(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】液面検知装置、及び自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01N35/10 C
(21)【出願番号】P 2020040614
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟郎
(72)【発明者】
【氏名】田上 英嗣
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-100330(JP,A)
【文献】特開2005-345466(JP,A)
【文献】特表2011-512528(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033910(WO,A1)
【文献】特開2012-037236(JP,A)
【文献】特開2007-285888(JP,A)
【文献】米国特許第04846003(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
G01N 1/00 - 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の吸引と吐出を行う分注ノズルと、
前記分注ノズルに取り付けられており、電圧が印加されると前記分注ノズルを振動させる圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加する駆動信号発生部と、
前記圧電素子に流れる電流を検出する検出電流処理部と、
前記検出電流処理部が検出した電流の振幅の変化に基づいて、前記液体の液面を検知する制御部と、
を備え、
前記圧電素子に印加される電圧の周波数を駆動周波数とすると、
前記駆動周波数は、前記分注ノズルの空気中における振動の共振周波数
より高く、前記共振周波数の1.004倍以下であり、
前記制御部は、前記駆動周波数の電圧を前記圧電素子に印加して前記分注ノズルを振動させて、前記分注ノズルが前記液体中へ挿入されたときに、前記分注ノズルの前記液体中への挿入量に対する前記電流の振幅の変化を、前記駆動周波数が前記共振周波数に等しい場合の変化よりも大きくし、前記電流の振幅の変化に基づいて前記駆動周波数での前記挿入量を求めることで、前記液面を検知する、
ことを特徴とする液面検知装置。
【請求項2】
前記駆動周波数は、前記分注ノズルが空気中に位置するときの前記電流の振幅が、前記共振周波数での前記電流の振幅に対して0.45倍となる周波数以下である、
請求項
1に記載の液面検知装置。
【請求項3】
液体の吸引と吐出を行う分注ノズルと、
前記分注ノズルに取り付けられており、電圧が印加されると前記分注ノズルを振動させる圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加する駆動信号発生部と、
前記圧電素子に流れる電流を検出する検出電流処理部と、
前記検出電流処理部が検出した電流の振幅の変化に基づいて、前記液体の液面を検知する制御部と、
を備え、
前記圧電素子に印加される電圧の周波数を駆動周波数とすると、
前記駆動周波数は、前記分注ノズルの空気中における振動の共振周波数の0.994倍以上で0.998倍以下であり、
前記制御部は、前記駆動周波数の電圧を前記圧電素子に印加して前記分注ノズルを振動させて、前記分注ノズルが前記液体中へ挿入されたときに、前記分注ノズルの前記液体中への挿入量に対する前記電流の振幅の変化を、前記駆動周波数が前記共振周波数に等しい場合の変化よりも大きくし、前記電流の振幅の変化に基づいて前記駆動周波数での前記挿入量を求めることで、前記液面を検知する、
ことを特徴とする液面検知装置。
【請求項4】
前記駆動周波数は、前記分注ノズルが空気中に位置するときの前記電流の振幅が、前記共振周波数での前記電流の振幅に対して0.35倍となる周波数以上で0.7倍となる周波数以下である、
請求項
3に記載の液面検知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動信号発生部が前記圧電素子に印加する電圧の周波数を予め定めた周波数範囲内で変化させて、空気中に位置する前記分注ノズルを振動させ、前記電流の振幅が極大となる周波数を抽出し、抽出した前記周波数を前記共振周波数とする、
請求項1
または請求項3に記載の液面検知装置。
【請求項6】
液体を収容した容器を載置する部材と、
前記液体の液面を検知する液面検知装置を備え、
前記液面検知装置は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の液面検知装置である、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
前記分注ノズルは、前記液体中に下降することができ、前記液面検知装置が検知した前記液面の位置に基づいて下降動作を停止して前記液体を吸引する、
請求項
6に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吸引と吐出を行う分注ノズルと容器内の液体との接触を検知して液面を検知する液面検知装置、及びそれを備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液等の検体と試薬を分注ノズルによって取り分け、これらを反応させて検体の成分分析を行う。高精度な成分分析のためには、検体と試薬を所定の量に分注することが求められる。自動分析装置は、液面検知装置を備えており、液面検知装置によって液体である検体や試薬の液面の位置を測定し、液体中への分注ノズルの挿入量を制御する。
【0003】
従来の液面検知装置の例は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の液面検知装置は、ピペットニードル、ニードルホルダー、及び電気機械変換器を有する検出器ヘッド部と、検出器ヘッド部の共振周波数でピペットニードルの振動を引き起こす電気信号発生手段と、電気機械変換器から出される電気信号パラメーターの経時変化を評価してピペットニードルと容器に入っている液体との接触を検出する手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検体や試薬などの液体の液面は、分注ノズルを振動させて空気中から液体中へ挿入し、分注ノズルの振動特性が空気中と液体中とで変化する現象を利用して検出することができる。この方法では、液体中への分注ノズルの挿入量に応じて分注ノズルの共振周波数が低下し、共振周波数の低下によって分注ノズルの振動特性に関する検出信号が変化することを利用して、この検出信号の変化から液面を検知する。したがって、液体中への分注ノズルの挿入量に対する検出信号の変化は、液面を高精度に検知するためには、直線的で大きいのが望ましい。
【0006】
特許文献1に記載の液面検知装置など、従来の液面検知装置では、ピペットニードル(分注ノズル)を検出器ヘッド部の共振周波数で振動させる。ニードルホルダーと電気機械変換器を含めた分注ノズル(検出器ヘッド部)の振動の周波数特性は、共振周波数でピークとなり、共振周波数付近の微小な周波数範囲では平坦である。すなわち、共振周波数付近の微小な周波数範囲では、周波数の変化に対する振動振幅の変化が小さい。したがって、共振周波数で分注ノズルを振動させていた場合には、分注ノズルが液体中に入った直後は、共振周波数が低下しても振動振幅の変化は小さく、検出信号の変化も微小であり、液面を検知できないことがありうる。
【0007】
また、温度変化による共振周波数の変化や、分注ノズルを振動させる駆動周波数の設定誤差等によって、分注ノズルの空気中における共振周波数に対して分注ノズルを振動させる駆動周波数がわずかに低い場合には、検出信号は、次のように直線的ではなく、増加した後に減少する特性を示す。分注ノズルが液体中に入った直後は、共振周波数が駆動周波数に近づくように低下するので、検出信号は増加する。その後、分注ノズルの液体中への挿入量が増加して共振周波数が駆動周波数よりも低くなると、検出信号は低下に転じる。
【0008】
このように、従来の液面検知装置では、分注ノズルが液体中に入った直後の検出信号の変化が微小であったり、分注ノズルの液体中への挿入量に対して検出信号が直線的でない変化(すなわち、増加した後に低下する変化)を示したりすることがあるので、液面の検知精度が低下する懸念がある。
【0009】
本発明の目的は、液面を高精度に検知することができる液面検知装置と、この液面検知装置を備えた自動分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による液面検知装置は、液体の吸引と吐出を行う分注ノズルと、前記分注ノズルに取り付けられており、電圧が印加されると前記分注ノズルを振動させる圧電素子と、前記圧電素子に電圧を印加する駆動信号発生部と、前記圧電素子に流れる電流を検出する検出電流処理部と、前記検出電流処理部が検出した電流の振幅の変化に基づいて、前記液体の液面を検知する制御部とを備える。前記圧電素子に印加される電圧の周波数を駆動周波数とすると、前記駆動周波数は、前記分注ノズルの空気中における振動の共振周波数と異なる。
【0011】
本発明による自動分析装置は、液体を収容した容器を載置する部材と、前記液体の液面を検知する、本発明による液面検知装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液面を高精度に検知することができる液面検知装置と、この液面検知装置を備えた自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の実施例1による自動分析装置の概要を示す上面図である。
【
図2】本発明の実施例1による液面検知装置の構成を示す図である。
【
図3】分注ノズルが空気中に位置するときと分注ノズルが液体中に挿入されたときの、検出電流の振幅の周波数特性を示す図である。
【
図4】従来の液面検知装置において、分注ノズルの液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化を示す図である。
【
図5】実施例1において、圧電素子の駆動周波数を変えた場合の、検出電流の振幅の変化を示す図である。
【
図6】実施例1において、圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲を示す図である。
【
図7】実施例1において、圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲を示す図である。
【
図8】実施例2において、圧電素子の駆動周波数を、分注ノズルの空気中における共振周波数より低く変えた場合の、検出電流の振幅の変化を示す図である。
【
図9】実施例2において、圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲を示す図である。
【
図10】実施例2において、圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による液面検知装置は、分注ノズルを振動させて空気中から液体中へ挿入し、分注ノズルが液体に接触したことを検知することで、検体や試薬である液体の液面を検知する。本発明による液面検知装置では、分注ノズルを振動させる圧電素子を、分注ノズルの空気中における振動の共振周波数と異なる周波数で駆動することで、分注ノズルが液体中に入ったときに、分注ノズルの振動特性を示す信号(検出信号)が大きく変化し、液面を高精度に検知することができる。
【0015】
以下、本発明の実施例による液面検知装置と自動分析装置を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1Aは、本発明の実施例1による自動分析装置1の概要を示す上面図である。自動分析装置1は、血液等の検体と試薬を反応させて検体の成分分析を行う。
【0017】
自動分析装置1は、複数の試薬容器11を載置する部材である試薬ディスク12と、複数の反応容器13を載置する部材である反応ディスク14と、試薬の吸引と吐出を行う試薬分注機構16と、検体の吸引と吐出を行う検体分注機構17を備える。試薬容器11は、試薬を収容する容器である。反応容器13は、試薬と検体を混ぜ合わせて反応させるための容器である。検体は、検体容器21に入った状態で検体ラック22に載置され、搬送ライン19によって自動分析装置1に搬送される。
【0018】
自動分析装置1は、本実施例による液面検知装置を備える。本実施例による液面検知装置については後述する。
【0019】
図1Bは、試薬分注機構16の正面図である。試薬分注機構16は、試薬を分注する試薬分注ノズル26を備える。
【0020】
試薬分注機構16は、試薬容器11上に試薬分注ノズル26を移動させ、試薬容器11内の試薬中に試薬分注ノズル26を下降させ、後述の液面検知装置が検知した液面位置に基づいて試薬分注ノズル26の下降動作を停止し、試薬を試薬分注ノズル26内に吸引した後、試薬分注ノズル26を上昇させる。引き続いて、試薬分注機構16は、反応容器13上に試薬分注ノズル26を移動させ、反応容器13の高さに応じて試薬分注ノズル26を下降させ、試薬を反応容器13内に吐出した後、試薬分注ノズル26を上昇させる。
【0021】
図1Cは、検体分注機構17の正面図である。検体分注機構17は、検体を分注する検体分注ノズル27を備える。
【0022】
検体分注機構17は、搬送ライン19上の検体容器21上に検体分注ノズル27を移動させ、検体容器21内の検体中に検体分注ノズル27を下降させ、後述の液面検知装置が検知した液面位置に基づいて検体分注ノズル27の下降動作を停止し、検体を検体分注ノズル27内に吸引した後、検体分注ノズル27を上昇させる。引き続いて、検体分注機構17は、反応容器13上に検体分注ノズル27を移動させ、反応容器13の高さに応じて検体分注ノズル27を下降させ、検体を反応容器13内に吐出した後、検体分注ノズル27を上昇させる。
【0023】
自動分析装置1は、以上のようにして反応容器13内に分注された試薬と検体の混合液を測光することで、検体の成分分析を行う。
【0024】
試薬分注ノズル26と検体分注ノズル27は、液体(試薬または検体)の吸引と吐出を行い、それぞれの分注ノズル26、27が試薬または検体の液面に接触したことを検知する液面検知装置に備えられる。試薬分注ノズル26を備える液面検知装置と、検体分注ノズル27を備える液面検知装置は、互いに同様の構成を備える。
【0025】
以下では、本実施例による液面検知装置について、代表して、検体分注ノズル27を備える液面検知装置について説明する。なお、以下では、検体分注ノズル27を単に「分注ノズル27」と記し、検体を「液体」と記す。
【0026】
図2は、本実施例による液面検知装置2の構成を示す図である。液面検知装置2は、分注ノズル27と、圧電素子31と、駆動信号発生部32と、検出電流処理部33と、制御部34を備える。
【0027】
分注ノズル27は、検体分注機構17に備えられており、圧電素子31により振動する。
【0028】
圧電素子31は、分注ノズル27に取り付けられており、電圧が印加されると分注ノズル27を振動させる。
【0029】
駆動信号発生部32は、圧電素子31に印加する電圧を発生させ、圧電素子31に電圧を印加する。この電圧の周波数を「駆動周波数」と呼ぶ。駆動信号発生部32は、例えば、ファンクションジェネレーターで構成することができる。
【0030】
検出電流処理部33は、圧電素子31に流れる電流を検出する。この電流は、分注ノズル27の振動特性を示す信号である。この電流を「検出電流」と呼ぶ。検出電流処理部33は、例えば、電流センサで構成することができる。
【0031】
制御部34は、駆動信号発生部32が発生させる電圧を設定するとともに、検出電流処理部33が検出した検出電流の振幅に基づいて、液体の液面を検知して液面位置を導出する。液面位置は、例えば、液体が収納された容器の底面から液面までの高さで表すことができる。制御部34は、例えば、コンピュータ(マイコン)で構成することができる。
【0032】
分注ノズル27は、圧電素子31に振動させられて、圧電素子31の駆動周波数で振動する。分注ノズル27が、検体分注機構17に備えられて圧電素子31が取り付けられた状態において、分注ノズル27の空気中での振動は、複数の共振周波数を持つ。
【0033】
制御部34は、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数を、分注ノズル27の空気中での振動の複数の共振周波数のうちの1つの共振周波数の近傍の周波数に設定する。駆動信号発生部32は、制御部34が設定した駆動周波数を持ち一定振幅の電圧を圧電素子31に印加する。分注ノズル27は、圧電素子31に電圧が印加されると振動する。振動している分注ノズル27が空気中から液体中に入ると、分注ノズル27の振動振幅が変化する。この振動振幅の変化に対応して、圧電素子31に流れる検出電流の振幅が変化する。検出電流処理部33は、この検出電流の振幅の変化を検出する。制御部34は、検出電流処理部33が検出した検出電流の振幅の変化に基づいて、分注ノズル27の液体中への挿入量を求め、液面を検知し、液面位置を導出する。
【0034】
図3は、分注ノズル27が空気中に位置するときと分注ノズル27が液体中に挿入されたときの、検出電流の振幅の周波数特性を示す図である。
【0035】
図3に示す周波数特性は、太線が分注ノズル27が空気中に位置する場合のものであり、点線が分注ノズル27の液体中への挿入量が1mmの場合のものであり、破線が挿入量が2mmの場合のものであり、細線が挿入量が3mmの場合のものである。横軸は、周波数であり、分注ノズル27が空気中に位置するときの振動の周波数特性における共振周波数を1として正規化している。縦軸は、検出電流の振幅であり、分注ノズル27が空気中に位置するときの振動の周波数特性における共振周波数での値を1として正規化している。なお、共振周波数とは、
図3に示すような周波数特性において、共振ピークで検出電流の振幅が極大となる周波数のことである。
【0036】
分注ノズル27が液体中に位置すると、分注ノズル27の周囲の液体が分注ノズル27に付加質量として作用することにより、液体中への分注ノズル27の挿入量が増えるにつれて、共振ピークを与える周波数、すなわち共振周波数が低くなり、周波数特性が低周波数側に移動する。
【0037】
分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数をfrとし、圧電素子31に印加される電圧の駆動周波数をfdとする。
図3には、fd>frの場合を示している。
図3に示すように、分注ノズル27の液体中への挿入量が増え、周波数特性が低周波数側に移動すると、検出電流の振幅が変化する。例えば、駆動周波数fdの圧電素子31により振動させられた分注ノズル27が液体中に入ると、液体中への挿入量の増加に応じて検出電流の振幅が低下していく。
【0038】
従来の液面検知装置では、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数fdは、分注ノズル27の空気中における共振周波数frと同じ値である(fd=fr)。
【0039】
図4は、従来の液面検知装置において、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化を示す図である。横軸は、分注ノズル27の液体中への挿入量であり、負側が空気中を表し、正側が液体中を表す。縦軸は、検出電流の振幅であり、分注ノズル27が空気中に位置するときの値を1として正規化している。
【0040】
分注ノズル27が液体中に入ると、検出電流の振幅が低下する。
図4に示した例では、分注ノズル27の液体中への挿入量が2mmのときに、検出電流の振幅は、分注ノズル27が空気中に位置するときの値の0.87倍になる。したがって、検出電流の振幅が、分注ノズル27が空気中に位置するときの値の0.87倍となったときに、分注ノズル27の液体中への挿入量を2mmと判定することで、液面を検知し、液面位置を導出することができる。
【0041】
ただし、
図4に示した従来の液面検知装置(fd=fr)の例では、分注ノズル27が液体中に入った直後の、液体中への挿入量が0mmから1mmの範囲では、検出電流の振幅の低下が緩やかである。これは、
図3において、共振周波数frの付近は、分注ノズル27が空気中に位置するときの検出電流の振幅を表す曲線(太線の曲線)が平坦な領域であり、分注ノズル27が液体中に入って共振周波数が低下したとしても、検出電流の振幅の低下が小さいからである。このため、従来の液面検知装置では、分注ノズル27が液体中に入ったときの検出電流の振幅の低下が小さく、分注ノズル27が液体中に入ったことの検知、すなわち液面の検知を正確にできないことがある。
【0042】
したがって、液面を高精度に検知するためには、分注ノズル27が液体中に入った後の検出電流の振幅の変化が大きく、直線的であるのが望ましい。
【0043】
本実施例による液面検知装置2では、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数frと異なる値(fd≠fr)に設定することで、分注ノズル27が液体中に入った後の検出電流の振幅の変化を大きく、直線的にする。
【0044】
本実施例では、圧電素子31の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数frより高くする場合(fd>fr)について説明する。
【0045】
図5は、圧電素子31の駆動周波数fdを変えた場合の、検出電流の振幅の変化を示す図である。横軸は、分注ノズル27の液体中への挿入量である。縦軸は、検出電流の振幅であり、分注ノズル27が空気中に位置するときの値を1として正規化している。
図5には、駆動周波数fdが、分注ノズル27の空気中における共振周波数frを1として、0.9995、1、1.0005、1.001、1.002、1.003、及び1.004の場合を示している。
【0046】
圧電素子31の駆動周波数fdが0.9995であり、共振周波数frに対してわずかに低い場合には、検出電流の振幅は、分注ノズル27の液体中への挿入量が0mmから1mmの範囲で緩やかに増加し、液体中への挿入量が1mmより増加すると低下に転じる。したがって、駆動周波数fdが0.9995の場合には、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化が小さいことと、分注ノズル27の液体中への挿入量が増加すると検出電流の振幅が直線的に変化せず、増加した後に減少して1に戻ることのために、液面の高精度な検知は難しい。
【0047】
そこで、本実施例では、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高い値に設定する(fd>fr)。
【0048】
図5において、圧電素子31の駆動周波数fdが1より大きい1.0005、1.001、1.002、1.003、及び1.004の場合では、圧電素子31の駆動周波数fdが1の場合に比べて、分注ノズル27が液体中に入った直後の検出電流の振幅の変化が大きく、直線的である。圧電素子31の駆動周波数fdが共振周波数frより高いこれらの場合では、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化は、駆動周波数fdが1である場合(fd=frの場合)の変化よりも大きい。すなわち、これらの場合では、
図5において、それぞれの駆動周波数fdでの値を示す線分の傾きは、駆動周波数fdが1である場合の値を示す線分の傾きよりも絶対値が大きい。
【0049】
このように、圧電素子31の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高くすることで、共振周波数frの付近の、分注ノズル27が空気中に位置するときの検出電流の振幅を表す曲線が平坦である領域(
図3)を避けることができ、分注ノズル27が液体中に入って共振周波数が低下したときに、検出電流の振幅の変化(低下)を大きくすることができる。
【0050】
例えば、圧電素子31の駆動周波数fdが1.002の場合には、分注ノズル27の液体中への挿入量が2mmのときに、検出電流の振幅は、分注ノズル27が空気中に位置するときの値の0.77倍となり、駆動周波数fdが1の場合の0.87倍に比べて変化が大きい。この場合には、検出電流の振幅が、分注ノズル27が空気中に位置するときの値の0.77倍となったときに、分注ノズル27の液体中への挿入量を2mmと判定することで、液面を検知し、液面位置を導出することができる。
【0051】
図5において、圧電素子31の駆動周波数fdが1より大きく(すなわち、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高く)1.004以下の範囲では(fr<fd≦1.004fr)、検出電流の振幅は、圧電素子31の駆動周波数fdが1の場合よりも大きく変化する。したがって、圧電素子31の駆動周波数fdは、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高く、共振周波数frの1.004倍以下であることが好ましい。
【0052】
なお、圧電素子31の駆動周波数fdが1.004より大きいと(すなわち、共振周波数frの1.004倍より大きいと)、検出電流の振幅を表す曲線は、駆動周波数fdが1のときの曲線に近づき、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化は、駆動周波数fdが1のときと同じような変化を示す。このため、駆動周波数fdの上限値は、1.004であるのが好ましい。
【0053】
図6は、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd1を示す図である。
図6には、
図3に示した、分注ノズル27が空気中に位置する場合の、検出電流の振幅の周波数特性を示している。駆動周波数fdの好ましい範囲fd1は、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高く、共振周波数frの1.004倍以下の周波数範囲である(fr<fd1≦1.004fr)。
【0054】
図6において、分注ノズル27の空気中における共振周波数frの1.004倍の周波数での検出電流の振幅は、共振周波数frでの値の0.45倍程度である。このことから、圧電素子31の駆動周波数fdが、共振周波数frより高く、分注ノズル27が空気中に位置する場合において、検出電流の振幅が共振周波数frでの値の0.45倍となる周波数fa以下の周波数であれば、圧電素子31の駆動周波数fdは、好ましい範囲fd1内に収まる。したがって、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd1は、次のように表現することもできる。すなわち、駆動周波数fdの好ましい範囲fd1は、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高く、分注ノズル27が空気中に位置するときの検出電流の振幅が共振周波数frでの振幅の0.45倍となる周波数fa以下の周波数範囲である(fr<fd1≦fa)。
【0055】
図7は、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd1を示す図である。
図7には、
図3に示した、分注ノズル27が空気中に位置する場合の、検出電流の振幅の周波数特性を示している。駆動周波数fdの好ましい範囲fd1は、上述したように、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高く、分注ノズル27が空気中に位置するときの検出電流の振幅が、共振周波数frでの検出電流の振幅に対して、0.45倍となる周波数fa以下の周波数範囲である(fr<fd1≦fa)。
【0056】
なお、検出電流の振幅は、液体の種類や性状によって変わることがある。しかし、検出電流の振幅は、液体の種類や性状が変わっても、多くの液体に対して変化が小さいことを実験で確かめている。このため、駆動周波数fdの好ましい範囲fd1の上限の周波数は、液体によらず、検出電流の振幅が共振周波数frでの値の0.45倍となる周波数faとすることができる。
【0057】
分注ノズル27の振動特性は、環境温度の変化や、長時間の動作による圧電素子31と分注ノズル27の結合状態の変化により、変わることがある。分注ノズル27の振動特性が変化すると、分注ノズル27の空気中における共振周波数frが変化する。圧電素子31の駆動周波数fdが、共振周波数frの変化前の値に基づいて設定されており、変更されていなければ、共振周波数frが変化した場合には、駆動周波数fdは、上述の好ましい範囲fd1から外れる可能性がある。
【0058】
そこで、本実施例による液面検知装置2は、共振周波数frの変化による影響を低減するために、定期的に共振周波数frを測定して駆動周波数fdを再設定する工程を実施するのが好ましい。この工程は、具体的には、例えば、液面検知装置2が動作を開始するときと液面検知装置2が予め定めた時間だけ動作したときの両方またはいずれか一方のときに、以下のように実施する。
【0059】
制御部34は、駆動信号発生部32が圧電素子31に印加する電圧の周波数を、予め定めた周波数範囲内で変化させて、空気中に位置する分注ノズル27を振動させ、検出電流の振幅が極大となる周波数を抽出する。この周波数範囲は、変化した共振周波数frが含まれると考えられる任意の範囲であり、予め制御部34に設定される。電圧の周波数を変化させて分注ノズル27を振動させるときには、電圧の振幅を一定とする。制御部34は、抽出した周波数を分注ノズル27の空気中における共振周波数frとし、この共振周波数frに基づいて圧電素子31の駆動周波数fdを、上述の好ましい範囲fd1内に設定する。制御部34は、この共振周波数frと設定した駆動周波数fdを用いて液面を検知する。
【0060】
本実施例による液面検知装置2は、共振周波数frを測定して駆動周波数fdを再設定する工程を実施することで、環境温度の変化や長時間の動作により分注ノズル27の空気中における共振周波数frが変化しても、圧電素子31の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより高くし、好ましい範囲fd1内に収まるようにすることができる。
【0061】
以上示したように、本実施例による液面検知装置2は、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数frより高くし、好ましい範囲fd1内に収まるようにすることで、分注ノズル27が液体中に入った後の検出電流の振幅の変化を大きく、直線的にでき、液面を高精度に検知することができる。
【実施例2】
【0062】
本発明の実施例2による液面検知装置2と自動分析装置1を説明する。本実施例による自動分析装置1は、本実施例による液面検知装置2を備える。以下では、本実施例による液面検知装置2について、実施例1による液面検知装置2と異なる点を主に説明する。
【0063】
本実施例による液面検知装置2は、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数frより低い値に設定する点(fd<fr)が、実施例1による液面検知装置2と異なる。本実施例による液面検知装置2のその他の構成は、実施例1による液面検知装置2の構成と同じである。
【0064】
図3を参照すると、圧電素子31の駆動周波数fdが分注ノズル27の空気中における共振周波数frより低い場合には、分注ノズル27が液体中に入ると、周波数特性が低周波数側に移動することによって、駆動周波数fdが共振周波数frよりわずかに低い場合を除いて、検出電流の振幅は増加する。
【0065】
図8は、圧電素子31の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより低く変えた場合の、検出電流の振幅の変化を示す図である。横軸は、分注ノズル27の液体中への挿入量である。縦軸は、検出電流の振幅であり、分注ノズル27が空気中に位置するときの値を1として正規化している。
図8には、駆動周波数fdが、分注ノズル27の空気中における共振周波数frを1として、0.993、0.994、0.995、0.996、0.997、0.998、及び0.999の場合を示している。
【0066】
また、
図8には、比較のために、
図5に示した駆動周波数fdが1の場合における、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する、検出電流の振幅の変化も示している。但し、
図8では、分注ノズル27の挿入量の増加に伴う検出電流の振幅の変化の大きさ(変化量の絶対値)を比較するために、
図5の駆動周波数fdが1のときの曲線を、検出電流の振幅が1の目盛線を中心に上下反転させて示している。すなわち、
図8には、駆動周波数fdが1の場合において分注ノズル27の挿入量の増加に伴い検出電流の振幅が変化した量の大きさを、振幅が1の値に加え、この加算によってできた曲線を、駆動周波数fdが1の場合における検出電流の振幅の変化として示している。
【0067】
圧電素子31の駆動周波数fdが0.993の場合には、分注ノズル27を液体中へ挿入していったときに、検出電流の振幅の、挿入量が0mmのときの値からの変化(変化の大きさと傾き)は、
図8(または
図5)に示した駆動周波数fdが1の場合(駆動周波数fdが共振周波数frと等しい場合)と同程度である。したがって、駆動周波数fdが0.993であると、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化が小さいので、液面の高精度な検知は難しい。
【0068】
圧電素子31の駆動周波数fdが0.994から0.998の場合では、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化は、
図8(または
図5)に示した駆動周波数fdが1の場合より大きく、直線的である。圧電素子31の駆動周波数fdが共振周波数frより低いこれらの場合では、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化は、駆動周波数fdが1である場合(fd=frの場合)の変化よりも大きい。すなわち、これらの場合では、
図8(または
図5)において、それぞれの駆動周波数fdでの値を示す線分の傾きは、駆動周波数fdが1である場合の値を示す線分の傾きよりも絶対値が大きい。
【0069】
例えば、圧電素子31の駆動周波数fdが0.997の場合には、分注ノズル27の液体中への挿入量が2mmのときに、検出電流の振幅は、分注ノズル27が空気中に位置するときの値の1.25倍となり、駆動周波数fdが1の場合の0.87倍(
図8では1.13倍)に比べて変化が大きい。この場合には、検出電流の振幅が、分注ノズル27が空気中に位置するときの値の1.25倍となったときに、分注ノズル27の液体中への挿入量を2mmと判定することで、液面を検知し、液面位置を導出することができる。
【0070】
圧電素子31の駆動周波数fdが0.999の場合には、検出電流の振幅は、分注ノズル27の液体中への挿入量が0mmから2mmの範囲で緩やかに増加し、液体中への挿入量が2mmより大きくなると増加の割合が低下する。したがって、駆動周波数fdが0.999の場合には、分注ノズル27の液体中への挿入量に対する検出電流の振幅の変化が小さくて直線的でないので、液面の高精度な検知は難しい。
【0071】
したがって、圧電素子31の駆動周波数fdが分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数frよりも低い場合には、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd3は、共振周波数frの0.994倍以上で、0.998倍以下の周波数範囲である(0.994fr≦fd3≦0.998fr)。
【0072】
図9は、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd3を示す図である。
図9には、
図3に示した、分注ノズル27が空気中に位置する場合の、検出電流の振幅の周波数特性を示している。
【0073】
図9において、分注ノズル27の空気中における共振周波数frの0.994倍の周波数での検出電流の振幅は、共振周波数frでの値の0.35倍程度であり、共振周波数frの0.998倍の周波数での検出電流の振幅は、共振周波数frでの値の0.7倍程度である。このことから、圧電素子31の駆動周波数fdが、共振周波数frより低く、分注ノズル27が空気中に位置する場合において、検出電流の振幅が共振周波数frでの値の0.35倍となる周波数fb以上で0.7倍となる周波数fc以下の周波数であれば、圧電素子31の駆動周波数fdは、好ましい範囲fd3内に収まる。したがって、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd3は、次のように表現することもできる。すなわち、駆動周波数fdの好ましい範囲fd3は、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより低く、分注ノズル27が空気中に位置するときの検出電流の振幅が共振周波数frでの振幅の0.35倍となる周波数fb以上かつ0.7倍となる周波数fc以下の周波数範囲である(fb≦fd3≦fc)。
【0074】
図10は、圧電素子31の駆動周波数fdの好ましい範囲fd3を示す図である。
図10には、
図3に示した、分注ノズル27が空気中に位置する場合の、検出電流の振幅の周波数特性を示している。駆動周波数fdの好ましい範囲fd3は、上述したように、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより低く、分注ノズル27が空気中に位置するときの検出電流の振幅が、共振周波数frでの検出電流の振幅に対して、0.35倍となる周波数fb以上かつ0.7倍となる周波数fc以下の周波数範囲である(fb≦fd3≦fc)。
【0075】
なお、検出電流の振幅は、液体の種類や性状によって変わることがある。しかし、検出電流の振幅は、多くの液体に対して変化が小さいことを実験で確かめている。このため、駆動周波数fdの好ましい範囲fd3の上限と下限の周波数は、液体によらず、検出電流の振幅が共振周波数frでの値の0.35倍となる周波数fbと0.7倍となる周波数fcとすることができる。
【0076】
本実施例による液面検知装置2も、実施例1による液面検知装置2と同様に、共振周波数frを測定して駆動周波数fdを再設定する工程を実施することで、環境温度の変化や長時間の動作により分注ノズル27の空気中における共振周波数frが変化しても、圧電素子31の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における共振周波数frより低くし、好ましい範囲fd3内に収まるようにすることができる。
【0077】
以上示したように、本実施例による液面検知装置2は、圧電素子31に印加する電圧の駆動周波数fdを、分注ノズル27の空気中における振動の共振周波数frより低くし、好ましい範囲fd3内に収まるようにすることで、分注ノズル27が液体中に入った後の検出電流の振幅の変化を大きく、直線的にでき、液面を高精度に検知することができる。
【0078】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…自動分析装置、2…液面検知装置、11…試薬容器、12…試薬ディスク、13…反応容器、14…反応ディスク、16…試薬分注機構、17…検体分注機構、19…搬送ライン、21…検体容器、22…検体ラック、26…試薬分注ノズル、27…検体分注ノズル、31…圧電素子、32…駆動信号発生部、33…検出電流処理部、34…制御部、fa、fb、fc…圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲を示す周波数、fd…圧電素子に印加する電圧の駆動周波数、fd1…圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲、fd3…圧電素子の駆動周波数の好ましい範囲、fr…分注ノズルの空気中における振動の共振周波数。