IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 雪印メグミルク株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液状発酵乳及びその製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-14
(45)【発行日】2023-09-25
(54)【発明の名称】液状発酵乳及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/12 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A23C9/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019091485
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020184923
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】武本 篤寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 南羽
(72)【発明者】
【氏名】市川 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 耕平
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0189737(US,A1)
【文献】特表2010-502182(JP,A)
【文献】特表2010-517515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
A23L
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵乳ベースを製造する工程と、
ホエイタンパク質ベースを製造する工程と、
前記発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを混合する工程と、
を含むことを特徴とする液状発酵乳の製造方法であって、
前記発酵乳ベースを製造する工程において、前記発酵乳ベースのカルシウム量が、前記
発酵乳ベースと前記ホエイタンパク質ベースを混合して前記液状発酵乳としたときに、 前記液状発酵乳のホエイタンパク質1gあたり40mg~160mgとなるように調製 することを特徴とする前記液状発酵乳の製造方法。
【請求項2】
ホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質の変性率が80%以上であること
を特徴とする請求項1に記載の液状発酵乳の製造方法。
【請求項3】
ホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質のメジアン径が1μm以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液状発酵乳の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状発酵乳及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の原材料表示に関心の高い消費者は増加傾向にあり、食品に使用される原材料の数が少なく、また、原材料名が分かりやすく、化学的な名称を連想させない名称が使用された所謂、クリーンラベル商品の需要が高まっている。液状発酵乳においても、乳製品や乳製品の物理的分離によって製造された乳タンパク質のみを使用し、乳製品以外の安定剤が不使用であるものが求められている。上記のような安定剤不使用の液状発酵乳においては、保存中の酸カードの分離を抑制する安定剤や増粘剤が使用できないため、保存中の離水の発生が課題となる。
【0003】
特許文献1は、酸味が弱く、口当たりがマイルドで、保存中に沈殿物が生じて外観、風味及び食感が劣化することのない液状発酵乳の製造方法を提供することを目的とし、その解決手段として、発酵乳の原料に乳酸菌を添加し発酵させて、pH5.0~6.0のカードを調製するカード調整工程と、30~100MPaの圧力下で上記カードの均質化処理を行い、pH5.0~6.0の液状発酵乳を得る均質化工程、を含むpH5.0以上の液状発酵乳及びその製造方法を開示している。
【0004】
特許文献2は、安定剤を添加しない発酵乳であって、適度な硬度及び粘度を有し、離水が少なく、組織が安定し、風味が優れ、しかも安価な発酵乳とその製造方法を提供すること、さらに、発酵が促進されて発酵時間が短縮され、しかも上記のような優れた品質の発酵乳及びその製造方法を提供することを課題とし、その解決手段として、原料ミックス中に乳タンパク質濃縮物を配合してなる組織の安定した発酵乳、原料ミックス中に乳タンパク質濃縮物及び脱乳糖パーミエートを配合してなる組織の安定した発酵乳を開示しているが、原料ミックスを別殺菌する製造方法については開示も示唆もされていない。
【0005】
非特許文献1は、ドゥーグ(Doogh)と呼ばれるイランの液状発酵乳において、発酵乳と別殺菌したWPC溶液を混合することで、粘度および離水が抑制される旨を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】再公表特許WO2012/133015号公報
【文献】特開平11-28056号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】International Journal of Dairy Technology, 71(1),p198-207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来にない新規な液状発酵乳及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題の解決手段として、安定剤不使用でありながら、ホエイタンパク質1gあたりのカルシウム量を一定量とすることで、所望の粘度が付与され、かつ離水が抑制された発酵乳を提供するものである。また、一定量のカルシウムを含む発酵乳ベースを調製する工程と、カルシウムを少量、あるいはほとんど含まない変性したホエイタンパク質ベースを調製する工程と、一定量のカルシウムを含む発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースとを混合する工程と、を含む液状発酵乳の製造方法を提供するものである。本発明は具体的に以下の構成を含むものである。
[1]離水率が0体積%以上20体積%未満、粘度が10mPa・s以上600mPa・s以下である液状発酵乳。
[2]液状発酵乳に含まれるホエイタンパク質1gあたり40mg以上160mg以下のカルシウムを含む[1]に記載の液状発酵乳。
[3]発酵乳ベースを製造する工程と、ホエイタンパク質ベースを製造する工程と、発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを混合する工程と、を含む液状発酵乳の製造方法。
[4]発酵乳ベースを製造する工程において、発酵乳ベースのカルシウム量が、発酵乳ベースと前記ホエイタンパク質ベースを混合して前記液状発酵乳としたときに、液状発酵乳のホエイタンパク質1gあたり40mg~160mgとなるように調製する[3]に記載の液状発酵乳の製造方法。
[5]発酵乳ベースのホエイタンパク質分離物(WPI)濃度が、発酵乳ベースの全質量基準で0.05質量%未満である[3]又は[4]に記載の液状発酵乳の製造方法。
[6]ホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質の変性率が80%以上である[3]~[5]のいずれかに記載の液状発酵乳の製造方法。
[7]ホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質のメジアン径が1μm以下である[3]~[6]のいずれかに記載の液状発酵乳の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定剤不使用でありながら、所望の粘度が付与され、かつ離水が抑制された液状発酵乳、およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施形態に係る液状発酵乳の製造方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発酵乳)
本発明において、「発酵乳」とは、牛乳等の獣乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせにより発酵させたものである。発酵乳を性状と製法により分類すると1)静置型発酵乳、2)攪拌型発酵乳、3)液状発酵乳に分けられる。この1)静置型発酵乳は、ハードタイプの発酵乳と称され、小売容器に充填して発酵させたプリン状の組織を有するものであり、例えば以下のように製造される。まず、乳、乳製品、ショ糖等の原材料を混合・溶解して調製した発酵ミックスを均質化、殺菌、冷却した後、乳酸菌スターターを接種し、容器に充填して密封してから培養室や発酵トンネル内で発酵させ、適度な酸度になった時点で直ちに10℃以下に冷却して発酵を終了させ、最終製品とする。2)攪拌型発酵乳は、ソフトタイプの発酵乳とも称され、発酵ミックスに乳酸菌スターターを添加し、タンクで発酵後、カードを破砕して容器に充填して、最終製品とする。3)液状発酵乳はドリンクタイプの発酵乳とも称され、発酵ミックスを攪拌型発酵乳と同様の方法で発酵させ、カードを破砕後に均質化して液状にした発酵乳を最終製品とする。本発明においては、上記のうち、3)液状発酵乳が含まれる。
【0013】
(液状発酵乳に含まれる成分)
本発明の液状発酵乳の無脂乳固形分には制限はないが、8%以上12%以下を例示でき、8%以上11%以下が好ましく、8%以上10以下がより好ましく、8%以上9%以下がさらに好ましい。
本発明の液状発酵乳のホエイタンパク質含量には制限はないが、0.01%以上4%以下を例示でき、0.01%以上3%以下が好ましく、0.01%以上2%以下がより好ましく、0.01%以上1%以下がさらに好ましい。
本発明の液状発酵乳の脂質含量には制限はないが、5%以下を例示できる。
本発明の液状発酵乳のカルシウム含量は、ホエイタンパク質1gあたり40mg~160mgとなるように調製するのが粘度を発現させる点で好ましく、60~160mgがより好ましく、80~160mgがさらに好ましく、100mg~160mgが最も好ましい。
【0014】
(離水)
本発明の液状発酵乳の離水率は0体積%以上20体積%未満であることが好ましく、特に0体積%以上15体積%以下であることがさらに好ましく、0体積%以上10体積%以下であることが最も好ましい。
離水率の測定方法は、目盛り付き試験菅を用いて、試料全体の体積に対する離水体積を算出することによって測定することができる。具体的には、50mLの目盛り付き試験菅に試料を50mL充填して、50mLに対する離水の体積から算出できる。測定において使用する試料は調製直後のものでもよく、賞味期限まで10℃で保存したものであってもよい。測定温度は品温10℃とする。
本発明において、「離水が抑制された」とは、上述した方法によって離水率を測定した際の静置保存における離水率が0体積%以上20体積%未満である液状発酵乳のことをいう。
【0015】
(粘度)
本発明の液状発酵乳の粘度は、東機産業株式会社製等の一般的なB型粘度計を用い、100mlの試料を測定容器に分注し、測定プローブ(ローターM2またはM3)を挿入し、回転開始から30秒後の測定値を粘度(mPa・s)とする。
本発明の液状発酵乳の製造方法によれば、液状発酵乳の粘度を所望のものとすることができるが、粘度は10~600mPa・s(測定温度10℃)が容器への充填等の製造適正や飲みやすさの点で好ましく、100~600mPa・sがより好ましく、100~500mPa・sがさらに好ましく、100~400mPa・sが最も好ましい。
【0016】
(安定剤不使用)
本発明において、「安定剤不使用」とは、通常、液状発酵乳の離水抑制に使用されるペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、大豆多糖類等を始めとする食品添加物用途別で増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料に該当する物質を使用しない、あるいは使用したとしても効果を発現しない少量しか含まないような実質的に使用しないことを指す。
【0017】
(製造方法)
図1は、実施形態に係る液状発酵乳の製造方法の工程図である。液状発酵乳の製造方法は、発酵乳ベースを製造する工程と、ホエイタンパク質ベースを製造する工程と、発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを混合する工程と、を含む。以下各工程毎に説明する。
【0018】
(発酵乳ベースの製造)
図1の左側に示されるように、ホエイタンパク質原料以外の乳原料、及びその他の油脂原料、ショ糖等の原料を所定量計量、溶解した後、均質化処理、殺菌処理を行う。均質化処理と殺菌処理の順序に指定はない。なお、均質化の条件は50~70℃の温度で50~500kg/cmの均質圧を例示でき、殺菌の条件は80~95℃の温度で2秒~10分間保持を例示できるが、これに限られるものではなく、例えば、無脂乳固形分が高い時は上記した50~500kg/cmの範囲内で均質圧を高くする、等適宜調整することができる。
冷却した原料液(ミックス)に乳酸菌を添加する。乳酸菌を添加する場合、発酵条件として、30~40℃で3~20時間の発酵、発酵の終点がミックスの乳酸酸度が0.7~1.3%に到達した時点、を例示できる。発酵に用いる乳酸菌は、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)等を例示できるが、発酵乳製造に通常用いられている乳酸菌スターターであれば特に制限されることはない。酸凝固したカードを撹拌して破砕し、プレートクーラーや冷却タンクにて冷却し、発酵乳ベースが得られる。
【0019】
(発酵乳ベースのカルシウム量)
上記した発酵乳ベースのカルシウム量は、発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを任意の混合比率で混合して液状発酵乳としたときに、液状発酵乳のホエイタンパク質1gあたり40mg~160mgとなるように調製することが好ましい。
所謂クリーンラベルとなるよう添加物を用いないほうが望ましい場合は、発酵乳ベースの調製にはカルシウムを含む生乳、牛乳等の獣乳、これらの一部あるいは全部を脱脂、分画、濃縮、粉末化等の処理をして得られるもののひとつ以上を用いればよい。なお、クリーンラベルを必須としない場合は、食品に使用可能な1つ以上の無機カルシウムや有機カルシウムを用いてもよい。
なお、発酵乳ベースにホエイタンパク質を含ませる必要はないが、本発明の液状発酵乳の粘度の調整や離水の抑制に影響を及ぼさない範囲であれば、発酵乳ベースにホエイタンパク質が含まれていてもよい。また、バターやクリーム等の脂肪源、ショ糖等の甘味料といった原材料も本発明の液状発酵乳の粘度の調整や離水の抑制に影響を及ぼさない範囲であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0020】
(ホエイタンパク質ベースの製造)
図1の右側に示されるように、ホエイタンパク質濃縮物(Whey Protein Concentrate:WPC)、ホエイタンパク質分離物(WheyProteinIsolate:WPI)、脱乳糖パーミエイト粉末(牛乳の限外濾過膜透過成分)、変性タンパク質球状粒子(MicroparticulatedWhey:MPホエイ)等のホエイタンパク質原料、液糖、果汁、及び香料等の原材料を所定量計量し溶解した後、殺菌処理する。必要に応じて均質化処理をしてもよい。殺菌処理と均質化処理の順序に指定はない。
ホエイタンパク質ベースは、ホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質の変性率が80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上となるようにする。殺菌処理によりホエイタンパク質を変性させる場合、殺菌条件はこのようなホエイタンパク質の変性率となるようなものであればどのような条件でもよいが、65~95℃の温度で1~10分間保持との条件を例示できる。また、変性率の高いホエイタンパク質原材料を選定することによって、ホエイタンパク質ベースの変性率を80%以上としてもよく、上記した殺菌処理とホエイタンパク質原材料の選定を組み合わせてもよい。
ホエイタンパク質ベースのメジアン径は、1μm以下であるのが好ましく、0.5μm以下であるのがより好ましく、0.2μm以下であるのが最も好ましい。このようなメジアン径となるよう、必要に応じて原材料の選択をしたり、均質化処理を行ったりする。
なお、ホエイタンパク質ベースにカルシウムやマグネシウム等の2価のカチオンあるいはナトリウムやカリウム等の1価のカチオンを含ませる必要はないが、本発明の液状発酵乳の粘度調整や離水の抑制に影響を及ぼさない範囲であれば、ホエイタンパク質ベースにこれらのカチオンが含まれていてもよい。これらのカチオンは10mg/100g・ホエイタンパク質ベース以下とするのが好ましい。また、果汁や香料等の原材料も本発明の液状発酵乳の粘度調整や離水の抑制に影響を及ぼさない範囲であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0021】
(混合工程)
発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを混合する。混合後、均質化処理することが望ましい。均質化の条件は、50~500kg/cmを例示できる。
発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースの混合比は、上記したとおり、発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを任意の混合比率で混合して液状発酵乳としたときに、液状発酵乳のホエイタンパク質1gあたり40mg~160mgとなるように混合すればよいが、発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースの混合比(質量比)は6:4~9:1が好ましい。
【0022】
(その他)
以上の工程により、本発明の液状発酵乳を得ることができる。得られた液状発酵乳は冷却後、容器に充填してもよい。
【0023】
(変性度)
ホエイタンパク質の変性度は以下の方法で測定することが可能である。試料0.4gと40℃の蒸留水0.8g、10体積%酢酸40μLをマイクロチューブに分注し、よく攪拌した後に10分保持する。その後、マイクロチューブに1M酢酸ナトリウム40μLと蒸留水0.72gを分注し、再びよく攪拌する。1時間放置後、3000gで5分間遠心分離を行う。この処理で沈殿した不溶性ホエイタンパク質量を変性ホエイタンパク質と、上清に含まれる可溶性ホエイタンパク質量を未変性ホエイタンパク質とみなす。また、10体積%塩酸、1M酢酸ナトリウムを蒸留水に置き換えて上記処理を実施後、上清に含まれる可溶性タンパク質量を全ホエイタンパク質量とみなす。このとき、以下の式でホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質の変性度を表現した。なお、タンパク質定量には、ThermoFisher社製BCAProteinAssayKitを用いた。
変性度=変性ホエイタンパク質/全ホエイタンパク質=(1-上清中のホエイタンパク質)/全ホエイタンパク質)
【0024】
(メジアン径)
ホエイタンパク質ベースのメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置、画像解析式粒子径分布測定装置、精密粒度分布測定装置、リアルタイムゼータ電位・ナノ粒子径測定装置、動的光散乱式(DLS)粒子径分布測定装置、分析用超遠心システム等、粒度分布を測定する装置で測定することができる。得られた体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径をメジアン径といい、いわゆる50%粒子径、50%径、d50等とも言われる。
【実施例
【0025】
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。しかし、本発明は、実施例に限定して解釈されるものではない。
【0026】
(比較例1、実施例1~5)
表1に示す配合に従い、次の調製方法によって比較例品1および実施例品1~5の発酵乳を調製した。発酵乳ベースの原料をホモミキサーで混合溶解し、発酵乳ベースミックスを調製した。発酵乳ベースミックスを65℃まで加温し、140kg/cmの均質圧で均質化処理した後、95℃で30秒間加熱殺菌した。その後、40℃まで冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクスを1.5重量%、ストレプトコッカス・サーモフィラスを0.15重量%添加し、40℃で発酵させ、酸度が1.00%になったところで5℃まで冷却した。得られたカードを破砕し、発酵乳ベースを得た。
ホエイタンパク質ベースの原材料をホモミキサーで混合溶解し、ホエイタンパク質ベースミックスを調製した。ホエイタンパク質ベースミックスを90℃で10分間加熱殺菌し、その後5℃まで冷却し、ホエイタンパク質ベースを得た。
表2に示すように合計が10となる質量比率で発酵乳ベースとホエイタンパク質ベースを混合し、150kg/cmの均質圧で均質化処理し、液状発酵乳を得た。なお、表1、表2、表3、表4における%表示は質量基準である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(比較例2~7)
表3に示す配合に従い、次の調製方法(以下、定法ともいう)によって比較例品2~7の発酵乳を調整した。
糖液を除き、ホエイタンパク質原料を含むその他の全ての原料をホモミキサーで混合溶解し、発酵乳ミックスを調製した。発酵乳ミックスを65℃まで加温し、140kg/cmの均質圧で均質化処理した後、95℃で30秒間加熱殺菌した。その後、その後、40℃まで冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクスを1.5重量%、ストレプトコッカス・サーモフィラスを0.15重量%添加し、40℃で発酵させ、酸度が1.00%になったところで5℃まで冷却した。得られたカードを破砕し、発酵乳ベースを得た。表4に示す比率で発酵乳ベースと希釈、殺菌済の糖液を混合し、150kg/cmの均質圧で均質化処理し、液状発酵乳を得た。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
表5に比較例1および実施例1~5のホエイタンパク質ベースのメジアン径および変性度、液状発酵乳の粘度、離水率を示す。また、表6に比較例2~7の液状発酵乳の粘度、離水率を示す。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
比較例1はホエイタンパク質ベースのメジアン径が1μm以上となっており、離水率は20%以上となっていた。また、実施例1~5では、比較例3~7と比較して、粘度が上昇し、離水率が20%以下となっていた。
図1