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特許7348264ペリクル接着剤残留物除去システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ペリクル接着剤残留物除去システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/82 20120101AFI20230912BHJP
   G03F 1/62 20120101ALI20230912BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230912BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20230912BHJP
【FI】
G03F1/82
G03F1/62
H01L21/304 643A
H01L21/304 647A
H01L21/304 643C
G03F1/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021503098
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019039071
(87)【国際公開番号】W WO2020023172
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】62/703,239
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/448,722
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ウー バンチウ
(72)【発明者】
【氏名】ダガン エリ
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031412(JP,A)
【文献】特開2002-124501(JP,A)
【文献】米国特許第06103636(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0031962(US,A1)
【文献】特開2012-212032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0197433(US,A1)
【文献】米国特許第05271798(US,A)
【文献】国際公開第2018/091604(WO,A1)
【文献】特開2010-243796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0219654(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
処理システムの基板支持体に基板を位置付けることを含み、
前記処理システムは、
処理容積を集合的に画定するリッド、1つまたは複数の側壁、およびベースと、
前記処理容積を真空源に流体的に結合するラインと、
前記処理容積に配置された前記基板支持体と、
前記基板支持体の基板受取り面に面する流体分配アセンブリとを含み、
前記流体分配アセンブリが、
入口および出口を有する分配シャフトと、
前記分配シャフトに結合されたマニホールドと、
前記マニホールドに結合された複数の洗浄ユニットであって、前記洗浄ユニットの各々は、第1の端部を有する第1の導管、前記第1の端部に配置されたガスケット、および前記第1の導管に配置された第2の導管を含み、前記第2の導管は前記第1の端部から引っ込められている第2の端部を有する、複数の洗浄ユニットと
前記ベースを通って延びる支持シャフトと
を含み、前記基板支持体が前記支持シャフトに配置され、前記支持シャフトが垂直軸のまわりに回転可能であり、
前記基板支持体および前記流体分配アセンブリの一方または両方は、互いに向かって移動可能であり、前記複数の洗浄ユニットの第1の端部を、前記基板支持体上に配置された前記基板の表面に対して同時に封止することと、
前記複数の洗浄ユニットを対応する複数の場所で前記基板の表面に封止することと、
洗浄流体を50℃と150℃との間の温度に加熱することと、
前記洗浄流体を前記複数の洗浄ユニットに流し、その後、前記複数の洗浄ユニットから流すことと、
前記基板の前記表面を前記複数の場所で前記洗浄流体にさらすことと
を含
前記第2の導管の前記第2の端部は、1mm以上20mm以下の距離だけ前記第1の導管の前記第1の端部の内側に引っ込められており、
前記第1の導管の内径は、1mm以上20mm以下である、方法。
【請求項2】
前記洗浄流体が、ジメチルスルホキシド、1-フェノキシプロパン-2-オール、1-メチル-2-ピロリジノン、2-フェノキシエタノール、4-ノニルフェノール、ジクロルメタン、ジメチルホルムアミド、ジクロルメタン、メタノール、石油留出物、またはそれらの組合せのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板が、
複数の繰り返しの金属およびシリコン層を含む多層スタックと、
前記多層スタック上に配置されたパターン化吸収体層と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の洗浄ユニットの個々のものを前記基板の前記表面に封止することは、前記洗浄ユニットの各々の前記ガスケットが前記基板の前記表面に密封的に接触するまで、前記基板支持体を持ち上げることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の洗浄ユニットの個々のものを前記基板の前記表面に封止することは、前記洗浄ユニットの各々の前記ガスケットが前記基板の前記表面に密封的に接触するまで、前記流体分配アセンブリを下げることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
処理容積を集合的に画定するリッド、1つまたは複数の側壁、およびベースと、
前記処理容積を真空源に流体的に結合するラインと、
前記処理容積に流体的に結合されたラインであって、前記ラインは真空源に流体的に結合されるように構成された、ラインと、
前記処理容積に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の基板受取り面に面する流体分配アセンブリであり、前記流体分配アセンブリが、
入口および出口を有する分配シャフト、
前記分配シャフトに結合されたマニホールド、ならびに
前記マニホールドに結合された複数の洗浄ユニットであって、前記複数の洗浄ユニットの各洗浄ユニットは、外側導管、前記外側導管の第1の端部に配置されたガスケット、および内側導管、前記ベースを通って延びる支持シャフトを含み、前記内側導管は前記第1の端部から引っ込められている第2の端部を有し、記基板支持体が前記支持シャフトに配置され、前記支持シャフトが垂直軸のまわりに回転するように構成され、前記基板支持体および前記流体分配アセンブリの一方または両方は、前記複数の洗浄ユニットの前記第1の端部を、前記基板支持体上に配置された前記基板の表面に対して同時に封止するように互いに向かって移動するように構成された、複数の洗浄ユニット
を含む、流体分配アセンブリと
を含み、
前記内側導管の前記第2の端部は、1mm以上20mm以下の距離だけ前記外側導管の前記第1の端部の内側に引っ込められており、
前記外側導管の内径は、1mm以上20mm以下である、処理システム。
【請求項7】
前記分配シャフトに結合されたアクチュエータをさらに含む、請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
前記分配シャフトの前記入口と流体連結して配置された流体ヒータをさらに含む、請求項6に記載の処理システム。
【請求項9】
前記外側導管および前記内側導管が、前記分配シャフトの前記入口から前記出口まで延びる流体流れ経路の一部分を画定する、請求項6に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、半導体デバイス製造の分野に関し、特に、リソグラフィマスクの表面から接着剤残留物を除去するために使用される方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造は、一般に、ワークピース、例えば、シリコンウエハの表面上に、表面の上に、および表面内に複数の相互接続されたパターン化材料層を形成することを含む。パターン化材料層の各々は、ワークピース表面、またはワークピース表面に配置された以前に堆積された材料層をパターン化することを含む一連の製造プロセスを使用して形成される。多くの場合、ワークピース表面、またはワークピース表面に配置された以前に堆積された材料層は、リソグラフィプロセスを使用してパターン化される。典型的なリソグラフィプロセスは、リソグラフィマスクの表面に形成されたパターンを、ワークピース表面を被覆するレジスト層、またはワークピース表面に配置された以前に堆積された材料層を被覆するレジスト層に転写することを含む。
【0003】
リソグラフィプロセスで使用されるリソグラフィマスクアセンブリは、一般に、リソグラフィマスクと、そのパターン化表面上に配置された保護ペリクルとを含む。ペリクルは、薄い透明な膜、すなわち、ペリクルがリソグラフィマスクに固定されたときにリソグラフィマスクのパターン化表面の上に延びるペリクル膜を含む。ペリクル膜は、一般に、エポキシ樹脂などの接着剤によってリソグラフィマスクのパターン化表面に固定されたペリクルフレームに装着される。ペリクル膜は、リソグラフィマスクのパターン化表面が、取扱い中に接触され、それによって、掻き傷をつけられることから、および塵埃などの環境汚染物にさらされることから保護する。一般に、ペリクル膜は、ペリクルフレームによってリソグラフィマスクの表面から離間され、その結果、リソグラフィマスクパターンが基板のレジスト層に転写されるとき、ペリクル膜上に溜まった粒子、例えば、塵埃は、焦点場(field of focus)にない。
【0004】
ペリクルは、望ましくは、リソグラフィマスクの使用寿命を延ばし、一般に、リソグラフィマスクに関連する洗浄または改修プロセス中に交換される。一般に、使用済みペリクルは、リソグラフィマスクから分離され、リソグラフィマスクの洗浄または改修の前に廃棄される。使用するペリクルフレームをリソグラフィマスク表面に固定するために使用された接着剤からの残留物は、マスクのパターン化表面への接着剤残留物の望ましくない移動を防止するために、マスクのパターン化表面の後続の洗浄の前に、多くの場合、除去される。残念なことに、次世代の真空極紫外(EUV)リソグラフィ装置で使用するのに適する比較的低い揮発性の接着剤は、EUVリソグラフィマスク面から、それへの損傷を引き起こすことなく、除去することが困難であることが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野には、リソグラフィマスクの表面から接着剤を除去するための改善されたシステムおよび方法への必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、一般に、リソグラフィマスクの洗浄または改修の前にリソグラフィマスクの表面から接着剤残留物を除去するための装置および方法を含む。特に、本明細書に記載の処理システムは、リソグラフィマスクの表面から接着剤残留物を除去しやすくするために溶媒をリソグラフィマスクの表面の選択した場所に送り出すことを可能にする。
【0007】
1つの実施形態において、基板を処理する方法は、処理システムの基板支持体に基板を位置付けることと、複数の洗浄ユニットの個々のものを対応する複数の場所で基板の表面に封止することと、洗浄流体を約50℃と約150℃との間の温度に加熱することと、洗浄流体を複数の洗浄ユニットに流し、その後、複数の洗浄ユニットから流すことと、基板の表面を複数の場所で洗浄流体にさらすこととを含む。
【0008】
別の実施形態において、コンピュータ可読媒体は、そこに格納した基板を処理する方法のための命令を有する。この方法は、処理システムの基板支持体に基板を位置付けることと、複数の洗浄ユニットの個々のものを対応する複数の場所で基板の表面に封止することと、洗浄流体を約50℃と約150℃との間の温度に加熱することと、洗浄流体を複数の洗浄ユニットに流し、その後、複数の洗浄ユニットから流すことと、基板の表面を複数の場所で洗浄流体にさらすこととを含む。
【0009】
別の実施形態において、処理システムは、処理容積に配置された基板支持体と、基板支持体の基板受取り面に面する流体分配アセンブリとを含む。流体分配アセンブリは、入口および出口を有する支持シャフトと、支持シャフトに結合されたマニホールドと、マニホールドに結合された複数の洗浄ユニットとを含む。ここで、基板支持体および流体分配アセンブリが基板処理モードで配置されるとき、洗浄ユニットの個々のものが、処理されるべき基板に封止された状態になる。
【0010】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上述で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明を得ることができ、実施形態の一部は、添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえに、本開示は他の等しく効果的な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲の限定と考えられるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】1つの実施形態による、例示的なフォトマスクアセンブリの概略等角図である。
図1B】ライン1B-1Bに沿って得られた図1Aに示されたフォトマスクアセンブリの断面図である。
図2A】1つの実施形態による、本明細書に記載の方法を実施するように構成された処理システムの概略断面図である。
図2B】1つの実施形態による、ライン2B-2Bに沿って得られた図2Aに示された流体分配アセンブリの断面図である。
図2C】1つの実施形態による、図2Aに示された処理システムの一部分の断面の拡大図である。
図3】1つの実施形態による、基板の表面から接着剤残留物を洗浄する方法を記載する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解しやすくするために、同一の参照番号が、可能であれば、図に共通する同一の要素を示すために使用されている。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしに、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられる。
【0013】
本開示の実施形態は、一般に、リソグラフィマスクの洗浄または改修の前にリソグラフィマスクの表面から接着剤残留物を除去するための装置および方法を含む。特に、本明細書に記載の処理システムは、リソグラフィマスクの表面から接着剤残留物を除去しやすくするために溶媒をリソグラフィマスクの表面の選択した場所に送り出すことを可能にする。
【0014】
図1Aは、1つの実施形態による、例示的なリソグラフィマスクアセンブリの概略等角図である。図1Bは、ライン1B-1Bに沿って得られた図1Aのリソグラフィマスクアセンブリの概略断面図である。一般に、リソグラフィマスクアセンブリ100は、リソグラフィマスク101およびペリクル102を含み、ペリクル102は、それらの間に置かれた複数の接着性パッチ103によってリソグラフィマスク101に固定される。いくつかの実施形態では、リソグラフィマスク101は、極紫外(EUV)リソグラフィ処理システムで使用するように構成され、基板104、基板104上に配置された反射多層スタック105、反射多層スタック105上に配置されたキャッピング層107、およびキャッピング層107上に配置された吸収体層108を特徴とする。いくつかの実施形態では、基板104は、チタンドープ溶融石英などの低熱膨張材料(LTEM)を含む。いくつかの実施形態では、反射多層スタック105は、複数の繰り返しのMoおよびSi層、すなわち、複数のMo/Si層などの複数の繰り返しの金属およびシリコン層を含む。いくつかの実施形態では、反射多層スタック105は、金属とシリコンとの約40個を超える交互層を含み、約200nmと約250nmとの間の厚さを有する。いくつかの実施形態では、吸収体層108は、TaBO層、TaBN層、またはそれらの多層スタック、例えば、TaBN層上に配置されたTaBO層などのタンタル(Ta)を含む材料から形成される。いくつかの実施形態では、吸収体層108は、約50nmと約80nmとの間の厚さを有する。いくつかの実施形態では、キャッピング層107は、ルテニウム(Ru)から形成され、約1nmと約5nmとの間の厚さ、例えば、約2.5nmの厚さを有する。
【0015】
ここで、複数の開口109が形成されている吸収体層108は、リソグラフィマスク101のパターン化表面を形成する。ここで、開口109の個々のものは、吸収体層108を通って延び、その下に配置されたキャッピング層107を露出させる。他の実施形態では、開口109の個々のものは、キャッピング層107を通ってさらに延び、その下に配置された反射多層スタック105を露出させる。いくつかの実施形態では、リソグラフィマスク101は、1つまたは複数のブラックボーダ開口(black-border opening)106、すなわち、吸収体層108、キャッピング層107、および反射多層スタック105を通って延びる1つまたは複数の開口を含む。
【0016】
一般に、ペリクル102は、薄い(例えば、厚さが200nm未満)透明な膜、本明細書ではペリクル膜110を含み、ペリクルフレーム111を横切って延び、それらの間に置かれた接着剤層(図示せず)によってペリクルフレーム111に固定される。本明細書では、ペリクル膜110は、リソグラフィマスク101の表面から距離Aだけ離間される。ペリクルフレーム111は、リソグラフィマスク101の表面から接着性パッチ103の厚さだけ、本明細書では、約1mm未満、例えば、約10μmと約500μmとの間などの距離Bだけ離間される。ここで、接着性パッチ103は、基板104の表面に直接に配置される。他の実施形態では、接着性パッチ103は、反射多層スタック105の表面に直接に配置される。他の実施形態では、接着性パッチ103は、吸収体層108の表面に直接に配置される。
【0017】
リソグラフィマスク101の表面からのペリクル膜110の間隔は、望ましくは、リソグラフィマスクパターンがワークピースのレジスト膜に転写されるとき、ペリクル膜110の上に溜まった粒子、例えば、塵埃が焦点場に存在しないようにする。リソグラフィマスクの表面からのペリクルフレーム111の離間により、望ましくは、洗浄ガス、例えば、空気が、ペリクルとリソグラフィマスクとの間を流れることが可能になる。ペリクルとリソグラフィマスクとの間のガスの自由な流れは、望ましくは、壊れやすいペリクル膜110を破裂させることがある真空EUVリソグラフィプロセス中の膜の反対側の面への不均等な圧力を防止する。本明細書の実施形態では、ペリクル102をリソグラフィマスク101の表面に固定するために使用される接着性パッチ103は、ペリクルフレーム111の角に隣接した場所などの別個の複数の場所にところどころに配置される。例えば、いくつかの実施形態では、リソグラフィマスクは、断面が四角い形状であり、リソグラフィマスクの各辺は、約100mmと約300mmとの間の、例えば、約150mmの長さCを有する。ペリクルフレーム111の辺は、それに直交する角度で測定したとき、約0mmと約30mmとの間の距離Dだけリソグラフィマスク101の辺の内側に配置される。ここで、複数の接着性パッチ103は、フレームの角に配置され、約70mmと約140mmとの間の中心間距離Fを有する。
【0018】
ペリクルフレーム111を含むペリクル102は、多くの場合、ペリクル膜110の表側面および裏側面への粒子の蓄積、ペリクル膜110への損傷のためにリソグラフィマスク101の使用寿命中に、またはリソグラフィマスク101の他の修理もしくは改修処理中に交換される。使用済みペリクル102がリソグラフィマスク101の表面から取り除かれたとき、接着性パッチ103からの少なくとも若干の望ましくない残留物が、それに対応する別個の複数の場所でリソグラフィマスクの表面に残ることになる。残念なことに、リソグラフィマスクの表面に残っている望ましくない残留物は、後続の洗浄プロセスまたは改修プロセス中にリソグラフィマスクの表面の他の領域に移ることになる。望ましくなく移った残留物は、マスクを使用不能にするか、またはマスクを洗浄もしくは改修するコストおよび複雑さを増加させる可能性がある。さらに、除去されない残留物は、リソグラフィマスク表面と、続いて装着されるペリクルの膜との間の距離Aの望ましくない変動をもたらし、それに関連するプロセス欠陥を引き起こすか、または改修されたマスクアセンブリを使用不能にすることがある。それゆえに、本明細書の実施形態は、図2A図2Cに記載の処理システム、および図3に記載の方法を提供し、それらは、リソグラフィマスクの複数の選択した場所から望ましくない接着剤残留物を除去しやすくする。
【0019】
図2Aは、1つの実施形態による、本明細書に記載の方法を実施するように構成された処理システムの概略断面図である。図2Bは、1つの実施形態による、ライン2B-2Bに沿って得られた図2Aに示された流体分配アセンブリの断面図である。図2Cは、1つの実施形態による、図2Aに示された処理システムの一部分の断面の拡大図である。
【0020】
本明細書では、処理システム200は、本体201、リッド202、1つまたは複数の側壁203、およびベース204を含み、それらは、集団で、処理容積205の境界を画定する。処理容積205に配置された基板支持体206は、ベース204を通って延びる支持シャフト207に配置される。処理システム200は、1つまたは複数の側壁203の開口209を通して基板支持体206におよび基板支持体206から図1A図1Bに記載のリソグラフィマスク101などの基板208を移送しやすくするように構成される。いくつかの実施形態では、開口209は、基板処理の間、ドア210により封止される。
【0021】
本明細書では、処理システム200は、基板支持体206の上方に配置された流体分配アセンブリ211をさらに含む。流体分配アセンブリ211は、流体分配シャフト212、流体分配シャフト212に結合されたマニホールド215、およびマニホールド215に結合された複数の洗浄ユニット216を特徴とする。いくつかの実施形態、例えば、処理容積が真空状態に維持される実施形態などでは、流体分配シャフト212は、リッド202を通して密封的に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、ベローズ(図示せず)が、処理容積205の内部または外部で流体分配シャフト212を囲む。それらの実施形態のうちのいくつかでは、処理容積205は、1つまたは複数の専用真空ポンプなどの真空に流体的に結合される。
【0022】
ここで、流体は、入口213を通って流体分配アセンブリ211に入り、出口214を通って流体分配アセンブリ211を出て行く。マニホールド215は、入口213を通して受け取った流体を複数の洗浄ユニット216に、それらの間を流体連結して配置された複数の分配導管217を使用して分配する。マニホールド215は、さらに、複数の洗浄ユニット216から受け取った流体を出口214に、それらの間を流体連結して配置された複数の戻り導管225を使用して導いて戻す。
【0023】
いくつかの実施形態では、マニホールド215は、その中心軸からそれぞれの複数の洗浄ユニット216まで半径方向に延びる複数のアーム250(図2Bに示される)を含む。ここで、複数のアーム250の各々は、アームの中に形成された戻り導管225と、戻り導管225に配置された分配導管217、例えば、それを通して形成された開口を有する管などを有する。他の実施形態では、マニホールド215は、その中にそれぞれ配置および形成された複数の分配導管217および戻り導管225によって、複数の洗浄ユニット216と分配シャフトとの間の流体連結を容易にする任意の他の適切な形状のものである。いくつかの実施形態では、入口213は、それを通して配置された開口を有する管を含み、複数の分配導管217は、スパイダ取付け具251(図2Bに示される)を使用して入口213に流体的に結合される。
【0024】
ここで、複数の洗浄ユニット216(図2Cにさらに記載される)が、基板208の表面での対応する複数の場所の上方に位置付けられる。ここで、複数の場所の各々は、基板208の表面にある除去されるべき接着剤残留物244(図2C示される)を有する。本明細書では、処理システム200の構成要素が基板処理モードで(図示のように)配置されるとき、複数の洗浄ユニット216が基板208の表面に封止される。基板処理モードで構成要素を位置付けることには、支持シャフト207または流体分配シャフト212にそれぞれ結合された第1のアクチュエータ226または第2のアクチュエータ227の一方または両方を使用して、支持シャフト207を持ち上げることまたは流体分配シャフト212を下げることの一方または両方が含まれる。いくつかの実施形態では、流体分配シャフト212は、基板208への複数の洗浄ユニットの封止を容易にするために、ジンバル結合などの可撓性結合229を使用して、マニホールド215に密封的に結合される。
【0025】
いくつかの実施形態では、支持シャフト207は、それを通して配置された垂直軸のまわりに回転可能である。それらの実施形態では、基板処理モードで構成要素を位置付けることには、基板上にある接着剤残留物パッチが、望ましくは、複数の洗浄ユニット216と位置合わせされるまで支持シャフトを回転させることが含まれる。
【0026】
ここで、入口213は、洗浄流体源218、すなわち、溶媒、脱イオン水またはイソプロピルアルコール(IPA)などのリンス流体源220、および清浄な乾燥空気(CDA)またはN2などの乾燥ガス源223などの1つまたは複数の流体源に流体的に結合される。それぞれの流体源218、220、および223からの洗浄流体、リンス流体、および乾燥ガスが、流体源と入口213との間に流体的に結合された導管または入口213につながる導管に配置されたバルブ222を使用して入口213に選択的に送り出される。いくつかの実施形態では、処理システム200は、洗浄流体源218と入口213との間に配置され、洗浄流体源218と入口213とに流体連結したヒータ219をさらに含む。いくつかの実施形態では、洗浄流体源218は容器であり、洗浄流体は出口214からその中に再循環される。いくつかの実施形態では、ヒータ219は、洗浄流体容器が中に配置されたウォーターバスもしくはオイルバス、またはシェルアンドチューブ型熱交換器である。いくつかの実施形態では、リンス流体または乾燥ガスは、それぞれ、出口214からドレイン224または排気部221に、それらの間に流体的に結合された導管に配置されたバルブ222を使用して導かれる。
【0027】
一般に、処理システム200の動作および制御は、それに結合されたシステムコントローラ230を使用して促進される。システムコントローラ230は、メモリ232(例えば、不揮発性メモリ)とサポート回路233とを用いて動作可能なプログラム可能な中央処理装置(CPU231)を含む。サポート回路233は、従来通り、CPU231に結合され、処理システム200の制御を容易にするために処理システム200の様々な構成要素に結合されたキャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源など、およびそれらの組合せを含む。CPU231は、処理システム200の様々な構成要素およびサブプロセッサを制御するための、プログラム可能な論理制御装置(PLC)などの工業環境で使用される任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つである。CPU231に結合されたメモリ232は、非一過性であり、一般に、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、またはローカルまたはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージなどの容易に利用可能なメモリのうちの1つまたは複数である。
【0028】
ここで、メモリ232は、CPU231によって実行されたときに処理システム200の動作を促進する命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態のもの(例えば、不揮発性メモリ)である。メモリ232内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態のものである。プログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のうちの任意の1つに準拠することができる。1つの例では、本開示は、コンピュータシステムで使用するためにコンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラム製品として実現することができる。プログラム製品のプログラムは、実施形態の機能(本明細書に記載の方法を含む)を規定する。
【0029】
例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、限定はしないが、(i)情報が恒久的に格納される書き込み不可能なストレージ媒体(例えば、CD-ROMドライブによって可読なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、および(ii)変更可能な情報が格納される書き込み可能ストレージ媒体(例えば、ディスケットドライブもしくはハードディスクドライブ内のフロッピーディスク、または任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)を含む。そのようなコンピュータ可読ストレージ媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を記憶している場合、本開示の実施形態である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、またはその一部は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のタイプのハードウェア実施態様によって実行される。いくつかの他の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、ソフトウェアルーチン、ASIC、FPGA、および/または他のタイプのハードウェア実施態様の組合せによって実行される。
【0030】
図2Cは、1つの実施形態による、洗浄ユニット216の断面を示す図2Aの一部分の拡大図である。ここで、洗浄ユニット216は、第1の外側導管240と、第1の導管240の内部で延びる第2の内側導管241とを含む。一般に、第2の導管241の端部は、約1mmと約20mmとの間の距離Hだけ第1の導管240の端部の内側に引っ込められている。ここで、第1の導管240は、基板208の表面にある除去されるべき接着剤残留物244の直径よりも大きい内径G、例えば、約1mmと約20mmとの間などを有する。基板処理の間、第1の導管240の端部に配置されたOリング、ベローズ、またはワイパーシールなどのガスケット243は、基板208に接触し、洗浄ユニット216の端部を基板208に封止する。例えば、いくつかの実施形態では、ガスケット243は、基板208に配置された層に形成された開口を通して基板208の表面、例えば、図1Bに記載の基板104の表面などに接触する。他の実施形態では、ガスケット243は、吸収体層108に形成された開口を通して反射多層スタック105の表面に接触する。洗浄ユニット216の端部が基板208に封止されるとき、すなわち、処理システムの構成要素が基板処理モードで配置されるとき、第1の導管240と、第2の導管241と、ガスケット243によって囲まれた基板208の部分とは、集団で、流体流れ経路242を画定することになる。
【0031】
図3は、図1A図1Bに記載のリソグラフィマスク101などの基板の表面の複数の場所から接着剤残留物を洗浄する方法を記載する流れ図である。動作301において、方法300は、図2A図2Cに記載の処理システム200などの処理システムの基板支持体に基板を位置付けることを含む。
【0032】
動作302において、方法300は、複数の洗浄ユニットの端部を対応する複数の場所で基板の表面に封止することを含む。ここで、複数の洗浄ユニットの端部を基板の表面に封止することには、洗浄ユニットに配置された複数のガスケットが基板の表面に密封的に接触するまで、基板支持体を持ち上げることまたは流体分配アセンブリを下げることの一方または両方が含まれる。
【0033】
動作303において、方法300は、複数の洗浄ユニットを通して洗浄流体を流すことを含む。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、有機溶媒を含む。例えば、いくつかの実施形態では、洗浄流体は、ジメチルスルホキシド、1-フェノキシプロパン-2-オール、1-メチル-2-ピロリジノン、2-フェノキシエタノール、4-ノニルフェノール、分枝型、エトキシレーテッド、ジクロルメタン、ジメチルホルムアミド、ジクロルメタン、メタノール、または水素化精製軽質留出物(水素化精製石油留出物)のうちの1つまたはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、表1に記載の組成物A~Dのうちの1つまたはそれらの組合せを含む。
【0034】
【表1】
【0035】
動作304において、方法300は、基板の表面を複数の場所で洗浄流体にさらすことを含む。いくつかの実施形態では、方法300は、約50℃と約160℃の間、例えば、約50℃と約150℃の間、または約90℃と約150℃の間などに洗浄流体を加熱することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法300は、洗浄流体を洗浄流体源容器に再循環させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法300は、リンス流体を複数の洗浄ユニットに流すこと、および基板の表面を複数の場所でリンス剤にさらすことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法300は、乾燥ガスを複数の洗浄ユニットに流すこと、および基板の表面を複数の場所で乾燥ガスにさらすことをさらに含む。
【0036】
一般に、ガスケットは、その上に若干の残留の洗浄流体があることになり、それは、洗浄ユニットが基板から分離されるとき、望ましくなく、基板上に滴下する可能性がある。それゆえに、滴下を防止するために、いくつかの実施形態では、方法300は、洗浄ユニットを基板の表面から分離する間洗浄ユニットの真空を維持することをさらに含む。
【0037】
本明細書に記載の方法および処理システムは、有利には、EUVリソグラフィマスクの表面からペリクル接着剤残留物を除去しやすくするために、EUVリソグラフィマスクの表面の選択した場所に溶媒を送り出すことを可能にする。さらに、本明細書で使用される溶媒は、EUVリソグラフィマスクの吸収体層に望ましくない損傷を引き起こすことがあるので、選択した場所に溶媒を送り出すことにより、リソグラフィマスクに配置された壊れやすいパターン化表面に望ましくない損傷を引き起こすことなしに、比較的攻撃的な溶媒を使用してリソグラフィマスクからペリクル接着剤を除去することが容易になる。
【0038】
前述は本開示の実施形態に関するが、本開示の他のおよびさらなる実施形態を、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3