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特許7350773吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20230919BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/15 356
A61F13/514 400
A61F13/514 310
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020555985
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2019042382
(87)【国際公開番号】W WO2020095762
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】201811324442.6
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】穆 沁一
(72)【発明者】
【氏名】柏木 政浩
(72)【発明者】
【氏名】蒋 維
(72)【発明者】
【氏名】馬 雪▲チィー▼
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3218590(JP,U)
【文献】特開2017-047004(JP,A)
【文献】特開2008-173505(JP,A)
【文献】特開2012-254283(JP,A)
【文献】特開2012-10807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する包装材と、を有する吸収性物品包装体であって、
前記吸収性物品包装体の外側から視認可能であり、前記吸収性物品の素材に関する情報を示す第1素材図柄と、
前記吸収性物品包装体が少なくとも一部展開された状態で視認可能であり、前記素材に関する情報を示す第2素材図柄と、
前記第2素材図柄と同時に視認可能であるか、又は、前記第2素材図柄が視認された後に前記吸収性物品包装体が更に展開された状態で視認可能な図柄であって、前記吸収性物品の肌側面側から視認可能に前記吸収性物品に設けられ、前記吸収性物品の特定の概念を想起させる想起図柄と、
有し、
前記包装材は、その幅方向に沿う2つの折り部において、前記吸収性物品を内包しつつ折り畳まれており、かつ、その長手方向の一方側の端を開封端とし、
前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも非肌側に位置する非肌側シートとを有し、
前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記包装材の前記長手方向の他方側の端から延出する前記非肌側シートの部位に設けられており、
前記想起図柄の少なくとも一部は、前記長手方向の最も一方側の前記折り部よりも一方側に設けられていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品包装体であって、
前記吸収性物品包装体の第1面に、前記第1素材図柄が設けられ、
前記吸収性物品包装体の第2面に、前記素材に関する情報を示す第3素材図柄が設けられていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品包装体であって、
前記第2面に前記包装材の開封端が設けられており、
前記第3素材図柄の面積は、前記第1素材図柄の面積よりも小さく、
前記第2素材図柄の面積は、前記第3素材図柄の面積よりも小さいことを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品包装体であって、
前記想起図柄の面積は、前記第2素材図柄の面積よりも大きいことを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項5】
請求項2から4の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記第2素材図柄の光沢度は、前記第1素材図柄の光沢度と前記第3素材図柄の光沢度の少なくとも一方よりも低いことを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項6】
吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する包装材と、を有する吸収性物品包装体であって、
前記吸収性物品包装体の外側から視認可能であり、前記吸収性物品の素材に関する情報を示す第1素材図柄と、
前記吸収性物品包装体が少なくとも一部展開された状態で視認可能であり、前記素材に関する情報を示す第2素材図柄と、
前記第2素材図柄と同時に視認可能であるか、又は、前記第2素材図柄が視認された後に前記吸収性物品包装体が更に展開された状態で視認可能な図柄であって、前記吸収性物品の肌側面側から視認可能に前記吸収性物品に設けられ、前記吸収性物品の特定の概念を想起させる想起図柄と、
を有し、
前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも非肌側に位置する非肌側シートと、一対のウィング部を有し、その幅方向の内側に前記一対のウィング部が折り返された状態で折り畳まれており、
前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記ウィング部における前記非肌側シートの部位に設けられており、
前記想起図柄は、折り返された前記ウィング部と重ならない位置に設けられていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記吸収性物品は、
前記吸収体よりも肌側に位置する肌側シートを有し、かつ、
前記吸収体と前記肌側シートとのうちの少なくとも一方が、その厚さ方向に窪んだ凹部を有し、
前記第1素材図柄、及び、前記第2素材図柄は、印刷で形成されており、
前記想起図柄は、前記凹部で形成されていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項8】
請求項7に記載の吸収性物品包装体であって、
前記想起図柄は、前記吸収性物品の幅方向に対して対称な形状であることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記吸収性物品包装体の外側からも、前記包装材を透かして視認可能であることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の吸収性物品包装体を内包する吸収性物品包装体のパッケージであって、
前記素材に関する情報を示す図柄と文字とのうちの、少なくとも一方を有することを特徴とする吸収性物品包装体のパッケージ。
【請求項11】
請求項1から9の何れか1項に記載の吸収性物品包装体を内包する吸収性物品包装体のパッケージであって、
前記吸収性物品の前記特定の概念を想起させる図柄と文字とのうちの、少なくとも一方を有することを特徴とする吸収性物品包装体のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品として、生理用ナプキン、パンティーライナー、及び吸収パッド等がある。特許文献1に開示された吸収性物品のように、着用者の肌に直接触れるトップシートにコットン繊維を用いて肌触りを向上させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-205143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、吸収性物品を構成する素材に工夫を施していても、そのことがユーザーに認識されないと、商品の特長部が実感されずに使用されてしまう恐れがある。
また、吸収性物品の使用時(排泄時や生理時)には憂鬱な気分になりやすい。そのため、「高級感がある」や「かわいい」等の商品コンセプト(吸収性物品の特定の概念)を、ユーザーに認識してもらい、そのコンセプトに共感して商品を使用してもらうことが、吸収性物品の前向きな使用に繋がり、重要である。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸収性物品の素材、及び、吸収性物品の特定の概念(商品コンセプト)を、ユーザーに認識してもらうことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する包装材と、を有する吸収性物品包装体であって、
前記吸収性物品包装体の外側から視認可能であり、前記吸収性物品の素材に関する情報を示す第1素材図柄と、
前記吸収性物品包装体が少なくとも一部展開された状態で視認可能であり、前記素材に関する情報を示す第2素材図柄と、
前記第2素材図柄と同時に視認可能であるか、又は、前記第2素材図柄が視認された後に前記吸収性物品包装体が更に展開された状態で視認可能な図柄であって、前記吸収性物品の肌側面側から視認可能に前記吸収性物品に設けられ、前記吸収性物品の特定の概念を想起させる想起図柄と、
有し、
前記包装材は、その幅方向に沿う2つの折り部において、前記吸収性物品を内包しつつ折り畳まれており、かつ、その長手方向の一方側の端を開封端とし、
前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも非肌側に位置する非肌側シートとを有し、
前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記包装材の前記長手方向の他方側の端から延出する前記非肌側シートの部位に設けられており、
前記想起図柄の少なくとも一部は、前記長手方向の最も一方側の前記折り部よりも一方側に設けられていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収性物品の素材、及び、吸収性物品の特定の概念(商品コンセプト)を、ユーザーに認識してもらうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】生理用ナプキン1を肌側から見た平面図である。
図2】ナプキン1を非肌側から見た平面図である。
図3図1中のA-A線におけるナプキン1の概略断面図である。
図4】包装材30の外側面を示す図である。
図5図5Aは吸収性物品包装体40の開封面を示す図であり、図5Bは吸収性物品40の反開封面を示す図である。
図6】第1折り部F1が展開された吸収性物品包装体40を示す図である。
図7】第2折り部F2が展開された吸収性物品包装体40を示す図である。
図8】第1折り部F1の展開途中を示す図である。
図9】吸収性物品包装体40の変形例の説明図である。
図10】吸収性物品包装体40の変形例の説明図である。
図11】吸収性物品包装体40の変形例の説明図である。
図12】吸収性物品包装体40の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する包装材と、を有する吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品包装体の外側から視認可能であり、前記吸収性物品の素材に関する情報を示す第1素材図柄と、前記吸収性物品包装体が少なくとも一部展開された状態で視認可能であり、前記素材に関する情報を示す第2素材図柄と、前記第2素材図柄と同時に視認可能であるか、又は、前記第2素材図柄が視認された後に前記吸収性物品包装体が更に展開された状態で視認可能な図柄であって、前記吸収性物品の肌側面側から視認可能に前記吸収性物品に設けられ、前記吸収性物品の特定の概念を想起させる想起図柄と、を有することを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0010】
このような吸収性物品包装体によれば、素材図柄が複数回視認されるので、素材図柄がユーザーの印象に残りやすく、吸収性物品の素材をユーザーに認識してもらうことができる。また、吸収性物品が展開された状態や、吸収性物品が包装材から剥がされて使用される状態で、想起図柄が視認されるので、想起図柄がユーザーの印象に残りやすく、吸収性物品の特定の概念をユーザーに認識してもらうことができる。
【0011】
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品包装体の第1面に、前記第1素材図柄が設けられ、前記吸収性物品包装体の第2面に、前記素材に関する情報を示す第3素材図柄が設けられていること。
【0012】
このような吸収性物品包装体によれば、素材図柄が視認される回数が増えるため、素材図柄がユーザーの印象に残りやすく、吸収性物品の素材をユーザーに認識してもらうことができる。
【0013】
かかる吸収性物品包装体であって、前記第2面に前記包装材の開封端が設けられており、前記第3素材図柄の面積は、前記第1素材図柄の面積よりも小さく、前記第2素材図柄の面積は、前記第3素材図柄の面積よりも小さいこと。
【0014】
このような吸収性物品包装体によれば、ユーザーに視認される順番にしたがって素材図柄の面積が小さくなるため、ユーザーの意識が素材図柄から想起図柄に移りやすい。よって、想起図柄がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0015】
かかる吸収性物品包装体であって、前記想起図柄の面積は、前記第2素材図柄の面積よりも大きいこと。
【0016】
このような吸収性物品包装体によれば、想起図柄がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0017】
かかる吸収性物品包装体であって、前記第2素材図柄の光沢度は、前記第1素材図柄の光沢度と前記第3素材図柄の光沢度の少なくとも一方よりも低いこと。
【0018】
このような吸収性物品包装体によれば、第1素材図柄及び第3素材図柄に比べて、第2素材図柄が目立ち難くなるため、ユーザーの意識が素材図柄から想起図柄に移りやすい。よって、想起図柄がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0019】
かかる吸収性物品包装体であって、前記包装材は、その幅方向に沿う2つの折り部において、前記吸収性物品を内包しつつ折り畳まれており、かつ、その長手方向の一方側の端を開封端とし、前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも非肌側に位置する非肌側シートとを有し、前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記包装材の前記長手方向の他方側の端から延出する前記非肌側シートの部位に設けられており、前記想起図柄の少なくとも一部は、前記長手方向の最も一方側の前記折り部よりも一方側に設けられていること。
【0020】
このような吸収性物品包装体によれば、最初に展開された状態で、第2素材図柄、及び、想起図柄が同時に視認されるため、両図柄がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0021】
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも非肌側に位置する非肌側シートと、一対のウィング部を有し、その幅方向の内側に前記一対のウィング部が折り返された状態で折り畳まれており、前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記ウィング部における前記非肌側シートの部位に設けられており、前記想起図柄は、折り返された前記ウィング部と重ならない位置に設けられていること。
【0022】
このような吸収性物品包装体によれば、展開状態で、第2素材図柄、及び、想起図柄が同時に視認されるため、両図柄がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0023】
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも肌側に位置する肌側シートとを有し、かつ、前記吸収体と前記肌側シートとのうちの少なくとも一方が、その厚さ方向に窪んだ凹部を有し、前記第1素材図柄、及び、前記第2素材図柄は、印刷で形成されており、前記想起図柄は、前記凹部で形成されていること。
【0024】
このような吸収性物品包装体によれば、素材図柄と想起図柄の2種類の図柄があることをユーザーに認識してもらうことができる。
【0025】
かかる吸収性物品包装体であって、前記想起図柄は、前記吸収性物品の幅方向に対して対称な形状であること。
【0026】
このような吸収性物品包装体によれば、吸収性物品の幅方向の一方側と他方側とで、凹部による性能差が生じてしまうことを抑制できる。
【0027】
かかる吸収性物品包装体であって、前記第2素材図柄の少なくとも一部は、前記吸収性物品包装体の外側からも、前記包装材を透かして視認可能であること。
【0028】
このような吸収性物品包装体によれば、吸収性物品の外側からより多くの素材図柄が視認されるため、素材図柄がユーザーの印象に残りやすく、吸収性物品の素材をユーザーに認識してもらうことができる。
【0029】
かかる吸収性物品包装体を内包する吸収性物品包装体のパッケージであって、前記素材に関する情報を示す図柄と文字とのうちの、少なくとも一方を有することを特徴とする吸収性物品包装体のパッケージである。
【0030】
このような吸収性物品包装体のパッケージによれば、パッケージを見たユーザーの潜在意識に、吸収性物品の素材に関する情報が刷り込まれる。よって、吸収性物品包装体の使用時に、吸収性物品の素材をユーザーにより認識してもらうことができる。
【0031】
かかる吸収性物品包装体を内包する吸収性物品包装体のパッケージであって、前記吸収性物品の前記特定の概念を想起させる図柄と文字とのうちの、少なくとも一方を有すること。
【0032】
このような吸収性物品包装体のパッケージによれば、パッケージを見たユーザーの潜在意識に、吸収性物品の特定の概念(商品コンセプト)が刷り込まれる。よって、吸収性物品包装体の使用時に、吸収性物品の特定の概念をユーザーにより認識してもらうことができる。
【0033】
===実施形態===
以下、本発明に係る吸収性物品として生理用ナプキンを例に挙げて実施形態を説明する。ただし、吸収性物品は包装材に内包されるものであればよく、パンティーライナー、軽失禁用パッド、生理用ショーツ、使い捨ておむつ、吸収パッド等の吸収性物品であってもよい。
【0034】
<<生理用ナプキン1の基本構成>>
図1は、生理用ナプキン1(以下「ナプキン」という)を肌側から見た平面図である。図2は、ナプキン1を非肌側から見た平面図である。図3は、図1中のA-A線におけるナプキン1の概略断面図である。
【0035】
ナプキン1は、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を有する。ナプキン1の長手方向において、使用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、使用者の臀部に当接する側を「後側」という。また、ナプキン1の厚さ方向において、使用者の肌に当接する側を「肌側」といい、その反対側を「非肌側」という。ナプキン1は、長手方向の中央部から幅方向の両外側に延出した一対のウィング部1Wを有している。
【0036】
また、ナプキン1の幅方向の中央部には、トップシート2、中間シート3、吸収体10、バックシート4、ウィングシート5、及びサイドシート6を有している。厚さ方向の肌側から順に、トップシート2、中間シート3、吸収体10及びバックシート4が積層されており、サイドシート6は、トップシート2の肌側面の幅方向の端部から吸収体10の非肌側面の幅方向の端部に亘って配置されている。つまり、サイドシート6は、それぞれ各部材2、3、10を厚さ方向に挟むように配置されている。トップシート2、中間シート3、吸収体10、バックシート4、ウィングシート5、及びサイドシート6はそれぞれホットメルト接着剤等の接着剤(不図示)を用いて接合固定されている。
【0037】
トップシート2は、液透過性のシート部材であり、綿のシートを例示できる。中間シート3は、液透過性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。ウィングシート5及びサイドシート6は、それぞれ疎水性のシート部材であり、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等を例示できる。バックシート4は、液不透過性のシート部材であり、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等を例示できる。バックシート4は、平面サイズが吸収体10よりも大きく、吸収体10の平面全体を覆っている。なお、ナプキン1は中間シート3を有していなくてもよい。
【0038】
ウィング部1Wは、吸収体10よりも非肌側において、トップシート2等の幅方向の両側部から外側に延出しているウィングシート5及びバックシート4によって形成されている。
【0039】
吸収体10は、排泄物を吸収して内部に保持する部材である。図3に示すように、吸収体10は、吸収性コア11と、吸収性コア11を覆うカバーシート12とを有している。吸収性コア11は、液体吸収性繊維であるパルプ繊維やセルロース系吸収性繊維等に、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー(所謂SAP)等が加えられ、所定の形状に成形されたものである。カバーシート12は、液透過性のシートであり、ティッシュ等を例示できる。
【0040】
ナプキン1の非肌側面(つまり、バックシート4の非肌側面)には、接着剤が塗布される等した中央粘着部8が設けられている。中央粘着部8は、図2では長手方向に長辺を有する長方形状の11個の中央粘着部8が幅方向に間隔を空けて配置されているが、中央粘着部8の形状、数、及び配置はこれに限られない。中央粘着部8がナプキン1の使用時に下着等の着衣の肌側面に貼り付けられることで、ナプキン1は下着等に固定される。
【0041】
同様に、各ウィング部1Wの厚さ方向の非肌側面(バックシート4の非肌側面)には、ウィング粘着部9が設けられている。ウィング粘着部9は、図2では、長手方向に長辺を有する長方形状の4個のウィング粘着部9が幅方向に間隔を空けて配置されているが、ウィング粘着部9の形状、数、及び配置はこれに限られない。ナプキン1の使用時にウィング部1Wは非肌側に折り曲げられ、ウィング粘着部9は、下着等の非肌側面に張り付けられる。これにより、ウィング部1Wは下着等に固定される。
【0042】
また、ナプキン1は、厚さ方向に窪んだ線状圧縮凹部20を有している。線状圧縮凹部20は、複数の点状圧縮凹部21が間隔を空けて線状に並ぶことにより構成されており、全体として長手方向に長い略環状を成している。点状圧縮凹部21では、トップシート2の肌側面側からトップシート2、中間シート3、及び吸収体10(一部又は全部)が厚さ方向に圧縮されており、各部材2、3、10が接合一体化されている。
【0043】
なお、線状圧縮凹部20は、ナプキン1の肌側面側から視認可能であればよく、例えば、吸収体10のみが圧縮されていてもよいし、吸収体10よりも肌側に位置する肌側シート(すなわちトップシート2及び中間シート3の少なくとも一方)のみが圧縮されていてもよいし、吸収体10等がバックシート4側から圧縮されていてもよい。また、線状圧縮凹部20は、連続した溝状の凹部であってもよい。
【0044】
また、線状圧縮凹部20(点状圧縮凹部21)では、周囲に比べてナプキン1の厚みが薄く、ナプキン1の繊維密度が高くなっている。これらの比較は周知の方法で行うとよい。ナプキン1の厚みの比較としては、目視で比較する方法や、ミツトヨ(株)製のダイアルシックネスゲージID-C1012C又はそれと同等のものを使用し、対象部位を例えば
3.0gf/cm2で加圧して測定した値を取得して比較する方法を例示できる。ナプキン1の密度の比較としては、ナプキン1を厚さ方向に切った断面を電子顕微鏡等で拡大した画像に基づき比較する方法を例示できる。
【0045】
<<包装材30について>>
図4は、包装材30の外側面を示す図である。すなわち、ナプキン1を包装材30で包装した吸収性物品包装体40(後述)の外側から視認される面を示す図である。
【0046】
包装材30は、長方形状であるシート状の部材であり、長手方向及び幅方向を有する。包装材30は、樹脂製フィルム、不織布、紙、及びこれらをラミネートにより複合したもの等を例示できる。
【0047】
吸収性物品包装体40において、包装材30の長手方向の一方側の端30aが他方側の端30bよりも外側に位置するように、包装材30は折り畳まれる。すなわち、包装材30の長手方向の一方側の端が開封端30aとなる。包装材30の長手方向の一方側の端部には、包装材30の開封端30aを止着する止着テープ31が設けられている。止着テープ31は、その一部が包装材30の長手方向の外側に延出するように、包装材30の外側面に接着剤等で固定されている。なお、包装材30に止着テープ31が設けられていなくてもよい。
【0048】
<<吸収性物品包装体40について>>
図5Aは、吸収性物品包装体40の開封面30Aを示す図であり、図5Bは、吸収性物品40の反開封面30Bを示す図である。図6は、第1折り部F1が展開された吸収性物品包装体40を示す図である。図7は、図6から第2折り部F2が展開された吸収性物品包装体40を示す図である。
【0049】
吸収性物品包装体40は、包装材30によってナプキン1が個別に包装されたものである。吸収性物品包装体40では、図7に示すように、包装材30の内側面上に、ナプキン1がその肌側面を上にして配置されている。包装材30の長手方向がナプキン1の長手方向に沿い、包装材30の幅方向がナプキン1の幅方向に沿っている。また、包装材30の開封端30a側が、ナプキン1の前側に対応している。
【0050】
本実施形態の吸収性物品包装体40では、包装材30が、ナプキン1と共にナプキン1の肌側面を内側にし、幅方向に沿う2つの折り部F1,F2において、折り畳まれている。説明のため、長手方向の最も一方側(開封端30a側)の折り部を第1折り部F1といい、第1折り部F1よりも長手方向の他方側の折り部を第2折り部F2という。
【0051】
なお、折り部の数は2つに限らず、1つでも3つ以上であってもよい。また、幅方向に沿う折り部だけでなく、長手方向に沿う折り部において、包装材30が折り畳まれていてもよい。また、包装材30とナプキン1が個別に折り畳まれていてもよい。すなわち折り畳まれているナプキン1を内包するように、包装材30が折り畳まれていてもよい。
【0052】
また、吸収性物品包装体40では、図5A及び図5Bに示すように、包装材30の幅方向の両側端部が接合されて、接合部41が形成されている。接合部41における接合方法は、ヒートシール、超音波シール、接着剤、これらの組み合わせ等、周知の接合方法を例示できる。
【0053】
ユーザーに止着テープ31が把持されて、第1折り部F1での折りが展開されると、図6の状態になる。更に、第2折り部F2での折りが展開されると、図7の状態となる。ナプキン1は、ウィング部1Wが幅方向の内側に折り返された状態で、包装材30の内側面上に配置されている。ウィング粘着部9上には剥離シート42が配置される。この剥離シート42は、包装材30と分離可能であり、図7の展開状態でユーザーが剥離する形態であってもよいし、包装材30に接合されており、吸収性物品包装体40の展開時に剥離される形態(不図示)であってもよい。また、包装材30の内側面には、ナプキン1の中央粘着部8と対向する部分において、剥離シート43(図2参照)が設けられており、ナプキン1は剥離シート43を介して包装材30の内側面上に配置されている。
【0054】
===吸収性物品包装体40の図柄について===
図8は、第1折り部F1の展開途中を示す図である。図9図10A図10B図11A、及び図11Bは、吸収性物品包装体40の変形例の説明図である。
【0055】
本実施形態のナプキン1では、トップシート2を綿のシートとしている。なお、100%の綿からなるシート部材に限らず、例えば、綿とエアスルー不織布の混合シートであってもよい。トップシート2は、着用中において着用者の肌に直接接触する部分である。そのため、トップシート2に天然繊維である綿を用いることで、着用者の肌への刺激を軽減し、着用者の肌に痒みやかぶれ等が起こる恐れを軽減できる。
【0056】
このように、ナプキン1を構成する素材に安全な物を使用する等して、工夫を施していても、そのことがユーザーに認識されないと、商品の特長部が実感されずに使用されてしまう恐れがある。そのため、ナプキン1の素材を、ユーザーに認識してもらうことが重要である。
【0057】
また、トップシート2を綿のシートにすることで、ナプキン1は、安全な素材を使用した高級感のある商品という印象となる。視覚的にも、トップシート2を綿のシートにすることで柔らかそうな印象となり、高級感が高まる。
【0058】
ナプキン1のユーザーは、生理期において憂鬱な気分になりやすく、ナプキン1に対してネガティブな印象を持ちやすい。そのため、「高級感がある」等の商品コンセプト(すなわち吸収性物品の特定の概念)に共感して商品を使用してもらうことで、ナプキン1に対するネガティブな印象を軽減でき、ナプキン1の前向きな使用に繋がる。そのため、ナプキン1の商品コンセプトを、ユーザーに認識してもらうことが重要である。
【0059】
そこで、吸収性物品包装体40は、例えば図5Bに示すように、吸収性物品包装体40の外側から視認可能であり、ナプキン1の素材に関する情報を示す素材図柄51(第1素材図柄)を有する。本実施形態のナプキン1を構成する素材の1つが「綿」であるため、綿花を表した図柄を素材図柄51とする。
【0060】
また、吸収性物品包装体40は、図6図7に示すように、吸収性物品包装体40が少なくとも一部展開された状態で視認可能であり、包装材30の素材図柄51と同じ素材(綿)に関する情報を示す素材図柄52(第2素材図柄)を有する。すなわち、綿花を表した素材図柄52を有する。本実施形態では、バックシート4に素材図柄52が印刷されているとする。
【0061】
さらに、ナプキン1には、ナプキン1の肌側面側から視認可能であり、ナプキン1の商品コンセプト(吸収性物品の特定の概念)を想起させる想起図柄54が設けられている。本実施形態のナプキン1の商品コンセプトは「高級感」である。そのため、高級感がイメージされやすい王冠の図柄を想起図柄54とする。この想起図柄54は、線状圧縮凹部20の一部が王冠の形状を成すことで形成されている。
【0062】
想起図柄54は、吸収性物品包装体40の展開後に視認されるバックシート4の素材図柄52と同時に視認可能であるか、又は、バックシート4の素材図柄52が視認された後に吸収性物品包装体40が更に展開された状態で視認可能であるとする。図6図7では、バックシート4の素材図柄52と同時に想起図柄54が視認可能となっている。
【0063】
このような吸収性物品包装体40によれば、ユーザーは、吸収性物品包装体40を開封、展開する前に素材図柄51(図5B参照)を少なくとも1回視認し、吸収性物品包装体40の展開後にも、素材図柄52(図6図7参照)を視認することになる。つまり、ユーザーは、素材図柄51,52を複数回視認することになる。そのため、刷り込み効果によって、素材図柄51,52がユーザーの印象に残りやすく、ナプキン1に綿が使用されていることをユーザーに認識してもらうことができる。よって、ユーザーは、商品の特長部(安全な素材を使用した柔らかい製品であること)を実感しながら、ナプキン1を使用できる。
【0064】
一方、想起図柄54は、バックシート4の素材図柄52と同時に、又は、バックシート4の素材図柄52が視認された後に視認される。また、想起図柄54は、ナプキン1に設けられているため、包装材30からナプキン1を取り外して下着に装着する際にも視認される。つまり、ユーザーは、想起図柄54を最後に視認することになる。そのため、親近効果によって、想起図柄54がユーザーの印象に残りやすく、ナプキン1の商品コンセプトである高級感をユーザーに認識してもらうことができる。よって、ユーザーは、高級感のあるナプキン1を使用していることを認識したり、自ら共感して選択した商品コンセプトを再認識したりすることができ、ナプキン1に対するネガティブな印象や生理期の憂鬱な気分を軽減できる。
【0065】
このように本実施形態の吸収性物品包装体40によれば、ナプキン1の素材、及び、ナプキン1の特定の概念(商品コンセプト)を、ユーザーに認識してもらうことができる。
【0066】
また、図5Aに示すように、吸収性物品包装体40の開封面40A(第2面)、すなわち、包装材30の開封端30a及び止着テープ31が設けられた面にも、ナプキン1の素材(綿)に関する情報を示す素材図柄53(第3素材図柄)が設けられ、図5Bに示すように、吸収性物品包装体40の反開封面40B(第1面)にも、同じ素材(綿)に関する情報を示す素材図柄51が設けられていることが好ましい。
【0067】
そうすることで、ユーザーは、吸収性物品包装体40を開封、展開する前に素材図柄51、53を2回視認し、吸収性物品包装体40の展開後にも素材図柄52を視認することになる。すなわち、ユーザーは素材図柄51~53を3回以上視認することになり、素材図柄51~53の刷り込み効果が高まる。そのため、ナプキン1に綿が使用されていることを、より確実にユーザーに認識してもらうことができる。ただし、上記に限定されず、吸収性物品包装体40の開封面40Aと反開封面40Bの片方に素材図柄51,53(第1素材図柄)が設けられていてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、吸収性物品包装体40の外側から視認可能な第1素材図柄51及び第3素材図柄53は、包装材30(外側面と内側面の少なくとも一方)に印刷されているとする。ただし、上記に限定されず、第1素材図柄及び第3素材図柄は、例えば、ナプキン1の非肌側面の中央粘着部8(図2)を覆う剥離シート43に印刷されており、包装材30を透かして視認可能であってもよい。
【0069】
また、吸収性物品包装体40の展開後に視認可能な第2素材図柄52は、バックシート4に印刷されている。ただし、上記に限定されず、第2素材図柄は、吸収体10よりも非肌側に位置する非肌側シート(例えばウィングシート5)に印刷されていてもよいし、包装材30の内側面側から視認可能に包装材30に印刷されていてもよいし、ナプキン1の中央粘着部8を覆う剥離シート43やウィング粘着部9を覆う剥離シート42に印刷されていてもよい。
【0070】
また、第1~第3素材図柄51~53は、ナプキン1の同じ素材(綿)に関する情報を示す図柄であればよく、異なる形状であってもよいし、同一形状又は相似形状であってもよい。また、第1~第3素材図柄51~53の数はそれぞれ1つであっても複数であってもよい。また、第1~第3素材図柄51~53は、印刷で形成されるものに限らず、着色されずに、凹凸パターンで形成されていてもよい。
【0071】
また、第1~第3素材図柄51~53の一例として、綿の図柄を例示しているがこれに限らない。例えば、ナプキン1の素材(冷感材料)として、ミント成分と同じ成分を使用する場合には、図11Aに示すように、ミントの図柄58を素材図柄としてもよい。また、ナプキン1の素材に絹の繊維を使用する場合には、繭の図柄を素材図柄としてもよい。
また、ナプキン1の素材に漢方成分を使用する場合には、その漢方成分の生薬の図柄を素材図柄としてもよい。
【0072】
また、想起図柄54は、ナプキン1の肌側面側から視認可能にナプキン1に設けられていればよく、線状圧縮凹部20で形成するに限らない。例えば、想起図柄54は、トップシート2や中間シート3や吸収体10に印刷されていてもよいし、ナプキン1の周縁部1A(図1参照)や幅方向の両側部1Bに凹凸パターン(溶着パターン)で形成されていてもよい。
【0073】
また、想起図柄54の一例として、王冠の図柄を例示しているがこれに限らない。例えば、「かわいい」をナプキン1の特定の概念とする場合、「かわいい」という概念を想起させる想起図柄として、ハートや動物(猫)の図柄等を例示できる。また、「涼しい(蒸れ難い)」をナプキン1の特定の概念とする場合、「涼しい」という概念を想起させる想起図柄として、図11Bに示すように雪の結晶の図柄等を例示できる。
【0074】
また、第1~第3素材図柄51~53は、ナプキン1の素材に関する情報を示す図柄と文字(「綿」や「Cotton」等)の組み合わせであってもよい。同様に、想起図柄54は、ナプキン1の特定の概念を想起させる図柄と文字(例えば「高級感」)の組み合わせであってもよい。また、吸収性物品包装体40は、第1~第3素材図柄51~53及び想起図柄54以外の図柄、例えば図4に示す包装材30の背景図柄55a~55cや、図7に示すハート形状の線状圧縮凹部20A等を有していてもよい。
【0075】
また、本実施形態の吸収性物品包装体40は、第1折り部F1及び第2折り部F2において3つ折りされている。この場合、図6に示すように、包装材30の長手方向の他方側の端30b(開封端30aとは反対側の端)から延出するバックシート4の部位に、素材図柄52の少なくとも一部が設けられているとよい。また、想起図柄54の少なくとも一部は、第1折り部F1よりも長手方向の一方側(開封端30a側)に設けられているとよい。
【0076】
そうすることで、最初に展開される第1折り部F1が展開された状態で(図6)、バックシート4の素材図柄52と、ナプキン1の想起図柄54とが、同時に視認される。そのため、両図柄52、54がユーザーの印象に残りやすく、ナプキン1の素材(綿)及びナプキン1の特定の概念(高級感)をユーザーに認識してもらうことができる。
【0077】
また、図8に示すように、第1折り部F1の展開途中に、まず、バックシート4の素材図柄52が視認される。つまり、包装材30の素材図柄51、53の次に、バックシート4の素材図柄52が視認されるため、素材図柄51~52の刷り込み効果が高まる。また、バックシート4の素材図柄52の後に想起図柄54が視認されるため、想起図柄54の親近効果が高まる。そのため、両図柄52、54がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0078】
また、ナプキン1が一対のウィング部1Wを有し、一対のウィング部1Wがナプキン1の幅方向の内側に折り返された状態で、吸収性物品包装体40が折り畳まれている場合、図7に示すように、ウィング部1Wにおけるバックシート4の部位に、素材図柄52の少なくとも一部が設けられているとよい。また、想起図柄54は、折り返されたウィング部1Wと重ならない位置に設けられているとよい。
【0079】
そうすることで、全ての折り部F1、F2が展開された状態で(図7)、バックシート4の素材図柄52と、ナプキン1の想起図柄54とが、同時に視認される。そのため、両図柄52、54がユーザーの印象に残りやすくなる。なお、長手方向におけるウィング部1Wの端は、ナプキン1の外形輪郭に沿う接線の傾きが、幅方向の内側に傾斜するように変化し始める位置とする。
【0080】
また、図6図7の状態で視認されるバックシート4の素材図柄52は、一部欠けていてもよく、綿花を表していることが分かればよい。また、図6図7の状態の何れか一方の状態で、バックシート4の素材図柄52と想起図柄54とが視認される形態でもよい。すなわち、ナプキン1が包装材30の端30bから延出していなくてもよく、ナプキン1がウィング部1Wを有していなくてもよい。また、ナプキン1がウィング部1Wを有していなくとも、ナプキン1の幅が広い場合には、図7に示すようにナプキン1の幅方向の両側部1Cを折り返した状態で包装し、その折り返した部位1Cのバックシート4に素材図柄52を設けるとよい。そうすることで、吸収性物品包装体40が展開された状態で素材図柄52が視認可能となる。
【0081】
また、ユーザーがウィング部1Wの剥離シート42を剥離する場合、剥離シート42を透かしてウィング部1Wの素材図柄52が視認可能であることが好ましい。そうすることで、全ての折り部F1、F2が展開された状態で、バックシート4の素材図柄52が視認され、素材図柄52がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0082】
その他、例えば、図11A及び図11Bに示すように、第2折り部F2よりも長手方向の他方側に、想起図柄54を設けてもよい。また、図11A及び図11Bに示すナプキン1はウィング部を有さない。この場合、ユーザーは、第1折り部F1を展開した状態で、包装材30から延出するバックシート4の素材図柄58(ミント)を視認し、その後、吸収性物品包装体40を更に展開した状態で想起図柄59(雪の結晶)を視認することになる。この場合にも、刷り込み効果により素材図柄58がユーザーの印象に残りやすく、親近効果により想起図柄59がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0083】
また、バックシート4の素材図柄52は、図2に示すように、ナプキン1の非肌側面の中央粘着部8と重なる位置にも設けられていることが好ましい。そうすることで、ユーザーが包装材30からナプキン1を剥がす際にも、バックシート4の素材図柄52が再度視認されやすく、素材図柄52がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0084】
また、吸収性物品包装体40の開封面40Aの素材図柄53(図5A)の面積は、反開封面40Bの素材図柄51(図5B)の面積よりも小さく、バックシート4の素材図柄52の面積(図6図7)は、開封面40Aの素材図柄53の面積よりも小さいことが好ましい。
【0085】
ユーザーが吸収性物品包装体40を開封する際に視認される図柄の順番は、反開封面40Bの素材図柄51、開封面40Aの素材図柄53、バックシート4の素材図柄52の順番となる。そのため、上記の面積関係にすることで、ユーザーに視認される素材図柄51~53の面積を徐々に小さくすることができ、ユーザーの意識が素材図柄51~53から想起図柄54に移りやすくなる。そのため、想起図柄54は、最後に1回視認されるだけであっても、ユーザーの印象に残りやすくなる。よって、ナプキン1の特定の概念(商品コンセプト)をユーザーに認識してもらうことができる。
【0086】
さらに、想起図柄54の面積は、バックシート4の素材図柄52の面積よりも大きいことが好ましい。そうすることで、想起図柄54は、最後に1回視認されるだけであっても、ユーザーの印象に残りやすくなる。
【0087】
なお、吸収性物品包装体40が、バックシート4の素材図柄52のように第2素材図柄を複数有する場合、複数の第2素材図柄のうちの少なくとも1つの面積が、開封面40Aの素材図柄53の面積よりも小さければよいとする。また、想起図柄54の面積は、複数の第2素材図柄のうちの少なくとも1つの面積よりも大きければよいとする。
【0088】
また、図柄の面積の比較は、周知の方法で行うとよい。例えば、目視により比較してもよい。また、図4図6に示すように、図柄51~54の幅方向の両端を通る長手方向に沿う線と、図柄51~54の長手方向の両端を通る幅方向に沿う線とで囲まれる矩形領域R1~R4の面積で比較してもよい。その他、面積算出プログラムを利用して、図柄51~54の輪郭に沿う図面の面積を算出して比較してもよい。また、バックシート4の素材図柄52のように、大きさの異なる複数の図柄が存在する場合、想起図柄54と同時に視認される複数の素材図柄52(図6図7参照)の何れか1つ、又は、想起図柄54の前に視認される複数の素材図柄の何れか1つと比較するとよい。
【0089】
また、本実施形態の吸収性物品包装体40の商品コンセプトは高級感である。そのため、開封面40Aの素材図柄53と反開封面40Bの素材図柄51との少なくとも一方を、比較的に光沢度の高い図柄としてもよい。例えば、金属粒子(例えばアルミ粒子や銅粒子)を有するインクを用いたメタリック印刷により、素材図柄51、53を形成するとよい。そうすることで、包装材30の素材図柄51、53を見たユーザーが、ナプキン1に対して高級感がある印象を抱きやすくなる。
【0090】
その場合、バックシート4の素材図柄52はメタリック印刷により形成しないことが好ましい。つまり、バックシート4の素材図柄52(第2素材図柄)の光沢度は、開封面40Aの素材図柄53(第3素材図柄)の光沢度と反開封面40Bの素材図柄51(第1素材図柄)の光沢度の少なくとも一方よりも低くするとよい。そうすることで、包装材30の素材図柄51、53に比べて、バックシート4の素材図柄52が目立ち難くなる。そのため、ユーザーの意識が素材図柄51~53から想起図柄54に移りやすくなり、想起図柄54は、最後に1回視認されるだけであっても、ユーザーの印象に残りやすくなる。ただし、上記に限らず、包装材30の素材図柄51、53がメタリック印刷により形成されていなくてもよいし、バックシート4の素材図柄52がメタリック印刷により形成されていてもよい。
【0091】
なお、光沢度の比較(測定)は、周知の方法で行うとよい。例えば、ITECH社のMN GLOSSMETER(光沢度計)を用いて、測定角度60°での鏡面光沢度を測定し、比較することができる。
具体的には、まず、較正用標準板(屈折率1.567の黒色板)を用いて、光沢度計の較正を行う。
次に、較正用標準板の上に、皺が発生していないように平らにサンプルを置く。包装材30の素材図柄51、53の測定は、吸収性物品包装体40の外側面を上にして行う。また、図5A図5Bに示すように吸収性物品包装体40の形態(すなわち、包装材30がナプキン1を内包して折り畳まれている状態)で測定することが好ましい。バックシート4の素材図柄52の測定は、ナプキン1の非肌側面を上にして行う。また、図2に示すように、ナプキン1が展開している状態で測定することが好ましい。
次に、サンプルの上に光沢度計を置き、入射角が60°の光源でサンプルを照射し、サンプルから反射した反射光を光検出器により60°の受光角で受光する。この時の反射光の強さ(光沢度計の測定結果)を、サンプルの光沢度(Gs)として記録する。なお、同一の測定箇所につき、複数回(例えばN=10)の測定を行い、その最大値(又は平均値や最小値)を、その測定箇所の光沢度とする。
なお、バックシート4の素材図柄52については、中央粘着部8及びウィング粘着部9と重ならない位置にて測定する。また、素材図柄52、53の印刷面積(塗りつぶし面積)が大きい箇所を測定中心として測定する。
【0092】
同様に、包装材30の素材図柄51、53の濃度よりも、バックシート4の素材図柄52の濃度を低くするとよい。そうすることで、包装材30の素材図柄51、53に比べて、バックシート4の素材図柄52が目立ち難くなる。そのため、ユーザーの意識が素材図柄51~53から想起図柄54に移りやすくなり、想起図柄54は、最後に1回視認されるだけであっても、ユーザーの印象に残りやすくなる。ただし、上記に限らず、包装材30の素材図柄51、53の濃度が、バックシート4の素材図柄52の濃度以下であってもよい。
【0093】
なお、濃度の比較は、周知の方法で行うとよい。例えば、測色器を用いて、白色に対する各図柄51~53の「色差」を測定する方法を例示できる。具体的には、測定対象の図柄51~53を有する部材の下に、白色の基準板を配置する。次に、色差計を用いて、図柄51~53の部位と、白色の基準板とを測定する。なお、測定値(L*値、a*値、b*値)は複数回測定した値の平均値を用いるとよい。そして、白色の基準板に対する図柄51~53の色差ΔE*abを次式にて算出する。
ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*2]1/2
この色差ΔE*abが大きいほど、図柄51~53の濃度が濃いといえる。
【0094】
また、包装材30の素材図柄51、53及びバックシート4の素材図柄52は、印刷で形成されており、想起図柄54は線状圧縮凹部20(凹部)で形成されていることが好ましい。
【0095】
このように、素材図柄51~53と想起図柄54とで表示方法を異ならせることで、ユーザーが、素材図柄51~53を視認した後に、素材図柄51~53とは異なる想起図柄54が存在することを認識しやすくなる。そのため、素材図柄51~53及び想起図柄54が共にユーザーの印象に残りやすくなり、ナプキン1の素材及びナプキン1の特定の概念をユーザーに認識してもらうことができる。
【0096】
また、図7に示すように、想起図柄54(王冠)が線状圧縮凹部20で形成される場合、想起図柄54はナプキン1の幅方向に対して対称な形状であることが好ましい。線状圧縮凹部20は、図柄を表すだけでなく、吸収体10の型崩れ防止や、吸収体10の液拡散性向上等の機能を果たす。そのため、想起図柄54が幅方向に対して対称であることで、ナプキン1の幅方向の一方側と他方側とで性能差が生じてしまうことを抑制できる。
【0097】
ただし、上記に限定されず、素材図柄51~53と想起図柄54とが同じ表示方法であってもよい。また、想起図柄54がナプキン1の幅方向に対して非対称な形状であってもよい。
【0098】
また、包装材30は比較的に透明度の高いシート部材であることが好ましい。その場合、図9に示すように、バックシート4の素材図柄52の少なくとも一部は、吸収性物品包装体40の外側からも、包装材30を透かして視認可能となる。
【0099】
そうすることで、ユーザーは、包装材30の素材図柄51、53と同時に、バックシート4の素材図柄52も視認することになり、1度により多くの数の素材図柄51~53を視認することになる。よって、刷り込み効果が高まり、素材図柄51~53がユーザーの印象に残りやすく、ナプキン1の素材(綿)をユーザーに認識してもらうことができる。
【0100】
一方、想起図柄54は、吸収性物品包装体40の外側から視認不可能であることが好ましい。そうすることで、ユーザーが包装材30の素材図柄51、53を視認する際に、想起図柄54が視認されることがなく、素材図柄51、53の刷り込み効果が軽減してしまうことを抑制できる。よって、素材図柄51~53がユーザーの印象に残りやすくなる。
【0101】
ただし、上記に限定されず、バックシート4の素材図柄52(第2素材図柄)が吸収性物品包装体40の外側から視認不可能であってもよい。また、想起図柄54が吸収性物品包装体40の外側から視認可能であってもよい。
【0102】
また、吸収性物品包装体40の外側から視認可能な素材図柄(第1素材図柄、第3素材図柄)は、図10Aに示すように、包装材30に設けられる代わりに止着テープ31に設けられていてもよいし、包装材30の素材図柄51、53と共に止着テープ31に設けられていてもよい。ユーザーは止着テープ31を把持して吸収性物品包装体40を開封する。そのため、止着テープ31の素材図柄56はユーザーに着目されやすく、ユーザーの印象に残りやすくなる。
【0103】
また、吸収性物品包装体40が少なくとも一部展開された状態で視認可能な素材図柄(第2素材図柄)は、図10Bに示すように、止着テープ31が止着される包装材30の部位P31に設けられていてもよい。この素材図柄58は、バックシート4の素材図柄52の代わりに設けられていてもよいし、バックシート4の素材図柄52と共に設けられていてもよい。この場合、ユーザーが止着テープ31を剥がす際に素材図柄58が視認され、素材図柄58はユーザーに着目されやすく、ユーザーの印象に残りやすくなる。
【0104】
===吸収性物品包装体40のパッケージ60について===
図12は、吸収性物品包装体40のパッケージ60の斜視図である。パッケージ60(袋部材)は、1個又は複数個の吸収性物品包装体40を内包する。図12に示すパッケージ60は略直方体形状であり、パッケージ60の蓋部材60Aを開くことにより、パッケージ60から吸収性物品包装体40を取り出し可能となっている。なお、図12に示すパッケージ60の形状は一例であり、これに限定されない。
【0105】
パッケージ60は、吸収性物品包装体40が有する素材図柄51~53が示す素材と同じ素材(綿)に関する情報を示す素材図柄61(例えば綿花を表した図柄)と、素材文字62(例えば「綿使用」等)とのうちの、少なくとも一方を有することが好ましい。
【0106】
そうすることで、パッケージ60を見たユーザーに、ナプキン1の素材(綿)について認識してもらうことができる。また、パッケージ60の素材図柄61や素材文字62を見たユーザーの潜在意識には、ナプキン1の素材が刷り込まれる。そのため、吸収性物品包装体40を使用する際に、吸収性物品包装体40の素材図柄51~53を見たユーザーは、ナプキン1の素材を再認識し、素材図柄51~53がユーザーの印象により残りやすくなる。そのため、ナプキン1の素材による特長部を実感しながら、ナプキン1を使用してもらうことができる。
【0107】
同様に、パッケージ60は、ナプキン1の特定の概念(商品コンセプト)を想起させる想起図柄63(例えば王冠を表した図柄)と、想起文字64(例えば「高級感」)とのうちの、少なくとも一方を有することが好ましい。
【0108】
そうすることで、パッケージ60を見たユーザーに、ナプキン1の特定の概念(高級感)を認識してもらうことができる。そのため、ナプキン1の商品コンセプトに共感してもらいながら、ナプキン1を使用してもらうことができる。また、パッケージ60の想起図柄63や想起文字64を見たユーザーの潜在意識には、ナプキン1の特定の概念が刷り込まれる。そのため、吸収性物品包装体40を使用する際に、ナプキン1の想起図柄54を見たユーザーは、ナプキン1の商品コンセプトを再認識し、想起図柄54がユーザーの印象により残りやすくなる。そのため、ナプキン1に対するネガティブな印象や、生理期の憂鬱な気分を軽減できる。
【0109】
なお、図12では、パッケージ60の外側面であり正面に、素材図柄61等が設けられている。ただし、これに限らず、パッケージ60の何れかの部位(例えば内側面や側面等)に設けられていてもよい。例えば、蓋部材60A(具体的にはパッケージ60の本体部に着脱可能に設けられたシール部材60A)の内側に素材図柄61(素材文字62)を設け、パッケージ60の外側面に想起図柄63(想起文字64)を設けてもよいし、逆に、蓋部材60Aの内側に想起図柄63(想起文字64)を設け、パッケージ60の外側面に素材図柄61(素材文字62)を設けてもよい。この場合、ユーザーは、素材図柄61(素材文字62)と想起図柄63(想起文字64)とを個別に視認するため、各図柄(各文字)がユーザーの潜在意識に残りやすくなる。よって、ナプキン1の素材及び商品コンセプトを、よりユーザーに認識してもらうことができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0111】
1 ナプキン(吸収性物品)、
2 トップシート(肌側シート)、3 中間シート(肌側シート)、
4 バックシート(非肌側シート)、5 ウィングシート(非肌側シート)、
6 サイドシート、
8 中央粘着部、9 ウィング粘着部、
10 吸収体、11 吸収性コア、12 カバーシート、
20 線状圧縮凹部(凹部)、21 点状圧縮凹部、
30 包装材、30a 開封端、31 止着テープ、
40 吸収性物品包装体、41 接合部、42、43 剥離シート、
51 素材図柄(第1素材図柄)、52 素材図柄(第2素材図柄)、
53 素材図柄(第3素材図柄)、54 想起図柄、
55a~55c 背景図柄、
56 素材図柄(第1、第3素材図柄)、
57、58 素材図柄(第2素材図柄)、
59 想起図柄、
60 パッケージ、
61 素材図柄、62 素材文字、
63 想起図柄、64 想起文字、
図1
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図12