(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230920BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20230920BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20230920BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/52
C23C16/50
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2021021963
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-223688(JP,A)
【文献】特開2011-142302(JP,A)
【文献】特開2016-225495(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110192(WO,A1)
【文献】特表2005-522051(JP,A)
【文献】国際公開第2009/107718(WO,A1)
【文献】特開2011-176128(JP,A)
【文献】特開2016-072596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/26-21/268
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/312-21/32
H01L 21/322-21/326
H01L 21/365
H01L 21/42-21/425
H01L 21/428
H01L 21/461
H01L 21/469-21/475
H01L 21/477-21/479
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内であって前記基板載置部から独立した位置に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記活性化した処理ガスを供給する第2処理工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内において、少なくとも、処理位置まで上昇した状態における前記基板載置部の前記第1の加熱部より上部の前記処理室を加熱可能な位置に配置され、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記活性化した処理ガスを供給する第2処理工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項3】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内におけるガス供給部に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記活性化した処理ガスを供給する第2処理工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、を有する基板処理装置。
【請求項4】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、
前記処理ガスを供給する第2処理工程と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更する工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項5】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、
前記処理ガスを供給する第2処理工程と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、前記第1の加熱部の温度設定値と前記第2の加熱部の温度設定値の少なくとも一方を変更する工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項6】
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部をさらに有し、
前記制御部は、さらに前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成される
請求項4又は請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ガス供給部は、前記基板に対向する様に設けられ、
前記プラズマ生成部は、前記ガス供給部内に設けられる請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第2の加熱部は、前記処理室の壁面側に設けられている請求項1~7の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第2の加熱部は、ランプヒータで構成される請求項1~8の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内であって前記基板載置部から独立した位置に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項11】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内であって前記基板載置部から独立した位置に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
備えた基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内であって前記基板載置部から独立した位置に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理手順と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理手順を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項13】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内において、少なくとも、処理位置まで上昇した状態における前記基板載置部の前記第1の加熱部より上部の前記処理室を加熱可能な位置に配置され、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項14】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内において、少なくとも、処理位置まで上昇した状態における前記基板載置部の前記第1の加熱部より上部の前記処理室を加熱可能な位置に配置され、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内において、少なくとも、処理位置まで上昇した状態における前記基板載置部の前記第1の加熱部より上部の前記処理室を加熱可能な位置に配置され、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理手順と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理手順を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内における前記ガス供給部に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項17】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内における前記ガス供給部に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内における前記ガス供給部に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部
、前記ガス供給部
及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理手順と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理手順を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項19】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項20】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項21】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理手順と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理手順を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理手順と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項22】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、前記第1の加熱部の温度設定値と前記第2の加熱部の温度設定値の少なくとも一方を変更する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項23】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理工程と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、前記第1の加熱部の温度設定値と前記第2の加熱部の温度設定値の少なくとも一方を変更する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項24】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部、前記第2の加熱部及び前記ガス供給部を制御することが可能に構成された制御部と、
を備えた基板処理装置をコンピュータに制御させるプログラムであって、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理手順と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理手順を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記処理ガスを供給する第2処理手順と、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、前記第1の加熱部の温度設定値と前記第2の加熱部の温度設定値の少なくとも一方を変更する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する装置としては、ウエハを一枚ごとに処理する枚葉装置が存在する。この様な装置では、第二元素含有ガスがプラズマ状態とされ、ウエハ上に供給されていることがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プラズマ生成による基板表面のプラズマ処理が一様でないため、プラズマ処理時の基板表面温度が均一ではなく、これによって基板の反りやプラズマ処理の不均一が発生すると考えられる。
【0005】
本開示は、プラズマ処理における基板表面温度の均一性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板を収容する処理室と、前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記活性化した処理ガスを供給する第2処理工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、を有する基板処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、プラズマ処理における基板表面温度の均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る基板処理装置のコントローラを説明する説明図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る基板処理工程を説明するフロー図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る基板処理工程における基板処理装置の動作を説明する説明図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る基板処理工程における基板処理装置の動作を説明する説明図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る基板処理工程における基板処理装置の動作を説明する説明図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る成膜工程を説明するフロー図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
[本開示の第1実施形態]
先ず、本開示の第1実施形態について説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図1は本実施形態に係る基板処理装置を説明する説明図である。以下に、各構成を具体的に説明する。
【0012】
(処理容器)
図例のように、基板処理装置100は、処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。処理容器202は、例えば石英またはセラミックス等の非金属材料で形成された上部容器2021と、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)等の金属材料により形成された下部容器2022とで構成されている。処理容器202内には、上方側(後述する基板載置台212よりも上方の空間)に、基板としてシリコンウエハ等のウエハ200を収容し処理する処理室(処理空間)201が形成されており、その下方側で下部容器2022に囲まれた空間に搬送空間203が形成されている。
【0013】
下部容器2022の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられている。ウエハ200は、基板搬入出口206を介して、搬送空間203に搬入されるようになっている。下部容器2022の底部には、リフトピン207が複数設けられている。
【0014】
(基板載置部、第1の加熱部)
処理室201内には、ウエハ200が載置される基板載置部(サセプタ)210が設けられている。基板載置部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ基板載置台212と、基板載置台212に内包されウエハ200を加熱する第1の加熱部の一例としてのヒータ213と、を主に有する。
さらに、ヒータ213の温度を計測する温度計測端子216を有する。温度計測端子216は、配線220を介して温度計測部221に接続される。
【0015】
基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。ヒータ213には、電力を供給するための配線222が接続される。配線222は、ヒータ電力制御部223に接続される。
【0016】
温度計測部221、ヒータ電力制御部223は後述するコントローラ280に接続されている。コントローラ280は、温度計測部221で計測した温度情報をもとにヒータ電力制御部223に制御情報を送信する。ヒータ電力制御部223は受信した制御情報を参照し、ヒータ213を制御する。
【0017】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、さらに処理容器202の外部で昇降部218に接続されている。
【0018】
昇降部218はシャフト217を支持する支持軸218aと、支持軸218aを昇降させたり回転させたりする作動部218bを主に有する。作動部218bは、例えば昇降を実現するためのモータを含む昇降機構218cと、支持軸218aを回転させるための歯車等の回転機構218dを有する。
【0019】
昇降部218には、昇降部218の一部として、作動部218bに昇降・回転指示するための指示部218eを設けても良い。指示部218eはコントローラ280に電気的に接続される。指示部218eはコントローラ280の指示に基づいて、作動部218bを制御する。作動部218bは、後述するように、基板載置台212が、ウエハ搬送ポジションやウエハ処理ポジションの位置に移動するよう、制御する。
【0020】
昇降部218を作動させてシャフト217および基板載置台212を昇降させることにより、基板載置台212は、載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、これにより処理室201内は気密に保持されている。
【0021】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、載置面211が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送ポジション)となるように下降し、ウエハ200の処理時には、ウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理ポジション)まで上昇する。
【0022】
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇さ
せたときには、リフトピン207は載置面211の上面から埋没して、載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。
【0023】
(シャワーヘッド)
処理室201の上部(ガス供給方向上流側)であって、載置面211と対向する箇所には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。このシャワーヘッド230は、ガス供給部の一例であり、ウエハ200に対向するように設けられている。シャワーヘッド230は、例えば上部容器2021に設けられた穴2021aに挿入される。
【0024】
シャワーヘッド230の蓋は、後述するプラズマ生成部231とされている。プラズマ生成部231と上部容器2021との間にはブロック233が設けられ、そのブロック233がプラズマ生成部231と上部容器2021との間を絶縁し、かつ、断熱している。
【0025】
また、シャワーヘッドのプラズマ生成部231には、第1分散機構としてのガス供給管241が挿入される貫通孔231aが設けられている。貫通孔231aに挿入されるガス供給管241は、シャワーヘッド230内に形成された空間であるシャワーヘッドバッファ室232内に供給するガスを分散させるためのもので、シャワーヘッド230内に挿入される先端部241aと、プラズマ生成部231に固定されるフランジ241bと、を有する。先端部241aは、例えば円柱状に構成されており、その円柱側面には分散孔が設けられている。そして、後述するガス供給部(供給系)から供給されるガスは、先端部241aに設けられた分散孔を介して、シャワーヘッドバッファ室232内に供給される。
【0026】
さらに、シャワーヘッド230は、後述するガス供給部(供給系)から供給されるガスを分散させるための第2分散機構としての分散部234を備えている。この分散部234の上流側がシャワーヘッドバッファ室232であり、下流側が処理室201である。分散部234には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散部234は、載置面211と対向するように、その載置面211の上方側に配置されている。したがって、シャワーヘッドバッファ室232は、分散部234に設けられた複数の貫通孔234aを介して、処理室201と連通することになる。
【0027】
(第2の加熱部)
処理室201内には、ウエハ200の外周を加熱する第2の加熱部の一例としてのヒータ224,225が設けられている。
ヒータ224,225は、少なくとも、処理位置(ウエハ処理ポジション)まで上昇した状態における基板載置部210(
図1)のヒータ213より上部の処理室201を加熱可能な位置に配置される。
【0028】
ヒータ224,225がヒータ213よりも下側に設けられている場合、基板載置台212を加熱してしまう可能性がある。基板載置台212が加熱された場合、基板載置台212の温度均一性が不均一になる。ヒータ213の熱容量や基板載置台212の熱容量が大きいため、元の温度まで戻る時間が長くなる。それ故、ウエハの処理から、次のウエハ処理までの間に、所定の温度分布にならない。所定の温度分布に戻る時間が長くなるため、処理待ちの時間が発生してしまう。また、基板載置台212の温度分布を所定の状態に調整するまで時間がかかる。このような課題を生じるが、ヒータ224,225をヒータ213よりも上部の処理室201を加熱可能な位置に配置することで、このような課題を生じることを抑制することができる。
【0029】
本実施形態では、基板載置台212の温度均一性向上や、基板載置台212が次の処理までに元の温度まで戻る時間、つまり基板載置台212の温度リカバリ性を向上させることができる。この時間が短いほど、ある基板処理から次の基板処理までの時間を短縮でき、半導体デバイスの製造スループットを向上させることができる。
【0030】
ヒータ225は、基板載置部(サセプタ)210の外周側、例えば処理室201の壁面側に設けられている。具体的には、ヒータ225は、上部容器2021の内周部に設けられている。これにより、ヒータ225のガス流れへの影響を抑制することができる。また、ガス流れにより、処理室201の壁が冷え、処理室201の壁付近で活性種が失活する可能性があるが、ヒータ225を処理室201の壁面に設け、処理室201の壁面を加熱することにより、活性種に熱エネルギーが供給され、活性種が失活することを抑制できる。
【0031】
ヒータ224は、ガス供給部240における例えばシャワーヘッドバッファ室232に設けられている。具体的には、ヒータ224は、シャワーヘッドバッファ室232の内周部に設けられている。これにより、シャワーヘッド230の周辺部分の温度を上げることが可能となっている。ガス供給部240のシャワーヘッド230を加熱することで、活性種を含むガスを加熱することができる。これにより、活性種に熱エネルギーが供給されるので、活性種の失活を抑制できる。
【0032】
ヒータ224,225は、例えばリング状に構成されたランプヒータであってもよい。ヒータ224,225をランプヒータで構成することにより、短時間での加熱が可能となる。また、ランプをOFFにすることにより、短時間で冷却(元の温度に復帰)することができる。
【0033】
第2の加熱部として、ヒータ224,225の何れか一方が設けられる構成であってもよい。ヒータ224は、シャワーヘッドバッファ室232の壁面内に設けられていてもよい。ヒータ225は、上部容器2021の壁面内に設けられていてもよい。
【0034】
(プラズマ生成部)
プラズマ生成部231は、処理室201内で処理ガスを活性化する部位である。このプラズマ生成部231は、シャワーヘッド230の上方に、該シャワーヘッド230と平行な平板状に設けられており、シャワーヘッド230の蓋を兼ねている。
【0035】
また、プラズマ生成部231は、例えば電極としての共振コイルを有し、処理室201内に供給された処理ガスを、高周波電源273から供給される高周波電力によりプラズマ励起するように構成されている。図示は省略するが、プラズマ生成部231には、例えばRFセンサ、高周波電源273のインピーダンスや出力周波数の整合を行う整合器が接続される。
【0036】
(ガス供給部)
ガス供給部240は、ウエハ200に処理ガスを供給する部分であり、例えば第1ガス供給系243、第2ガス供給系244及び第3ガス供給系245を有している。貫通孔231aに挿入されるガス供給管241には、共通ガス供給管242が接続されている。ガス供給管241と共通ガス供給管242は、管の内部で連通している。そして、共通ガス供給管242から供給されるガスは、ガス供給管241、ガス導入孔231aを通じて、シャワーヘッド230内に供給される。
【0037】
共通ガス供給管242には、第1ガス供給管243a、第2ガス供給管244a、第3ガス供給管245aが接続されている。このうち、第2ガス供給管244aは、共通ガス供給管242に接続される。
【0038】
第1ガス供給管243aを含む第1ガス供給系243からは主に第1元素含有ガスが供給され、第2ガス供給管244aを含む第2ガス供給系244からは主に第2元素含有ガスが供給される。第3ガス供給管245aを含む第3ガス供給系245からは、ウエハ200を処理する際には主に不活性ガスが供給され、シャワーヘッド230や処理室201をクリーニングする際はクリーニングガスが主に供給される。
【0039】
(第1ガス供給系)
第1ガス供給管243aには、上流方向から順に、第1ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、および、開閉弁であるバルブ243dが設けられている。そして、第1ガス供給源243bからは、第1元素を含有するガス(以下、「第1元素含有ガス」または「第1ガス」という。)が、MFC243c、バルブ243d、第1ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0040】
第1元素含有ガスは、処理ガスの一つであり、原料ガスとして作用するものである。ここで、第1元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第1元素含有ガスは、例えばシリコン含有ガスである。なお、第1元素含有ガスは、常温常圧で固体、液体および気体のいずれであってもよい。第1元素含有ガスが常温常圧で液体の場合は、第1ガス供給源243bとMFC243cとの間に、図示しない気化器を設ければよい。ここでは、第1元素含有ガスを気体として説明する。
【0041】
第1ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、第1不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第1不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源246b、MFC246c、および、開閉弁であるバルブ246dが設けられている。そして、不活性ガス供給源246bからは、不活性ガスが、MFC246c、バルブ246d、第1不活性ガス供給管246a、第1ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0042】
ここで、不活性ガスは、第1元素含有ガスのキャリアガスとして作用するもので、第1元素とは反応しないガスを用いることが好ましい。具体的には、例えば、窒素(N2)ガスを用いることができる。なお、不活性ガスとしては、N2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0043】
主に、第1ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、第1ガス供給系(「シリコン含有ガス供給系」ともいう)243が構成される。また、主に、第1不活性ガス供給管246a、MFC246cおよびバルブ246dにより、第1不活性ガス供給系が構成される。
【0044】
なお、第1ガス供給系243は、第1ガス供給源243b、第1不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、第1不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源246b、第1ガス供給管243aを含めて考えてもよい。
このような第1ガス供給系243は、処理ガスの一つである原料ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系の一つに該当することになる。
【0045】
(第2ガス供給系)
第2ガス供給管244aの上流には、上流方向から順に、第2ガス供給源244b、流量制御器(流量制御部)であるMFC244c、および、バルブ244dが設けられている。そして、第2ガス供給源244bからは、第2元素を含有するガス(以下、「第2元素含有ガス」または「第2ガス」という。)が、MFC244c、バルブ244d、第2ガス供給管244a、プラズマ生成部231、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。このとき、第2元素含有ガスは、プラズマ生成部231によりプラズマ状態とされ、ウエハ200上に供給される。
【0046】
第2元素含有ガスは、処理ガスの一つであり、反応ガスまたは改質ガスとして作用するものである。ここで、第2元素含有ガスは、第1元素と異なる第2元素を含有する。第2元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本実施形態では、第2元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスであるとする。具体的には、窒素含有ガスとして、アンモニア(NH3)ガスが用いられる。
【0047】
第2ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、第2不活性ガス供給管247aの下流端が接続されている。第2不活性ガス供給管247aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、MFC247c、および、バルブ247dが設けられている。そして、不活性ガス供給源247bからは、不活性ガスが、MFC247c、バルブ247d、第2不活性ガス供給管247a、第2ガス供給管244a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0048】
ここで、不活性ガスは、基板処理工程ではキャリアガスまたは希釈ガスとして作用する。具体的には、例えばN2ガスを用いることができるが、N2ガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることもできる。
【0049】
主に、第2ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、第2ガス供給系244(「窒素含有ガス供給系」ともいう)が構成される。また、主に、第2不活性ガス供給管247a、MFC247cおよびバルブ247dにより、第2不活性ガス供給系が構成される。
【0050】
なお、第2ガス供給系244は、第2ガス供給源244b、及び第2不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、第2不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源247b、及び第2ガス供給管244aを含めて考えてもよい。
【0051】
このような第2ガス供給系244は、処理ガスの一つである反応ガスまたは改質ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系の一つに該当することになる。
【0052】
(第3ガス供給系)
第3ガス供給管245aには、上流方向から順に、第3ガス供給源245b、MFC245c、および、バルブ245dが設けられている。そして、第3ガス供給源245bからは、不活性ガスが、MFC245c、バルブ245d、第3ガス供給管245a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0053】
第3ガス供給源245bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、処理容器202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガス(もしくは「第3ガス」と呼ぶ。)として作用する。このような不活性ガスとしては、例えばN2ガスを用いることができるが、N2ガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることもできる。
【0054】
なお、第1ガス供給系、第2ガス供給系、第3ガス供給系をまとめて処理ガス供給部または処理ガス供給系と呼ぶ。さらに、処理ガス供給系から供給されるガスをまとめて処理ガスと呼ぶ。
【0055】
(ガス排気系)
処理容器202の雰囲気を排気する排気系(排気部)は、処理容器202に接続された複数の排気管を有する。具体的には、搬送空間203に接続される排気管(第1排気管)261と、処理室201に接続される排気管(第2排気管)262と、を有する。また、各排気管261,262の下流側には、排気管(第3排気管)264が接続される。
【0056】
排気管261は、搬送空間203の側面または底面に接続される。排気管261には、高真空または超高真空を実現する真空ポンプとしてTMP(Turbo Molecular Pump:以下「第1真空ポンプ」ともいう。)265が設けられている。排気管261において、TMP265の上流側と下流側には、それぞれに開閉弁であるバルブ266,267が設けられている。
【0057】
排気管262は、処理室201の側方に接続される。排気管262には、処理室201内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)276が設けられている。APC276は、開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ280からの指示に応じて排気管262のコンダクタンスを調整する。また、排気管262において、APC276の上流側と下流側には、それぞれに開閉弁であるバルブ275,277が設けられている。
【0058】
排気管264には、DP(Dry Pump)278が設けられている。図示のように、排気管264には、その上流側から排気管262、排気管261が接続され、さらにそれらの下流にDP278が設けられる。DP278は、排気管262、排気管261のそれぞれを介して、処理室201および搬送空間203のそれぞれの雰囲気を排気する。また、DP278は、TMP265が動作するときに、その補助ポンプとしても機能する。すなわち、高真空(あるいは超高真空)ポンプであるTMP265は、大気圧までの排気を単独で行うのは困難であるため、大気圧までの排気を行う補助ポンプとしてDP278が用いられる。
【0059】
(制御部)
図1に記載のように、基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御する制御部の一例としてのコントローラ280を有している。コントローラ280は、
図2に記載のように、演算部281、一時記憶部(RAM)282、記憶部283、I/Oポート284、比較部285、送受信部286を少なくとも有する。コントローラ280は、上記した各構成に接続され、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部283からプログラムやレシピ、テーブルを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。コントローラ280はさらに入出力装置289を有する。
【0060】
また、コントローラ280は、第1処理工程S104と、第2処理工程S105と、を行わせるよう、ヒータ213(第1の加熱部)、ヒータ224,225(第2の加熱部)、ガス供給部240及びプラズマ生成部231を制御することが可能に構成されている。
【0061】
第1処理工程S104は、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、ウエハ200を加熱する工程である。第1の温度は、ウエハ200の中心側で測定される温度である。ウエハ200の中心側の温度は、主にヒータ213(第1の加熱部)により調節される。第2の温度は、ウエハ200の外周側で測定される温度である。ウエハ200の外周側の温度は、主にヒータ224,225(第2の加熱部)により調節される。
【0062】
第2処理工程S105は、ウエハ200の表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるようにヒータ224,225(第2の加熱部)の温度を、第1処理工程S104を行う際のヒータ224,225(第2の加熱部)の温度よりも高くし、活性化した処理ガスを供給する工程である。ここで、「温度偏差」とは、第1の温度と第2の温度の差である。なお、「活性化した処理ガスを供給する」を、「処理室201に供給された処理ガスが活性化される」、と言い換えることもできる。
【0063】
具体的には、コントローラ280(制御部)は、ウエハ200に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレート(WER)の少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更するように構成されている。より具体的には、ウエハ200に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、ヒータ213(第1の加熱部)の温度設定値とヒータ224,225(第2加熱部)の温度設定値の少なくとも一方を変更するように構成される。
【0064】
活性種の量は膜特性に影響を与えるが、活性種の量を測定することは困難である。そこで、膜特性を基にヒータ213及びヒータ224,225の少なくとも一方をフィードバック制御するようになっている。例えばウエハ200の外周側のウエハエッチングレートが高い場合は、ヒータ224,225(第2加熱部)の温度を上昇させる。このようにして、ウエハ200の板面内における温度分布の制御の精度を向上させることができるようになっている。
【0065】
なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)288を用意し、外部記憶装置288を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。
【0066】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置288を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置288を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶部283や外部記憶装置288は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部283単体のみを含む場合、外部記憶装置288単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。送受信部286は、I/Oポート284を介して、他の構成との情報をやり取りする。例えば、温度計測部221から温度情報を受信したりする。比較部285は、記憶部283から読みだしたテーブル等の情報と、他の構成から受信した情報とを比較し、制御するためのパラメータ等を抽出する。例えば、温度計測部221から受信した情報と、記憶部283に記録されているテーブルを比較し、ヒータ電力制御部223等を動作させるためのパラメータを抽出する。
【0067】
なお、記憶部283や外部記憶装置288は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部283単体のみを含む場合、外部記憶装置288単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0068】
(2)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の基板処理装置100を用いてウエハ200上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0069】
ここでは、第1元素含有ガス(第1の処理ガス)としてジクロロシラン(SiH2Cl2、略称DCS)ガスを用い、第2元素含有ガス(第2の処理ガス)としてアンモニア(NH3)ガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上に半導体系薄膜としてシリコン窒化(SiN)膜を形成する例について説明する。
【0070】
図3は、本実施形態に係る基板処理工程の概要を示すフロー図である。
図4から
図6は基板処理工程における基板処理装置100の動作を説明する図である。
図7は、
図3の成膜工程S110の詳細を示すフロー図である。
【0071】
ところで、一般的に裏面からウエハ200を急に加熱すると、ウエハ200の表面と裏面とで温度差が大きくなるが、その温度差によってウエハ200の表裏の伸びが異なるため、ウエハ200の反りを引き起こすという問題がある。ウエハ200の反りは、ウエハ200上に形成された膜の特性に影響を及ぼすことが考えられる。
【0072】
ウエハ200の反りを回避する技術として、例えば特許文献1のように、徐々に加熱する方法が存在する。しかしながら、所望の温度となるまで時間がかかり、スループットが
低下するという問題がある。
【0073】
そこで、本実施形態においては、高いスループットを維持しつつウエハ200の反りを抑止可能な技術を説明する。以下に具体的な方法を説明する。
【0074】
(基板搬入載置工程:S102)
ヒータ213やヒータ248eは動作安定まで時間がかかるため、ここではウエハ200を搬送室に搬入する前にヒータ213やヒータ248eをオンとする。それらが安定したら、基板載置台212をウエハ200の搬送位置(搬送ポジション)まで下降させ、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。これらの動作と並行して、搬送空間203の雰囲気を排気し、隣接する真空搬送室(図示せず)と同圧、あるいは隣接する真空搬送室の圧力よりも低い圧力とする。
【0075】
続いて、ゲートバルブ205を開いて、搬送空間203を隣接する真空搬送室と連通させる。そして、
図4(a)に記載のように、この真空搬送室から真空搬送ロボット251を用いてウエハ200を搬送空間203に搬入する。
このとき、第3のガス供給系245から処理室201や搬送空間203に不活性ガスを供給し、それと並行して排気管261から雰囲気を排気することで、処理室201内に外部の雰囲気が回りこむことを防ぐ。
【0076】
(ウエハ処理ポジション移動工程S106)
所定の時間経過後、基板載置台212を上昇させ、
図5(c)のように載置面211上にウエハ200を載置し、さらに
図5(d)のように、ウエハ処理ポジションまで上昇させる。ウエハ処理ポジションは、ウエハ200が処理ガスによって処理される位置であり、例えば
図1や
図5(d)に記載のように、基板載置台212の表面の高さと隔壁204の高さが揃う位置である。
【0077】
(脱離物除去工程S108)
ところで、ウエハ200上に形成された膜には多くの不純物が含まれていることが知られている。これらの不純物は、ウエハ200が搬入される前に、異なる処理室で処理したガスの成分や反応副生成物等である。例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガスや四フッ化炭素(CF4)等のエッチングガスの成分に由来する、フッ化物やカーボン系残渣物等である。これらの不純物は、ウエハ200を高熱とすることで、膜中からの脱離が促進される。
【0078】
近年の微細化に伴い膜の表面積が増加傾向にあるため、不純物の量も増加傾向にある。従い、加熱を継続した場合に、多くの不純物の脱離も継続するため、排気量よりも脱離量が多い場合に、ウエハ200上に不純物が滞留する恐れがある。例えば、排気効率の低いウエハ中央上の雰囲気では不純物が多く、排気効率の高いウエハ外周上の雰囲気では不純物が少ない。このような状況の中で原料ガスを供給した場合、原料ガスとウエハ200の表面の間に脱離物が滞留するが、その場合原料ガスがウエハ200の表面に到達することができない、もしくは到達する量が不十分となる。そのため、ウエハ200上では膜が形成される場所と膜を形成することができない場所が存在する。したがって、ウエハ200を均一に処理することが困難となる。そのため、歩留まりの低下を引き起こす恐れがある。
【0079】
そこで本工程では、処理ガスの供給を開始する前に、ウエハ200表面上の雰囲気から脱離物を除去する。具体的には、
図6(e)のように、処理室201の雰囲気を排気する。このようにすることで、加熱されたウエハ200から脱離された脱離物を除去することが可能となる。除去することで、次に供給する処理ガスであるDCSガスをウエハ200上に均一に供給することが可能となる。なお、前述ではウエハ処理ポジションに到達した状態で脱離物を除去していたが、脱離物を除去できればよく、例えばウエハ搬送ポジションとウエハ処理ポジションの間で行えばよい。より良くは、ウエハ200の温度が安定するウエハ処理ポジションで行うことが望ましい。
【0080】
(成膜工程:S110)
続いて、成膜工程S110について説明する。以下、
図7を参照し、成膜工程S110について詳細に説明する。なお、成膜工程S110は、異なる処理ガスを交互に供給する工程を繰り返すサイクリック処理である。
【0081】
図7を用いて成膜工程S110の詳細を説明する。
(第1の処理ガス供給工程S202)
基板載置台212が
図6(f)のようにウエハ処理ポジションに移動したら、排気管262を介して処理室201から雰囲気を排気して、処理室201内の圧力を調整する。ウエハ200の温度を調整する際、既に分散部234が加熱された状態であるので、ヒータ213から分散部234への熱移動量が少なくなる。したがって、すばやく加熱することが可能となる。
【0082】
所定の圧力に調整しつつ、ウエハ200の温度が所定の温度、例えば500℃から600℃に到達したら、共通ガス供給管242から処理ガス、例えばDCSガスを処理室に供給する。供給されたDCSガスはウエハ200上にシリコン含有層を形成する。
【0083】
(パージ工程:S204)
DCSガスの供給を停止した後は、第3ガス供給管245aからN2ガスを供給し、処理室201のパージを行う。このとき、バルブ275およびバルブ277は開状態とされてAPC276によって処理室201の圧力が所定圧力となるように制御される。一方、バルブ275およびバルブ277以外の排気系のバルブは、全て閉状態とされる。これにより、第1の処理ガス供給工程S202でウエハ200に結合できなかったDCSガスは、DP278により、排気管262を介して処理室201から除去される。
【0084】
パージ工程S204では、ウエハ200、処理室201、シャワーヘッドバッファ室232での残留DCSガスを排除するために、大量のパージガスを供給して排気効率を高める。
【0085】
より良くは、第3ガス供給管245aからN2ガスを供給すると共に、パージが終了すると圧力制御を再開する。このときも、第3ガス供給管245aからのN2ガスの供給は継続され、シャワーヘッド230および処理室201のパージが継続される。
【0086】
(第2の処理ガス供給工程:S206)
シャワーヘッドバッファ室232および処理室201のパージが完了したら、続いて、第2の処理ガス供給工程S206を行う。第2の処理ガス供給工程S206では、バルブ244dを開けて、プラズマ生成部231、シャワーヘッド230を介して、処理室201内へ第2の処理ガスとして第2元素含有ガスであるNH3ガスの供給を開始する。このとき、NH3ガスの流量が所定流量となるように、MFC244cを調整する。NH3ガスの供給流量は、例えば1000~10000sccmである。また、第2の処理ガス供給工程S206においても、第3ガス供給系のバルブ245dは開状態とされ、第3ガス供給管245aからN2ガスが供給される。このようにすることで、NH3ガスが第3ガス供給系に侵入することを防ぐ。
【0087】
プラズマ生成部231でプラズマ状態とされたNH3ガスは、シャワーヘッド230を介して、処理室201内に供給される。供給されたNH3ガスは、ウエハ200上のシリコン含有層と反応する。そして、既に形成されているシリコン含有層がNH3ガスのプラズマによって改質される。これにより、ウエハ200上には、例えばシリコン元素および窒素元素を含有する層であるシリコン窒化層(SiN層)が形成されることになる。
【0088】
NH3ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ244dを閉じ、NH3ガスの供給を停止する。NH3ガスの供給時間は、例えば2~20秒である。
【0089】
このような第2の処理ガス供給工程S206では、第1の処理ガス供給工程S202と同様に、バルブ275およびバルブ277が開状態とされ、APC276によって処理室201の圧力が所定圧力となるように制御される。また、バルブ275およびバルブ277以外の排気系のバルブは全て閉状態とされる。
【0090】
成膜工程S110には、次の第1処理工程S104及び第2処理工程S105が含まれる。
【0091】
(第1処理工程S104)
第1処理工程S104では、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、ウエハ200を加熱する。
【0092】
(第2処理工程S105)
第2処理工程S105は、ウエハ200の表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるようにヒータ224,225(第2の加熱部)の温度を、第1処理工程S104を行う際のヒータ224,225(第2の加熱部)の温度よりも高くする。これにより活性化した処理ガスが、処理室201に供給される。
【0093】
プラズマの活性度の分布について、中心側が外周側より多く、基板載置台212の温度が均一な温度の場合、成膜結果は、プラズマ活性度分布の影響を受ける。例えば、基板載置台212(ウエハ200)を400℃に均一な温度に制御している場合、プラズマを発生させると、基板載置台212(ウエハ200)の中心側は、500℃に昇温した時と同じような雰囲気となる。
【0094】
膜の特性を均一化させるには、温度偏差を打ち消すように、基板載置台212(ウエハ200)の外周温度を中心温度より大きくする必要がある。このために、例えば基板載置台212のヒータ213で温度制御するか、他のヒータで温度制御することが考えられる。
【0095】
基板載置台212のヒータ213で温度制御した場合、基板載置台212の熱容量が大きいため、複数のウエハ200を連続で処理した場合に、次の基板処理までの間に、基板載置台212の温度を基の温度に戻すまでに時間がかかり、半導体デバイスの製造スループットが低下する。このため、本実施形態では、基板載置台212のヒータ213とは別に、第2の加熱部の一例としてのヒータ224,225を設けている。これにより、ウエハ200の表面に対して一様でない加熱を効率的に行うことが可能となる。またこれによって、プラズマ処理の均一化と、ウエハ200の反りの抑制が可能となる。
【0096】
具体的には、コントローラ280(制御部)が、ウエハ200に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレート(WER)の少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更してもよい。より具体的には、ウエハ200に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、ヒータ213(第1の加熱部)の温度設定値とヒータ224,225(第2加熱部)の温度設定値の少なくとも一方を変更してもよい。
【0097】
活性種の量は膜特性に影響を与えるが、活性種の量を測定することは困難である。そこで、膜特性を基にヒータ213及びヒータ224,225の少なくとも一方をフィードバック制御する。例えばウエハ200の外周側のウエハエッチングレートが高い場合は、ヒータ224,225(第2加熱部)の温度を上昇させる。このようにして、ウエハ200の板面内における温度分布の制御の精度を向上させることができる。
【0098】
(パージ工程:S208)
NH3ガスの供給を停止した後は、上述したパージ工程S204と同様のパージ工程S208を実行する。パージ工程S208における各部の動作は、上述したパージ工程S204と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0099】
(判定工程:S210)
以上の第1の処理ガス供給工程S202、パージ工程S204、第2の処理ガス供給工程S206、パージ工程S208を1サイクルとして、コントローラ280は、このサイクルを所定回数(nサイクル)実施したか否かを判定する。サイクルを所定回数実施すると、ウエハ200上には、所望膜厚のSiN層が形成される。
【0100】
(ウエハ搬送ポジション移動工程S112)
図3の説明に戻る。
所望の膜厚のSiN層が形成されたら、基板載置台212を下降させ、ウエハ200を搬送ポジションに移動する。ここでは、第3のガス供給系245から不活性ガスを供給し、圧力を調整する。
【0101】
ところで、基板載置台212を下降させると、分散部234はヒータ213の温度の影響を受けにくくなることから、分散部234の温度が低くなることが考えられる。前述のように、成膜工程S110では分散部234が加熱されていることが望ましいが、仮に温度が低くなると、分散部234を再度所望の温度まで上昇するまでに時間がかかってしまう。したがって、ウエハ200を所望の温度に加熱するまでに時間がかかってしまう。
【0102】
(基板搬入出工程:S114)
基板搬入出工程S114では、上述した基板搬入載置工程S102と逆の手順にて、処理済みのウエハ200を処理容器202の外へ搬出する。そして、基板搬入載置工程S102と同様の手順にて、次に待機している未処理のウエハ200を処理容器202内に搬入する。その後、搬入されたウエハ200に対しては、第1処理工程S104以降の工程が実行されることになる。
【0103】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法は、上記基板処理装置100を用いた半導体装置の製造方法であって、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、ウエハ200(基板)を加熱する第1処理工程S104と、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、ウエハ200の表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように第2の加熱部の温度を、第1処理工程S104を行う際の第2の加熱部の温度よりも高くし、活性化した処理ガスを供給する第2処理工程S105と、を有する。
【0104】
(プログラム)
プログラムは、上記基板処理装置100をコンピュータに制御させるプログラムであって、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、ウエハ200(基板)を加熱する第1処理手順と、少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、ウエハ200の表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように第2の加熱部の温度を、第1処理手順を行う際の第2の加熱部の温度よりも高くし、活性化した処理ガスを供給する第2処理手順と、をコンピュータにより基板処理装置100に実行させる。
【0105】
[他の実施形態]
以上に、本開示の実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0106】
例えば、上記実施形態では、ガス供給部240がシャワーヘッド230を有するものとしたが、これに限られず、
図8に示されるように、ガス供給部240がシャワーヘッドを含まない構成であってもよい。
【0107】
また、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理において、第1元素含有ガス(第1の処理ガス)としてDCSガスを用い、第2元素含有ガス(第2の処理ガス)としてNH3ガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上にSiN膜を形成する場合を例に挙げたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、DCSガスやNH3ガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本開示を適用することが可能である。具体的には、第1元素としては、Siではなく、例えばTi、Zr、Hf等、種々の元素であってもよい。また、第2元素としては、Nではなく、例えばAr等であってもよい。
【0108】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として成膜処理を例に挙げたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、本開示は、各実施形態で例に挙げた成膜処理の他に、各実施形態で例示した薄膜以外の成膜処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。さらに、本開示は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本開示は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0109】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内で、前記基板が載置される基板載置部と、
前記基板載置部に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板の外周を加熱する第2の加熱部と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内で前記処理ガスを活性化するプラズマ生成部と、
少なくとも第1の温度と第2の温度の間において、前記基板を加熱する第1処理工程と、前記基板表面における温度偏差が一定の温度偏差の範囲内になるように前記第2の加熱部の温度を、前記第1処理工程を行う際の前記第2の加熱部の温度よりも高くし、前記活性化した処理ガスを供給する第2処理工程と、を行わせるよう、前記第1の加熱部、前記第2の加熱部、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御することが可能に構成された制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0110】
(付記2)
付記1に記載の基板処理装置であって、
前記ガス供給部は、前記基板に対向する様に設けられ、
前記プラズマ生成部は、前記ガス供給部内に設けられる。
【0111】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の基板処理装置であって、
前記第2の加熱部は、少なくとも、処理位置まで上昇した状態における前記基板載置部の前記第1の加熱部より上部の前記処理室を加熱可能な位置に配置される。
【0112】
(付記4)
付記1~3の何れかに記載の基板処理装置であって、
前記第2の加熱部は、前記処理室の壁面側に設けられている。
【0113】
(付記5)
付記1~4の何れかに記載の基板処理装置であって、
前記第2の加熱部は、更に前記ガス供給部に設けられている。
【0114】
(付記6)
付記1~5の何れかに記載の基板処理装置であって、
前記第2の加熱部は、ランプヒータで構成される。
【0115】
(付記7)
付記1~5の何れかに記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、温度偏差の設定値を変更するように構成される。
【0116】
(付記8)
付記1~6の何れかに記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記基板に形成された膜の膜厚分布とウエハエッチングレートの少なくとも一方を含む基板データを基に、前記第1の加熱部の温度設定値と前記第2加熱部の温度設定値の少なくとも一方を変更するように構成される。
【符号の説明】
【0117】
100 基板処理装置
200 ウエハ
201 処理室
210 基板載置部
213 ヒータ(第1の加熱部)
224 ヒータ(第2の加熱部)
225 ヒータ(第2の加熱部)
231 プラズマ生成部
240 ガス供給部
273 高周波電源
280 コントローラ(制御部)
S104 第1処理工程
S105 第2処理工程