味する。基板Wが円形状のウェハからなる場合であって、ウェハの直径がRである場合には、ウェハの端部から1/10×Rの範囲内にある領域がウェハの周縁部になる。本実施の形態では、基板Wの周縁部の全部ではなく一部を周縁洗浄部材10が洗浄する態様となっている。ただし、このような態様に限られることはなく、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部の全部を洗浄するようにしてもよい。
【0043】
第一移動部31及び第二移動部36を制御することで周縁洗浄部材10の基板Wの周縁部に対する位置を移動させ、基板Wの周縁部の一方側の面を含む一方側周縁領域W1、側面を含む側面領域W3及び他方側の面を含む他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄させる装置制御部50が設けられてもよい(図3乃至図5参照)。本実施の形態の基板洗浄装置は、第1洗浄ユニット316で用いられてもよいし、第2洗浄ユニット318で用いられてもよいし、第1洗浄ユニット316及び第2洗浄ユニット318とは異なるユニットで用いられてもよい。周縁洗浄部材10は円柱形状となってもよい。
【0044】
周縁回転部40による周縁洗浄部材10の回転速度及び回転方向は装置制御部50によって自在に制御できるようになってもよい。
【0045】
本実施の形態では装置制御部50が基板洗浄装置の制御を行う態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、全体制御部350が基板洗浄装置の制御を行うようにしてもよい。
【0046】
装置制御部50は、一方側周縁領域W1、側面領域W3及び他方側周縁領域W2を順次洗浄するようになってもよい。より具体的には、装置制御部50は、周縁洗浄部材10が所定の第一時間T1だけ一方側周縁領域W1を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10が所定の第三時間T3だけ側面領域W3を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10が所定の第二時間T2だけ他方側周縁領域W2を洗浄するように制御してもよい。また、装置制御部50は、周縁洗浄部材10が所定の第二時間T2だけ他方側周縁領域W2を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10が所定の第三時間T3だけ側面領域W3を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10が所定の第一時間T1だけ一方側周縁領域W1を洗浄するように制御してもよい。第一時間T1、第二時間T2及び第三時間T3の各々が同一又は略同一となってもよいし、これらが互いに異なる時間であってもよい。本実施の形態において「略同一」とは、両者の差分が大きい方の値の5%以下であることを意味している。したがって、第一時間T1、第二時間T2及び第三時間T3が略同一であるというのは、例えばT1がT2及びT3よりも大きい場合には、T1-T2≦T1×0.05となり、かつT1-T3≦T1×0.05となることを意味している。なお、第一時間T1、第二時間T2及び第三時間T3は例えば数秒であってもよいし数分であってもよいし、30分以上の時間であってもよい。
【0047】
周縁洗浄部材10に加わる力を検出する検出部21が設けられてもよい(図9参照)。検出部21は周縁洗浄部材10の周縁回転軸19に設けられてもよいし、第二移動部36又は第一移動部31及び第二移動部36に加わる力を検出することで周縁洗浄部材10に加わる力を検出するように構成されてもよい。検出部21は加わる力を直接検出してもよいし、周縁洗浄部材10を基板Wに対して押し付けるモータに加わるトルクによって加わる力を検出してもよい。装置制御部50は基板Wに対して加わる力が一定になるように検出部21からの検出結果を用いてフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0048】
装置制御部50は、検出部21による検出結果に基づいて第二移動部36又は第一移動部31及び第二移動部36の制御を行い、一方側周縁領域W1又は他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力と、側面領域W3を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力が異なるように制御してもよい。
【0049】
装置制御部50は、一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力と他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力とは略同一となるように制御してもよい。本実施の形態において「略同一」の意味は前述したとおりである。したがって、一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力F1と他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力F2とが略同一であるというのは、F1≧F2の場合にはF1-F2≦F1×0.05であることを意味し、F1<F2の場合にはF2-F1≦F2×0.05であることを意味している。
【0050】
装置制御部50は、一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力及び他方側周縁領域W2を前周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力は、側面領域W3を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力よりも大きくなるように制御してもよい。
【0051】
図6に示すように、基板Wの中心部から周縁部に向かって、周縁洗浄部材10と基板Wとの接触箇所に対して洗浄液を供給する周縁洗浄液供給部60が設けられてもよい。周縁洗浄液供給部60は周縁洗浄液供給ノズルを有し、周縁洗浄液供給ノズルから周縁外方に向かって洗浄液が供給されるようにしてもよく、例えば周縁外方に向かって洗浄液が噴射される態様を採用してもよい。図6では周縁洗浄液供給部60が基板Wの一方側(上方側)に設けられる態様となっているが、これに限られることはなく、図6では周縁洗浄液供給部60が基板Wの他方側(下方側)に設けられてもよいし、周縁洗浄液供給部60が基板Wの一方側(上方側)及び他方側(下方側)の両方に設けられてもよい。
【0052】
周縁洗浄部材10の基板Wの中心部側に隔壁71が設けられてもよい(図7参照)。また、周縁洗浄部材10を覆うようにしてカバー部材70が設けられ、カバー部材70の一部が当該隔壁71を有してもよい。このような態様に限られることはなく、また図10に示すような板形状の隔壁71aを採用してもよい。
【0053】
周縁洗浄液供給部60が設けられる態様では、カバー部材70に周縁洗浄液供給部60が取り付けられるにしてもよい。周縁洗浄液供給部60を取付けるための取付部75がカバー部材70に設けられ、周縁洗浄液供給部60が取付部75に着脱自在に設けられてもよい。また、カバー部材70に周縁洗浄部材10が取り付けられる構成となり、周縁洗浄部材10の設けられたカバー部材70全体を基板洗浄装置の取付部(図示せず)に取り付けることで周縁洗浄部材10を交換できるようにしてもよい。これらの態様によれば、周縁洗浄液供給部60の交換時間を短くすることができ、ひいては基板洗浄装置の稼働率が下がることを防止できる。なお、カバー部材70に周縁洗浄液供給部60が取り付けられる態様を採用した場合には、周縁洗浄液供給部60の周縁洗浄部材10に対する取付位置を予め定まった位置とすることができ、交換を素早くできるだけではなく、洗浄液による洗浄効果を所望のものとすることができる。
【0054】
周縁洗浄液供給部60が設けられる態様では、カバー部材70に周縁洗浄液供給部60から供給される洗浄液を排出する排出口79が設けられてもよい(図6参照)。排出口79はカバー部材70の他方側の面(下面)に設けられてもよい。排出口79はカバー部材70の周縁外方側(図6の一点鎖線よりも左側)に位置する下面に設けられてもよい。ここで周縁外方側というのはカバー部材70を基板Wの中心から周縁に向かう直線に沿って見たときに、カバー部材70の中心よりも周縁外方側に位置する領域であることを意味している。また排出口79は基板Wの回転方向(図6中、基板W内の太い実線矢印)に沿った下流端部側(図6の二点鎖線よりも上側)に設けられてもよい。ここで基板Wの回転方向に沿った下流端部側というのは、カバー部材70の中心よりも基板Wの回転方向の下流側のことを意味している。排出口79をカバー部材70の周縁外方側及び/又は基板Wの回転方向に沿った下流端部側に設けることで、基板Wの回転によりカバー部材79内に流れ込む洗浄液を効率よく排出することができる。
【0055】
周縁洗浄部材10を洗浄するための周縁洗浄機構が設けられてもよい。周縁洗浄機構は周縁洗浄部材10に当接可能な接触板等の接触部材81であってもよい(図7参照)。接触部材81は石英板等からなってもよい。接触部材81を押し付ける押付部81aが設けられ、この押付部81aを装置制御部50が制御することで、周縁洗浄部材10の洗浄を行ったり洗浄を停止したり制御してもよい。つまり、押付部81aによって接触部材81を周縁洗浄部材10に当接することで周縁洗浄部材10を洗浄し、押付部81aによって接触部材81を周縁洗浄部材10から離間することによって周縁洗浄部材10を洗浄するようにしてもよい。周縁洗浄機構は周縁洗浄部材10に洗浄液を供給する洗浄液供給部材82であってもよい(図6及び図7参照)。周縁洗浄機構は周縁洗浄部材10を吸引する吸引部材83であってもよい(図6及び図7参照)。また、周縁洗浄機構は接触部材81、洗浄液供給部材82及び吸引部材83のいずれか1つ以上を有してもよい。洗浄液供給部材82は周縁洗浄部材10に対して洗浄液を噴射する流体ノズルであってもよい。吸引部材83は周縁洗浄部材10に当接する又は近接して設けられる吸引ノズルであってもよい。洗浄液供給部材82はメガソニック洗浄を行うメガソニック洗浄ノズルであってもよいし、二流体による洗浄を行う二流体ノズルであってもよい。また、洗浄液供給部材82は基板Wの法線方向に沿った軸(例えば上下方向に延在する軸)を中心として揺動してもよいし、基板Wの面内方向に沿った軸(例えば水平方向に延在する軸)を中心として揺動してもよい。
【0056】
装置制御部50は、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄していない時間に周縁洗浄機構が周縁洗浄部材10を洗浄するように制御してもよい。ただし、これに限られることはなく、装置制御部50は、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄している時間と周縁洗浄機構が周縁洗浄部材10を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように制御してもよいし、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄している時間と周縁洗浄機構が周縁洗浄部材10を洗浄する時間とが完全に重複するように制御してもよい。周縁洗浄機構が接触部材81を有する場合には周縁洗浄部材10とともに接触部材81が(例えば上下方向及び左右方向で)移動する構成を採用してもよい。周縁洗浄機構が洗浄液供給部材82又は吸引部材83を有する場合には、周縁洗浄部材10とともに洗浄液供給部材82又は吸引部材83が(例えば上下方向及び左右方向で)移動する態様を採用してもよいし、周縁洗浄部材10の移動位置に合わせて洗浄液供給部材82又は吸引部材83の角度が変わる態様を採用してもよい。
【0057】
図8に示すように、基板Wの一方側の面(上面)及び/又は他方側の面(下面)に当接して洗浄する前述したロール洗浄部材やペンシル洗浄部材等からなる基板洗浄部材210が設けられてもよい(図8ではロール洗浄部材を示している。)。また、基板Wに洗浄液を供給する基板洗浄液供給部220が設けられてもよい。装置制御部50は、基板洗浄部材210が基板Wの一方側の面又は他方側の面を洗浄する時間と周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように制御してもよい。制御部は、基板洗浄部材210が基板Wを洗浄する間の全時間で周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄するように制御してもよいし、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄する間の全時間で基板洗浄部材210が基板Wを洗浄するように制御してもよい。
【0058】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。「構成」で記載されていない場合であっても、「効果」で説明するあらゆる構成を本件発明において採用することができる。
【0059】
第一移動部31及び第二移動部36を制御することで周縁洗浄部材10の基板Wの周縁部に対する位置を移動させ、一方側周縁領域W1、側面領域W3及び他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄させる態様を採用した場合には、基板Wの周縁部の側面だけではなく、一方側の面及び他方側の面をより確実に洗浄することができる。基板Wの側面は平坦であることは少なく、基板Wの先端が細くなっていることが多い。このため、周縁洗浄部材10の基板Wの周縁部に対する位置を移動させることで、一方側周縁領域W1及び他方側周縁領域W2をより確実に洗浄できる。また、基板Wの側面の先が細くなっていることから、周縁洗浄部材10が固定されている場合には先が細くなった基板Wのエッジで周縁洗浄部材10が削られてしまうことになるが、本態様のように周縁洗浄部材10が移動する場合には基板Wのエッジと周縁洗浄部材10との接触位置を変更することができ、周縁洗浄部材10の定まった位置で摩耗が発生することを防止できる。このため、周縁洗浄部材10による洗浄効果を長期間に及ぼすことができ、洗浄効果の下がった周縁洗浄部材10によって基板Wの周縁部(ベベル)が洗浄できないという事態が発生することを防止できる。なお、基板Wがウェハからなる場合には様々な膜が設けられていることから、基板Wの周縁部(ベベル)はより汚れやすくなっている。
【0060】
なお、第一移動部31及び第二移動部36を制御する態様ではなく、周縁洗浄部材10を一方側周縁領域W1、側面領域W3及び他方側周縁領域W2を跨ぐように首振りさせる首振り機構18を設けてもよい(図12参照)。
【0061】
周縁洗浄部材10を基板回転軸130と平行な軸(例えば上下方向で延在する軸)で回転させた場合には、周縁洗浄部材10から飛び散る洗浄液が基板Wに届きやすくなるが、周縁洗浄部材10を基板回転軸130に直交する方向(例えば左右方向で延在する軸)で延びた周縁回転軸19の周りで回転させる態様を採用した場合には、周縁洗浄部材10が回転することで飛び散る洗浄液が基板Wに届き難くすることができる。周縁洗浄部材10の単位時間あたりの回転数は基板Wの単位時間あたりの回転数よりもかなり大きくなることから、周縁洗浄部材10から基板Wへ洗浄液が飛び散りやすい傾向にある。このため、周縁洗浄部材10を基板回転軸130に直交する方向で延びた周縁回転軸19の周りで回転させる態様を採用することは有益である。なお、基板Wがウェハからなる場合には、一例として、周縁洗浄部材10の回転数は基板Wの回転数の10倍の回転数となり、例えば周縁洗浄部材10の回転数が100回転だとすると、周縁洗浄部材10の回転数は1000回転となる。
【0062】
装置制御部50が、周縁洗浄部材10が所定の第一時間T1だけ一方側周縁領域W1を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10が所定の第三時間T3だけ側面領域W3を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10が所定の第二時間T2だけ他方側周縁領域W2を洗浄するように制御する態様を採用する場合には、基板Wの周縁部に付着した汚れを一方側の面から他方側の面へと順次移動させることができ、取り除いた汚れが基板Wの別の箇所に付着することを防止できる。この態様は、一方側の面が上方側に位置し、他方側の面が下方側に位置する場合に特に有益である。この場合には、周縁洗浄部材10が所定の第一時間T1だけ一方側周縁領域W1を洗浄した後で、第二移動部36が周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間するように移動させた後で、第一移動部31が周縁洗浄部材10を基板Wの法線方向に沿って移動させ(例えば下方に移動させ)、第二移動部36が周縁洗浄部材10を基板Wの側面領域W3に近接させ、当接するまで又は所定の力が周縁洗浄部材10に加わるまで移動させる。所定の第三時間T3だけ側面領域W3を周縁洗浄部材10が洗浄した後で、第二移動部36が周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間するように移動させた後で、第一移動部31が周縁洗浄部材10を基板Wの法線方向に沿って移動させ(例えば下方に移動させ)、第二移動部36が周縁洗浄部材10を基板Wの他方側周縁領域W2に近接させ、当接するまで又は所定の力が周縁洗浄部材10に加わるまで移動させる。その後、所定の第二時間T2だけ他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10が洗浄する。
【0063】
一方側周縁領域W1又は他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力と、側面領域W3を前記周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力が異なるように装置制御部50が制御する態様を採用する場合には、周縁洗浄部材10が基板Wの側面を洗浄する場合と、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部のうちの一方側の面又は他方側の面を洗浄する場合とで、異なる力で基板Wの周縁部を洗浄することができる。
【0064】
一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力と他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力とは略同一となるように装置制御部50が制御する態様を採用する場合には、周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部のうちの一方側の面を洗浄する場合と他方側の面を洗浄する場合とで同程度の力で基板Wの周縁部を洗浄することができる。
【0065】
一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力及び他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力が、側面領域W3を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力よりも大きくなるように装置制御部50が制御する態様を採用する場合には、斜め方向から力が加わることから力が加わりにくい一方側周縁領域W1及び他方側周縁領域W2であってもより確実に洗浄することができる。この際、力の加わり方をベクトルで分解した計算結果を根拠として、一方側周縁領域W1及び他方側周縁領域W2に加わる力と側面領域W3に加わる力とが略同一になるように装置制御部50が制御してもよい。
【0066】
また基板Wの一方側の面及び他方側の面のいずれかをより確実に洗浄したい場合には、確実に洗浄したい面の周縁部を洗浄する際に、周縁洗浄部材10に加わる力が大きくなるように装置制御部50が制御してもよい。一例として、一方側周縁領域W1を他方側周縁領域W2よりもより確実に洗浄したい場合には、一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力が、他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する際に周縁洗浄部材10に加わる力よりも大きくなるように装置制御部50が制御してもよい。またこの場合には、一方側周縁領域W1を周縁洗浄部材10によって洗浄する第一時間T1が、他方側周縁領域W2を周縁洗浄部材10によって洗浄する第二時間T2よりも長くなるように装置制御部50が制御してもよい。他方側周縁領域W2を一方側周縁領域Wよりもより確実に洗浄したい場合には、装置制御部50が逆の制御を行ってもよい。
【0067】
基板Wの中心部から周縁部に向かって、周縁洗浄部材10と基板Wとの接触箇所に対して洗浄液を供給する周縁洗浄液供給部60が設けられている場合には、基板Wの周縁部を洗浄液によって洗浄できるだけではなく、基板Wの周縁部から基板Wの中心部に向かって洗浄液が流れ(逆流し)、基板Wの中心領域が汚れてしまうことを防止できる。
【0068】
周縁洗浄部材10の基板Wの中心部側に隔壁71,71aが設けられる態様を採用した場合には(図7及び図10参照)、周縁洗浄液供給部60から供給される洗浄液が跳ねて、基板Wの中心側が汚れてしまうことを防止できる。この観点からすると、隔壁71を有するカバー部材70によって周縁洗浄部材10を覆う構成となっていることが有益である。
【0069】
図7に示すようにカバー部材70に周縁洗浄液供給部60が取り付けられる態様を採用した場合には、予め定まった位置に周縁洗浄液供給部60を配置でき、ひいては、基板Wの周縁部の定まった位置に洗浄液を供給できるようになる。このため、均一な洗浄効果を得やすくなる。
【0070】
図6及び図7に示すようにカバー部材70に周縁洗浄液供給部60から供給される洗浄液を排出する排出口79が設けられる態様を採用した場合には、供給された洗浄液を効率よく排出することができる。
【0071】
図7に示すように周縁洗浄部材10を洗浄するための周縁洗浄機構が設けられる態様を採用した場合には、周縁洗浄部材10が汚れてしまうことを防止でき、ひいては、基板Wの周縁部の洗浄効果を高めることができる。
【0072】
周縁洗浄機構として周縁洗浄部材10に当接可能な接触部材81を用いた場合には、物理的な接触で周縁洗浄部材10に付着した汚れを除去することができる。周縁洗浄機構として周縁洗浄部材10に洗浄液を供給する洗浄液供給部材82を用いた場合には、洗浄液によって周縁洗浄部材10に付着した汚れを除去することができる。周縁洗浄機構として周縁洗浄部材10を吸引する吸引部材83を用いた場合には、周縁洗浄部材10に付着した汚れを吸引することで除去することができる。
【0073】
周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄していない時間に周縁洗浄機構が周縁洗浄部材10を洗浄する態様を採用した場合には、周縁洗浄部材10を洗浄したことによる汚れが基板Wに付着することを防止できる。特にこの態様は、周縁洗浄機構として接触部材81又は洗浄液供給部材82を採用した場合に有益である。
【0074】
周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄している時間と周縁洗浄機構が周縁洗浄部材10を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように装置制御部50が制御する場合には、周縁洗浄部材10を洗浄する時間の間に基板Wの周縁部の洗浄を停止する時間を短くすることができ、スループットを挙げることができる。特にこの態様は、周縁洗浄機構として吸引部材83を採用した場合に有益である。
【0075】
基板洗浄部材210が基板Wの一方側の面又は他方側の面を洗浄する時間と周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように装置制御部50が制御する場合には、基板Wの中心部を含む周縁部以外と基板Wの周縁部とを同時に洗浄することができ、基板Wの周縁部だけを洗浄する時間を短く又は無くすことができる。この結果、一枚あたりの基板Wの洗浄時間を短くすることができ、基板洗浄装置の稼働率を高めることができる。
【0076】
図11(a)に示すように、周縁洗浄部材10は、図8に示す上方側のロール洗浄部材と同様、複数の突出部10pを有してもよい。このような態様を採用した場合には、突出部10pが基板Wの周縁部に当たることで洗浄でき、より高い洗浄効果を発揮できる。また、周縁洗浄部材10は図11(b)に示すような溝部10vを有してもよい。この場合にも、溝部10vの間の領域が突出部10pと同様の機能を果たし、洗浄効果を高めることとなる。溝部10vは周縁洗浄部材10の長手方向に連続的に設けられてもよいし、断続的に設けられてもよい。
【0077】
また、図13(a)(b)で示すような態様を採用してもよい。図13(a)(b)に示す態様では、周縁回転部40の一方側(一例として上方側)に周縁洗浄部材10が設けられ、周縁回転部40と周縁回転軸19とが歯車部材141-144を介して連結される態様となっている。本態様では、周縁回転軸19及び歯車部材141-144を覆うが、周縁洗浄部材10を覆わない駆動カバー部材145が設けられている。周縁洗浄部材10は周縁回転軸19に交換可能に取り付けられている。周縁回転軸19は駆動カバー部材145に軸受け(符号省略)を介して回転可能に支持されている。歯車部材142と歯車部材143に連結される回転軸(符号省略)は軸受け(符号省略)を介して台座(符号省略)に回転可能に支持されている。また周縁回転部40(駆動モーター)は台座(符号省略)を支持している。本態様では、駆動カバー部材145及び周縁洗浄部材10が一体となって(全体として)、第一移動部31及び第二移動部36によって移動されるようにしてもよい。
【0078】
第2の実施の形態
次に第2の実施の形態について説明する。
【0079】
第1の実施の形態では1つの周縁洗浄部材10が設けられる態様であったが、本実施の形態では、図14乃至図17に示すように基板Wの周縁部を洗浄する2つ以上の部材が設けられる態様となっている。その他については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で採用したあらゆる構成を第2の実施の形態でも採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0080】
図14及び図15に示すように、周縁洗浄部材10は、少なくとも基板Wの側面の一方側の一部及び周縁部の一方側の面に当接して洗浄する第一周縁洗浄部材11と、少なくとも基板Wの側面の他方側の一部及び周縁部の他方側の面に当接して洗浄する第二周縁洗浄部材12とを有してもよい。
【0081】
このような態様を用いた場合には、第一周縁洗浄部材11によって基板Wの側面の一方側の一部及び周縁部の一方側の面を洗浄し、第二周縁洗浄部材12によって基板Wの側面の他方側の一部及び周縁部の他方側の面を洗浄することができ、基板Wの周縁部全体を二つの周縁洗浄部材11,12によって洗浄することができる。
【0082】
第二周縁洗浄部材12が第一周縁洗浄部材11よりも下方側に位置する場合には、第一周縁洗浄部材11は基板Wの回転方向の上流側(図14の下方側)に位置し、第二周縁洗浄部材12は基板Wの回転方向の下流側(図14の上方側)に位置することが有益である(図15も参照)。この態様によれば、基板Wの一方側(上方側)を洗浄した洗浄液が他方側(下方側)に回り込んだ場合でも、第二周縁洗浄部材12によって洗い流すことができるためである。
【0083】
また、図16及び図17に示すように、周縁洗浄部材10は、少なくとも基板Wの側面に当接して洗浄する第三周縁洗浄部材13と、少なくとも基板Wの周縁部の一方側の面に当接して洗浄する第四周縁洗浄部材14と、少なくとも基板Wの周縁部の他方側の面に当接して洗浄する第五周縁洗浄部材15とを有してもよい。
【0084】
このような態様を用いた場合には、第三周縁洗浄部材13によって基板Wの側面を洗浄し、第四周縁洗浄部材14によって基板Wの周縁部の一方側の面を洗浄することができ、第五周縁洗浄部材15によって基板Wの周縁部の他方側の面を洗浄することができる。
【0085】
第一周縁洗浄部材11及び第二周縁洗浄部材12に関して述べた理由と同様の理由から、第四周縁洗浄部材14、第三周縁洗浄部材13及び第五周縁洗浄部材15の順で上方から下方に向かって配置されている場合には、第四周縁洗浄部材14が第三周縁洗浄部材13に対して基板Wの回転方向の上流側(図16の下方側)に位置し、第三周縁洗浄部材13が第五周縁洗浄部材15に対して基板Wの回転方向の上流側(図16の下方側)に位置することが有益である(図17も参照)。
【0086】
このように複数の周縁洗浄部材11-15を設ける場合には、必ずしも周縁洗浄部材11-15を移動させる必要が無くなるが、他方で、周縁洗浄部材11-15の収納スペースを確保する等、装置が大型化してしまう。このため、小型の装置を採用したい場合には、第1の実施の形態で説明した態様を採用することが有益ではある。
【0087】
第一周縁洗浄部材11及び第二周縁洗浄部材12の各々の回転速度及び回転方向は独立して装置制御部50が制御できるようになってもよい。同様に、第三周縁洗浄部材13、第四周縁洗浄部材14及び第五周縁洗浄部材15の各々の回転速度及び回転方向は独立して装置制御部50が制御できるようになってもよい。
【0088】
上記で第1の実施の形態で採用したあらゆる構成を第2の実施の形態でも採用することができると説明したとおり、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の態様を採用することができる。例えば、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、第一周縁洗浄部材11及び第二周縁洗浄部材12のいずれかもしくは両方、又は第三周縁洗浄部材13、第四周縁洗浄部材14及び第五周縁洗浄部材15のいずれか一つ以上もしくは全部が基板Wの一方側周縁領域W1、側面領域W3及び他方側周縁領域W2を移動する態様を採用してもよい。
【0089】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0090】
本実施の形態では、装置制御部50が、周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させた後で、基板回転部110による基板Wの回転を停止させるように制御する態様となっている。本実施の形態でも、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0091】
周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させる前に基板Wの回転を停止させると、周縁洗浄部材10に付着又は吸収されていた洗浄液が基板Wに逆流し、基板Wが汚れてしまう可能性がある。本実施の形態のように、周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させた後で、基板回転部110による基板Wの回転を停止させる態様を採用した場合には、このような基板Wの汚染を防止できる。
【0092】
装置制御部50は、周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させた後であって基板回転部110による基板Wの回転を停止させる前に、基板洗浄液供給部220からの洗浄液の供給を停止させるように制御してもよい。この態様を採用した場合には、基板洗浄液供給部220からの洗浄液の供給を停止させた後で基板Wの回転を停止させることから、基板Wに洗浄液が残ることを防止できる。ただし、このような態様に限られることはなく、装置制御部50は、基板回転部110による基板Wの回転を停止させた後に、基板洗浄液供給部220からの洗浄液の供給を停止させるように制御してもよい。
【0093】
装置制御部50は基板洗浄液供給部220のみならず周縁洗浄液供給部60からの供給及び停止も制御することとしてもよい。第1の実施の形態でも述べたように、基板洗浄部材210が基板Wの一方側の面又は他方側の面を洗浄する時間と周縁洗浄部材10が基板Wの周縁部を洗浄する時間とが少なくとも一部で重複するように制御してもよい。
【0094】
装置制御部50は、周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させる前に周縁回転部40による周縁洗浄部材10の回転を停止させるように制御してもよい。この態様を採用した場合には、基板Wから離間した状態で回転する周縁回転部40から洗浄液が基板Wに対して飛び散ることを防止できる。また、装置制御部50は、周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させる前に周縁洗浄部材10の回転速度を閾値以下まで落として所定時間だけ基板Wの周縁部を洗浄し、その後で周縁洗浄部材10を基板Wの周縁部から離間させ、その後で周縁回転部40による周縁洗浄部材10の回転を停止させるように制御してもよい。
【0095】
<変形例>
上記各実施の形態において、以下のような変形例を採用することもできる。
【0096】
変形例1
前述したように、周縁洗浄部材10は円柱形状となってもよいが、図18及び図19に示すように、周縁洗浄部材10はウェハの形状に合わせて側面が湾曲している形状となってもよい。「ウェハの形状に合わせて側面が湾曲している形状となる」というのは、ウェハの一方側(例えば上方側)から見たときに(法線方向に沿って見たときに)、ウェハの曲率半径に対応する曲率半径を洗浄部材の側面が有していることを意味している。ここで曲率半径が対応するというのは、両者の曲率半径の差が大きい方の5%以内であることを意味している。つまりウェハの曲率半径R1に洗浄部材の側面の曲率半径R2が対応しているというのは、R1≧R2の場合にはR1-R2≦R1×0.05であることを意味し、R1<R2の場合にはR2-R1≦R2×0.05であることを意味している。
【0097】
複数の周縁洗浄部材10が設けられる場合には、各周縁洗浄部材10においてウェハの形状に合わせて側面が湾曲している形状となってもよい(図19参照)。
【0098】
本変形例の態様を採用した場合には、基板Wの側面又は周縁部に面接触させた周縁洗浄部材10によって基板Wの側面又は周縁部を洗浄することができる。すなわち、周縁洗浄部材10との接触面積を大きくした状態で基板Wの側面又は周縁部を洗浄できる。このため、より効果的に基板Wの側面、又は基板Wの側面及び周縁部を洗浄することができる。
【0099】
前述したとおり、本変形例のような周縁洗浄部材10を上記各実施の形態で採用したあらゆる構成で採用することができる。
【0100】
変形例2
図20及び図21に示すように、周縁回転部40によって回転されるペンユニット160が設けられ、周縁洗浄部材10aがペンユニット160の先端に設けられる態様を採用してもよい。図21に示すように、ペンユニット160が移動することで周縁洗浄部材10の基板Wの周縁部に対する位置が移動してもよい(第1の実施の形態も参照)。
【0101】
本変形例のようなペンユニット160を採用した場合には装置を小型化することができる。また、ペンユニット160の根元を締結部材で締結するような態様を採用し、ペンユニット160そのものを交換するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、交換作業を容易なものにすることができ、ひいては基板洗浄装置の稼働率が下がることを防止できる。なお、このような態様に限られることはなく、ペンユニット160の先端に位置する周縁洗浄部材10aを取り換えることができるようにしてもよい。
【0102】
図20に示す態様では、周縁回転部40と周縁回転軸19とが歯車部材146-149を介して連結される態様となっている。周縁回転軸19及び歯車部材147と歯車部材148に連結される回転軸は各々の軸受け(符号省略)を介して台座145bに回転可能に支持されている。また周縁回転部40(駆動モーター)は台座145bを支持している。周縁回転軸19及び歯車部材146-149を覆うが、周縁回転軸19及び周縁洗浄部材10aを覆わない駆動カバー部材145a(図20(b)の1点鎖線部を参照)が設けられてもよい。この場合には、周縁回転軸19(図中、右部分)及び周縁洗浄部材10aが駆動カバー部材の外方に設けられ、周縁回転軸19(図中、左部分)及び歯車部材146-149は駆動カバー部材145a内に収容されて、外部から視認できない状態となる。
【0103】
図20に示すように、周縁洗浄部材10aは先端が細くなるテーパー形状となってもよい。この場合には、周縁洗浄部材10aのテーパー形状部分に沿って基板Wが当接するように位置付けられてもよい(図20参照)。このように周縁洗浄部材がテーパー形状となる態様は、上記の各実施の形態及び変形例でも採用することができる。この場合にも、周縁洗浄部材10のテーパー形状部分に沿って基板Wが当接するように位置付けられてもよい。
【0104】
また図20に示す態様では、ペンユニット160の根本だけを保持する片持ち構成となっているが、上記の各実施の形態及び変形例でもこのような片持ち構成を採用してもよい。
【0105】
前述したとおり、本変形例のようなペンユニット160を上記各実施の形態で採用したあらゆる構成で採用することができる。
【0106】
変形例3
図22(a)に示すように、周縁洗浄部材10を基板Wの法線方向に沿って見た場合(例えば上方から見た場合)、基板Wの回転方向上流側の部分が回転方向下流側の部分と比較して凹みが大きい態様となってもよい。図22で示す態様で説明すると、周縁洗浄部材10を基板Wの法線方向に沿って見た場合、基板Wの図22の下方側に位置する回転方向上流側の部分が図22の上方側に位置する回転方向下流側の部分と比較して凹みが大きい態様となっている。
【0107】
基板Wがウェハからなる場合には、基板WにノッチWnが設けられることある。本態様を採用した場合には、周縁洗浄部材10による洗浄面積を一定程度確保しつつ、ノッチWnに周縁洗浄部材10が引っかかってしまう可能性を低減できる。また、図22(b)に示すように樽型形状からなる周縁洗浄部材10を採用してもよい。この場合にも、ノッチWnに周縁洗浄部材10が引っかかってしまう可能性を低減できる。
【0108】
上述した各実施の形態の記載、各変形例及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0109】
10・・・周縁洗浄部材、11・・・第一周縁洗浄部材、12・・・第二周縁洗浄部材、13・・・第三周縁洗浄部材、14・・・第四周縁洗浄部材、15・・・第五周縁洗浄部材、19・・・周縁回転軸、21・・・検出部、31・・・第一移動部、36・・・第二移動部、40・・・周縁回転部、50・・・装置制御部(制御部)、60・・・周縁洗浄液供給部、70・・・カバー部材、71・・・隔壁、75・・・取付部、79・・・排出口、81・・・接触部材、82・・・洗浄液供給部材、83・・・吸引部材、110・・・基板回転部、130・・・基板回転軸、160・・・ペンユニット、210・・・基板洗浄部材、W・・・基板、W1・・・一方側周縁領域、W2・・・他方側周縁領域、W3・・・側面領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20
図21
図22