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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】反発係数測定機、及び硬さ測定機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/52 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G01N3/52
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019205094
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021076538
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】沼里 龍
(72)【発明者】
【氏名】川添 勝
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-090432(JP,A)
【文献】特開平10-239228(JP,A)
【文献】特開平06-323978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の反発係数を測定する反発係数測定機において、
前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を弾性部材で保持するホルダと、
前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、
前記インパクト球が前記測定対象物に衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、
前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて反発係数を計算する演算部と、
を備え、
前記ホルダのいずれかの側面にエアー抜きのための孔が空けられていて、
前記弾性部材は、前記ホルダに対して交換可能な別部材であって、前記ホルダの軸方向端部に配置される、
ことを特徴とする反発係数測定機。
【請求項2】
前記弾性部材は、環状であり、前記インパクト球を径方向内側に付勢する、
ことを特徴とする請求項1に記載の反発係数測定機。
【請求項3】
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記筒部は、内周面の全周に亘って径方向内側から径方向外側に凹む溝部を有し、
前記弾性部材は、前記溝部に嵌り、
前記弾性部材の少なくとも一部は、前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の反発係数測定機。
【請求項4】
前記弾性部材は、全周に亘って前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の反発係数測定機。
【請求項5】
前記弾性部材は、周方向の少なくとも1個所以上で前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する突起部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の反発係数測定機。
【請求項6】
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、
前記弾性部材は、前記筒部の外周面に嵌り、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の反発係数測定機。
【請求項7】
前記ホルダは、前記貫通孔を周方向に等間隔で複数有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の反発係数測定機。
【請求項8】
押しピンを更に備え、
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、
前記押しピンは、前記貫通孔に嵌り、
前記弾性部材は、前記筒部の外周面で前記押しピンの径方向外側の端部に嵌り、
前記押しピンは、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の反発係数測定機。
【請求項9】
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、
前記弾性部材は、前記筒部の外周面に嵌り、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の反発係数測定機。
【請求項10】
前記弾性部材は、軸方向に沿って延びる板ばねである、
ことを特徴とする請求項9に記載の反発係数測定機。
【請求項11】
押しピンを更に備え、
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、
前記押しピンは、前記貫通孔に嵌り、
前記弾性部材は、前記筒部の外周面で前記押しピンの径方向外側の端部を径方向内側に付勢し、
前記押しピンは、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の反発係数測定機。
【請求項12】
前記ホルダは、前記インパクト球の位置決めを行う位置決め部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の反発係数測定機。
【請求項13】
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記位置決め部は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、前記筒部の内径が、前記インパクト球の直径よりも大きい第1の内径から前記インパクト球の直径よりも小さい第2の内径へと徐々に縮小するテーパ部である、
ことを特徴とする請求項12に記載の反発係数測定機。
【請求項14】
測定対象物の反発係数を測定する反発係数測定機において、
前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を保持するホルダと、
前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、
前記インパクト球が前記測定対象物に衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、
前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて反発係数を計算する演算部と、を備え、
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記射出機構は、前記インパクト球よりも軸方向他方側に配置されて前記筒穴を軸方向に移動可能な押出部材と、前記押出部材に軸方向一方側に向けた付勢力を加える付勢部と、前記押出部材の軸方向一方側への移動を規制する規制部と、を有し、
前記押出部材は、軸方向一方側の小径部と、前記小径部よりも軸方向他方側で前記小径部よりも大径の大径部と、前記小径部と前記大径部との径の違いによる段差である段差部と、を有し、
前記規制部は、前記段差部に係合可能な係合部材である、
ことを特徴とする反発係数測定機。
【請求項15】
前記筒部は、前記インパクト球よりも軸方向他方側且つ前記押出部材よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項14に記載の反発係数測定機。
【請求項16】
測定対象物の硬さを測定する硬さ測定機において、
前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を弾性部材で保持するホルダと、
前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、
前記インパクト球が前記測定対象物に衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、
前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて硬さを計算する演算部と、
を備え、
前記ホルダのいずれかの側面にエアー抜きのための孔が空けられていて、
前記弾性部材は、前記ホルダに対して交換可能な別部材であって、前記ホルダの軸方向端部に配置される、
ことを特徴とする硬さ測定機。
【請求項17】
測定対象物の硬さを測定する硬さ測定機において、
前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を保持するホルダと、
前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、
前記インパクト球が前記測定対象物に衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、
前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて硬さを計算する演算部と、を備え、
前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、
前記射出機構は、前記インパクト球よりも軸方向他方側に配置されて前記筒穴を軸方向に移動可能な押出部材と、前記押出部材に軸方向一方側に向けた付勢力を加える付勢部と、前記押出部材の軸方向一方側への移動を規制する規制部と、を有し、
前記押出部材は、軸方向一方側の小径部と、前記小径部よりも軸方向他方側で前記小径部よりも大径の大径部と、前記小径部と前記大径部との径の違いによる段差である段差部と、を有し、
前記規制部は、前記段差部に係合可能な係合部材である、
ことを特徴とする硬さ測定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料にインパクト球を衝突させて試料の反発係数を測定する反発係数測定機、及び試料の硬さを測定する硬さ測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インパクト球を試料に向かって射出させ、このインパクト球の衝突直前の速度と、衝突して反発した直後の速度との比から、試料の反発係数や硬さを測定する測定機が知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1では、硬さ計において、インパクト球としての圧子ハンマーの速度を検出する方法の改善について開示している。
【0004】
また、特許文献2では、インパクト球としての圧子を試料に向けて射出する際に、圧子をホルダの前端で保持することを開示している。ホルダの前端は、軸線と平行に延びるスリットが形成されることにより、複数の分割部から構成されており、従ってこのホルダは、圧子の外周面を複数の分割部で保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-239230号公報
【文献】特開2017-90432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
試料の反発係数や硬さを測定する測定機においては、インパクト球を安定して所定の速度で射出することにより、試料の反発係数や硬さを測定した測定値の精度を高めることが出来る。
【0007】
これに対して特許文献1に記載の発明では、圧子ハンマーを射出する機構の細部については開示がなく、インパクト球を安定して射出することについて改善の余地があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明では、球形の圧子をホルダの前端の複数の分割部で保持することを開示しているものの、例えば複数の分割部の内径寸法の僅かな違いにより圧子を保持する保持力が異なることが考えられ、組み立て時に複数の分割部の寸法や開度の微妙な調節となり、改善の余地があった。
【0009】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、インパクト球の安定した射出について改善した反発係数測定機、及び硬さ測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、測定対象物の反発係数を測定する反発係数測定機において、前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を弾性部材で保持するホルダと、前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、前記インパクト球が前記測定対象物に衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて反発係数を計算する演算部と、を備え、前記ホルダのいずれかの側面にエアー抜きのための孔が空けられていて、前記弾性部材は、前記ホルダに対して交換可能な別部材であって、前記ホルダの軸方向端部に配置される、ことを特徴とする。
本発明によれば、インパクト球の安定した射出について改善した反発係数測定機、及び硬さ測定機を提供することが出来る。
すなわち本発明によれば、弾性部材がホルダと別部材であることで、ホルダ自体の調節は必要なく、別部材である弾性部材の寸法により、インパクト球を保持する保持力の調節を容易に行うことが出来、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
また本発明によれば、弾性部材の弾性だけでインパクト球を保持することが出来る。
また本発明によれば、インパクト球を保持する構造が単純なので、性能が安定していて、かつ、製造コストを低く抑えることが出来る。
また本発明によれば、保持力が弱まった場合には弾性部材を交換すればよく、交換部品が少なくて済む。
また本発明によれば、エアー抜きのための孔が空けられているので、射出機構により圧縮されたエアーで間違ってインパクト球が飛び出してしまうことを防ぐことができる。
【0011】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記弾性部材は、環状であり、前記インパクト球を径方向内側に付勢する、ことを特徴とする。
本発明によれば、インパクト球が弾性部材によって径方向内側に付勢されて保持されることで、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0012】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記筒部は、内周面の全周に亘って径方向内側から径方向外側に凹む溝部を有し、前記弾性部材は、前記溝部に嵌り、前記弾性部材の少なくとも一部は、前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、インパクト球の外周面を、ホルダの内周で保持することで、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0013】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記弾性部材は、全周に亘って前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、インパクト球の外周面を、ホルダの内周の全周で保持することで、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0014】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記弾性部材は、周方向の少なくとも1個所以上で前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する突起部を有する、
本発明によれば、インパクト球の外周面を、ホルダの内周の複数個所で保持することで、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
本発明によれば、突起の数や突出量で保持力の調整がし易い。
【0015】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記弾性部材は、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、前記弾性部材は、前記筒部の外周面に嵌り、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、弾性部材をホルダの外周に装着するので、組み立て作業を容易にすることが出来る。また、弾性部材の交換を容易に行うことが出来る。
【0016】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記ホルダは、前記貫通孔を周方向に等間隔で複数有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、周方向の複数個所でインパクト球の外周面を複数個所で保持することで、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0017】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、押しピンを更に備え、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、前記押しピンは、前記貫通孔に嵌り、前記弾性部材は、前記筒部の外周面で前記押しピンの径方向外側の端部に嵌り、前記押しピンは、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、弾性部材をホルダの外周に装着するので、組み立て作業を容易にすることが出来る。また、弾性部材の交換を容易に行うことが出来る。
【0018】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、前記弾性部材は、前記筒部の外周面に嵌り、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、弾性部材をホルダの外周に装着するので、組み立て作業を容易にすることが出来る。また、弾性部材の交換を容易に行うことが出来る。
【0019】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記弾性部材は、軸方向に沿って延びる板ばねである、ことを特徴とする。
本発明によれば、板ばねによってインパクト球の外周面を保持することで、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0020】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、押しピンを更に備え、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記筒部は、周方向の所定箇所で径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有し、前記押しピンは、前記貫通孔に嵌り、前記弾性部材は、前記筒部の外周面で前記押しピンの径方向外側の端部を径方向内側に付勢し、前記押しピンは、前記貫通孔を介して前記筒部の内周面よりも径方向内側に突出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、弾性部材をホルダの外周に装着するので、組み立て作業を容易にすることが出来る。また、弾性部材の交換を容易に行うことが出来る。
【0021】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記ホルダは、前記インパクト球の位置決めを行う位置決め部を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、位置決め部によってインパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0022】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記位置決め部は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、前記筒部の内径が、前記インパクト球の直径よりも大きい第1の内径から前記インパクト球の直径よりも小さい第2の内径へと徐々に縮小するテーパ部である、ことを特徴とする。
本発明によれば、テーパ部によってインパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0023】
また本発明の別の態様は、測定対象物の反発係数を測定する反発係数測定機において、前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を保持するホルダと、前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、前記インパクト球が前記測定対象物に衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて反発係数を計算する演算部と、を備え、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記射出機構は、前記インパクト球よりも軸方向他方側に配置されて前記筒穴を軸方向に移動可能な押出部材と、前記押出部材に軸方向一方側に向けた付勢力を加える付勢部と、前記押出部材の軸方向一方側への移動を規制する規制部と、を有し、前記押出部材は、軸方向一方側の小径部と、前記小径部よりも軸方向他方側で前記小径部よりも大径の大径部と、前記小径部と前記大径部との径の違いによる段差である段差部と、を有し、前記規制部は、前記段差部に係合可能な係合部材である、ことを特徴とする。
本発明によれば、段差部に係合した係合部材を外すことで、押出部材をインパクト球に向けて移動させることが出来、インパクト球の射出を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0024】
また本発明の好ましい態様は、反発係数測定機において、前記筒部は、前記インパクト球よりも軸方向他方側且つ前記押出部材よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、押出部材が軸方向一方側に移動する際に押出部材に押された空気が、貫通孔を通って逃げることが出来るので、インパクト球が押出部材に触れずに空気で射出されてしまうことを防ぎ、インパクト球の射出を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【0025】
また本発明の別の態様は、測定対象物の硬さを測定する硬さ測定機において、前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を弾性部材で保持するホルダと、前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、前記インパクト球が前記測定対象物衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて硬さを計算する演算部と、を備え、前記ホルダのいずれかの側面にエアー抜きのための孔が空けられていて、前記弾性部材は、前記ホルダに対して交換可能な別部材であって、前記ホルダの軸方向端部に配置される、ことを特徴とする。
本発明によれば、インパクト球の安定した射出について改善した反発係数測定機、及び硬さ測定機を提供することが出来る。
すなわち本発明によれば、弾性部材がホルダに対して交換可能な別部材であることで、ホルダ自体の調節は必要なく、別部材である弾性部材の寸法により、インパクト球を保持する保持力の調節を容易に行うことが出来、インパクト球の位置を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
また本発明によれば、弾性部材の弾性だけでインパクト球を保持することが出来る。
また本発明によれば、保持力が弱まった場合には弾性部材を交換すればよく、交換部品が少なくて済む。
【0026】
また本発明の別の態様は、測定対象物の硬さを測定する硬さ測定機において、前記測定対象物に衝突させる球状のインパクト球を保持するホルダと、前記ホルダに保持された前記インパクト球を該ホルダから前記測定対象物に向けて射出する射出機構と、前記インパクト球が前記測定対象物衝突する衝突速度、及び前記インパクト球が前記測定対象物から跳ね返る反発速度の両方を測定する速度測定部と、前記衝突速度に対する前記反発速度に基づいて硬さを計算する演算部と、を備え、前記ホルダは、筒穴に前記インパクト球を保持する筒形状の筒部を有し、前記射出機構は、前記インパクト球よりも軸方向他方側に配置されて前記筒穴を軸方向に移動可能な押出部材と、前記押出部材に軸方向一方側に向けた付勢力を加える付勢部と、前記押出部材の軸方向一方側への移動を規制する規制部と、を有し、前記押出部材は、軸方向一方側の小径部と、前記小径部よりも軸方向他方側で前記小径部よりも大径の大径部と、前記小径部と前記大径部との径の違いによる段差である段差部と、を有し、前記規制部は、前記段差部に係合可能な係合部材である、ことを特徴とする。
本発明によれば、段差部に係合した係合部材を外すことで、押出部材をインパクト球に向けて移動させることが出来、インパクト球の射出を安定させることが出来、より正確な測定を行うことが出来る。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、インパクト球の安定した射出について改善した反発係数測定機、及び硬さ測定機を提供することが出来る。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例1に係る反発係数測定機の構造を示す側断面図である。
図2図1のホルダ5の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図3図2のホルダ5のIII-III断面図である。
図4図1に示した射出機構3の係合部材23の近傍を拡大して示す側断面図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6図1に示した射出機構3の係合部材23の近傍を拡大して示す側断面図である。
図7図6のVII-VII断面図である。
図8】実施例2において、図1のホルダ5に相当するホルダ105の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図9図8のホルダ105のIX-IX断面図である。
図10】実施例3において、図1のホルダ5に相当するホルダ205の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図11図10のホルダ205のXI-XI断面図である。
図12】実施例4において、図1のホルダ5に相当するホルダ305の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図13図12のホルダ105のXIII-XIII断面図である。
図14】実施例5において、図1のホルダ5に相当するホルダ405の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図15図14のホルダ405のXV-XV断面図である。
図16図15からインパクト球6及び弾性部材420を削除して示すホルダ405のXV-XV断面図である。
図17】実施例6において、図1のホルダ5に相当するホルダ505の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図18図17のホルダ505のXVIII-XVIII断面図である。
図19図17のホルダ505を上方から見た平面図である。
図20】実施例7において、図1のホルダ5に相当するホルダ605の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図21図20のホルダ605のXXI-XXI断面図である。
図22】実施例8において、図1のホルダ5に相当するホルダ705の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図23図22のホルダ705のXXIII-XXIII断面図である。
図24】実施例9において、図1のホルダ5に相当するホルダ805の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図25図24のホルダ805のXXV-XXV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る装置、すなわち反発係数測定機及び硬さ測定機について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺、数等を異ならせる場合がある。
【0030】
また、図1に示す筒状のホルダ5の筒穴5b(図2参照)の中心軸Jと平行な方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向において図1の下側すなわち試料8に近い側を軸方向一方側と呼び、軸方向において図1の上側すなわち試料8から遠い側を軸方向他方側と呼ぶ。また、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0031】
なお、軸方向、径方向、周方向、上側、下側、右側及び左側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。また、本明細書において、前後左右上下などの向きは、図面において見た向きを示すものであり、本発明に係る装置を使用する際の向きを限定するものではない。
【0032】
なお、本明細書において、軸方向又は径方向に延びる、とは、厳密に軸方向又は径方向に延びる場合に加えて、軸方向又は径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【実施例1】
【0033】
(反発係数測定機1の構造)
図1は、本発明の実施例1に係る反発係数測定機の構造を示す側断面図である。
反発係数測定機1は、球状の圧子であるインパクト球6を保持するホルダ5と、ホルダ5に保持されたインパクト球6をホルダ5から試料8に向けて射出する射出機構3と、インパクト球6が試料8に衝突する直前のインパクト球6の速度である衝突速度、およびインパクト球6が試料8に衝突して跳ね返った(反発した)後のインパクト球6の速度である反発速度を測定する速度測定部12と、衝突速度に対する反発速度の比である反発係数を計算する演算部10と、を備える。演算部10は、演算部10が計算した反発係数を表示する表示部11を有する表示器9内に備えられている。インパクト球6は、例えばセラミック製である。インパクト球6は、例えば超硬合金製である。
【0034】
射出機構3は、押出部材4を有する。押出部材4は、ホルダ5の筒穴5b内に配置される。射出機構3は、押出部材4を軸方向一方側に移動させて、押出部材4をインパクト球6に衝突させることによってインパクト球6を軸方向一方側に射出する。射出機構3は、押出部材4を軸方向一方側に付勢する付勢部2を有する。付勢部2は、軸方向一方側に押出部材4を付勢する弾性部材を有する。この弾性部材は、例えばコイルばねである。付勢部2は、弾性部材によって押出部材4を付勢するものに限られるものではなく、例えばエアーで弾性部材を付勢するものであってもよい。付勢部2による付勢力を調整することによって、インパクト球6が試料8に衝突する直前のインパクト球6の速度である衝突速度を調節することが出来る。射出機構3は、押出部材4を初期位置に止める係合部材23(図4参照)を有する。図1は、押出部材4が初期位置に止められている状態を示している。射出機構3は、係合部材23を押出部材4から外すことで、押出部材4を軸方向一方側に移動させる。射出機構3が押出部材4を軸方向一方側に移動させる機構の詳細は、図4図7を参照して後述する。
【0035】
ホルダ5は、筒形状である。ホルダ5は、例えば円筒形状である。インパクト球6は、ホルダ5の筒穴の中心軸Jに沿って軸方向一方側に向けて射出される。ホルダ5は、筒形状の筒部材16の筒穴内に配置される。筒部材16は、例えば円筒形状である。速度測定部12は、筒部材16の軸方向一方側に配置され、筒部材16側から試料8側へと貫通する貫通孔を有する。射出機構3によって射出されたインパクト球6が通過する球通路13は、筒部材16の筒穴及び速度測定部12の貫通孔によって形成されている。
【0036】
速度測定部12は、球通路13を形成する貫通孔が形成された速度測定本体7と、貫通孔に沿って配列された第1通過センサ15及び第2通過センサ14と、を備える。第1通過センサ15及び第2通過センサ14は、第1通過センサ15は、第2通過センサ14よりも軸方向一方側に配置される。通過センサとは、物体の通過を検知することができるセンサの総称である。この通過センサは、例えば、光センサまたは磁気センサを含む。
【0037】
本実施例の第1通過センサ15は、球通路13を形成する貫通孔内に光を照射する第1照射部15a、及び第1照射部15aから照射された光を受光する第1受光部15bを有する光センサである。本実施例の第2通過センサ14は、球通路13を形成する貫通孔内に光を照射する第2照射部14a、及び第2照射部14aから照射された光を受光する第2受光部14bを有する光センサである。速度測定部12は、第1受光部15bによる受光の途切れを検出することで、第1通過センサ15の位置をインパクト球6が通過したことを検出し、第2受光部14bによる受光の途切れを検出することで、第2通過センサ14の位置をインパクト球6が通過したことを検出する。
【0038】
演算部10は、第2通過センサ14の位置をインパクト球6が通過した時間とその後に第1通過センサ15の位置をインパクト球6が通過した時間との差、及び第2通過センサ14の位置と第1通過センサ15の位置との差により、衝突速度を求めることが出来る。演算部10は、第1通過センサ15の位置をインパクト球6が通過した後に再度第1通過センサ15の位置をインパクト球6が通過した時間とその後に第2通過センサ14の位置をインパクト球6が通過した時間との差、及び第1通過センサ15の位置と第2通過センサ14の位置との差により、反発速度を求めることが出来る。
【0039】
(ホルダ5の構造)
図2は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。図1では、軸方向他方側を上側に配置し、軸方向一方側を下側に配置して示したが、図2では、軸方向他方側を右側に配置し、軸方向一方側を左側に配置して示している。
図3は、図2のホルダ5のIII-III断面図である。
【0040】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ5と別部材の弾性部材20を有する。弾性部材20は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材20は、環状部材である。本実施例では弾性部材20は、円筒状部材である。本実施例では弾性部材20は、切れ目のないO字形状の環状であるが、弾性部材20は、切れ目のあるC字形状の環状であっても構わない。弾性部材20の筒穴の直径はインパクト球6の直径よりも小さく、インパクト球6は弾性部材20の筒穴に保持される。弾性部材20は、軸方向他方側端部に、軸方向一方側よりも内径が大きい薄肉部20aを有する。ホルダ5は、軸方向一方側端部に、軸方向他方側よりも外径が小さい薄肉部5aを有する。弾性部材20の薄肉部20aは、ホルダ5の薄肉部5aの径方向外側に嵌る。本実施例によれば、弾性部材20の材質の弾性だけでインパクト球6を保持することが出来る。インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材20を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復させることが出来る。
【0041】
ホルダ5は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔5cを有する。押出部材4が軸方向一方側に移動すると、押出部材4とインパクト球6との間の空気が圧縮されることになる。このため、貫通孔5cがない場合、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ5から外れてしまう可能性がある。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔5cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ5から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定の射出速度で射出させることが出来る。
【0042】
(射出機構3の構造)
図4は、図1に示した射出機構3の係合部材23の近傍を拡大して示す側断面図である。図5は、図4のV-V断面図である。図4及び図5は、係合部材23が押出部材4に係合し、押出部材4を止めている状態を示す図である。図6は、図1に示した射出機構3の係合部材23の近傍を拡大して示す側断面図である。図7は、図6のVII-VII断面図である。図6及び図7は、係合部材23による押出部材4の係合が解除された状態を示す図である。係合部材23は、押出部材4の軸方向一方側への移動を規制する規制部の一例である。
【0043】
押出部材4は、軸方向一方側の小径部4bと、小径部4bよりも軸方向他方側で小径部4bよりも大径の大径部4aと、小径部4bと大径部4aとの径の違いによる段差である段差部4cと、を有する。
【0044】
本実施例では、筒部材16は、径方向外側(図4の右側)から筒穴16aまで貫通し、更に対向する筒穴16aの内壁から径方向外側(図4の左側)に向けて凹む孔16bを有する。係合部材23は、孔16bに対して、孔16bの径方向外側(図4の右側)の開口から挿入される。なお。ここでは、図4の右側を径方向他方側と呼び、図4の左側を径方向一方側と呼ぶ。孔16bに係合部材23が挿入された後、孔16bの径方向他方側の開口には、枠部材24が嵌る。係合部材23は、孔16b内を径方向に移動可能である。孔16bの径方向他方側の開口に枠部材24が嵌った後、係合部材23の径方向他方側の端部にはボタン21が固定される。枠部材24とボタン21との間には弾性部材22が設けられ、弾性部材22は、ボタン21を径方向他方側に付勢する。弾性部材22は、例えばコイルばねである。ボタン21は、例えば操作者が径方向一方側に押下することが出来る。ボタン21は、外部からの操作が加わらないときには、弾性部材22の付勢力により径方向他方側に移動する。
【0045】
係合部材23は、径方向一方側に係合部23aを有する。係合部23aは、軸方向に貫通する貫通孔23bを有する。本実施例では、図5に示すように、貫通孔23bの軸方向から見た形状は楕円形状である。図4及び図5は、ボタン21に外部からの操作が加わらないときの状態を示す図である。ボタン21が径方向他方側に移動すると、ボタン21に固定された係合部材23も弾性部材22の付勢力により径方向他方側に移動する。このとき、貫通孔23bの径方向一方側の端部は、押出部材4の小径部4bの外周に接し、段差部4cが貫通孔23bの縁に係合して、押出部材4を初期位置に係止する。
【0046】
図6及び図7は、ボタン21が径方向一方側に押下されたときの状態を示す図である。貫通孔23bは、押出部材4の大径部4aよりも大きく、図6及び図7に示す状態では、貫通孔23bの縁は、大径部4aと軸方向で重ならない。このため、押出部材4は、付勢部2の付勢力によって軸方向一方側に移動し、インパクト球6に衝突し、インパクト球6を射出する。
【実施例2】
【0047】
(ホルダ105の構造)
実施例2は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ105の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図8は、実施例2において、図1のホルダ5に相当するホルダ105の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図9は、図8のホルダ105のIX-IX断面図である。
【0048】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ105と別部材の弾性部材120を有する。弾性部材120は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材120は、環状部材である。本実施例では弾性部材120は、円環状部材である。本実施例では弾性部材120は、切れ目のないO字形状の環状であるが、弾性部材120は、切れ目のあるC字形状の環状であっても構わない。ホルダ105は、筒状の部材であり、筒穴105bを有する。ホルダ105は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔105eを有する。孔105eの内径は、筒穴105bの内径よりも大きい。孔105eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴105bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ105は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔105eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴105bの内径へと徐々に縮小するテーパ部105dを有する。ホルダ105の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部105dに接して位置決めがされる。テーパ部105dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部105d以外の、孔105eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0049】
ホルダ105は、孔105eにおいて、径方向外側に凹む溝部105fを有する。弾性部材120の外周は、溝部105fに嵌る。溝部105fに嵌った弾性部材120の内径はインパクト球6の直径よりも小さく、インパクト球6は弾性部材120によって保持される。インパクト球6は、弾性部材120の内周の全周に亘って弾性部材120に接する。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が弾性部材120の寸法で管理出来る。また、テーパ部105dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材120を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復させることが出来る。
【0050】
ホルダ105は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔105cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔105cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ105から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定速度で射出させることが出来る。
【実施例3】
【0051】
(ホルダ205の構造)
実施例3は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ205の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図10は、実施例3において、図1のホルダ5に相当するホルダ205の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図11は、図10のホルダ205のXI-XI断面図である。
【0052】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ205と別部材の弾性部材220を有する。弾性部材220は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材220は、環状部材である。本実施例では弾性部材220は、切れ目のないO字形状の環状であるが、弾性部材220は、切れ目のあるC字形状の環状であっても構わない。C字形状であれば金属製でもよいし、特に材質を問わない。弾性部材220は、軸方向から見た形状が、図11における左右方向よりも上下方向が短い楕円形状である。ホルダ205は、筒状の部材であり、筒穴205bを有する。ホルダ205は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔205eを有する。孔205eの内径は、筒穴205bの内径よりも大きい。孔205eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴205bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ205は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔205eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴205bの内径へと徐々に縮小するテーパ部205dを有する。ホルダ205の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部205dに接して位置決めがされる。テーパ部205dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部205d以外の、孔205eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0053】
ホルダ205は、孔205eにおいて、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔205f1及び205f2を有する。貫通孔205f1及び205f2のそれぞれは、径方向に延びる。貫通孔205f1は、図10及び図11における上側に配置され、貫通孔205f2は、図10及び図11における下側に配置される。弾性部材220は、ホルダ205の外周側から嵌められる。弾性部材220の内周は、貫通孔205f1及び205f2に嵌る。貫通孔205f1及び205f2に嵌った弾性部材220の内周は、孔205eの内周よりも径方向内側に突出する。貫通孔205f1から径方向内側に突出した弾性部材220の内周と、貫通孔205f2から径方向内側に突出した弾性部材220の内周との間の距離は、インパクト球6の直径よりも小さく、インパクト球6は弾性部材220によって保持される。インパクト球6は、弾性部材220の内周の上部及び下部の2個所で弾性部材220に接する。本発明はこれに限られるものではなく、インパクト球6は、弾性部材220の内周の少なくとも1個所以上で弾性部材220に接するものであってもよい。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が弾性部材220の寸法で管理出来る。また、テーパ部205dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で正確に一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材220を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復させることが出来る。また、弾性部材220がホルダ205の径方向外側にあり、組み立てや交換が容易である。
【0054】
ホルダ205は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔205cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔205cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ205から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6の安定した射出を行うことが出来る。
【実施例4】
【0055】
(ホルダ305の構造)
実施例4は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ305の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図12は、実施例4において、図1のホルダ5に相当するホルダ305の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図13は、図12のホルダ105のXIII-XIII断面図である。
【0056】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ305と別部材の弾性部材320を有する。弾性部材320は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材320は、環状部材である。本実施例では弾性部材320は、円環状部材である。本実施例では弾性部材320は、切れ目のないO字形状の環状であるが、弾性部材320は、切れ目のあるC字形状の環状であっても構わない。また、図13に示すように、弾性部材320の軸方向と直交する方向での断面形状は、外周部320aから径方向内側に突出する突出部320bを有する形状である。本実施例では、弾性部材320は、突出部320bを周方向に等間隔で4個所に有する形状である。本発明はこれに限られるものではなく、弾性部材320は、突出部320bを周方向に少なくとも1個所以上に有する形状であってもよい。ホルダ305は、筒状の部材であり、筒穴305bを有する。ホルダ305は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔305eを有する。孔305eの内径は、筒穴305bの内径よりも大きい。孔305eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴305bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ305は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔305eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴305bの内径へと徐々に縮小するテーパ部305dを有する。ホルダ305の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部305dに接して位置決めがされる。テーパ部305dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部305d以外の、孔305eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0057】
ホルダ305は、孔305eにおいて、径方向外側に凹む溝部305fを有する。弾性部材320の外周部320aは、溝部305fに嵌る。溝部305fに嵌った弾性部材320の突出部320bの径方向内側の端部は、インパクト球6の外周面の径方向位置よりも径方向内側に位置し、インパクト球6は弾性部材320の突出部320bによって保持される。インパクト球6は、周方向で弾性部材320の突出部320bの位置で弾性部材320に接する。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が弾性部材320の寸法で管理出来る。また、テーパ部305dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材320を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復させることが出来る。
【0058】
ホルダ305は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔305cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔305cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ305から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定速度で射出させることが出来る。
【実施例5】
【0059】
(ホルダ405の構造)
実施例5は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ405の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図14は、実施例5において、図1のホルダ5に相当するホルダ405の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図15は、図14のホルダ405のXV-XV断面図である。
図16は、図15からインパクト球6及び弾性部材420を削除して示すホルダ405のXV-XV断面図である。
【0060】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ405と別部材の弾性部材420を有する。弾性部材420は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材420は、環状部材である。本実施例では弾性部材420は、円環状部材である。本実施例では弾性部材420は、切れ目のないO字形状の環状であるが、弾性部材420は、切れ目のあるC字形状の環状であっても構わない。また、図15に示すように、弾性部材420の軸方向と直交する方向での断面形状は、外周部420aから径方向内側に突出する突出部420bを有する形状である。本実施例では、弾性部材420は、突出部420bを周方向に等間隔で4個所に有する形状である。本発明はこれに限られるものではなく、弾性部材420は、突出部420bを周方向に少なくとも1個所以上に有する形状であってもよい。ホルダ405は、筒状の部材であり、筒穴405bを有する。ホルダ405は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔405eを有する。孔405eの内径は、筒穴405bの内径よりも大きい。孔405eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴405bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ405は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔405eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴405bの内径へと徐々に縮小するテーパ部405dを有する。ホルダ405の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部405dに接して位置決めがされる。テーパ部405dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部405d以外の、孔405eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0061】
ホルダ405は、孔405eにおいて、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔405f1、405f2、405f3、及び405f4を有する。貫通孔405f1は、図14図15及び図16における上側に配置され、貫通孔405f2は、図14図15及び図16における下側に配置され、貫通孔405f3は、図15及び図16における右側に配置され、貫通孔405f4は、図15及び図16における左側に配置される。弾性部材420は、ホルダ405の外周側から嵌められる。弾性部材420の突出部420bは、貫通孔405f1、405f2、405f3、及び405f4に嵌る。貫通孔405f1、405f2、405f3、及び405f4に嵌った弾性部材420の突出部420bの径方向内側端部は、孔405eの内周よりも径方向内側に突出する。貫通孔405f1から径方向内側に突出した突出部420bの径方向内側端部と、貫通孔405f2から径方向内側に突出した突出部420bの径方向内側端部との間の距離は、インパクト球6の直径よりも小さい。貫通孔405f3から径方向内側に突出した突出部420bの径方向内側端部と、貫通孔405f4から径方向内側に突出した突出部420bの径方向内側端部との間の距離は、インパクト球6の直径よりも小さい。これにより、インパクト球6は弾性部材420によって保持される。インパクト球6は、弾性部材420の内周の上部、下部、右部及び左部の4個所で弾性部材420に接する。本発明はこれに限られるものではなく、インパクト球6は、弾性部材420の内周の少なくとも1個所以上で弾性部材420に接するものであってもよい。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が弾性部材420の寸法で管理出来る。また、テーパ部405dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材420を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復することが出来る。また、弾性部材420がホルダ405の径方向外側にあり、組み立てや交換が容易である。
【0062】
ホルダ405は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔405cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔405cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ405から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6の安定した射出を行うことが出来る。
【実施例6】
【0063】
(ホルダ505の構造)
実施例6は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ505の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図17は、実施例6において、図1のホルダ5に相当するホルダ505の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図18は、図17のホルダ505のXVIII-XVIII断面図である。
図19は、図17のホルダ505を上方から見た平面図である。
【0064】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ505と別部材の弾性部材520-1及び520-2を有する。弾性部材520-1及び520-2のそれぞれは、弾性のある板ばねである。弾性部材520-1と弾性部材520-2とは同一形状の部材である。弾性部材520-1は、軸方向他方側端部から軸方向一方側に延び、屈曲部520-1aで径方向外側に屈曲し、屈曲部520-1bで径方向内側に屈曲し、屈曲部520-1cで径方向外側に屈曲している。弾性部材520-2は、軸方向他方側端部から軸方向一方側に延び、屈曲部520-2aで径方向外側に屈曲し、屈曲部520-2bで径方向内側に屈曲し、屈曲部520-2cで径方向外側に屈曲している。ホルダ505は、筒状の部材であり、筒穴505bを有する。ホルダ505は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔505eを有する。孔505eの内径は、筒穴505bの内径よりも大きい。孔505eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴505bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ505は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔505eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴505bの内径へと徐々に縮小するテーパ部505dを有する。ホルダ505の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部505dに接して位置決めがされる。テーパ部505dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部505d以外の、孔505eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0065】
ホルダ505は、外周において、弾性部材520-1の軸方向他方側端部が嵌る溝部505g1を有する。溝部505g1は、ホルダ505の外周面から径方向内側に凹む溝部である。本実施例では、ホルダ505は、図17における上側に、溝部505g1を有する。弾性部材520-1の軸方向他方側端部は、溝部505g1の軸方向他方側端部の段差部に当接する。弾性部材520-1の軸方向他方側端部は、溝部505g1の底部に、ねじ止め又は溶接等によって固定される。
ホルダ505は、外周において、弾性部材520-2の軸方向他方側端部が嵌る溝部505g2を有する。溝部505g2は、ホルダ505の外周面から径方向内側に凹む溝部である。本実施例では、ホルダ505は、図17における下側に、溝部505g2を有する。弾性部材520-2の軸方向他方側端部は、溝部505g2の軸方向他方側端部の段差部に当接する。弾性部材520-2の軸方向他方側端部は、溝部505g2の底部に、ねじ止め又は溶接等によって固定される。
【0066】
ホルダ505は、孔505eにおいて、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔505f1及び505f2を有する。貫通孔505f1は、図17及び図18における上側に配置され、貫通孔505f2は、図17及び図18における下側に配置される。弾性部材520-1の軸方向他方側端部は、ホルダ505の外周側から溝部505g1に固定される。弾性部材520-1の軸方向一方側端部は固定されず、弾性部材520-1の弾性によって、弾性部材520-1が貫通孔505f1に嵌り、屈曲部520-1cは、孔505eの内周面よりも径方向内側に突出する。弾性部材520-2の軸方向他方側端部は、ホルダ505の外周側から溝部505g2に固定される。弾性部材520-2の軸方向一方側端部は固定されず、弾性部材520-2の弾性によって、弾性部材520-2が貫通孔505f2に嵌り、屈曲部520-2cは、孔505eの内周面よりも径方向内側に突出する。
【0067】
貫通孔505f1から径方向内側に突出した弾性部材520-1の屈曲部520-1cと、貫通孔505f2から径方向内側に突出した弾性部材520-2の屈曲部520-2cとの間の距離は、インパクト球6の直径よりも小さく、インパクト球6は弾性部材520-1及び弾性部材520-2によって保持される。インパクト球6は、ホルダ505の内周の上部及び下部の2個所で弾性部材520-1及び520-2に接する。本発明はこれに限られるものではなく、インパクト球6は、ホルダ505の内周の少なくとも1個所以上で弾性部材に接するものであってもよい。この場合、接触個所の数だけ、板ばねである弾性部材を設けるようにするのがよい。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が弾性部材520-1及び520-2の寸法で管理出来る。また、テーパ部505dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材520-1及び520-2を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復することが出来る。また、弾性部材520がホルダ205の径方向外側にあり、組み立てや交換が容易である。
【0068】
ホルダ505は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔505cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔505cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ505から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定の射出速度で射出させることが出来る。
【実施例7】
【0069】
(ホルダ605の構造)
実施例7は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ605の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図20は、実施例7において、図1のホルダ5に相当するホルダ605の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図21は、図20のホルダ605のXXI-XXI断面図である。
【0070】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ605と別部材の弾性部材620並びに押しピン630-1及び630-2を有する。弾性部材620は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材620は、環状部材である。弾性部材620は、径方向内側に付勢する。本実施例では弾性部材620は、円環状部材である。本実施例では弾性部材620は、図21に示すように切れ目のあるC字形状の環状であるが、弾性部材620は、切れ目のないO字形状の環状であっても構わない。押しピン630-1と押しピン630-2とは同一形状の部材である。押しピン630-1は、貫通孔605f1よりも大径である頭部630-1aと、貫通孔605f1よりも小径である挿入部630-1bと、を有する。頭部630-1aは、径方向外側に、周方向に延び、径方向内側に凹む溝部630-1cを有する。挿入部630-1bの径方向長さは、貫通孔605f1の深さよりも長い。押しピン630-2は、貫通孔605f2よりも大径である頭部630-2aと、貫通孔605f2よりも小径である挿入部630-2bと、を有する。頭部630-2aは、径方向外側に、周方向に延び、径方向内側に凹む溝部630-2cを有する。挿入部630-2bの径方向長さは、貫通孔605f2の深さよりも長い。
【0071】
ホルダ605は、筒状の部材であり、筒穴605bを有する。ホルダ605は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔605eを有する。孔605eの内径は、筒穴605bの内径よりも大きい。孔605eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴605bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ605は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔605eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴605bの内径へと徐々に縮小するテーパ部605dを有する。ホルダ605の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部605dに接して位置決めがされる。テーパ部605dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部605d以外の、孔605eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0072】
ホルダ605は、孔605eにおいて、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔605f1及び605f2を有する。貫通孔605f1は、図20及び図21における上側に配置され、貫通孔605f2は、図20及び図21における下側に配置される。押しピン630-1の挿入部630-1bは貫通孔605f1に嵌る。押しピン630-2の挿入部630-2bは貫通孔605f2に嵌る。この状態で、押しピン630-1の頭部630-1aの溝部630-1c、及び押しピン630-2の頭部630-2aの溝部630-2cに弾性部材620が嵌る。押しピン630-1及び630-2、並びに弾性部材620は、プランジャとして機能する。挿入部630-1bの径方向内側端部は、孔605eの内周面よりも径方向内側に突出する。挿入部630-1bの径方向内側端部は、孔605eの内周面よりも径方向内側に突出する。
【0073】
貫通孔605f1から径方向内側に突出した挿入部630-1bと、貫通孔605f2から径方向内側に突出した挿入部630-2bとの間の距離は、インパクト球6の直径よりも小さく、インパクト球6は、弾性部材620に付勢された押しピン630-1及び630-2によって保持される。インパクト球6は、ホルダ605の内周の上部及び下部の2個所で押しピン630-1及び630-2に接する。本発明はこれに限られるものではなく、インパクト球6は、ホルダ605の内周の少なくとも1個所以上で押しピンに接するものであってもよい。この場合、接触個所の数だけ、押しピンを設けるようにするのがよい。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が、弾性部材620並びに押しピン630-1及び630-2の寸法で管理出来る。また、テーパ部605dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材620並びに押しピン630-1及び630-2を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復することが出来る。また、弾性部材620並びに押しピン630-1及び630-2がホルダ605の径方向外側にあり、組み立てや交換が容易である。
【0074】
ホルダ605は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔605cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔605cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ605から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定速度で射出させることが出来る。
【実施例8】
【0075】
(ホルダ705の構造)
実施例8は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ705の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図22は、実施例8において、図1のホルダ5に相当するホルダ705の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図23は、図22のホルダ705のXXIII-XXIII断面図である。
【0076】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ705と別部材の弾性部材720-1及び720-2、並びに押しピン730-1及び730-2を有する。弾性部材720-1及び720-2のそれぞれは、弾性のある板ばねである。
弾性部材720-1と弾性部材720-2とは同一形状の部材である。弾性部材720-1は、軸方向他方側端部から軸方向一方側に延び、屈曲部720-1aで径方向外側に屈曲し、屈曲部720-1bで径方向内側に屈曲している。弾性部材720-2は、軸方向他方側端部から軸方向一方側に延び、屈曲部720-2aで径方向外側に屈曲し、屈曲部720-2bで径方向内側に屈曲している。
押しピン730-1と押しピン730-2とは同一形状の部材である。押しピン730-1は、貫通孔705f1よりも大径である頭部730-1aと、貫通孔705f1よりも小径である挿入部730-1bと、を有する。挿入部730-1bの径方向長さは、貫通孔705f1の深さよりも長い。押しピン730-2は、貫通孔705f2よりも大径である頭部730-2aと、貫通孔705f2よりも小径である挿入部730-2bと、を有する。挿入部730-2bの径方向長さは、貫通孔705f2の深さよりも長い。
【0077】
ホルダ705は、筒状の部材であり、筒穴705bを有する。ホルダ705は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔705eを有する。孔705eの内径は、筒穴705bの内径よりも大きい。孔705eの内径は、インパクト球6の直径よりも大きい。筒穴705bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。ホルダ705は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、インパクト球6の直径よりも大きい孔705eの内径から、インパクト球6の直径よりも小さい筒穴705bの内径へと徐々に縮小するテーパ部705dを有する。ホルダ705の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部705dに接して位置決めがされる。テーパ部705dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部705d以外の、孔705eにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。
【0078】
ホルダ705は、外周において、弾性部材720-1の軸方向他方側端部が嵌る溝部705g1を有する。溝部705g1は、ホルダ705の外周面から径方向内側に凹む溝部である。本実施例では、ホルダ705は、図22における上側に、溝部705g1を有する。弾性部材720-1の軸方向他方側端部は、溝部705g1の軸方向他方側端部の段差部に当接する。弾性部材720-1の軸方向他方側端部は、溝部705g1の底部に、ねじ止め又は溶接等によって固定される。
ホルダ705は、外周において、弾性部材720-2の軸方向他方側端部が嵌る溝部705g2を有する。溝部705g2は、ホルダ705の外周面から径方向内側に凹む溝部である。本実施例では、ホルダ705は、図22における下側に、溝部705g2を有する。弾性部材720-2の軸方向他方側端部は、溝部705g2の軸方向他方側端部の段差部に当接する。弾性部材720-2の軸方向他方側端部は、溝部705g2の底部に、ねじ止め又は溶接等によって固定される。
【0079】
ホルダ705は、孔705eにおいて、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔705f1及び705f2を有する。貫通孔705f1は、図22及び図23における上側に配置され、貫通孔705f2は、図22及び図23における下側に配置される。押しピン730-1の挿入部730-1bは貫通孔705f1に嵌る。押しピン730-2の挿入部730-2bは貫通孔705f2に嵌る。この状態で、押しピン730-1の頭部730-1aの径方向外側には、ネジ等の固定部材730-1cによって弾性部材720-1の軸方向一方側端部が固定され、押しピン730-2の頭部730-2aの径方向外側には、ネジ等の固定部材730-2cによって弾性部材720-2の軸方向一方側端部が固定される。押しピン630-1及び630-2、並びに弾性部材720-1及び720-2は、プランジャとして機能する。挿入部730-1bの径方向内側端部は、孔705eの内周面よりも径方向内側に突出する。挿入部730-1bの径方向内側端部は、孔705eの内周面よりも径方向内側に突出する。
【0080】
貫通孔705f1から径方向内側に突出した挿入部730-1bと、貫通孔705f2から径方向内側に突出した挿入部730-2bとの間の距離は、インパクト球6の直径よりも小さく、インパクト球6は、弾性部材720-1及び720-2に付勢された押しピン730-1及び730-2によって保持される。インパクト球6は、ホルダ705の内周の上部及び下部の2個所で押しピン730-1及び730-2に接する。本発明はこれに限られるものではなく、インパクト球6は、ホルダ705の内周の少なくとも1個所以上で押しピンに接するものであってもよい。この場合、接触個所の数だけ、押しピンを設けるようにするのがよい。本実施例によれば、インパクト球6の保持位置と保持力が、弾性部材720-1及び720-2、並びに押しピン730-1及び730-2の寸法で管理出来る。また、テーパ部705dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。また、インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材720-1及び720-2、並びに押しピン730-1及び730-2を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復することが出来る。また、弾性部材720-1及び720-2、並びに押しピン730-1及び730-2がホルダ705の径方向外側にあり、組み立てや交換が容易である。
【0081】
ホルダ705は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔705cを有する。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔705cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ705から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定速度で射出させることが出来る。
【実施例9】
【0082】
(ホルダ805の構造)
実施例9は、図1のホルダ5の軸方向一方側端部の構造の別の例を示す。本実施例において、ホルダ805の軸方向一方側端部の構造以外は実施例1と同じであるので詳しい説明は省略する。
図24は、実施例9において、図1のホルダ5に相当するホルダ805の軸方向一方側端部の近傍を拡大して示す側断面図である。
図25は、図24のホルダ805のXXV-XXV断面図である。
【0083】
本実施例の反発係数測定機1は、ホルダ805と別部材の弾性部材820を有する。ホルダ805は、筒状の部材であり、筒穴805bを有する。弾性部材820は、弾性のある材質、例えばゴム製、金属製であり、特に材質を問わない。弾性部材820は、環状部材である。本実施例では弾性部材820は、円筒状部材である。本実施例では弾性部材820は、切れ目のないO字形状の環状であるが、弾性部材820は、切れ目のあるC字形状の環状であっても構わない。弾性部材820は、軸方向他方側の端部に軸方向に延びる筒穴820bを有する。弾性部材820は、軸方向一方側の端部に軸方向に延びる孔820cを有する。孔820cの内径は、筒穴820bの内径よりも大きい。孔820cの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。孔820cの内径は、インパクト球6を保持可能な程度の大きさである。筒穴820bの内径は、インパクト球6の直径よりも小さい。筒穴820bの内径は、インパクト球6が挿入不可能な程度の大きさである。弾性部材820は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、孔820cの内径から筒穴820bの内径へと徐々に縮小するテーパ部820dを有する。弾性部材820の軸方向一方側から挿入されたインパクト球6は、テーパ部805dに接して位置決めがされる。テーパ部805dは、インパクト球6の位置決めを行う位置決め部の一例である。位置決め部は、テーパ部805d以外の、孔820cにおいて径方向内側に突出する構成であってもよい。インパクト球6は、弾性部材820の孔820cに保持される。弾性部材820は、軸方向他方側端部に、軸方向一方側よりも内径が大きい薄肉部820aを有する。ホルダ805は、軸方向一方側端部に、軸方向他方側よりも外径が小さい薄肉部805aを有する。弾性部材820の薄肉部820aは、ホルダ805の薄肉部805aの径方向外側に嵌る。本実施例によれば、弾性部材820の材質の弾性だけでインパクト球6を保持することが出来る。また、テーパ部805dをインパクト球6のストッパにし、インパクト球6の保持位置とインパクト球6の射出距離を、射出動作の都度で一定にすることが出来る。インパクト球6を保持する保持力が弱まったら、弾性部材820を交換するだけでインパクト球6を保持する保持力を回復させることが出来る。
【0084】
ホルダ805は、インパクト球6よりも軸方向他方側且つ押出部材4よりも軸方向一方側に、径方向外側から径方向内側に貫通する貫通孔805cを有する。押出部材4が軸方向一方側に移動すると、押出部材4とインパクト球6との間の空気が圧縮されることになる。このため、貫通孔805cがない場合、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ5から外れてしまう可能性がある。本実施例によれば、押出部材4とインパクト球6との間の空気が貫通孔805cから外部に逃げることが出来るため、圧縮された空気に押されてインパクト球6がホルダ5から外れてしまうことを防ぎ、インパクト球6の射出は押出部材4が衝突したことによるものに限定することが出来る。このことから、本実施例によれば、インパクト球6を安定した所定速度で射出させることが出来る。
【0085】
本発明においては、上述した実施例に係る反発係数測定機1を硬さ測定機として使用することができる。すなわち、硬さ測定機は、球状のインパクト球6を保持するホルダ5と、ホルダ5に保持されたインパクト球6をホルダ5から試料8に向けて射出する射出機構3と、インパクト球6が試料8に衝突する前のインパクト球6の速度である衝突速度、及び前記インパクト球が前記試料から跳ね返った後の該インパクト球の速度である反発速度を測定する速度測定部と、衝突速度に対する反発速度の比に基づいて試料8の硬さを計算する演算部10と、弾性部材20と、を備える。弾性部材20は、ホルダ5と別部材であって、ホルダ5の軸方向一方側に配置され、ホルダ5は、弾性部材20の付勢力でインパクト球6を保持する。例えば、演算部10は、インパクト球6の衝突速度に対するインパクト球6の反発速度の比に所定の比例定数を乗算することにより試料8の硬さを計算する。
【0086】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…反発係数測定機、3…射出機構、5…ホルダ、6…インパクト球、12…速度測定部、10…演算部。
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