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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】吸収性物品の個包装体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A61F13/15 220
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020015774
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2020073019
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-09-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 千裕
(72)【発明者】
【氏名】田村 竜也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸亨
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
(72)【発明者】
【氏名】山本 なるみ
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-215267(JP,A)
【文献】特開2018-075318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品に接合するための本体接合部を有する吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、前記吸収性物品と前記包装シートの間に配置され、前記本体接合部を覆う剥離シートと、を有する吸収性物品の個包装体であって、
前記剥離シートには、前記包装シートによって前記吸収性物品が個別に包装された個包装状態において、前記個包装体の外面に向けられて配置された装飾部が設けられており、
前記剥離シートと前記包装シートは、シート接合部を介して接合されており、
前記装飾部は、前記シート接合部と重なる領域に配置された積層装飾部を有し、
前記包装シートは、中空繊維を有する不織布を含んでいる、吸収性物品の個包装体。
【請求項2】
前記剥離シートは、フィルムによって構成されている、請求項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項3】
前記個包装状態において、前記個包装体の外面に配置された包装シートの端縁を、前記包装シートの端縁と重なる包装シートに接合するテープ部材を有し、
前記テープ部材は、再接合可能となる再接合部があり、
前記再接合部は、前記個包装状態において前記積層装飾部に重なっている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項4】
前記装飾部は、前記吸収性物品の情報を示す情報部と、絵、図柄、マーク、記号の少なくともいずれかを含むデザイン部と、を有し、
前記積層装飾部は、少なくとも前記情報部を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項5】
前記シート接合部の面積は、前記剥離シートの面積に対する10%以上である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項6】
前記個包装状態において、少なくとも前記包装シート及び前記剥離シートが折り畳まれた折り目が設けられており、
前記積層装飾部の少なくとも一部は、前記折り目と重なっている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項7】
前記積層装飾部の少なくとも一部は、前記本体接合部と重なる領域に設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項8】
前記装飾部は、前記シート接合部と重ならない領域に配置された非積層装飾部を有し、
前記非積層装飾部と前記積層装飾部は、連なっている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項9】
前記シート接合部は、4つの側辺によって囲まれた矩形状であり、
前記装飾部は、前記4つの側辺のうち3つ以上の側辺に跨がっている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項10】
前記剥離シートには、前記装飾部と、前記装飾部の周囲に配置された背景部と、が設けられており、
前記装飾部の面積は、前記背景部の面積よりも大きく、
前記吸収性物品は、生理用ナプキンであり、
前記装飾部は、オストワルト色相環によって分類された24色の色票で、2番から12番のいずれかの色を含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項11】
前記剥離シートには、前記装飾部と、前記装飾部の周囲に配置された背景部と、が設けられており、
前記装飾部の面積は、前記背景部の面積よりも大きく、
前記吸収性物品は、おりものシート及び尿漏れパッドであり、
前記装飾部は、オストワルト色相環によって分類された24色の色票で、22番、23番及び24番、1番、2番、3番、4番、5番、6番、7番のいずれかの色を含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品の個包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を包装シートによって個別に包装した吸収性物品の個包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性物品を包装シートによって個別に包装した吸収性物品の個包装体が開示されている。特許文献1の個包装体は、包装シートに印刷からなる装飾部を設け、個包装体の装飾性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-164849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の個包装体は、包装シートの外面に印刷が施されている。そのため、包装シートによって吸収性物品が個別に包装された個包装状態において、使用者は、個包装体の外側から装飾部を視認し易い。その一方で、包装シートの外面の風合いが低下して、使用や持ち運びに際し使用者の手触り感が低下したり、使用者が印刷面と直接触れることに起因する印刷汚れが発生したりするおそれがある。
【0005】
よって、包装シートの外面の風合いの低下や汚れを抑制しつつ、個包装状態において装飾効果を発揮できる吸収性物品の個包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品の個包装体は、着用物品に接合するための本体接合部を有する吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、前記吸収性物品と前記包装シートの間に配置され、前記本体接合部を覆う剥離シートと、を有する吸収性物品の個包装体であって、前記剥離シートには、前記包装シートによって前記吸収性物品が個別に包装された個包装状態において、前記個包装体の外面に向けられて配置された装飾部が設けられており 、前記剥離シートと前記包装シートは、シート接合部を介して接合されており、前記装飾部は、前記シート接合部と重なる領域に配置された積層装飾部を有する。装飾部は、個包装体の外面に向けられて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る吸収性物品の個包装体の展開状態における肌面側から見た平面図である。
図2図2は、実施形態に係る吸収性物品の個包装体の展開状態における非肌面側から見た平面図である。
図3図3は、実施形態に係る吸収性物品の個包装体の背面側から見た分解斜視図である。
図4図4は、吸収性物品の個包装体の個包装状態を示した図である。
図5図5は、剥離シートの非肌面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品の個包装体は、着用物品に接合するための本体接合部を有する吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、前記吸収性物品と前記包装シートの間に配置され、前記本体接合部を覆う剥離シートと、を有する吸収性物品の個包装体であって、前記剥離シートには、前記包装シートによって前記吸収性物品が個別に包装された個包装状態において、前記個包装体の外面に向けられて配置された装飾部が設けられており、前記剥離シートと前記包装シートは、シート接合部を介して接合されており、前記装飾部は、前記シート接合部と重なる領域に配置された積層装飾部を有する。装飾部は、個包装体の外面に向けられて配置されている。本態様によれば、個包装状態において装飾部が個包装体の外面に向けられて配置されているため、使用者は、個包装状態において個包装シートを介して装飾部を視認できる。装飾部が剥離シートに設けられているため、装飾部が包装シートの外面のみに設けられた形態と比較して、包装シートの外面の風合いの低下や汚れを抑制できる。また、シート接合部と重なる領域は、包装シートと剥離シートが密着している。積層装飾部は、シート接合部と重なる領域に設けられているため、特に視認性が向上できる。そのため、包装シートよりも内側に位置する剥離シートに装飾部を設けた場合であっても、使用者が個包装体の外側から装飾部を把握し易く、装飾部による装飾性を向上できる。装飾性を高めることにより、吸収性物品の使用前の憂鬱な気分を軽減することができる。
【0009】
好ましい一態様によれば、前記個包装状態において、前記個包装体の外面に配置された包装シートの端縁を、前記包装シートの端縁と重なる包装シートに接合するテープ部材を有し、前記テープ部材は、再接合可能となる再接合部があり、前記再接合部は、前記個包装状態において前記積層装飾部に重なってよい。使用者は、個包装状態から開封する際にテープ部材を操作し、テープ部材及びその周囲を視認する。積層装飾部と重なるシート接合部をテープ部材の操作時に視認することで、使用者が積層装飾部を視認し易い。また、再接合部と重なる積層装飾部は、個包装状態において、再接合部に覆われており、個包装体の外側から視認できない。しかし、テープ部材の操作時に、個包装に被覆されている部分の積層装飾部を視認でき、テープ部材の開封操作を安定して行うことができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記装飾部は、カーボンを含まないノンカーボン印刷によって構成されており、前記テープ部材は、カーボンを含むカーボン印刷によって構成されてよい。本態様によれば、撮像手段等を用いてカーボンの有無を検出することによって、テープ部材の位置を検出できる。また、製造過程の品質管理において赤外線を照射すると、カーボンが検知され、混入物と誤認されるおそれがある。しかし、剥離シートの装飾部をノンカーボン印刷によって構成することにより、カーボンに起因する誤検知を抑制し、品質管理を考慮せずに、装飾部によるデザイン性を向上できる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記装飾部は、前記吸収性物品の情報を示す情報部と、絵、図柄、マーク、記号の少なくともいずれかを含むデザイン部と、を有し、前記積層装飾部は、少なくとも前記情報部を有してよい。本態様によれば、デザイン部によって個包装体の装飾性を向上させつつ、情報部を目立たせ、情報部によって使用者に吸収性物品の情報を示すことができる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記包装シートは、中空繊維を有する不織布を含んでよい。中空繊維を有する不織布は、中空繊維を有しない不織布と比較して光の乱反射が生じ易い。個包装体の外面を構成する包装シートによって光の乱反射が生じることにより、装飾部を立体的に示すことができ、装飾性を向上させたり高級感を付与したりでき、個包装体の装飾性が高くなる。加えて、シート接合部が接着剤からなる形態にあっては、シート接合部と重なる領域は、シート接合部と重ならない領域と比較して、接着剤によって包装シートの凹凸及び剥離シートの凹凸が平滑化され、光の乱反射が低減する。光の乱反射が低減することによって、包装シート及び剥離シートの透明度が向上し易くなる。これにより、シート接合部と重なる領域は、シート接合部と重ならない領域と、が視覚的に異なり易く、装飾部を立体的に示すことができる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記剥離シートは、フィルムによって構成されてよい。フィルムによって構成された剥離シートは、紙によって構成された剥離シートと比較して柔軟性が高い。よって、剥離シートが包装シートに沿い易く、個包装体の外側からの積層装飾部の視認性を向上できる。また、フィルムは、紙と比較して表面が平滑であるため、印刷の自由度が高く、また、発色性が向上しやすい。そのため、装飾部の視認性をより高め、装飾性をより向上できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、シート接合部の面積は、前記剥離シートの面積に対する10%以上であってよい。本態様によれば、シート接合部の面積の比率を確保することにより、積層装飾部の面積を高め、装飾性を向上できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記個包装状態において、少なくとも前記包装シート及び剥離シートが折り畳まれた折り目が設けられており、前記積層装飾部の少なくとも一部は、前記折り目と重なってよい。折り目に重なる領域は、折り癖によって包装シートと剥離シートが密着し易く、積層装飾部の視認性をより向上できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記積層装飾部の少なくとも一部は、前記本体接合部と重なる領域に設けられてよい。本態様によれば、本体接合部、積層装飾部、及びシート接合部なる領域では、個包装体の内側に位置する吸収性物品が剥離シートに密着する。吸収性物品は、一般的に白基調であり、吸収性物品の密着によって積層装飾部の背景側の白色度が向上する。よって、積層装飾部の視認性が向上する。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記装飾部は、前記シート接合部と重ならない領域に配置された非積層装飾部を有し、前記非積層装飾部と前記積層装飾部は、連なってよい。本態様によれば、非積層装飾部と積層装飾部が連続して形成されており、装飾部の面積を確保し、装飾部の視認性を向上できる。また、積層装飾部と非積層装飾部が混在していることにより、同じ色味でも積層装飾部と非積層装飾部では見え方が異なる(別の色に見える)ため、積層装飾部のみの構成と比較して、個包装体の外側から排泄物が透けた場合でも経血等の排泄物が目立ちにくくなる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記シート接合部は、4つの側辺によって囲まれた矩形状であり、前記装飾部は、前記4つの側辺のうち3つ以上の側辺に跨がってよい。シート接合部の側辺は、積層装飾部と非積層装飾部の境界となり、装飾部の視認性が変化する部分となる。当該装飾部の視認性が変化する境界を3つ以上有しており、装飾部の視認性をより向上できる。また、積層装飾部から少なくとも3方に装飾部が延在するため、装飾部の面積を確保し、装飾部の視認性を向上できる。
【0019】
(2)吸収性物品の個包装体の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の個包装体について説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、使い捨ておむつ、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。特に、吸収性物品は、使用者の下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0020】
図1及び図2は、実施形態に係る吸収性物品の個包装体1の展開状態の平面図である。図1は、肌面側から見た図であり、図2は、非肌面側から見た図である。図3は、実施形態に係る吸収性物品の個包装体1の背面側から見た分解斜視図である。図4は、吸収性物品の個包装体1の個包装状態を示した図である。ここで、「肌対向面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌対向面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。また、展開状態は、包装シート70がいずれの折り目によっても折り畳まれていない状態である。吸収性物品の個包装体1(以下、個包装体1とする)は、吸収性物品10と、包装シート70と、剥離シート40と、を少なくとも有する。
【0021】
吸収性物品10は、前後方向L、幅方向W及び厚み方向Tを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。厚み方向Tは、肌面側T1と非肌面側T2に延びる方向である。吸収性物品10は、前側域S1、中央域S2及び後側域S3を有してよい。中央域S2は、着用者の排泄口に対向する領域である。前側域S1は、中央域S2よりも前側に位置する。後側域S3は、中央域S2よりも後側に位置し、着用者の臀部に対向する領域である。前側域S1、中央域S2及び後側域S3は、吸収性物品10の前後方向Lの長さが最も長い位置(本実施の形態では、本体部の幅方向の中心20CW)において、吸収性物品10を前後方向Lに3等分した領域であってもよいし、後述する第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2によって区画された領域であってもよい。
【0022】
吸収性物品10は、着用者の肌に面する表面シート21と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22の間の吸収コア23と、本体接合部51と、を有する。表面シート21は、使用中に着用者の肌の方に向いて配置される。表面シート21は、繊維を有する不織布又は織布によって構成されてよいし、開口フィルムによって構成されてもよい。裏面シート22は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。表面シート21は、液透過性シートから構成されていてよい。裏面シート22は、液不透過性シートを含んでいてよい。吸収コア23は、吸収性物品10の前後方向Lに沿って延びている。吸収コア23は、水分を吸収可能な吸収材料を有する。吸収コア23は、図示しないコアラップによって覆われていてよい。コアラップは、例えばティッシュにより構成することができる。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。本体接合部51は、裏面シート22に設けられ、吸収性物品10の非肌面側に配置されてよい。本体接合部51は、吸収性物品10を着用物品に接合するための粘着剤が設けられた領域である。本体接合部51は、吸収コア23と重なる領域に配置されてよい。本体接合部51は、下着等の着用物品に接合可能に構成されており、より詳細には、着用物品のクロッチ域の肌対向面に接合可能に構成されてよい。
【0023】
剥離シート40は、後述する個包装状態等、吸収性物品10の使用前の状態において、本体接合部51を覆い、本体接合部51の劣化を防ぐように構成されている。剥離シート40は、使用時に吸収性物品10から分離する。また、ウイング及びヒップフラップを有する吸収性物品10にあっては、ウイングを着用物品に接合するウイング接合部及びヒップフラップを着用物品に接合するフラップ接合部を有する。当該ウイング接合部を覆うウイング剥離シート及び当該フラップ接合部を覆うフラップ剥離シートが、剥離シート40と別体で設けられていてもよい。剥離シート40は、略矩形であり、前後方向の長さが幅方向の長さよりも長い。剥離シート40は、吸収性物品10と包装シート70の間に配置されている。剥離シート40には、装飾部80が設けられている。装飾部80の構成については、後述にて詳細に説明する。
【0024】
包装シート70は、吸収性物品10を個別に包装する。包装シート70は、剥離シート40よりも非肌面側に配置されている。包装シート70は、不織布又はフィルムによって構成されてよい。図2示すように、剥離シート40と包装シート70は、シート接合部45を介して接合されている。シート接合部45は、接着剤が付された部分であってよい。シート接合部45は、図2に示すように展開状態において、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されていてもよいし、前後方向Lに連続して配置されていてもよい。シート接合部45は、4つの側辺によって囲まれた矩形状であってよい。
【0025】
吸収性物品10は、使用前に複数の折り目を基点に折り畳まれていてよい。図4は、個包装体1が折り目を基点に折り畳まれ、吸収性物品10が包装シート70によって個別に包装された個包装状態を示した図である。図4(a)は、個包装状態の個包装体1の平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す4A-4A線に沿った断面図である。なお、複数の折り目は、少なくとも剥離シート40及び包装シート70を共に折り畳む折り目であってよく、吸収性物品10も折り畳む折り目であってもよい。複数の折り目は、幅方向Wに延びる第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2を有してよい。第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2は、前後方向に離間してよい。第1幅折り目FW1は、第2幅折り目FW2よりも前側に位置しており、前側域S1と中央域S2の境界を構成してよい。第2幅折り目FW2は、後側域S3と中央域S2の境界を構成してよい。個包装体1の折り畳み態様は、包装シート70及び剥離シート40上に吸収性物品10を配置した状態で共に折り畳まれる。折り畳み態様の一例としては、包装シート70及び剥離シート40上に吸収性物品10を配置した展開状態で、第1幅折り目FW1を基点に吸収性物品10の後端縁を前後方向Lの内側に折り畳む。次いで、第2幅折り目FW2を基点に吸収性物品10の前端縁側を前後方向Lの内側に折り畳む。
【0026】
次いで、個包装体1の外面に配置された包装シート70の端縁70Eを、包装シート70の端縁70Eと重なる包装シート70にテープ部材75によって接合する。すなわち、テープ部材75は、個包装状態において、個包装体1の外面に配置された包装シート70の端縁70Eを、包装シート70の端縁70Eと重なる包装シート70に接合する。個包装体1の外面に配置された包装シート70の端縁70Eは、包装シート70の前後方向Lにおける端縁であって、幅方向Wに延びてよい。テープ部材75は、包装シート70の端縁70E側に固定された固定部76と、固定部76から延出し、端縁70Eと重なる包装シート70側に対して再接合可能となる再接合部77と、を有してよい。再接合部77は、一旦包装シート70から剥離した後に、包装シート70に対して再接合可能に構成されている。このように折り畳まれることにより、吸収性物品10は、包装シート70によって個別に包装される。なお、変形例において、テープ部材75を有していなくてもよい。
【0027】
次いで、図5等に基づいて、剥離シート40の装飾部80について説明する。装飾部80は、文字、絵柄等によって構成され、個包装体1の装飾性を向上させるように構成されている。装飾部80は、吸収性物品10の情報を示す情報部と、絵、図柄、マーク、記号の少なくともいずれかを含むデザイン部85と、の少なくとも一方を有してよい。本実施の形態の装飾部80は、三角形の図柄からなるデザイン部85のみによって構成されている。変形例において、デザイン部85は、図柄のみならず、絵を含んでいてもよいし、異なる図柄を含んでいてもよい。情報部は、吸収性物品10の情報を示すものであればよく、吸収性物品10の名称(商品名、ブランド名)を示すロゴ及びマーク、二次元バーコードを例示できる。吸収性物品10の情報は、吸収性物品10の素材(コットン、シアバター、オリーブオイル等)、及び吸収性物品10を使用した使用者の使用状態(着用した状態、装着操作の状態)、吸収性物品10の用途(生理用ナプキン、尿取りパッド、おりものシート)、使用タイミング(昼用、夜用、経血が多い日用等)、適した使用形態(スポーツ時に適している、就寝時に適している等)の情報を含んでいてよく、使用者が吸収性物品10の選択や使用に役立つ情報であってよい。
【0028】
装飾部80は、個包装体1の外面に向けられて配置されている。装飾部80は、個包装体1の外面側に向けられて配置されている。個包装状態において装飾部80が個包装体1の外面に向けられて配置されているため、使用者は、個包装状態において包装シート70を介して装飾部80を視認できる。装飾部80が剥離シート40に設けられているため、装飾部80が包装シート70の外面のみに設けられた形態と比較して、包装シート70の外面の風合いや汚れを抑制できる。なお、個包装体1の外面とは、折り畳まれた状態で個包装体1の外側に位置する面である。個包装体1の外面に向けられた状態は、個包装体1の外面に配置された状態のみならず、個包装体1の外面を構成する部材(包装シート70等)に対向して配置された状態、及び個包装体1の外面を構成する部材とは別の部材を介して、個包装体1の外面を構成する部材に対向して配置された状態を含む。なお、好適には、装飾部80は、個包装状態において吸収コア23よりも個包装体1の外面側に配置されてよい。装飾部80は、剥離シート40の内面及び外面の少なくとも一方に配置されていればよい。本実施の形態の装飾部80は、剥離シート40の外面(個包装体1の外面側の面)に配置されていている。装飾部80は、個包装体1の外側から包装シート70を介して視認可能に構成されている。なお、本発明における「視認可能」とは、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750 lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が対象物を見たときに視認できる事を意味している。
【0029】
装飾部80は、シート接合部45と重なる領域に配置された積層装飾部81を有してよい。積層装飾部81は、個包装体の展開状態において、シート接合部45と重なって配置された装飾部80である。シート接合部45と重なる領域は、包装シート70と剥離シート40が密着している。積層装飾部81は、シート接合部と重なる領域に設けられているため、装飾部80の中でも特に視認性が向上できる。そのため、包装シート70よりも内側に位置する剥離シート40に装飾部80を設けた場合であっても、使用者が個包装体1の外側から装飾部80を把握し易く、装飾部80による装飾性を向上できる。装飾性を高めることにより、吸収性物品10の使用前における使用者の憂鬱な気分を軽減することができる。
【0030】
テープ部材75の再接合部77は、個包装状態において積層装飾部81に重なってよい。すなわち、個包装体1には、再接合部77と、装飾部80と、シート接合部45と、が厚み方向Tに重なった領域が設けられてよい。使用者は、個包装状態から開封する際にテープ部材75を操作し、テープ部材75及びその周囲を視認する。積層装飾部81と重なるシート接合部をテープ部材の操作時に視認することで、使用者が積層装飾部81を視認し易い。また、再接合部と重なる積層装飾部81は、個包装状態において、再接合部に覆われており、個包装体1の外側から視認できない。しかし、テープ部材の操作時に、個包装に被覆されている部分の積層装飾部81を視認でき、テープ部材の開封操作を安定して行うことができる。
【0031】
装飾部80は、カーボンを含まないノンカーボン印刷によって構成され、テープ部材75は、カーボンを含むカーボン印刷によって構成されてよい。撮像手段等を用いてカーボンの有無を検出することによって、テープ部材の位置を検出できる。また、製造過程の品質管理において赤外線を照射すると、カーボンが検知され、混入物と誤認されるおそれがある。しかし、剥離シート40の装飾部80をノンカーボン印刷によって構成することにより、カーボンに起因する誤検知を抑制し、品質管理を考慮せずに、装飾部80によるデザイン性を向上できる。
【0032】
個包装状態において、積層装飾部81の少なくとも一部は、第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2の少なくとも一方に重なっていてよい。第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2は、少なくとも包装シート70及び剥離シート40が折り畳まれていてよい。第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2と重なる領域は、折り癖によって包装シート70と剥離シート40が密着している。そのため、使用者が個包装体1の外側から積層装飾部81を把握し易く、積層装飾部81による装飾性をより向上できる。また、複数の個包装体1がパッケージに収容された状態では、個包装体1は、厚み方向に積層され、折り目がパッケージの外面に向けて配置され易い。パッケージの窓部を介して又はパッケージを開封した状態で、折り目と重なる積層装飾部81を使用者が視認し易く、個包装体1を取り出す前から装飾性を向上できる。
【0033】
積層装飾部81の少なくとも一部は、本体接合部51と重なる領域に設けられてよい。本体接合部51、積層装飾部81、及びシート接合部45が重なる領域では、個包装体1の内側に位置する吸収性物品10が剥離シート40に密着する。吸収性物品10は、一般的に白基調であり、吸収性物品10の密着によって積層装飾部81の背景側の白色度が向上する。よって、積層装飾部81の視認性が向上する。本体接合部が接着剤からなる形態にあっては、本体接合部の接着剤によって剥離シートの凹凸が平滑化されることで、光の乱反射が低減する。光の乱反射が低減されることで透明度が上がり、積層装飾部の色が視認しやすくなる。
【0034】
装飾部80は、シート接合部45と重ならない領域に配置された非積層装飾部82を有してよい。非積層装飾部82は、図2に示す展開状態においてシート接合部45と重ならない領域に配置されている装飾部80である。非積層装飾部82と積層装飾部81は、展開状態及び個包装状態の少なくとも一部において連なってよい。非積層装飾部82と積層装飾部81が連続して形成されており、装飾部80の面積を確保し、装飾部80の視認性を向上できる。また、積層装飾部81と非積層装飾部82が混在していることにより、同じ色味でも積層装飾部81と非積層装飾部82では見え方が異なる(別の色に見える)ため、積層装飾部81のみの構成と比較して、個包装体1の外側から排泄物が透けた場合でも経血等の排泄物が目立ちにくくなる。
【0035】
個包装体1の外面における積層装飾部81と非積層装飾部82の色差ΔEは、1以上であってよく、好ましくは、4以上であってよい。一般的に色差が4以上であると、使用者が両者を区別して認識し易い。積層装飾部81と非積層装飾部82の色差が4以上であり、使用者は、両者を区別して認識し易い。より詳細には、シート接合部と重なる領域では、剥離シート40と包装シート70が密着し、装飾部の視認性が向上する。そのため、使用者は、積層装飾部81を濃く認識し、非積層装飾部82を薄く認識する。積層装飾部81と非積層装飾部82の濃淡によって、装飾部が立体的な装飾効果を発揮し、より目立ちやすくなる。装飾部が目立つことにより、排泄物を相対的に目立ちにくくできる。ここで、色差は、「色差」は、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。色差測定器は、例えば、Konica Minolta社製 CR-300を用いることができ、測定機器の光源としては、C光源(国際照明委員会(CIE)の規格)を用いることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。
【0036】
装飾部80は、シート接合部45の4つの側辺のうち3つ以上の側辺に跨がってよい。シート接合部の側辺は、積層装飾部81と非積層装飾部82の境界となり、装飾部80の視認性が変化する部分となる。当該装飾部80の視認性が変化する境界を3つ以上有しており、装飾部80の視認性をより向上できる。また、積層装飾部81から少なくとも3方に装飾部80が延在するため、装飾部80の面積を確保し、装飾部80の視認性を向上できる。
【0037】
剥離シート40の面積に対する装飾部80の面積の比率は、30%以上であってよく、好ましくは、50%以上であってよい。当該面積比率は、展開状態における面積比率であってもよいし、個包装状態における面積比率であってもよい。個包装状態における面積比率は、個包装体1の外面から視認可能に配置された剥離シート40及び装飾部80の面積を測定することによって算出できる。剥離シート40の面積に対する装飾部の面積の比率は、30%以上であって、比較的高い。そのため、包装シート70及び剥離シート40によって使用後の吸収性物品10を包んだ際に装飾部によって隠蔽できる面積を確保でき、隠蔽性を高めることができる。
【0038】
剥離シート40には、装飾部80の周囲に配置された背景部83が設けられており、装飾部80の光線透過率は、背景部83の光線透過率よりも低くてよい。装飾部80と背景部83が設けられた形態にあっては、使用者は、デザイン等による装飾効果を発揮する装飾部80に着目しやすい。装飾部80は、光線透過率が低く、背景部83よりも隠蔽性が高い。使用者が着目しやすい装飾部80の隠蔽性を高めることにより、個包装体1の外側から使用者が使用後の排泄物を視認する不具合を抑制できる。背景部83は、剥離シート40における装飾部80以外の部分であり、剥離シート40の地色の部分であってもよい。装飾部80の面積は、背景部83の面積よりも大きくてよい。装飾部80の面積を確保し、装飾性を向上させるとともに廃棄時の隠蔽性を向上できる。装飾部80は、複数設けられており、複数の装飾部の大きさが異なっていてよい。大きさが異なる複数の装飾部によって装飾部全体がより目立ち、使用者の注意を引きやすい。図5に示すように、装飾部80の最大寸法M80は、最大寸法M80に沿った方向(本実施の形態であれば、幅方向W)の剥離シート40の最大寸法M40に対する50%以上であってよく、好ましくは、70%以上であってよい。剥離シート40において装飾部80が占める長さの比率が高く、装飾性を向上させるとともに廃棄時の隠蔽性を向上できる。
【0039】
装飾部80は、第1装飾部86と、第1装飾部86と異なる色を有する第2装飾部87と、を備えてよい。第1装飾部と第2装飾部の2色の相乗効果によって装飾部全体がより目立ち、使用者の注意を引きやすい。また、複数の色の装飾部を備えていることにより、単一色の装飾部と比較して、個包装体1の外側から排泄物が透けた場合であっても、当該排泄物を目立ち難くできる。本実施の形態は、第1装飾部86と、第1装飾部86と異なる色を有する第2装飾部87と、第1装飾部86及び第2装飾部87と異なる色を有する第3装飾部88と、を有している。3色の装飾部80によって装飾部全体がより目立ち、使用者の注意を引きやすい。また、個包装体1の外側から排泄物が透けた場合であっても、当該排泄物を目立ち難くできる効果も高めることができる。
【0040】
吸収性物品10は、生理用ナプキンであって、装飾部80は、オストワルト色相環によって分類された24色の色票で、2番から12番のいずれかの色を含んでよい。出願人が鋭意研究した結果、使用後の経血の色は、6番から8番に近似することがわかった。一般的に、2つの色の色相番号のずれが4以内の場合には、2つの色が類似するため、一方に対して他方が目立ちにくくなる。装飾部80が2番から12番は、使用後の経血の色である6番から8番に対する色相番号のずれが4以内である。そのため、経血の色が視覚的に類似色の装飾部80で目立たなくなる。使用後の吸収性物品10の排泄物の隠蔽性を向上できる。
【0041】
吸収性物品10は、おりものシート及び尿漏れパッドであって、装飾部80は、オストワルト色相環によって分類された24色の色票で、22番、23番及び24番、1番、2番、3番、4番、5番、6番、7番のいずれかの色を含んでよい。出願人が鋭意研究した結果、おりものの色及び尿の色は、オストワルト色相環の色表のうち2番及び3番に近似することがわかった。22番、23番及び24番、1番、2番、3番、4番、5番、6番、7番は、おりものの色及び尿の色である2番及び3番に対する色相番号のずれが4以内である。そのため、おりものの色及び尿の色が視覚的に類似色の装飾部80で目立たなくなる。使用後の吸収性物品10の排泄物の隠蔽性を向上できる。
【0042】
シート接合部45の面積は、剥離シート40の面積に対する10%以上であってよい。シート接合部45の面積の比率を確保することにより、積層装飾部81の面積を高め、装飾性を向上できる。当該面積比率は、展開状態における面積比率であってもよいし、個包装状態における面積比率であってもよい。個包装状態における面積比率は、個包装体1の外面から視認可能に配置された剥離シート40及びシート接合部45の面積を測定することによって算出できる。また、開封時にテープ部材75を剥がす際の資材(包装シート70及び剥離シート40)の破れを抑制するために、テープ部材75の再接合部77をシート接合部45に重ねて配置することがある。このとき、シート接合部45の面積を確保することにより、製造時の位置ズレが生じても、テープ部材75の再接合部77をシート接合部45に重ねて配置でき、開封時の資材の破れを抑制できる。
【0043】
剥離シート40は、フィルムによって構成されてよい。好適には、剥離シート40には、本体接合部51から円滑に剥離できるように、剥離処理が施されてよい。フィルムによって構成された剥離シート40は、紙によって構成された剥離シート40と比較して柔軟性が高い。よって、剥離シート40が包装シート70に沿い易く、個包装体1の外側からの積層装飾部81の視認性を向上できる。また、フィルムは、紙と比較して表面が平滑であるため、印刷の自由度が高く、また、発色性が向上しやすい。そのため、装飾部80の視認性をより高め、装飾性をより向上できる。フィルムによって構成された剥離シート40は、紙によって構成された剥離シート40と比較して、変形時の音が発生し難く、個包装体1の開封時の音を低減できる。
【0044】
包装シート70は、中空繊維を有する不織布を含んでよい。包装シート70は、中空繊維を有する不織布単体によって構成されていてもよいし、中空繊維を有する不織布と他のシートの積層体であってもよい。中空繊維を有する不織布は、中空繊維を有しない不織布と比較して光の乱反射が生じ易い。個包装体1の外面を構成する包装シート70によって光の乱反射が生じることにより、装飾部80を立体的に示すことができ、装飾性を向上させたり高級感を付与したりでき、個包装体1の装飾性が高くなる。加えて、シート接合部45が接着剤からなる形態にあっては、シート接合部45と重なる領域は、シート接合部45と重ならない領域と比較して、接着剤によって包装シート70の凹凸及び剥離シート40の凹凸が平滑化され、光の乱反射が低減する。光の乱反射が低減することによって、包装シート及び剥離シートの透明度が向上し易くなる。これにより、シート接合部45と重なる領域は、シート接合部45と重ならない領域と、が視覚的に異なり易く、装飾部80を立体的に示すことができる。また、包装シート70は、光の乱反射によって光の透過性が低減する。そのため、包装シート70及び剥離シート40によって使用後の吸収性物品10を、剥離シート40よりも外側に延出した部分においても隠蔽性を高めることができる。また、中空不織布と中実不織布のそれぞれにおいて、積層装飾部81と非積層装飾部82の色差を比較すると、中空不織布の方が積層装飾部81と非積層装飾部82の色差が大きい。そのため、中空不織布の方が非積層装飾部82と比較した積層装飾部81の視認性が高くなる。
【0045】
包装シート70の光線透過率は、50%以上であってよい。なお、光線透過率は、周知の方法で測定するとよい。例えば、日本電色工業株式会社製の測色色差計又はそれと同等のものを用いて、JIS K 7375に準拠して測定できる。包装シート70の光線透過率は、50%以上であることにより、使用者は、包装シート70を介して装飾部80を視認できる。包装シート70は、透明又は半透明のフィルムによって構成されてよい。包装シート70がフィルムであることにより、シート接合部45を構成する接着剤が個包装体1の外面に染み出すことを抑制できる。また、包装シート70が透明又は半透明であることにより、装飾部80の視認性を確保できる。
【0046】
剥離シート40の幅方向の長さは、個包装体1の幅方向の長さの30%以上であってよい。好適には、剥離シート40は、吸収性物品10の全域を覆うように配置されてよい。装飾部80の面積を確保し、装飾性を向上させるとともに廃棄時の隠蔽性を向上できる。
【0047】
以上、上述の実施形態を用いて本考案について詳細に説明したが、当業者にとっては、本考案が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本考案は、特許請求の範囲の記載により定まる本考案の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本考案に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0048】
上述の実施形態の積層装飾部81は、デザイン部85のみによって構成されている。しかし、積層装飾部81は、少なくとも情報部を有してもよい。変形例によれば、デザイン部によって個包装体1の装飾性を向上させつつ、情報部を目立たせ、情報部によって使用者に吸収性物品10の情報を示すことができる。
【0049】
また、変形例において、装飾部は、剥離シート40に設けられてなく、包装シート70に設けられていてもよい。より詳細には、剥離シート40及び包装シート70の少なくとも一方は、装飾部80が設けられた装飾シートであり、装飾シートの面積に対する装飾部の面積の比率は、30%以上であってよい。装飾シートの面積に対する装飾部の面積の比率は、30%以上であって、比較的高い。そのため、装飾シート等によって使用後の吸収性物品10を包んだ際に装飾部によって隠蔽できる面積を確保でき、隠蔽性を高めることができる。なお、上述の実施形態は、剥離シート40が装飾シートを構成する。しかし、変形例において、包装シート70が装飾シートを構成する形態にあっては、上述の実施形態の剥離シート40の構成を包装シート70に置き代えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
包装シートの外面の風合いの低下や汚れを抑制しつつ、個包装状態において装飾効果を発揮できる吸収性物品の個包装体を提供する。
【符号の説明】
【0051】
1 :個包装体
10 :吸収性物品
20CW :中心
21 :表面シート
22 :裏面シート
23 :吸収コア
40 :剥離シート(装飾シート)
45 :シート接合部
51 :本体接合部
70 :包装シート
70E :包装シートの端縁
75 :テープ部材
76 :固定部
77 :再接合部
80 :装飾部
81 :積層装飾部
82 :非積層装飾部
85 :デザイン部
FW1 :第1幅折り目
FW2 :第2幅折り目
S1 :前側域
S2 :中央域
S3 :後側域
L :前後方向
T :厚み方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5