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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-15
(45)【発行日】2023-09-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
G05F1/56 310L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022096664
(22)【出願日】2022-06-15
(62)【分割の表示】P 2018068034の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2022113851
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】谷川 博之
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-277192(JP,A)
【文献】特開平10-334680(JP,A)
【文献】特開2008-021209(JP,A)
【文献】特開2005-092693(JP,A)
【文献】特開2006-146421(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154863(WO,A1)
【文献】特表平11-512864(JP,A)
【文献】米国特許第6040736(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0306470(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/445
G05F 1/56
G05F 1/613
G05F 1/618
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の速度で動作する第1モードまたは前記第1の速度より速い第2の速度で動作する第2モードに基づいて動作する半導体装置であって、
第1電圧が入力される第1入力と、第2電圧が入力される第2入力とを有し、前記第1電圧と前記第2電圧との比較に基づいて電圧を出力する降圧回路と、
前記降圧回路から出力される前記電圧により制御され、出力電圧を出力する出力部と、
一端が前記出力部に接続され、前記出力部の前記出力電圧を分圧した電圧を前記第2電圧として他端から前記第2入力に出力する分圧部と、
一端が前記出力部に接続され、他端が前記第2入力に接続された容量と、
を備え、
前記容量は、前記第1モードから前記第2モードへの移行の際における前記出力部の前記出力電圧の変化を前記降圧回路の前記第2入力に伝える、
導体装置。
【請求項2】
前記出力部に接続された放電回路をさらに備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
一端が前記分圧部に接続され、他端が前記容量に接続され、前記分圧部と前記容量とを接続または遮断するショート回路をさらに備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1の速度で動作する第1モードまたは前記第1の速度より速い第2の速度で動作する第2モードに基づいて動作する半導体装置であって、
第1電圧が入力される第1入力と、第2電圧が入力される第2入力とを有し、前記第1電圧と前記第2電圧との比較に基づいて電圧を出力する降圧回路と、
前記降圧回路から出力される前記電圧により制御され、出力電圧を出力する出力部と、
一端が前記出力部に接続され、前記出力部の前記出力電圧を分圧した電圧を前記第2電圧として他端から前記第2入力に出力する分圧部と、
前記出力部に接続された放電回路と、
を備え、
前記放電回路は、前記第1モードから前記第2モードへの移行の際における高速動作セットアップ期間に電流を流す、
導体装置。
【請求項5】
メモリセルと、
前記出力電圧が供給され、前記メモリセルを駆動するドライバ回路と、をさらに備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1モードは前記メモリセルを低速で読み出すモードであり、前記第2モードは前記メモリセルを高速で読み出すモードである
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
チャージポンプ回路を更に備え、前記降圧回路及び前記出力部は、前記チャージポンプ回路の出力電圧を降圧する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に内蔵された電圧変換回路(昇圧回路、降圧回路)により駆動されるメモリ回路を備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メモリ回路を備えた半導体装置において昇圧回路を構成する場合、チャージポンプを用いる場合も多い。例えば、チャージポンプを用いた電源回路を有するメモリ回路の従来技術として、例えば特許文献1に開示された可変ステージチャージポンプが知られている。特許文献1に開示された可変ステージチャージポンプは、第1チャージポンプと、第2チャージポンプと、第1チャージポンプの出力を第2チャージポンプの入力に結合する第1スイッチと、第1チャージポンプの入力を第2チャージポンプの入力に結合する第2スイッチと、を備える可変ステージチャージポンプであって、第1スイッチが第1位置にあり、第2スイッチが第2位置にあるとき、第1チャージポンプおよび第2チャージポンプが共通出力ノードへ直列結合され、第1スイッチが第2位置にあり、第2スイッチが第1位置にあるとき、第1チャージポンプおよび第2チャージポンプが共通出力ノードへ並列結合される。
【0003】
ここで、特許文献1にも記載されているように、従来、半導体装置においては、消費電力の低減を目的として外部電源電圧を用いる傾向がある。また、半導体装置のプロセスの微細化に伴う酸化膜の耐圧の改善や、電源電圧の平坦化(安定化)の課題に対応するために、半導体チップの内部において、外部電源電圧を必要とする電源電圧に降圧して用いる内部降圧が一般的に行われている。
【0004】
一方、例えばフラッシュメモリの書込み、消去、読出し動作のように、電源で供給される電圧を上回る電圧を必要とされる場合も多く、そのような場合には昇圧回路としてチャージポンプ回路が使用される。一般的なチャージポンプ回路は、電荷をポンピングする容量と、ポンピングした電荷を移送し、逆流を防止して昇圧させていくトランスファMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(電界効果トランジスタ)とから構成される。
【0005】
また、チャージポンプの出力電圧を目標の昇圧電圧に制御するために、センサ回路を設け、ポンプ動作を継続して該センサ回路が目標以上の電圧になったことを検知した場合にポンプ動作を停止し、停止後駆動電流やリーク電流により昇圧電圧が低下したことを該センサ回路が検知した場合にはポンプ動作を再開する。ポンプ動作、およびその停止と起動により昇圧電圧にリンギングが発生する場合もあるため、例えばフラッシュメモリの読出し時のワード線電圧のように昇圧電圧を変動させたくない場合には、昇圧電圧を降圧して安定的に電圧を供給する降圧電源回路を追加する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表平11-512864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記のようにセンサ回路を設けた場合、昇圧電圧の出力とグラウンド(GND)との間に接続されたP型MOSトランジスタ(以下、「PMOSトランジスタ」によるダイオード接続列や抵抗素子列による分圧回路によって比較電圧を発生させるのが一般的である。この場合、分圧回路を流れる電流によって昇圧電圧源の電力が消費される。このため、特に低速動作時のフラッシュメモリ搭載マイクロコントローラのように、低消費電流が求められる用途には動作電流規格を満たすために分圧回路に流れる電流を絞ることが一般的である。しかしながら、分圧回路に流れる電流を絞ると、上記マイクロコントローラを低速動作から高速動作に切り替えた場合、比較電圧がすぐに追随せず、その間に昇圧電圧が降下し続けて読出しが困難になるという問題があった。また、低速動作時の場合も、昇圧電圧源から分圧回路に電流が流れているために、たとえ分圧回路を流れる電流を絞ったとしても動作電流の損失が大きいという問題があった。このような問題は、昇圧回路に接続された、昇圧回路からの昇圧電圧を降圧させて電源を供給する降圧回路についても同様に発生する。なお、以下では、昇圧回路および降圧回路を総称して「電圧変換回路」という場合がある。
【0008】
この点、特許文献1に開示された可変ステージチャージポンプは、所与のチャージポンプ電源入力レベルで、異なる出力レベルに対応できるようにすることが目的であり、消費電流の抑制を問題とするものではない。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、消費電流の増加を抑制しつつ、安定した電圧を供給することが可能な電圧変換回路を備えた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置は、第1電圧が入力される第1入力と、第2電圧が入力される第2入力とを有し、前記第1電圧と前記第2電圧との比較に基づいて電圧を出力する降圧回路と、前記降圧回路から出力される前記電圧により制御され、出力電圧を出力する出力部と、一端が前記出力部に接続され、前記出力電圧を分圧した電圧を前記第2電圧として他端から前記第2入力に出力する分圧部と、一端が前記出力部に接続され、他端が前記第2入力に接続された容量と、を備え、第1の速度で動作する第1モードまたは前記第1の速度より速い第2の速度で動作する第2モードに基づいて動作するものである。
【0011】
本発明に係る他の態様の半導体装置は、第1電圧が入力される第1入力と、第2電圧が入力される第2入力とを有し、前記第1電圧と前記第2電圧との比較に基づいて電圧を出力する降圧回路と、前記降圧回路から出力される前記電圧により制御され、出力電圧を出力する出力部と、一端が前記出力部に接続され、前記出力電圧を分圧した電圧を前記第2電圧として他端から前記第2入力に出力する分圧部と、前記出力部に接続された放電回路と、を備え、第1の速度で動作する第1モードまたは前記第1の速度より速い第2の速度で動作する第2モードに基づいて動作するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、消費電流の増加を抑制しつつ、安定した電圧を供給することが可能な電圧変換回路を備えた半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の、(a)はブロック図、(b)は各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
図2】第2の実施の形態に係る半導体装置の、(a)はブロック図、(b)は各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
図3】第3の実施の形態に係る半導体装置の、(a)はブロック図、(b)は各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
図4】第3の実施の形態に係る半導体装置の、ショート回路の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態では、半導体装置としてメモリ装置、半導体装置の制御方法として該メモリ装置に内蔵され、データアクセスに必要な電位を生成する昇圧回路を制御する昇圧回路制御方法を例示して説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本実施の形態に係るメモリ装置50および昇圧回路制御方法について説明する。
【0016】
図1に示すように、メモリ装置50は、昇圧回路52およびメモリ部54を含んで構成されている。
【0017】
昇圧回路52は、発振回路1、昇圧クロック生成回路2、チャージポンプ回路3、参照電圧発生回路4、分圧回路5、定電流源回路6、タイミング発生回路7、センサ回路8、降圧回路10、分圧回路11、NMOSトランジスタ16、17-1~17-4、18-1~18-4を備えている。
【0018】
チャージポンプ回路3は、駆動クロック信号に同期して動作するコンデンサとスイッチを組み合わせることによって電圧を上昇させるための回路であり、本実施の形態では、電位VDDの電源電圧を基準として電圧を上昇させ、出力電圧VCPとして出力する。
【0019】
昇圧クロック生成回路2は、発振回路1からのクロック信号を、チャージポンプ回路3を動作させるための上記駆動クロック信号に変換する。発振回路1は、昇圧クロック生成回路2が上記駆動クロック信号の元となるクロック信号を生成するためのオシレータである。発振回路1は、センサ回路8からの制御信号SAOによって起動/停止が制御される。
【0020】
降圧回路10は、出力電圧VCPを降圧させてメモリ部54を動作させるための電圧を発生させる。本実施の形態では、降圧回路10からの降圧電圧は、NMOSトランジスタ16を介し、出力電圧VREGとして出力される。降圧回路10の非反転入力には、後述の参照電圧発生回路4からの参照電圧VREF2が入力され、反転入力には後述の比較電圧VDET2が入力されている。降圧回路10には直列に接続されたNMOSトランジスタ17-2および18-2が接続されている。NMOSトランジスタ18-2は降圧回路10に定電流を供給するトランジスタであり、降圧回路10は該定電流が供給されることにより動作する。NMOSトランジスタ17-2は、該定電流を流すか遮断するかを制御するスイッチである。
【0021】
分圧回路11は、出力電圧VREGを分圧し、比較電圧VDET2を発生させる。分圧回路11はPMOSダイオード接続列11aと容量11bを備えている。比較電圧VDET2はPMOSダイオード接続列11aの途中から取り出され、容量11bは、出力電圧VREGと比較電圧VDET2との間に接続されている。PMOSダイオード接続列11aには直列に接続されたNMOSトランジスタ17-1および18-1が接続されている。NMOSトランジスタ18-1はPMOSダイオード接続列11aに定電流を供給するトランジスタであり、PMOSダイオード接続列11aは該定電流が供給されることにより動作する。NMOSトランジスタ17-1は、該定電流を流すか遮断するかを制御するスイッチである。
【0022】
分圧回路5は出力電圧VCPを分圧し、出力電圧VCPのモニタ電圧である比較電圧VDETを発生させる。分圧回路5の構成は特に限定されず、PMOSダイオード接続列、抵抗列等によって構成されるが、本実施の形態ではPMOSダイオード接続列とされている。分圧回路5には直列に接続されたNMOSトランジスタ17-3および18-3が接続されている。NMOSトランジスタ18-3は分圧回路5に定電流を供給するトランジスタであり、分圧回路5は該定電流が供給されることにより動作する。NMOSトランジスタ17-3は、該定電流を流すか遮断するかを制御するスイッチである。
【0023】
参照電圧発生回路4は、上記参照電圧VREF2とセンサ回路8に供給する参照電圧VREFを発生させる。参照電圧発生回路4は、ディープパワーダウン信号DPPDNによって起動/停止が制御される。本実施の形態に係るディープパワーダウンとは、パワーダウンのうちでもメモリ装置50に付随する回路の大部分の動作を停止させるパワーダウンを意味し、図示しない制御回路等から供給される。ディープパワーダウン信号DPPDNは制御信号の一例であって、他の適宜な制御信号を用いてもよい。
【0024】
センサ回路8は出力電圧VCPの電圧レベルを監視し、監視した電圧レベルに応じて発振回路1を制御する制御信号SAOを生成する。センサ回路8には直列に接続されたNMOSトランジスタ17-4および18-4が接続されている。NMOSトランジスタ18-4はセンサ回路8に定電流を供給するトランジスタであり、センサ回路8は該定電流が供給されることにより動作する。NMOSトランジスタ17-4は、該定電流を流すか遮断するかを制御するスイッチである。
【0025】
タイミング発生回路7は、NMOSトランジスタ17-1~17-4のゲートに接続され、活性化信号ENSAによってNMOSトランジスタ17-1~17-4のオン/オフを制御する。定電流源回路6は、NMOSトランジスタ18-1~18-4のゲートに接続され、NMOSトランジスタ18-1~18-4が定電流を流すためのバイアス電圧VBIASを供給している。タイミング発生回路7および定電流源回路6は、ディープパワーダウン信号DPPDNによって制御される。NMOSトランジスタ18-1~18-4のソースはグランド(GND)に接続されている。
【0026】
メモリ部54は、複数のメモリセル30と、複数のメモリセル30を駆動するドライバ回路9を備えている。ドライバ回路9は、アドレス信号をデコードしたデコード信号に基づいて、メモリセル30に接続されたワード線に必要な電圧を供給する。例えば、メモリ装置50が微細化の進んだフラッシュメモリの場合には、昇圧回路52によって発生した出力電圧VREGを、ドライバ回路9を通してメモリセル30のワード線に供給し、読出し動作を行う。なお、本実施の形態に係るメモリ装置50は、低速で読出す低速動作モード、および高速で読出す高速動作モードを備えている。
【0027】
次に、図1(b)を参照して、昇圧回路52の動作について説明する。図1(b)は、ディープパワーダウン信号DPPDN、チャージポンプの出力電圧VCP、降圧回路の出力電圧VREG、およびデコード信号の各々の動作波形を示したタイミングチャートである。ディープパワーダウン信号DPPDNが解除されると、タイミング発生回路7、定電流源回路6、センサ回路8、分圧回路5、降圧回路10、分圧回路11、参照電圧発生回路4が活性化される。
【0028】
ディープパワーダウン信号DPPDNが時刻t1で解除されると、参照電圧発生回路4から参照電圧VREF、定電流源回路6から定電流源のバイアス電圧VBIASが発生するとともに、タイミング発生回路7から活性化信号ENSAが発生する。センサ回路8と分圧回路5は活性化されたバイアス電圧VBIASと活性化信号ENSAを受けて動作を開始する。
【0029】
分圧回路5から発生した比較電圧VDETが参照電圧VREFより大きくなるまで、すなわちチャージポンプ回路3の出力電圧VCPが昇圧目標電圧VPWLより大きくなるまで、センサ回路8の出力信号である制御信号SAOをハイレベル(以下、「H」)とする。発振回路1は制御信号SAOがHの間クロック信号を発生し続け、昇圧クロック生成回路2を介してチャージポンプ回路3を駆動する。
【0030】
チャージポンプ回路3の出力電圧VCPの電圧が昇圧目標電圧VPWLに到達すると、制御信号SAOはロウレベル(以下、「L」)となり、出力電圧VCPの制御はセンサ回路8の制御による間欠動作に移行する。
【0031】
一方、降圧回路10と分圧回路11も活性化されたバイアス電圧VBIASと活性化信号ENSAを受けて動作を開始し、出力電圧VREGを目標電圧VWLに収束させる。
【0032】
メモリ装置50が時刻t2で低速動作から高速動作に移行すると、ドライバ回路9によって出力電圧VREGを消費する電流が急増して降圧回路10の均衡が崩れ、一時的に出力電圧VREGが降下する。出力電圧VREGが降下すると、容量11bのカップリング作用により比較電圧VDET2のノード電圧を低下させ、降圧回路10の出力ドライバであるNMOSトランジスタ16のゲートの電圧を上げ、時刻t3で出力電圧VREGの上昇を開始させる。
【0033】
その後、PMOSダイオード接続列11aが、比較電圧VDET2が出力電圧VREGの分圧電圧になるのに必要な充電を完了させるため、出力電圧VREGは目標電圧VWLに制御される(時刻t4)。時刻t2からt4までの出力電圧の効果を電圧降下量ΔVWLという。
【0034】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置、および半導体装置の制御方法によれば、出力電圧VREGの負荷が高速動作モードに伴う高負荷に切り替わった際に、PMOSダイオード接続列11aが比較電圧VDET2を出力電圧VREGの分圧電圧に充電を完了させる前に、出力電圧VREGの上昇が開始されるので、出力電圧VREGの電圧降下量ΔVWLを小さくすることができる。このため、PMOSダイオード接続列11aに流す電流を絞ることが可能となるので、動作電流削減とメモリセル読出しの安定化(出力電圧VREGの安定化)を両立させることができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
図2を参照して、本実施の形態に係るメモリ装置50Aおよび昇圧回路制御方法について説明する。本実施の形態に係るメモリ装置50Aは、メモリ装置50の昇圧回路52を昇圧回路52Aに置き換えた形態である。従って、同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
図2(a)に示すように、昇圧回路52Aは、昇圧回路52にタイミング発生回路13および放電回路12が追加されている。
【0037】
タイミング発生回路13は、モード信号FMODEを入力とし、モード信号FMODEに応じて放電(ディスチャージ)信号DISCを発生する。モード信号FMODEは、昇圧回路52Aを搭載するメモリ装置50Aの読出し動作速度を定義しており、モード信号FMODEがLで低速動作(読出し)モード、Hで高速動作(読出し)モードとなっている。
【0038】
放電回路12は、出力電圧VREGに接続されたPMOSダイオード接続列12aおよびNMOSトランジスタ12bを備えている。NMOSトランジスタ12bのゲートには放電信号DISCが入力され、放電信号DISCによってNMOSトランジスタ12bがオンすると放電回路12が活性化される。
【0039】
図2(b)を参照して、昇圧回路52Aの動作について説明する。図2(b)は、ディープパワーダウン信号DPPDN、チャージポンプの出力電圧VCP、降圧回路10の出力電圧VREG、モード信号FMODE、放電信号DISC、およびデコード信号の各々の動作波形を示したタイミングチャートである。
【0040】
時刻t1でディープパワーダウン信号DPPDNが解除されると、チャージポンプ回路3の出力電圧VCP、降圧回路の出力電圧VREGは図1(b)で説明した動作と同様に動作する。図2(b)の例では、時刻t2で、低速動作のデコード信号が入力されている。
【0041】
その後、時刻t3でモード信号FMODEが低速動作モードから高速動作モードに切り替わると、その直後、放電信号DISCがHとなり、高速動作時の負荷電流と同程度の負荷電流が放電回路12を介して流れる。
【0042】
出力電圧VREGが目標電圧VWLに収束した後、時刻t4で放電信号DISCがLになり、高速動作(読出し)を開始する。放電信号DISCがHの期間は、高速動作セットアップ期間SUTとして、高速読出し動作を禁止する。
【0043】
本実施の形態に係るメモリ装置および昇圧回路制御方法によれば、高速切り替え時に高速動作セットアップ時間を短縮できるとともに、高速動作セットアップ期間SUT後に、出力電圧VREGの電圧降下量ΔVWLに関係なく安定的に読出し動作をさせることができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、放電回路12の他に容量11bを備えた形態を例示して説明したが、放電回路12と容量11bの作用は共通しているので、容量11bを除いた形態としてもよい。
【0045】
[第3の実施の形態]
図3を参照して、本実施の形態に係るメモリ装置50Bおよび昇圧回路52Bの昇圧回路制御方法について説明する。本実施の形態は、上記メモリ装置50において、昇圧回路52を昇圧回路52Bに変更した形態であり、昇圧回路52Bは、昇圧回路52の分圧回路11を分圧回路20に変更している。本実施の形態に係る分圧回路20は、分圧回路11にショート回路14およびタイミング発生回路15を追加している。その他の構成についてはメモリ装置50と同様なので、同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図3(a)に示すように、分圧回路20は、PMOSダイオード接続列11a、容量11b、およびショート回路14を備えている。
【0047】
ショート回路14は、PMOSダイオード接続列11aの分圧電圧VDET3を出力する端子と、容量11bの比較電圧VDET2側の端子との間に接続されている。ショート回路14は以下で説明する活性化信号ENSKによって制御され、PMOSダイオード接続列11aと容量11bとの間を接続または遮断するスイッチとして機能する。
【0048】
図4に、ショート回路14の具体的回路例を示す。ショート回路14は、パストランジスタ(トランスファーゲート)21およびインバータ22を備えている。そして、活性化信号ENSKに基づいて、分圧電圧VDET3の端子と比較電圧VDET2の端子との間を接続または遮断する。本ショート回路14によれば、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタによってノイズがキャンセルされるので、ショート回路14をオフする(遮断する)際にカップリングノイズで比較電圧VDET2の電位が変動し、活性化信号ENSKがLの期間において出力電圧VREGの制御電圧がずれるのを抑制する効果を奏する。
【0049】
タイミング発生回路15はディープパワーダウン信号DPPDNを入力とし、活性化信号ENSKを出力する。活性化信号ENSKはNMOSトランジスタ17-1のゲートおよびショート回路14に供給され、NMOSトランジスタ17-1およびショート回路14の動作を制御する。
【0050】
次に、図3(b)を参照して、昇圧回路52Bの動作について説明する。図3(b)は、ディープパワーダウン信号DPPDN、チャージポンプ回路3の出力電圧VCP、降圧回路10の出力電圧VREG、および活性化信号ENSKの動作波形を示すタイミングチャートである。
【0051】
タイミング発生回路15から出力される活性化信号ENSKは、ディープパワーダウン信号DPPDNがLになってから、降圧回路10の出力電圧VREGが目標電圧VWLに収束するまでの間以上の期間を活性化期間T1としてHとされる(時刻t1からt2の間)。活性化信号ENSKがHとされると、ショート回路14が導通し、NMOSトランジスタ17-1がオンとされる。その後活性化信号ENSKは、時刻t3から活性化周期T2の間隔で活性化期間T3の期間Hとされる(時刻t3からt4の間)。図3(b)では、時刻t5、t6において活性化周期T2が開始されている。
【0052】
活性化信号ENSKがLの期間は、ショート回路14が遮断され、容量11bに蓄えられた電荷で比較電圧VDET2が維持され、出力電圧VREGを昇圧目標電圧VPWLに向けて制御する。容量11bの電極間のリークやショート回路14の拡散層のリークにより容量11bに蓄えられた電荷が減少して出力電圧VREGの制御電圧が降下し、目標電圧VWLの許容電圧降下量を超える前に(すなわち活性化周期T2ごとに)、活性化期間T3において容量11bを再充電することによって、目標電圧VWLへの収束に向けて出力電圧VREGの制御を維持する。
【0053】
本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することに加えて、動作中、活性化期間T3を除いて分圧回路20に流れる電流を遮断することができるので、タイミング発生回路15のタイマ動作による消費電流増加を考慮しても、動作電流をさらに削減することが可能となる。また、容量11bを有しない従来の分圧回路を間欠動作させる場合と比較して、活性化期間T3を除く活性化周期T2の間に分圧回路20を流れる電流で出力電圧VREGが電圧降下することがないため、さらに間欠動作期間中も常に出力電圧VREGを制御しておくことが可能になるため、活性化周期T2(間欠周期)を長くとることができ、動作電流が低減される。
【符号の説明】
【0054】
1 発振回路
2 昇圧クロック生成回路
3 チャージポンプ回路
4 参照電圧発生回路
5 分圧回路
6 定電流源回路
7 タイミング発生回路
8 センサ回路
9 ドライバ回路
10 降圧回路
11 分圧回路
11a PMOSダイオード接続列
11b 容量
12 放電回路
12a PMOSダイオード接続列
12b NMOSトランジスタ
13 タイミング発生回路
14 ショート回路
15 タイミング発生回路
16、17-1~17-4、18-1~18-4 NMOSトランジスタ
20 分圧回路
21 パストランジスタ
22 OR回路
30 メモリセル
50、50A、50B メモリ装置
52、52A、52B 昇圧回路
54 メモリ部
図1
図2
図3
図4