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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】研磨装置および研磨方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230919BHJP
   B24B 21/00 20060101ALI20230919BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20230919BHJP
   B24B 55/00 20060101ALI20230919BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
H01L21/304 622Q
H01L21/304 621E
H01L21/304 643A
H01L21/304 647Z
B24B21/00 A
B24B9/00 601H
B24B55/00
B24B55/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019129198
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021015873
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】山野邊 北斗
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔
(72)【発明者】
【氏名】上村 健司
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-034118(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 21/00
B24B 9/00
B24B 55/00
B24B 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するための保持ステージ、および前記保持ステージを回転させるステージ回転装置を有する基板保持部と、
研磨具を前記保持ステージ上の前記基板の周縁部に接触させる研磨ヘッドと、
前記基板の周縁部を含む環状のターゲット領域を向いて配置されたオゾンナノバブル水供給ノズルと、
前記オゾンナノバブル水供給ノズルに連結されたオゾンナノバブル水供給源とを備え
前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記保持ステージの回転方向において前記研磨ヘッドの下流側に位置する前記ターゲット領域の一部を向いて配置されている、研磨装置。
【請求項2】
基板を保持するための保持ステージ、および前記保持ステージを回転させるステージ回転装置を有する基板保持部と、
研磨具を前記保持ステージ上の前記基板の周縁部に接触させる研磨ヘッドと、
前記基板の周縁部を含む環状のターゲット領域を向いて配置されたオゾンナノバブル水供給ノズルと、
前記オゾンナノバブル水供給ノズルに連結されたオゾンナノバブル水供給源と、
前記オゾンナノバブル水供給ノズルに連結された流路開閉弁と、
前記流路開閉弁を開閉する動作制御部を備え、
前記動作制御部は、前記基板の研磨中に、前記流路開閉弁を間欠的に開閉させるように構成されている、研磨装置。
【請求項3】
前記基板の最外周から前記ターゲット領域の内周縁までの距離は、0mmよりも大きくかつ20mm以下である、請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記基板の上面の中心に液体を供給する液体供給ノズルをさらに備え、
前記液体供給ノズルは、前記保持ステージの中心の上方に配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記保持ステージの上方に配置されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記オゾンナノバブル水供給ノズルの少なくとも先端は、前記保持ステージの外側に向かって下方に傾いている、請求項に記載の研磨装置。
【請求項7】
基板を保持ステージ上で保持した状態で前記基板を回転させ、
オゾンナノバブル水供給ノズルからオゾンナノバブル水を、前記基板の周縁部を含む環状のターゲット領域に供給しながら、研磨ヘッドによって研磨具を前記基板の周縁部に接触させて前記基板の周縁部を研磨し、
前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記基板の回転方向において前記研磨ヘッドの下流側に位置する前記ターゲット領域の一部を向いて配置されている、研磨方法。
【請求項8】
基板を保持ステージ上で保持した状態で前記基板を回転させ、
オゾンナノバブル水供給ノズルからオゾンナノバブル水を、前記基板の周縁部を含む環状のターゲット領域に間欠的に供給しながら、研磨ヘッドによって研磨具を前記基板の周縁部に接触させて前記基板の周縁部を研磨し、
前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記ターゲット領域を向いて配置されている、研磨方法。
【請求項9】
前記オゾンナノバブル水を、前記ターゲット領域に向けて噴射する、請求項7または8に記載の研磨方法。
【請求項10】
前記基板の最外周から前記ターゲット領域の内周縁までの距離は、0mmよりも大きくかつ20mm以下である、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項11】
液体供給ノズルから液体を、前記基板の上面の中心に供給して、前記基板の上面上に液膜を形成し、かつ前記オゾンナノバブル水供給ノズルから前記オゾンナノバブル水を前記ターゲット領域に供給する、請求項乃至10のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項12】
前記液体は、純水である、請求項11に記載の研磨方法。
【請求項13】
前記液体の供給を開始した後、前記オゾンナノバブル水の供給を開始し、
前記液体および前記オゾンナノバブル水を前記基板に供給しながら前記基板の周縁部を研磨し、
前記研磨が終了した後、前記液体を前記基板に供給しながら、前記オゾンナノバブル水の供給を停止し、
前記オゾンナノバブル水の供給を停止した後、前記液体の供給を停止する、請求項11または12に記載の研磨方法。
【請求項14】
前記ターゲット領域は、前記基板のデバイス面上にある、請求項乃至13のいずれか一項に記載の研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板を研磨する研磨装置および研磨方法に関し、特に基板の周縁部を研磨する研磨装置および研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造における歩留まり向上の観点から、基板の表面状態の管理が近年注目されている。半導体デバイスの製造工程では、種々の材料がシリコンウェーハ上に成膜される。このため、基板の周縁部には不要な膜や表面荒れが形成される。近年では、基板の周縁部のみをアームで保持して基板を搬送する方法が一般的になってきている。このような背景のもとでは、周縁部に残存した不要な膜が種々の工程を経ていく間に剥離して基板に形成されたデバイスに付着し、歩留まりを低下させてしまう。そこで、基板の周縁部に形成された不要な膜を除去するために、研磨装置を用いて基板の周縁部が研磨される。
【0003】
この種の研磨装置は、研磨具を基板の周縁部に摺接させることで基板の周縁部を研磨する。具体的には、基板をステージで保持し、ステージを回転またはスイングさせながら、研磨ヘッドによって研磨テープなどの研磨具を基板の周縁部に押し付けることによって基板の周縁部を研磨する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-595号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】関東経済産業局、“平成22年度戦略的基盤技術高度化支援事業「マイクロナノバブルによる環境対応型半導体ウエハ洗浄装置の開発」”、[online]、平成25年3月、[平成31年3月1日検索]、インターネット<http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2010/22130803269.pdf>
【文献】川名弘康、「モディファイからリプレイスへ低コスト化はポストRCA洗浄でかつて話題のオゾン水洗浄は」、月刊Semiconductor World、プレスジャーナル、1998年10月、p.76-79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基板の周縁部の研磨時に、研磨屑などの異物(パーティクル)が基板に付着することがある。研磨屑などの異物(パーティクル)が付着すると、基板は汚染されてしまい、結果として、半導体製造における歩留まりが低下してしまう。
【0007】
従来、基板に付着した異物を除去するために、洗浄スポンジ等の接触式の洗浄具を基板に接触させて洗浄することが行われてきたが、このような洗浄方法では基板に付着した異物が除去されないことや、洗浄中に洗浄具によって一旦除去されたパーティクルが基板に再付着し、基板を汚染すること(いわゆる逆汚染)があった。
【0008】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、基板の周縁部の研磨時に基板に付着した異物を研磨中に除去し、かつ研磨中の基板の逆汚染を防ぐことができる研磨装置および研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、基板を保持するための保持ステージ、および前記保持ステージを回転させるステージ回転装置を有する基板保持部と、研磨具を前記保持ステージ上の前記基板の周縁部に接触させる研磨ヘッドと、前記基板の周縁部を含む環状のターゲット領域を向いて配置されたオゾンナノバブル水供給ノズルと、前記オゾンナノバブル水供給ノズルに連結されたオゾンナノバブル水供給源とを備えている、研磨装置が提供される。
【0010】
一態様では、前記基板の最外周から前記ターゲット領域の内周縁までの距離は、0mmよりも大きくかつ20mm以下である。
一態様では、前記基板の上面の中心に液体を供給する液体供給ノズルをさらに備え、前記液体供給ノズルは、前記保持ステージの中心の上方に配置されている。
一態様では、前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記保持ステージの上方に配置されている。
一態様では、前記オゾンナノバブル水供給ノズルの少なくとも先端は、前記保持ステージの外側に向かって下方に傾いている。
一態様では、前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記保持ステージの回転方向において前記研磨ヘッドの下流側に位置する前記ターゲット領域の一部を向いて配置されている。
一態様では、前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記研磨ヘッドに設置されている。
一態様では、前記オゾンナノバブル水供給ノズルに連結された流路開閉弁と、前記流路開閉弁を開閉する動作制御部とをさらに備えている。
一態様では、前記動作制御部は、前記基板の研磨中に、前記流路開閉弁を間欠的に開閉させるように構成されている。
【0011】
一態様では、基板を保持ステージ上で保持した状態で前記基板を回転させ、オゾンナノバブル水供給ノズルからオゾンナノバブル水を、前記基板の周縁部を含む環状のターゲット領域に供給しながら、研磨ヘッドによって研磨具を前記基板の周縁部に接触させて前記基板の周縁部を研磨し、前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記ターゲット領域を向いて配置されている、研磨方法が提供される。
【0012】
一態様では、前記オゾンナノバブル水を、前記ターゲット領域に向けて噴射する。
一態様では、前記基板の最外周から前記ターゲット領域の内周縁までの距離は、0mmよりも大きくかつ20mm以下である。
一態様では、液体供給ノズルから液体を、前記基板の上面の中心に供給して、前記基板の上面上に液膜を形成し、かつ前記オゾンナノバブル水供給ノズルから前記オゾンナノバブル水を前記ターゲット領域に供給する。
一態様では、前記液体は、純水である。
一態様では、前記液体の供給を開始した後、前記オゾンナノバブル水の供給を開始し、前記液体および前記オゾンナノバブル水を前記基板に供給しながら前記基板の周縁部を研磨し、前記研磨が終了した後、前記液体を前記基板に供給しながら、前記オゾンナノバブル水の供給を停止し、前記オゾンナノバブル水の供給を停止した後、前記液体の供給を停止する。
一態様では、前記ターゲット領域は、前記基板のデバイス面上にある。
一態様では、前記オゾンナノバブル水供給ノズルは、前記基板の回転方向において前記研磨ヘッドの下流側に位置する前記ターゲット領域の一部を向いて配置されている。
一態様では、前記基板の研磨中に、前記オゾンナノバブル水を、前記ターゲット領域に間欠的に供給する。
【発明の効果】
【0013】
オゾンナノバブル水供給ノズルは、基板のターゲット領域を向いて配置されている。オゾンナノバブル水供給ノズルから噴射されたオゾンナノバブル水は、基板の中央部に接触することなく、ターゲット領域に直接供給され、基板の周縁部に接触する。したがって、オゾンナノバブル水はその洗浄効果を基板の周縁部において最大限に発揮することができ、研磨屑などの異物を研磨中に基板の周縁部から除去することができる。また、接触式の洗浄具を使用しないため、研磨中の基板の逆汚染を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)および図1(b)は、基板の周縁部を示す拡大断面図である。
図2】研磨装置の一実施形態を示す模式図である。
図3】研磨ヘッドの拡大図である。
図4】研磨ヘッドが基板のベベル部を研磨している様子を示す図である。
図5】ターゲット領域を示す模式図である。
図6】研磨装置の動作の一実施形態を説明するフローチャートである。
図7】オゾンナノバブル水供給源の一実施形態を示す模式図である。
図8】研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。
図9】研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図10】研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図11図10に示す研磨装置を上方から見た模式図である。
図12】研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本明細書では、基板の周縁部を、基板の最外周に位置するベベル部と、このベベル部の半径方向内側に位置するトップエッジ部およびボトムエッジ部とを含む領域として定義する。
【0016】
図1(a)および図1(b)は、基板の周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、図1(a)はいわゆるストレート型の基板の断面図であり、図1(b)はいわゆるラウンド型の基板の断面図である。図1(a)の基板Wにおいて、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成される基板Wの最外周面(符号Bで示す)である。図1(b)の基板Wにおいては、ベベル部は、基板Wの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部は、ベベル部Bの半径方向内側に位置する環状の平坦部E1であり、基板Wのデバイス面内に位置する領域である。ボトムエッジ部は、トップエッジ部とは反対側に位置し、ベベル部Bの半径方向内側に位置する環状の平坦部E2である。トップエッジ部E1は、デバイスが形成された領域を含むこともある。
【0017】
図2は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図2に示す研磨装置1は、基板(例えばウェーハ)の周縁部を研磨するベベル研磨装置に好適に使用される。図2に示すように、研磨装置1は、研磨対象物である基板Wを保持し、回転させる基板保持部10と、基板保持部10に保持された基板Wの周縁部に研磨具を接触させて基板Wの周縁部を研磨する研磨ヘッド50と、基板Wにオゾンナノバブル水を供給する複数のオゾンナノバブル水供給ノズル21,22と、基板Wの表面(上面)の中心に液体を供給する液体供給ノズル30と、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22に連結されたオゾンナノバブル水供給源100とを備えている。
【0018】
図2においては、基板保持部10が基板Wを保持している状態を示している。研磨ヘッド50は、基板保持部10に基板Wが保持されているとき、基板Wの周縁部を向いている。基板保持部10は、基板Wを真空吸着により保持する保持ステージ4と、保持ステージ4の中央部に連結されたシャフト5と、保持ステージ4を回転させ、かつ上下動させる保持ステージ駆動機構7とを備えている。保持ステージ駆動機構7は、保持ステージ4を、その軸心Crを中心に回転させ、軸心Crに沿って上下方向に移動させることが可能に構成されている。
【0019】
保持ステージ4、研磨ヘッド50、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22、液体供給ノズル30、および保持ステージ4は隔壁60の内部に配置されている。隔壁60の内部は、基板Wが研磨される研磨室を構成している。隔壁60は、ベースプレート65上に配置されている。シャフト5は、ベースプレート65を貫通して延びている。
【0020】
保持ステージ駆動機構7は、保持ステージ4を回転させるステージ回転装置としてのモータ14と、保持ステージ4を上下動させるためのエアシリンダ17とを備えている。モータ14は、ベースプレート65の下面に固定されている。保持ステージ4は、シャフト5と、このシャフト5に連結されたプーリー11aと、モータ14の回転軸に取り付けられたプーリー11bと、これらプーリー11a,11bに掛けられたベルト12を介してモータ14によって回転される。モータ14の回転軸はシャフト5と平行に延びている。このような構成により、保持ステージ4の上面に保持された基板Wは、モータ14によって回転される。シャフト5は、シャフト5の下端に取り付けられたロータリージョイント16を介してエアシリンダ17に連結されており、エアシリンダ17によってシャフト5および保持ステージ4が上昇および下降できるようになっている。
【0021】
基板Wは、図示しない搬送機構により、基板Wの中心O1が保持ステージ4の軸心Cr上にあるように保持ステージ4の上面に載置される。基板Wは、デバイス面が上向きの状態で保持ステージ4の上面に保持される。このような構成により、基板保持部10は、基板Wを保持ステージ4の軸心Cr(すなわち基板Wの軸心)を中心に回転させ、かつ基板Wを保持ステージ4の軸心Crに沿って上昇下降させることができる。
【0022】
本実施形態では、研磨具の一例として、砥粒を表面に有する研磨テープ31が使用されている。研磨装置1は、研磨テープ31を研磨ヘッド50に供給し、かつ研磨ヘッド50から回収する研磨具供給回収機構41をさらに備えている。研磨具供給回収機構41は、隔壁60の外に配置されている。研磨具供給回収機構41は、研磨テープ31を研磨ヘッド50に供給する供給リール43と、基板Wの研磨に使用された研磨テープ31を回収する回収リール44とを備えている。供給リール43および回収リール44には図示しないテンションモータがそれぞれ連結されている。それぞれのテンションモータは、供給リール43および回収リール44に所定のトルクを与え、研磨テープ31に所定のテンションを掛けることができるようになっている。
【0023】
研磨テープ31は、研磨テープ31の研磨面が基板Wの周縁部の被研磨面を向くように研磨ヘッド50に供給される。研磨テープ31は、隔壁60に設けられた開口部60aを通して供給リール43から研磨ヘッド50へ供給され、使用された研磨テープ31は開口部60aを通って回収リール44に回収される。研磨具供給回収機構41は、研磨テープ31を支持するための複数のガイドローラ45,46,47,48をさらに備えている。研磨テープ31の進行方向は、ガイドローラ45,46,47,48によってガイドされる。
【0024】
図3は研磨ヘッド50の拡大図である。図3に示すように、研磨ヘッド50は、研磨テープ31を基板Wの周縁部に対して押圧する押圧機構51を備えている。研磨テープ31は、押圧機構51の端面を通るように供給される。本実施形態では、押圧機構51は、研磨テープ31の裏面を支持する押圧パッド51aと、押圧パッド51aに連結されたエアシリンダ51bとを備える。研磨ヘッド50は、押圧機構51によって、研磨テープ31をその裏側から押圧し、研磨テープ31の研磨面を基板Wの周縁部に接触させることによって基板Wの周縁部を研磨する。
【0025】
研磨ヘッド50は、研磨テープ31を供給リール43から回収リール44に送るテープ送り機構52と、研磨テープ31を支持するための複数のガイドローラ53,54,55,56,57,58,59をさらに備えている。研磨テープ31の進行方向は、ガイドローラ53,54,55,56,57,58,59によってガイドされる。テープ送り機構52は、テープ送りローラ52aと、テープ把持ローラ52bと、テープ送りローラ52aを回転させるモータMとを備えている。モータMは研磨ヘッド50の側面に設けられ、モータMの回転軸にテープ送りローラ52aが接続されている。テープ送りローラ52aには、その約半周だけ研磨テープ31が巻きつけられている。テープ送りローラ52aの隣にはテープ把持ローラ52bが設けられており、テープ把持ローラ52bは、図3のNFで示す方向(テープ送りローラ52aに向かう方向)に力を発生するように図示しない機構で支持されており、テープ送りローラ52aを押圧するように構成されている。
【0026】
図4は研磨ヘッド50が基板Wのベベル部を研磨している様子を示す図である。基板Wの周縁部を研磨するときは、図4に示すように、チルト機構(図示せず)により研磨ヘッド50の傾斜角度を連続的に変化させながら、押圧機構51により研磨テープ31を基板Wの周縁部(例えば、ベベル部)に押し当てる。基板Wの研磨中は、研磨テープ31はテープ送り機構52により所定の速度で送られる。このように、基板Wの周縁部に沿って研磨ヘッド50の角度を変えることにより、基板Wの周縁部の全体を研磨することができる。一実施形態では、研磨具として、研磨テープ31に代えて砥石を用いてもよい。
【0027】
図2に示すように、液体供給ノズル30は、保持ステージ4の中心の上方に配置されており、保持ステージ4の中心を向いて(基板Wの表面(上面)の中心O1を向いて)配置されている。すなわち、液体供給ノズル30は、液体を基板Wの上面の中心O1に上から供給する位置に配置されている。液体供給ノズル30は、図示しない液体供給源に接続されている。本実施形態では、液体の一例として純水が使用される。
【0028】
オゾンナノバブル水供給ノズル21,22は、オゾンナノバブル水が基板Wの内側から外側に向かって流れるように傾いて配置されている。より具体的には、オゾンナノバブル水供給ノズル21(第1オゾンナノバブル水供給ノズル21)は、保持ステージ4の上方に配置されており、保持ステージ4の外側に向って下方に傾いている。第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、オゾンナノバブル水を、保持ステージ4上に保持された基板Wのデバイス面(以下、本明細書では上面という)に斜め上から供給する位置に配置されている。
【0029】
オゾンナノバブル水供給ノズル22(第2オゾンナノバブル水供給ノズル22)は、保持ステージ4の上面(基板保持面)よりも低い位置に配置されており、保持ステージ4の外側に向って上方に傾いている。すなわち、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、オゾンナノバブル水を、保持ステージ4上に保持された基板Wの非デバイス面(以下、本明細書では下面という)に斜め下から供給する位置に配置されている。
【0030】
一実施形態では、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21(第2オゾンナノバブル水供給ノズル22)の先端のみが基板保持部10の外側に向って下方(上方)に傾いていてもよい。
【0031】
オゾンナノバブル水供給ノズル21,22は、ターゲット領域71,72を向いて配置されている。ターゲット領域71,72は、基板Wの周縁部を含む環状の領域である。ターゲット領域71(第1ターゲット領域71)は、基板Wのデバイス面(図2の基板Wの上面)上に位置する領域であり、ターゲット領域72(第2ターゲット領域72)は、基板Wの非デバイス面(図2の基板Wの下面)上に位置する領域である。
【0032】
基板Wの最外周からターゲット領域71,72の内周縁までの距離d1,d2は、0mmよりも大きくかつ20mm以下の範囲内にある。一実施形態では、ターゲット領域71,72の内周縁は、基板Wの周縁部よりも半径方向内側に位置している。ターゲット領域71,72は、基板Wの周縁部で発生した研磨屑を基板Wの外側に洗い流すためのオゾンナノバブル水の供給位置である。一実施形態では、距離d1と距離d2は異なる値であってもよい。図5は、ターゲット領域71を示す模式図である。
【0033】
本実施形態のオゾンナノバブル水は、マイクロナノバブルを含有したオゾン水である。このようなオゾンナノバブル水を高圧力でオゾンナノバブル水供給ノズル21,22から噴射し、ターゲット領域71,72に供給することにより、オゾン水による有機物の加水分解と、マイクロナノバブルの大気解放時の物理的作用により、研磨屑などの異物を基板Wの周縁部から除去することができる。このようなオゾンナノバブル水を使用した場合、オゾンガス自体の水酸基ラジカルとマイクロナノバブル消滅時に発生する水酸基ラジカルによって、通常のオゾンガスよりも有機物の除去能力を高めることができる。
【0034】
特に、本実施形態によれば、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22から噴射されたオゾンナノバブル水は、基板Wの中央部に接触することなく、ターゲット領域71,72に直接供給され、基板Wの周縁部に接触する。したがって、オゾンナノバブル水はその洗浄効果を基板Wの周縁部において最大限に発揮することができ、研磨屑などの異物を研磨中に基板Wの周縁部から除去することができる。
【0035】
研磨装置1は、基板Wを保持ステージ4に保持した状態で、基板Wを回転させ、液体供給ノズル30から液体を、基板Wの上面の中心に供給し、かつオゾンナノバブル水供給ノズル21,22からオゾンナノバブル水を基板Wのターゲット領域71,72に供給しながら、研磨ヘッド50によって研磨テープ31(研磨具)を基板Wの周縁部に接触させて基板Wの周縁部を研磨する。
【0036】
液体供給ノズル30から基板Wの上面の中心部に供給された液体は、遠心力により基板Wの上面全体に広がり、基板Wの上面上に液膜を形成する。これにより、研磨中の基板Wの乾燥を防ぎ、ウォーターマークを防止することができる。さらに、基板W上の液膜は、基板Wのデバイスへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0037】
オゾンナノバブル水供給ノズル21,22は、オゾンナノバブル水を、ターゲット領域71,72に向けて噴射する。オゾンナノバブル水は、遠心力により基板Wの外側に広がり、オゾンナノバブル水が基板Wの周縁部に供給される。基板Wの周縁部は、上記液体およびオゾンナノバブル水の存在下で研磨される。オゾンナノバブル水は、研磨屑などの異物を基板Wの周縁部から洗い流すことができる。特に、本実施形態によれば、基板Wの研磨中にオゾンナノバブル水が基板Wに供給されるので、研磨テープ31と基板Wとの摺接により発生した研磨屑を基板Wから速やかに除去することができる。
【0038】
一実施形態では、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、第1ターゲット領域71の上方に配置されていてもよく、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、第2ターゲット領域72の下方に配置されていてもよい。
【0039】
図2に示すように、研磨装置1は、排気ダクト81、入口カバー83、およびドレイン85をさらに備えている。隔壁60の内部は、排気ダクト81およびドレイン85を通じて研磨装置1の外部に連通している。オゾンナノバブル水は、オゾン水とオゾンガスとを含んでいる。オゾンガスは空気より重いため、重力で下に落ちる。オゾンガスは、排気ダクト81から排気され、オゾン水は、ドレイン85から排水される。排気ダクト81の一端は、ベースプレート65を貫通して上方に延びている。排気ダクト81の入口の上方には、オゾン水や液体の排気ダクト81への侵入を防ぐ入口カバー83が配置されている。
【0040】
図2に示すように、研磨装置1は、動作制御部90をさらに備えている。基板保持部10、研磨ヘッド50、研磨具供給回収機構41、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22、液体供給ノズル30の動作は、動作制御部90によって制御される。動作制御部90は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。
【0041】
動作制御部90は、記憶装置90aと、演算装置90bを備えている。演算装置90bは、記憶装置90aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置90aは、演算装置90bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。
【0042】
図6は、研磨装置1の動作の一実施形態を説明するフローチャートである。ステップ1では、研磨される基板Wは、図示しない搬送機構により、デバイス面が上向きの状態で、かつ基板Wの中心O1が保持ステージ4の軸心Cr上に位置するように保持ステージ4により保持される。そして基板Wは、保持ステージ4の軸心Cr(すなわち基板Wの軸心)を中心に回転される。
【0043】
次に、ステップ2では、液体供給ノズル30から、液体を、基板Wの上面の中心に供給する。液体は、遠心力により基板Wの上面全体に広がり、基板Wの上面に液膜を形成する。
【0044】
次に、ステップ3では、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22から、オゾンナノバブル水を、ターゲット領域71,72に噴射する。オゾンナノバブル水は、遠心力により基板Wの外側に広がり、オゾンナノバブル水が基板Wの周縁部に供給される。
【0045】
次に、ステップ4では、動作制御部90は、研磨ヘッド50および研磨具供給回収機構41に指令を出して基板Wの研磨を開始する。研磨装置1は、上記液体およびオゾンナノバブル水を基板Wに供給しながら基板Wの周縁部を研磨する。
【0046】
ステップ5では、動作制御部90は、予め設定された時間が経過した後、基板保持部10、研磨ヘッド50、および研磨具供給回収機構41の動作を停止させ、研磨を終了する。
【0047】
ステップ5で研磨が終了した後、ステップ6では、液体を基板Wに供給しながら、オゾンナノバブル水の供給を停止する。ステップ7では、オゾンナノバブル水の供給を停止した後、液体の供給を停止する。液体およびオゾンナノバブル水に関する供給および停止のタイミングを上述のようにすることにより、オゾンナノバブル水の使用量を削減することができる。
【0048】
図7は、オゾンナノバブル水供給源100の一実施形態を示す模式図である。オゾンナノバブル水供給源100は、第1生成タンク101と、第2生成タンク102と、第3生成タンク103と、レビトロポンプ105と、ベローズポンプ107と、エジェクタ109と、オゾンガス供給源110とを備えている。
【0049】
オゾンナノバブル水は、以下のように生成される。純水が第1生成タンク101に図示しない純水供給源から供給される。第1生成タンク101内の純水は、レビトロポンプ105によってエジェクタ109に送られる。オゾンガスがオゾンガス供給源110からエジェクタ109に供給され、オゾンガスは純水と混合される。純水とオゾンガスの混合流体はエジェクタ109から第2生成タンク102に送られ、第2生成タンク102でオゾン水が生成される。生成されたオゾン水の一部は、第1生成タンク101に戻され、第1生成タンク101と第2生成タンク102の間を循環する。これにより、濃度の高いオゾン水を生成することができる。
【0050】
オゾン水は、ベローズポンプ107によって、第2生成タンク102から第3生成タンク103に送られる。オゾンガス供給源110からのオゾンガスは、第2生成タンク102から第3生成タンク103に流れるオゾン水にも注入され、オゾン水と混合される。第3生成タンク103でオゾンガスをオゾン水に溶解させることでさらにオゾンの濃度が高められる。その後、オゾン水は、オゾンナノバブル水供給ライン121を通ってオゾンナノバブル水供給ノズル21,22に供給される。
【0051】
オゾンナノバブル水供給ノズル21,22のオゾン水の吐出圧力を高めることにより、オゾン水は、マイクロナノバブルを含有した状態でオゾンナノバブル水供給ノズル21,22から噴射される。一例として、上記吐出圧力は、0.2MPa以上である。
【0052】
一実施形態では、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22の径をオゾンナノバブル水供給ライン121の径よりも小さくしてもよい。これにより、上記吐出圧力をさらに高くすることができ、結果として、さらに安定した異物除去効果を発揮することができる。
【0053】
図8は、研磨装置1の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図7を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図8は、研磨装置1を上方から見た模式図である。本実施形態の第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、保持ステージ4の回転方向、すなわち研磨中の基板Wの回転方向において研磨ヘッド50の下流側に位置する第1ターゲット領域71の一部を向いて配置されている。
【0054】
より具体的には、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、保持ステージ4の軸心Cr(基板Wの中心O1)と、研磨ヘッド50の中心を通る直線CLに対して下流側に傾いて配置されている。このように配置された第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、オゾンナノバブル水を、基板Wの回転方向において研磨ヘッド50の下流側に供給することができる。結果として、オゾンナノバブル水は、研磨によって発生した研磨屑などの異物を即座に除去することができ、異物除去効果をさらに高めることができる。
【0055】
一実施形態では、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22も同様に、研磨中の基板Wの回転方向において研磨ヘッド50の下流側に位置する第2ターゲット領域72の一部を向いて配置してもよい。この場合においても、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、保持ステージ4の軸心Cr(基板Wの中心O1)と、研磨ヘッド50の中心を通る直線CLに対して下流側に傾いて配置される。このように配置された第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、図8を参照して説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0056】
さらに一実施形態では、図9に示すように研磨装置1は、複数の研磨ヘッド50および複数の第1オゾンナノバブル水供給ノズル21を備えていてもよい。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図7を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。複数の第1オゾンナノバブル水供給ノズル21の数と、複数の研磨ヘッド50の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに一実施形態では、研磨装置1は、複数の第2オゾンナノバブル水供給ノズル22を備えていてもよい。複数の第2オゾンナノバブル水供給ノズル22の数と、複数の研磨ヘッド50の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図示はしないが、図9を参照して説明した各実施形態に係る研磨装置1は、複数の研磨ヘッド50の数と同じ数の複数の研磨具供給回収機構41を有する。
【0057】
さらに一実施形態では、図9を参照して説明した研磨装置1に、図8を参照して説明した各実施形態の構成を適用してもよい。この場合、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21(または第2オゾンナノバブル水供給ノズル22)は、軸心Crを通る直線CL3に対して角度θの範囲内に傾けて配置されることが望ましい。θは直線CL3に対して±5°となる角度である。直線CL3は、軸心Crを通り、直線CL1と直線CL2の間に位置する直線である。直線CL1は、軸心Crと、複数の研磨ヘッド50のうちの1つの研磨ヘッド50の中心とを通る直線であり、直線CL2は、軸心Crと、直線CL1上に配置された研磨ヘッド50に隣接する他の研磨ヘッド50の中心とを通る直線である。直線CL3と直線CL1が成す角度と、直線CL3と直線CL2が成す角度は等しい。
【0058】
図10は、研磨装置1のさらに他の実施形態を示す模式図であり、図11は、図10に示す研磨装置1を上方から見た模式図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図7を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、研磨ヘッド50に設置されている。第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、ターゲット領域71を向いて配置されている。
【0059】
より具体的には、本実施形態の第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、保持ステージ4の上方に配置されており、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21の先端は、保持ステージ4の外側に向かって屈曲した形状を有している。すなわち、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21の先端は、保持ステージ4の外側に向って下方に傾いている。さらに、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、研磨中の基板Wの回転方向において研磨ヘッド50の下流側に位置する第1ターゲット領域71の一部を向いて配置されている。基板Wの研磨中、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、オゾンナノバブル水を、保持ステージ4で保持された基板Wの第1ターゲット領域71に斜め上から供給する。
【0060】
一実施形態では、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21の先端は、保持ステージ4の上面に対して垂直であってもよく、第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、オゾンナノバブル水を第1ターゲット領域71に直上から供給してもよい。
【0061】
一実施形態では、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22が、研磨ヘッド50に設置されていてもよい。より具体的には、本実施形態の第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、保持ステージ4の上面よりも低い位置に配置されており、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22の先端は、保持ステージ4の外側に向かって屈曲した形状を有している。すなわち、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22の先端は、保持ステージ4の外側に向って上方に傾いている。さらに、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、研磨中の基板Wの回転方向において研磨ヘッド50の下流側に位置する第2ターゲット領域72の一部を向いて配置されている。基板Wの研磨中、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、オゾンナノバブル水を、保持ステージ4で保持された基板Wの第2ターゲット領域72に斜め下から供給する。第1オゾンナノバブル水供給ノズル21は、図2を参照して説明した位置に配置されていてもよく、あるいは図10および図11を参照して説明した実施形態のように研磨ヘッド50に設置されていてもよい。
【0062】
一実施形態では、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22の先端は、保持ステージ4の下面に対して垂直であってもよく、第2オゾンナノバブル水供給ノズル22は、オゾンナノバブル水を第2ターゲット領域72に直下から供給してもよい。さらに一実施形態では、図10および図11を参照して説明した各実施形態の構成を、図9を参照して説明した研磨装置1に適用してもよい。
【0063】
図10および図11を参照して説明した各実施形態では、至近距離からオゾンナノバブル水の供給が可能となり、オゾンナノバブル水の洗浄効果をより高めることができる。さらに、研磨によって発生した研磨屑などの異物を即座に除去することができ、異物除去効果をさらに高めることができる。
【0064】
図12は、研磨装置1のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図7を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の研磨装置1は、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22に連結された流路開閉弁25,26をさらに備えている。
【0065】
流路開閉弁25,26の開閉は、動作制御部90によって制御される。動作制御部90は、基板Wの研磨中に、流路開閉弁25,26を間欠的に開閉させるように構成されている。すなわち、本実施形態の研磨装置1は、基板Wの研磨中に、オゾンナノバブル水をターゲット領域71,72に間欠的に供給する。本実施形態では、オゾンナノバブル水を間欠的に供給することによって、オゾンナノバブル水の使用量を削減し、オゾンナノバブル水供給源100を小型化することができる。
【0066】
一実施形態では、第1流路開閉弁25を開閉するタイミングと、第2流路開閉弁26を開閉するタイミングは異なっていてもよい。さらに一実施形態では、図8乃至図11を参照して説明した研磨装置1に本実施形態の構成を適用してもよい。
【0067】
上述した各実施形態において、オゾンナノバブル水供給ノズル21,22は、基板Wのターゲット領域71,72を向いて配置されている。オゾンナノバブル水供給ノズル21,22から噴射されたオゾンナノバブル水は、基板Wの中央部に接触することなく、ターゲット領域71,72に直接供給され、基板Wの周縁部に接触する。したがって、オゾンナノバブル水はその洗浄効果を基板Wの周縁部において最大限に発揮することができ、研磨屑などの異物を研磨中に基板Wの周縁部から除去することができる。また、接触式の洗浄具を使用しないため、研磨中の基板Wの逆汚染を防ぐことができる。
【0068】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0069】
1 研磨装置
4 保持ステージ
5 シャフト
7 保持ステージ駆動機構
10 基板保持部
11a,11b プーリー
12 ベルト
14 モータ
16 ロータリージョイント
17 エアシリンダ
21 第1オゾンナノバブル水供給ノズル
22 第2オゾンナノバブル水供給ノズル
25 第1流路開閉弁
26 第2流路開閉弁
30 液体供給ノズル
31 研磨テープ
41 研磨具供給回収機構
43 供給リール
44 回収リール
45,46,47,48 ガイドローラ
50 研磨ヘッド
51 押圧機構
52 テープ送り機構
53,54,55,56,57,58,59 ガイドローラ
60 隔壁
65 ベースプレート
71 第1ターゲット領域
72 第2ターゲット領域
81 排気ダクト
83 入口カバー
85 ドレイン
90 動作制御部
100 オゾンナノバブル水供給源
101 第1生成タンク
102 第2生成タンク
103 第3生成タンク
105 レビトロポンプ
107 ベローズポンプ
109 エジェクタ
110 オゾンガス供給源
121 オゾンナノバブル水供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12