(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】パターン検査装置及びパターン検査方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230921BHJP
G01N 23/2251 20180101ALI20230921BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20230921BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230921BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20230921BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G01N23/2251
G01N21/956 A
G03F7/20 521
G03F1/84
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2019204960
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】杉原 真児
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-26969(JP,A)
【文献】特開2000-101871(JP,A)
【文献】特開平10-320556(JP,A)
【文献】国際公開第2002/045020(WO,A1)
【文献】中静真,”ウェーブレット変換に基づく輪郭領域画像編集”,画像ラボ,日本,日本工業出版株式会社,2005年11月01日,第16巻, 第11号,p.5-9
【文献】菊池久和, 外1名,”ウェーブレット変換による異常探知 -広がるウェーブレット変換の世界-”,シミュレーション,日本,(株)日鉄技術情報センター,1997年12月15日,第16巻, 第4号,p.17-26
【文献】Lu Sun, 外2名,"Corner detection for object recognition by using wavelet transform",Proceedings of 2004 International Conference on Machine Learning and Cybernetics,IEEE,2004年08月26日,p.4347-4351
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01N 23/2251
G01N 21/956
G03F 7/20
G03F 1/84
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形パターンが形成された基板の画像を取得する画像取得機構と、
前記画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する微分強度演算部と、
前記微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する1次元プロファイル抽出部と、
前記1次元プロファイル毎に、基本ウェーブレット関数のスケール変数を所定の値に変化させて、前記1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行うウェーブレット変換部と、
前記1次元プロファイル毎に、前記スケール変数が可変に設定されたウェーブレット変換後の各プロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する輪郭位置抽出部と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
図形パターンが形成された基板の画像を取得する画像取得機構と、
前記画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する微分強度演算部と、
前記微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する1次元プロファイル抽出部と、
前記1次元プロファイル毎に、複数の基本ウェーブレット関数を用いて、前記1次元プロファイルに対してそれぞれウェーブレット変換を行うウェーブレット変換部と、
前記1次元プロファイル毎に、各基本ウェーブレット関数を用いた前記ウェーブレット変換後のプロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する輪郭位置抽出部と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項3】
抽出された各輪郭位置を繋げていく途中で2重に輪郭位置が存在する場合に、隣接する前後の輪郭位置の勾配方向に対して、勾配方向が逆になる画素の輪郭位置を前記画像の図形パターンの輪郭線を構成する複数の輪郭位置から除外することを特徴とする請求項1又は2記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記基板に形成された図形パターンの基となる設計データを用いて、パターン線幅に応じて複数の基本ウェーブレット関数の中から少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を選択する選択部をさらに備え、
前記ウェーブレット変換部は、選択された前記少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を用いて前記1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行うことを特徴とする請求項1~3いずれかに記載のパターン検査装置。
【請求項5】
図形パターンが形成された基板の画像を取得する工程と、
前記画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する工程と、
前記微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する工程と、
前記1次元プロファイル毎に、基本ウェーブレット関数のスケール変数を所定の値に変化させて、前記1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行う工程と、
前記1次元プロファイル毎に、前記スケール変数が可変に設定されたウェーブレット変換後の各プロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する工程と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項6】
図形パターンが形成された基板の画像を取得する工程と、
前記画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する工程と、
前記微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する工程と、
前記1次元プロファイル毎に、複数の基本ウェーブレット関数を用いて、前記1次元プロファイルに対してそれぞれウェーブレット変換を行う工程と、
前記1次元プロファイル毎に、各基本ウェーブレット関数を用いた前記ウェーブレット変換後のプロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する工程と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項7】
抽出された各輪郭位置を繋げていく途中で2重に輪郭位置が存在する場合に、隣接する前後の輪郭位置の勾配方向に対して、勾配方向が逆になる画素の輪郭位置を前記画像の図形パターンの輪郭線を構成する複数の輪郭位置から除外することを特徴とする請求項5又は6記載のパターン検査方法。
【請求項8】
前記基板に形成された図形パターンの基となる設計データを用いて、パターン線幅に応じて複数の基本ウェーブレット関数の中から少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を選択する工程をさらに備え、
選択された前記少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を用いて前記1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行うことを特徴とする請求項5~7いずれかに記載のパターン検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置及びパターン検査方法に関する。例えば、電子線によるマルチビームで基板を照射して放出されるパターンの2次電子画像を用いて検査する検査装置、紫外線で基板を照射して得られるパターンの光学画像を用いて検査する検査装置、或いはそれらの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、LSIを構成するパターンは、10ナノメータ以下のオーダーを迎えつつあり、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。よって、半導体ウェハ上に転写された超微細パターンの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。その他、歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0003】
欠陥検査手法としては、半導体ウェハやリソグラフィマスク等の基板上に形成されているパターンを撮像した測定画像と、設計データ、あるいは基板上の同一パターンを撮像した測定画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計された設計データをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、これとパターンを撮像した測定データとなる測定画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0004】
上述したパターン検査装置には、レーザ光を検査対象基板に照射して、この透過像或いは反射像を撮像する装置の他、検査対象基板上を1次電子ビームで走査(スキャン)して、1次電子ビームの照射に伴い検査対象基板から放出される2次電子を検出して、パターン像を取得する検査装置の開発も進んでいる。これらのパターン検査装置では、パターンエッジ(端部)の位置を高精度に検出するために、画素値同士の比較ではなく、画像内のパターンの輪郭線を抽出して、参照画像の輪郭線との距離を判定指標に用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、パターンエッジの抽出に使用されるエッジフィルタやテンプレートが固定されており、また、パターンエッジの抽出にレイアウトデータを必要とするために、ノイズ、帯電、フォーカスずれ等の画像変動等に起因するプロファイル変動が生じるとエッジ位置に誤差が生じてしまうといった問題があった。
【0005】
また、SEM画像にウェーブレット変換を行った後、2値化画像を作成し、2値化画像にハフ変換を適用して検出対象物の位置と大きさを求めるといった技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-151202号公報
【文献】特開平11-110561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、画像変動等に起因するプロファイル変動が生じる場合でも画像から検出されるパターンエッジ位置の誤差を低減可能な検査装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
図形パターンが形成された基板を用いて基板の画像を取得する画像取得機構と、
画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する微分強度演算部と、
微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する1次元プロファイル抽出部と、
1次元プロファイル毎に、基本ウェーブレット関数のスケール変数を所定の値に変化させて、1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行うウェーブレット変換部と、
1次元プロファイル毎に、スケール変数が可変に設定されたウェーブレット変換後の各プロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する輪郭位置抽出部と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様のパターン検査装置は、
図形パターンが形成された基板を用いて基板の画像を取得する画像取得機構と、
画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する微分強度演算部と、
微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する1次元プロファイル抽出部と、
1次元プロファイル毎に、複数の基本ウェーブレット関数を用いて、1次元プロファイルに対してそれぞれウェーブレット変換を行うウェーブレット変換部と、
1次元プロファイル毎に、各基本ウェーブレット関数を用いたウェーブレット変換後のプロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する輪郭位置抽出部と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、抽出された各輪郭位置を繋げていく途中で2重に輪郭位置が存在する場合に、隣接する前後の輪郭位置の勾配方向に対して、勾配方向が逆になる画素の輪郭位置を画像の図形パターンの輪郭線を構成する複数の輪郭位置から除外すると好適である。
【0011】
また、基板に形成された図形パターンの基となる設計データを用いて、パターン線幅に応じて複数の基本ウェーブレット関数の中から少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を選択する選択部をさらに備え、
ウェーブレット変換部は、選択された少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を用いて1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行うと好適である。
【0012】
本発明の一態様のパターン検査方法は、
図形パターンが形成された基板を用いて基板の画像を取得する工程と、
画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する工程と、
微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する工程と、
1次元プロファイル毎に、基本ウェーブレット関数のスケール変数を所定の値に変化させて、1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行う工程と、
1次元プロファイル毎に、スケール変数が可変に設定されたウェーブレット変換後の各プロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する工程と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様のパターン検査方法は、
図形パターンが形成された基板を用いて基板の画像を取得する工程と、
前記画像の画素毎に、当該画素の階調値の微分強度を演算する工程と、
微分強度の値が閾値以上の画素毎に、当該画素の微分強度に対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する工程と、
1次元プロファイル毎に、複数の基本ウェーブレット関数を用いて、1次元プロファイルに対してそれぞれウェーブレット変換を行う工程と、
1次元プロファイル毎に、各基本ウェーブレット関数を用いたウェーブレット変換後のプロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する工程と、
抽出された複数の輪郭位置を繋げた前記画像の図形パターンの輪郭線と、当該画像に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線とを比較する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、抽出された各輪郭位置を繋げていく途中で2重に輪郭位置が存在する場合に、隣接する前後の輪郭位置の勾配方向に対して、勾配方向が逆になる画素の輪郭位置を前記画像の図形パターンの輪郭線を構成する複数の輪郭位置から除外すると好適である。
【0015】
また、基板に形成された図形パターンの基となる設計データを用いて、パターン線幅に応じて複数の基本ウェーブレット関数の中から少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を選択する工程をさらに備え、
選択された少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を用いて1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行うと好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、画像変動等に起因するプロファイル変動が生じる場合でも画像から検出されるパターンエッジ位置の誤差を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成の一例を示す構成図である。
【
図2】実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。
【
図3】実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態1におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態1における検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【
図7】実施の形態1における画素毎の階調値の勾配の演算を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1における図形パターンと勾配ベクトルとの一例を示す図である。
【
図9】実施の形態1における1次元プロファイルの一例を示すグラフである。
【
図10】実施の形態1における1次元プロファイルのサンプリングの仕方の一例を示すグラフである。
【
図11】実施の形態1におけるウェーブレット変換式の一例を示している。
【
図12】実施の形態1におけるウェーブレット変換式の他の一例を示している。
【
図13】実施の形態1におけるスケール変数を可変にしたウェーブレット変換後の波形の一例を示している。
【
図14】実施の形態1におけるピーク位置計算結果の一例を示す図である。
【
図15】実施の形態1における抽出された複数の輪郭位置の一例を示す図である。
【
図16】実施の形態1における比較方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態では、パターン検査装置の一例として、電子ビーム検査装置について説明する。但し、これに限るものではない。例えば、紫外線を被検査基板に照射して、被検査基板を透過或いは反射した光を用いて被検査画像を取得する検査装置であっても構わない。また、実施の形態では、複数の電子ビームによるマルチビームを用いて画像を取得する検査装置について説明するが、これに限るものではない。1本の電子ビームによるシングルビームを用いて画像を取得する検査装置であっても構わない。
【0019】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成の一例を示す構成図である。
図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、マルチ電子ビーム検査装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150(2次電子画像取得機構)、及び制御系回路160を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)及び検査室103を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、ビームセパレーター214、偏向器218、電磁レンズ224、電磁レンズ226、及びマルチ検出器222が配置されている。
図1の例において、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、及び副偏向器209は、マルチ1次電子ビームを基板101に照射する1次電子光学系を構成する。ビームセパレーター214、偏向器218、電磁レンズ224、及び電磁レンズ226は、マルチ2次電子ビームをマルチ検出器222に照射する2次電子光学系を構成する。
【0020】
検査室103内には、少なくともXY方向に移動可能なステージ105が配置される。ステージ105上には、検査対象となる基板101(試料)が配置される。基板101には、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。チップパターンは、複数の図形パターンによって構成される。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。以下、基板101が半導体基板である場合を主として説明する。基板101は、例えば、パターン形成面を上側に向けてステージ105に配置される。また、ステージ105上には、検査室103の外部に配置されたレーザ測長システム122から照射されるレーザ測長用のレーザ光を反射するミラー216が配置されている。マルチ検出器222は、電子ビームカラム102の外部で検出回路106に接続される。
【0021】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照輪郭線データ作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、磁気ディスク装置等の記憶装置109、モニタ117、及びメモリ118に接続されている。また、偏向制御回路128は、DAC(デジタルアナログ変換)アンプ144,146,148に接続される。DACアンプ146は、主偏向器208に接続され、DACアンプ144は、副偏向器209に接続される。DACアンプ148は、偏向器218に接続される。
【0022】
また、検出回路106は、チップパターンメモリ123に接続される。チップパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、ステージ105は、ステージ制御回路114の制御の下に駆動機構142により駆動される。駆動機構142では、例えば、ステージ座標系におけるX方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系が構成され、XYθ方向にステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないXモータ、Yモータ、θモータは、例えばステッピングモータを用いることができる。ステージ105は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、ステージ105の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。レーザ測長システム122は、ミラー216からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でステージ105の位置を測長する。ステージ座標系は、例えば、マルチ1次電子ビームの光軸(電子軌道中心軸)に直交する面に対して、X方向、Y方向、θ方向が設定される。
【0023】
電磁レンズ202、電磁レンズ205、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、電磁レンズ224、電磁レンズ226、及びビームセパレーター214は、レンズ制御回路124により制御される。また、一括ブランキング偏向器212は、2極以上の電極により構成され、電極毎に図示しないDACアンプを介してブランキング制御回路126により制御される。副偏向器209は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ144を介して偏向制御回路128により制御される。主偏向器208は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ146を介して偏向制御回路128により制御される。偏向器218は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ148を介して偏向制御回路128により制御される。
【0024】
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメント(カソード)と引出電極(アノード)間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、別の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度のカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。
【0025】
ここで、
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
【0026】
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。
図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m
1列×縦(y方向)n
1段(m
1,n
1は、一方が2以上の整数、他方が1以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。
図2の例では、23×23の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、理想的には共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、理想的には同じ外径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、m
1×n
1本(=N本)のマルチ1次電子ビーム20が形成されることになる。
【0027】
次に、検査装置100における画像取得機構150の動作について説明する。
【0028】
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、電磁レンズ202によって屈折させられ、成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、
図2に示すように、複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、マルチ1次電子ビーム20が形成される。
【0029】
形成されたマルチ1次電子ビーム20は、電磁レンズ205、及び電磁レンズ206によってそれぞれ屈折させられ、中間像およびクロスオーバーを繰り返しながら、マルチ1次電子ビーム20の各ビームのクロスオーバー位置(各ビームの中間像位置)に配置されたビームセパレーター214を通過して電磁レンズ207(対物レンズ)に進む。そして、電磁レンズ207は、マルチ1次電子ビーム20を基板101にフォーカス(合焦)する。対物レンズ207により基板101(試料)面上に焦点が合わされた(合焦された)マルチ1次電子ビーム20は、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向され、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。なお、一括ブランキング偏向器212によって、マルチ1次電子ビーム20全体が一括して偏向された場合には、制限アパーチャ基板213の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板213によって遮蔽される。一方、一括ブランキング偏向器212によって偏向されなかったマルチ1次電子ビーム20は、
図1に示すように制限アパーチャ基板213の中心の穴を通過する。かかる一括ブランキング偏向器212のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが一括制御される。このように、制限アパーチャ基板213は、一括ブランキング偏向器212によってビームOFFの状態になるように偏向されたマルチ1次電子ビーム20を遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板213を通過したビーム群により、検査用(画像取得用)のマルチ1次電子ビーム20が形成される。
【0030】
基板101の所望する位置にマルチ1次電子ビーム20が照射されると、かかるマルチ1次電子ビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチ1次電子ビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子ビーム300)が放出される。
【0031】
基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ207を通って、ビームセパレーター214に進む。
【0032】
ここで、ビームセパレーター214はマルチ1次電子ビーム20の中心ビームが進む方向(電子軌道中心軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。そのため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。ビームセパレーター214に上側から侵入してくるマルチ1次電子ビーム20には、電界による力と磁界による力が打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20は下方に直進する。これに対して、ビームセパレーター214に下側から侵入してくるマルチ2次電子ビーム300には、電界による力と磁界による力がどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子ビーム300は斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離する。
【0033】
斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離したマルチ2次電子ビーム300は、偏向器218によって、さらに曲げられ、電磁レンズ224,226によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。マルチ検出器222は、投影されたマルチ2次電子ビーム300を検出する。マルチ検出器222には、反射電子及び2次電子が投影されても良いし、反射電子は途中で発散してしまい残った2次電子が投影されても良い。マルチ検出器222は、2次元センサを有する。そして、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子が2次元センサのそれぞれ対応する領域に衝突して、電子を発生し、2次電子画像データを画素毎に生成する。言い換えれば、マルチ検出器222には、マルチ1次電子ビーム20の1次電子ビーム毎に、検出センサが配置される。そして、各1次電子ビームの照射によって放出された対応する2次電子ビームを検出する。よって、マルチ検出器222の複数の検出センサの各検出センサは、それぞれ担当する1次電子ビームの照射に起因する画像用の2次電子ビームの強度信号を検出することになる。マルチ検出器222にて検出された強度信号は、検出回路106に出力される。
【0034】
図3は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。
図3において、基板101が半導体基板(ウェハ)である場合、半導体基板(ウェハ)の検査領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)332が2次元のアレイ状に形成されている。各チップ332には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のマスクパターンが図示しない露光装置(ステッパ、スキャナ等)によって例えば1/4に縮小されて転写されている。各チップ332の領域は、例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割される。画像取得機構150によるスキャン動作は、例えば、ストライプ領域32毎に実施される。例えば、-x方向にステージ105を移動させながら、相対的にx方向にストライプ領域32のスキャン動作を進めていく。各ストライプ領域32は、長手方向に向かって複数の矩形領域33に分割される。対象となる矩形領域33へのビームの移動は、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。
【0035】
図4は、実施の形態1におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。
図4の例では、5×5列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。1回のマルチ1次電子ビーム20の照射で照射可能な照射領域34は、(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じたx方向サイズ)×(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じたy方向サイズ)で定義される。各ストライプ領域32の幅は、照射領域34のy方向サイズと同様、或いはスキャンマージン分狭くしたサイズに設定すると好適である。
図3及び
図4の例では、照射領域34が矩形領域33と同じサイズの場合を示している。但し、これに限るものではない。照射領域34が矩形領域33よりも小さくても良い。或いは大きくても構わない。そして、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、自身のビームが位置するx方向のビーム間ピッチとy方向のビーム間ピッチとで囲まれるサブ照射領域29内に照射され、当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム10は、互いに異なるいずれかのサブ照射領域29を担当することになる。そして、各ショット時に、各1次電子ビーム10は、担当サブ照射領域29内の同じ位置を照射することになる。サブ照射領域29内の1次電子ビーム10の移動は、副偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。かかる動作を繰り返し、1つの1次電子ビーム10で1つのサブ照射領域29内を順に照射していく。そして、1つのサブ照射領域29のスキャンが終了したら、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が同じストライプ領域32内の隣接する矩形領域33へと移動する。かかる動作を繰り返し、ストライプ領域32内を順に照射していく。1つのストライプ領域32のスキャンが終了したら、ステージ105の移動或いは/及び主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が次のストライプ領域32へと移動する。以上のように各1次電子ビーム10iの照射によってサブ照射領域29毎の2次電子画像が取得される。これらのサブ照射領域29毎の2次電子画像を組み合わせることで、矩形領域33の2次電子画像、ストライプ領域32の2次電子画像、或いはチップ332の2次電子画像が構成される。
【0036】
なお、
図4に示すように、各サブ照射領域29が矩形の複数のフレーム領域30に分割され、フレーム領域30単位の2次電子画像(被検査画像)が検査に使用される。
図4の例では、1つのサブ照射領域29が、例えば4つのフレーム領域30に分割される場合を示している。但し、分割される数は4つに限るものではない。その他の数に分割されても構わない。
【0037】
なお、例えばx方向に並ぶ複数のチップ332を同じグループとして、グループ毎に例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割されるようにしても好適である。そして、ストライプ領域32間の移動は、チップ332毎に限るものではなく、グループ毎に行っても好適である。
【0038】
ここで、ステージ105が連続移動しながらマルチ1次電子ビーム20を基板101に照射する場合、マルチ1次電子ビーム20の照射位置がステージ105の移動に追従するように主偏向器208によって一括偏向によるトラッキング動作が行われる。そのため、マルチ2次電子ビーム300の放出位置がマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に対して刻々と変化する。同様に、サブ照射領域29内をスキャンする場合に、各2次電子ビームの放出位置は、サブ照射領域29内で刻々と変化する。このように放出位置が変化した各2次電子ビームをマルチ検出器222の対応する検出領域内に照射させるように、偏向器218は、マルチ2次電子ビーム300を一括偏向する。
【0039】
ここで、検出された被検査画像の検査を行うにあたって、図形パターン毎の輪郭線を抽出する。しかしながら、上述したように、輪郭線(パターンエッジ)の抽出に使用されるエッジフィルタやテンプレートは従来固定されており、また、パターンエッジの抽出にレイアウトデータを必要とするために、ノイズ、帯電、フォーカスずれ等の画像変動等に起因するプロファイル変動が生じるとエッジ位置に誤差が生じてしまうといった問題があった。そこで、実施の形態1では、画像変動等による誤差の影響を低減可能なウェーブレット変換を用いる。
【0040】
図5は、実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示すブロック図である。
図5において、実施の形態1における比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52,55,62、フレーム画像作成部54、勾配演算部56、1次元プロファイル抽出部57、選択部58、ウェーブレット変換部59、輪郭位置抽出部60、輪郭線データ作成部61、及び比較処理部70が配置される。フレーム画像作成部54、勾配演算部56、1次元プロファイル抽出部57、選択部58、ウェーブレット変換部59、輪郭位置抽出部60、輪郭線データ作成部61、及び比較処理部70といった各「~部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。フレーム画像作成部54、勾配演算部56、1次元プロファイル抽出部57、選択部58、ウェーブレット変換部59、輪郭位置抽出部60、輪郭線データ作成部61、及び比較処理部70内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリ、或いはメモリ118に記憶される。
【0041】
図6は、実施の形態1における検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図6において、実施の形態1における検査方法は、スキャン工程(S102)と、勾配演算工程(S104)と、1次元プロファイル抽出工程(S106)と、基本ウェーブレット関数選択工程(S108)と、ウェーブレット変換工程(S110)と、輪郭位置抽出工程(S112)と、実画輪郭線データ作成工程(S114)と、参照輪郭線データ作成(S120)と、比較工程(S130)と、いう一連の工程を実施する。
【0042】
スキャン工程(S102)として、画像取得機構150は、図形パターンが形成された基板101を用いて基板101の画像を取得する。ここでは、図形パターンが形成された基板101にマルチ1次電子ビーム20を照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300を検出することにより、基板101の2次電子画像を取得する。上述したように、マルチ検出器222には、反射電子及び2次電子が投影されても良いし、反射電子は途中で発散してしまい残った2次電子(マルチ2次電子ビーム300)が投影されても良い。
【0043】
上述したように、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300は、マルチ検出器222で検出される。マルチ検出器222によって検出された各サブ照射領域29内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、比較回路108に転送される。比較回路108に転送される。
【0044】
比較回路108内に転送された測定画像データ(ビーム画像)は、記憶装置50に格納される。
【0045】
そして、フレーム画像作成部54は、各1次電子ビーム10のスキャン動作によって取得されたサブ照射領域29の画像データをさらに分割した複数のフレーム領域30のフレーム領域30毎のフレーム画像31を作成する。なお、各フレーム領域30は、画像の抜けが無いように、互いにマージン領域が重なり合うように構成されると好適である。作成されたフレーム画像31は、記憶装置55に格納される。
【0046】
勾配演算工程(S104)として、勾配演算部56(微分強度演算部)は、フレーム画像31の画素毎に、当該画素の階調値の勾配(微分強度)を演算する。
【0047】
図7は、実施の形態1における画素毎の階調値の勾配の演算を説明するための図である。
図7において、勾配演算部56は、フレーム画像31毎に、フレーム画像31の画素列(例えば512×512の画素列)に微分フィルタを畳み込む。具体的には、対象となる画素を順に移動させながら、対象画素を中心として、例えば、3×3の画素列を抽出し、かかる画素列に微分フィルタを乗じる。対象画素を中心とした画素列は、3×3の画素列に限るものではない。さらに多くの因子の行列で構成されていても良い。微分フィルタは、
図7に示すように、x方向の微分フィルタとy方向の微分フィルタとを用いる。微分フィルタとして、例えば、画素列の中央に重みをつけた上で横方向或いは縦方向に平滑化を施すことによりノイズを低減しながら微分近似を行うことで、階調勾配が大きい画素を抽出可能なソーベルフィルタを用いると好適である。
図7の例では、3×3の微分フィルタを一例として示している。但し、これに限るものではない。さらに多くの因子の行列で構成されていても良い。そして、対象画素を中心とした例えば3×3の画素列にx方向の微分フィルタとy方向の微分フィルタとをそれぞれ畳み込む。これにより、x方向の勾配の値とy方向の勾配の値とを演算できる。そして、勾配演算部56は、x方向の勾配とy方向の勾配との2乗和根を演算して、勾配の大きさ(値)を演算する。
【0048】
1次元プロファイル抽出工程(S106)として、1次元プロファイル抽出部57は、勾配の大きさ(微分強度の値)が閾値以上の画素毎に、当該画素の勾配の大きさに対する法線方向の複数の画素についての1次元プロファイルを抽出する。
【0049】
図8は、実施の形態1における図形パターンと勾配ベクトルとの一例を示す図である。
図8(a)では、矩形パターンの左上の角部における閾値以上の勾配値を持った複数の画素における勾配ベクトルの一例を示している。例えば、図形のy方向に延びる辺上の画素では、x方向(或いは-x方向)に所定の大きさの勾配ベクトルが得られる。例えば、図形のx方向に延びる辺上の画素では、y方向(或いは-y方向)に所定の大きさの勾配ベクトルが得られる。例えば、x,y方向に沿っていない辺(例えば、図形の角部)上の画素では、x,y方向の合成された方向に所定の大きさの勾配ベクトルが得られる。ここで、勾配ベクトルのベクトルは、当該画素の勾配の大きさに対する法線方向を示している。法線方向とは、等勾配値線(等微分強度線)に直交する方向に相当する。実際の演算では、x方向の勾配とy方向の勾配とを、それぞれx方向の勾配ベクトルとy方向の勾配ベクトルとした場合、x方向の勾配ベクトルとy方向の勾配ベクトルとを合成(加算)した方向が法線方向に相当する。
図8(a)の例では、閾値以上の勾配値を持った複数の画素の勾配ベクトルを抽出して示しているが、その他の画素についてもそれぞれ勾配ベクトルが存在し得ることはいうまでもない。1次元プロファイル抽出部57は、フレーム画像31毎に、当該フレーム画像31内の各画素で得られた勾配ベクトルの中から、閾値以上の勾配値を持った画素を抽出する。そして、抽出された画素毎に、当該画素の勾配の大きさに対する法線方向の1次元プロファイルを抽出する。
図8(b)の例では、
図8(a)に示した矩形パターンの左エッジ(y方向に延びるエッジ)上の画素と想定される一部分を拡大して示している。
図8(b)の例では、勾配ベクトルがx方向に向いているので、当該画素を含む、例えば、中心とするx方向に並ぶ1次元画素列の階調値から得られる1次元プロファイルを抽出する。
図8(b)の例では、y方向に並ぶ3つの画素についてx方向に向いたベクトルを示しているが、x方向にも閾値以上の勾配値を持った画素が例えば隣接して存在する場合が殆どである。その場合には、かかる画素についても1次元プロファイルを抽出する。
【0050】
図9は、実施の形態1における1次元プロファイルの一例を示すグラフである。
図9において、縦軸に階調値を示し、横軸に位置を示す。
図9に示すように、2次電子画像では、図形パターンのエッジ部分にピークが表れる場合が多い。ここで、各画素が正方形で定義される場合、x方向或いはy方向に1次元プロファイルを抽出する場合、画素サイズをピッチとして各階調値をプロットすれば良いが、例えば、x,y方向に沿っていない方向に1次元プロファイルを抽出する場合、画素の配列ピッチが画素サイズと不一致になってしまう。そこで、以下のように調整する。
【0051】
図10は、実施の形態1における1次元プロファイルのサンプリングの仕方の一例を示すグラフである。
図10(a)では、矩形パターンの左上の角部における輪郭線上と想定される位置の画素の法線方向に1次元プロファイルを抽出する場合の一例を示している。
図10(a)の例では、x,y方向に沿っていない方向なので、1次元プロファイルを抽出する場合、プロットする位置を補間する。具体的には、
図10(b)に示すように、法線方向に画素サイズsをピッチとして階調値をプロットする。例えば、各画素の中心に当該画素の階調値が定義されるものとして、補間処理により、各プロット位置の階調値を決定すればよい。
【0052】
基本ウェーブレット関数選択工程(S108)として、選択部58は、予め用意した複数の基本ウェーブレット関数の中から少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を選択する。
【0053】
図11は、実施の形態1におけるウェーブレット変換式の一例を示している。
図11の例では、係数k、スケール変数a、座標変数b、基本ウェーブレット(局在波)関数f、階調値d(x)を用いて、次の式(1)で定義されるウェーブレット変換関数w(a,b)を示している。xは、1次元プロファイルの位置を示す。式(1)では、基本ウェーブレット関数fに複素共役の記号を付けて示しているが、実関数では複素共役の記号を無視して構わない。
【0054】
【0055】
図11の例では、スケール変数aを変化させることで、ウェーブレット変換後の波形が変化することが示されている。
図11の例では、スケール変数aをa1とa2とに換えた場合の波形の変化を示している。
図11の例では、ウェーブレットとして、中心軸に対して左右対称の波形種を示しているが、基本ウェーブレット関数fの波形種は、1種類に限るものではない。基本ウェーブレット関数は有限長の関数であり、画像データの様に離散的なデータの場合、式(1)は有限インパルス応答(FIR)フィルタの一種と見なすことができる。
【0056】
図12は、実施の形態1におけるウェーブレット変換式の他の一例を示している。
図12の例では、係数k、座標変数b、基本ウェーブレット関数fa、階調値d(x)を用いて、次の式(2)で定義されるウェーブレット変換関数w(a,b)を示している。xは、1次元プロファイルの位置を示す。式(2)では、基本ウェーブレット関数faに複素共役の記号を付けて示しているが、実関数では複素共役の記号を無視して構わない。
【0057】
【0058】
図12の例では、複数の基本ウェーブレット関数faを用いた場合のウェーブレット変換関数w(a,b)を示している。
図12の例では、基本ウェーブレット関数faをf1とf2との2種類の波形種を示している。
図12の例では、基本ウェーブレット関数として、偶関数と奇関数とを一例として示している。複数の基本ウェーブレット関数faに含まれるのは、波形種が異なる基本ウェーブレット関数に限るものではない。同種の波形であってもスケール変数aが変化した場合を別の基本ウェーブレット関数として複数の基本ウェーブレット関数faの1つとして含めても構わない。
【0059】
ここで、画像変動等が生じた場合でもウェーブレット変換後の波形のピーク位置変動が小さくなる最適な基本ウェーブレット関数の波形は、図形パターンの線幅によって異なる場合がある。そのため、実験等により、予め、図形パターンの線幅毎に、適した基本ウェーブレット関数の波形を求めておくと好適である。かかる場合、選択部58は、基板101に形成された図形パターンの基となる設計データを用いて、パターン線幅に応じて複数の基本ウェーブレット関数の中から少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を選択する。但し、予め用意したすべての基本ウェーブレット関数を選択する場合でも構わない。或いは、図形パターンの線幅に関わらず、1つの基本ウェーブレット関数を選択する場合でも構わない。
【0060】
ウェーブレット変換工程(S110)として、ウェーブレット変換部59は、選択された少なくとも1つの基本ウェーブレット関数を用いて1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行う。例えば、選択された基本ウェーブレット関数が1つである場合に、1次元プロファイル毎に、基本ウェーブレット関数fのスケール変数aを変化させて、1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行う。具体的には、スケール変数aを変化させながら、上述した式(1)の演算を行って、ウェーブレット変換関数w(a,b)を求める。或いは、ウェーブレット変換部59は、例えば、選択された基本ウェーブレット関数fが2つ以上である場合であって、複数の基本ウェーブレット関数faにスケール変数aが変化した場合が別の基本ウェーブレット関数として含まれない場合に、1次元プロファイル毎に、各基本ウェーブレット関数fのスケール変数aを変化させて、それぞれ1次元プロファイルに対してウェーブレット変換を行う。或いは、ウェーブレット変換部59は、例えば、選択された基本ウェーブレット関数faが2つ以上である場合であって、複数の基本ウェーブレット関数faにスケール変数aが変化した場合が別の基本ウェーブレット関数として含まれない場合には、ウェーブレット変換部59は、1次元プロファイル毎に、複数の基本ウェーブレット関数faを用いて、1次元プロファイルに対してそれぞれウェーブレット変換を行う。具体的には、上述した式(2)の演算を行って、ウェーブレット変換関数w(a,b)を求める。
【0061】
輪郭位置抽出工程(S112)として、輪郭位置抽出部60は、1次元プロファイル毎に、スケール変数aが可変に設定されたウェーブレット変換後の各プロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する。複数の基本ウェーブレット関数faを選択した場合には、輪郭位置抽出部60は、1次元プロファイル毎に、各基本ウェーブレット関数faを用いたウェーブレット変換後のプロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する。ピーク位置は、サブ画素単位で抽出する。
【0062】
図13は、実施の形態1におけるスケール変数を可変にしたウェーブレット変換後の波形の一例を示している。
図13において、縦軸は畳み込み強度(ウェーブレット変換強度)を示し、横軸に座標変数b(位置)を示す。位置は、1次元プロファイルの方向(法線方向)の位置を示す。
図13の例では、フレーム画像31内の所定の閾値以上の勾配値を持った複数の画素のうちの1つの画素に基づく1次元プロファイルに対して、式(1)を用いて、スケール変数aを1~16まで変更しながら各スケール変数aでのウェーブレット変換を行った結果を示している。a=1~16のうち、a=1,2,3,7,16についてグラフ上に表示している。
図13の例に示すように、スケール変数aを可変にすることで、ウェーブレット変換後の波形のピーク位置及びピーク強度が変化することがわかる。輪郭位置抽出部60は、ウェーブレット変換後の各プロファイルのピーク位置のうち、最大となるピーク位置を図形パターンの輪郭位置として抽出する。
図13の例では、スケール変数aが7の場合に、ピークが最大になる場合を示している。よって、輪郭位置抽出部60は、スケール変数aが7の場合の波形のピーク位置をサブ画素単位で抽出する。
【0063】
図14は、実施の形態1におけるピーク位置計算結果の一例を示す図である。
図14の例では、矩形パターンの上部を示している。また、
図14において、矢印の先端がピーク位置を示す。
図14に示すように、ピーク位置が図形パターンの輪郭線上に位置していることがわかる。
【0064】
実画輪郭線データ作成工程(S114)として、輪郭線データ作成部61は、抽出された複数の輪郭位置を繋げたフレーム画像31の図形パターンの輪郭線データを作成する。抽出された複数の輪郭位置は、隣接する画素毎に並ぶ。或いは、画像変動等により、1画素或いは2画素程度抜ける画素が存在する場合もあり得る。輪郭線データ作成部61は、隣接する複数の輪郭位置を繋げることで図形パターンの輪郭線データを作成する。
【0065】
図15は、実施の形態1における抽出された複数の輪郭位置の一例を示す図である。
図15の例では、y方向に並ぶ画素毎に抽出された複数の輪郭位置の一例を示している。ここで、隣接する複数の輪郭位置をつなげていく途中で、ピーク位置がずれて2重に存在する場合が生じ得る。例えば、複数の輪郭位置をつなげていくと直交する方向に並ぶ2つの画素からそれぞれ算出された2つのピーク位置候補が存在する場合があり得る。輪郭線データ作成部61は、抽出された各輪郭位置を繋げていく途中で2重に輪郭位置が存在する場合に、隣接する前後の輪郭位置の勾配方向に対して、勾配方向が逆になる画素の輪郭位置をフレーム画像31の図形パターンの輪郭線を構成する複数の輪郭位置から除外する。その際に、前述のピーク強度が小さい、あるいは勾配の値(微分強度)が小さい方の輪郭位置を除外すると良い。勾配方向が完全に逆方向に限るものではなく、180°近傍の方向の輪郭位置候補を除外すればよい。或いは、ピーク位置がずれて2重に存在する場合として、勾配方向の差が0°(同じ方向)近傍の2つのピーク位置候補が存在する場合もあり得る。かかる場合には、前述のピーク強度が小さい、あるいは勾配の値(微分強度)が小さい画素の輪郭位置をフレーム画像31の図形パターンの輪郭線を構成する複数の輪郭位置から除外する。作成されたフレーム画像31(実画)の輪郭線データは、記憶装置62に格納される。
【0066】
参照輪郭線データ作成(S120)として、参照輪郭線データ作成回路112は、フレーム画像31に対応する領域の図形パターンの参照輪郭線データを作成する。言い換えれば、参照輪郭線データ作成回路112は、フレーム領域30毎に、当該フレーム領域30内の図形パターンの輪郭線を参照輪郭線として作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出す。設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。参照輪郭線データ作成回路112は、かかる設計パターンデータを用いて、各図形パターンの輪郭線データ(参照輪郭線データ)を作成する。作成された参照輪郭線データは、比較回路108に出力され、比較回路108内の記憶装置52に格納される。
【0067】
上述した例では、設計データから参照輪郭線データを作成する場合を示しているが、これに限るものではない。ベクトルデータで構成される設計データを用いて、フレーム領域30毎に、参照画像を作成し、参照画像から画像内の各図形パターンについて参照輪郭線データを抽出するように構成しても構わない。かかる場合の抽出方向は、フレーム画像31から抽出する場合と同様の手法を用いると好適である。
【0068】
比較工程(S130)として、比較処理部70(比較部)は、抽出された複数の輪郭位置を繋げたフレーム画像31の図形パターンの輪郭線と、当該フレーム画像31に対応するフレーム領域30の参照輪郭線とを比較する。比較処理部70は、フレーム画像31毎に、かつ図形パターン毎に、フレーム画像31の図形パターンの輪郭線(実画輪郭線)と、対応する参照輪郭線との距離を演算する。
【0069】
図16は、実施の形態1における比較方法を説明するための図である。
図16には、実画(フレーム画像31)の輪郭線11と、対応する参照輪郭線12の一部を示している。輪郭線11の全ての位置において、対応する参照輪郭線12との距離ΔLを測定し、結果を反応値として出力する。出力形式は、反応値を階調値とする画像データ、あるいは位置座標と反応値のリストとすると良い。この反応値が判定閾値よりも大きい位置座標を欠陥部と判定する。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力される。
【0070】
上述した例では、ダイ-データベース検査を行う場合を説明したが、これに限るものではない。被検査画像は、ダイ-ダイ検査を行う場合であっても構わない。ダイ-ダイ検査を行う場合について説明する。
【0071】
対象となるダイ1のフレーム画像と同じパターンが形成されたダイ2のフレーム画像を上述した参照画像として用いて、それぞれ輪郭位置を抽出して、輪郭線データを作成し、同様の比較処理を実施すればよい。
【0072】
以上のように、実施の形態1によれば、画像変動等に起因するプロファイル変動が生じる場合でも画像から検出されるパターンエッジ位置の誤差を低減できる。例えば、ノイズ、帯電、或いは/及びフォーカスずれ等による画像変動、或いは、図形サイズに依存する像プロファイルの変化があっても、検出されるパターンエッジ位置の誤差を低減できる。
【0073】
以上の説明において、一連の「~回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、及び偏向制御回路128は、上述した少なくとも1つの処理回路で構成されても良い。
【0074】
以上、具体例を参照しながら実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
図1の例では、1つの照射源となる電子銃201から照射された1本のビームから成形アパーチャアレイ基板203によりマルチ1次電子ビーム20を形成する場合を示しているが、これに限るものではない。複数の照射源からそれぞれ1次電子ビームを照射することによってマルチ1次電子ビーム20を形成する態様であっても構わない。
【0075】
また、紫外線等の光を照射して得られた光学画像に対して、同様に、画像内の図形パターンの輪郭線を抽出する場合についても、上述したウェーブレット変換を用いて輪郭位置を抽出すると好適である。
【0076】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0077】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査装置及びパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0078】
10 1次電子ビーム
11 輪郭線
12 参照輪郭線
20 マルチ1次電子ビーム
22 穴
29 サブ照射領域
30 フレーム領域
32 ストライプ領域
33 矩形領域
34 照射領域
36 画素
50,52,55,62 記憶装置
54 フレーム画像作成部
56 勾配演算部
57 1次元プロファイル抽出部
58 選択部
59 ウェーブレット変換部
60 輪郭位置抽出部
61 輪郭線データ作成部
70 比較処理部
100 検査装置
101 基板
102 電子ビームカラム
103 検査室
105 ステージ
106 検出回路
107 位置回路
108 比較回路
109 記憶装置
110 制御計算機
112 参照輪郭線データ作成回路
114 ステージ制御回路
117 モニタ
118 メモリ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 チップパターンメモリ
124 レンズ制御回路
126 ブランキング制御回路
128 偏向制御回路
142 駆動機構
144,146,148 DACアンプ
150 画像取得機構
160 制御系回路
201 電子銃
202 電磁レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
205,206,207,224,226 電磁レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
212 一括ブランキング偏向器
213 制限アパーチャ基板
214 ビームセパレーター
216 ミラー
218 偏向器
222 マルチ検出器
300 マルチ2次電子ビーム
330 検査領域
332 チップ