(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B32B 27/34 20060101AFI20230920BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230920BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20230920BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B32B27/34
B32B27/30 A
B32B27/20 Z
G09F9/00 302
(21)【出願番号】P 2020566827
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2019014203
(87)【国際公開番号】W WO2020085869
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2020-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0129194
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ビ オ
(72)【発明者】
【氏名】テ、ヨン ジ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヨンジョーン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヨンレイ
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/116598(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0296037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0183462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08G 73/00-73/26
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂を含む高分子基材;および
前記高分子基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層;
を含み、
前記ポリアミド樹脂は、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループおよびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)を相異するモル比で含む第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントを含み、
前記第1ポリアミドセグメントと第2ポリアミドセグメントのモル比が1:0.5~1:10であり、
前記ハードコート層は、
バインダー樹脂とメタクリレートシランカップリング剤及び/又はアクリレートシランカップリング剤で表面改質されたシリカナノ粒子を含み、
前記バインダー樹脂は3~6官能性アクリレート系単量体と7~20官能性ウレタンアクリレート系単量体またはオリゴマーとの架橋共重合体を含み、
ASTM E 313の測定法に従う前記高分子基材の黄色指数は4.00以下であり、
ISO 527-3によって12.5mm/minのストレイン速度(Strain rate)を適用して測定した前記高分子基材の弾性モジュラスは4~9GPaであり、
直径4mmのマンドレル(mandrel)に巻いたときクラック(crack)が発生しない、
フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項2】
前記ハードコート層は、750gの荷重で5H以上の鉛筆硬度を有する、
請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項3】
550nmの波長領域の光に対して
90.0%以上の透過率を有し、
0.6%以下のヘイズ値を有する、
請求項1または2記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項4】
3.0以下の黄色度を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項5】
前記ポリアミド樹脂は、
A)芳香族ジアミノグループ(diamino group)およびベンゼン-ジカルボニルグループによるアミド結合;および
B)b1)ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が20モル%以下である第1ポリアミドセグメントと、
b2)ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が20モル%超過である第2ポリアミドセグメント;
を含む
ポリアミドブロック共重合体である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項6】
前記ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和の前記ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が5~25モル%である、
請求項
5に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項7】
前記第1ポリアミドセグメントは、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が2モル%以上20モル%以下である、
請求項5
または6に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項8】
前記第2ポリアミドセグメントは、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のイソフタロイルクロリドの比率が20モル%超過40モル%以下である、
請求項5から
7のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項9】
前記芳香族ジアミノグループは、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'- diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上から由来したジアミノグループを含む、
請求項5から
8のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項10】
前記ポリアミドブロック共重合体は、10,000~700,000g/molの重量平均分子量を有する、
請求項5から
9のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項11】
ISO 527-3基準に従い測定された前記高分子基材の伸び率(Elongation)値が10%以上である、
請求項1から
10のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項12】
前記高分子基材は、5~300μmの厚さを有する、
請求項1から
11のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項13】
前記ハードコート層は
、
5μm~50μmの厚さを有する、
請求項1から
12のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか1項に記載のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウを含む、
フレキシブルディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
【0002】
本出願は、2018年10月26日付韓国特許出願第10-2018-0129194号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0003】
本発明は、フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウおよびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0004】
最近、スマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器の発展につれ、ディスプレイ用基材の薄膜化およびスリム化が求められている。このようなモバイル機器のディスプレイ用ウインドウまたは前面板には機械的特性が優れた素材としてガラスまたは強化ガラスが一般的に使われている。しかし、ガラスは自体重量のためモバイル装置の高重量化の原因になっており、外部衝撃による破損の問題がある。
【0005】
そこで、ガラスを代替できる素材としてプラスチック樹脂が研究されている。プラスチック樹脂フィルムは軽量でかつ割れる恐れが少なく、より軽いモバイル機器を追求する傾向に適する。特に、高硬度および耐摩耗性の特性を有するフィルムを達成するために支持基材にプラスチック樹脂からなるハードコート層をコートするフィルムが提案されている。
【0006】
ハードコート層の表面硬度を向上させる方法としてハードコート層の厚さを増加させる方法が考えられる。ガラスを代替できるほどの表面硬度を確保するためには一定のハードコート層の厚さを実現する必要がある。しかし、ハードコート層の厚さを増加させるほど表面硬度は高くなるが、ハードコート層の硬化収縮によってシワやカール(curl)が大きくなると同時にハードコート層の亀裂や剥離が生じやすくなるので、実用的に適用することは容易でない。
【0007】
一方、審美的、機能的理由からディスプレイ機器の一部が屈曲していたり、柔軟性に曲がるディスプレイが最近注目されており、このような傾向は特にスマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器で目立っている。ところが、このような柔軟性のあるディスプレイを保護するためのカバープレートに用いる上でガラスは不適であるので、プラスチック樹脂などへの代替が必要である。しかし、このためにガラスレベルの高硬度を示し、かつ十分な柔軟性を有するフィルムの製造が容易でないという困難性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するように実現し、かつ高硬度を示し、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなくベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できるフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウを提供する。
【0009】
また、本発明は、前記カバーウインドウを含むフレキシブルディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、ポリアミド樹脂を含む高分子基材;および前記高分子基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層;を含み、
前記ポリアミド樹脂は、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループおよびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)]を相異するモル比で含む第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントを含み、
STM E 313の測定法に従う前記高分子基材の黄色指数は4.00以下であり、
ISO 527-3によって12.5mm/minのストレイン速度(Strain rate)を適用して測定した前記高分子基材の弾性モジュラスは4~9GPaである、フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウを提供する。
【0011】
また、本明細書では前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウを含むフレキシブルディスプレイ装置を提供する。
【0012】
以下、発明の具体的な実施形態によるフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウおよびフレキシブルディスプレイ装置についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書において、「フレキシブル(flexible)」とは、直径が4mmの円筒形マンドレル(mandrel)に巻いたとき長さ3mm以上のクラック(crack)が発生しない程度の柔軟性を有する状態を意味し、したがって、本発明のフレキシブルプラスチックフィルムはベンダブル(bendable)、フレキシブル(flexible)、ローラブル(rollable)、またはフォールダブル(foldable)ディスプレイのカバーフィルムなどに適用可能である。
【0014】
発明の一実施形態によれば、ポリアミド樹脂を含む高分子基材;および前記高分子基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層;を含み、STM E 313の測定法に従う前記高分子基材の黄色指数は4.00以下であり、ISO 527-3によって12.5mm/minのストレイン速度(Strain rate)を適用して測定した前記高分子基材の弾性モジュラスは4~9GPaである、フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウを提供することができる。このとき、前記ポリアミド樹脂は、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループおよびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)]を相異するモル比で含む第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントを含み得る。
【0015】
本発明者らはより薄い厚さを有するフレキシブルディスプレイ装置に適用可能な光学積層体に関する研究を行い、ポリアミド樹脂を含んで上述した特徴を有する高分子基材とハードコート層を含むカバーウインドウが柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するように実現し、かつ高硬度を示し、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなく、ベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できることを実験により確認して発明を完成した。
【0016】
前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、強化ガラスなどを代替できる物性を有し得るため、外部から加えられる圧力や力によって割れないだけでなく十分に反って折り畳み可能な程度の特性を有することができる。
【0017】
より具体的には、前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、直径4mmのマンドレル(mandrel)に巻いたときクラック(crack)が発生しない特性を有することができる。
【0018】
特に、前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、前記ポリアミド樹脂を含む高分子基材を含み、優れた機械的物性と耐熱性と共に高い透明度などの光学的特性を有することができ、ポリアミド樹脂の高分子構造および特徴によって柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足させ、繰り返される曲げや折り畳み動作によっても内部構造に発生する損傷を防止することができる。
【0019】
具体的には、STM E 313の測定法に従う前記高分子基材の黄色指数は、4.00以下、または3.8以下、または1.00~4.00でありうる。
【0020】
また、ISO 527-3によって12.5mm/minのストレイン速度(Strain rate)を適用して測定した前記高分子基材の弾性モジュラスは4~9GPa、または5.0~7.5GPaでありうる。
【0021】
そして、前記高分子基材は、ISO 527-3基準に従い測定された伸び率(Elongation)値が、約10%以上、好ましくは約14%以上、または10~20%でありうる。
【0022】
前記高分子基材が上述した特性を有することによって、低い黄色指数を有し、かつ高硬度および優れた柔軟性(屈曲性)を実現することができ、そのため前記実施形態のフレキシブルディスプレイのカバーウインドウは、高透明度、高硬度および高い柔軟性を同時に有することができる。
【0023】
一方、前記実施形態のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、光透過率が90.0%以上であり、ヘイズが0.6%以下、または0.5%以下でありうる。
【0024】
また、前記実施形態のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウが有する黄色指数は、3.0以下、または3.0~1.0、または1.5~2.5でありうる。
【0025】
一方、前記ポリアミド樹脂は、A)芳香族ジアミノグループ(diamino group)およびベンゼン-ジカルボニルグループによるアミド結合;およびB)b1)ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が20モル%以下である第1ポリアミドセグメントと、b2)ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が20モル%超過である第2ポリアミドセグメント;を含むポリアミドブロック共重合体でありうる。
【0026】
上述したポリアミドブロック共重合体についてより詳細に説明する。
【0027】
前記ポリアミドブロック共重合体は、I)前記芳香族ジアミンモノマーのアミン基と前記イソフタロイル系モノマーのカルボニル基がアミド結合を形成したアミド繰り返し単位(以下、第1アミド繰り返し単位)、およびII)前記芳香族ジアミンモノマーのアミン基と前記テレフタロイル系モノマーのカルボニル基がアミド結合を形成したアミド繰り返し単位(以下、第2アミド繰り返し単位)をいずれも含む形態を有する。
【0028】
そして、前記共重合体は、その固有の組成および物性が相異する各部分、すなわち、複数の相異するセグメント(Segment)を含み、各セグメントも、上述した第1アミド繰り返し単位および第2アミド繰り返し単位をいずれも含むブロック共重合体の形態を有する。
【0029】
この時、前記共重合体の各セグメントの中で;
該当セグメントに含まれたイソフタロイル系モノマーから由来するベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)と、テレフタロイル系モノマーから由来するベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和に対するベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が20モル%以下であるセグメントを第1ポリアミドセグメントという。
【0030】
また、前記共重合体の各セグメントの中で;
該当セグメントに含まれたイソフタロイル系モノマーから由来するベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)と、テレフタロイル系モノマーから由来するベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和に対するベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が20モル%を超えるセグメントを第2ポリアミドセグメントという。
【0031】
これを上述したアミド繰り返し単位を基準に再び説明すると、前記第1ポリアミドセグメント内では、第1アミド繰り返し単位および第2アミド繰り返し単位の総和の第1アミド繰り返し単位の比率が20モル%以下であり、前記第2ポリアミドセグメント内では、第1アミド繰り返し単位および第2アミド繰り返し単位の総和の第1アミド繰り返し単位の比率が20モル%を超えると見ることができる。
【0032】
そして、この時、前記ポリアミドブロック共重合体内で、前記第1ポリアミドセグメントと第2ポリアミドセグメントのモル比(あるいはアミド繰り返し単位比率)は1:0.5~1:10の範囲に維持される。
【0033】
前記第1ポリアミドセグメントは、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が約2モル%以上約20モル%以下であり得、さらに好ましくは、約2モル%以上、約5モル%以下でありうる。
【0034】
そして、前記第2ポリアミドセグメントは、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が約20モル%超過約40モル%以下であることがさらに好ましい。
【0035】
ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)、すなわち、イソフタロイル系モノマー(IPC)から由来する繰り返し単位は、曲がった分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)を妨げる性格を有しており、ポリアミド共重合体に無定形領域を増加させ、ポリアミドフィルムの光学的物性および耐折強さを向上させることができる。
【0036】
そして、ベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)、すなわちテレフタロイル系モノマー(TPC)から由来する繰り返し単位は、線状分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)が一定に維持され得、ポリアミド共重合体に結晶性領域を増加させ、ポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性を向上させることができる。
【0037】
そのため、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が約20モル%以下で添加される、第1ポリアミドセグメントは、ポリイミドフィルムに相対的に優れた表面硬度および機械的物性を付与することができる。
【0038】
そして、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和のベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が約20モル%を超えて添加される、第2ポリアミドセグメントは、ポリイミドフィルムに相対的に優れた光学的物性および耐折特性を付与することができる。
【0039】
前記ポリアミドブロック共重合体は、上述した第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントをいずれも含み、特に、全体ポリアミドブロック共重合体内で、前記第1ポリアミドセグメントと第2ポリアミドセグメントのモル比(あるいはアミド繰り返し単位比率)が、約1:0.5~約1:10の範囲に維持されることにより、これを用いて製造されるポリアミドフィルムで上述したセグメントそれぞれの長所を非常に効果的に実現することができる。
【0040】
そして、この時上述した各セグメント内で、芳香族ジアミングループとベンゼン-ジカルボニルグループの重合形態は、一定の繰り返し単位が交互に繰り返されるブロック共重合の形態であり得、繰り返しに特定の規則を有さないランダム共重合の形態でありうる。ただし、全体ポリイミド共重合体は、各セグメント内で上述したベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の比率が維持されるそれぞれの相異するセグメントが必ずすべて含まれる、ブロック共重合体の形態でなければならない。
【0041】
前記ポリアミドブロック共重合体は、全体共重合体内でベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の総和の前記ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が約5~約25モル%であることが好ましい。
【0042】
すなわち、各セグメント内でベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の比率だけでなく、各セグメントをいずれも含む全体共重合体内でベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)の比率が、前記範囲に限定されることにより、上述したポリアミドフィルムがヘイズや黄色指数値などの優れた光学的物性を有することができ、これと同時に耐折強さ、表面硬度などの優れた機械的物性を有することができる。
【0043】
上述した芳香族ジアミノグループは、芳香族環を中心に末端に2個のアミノ基を備える芳香族ジアミンモノマー、具体的に例えば;
【0044】
2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'- diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上から由来したものでありうる。
【0045】
より好ましくは、前記芳香族ジアミンモノマーは、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'- diaminobenzidine)でありうる。
【0046】
前記ポリアミドブロック共重合体は、上述した芳香族ジアミノグループとのアミド結合を形成するカルボニルグループであり、ベンゼン-1,3-ジカルボニルグループ(benzene-1,3-dicarbonyl group)およびベンゼン-1,4-ジカルボニルグループ(benzene-1,4-dicarbonyl group)の他にも、芳香族ジカルボニルモノマーまたはトリカルボニルモノマーから由来するカルボニルグループをさらに含むこともできる。
【0047】
ここで、前記芳香族ジカルボニルモノマーとしては、4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-biphenyldicarbonyl chloride)などが挙げられ、前記芳香族トリカルボニルモノマーは、トリメソイルクロリド(trimesoyl chloride)などが挙げられる。
【0048】
特に、前記芳香族トリカルボニルモノマーは、前記共重合過程で架橋剤として作用し、ポリアミドブロック共重合体の機械的物性をさらに向上させることができる。
【0049】
このような効果を達成するために、前記芳香族トリカルボニルモノマーは全体カルボニル由来のモノマーの約0.01モル%以上、あるいは約0.025モル%以上、あるいは約0.05モル%以上で含まれることが好ましく、約5.0モル%以下、あるいは約2.5モル%以下、あるいは約1.5モル%以下、あるいは約1.25モル%以下で含まれることが好ましい。芳香族トリカルボニルモノマーが過量に適用される場合、製造されるポリアミドブロック共重合体の光学的物性が低下し、柔軟性が低下することができる。
【0050】
一方、前記芳香族ジアミンモノマーおよび芳香族ジカルボニルモノマーを重合し、芳香族ジアミノグループとベンゼン-ジカルボニルグループによるアミド結合を含む、ポリアミドを製造するための重合条件は特に制限されず、ただし、上述した第1および第2ポリアミドセグメントをそれぞれ別に形成するために、2回以上の重合過程を含むように行うことができる。
【0051】
具体的に前記重合方法は、
b11)ベンゼン-1,3-ジカルボニルモノマー、ベンゼン-1,4-ジカルボニルモノマー、および芳香族ジアミンモノマーを混合し、
b12)このとき、ベンゼン-1,3-ジカルボニルモノマーは、ベンゼン-1,3-ジカルボニルモノマーおよびベンゼン-1,4-ジカルボニルモノマー総和に対して20モル%以下で含まれ、
b13)アミングループとカルボニルグループとの間にアミド結合を形成し、第1ポリアミドセグメントを形成する段階;および
b21)ベンゼン-1,3-ジカルボニルモノマー、ベンゼン-1,4-ジカルボニルモノマー、および芳香族ジアミンモノマーを混合し、
b22)このとき、ベンゼン-1,3-ジカルボニルモノマーは、ベンゼン-1,3-ジカルボニルモノマーおよびベンゼン-1,4-ジカルボニルモノマー総和に対して20モル%を超えて含まれ、
b23)アミングループとカルボニルグループとの間にアミド結合を形成し、第2ポリアミドセグメントを形成する段階を含み、
この時、前記第1ポリアミドセグメントと第2ポリアミドセグメントのモル比が1:0.5~1:10になるように、モノマーの比率を調整するものであり得る。
【0052】
前記ポリアミド形成のための重合反応は、約-25℃~約+25℃の温度条件、さらに好ましくは約-25℃~0℃の温度条件で、不活性気体の雰囲気下の溶液重合で行われ、上述したモノマーの具体的な例示などは、前記ポリアミドブロック共重合体の部分において前述したとおりである。
【0053】
そして、前記この時の反応溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ガンマ-ブチロラクトンなどを使用することができる。
【0054】
前記ポリアミドブロック共重合体は、約10,000~約700,000g/mol、あるいは約10,0000~約500,000g/mol、あるいは約100,000~約500,000g/mol、あるいは約300,000~約450,000g/molの重量平均分子量値を有することができる。
【0055】
本明細書における重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用いることができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、30℃の温度、クロロホルム溶媒(Chloroform)および1mL/minのflow rateが挙げられる。
【0056】
一方、前述したように、前記実施形態のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、前記高分子基材の少なくとも一面に形成され、750gの荷重で5H以上の鉛筆硬度を有するハードコート層を含み得る。
【0057】
前記ハードコート層は、750gの荷重で5H以上、または6H以上、または7H以上の鉛筆硬度を示すことができる。
【0058】
前述したように、通常薄い厚さを有するフィルムまたは光学積層体では柔軟性の確保が可能であるが、高い表面強度化を確保し、かつ繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性の確保が容易ではない。
【0059】
これに対し、前記実施形態のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、上述した特徴の高分子基材とともに高い硬度を有し、かつ繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性が確保できるハードコート層を含み、上述したような特徴を有することができる。
【0060】
具体的には、前記ハードコート層は、バインダー樹脂を含み得る。
【0061】
前記バインダー樹脂の具体的な例が限定されるのではなく、例えば光硬化性反応基を有する単量体(ら)の重合体または共重合体であり得、具体的には(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマー、ビニル系単量体またはオリゴマーなどから形成された重合体または共重合体でありうる。
【0062】
一例として、前記バインダー樹脂は3~6官能性(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含み得る。
【0063】
前記3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシル化トリアクリレート(GPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられる。前記3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーは単独でまたは互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0064】
前記(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーやビニル系単量体またはオリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が約200~約2,000g/mol、または約200~約1,000g/mol、または約200~約500g/molの範囲でありうる。
【0065】
前記3~6官能性アクリレート系単量体は、アクリレート当量(equivalent weight)が、約50~約300g/mol、または約50~約200g/mol、または約50~約150g/molの範囲でありうる。
【0066】
また、前記バインダー樹脂は3~6官能性アクリレート系単量体と7~20官能性ウレタンアクリレート系単量体またはオリゴマーとの架橋共重合体を含み得る。
【0067】
前記7~20官能性ウレタンアクリレート系単量体またはオリゴマーは、前記3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーと架橋重合されて共重合体を形成し、硬化後の形成されるコート層に高硬度、柔軟性および耐衝撃性を付与することができる。前記7~20官能性ウレタンアクリレート系単量体またはオリゴマーは単独でまたは互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0068】
前記架橋共重合体は、前記3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーおよび7~20官能性ウレタンアクリレート系単量体またはオリゴマーが、約1:9~約5:5、好ましくは約1:9~約4:6、より好ましくは約1:9~約3.5:6.5の重量比で架橋重合されたものでありうる。前記重量比で3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーおよび7~20官能性ウレタンアクリレート系単量体またはオリゴマーが架橋結合された架橋共重合体を含むことによって、十分な柔軟性を示し、かつ高硬度の良好な物性を達成することができる。
【0069】
前記7~20官能性ウレタンアクリレート系オリゴマーは、重量平均分子量が、約2,000~約8,000g/mol、または約3,000~約6,000g/mol、または約3,000~約5,000g/molの範囲であることが、コート層物性の最適化のために好ましい。
【0070】
また、前記ハードコート層は、前記バインダー樹脂に分散した無機ナノ粒子を含み得る。
【0071】
前記無機粒子は、例えばシリカ、アルミニウム、チタニウム、ジンクなどの金属原子、またはその酸化物、窒化物などであり得、それぞれ独立してシリカ微粒子、アルミニウムオキシド粒子、チタニウムオキシド粒子、またはジンクオキサイド粒子などを使用することができる。
【0072】
前記ハードコート層は、バインダー樹脂と相異する平均半径を有する2種類以上の無機粒子を含み得る。この時、前記2種類以上の無機粒子は20~35nmの平均半径を有する第1無機粒子と40~130nmの平均半径を有する第2無機粒子を含み得る。
【0073】
前記第1無機粒子と第2無機粒子それぞれの平均半径は、通常知られている方法により確認することができ、例えば前記ハードコート層の電子顕微鏡写真(SEM,TEMなど)で確認される個別粒子の半径を測定して計算および導き出したり、X-ray散乱実験により計算された無機粒子の平均半径でありうる。
【0074】
一方、前記ハードコート層に含まれる無機ナノ粒子の含有量は、大きく限定されるものではないが、好ましくは前記ハードコート層は、前記バインダー樹脂100重量に対して前記無機ナノ粒子20~80重量部を含み得る。
【0075】
前記ハードコート層に含まれる無機ナノ粒子の含有量が過度に小さい場合、前記ハードコート層の硬度が低くなる。また、前記ハードコート層に含まれる無機ナノ粒子の含有量が過度に高い場合、硬度は高くなるが、前記カバーウインドウの柔軟性が大きく低下したり繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性もまた低下しうる。
【0076】
前記高分子基材は、5μm~300μm、または20μm~200μm、または20μm~100μmの厚さを有することができる。前記基材の厚さが5μm未満の場合、コート層の形成工程時に破断されたり、カール(curl)が発生する恐れがあり、高硬度を達成することが困難である。反面、厚さが300μmを超えると、柔軟性が低下してフレキシブルフィルムの形成が難しい。
【0077】
前記ハードコート層は、5μm~50μmの厚さを有することができる。前記ハードコート層の厚さが過度に大きくなる場合、前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウの柔軟性や繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性などが低下することができる。
【0078】
一方、前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、前記高分子基材の少なくとも一面に前記ハードコート層形成用コーティング組成物を塗布して光硬化することにより提供することができる。
【0079】
前記コーティング組成物を塗布する方法は、本技術が属する技術分野で使われる方法であれば、特に制限されず、例えば、バーコーティング方式、ナイフコーティング方式、ロールコーティング方式、ブレードコーティング方式、ダイコーティング方式、マイクログラビアコーティング方式、コンマコーティング方式、スロットダイコーティング方式、リップコーティング方式、ソリューションキャスティング(solution casting)方式などを用いることができる。
【0080】
前記ハードコート層の上面または前記高分子基材とハードコート層との間にプラスチック樹脂フィルム、粘着フィルム、離型フィルム、導電性フィルム、導電層、液晶層、コート層、硬化樹脂層、非導電性フィルム、金属メッシュ層またはパターン化した金属層のような層、膜、またはフィルムなどを1個以上でさらに含み得る。
【0081】
例えば、基材に導電性を有する帯電防止層を先に形成した後、その上にコート層を形成して帯電防止(anti-static)機能を付与したり、コート層上に低屈折率層を導入して低反射(low reflection)機能を実現することもできる。
【0082】
また、前記層、膜、またはフィルムなどは単一層、二重層または積層型のいかなる形態にもなる。前記層、膜、またはフィルムなどは独立した(freestanding)フィルムを接着剤または粘着性フィルムなどを使用してラミネーション(lamination)するか、コーティング、蒸着、スパッタリングなどの方法で前記コート層上に積層させることができるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0083】
一方、前記ハードコート層は、前記バインダー樹脂、無機微粒子などの他にも、光開始剤、有機溶媒、界面活性剤、UV吸収剤、UV安定剤、黄変防止剤、レベリング剤、防汚剤、色相値改善のための染料など本発明が属する技術分野において通常使用される成分をさらに含み得る。また、その含有量は前記ハードコート層の物性を低下させない範囲内で多様に調整できるので、特に制限しないが、例えば前記ハードコート層100重量部に対して約0.01~約30重量部で含まれ得る。
【0084】
前記界面活性剤は、1~2官能性のフッ素系アクリレート、フッ素系界面活性剤またはシリコン系界面活性剤でありうる。この時、前記界面活性剤は前記ハードコート層内に分散または架橋されている形態で含まれ得る。
【0085】
また、前記添加剤としてUV吸収剤、またはUV安定剤を含み得、前記UV吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、またはトリアジン系化合物などが挙げられ、前記UV安定剤としてはテトラメチルピペリジン(tetramethyl piperidine)などが挙げられる。
【0086】
前記光開始剤としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルマート、α、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノンジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これに制限されない。また、現在市販の商品としてはIrgacure 184、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 907、Darocur 1173、Darocur MBF、Irgacure 819、Darocur TPO、Irgacure 907、Esacure KIP 100Fなどが挙げられる。これら光開始剤は単独でまたは互いに異なる2種以上を混合して使用することができる。
【0087】
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶剤、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒などを単独でまたは混合して使用することができる。
【0088】
一方、発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウを含むフレキシブルディスプレイ装置を提供することができる。
【0089】
前記フレキシブルディスプレイ装置は、カーブ(curved)、ベンダブル(bendable)、フレキシブル(flexible)、ローラブル(rollable)、またはフォールダブル(foldable)形態の移動通信端末、スマートフォンまたはタブレットPCのタッチパネル、および各種ディスプレイをすべて含む。
【0090】
前記フレキシブルディスプレイ装置の一例としてフレキシブル発光素子ディスプレイ装置が挙げられる。
【0091】
例えば、前記有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウが光や画面が表示される方向の外殻部に位置することができ、電子を提供する陰極(cathode)、電子輸送層(Eletron Transport Layer)、発光層(Emission Layer)、正孔輸送層(Hole Transport Layer)、正孔を提供する陽極(anode)が順次形成されていてもよい。
【0092】
また、前記有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、正孔注入層(HIL,Hole Injection Layer)と電子注入層(EIL,Electron Injection Layer)をさらに含むこともできる。
【0093】
前記有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイがフレキシブルディスプレイの役割および作動をするためには、前記高分子フィルムをカバーウインドウとして用いることに加え、前記陰極および陽極の電極と、各構成成分を所定の弾性を有する材料として使用することができる。
【0094】
前記フレキシブルディスプレイ装置の他の一例として、巻込可能なディスプレイ装置(rollable display or foldable display)が挙げられる。
【0095】
前記巻込可能なディスプレイ装置は、適用分野および具体的な形態などに応じて多様な構造を有することができ、例えばカバープラスチックウインドウ、タッチパネル、偏光板、バリアフィルム、発光素子(OLED素子など)、透明基板などを含む構造でありうる。
【発明の効果】
【0096】
本発明によれば、柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するように実現し、かつ高硬度を示し、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなく、ベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できるフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウとフレキシブルディスプレイ装置を提供することができる。
【0097】
前記フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、強化ガラスなどを代替できる物性を有しうるために、外部から加えられる圧力や力によって割れないだけでなく十分に反って折り畳み可能な程度の特性を有することができ、柔軟性、屈曲性、高硬度、耐擦傷性、高透明度を示し、繰り返し的、持続的な曲げや長時間の折り畳み状態でもフィルムの損傷が少なく、ベンダブル(bendable)、フレキシブル(flexible)、ローラブル(rollable)、またはフォールダブル(foldable)モバイル機器、ディスプレイ機器、各種計器盤の前面板、表示部などに有用に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】実験例7および8の曲げ耐久性および曲げ安定性テストを実施する方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、発明の具体的な実施例により、発明の作用および効果についてより詳細に説明する。ただし、このような実施例は発明の例示として提示することに過ぎず、発明の権利範囲はこれによって定められない。
【0100】
[製造例A:ハードコート層形成用コート液の製造]
【0101】
製造例A-1
【0102】
下記表1に記載するように、3官能アクリレート系バインダーであるトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、製造メーカー:Cytec,Mw=296g/mol、アクリレート基当量=99g/mol)30g、9官能のウレタンアクリレート系バインダーであるMU9800 (製造メーカー:MIWON、Mw=3500g/mol、アクリレート基当量=389g/mol)40g、10官能のウレタンアクリレート系バインダーであるMU9020(製造メーカー:MIWON、Mw=4500g/mol、アクリレート基当量=450g/mol)30g、光開始剤Irgacure 184(製造メーカー:Ciba)1g、メチルエチルケトン(MEK)17.5gを混合してアクリレート溶液を製造した。
【0103】
前記アクリレート溶液にシリカ粒子S1(平均粒径20nmであり、メタクリレートシランカップリング剤で表面改質された)がn-ブチルアセテート(normal butyl acetate)に50重量%分散している溶液60gとシリカ粒子S2(平均粒径40nmであり、アクリレートシランカップリング剤で表面改質された)がメチルエチルケトン(MEK)に30重量%分散している溶液100gを混合してハードコート層形成用コート液を製造した。
【0104】
製造例A-2
【0105】
1)メチルエチルケトンを26.1gを使用してアクリレート溶液を製造し、2)シリカ粒子S2がメチルエチルケトン(MEK)に30重量%分散している溶液50gを使用したことを除いては、製造例A-1と同様の方法でハードコート層形成用コート液を製造した。
【0106】
製造例A-3
【0107】
1)メチルエチルケトンを21.8gを使用してアクリレート溶液を製造し、2)シリカ粒子S2がメチルエチルケトン(MEK)に30重量%分散している溶液100gの代わりにシリカ粒子S3(平均粒径100nm、アクリレートシランカップリング剤で表面改質された)が40重量%分散している溶液75gを使用したことを除いては、製造例A-1と同様の方法でハードコート層形成用コート液を製造した。
【0108】
製造例A-4
【0109】
下記表1に記載するように、TMPTA(製造メーカー:Cytec,Mw=296g/mol、アクリレート基当量=99g/mol)30g、MU9800(製造メーカー:MIWON、Mw=3500g/mol、アクリレート基当量=389g/mol)40g、MU9020(製造メーカー:MIWON、Mw=4500g/mol、アクリレート基当量=450g/mol)30g、光開始剤Irgacure 184(製造メーカー:Ciba)1g、メチルエチルケトン(MEK)43.3gを混合してハードコート層形成用コート液を製造した。
【0110】
製造例A-5
【0111】
TMPTA(製造メーカー:Cytec,Mw=296g/mol、アクリレート基当量=99g/mol)30g、MU9800(製造メーカー:MIWON、Mw=3500g/mol、アクリレート基当量=389g/mol)40g、MU9020(製造メーカー:MIWON、Mw=4500g/mol、アクリレート基当量=450g/mol)30g、光開始剤Irgacure 184(製造メーカー:Ciba)1g、メチルエチルケトン(MEK)30.5gを混合してアクリレート溶液を製造した。
【0112】
前記アクリレート溶液にシリカ粒子S1(平均粒径20nmであり、メタクリレートシランカップリング剤で表面改質された)がn-ブチルアセテート(normal butyl acetate)に50重量%分散している溶液90gを混合してハードコート層形成用コート液を製造した。
【0113】
製造例A-6
【0114】
TMPTA(製造メーカー:Cytec,Mw=296g/mol、アクリレート基当量=99g/mol)30g、MU9800(製造メーカー:MIWON、Mw=3500g/mol、アクリレート基当量=389g/mol)40g、MU9020(製造メーカー:MIWON、Mw=4500g/mol、アクリレート基当量=450g/mol)30g、光開始剤Irgacure 184(製造メーカー:Ciba)1g、メチルエチルケトン(MEK)24gを混合してアクリレート溶液を製造した。
【0115】
前記アクリレート溶液にシリカ粒子S3(平均粒径100nm、アクリレートシランカップリング剤で表面改質された)が40重量%分散している溶液112.5gを混合してハードコート層形成用コート液を製造した。
【0116】
【0117】
*表1で無機微粒子の含有量は溶媒に分散した無機微粒子の重量%に応じて溶媒を除いた無機微粒子だけの純重量(Net weight)で表示した。
【0118】
[製造例B:ポリアミドブロック共重合体の製造]
【0119】
製造例B-1
【0120】
攪拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調整器が備えられた500mLの四口丸底フラスコ(反応器)に窒素をゆっくり吹き込みながらN,N-ジメチルアセトアミド(N、N-dimethylacetamide,DMAc)184gを満たし、反応器の温度を約-10℃に合わせた後2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)0.030343molを溶解させた。
【0121】
ここに、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride,IPC)0.000759mol、およびテレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride,TPC)0.014716molを、約5分間隔を置いて、順次添加しながら攪拌し、約-10℃条件で約60分間アミド形成反応を行った。(第1セグメント)
【0122】
ここに再び、TFDB 0.030343molを添加して溶解させた後、IPC 0.005007mol、TPC 0.010468molを、約5分間隔を置いて、順次添加しながら攪拌し、約-10℃条件で約60分間アミド形成反応を行った。(第2セグメント)
【0123】
反応を完了した後、DMAcを投入して固形分含有量を5%以下になるように希釈し、これを1Lのメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を濾過した後、100℃の真空状態で約6時間以上乾燥して固形分形態のポリアミドブロック共重合体を収得した(重量平均分子量約417,201g/mol)。
【0124】
そして、前記で得たポリアミドブロック共重合体をN,N-ジメチルアセトアミド(N、N-dimethylacetamide)に溶かして約12%(w/V)の高分子溶液を製造した。
【0125】
前記高分子溶液をポリイミド系基材(UPILEX-75s、UBE社)上に塗布し、フィルムアプリケーターを用いて高分子溶液の厚さを均一に調整した。
【0126】
これを、約80℃で約15分間マチスオーブンで乾燥した後、窒素を流しながら約250℃で約30分間硬化させた後、前記基材から剥離し、厚さ約50.0μmのポリアミドブロック共重合体を含む高分子基材を製造した。
【0127】
製造例B-2およびB-3
【0128】
反応物添加量を下記表2のようにしたことを除いては、前記製造例B-1と同様の方法により、固形分形態のポリアミドブロック共重合体を収得した(重量平均分子量約401,117g/mol)。
【0129】
前記製造例B-1と同様の方法により厚さ約50.0μmのポリアミドブロック共重合体を含む高分子基材を製造した。
【0130】
製造例B-4
【0131】
攪拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調整器が備えられた500mLの四口丸底フラスコ(反応器)に窒素をゆっくり吹き込みながらN,N-ジメチルアセトアミド(N、N-dimethylacetamide,DMAc)184gを満たし、反応器の温度を約-10℃に合わせた後2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)0.030343molを溶解させた。
【0132】
ここに、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride,IPC)0.001517mol、およびテレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride,TPC)0.029432molを約5分間隔を置いて、順次添加しながら攪拌し、約-10℃条件で約60分間アミド形成反応を行った。
【0133】
反応を完了した後、DMAcを投入して固形分含有量を5%以下になるように釈し、これを1Lのメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を濾過した後、100℃の真空状態で約6時間以上乾燥して固形分形態のポリアミドブロック共重合体を収得した(重量平均分子量約431,122g/mol)。
【0134】
そして、前記製造例B-1と同様の方法により厚さ約50.0μmのポリアミドブロック共重合体を含む高分子基材を製造した。
【0135】
【0136】
実験例A:高分子基材物性の測定
【0137】
前記製造例Bによるポリアミドブロック共重合体を含む高分子基材に対して下記の特性を測定または評価し、その結果を下の表3に整理した。
【0138】
(1)黄色指数(Y.I.)
【0139】
COH-400 Spectrophotometer(NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES)を用いてASTM E 313の測定法に従い高分子基材の黄色指数(Y.I.)を測定した。
【0140】
(2)ヘイズ(Haziness)
【0141】
COH-400 Spectrophotometer(NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES)を用いてASTM D 1003の測定法に従い高分子基材のヘイズ値を測定した。
【0142】
(3)鉛筆硬度
【0143】
実施例および比較例それぞれのカバーウインドウにおいて前面に形成されたハードコート層に対し、鉛筆硬度測定機を用いて測定標準JIS K5400-5-4に従い750gの荷重、45度の角度で3回往復した後きずのない最大硬度を確認した。
【0144】
(4)モジュラスおよび伸び率
【0145】
Universal Testing Systems (Instron(登録商標) 3360)を用いてISO 527-3に基づいてフィルムのモジュラス(GPB)および伸び率(%)を測定した。
【0146】
(5)耐折強さ(Folding endurance)
【0147】
MITタイプの耐折強さ試験機(folding endurance tester)を用いてISO 5626に基づいたフィルムの耐折強さを評価した。
【0148】
具体的には、25℃下でフィルムの試験片(1cm*7cm)を耐折強さ試験機にロードし、試験片の左側と右側で175rpmの速度で135°の角度、0.8mmの曲率半径および250gの荷重で曲げ、試験片が破断するまで往復曲げ回数(cycle)を測定した。
【0149】
【0150】
[実施例および比較例:フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウ]
【0151】
前記製造例Bで製造された高分子基材の両面に前記製造例Aで製造されたコーティング組成物をバーコート方式で塗布し、90度2分間Air雰囲気下で乾燥した。290~320nmの波長のメタルハライドランプ(光量:200mJ/cm2)で光硬化して光学積層体を製造した。硬化が完了した後両面に形成されたコート層の厚さはそれぞれ10μmであった。
【0152】
実施例および比較例は、次の表4および表5のとおりである。
【0153】
【0154】
【0155】
<実験例:光学積層体の物性測定>
【0156】
実験例1:鉛筆硬度
【0157】
実施例および比較例それぞれのカバーウインドウにおいて前面に形成されたハードコート層に対し、鉛筆硬度測定機を用いて測定標準JIS K5400-5-4に従い750gの荷重、45度の角度で3回往復した後きずのない最大硬度を確認した。
【0158】
実験例2:透過率およびヘイズ
【0159】
実施例および比較例それぞれのカバーウインドウに対して分光光度計(機器名:COH-400)を用いて透過率およびヘイズを測定した。
【0160】
実験例3:黄色指数(Y.I.)
【0161】
分光光度計(機器名:COH-400 Spectrophotometer(NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES))を用いてASTM E 313の測定法に従い実施例および比較例それぞれのカバーウインドウに対して黄色指数(Y.I.)を測定した。
【0162】
実験例4:屈曲テスト
【0163】
測定標準JIS K5600-5-1の方法に従い実施例および比較例それぞれのカバーウインドウに対して多様な直径の円筒形マンドレルに挟んで巻いた後クラックが発生しない最小直径を測定した。
【0164】
実験例5:コート層の付着力
【0165】
実施例および比較例それぞれのカバーウインドウにおいて前面に形成されたハードコート層前面に対して、カッターを用いて1cm*1cm~2cm*2cm大きさ内に100個の格子ができるように傷を付け、Nichiban Tape(CT-24)を用いて付着後剥離テストを行う。同一の面に対して2回剥離テストを行って剥離されたレベルに応じて5B(剥離なし)レベルから0B(全面剥離)まで付着力を評価した。
【0166】
-5B(剥離なし)
-4B(剥離された部分が含まれた格子が1~5個)
-3B(剥離された部分が含まれた格子が6~15個)
-2B(剥離された部分が含まれた格子が16~35個)
-1B(剥離された部分が含まれた格子が36~50個)
-0B(剥離された部分が含まれた格子が51個以上)
【0167】
実験例6:耐スクラッチ性の評価
【0168】
実施例および比較例それぞれのカバーウインドウにおいて前面に形成されたハードコート層に対し、スチールウール(#0000)に荷重500gfをかけて、30rpm速度で500回往復してハードコートフィルムの表面を測定する。肉眼で観察される1cm以下のスクラッチが1個の以下が観察される場合は良好と判定した。
【0169】
実験例7:曲げ耐久性テスト
【0170】
図1は本発明の一実施例によるフィルムに対して、曲げ耐久性および曲げ安定性テストを実施する方法を概略的に示す図である。
【0171】
実施例および比較例の各フィルムに対して裁断し、エッジ(edge)部位の微細なクラックを最小化するように80x140mmの大きさでレーザー裁断した。測定装備の上にレーザー裁断されたフィルムを載せて折りたたまれる部位の間隔が4mmになるようにし、常温でフィルムの両側を底面に対して90に折りたたんだり広げたりすることを連続動作として(フィルムが折りたたまれる速度は1.5秒当たり1回)1万回繰り返した。
【0172】
1万回繰り返した後フィルムを剥がした後長さ3mm以上のクラックが発生したかどうか(OK,NG)を観察した。クラックが発生しなかった場合、再び1万回の曲げおよびクラック発生の有無を観察することを繰り返してクラックが発生しなかった最大繰り返し回数を測定した。10万回繰り返しまでクラックが発生しない場合は曲げ耐久性が良好であると判断した。
【0173】
実験例8:曲げ安定性テスト
【0174】
曲げ耐久性テストと同様に実施例および比較例の各フィルムに対して裁断するが、エッジ(edge)部位の微細なクラックを最小化するように80x140mmの大きさでレーザー裁断した。
【0175】
固定装置の上にレーザー裁断されたフィルムを載せて折りたたまれる部位の間隔が4mmになるように固定した。フィルムの両側を底面に対して90度に折りたたんだ状態で常温で24時間放置した後、フィルムを剥がして折りたたまれた部分が下になるようにひっくり返し、その上に□形状のSUS構造物を載せてフィルムを固定した。非接触式表面屈曲度測定装備(PLUTO 681((株)DUKIN:605nmレーザー使用、resolution 0.1μm)でフィルムの形状を3Dイメージを測定し、底から浮き上がった高さZの最大値を曲げ安定性物性で測定した。
【0176】
また、フィルムの回復性を測定するために曲げ安定性物性を測定したフィルムを常温で1時間放置後再び浮き上がった高さZの最大値を測定し、折りたたまれた部分の外観変化を肉眼観察した。
【0177】
Zが0.1mm以下で折りたたまれた部分の跡などの外観変化がわずかである場合はOK、Zが0.1mmを超えたり、折りたたまれた部分に跡が多く残った場合はNGと表した。
【0178】
実施例1から5および比較例に対する前記物性測定結果を下記表6および7に示した。
【0179】
【0180】
【0181】
前記表3に示すように、実施例のフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウは、2.5以下の低い黄色指数とガラス水準の高硬度を示し、十分な柔軟性を同時に満足するが、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなく、ベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できるということが確認された。
【0182】
これに対して、比較例のカバーウインドウは実施例とは異なり、相対的に低い表面硬度を有したりまたはフレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウとして使用できるほどの曲げ耐久性を示さなかった。また、比較例のカバーウインドウは実施例に比べて低い透過率、高いヘイズまたは高い黄色指数を有することが確認された。