(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ループ型ヒートパイプ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F28D 15/04 20060101AFI20230922BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F28D15/04 B
F28D15/02 M
F28D15/02 101L
F28D15/04 E
F28D15/04 H
(21)【出願番号】P 2019198357
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】町田 洋弘
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082309(JP,A)
【文献】特開2004-273140(JP,A)
【文献】特開2014-031579(JP,A)
【文献】特開2002-218703(JP,A)
【文献】特開2018-197631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/00 - 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を気化させる蒸発器と、
前記作動流体を液化する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、前記液管と共にループ状の流路を形成する蒸気管と、
を有し、
前記蒸発器、前記凝縮器、前記液管、前記蒸気管の各々は、互いに積層された複数の金属層を有し、
前記複数の金属層は、前記蒸発器、前記凝縮器、前記液管及び前記蒸気管の
一対の管壁
を構成し、
前記一対の管壁の各々は、前記複数の金属層の各々の第1の外壁面からなる外壁面を有し、
前記複数の金属層の少なくとも一つに、前記一対の管壁の各々の前記外壁面において、当該金属層の二つの主面の一方である第1の主面から厚さ方向の中央部に向かって窪んだ第1の凹部が形成されていることを特徴とするループ型ヒートパイプ。
【請求項2】
前記第1の凹部は、前記外壁面に
て外部に露出するようにし
て形成されていることを特徴とする請求項
1に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項3】
前記第1の凹部の表面は、前記第1の主面と前記外壁面とを繋ぐことを特徴とする請求項
1に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項4】
前記第1の凹部の表面は、前記第1の主面から前記外壁面にかけて傾斜していることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項5】
前記第1の凹部は、前記流路に沿って延びることを特徴とする請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項6】
前記第1の凹部が形成された前記金属層は、前記第1の凹部の表面と、当該金属層の前記第1の外壁面と、当該金属層の前記第1の主面とは反対側の第2の主面とを備えたフィンを有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項7】
前記第1の凹部は、半円弧状の断面形状を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項8】
前記第1の凹部が形成された前記金属層に、前記第1の主面とは反対側の第2の主面から厚さ方向の中央部に向かって窪んだ第2の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項9】
前記第2の凹部は、前記外壁面に
て外部に露出するようにし
て形成されていることを特徴とする請求項
8に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項10】
前記第2の凹部の表面は、前記第2の主面と前記外壁面とを繋ぐことを特徴とする請求項
9に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項11】
前記第2の凹部の表面は、前記第2の主面から前記外壁面にかけて傾斜していることを特徴とする請求項
9又は
10に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項12】
前記第2の凹部は、前記流路に沿って延びることを特徴とする請求項
9乃至
11のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項13】
前記第2の凹部は、積層方向で当該金属層と隣り合う金属層の前記第1の凹部と連続することを特徴とする請求項
9乃至1
2のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項14】
積層方向で隣り合う前記金属層の間で、前記
第1の外壁面の位置がずれていることを特徴とする請求項
1乃至13のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
【請求項15】
作動流体を気化させる蒸発器と、前記作動流体を液化する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、前記液管と共にループ状の流路を形成する蒸気管とを形成する工程において、
前記蒸発器、前記凝縮器、前記液管、前記蒸気管の各々は、互いに積層された複数の金属層を有し、
前記複数の金属層は、前記蒸発器、前記凝縮器、前記液管及び前記蒸気管の
一対の管壁
を構成し、
前記一対の管壁の各々は、前記複数の金属層の各々の第1の外壁面からなる外壁面を有し、
前記複数の金属層の少なくとも一つに、前記一対の管壁の各々の前記外壁面において、当該金属層の二つの主面の一方である第1の主面から厚さ方向の中央部に向かって窪んだ第1の凹部を形成する工程を有することを特徴とするループ型ヒートパイプの製造方法。
【請求項16】
前記
第1の凹
部は、前記金属層を
前記第1の主面側からハーフエッチングすることにより、前記第1の主面に、前記外壁面に
て外部に露出するようにし
て形成
されることを特徴とする請求項1
5に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
【請求項17】
前記第1の凹部が形成された前記金属層を前記第1の主面とは反対側の第2の主面側からハーフエッチングすることにより、前記第2の主面に、前記外壁面に
て外部に露出するようにして
前記第2の主面から厚さ方向の中央部に向かって窪んだ第2の凹部を形成する工程を有することを特徴とする請求項1
5又は16に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
【請求項18】
積層方向で隣り合う前記金属層の間で、前記
第1の外壁面の位置をずらすことを特徴とする請求項1
5乃至17のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ループ型ヒートパイプ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に搭載されるCPU(Central Processing Unit)等の発熱部品を冷却するデバイスとして、ヒートパイプが知られている。ヒートパイプは、作動流体の相変化を利用して熱を輸送するデバイスである。
【0003】
ヒートパイプの一例として、発熱部品の熱により作動流体を気化させる蒸発器と、気化した作動流体を冷却して液化する凝縮器とを備え、蒸発器と凝縮器とがループ状の流路を形成する液管と蒸気管で接続されたループ型ヒートパイプが挙げられる。ループ型ヒートパイプでは、作動流体はループ状の流路を一方向に流れる。
【0004】
又、ループ型ヒートパイプの蒸発器や液管内には、多孔質体が設けられており、多孔質体に生じる毛細管力で液管内の作動流体を蒸発器に誘導し、蒸発器から液管に蒸気が逆流することを抑制している。多孔質体には多数の細孔が形成されている。各細孔は、金属層の一方の面側に形成された有底孔と他方の面側に形成された有底孔とが部分的に連通して形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6400240号公報
【文献】特開2015-094490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のループ型ヒートパイプでは、十分な放熱性能が得られない場合がある。
【0007】
本開示は、放熱性能を向上することができるループ型ヒートパイプ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一形態によれば、作動流体を気化させる蒸発器と、前記作動流体を液化する凝縮器と、前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、前記蒸発器と前記凝縮器とを接続し、前記液管と共にループ状の流路を形成する蒸気管と、を有し、前記蒸発器、前記凝縮器、前記液管、前記蒸気管の各々は、互いに積層された複数の金属層を有し、前記複数の金属層は、前記蒸発器、前記凝縮器、前記液管及び前記蒸気管の一対の管壁を構成し、前記一対の管壁の各々は、前記複数の金属層の各々の第1の外壁面からなる外壁面を有し、前記複数の金属層の少なくとも一つに、前記一対の管壁の各々の前記外壁面において、当該金属層の二つの主面の一方である第1の主面から厚さ方向の中央部に向かって窪んだ第1の凹部が形成されているループ型ヒートパイプが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、放熱性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプを例示する平面模式図である。
【
図2】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの蒸発器及びその周囲の断面図である。
【
図3】第1の実施の形態における蒸気管を例示する側面図である。
【
図4】第1の実施の形態における蒸気管を例示する断面図である。
【
図5】第1の実施の形態における液管及び液管内の多孔質体を例示する断面図である。
【
図6】2層目から5層目までの各金属層における有底孔の配置を例示する平面図である。
【
図7】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造工程を例示する図(その1)である。
【
図8】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造工程を例示する図(その2)である。
【
図9】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造工程を例示する図(その3)である。
【
図10】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造工程を例示する図(その4)である。
【
図11】第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造工程を例示する図(その5)である。
【
図12】第1の実施の形態の変形例における蒸気管を例示する側面図である。
【
図13】第1の実施の形態の変形例における蒸気管を例示する断面図である。
【
図14】第2の実施の形態における蒸気管を例示する側面図である。
【
図15】第2の実施の形態における蒸気管を例示する断面図である。
【
図16】第2の実施の形態の変形例における蒸気管を例示する側面図である。
【
図17】第2の実施の形態の変形例における蒸気管を例示する断面図である。
【
図18】第3の実施の形態における蒸気管を例示する側面図である。
【
図19】第3の実施の形態における蒸気管を例示する断面図である。
【
図20】第3の実施の形態の第1の変形例における蒸気管を例示する側面図である。
【
図21】第3の実施の形態の第1の変形例における蒸気管を例示する断面図(その1)である。
【
図22】第3の実施の形態の第1の変形例における蒸気管を例示する断面図(その2)である。
【
図23】第3の実施の形態の第2の変形例における蒸気管を例示する側面図である。
【
図24】第3の実施の形態の第2の変形例における蒸気管を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの構造]
まず、第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプを例示する平面模式図である。
【0013】
図1を参照するに、ループ型ヒートパイプ1は、蒸発器10と、凝縮器20と、蒸気管30と、液管40とを有する。ループ型ヒートパイプ1は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル型の電子機器2に収容することができる。
【0014】
ループ型ヒートパイプ1において、蒸発器10は、作動流体Cを気化させて蒸気Cvを生成する機能を有する。凝縮器20は、作動流体Cの蒸気Cvを液化させる機能を有する。蒸発器10と凝縮器20は、蒸気管30及び液管40により接続されており、蒸気管30及び液管40によって作動流体C又は蒸気Cvが流れるループである流路50が形成されている。
【0015】
図2は、第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの蒸発器及びその周囲の断面図である。
図1及び
図2に示すように、蒸発器10には、例えば4つの貫通孔10xが形成されている。蒸発器10に形成された各貫通孔10xと回路基板100に形成された各貫通孔100xにボルト150を挿入し、回路基板100の下面側からナット160で止めることにより、蒸発器10と回路基板100とが固定される。蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30及び液管40は、上面1aと、上面1aとは反対側の下面1bとを有する。本開示において平面視とは、上面1aに垂直な方向から視ることをいう。
【0016】
回路基板100には、例えば、CPU等の発熱部品120がバンプ110により実装され、発熱部品120の上面が蒸発器10の下面1bと密着する。蒸発器10内の作動流体Cは、発熱部品120で発生した熱により気化し、蒸気Cvが生成される。
【0017】
図1に示すように、蒸発器10に生成された蒸気Cvは、蒸気管30を通って凝縮器20に導かれ、凝縮器20において液化する。これにより、発熱部品120で発生した熱が凝縮器20に移動し、発熱部品120の温度上昇が抑制される。凝縮器20で液化した作動流体Cは、液管40を通って蒸発器10に導かれる。蒸気管30の幅W
1は、例えば、8mm程度とすることができる。又、液管40の幅W
2は、例えば、6mm程度とすることができる。
【0018】
作動流体Cの種類は特に限定されないが、蒸発潜熱によって発熱部品120を効率的に冷却するために、蒸気圧が高く、かつ蒸発潜熱が大きい流体を使用することが好ましい。そのような流体としては、例えば、アンモニア、水、フロン、アルコール、及びアセトンを挙げることができる。
【0019】
蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、及び液管40は、例えば、金属層が複数積層された構造とすることができる。金属層は、例えば、熱伝導性に優れた銅層であって、固相接合等により互いに直接接合されている。金属層の各々の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。
【0020】
なお、金属層は銅層には限定されず、ステンレス層やアルミニウム層、マグネシウム合金層等から形成してもよい。又、金属層の積層数は特に限定されない。
【0021】
ここで、蒸気管30の構造について説明する。
図3及び
図4は、第1の実施の形態における蒸気管を例示する図である。
図3は、X方向から視た側面図であり、
図4は、
図1及び
図3のD-D線に沿う断面図である。
【0022】
図4に示すように、蒸気管30は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる流路50を含む。流路50は、1層目(一方の最外層)の金属層61の下面61bと、6層目(他方の最外層)の金属層66の上面66aと、金属層62~65の内壁面62s~65sとにより閉じられた構造とすることができる。なお、金属層61~66のX方向の両端部において、金属層61~66が6層積層された領域を管壁90と称する。
【0023】
なお、
図3及び
図4において、金属層61~66の積層方向をZ方向、Z方向に垂直な平面内の任意の方向をX方向、この平面内においてX方向と直交する方向をY方向としている(他の図も同様)。
【0024】
2つの管壁90において、金属層61は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面61aと、下面61bと、外壁面61gと、凹部71Aとを備えている。金属層61の上面61aは、外部に露出している。金属層61の下面61bの一部は、金属層62の上面62aと接しており、金属層61の下面61bのうちで金属層62の上面62aと接していない部分は外部に露出している。金属層61の外壁面61gは、外部に露出している。凹部71Aは、上面61a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成されている。凹部71Aの表面は、金属層61の上面61aと外壁面61gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部71Aは、上面61a及び外壁面61gの一部に形成されている。凹部71Aの表面は、金属層61の上面61aから外壁面61gにかけて傾斜している。凹部71Aは、
図3に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部71Aは、当該凹部71Aの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。金属層61の凹部71Aの下にフィン61fが形成される。フィン61fは、金属層61の外壁面61gと、外部に露出している金属層61の下面61bと、凹部71Aの表面とを備える。凹部71Aは第1の凹部の一例である。
【0025】
2つの管壁90において、金属層62は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面62aと、下面62bと、内壁面62sと、外壁面62gと、凹部72Aとを備えている。金属層62の上面62aは、金属層61の下面61bと接している。金属層62の下面62bの一部は、金属層63の上面63aと接しており、金属層62の下面62bのうちで金属層63の上面63aと接していない部分は外部に露出している。金属層62の内壁面62sは流路50に露出している。金属層62の外壁面62gは、内壁面62sとは反対側に位置しており、外部に露出している。凹部72Aは、上面62a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成されている。凹部72Aの表面は、金属層62の上面62aと外壁面62gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部72Aは、上面62a及び外壁面62gの一部に形成されている。凹部72Aの表面は、金属層62の上面62aから外壁面62gにかけて傾斜している。凹部72Aは、
図3に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部72Aは、当該凹部72Aの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。金属層62の凹部72Aの下にフィン62fが形成される。フィン62fは、金属層62の外壁面62gと、外部に露出している金属層62の下面62bと、凹部72Aの表面とを備える。凹部72Aは第1の凹部の一例である。
【0026】
2つの管壁90において、金属層63は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面63aと、下面63bと、内壁面63sと、外壁面63gと、凹部73Aとを備えている。金属層63の上面63aは、金属層62の下面62bと接している。金属層63の下面63bの一部は、金属層64の上面64aと接しており、金属層63の下面63bのうちで金属層64の上面64aと接していない部分は外部に露出している。金属層63の内壁面63sは流路50に露出している。金属層63の外壁面63gは、内壁面63sとは反対側に位置しており、外部に露出している。凹部73Aは、上面63a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成されている。凹部73Aの表面は、金属層63の上面63aと外壁面63gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部73Aは、上面63a及び外壁面63gの一部に形成されている。凹部73Aの表面は、金属層63の上面63aから外壁面63gにかけて傾斜している。凹部73Aは、
図3に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部73Aは、当該凹部73Aの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。金属層63の凹部73Aの下にフィン63fが形成される。フィン63fは、金属層63の外壁面63gと、外部に露出している金属層63の下面63bと、凹部73Aの表面とを備える。凹部73Aは第1の凹部の一例である。
【0027】
2つの管壁90において、金属層64は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面64aと、下面64bと、内壁面64sと、外壁面64gと、凹部74Aとを備えている。金属層64の上面64aは、金属層63の下面63bと接している。金属層64の下面64bの一部は、金属層65の上面65aと接しており、金属層64の下面64bのうちで金属層65の上面65aと接していない部分は外部に露出している。金属層64の内壁面64sは流路50に露出している。金属層64の外壁面64gは、内壁面64sとは反対側に位置しており、外部に露出している。凹部74Aは、上面64a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成されている。凹部74Aの表面は、金属層64の上面64aと外壁面64gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部74Aは、上面64a及び外壁面64gの一部に形成されている。凹部74Aの表面は、金属層64の上面64aから外壁面64gにかけて傾斜している。凹部74Aは、
図3に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部74Aは、当該凹部74Aの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。金属層64の凹部74Aの下にフィン64fが形成される。フィン64fは、金属層64の外壁面64gと、外部に露出している金属層64の下面64bと、凹部74Aの表面とを備える。凹部74Aは第1の凹部の一例である。
【0028】
2つの管壁90において、金属層65は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面65aと、下面65bと、内壁面65sと、外壁面65gと、凹部75Aとを備えている。金属層65の上面65aは、金属層64の下面64bと接している。金属層65の下面65bの一部は、金属層66の上面66aと接しており、金属層65の下面65bのうちで金属層66の上面66aと接していない部分は外部に露出している。金属層65の内壁面65sは流路50に露出している。金属層65の外壁面65gは、内壁面65sとは反対側に位置しており、外部に露出している。凹部75Aは、上面65a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成されている。凹部75Aの表面は、金属層65の上面65aと外壁面65gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部75Aは、上面65a及び外壁面65gの一部に形成されている。凹部75Aの表面は、金属層65の上面65aから外壁面65gにかけて傾斜している。凹部75Aは、
図3に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部75Aは、当該凹部75Aの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。金属層65の凹部75Aの下にフィン65fが形成される。フィン65fは、金属層65の外壁面65gと、外部に露出している金属層65の下面65bと、凹部75Aの表面とを備える。凹部75Aは第1の凹部の一例である。
【0029】
2つの管壁90において、金属層66は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面66aと、下面66bと外壁面66gと、凹部76Aとを備えている。金属層66の上面66aは、金属層65の下面65bと接している。金属層66の下面66bは、外部に露出している。金属層66の外壁面66gは、外部に露出している。凹部76Aは、上面66a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成されている。凹部76Aの表面は、金属層66の上面66aと外壁面66gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部76Aは、上面66a及び外壁面66gの一部に形成されている。凹部76Aの表面は、金属層66の上面66aから外壁面66gにかけて傾斜している。凹部76Aは、
図3に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部76Aは、当該凹部76Aの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。金属層66の凹部76Aの下にフィン66fが形成される。フィン66fは、金属層66の外壁面66gと、金属層62の下面62bと、凹部76Aの表面とを備える。凹部76Aは第1の凹部の一例である。
【0030】
凹部71A~76Aは、例えば金属層61~66の外壁面61g~66gから25μm~150μm程度の範囲に形成されていてもよい。凹部71A~76Aの深さは、例えば、金属層61~66の厚さの半分程度とすることができる。
【0031】
このような構成の蒸気管30では、管壁90に凹部71A~76Aが形成されている。このため、管壁90に凹部71A~76Aが形成されていない平坦面である場合と比較して、管壁90の外気との接触面積が大きく、放熱効率を向上することができる。つまり、蒸気管30内を流れている間に、蒸気Cvの熱が外部に放出されやすい。
【0032】
なお、本実施形態では凹部71A~76Aを各金属層61~66の上面61a~66a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成したが、これに限らない。例えば、凹部71A~76Aを各金属層61~66の下面61b~66b側から厚さ方向の略中央部にかけて窪むように形成してもよい。
【0033】
次に、液管40について説明する。
図5は、第1の実施の形態における液管及び液管内の多孔質体を例示する断面図である。
図5は、
図1のB-B線に沿う断面を示している。
【0034】
液管40の管壁90も、蒸気管30の管壁90と同様の構成を有する。すなわち、液管40の管壁90にも凹部71A~76Aが形成されている。このため、管壁90に凹部71A~76Aが形成されていない平坦面である場合と比較して、管壁90の外気との接触面積が大きく、放熱効率を向上することができる。つまり、液管40内を流れている間に、作動流体Cの熱が外部に放出されやすい。
【0035】
また、
図5に示すように、液管40内には多孔質体60が設けられている。多孔質体60は、液管40内の2箇所に設けられている。一方の多孔質体60は、液管40の一方の管壁90と連続して形成され、他方の多孔質体60は、液管40の他方の管壁90と連続して形成されている。そして、一方の多孔質体60の他方の多孔質体60に対向する面と、他方の多孔質体60の一方の多孔質体60に対向する面との間に作動流体Cが流れる流路50が形成されている。以下に、多孔質体60について詳説する。
【0036】
図6は、2層目から5層目までの各金属層における有底孔の配置を例示する平面図である。
図6において、A-A線で示す部分が
図5中の多孔質体60の断面に相当する。
【0037】
多孔質体60は、例えば、金属層62~65の4層が積層された構造とすることができる。金属層62~65は、例えば、熱伝導性に優れた銅層であって、固相接合等により互いに直接接合されている。金属層61~66の各々の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。なお、金属層61~66は銅層には限定されず、ステンレス層やアルミニウム層、マグネシウム合金層等から形成してもよい。又、金属層の積層数は限定されず、5層以下や7層以上の金属層を積層してもよい。
【0038】
なお、
図5及び
図6において、金属層61~66の積層方向をZ方向、Z方向に垂直な平面内の任意の方向をX方向、この平面内においてX方向と直交する方向をY方向としている(他の図も同様)。
【0039】
多孔質体60は、1層目(一方の最外層)の金属層61の下面及び6層目(他方の最外層)の金属層66の上面と接している。金属層61や金属層66には、孔や溝は形成されていない。これに対して、
図5及び
図6(a)に示すように、多孔質体60を構成する2層目の金属層62には、上面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔62xと、下面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔62yとが、それぞれ複数個形成されている。
【0040】
有底孔62xと有底孔62yとは、平面視でX方向に交互に配置されている。又、有底孔62xと有底孔62yとは、平面視でY方向に交互に配置されている。X方向に交互に配置された有底孔62xと有底孔62yとは、平面視で部分的に重複しており、重複する部分は連通して細孔62zを形成している。Y方向に交互に配置された有底孔62xと有底孔62yとは、所定間隔を有して形成されており、平面視で重複していない。そのため、Y方向に交互に配置された有底孔62xと有底孔62yとは、細孔を形成していない。
【0041】
有底孔62x及び62yは、例えば、直径が100μm~300μm程度の円形とすることができるが、楕円形や多角形等の任意の形状として構わない。有底孔62x及び62yの深さは、例えば、金属層62の厚さの半分程度とすることができる。隣接する有底孔62xの間隔L1は、例えば、100μm~400μm程度とすることができる。隣接する有底孔62yの間隔L2は、例えば、100μm~400μm程度とすることができる。
【0042】
有底孔62x及び62yの内壁は、底面側から開口側に向かって拡幅するテーパ形状とすることができる。しかし、これに限らず、有底孔62x及び62yの内壁は、底面に対して垂直であっても構わない。有底孔62x及び62yの内壁面の形状は、テーパ形状や垂直に限らない。例えば、有底孔62x及び62yの内壁面が湾曲面からなる凹形状とすることができる。湾曲面からなる凹形状としては、例えば、断面形状が略半円形や略半楕円形となる凹形状が挙げられる。細孔62zの短手方向の幅W3は、例えば、10μm~50μm程度とすることができる。又、細孔62zの長手方向の幅W4は、例えば、50μm~150μm程度とすることができる。
【0043】
図5及び
図6(b)に示すように、多孔質体60を構成する3層目の金属層63には、上面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔63xと、下面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔63yとが、それぞれ複数個形成されている。
【0044】
金属層63では、有底孔63xのみがX方向に配置された列と、有底孔63yのみがX方向に配置された列とが、Y方向に交互に配置されている。Y方向に交互に配置された列において、隣接する列の有底孔63xと有底孔63yとは、平面視で部分的に重複しており、重複する部分は連通して細孔63zを形成している。
【0045】
但し、細孔63zを形成する隣接する有底孔63xと有底孔63yとは、中心位置がX方向にずれている。言い換えれば、細孔63zを形成する有底孔63xと有底孔63yとは、X方向及びY方向に対して斜め方向に交互に配置されている。有底孔63x及び63y、細孔63zの形状等は、例えば、有底孔62x及び62y、細孔62zの形状等と同様とすることができる。
【0046】
金属層62の有底孔62yと、金属層63の有底孔63xとは、平面視で重複する位置に形成されている。そのため、金属層62と金属層63との界面には、細孔は形成されない。
【0047】
図5及び
図6(c)に示すように、多孔質体60を構成する4層目の金属層64には、上面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔64xと、下面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔64yとが、それぞれ複数個形成されている。
【0048】
有底孔64xと有底孔64yとは、平面視でX方向に交互に配置されている。又、有底孔64xと有底孔64yとは、平面視でY方向に交互に配置されている。X方向に交互に配置された有底孔64xと有底孔64yとは、平面視で部分的に重複しており、重複する部分は連通して細孔64zを形成している。Y方向に交互に配置された有底孔64xと有底孔64yとは、所定間隔を有して形成されており、平面視で重複していない。そのため、Y方向に交互に配置された有底孔64xと有底孔64yとは、細孔を形成していない。有底孔64x及び64y、細孔64zの形状等は、例えば、有底孔62x及び62y、細孔62zの形状等と同様とすることができる。
【0049】
金属層63の有底孔63yと、金属層64の有底孔64xとは、平面視で重複する位置に形成されている。そのため、金属層63と金属層64との界面には、細孔は形成されない。
【0050】
図5及び
図6(d)に示すように、多孔質体60を構成する5層目の金属層65には、上面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔65xと、下面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む有底孔65yとが、それぞれ複数個形成されている。
【0051】
金属層65では、有底孔65xのみがX方向に配置された列と、有底孔65yのみがX方向に配置された列とが、Y方向に交互に配置されている。Y方向に交互に配置された列において、隣接する列の有底孔65xと有底孔65yとは、平面視で部分的に重複しており、重複する部分は連通して細孔65zを形成している。
【0052】
但し、細孔65zを形成する隣接する有底孔65xと有底孔65yとは、中心位置がX方向にずれている。言い換えれば、細孔65zを形成する有底孔65xと有底孔65yとは、X方向及びY方向に対して斜め方向に交互に配置されている。有底孔65x及び65y、細孔65zの形状等は、例えば、有底孔62x及び62y、細孔62zの形状等と同様とすることができる。
【0053】
金属層64の有底孔64yと、金属層65の有底孔65xとは、平面視で重複する位置に形成されている。そのため、金属層64と金属層65との界面には、細孔は形成されない。
【0054】
各金属層に形成された細孔同士は互いに連通しており、互いに連通する細孔は多孔質体60内に三次元的に広がっている。そのため、作動流体Cは、毛細管力により、互いに連通する細孔内を三次元的に広がる。
【0055】
多孔質体60を構成する有底孔の少なくとも一部は、流路50と連通している。これにより、作動流体Cが多孔質体60内に浸透することができる。又、多孔質体60は、液管40の略中央部に設けられているため、支柱としても機能する。これにより、例えば固相接合時の加圧により液管40が潰れることを防止できる。
【0056】
このように、液管40には多孔質体60が設けられており、多孔質体60は液管40に沿って蒸発器10の近傍まで延びている。これにより、多孔質体60に生じる毛細管力によって、液管40内の液相の作動流体Cが蒸発器10まで誘導される。
【0057】
その結果、蒸発器10からのヒートリーク等によって液管40内を蒸気Cvが逆流しようとしても、多孔質体60から液相の作動流体Cに作用する毛細管力で蒸気Cvを押し戻すことができ、蒸気Cvの逆流を防止することが可能となる。
【0058】
なお、液管40には作動流体Cを注入するための注入口(図示せず)が形成されているが、注入口は封止部材により塞がれており、ループ型ヒートパイプ1内は気密に保たれる。
【0059】
蒸発器10の管壁90も、蒸気管30の管壁90と同様の構成を有する。すなわち、蒸発器10の管壁90にも凹部71A~76Aが形成されている。このため、管壁90に凹部71A~76Aが形成されていない平坦面である場合と比較して、管壁90の外気との接触面積が大きく、放熱効率を向上することができる。つまり、蒸発器10内を流れている間に、作動流体Cやその蒸気Cvの熱が外部に放出されやすい。
【0060】
蒸発器10内にも多孔質体が設けられている。液管40側から作動流体Cが蒸発器10に導かれ、蒸発器10内の多孔質体に浸透する。蒸発器10内で多孔質体に浸透した作動流体Cは発熱部品120で発生した熱により気化して蒸気Cvが生成され、蒸気Cvは蒸気管30へ流れる。
【0061】
蒸発器10内に設けられる多孔質体は、液管40内に設けられる多孔質体60と原則的に同様である。例えば、金属層62~65に形成される有底孔及び細孔の位置は、
図5、
図6と同様とすることができる。
【0062】
凝縮器20の管壁90も、蒸気管30の管壁90と同様の構成を有する。すなわち、凝縮器20の管壁90にも凹部71A~76Aが形成されている。このため、管壁90に凹部71A~76Aが形成されていない平坦面である場合と比較して、管壁90の外気との接触面積が大きく、放熱効率を向上することができる。つまり、凝縮器20内を流れている間に、作動流体Cやその蒸気Cvの熱が外部に放出されやすい。
【0063】
[第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造方法について、多孔質体の製造工程を中心に説明する。
図7~
図11は、第1の実施の形態に係るループ型ヒートパイプの製造工程を例示する図である。
図7、
図9及び
図10は、
図4に対応する断面を示し、
図8及び
図11は、
図5に対応する断面を示している。
図9は
図4に対応する断面を示すが、
図9に示す各工程では、
図5に対応する断面においても
図4に対応する断面と同様の処理が行われる。
【0064】
まず、
図7(a)及び
図8(a)に示す工程では、
図1の平面形状に形成された金属シート620を準備する。そして、金属シート620の上面にレジスト層310を形成し、金属シート620の下面にレジスト層320を形成する。金属シート620は、最終的に金属層62となる部材であり、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から形成することができる。金属シート620の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。レジスト層310及び320としては、例えば、感光性のドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0065】
次に、
図7(b)及び
図8(b)に示す工程では、金属シート620の多孔質体60を形成する領域(蒸発器10となる領域及び液管40となる領域)において、レジスト層310を露光及び現像して、金属シート620の上面を選択的に露出する開口部310xを形成する。又、レジスト層320を露光及び現像して、金属シート620の下面を選択的に露出する開口部320xを形成する。開口部310x及び320xの形状及び配置は、
図6(a)に示した有底孔62x及び62yの形状及び配置に対応するように形成する。
【0066】
レジスト層310の露光及び現像の際には、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、金属シート620の凹部72Aを形成する領域において、金属シート620の上面を選択的に露出する開口部310yも形成し、流路50を形成する領域において、金属シート620の上面を選択的に露出する開口部310zも形成する。また、レジスト層320の露光及び現像の際には、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、流路50を形成する領域において、金属シート620の下面を選択的に露出する開口部320zも形成する。開口部310yの形状及び配置は、
図3~
図5に示した凹部72Aの形状及び配置に対応するように形成し、開口部310z及び320zの形状及び配置は、
図4及び
図5に示した流路50の形状及び配置に対応するように形成する。
【0067】
次に、
図7(c)及び
図8(c)に示す工程では、開口部310x、310y及び310z内に露出する金属シート620を金属シート620の上面側からハーフエッチングすると共に、開口部320x及び320z内に露出する金属シート620を金属シート620の下面側からハーフエッチングする。これにより、金属シート620の上面側に有底孔62xと有底孔からなる凹部72Aとが形成され、下面側に有底孔62yが形成されると共に、金属シート620を貫通する貫通孔が形成される。この貫通孔は内壁面62sを備える。又、表裏でX方向に交互に配置された開口部310xと開口部320xとは、平面視で部分的に重複しているため、重複する部分が連通して細孔62zが形成される。金属シート620のハーフエッチングには、例えば、塩化第二鉄溶液を用いることができる。
【0068】
次に、
図7(d)及び
図8(d)に示す工程では、レジスト層310及び320を剥離液により剥離する。これにより、金属層62が完成する。
【0069】
また、
図9(a)に示す工程では、
図1の平面形状に形成された金属シート610を準備する。そして、金属シート610の上面にレジスト層410を形成し、金属シート610の下面にレジスト層420を形成する。金属シート610は、最終的に金属層61となる部材であり、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から形成することができる。金属シート610の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。
【0070】
次に、
図9(b)に示す工程では、金属シート610の凹部71Aを形成する領域において、レジスト層410を露光及び現像して、金属シート610の上面を選択的に露出する開口部410yを形成する。開口部410yの形状及び配置は、
図3~
図5に示した凹部71Aの形状及び配置に対応するように形成する。
【0071】
次に、
図9(c)に示す工程では、開口部410y内に露出する金属シート610を金属シート610の上面側からハーフエッチングする。これにより、金属シート610の上面側に有底孔からなる凹部71Aが形成される。金属シート610のハーフエッチングには、例えば、塩化第二鉄溶液を用いることができる。
【0072】
次に、
図9(d)に示す工程では、レジスト層410及び420を剥離液により剥離する。これにより、金属層61が完成する。
【0073】
次に、
図10(a)及び
図11(a)に示す工程では、金属層61と同様の方法により、金属層66を形成し、金属層62と同様の方法により、金属層63、64、及び65を形成する。金属層63、64、及び65に形成される貫通孔の位置は、例えば、
図4及び
図5に示した通りである。金属層63、64、65、及び66に形成される凹部の位置は、例えば、
図3~
図5に示した通りである。金属層63、64、及び65に形成される有底孔及び細孔の位置は、例えば、
図6に示した通りである。
【0074】
次に、
図10(b)及び
図11(b)に示す工程では、
図10(a)及び
図11(a)に示す順番で各金属層を積層し、加圧及び加熱により固相接合を行う。これにより、隣接する金属層同士が直接接合され、蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、及び液管40を有するループ型ヒートパイプ1が完成し、液管40及び蒸発器10に多孔質体60が形成される。その後、真空ポンプ等を用いて液管40内を排気した後、図示しない注入口から液管40内に作動流体Cを注入し、その後注入口を封止する。
【0075】
ここで、固相接合とは、接合対象物同士を溶融させることなく固相(固体)状態のまま加熱して軟化させ、更に加圧して塑性変形を与えて接合する方法である。なお、固相接合によって隣接する金属層同士を良好に接合できるように、金属層61~66の全ての材料を同一にすることが好ましい。
【0076】
第1の実施の形態では、蒸気管30、蒸発器10、凝縮器20、及び液管40の各管壁90に凹部71A~76Aが形成されている。このため、蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、及び液管40の各管壁90の外気との接触面積は、各管壁90に凹部71A~76Aが形成されておらず、各管壁90が平坦面になっている場合の外気との接触面積よりも大きい。従って、第1の実施の形態によれば、外気との接触面積が大きく、放熱効率を向上することができる。
【0077】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例は、主に、最外層の金属層の構成の点で第1の実施の形態と相違する。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0078】
図12及び
図13は、第1の実施の形態の変形例における蒸気管を例示する図である。
図12は、X方向から視た側面図であり、
図13は、
図1及び
図12のD-D線に沿う断面図である。
【0079】
第1の実施の形態の変形例では、金属層62~65は第1の実施の形態と同様に構成されている。一方、蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、及び液管40にわたって、1層目(一方の最外層)の金属層61には凹部71Aが形成されておらず、6層目(他方の最外層)の金属層66には凹部76Aが形成されていない。つまり、金属層61及び66はべた状の金属層である。
【0080】
他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0081】
第1の実施の形態の変形例によっても、従来のループ型ヒートパイプと比較して放熱効率を向上することができる。また、金属層61及び66がべた状の金属層であるため、良好なハンドリング性を確保しやすい。
【0082】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態は、主に、凹部の形態の点で第1の実施の形態と相違する。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0083】
【0084】
第2の実施の形態では、2つの管壁90において、金属層61は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面61aと、下面61bと、外壁面61gと、凹部71Aと、凹部71Bとを備えている。凹部71Aは、上面61a側から厚さ方向の中央部よりも上面61a寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部71Bは、下面61b側から厚さ方向の中央部よりも下面61b寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部71Bの表面は、金属層61の下面61bと外壁面61gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部71Bは、下面61b及び外壁面61gの一部に形成されている。凹部71Bの表面は、金属層61の下面61bから外壁面61gにかけて傾斜している。凹部71Bは、
図14に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部71Bは、当該凹部71Bの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。平面視で、凹部71Aと凹部71Bとが重なり合っていてもよい。金属層61の下面61bが金属層62の上面62aと接し、金属層61の凹部71Bの下端が金属層62の凹部72Aの上端と連続している。凹部71B及び凹部72Aにより、連続する外壁面61g及び62gに、断面形状がU字状の凹部が構成されている。金属層61の凹部71Aと凹部71Bとの間にフィン61fが形成される。フィン61fは、金属層61の外壁面61gと、凹部71Aの表面と、凹部71Bの表面とを備える。凹部71Bは第2の凹部の一例である。本実施形態では、外壁面61gの一部に凹部71A及び凹部71Bが形成されている。つまり、フィン61fの先端に外壁面61gが残るように凹部71A及び凹部71Bが形成されている。しかし、これに限らず、外壁面61gがなくなるように凹部71A及び凹部71Bが形成されていてもよい。例えば、フィン61fの先端を尖らせるような形状にしてもよい。
【0085】
2つの管壁90において、金属層62は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面62aと、下面62bと、内壁面62sと、外壁面62gと、凹部72Aと、凹部72Bとを備えている。凹部72Aは、上面62a側から厚さ方向の中央部よりも上面62a寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部72Bは、下面62b側から厚さ方向の中央部よりも下面62b寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部72Bの表面は、金属層62の下面62bと外壁面62gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部72Bは、下面62b及び外壁面62gの一部に形成されている。凹部72Bの表面は、金属層62の下面62bから外壁面62gにかけて傾斜している。凹部72Bは、
図14に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部72Bは、当該凹部72Bの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。平面視で、凹部72Aと凹部72Bとが重なり合っていてもよい。金属層62の下面62bが金属層63の上面63aと接し、金属層62の凹部72Bの下端が金属層63の凹部73Aの上端と連続している。凹部72B及び凹部73Aにより、連続する外壁面62g及び63gに、断面形状がU字状の凹部が構成されている。金属層62の凹部72Aと凹部72Bとの間にフィン62fが形成される。フィン62fは、金属層62の外壁面62gと、凹部72Aの表面と、凹部72Bの表面とを備える。凹部72Bは第2の凹部の一例である。本実施形態では、外壁面62gの一部に凹部72A及び凹部72Bが形成されている。つまり、フィン62fの先端に外壁面62gが残るように凹部72A及び凹部72Bが形成されている。しかし、これに限らず、外壁面62gがなくなるように凹部72A及び凹部72Bが形成されていてもよい。例えば、フィン62fの先端を尖らせるような形状にしてもよい。
【0086】
2つの管壁90において、金属層63は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面63aと、下面63bと、内壁面63sと、外壁面63gと、凹部73Aと、凹部73Bとを備えている。凹部73Aは、上面63a側から厚さ方向の中央部よりも上面63a寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部73Bは、下面63b側から厚さ方向の中央部よりも下面63b寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部73Bの表面は、金属層63の下面63bと外壁面63gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部73Bは、下面63b及び外壁面63gの一部に形成されている。凹部73Bの表面は、金属層63の下面63bから外壁面63gにかけて傾斜している。凹部73Bは、
図14に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部73Bは、当該凹部73Bの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。平面視で、凹部73Aと凹部73Bとが重なり合っていてもよい。金属層63の下面63bが金属層64の上面64aと接し、金属層63の凹部73Bの下端が金属層64の凹部74Aの上端と連続している。凹部73B及び凹部74Aにより、連続する外壁面63g及び64gに、断面形状がU字状の凹部が構成されている。金属層63の凹部73Aと凹部73Bとの間にフィン63fが形成される。フィン63fは、金属層63の外壁面63gと、凹部73Aの表面と、凹部73Bの表面とを備える。凹部73Bは第2の凹部の一例である。本実施形態では、外壁面63gの一部に凹部73A及び凹部73Bが形成されている。つまり、フィン63fの先端に外壁面63gが残るように凹部73A及び凹部73Bが形成されている。しかし、これに限らず、外壁面63gがなくなるように凹部73A及び凹部73Bが形成されていてもよい。例えば、フィン63fの先端を尖らせるような形状にしてもよい。
【0087】
2つの管壁90において、金属層64は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面64aと、下面64bと、内壁面64sと、外壁面64gと、凹部74Aと、凹部74Bとを備えている。凹部74Aは、上面64a側から厚さ方向の中央部よりも上面64a寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部74Bは、下面64b側から厚さ方向の中央部よりも下面64b寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部74Bの表面は、金属層64の下面64bと外壁面64gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部74Bは、下面64b及び外壁面64gの一部に形成されている。凹部74Bの表面は、金属層64の下面64bから外壁面64gにかけて傾斜している。凹部74Bは、
図14に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部74Bは、当該凹部74Bの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。平面視で、凹部74Aと凹部74Bとが重なり合っていてもよい。金属層64の下面64bが金属層65の上面65aと接し、金属層64の凹部74Bの下端が金属層65の凹部75Aの上端と連続している。凹部74B及び凹部75Aにより、連続する外壁面64g及び65gに、断面形状がU字状の凹部が構成されている。金属層64の凹部74Aと凹部74Bとの間にフィン64fが形成される。フィン64fは、金属層64の外壁面64gと、凹部74Aの表面と、凹部74Bの表面とを備える。凹部74Bは第2の凹部の一例である。本実施形態では、外壁面64gの一部に凹部74A及び凹部74Bが形成されている。つまり、フィン64fの先端に外壁面64gが残るように凹部74A及び凹部74Bが形成されている。しかし、これに限らず、外壁面64gがなくなるように凹部74A及び凹部74Bが形成されていてもよい。例えば、フィン64fの先端を尖らせるような形状にしてもよい。
【0088】
2つの管壁90において、金属層65は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面65aと、下面65bと、内壁面65sと、外壁面65gと、凹部75Aと、凹部75Bとを備えている。凹部75Aは、上面65a側から厚さ方向の中央部よりも上面65a寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部75Bは、下面65b側から厚さ方向の中央部よりも下面65b寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部75Bの表面は、金属層65の下面65bと外壁面65gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部75Bは、下面65b及び外壁面65gの一部に形成されている。凹部75Bの表面は、金属層65の下面65bから外壁面65gにかけて傾斜している。凹部75Bは、
図14に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部75Bは、当該凹部75Bの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。平面視で、凹部75Aと凹部75Bとが重なり合っていてもよい。金属層65の下面65bが金属層66の上面66aと接し、金属層65の凹部75Bの下端が金属層66の凹部76Aの上端と連続している。凹部75B及び凹部76Aにより、連続する外壁面65g及び66gに、断面形状がU字状の凹部が構成されている。金属層65の凹部75Aと凹部75Bとの間にフィン65fが形成される。フィン65fは、金属層65の外壁面65gと、凹部75Aの表面と、凹部75Bの表面とを備える。凹部75Bは第2の凹部の一例である。本実施形態では、外壁面65gの一部に凹部75A及び凹部75Bが形成されている。つまり、フィン65fの先端に外壁面65gが残るように凹部75A及び凹部75Bが形成されている。しかし、これに限らず、外壁面65gがなくなるように凹部75A及び凹部75Bが形成されていてもよい。例えば、フィン65fの先端を尖らせるような形状にしてもよい。
【0089】
2つの管壁90において、金属層66は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面66aと、下面66bと、外壁面66gと、凹部76Aと、凹部76Bとを備えている。凹部76Aは、上面66a側から厚さ方向の中央部よりも上面66a寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部76Bは、下面66b側から厚さ方向の中央部よりも下面66b寄りの部分にかけて窪むように形成されている。凹部76Bの表面は、金属層66の下面66bと外壁面66gとを繋ぐように設けられている。つまり、凹部76Bは、下面66b及び外壁面66gの一部に形成されている。凹部76Bの表面は、金属層66の下面66bから外壁面66gにかけて傾斜している。凹部76Bは、
図14に示すように、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(Y方向)に沿って延びるように形成されている。凹部76Bは、当該凹部76Bの内側の空間が蒸気管30の外部に連通するように形成されている。平面視で、凹部76Aと凹部76Bとが重なり合っていてもよい。金属層66の凹部76Aと凹部76Bとの間にフィン66fが形成される。フィン66fは、金属層66の外壁面66gと、凹部76Aの表面と、凹部76Bの表面とを備える。凹部76Bは第2の凹部の一例である。本実施形態では、外壁面66gの一部に凹部76A及び凹部76Bが形成されている。つまり、フィン66fの先端に外壁面66gが残るように凹部76A及び凹部76Bが形成されている。しかし、これに限らず、外壁面66gがなくなるように凹部76A及び凹部76Bが形成されていてもよい。例えば、フィン66fの先端を尖らせるような形状にしてもよい。
【0090】
蒸発器10の管壁、凝縮器20の管壁、及び液管40の管壁においても、金属層61~66に凹部71B~76Bが形成されていてもよい。
【0091】
他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0092】
第2の実施の形態によっても、従来のループ型ヒートパイプと比較して放熱効率を向上することができる。
【0093】
〈第2の実施の形態の変形例〉
第2の実施の形態の変形例は、主に、最外層の金属層の構成の点で第2の実施の形態と相違する。なお、第2の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0094】
図16及び
図17は、第2の実施の形態の変形例における蒸気管を例示する図である。
図16は、X方向から視た側面図であり、
図17は、
図1及び
図16のD-D線に沿う断面図である。
【0095】
第2の実施の形態の変形例では、金属層62~65は第2の実施の形態と同様に構成されている。一方、蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、及び液管40にわたって、1層目(一方の最外層)の金属層61には凹部71A及び71Bが形成されておらず、6層目(他方の最外層)の金属層66には凹部76A及び76Bが形成されていない。つまり、金属層61及び66はべた状の金属層である。
【0096】
他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0097】
第2の実施の形態の変形例によっても、従来のループ型ヒートパイプと比較して放熱効率を向上することができる。また、金属層61及び66がべた状の金属層であるため、良好なハンドリング性を確保しやすい。
【0098】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態は、主に、凹部の形態の点で第1の実施の形態等と相違する。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0099】
【0100】
第3の実施の形態では、管壁90内において、金属層61~66には凹部が形成されていない。つまり、金属層61~66の管壁90内の部分はべた状である。
【0101】
平面視で、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)において、金属層62の外壁面62g、金属層64の外壁面64g及び金属層66の外壁面66gが、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層65の外壁面65gよりも流路50側に位置している。
【0102】
2つの管壁90において、金属層61は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面61aと、下面61bと、外壁面61gとを備えている。金属層61の上面61aは、外部に露出している。金属層61の下面61bの一部は、金属層62の上面62aと接しており、金属層61の下面61bのうちで金属層62の上面62aと接していない部分は外部に露出している。金属層61の外壁面61gは、外部に露出している。
【0103】
2つの管壁90において、金属層62は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面62aと、下面62bと、内壁面62sと、外壁面62gとを備えている。金属層62の上面62aは、金属層61の下面61bと接している。金属層62の下面62bは、金属層63の上面63aと接している。金属層62の内壁面62sは流路50に露出している。金属層62の外壁面62gは外部に露出している。
【0104】
2つの管壁90において、金属層63は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面63aと、下面63bと、内壁面63sと、外壁面63gとを備えている。金属層63の上面63aの一部は、金属層62の下面62bと接しており、金属層63の上面63aのうちで金属層62の下面62bと接していない部分は外部に露出している。金属層63の下面63bの一部は、金属層64の上面64aと接しており、金属層63の下面63bのうちで金属層64の上面64aと接していない部分は外部に露出している。金属層63の内壁面63sは流路50に露出している。金属層63の外壁面63gは外部に露出している。
【0105】
2つの管壁90において、金属層64は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面64aと、下面64bと、内壁面64sと、外壁面64gとを備えている。金属層64の上面64aは、金属層63の下面63bと接している。金属層64の下面64bは、金属層65の上面65aと接している。金属層64の内壁面64sは流路50に露出している。金属層64の外壁面64gは外部に露出している。
【0106】
2つの管壁90において、金属層65は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面65aと、下面65bと、内壁面65sと、外壁面65gとを備えている。金属層65の上面65aの一部は、金属層64の下面64bと接しており、金属層65の上面65aのうちで金属層64の下面64bと接していない部分は外部に露出している。金属層65の下面65bの一部は、金属層66の上面66aと接しており、金属層65の下面65bのうちで金属層66の上面66aと接していない部分は外部に露出している。金属層65の内壁面65sは流路50に露出している。金属層66の外壁面66gは外部に露出している。
【0107】
2つの管壁90において、金属層66は、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向に垂直な方向(例えば+X方向、-X方向)の端部に、上面66aと、下面66bと、外壁面66gとを備えている。金属層66の上面66aは、金属層65の下面65bと接している。金属層66の下面66bは、外部に露出している。金属層66の外壁面66gは外部に露出している。
【0108】
第3の実施の形態では、平面視で、外壁面61g、63g及び65gの位置が揃っており、外壁面62g、64g及び66gの位置が揃っている。そして、外壁面62g、64g及び66gが、外壁面61g、63g及び65gよりも流路50側に位置している。このため、管壁90には、金属層62、64及び66の部分に凹部が存在する。従って、第3の実施の形態における管壁90の外気との接触面積は、外壁面61g~66gが面一で管壁90が平坦面になっている場合の外気との接触面積よりも大きい。従って、第3の実施の形態によっても、外気との接触面積が大きく、放熱効率を向上することができる。
【0109】
蒸発器10の管壁、凝縮器20の管壁、及び液管40の管壁においても、金属層61~66の外壁面61g~66gの位置が平面視で互いにずれていてもよい。
【0110】
他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0111】
第3の実施の形態によっても、従来のループ型ヒートパイプと比較して放熱効率を向上することができる。
【0112】
〈第3の実施の形態の第1の変形例〉
第3の実施の形態の第1の変形例は、主に、凹部の形態の点で第3の実施の形態と相違する。なお、第3の実施の形態の第1の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0113】
【0114】
第3の実施の形態の第1の変形例では、金属層62の外壁面62gが凹凸面となっている。例えば、外壁面62gは、平面視で、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層65の外壁面65gと揃う面62hと、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層61の外壁面65gよりも流路50側に位置する面62iとを備えている。外壁面62gは、更に、面62hと面62iとを繋ぐ面62jを備えている。例えば、面62jは、面62h及び62iに垂直な面である。金属層61の下面61bのうちで金属層62の上面62aと接していない部分は外部に露出している。金属層63の上面63aのうちで金属層62の下面62bと接していない部分は外部に露出している。金属層62の外壁面62gに含まれる面62jは外部に露出している。
【0115】
金属層64の外壁面64gが凹凸面となっている。例えば、外壁面64gは、平面視で、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層65の外壁面65gと揃う面64hと、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層61の外壁面65gよりも流路50側に位置する面64iとを備えている。外壁面64gは、更に、面64hと面64iとを繋ぐ面64jを備えている。例えば、面64jは、面64h及び64iに垂直な面である。金属層63の下面63bのうちで金属層64の上面64aと接していない部分は外部に露出している。金属層65の上面65aのうちで金属層64の下面64bと接していない部分は外部に露出している。金属層64の外壁面64gに含まれる面64jは外部に露出している。
【0116】
金属層66の外壁面66gが凹凸面となっている。例えば、外壁面66gは、平面視で、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層65の外壁面65gと揃う面66hと、金属層61の外壁面61g、金属層63の外壁面63g及び金属層61の外壁面65gよりも流路50側に位置する面66iとを備えている。外壁面66gは、更に、面66hと面66iとを繋ぐ面66jを備えている。例えば、面66jは、面66h及び66iに垂直な面である。金属層65の下面65bのうちで金属層66の上面66aと接していない部分は外部に露出している。金属層66の外壁面66gに含まれる面66jは外部に露出している。
【0117】
他の構成は第3の実施の形態と同様である。
【0118】
第3の実施の形態の第1の変形例によっても、従来のループ型ヒートパイプと比較して放熱効率を向上することができる。
【0119】
〈第3の実施の形態の第2の変形例〉
第3の実施の形態の第2の変形例は、主に、凹部の形態の点で第3の実施の形態と相違する。なお、第3の実施の形態の第2の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0120】
図23及び
図24は、第3の実施の形態の第2の変形例における蒸気管を例示する図である。
図23は、X方向から視た側面図であり、
図24は、
図1及び
図23のD-D線に沿う断面図である。
【0121】
第3の実施の形態の第2の変形例では、金属層61の平面視で金属層62の外壁面62g、金属層64の外壁面64g及び金属層66の外壁面66gから突出する部分に、上面61a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む凹部71Jと、下面61b側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む凹部71Kとが形成されている。凹部71Jの表面及び凹部71Kの表面は、外部に露出している。例えば、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(例えば+Y方向、-Y方向)において、凹部71Jと凹部71Kとが交互に配置されていてもよい。
【0122】
金属層63の平面視で金属層62の外壁面62g、金属層64の外壁面64g及び金属層66の外壁面66gから突出する部分に、上面63a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む凹部73Jと、下面63b側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む凹部73Kとが形成されている。凹部73Jの表面及び凹部73Kの表面は、外部に露出している。例えば、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(例えば+Y方向、-Y方向)において、凹部73Jと凹部73Kとが交互に配置されていてもよい。
【0123】
金属層65の平面視で金属層62の外壁面62g、金属層64の外壁面64g及び金属層66の外壁面66gから突出する部分に、上面65a側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む凹部75Jと、下面65b側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む凹部75Kとが形成されている。凹部75Jの表面及び凹部75Kの表面は、外部に露出している。例えば、作動流体Cの蒸気Cvが流れる方向(例えば+Y方向、-Y方向)において、凹部75Jと凹部75Kとが交互に配置されていてもよい。
【0124】
他の構成は第3の実施の形態と同様である。
【0125】
第3の実施の形態の第2の変形例によっても、従来のループ型ヒートパイプと比較して放熱効率を向上することができる。
【0126】
なお、凹部は、少なくとも蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、液管40のいずれかの管壁の外壁面の一部に形成されていればよく、蒸発器10、凝縮器20、蒸気管30、液管40のすべてに形成されている必要はない。例えば、蒸発器10、凝縮器20、及び蒸気管30に凹部が形成される場合は、蒸発器10、凝縮器20、及び蒸気管30にわたって、作動流体の流れる方向に沿って延びるように連続して形成されている。また、各実施形態では、2つの管壁に凹部を設けたが、凹部は、少なくとも一方の管壁に形成されていればよい。凹部の深さは均一でなくてもよく、深さが異なる凹部が形成されていてもよい。
【0127】
また、凹部の断面形状は、
図4等に示すような半円弧状に限定されない。
図25は、凹部の形状を例示する断面図である。例えば、
図25に示すように、凹部71Aに代えて、底面と内壁面とを有し、底面と内壁面との間に角部を有する形状の凹部71Cが形成されていてもよい。内壁は、底面側から開口側に向かって拡幅するテーパ形状とすることができる。凹部71Cの内壁は、底面に対して垂直であっても構わない。凹部72A~76A等の他の凹部についても同様である。
【0128】
液管40内のどの部位に多孔質体60を位置させるかは特に限定されない。ただし、液管40の管壁から間隔をおいて多孔質体60を設けることが好ましい。これは、管壁と多孔質体60との間に作動流体Cが流れる微細な流路50が形成され、作動流体Cが液管40内を流れやすくなるためである。
【0129】
多孔質体60の構成に関し、多孔質体60の最外層にも有底孔が形成されていてもよい。例えば、1層目の金属層61に、下面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む複数の有底孔が形成されていてもよく、6層目の金属層66に、上面側から厚さ方向の略中央部にかけて窪む複数の有底孔が形成されていてもよい。
【0130】
多孔質体60の構成に関し、隣接する金属層の界面にも細孔が形成されていてもよい。例えば、金属層62~65において、隣接する金属層間で有底孔が平面視で部分的に重複することで細孔が形成されていてもよい。
【0131】
また、多孔質体60を構成する細孔は、各金属層の両面側から形成した有底孔を部分的に連通させて構成された細孔に限定されない。例えば、多孔質体60を構成する細孔が、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成された金属層同士を貫通孔が部分的に重複するように積層して構成された細孔であってもよい。
【0132】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0133】
1 ループ型ヒートパイプ
10 蒸発器
20 凝縮器
30 蒸気管
40 液管
50 流路
60 多孔質体
61~66 金属層
61f~66f フィン
61g~66g 外壁面
71A、71B、71C、71J、71K、72A、72B、73A、73B、73J、73K、74A、74B、75A、75B、75J、75K 凹部