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特許7351451化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置
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  • 特許-化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置 図1
  • 特許-化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置 図2
  • 特許-化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 271/24 20060101AFI20230920BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20230920BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230920BHJP
   C07C 271/28 20060101ALI20230920BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20230920BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20230920BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C07C271/24 CSP
G03F7/027 513
G03F7/004 505
C07C271/28
C08G18/32 015
C08G18/67
C08F290/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022519054
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 KR2020018517
(87)【国際公開番号】W WO2021125821
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168758
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、スミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウォン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ミニョウン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528447(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199967(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/044027(WO,A2)
【文献】特開2017-146376(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0070472(KR,A)
【文献】特開2011-133851(JP,A)
【文献】特開2009-138073(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109293824(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 271/24
G03F 7/027
G03F 7/004
C07C 271/28
C08G 18/32
C08G 18/67
C08F 290/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物:
学式
【化1】
前記化学式1において、
R0およびR1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または-(C=O)R'であり、
R'は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
L2は、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
aは、2または3であり、
nは、1~10の整数であり、
L1およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記化学式2および4の連結基の少なくとも1つを含み、
学式
【化2】
学式
【化3】
前記化学式2および4において、
【化4】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r11およびr12は、それぞれ0~4の整数であり、r11が2以上の場合、R11は、互いに同一または異なり、r12が2以上の場合、R12は、互いに同一または異なり、括弧内のL2は、互いに同一または異なる。
【請求項2】
(L2)aは、下記化学式5または6である、請求項1に記載の化合物:
学式
【化5】
学式
【化6】
前記化学式5および6において、
【化7】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R5、R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r5は、0~10の整数であり、r5が2以上の場合、R5は、互いに同一または異なり、
r61は、0~4の整数であり、r61が2以上の場合、R61が互いに同一または異なり、
r62は、0~4の整数であり、r62が2以上の場合、R62は、互いに同一または異なる。
【請求項3】
L1は、前記化学式2の連結基であり、L3は、前記化学式4の連結基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
M1、M2、M5およびM6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
L4は、ヒドロキシ基で置換されたプロピレン基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物を含むバインダー樹脂。
【請求項7】
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、2,000g/mol~10,000g/molである、請求項6に記載のバインダー樹脂。
【請求項8】
請求項6または7に記載のバインダー樹脂;顔料分散液:多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含むネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
界面活性剤をさらに含む、請求項8に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記顔料分散液は、ブラック有機顔料を含む、請求項8または9に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、
前記バインダー樹脂10~30重量部;
前記顔料分散液10~35重量部;
前記多官能性モノマー1~30重量部;
前記光開始剤0.5~10重量部;および
前記溶媒30~70重量部を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックバンク。
【請求項13】
請求項12に記載のブラックバンクを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2019年12月17日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0168758号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光素子ディスプレイ(OLED Display)において絶縁層として使用される透明バンク(Bank)は、外光反射を低減するために偏光板を用いなければならない。しかし、偏光板を用いると、輝度が低下するというデメリットがある。既存の透明バンク(Bank)絶縁膜の代わりにブラック顔料を用いたブラックバンク(Bank)を適用すれば、外光反射を低減して偏光板のないディスプレイの実現の可能性が図られ、偏光板による輝度低下を低減して現在より2倍以上の輝度を実現することができる。
【0004】
ブラックバンクのパターンを実現する時、従来のリニアカルド系バインダーを用いると、膜特性が低下し、現像時間の増加時にパターン流失が発生する問題がある。
【0005】
したがって、当技術分野では、ブラックバンクのパターンを実現する時、直進性およびマージンを改善するための材料の研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、直進性、顔料分散液に対する相溶性に優れた化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1の化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
R0およびR1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または-(C=O)R'であり、
R'は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
L2は、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
aは、2または3であり、
nは、1~10の整数であり、
L1およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記化学式2および4の連結基の少なくとも1つを含み、
[化学式2]
【化2】
[化学式4]
【化3】
前記化学式2および4において、
【化4】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r11およびr12は、それぞれ0~4の整数であり、r11が2以上の場合、R11は、互いに同一または異なり、r12が2以上の場合、R12は、互いに同一または異なる。
【0008】
本明細書の一実施態様は、前記化合物を含むバインダー樹脂を提供する。
【0009】
本明細書の一実施態様は、前記バインダー樹脂;顔料分散液:多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
本明細書の一実施態様は、前記ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックバンクを提供する。
【0011】
本明細書の一実施態様は、前記ブラックバンクを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に係る化合物、これを含むバインダー樹脂および前記バインダー樹脂を含むネガ型感光性樹脂組成物は、耐現像性に優れ、架橋特性が高くて膜特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本出願の一実施態様に係るブラックバンクを含むディスプレイ装置の模式図である。
図2】本出願の一実施態様に係るネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成した塗膜の厚さを示す模式図である。
図3】実施例および比較例によるネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成した塗膜の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0015】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1の化合物を提供する。
[化学式1]
【化5】
前記化学式1において、
R0およびR1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または-(C=O)R'であり、
R'は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
L2は、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
aは、2または3であり、
nは、1~10の整数であり、
L1およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記化学式2~4の連結基の少なくとも1つを含み、
[化学式2]
【化6】
[化学式4]
【化7】
前記化学式2および4において、
【化8】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r11およびr12は、それぞれ0~4の整数であり、r11が2以上の場合、R11は、互いに同一または異なり、r12が2以上の場合、R12は、互いに同一または異なる。
【0017】
前記化学式1の化合物をバインダー樹脂に含ませ、前記バインダー樹脂は、ネガ型感光性樹脂組成物に添加して、既存のカルド系バインダー樹脂に比べて耐現像性が改善され、架橋特性が高くなって膜特性を向上させることができる。
【0018】
これは、前記化学式1の化合物がウレタン(urethane)官能基を持っていることにより、立体構造を有して耐現像性を改善させることができる。
【0019】
本明細書において、
【化9】
は、他の置換基または結合部に結合する部位を意味する。
【0020】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;-OH;-COOH;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;シクロアルケニル基;およびアリール基からなる群より選択された1個以上の置換基で置換されているか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。
【0022】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、前記アルキル基の炭素数は1~30であってもよい。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~10である。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~30である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。アルケニル基の具体例としては、スチルベニル基(stylbenyl)、スチレニル基(styrenyl)などのアリール基が置換されたアルケニル基が好ましいが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書において、シクロアルケニル基は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~10である。シクロアルケニル基の例としては、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基が好ましいが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に結合位置が2つあるものを意味する。前記アルキレン基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、例えば、炭素数1~30であってもよい。また、炭素数1~20であってもよいし、炭素数1~10であってもよい。
【0027】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、インデニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、アリーレン基は、前記アリール基に結合位置が2つあるものを意味する。
【0029】
本明細書において、シクロアルケニレン基は、前記シクロアルケニル基に結合位置が2つあるものを意味する。
【0030】
本明細書の一実施態様において、L2は、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0031】
本明細書の一実施態様において、L2は、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基;置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0032】
本明細書の一実施態様において、L2は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基;置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0033】
本明細書の一実施態様において、L2は、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基;置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基である。
【0034】
本明細書の一実施態様において、L2は、置換もしくは非置換のメチレン基;置換もしくは非置換のシクロヘキシレン基;または置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0035】
本明細書の一実施態様において、L2は、メチレン基;メチル基で置換されたシクロヘキシレン基;またはフェニレン基である。
【0036】
本明細書の一実施態様において、aは、2または3である。
【0037】
本明細書の一実施態様において、L1およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、前記化学式2~4の連結基の少なくとも1つを含む。
【0038】
前記「化学式2および4の連結基の少なくとも1つを含む」とは、前記化学式2の連結基および前記化学式4の連結基をすべて含むことを意味することができ、前記化学式2の連結基だけを含むことを意味することができ、前記化学式4の連結基だけを含むことを意味することができる。
【0039】
本明細書の一実施態様において、L1は、前記化学式2の連結基を含み、L3は、前記化学式4の連結基を含むことができる。
【0040】
本明細書の一実施態様において、L1は、前記化学式2の連結基であり、L3は、前記化学式4の連結基であってもよい。
【0041】
本明細書の一実施態様において、R0およびR1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または-(C=O)R'である。
【0042】
本明細書の一実施態様において、R0およびR1は、水素である。
【0043】
本明細書の一実施態様において、R0およびR1は、それぞれ-(C=O)R'である。
【0044】
本明細書の一実施態様において、R'は、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【0045】
本明細書の一実施態様において、R'は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、R'は、置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリール基である。
【0047】
本明細書の一実施態様において、R'は、置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0048】
本明細書の一実施態様において、R'は、ヒドロキシ基で置換されたフェニル基である。
【0049】
本明細書の一実施態様において、R'は、カルボキシル基で置換されたフェニル基である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、R'は、2個のカルボキシル基で置換されたフェニル基である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、L1およびL3は、それぞれ前記化学式2および4の連結基をすべて含む。
【0052】
本明細書の一実施態様において、L1は、前記化学式2および4の連結基をすべて含む。
【0053】
本明細書の一実施態様において、L3は、前記化学式2および4の連結基をすべて含む。
【0054】
本明細書の一実施態様において、L1およびL3がそれぞれ前記化学式2および4の連結基を含む時、前記連結基の順序が特に限定されるものではない。
【0055】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基;または置換もしくは非置換のエチレン基である。
【0060】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5、M6およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチレン基;またはエチレン基である。
【0061】
本明細書の一実施態様において、M1、M2、M5およびM6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基である。
【0062】
本明細書の一実施態様において、L4は、ヒドロキシ基で置換されたプロピレン基である。
【0063】
本明細書の一実施態様において、M1およびM2は、エチレン基である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、M5およびM6は、メチレン基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基である。
【0067】
本明細書の一実施態様において、R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である。
【0069】
本明細書の一実施態様において、R11、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のメチル基である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、R11およびR12は、水素である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、R14は、メチル基である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、r11およびr12は、それぞれ0~4の整数であり、r11が2以上の場合、R11は、互いに同一または異なり、r12が2以上の場合、R12は、互いに同一または異なる。
【0073】
本明細書の一実施態様において、(L2)aは、下記化学式5または6である。
[化学式5]
【化10】
[化学式6]
【化11】
前記化学式5および6において、
【化12】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R5、R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r5は、0~10の整数であり、r5が2以上の場合、R5は、互いに同一または異なり、
r61は、0~4の整数であり、r61が2以上の場合、R61が互いに同一または異なり、
r62は、0~4の整数であり、r62が2以上の場合、R62は、互いに同一または異なる。
【0074】
本明細書の一実施態様において、L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。
【0076】
本明細書の一実施態様において、L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0077】
本明細書の一実施態様において、L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基である。
【0078】
本明細書の一実施態様において、L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチレン基である。
【0079】
本明細書の一実施態様において、R5、R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、R5、R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、R5、R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である。
【0082】
本明細書の一実施態様において、R5、R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のメチル基である。
【0083】
本明細書の一実施態様において、R5は、水素;またはメチル基である。
【0084】
本明細書の一実施態様において、R61およびR62は、水素である。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式のいずれか1つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【化13】
【0086】
前記化学式において、nは、1~10の整数である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、2,000g/mol~10,000g/molである。好ましくは、前記重量平均分子量は、2,000g/mol~5,000g/molである。
【0088】
本明細書の一実施態様は、前記化合物を含むバインダー樹脂を提供する。
【0089】
本明細書の一実施態様において、前記バインダー樹脂は、前記化合物と共に追加のバインダー樹脂を含むか、前記化合物のみからなってもよい。この時、追加のバインダー樹脂は、当技術分野にて使用するものを採用することができ、特に限定しない。
【0090】
本明細書の一実施態様は、上述したバインダー樹脂;顔料分散液:多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0091】
本明細書の一実施態様において、前記多官能性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーが使用できる。
【0092】
本明細書の一実施態様において、前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーの例としては、分子中に少なくとも1個または2個以上の付加重合可能な不飽和基を有し、沸点が100℃以上の化合物、またはカプロラクトンを導入した多官能性モノマーなどがある。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記分子中に少なくとも1個または2個以上の付加重合可能な不飽和基を有し、沸点が100℃以上の化合物の非制限的な例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、またはフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの多官能性モノマー、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能性モノマーなどがある。
【0094】
本明細書の一実施態様において、前記カプロラクトンを導入した多官能性モノマーの非制限的な例としては、ジペンタエリスリトールにカプロラクトンを導入した場合、テトラヒドロフリルアクリレートにカプロラクトンを導入した場合、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートにカプロラクトンを導入した場合、ビスフェノールA誘導体にカプロラクトンを導入した場合、ウレタン系の多官能性モノマーにカプロラクトンを導入した場合などがある。
【0095】
具体的には、前記カプロラクトンを導入した多官能性モノマーとして、ジペンタエリスリトールにカプロラクトンを導入したKAYARAD DPCA-20、30、60、120などとFA-2D、FA1DT、FA-3などがあり、テトラヒドロフリルアクリレートにカプロラクトンを導入したKAYARAD TC-110S、またはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートにカプロラクトンを導入したKAYARAD HX-220、KAYARAD HK-620などを使用することができる。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記カプロラクトンを導入した多官能性モノマーとして、その他、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリレート、ノボラック-エポキシアクリレートにカプロラクトンを導入したものもあり、ウレタン系の多官能性アクリレートであるU-324A、U15HA、U-4HAなどにカプロラクトンを導入したものも使用することができる。
【0097】
本明細書の一実施態様において、前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーは、単独または2種以上を混合して使用してもよい。
【0098】
本明細書の一実施態様において、前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーは、ネガ型感光性樹脂組成物の総重量に対して1重量%~30重量%だけ含まれることが好ましい。その含有量が1重量%以上の場合、光感度や絶縁膜の強度に有利であり、30重量%以下の場合、塗膜の粘着性が過度になるのを防止し、絶縁膜の強度低下および現像時のパターン消失を防止することができる。
【0099】
本明細書の一実施態様において、前記顔料分散液は、ブラック有機顔料を含む。
【0100】
前記ブラック有機顔料とは、有機物からなり、単一種として可視光線波長帯の光を吸収して黒色系の色相を呈する顔料を意味する。ブラック顔料として有機顔料を用いることにより、既存の2種以上の組み合わせ顔料または無機顔料に比べて少ない量でも所望の光学密度(OD)を達成することができる。本明細書の実施態様に係る組成物は、ブラック有機顔料として1種または2種以上を含むことができる。
【0101】
一実施態様によれば、前記ブラック有機顔料としてラクタム系顔料またはペリレン系顔料が使用できる。
【0102】
一例によれば、ブラック有機顔料は、下記化学式11または12の化合物を含む。
[化学式11]
【化14】
前記化学式11において、
Raは、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
、R、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOR、-CONR、-OR、-OOCR、-OOCNR、OH、CN、NO、NR、-NRCOR、-N=CR、-SR、-SOR、-SO(x=1~3)、または-SONRであるか、RとR、RとR、またはRとRとが直接結合であるか、O、S、またはNRブリッジを介して互いに結合して環を形成し、
Rbは、N、O、S、CO、およびCOOのうちの1つを含む単一または多重環基であり、
およびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C2-C12アルケニル、C3-C12シクロアルケニル、またはC2-C12アルキニルであり、これらを構成する-CH-、-CH=および-C≡の少なくとも1つが-COO-、-O-、-CONR10-、=N-、-NR10-、-S-、または-CO-で置換されるか、炭素に結合した水素の少なくとも1つがハロゲン基、-COOR10、-CONR1011、-OR10、-OOCR10、-OOCNR1011、OH、CN、NO、-NR10COR11、-N=CR1011、SR10、-SOR10、-SO10(x=1~3)、-SONR1010、または-NR1011で置換されていてもよく、ここで、R10およびR11は、それぞれ独立して、C1~C6アルキルであるか、O、S、またはNHを含む基である。
【0103】
前述した化学式11の置換基に関する説明は、前記化学式11についてのみ適用される。
【0104】
[化学式12]
【化15】
前記化学式12において、
11およびR13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1~C12アルキル、C3~C12シクロアルキル、C6~C12アリール基、またはC3-C12のヘテロアリール基であり、これらを構成する-CH-および-CH=の少なくとも1つが=N-、-N=N-、-O-、-CO-、-COO-、または-NR15-で置換されるか、炭素に結合した水素の少なくとも1つがハロゲン、-OR15、CN、またはNOで置換されていてもよいし、R15は、H、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニルまたはフェニルであり、R12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはNR16であり、R16は、C1~C12アルキルまたはC2~C12アルケニルであり、
11とR12またはR13とR14とが結合して環(cyclic)を形成してもよく、
ReおよびRfは、ハロゲン基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数である。
【0105】
前述した化学式12の置換基に関する説明は、前記化学式12についてのみ適用される。
【0106】
一例によれば、前記化学式11のRbは、下記構造式であってもよい。
【化16】
前記構造式において、RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、CH、CF、F、またはClである。
【0107】
一例によれば、前記化学式11は、下記構造式であってもよい。
【化17】
【0108】
前記化学式11の化合物の代表的な製品としては、バスフ社の顔料IRGAPHOR Bk S0100CFがあり、前記化学式12の代表例としては、C.I.顔料ブラック31、32などがある。
【0109】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記顔料分散液は、400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料を1種以上さらに含む。この時、ブラック有機顔料と400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料との重量比は、100:0~90:10であってもよい。
【0110】
一実施態様によれば、400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料は、イエロー系顔料、オレンジ系顔料、ブラウン系顔料、およびレッド系顔料の少なくとも1つを含むことができる。具体的には、前記400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料は、C.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow138、C.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow139、C.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow150、C.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow151、C.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow83、C.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow93、およびC.I.ピグメントイエロー(Pigment yellow110などのイエロー(yellow系と、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red123、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red149、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red178、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red179、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red224、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red139、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red143、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red166、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red242、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red175、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red176、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red177、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red185、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red208、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red254、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red255、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red264、C.I.ピグメントレッド(Pigment Red272、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange36、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange62、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange64、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange72、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange71、C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange73、C.I.ピグメントブラウン(Pigment Brown23、C.I.ピグメントブラウン(Pigment Brown41、C.I.ピグメントブラウン(Pigment Brown42などがある。
【0111】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記顔料分散液は、塗膜内の含有量50重量%使用を基準として、体積抵抗が1011オーム・cm以上を有する高抵抗カーボンブラックをさらに含むことができる。ブラック有機顔料と高抵抗カーボンブラックとの重量比は、99.5:0.5~90:10であってもよい。
【0112】
本出願のもう一つの実施態様において、前記光開始剤は、光によってラジカルを発生させる役割を果たす材料であって、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物からなる群より選択される化合物を1種または2種以上混合して使用することが好ましい。
【0113】
前記光開始剤として使用可能なアセトフェノン系化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(4-ブロモ-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンからなるグループより選択されるものを使用することができる。
【0114】
ビイミダゾール系化合物としては、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、および2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4,5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾールからなるグループより選択されたものが使用できる。
【0115】
トリアジン系化合物としては、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3,-ブタジエニル-s-トリアジン、および2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジンからなるグループより選択されたものが使用できる。
【0116】
オキシム系化合物としては、1,2-オクタジオン-1-(4-フェニルチオ)フェニル-2-(o-ベンゾイルオキシム)(チバガイギー社、CGI124)、エタノン-1-(9-エチル)-6-(2-メチルベンゾイル-3-イル)-1-(o-アセチルオキシム)(CGI242)、オキシムOX-03(チバガイギー社)、NCI-831(アデカ社)、PI-102(LG化学)、PBG304、PBG305、PBG3057(トロンリー社)などがある。
【0117】
前記光開始剤は、前記ネガ型感光性樹脂組成物の総重量に対して0.5重量%~10重量%だけ含まれることが好ましい。より好ましくは、前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマー100重量部に対して10~300重量部(全体光開始剤の使用量基準)使用するのが良いし、特に、樹脂組成物の総重量に対して、アセトフェノン系化合物0.5重量%~5重量%を単独で使用するか、オキシム系開始剤として0.01重量%~3重量%を追加的に混合して使用してもよい。
【0118】
前記光開始剤には、補助成分としてラジカルの発生を促進させる光架橋増感剤を樹脂組成物の総重量に対して0.01重量%~5重量%、または硬化を促進させる硬化促進剤0.01重量%~5重量%が追加的に含まれてもよい。
【0119】
前記光架橋増感剤としては、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2-メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニルペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;ベンジル、1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジオン、9,10-フェナントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;メチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのベンゾフェノン系化合物;2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)-4-メチル-シクロペンタノンなどのアミノシナジスト;3,3-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、10,10-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-C1]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物;4-ジエチルアミノカルコン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;2-ベンゾイルメチレン、または3-メチル-b-ナフトチアゾリンなどを使用することができる。
【0120】
また、前記硬化促進剤としては、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-4,6-ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-トリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール-トリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン-トリス(2-メルカプトアセテート)、またはトリメチロールプロパン-トリス(3-メルカプトプロピオネート)などを使用することができる。
【0121】
本出願のもう一つの実施態様において、前記溶媒は、溶解性、顔料分散性、塗布性などを考慮する時、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、2-ヒドロキシエチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、メチル-3-エトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、ブチルアセテート、アミルホルメート、イソアミルアセテート、イソブチルアセテート、ブチルプロピオネート、イソプロピルブチレート、エチルブチレート、ブチルブチレート、エチルピルベート、またはγ-ブチロールアセテートなどを使用することができる。前記溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0122】
前述した実施態様に係るネガ型感光性樹脂組成物は、本発明の目的に悪影響を及ぼさない限り、追加的に添加剤を含むことができる。例えば、分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱重合防止剤、およびレベリング剤からなる群より1種以上選択される添加剤が追加的に使用できる。
【0123】
前記分散剤は、予め顔料を表面処理する形態で顔料に内部添加させる方法、または顔料に外部添加させる方法で使用することができる。前記分散剤としては、高分子型、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性分散剤を使用することができる。このような分散剤の非制限的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、またはアルキルアミンなどがある。これらは、単独で添加するか、2以上組み合わせて添加されてもよい。
【0124】
前記密着促進剤の非制限的な例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)-シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、または3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。
【0125】
前記酸化防止剤の非制限的な例としては、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2,6-g,t-ブチルフェノールなどがあり、前記紫外線吸収剤の非制限的な例としては、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、またはアルコキシベンゾフェノンなどがある。また、前記熱重合防止剤の非制限的な例としては、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2-メルカプトイミダゾールなどがある。
【0126】
本明細書の一実施態様は、前記ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、前記バインダー樹脂10~30重量部;前記顔料分散液10~35重量部;前記多官能性モノマー1~30重量部;前記光開始剤0.5~10重量部;および前記溶媒30~70重量部を含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0127】
前記ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる各構成要素が前述した含有量範囲を満足する場合、前記ネガ型感光性樹脂組成物のコーティング性が向上して均一な厚さのブラックバンクを製造することができる。
【0128】
前述した実施態様に係るネガ型感光性樹脂組成物は、前述した成分を混合して製造できる。
【0129】
一例によれば、まず、顔料分散液を製造する。分散液状態で市販される顔料を用いることにより、顔料分散液の製造に代えることができる。前記顔料分散液に前記バインダー樹脂を混合し、多官能性モノマー、光開始剤、および溶媒を添加し撹拌して、前記ネガ型感光性樹脂組成物を製造することができる。
【0130】
前述した実施態様に係る感光性樹脂組成物はネガ型であるので、紫外線感度が高いと同時にパターンの残渣がない材料を使用することができる。一例によれば、前記樹脂組成物は、厚さ2μmの塗膜の形成時、体積抵抗が1012オーム・cm以上であり、誘電率が3~6であってもよい。もう一つの例によれば、厚さ2μmの塗膜の形成時、380nm~600nmにおける光透過率が1%未満であり、光学密度(OD)が1/μm以上であってもよい。
【0131】
本明細書の一実施態様は、前記ネガ型樹脂組成物を用いて形成されたブラックバンクを提供する。
【0132】
本明細書の一実施態様は、前記ブラックバンクを含むディスプレイ装置を提供する。
【0133】
図1は、本発明に係るブラックバンクを含むディスプレイ装置の模式図である。
【0134】
前記ブラックバンクを形成する方法の一例は、次の通りである。
【0135】
前述したネガ型感光性樹脂組成物を基板の表面に塗布し、プリベーク(pre-bake)によって溶媒を除去することにより膜を形成することができる。前記塗布方法としては、スプレー(spray)法、ロール(roll)コーティング法、回転(spin)コーティング法、バー(bar)コーティング法、スリット(slit)コーティング法などの方法を使用することができる。プリベークの条件は、組成物の配合成分と比率によって異なるが、通常、70~150℃で0.5~30分間施すことができる。
【0136】
次に、プリベークされた塗布膜を所定のパターンマスクを介して紫外線などの放射線を照射し、アルカリ水溶液によって現像して不必要な部分を除去してパターンを形成する。現像方法としては、ディッピング(dipping)法、シャワー(shower)法などを制限なく適用可能である。現像時間は、通常、30~180秒程度である。前記現像液には、アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類;エチルアミン、N-プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アルコールアミン類;ピロール、ピペリジン、n-メチルピペリジン、n-メチルピロリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンなどの環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリンなどの芳香族3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などを使用することができる。
【0137】
現像後、流水洗浄を約30~90秒間行い、空気または窒素で乾燥させることによりパターンを形成する。このパターンをホットプレート(hot plate)、オーブン(oven)などの加熱装置を用いてポストベーク(post-bake)により完成したブラックバンクを得ることができる。この時、ポストベークの条件は、150~230℃で10~90分程度加熱することが好ましい。
【0138】
完成したブラックバンクは、体積抵抗が1012オーム・cm以上であり、誘電率が3~6であり、光学密度(OD)が1/μm~2/μmである。
【0139】
一実施態様に係る有機発光素子を含むディスプレイ装置の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記のように製造することができる。
【0140】
ガラスなどの透明基板上にITO(酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide)などの透明電極をスパッタリング(sputtering)で蒸着し、PR塗布、露光、現像、エッチング、PR除去などの過程を経てパターン化された透明電極を形成した後、前述したネガ型感光性樹脂組成物を用いてブラックバンクを形成する。
【0141】
例えば、前述したネガ型感光性樹脂組成物を電極が形成された基板にコーティングして塗膜を形成し、フォトマスクなどと紫外線を含む放射線を用いて露光させた後、前記露光した基板を現像し洗浄した後、乾燥させてパターン化することができる。次に、形成されたブラックバンク上に各画素の区分のための隔壁を形成することができる。
【0142】
その後、有機薄膜を単層または多層に蒸着する。前記有機薄膜は、発光層を含み、必要に応じて他の電荷輸送または電荷ブロックのための層、例えば、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、正孔輸送層、正孔注入層、および/または電子ブロック層をさらに含むことができる。その後、金属電極層を蒸着する。次に、中空構造のSUS缶と前記基板をエポキシ樹脂などの封止材(密封剤)で封止(密封)した後、モジュールに組立てることで、有機発光素子を含むディスプレイ装置を製造することができる。
【0143】
前記ディスプレイ装置は、図2のように、カラーパターン(a)と、前記カラーパターン上に備えられたオーバーコート層(b)と、前記オーバーコート層上に備えられたブラックバンクとを含み、前記ブラックバンクの厚さの差は、0.5~2μmであってもよい。前記ディスプレイ装置は、カラーパターン層が存在しないホワイトピクセル(d)をさらに含むことができる。この場合にも、ブラックバンクの厚さの均一性が維持できる。具体的には、カラーフィルタのピクセルの積層部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さ(f1)は0.5~2μm、カラーフィルタのピクセルの平坦部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さ(f2)、およびホワイトピクセル上に形成されたブラックバンクの厚さ(f3)は、それぞれ1~3μmであってもよいし、f3-f1は、0.5~2μmであってもよい。
【0144】
具体的には、図2にブラックバンクが形成された構造を例示した。図2に示されるように、ブラックバンクが適用される下部基板は、すでにカラーフィルタ(a)、オーバーコート層(b)、メタル電極(c)、メタルライン(e)などが積層されている。一例によれば、前記メタルライン(e)は、薄膜トランジスタ(TFT)のゲートとして役割を果たすことができる。この時、図1の積層構造における電流の流れ方向をみると、薄膜トランジスタ(TFT)のゲートであるメタルライン(e)を介して電流が印加されて、陽極の役割を果たすメタル電極(c)を経て、有機発光層および陰極に流れていく。例えば、カラーフィルタは、通常、2-2.5μm、オーバーコート層は1-3μm、メタル電極は500~2,000オングストロームの厚さに形成される。図2にて、b1は、カラーフィルタのピクセルの平坦部上のオーバーコート層の厚さであり、b2は、カラーフィルタのピクセルの積層部のオーバーコート層の厚さである。
【0145】
特に、最近、透過度改善の目的でホワイトピクセル(d)が追加される。図2にて、f1は、カラーフィルタのピクセルの積層部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さであり、f2は、カラーフィルタのピクセルの平坦部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さであり、f3は、ホワイトピクセル上に形成されたブラックバンクの厚さである。各カラー層が接して積層された部分におけるブラックバンクの厚さ(f1)と、オーバーコート層で満たされたホワイトピクセル部上のブラックバンクの厚さ(f3)との差が激しく発生する。
【0146】
このようなブラックバンクが適用される基板の積層構造の厚さの差によって表面屈曲が激しく、このため、ブラックバンク用樹脂組成物を用いた塗膜の形成時、屈曲が高いカラー積層部では組成物が流れ落ちて一定高さのブラックバンクを形成することが容易でない。しかし、本発明では、前記化学式1の化合物を用いることによりネガ型感光性樹脂組成物の流れ特性が改善されて、表面屈曲が激しい表面のうち屈曲の高い部分に感光性樹脂組成物をコーティングしても流れ落ちることなく一定厚さのブラックバンクを形成することができる。
【0147】
図3は、実施例および比較例によるネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成した塗膜表面の現像時間による走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。実施例1~3の塗膜の厚さは1.5μm~1.6μmであって、現像時間が長くなっても塗膜の厚さが減少したりパターンが流失しない。比較例1は、現像時間の経過に応じて塗膜の厚さが減少し、比較例2は、現像時間の経過に応じてパターンが流失する。これによって、本明細書に係る化学式1の化合物を含むバインダー樹脂をネガ型感光性樹脂組成物に適用することにより、前記バインダー樹脂の架橋サイトの増加で膜特性が向上し、耐現像性に優れていることを確認することができる。
【0148】
本明細書の一実施態様において、前記ネガ型感光性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含む。
【0149】
前記界面活性剤としては、フッ素系またはシリコーン系界面活性剤が使用できる。具体的には、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤が使用できる。前記界面活性剤は、前記ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として0.1~10重量部含まれる。
【0150】
従来のネガ型樹脂組成物は、フッ素系またはシリコーン系界面活性剤を500ppm以上使用している。本出願の実施態様によれば、フッ素系またはシリコーン系界面活性剤を50ppm以上450ppm以下で使用することができる。この場合、下部コーティング基板の屈曲が激しい場合にも、表面のレベリング効果が制御されて、前記屈曲上で一定以上の厚さを形成することができる。50ppm未満を使用する場合には、カラーフィルタの積層部分におけるブラックバンクの厚さ(f1)形成が可能であっても表面平坦化効果がほとんどなくて、表面欠点が発生することがあり、コーティング基板の角にビーズが厚く形成されて、後続工程で問題を誘発することがある。450ppm超過で使用する場合には、平坦化効果が過度に良くて、カラーフィルタの積層部分におけるブラックバンクの厚さ(f1)形成に不利である。本出願のもう一つの実施態様において、前記アルカリ可溶性樹脂バインダーとしては、酸基(acid functional group)を含むモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合によって形成された共重合体を使用することができる。前記のような共重合による場合、単独重合によって製造された樹脂よりフィルムの強度を高めることができる。あるいは、前記形成された共重合体とエポキシ基を含有したエチレン性不飽和化合物との高分子反応によって製造される高分子化合物を使用してもよい。また、前記共重合体構造にエポキシ基を含有したエチレン性不飽和化合物が結合して形成された高分子化合物を共に使用してもよい。
【0151】
前記酸基を含むモノマーの非制限的な例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸などがある。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0152】
前記酸基を含むモノマーと共重合可能なモノマーの非制限的な例としては、スチレン、クロロスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、β-(メタ)アシロールオキシエチルヒドロゲンスクシネート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、N-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミドなどがある。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0153】
また、酸基(acid functional group)を含むモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体と高分子反応できるエポキシ基を含有したエチレン性不飽和化合物の非制限的な例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4-メチル-4,5-エポキシペンテン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ノルボルニル誘導体などがある。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【実施例
【0154】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0155】
製造例
【0156】
バインダー樹脂A1の製造
【化18】
【0157】
250mlの丸底フラスコ(Round bottom flask)にカルド(cardo)系ジアルコール(dialcohol)単量体であるBPEF(9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-(2-hydroxyethoxy)phenyl)fluorne))42.88g、BisMPA(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2,2-Bis(hydroxymethyl)propionic Acid)7.06g、ジイソシアネート(diisocyanate)単量体であるイソホロンジイソシアン酸(IPDI)希釈液(溶媒プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)20wt%)100.31g、およびトリフェニルホスフィン(TPP)触媒0.70gを入れて、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)49.75gを入れてよく撹拌した。窒素雰囲気下、125℃に昇温して、昇温時間を含めて24時間反応させた。以後、グリシジルメタクリレート(GMA)単量体3.85gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)9.09gを投入し、同じ温度でオーバーナイト(overnight反応を進行させて、バインダー樹脂A1を製造した。
【0158】
回収した重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認し、2800g/molであった。
【0159】
バインダー樹脂A2の製造
【化19】
【0160】
250mlの丸底フラスコ(Round bottom flask)にカルド(cardo)系ジアルコール(dialcohol)単量体であるBPEF(9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-(2-hydroxyethoxy)phenyl)fluorne))42.88g、BisMPA(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2,2-Bis(hydroxymethyl)propionic Acid)7.06g、ジイソシアネート(diisocyanate)単量体であるイソホロンジイソシアン酸(IPDI)希釈液(溶媒プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)20wt%)100.31g、およびトリフェニルホスフィン(TPP)触媒0.70gを入れて、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)49.75gを入れてよく撹拌した。窒素雰囲気下、125℃に昇温して、昇温時間を含めて24時間反応させた。以後、グリシジルメタクリレート(GMA)単量体3.85gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)9.09gを投入し、同じ温度でオーバーナイト(overnight反応を進行後、常温まで冷やして、トリメリティックアンハイドライド(TMA)単量体5.55gとPGMEA11.11gを投入し、125℃に昇温してオーバーナイト(overnight反応を進行させて、バインダー樹脂A2を製造した。
【0161】
回収した重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認し、2500g/molであった。
【0162】
バインダー樹脂A3の製造
【化20】
【0163】
250mlの丸底フラスコ(Round bottom flask)にカルド(cardo)系ジアルコール(dialcohol)単量体であるBPEF(9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-(2-hydroxyethoxy)phenyl)fluorne))42.88g、BisMPA(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2,2-Bis(hydroxymethyl)propionic Acid)7.06g、3,3'-メチレンジアニリン(3,3'-methylenedianiline18.83g、およびトリフェニルホスフィン(TPP)触媒0.70gを入れて、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)49.75gを入れてよく撹拌した。窒素雰囲気下、125℃に昇温して、昇温時間を含めて24時間反応させた。以後、グリシジルメタクリレート(GMA)単量体3.85gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)9.09gを投入し、同じ温度でオーバーナイト(overnight反応を進行させて、バインダー樹脂A3を製造した。
【0164】
回収した重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認し、4300g/molであった。
【0165】
バインダー樹脂R1の製造
【化21】
【0166】
250mlの丸底フラスコ(Round bottom flask)にカルド(cardo)系ジアルコール(dialcohol)単量体であるBPEF(9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-(2-hydroxyethoxy)phenyl)fluorne))42.88g、BisMPA(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2,2-Bis(hydroxymethyl)propionic Acid)7.06g、ジイソシアネート(diisocyanate)単量体であるイソホロンジイソシアン酸(IPDI)希釈液(溶媒プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)20wt%)100.31g、およびトリフェニルホスフィン(TPP)触媒0.70gを入れて、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)49.75gを入れてよく撹拌した。窒素雰囲気下、125℃に昇温して、昇温時間を含めて24時間反応させて、バインダー樹脂R1を製造した。
【0167】
回収した重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認し、2600g/molであった。
【0168】
バインダー樹脂R2の製造
【化22】
【0169】
250mlの丸底フラスコ(Round bottom flask)にカルド(cardo)系ジアルコール(dialcohol)単量体であるBPEF(9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-(2-hydroxyethoxy)phenyl)fluorne))42.88g、BisMPA(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(2,2-Bis(hydroxymethyl)propionic Acid)7.06g、3,3'-メチレンジアニリン(3,3'-methylenedianiline18.83g、およびトリフェニルホスフィン(TPP)触媒0.70gを入れて、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)49.75gを入れてよく撹拌した。窒素雰囲気下、125℃に昇温して、昇温時間を含めて24時間反応させて、バインダー樹脂R2を製造した。
【0170】
回収した重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認し、4000g/molであった。
【0171】
実施例および比較例
下記表1に記載の成分でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、下記表1に記載の各成分の重量部および溶媒30重量部を含ませて組成物を製造した。
【0172】
製造したネガ型感光性樹脂組成物を下記の条件で硬化させた後、評価して、その結果を下記表1に記載した。
【0173】
スピンコーティング(Spin coating)後、ソフトベーク(soft bake)をした後、露光器を用いて露光(exposure)後、現像液(2.38wt%TMAH sol.)で現像した後、ポストベーク(post bake)を進行させた。
【0174】
レジスト(Resist評価条件:SOB(ソフトベーク(soft bake)100℃/120s、PB(ポストベーク(post bake)230℃/30m、厚さ0.5~2.0μm、露光(exposure:70mJ/cm 投影(projection現像(development:23℃、2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(TMAH solution)、パドル(puddleDI水リンス(DI water rinse
【0175】
[残渣]
残渣なし(◎):走査電子顕微鏡(SEM)で観測時、画面内に残渣がなかったり1個以下(残渣なし)、
少ない(○):2個以上5個以下(少ない)、
普通(△):5個以上であるが微細残渣のみ存在(普通)、
多い(X):5個以上の微細残渣および大型残渣存在
【0176】
[厚さ減少評価]
厚さ減少(O):走査電子顕微鏡(SEM)観察時、既存の現像時間対比20秒さらに現像する場合に厚さ減少
厚さ保持(X):走査電子顕微鏡(SEM)観察時、既存の現像時間対比20秒さらに現像する場合に厚さ減少せず
【0177】
[パターン流失評価]
パターン流失(O):走査電子顕微鏡(SEM)観察時、既存の現像時間対比20秒さらに現像する場合にパターン流失
パターン保持(X):走査電子顕微鏡(SEM)観察時、既存の現像時間対比20秒さらに現像する場合にパターン流失せず
【0178】
【表1】
-顔料分散液:顔料分散液の総重量を基準として顔料ラクタムブラック(Lactam black(バスフ社)を30重量%含む(溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
-多官能性モノマー:V-802(大阪有機化学工業社)
-光開始剤:OXE-03(バスフ社)
-界面活性剤:シリコーン系界面活性剤BYK-307
【0179】
前記表1によれば、実施例1~3は、比較例1および2より残渣が少なく、厚さ減少およびパターン流失が発生しないことを確認することができた。これにより、本明細書に係る前記化学式1の化合物を含むバインダー樹脂および前記バインダー樹脂を含むネガ型感光性樹脂組成物は、耐現像性に優れ、架橋特性が高くて膜特性を向上させることができることを確認した。
図1
図2
図3