(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】プラスチック部材、特に接着適用品の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 7/82 20060101AFI20230922BHJP
B29B 7/84 20060101ALI20230922BHJP
B29B 7/40 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B29B7/82
B29B7/84
B29B7/40
(21)【出願番号】P 2020533812
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 AT2018060303
(87)【国際公開番号】W WO2019119005
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・メツラー
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-053914(JP,A)
【文献】特開平07-008875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00-7/94,
B29C 31/00-31/10,
B05C 5/00-5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック部材(2)を製造するための装置(1)であって、
第1の液体プラスチック出発成分(K1)を供給するための第1のプラスチック供給装置(3a)、
第2の液体プラスチック出発成分(K2)を供給するための第2のプラスチック供給装置(3b)、
混合チャンバー(6)を有する混合装置(5)、ここで、プラスチック供給装置(3a、3b)により供給し得る液体プラスチック出発成分(K1、K2)は、混合チャンバー(6)で混合されてプラスチック混合物(KG)を形成でき、
プラスチック混合物(KG)を吐出するための吐出ノズル(7)、
混合装置(5)用の冷却装置(8)、並びに
混合装置(5)を少なくとも領域で囲み、分離装置(10)、分離装置(10)と混合装置(5)との間に形成された乾燥チャンバー(T)、及び乾燥チャンバー(T)の中へ開口する乾燥剤供給装置(11)を含んでなる乾燥装置(9)を含んでなり、
前記装置は、縦軸(X)を有し、分離装置(10)は、乾燥チャンバー(T)を周囲(U)から縦軸(X)方向に分離するベース領域(10a)と、乾燥チャンバー(T)を周囲(U)から半径方向に分離し、ベース領域(10a)に接続された側方領域(10b)とを有し、分離装置(10)は、ベース領域(10a)とは反対側を向く反対領域(10c)において周囲(U)に対して開いて
おり、
分離装置(10)は、開口(10d)を有し、開口(10d)を通じて吐出ノズル(7)が突出しており、
乾燥剤供給装置(11)は、乾燥剤源(12)、及び乾燥剤源(12)に接続された管状又はパイプ形状の供給要素(13)を有し、供給要素(13)は、吐出ノズル(7)に向けられている、装置。
【請求項2】
乾燥剤供給装置(11)により、圧縮空気(L)を導入できることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記乾燥剤は、露点が10℃未満であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
側方領域(10b)は、半径方向に混合装置(5)を取り囲むことを特徴とする、請求項1~
3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
冷却装置(8)は、少なくとも1つの冷却ダクト(14)を有し、冷却ダクト(14)は、混合装置(5)のハウジング(15)内に形成されることを特徴とする、請求項1~
4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
分離装置(10)は、大部分が金属、又は可撓性のプラスチック材料、又は剛性プラスチック材料からなることを特徴とする、請求項1~
5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
分離装置(10)のプラスチック材料は、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレンを含有することを特徴とする、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
第1の液体プラスチック出発成分(K1)、第2の液体プラスチック出発成分(K2)又はプラスチック混合物(KG)に、ガス(G)を供給するためのガス供給装置(4)を特徴とする、請求項1~
7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の装置(1)を操作するための方法であって、
第1の液体プラスチック出発成分(K1)及び第2の液体プラスチック出発成分(K2)を混合装置(5)の混合チャンバー(6)に供給する工程、
液体プラスチック出発成分(K1、K2)を混合チャンバー(6)で混合して、プラスチック混合物(KG)を形成する工程、
冷却装置(8)を使用して混合装置(5)を冷却する工程、及び
吐出ノズル(7)を通じてプラスチック混合物(KG)を吐出する工程を含んでなり、
混合装置(5)を少なくとも領域で囲み、分離装置(10)、分離装置(10)と混合装置(5)との間に形成された乾燥チャンバー(T)、及び乾燥チャンバー(T)の中へ開口する乾燥剤供給装置(11)を含んでなる乾燥装置(9)を使用して混合装置(5)を乾燥する工程を特徴とする、方法。
【請求項10】
乾燥装置(10)の圧縮空気発生装置により、100~500標準リットルが1時間(T)ごとに乾燥チャンバーに導入されることを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック部材、特に接着適用品、シーリングビーズ、注型部材などを製造するための装置であって、第1の液体プラスチック出発成分を供給するための第1のプラスチック供給装置、第2の液体プラスチック出発成分を供給するための第2のプラスチック供給装置、混合チャンバーを有する混合装置、ここで、プラスチック供給装置により供給し得る液体プラスチック出発成分は、混合チャンバーで混合してプラスチック混合物を形成でき、プラスチック混合物を吐出するための吐出ノズル、及び混合装置用の冷却装置を含んでなる装置に関する。また本発明は、そのような装置を操作するための方法であって、第1の液体プラスチック出発成分及び第2の液体プラスチック成分を混合装置の混合チャンバーに供給する工程、液体プラスチック出発成分を混合チャンバーで混合して、プラスチック混合物を形成する工程、周囲冷却装置、特に混合チャンバーを少なくとも領域で囲む周囲冷却装置を使用して混合装置を冷却する工程、及び吐出ノズルを通じてプラスチック混合物を吐出する工程を含んでなる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置又はそのような方法は、主に、接着製品及び接着適用品を製造するために使用される。プラスチックのポッティングも製造できる。さらに、プラスチック発泡体を、例えば、シーリングビーズの携帯で製造することもできる。
【0003】
一般的な先行技術の例は、WO 2017/004635 A1で見られる。これは、断続的に提供される液体プラスチック成分を有する装置を開示する。
【0004】
前記文献に記載されているシーリングビーズの形態の発泡プラスチック部材の製造では、本発明の可能な実施形態の出発位置のように、化学プロセスが起こる。化学プロセスの反応速度は通常、プロセスが行われる温度に大きく依存する。経験則では、プロセスの反応速度は、温度が約10℃上昇すると約2倍になる。2成分混合ヘッド(混合装置に対応)での化学プロセスも、この規則の大部分が適用される。
【0005】
混合ヘッドから吐出された質量(接着剤、ポッティング、フォーム)は、例えば、製造プロセスのサイクル時間を短縮できるように、できるだけ早く硬化することが通常望ましい。この目的のために、基本的に非常に高い反応速度を有する特別な材料が開発されている。しかしながら、これらの非常に高い反応速度は、前記成分が混合ヘッドで混合されるとすぐに、2つの成分の反応プロセスを特定のポイントまで進行させる。これは、次に、混合ヘッドの混合チャンバー内の汚染と付着をすぐに引き起こす。さらに、プロセスのために、投与間の待ち時間も汚染につながる可能性がある。
【0006】
汚染に対処するために、混合ヘッドの冷却がますます強調される。この場合、冷却液は通常、混合チャンバーの領域にあるダクトを通って循環し、局所的に温度、特に混合チャンバー壁の温度を大幅に低下させる。あるいは、熱電素子を使用した接触冷却も可能である。この対策により、通常、汚染の影響を大幅に抑制又は低減できる。
【0007】
混合ヘッド及びその混合チャンバーは、通常、アルミニウム又はステンレス鋼から作られる。どちらも比較的優れた熱伝導体であり、その結果、混合ヘッドの内部領域が冷却されるだけでなく、混合ヘッドの外面もほぼ冷却液の温度と推定される。
【0008】
達成可能な最小混合ヘッド温度又は混合チャンバー温度は、望ましくない結露の形成によって主に制限される。混合ヘッドが周囲空気の露点以下に冷却されると、混合ヘッドの外側に結露が発生する。極端な場合、水が下の成分に落下することさえあり得る。水はポリウレタンフォーム反応の推進成分になる可能性があるため、1滴でも混合ヘッドの下の成分が使用できなくなる可能性がある。世界の多くの地域、及び中央ヨーロッパの夏の数か月間では、周囲空気の露点が20℃を大幅に超えることがある。この場合、露点を下回ることなく大幅な冷却を行うことは事実上不可能である。
【0009】
この問題を解決するための2つのアプローチが以前から知られている。
【0010】
第1のアプローチは、露点を測定し、露点に達したときに冷却力を低下させることを試みる。この方法では、特に夏には、特に高い冷却能力を達成することができない。
【0011】
第2の選択肢は、混合ヘッドの表面全体を分離することを試みる。特に複雑な混合ヘッドの場合、混合ヘッドに完全にアクセスできる必要があるため、断熱材の正確な形状が複雑である。また、開気孔材に水分の浸透(スポンジ効果)が発生し、例えば断熱効果が低下するため、断熱材への要求が高まっている。さらに、絶縁混合ヘッドの工業的使用中に外部汚染が発生することが多いため、例えば溶剤を使用して断熱材を簡単に洗浄できる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明により対処される課題は、プラスチック部材を製造するための改良された装置を提供することである。上記の問題は特に解決されるべきものである。これは、結露がほとんど又は全く発生しない状態で、高い冷却力を実現すべきことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これは、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。本発明によれば、混合装置を少なくとも部分的に囲む乾燥装置が提供され、該乾燥装置は、分離装置、分離装置と混合装置との間に形成された乾燥チャンバー、及び乾燥チャンバーの中へ開口する乾燥剤供給装置を有する。言い換えると、冷却混合装置(混合ヘッド)の周囲に大気が作られ、この大気では、露点が可能な限り低く、これにより、混合装置の表面に結露が全く形成されない。分離装置は、主に乾燥剤のガイド装置として機能し、乾燥剤を混合装置の表面に沿って案内又は運搬する。この理由から、分離装置は、全体的なガイド効果がまだある限り、ある程度まで通気性であるか、又はすき間があり得る。最も単純なケースでは、分離装置は材料からなり得る。分離装置は、好ましくは、実質的にガス不透過性である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態はまた、従属請求項で特定されている。
【0016】
一般に、保護ガス(例えば、アルゴン又は窒素)を乾燥剤として使用し、乾燥剤供給装置によって供給することが可能である。しかしながら、空気、特に圧縮空気が、乾燥剤として好ましく使用される。圧縮空気は、特に好ましくは、乾燥剤供給装置によって、好ましくは連続的に、乾燥チャンバーに導入できる。中でも、ガス又は空気の露点が低いことが重要である。結露の形成を回避し、同時に良好な冷却力を達成するために、乾燥剤は、好ましくは圧縮空気の形態又は保護ガスの形態で、好ましくは露点が10℃未満、好ましくは5℃未満である。
【0017】
さらに、乾燥剤供給装置は、好ましくは、乾燥剤源、好ましくは圧縮空気発生装置、及び乾燥剤源に接続された供給要素を有する。さらに、供給要素は、好ましくは混合装置の下部領域に向けられ、好ましくは放出ノズル上に向けられる。しかしながら、供給要素は、乾燥剤が混合ヘッドから乾燥チャンバーに流れるように混合ヘッド内に形成することもできる。従って、対応するダクトを混合ヘッドに形成することができる。
【0018】
一般に、装置は縦軸(又はX軸)を有する。この縦軸は、好ましくは、プラスチック材料とガスとの混合物の放出方向と実質的に一致する。
【0019】
分離装置は、所望の大気が乾燥チャンバーの大部分において確保される限り、任意の設計のものであり得る。例えば、ポケット型、トラフ型、キャップ型、シェル型又はドーム型の分離装置が特に適している。分離装置の特定の形状に関して、分離装置は、好ましくは、乾燥チャンバーを周囲から軸方向に分離するベース領域と、乾燥チャンバーを周囲から半径方向に分離し、ベース領域に接続された側方領域とを有する。軸方向及び半径方向はそれぞれ、装置の縦軸に関連する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、側方領域は、半径方向に混合装置を完全に取り囲む。あるいは、分離装置は、導入された乾燥剤が再び逃げることもできるように、例えば半径方向に、溝又はすき間があってもよい。
【0021】
分離装置は、混合装置の周囲の領域を気密に囲む必要はない。むしろ、分離装置は、好ましくは、ベース領域とは反対側を向く反対領域の周囲に開いている。
【0022】
分離装置は、好ましくは、排出ノズルの領域に配置された下部ベース領域において周囲から遮断されている。分離装置は、好ましくはベース領域の中央に配置された開口を有し、該開口を通じて吐出ノズルが突出していることが好ましい。前記開口が乾燥チャンバーに接続している場合、乾燥空気はノズルに沿って流れ、また前記ノズルを乾燥させる。
【0023】
冷却装置は、混合チャンバー内に十分な冷却効果があるように設計されるべきである。例えば、冷却装置は、接触冷却システムの形態で設計することができる。しかしながら、冷却装置は、好ましくは波状又はジグザグ形状であり、混合装置のハウジング内に形成される少なくとも1つの冷却ダクトを有することが好ましい。例としては、冷却ダクトの可能な形態としてDE 10 2012 103 885 B4が参照される。一般に、冷却剤、好ましくは冷却液が冷却ダクト内を流れる。
【0024】
分離装置は、混合装置と同じ材料から、すなわち金属(例えば、アルミニウム)から形成することができる。しかしながら、より安価でより複雑でない実施形態の場合、分離装置は、好ましくは、大部分が可撓性の、好ましくは繊維強化の、プラスチック材料、又は剛性プラスチック材料からなる。そのため、分離装置のプラスチック材料は、好ましくは、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレンを含有する。一般に、断熱充填材は、エネルギー効率が高く、ドームの外側に結露が発生するリスクが少ないため、有利である。
【0025】
好ましい実施形態によれば、プラスチック供給装置は、それぞれプラスチック材料源に接続される。プラスチック出発成分は、プラスチック前駆体であっても、それ自体がすでにプラスチック材料であってもよい。ポリオール、イソシアネート、シリコーン、エポキシ樹脂、MSポリマー、接着剤成分、ブースターペーストなどが、第1のプラスチック出発成分及び/又は第2のプラスチック出発成分として好ましく使用される。
【0026】
特に発泡製品も製造される場合、好ましい実施形態によれば、第1の液体プラスチック出発成分、第2の液体プラスチック出発成分、又はプラスチック混合物にガスを供給するためのガス供給装置を提供することができ、前記ガス供給装置は、ガス源に接続されている。
【0027】
また、本発明による課題は、少なくとも部分的に混合装置を取り囲む乾燥装置を使用して混合装置を乾燥する工程であって、該乾燥装置は、分離装置、分離装置と混合装置との間に形成される乾燥チャンバー、及び乾燥チャンバーの中へ開口する乾燥剤供給装置を有する工程を提供する方法により解決される。
【0028】
工業で使用される圧縮空気は、通常、露点が5℃未満であり、これにより、通常、周囲空気よりも著しく乾燥している。ほとんどの工業生産プラントには十分な圧縮空気がある。可能な限り安価に乾燥を実行できるようにするために、システム内の適切な装置がすでに使用されるべきである。このため、乾燥装置の圧縮空気発生装置により、毎時100~500標準リットルを乾燥チャンバーに導入することが好ましい。従って、他の目的にも使用される圧縮空気発生装置を乾燥装置に使用することができる(バルブからの排気も使用できる)。圧縮空気の製造コストは比較的低いため(文献は2.5セント/m3と言及)、使用される圧縮空気のコストは、毎時1/2立方メートル未満という乾燥装置の低い空気消費量と組み合わせると実際的には重要ではない。理論的には、例えば顆粒又は小型の膜乾燥機によって、局所的に乾燥した空気も発生する可能性があり、その結果、圧縮空気ネットワークへの接続は不要になるだろう。
【0029】
要約すると、乾燥は、比較的乾燥した大気を生成するために、混合装置を囲む分離装置によって達成されると述べることができる。特に混合ヘッドは、冷却領域では一種の逆さまのドームで覆われる。前記ドームは、特にぴったりであるか、又は非常にきつくある必要はない(結露はドームによって収集されない)。乾燥した圧縮空気の非常に小さな流れ(前記空気は、例えば、ファンによって導入される高圧でない乾燥した空気でもあり得る)は、前記ドームに導入される(毎分数標準リットル)。これにより、特に露点に関して、湿った周囲空気とは大幅に異なる大気が冷却領域に作られる。特に、過剰な圧縮空気はドームの上部開口から流出する。空気の流れを最小限にすると、混合ヘッドの周囲に一種の断熱層が形成され、冷却効果がさらに高まる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる詳細及び実施形態は、図面の説明及び図面に示される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【
図2】
図2は、分離装置のない混合装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、分離装置を備えた混合装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1には、プラスチック部材2を製造するための装置1が概略断面図で示されている。具体的には、この場合の発泡プラスチック部材2は、シーリングビートである。装置1は、必須の構成要素として混合装置5を有する。混合装置5は、好ましくは金属製の、ハウジング15を有し、その中に混合チャンバー6が形成されている。冷却装置8の冷却ダクト14は、前記混合装置5のハウジング15内に形成されている。図示の実施形態では、冷却ダクト14は、縦軸(又は長軸)Xの周りにヘリックス状(らせん状)に形成されている。冷却ダクト14は、波状にすることもできる。冷却ダクト14は、冷却剤源に接続されている(図示せず)。冷却剤としては、冷却水、オイル、グリコール-水混合液、アルコール等の冷却液を使用することができる。第1のプラスチック供給装置3aのライン16は、混合チャンバー6に通じている。第1のプラスチック供給装置3aは、第1の液体プラスチック出発成分K1のための供給源17に接続されている。ガス源19からのガスGは、破線で示されるライン18を介して第1のプラスチック供給装置3aに供給することができる。しかしながら、ガスGは、混合チャンバー6に直接導入することもできる。ライン18は、ガス供給源19と共に、ガス供給装置4を形成する。第2のプラスチック供給装置3bは、第2の液体プラスチック出発成分K2のための供給源20とライン21とを有する。ライン21は、混合装置5の混合チャンバー6に通じている。混合チャンバー6において、第1の液体プラスチック出発成分K1は、第2の液体プラスチック出発成分K2と混合して、プラスチック混合物KG(ガスGも含まれる可能性がある)を形成する。混合装置5のハウジング15には、吐出ノズル7が形成されている。プラスチック部材2は、プラスチック混合物KGを吐出することにより製造される。プラスチック混合物KG(プラスチック材料とガスとの混合物の形態)が吐出ノズル7から吐出されると、ガスGが発泡し、その結果、発泡プラスチック部材2が得られる。一般に、(攪拌機を用いて)動的混合、静的混合又は高圧混合は、混合装置5を使用して行うことができる。
【0032】
導入された成分が混合されると、熱が放出される化学反応が起こる(動的混合の場合、熱のかなりの部分が攪拌エネルギーによって生成される)。混合チャンバー6内で既に過度の早すぎる反応が起こるのを防ぐために、混合チャンバー6を取り囲む冷却装置8が設けられている。冷却装置8が混合装置5(特に混合ヘッド)を周囲Uの露点温度未満の温度に冷却すると、混合装置5の表面に結露が形成される。その結果、製造されるプラスチック部材2に結露が垂れて、プラスチック部材2が損傷する。
【0033】
これを防止するために、乾燥装置9が備えられている。前記乾燥装置9は、分離装置10(これは好ましくは実質的にガス不透過性である)、乾燥剤供給装置11(乾燥剤源12を含む供給要素13の形態)、及び分離装置10と混合装置5の表面との間に乾燥チャンバーTを有する。図示の実施形態では、分離装置10は、乾燥チャンバーTを軸方向に画定するベース領域10a、及び乾燥チャンバーTを半径方向に画定する側方領域10bを有する。乾燥剤源12は、圧縮空気発生装置の形態である。圧縮空気Lは、管状供給要素13を介して前記圧縮空気発生装置によって、分離装置10に囲まれた乾燥チャンバーTに導入される。
図1の図とは対照的に、供給要素13の出口開口は、分離装置の上部開口部の領域に配置することもできる。結露の発生を防止するためには、1時間あたり100~500標準リットルの圧縮空気Lが乾燥チャンバーTに導入される。これにより、乾燥チャンバーTの露点温度は約5℃になる。導入された乾燥剤は、周囲Uに開いている反対領域10cを介して(又は他の開口を介して)徐々に逃げることができる。ベース領域10には、中央開口10dが形成されている。吐出ノズル7の先端は、前記中央開口10dを通じて軸方向に突出している。分離装置10は、剛性又は固体プラスチック材料からなり得る。あるいは、分離装置10は、比較的柔らかい材料、フィルム、金属などからなることもできる。分離装置10は、混合装置5に解放可能に接続されることが好ましい。
図1による実施形態では、分離装置10は、取り付けることによって、混合装置5に解放可能に接続され得る。この取り付けられた接続(図示せず)は、例えば、吐出ノズル7の領域に、又はノズルとは反対側を向く混合装置5の領域にも設けることができる。
【0034】
図2では、装置1が斜視図で示される。第1のプラスチック供給装置3aのライン16(供給)は左側に見られる。対応する戻りフロー24も備えている。第2のプラスチック供給装置3bのライン21(供給)は、右側の領域に示されている。対応する戻りフロー25も備えている。冷却装置8の供給ライン22(又はそのポート)は、右側の領域に示される。冷却剤は、供給ライン22(図示せず)を介して冷却ダクト14に導かれる。混合装置5のハウジング15の表面も見られる。乾燥剤供給装置11の供給要素13は示されていない。例えば、空気ダクトは、混合ヘッドを通過し、例えばその下側に出ることができ、空気ダクトは供給要素13を形成する。
【0035】
図3は、混合装置5が乾燥装置9の分離装置10によって囲まれる装置1の同じ斜視図である。分離装置10は、ドームの形態で設計されていることがわかる。前記分離装置10は、柔軟なプラスチック材料からなる。乾燥装置9の分離装置10は、例えば接続ストラップ又はスナップ要素の形態で、接続要素(図示せず)によって装置1の構成要素上に保持される。吐出ノズル7は、分離装置10のベース領域10aにおいて軸方向に突出している。この場合、管状の供給要素13は、上方から乾燥チャンバーTに通じる。
【0036】
図4は、プラスチック部材2を製造するための装置1の断面を概略的に示す。この実施形態では、混合チャンバー6及びハウジング15に加え、混合装置5は攪拌機26も有する。シール27は、攪拌器26とハウジング15との間に配置される。従って、
図4は、動的ミキサーを示す。バルブ28は、ライン16及び21のそれぞれに配置される。前記バルブ28は、プラスチック出発成分K1及びK2の供給を制御するように設計される。分離装置10は、混合装置5を取り囲む。この場合、分離装置10は、混合装置5の輪郭に従うように設計されている。これは、分離装置10と混合装置5の表面との間の距離が(示されている場合のように)実質的に一定であり得ることを意味する。しかしながら、混合装置5の不規則な表面のために、分離装置10は通常、全体にわたって均一に混合装置5の表面から離間されない。具体的には、乾燥チャンバーTを形成する隙間(ギャップ)が、分離装置10と混合装置5の表面との間に形成される。前記隙間は、0mm~100mm、好ましくは0.3mm~5mmであり得る。概略的に示された乾燥剤用の供給要素13は、乾燥チャンバーTに通じている。
本発明には、以下の好適な態様が含まれる。
[1]プラスチック部材(2)を製造するための装置(1)であって、
第1の液体プラスチック出発成分(K1)を供給するための第1のプラスチック供給装置(3a)、
第2の液体プラスチック出発成分(K2)を供給するための第2のプラスチック供給装置(3b)、
混合チャンバー(6)を有する混合装置(5)、ここで、プラスチック供給装置(3a、3b)により供給し得る液体プラスチック出発成分(K1、K2)は、混合チャンバー(6)で混合されてプラスチック混合物(KG)を形成でき、
プラスチック混合物(KG)を吐出するための吐出ノズル(7)、及び
混合装置(5)用の冷却装置(8)を含んでなり、
混合装置(5)を少なくとも領域で囲み、分離装置(10)、分離装置(10)と混合装置(5)との間に形成された乾燥チャンバー(T)、及び乾燥チャンバー(T)の中へ開口する乾燥剤供給装置(11)を含んでなる乾燥装置(9)を特徴とする、装置。
[2]乾燥剤供給装置(11)により、好ましくは連続的に、圧縮空気(L)を導入できることを特徴とする、[1]に記載の装置。
[3]乾燥剤供給装置(11)は、乾燥剤源(12)、好ましくは圧縮空気発生装置、及び好ましくは乾燥剤源(12)に接続された管状又はパイプ形状の供給要素(13)を有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の装置。
[4]供給要素(13)は、吐出ノズル(7)に向けられていることを特徴とする、[3]に記載の装置。
[5]前記乾燥剤は、好ましくは圧縮空気(L)の形態又は保護ガスの形態であり、露点が10℃未満、好ましくは5℃未満であることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載の装置。
[6]前記装置は、縦軸(X)を有することを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載の装置。
[7]分離装置(10)は、乾燥チャンバー(T)を周囲(U)から軸方向に分離するベース領域(10a)と、乾燥チャンバー(T)を周囲(U)から半径方向に分離し、ベース領域(10a)に接続された側方領域(10b)とを有することを特徴とする、[6]に記載の装置。
[8]側方領域(10b)は、好ましくは完全に、半径方向に混合装置(5)を取り囲むことを特徴とする、[7]に記載の装置。
[9]分離装置(10)は、ベース領域(10a)とは反対側を向く反対領域(10c)において周囲(U)に対して開いていることを特徴とする、[7]又は[8]に記載の装置。
[10]分離装置(10)は、好ましくはベース領域(10a)の中央に配置された開口(10d)を有し、開口(10d)を通じて吐出ノズル(7)が突出していることを特徴とする、[1]~[9]のいずれかに記載の装置。
[11]冷却装置(8)は、少なくとも1つの冷却ダクト(14)を有し、冷却ダクト(14)は好ましくは波形状であり、混合装置(5)のハウジング(15)内に形成されることを特徴とする、[1]~[10]のいずれかに記載の装置。
[12]分離装置(10)は、大部分が金属、好ましくはアルミニウム、又は可撓性の、好ましくは繊維強化の、プラスチック材料、又は剛性プラスチック材料からなることを特徴とする、[1]~[11]のいずれかに記載の装置。
[13]分離装置(10)のプラスチック材料は、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレンを含有することを特徴とする、[12]に記載の装置。
[14]第1の液体プラスチック出発成分(K1)、第2の液体プラスチック出発成分(K2)又はプラスチック混合物(KG)に、ガス(G)を供給するためのガス供給装置(4)を特徴とする、[1]~[13]のいずれかに記載の装置。
[15]装置(1)、特に[1]~[14]のいずれかに記載の装置(1)を操作するための方法であって、
第1の液体プラスチック出発成分(K1)及び第2の液体プラスチック出発成分(K2)を混合装置(5)の混合チャンバー(6)に供給する工程、
液体プラスチック出発成分(K1、K2)を混合チャンバー(6)で混合して、プラスチック混合物(KG)を形成する工程、
冷却装置(8)を使用して混合装置(5)を冷却する工程、及び
吐出ノズル(7)を通じてプラスチック混合物(KG)を吐出する工程を含んでなり、
混合装置(5)を少なくとも領域で囲み、分離装置(10)、分離装置(10)と混合装置(5)との間に形成された乾燥チャンバー(T)、及び乾燥チャンバー(T)の中へ開口する乾燥剤供給装置(11)を含んでなる乾燥装置(9)を使用して混合装置(5)を乾燥する工程を特徴とする、方法。
[16]乾燥装置(10)の圧縮空気発生装置により、100~500標準リットルが1時間(T)ごとに乾燥チャンバーに導入されることを特徴とする、[15]に記載の方法。
【符号の説明】
【0037】
1…装置、2…プラスチック部材、3a…第1のプラスチック供給装置、3b…第2のプラスチック供給装置、4…ガス供給装置、5…混合装置、6…混合チャンバー、7…吐出ノズル、8…冷却装置、9…乾燥装置、10…分離装置、10a…ベース領域、10b…側方領域、10c…反対領域、10d…開口、11…乾燥剤供給装置、12…乾燥剤源、13…供給要素、14…冷却ダクト、15…ハウジング、16…ライン、17…供給源、18…ライン、19…ガス源、20…供給源、21…ライン、24…リターンフロー第1コンポーネント、25…リターンフロー第2コンポーネント、26…撹拌器、27…シール、28…バルブ、K1…第1の液体プラスチック出発成分、K2…第2の液体プラスチック出発成分、G…ガス、KG…プラスチック混合物、T…乾燥チャンバー、L…圧縮空気、X…縦軸、U…周囲