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特許7348964フッ素および金属ハロゲン化物を使用した金属酸化物のエッチング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】フッ素および金属ハロゲン化物を使用した金属酸化物のエッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021572634
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020037126
(87)【国際公開番号】W WO2020252097
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】62/860,217
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ, キーナン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ツイ, ジェンジアン
(72)【発明者】
【氏名】サリー, マーク
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243755(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物層を上に有する基板表面をフッ素化剤に曝露して、フッ化物層を形成することと、
前記フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、前記フッ化物層を除去することであって、前記ハロゲン化物エッチャントが、一般式MXy(Mは、チタン(Ti)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、およびニオブ(Nb)のうちの1つ以上を含み、Xは、Cl、Br、およびIのうちの1つ以上を含む)を有する化合物を含む、前記フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、前記フッ化物層を除去することと、
を含むエッチングプロセス。
【請求項2】
前記金属酸化物層が、ハフニウム、タングステン、モリブデン、およびチタンのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項3】
前記金属酸化物層が、本質的に酸化ハフニウムからなる、請求項2に記載のエッチングプロセス。
【請求項4】
前記フッ素化剤が、HF、NF、一般式CxHyFz(xは1~16、yは0~33、zは1~34)を有する有機フッ化物、一般式CxHyOwFz(xは1~16、yは0~33、wは1~8、zは1~34)を有する有機酸フッ化物、金属フッ化物、それらの組み合わせ、およびそれらのプラズマのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項5】
前記ハロゲン化物エッチャントが、一般式EX(Eは、アルミニウム(Al)およびホウ素(B)のうちの1つ以上を含み、Xは、Cl、Br、およびIのうちの1つ以上を含む)を有する化合物を含む、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項6】
前記yは、1~6である、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項7】
前記フッ素化剤および前記ハロゲン化物エッチャントへの曝露を繰り返して、所定の厚さの前記金属酸化物層を除去することを、さらに含む、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項8】
前記フッ素化剤が、水素(H)と一緒に流され、前記フッ化物層が、10Åから15Åの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項9】
前記フッ化物層が、ニッケルチャンバ材料を含むプロセスチャンバ内で形成される、請求項8に記載のエッチングプロセス。
【請求項10】
前記基板表面を前記フッ素化剤に曝露する前に、前記基板表面を、H、OH、O、およびHのうちの1つ以上を含む洗浄プラズマに曝露することを、さらに含む、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項11】
前記洗浄プラズマが、前記基板表面から炭素膜および/または水分を除去する、請求項10に記載のエッチングプロセス。
【請求項12】
前記炭素膜および/または水分が、エッチングプロセスの結果である、請求項11に記載のエッチングプロセス。
【請求項13】
前記基板表面が、少なくとも1つの他の材料を有し、前記金属酸化物層が、前記少なくとも1つの他の材料よりも選択的にエッチングされる、請求項1に記載のエッチングプロセス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの他の材料が、TiN、TaN、SiN、SiO、Al、および炭素系材料のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載のエッチングプロセス。
【請求項15】
エッチング選択性が、10:1以上である、請求項13に記載のエッチングプロセス。
【請求項16】
金属酸化物層上に形成された酸水素化物層を上に有する基板表面をフッ素化剤に曝露して、フッ化物層を形成することと、
前記フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、前記フッ化物層を除去することであって、前記ハロゲン化物エッチャントが、一般式MXy(Mは、チタン(Ti)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、およびニオブ(Nb)のうちの1つ以上を含み、Xは、Cl、Br、およびIのうちの1つ以上を含む)を有する化合物を含む、前記フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、前記フッ化物層を除去することと、
を含むエッチングプロセス。
【請求項17】
金属酸化物層を上に有する基板表面を、HO、H、およびアルコールのうちの1つ以上から形成されたプラズマに曝露して、前記酸水素化物層を形成することを、さらに含む、請求項16に記載のエッチングプロセス。
【請求項18】
前記金属酸化物層が、本質的に酸化ハフニウムからなる、請求項17に記載のエッチングプロセス。
【請求項19】
金属酸化物層および第2の材料であって、TiN、SiN、TaN、SiO、AlO、LaO、炭素、ケイ素、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む第2の材料を有する基板表面を、ニッケルチャンバ材料を含むプロセスチャンバ内でフッ素化剤に曝露して、前記金属酸化物層の一部をフッ化物層に選択的に変えることと、
前記フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、前記フッ化物層を除去することと、
を含むエッチングプロセス。
【請求項20】
前記第2の材料が、本質的にケイ素からなり、前記エッチングプロセスが、約20:1以上の選択性を有する、請求項19に記載のエッチングプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、フッ素および金属ハロゲン化物源を使用する、金属酸化物の選択的原子層エッチングのための方法に関する。詳細には、本開示のいくつかの実施形態は、フッ素化および金属ハロゲン化物を用いた除去による金属酸化物の選択的原子層エッチングの方法に関する。本開示のいくつかの実施形態は、製造の観点から望ましくない可能性があるHFに代わるフッ素源を提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体デバイスの設計と材料成分の複雑さが増すにつれて、材料の選択的な除去が、半導体デバイスの継続的なスケーリングと改良にとって重要になってきている。
【0003】
[0003]選択的原子層エッチング(ALE)が、自己制限的な表面反応を利用する正確なエッチング方法として登場した。金属酸化物(MOx)の選択的ALEは、いくつかの半導体技術にとって特に重要であるが、これらの酸化物材料の固有の安定性のために、達成するのが難しい場合がある。そのような例の1つは、high-k金属ゲート構造のリセスエッチング中のHfOの選択的除去である。
【0004】
[0004]金属酸化物および窒化物の選択的除去は、半導体製造における継続的な小型化と最適化にとって重要である。いくつかのエッチングプロセスが存在するが、それらは、選択的ではないか、またはフッ素源としてHFに依存している。HFは毒性があり、製造時に取り扱いの問題が発生する。これらの懸念を回避する、金属酸化物エッチング用の代替フッ素源が、エッチングプロセスの広範な採用のために望ましい。
【0005】
[0005]したがって、金属酸化物および金属窒化物を選択的に除去するための新たなフッ素および金属ハロゲン化物源が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1つ以上の実施形態は、上に酸化物層を有する基板表面をフッ素化剤に曝露して、酸化物層の一部をフッ化物層に変えることを含むエッチングプロセスに関する。フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、フッ化物層を除去する。
【0007】
[0007]本開示の追加の実施形態は、上に酸水素化物層を有する基板表面をフッ素化剤に曝露して、フッ化物層を形成することを含むエッチングプロセスに関する。フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、フッ化物層を除去する。
【0008】
[0008]本開示のさらなる実施形態は、酸化物層および第2の材料を有する基板表面を、ニッケルチャンバ材料を含むプロセスチャンバ内でフッ素化剤に曝露して、酸化物層の一部をフッ化物層に選択的に変えることを含むエッチングプロセスに関する。第2の材料は、TiN、SiN、TaN、SiO、AlO、LaO、炭素、ケイ素、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、フッ化物層を除去する。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって行われ、そのいくつかが、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、本開示は、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による例示的な方法のフローチャートである。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による例示的な方法のフローチャートである。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による例示的な方法のフローチャートである。
図4A】は、本開示の1つ以上の実施形態による処理中の例示的な基板の断面図である。
図4B】は、本開示の1つ以上の実施形態による処理中の例示的な基板の断面図である。
図4C】は、本開示の1つ以上の実施形態による処理中の例示的な基板の断面図である。
図4D】は、本開示の1つ以上の実施形態による処理中の例示的な基板の断面図である。
図4E】は、本開示の1つ以上の実施形態による処理中の例示的な基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014]本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0012】
[0015]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部を指す。文脈が明らかに他のことを示さない限り、基板への言及は、基板の一部のみを指すこともあることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、基板上への堆積または基板からのエッチングへの言及は、ベア基板と、1つ以上の膜またはフィーチャが上に堆積または形成された基板の両方を意味し得る。
【0013】
[0016]本明細書で使用される場合、「基板」は、任意の基板、または製造プロセス中に膜処理が実行される、基板上に形成された材料表面を指す。例えば、処理が実行され得る基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、およびその他の導電性材料などの他の材料を含む。基板には、半導体ウェハが含まれるが、これに限定されない。基板は、前処理プロセスに曝露されて、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、および/またはベークすることができる。直接に基板自体の表面への膜処理に加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのいずれも、より詳細に以下で開示されるように、基板上に形成された下層に対しても実行することができ、「基板表面」という用語は、文脈が示すような下層を含むことを意図している。したがって、例えば、膜/層または部分的な膜/層が基板表面から除去された場所では、新しく露出した膜、層、または基板の露出表面が、基板表面になる。
【0014】
[0017]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応することができる任意のガス種を指すために交換可能に使用される。
【0015】
[0018]「原子層エッチング」(ALE)または「周期的エッチング」は、原子層堆積の変形であり、表面層が基板から除去される。本明細書で使用される場合、ALEは、基板表面上の材料の層をエッチングするための、2種以上の反応性化合物の順次的曝露を指す。基板、または基板の一部が、処理チャンバの反応ゾーンに導入される2種以上の反応性化合物に別々に曝露される。
【0016】
[0019]時間領域ALEプロセスでは、各反応性化合物への曝露は、各化合物が基板表面に付着および/または基板表面で反応し、その後に処理チャンバからパージされることを可能にするために、時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は、基板に順次的に曝露されると言われる。
【0017】
[0020]時間領域ALEプロセスの一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の反応物または化合物A)が、反応ゾーン内にパルス状に流入され、その後、第1の時間遅延が続く。次に、第2の反応物または化合物Bが、反応ゾーン内にパルス状に流入され、その後、第2の遅延が続く。各時間遅延中に、アルゴンなどのパージガスが、処理チャンバ内に導入されて、反応ゾーンをパージするか、または他の仕方で反応ゾーンから残留反応性化合物もしくは反応副生成物を除去する。あるいは、パージガスは、反応性化合物のパルス間の時間遅延中にはパージガスのみが流れるように、エッチングプロセス全体にわたって継続的に流れていてもよい。所望の膜または膜の厚さが基板表面から除去されるまで、反応性化合物が、交互にパルス状に流入される。
【0018】
[0021]化合物A、パージガス、化合物B、およびパージガスをパルス状に流入させるALEプロセスは、サイクルと呼ばれる。サイクルは、化合物Aまたは化合物Bのいずれで開始してもよく、所定の厚さが除去されるまで、サイクルのそれぞれの順番を継続できる。
【0019】
[0022]空間的ALEプロセスでは、基板表面の異なる部分、または基板表面上の材料の異なる部分は、基板上の任意の所与の点が実質的に1種より多い反応性化合物に同時に曝露されないようにして、2種以上の反応性化合物に同時に曝露される。この点に関して使用される場合、「実質的に」という用語は、当業者によって理解されるように、基板のごく一部が、拡散により同時に複数の反応性ガスに曝露される可能性があること、および同時曝露は意図されていないこと、を意味する。
【0020】
[0023]空間的ALEプロセスの一実施形態では、第1の反応性ガスおよび第2の反応性ガスが、同時に反応ゾーンに供給されるが、不活性ガスカーテンおよび/または真空カーテンによって分離される。基板は、基板上の任意の所与の点が第1の反応性ガスおよび第2の反応性ガスに曝露されるように、ガス供給装置に対して移動する。
【0021】
[0024]本開示のいくつかの実施形態は、基板表面から金属酸化物をエッチングまたは除去するための方法に関する。本開示のいくつかの方法は、HF以外のフッ素化剤を有利に利用する。
【0022】
[0025]本開示のいくつかの方法は、他の基板材料よりも金属酸化物材料を選択的に除去する方法を、有利に提供する。この点に関して使用される場合、「ある膜を別の膜よりも選択的に除去する」などの用語は、第1の量が第1の表面または材料から除去され、同時に第2の量が第2の表面または材料から除去され、第2の量が第1の量より少ないか、または第2の表面から膜が除去されないことを意味する。この点に関して使用される「よりも(over)」という用語は、ある表面が別の表面の上に物理的に配向されていることを意味するのではなく、一方の表面との化学反応の熱力学的または反応速度論的特性の、他方の表面と比べた関係を意味する。
【0023】
[0026]プロセスの選択性は、一般に、異なる表面間のエッチング速度の倍数またはエッチング速度の比率として表される。例えば、ある表面が別の表面より25倍速くエッチングされる場合、このプロセスは、25:1の選択性を持っていると説明される。この点で、比率が高いほど、プロセスの選択性が高いことを示す。
【0024】
[0027]本開示の1つ以上の実施形態は、金属酸化物を除去するための方法に関する。いくつかの実施形態では、酸化物表面を含む基板が、フッ素源(フッ素化剤とも呼ばれる)で処理され、次にパージされ、続いて金属ハロゲン化物(ハロゲン化物エッチャントとも呼ばれる)で処理され、続いてパージされ得る。このサイクルを繰り返して、所定の厚さの金属酸化物を除去することができる。
【0025】
[0028]図1および図4Aを参照すると、方法100は、工程110で開始し、酸化物層610を含む基板600が、フッ素化剤に曝露されて、フッ化物層620を形成する。方法100は、続いて工程120で、フッ化物層620をハロゲン化物エッチャントに曝露して、フッ化物層620を除去する。図1および図4Aに示される方法100の例示的な反応スキームが、スキーム1によって提供される。
【0026】
[0029]スキーム1:
【0027】
[0030]金属酸化物+フッ素源 → 金属フッ化物層 (1)
【0028】
[0031]金属フッ化物層+金属ハロゲン化物 → 揮発性生成物 (2)
【0029】
[0032]いくつかの実施形態では、スキーム1に示されるように、酸化物層610は、金属酸化物を含む。これらの実施形態では、フッ化物層620は、金属フッ化物層と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化チタン、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化ハフニウムを含むか、または本質的に酸化ハフニウムからなる。
【0030】
[0033]この点に関して使用される場合、材料が、原子ベースで、記載された材料の約95%、98%、99%または99.5%以上であるならば、材料は、本質的に、記載された材料からなる。
【0031】
[0034]フッ素化剤は、酸化物層の少なくとも表面にフッ化物終端を形成するための任意の適切な反応物を含み得る。いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、HF、NF、それらのプラズマ、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、本質的にHFからなる。いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、実質的にHFを含まない。いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、本質的にNFからなる。
【0032】
[0035]この点に関して使用される場合、反応物が、希釈剤または他の不活性(非反応性)種を除いて、モルベースで、記載された種の約95%、98%、99%または99.5%以上であるならば、反応物は、本質的に、記載された種からなる。
【0033】
[0036]この点に関して使用される場合、希釈剤または他の不活性(非反応性)種を除いて、反応物の約5%、2%、1%または0.5%以下が、記載された種から構成されているならば、反応物は、記載された種を実質的に含まない。
【0034】
[0037]いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、有機フッ化物、有機酸フッ化物、金属フッ化物、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、有機フッ化物は、CxHyFzの一般式を有し、ここで、xは1~16、yは0~33、zは1~34である。いくつかの実施形態では、有機酸フッ化物は、CxHyOwFzの一般式を有し、ここで、xは1~16、yは0~33、wは1~8、zは1~34である。
【0035】
[0038]いくつかの実施形態では、金属フッ化物は、MFzの一般式を有し、ここで、Mは、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、チタンまたはタンタルのうちの1つ以上から選択され、zは1~6である。いくつかの実施形態では、金属フッ化物は、MoF、WF、VF、VF、VF、NbF、TiF、もしくはTaFを含むか、または本質的にそれらからなる。
【0036】
[0039]いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、追加のガスと一緒に流される。いくつかの実施形態では、追加のガスは、O、NO、NH、またはHのうちの1つ以上から選択される。
【0037】
[0040]フッ化物層が形成された後、フッ化物層620はハロゲン化物エッチャントに曝露されて、フッ化物層620は除去される。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物エッチャントは、金属ハロゲン化物と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物エッチャントは、EXの一般式を有する1つ以上の種を含み、ここで、Eは、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)のうちの1つ以上を含み、Xは、Cl、BrまたはIのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物エッチャントは、BClを含むか、または本質的にBClからなる。
【0038】
[0041]いくつかの実施形態では、ハロゲン化物エッチャントは、MXyの一般式を有する1つ以上の種を含むか、または本質的にそれからなり、ここで、Mは、Ti、Sn、Mo、WまたはNbのうちの1つ以上を含み、Xは、Cl、BrまたはIのうちの1つ以上を含み、yは1~6である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物エッチャントは、MXyの一般式を有する実質的に1つの種を含むか、または本質的にそれからなり、ここで、Mは、Ti、Sn、Mo、WまたはNbのうちの1つ以上を含み、Xは、ClまたはBrのうちの1つ以上を含み、yは1~6である。
【0039】
[0042]いくつかの実施形態では、酸化物層をフッ素化剤に曝露すると、平均して最大で1つの単分子層の厚さを有するフッ化物層が生成される。理論に拘束されるものではないが、酸化物層の表面終端がフッ素化剤と反応して、酸化物層の表面にフッ化物終端を生成すると考えられている。この表面反応は、酸化物層の露出表面に限定され、酸化物層の原子の最上層にのみ影響する。したがって、いくつかの実施形態では、方法100は、1つの単分子層以下の厚さの酸化物層を除去する。
【0040】
[0043]いくつかの実施形態では、方法100が繰り返される。バルクフッ化物層を除去した後、酸化物層の新しい層が露出する。方法100を繰り返して、所定の量または厚さの酸化物層を除去することができる。
【0041】
[0044]追加の実施形態は、酸化物層をエッチングするために上記の方法100を実行する前に、金属酸化物表面からエッチング残留物または他の汚染物質を除去する方法に関する。図1および図4Bを参照すると、これらの実施形態では、方法100は、汚染物質630が基板600上の酸化物層610から洗浄される工程105で開始する。汚染物質630が酸化物層610の表面から除去されると、方法100は、酸化物層610をフッ素化剤に曝露してフッ化物層620を形成し、フッ化物層620をハロゲン化物エッチャントに曝露してフッ化物層620を除去することにより、上記のように継続する。
【0042】
[0045]いくつかの実施形態では、汚染物質は、酸化物層610の表面上の炭素膜または水分を含む。理論に拘束されるものではないが、これらの残留物は、酸化物層610のフッ素化および除去を妨害する可能性があると考えられている。いくつかの実施形態では、開示された方法100の前に、エッチングプロセスが実行され、水分および/または炭素膜を含むエッチング残留物または汚染物質をもたらす。
【0043】
[0046]工程105において、エッチング残留物または汚染物質630は、基板をラジカル洗浄プロセスに曝露することによって除去することができる。いくつかの実施形態では、洗浄プロセスのラジカルは、H、OH、OまたはHのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、ラジカルは、ラジカルガスをホットワイヤ上に通すことによって生成される。いくつかの実施形態では、ラジカルは、ラジカルガスからプラズマを形成することによって生成される。いくつかの実施形態では、プラズマは、遠隔プラズマ源によって生成される。
【0044】
[0047]工程105を含む方法100の例示的な反応スキームが、スキーム2によって提供される。
【0045】
[0048]スキーム2:
【0046】
[0049]水分/炭素を有する表面+プラズマ → 金属酸化物 (1)
【0047】
[0050]金属酸化物+フッ素源 → 金属フッ化物層 (2)
【0048】
[0051]金属フッ化物層+金属ハロゲン化物 → 揮発性生成物 (3)
【0049】
[0052]図4Cに示されるように、いくつかの実施形態では、方法100は、基板600の露出表面上の他の材料640と比較して、酸化物層610を選択的に除去する。いくつかの実施形態では、他の材料は、TiN、TaN、SiN、SiO、Al、炭素系材料、またはそれらの組み合わせを含むか、または本質的にそれらからなり得る。
【0050】
[0053]いくつかの実施形態では、他の材料640と比較した酸化物層610の除去の選択性は、約5:1以上、約10:1以上、約15:1以上、約20:1以上、または約25:1以上である。
【0051】
[0054]特定の実施形態では、酸化ハフニウム層が、NF/HおよびBClへの曝露によってエッチングされる。このプロセスは、TiN、SiN、SiO、Al、および炭素に対して選択的であり、選択性は約20:1以上である。
【0052】
[0055]本開示の追加の実施形態は、ニッケルチャンバ材料を含むプロセスチャンバ内で方法を実行することによって、上記の方法100の選択性を高める方法に関する。いくつかの実施形態では、ニッケルチャンバ材料は、プロセスキット、シャワーヘッド、ペデスタル、または閉じ込めリングのうちの1つ以上の一部として見出される。
【0053】
[0056]上記のように、酸化物層610を含む基板600は、フッ素化剤に曝露されて、フッ化物層620を形成する。次に、チャンバが、パージされる。フッ化物層は、ハロゲン化物エッチャントに曝露され、チャンバは、再びパージされる。このサイクルを繰り返して、所定の厚さの酸化物層610を除去することができる。使用されるフッ素化剤およびハロゲン化物エッチャントは、上記のフッ素化剤および/またはハロゲン化物エッチャントのいずれかであり得る。
【0054】
[0057]本発明者らは、驚くべきことに、ニッケルチャンバ材料を含むプロセスチャンバ内で実施した場合、酸化物層が、TiN、SiN、TaN、SiO、AlO、LaO、炭素およびケイ素よりも選択的に除去されることを発見した。いくつかの実施形態では、ケイ素と比較した酸化物層の選択性は、約5:1以上、約10:1以上、約15:1以上、約20:1以上、約25:1以上、約30:1以上、約35:1以上、約40:1以上、約45:1以上、または約50:1以上である。
【0055】
[0058]本開示のいくつかの実施形態は、単一のプロセスサイクル内で原子層よりも大きい厚さの金属酸化物を除去するための方法に関する。図2および図4Dを参照すると、方法200は、工程210で開始し、酸化物層610を含む基板600が、フッ素化剤に曝露されて、厚さTのバルクフッ化物層650を形成する。
【0056】
[0059]この方法200で使用されるフッ素化剤は、方法100に関して上記で説明したフッ素化剤のいずれかであり得る。フッ素化の深さを達成するために、いくつかの実施形態では、フッ素化剤は、Hをさらに含み得る。
【0057】
[0060]いくつかの実施形態では、バルクフッ化物層の厚さは、約5Å以上、約10Å以上、約15Å以上、または約20Å以上である。いくつかの実施形態では、バルクフッ化物層の厚さは、約5Åから約30Åの範囲、または約7Åから約20Åの範囲、または約10Åから約15Åの範囲である。
【0058】
[0061]方法200は、続いて工程220で、バルクフッ化物層650をハロゲン化物エッチャントに曝露して、バルクフッ化物層650を除去する。方法200で使用されるハロゲン化物エッチャントは、方法100に関して上記で説明したハロゲン化物エッチャントのいずれかであり得る。図2に示される方法200の例示的な反応スキームが、スキーム3によって提供される。
【0059】
[0062]スキーム3:
【0060】
[0063]金属酸化物+フッ素源 → バルクフッ化物層 (1)
【0061】
[0064]バルクフッ化物層+金属ハロゲン化物 → 揮発性生成物 (2)
【0062】
[0065]本開示のいくつかの実施形態は、上記の酸化物層ではなく、金属酸水素化物材料をエッチングする方法に関する。図3および図4Eを参照すると、方法300は、酸化物層610を酸化プラズマに曝露して酸水素化物層660を形成することによって、工程310で開始する。
【0063】
[0066]酸水素化物層660は、酸化物層を酸化プラズマに曝露することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、酸化プラズマは、遠隔プラズマである。いくつかの実施形態では、酸化プラズマは、水、過酸化物、アルコール、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上のラジカルを含む。いくつかの実施形態では、酸化プラズマは、OHラジカルを含む。
【0064】
[0067]方法300は、続いて工程320で、酸水素化物層660をフッ素化剤に曝露してフッ化物層670を形成する。この方法300で使用されるフッ素化剤は、方法100に関して上記で説明したフッ素化剤のいずれかであり得る。
【0065】
[0068]方法300は、続いて工程330で、フッ化物層をハロゲン化物エッチャントに曝露して、フッ化物層670を除去する。方法00で使用されるハロゲン化物エッチャントは、方法100に関して上記で説明したハロゲン化物エッチャントのいずれかであり得る。
【0066】
[0069]図3に示される方法300の例示的な反応スキームが、スキーム4によって提供される。
【0067】
[0070]いくつかの実施形態では、方法300が繰り返されて、所定の厚さの酸化物層610および/または酸水素化物層660を除去する。
【0068】
[0071]スキーム4:
【0069】
[0072]酸化物層+OHラジカル → 酸水素化物層 (A)
【0070】
[0073]酸水素化物層+フッ素源 → フッ化物層 (1)
【0071】
[0074]フッ化物層+金属ハロゲン化物 → 揮発性生成物 (2)
【0072】
[0075]本明細書全体を通して「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」または「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0073】
[0076]本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、記載された実施形態が本開示の原理および適用の単なる例示であることを理解するであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある修正および変形を含むことができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E