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特許7350762ポリベンザゾールポリマー(P)の繊維、フィルムおよび成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ポリベンザゾールポリマー(P)の繊維、フィルムおよび成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/00 20060101AFI20230919BHJP
   C08G 75/32 20060101ALI20230919BHJP
   D01F 6/74 20060101ALI20230919BHJP
   C08G 73/22 20060101ALI20230919BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B29C51/00
C08G75/32
D01F6/74
C08G73/22
C08J5/18
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020547038
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019055092
(87)【国際公開番号】W WO2019170529
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】18160970.2
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーセル ブリル
(72)【発明者】
【氏名】イネス ドゥボーヴェ ドゥ ヴァスコンセロス
(72)【発明者】
【氏名】マイク ノヴァク
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ フレシェル
(72)【発明者】
【氏名】マーティン メアガー
(72)【発明者】
【氏名】アーヒム シュタマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ルーフ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヘアマヌッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト バイアー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エア. ブーフマイザー
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103880767(CN,A)
【文献】特表2011-523496(JP,A)
【文献】特開2006-249166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0329958(US,A1)
【文献】特開平06-200489(JP,A)
【文献】特表2019-529639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73/00-73/26
C08G75/00-75/32
B29C51/00
C08J 5/18
D01F 6/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
(a) 一般式(I):
【化1】
[式中、
Arは、非置換または少なくとも一置換のフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、ビフェニルジイル、ジフェニルメタンジイル、ジフェニルエーテルジイル、ジフェニルチオエーテルジイル、ジフェニルスルホンジイル、ベンゾフェノンジイル、ピリジンジイル、ピリミジンジイル、フランジイルおよびチオフェンジイルから成る群より選択され、
ここで、置換基は、-F、-Cl、-Br、-ORおよび-C~C10アルキルから成る群より選択され、
ここで、Rは、-Hまたは-C~C10アルキルであり、
、Xは、互いに独立して、-OR、-F、-Clおよび-Brから成る群より選択され、
ここで、Rは、-H、-C~C10アルキル、-C~C10アルケニルまたは一般式(Ia):
【化2】
(式中、
mは、1~50の自然数であり、かつ
は、-H、-C~C10アルキルまたは-C~C10アルケニルである)
の繰り返し単位である]
の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物、
(b) 一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):
【化3】
[式中、
nは、0または1であり、
、Y、Y、Yは、互いに独立して、-H、-ORまたは-SRであり、
ここで、Rは、-H、-C~C10アルキル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、アセチルおよびtert-ブチルオキシカルボニルから成る群より選択され、かつ
ここで、基YおよびYのうちの最大で1つは、-Hであり、かつ
ここで、基YおよびYのうちの最大で1つは、-Hであり、
、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zは、互いに独立して、-NHまたは-NH であり、
ここで、Qは、F、Cl、Br、I、HSO 、SO 2-、HC-SO 、p-HC-C-SO およびNO から成る群より選択されるアニオン等価体である]
の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物、
および
(c) 少なくとも1つのイオン液体(IL);
を含む反応混合物(R)を反応させることによる、ポリベンザゾールポリマー(P)のフィルム、繊維および成形体の製造方法において、前記反応混合物(R)を、0~120℃の範囲の温度Tで反応させて生成物混合物(PVG)を得て、前記生成物混合物(PVG)を、0~100℃の範囲の温度Tで、フィルム、繊維または成形体に加工し、そのようにして得られた前記フィルム、繊維または成形体を、250~500℃の範囲の温度Tに加熱することを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
Arが、非置換または少なくとも一置換の1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、アントラセン-2,6-ジイル、アントラセン-9,10-ジイル、ビフェニル-4,4’-ジイル、ジフェニルメタン-4,4’-ジイル、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイル、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジイル、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル、ベンゾフェノン-4,4’-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-4,6-ジイル、フラン-2,5-ジイルおよびチオフェン-2,5-ジイルから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記成分(a)が、テレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステルおよびイソフタル酸のC~C10アルケニルエステルから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
前記成分(b)が、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩から成る群より選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記反応混合物(R)が、前記反応混合物(R)の総重量を基準として、5~25重量%の前記成分(a)、5~25重量%の前記成分(b)および50~90重量%の前記成分(c)を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのイオン液体(IL)が、一般式(III):
[C] [A]n- (III)
[式中、
n=1、2、3または4であり、
カチオン[C] は、非置換または少なくとも一置換のイミダゾリウムカチオン、イミダゾリニウムカチオン、イミダゾリジニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムカチオン、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エニウムカチオン、およびこれらのカチオンを含むオリゴマーまたはポリマーから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであり、
ここで、置換基は、線状のまたは分枝した-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択され、
アニオン[A]n-は、ハロゲン化物含有アニオン、シアン化物、チオシアン酸、シアン酸、イソシアン酸、亜硝酸、硝酸、非置換または少なくとも一置換の硫酸、亜硫酸、スルホン酸、カルボン酸、ホウ酸、ボロン酸、炭酸、炭酸エステル、アミド、カルボン酸イミド酸、スルホニルイミド酸、ビス(スルホニル)イミド酸、アルコキシドおよびアリールオキシドから成る群より選択され、
ここで、置換基は、線状のまたは分枝した-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択される]
を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのイオン液体(IL)が、カチオン[C] として、一般式(IV):
【化4】
[式中、
、R、R、R、Rは、互いに独立して、-H、線状のまたは分枝した-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択される]
の少なくとも1個のイミダゾリウムカチオンを含むことを特徴とする、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
前記カチオン[C] が、1-メチルイミダゾリウム、1-メチル-2-エチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、2,3-ジメチルイミダゾリウム、3,4-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、2-エチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-プロピル-2-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジプロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4,5-トリメチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチル-5-メチルイミダゾリウム、1,3-ジブチルイミダゾリウム、1,3-ジブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ヘキシルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-オクチル-2-メチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであることを特徴とする、請求項6または7記載の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのイオン液体(IL)が、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジエチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジブチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナートから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
前記反応混合物(R)の前記反応が、トリアルキルアミン、イミダゾール、ピリジン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウムおよび水素化カルシウムから成る群より選択される少なくとも1つの塩基性化合物の存在下で行われることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
前記反応混合物(R)が、以下の組み合わせ:
【表1-1】
【表1-2】
の成分(a)、(b)および(c)を含み、ここで、成分(b)については、相応する二塩酸塩がさらに一緒に特許請求されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項12】
ケーブル、ロープ、コードを製造するための、ガラス繊維を被覆するための、繊維強化ゴム材料を製造するための、繊維強化建材を製造するための、ディスクブレーキ用のブレーキライニングを製造するための、不織布材料を製造するための、防弾チョッキ用の、耐熱保護服用の、ヘルメットの層用の、電源ケーブルシース用の、建物を修復および修理するためのテキスタイルコンクリートとしてのテキスタイル強化建材用のテキスタイルを製造するための、請求項1から11までのいずれか1項記載の製造方法により得られる繊維の使用。
【請求項13】
ガス分離のための熱的に安定な膜中での、プロトン伝導膜中での、電気光学装置中での、または発光ダイオード中での、請求項1から11までのいずれか1項記載の製造方法により得られるフィルムの使用。
【請求項14】
耐高温性ポリマー材料としての、請求項1から11までのいずれか1項記載の製造方法により得られる成形体の使用。
【請求項15】
前記生成物混合物(P VG )は、付加生成物(アラミド)および少なくとも1つのイオン液体(IL)を含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項16】
前記生成物混合物(P VG )は、生成物混合物(P VG )の総重量を基準として、5重量%~25重量%のアラミドを含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項17】
前記生成物混合物(P VG )は、生成物混合物(P VG )の総重量を基準として、10重量%~22重量%のアラミドを含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項18】
前記生成物混合物(P VG )は、生成物混合物(P VG )の総重量を基準として、12重量%~20重量%のアラミドを含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項19】
前記反応混合物(R )中の全成分の総重量は、100重量%になる、請求項1記載の製造方法。
【請求項20】
ポリベンザゾールポリマー(P)のフィルム、繊維または成形体は、100重量ppm未満の量のリンを含む、請求項1記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に定義されている、ポリベンザゾールポリマー(P)の繊維、フィルムおよび成形体の製造方法に関する。さらに、本発明は、本発明による方法により得られる繊維、フィルムおよび成形体と、テキスタイルにおける本発明による方法により得られる繊維の使用と、本発明により得られるフィルムの使用と、本発明により得られる成形体の使用とに関する。
【0002】
ポリベンザゾールポリマーは公知であり、特に高性能繊維として使用され、かつその並外れた引張強さから、その特性の点でガラス繊維、セラミック繊維および炭素繊維を凌ぐ有機ポリマーのクラスである。ポリベンザゾールポリマーのような有機高性能繊維は、技術的要求の高い分野でますます使用されている。というのも、これは特に、並外れた高い強度および弾性率の点、ならびに高い温度耐久性、防炎性および耐薬品性の点で優れているからである。
【0003】
しかしながら、金属材料とは反対に、ポリベンザゾールポリマーをベースとするポリマー材料、ならびに通常は、相応する繊維、フィルムおよび成形体も、しばしば自然環境の影響下で分解プロセスを受けやすく、これが急速な老化、ひいては使用不可能になるまでの特性の悪化を引き起こす。一般に、UV放射線および湿度のような外部環境の影響の作用下では、急速な分解が起こり、それにより、最終的に機械特性が著しく低下し、繊維材料の場合、特に引張強さが著しく低下する。急速な老化により、ポリベンザゾールポリマーをベースとする材料は、一般に、短時間後に交換しなければならないか、または相応する手法で、より耐久性のある材料との複合構造で環境の影響から保護しなければならない。被覆により老化を遅らせることができるが、その低い耐老化性により、わずかな専門領域を越えての、ポリベンザゾールポリマーをベースとする材料の普遍的な使用性が妨げられる。
【0004】
ポリベンザゾールポリマー、例えば、本明細書において以下で「PBO」とも称されるポリ(ベンゾ[1,2-d:4,5‘-d‘‘]ビスオキサゾール-2,6-ジイル-1,4-フェニレン)の製造は公知であり、従来技術において記載されている:
例えば、「Kumar等, Rigid-Rod Polymeric Fibers, Journal of Applied Polymer Science, Vol. 100, 791-802 (2006)」には、テレフタル酸と、2個のさらなる置換基を有する芳香族ジアミノ化合物とからのポリベンザゾールポリマーの製造が開示されており、ここで、2個のさらなる置換基は、アミノ基、ヒドロキシ基またはチオール基であり得る。
【0005】
いくらか一般的な形態で、ただし同様に特にPBOに関して、David H. Wang、Hao Jiang、W. Wade Adamsは、以下で「Wang等」とも称されるEncyclopedia of Polymer Science and Technology, John Wiley and Sons, Inc.,p.1-88, 2011において、「Rigid Rod Polymers」を扱っている。
【0006】
例えばPBOを得るための、出発化合物であるテレフタル酸と、2個のさらなる置換基を有する芳香族ジアミノ化合物との重縮合は、文献に記載のほとんどの場合において、場合によって溶媒、触媒および脱水剤として同時に機能する五酸化二リンPを添加したポリリン酸の存在下で行われる。
【0007】
ポリベンザゾールポリマー、例えばPBOの問題は、これがごく少数の溶媒にしか溶解しないことであり、ここで、ポリベンザゾールポリマー、例えばPBOにする反応と、例えば繊維およびフィルムにするさらなる加工の双方のために選択される溶媒は、場合によって五酸化二リンPを添加したポリリン酸であり、Wang等のp.15、第2段落、第1~第5行目を参照されたい。
【0008】
しかしながら、ポリベンザゾールポリマー、例えばPBOの合成のために今まで使用されていた酸の使用、特に場合によって五酸化二リンPを添加したポリリン酸の使用は不利であると判明した。というのも、これらの酸は、製造プロセス後にポリベンザゾールポリマー、例えばPBOから完全には除去することができず、したがって、常にわずかな濃度でポリマーマトリックス中に残留するからである。これらの酸残分は、水分の作用下で、ポリマー鎖、例えばPBOの加水分解を引き起こす。この分解は、UV作用によりさらに著しく促進される。
【0009】
例えば、「Holmes等, The Effect of Enviromental and Mechanical Mechanisms on the Performance of Soft Body Armor, 2009, Analytical Chemistry Division, ICCM International Conferences on Composite Materials 01/2009」は、ベンゾオキサゾール環の加水分解安定性の欠如が、PBOの製造方法からのリン酸のわずかな残留含量に起因することを開示している。この場合、リン酸は、遊離リン酸として、またはポリベンゾオキサゾールに結合したアリールホスファートエステルの形で存在し得て、ここで、アリールホスファートエステルは、水の存在でゆっくりと加水分解され、リン酸を形成する。
【0010】
「Chin等, Temperature and humidity aging of poly(p-phenylene-2,6-benzo-bisoxazole) fibers: Chemical and physical characterization, Polymer Degradation and Stability, 92, 1234 -1246 (2007)」には、加水分解または高温に対するポリベンゾオキサゾールポリマー(PBO)の敏感性がポリリン酸の残分により生じ、これにより、ベンゾオキサゾール環の開環、ひいてはポリマーの分解が引き起こされることが開示されている。
【0011】
中国特許第103880767号明細書には、ポリリン酸中でのポリベンザゾールポリマーの製造方法が記載されている。しかしながら、この場合、第一のステップにおいて、テレフタル酸ジクロリドおよび4,6-ジアミノレゾルシノール(4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン)が、別の溶媒中で、すなわち強疎水性イオン液体中で反応させられる。この場合、ちょうど1個の分子であるテレフタル酸ジクロリドとちょうど1個の分子である4,6-ジアミノレゾルシノールとから形成された、ダイマー状の、すなわちポリマー状ではない反応生成物が生成される。ポリベンザゾールポリマーを製造するために、この縮合生成物は、第二のステップにおいて、リン酸および五酸化リン中で反応させられる。
【0012】
したがって、本発明が基づく課題は、ポリベンザゾールポリマー、好適にはPBOを製造および/またはさらに加工するために従来技術で使用されている溶媒なしで実施可能であるか、または溶媒が通常後処理の後に再び使用可能である、ポリベンザゾールポリマー、好適にはPBOの繊維、フィルムおよび成形体の改善された製造方法を提供することである。この改善された方法により、改善された耐老化性、耐加水分解性および/またはUV放射線に対するより良好な耐久性を有するポリベンザゾールポリマー、好適にはPBOからの繊維、フィルムおよび成形体が提供可能になるべきである。
【0013】
この課題は、以下の成分:
(a) 一般式(I):
【化1】
【0014】
[式中、
Arは、非置換または少なくとも一置換のフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、ビフェニルジイル、ジフェニルメタンジイル、ジフェニルエーテルジイル、ジフェニルチオエーテルジイル、ジフェニルスルホンジイル、ベンゾフェノンジイル、ピリジンジイル、ピリミジンジイル、フランジイルおよびチオフェンジイルから成る群より選択され、
ここで、置換基は、-F、-Cl、-Br、-ORおよび-C~C10アルキルから成る群より選択され、
ここで、Rは、-Hまたは-C~C10アルキルであり、
、Xは、互いに独立して、-OR、-F、-Clおよび-Brから成る群より選択され、
ここで、Rは、-H、-C~C10アルキル、-C~C10アルケニルまたは一般式(Ia):
【化2】
【0015】
(式中、
mは、1~50の自然数であり、かつ
は、-H、-C~C10アルキルまたは-C~C10アルケニルである)
の繰り返し単位である]
の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物、
(b) 一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):
【化3】
【0016】
[式中、
nは、0または1であり、
、Y、Y、Yは、互いに独立して、-H、-ORまたは-SRであり、
ここで、Rは、-H、-C~C10アルキル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、アセチルおよびtert-ブチルオキシカルボニルから成る群より選択され、かつ
ここで、基YおよびYのうちの最大で1つは、-Hであり、かつ
ここで、基YおよびYのうちの最大で1つは、-Hであり、
、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zは、互いに独立して、-NHまたは-NH であり、
ここで、Qは、F、Cl、Br、I、HSO 、SO 2-、HC-SO 、p-HC-C-SO およびNO から成る群より選択されるアニオン等価体である]
の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物、
および
(c) 少なくとも1つのイオン液体(IL)
を含む反応混合物(R)を反応させることによる、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOの繊維、フィルムおよび成形体の製造方法において、反応混合物(R)を、0~120℃の範囲の温度Tで反応させて生成物混合物(PVG)を得て、生成物混合物(PVG)を、0~100℃の範囲の温度Tで、フィルム、繊維または成形体に加工し、そのようにして得られたフィルム、繊維または成形体を、250~500℃の範囲の温度Tに加熱することを特徴とする、製造方法により解決された。
【0017】
驚くべきことに、イオン液体が、生成物混合物(PVG)を製造するための溶媒として良好に適しており、生成物混合物(PVG)が、溶媒であるイオン液体の存在下で、一般的な方法により良好に繊維、フィルムおよび成形体へとさらに加工可能であり、かつこれを最終的に、250~500℃の範囲の温度への加熱と、場合によって延伸とにより、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの相応する繊維、フィルムおよび成形体にすることができると見出された。したがって、従来技術に開示されている方法で使用される酸、特に場合によって五酸化二リンPを添加したポリリン酸は、必要ではない。それにより、イオン液体の存在下で得られたポリベンザゾールポリマー(P)、好適にはPBOからの繊維、フィルムおよび成形体は、老化プロセスおよび外部環境の影響、例えば加水分解またはUV放射線の作用に対して耐久性が高められている。
【0018】
イオン液体の使用により、ポリベンザゾールポリマー、好適にはPBOからの、またはポリベンザゾールポリマーの前駆体からの酸残分の除去のための手間のかかる分離法または精製法が必要ないため、繊維、フィルムおよび成形体へのさらなる加工法に至るまで、合成において、環境に優しくかつ低コストなプロセス管理が可能になる。ポリベンザゾールポリマー(P)の製造においてイオン液体が再使用可能であることにより、従来技術に開示されている方法に比べて、プロセス管理の著しい改善が達成される。
【0019】
以下で、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明による方法において、ポリベンザゾールポリマー(P)、好適にはPBOからの繊維、フィルムおよび成形体は、反応混合物(R)を、0~120℃の範囲の温度で反応させて生成物混合物(PVG)を得て、生成物混合物(PVG)を、0~100℃の範囲の温度Tで、一般的な方法により繊維、フィルムおよび成形体に加工し、そのようにして得られた、ポリベンザゾールポリマー(P)、好適にはPBOを含む繊維、フィルムおよび成形体を、250~500℃の範囲の温度に加熱することにより得られる。
【0021】
ポリベンザゾールポリマーは、当業者に原則として公知であるポリマーのクラスである。本発明の範囲において、「ポリベンザゾールポリマー(P)」とは、ポリベンゾオキサゾールおよび/またはポリベンゾチアゾールからの繰り返し単位を含むポリマーであると理解される。
【0022】
本発明の範囲において、「ポリベンゾオキサゾール」という用語は、繰り返し単位としてオキサゾール環と芳香族基とを含むポリマーに関連する。この場合、芳香族基は、必ずしもベンゼン環であるとは限らない。
【0023】
本発明の範囲において、「ポリベンゾチアゾール」という用語は、繰り返し単位としてチアゾール環と芳香族基とを含むポリマーに関連する。この場合、芳香族基は、必ずしもベンゼン環であるとは限らない。
【0024】
反応混合物(R)とは、ポリベンザゾールポリマー(P)の製造のために反応させられる混合物である。
【0025】
反応混合物(R)は、成分として、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物(成分(a))、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(成分(b))、ならびに少なくとも1つのイオン液体(IL)(成分(c))を含む。
【0026】
成分(a)および(b)は、成分(c)中に実質的に完全に溶解していることが一般的である。この場合、「実質的に完全に溶解」という用語は、反応混合物(R)中の成分(a)および(b)の総重量を基準として、成分(a)および(b)の好適には最大5重量%、好ましくは最大3重量%、より好ましくは最大2重量%、特に好ましくは最大1重量%が、成分(c)中に固体粒子として存在することを意味する。成分(c)は、成分(a)および(b)の固体粒子を全く含まないことが極めて特に好ましい。したがって、成分(a)および(b)は、成分(c)から濾過により分離され得ないことが極めて特に好ましい。
【0027】
成分(c)中での成分(a)および(b)の溶解は、当業者に公知のあらゆる方法により行うことが可能である。成分(a)および(b)は、撹拌しながら成分(c)中に溶解されることが好ましい。成分(c)中での成分(a)および(b)の溶解は、同時または好適には順次に行うことができ、例えば、まず成分(b)を溶解させてから(a)を溶解させてもよく、またはその反対であってもよく、ここで、まず成分(b)を溶解させてから(a)を溶解させる変形形態が好ましい。
【0028】
成分(a)または(b)は、成分(c)中に、好適には高温で、好ましくは20~120℃の範囲内で、特に好ましくは60~90℃の範囲内で溶解される。
【0029】
成分(a):成分(b)のモル比は、1.05:1.00~1.01:1.00の範囲、好適には1.01:1.00~1.00:1.00の範囲にある。
【0030】
成分(c)の存在下での成分(a)と成分(b)との反応は、0~120℃の範囲、好適には35~100℃の範囲、特に好ましくは70~80℃の範囲の温度で行われる。好ましい実施形態において、成分(b)は、成分(c)中に溶解した状態で予め装入されており、成分(a)が、好適には意図される総量を小分けして、この混合物に添加される。通常、成分(a)と成分(b)との反応は、成分(c)の存在下で撹拌しながら行われる。
【0031】
成分(c)の存在下での記載の条件での成分(a)と(b)との反応により、ポリベンザゾールポリマー(P)、好適にはPBOの前駆体、すなわち生成物混合物(PVG)がもたらされる。成分(c)は溶媒として機能し、この場合、好適には成分(a)および(b)とは共重合しない。成分(c)の一部が成分(a)および(b)と共重合する場合には、成分(c)の総重量を基準として、成分(c)の好ましくは最大1重量%、特に好ましくは最大0.5重量%が、成分(a)および(b)と共重合する。成分(c)は、成分(a)および(b)と全く共重合しないことが極めて特に好ましい。
【0032】
一実施形態において、本発明による反応混合物(R)は、少なくとも1つの塩基性化合物を含んでいてもよい。少なくとも1つの塩基性化合物は、原則として、当業者に公知のあらゆる塩基性化合物であり得る。少なくとも1つの塩基性化合物は、塩基性アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物またはアミンであることが好ましい。少なくとも1つの塩基性化合物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾールから成る群より選択されることが特に好ましい。少なくとも1つの塩基性化合物(B)は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイミダゾールから成る群より選択されることが極めて特に好ましい。
【0033】
さらに、反応混合物(R)は、先に定義された少なくとも1つの塩基性化合物とは異なる少なくとも1つの無機塩を含んでいてもよい。少なくとも1つの無機塩は、原則として、当業者に公知のあらゆる無機塩であってもよく、ちょうど1つの無機塩であっても、2つ以上の異なる無機塩の混合物であってもよい。少なくとも1つの無機塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、スズ(II)塩、鉄(II)塩またはマンガン(II)塩であることが好ましい。少なくとも1つの無機塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルミニウムハロゲン化物、スズ(II)ハロゲン化物、鉄(II)ハロゲン化物またはマンガン(II)ハロゲン化物であることがより好ましい。少なくとも1つの無機塩は、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化スズ(II)、臭化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、塩化マンガン(II)、臭化マンガン(II)およびヨウ化マンガン(II)から成る群より選択されることが特に好ましい。少なくとも1つの無機塩は、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化スズ(II)、塩化鉄(II)および塩化マンガン(II)から成る群より選択されることが極めて特に好ましい。
【0034】
反応混合物(R)の反応の間に、揮発性副生成物が生じることがあり、この揮発性副生成物は、反応混合物(R)の反応の間にすでに連続的に分離されることが好ましい。本発明の範囲において、「揮発性副生成物」とは、反応混合物(R)の反応において生じる、200℃未満、好ましくは150℃未満、特に好ましくは120℃未満の沸点を有するあらゆる化合物であると理解される。好ましい揮発性副生成物は、例えば、水(反応水)またはハロゲン化水素を含む。揮発性副生成物の分離は、原則として、当業者に公知のあらゆる方法により行うことが可能である。好ましい実施形態において、揮発性副生成物は、反応混合物(R)の反応の間に、場合によって窒素流を連続的に供給しながら、連続的に留去される。
【0035】
反応混合物(R)に関する以後の記述はすべて、反応を実施する前の混合物に関連し、この反応は、以下で「付加反応」とも称される。付加反応において、反応混合物(R)は反応して、本明細書でアラミドとも称される付加生成物、例えばポリ(オルトヒドロキシ)アラミドと、少なくとも1つのイオン液体(IL)とを含む生成物混合物(PVG)になる。したがって、生成物混合物(PVG)に関する記述はすべて、付加反応の実施後の混合物に関連する。
【0036】
反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、5重量%~25重量%の成分(a)、5重量%~25重量%の成分(b)および50重量%~90重量%の成分(c)を含むことが好ましい。
【0037】
反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、8重量%~18重量%の成分(a)、8重量%~18重量%の成分(b)および64重量%~84重量%の成分(c)を含むことが好ましく、反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、10重量%~15重量%の成分(a)、10重量%~15重量%の成分(b)および70重量%~80重量%の成分(c)を含むことが特に好ましい。
【0038】
さらなる実施形態において、反応混合物(R)は、コモノマーとして、少なくとも1つの線状のまたは分枝した脂肪族ジカルボキシル化合物をさらに含んでいてもよい。少なくとも1つの線状のまたは分枝した脂肪族ジカルボキシル化合物は、2~20個の炭素原子を含むことが好ましい。特に好ましい線状のまたは分枝した脂肪族ジカルボキシル化合物は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそれらの分枝した異性体である。
【0039】
生成物混合物(PVG)は、一般に、生成混合物(PVG)の総重量を基準として、アラミドを、好適には5重量%~25重量%、好ましくは10重量%~22重量%、特に好ましくは12重量%~20重量%含む。
【0040】
アラミドは、少なくとも1つのイオン液体(IL)中に、好適には少なくとも部分的に溶解している。生成物混合物(PVG)中のアラミドの総重量を基準として、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%、極めて特に好ましくは少なくとも80重量%のアラミドが、少なくとも1つのイオン液体(IL)中に溶解している。アラミドが、繊維またはフィルム、特に繊維へのさらなる加工のために、少なくとも1つのイオン液体(IL)中に実質的に完全に溶解していることが極めて特に好ましい。この場合、「実質的に完全に溶解」という用語は、生成物混合物(PVG)中のアラミドの総重量を基準として、アラミドの好適には最大5重量%、好ましくは最大3重量%、より好ましくは最大2重量%、特に好ましくは最大1重量%が、少なくとも1つのイオン液体(IL)中に固体粒子として存在することを意味する。少なくとも1つのイオン液体(IL)は、アラミドの固体粒子を全く含まないことが極めて特に好ましい。したがって、アラミドは、少なくとも1つのイオン液体(IL)から濾過により分離され得ないことが極めて特に好ましい。
【0041】
アラミドは、生成物混合物(PVG)から当業者に公知のあらゆる方法により分離することが可能である。例えば、アラミドは、適切な沈殿剤の添加により生成物混合物(PVG)から沈殿させることが可能である。適切な沈殿剤は、原則として当業者に公知であり、非プロトン性またはプロトン性の極性溶媒、好適にはプロトン性の極性溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、エチレングリコールまたはそれらの混合物を含む。
【0042】
以下で、成分(a)、(b)および(c)を詳細に説明する。
【0043】
成分(a)
反応混合物(R)は、成分(a)として、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物を含む。
【0044】
この場合、「成分(a)」、「一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物」および「少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物(I)」という用語は、以下で同義的に使用される。
【0045】
この場合、「一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物」という用語は、一般式(I)のちょうど1つの芳香族ジカルボキシル化合物、および一般式(I)の2つ以上の異なる芳香族ジカルボキシル化合物の混合物のどちらにも関連する。一般式(I)の適切な芳香族ジカルボキシル化合物は、原則として当業者に公知である。
【0046】
本発明による方法において使用される少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物は、一般式(I):
【化4】
【0047】
[式中、
Arは、非置換または少なくとも一置換のフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、ビフェニルジイル、ジフェニルメタンジイル、ジフェニルエーテルジイル、ジフェニルチオエーテルジイル、ジフェニルスルホンジイル、ベンゾフェノンジイル、ピリジンジイル、ピリミジンジイル、フランジイルおよびチオフェンジイルから成る群より選択され、
ここで、置換基は、-F、-Cl、-Br、-ORおよび-C~C10アルキルから成る群より選択され、
ここで、Rは、-Hまたは-C~C10アルキルであり、
、Xは、互いに独立して、-OR、-F、-Clおよび-Brから成る群より選択され、
ここで、Rは、-H、-C~C10アルキル、-C~C10アルケニルまたは一般式(Ia):
【化5】
【0048】
(式中、
mは、1~50の自然数であり、かつ
は、-H、-C~C10アルキルまたは-C~C10アルケニルである)
の繰り返し単位である]
を有する。
【0049】
本発明による方法において使用される、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物は、カルボキシル基(-COH)、カルボン酸フルオリド(-COF)、カルボン酸クロリド(-OCl)、カルボン酸ブロミド(-COBr)、カルボン酸エステル(-CO、ここで、Rは、C~C10アルキル基またはC~C10アルケニル基である)およびカルボン酸無水物(-CO、ここで、Rは、先に定義された一般式(Ia)の繰り返し単位である)から成る群より互いに独立して選択される2つの官能基を含むことが好ましい。
【0050】
本発明による方法において、Arは、非置換または少なくとも一置換のフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、ビフェニルジイル、ジフェニルメタンジイル、ジフェニルエーテルジイル、ジフェニルチオエーテルジイル、ジフェニルスルホンジイル、ベンゾフェノンジイル、ピリジンジイル、ピリミジンジイル、フランジイルおよびチオフェンジイルから成る群より選択される。一般式(I)の相応する適切な芳香族ジカルボキシル化合物は、原則として当業者に公知である。原則として、本発明による方法において、当業者に公知の、一般式(I)の相応するあらゆる芳香族ジカルボキシル化合物を使用することが可能である。
【0051】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のフェニレン基は、例えば、1,2-フェニレン、1,3-フェニレンおよび1,4-フェニレン、好ましくは1,4-フェニレンから成る群より選択される。フェニレン基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてフェニレン基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸無水物、フタル酸ジフルオリド、フタル酸ジクロリド、フタル酸ジブロミド、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、フタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のポリ無水物、テレフタル酸のポリ無水物、ならびにフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸のC~C10アルキルエステル、ならびにフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0052】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のナフタレンジイル基は、例えば、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-1,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイルおよびナフタレン-2,7-ジイル、好ましくはナフタレン-1,4-ジイルおよびナフタレン-2,6-ジイルから成る群より選択される。ナフタレン基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてナフタレンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸無水物、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジフルオリド、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジクロリド、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジブロミド、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸無水物、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸ジフルオリド、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸ジクロリド、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸ジブロミド、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸無水物、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジフルオリド、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジクロリド、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジブロミド、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸無水物、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸ジフルオリド、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸ジクロリド、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸ジブロミド、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸のポリ無水物、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸のポリ無水物、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸のポリ無水物、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸およびナフタレン-2,7-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸およびナフタレン-2,7-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0053】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のアントラセンジイル基は、例えば、アントラセン-1,4-ジイル、アントラセン-1,5-ジイル、アントラセン-2,6-ジイルおよびアントラセン-9,10-ジイル、好ましくはアントラセン-2,6-ジイルおよびアントラセン-9,10-ジイルから成る群より選択される。アントラセン基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてアントラセンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、アントラセン-1,4-ジカルボン酸、アントラセン-1,5-ジカルボン酸、アントラセン-2,6-ジカルボン酸、アントラセン-9,10-ジカルボン酸、アントラセン-1,4-ジカルボン酸ジフルオリド、アントラセン-1,4-ジカルボン酸無水物、アントラセン-1,4-ジカルボン酸ジクロリド、アントラセン-1,4-ジカルボン酸ジブロミド、アントラセン-1,5-ジカルボン酸無水物、アントラセン-1,5-ジカルボン酸ジフルオリド、アントラセン-1,5-ジカルボン酸ジクロリド、アントラセン-1,5-ジカルボン酸ジブロミド、アントラセン-2,6-ジカルボン酸無水物、アントラセン-2,6-ジカルボン酸ジフルオリド、アントラセン-2,6-ジカルボン酸ジクロリド、アントラセン-2,6-ジカルボン酸ジブロミド、アントラセン-9,10-ジカルボン酸無水物、アントラセン-9,10-ジカルボン酸ジフルオリド、アントラセン-9,10-ジカルボン酸ジクロリド、アントラセン-9,10-ジカルボン酸ジブロミド、アントラセン-1,4-ジカルボン酸のポリ無水物、アントラセン-1,5-ジカルボン酸のポリ無水物、アントラセン-2,6-ジカルボン酸のポリ無水物、アントラセン-9,10-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにアントラセン-1,4-ジカルボン酸、アントラセン-1,5-ジカルボン酸、アントラセン-2,6-ジカルボン酸およびアントラセン-9,10-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにアントラセン-1,4-ジカルボン酸、アントラセン-1,5-ジカルボン酸、アントラセン-2,6-ジカルボン酸およびアントラセン-9,10-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0054】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のビフェニルジイル基は、例えば、ビフェニル-3,3’-ジイルおよびビフェニル-4,4’-ジイル、好ましくはビフェニル-4,4’-ジイルから成る群より選択される。ビフェニルジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてビフェニルジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物は、例えば、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸無水物、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸ジフルオリド、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸ジクロリド、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸ジブロミド、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸無水物、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸のポリ無水物、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにビフェニル-3,3’-ジカルボン酸およびビフェニル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにビフェニル-3,3’-ジカルボン酸およびビフェニル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0055】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のジフェニルメタンジイル基は、例えば、ジフェニルメタン-3,3’-ジイルおよびジフェニルメタン-4,4’-ジイル、好ましくはジフェニルメタン-4,4’-ジイルから成る群より選択される。ジフェニルメタンジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてジフェニルメタンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0056】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のジフェニルエーテルジイル基は、例えば、ジフェニルエーテル-3,3’-ジイルおよびジフェニルエーテル-4,4’-ジイル、好ましくはジフェニルエーテル-4,4’-ジイルから成る群より選択される。ジフェニルエーテルジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてジフェニルエーテルジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0057】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のジフェニルチオエーテルジイル基は、例えば、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジイルおよびジフェニルチオエーテル-4,4’-ジイル、好ましくはジフェニルチオエーテル-4,4’-ジイルから成る群より選択される。ジフェニルチオエーテルジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてジフェニルチオエーテルジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにジフェニルチオエーテル-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0058】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のジフェニルスルホンジイル基は、例えば、ジフェニルスルホン-3,3’-ジイルおよびジフェニルスルホン-4,4’-ジイル、好ましくはジフェニルスルホン-4,4’-ジイルから成る群より選択される。ジフェニルスルホンジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてジフェニルスルホンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにジフェニルスルホン-3,3’-ジカルボン酸およびジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0059】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のベンゾフェノンジイル基は、例えば、ベンゾフェノン-3,3’-ジイルおよびベンゾフェノン-4,4’-ジイル、好ましくはベンゾフェノン-4,4’-ジイルから成る群より選択される。ベンゾフェノンジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてベンゾフェノンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸無水物、ベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸ジフルオリド、ベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸ジクロリド、ベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸ジブロミド、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸無水物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸のポリ無水物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸およびベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにベンゾフェノン-3,3’-ジカルボン酸およびベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0060】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のピリジンジイル基は、例えば、ピリジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,6-ジイルおよびピリジン-3,5-ジイル、好ましくはピリジン-2、5-ジイルから成る群より選択される。ピリジンジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてピリジンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ピリジン-2,5-ジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、ピリジン-3,5-カルボン酸、ピリジン-2,5-ジカルボン酸無水物、ピリジン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリジン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、ピリジン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、ピリジン-2,6-ジカルボン酸無水物、ピリジン-2,6-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリジン-2,6-ジカルボン酸ジクロリド、ピリジン-2,6-ジカルボン酸ジブロミド、ピリジン-3,5-ジカルボン酸無水物、ピリジン-3,5-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリジン-3,5-ジカルボン酸ジクロリド、ピリジン-3,5-ジカルボン酸ジブロミド、ピリジン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、ピリジン-2,6-ジカルボン酸のポリ無水物、ピリジン-3,5-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにピリジン-2,5-ジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸およびピリジン-3,5-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにピリジン-2,5-ジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸およびピリジン-3,5-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0061】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のピリミジンジイル基は、例えば、ピリミジン-2,4-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイルおよびピリミジン-4,6-ジイル、好ましくはピリミジン-4,6-ジイルから成る群より選択される。ピリミジンジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてピリミジンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、ピリミジン-2,4-ジカルボン酸、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸、ピリミジン-2,4-ジカルボン酸無水物、ピリミジン-2,4-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリミジン-2,4-ジカルボン酸ジクロリド、ピリミジン-2,4-ジカルボン酸ジブロミド、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸無水物、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸無水物、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸ジクロリド、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸ジブロミド、ピリミジン-2,4-ジカルボン酸のポリ無水物、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸のポリ無水物、ならびにピリミジン-2,4-ジカルボン酸、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸およびピリミジン-4,6-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ならびにピリミジン-2,4-ジカルボン酸、ピリミジン-2,5-ジカルボン酸およびピリミジン-4,6-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0062】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のフランジイル基は、例えばフラン-2,5-ジイルより選択される。フランジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてフランジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、フラン-2,5-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸無水物、フラン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、フラン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、フラン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、フラン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、フラン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、およびフラン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0063】
基Arに適した非置換または少なくとも一置換のチオフェンジイル基は、例えばチオフェン-2,5-ジイルより選択される。チオフェンジイル基は、非置換であることが好ましい。基Arとしてチオフェンジイル基を有する相応する芳香族ジカルボキシル化合物(I)は、例えば、チオフェン-2,5-ジカルボン酸、チオフェン-2,5-ジカルボン酸無水物、チオフェン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、チオフェン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、チオフェン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、チオフェン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、チオフェン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、およびチオフェン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルを含む。
【0064】
基Arは、非置換または少なくとも一置換の1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、アントラセン-2,6-ジイル、アントラセン-9,10-ジイル、ビフェニル-4,4’-ジイル、ジフェニルメタン-4,4’-ジイル、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイル、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジイル、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル、ベンゾフェノン-4,4’-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-4,6-ジイル、フラン-2,5-ジイルおよびチオフェン-2,5-ジイルから成る群より選択されることが好ましい。前述の基は、非置換であることが特に好ましい。
【0065】
したがって、本発明の主題は、Arが、非置換または少なくとも一置換の1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、アントラセン-2,6-ジイル、アントラセン-9,10-ジイル、ビフェニル-4,4’-ジイル、ジフェニルメタン-4,4’-ジイル、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイル、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジイル、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル、ベンゾフェノン-4,4’-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-4,6-ジイル、フラン-2,5-ジイルおよびチオフェン-2,5-ジイルから成る群より選択されることを特徴とする方法でもある。
【0066】
本発明の範囲において、「非置換」という用語は、基Arが、一般式(I)に示される官能基(-COXおよび-COX)の他に、水素(-H)以外のさらなる置換基を有しないことを意味する。
【0067】
本発明の範囲において、「少なくとも一置換」という用語は、基Arが、一般式(I)に示される官能基の他に、一般式(I)に示されるカルボキシル基に対してちょうど1個の置換基または2個以上の置換基をさらに有していてもよいことを意味する。
【0068】
好ましいC~C10アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する線状のおよび分枝した飽和アルキル基を含む。この場合、特に好ましいC~C10アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、2-もしくは3-メチルペンチルのようなC~Cアルキル基、またはn-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルもしくはn-デシルのような長鎖基、ならびにそれらの分枝した異性体である。
【0069】
好ましいC~C10アルケニル基は、1~10個の炭素原子を有する線状のおよび分枝した少なくとも一価不飽和のアルキル基を含む。この場合、特に好ましいC~C10アルケニル基は、ビニル、アリル、イソプロペニル、1-ブテニル、クロチル、3-ブテニル、1,3-ブタジエニルであるか、またはペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘキサトリエニル、ヘプテニル、ヘプタジエニル、ヘプタトリエニル、オクテニル、オクタジエニル、オクタトリエニル、オクタテトラエニル、ノネニル、ノナジエニル、ノナトリエニル、ノナテトラジエニル、デセニル、デカジエニル、デカトリエニル、デカテトラエニルもしくはデカペンタエニルのような長鎖基、ならびにそれらの分枝した異性体である。
【0070】
一般式(Ia)の繰り返し単位中のmは、1~50、特に好ましくは1~30、極めて特に好ましくは1~10、特に1~5の自然数であることが好ましい。mは、1であることが最も好ましい。
【0071】
成分(a)は、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステル、イソフタル酸のC~C10アルケニルエステル、テレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のポリ無水物、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸無水物、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジフルオリド、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジクロリド、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジブロミド、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸のポリ無水物、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸無水物、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジフルオリド、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジクロリド、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジブロミド、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸のポリ無水物、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、アントラセン-2,6-ジカルボン酸、アントラセン-2,6-ジカルボン酸無水物、アントラセン-2,6-ジカルボン酸ジフルオリド、アントラセン-2,6-ジカルボン酸ジクロリド、アントラセン-2,6-ジカルボン酸ジブロミド、アントラセン-2,6-ジカルボン酸のポリ無水物、アントラセン-2,6-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、アントラセン-2,6-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、アントラセン-9,10-ジカルボン酸、アントラセン-9,10-ジカルボン酸無水物、アントラセン-9,10-ジカルボン酸ジフルオリド、アントラセン-9,10-ジカルボン酸ジクロリド、アントラセン-9,10-ジカルボン酸ジブロミド、アントラセン-9,10-ジカルボン酸のポリ無水物、アントラセン-9,10-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、アントラセン-9,10-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸無水物、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸無水物、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸無水物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸ジフルオリド、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸ジクロリド、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸ジブロミド、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸のポリ無水物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ピリジン-2,5-ジカルボン酸、ピリジン-2,5-ジカルボン酸無水物、ピリジン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリジン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、ピリジン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、ピリジン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、ピリジン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ピリジン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸無水物、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸ジフルオリド、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸ジクロリド、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸ジブロミド、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸のポリ無水物、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、ピリミジン-4,6-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、フラン-2,5-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸無水物、フラン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、フラン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、フラン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、フラン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、フラン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、フラン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステル、チオフェン-2,5-ジカルボン酸、チオフェン-2,5-ジカルボン酸無水物、チオフェン-2,5-ジカルボン酸ジフルオリド、チオフェン-2,5-ジカルボン酸ジクロリド、チオフェン-2,5-ジカルボン酸ジブロミド、チオフェン-2,5-ジカルボン酸のポリ無水物、チオフェン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルキルエステルおよびチオフェン-2,5-ジカルボン酸のC~C10アルケニルエステルから成る群より選択されることが好ましい。
【0072】
成分(a)は、テレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステルおよびイソフタル酸のC~C10アルケニルエステルから成る群より選択されることが特に好ましい。
【0073】
好ましい実施形態において、成分(a)は、反応混合物(R)中の成分(a)の総重量を基準として、テレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステルおよびイソフタル酸のC~C10アルケニルエステルから成る群より選択される、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物を、少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、極めて特に好ましくは少なくとも98重量%含む。この場合、成分(a)に関してここに記載されている重量の記述は、使用されるテレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステルおよびイソフタル酸のC~C10アルケニルエステルの総重量を基準とする。
【0074】
特に好ましい実施形態において、成分(a)は、テレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステルおよびイソフタル酸のC~C10アルケニルエステルから成る群より選択される、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物から実質的に成る。
【0075】
本発明の範囲において、「から実質的に成る」という用語は、成分(a)が、反応混合物(R)中の成分(a)の総重量を基準として、テレフタル酸、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジフルオリド、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジブロミド、テレフタル酸のC~C10アルキルエステル、テレフタル酸のC~C10アルケニルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸無水物、イソフタル酸ジフルオリド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、イソフタル酸のポリ無水物、イソフタル酸のC~C10アルキルエステルおよびイソフタル酸のC~C10アルケニルエステルから成る群より選択される、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物を、少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.5重量%、特に好ましくは少なくとも99.9重量%含むことと理解される。
【0076】
さらなる極めて特に好ましい実施形態において、成分(a)は、テレフタル酸無水物、テレフタル酸ジクロリド、およびテレフタル酸のC~C10アルケニルエステルより選択される、一般式(I)の少なくとも1つの芳香族ジカルボキシル化合物から実質的に成る。
【0077】
特に好ましい実施形態において、成分(a)はテレフタル酸ジクロリドである。
【0078】
成分(b)
反応混合物(R)は、成分(b)として、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物を含む。
【0079】
この場合、「成分(b)」、「一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物」および「少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(IIa~d)」という用語は、以下で同義的に使用される。
【0080】
この場合、「一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物」という用語は、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)のちょうど1つの芳香族ジアミノ化合物、ならびに一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の2つ以上の異なる芳香族ジアミノ化合物の混合物のどちらにも関する。一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の適切な芳香族ジアミノ化合物は、原則として当業者に公知である。
【0081】
本発明による方法において使用される少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(IIa~d)は、2個のアミノ基を含む。本発明の範囲において、「アミノ基」という用語は、-NHであると理解される。当業者には、アミノ基が、プロトン化された形態でもアミノ-水素塩(-NH )として存在することができることは明らかであり、ここで、Qは、フッ化物(F)、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、硫酸水素(HSO )、硫酸(SO 2-)、メタンスルホン酸(HC-SO )、p-トルエンスルホン酸(p-HC-C-SO )および硝酸(NO )から成る群より選択されるアニオン等価体である。
【0082】
本願の範囲において、「アニオン等価体」という用語は、当業者には、単一の負電荷を有するアニオンが、または2以上の負電荷を有するアニオンの電荷等価体が存在することと理解される。
【0083】
本発明による方法において使用される少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物は、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):
【化6】
【0084】
[式中、
nは、0または1であり、
、Y、Y、Yは、互いに独立して、-H、-ORまたは-SRであり、
ここで、Rは、-H、-C~C10アルキル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、アセチルおよびtert-ブチルオキシカルボニルから成る群より選択され、かつ
ここで、基YおよびYのうちの最大で1つは、-Hであり、かつ
ここで、基YおよびYのうちの最大で1つは、-Hであり、
、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zは、互いに独立して、-NHまたは-NH であり、
ここで、Qは、F、Cl、Br、I、HSO 、SO 2-、HC-SO 、p-HC-C-SO およびNO から成る群より選択されるアニオン等価体である]
を有する。
【0085】
好ましいC~C10アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する線状のおよび分枝した飽和アルキル基を含む。この場合、特に好ましいC~C10アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、2-もしくは3-メチルペンチルのようなC~Cアルキル基、またはn-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルもしくはn-デシルのような長鎖基、ならびにそれらの分枝した異性体である。
【0086】
、Y、YおよびYは、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物中で、好適には互いに独立して、ヒドロキシ基またはチオール基である。
【0087】
本発明の範囲において、「ヒドロキシ基」という用語は、-OHであると理解される。これと同様に、本発明の範囲において、「チオール基」とは、-SHであると理解される。
【0088】
特に好ましい実施形態において、一般式(IIa)および/または(IIb)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物中のY、Y、YおよびYは、ヒドロキシ基である。
【0089】
、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、互いに独立して、アミノ基(-NH)またはアミノ-水素塩(-NH )である。一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物中のZ、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、アミノ-水素塩であることが好ましい。
【0090】
成分(b)は、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジチオベンゼン、4,6-ジアミノ-3-ヒドロキシ-1-チオベンゼン、2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ジアミノ-1,4-ジチオベンゼン、2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-1-チオベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、4,6-ジアミノ-1,3-ジチオベンゼン二塩酸塩、4,6-ジアミノ-3-ヒドロキシ-1-チオベンゼン二塩酸塩、2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、2,5-ジアミノ-1,4-ジチオベンゼン二塩酸塩、2,5-ジアミノ-4-ヒドロキシ-1-チオベンゼン二塩酸塩、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル二塩酸塩、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル二塩酸塩、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン二塩酸塩、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルメタンおよび4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシジフェニルメタン二塩酸塩から成る群より選択されることが好ましい。
【0091】
成分(b)は、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩から成る群より選択されることが特に好ましい。
【0092】
好ましい実施形態において、成分(b)は、反応混合物(R)中の成分(b)の総重量を基準として、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩から成る群より選択される少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(IIa~d)を、少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、極めて特に好ましくは少なくとも98重量%含む。この場合、成分(b)に関してここに記載されている重量の記述は、使用される4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩の総重量を基準とする。
【0093】
さらなる極めて特に好ましい実施形態において、成分(b)は、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩から成る群より選択される少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(IIa~d)から実質的に成る。本発明の範囲において、「から実質的に成る」という用語は、成分(b)が、反応混合物(R)中の成分(b)の総重量を基準として、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩から成る群より選択される少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(IIa~d)を、少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.5重量%、特に好ましくは少なくとも99.9重量%含むことと理解される。
【0094】
特に好ましい実施形態において、成分(b)は、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩、5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼンおよび2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩から成る群より選択される少なくとも1つの芳香族ジアミノ化合物(IIa~d)から成る。
【0095】
これらの実施形態において、4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩および/または2,5-ジアミノ-1,4-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩が、成分(b)として特に好ましい。
【0096】
成分(c)
反応混合物(R)は、成分(c)として、少なくとも1つのイオン液体(IL)を含む。
【0097】
この場合、「成分(c)」および「少なくとも1つのイオン液体(IL)」という用語は、以下で同義的に使用される。
【0098】
この場合、「少なくとも1つのイオン液体(IL)」という用語は、ちょうど1つのイオン液体(IL)、および2つ以上の異なるイオン液体(IL)の混合物のどちらにも関連する。適切なイオン液体(IL)は、原則として当業者に公知である。
【0099】
本発明の意味合いにおいて、イオン液体とは、少なくとも1個のカチオン中心と少なくとも1個のアニオン中心とを有する化合物、特に、少なくとも1個のカチオンと少なくとも1個のアニオンとを有し、これらイオンのうちの少なくとも一方、特にカチオンが有機物である化合物であると理解される。
【0100】
イオン液体とは、Angewandte Chemie, 112, 3926 - 3945 (2000)におけるWasserscheidおよびKeimの定義によると、非分子のイオン性の特徴を有する比較的低い温度で溶融する塩である。イオン液体は、比較的低い温度ですでに液状であり、その際に粘性が比較的低い。イオン液体は、多くの有機物質、無機物質およびポリマー物質に対して非常に良好な溶解度を有する。さらに、イオン液体は、原則として不燃性であり、非腐食性であり、測定可能な蒸気圧を有しない。
【0101】
イオン液体は、陽イオンと陰イオンとから生成されるが全体として電荷中性の化合物である。陽イオンも陰イオンも、主に一価であるが、例えばイオン1つあたり1~5、好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3、極めて特に好ましくは1~2の電荷を有する多価アニオンおよび/または多価カチオンも可能である。電荷は、1分子内の多様な局在化または非局在化された領域に存在していても、すなわちベタイン状であってもよく、または個別のアニオンおよびカチオンのように分配されていてもよい。少なくとも1個のカチオンと少なくとも1個のアニオンとから構成されているイオン液体が好ましい。
【0102】
本発明は、特定のイオン液体に制限されておらず、当業者に公知のあらゆる適切なイオン液体を使用することが可能である。
【0103】
少なくとも1つのイオン液体(IL)は、できる限り低い融点を有することが好ましい。少なくとも1つのイオン液体(IL)の融点は、好ましくは150℃未満、特に好ましくは100℃未満、極めて特に好ましくは80℃未満である。
【0104】
少なくとも1つのイオン液体(IL)は、一般式(III):
[C] [A]n- (III)
[式中、
n=1、2、3または4であり、
カチオン[C] は、非置換または少なくとも一置換のイミダゾリウムカチオン、イミダゾリニウムカチオン、イミダゾリジニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムカチオン、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エニウムカチオン、およびこれらのカチオンを含むオリゴマーまたはポリマーから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであり、
ここで、置換基は、線状のまたは分枝した-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択され、
アニオン[A]n-は、ハロゲン化物含有アニオン、シアン化物、チオシアン酸、シアン酸、イソシアン酸、亜硝酸、硝酸、ならびに非置換または少なくとも一置換の硫酸、亜硫酸、スルホン酸、カルボン酸、ホウ酸、ボロン酸、炭酸、炭酸エステル、アミド、カルボン酸イミド酸、スルホニルイミド酸、ビス(スルホニル)イミド酸、アルコキシドおよびアリールオキシドから成る群より選択され、
ここで、置換基は、線状のまたは分枝した-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択される]
を有することが好ましい。
【0105】
この場合、「少なくとも1個のカチオン」という用語は、ちょうど1個のカチオン、および
[C[C2[A]、[C[C[A]2-、[C[C[C[A]3-または[C[C[C[C[A]4-
[式中、C、C、CおよびCは、互いに独立して、[C] について挙げた基より選択される]
のような2個以上のカチオンの混合種の双方に関連する。
【0106】
それだけでなく、金属カチオンとの混合種、例えば、
[C[C[C[M[A]4-、[C[C[M[M[A]4-、[C[M[M[M[A]4-、[C[C[M[A]3-、[C[M[M[A]3-、[C[M[A]2-、[C[M2[A]、[C[C[M2+[A]4-、[C[M[M2+[A]4-、[C[M3+[A]4-、[C[M2+[A]3-
[式中、M、M、Mは、一価金属カチオンであり、Mは、二価金属カチオンであり、Mは、三価金属カチオンである]
も使用されてもよい。
【0107】
カチオン[C] は、
- 一般式(IV):
【化7】
のイミダゾリウムカチオン、ならびに上記の式に類似するあらゆる異性体のイミダゾリニウムカチオンおよびイミダゾリジニウムカチオン、
- 一般式(V):
[NR (V)
の第四級アンモニウムカチオン、
- 一般式(VI):
[PR (VI)
の第四級ホスホニウムカチオン、
- 一般式(VII):
【化8】
のH-ピラゾリウムカチオン、ならびに3H-ピラゾリウムカチオン、4H-ピラゾリウムカチオン、1-ピラゾリニウムカチオン、2-ピラゾリニウムカチオンおよび3-ピラゾリニウムカチオン、
- 一般式(VIII):
【化9】
のピリジニウムカチオン、ならびにピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオンおよびピラジニウムイオン、
- 一般式(IX):
【化10】
のピロリジニウムカチオン、
- 一般式(X):
【化11】
のグアニジニウムカチオン、
- 少なくとも1個のリン原子または窒素原子、ならびに場合によって酸素原子または硫黄原子を有する5員または6員の複素環式カチオン、例えば、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、1,2,4-トリアゾリウムカチオンまたは1,2,3-トリアゾリウムカチオン、特に好ましくは、1個、2個または3個の窒素原子および1個の酸素原子または1個の硫黄原子を有する少なくとも1個の5員または6員の複素環、極めて特に好ましくは1個または2個の窒素原子を有する少なくとも1個の5員または6員の複素環を含む化合物、
- 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムカチオン、および一般式(XI):
【化12】
の1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エニウムカチオン、ならびにこれらのカチオンを含むオリゴマーまたはポリマー
から成る群より選択される少なくとも1個の非置換または少なくとも一置換のカチオンであることが好ましく、
ここで、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は、互いに独立して、-H、-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択される。
【0108】
当業者には、一般式(IV)、(VII)、(VIII)および(X)が、それぞれ、相応するカチオンの可能なメソマー極限構造であり、正電荷が複数のメソマー極限構造を介して非局在化されていることは明らかである。
【0109】
一般式(IV)~(XI)中の基R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14について、好ましいC~C18アルキル基は、1~18個の炭素原子を有する線状のおよび分枝した飽和アルキル基を含み、このアルキル基は、場合によって1個以上の酸素原子および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1個以上の非置換もしくは少なくとも一置換のイミノ基により中断されており、ここで、C~C18アルキル基は、場合によって官能基および/またはハロゲン基により置換されていてもよい。
【0110】
酸素原子および/または硫黄原子および/またはイミノ基の数は、制限されていない。原則として、この数は、この基中で、5以下、好ましくは4以下、極めて特に好ましくは3以下である。さらに、2個のヘテロ原子の間に、原則として少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が存在する。
【0111】
非置換または少なくとも一置換のイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n-ブチルイミノまたはtert-ブチルイミノであってもよい。
【0112】
好ましい官能基は、例えば、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ(C~Cアルキル)アミノ、C~Cアルキルオキシカルボニル、シアノまたはC~Cアルキルオキシを含む。
【0113】
好ましいC~C18アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルのようなC~Cアルキル基、またはn-ペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシルもしくはn-オクタデシルのような長鎖アルキル基、ならびにこれらの分枝した異性体を含む。
【0114】
官能基および/またはハロゲン基により置換されているさらに好ましいC~C18アルキル基は、例えば、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボニルエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ-(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシエチル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル、6-エトキシヘキシル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、2-エトキシエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシルまたは2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチルを含む。
【0115】
1個以上の酸素原子および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1個以上の非置換もしくは少なくとも一置換のイミノ基により中断されているさらに好ましいC~C18アルキル基は、例えば、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、5-ヒドロキシ-3-オキサ-ペンチル、8-ヒドロキシ-3,6-ジオキサ-オクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサ-ウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサ-ウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタデシル、9-ヒドロキシ-5-オキサ-ノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサ-テトラデシル、5-メトキシ-3-オキサ-ペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサ-オクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサ-ウンデシル、7-メトキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサ-ウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサ-ノニル、14-メトキシ-5,10-オキサ-テトラデシル、5-エトキシ-3-オキサ-ペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサ-オクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサ-ウンデシル、7-エトキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサ-ウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサ-ノニルまたは14-エトキシ-5,10-オキサ-テトラデシルを含む。
【0116】
一般式(IV)~(XI)中の基R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14について、好ましいC~C12シクロアルキル基は、5~12個の炭素原子を有する非置換または少なくとも一置換の飽和シクロアルキル基を含み、このシクロアルキル基は、場合によって1個以上の酸素原子および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1個以上の非置換もしくは少なくとも一置換のイミノ基により中断されており、ここで、C~C12シクロアルキル基は、場合によって官能基および/またはハロゲン基により置換されていてもよい。
【0117】
好ましいC~C12シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イルまたはノルボルニルを含む。
【0118】
一般式(IV)~(XI)中の基R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14について、好ましいC~C14アリール基は、6~14個の炭素原子を有する非置換または少なくとも一置換のアリール基を含み、ここで、C~C14アリール基は、場合によって官能基および/またはハロゲン基により置換されていてもよい。
【0119】
好ましいC~C14アリール基は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、α-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンゾヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニルまたはエトキシメチルフェニルを含む。
【0120】
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は、互いに独立して、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヒドロキシエチル、2-シアノエチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(n-ブトキシカルボニル)エチル、ベンジル、アセチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび塩素から成る群より選択されることが好ましい。
【0121】
少なくとも1つのイオン液体(IL)は、カチオン[C] として、一般式(IV):
【化13】
【0122】
[式中、
、R、R、R、Rは、互いに独立して、-H、線状のまたは分枝した-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択される]
の少なくとも1個のイミダゾリウムカチオンを含むことが特に好ましい。
【0123】
カチオン[C] は、1-メチルイミダゾリウム、1-メチル-2-エチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、2,3-ジメチルイミダゾリウム、3,4-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、2-エチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-プロピル-2-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジプロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4,5-トリメチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチル-5-メチルイミダゾリウム、1,3-ジブチルイミダゾリウム、1,3-ジブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ヘキシルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-オクチル-2-メチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであることが好ましい。
【0124】
したがって、本願のさらなる主題は、カチオン[C] が、1-メチルイミダゾリウム、1-メチル-2-エチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、2,3-ジメチルイミダゾリウム、3,4-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、2-エチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-プロピル-2-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジプロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4,5-トリメチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチル-5-メチルイミダゾリウム、1,3-ジブチルイミダゾリウム、1,3-ジブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ヘキシルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-オクチル-2-メチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであることを特徴とする方法でもある。
【0125】
カチオン[C] は、1-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1-メチル-2-エチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジブチルイミダゾリウム、1-ペンチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ヘキシルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであることが特に好ましい。
【0126】
カチオン[C] は、1-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジブチルイミダゾリウムから成る群より選択される少なくとも1個のカチオンであることが極めて特に好ましい。
【0127】
アニオンとしては、原則としてあらゆるアニオンが使用可能である。
【0128】
アニオン[A]n-は、
- ハロゲン含有アニオンの群、例えば:
、Cl、Br、I、BF 、BCl 、PF 、AsF 、SbF 、AlCl 、AlCl 、AlBr 、AlBr 、ZnCl 、SnCl 、FeCl
- シアン化物、チオシアン酸、シアン酸およびイソシアン酸から成る群:
CN、SCN、OCN、NCO
- 亜硝酸および硝酸から成る群:
NO 、NO
- 一般式:
SO 2-、HSO 、SO 2-、HSO 、ROSO 、RSO
の硫酸、亜硫酸またはスルホン酸の群、
- 一般式:
COO
のカルボン酸の群、
- 一般式:
BO 3-、HBO 2-、HBO 、RBO 、RHBO 、RBO 2-
のホウ酸の群、
- 一般式:
BO 2-、RBO
のボロン酸の群、
- 一般式:
HCO 、CO 2-、RCO
の炭酸または炭酸エステルの群、
- 一般式:
、RNH、R
のアミドの群、
- 一般式:
【化14】
のカルボン酸イミド酸、ビス(スルホニル)イミド酸またはスルホニルイミド酸の群、
- 一般式:

のアルコキシドまたはアリールオキシドの群
から成る群より選択されることが好ましく、
ここで、RおよびRは、互いに独立して、-H、-C~C18アルキル、-C~C12シクロアルキルおよび-C~C14アリールから成る群より選択される。
【0129】
基RおよびRについて、好ましいC~C18アルキル基は、1~18個の炭素原子を有する線状のおよび分枝した飽和アルキル基を含み、このアルキル基は、場合によって1個以上の酸素原子および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1個以上の非置換もしくは少なくとも一置換のイミノ基により中断されており、ここで、C~C18アルキル基は、場合によって官能基および/またはハロゲン基により置換されていてもよい。
【0130】
酸素原子および/または硫黄原子および/またはイミノ基の数は、制限されていない。原則として、この数は、この基中で、5以下、好ましくは4以下、極めて特に好ましくは3以下である。さらに、2個のヘテロ原子の間に、原則として少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が存在する。
【0131】
非置換または少なくとも一置換のイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n-ブチルイミノまたはtert-ブチルイミノであってもよい。
【0132】
好ましい官能基は、例えば、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ(C~Cアルキル)アミノ、C~Cアルキルオキシカルボニル、シアノまたはC~Cアルキルオキシを含む。
【0133】
好ましいC~C18アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルのようなC~Cアルキル基、またはn-ペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシルもしくはn-オクタデシルのような長鎖アルキル基、ならびにこれらの分枝した異性体を含む。
【0134】
官能基および/またはハロゲン基により置換されているさらに好ましいC~C18アルキル基は、例えば、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボニルエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ-(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシエチル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル、6-エトキシヘキシル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、2-エトキシエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシルまたは2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチルを含む。
【0135】
1個以上の酸素原子および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1個以上の非置換もしくは少なくとも一置換のイミノ基により中断されているさらに好ましいC~C18アルキル基は、例えば、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、5-ヒドロキシ-3-オキサ-ペンチル、8-ヒドロキシ-3,6-ジオキサ-オクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサ-ウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサ-ウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタデシル、9-ヒドロキシ-5-オキサ-ノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサ-テトラデシル、5-メトキシ-3-オキサ-ペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサ-オクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサ-ウンデシル、7-メトキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサ-ウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサ-ノニル、14-メトキシ-5,10-オキサ-テトラデシル、5-エトキシ-3-オキサ-ペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサ-オクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサ-ウンデシル、7-エトキシ-4-オキサ-ヘプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサ-ウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサ-ペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサ-ノニルまたは14-エトキシ-5,10-オキサ-テトラデシルを含む。
【0136】
基RおよびRについて、好ましいC~C12シクロアルキル基は、5~12個の炭素原子を有する非置換または少なくとも一置換の飽和シクロアルキル基を含み、このシクロアルキル基は、場合によって1個以上の酸素原子および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1個以上の非置換もしくは少なくとも一置換のイミノ基により中断されており、ここで、C~C12シクロアルキル基は、場合によって官能基および/またはハロゲン基により置換されていてもよい。
【0137】
好ましいC~C12シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イルまたはノルボルニルを含む。
【0138】
基RおよびRについて、好ましいC~C14アリール基は、6~14個の炭素原子を有する非置換または少なくとも一置換のアリール基を含み、ここで、C~C14アリール基は、場合によって官能基および/またはハロゲン基により置換されていてもよい。
【0139】
好ましいC~C14アリール基は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、α-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンゾヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニルまたはエトキシメチルフェニルを含む。
【0140】
基RおよびRは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヒドロキシエチル、2-シアノエチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(n-ブトキシカルボニル)エチル、ベンジル、アセチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび塩素から成る群より選択されることが好ましい。
【0141】
アニオン[A]n-は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、テトラクロロアルミン酸、ヘプタクロロジアルミン酸、テトラブロモアルミン酸、ヘプタブロモジアルミン酸、トリクロロ亜鉛酸、チオシアン酸、亜硝酸、硝酸、硫酸、硫酸水素、メチル硫酸、エチル硫酸、亜硫酸、亜硫酸水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トシル酸、デシルベンゼンスルホン酸、ジデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、酢酸、トリフルオロ酢酸、ホウ酸、テトラシアノホウ酸、ビス(オキサラト)ホウ酸、ビス(マロナト)ホウ酸、ビス(フタラト)ホウ酸、ビス(サリチラト)ホウ酸、テトラキス(ヒドロゲンスルファト)ホウ酸、テトラキス(メチルスルホナト)ホウ酸、炭酸、メチル炭酸、炭酸水素、ジシアンアミド、ビス(トリフルオロメチル)イミド酸およびビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸から成る群より選択されることが好ましい。
【0142】
アニオン[A]n-は、塩化物、テトラクロロアルミン酸、ヘプタクロロジアルミン酸、トリクロロ亜鉛酸、硫酸、硫酸水素、メチル硫酸、エチル硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トシル酸、デシルベンゼンスルホン酸、ジデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、酢酸、炭酸、メチル炭酸および炭酸水素から成る群より選択されることが特に好ましい。
【0143】
アニオン[A]n-は、塩化物およびテトラクロロアルミン酸から成る群より選択されることが極めて特に好ましい。
【0144】
少なくとも1つのイオン液体(IL)は、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1,2-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムクロリド、1-エチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジエチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジブチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチルテトラクロロアルミナート、1-エチル-2-メチルテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-メチルイミダゾリウムスルファート、1,2-ジメチルイミダゾリウムスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムスルファート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムスルファート、1-エチルイミダゾリウムスルファート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムスルファート、1,3-ジエチルイミダゾリウムスルファート、1-ブチルイミダゾリウムスルファート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムスルファート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムスルファート、1,3-ジブチルイミダゾリウムスルファート、1-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,2-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,3-ジエチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,3-ジブチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1,2-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-エチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート、1,3-ジエチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート、1,3-ジブチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1,2-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1,3-ジエチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1,3-ジブチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,2-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-エチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-メチルイミダゾリウムトシラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトシラート、1,3-ジメチルイミダゾリウムトシラート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムトシラート、1-エチルイミダゾリウムトシラート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムトシラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトシラート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトシラート、1,3-ジエチルイミダゾリウムトシラート、1-ブチルイミダゾリウムトシラート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムトシラート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトシラート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトシラート、1,3-ジブチルイミダゾリウムトシラート、1-メチルイミダゾリウムアセタート、1,2-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムアセタート、1-エチルイミダゾリウムアセタート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムアセタート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジエチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジブチルイミダゾリウムアセタート、1-メチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1,2-ジメチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-エチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-ブチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムカルボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-メチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1,2-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-エチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-エチル-2-メチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-ブチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナートおよび1,3-ジブチルイミダゾリウムヒドロゲンカルボナートから成る群より選択されることが好ましい。
【0145】
少なくとも1つのイオン液体(IL)は、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-エチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジエチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジブチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,3-ジエチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1,3-ジブチルイミダゾリウムヒドロゲンスルファート、1-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-メチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1-エチルイミダゾリウムアセタート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジエチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジブチルイミダゾリウムアセタート、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルカルボナート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルカルボナートおよび1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカルボナートから成る群より選択されることが特に好ましい。
【0146】
少なくとも1つのイオン液体(IL)は、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジエチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジブチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナートから成る群より選択されることが極めて特に好ましい。
【0147】
反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、成分(c)を好ましくは少なくとも50重量%含む。反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、成分(c)を、特に好ましくは少なくとも64重量%、極めて特に好ましくは少なくとも70重量%含む。
【0148】
さらに、反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、成分(c)を好ましくは最大90重量%含む。反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、成分(c)を、特に好ましくは最大84重量%、極めて特に好ましくは最大80重量%含む。反応混合物(R)中の全成分の総重量は、一般に100重量%になる。
【0149】
反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、成分(c)を好ましくは50~90重量%含む。反応混合物(R)は、反応混合物(R)の総重量を基準として、成分(c)を、特に好ましくは64~84重量%、極めて特に好ましくは70~80重量%含む。
【0150】
一実施形態において、成分(c)は、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジブチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナートから成る群より選択される少なくとも1つのイオン液体(IL)を、反応混合物(R)中の成分(c)の総重量を基準として、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも98重量%含む。
【0151】
さらなる好ましい実施形態において、成分(c)は、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジブチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジエチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1,3-ジブチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナートから成る群より選択される少なくとも1つのイオン液体(IL)から実質的に成る。
【0152】
本発明の文脈において、「から実質的に成る」という用語は、成分(c)が、反応混合物(R)中の成分(c)の総重量を基準として、イオン液体(IL)を少なくとも99重量%含むことと理解される。
【0153】
好ましい反応混合物(R)および特に好ましい反応混合物(R)は、本明細書に記載されているように、好ましい成分(a)、(b)および(c)それぞれまたは特に好ましい成分(a)、(b)および(c)それぞれを組み合わせることにより得られる。特に好ましい反応混合物(R)の例は、以下の表に示されており、ここで、成分(b)については、相応する二塩酸塩が一緒に開示されている:
【表1-1】
【表1-2】
【0154】
反応混合物(R)は、0~120℃の範囲、好適には35~100℃の範囲、特に好ましくは70~80℃の範囲の温度で反応させられて、アラミドを含む生成物混合物(PVG)になる。場合によって、この反応で生成される揮発性反応生成物、例えば塩化水素のようなハロゲン炭化水素は、例えば、負圧により、かつ/または不活性ガス、すなわち記載の条件で反応に関与しないガス、例えば窒素またはアルゴンのような希ガスで反応空間および/または反応混合物(R)を貫流することにより、または場合によって上記の塩基を添加することにより、反応空間から除去されることが好ましい。
【0155】
反応混合物(R)を生成物混合物(PVG)にする反応は、化学工業の一般的な装置、例えば、撹拌釜、スクリュー機(Schneckenmaschinen)、例えば押出成形機内で行われ得る。
【0156】
反応混合物(R)を生成物混合物(PVG)にする反応は、非連続的または連続的に行われ得る。
【0157】
反応混合物(R)を形成する成分(a)および(b)は、(希釈されていないという意味合いで)そのまま、原則として個別かつ順次、成分(c)に添加されることが一般的である。
【0158】
反応混合物(R)を生成物混合物(PVG)にする反応の十分に適切な変形形態において、成分(c)および(b)は、好適には撹拌しながら予め装入され、成分(a)は、好適には小分けして、成分(b)を基準として、所望の量で、通常は化学量論量またはわずかに過剰で、例えば0.5mol%の過剰で、この混合物に加えられる。成分(a)が小分けで添加される場合、小分け数は、例えば2~10である。
【0159】
反応混合物(R)を生成物混合物(PVG)にする反応の終了は、撹拌機のトルクがもはや上昇しないことから認識することが可能である。
【0160】
それから、生成物混合物(PVG)はさらに加工されて、より具体的には、例えばアラミドの単離による、例えば沈殿によるさらなる後処理なしでまたは後処理の後で、繊維、フィルムまたは成形体にされるが、好適には、特に繊維へとさらに加工される場合、さらなる後処理はない。
【0161】
生成物混合物(PVG)を繊維、フィルムまたは成形品にするさらなる加工は、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOへの変換が実質的にまだ起こらない温度Tで行われる。通常、Tは、0~100℃の範囲、好適には20~60℃の範囲にある。
【0162】
生成物混合物(PVG)を繊維にするさらなる加工は、通常、紡糸法を用いて、それに適した一般的な装置、例えばピストン紡糸設備(Kolbenspinnanlage)内で、ポリマー固有の一般的な温度で行われる。通常、下方に向かって垂直に紡糸が行われる。適切な紡糸口金は、144穴/100μmまたは64穴/150μmであり、L/D比は3:1である。紡糸において生じる圧力は、紡糸の境界条件、例えば、紡糸温度、口金の形状および寸法に強く依存し、通常、60~100barの範囲にある。生成物混合物(PVG)から得られる紡糸材料の吐出速度は、例えば、1~2m/分の範囲にある。通常形成されるフィラメント束は、原則として、1~100mmの範囲、例えば10~50mmの範囲のギャップ幅のエアギャップで、凝固浴に導かれる。これは、通常、脱塩水から成るが、使用される成分(c)(IL)の一部も含んでいてもよい。凝固浴の温度は、例えば20~30℃であり、凝固浴中での滞留時間は、例えば約40秒である。
【0163】
好ましい実施形態において、生成物混合物(PVG)から紡糸により得られるフィラメント束は、一般的な方法により延伸される。例えば、生成物混合物(PVG)から紡糸により得られるフィラメント束を延伸するために、この束が、偏向ローラ(Umlenkrolle)により凝固浴からゴデット上に導かれる。通常、その速度により、延伸比が決定される。生成物混合物(PVG)から紡糸により得られるフィラメント束の延伸率は、例えば20%~30%の範囲にある。それから、好ましい実施形態において、生成物混合物(PVG)から紡糸により得られるフィラメント束は、通常、溶媒残分または不純物を除去するために、60~100℃の範囲の温度に加熱された、例えば88~90℃に加熱された脱塩水浴に通される。
【0164】
通常、生成物混合物(PVG)から紡糸により得られるフィラメント束は、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOへの変換が実質的にまだ起こらない温度、例えば120℃で、例えば熱風チャネル(Heissluftkanal)内にて乾燥させられる。
【0165】
そのようにして得られた、アラミドからの繊維、フィルムおよび成形体、好適にはアラミドからの繊維およびフィルム、特にアラミドからの繊維は、250~500℃の範囲、好適には300~450℃の範囲の温度に加熱されることにより、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの繊維、フィルムおよび成形体になる。
【0166】
例えば、そのようにして得られた、アラミドからの繊維は、250~500℃の範囲、好適には300~450℃の範囲の温度に加熱されることにより、かつそれぞれ好適には延伸により、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの繊維になる。さらなる十分に適切な実施形態において、アラミドからの繊維は、可能なだけ高い延伸率で製造される。当業者であれば、延伸率が、多くの紡糸パラメーター、例えば紡糸温度に依存し、定量化が困難であることを知っている。例えば、ここでは、「可能なだけ高い延伸率」とは、これを上回った場合に、紡糸において比較的頻繁にフィラメントの引き裂きが生じることと理解される。
【0167】
本発明による方法により、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの繊維、フィルムおよび成形体が製造される。
【0168】
したがって、本発明のさらなる主題は、本発明による方法により製造される、ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの繊維、フィルムおよび成形体でもある。
【0169】
ポリベンザゾールポリマー(P)は、一般式(XIIa)、(XIIb)、(XIIc)、(XIId)、(XIIe)および/または(XIIf):
【化15-1】
【化15-2】
の繰り返し単位を有することが好ましい。
【0170】
好ましい実施形態において、ポリベンザゾールポリマー(P)は、一般式(XIIa)、(XIIb)、(XIIc)、(XIId)、(XIIe)および(XIIf)の繰り返し単位から成る群より選択される繰り返し単位を、ポリベンザゾールポリマー(P)の総重量を基準として、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%含む。
【0171】
特に好ましい実施形態において、ポリベンザゾールポリマー(P)は、一般式(XIIa)および(XIIb)の繰り返し単位から成る群より選択される繰り返し単位を、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%含む。
【0172】
この場合、一般式(XIIa)、(XIIb)、(XIIc)、(XIId)、(XIIe)および(XIIf)の繰り返し単位に関してここに記載されている重量の記述は、一般式(XIIa)、(XIIb)、(XIIc)、(XIId)、(XIIe)および(XIIf)の繰り返し単位の総重量を基準とする。
【0173】
さらなる特に好ましい実施形態において、ポリベンザゾールポリマー(P)は、一般式(XIIa)および(XIIb)の繰り返し単位から成る群より選択される繰り返し単位から実質的に成る。本発明の範囲において、「から実質的に成る」という用語は、ポリベンザゾールポリマー(P)が、一般式(XIIa)および(XIIb)の繰り返し単位から成る群より選択される繰り返し単位を、ポリベンザゾールポリマー(P)の総重量を基準として、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%含むことと理解される。
【0174】
さらなる特に好ましい実施形態において、ポリベンザゾールポリマー(P)は、一般式(XIla)、すなわちPBO、および(XIIb)、すなわちtrans-PBOの繰り返し単位から成る群より選択される繰り返し単位から成る。
【0175】
ポリベンザゾールポリマー(P)は、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール、すなわちPBOであることが特に好ましい。
【0176】
本発明による方法により得られるポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOは、一般に、3~40dl/g、好ましくは10~35dl/g、特に好ましくは15~30dl/gの粘度数を有する。粘度数の決定は、DIN EN ISO 1628-1に従って、メタンスルホン酸中にて25℃で行われる。
【0177】
ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの本発明による繊維、フィルムまたは成形体は、例えば硫黄含有酸またはリン含有酸の形態では、硫黄またはリンを実質的に含まない。この文脈において、「実質的にない」とは、通常、元素分析の検出限界未満の量、例えばリンの場合、例に記載の方法により決定されるように、100重量ppm未満を意味する。
【0178】
相応する硫黄含有酸またはリン含有酸は、一般に当業者に公知であり、特に、リン酸、ポリリン酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸およびクロロスルホン酸を含む。
【0179】
ポリベンザゾールポリマー(P)、例えばPBOからの本発明による方法により製造される繊維、フィルムおよび成形体は、多くの領域において、例えば、(i)ケーブル、ロープ、コードを製造するための、ガラス繊維を被覆するための、繊維強化ゴム材料、例えば乗り物のタイヤおよびコンベヤベルトを製造するための、繊維強化建材、例えばセメントまたはコンクリート、例えばスプレーコンクリート中の連続繊維または短繊維を製造するための、ディスクブレーキ用のブレーキライニングを製造するための、例えばガス濾過用不織布のための不織布材料を製造するための、例えば、防弾チョッキ用の、耐熱保護服用の、ヘルメットの層用の、電源ケーブルシース用の、例えば建物を修復および修理するためのテキスタイルコンクリートとしてのテキスタイル強化建材用のテキスタイルを製造するための繊維に、(ii)ガス分離のための熱的に安定な膜中の、プロトン伝導膜中の、電気光学装置中の、または発光ダイオード中のフィルムに、(iii)耐高温性ポリマー材料として成形体に使用することが可能である。
【0180】
実施例
以下の特性値を決定するために、以下の方法を用いた:
DIN EN ISO 5079に従った、繊維の引張強さおよび弾性率。
DIN EN ISO 1628-1に従った、メタンスルホン酸中にて25℃での粘度数。
以下に記載のリンの測定(方法MB 2018/05、BASF SE、Kompetenzzentrum Analytik):
リン含有試料の部分量0.2~0.3gを、320℃で、濃硫酸(約96重量%のHSO)、濃硝酸(約65重量%のHNO)および硫酸セシウム溶液(50gの硫酸セシウムCsSO(純度99.9)を水で溶解させて1000mlの体積にしたもの)により溶かす。得られた残留物を、混合酸(体積比2:1:1の濃硝酸+濃過塩素酸(約70重量%のHClO)+濃硫酸)により約160℃で処理する。余分な酸を蒸発除去し、残留物を、25体積%の塩酸(体積比3:1の濃塩酸(約36重量%のHCl)+水の混合物)および脱イオン水と一緒に沸騰および溶解させる。正確な体積を、逆計量(Rueckwaegung)および密度の計算により求める。得られた溶解溶液(Aufschlussloesung)中で、リンを原子発光分析(ICP-OES)により測定する。
マトリックスである溶解溶液および標準:約0.6mol/Lのc(HCl)、約0.2%の(m/v)CsSO
装置:ICP-OES分光計Agilent 5100。
測定条件:積分時間10秒、ジェネレータ1200W、噴霧機Conikal 1ml
スペクトル線(nm):P213,618;補正:Sc361,383nm(内部標準)、キャリブレーション:外部。
【0181】
1.生成物混合物(PVG)を製造するための一般的な実験手順
アンカースターラーと蒸留橋(Destillationsbruecke)とを備える750mlのダブルジャケットガラス反応器に、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(「BMIM-Cl」)を充填した。0.03%未満の含水量が達成(取り出されたアリコートのカールフィッシャー滴定による測定)されるまで、イオン液体(IL)を、130℃で、撹拌(100rpm)し、窒素を供給(60L/時間)しながら、減圧(50mbarの絶対圧)で乾燥させた。ILを75℃に温度調整した後に、4,6-ジアミノレゾルシノール二塩酸塩(IUPAC名4,6-ジアミノ-1,3-ジヒドロキシベンゼン二塩酸塩)(「DAR」)を添加し、均質な溶液が得られるまで一晩かけて撹拌した(約16時間)。続いて、テレフタル酸ジクロリド(「TSC」)を、撹拌(100rpm)しながら固体として5回に分けて添加し、ここで、前後の計量供給の間で、約15分空けた。これらの5つの計量供給物の総計量供給量は、使用されたDARの量を基準として、50、75、88、95、98mol%のTSCであった。反応ガスを、負圧(約50mbarの絶対圧)の窒素流(約90L/時間)により排出した。相応するTSC量(上記を参照)の5回目の計量供給の後に、撹拌機のトルクは、約80Ncmのトルクが達成されるまでゆっくりと上昇し、その際、撹拌速度は(約20rpmに)低下させた。トルクがそれ以上増加しなくなったら、さらなるTSCを添加し(したがって、6回の計量供給の総量は、DARの量を基準として100.1~100.6mol%に相当していた)、その結果、トルクが急速に増加した。撹拌速度をさらに低下させ(約10rpm)、トルクがそれ以上増加しなくなるまでこれをさらに撹拌した。最後に、混合物をさらに撹拌することなく減圧(約50mbar)で1時間にわたり保管し、溶液中に存在するガス包有物の量を減らすと、それにより、原則として、さらなる加工(例えば紡糸)が容易になる。反応容器を放圧して標準圧力(約1013mbar)にした後に、溶液のアリコートをレオロジー特性評価のために取り出した(特性評価を参照)。
【0182】
例V1~V3
【表2】
【0183】
特性評価
ポリマー溶液を、TA Instruments社、Newcastle(USA)のDHRタイプのレオメーターにおいて、それぞれ一定の温度で周波数スイープにより、レオロジー面で特性評価した。周波数は、1ディケードあたり10ポイントで、250~1rad/秒の間で対数的に等距離に分布していた。温度は、10Kずつ10℃~60℃の間で段階的に変化させた。温度調整システムとしては、窒素フラッシュされたアクリルガラス製のカバーを有する下側ペルチェプレートが、結露を回避するために用いられた(使用されるILの吸湿性の観点から必須)。上側プレートは、1mmのギャップ幅で直径25mmを有していた。もたらされた変形量は、一貫して10%であった。
【0184】
6回の等温周波数実験の結果から、各溶液について、マスター曲線が20℃の参照温度で得られた。Malcolm L. Williams、Robert F. LandelおよびJohn D. FerryのThe Temperature Dependence of Relaxation Mechanisms in Amorphous Polymers and Other Glass-forming Liquids, Journal of the American Chemical Society, 1955に従って、水平シフトファクターαを、WLF方程式にフィッティングさせた。
【0185】
log10α=-c(T-Tref)/(c+T-Tref
垂直シフトファクターbについては、
=Tref/T
により、温度のみ考慮し、
ここで、温度はすべて、ケルビンで記載されている。
【0186】
任意の、しかしながら固定の周波数での、損失ファクターtan(δ)と複素粘度|η|の値との間の相関関係が特定のプロセスウィンドウにある溶液が、紡糸に適していると評価された(tan(δ)/|η|約1、0.1rad/秒の場合、ここで、|η|=45000~90000Pas)。このプロセスウィンドウは、経験的に求められた。
【0187】
2.PVGでの紡糸実験:
紡糸装置としては、Fourne社のピストン紡糸設備が用いられる。実際の紡糸試験の前に、紡糸溶液を、できるだけ気泡を含まないように紡糸ピストンに送った。
【0188】
充填されたピストンをピストン紡糸設備内に組み込み、紡糸温度に加熱した(表2.1を参照)。口金としては、144穴100μmの口金または64穴150μmの口金を使用し、L/D比は3/1であった。下方に向かって垂直に紡糸を行った。ここで生じた圧力は、温度、溶液濃度、ピストン送り速度(Kolbenvorschubgeschwindigkeit)、使用される口金に強く依存していた。一般に、この圧力は、60~100barであった。紡糸材料の吐出速度は、1~2m/分であった。長さ10~100mmのエアギャップ(口金から凝固浴の端までの距離)にわたり、そのようにして形成されたフィラメント束を、約25℃の温度の脱塩水の凝固浴に導いた。偏向ローラにより、フィラメント束を浴からゴデット上に導いた。その速度により、延伸比が決定される。安定した紡糸実験は、20%および30%の延伸率で実現することができた。50%以上の延伸率での紡糸実験では、比較的頻繁に、繊維束中のフィラメントの引き裂きが起こった。凝固浴中での滞留時間は、約40秒であった。
【0189】
洗浄のために、繊維束を、88~90℃に加熱された脱塩水浴に通した。ここで、滞留時間は、約32秒であった。この場合、ゴデットを介して繊維を20%延伸させた。その後、繊維を、乾燥させるために、ゴデットを用いて120℃の熱風チャネルに通した。乾燥における滞留時間は、約34秒であった。そのようにして形成された繊維を、後者のゴデットから、100cNの予張力で、Oeriklon-Barmag(Wuff 6e)の張力制御ワインダー(tensionsgesteuerten Wickler)により巻き上げた。これらの結果は、以下の表2.1に記載されている。ここで、V-No.1、2、3は、表1.1に記載されているバッチを意味し、相応する紡糸実験A、B、Cにより、試料1A、1B、1C、2Aおよび3Aがもたらされ、これらを、3.1および3.2に示されているように、凝縮で使用した。
【0190】
【表3】
【0191】
3.1 PBO凝縮 No.1:
紡糸実験から得られた繊維を、窒素でパージされた炉に420℃で通した(炉の長さ3m、8つの加熱域)。材料の延伸は、巻き出しユニット内の糸ブレーキ(Fadenbremse)により達成された。ここで、定義された転がり抵抗が予め与えられていた。炉の出口で、ゴデットを介して糸を張力制御ワインダーに送った。安定した延伸率は20~30%であり、延伸率がこれよりも高いと、部分的にフィラメントの引き裂きが起こった。このプロセスにおける滞留時間は、約60分であった。これらの実験および結果は、表3.1.1に要約されている。
【0192】
【表4】
【0193】
ここには、様々な本発明によるアラミド繊維1B、1Cおよび2Aを用いた実験が示されており、ここで、1C-K1を除いて、延伸率をそれぞれ変化させた。表3.1.1から、例えば、本発明によるアラミド繊維の弾性率および引張強さが、凝縮後に、非常に大きく上昇する(見出し1B-K1、1B-K2の列および2A-K1~2A-K4の列)ことが分かる。
【0194】
さらに、すでに本発明によるアラミド繊維の製造においてより高い延伸率が用いられた場合(表2.1の1Bおよび1Cの列、「総延伸率」の行を比較)、これは、アラミド繊維をPBO繊維にする変換の間に同等の延伸率で得られたPBO繊維の特性(例えば、弾性率、引張強さ)に対して有利な影響を与えることが分かる(表3.1.1の1B-K2と1C-K1とを比較)。
【0195】
3.2 PBO凝縮 No.2:
これらの実験では、約60分の滞留時間を約10分に短縮した。繊維を、不活性ガス(N)でパージされた炉に通し(炉の長さ3m、6つの加熱域)、ここで、以下の加熱プログラム(HP)を使用した:
【表5】
【0196】
加熱域ごとの滞留時間は、総滞留時間の1/6であり、これは以下の表から分かる。材料の延伸は、2個のゴデット(1×炉の入口、1×炉の出口)の速度差により実現した。張力制御ワインダーにより、得られたPBO繊維を巻き上げた。安定した延伸率は20~30%であり、延伸率がこれよりも高いと、部分的にフィラメントの引き裂きが起こった。これらの実験および結果は、表3.2.1および3.2.2に要約されている。
【0197】
【表6】
【0198】
ここには、実験3A-K1~3A-K6が示されており、ここで、例えば、加熱プログラム(HP1、HP2)および/または総滞留時間は変化させ、延伸率は変化させなかった。表3.2.1から、例えば、本発明によるアラミド繊維の弾性率および引張強さ(見出し3Aの列)が、凝縮後に、非常に大きく上昇する(見出し3A-K1~3A-K6の列)ことが分かる。
【0199】
【表7】
【0200】
ここには、実験3A-K7~3A-K13が示されており、ここで、例えば、加熱プログラム(HP1、HP2)および/または総滞留時間を変化させ、延伸率をさらに変化させた。表3.2.2から、より高い延伸率により、例えば、本発明によるアラミド繊維の弾性率および引張強さ(見出し3Aの列)が、凝縮後に、さらに上昇する(見出し3A-K7~3A-K13の列)ことが分かる。
【0201】
4.加水分解およびアルカリ水溶液に対するPBO繊維の安定性に関する調査
4.1 加水分解
本発明によるPBO繊維、すなわち表3.1.1の1B-K2の加水分解を、市販のPBO繊維Zylon(登録商標)の技術データシート(PBO Fiber Zylon Technical Information, 2005, 1-18)に同様に挙げられている、以下に記載の条件に従って実施した。本発明によるPBO繊維を、80℃および80%の相対湿度で貯蔵し、様々な時間間隔の後に、引張強さをDIN EN ISO 5079に従って測定した。50日間の処理後に、引張強さの有意な劣化は確認できなかった(表4.1.1を比較)。それに比べ、PBO繊維Zylon(登録商標)ASは、前述のToyoboの技術データシートの情報によると、50日後に、引張強さを約30%失う。
【0202】
【表8】
【0203】
4.2 アルカリ安定性
本発明によるPBO繊維、すなわち表3.1.1の1B-K2のアルカリ安定性を、市販のPBO繊維Zylon(登録商標)の技術データシート(PBO Fiber Zylon Technical Information, 2005, 1-18)に同様に挙げられている、以下に記載の条件に従って実施した。本発明によるPBO繊維を、アルカリ水溶液(10重量%のNaOH)中にて80℃で貯蔵し、引張強さを100時間後に測定した。本発明によるPBO繊維の引張強さの損失が、初期強度の約8%だけであった一方で、PBO繊維Zylon(登録商標)ASは、前述のToyoboの技術データシートの情報によると、元々の引張強さの約70%を失う。
【0204】
4.3 UV安定性
本発明によるPBO繊維、すなわち表3.1.1の1B-K2のUV安定性を、類似した設計で市販のPBO繊維Zylon(登録商標)の技術データシート(PBO Fiber Zylon Technical Information, 2005, 1-18)に同様に挙げられている、以下に記載の条件に従って実施した。本発明によるPBO繊維を、キセノン実験室用耐候性装置内で、以下の条件に曝し、168時間後の引張強さを測定した:ランプの種類:キセノン320、線量42W/m、温度:30℃、相対湿度:60%、本発明によるPBO繊維の引張強さの損失が、初期強度の約9%だけであった一方で、PBO繊維Zylon(登録商標)ASは、元々の引張強さの約75%を失う。