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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230912BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20230912BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/02 A
H01L31/10 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022037213
(22)【出願日】2022-03-10
(62)【分割の表示】P 2017165724の分割
【原出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2022075793
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】柴田 寛
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-091800(JP,A)
【文献】特開2012-204690(JP,A)
【文献】特開2008-027980(JP,A)
【文献】特開2010-003928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/02
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する半導体層の内部に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部と、
前記受光部の光入射側に、前記受光部と接して設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層と、
前記半導体層の前記受光部の形成領域以外の領域の光入射側に設けられた絶縁膜と、
前記緩衝層の光入射側に設けられ、前記絶縁膜の屈折率よりも高く、かつ前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記集光部は、前記緩衝層と接する高屈折率層と、前記高屈折率層の光入射側の領域を覆うレンズ部と、を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1の導電型を有する半導体層の内部に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部と、
前記受光部の光入射側に、前記受光部と接して設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層と、
前記半導体層及び前記緩衝層の光入射側に設けられ、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜の少なくとも一方により構成される絶縁膜と、
前記絶縁膜の光入射側に設けられ、かつ前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部と、
を含む半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁膜は、酸化シリコンよりも屈折率が高い高屈折率層である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記集光部は、前記絶縁膜の光入射側の領域を覆うレンズ部である
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記レンズ部は、前記高屈折率層の屈折率より低い屈折率を有する
請求項2または請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記緩衝層は、前記第2の導電型である、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記緩衝層を、前記アモルファスシリコンに代えてポリシリコンで構成した
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の導電型を有する半導体層の内部に前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部を形成する工程と、
前記受光部の光入射側にアモルファスシリコンで構成された緩衝層を前記受光部と接して形成する工程と、
前記半導体層の前記受光部の形成領域以外の領域の光入射側に絶縁膜を形成する工程と、
前記緩衝層の光入射側に、前記絶縁膜の屈折率よりも高く、かつ前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
第1の導電型を有する半導体層の内部に前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部を形成する工程と、
前記受光部の光入射側にアモルファスシリコンで構成された緩衝層を前記受光部と接して形成する工程と、
前記半導体層及び前記緩衝層の光入射側に設けられ、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜の少なくとも一方により構成される絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の光入射側に、前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記緩衝層を、前記アモルファスシリコンに代えてポリシリコンで構成する
請求項または請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary MOS(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor))イメージセンサ等の固体撮像装置の構造として、表面照射型(FSI: Front Side Illumination)が知られている。表面照射型の固体撮像装置は、フォトダイオードを有する半導体層の上に、配線が設けられた配線層、及び入射された光を集光するマイクロレンズをこの順で積層した構造を有する。表面照射型の固体撮像装置においては、マイクロレンズを透過した撮像対象物からの光は、配線の合間を通過してフォトダイオードに到達する。
【0003】
表面照射型の固体撮像装置に関する技術として、フォトダイオードとの間に、所望の特性を得るために、フォトダイオードの光入射面に比較的屈折率が高い膜を設ける技術が知られている。例えば、特許文献1には、絶縁膜として用いられるシリコン酸化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する炭化シリコンの反射防止膜をフォトダイオードの光入射面に設けた表面照射型の固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-294242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表面照射型の固体撮像装置では、フォトダイオードの光入射面に比較的屈折率が高い膜を設ける技術として、例えば上記特許文献1に記載の技術のようにフォトダイオードの光入射面における光の反射を防止するために、フォトダイオードの光入射面に空気の屈折率よりも高い屈折率、かつ半導体層の屈折率よりも低い屈折率の反射防止膜を設けることが行われている。半導体層が例えばシリコン(Si)で構成される場合、反射防止膜として例えばシリコン窒化膜(SiN)や炭化シリコン膜(SiC)等を用いることできる。しかしながら、このような反射防止膜は、フォトダイオードとの界面付近に比較的大きな応力を生じさせ、この応力によって半導体基板内部に結晶欠陥が生じ、フォトダイオードから出力される信号にノイズを生じさせる結果となる。そこで、このような応力に起因する結晶欠陥の発生を防止するために、フォトダイオードと反射防止膜との間に例えばシリコン酸化膜(SiO)で構成される緩衝層を設けて応力を緩和させる対策が考えられる。しかしながら、シリコン酸化膜(SiO)の屈折率は、反射防止膜を構成するシリコン窒化膜(SiN)等の屈折率よりも低いため、反射防止膜による反射防止効果が低下する。
【0006】
フォトダイオードの光入射面に比較的屈折率が高い膜を設ける技術として、また例えば、フォトダイオードの光入射面側に、光の利用効率を向上するために、高屈折率の材料により構成される導波路や層内レンズ等の集光部を設けることが行われている。この場合の高屈折率の材料としては、シリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜(SiON)等を用いることができる。しかしながら、このような集光部は、高屈折率の材料により構成されるため、上記反射防止膜と同様に、フォトダイオードとの界面付近に比較的大きな応力を生じさせ、この応力によって半導体基板内部に結晶欠陥が生じ、フォトダイオードから出力される信号にノイズを生じさせる結果となる。そこで、このような応力に起因する結晶欠陥の発生を防止するために、フォトダイオードと集光部との間に例えばシリコン酸化膜で構成される緩衝層を設けて応力を緩和させる対策が考えられる。しかしながら、集光部とフォトダイオードとの間に集光部よりも屈折率が低い緩衝層を設けることになるため、集光効率が低下する。
【0007】
本開示は、上記した点に鑑みてなされたものであり、表面照射型の固体撮像装置を構成する半導体装置において、所望の特性を損なうことなく、受光部内部における結晶欠陥の発生を抑制することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の半導体装置は、第1の導電型を有する半導体層の内部に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部と、前記受光部の光入射側に、前記受光部と接して設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層と、前記半導体層の前記受光部の形成領域以外の領域の光入射側に設けられた絶縁膜と、前記緩衝層の光入射側に設けられ、前記絶縁膜の屈折率よりも高く、かつ前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部と、を含む。
【0009】
また、本開示の半導体装置は、第1の導電型を有する半導体層の内部に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部と、前記受光部の光入射側に、前記受光部と接して設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層と、前記半導体層及び前記緩衝層の光入射側に設けられ、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜の少なくとも一方により構成される絶縁膜と、前記絶縁膜の光入射側に設けられ、かつ前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部と、を含む。
【0010】
また、本開示の半導体装置の製造方法は、第1の導電型を有する半導体層の内部に前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部を形成する工程と、前記受光部の光入射側にアモルファスシリコンで構成された緩衝層を前記受光部と接して形成する工程と、前記半導体層の前記受光部の形成領域以外の領域の光入射側に絶縁膜を形成する工程と、前記緩衝層の光入射側に、前記絶縁膜の屈折率よりも高く、かつ前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部を形成する工程と、を含む。
【0011】
また、本開示の半導体装置の製造方法は、第1の導電型を有する半導体層の内部に前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する受光部を形成する工程と、前記受光部の光入射側にアモルファスシリコンで構成された緩衝層を前記受光部と接して形成する工程と、前記半導体層及び前記緩衝層の光入射側に設けられ、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜の少なくとも一方により構成される絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の光入射側に、前記緩衝層の屈折率よりも低い屈折率を有する集光部を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、表面照射型の固体撮像装置を構成する半導体装置において、所望の特性を損なうことなく、受光部内部における結晶欠陥の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図2A】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図2B】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である
図2C】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図2D】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図2E】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図2F】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図2G】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図2H】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図3】第1実施形態の半導体装置の構成の他の例を示す断面図である。
図4】第2実施形態の半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図5A】第2実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図5B】第2実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である
図5C】第2実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図5D】第2実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図5E】第2実施形態の半導体装置の製造方法の他の例を示す図である。
図5F】第2実施形態の半導体装置の製造方法の他の例を示す図である。
図5G】第2実施形態の半導体装置の製造方法の他の例を示す図である。
図6】第3実施形態の半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図7A】第3実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
図7B】第3実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、開示の技術の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の表面照射型の固体撮像装置を構成する半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。
【0016】
半導体装置100は、基板層12、埋め込み酸化膜11、及び半導体層10が積層されたSOI(Silicon on Insulator)基板1を有しており、例えば、n型の単結晶シリコンで構成される半導体層10の内部にフォトダイオードを構成するp型の受光部30を有する。本実施形態における導電型においてn型が本開示の第1の導電型の一例であり、本実施形態における導電型においてp型が本開示の第2の導電型の一例である。本実施形態において、受光部30の光入射側の表面は、半導体層10の光入射側の表面S1と同一(いわゆる面一)とされている。なお、半導体層10には、図1に示す構成と同様の構成の複数のフォトダイオードが設けられている。これら複数のフォトダイオードの各々は、固体撮像装置における複数の画素を構成する。
【0017】
受光部30は、半導体層10の表面S1側から入射する光の量に応じた電荷を発生させる。受光部30の光入射側の表面は、緩衝層40で覆われている。本実施形態において、緩衝層40は、受光部30の導電型とは反対の導電型であるn型のアモルファスシリコン(a-Si)で構成されている。緩衝層40は、受光部30と接している。
【0018】
緩衝層40の光入射側の表面は、後述する酸化シリコン(SiO)等の絶縁体で構成される絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率層42で覆われている。ここで、絶縁膜29を構成する酸化シリコンの屈折率は1.5程度である。高屈折率層42として例えば、屈折率が2程度のシリコン窒化膜(SiN)を用いることができる。高屈折率層42を絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有する材料で構成することで、高屈折率層42は、受光部30の光入射側の表面に照射される光の反射を防止する反射防止膜として機能する。
【0019】
また半導体層10の内部には、受光部30との間に間隙を隔てて、p型のフローティングディフュージョン24が設けられている。また、半導体層10の内部には、SiO等の絶縁体によって構成される素子分離領域21が設けられている。素子分離領域21により、半導体層10内部に設けられた複数のフォトダイオードが電気的に分離される。
【0020】
受光部30の光入射側の表面とフローティングディフュージョン24との間に対応する領域には、ゲート絶縁膜22を介してゲート電極23が設けられている。ゲート電極23は、導電体で構成されるコンタクトプラグ25を介して配線27に接続されている。また、フローティングディフュージョン24は、導電体で構成されるコンタクトプラグ26を介して配線28に接続されている。半導体層10の光入射側の表面S1側は、SiO等の絶縁体で構成される絶縁膜29で覆われており、ゲート電極23、コンタクトプラグ25、26、及び配線27、28は、絶縁膜29の内部に埋設されている。
【0021】
以下に、半導体装置100の製造方法の一例について図2A図2Gを参照しつつ説明する。
【0022】
はじめに、基板層12、埋め込み酸化膜11及び半導体層10が積層されたSOI基板1を用意する(図2A)。
【0023】
次に、例えば、公知のSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて、半導体層10の内部にSiO等の絶縁体で構成される素子分離領域21を形成する(図2B)。
【0024】
次に、例えば、公知の熱酸化法を用いて半導体層10の表面にSiO等の絶縁体で構成されるゲート絶縁膜22を形成する。続いて、例えば公知のCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法を用いて、ゲート絶縁膜22の表面にポリシリコン膜を堆積し、このポリシリコン膜を公知のフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることで、ゲート電極23を形成する(図2C)。なお、ポリシリコン膜の形成後に、ゲート電極23を低抵抗化するためのイオン注入処理を行ってもよい。
【0025】
次に、公知のイオン注入法により、例えばボロン(B)等の3属元素からなる不純物イオンを半導体層10のゲート電極23の近傍に注入する。その後、熱処理により不純物イオンを活性化させる。これにより、半導体層10の内部にフォトダイオードを構成するp型の受光部30が形成される。続いて、ボロン等の3属元素からなる不純物イオンを半導体層10の、ゲート電極23を間に挟んで受光部30と対向する位置に注入する。その後、熱処理により不純物イオンを活性化させる。これにより、半導体層10内部のゲート電極23を間に挟んで受光部30と対向する位置にp型のフローティングディフュージョン24が形成される(図2D)。
【0026】
次に、公知のプラズマCVD法または触媒CVD(Cat-CVD)法を用いて、受光部30の光入射側の表面上にアモルファスシリコンで構成される厚さ10nm~50nm程度の緩衝層40を形成する。このCVDでは、例えば、シランガス(SiH)及び水素ガス(H)を材料ガスとして使用することができる(図2E)。
【0027】
次に、公知のプラズマCVD法を用いて、緩衝層40の表面に例えばシリコン窒化膜(SiN)で構成される高屈折率層42を形成する。このCVDでは、例えば、シランガス(SiH)、アンモニアガス(NH)、及び窒素ガス(N)を材料ガスとして使用することができる(図2F)。高屈折率層42の層厚は、固体撮像装置としての半導体装置100がセンシングする光の波長域に応じて設定される。例えば、半導体装置100がセンシングする光の波長域が赤外線の波長域である場合、高屈折率層42の層厚は、例えば120nm程度とすることができる。
【0028】
次に、例えば、公知のCVD法を用いて半導体層10の表面にSiO等の絶縁体で構成される絶縁膜29を形成する。続いて、絶縁膜29にゲート電極23に達するコンタクトホール、及びフローティングディフュージョン24に達するコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホールにタングステン(W)等の導電体を埋め込むことで、コンタクトプラグ25、26を形成する。続いて、絶縁膜29の表面にアルミニウム等の導電体で構成される導体膜を形成し、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてこの導体膜をパターニングすることで、コンタクトプラグ25、26にそれぞれ接続された配線27、28を形成する。その後、配線27、28を覆うように、更に絶縁膜29を形成する(図2G)。
【0029】
以上のように、本実施形態の半導体装置100は、n型の半導体層10の内部に設けられたフォトダイオードを構成する受光部30と、受光部30の光入射側に設けられ、n型のアモルファスシリコンで構成された緩衝層40と、半導体層10及び緩衝層40の光入射側に設けられた絶縁膜29と、緩衝層40と絶縁膜29との間に設けられ、絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率層42と、を含む。
【0030】
高屈折率層42は、絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有するため、高屈折率層42は、反射防止膜として機能する。緩衝層40は、半導体層10と高屈折率層42との間に介在することで、高屈折率層42による応力の受光部30への影響が緩和され、受光部30内における結晶欠陥の発生が抑制される。緩衝層40は、アモルファスシリコンで構成されており、その屈折率は、受光部30の屈折率と同程度であり、高屈折率層42の屈折率よりも高い。従って、緩衝層40は、高屈折率層42による反射防止効果を低減させることなく応力緩和機能を発揮する。
【0031】
なお、緩衝層40の導電型を受光部30と反対の導電型としてもよい。緩衝層40の導電型を受光部30と反対の導電型とする方法としては、例えば、以下の方法でもよい。受光部30の光入射側の表面上に緩衝層40を形成した(図2E参照)後、高屈折率層42を形成する前に、公知のイオン注入法により、リン(P)またはヒ素(As)等の5属元素からなる不純物イオンを緩衝層40に注入(ドープ)する。続いて、緩衝層40の表面に、Nd:YLFレーザを照射することにより緩衝層40に注入された不純物イオンを活性化させる。これにより、緩衝層40にn型の導電性が付与される(図2H)。このようなレーザアニール処理によれば、デバイス全体の加熱処理が不要となる。また、本工程におけるイオン注入処理及びレーザアニール処理は、緩衝層40に対する処理であり、イオン注入時の加速電圧やレーザパワーを適切に設定することで、これらの処理による受光部30へのダメージを抑制することができる。また例えば、プラズマCVD法または触媒CVD(Cat-CVD)法によって緩衝層40を形成する際(図2E参照)に、シランガス(SiH)及び水素ガス(H)を含む材料ガスと、リン(P)またはヒ素(As)等の5属元素を含む不純物ガスとを混合した混合ガスを用いてもよい。これにより、緩衝層40の成膜の段階で緩衝層40に導電性を付与できる。
【0032】
このように、受光部30と接する緩衝層40の導電型を、受光部30と反対の導電型とすることにより、緩衝層40は、受光部30の表面の界面準位に起因するノイズの発生を抑制するピンニング層としても機能する。これにより、ノイズの少ない固体撮像装置が構成される。従って、受光部30と接する緩衝層40の導電型を受光部30と反対の導電型とすることにより、緩衝層40は、高屈折率層42による応力の受光部30への影響を緩和する機能と、ノイズの発生を抑制するピニング層としての機能とを両立する。
【0033】
また、図3に示した半導体装置100のように、緩衝層40に電気的に接続された配線48を設け、緩衝層40に電圧を印加できるように構成してもよい。緩衝層40に電圧を印加することで、受光部30の表面電位を制御することが可能となる。緩衝層40に電気的に接続された配線48を設ける場合は、例えば、緩衝層40の表面に高屈折率層42を形成した(図2F参照)後、高屈折率層42を貫通し、緩衝層40に達するコンタクトホールを形成する。そして、図2Gを参照して説明したように、コンタクトプラグ25、26にそれぞれ接続された配線27、28を形成する際に、同様に公知のフォトリソグラフィー技術を用いて絶縁膜29の表面に形成された導体膜をパターニングすることでコンタクトプラグ46及び配線48を形成する。その後、配線27、28、48を覆うように、更に絶縁膜29を形成する。
【0034】
また、本実施形態では、緩衝層40の材料として、アモルファスシリコンを用いたが、アモルファスシリコンに代えてポリシリコンを用いることも可能である。このように、緩衝層40をポリシリコンで構成する場合でも、緩衝層40をアモルファスシリコンで構成する場合と同様の効果を得ることができる。ポリシリコンで構成される緩衝層40の成膜は、アモルファスシリコンの場合と同様、公知のCVD法を用いて行うことができる。また、ポリシリコンで構成される緩衝層40に対しで導電性を付与する場合、アモルファスシリコンの場合と同様、公知のイオン注入法によって行うことができる。若しくは、CVD法による緩衝層40の成膜時に不純物ガスを導入することにより緩衝層40に導電性を付与してもよい。
【0035】
[第2実施形態]
図4は、本実施形態の表面照射型の固体撮像装置を構成する半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様、n型の半導体層10の内部に設けられたフォトダイオードを構成するp型の受光部30と、受光部30の光入射側に設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層40と、を含む。
【0036】
本実施形態の半導体装置100は、以下の点において第1実施形態の半導体装置100と異なる。すなわち、図4に示すように本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100が備えていた高屈折率層42に代わり、緩衝層40上に形成された集光部50を備える。集光部50は、緩衝層40光入射側の表面に達する導波路54を構成する高屈折率層51と、高屈折率層51の光入射側の表面を覆うレンズ部52とを含む。
【0037】
高屈折率層51は、絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有する。絶縁膜29がSiOで構成される場合、高屈折率層51として例えば、SiNや、シリコン酸窒化膜(SiON)を用いることができる。SiONの屈折率は、組成を変えることでSiOの屈折率とSiNの屈折率との間で調整が可能である。
【0038】
レンズ部52は、高屈折率層51の光入射側の表面(導波路54の開口部)を少なくとも覆い、一例として本実施形態では導波路54の開口部周辺の絶縁膜29の光入射側の表面に亘る領域も覆っている。なお、導波路54の開口部の大きさが受光部30の光入射側の表面の大きさよりも小さい場合、換言すると受光部30の光入射側の表面の一部が導波路54と接していない場合、受光部30の光入射側の表面に対応する領域をレンズ部52が覆っていてもよい。レンズ部52は、高い屈折率を有しており、一例として絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有する。レンズ部52を構成する材料として例えば、上記高屈折率層51と同様に、SiNや、SiONを用いることができる。なお、レンズ部52を構成する材料と高屈折率層51を構成する材料とは同一であってもよいし、異なっていてもよいが、レンズ部52の屈折率が高屈折率層51の屈折率よりも低いことが好ましい。
【0039】
レンズ部52により集光された光は、導波路54を介して受光部30の光入射側の表面に達する。なお、本実施形態のレンズ部52は、集光を高めるための層内レンズとして機能し、レンズ部52よりも光の入射側に、レンズ部52から近い方から順に図示を省略したカラーフィルタ及びマイクロレンズが設けられる。
【0040】
以下に、本実施形態の半導体装置100の製造方法の一例について図5A図5Dを参照しつつ説明する。本実施形態の半導体装置100の製造方法は、緩衝層40を形成する工程(図2E)までは、第1実施形態の半導体装置100の製造方法と同じである。
【0041】
その後、高屈折率層42を形成せずに、第1実施形態(図2G参照)と同様に、絶縁膜29、コンタクトホール25、26、及び配線27、28を形成する(図5A)。
【0042】
次に、公知のフォトエッチング技術を用いて緩衝層40の光入射側の表面に対応する領域の絶縁膜29を除去して開口部60を形成する(図5B)。
【0043】
次に、公知の高密度プラズマCVD(HIgh Density Plasma-CVD)法を用いて、開口部60に絶縁膜29の屈折率よりも屈折率が高い材料(ここではSiN)を充填する(図5C)。なお、開口部60以外の部分に形成されたSiNを例えば化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)またはプラズマエッチングによって除去することにより、高屈折率層51の光入射側の表面が平坦化される。
【0044】
次に、絶縁膜29及び高屈折率層51の光入射側の表面に、絶縁膜29の屈折率よりも屈折率が高い材料(ここではSiN)により構成される絶縁膜を形成する。そして、この絶縁膜上にレンズ形状のフォトレジストパターンを形成し、それをマスクとして当該絶縁層膜をエッチングすることにより、レンズ部52を形成する(図5D)。これにより、導波路54となる高屈折率層51と、レンズ部52とを含む集光部50が形成される。
【0045】
以上のように、本実施形態の半導体装置100は、n型の半導体層10の内部に設けられたフォトダイオードを構成するp型の受光部30と、受光部30の光入射側に設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層40と、半導体層10の受光部30の形成領域以外の領域の光入射側に設けられた絶縁膜29と、緩衝層40の光入射側に設けられ、絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有する集光部50と、を含む。
【0046】
高屈折率層51は、絶縁膜29の屈折率よりも高い屈折率を有しており光の利用効率を高める機能を有する。緩衝層40は、受光部30の光入射側の表面と高屈折率層51との間に介在することで、高屈折率層51による応力の受光部30への影響が緩和され、受光部30内における結晶欠陥の発生が抑制される。緩衝層40は、アモルファスシリコンで構成されており、その屈折率は、受光部30の屈折率と同程度であり、高屈折率層51の屈折率よりも高い。従って、緩衝層40は、高屈折率層51による光の利用効率を低減させることなく応力緩和機能を発揮する。
【0047】
なお、集光部50の形成方法は、上述した方法に限定されず、例えば、図5E図5Gを参照しつつ以下に説明するように、絶縁膜29よりも先に高屈折率層51を形成する方法としてもよい。上述したように緩衝層40を形成した(図2E参照)後、公知のCVD法を用いて半導体層10の光入射側の表面S1全体に高屈折率層51を形成する(図5E)。次に、公知のフォトエッチング技術を用いて緩衝層40の光入射側の表面以外に対応する領域の高屈折率層51を除去して開口部62を形成する(図5F)。次に、図2Gを参照して説明したように、開口部62に、絶縁膜29、コンタクトプラグ25、26、及び配線27、28を形成する(図5G)。その後、図5Dを参照して説明したように、絶縁膜29及び高屈折率層51の光入射側の表面に、レンズ部52を形成する。
【0048】
また、本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様に、受光部30と接する緩衝層40の導電型を、受光部30と反対の導電型とすることも可能である。また、本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様に、緩衝層40に電気的に接続された配線48を設け、緩衝層40に電圧を印加できるように構成してもよい。さらに、本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様に、緩衝層40の材料として、アモルファスシリコンに代えてポリシリコンを用いることも可能である。
【0049】
[第3実施形態]
図6は、本実施形態の表面照射型の固体撮像装置を構成する半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様、n型の半導体層10の内部に設けられたフォトダイオードを構成するp型の受光部30と、受光部30の光入射側に設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層40と、を含む。
【0050】
本実施形態の半導体装置100は、以下の点において第1実施形態の半導体装置100と異なる。すなわち、図6に示すように本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100が備えていた絶縁膜29及び高屈折率層42に代わり、高屈折率層55及びレンズ部52を備えている。なお、本実施形態ではレンズ部52が本開示の集光部の一例に対応する。
【0051】
高屈折率層55は、比較的高い屈折率を有し、具体的にはSiOよりも高い屈折率を有する。高屈折率層55としては例えば、SiNや、SiONを用いることができる。
【0052】
レンズ部52も比較的屈折率を有しており、具体的にはSiOよりも高い屈折率を有する。レンズ部52を構成する材料として例えば、上記高屈折率層55と同様に、SiNや、SiONを用いることができる。なお、レンズ部52を構成する材料と高屈折率層55を構成する材料とは同一であってもよいし、異なっていてもよいが、レンズ部52の屈折率が高屈折率層55の屈折率よりも低いことが好ましい。
【0053】
レンズ部52により集光された光は、高屈折率層55を介して受光部30の光入射側の表面に達する。なお、本実施形態のレンズ部52は、集光を高めるための層内レンズとして機能し、レンズ部52よりも光の入射側に、レンズ部52から近い方から順に図示を省略したカラーフィルタ及びマイクロレンズが設けられる。
【0054】
以下に、本実施形態の半導体装置100の製造方法の一例について図7A及び図7Bを参照しつつ説明する。本実施形態の半導体装置100の製造方法は、緩衝層40を形成する工程(図2E)までは、第1実施形態の半導体装置100の製造方法と同じである。
【0055】
その後、高屈折率層42を形成せずに、例えば、公知のCVD法を用いて半導体層10の表面に比較的屈折率が高い材料(ここではSiN)の絶縁体で構成される高屈折率層55を形成する。続いて、高屈折率層55にゲート電極23に達するコンタクトホール、及びフローティングディフュージョン24に達するコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホールにタングステン(W)等の導電体を埋め込むことで、コンタクトプラグ25、26を形成する。続いて、高屈折率層55の表面にアルミニウム等の導電体で構成される導体膜を形成し、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてこの導体膜をパターニングすることで、コンタクトプラグ25、26にそれぞれ接続された配線27、28を形成する。その後、配線27、28を覆うように、更に高屈折率層55を形成する(図7A)。
【0056】
その後、上記第2実施形態において図5Dを参照して説明したように、高屈折率層55の光入射側の表面に、レンズ部52を形成する。
【0057】
以上のように、本実施形態の半導体装置100は、n型の半導体層10の内部に設けられたフォトダイオードを構成するp型の受光部30と、受光部30の光入射側に設けられ、アモルファスシリコンで構成された緩衝層40と、半導体層10及び緩衝層40の光入射側に設けられ、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸窒化膜(SiON)の少なくとも一方により構成される高屈折率層55と、高屈折率層55の光入射側に設けられたレンズ部52と、を含む。
【0058】
高屈折率層55は、比較的高い屈折率、具体的にはSiOよりも高い屈折率を有しており光の利用効率を高める機能を有する。緩衝層40は、受光部30の光入射側の表面と高屈折率層55との間に介在することで、高屈折率層55による応力の受光部30への影響が緩和され、受光部30内における結晶欠陥の発生が抑制される。緩衝層40は、アモルファスシリコンで構成されており、その屈折率は、受光部30の屈折率と同程度であり、高屈折率層55の屈折率よりも高い。従って、緩衝層40は、レンズ部52及び高屈折率層55による光の利用効率を低減させることなく応力緩和機能を発揮する。
【0059】
なお、本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様に、受光部30と接する緩衝層40の導電型を、受光部30と反対の導電型とすることも可能である。また、本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様に、緩衝層40に電気的に接続された配線48を設け、緩衝層40に電圧を印加できるように構成してもよい。さらに、本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態の半導体装置100と同様に、緩衝層40の材料として、アモルファスシリコンに代えてポリシリコンを用いることも可能である。
【0060】
以上説明したように、上記各実施形態の半導体装置100は、受光部30と高屈折率層(42、51、55)との間に、緩衝層40が設けられているため、表面照射型の固体撮像装置を構成する半導体装置100において、所望の特性を損なうことなく、受光部30内部における結晶欠陥の発生を抑制することができる。
【0061】
なお、上記各実施形態においては、半導体層10及び緩衝層40の導電型をn型とし、受光部30及びフローティングディフュージョン24をp型で構成する場合を例示したが、これらの各構成要素の導電型を反転させてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 半導体層
29 絶縁膜
30 受光部
40 緩衝層
42、51、55 高屈折率層
50 集光部
52 レンズ部
100 半導体装置
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7A
図7B