(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ分析装置、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/26 20060101AFI20230920BHJP
G01N 30/32 20060101ALI20230920BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20230920BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G01N30/26 M
G01N30/32 Z
G01N30/86 T
G01N30/46 E
(21)【出願番号】P 2021502293
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2020007598
(87)【国際公開番号】W WO2020175510
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2019032872
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋枝 大介
(72)【発明者】
【氏名】野上 真
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸也
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/207295(WO,A1)
【文献】特開2011-099764(JP,A)
【文献】特開2005-257609(JP,A)
【文献】国際公開第02/086437(WO,A1)
【文献】特表2007-527014(JP,A)
【文献】特開平10-132796(JP,A)
【文献】特開2008-209334(JP,A)
【文献】特開2015-052533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/26,30/32,30/36,
G01N 30/86,
G01M 3/26,3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相を送液する送液部と、
前記移動相に試料を導入する試料導入部と、
前記試料導入部の下流側に接続され前記試料を複数の成分に分離させる分離カラムと、
前記分離カラムの下流側に接続され分離された前記成分を検出する検出器と、
前記送液部、前記試料導入部、及び前記検出器を制御する制御部と
を備え、
前記送液部は、
前記移動相を送液するための送液流路と、
前記送液流路の圧力を開放するための排液流路と、
前記移動相を前記試料導入部に吐出する分析流路と、
前記送液流路内の圧力を検出するセンサ装置と、
前記送液流路を前記排液流路又は前記分析流路に選択的に接続する流路切換バルブと
を含み、
前記流路切換バルブは、前記送液流路を前記分析流路及び前記排液流路のいずれにも接続させない密栓状態を提供可能に構成され、
前記試料導入部は、前記分析流路から導入された前記移動相に前記試料を導入する試料導入バルブを更に備え、
前記試料導入バルブは、前記分析流路をいずれの流路にも接続させない密栓状態を提供可能に構成さ
れ、
前記センサ装置は、前記密栓状態の前記送液流路内の圧力を検出する
液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項2】
複数の前記分離カラムに選択的に接続可能とされたカラム切換バルブを更に備え、前記カラム切換バルブは、複数の前記分離カラムのいずれにも流路を接続させない密栓状態を提供可能に構成された、請求項1に記載の液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項3】
前記分離カラムを経由せずに前記移動相を前記検出器へ導入させるためのバイパス流路を更に備え、
前記カラム切換バルブは、複数の前記分離カラムに加え、前記バイパス流路に選択的に接続可能に構成された、請求項2に記載の液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項4】
前記送液部は、試験の実行時において、前記送液流路の圧力が設定値
より小さい値に
到達したとき、前記
移動相の送液
流量を減少させる、請求項1に記載の液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項5】
前記送液部は、前記送液流路の圧力が前記設定値以上となった場合に
前記移動相の送液を停止させ、その後、前記制御部は前記圧力の変化量を測定するよう構成された、請求項4に記載の液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記圧力の変化量が閾値以上である場合、規定の繰り返し回数だけ前記送液部において気泡除去工程を繰り返すよう構成された、請求項5に記載の液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項7】
前記繰り返し回数が規定値を超えた場合、前記制御部は、前記気泡除去工程を行うことなく、前記試験の対象とされた流路が所定の性能を満たさないと判定する、請求項6に記載の液体クロマトグラフ分析装置。
【請求項8】
液体クロマトグラフ分析装置の制御方法において、
流路を選択的に接続する切換バルブを、他の流路のいずれにも接続されない密栓状態に設定し、
移動相の送液の圧力を上昇させ、
前記流路の圧力が設定値まで上昇した後前記送液を停止させ、
前記圧力の変化量に基づき、前記切換バルブの上流側の耐圧性能を判定し、
試験の実行時において、前記流路の圧力が前記設定値
より小さい値に
到達したとき、前記
移動相の送液流量を減少させ、
前記流路の圧力が前記設定値以上となった場合に前記移動相の送液を停止させ、その後、前記圧力の変化量を測定し、
前記圧力の変化量が閾値以上である場合、規定の繰り返し回数だけ気泡除去工程を繰り返す
ことを特徴とする、液体クロマトグラフ分析装置の制御方法。
【請求項9】
前記繰り返し回数が規定値を超えた場合、前記気泡除去工程を行うことなく、前記試験の対象とされた流路が所定の性能を満たさないと判定する、請求項8に記載の液体クロマトグラフ分析装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ分析装置、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(LC、Liquid Chromatograph)は、試料を分離するカラムに送出される移動相として液体を用いたクロマトグラフである。注入部から分析流路に導入される測定対象を含む液体試料は、移動相によってカラムまで送液される。カラムに充填された固定相と移動相との親和性の差を用いて、液体試料が複数の成分に分離される。分離された各成分は、紫外・可視吸光光度計、蛍光光度計、質量分析計などの検出器を用いて検出される。
【0003】
高性能液体クロマトグラフ(HPLC,High Performance Liquid Chromatograph)と呼ばれる液体クロマトグラフは、分析時間の短縮や分離性能の向上を目的として、カラムの充填材の粒子径を小さくし、送液装置により高圧で圧縮された液体を用いて分析を行う。特に粒子径2μm以下の充填材を使用したカラムを用いた液体クロマトグラフは、超高性能液体クロマトグラフ(UHPLC、 Ultra High Performance Liquid Chromatograph)と呼ばれている。
【0004】
液体クロマトグラフの測定データは、試料の分離時間(保持時間)と、検出器の検出信号強度の関係を示すピークで表示される。保持時間はピークトップの時間であり、分析条件が同一であれば試料成分毎にほぼ同一の値を示す。このため、保持時間は、分離成分を同定するための情報として使用される。
【0005】
一方で、検出信号強度は試料濃度と相関関係があり、分離成分の濃度を算出するための情報として使用される。液体クロマトグラフでは、分離された成分のピークの保持時間と信号強度で分離成分の同定と濃度を決定することが可能である。
【0006】
このように、液体クロマトグラフは、カラムの充填材の粒子径の微小化による性能向上に対応した結果、液体クロマトグラフを構成する装置や流路、特にカラム上流側の装置と流路において高い耐圧性能が求められている。装置の高圧化が進むに伴い、高圧環境下における送液装置や分析流路からの圧力リークが分析性能に与える影響が大きくなっている。
【0007】
送液装置又は分析流路内の接続部などで圧力リークが発生した場合には、測定対象の分離時間が変化する可能性がある。これは、分離時間に基づいて試料成分を同定する液体クロマトグラフにとって、測定データの信頼性が低下することを意味する。また、使用している溶媒によっては、流路外への流出による環境影響や装置破損も危惧される。
【0008】
また、UHPLCのような高い分離性能を要求される液体クロマトグラフでは、分析流路内のサンプルの拡散を低減させるために配管内径を小さくする傾向がある。このような装置では、配管接続部からの圧力リークだけではなく、配管の詰まりの有無を確認する必要性がある。
【0009】
このような理由から、HPLCやUHPLCなど高圧力の液体クロマトグラフを運用する場合は、分析装置の準備運転中に圧力リークによる溶媒リークが発生していないか、及び/又は分析流路内に詰まりがないかなど、流路の状態を確認すると同時に、定期的に(例えば耐圧部品交換時などに)、耐圧試験を実施し装置の耐圧性能が維持されていることを確認すること(以下、このような確認動作を「流路チェック動作」という)が望ましい。
【0010】
装置又はシステム全体の流路チェックを実施する場合は、対象となる装置の流路に密栓を接続し、送液装置による送液を行いながら試験対象となる装置又は流路内の圧力を一定値まで上昇させる必要がある。ただし、圧力の過剰上昇による装置破損を回避しつつ高圧状態を維持するよう、作業者が装置を調整・操作する必要がある。
【0011】
また、耐圧試験を実施するために必要な流路に密栓を接続させる作業は、密栓接続部の劣化や破損等の原因になる場合がある。耐圧試験を実施するための密栓接続作業自体が耐圧性能を低下させる一因となる場合もある。
【0012】
以上のように、液体クロマトグラフの性能を確認するための試験として、耐圧試験は有効である。しかし、耐圧試験は安全かつ正確に実施する必要があり、トレーニングを必要とする専門の技術や操作が要求される。このため、一般の装置使用者が耐圧試験を実施することは難しい。
【0013】
特許文献1は、送液装置内に流量センサを接続したリークチェックについて開示している。この方式は、送液装置内のリーク量を確認することは可能であるものの、流量センサの下流側のリークチェックが不可能であり、システム全体の圧力リークを確認することはできない。また、液体クロマトグラフシステムの高耐圧化が進んでいるため、流量センサ自体にも高耐圧仕様が要求される。
【0014】
特許文献2は、液体クロマトグラフ装置の最下流側に流路閉鎖機構を設けて耐圧試験を実施する方法について開示している。この方法では、カラムの下流側に設置され流路内圧力が高圧にならない検出器を耐圧試験範囲に含んでいるため、検出器の高耐圧化という本来不要な性能を付加しなければならない。また特許文献2では、液体クロマトグラフを構成するユニット間に流路閉鎖機構を設けることも提案されている。しかし、液体クロマトグラフに使用しない流路閉鎖機構を接続させることは、配管接続部における測定試料の拡散や滞留の原因となり、分離性能の低下やキャリーオーバの原因となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第7685866号明細書
【文献】特開2005-257609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、システム全体の流路の試験を、複雑な機構を追加することなく容易に実行することを可能にした液体クロマトグラフ分析装置、及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様に係る液体クロマトグラフ分析装置は、移動相を送液する送液部と、前記移動相に試料を導入する試料導入部と、前記試料導入部の下流側に接続され前記試料を複数の成分に分離させる分離カラムと、前記分離カラムの下流側に接続され分離された前記成分を検出する検出器と、前記送液部、前記試料導入部、及び前記検出器を制御する制御部とを備える。
前記送液部は、前記移動相を送液するための送液流路と、前記送液流路の圧力を開放するための排液流路と、前記移動相を前記試料導入部に吐出する分析流路と、前記送液流路を前記排液流路又は前記分析流路に選択的に接続する流路切換バルブとを含む。そして、前記流路切換バルブは、前記送液流路を前記分析流路及び前記排液流路のいずれにも接続させない密栓状態を提供可能に構成される。
【0018】
本発明に係る液体クロマトグラフ分析装置の制御方法は、流路を選択的に接続する切換バルブを、他の流路のいずれにも接続されない密栓状態に設定し、移動相の送液の圧力を上昇させ、前記流路の圧力が設定値まで上昇した後前記送液を停止させ、前記圧力の変化量に基づき、前記切換バルブの上流側の耐圧性能を判定するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、システム全体の流路の試験を、複雑な機構を追加することなく容易に実行することを可能にした液体クロマトグラフ分析装置、及び液体クロマトグラフ分析装置の制御方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析装置の構成例を説明する概略図である。
【
図2】流路切換バルブ108の詳細な構成と動作の一例を示す概略図である。
【
図3】試料導入バルブ109の構成と動作の一例を示す概略図である。
【
図4】第1の実施の形態における液体クロマトグラフ分析装置において耐圧試験が実行される場合の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図5】第1の実施の形態における耐圧試験の実行時の圧力変化の様子の一例を示すグラフである。
【
図6】第2の実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析装置の構成例を説明する概略図である。
【
図7】第2の実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析装置の動作を説明する概略図である。
【
図8】第3の実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析装置の構成例を説明する概略図である。
【
図9】第3の実施の形態における液体クロマトグラフ分析装置において流路チェックプロセスが実行される場合の手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号又は対応する番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0022】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。例えば、自動切換えバルブの形状や流路数も、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1の概略図を参照して、第1の実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析装置100の構成例を説明する。この液体クロマトグラフ分析装置100は、移動相タンク101、送液ユニット102(送液部)、試料導入ユニット103(試料導入部)、カラム温度調整ユニット104、検出器105、統括制御部114、操作部118、及び表示部119から大略構成されている。
【0024】
送液ユニット102は、一例として、送液装置106と、圧力検出器107と、流路切換バルブ108と、送液流路C0と、分析流路C1と、排液流路C2とを備える。送液装置106は、試料の搬送や分離に使用される移動相を、移動相タンク101から吸引し、高圧圧縮して吐出する機能を有する。この送液ユニット102は、一例として、1台の送液装置106から1つ又は複数の移動相を送液することが可能な液体クロマトグラフシステムとして構成され得る。
【0025】
圧力検出器107は、送液ユニット102の移動相を送液する送液流路C0、及び検出器までの配管内の圧力を検出するセンサ装置である。流路切換バルブ108は、送液装置106の下流側に接続され、送液流路C0を、試料導入ユニット103へと接続された分析流路C1、又は排液流路C2に選択的に接続する機能を有する。また、流路切換バルブ108は、後述するように、耐圧試験を実行する場合において、分析流路C1及び排液流路C2のいずれにも接続されない密栓状態を形成可能に構成される。
【0026】
試料導入ユニット103は、試料導入バルブ109と、試料計量ポンプ110と、ニードル111とから大略構成される。試料導入バルブ109は、前述の分析流路C1と接続されて、移動相を下流の分析流路C3に導入しながら、試料計量ポンプが吐出する試料を分析流路C3に導入するための切換機能を有している。試料導入バルブ109は、試料を導入するための試料導入口112を備えている。試料計量ポンプ110は、この試料導入口112に対し、ニードル111を介して計測対象の試料を吐出する機能を有する。試料計量ポンプ110から試料導入バルブ109に導入された試料は、移動相と混合されて分析流路C3へ吐出される。
【0027】
カラム温度調整ユニット104は、分離カラム113を収納可能とされ、分離カラム113の温度を恒温状態に制御する機能を有する。分離カラム113は、試料導入ユニット103と分析流路C3を介して接続され、試料導入ユニット103から移動相により導入された試料を各成分に分離させる。検出器105は、カラム温度調整ユニット104の下流に接続され、分離カラム113において分離された試料の各成分を検出する機能を有する。
【0028】
統括制御部114は、送液ユニット102、試料導入ユニット103、カラム温度調整ユニット104、及び検出器105を制御して、液体クロマトグラフデータの取得、及び耐圧試験のための動作を制御するための制御部である。統括制御部114は、一例として、前述した各ユニット102~104を制御するための分析条件を設定する分析条件設定部115、検出器105により出力された分析結果を解析するデータ処理部116、及び各分析の開始タイミング等を各ユニット102~104に出力させる分析制御部117とを有する。操作部118は、例えばキーボード、テンキー、マウス等の入力装置を含み、統括制御部114における制御に関する各種の指示をユーザから入力するための装置である。表示部119は、分析条件や分析結果を表示させるための装置であり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどから構成され得る。
【0029】
図2は、流路切換バルブ108の構成と動作の一例を示している。この流路切換バルブ108は、3個の配管接続部201A~Cと、3個の配管接続部201A~Cのうちの2個を接続するための可動流路202とを含む。配管接続部201Aは、例えば送液流路C0に接続され、配管接続部201Bは、分析流路C1に接続され、配管接続部201Cは、例えば排液流路C2に接続され得る。ここでは、可動流路202は、一端を中心にある配管接続部201Aに接続され、配管接続部201Aを中心として回動可能に構成される。可動流路202の他端は、回動することにより、残り2つの配管接続部201B又は201Cに接続されるか(
図2の状態(A)、(B))、又はいずれの配管接続部にも接続されない状態(
図2の状態(C))を取ることもできる(密栓状態)。
【0030】
従来の液体クロマトグラフ分析装置は、状態(A)と状態(B)の間でのみ切換動作を行う一方、この第1の実施の形態のクロマトグラフ分析装置では、状態(A)と状態(B)に加え、状態(C)、すなわち送液流路C0が、分析流路C1、排液流路C2のいずれとも接続されない密栓状態を提供することができる。この状態(C)が与えられることで、自動耐圧試験を実施するための密栓の機能を提供することが可能となる。従来の流路切換バルブにおいて密栓状態を提供するようにしたことで、特別な部品を追加することなく耐圧試験の実行が可能になっている。
【0031】
図3は、試料導入バルブ109の構成と動作の一例を示している。この試料導入バルブ109では、6個の配管接続部301A~Fと、そのうちの2個の配管接続部を繋ぐための3つの可動流路302A~Cで構成されている。配管接続部301A~Fは、1つの円周に沿って配置されている。また、可動流路302A~Cは、配管接続部301A~Fが配置される円周の曲率に略等しい曲率を有し、この円周に沿って移動可能に構成されている。
【0032】
可動流路302A~Cは、その一端が配管接続部301A~Fに接続されている場合、他端が隣接する配管接続部301A~301Fに接続されるよう構成される(
図3の状態(A)、(B))。例えば、状態(B)により、試料計量ポンプ110から試料の導入が行われ、導入された試料は状態(A)により、移動相によって下流側へ送液される。一方、可動流路302A~Cの一端が配管接続部301A~Fのいずれにも接続されていない場合、他端もまた、配管接続部301A~Fのいずれにも接続されない(状態(C))。この場合、試料導入バルブ109は、分析流路C1、分析流路C3、及び排液流路C4のいずれにも接続されず、試料導入バルブ109は密栓状態となる。この密栓状態により、耐圧試験が実行され得る。
【0033】
従来の試料導入バルブでは、状態(A)と状態(B)の間でのみ切換動作が行われる。一方、この
図1の第1の実施の形態の試料導入バルブ109では、状態(A)と状態(B)に加え、状態(C)、すなわち分析流路C1が分析流路C3及び排液流路C4のいずれとも接続されない密栓状態を提供することができる。この状態(C)が与えられることで、耐圧試験を実施するための密栓状態を提供することが可能となり、試料導入バルブ109よりも上流側において耐圧試験を実行することができる。従来の試料導入バルブにおいて密栓状態を提供するようにしたことで、特別な部品を追加することなく耐圧試験の実行が可能になっている。
【0034】
次に、
図4のフローチャートを参照して、第1の実施の形態における液体クロマトグラフ分析装置において耐圧試験が実行される場合の手順の一例を説明する。
図4では、流路切換バルブ108を密栓状態とした場合を例として説明するが、試料導入バルブ109を密栓状態とした場合でも、動作は同様である。
【0035】
耐圧試験の開始が指示されると(ステップS401)、送液ユニット102の流路切換バルブ108は密栓状態(
図2の状態(C))に切り換わる(ステップS402)。送液装置106は、予め設定された流量までの送液を開始する(ステップS403)。すると、送液ユニット102内の圧力検出器107が圧力値(P)の取得(トレース)を開始する(ステップS404)。このとき、密栓された装置内の圧力を緩やかに上昇させるために、送液装置106は、設定された送液流量まで一定の加速度、又は一定時間毎に段階的に流量変更することが望ましい。
【0036】
圧力値(P)が設定値である耐圧試験圧力(Pset)に近付き、例えばPsetよりもある値aだけ小さい圧力点に到達すると(ステップS405)、送液装置106は設定された耐圧試験圧力(Pset)を超える過剰な圧力上昇を防ぐため、送液流量を連続に又は段階的に減少させる(ステップS406)。
【0037】
圧力値(P)が耐圧試験圧力(Pset)以上となった場合(ステップS407のYes)、送液装置106は送液を停止する(ステップS408)。このとき、圧縮された移動相の圧力により送液装置106の駆動部品が動作しないように、駆動部品を保持する状態(保持状態)を維持させる。具体的な保持の方法として、駆動部品を動作させているモータを励磁状態で停止させることで、駆動部品を保持することができる。
【0038】
その後、統括制御部114は、耐圧試験圧力(Pset)到達直後から圧力検出器107が検出する圧力値(P)の変化量(ΔP)を測定する(ステップS409)。このとき、一定時間当りの圧力値(P)の変化量(ΔP)が閾値値(b)未満の場合は(ステップS410のYes)、統括制御部114は、当該液体クロマトグラフ分析装置が求められる耐圧性能を満たしている(OK)と判断する(ステップS411)。
【0039】
耐圧性能を満たしている(OK)と判断された場合、流路切換バルブ108を装置内の圧力を開放させるため排液流路C2に送液流路C0を接続した状態(状態(B))に切り換えた後(ステップS412)、送液装置106の駆動部品の保持状態を解除する(ステップS413)。その後、流路切換バルブ108を通常の分析のための状態(A)へ戻し(ステップS414)、耐圧試験を終了させる(ステップS415)。
【0040】
一方、耐圧試験圧力(Pset)までの昇圧時において圧力値(P)が耐圧試験圧力(Pset)まで到達しなかった場合(ステップS407のNo)、又は耐圧試験圧力(Pset)到達後の圧力変化量(ΔP)が閾値(b)以上だった場合(ステップS410のNo)、ステップS416に移行する。ステップS416以降は、パージ工程(気泡除去工程)、又は耐圧性能NGの判定及びその後の後処理が、再測定の回数に従って実行される。
【0041】
ステップS416では、耐圧試験における圧力値(P)の再測定の回数が規定の繰り返し回数(m)以下であるか否かが判定される。再測定の回数が規定の繰り返し回数m以下であれば(ステップS416のYes)、圧力リークが発生している以外の可能性として、移動相を圧縮し吐出している送液装置106のシリンダ内に気泡が混入している可能性が考えられる。このため、統括制御部114は、送液装置106においてパージ工程を開始させる。すなわち、統括制御部114は、圧力変化量(ΔP)が閾値(b)以上であった場合、規定の繰り返し回数(m)だけ送液装置106においてパージ工程を繰り返す。
【0042】
パージ工程を実行する前に、流路切換バルブ108の送液流路C0を排液経路C2に接続して(状態(B))送液流路C0の圧力を開放し(ステップS417)、その後送液装置106のパージ工程を開始する(ステップS418)。パージ工程が終了した後、ステップS402に戻り、以降、上述と同様の手順が再度実行される。
【0043】
一方、耐圧試験の再測定回数が規定値(m)を超えていた場合には(S416のNo)、圧力値(P)が上昇しない原因はシリンダ内の気泡ではなく、装置自体にあると判断される。このため、統括制御部114は、対象装置は耐圧性能を満たしていない(NG)と判定し(ステップS420)、アラート(警報)を表示部119に出力させる(ステップS421)。アラートを出力した後、統括制御部114は流路切換バルブ108を切り換えて送液流路C0と排液経路C2とを接続する状態(B)を得て装置内の圧力を開放させ(ステップS412)、駆動部の保持状態を解除し(ステップS413)、流路切換バルブ108を通常の分析ポジションである状態(A)に戻し(ステップS414)、耐圧試験を終了させる(ステップS415)。
【0044】
図5は、第1の実施の形態における耐圧試験の実行時の圧力変化の一例を示している。
図5(i)は、昇圧プロセスにおいて規定流量到達後から規定圧力(Pset)に到達するまで一定流量で昇圧を続けた場合(
図5(i-a))の圧力変化例を示している。この
図5(i)の如く、規定圧力(Pset)に到達するまで一定流量で昇圧を続けた場合、規定圧力到達後から送液装置106を停止するまでの時間差で圧力が急激に上昇する場合がある。この場合、送液装置106や流路に過剰負荷が掛かる虞がある。
【0045】
これに対し、
図5(ii)は、昇圧プロセスにおいて圧力値(P)が規定圧力(Pset)近くに到達した場合、段階的に移動相の流量(速度)を低減させた場合の圧力変化例を示している。例えば、圧力値(P)が規定圧力(Pset)よりもaだけ小さい値に達した場合に、流量の減速を開始することができる。このような動作を行なうことにより、規定圧力(Pset)到達時の圧力のスパイク的な上昇を抑えることができる。流量の減速の方法は、
図5(ii-a)に記載したような一定加速度による流量変更であってもよいし、
図5(ii-b)に示すように一定時間毎に段階的に流量を変更してもよい。あるいは、
図5(ii-a)と
図5(ii-b)を組み合わせた流量変更の方法を適応することも可能である。
【0046】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、流路切換バルブ108、及び試料導入バルブ109を、通常の状態に加え、密栓状態を提供できるように構成したため、システム全体の耐圧試験を、複雑な機構を追加することなく容易に実行することができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態の液体クロマトグラフ分析装置100Aを、
図6を参照して説明する。
図6において、第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、以下において重複する説明は省略する。
【0048】
この液体クロマトグラフ分析装置100Aは、第1の実施の形態と同様に、移動相タンク101、送液ユニット102、試料導入ユニット103、カラム温度調整ユニット104、検出器105、統括制御部114、操作部118、及び表示部119から大略構成されている。ただし、送液ユニット102は、2台の送液装置106A,106Bを備えており、2台の送液装置106A、106Bは、それぞれ異なる移動相タンク101A、101Bに接続される。
【0049】
送液装置106A、106Bの吐出口に接続される送液流路C01、C02には、それぞれ圧力検出器107A、107Bが接続されている。また、2台の送液装置106A、106Bの下流側には、分析流路と排液流路を選択的に切り換えるための流路切換バルブ108Aが設けられている。流路切換バルブ108Aから吐出された移動相は、合流部Q1を介して試料導入ユニット103に導入される。試料導入ユニット103の構成は、第1の実施の形態と同一である。なお、
図6の例では、合流部Q1は流路切換バルブ108Aの下流側に設置されているが、流路切換バルブ108Aの上流側に合流部Q1を設置することも可能である。その場合、送液装置106A、106Bの共有の圧力検出器を、合流部Q1の下流で且つ流路切換バルブ108Aの上流に配置することができる。
【0050】
一方、カラム温度調整ユニット104は、複数の分離カラム113A~Eを収納可能に構成されている。複数の分離カラム113A~Eは、互いに異なる性状の充填剤を含んでいる。加えて、カラム温度調整ユニット104は、分離カラム113A~Eを経由せずに移動相を検出器105へ導入させるバイパス流路120を備えている。このバイパス流路120は、カラム温度調整ユニット104において、複数の分離カラム113A~113Eと並列に配置される。
【0051】
カラム温度調整ユニット104は、任意の分離カラム113A~E又はバイパス流路120を選択的に分析流路に接続するためのカラム切換バルブ121、122を、分離カラム113A~Eの上流側と下流側に備えている。
図6に示すように、カラム切換バルブ121、122は、分離カラム113A~E及びバイパス流路120に接続される複数の第1の配管接続部と、分析流路に接続される第2の配管接続部と、第1及び第2の配管接続部を選択的に接続するための可動流路とを備えている。可動流路の一端が複数の第1の配管接続部のいずれかに接続されるよう第2の配管接続部を中心として回動することで、複数の分離カラムのいずれか、またはバイパス流路120を分析流路に接続することができる。
【0052】
また、カラム切換バルブ121、122は、複数の分離カラム113A~E又はバイパス流路120に接続される状態だけでなく、分離カラム113A~E及びバイパス流路120のいずれにも接続されていない状態(密栓状態)を取ることもできる。カラム切換バルブ121、122が密栓状態を提供することが可能な構成を有していることにより、それよりも上流における流路において耐圧試験を実行することが可能になる。
【0053】
図6に示した第2の実施の形態の装置では、分析時に高圧環境になる分離カラム113A~113Eの上流側に、流路切換バルブ108及び試料導入バルブ109、カラム切換バルブ121が配置されている。加えて、分離カラム113A~113Eの下流側には、カラム切換バルブ122が配置されている。これらのバルブ108、109、121、122を適宜、上述した密栓状態に切り換えて耐圧試験を実施することで、送液ユニット102からカラム温度調整ユニット104までの流路に関し一括で耐圧試験を実施することが可能となるだけでなく、各ユニット102、103、104のそれぞれに関し個別に耐圧試験を実施し、耐圧性能に問題がある場所を絞り込むことも可能になる。
【0054】
図7に示すように、カラム切換バルブ121、122がバイパス流路120に接続された状態で送液装置106A又は106Bが任意の流量で移動相を送液することが可能である。この場合、分離カラム113A~Eを除いた液体クロマトグラフ分析装置100の送液圧力を確認することができる。このときに送液される移動相の物性値と流量、接続された配管の内径及び長さの情報から送液圧力が算出することができるため、分析流路の詰まりの有無を確認することができる。
【0055】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態の液体クロマトグラフ分析装置100Bを、
図8を参照して説明する。
図8において、第2の実施の形態と同一の構成要素については
図6と同一の参照符号を付し、以下において重複する説明は省略する。
【0056】
この第3の実施の形態(
図8)では、試料導入ユニット103の構成が、第2の実施の形態とは異なっている。
図8の試料導入ユニット103は、試料導入バルブ109’と、試料計量ポンプ1101と、ニードル111とから大略構成される。
【0057】
送液ユニット102から延びる分析流路C1から導入された移動相は、一旦試料導入バルブ109’に導入された後、試料計量ポンプ1101、ニードル111、試料導入口112を介して再び試料導入バルブ109’に導入され、その後分析流路C3に導入される。この構成の場合、試料計量ポンプ1101、ニードル111においても高い耐圧性能が求められる。しかし、カラム温度調整ユニット104中のカラム切換バルブ121を密栓状態として耐圧試験を実施することで、試料計量ポンプ1101及びニードル111を含む、カラム切換バルブ121よりも上流側の部品のリークの有無を確認することが可能となる。
【0058】
図9のフローチャートを参照して、第3の実施の形態の液体クロマトグラフ分析装置の動作(流路のリークの有無、流路の詰まりの有無、並びに耐圧性能の試験を含む流路チェックプロセス)を説明する。
【0059】
流路チェックプロセスにおいて、流路のリーク及び/又は詰まりの有無、及び耐圧性能の試験の実施の順序は、任意に選択することができる。実施の順序は、各バルブ108’、109’、121、122を密栓状態にする順序を変更することにより、変更することができる。ただし、送液ユニット102が装置の流路内に送液する必要性があることから、流路の詰まりの有無を確認した後、流路内を昇圧させる耐圧試験を、上流側から順番に実施することが好適である。
【0060】
流路チェックプロセスが開始されると(ステップS801)、カラム切換バルブ121、122はバイパス流路120に接続され(ステップS802)、その後送液ユニット102から送液が開始される(ステップS803)。送液ユニット102内の圧力検出器107A、107Bは、送液流路C01、C02の圧力値(P)のデータの取得を開始し、また、統括制御部114は、圧力値(P)を予め設定された仕様圧力範囲と比較する(ステップS804)。圧力値(P)が仕様圧力範囲を超える場合は、流路内に詰まりがあると判断し、アラートを出力させる(ステップS819)。
【0061】
一方、圧力値(P)が仕様圧力範囲内であった場合は、バルブ閉鎖時の急激な圧力上昇を防ぐために一度送液装置106A又は106Bの動作を停止させ(ステップS805)、その後各ユニット102~104の耐圧試験へ移行する。
【0062】
耐圧試験では、送液ユニット102内に設置された流路切換バルブ108’を密栓状態に切り換え(ステップS806)、送液ユニット102の耐圧試験が開始される(ステップS807)。圧力検出器107A、107Bが検出した圧力値(P)が耐圧試験圧力(Pset)に到達すると、送液ユニット102内のリーク圧力の算出が開始され、一定時間毎の圧力変化量(P)から耐圧性能を判断する(ステップS808)。なお、このとき圧力値(P)の制御は、前述の実施の形態と同様の方法を採用することが可能である。
【0063】
送液ユニット102が所定の耐圧性能を満たさないと判断された場合には、送液ユニット102内に関し耐圧性能NGとのアラートが、表示部119等から出力される(ステップS820)。一方、送液ユニット102が耐圧性能を満たしていると判断される場合(OK)は、流路切換バルブ108’を状態(B)に切り換えて流路C01、C02圧力を開放し(ステップS809)、続いて試料導入ユニット103の耐圧試験へ移行する。
【0064】
試料導入ユニット103の耐圧試験も、送液ユニット102のプロセスと略同様に実行することができる。まず試料導入ユニット103の下流に接続されたカラム切換バルブ121を密栓状態に切り換える(ステップS810)。その後、送液ユニット102が移動相の送液を開始する。送液ユニット102が送液装置106からカラム切換バルブ121までの密栓された流路内に送液を続けることにより、試料導入ユニット103までの流路内の圧力が上昇する。圧力検出器107A、107Bが検出する圧力値(P)が耐圧試験圧力(Pset)に到達次第、送液ユニット102から試料導入ユニット103までの圧力(P)の算出が開始され、一定時間当たりの圧力値(P)変化量(ΔP)が算出され、これにより試料導入ユニット103の耐圧性能が判断される(ステップS812)。
試料導入ユニット103の耐圧性能が規定された仕様を満たさなかった場合(NG)は、直前の送液ユニット102の耐圧性能が仕様を満たしている(OK)ことを踏まえて、送液ユニット102から試料導入ユニット103までの間にリークがあると判断しアラートを出力させる(ステップS820)。一方、耐圧性能を満たしていると判断される場合は、カラム切換バルブ121を切り換えてバイパス流路120に接続することで圧力を開放する(ステップS813)。その後、手順はカラム温度調整ユニット104の耐圧試験へ移行する。
【0065】
カラム温度調整ユニット104の耐圧試験は、カラム切換バルブ122を使用して実施される。まず、カラム切換バルブ122を密栓状態に切り換えた後(ステップS814)、送液ユニット102が移動相の送液を開始し、これにより、カラム温度調整ユニット104及び分離カラム113A~Eの耐圧試験が開始される(ステップS815)。
【0066】
このとき、カラム切換バルブ121は耐圧試験の対象とされる分離カラムに接続されている。送液ユニット102が送液装置106A、106Bからカラム切換バルブ122までの流路内に送液を続けることにより、送液装置106A、106Bからカラム切換バルブ122までの流路内の圧力が上昇する。圧力検出器107A、107Bが検出した圧力値(P)が耐圧試験圧力(Pset)に到達次第、送液ユニット102からカラム切換バルブ122までの圧力の算出が開始され、一定時間当たりの圧力値(P)の変化量(ΔP)から、カラム温度調整ユニット104及び対象の分離カラムの耐圧性能が判断される(ステップS816)。
【0067】
カラム温度調整ユニット104等の耐圧性能が規定された仕様を満たさないと判断された場合(NG)は、送液ユニット102と試料導入ユニット103の耐圧性能が仕様を満たしていることを踏まえて、カラム切換バルブ121からカラム切換バルブ122までの間にリークがあると判断し、アラートを出力される(ステップS820)。
【0068】
一方、カラム温度調整ユニット104等の耐圧性能が規定された仕様を満たしていると判断された場合(OK)は、カラム切換バルブ122を切り換えて圧力を開放し(ステップS817)、流路チェックプロセスを終了させる。
【0069】
以上説明したように、
図9のフローチャートに示す一連の流路チェックプロセスを実行することで、液体クロマトグラフ分析装置内の流路詰まりの有無、流路リークの有無、及び耐圧試験を行うことができ、耐圧性能を満たさなかった場合の圧力リーク箇所の絞込みが可能となる。
【0070】
[その他]
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
101、101A、101B…移動相タンク
102…送液ユニット
103…試料導入ユニット
104…カラム温度調整ユニット
105…検出器
106…送液装置
107、107A、107B…圧力検出器
108…流路切換バルブ
Q1…合流部
109…試料導入バルブ
110、1101…試料計量ポンプ
111…ニードル
112…試料導入口
113、113A~E…分離カラム
114…統括制御部
115…分析条件設定部
116…データ処理部
117…分析制御部
118…操作部
119…表示部
120…バイパス流路
121、122…カラム切換バルブ