(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】三次元メモリデバイスにおける高κ誘電体層およびこれを形成するための方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20230922BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20230922BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20230922BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20230922BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230922BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20230922BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B41/27
H10B41/50
H10B43/50
H01L29/78 371
(21)【出願番号】P 2021545757
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2019078489
(87)【国際公開番号】W WO2020186423
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リホン・シャオ
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0103999(US,A1)
【文献】特開2008-072051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0352681(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108565266(CN,A)
【文献】国際公開第2018/055692(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 41/27
H10B 43/50
H10B 41/50
H01L 21/336
H01L 29/788
H10L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
メモリスタックであって、
前記基板の上方の第1の高κ誘電体層、ならびに
前記第1の高κ誘電体層の上方の複数の交互の導体層および誘電体層
を含むメモリスタックと、
前記第1の高κ誘電体層の開口に配置された半導体プラグであって、前記半導体プラグの底面が前記基板の頂面に直接接触している半導体プラグと、
を含
み、
前記半導体プラグの上方で前記メモリスタックを通って垂直に延在する第1のチャネル構造をさらに含み、前記第1のチャネル構造は、
前記第1の高κ誘電体層の上方の前記第1のチャネル構造の側壁に沿った第1のメモリフィルムを含み、前記第1のメモリフィルムは前記半導体プラグと接触しており、
前記第1のチャネル構造の上方で前記メモリスタックを通って垂直に延在する第2のチャネル構造と、
前記第1のチャネル構造と前記第2のチャネル構造との間に配置された第2の高κ誘電体層と、
前記第2の高κ誘電体層の開口に配置されたデッキ間プラグと、
をさらに含む、三次元(3D)メモリデバイス。
【請求項2】
前記第2の高κ誘電体層の上方の前記第2のチャネル構造の側壁に沿った第2のメモリフィルムをさらに含み、前記第2のメモリフィルムは前記デッキ間プラグと接触している、請求項
1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項3】
前記第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化シリコンより高い誘電率κを有する、請求項
1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項4】
前記第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化ハフニウム、五酸化タンタル、二酸化チタン、または酸窒化シリコンの1つまたは複数を含む、請求項
3に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項5】
前記半導体プラグはポリシリコンを含む、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項6】
前記第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つは、前記基板の上方に垂直に積み重ねられた2つ以上の層を含み、前記2つ以上の層のそれぞれは高κ誘電体層である、請求項
1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項7】
前記第1の高κ誘電体層と前記基板との間に絶縁層をさらに含む、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項8】
前記第2の高κ誘電体層と下部チャネル構造との間に絶縁層をさらに含む、請求項
1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項9】
三次元(3D)メモリデバイスを形成するための方法であって、
第1の誘電体デッキを基板上に形成するステップであって、前記第1の誘電体デッキは、
前記基板の上方の第1の高κ誘電体層と、
前記第1の高κ誘電体層の上方の第1の複数の交互の犠牲層および誘電体層と、
を含む、ステップと、
前記第1の誘電体デッキを通って垂直に延在する前記第1の誘電体デッキにおける第1の開口を形成するステップと、
前記第1の開口に前記第1の開口の側壁に沿って第1のメモリフィルムおよび第1の半導体チャネルを形成するステップと、
前記第1の開口の底部で前記第1のメモリフィルムおよび前記第1の半導体チャネルに第1のホールを形成するステップであって、前記第1のホールは前記第1の高κ誘電体層を露出させる、ステップと、
前記第1のホールに露出した前記第1の高κ誘電体層の一部を除去するステップと、
前記第1のホールに第1の半導体プラグを形成するステップと、
前記第1の開口を第1の充填層で充填するステップと、
前記第1の開口の上端にチャネルプラグを形成するステップであって、前記チャネルプラグは前記第1の半導体チャネルに接触している、ステップと、
前記犠牲層を導体層と置換するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の誘電体デッキの上に第2の誘電体デッキを形成するステップであって、前記第2の誘電体デッキは、
前記基板の上方の第2の高κ誘電体層と、
前記第2の高κ誘電体層の上方の第2の複数の交互の犠牲層および誘電体層と、
を含む、ステップと、
前記第2の誘電体デッキを通って垂直に延在する前記第2の誘電体デッキにおける第2の開口を形成するステップと、
前記第2の開口に前記第2の開口の側壁に沿って第2のメモリフィルムおよび第2の半導体チャネルを形成するステップと、
前記第2の開口の底部で前記第2のメモリフィルムおよび前記第2の半導体チャネルに第2のホールを形成するステップであって、前記第2のホールは前記第2の高κ誘電体層を露出させる、ステップと、
前記第2のホールに露出した前記第2の高κ誘電体層の一部を除去するステップと、
前記第2のホールに第2の半導体プラグを形成するステップであって、前記第2の半導体プラグは前記チャネルプラグと結合してデッキ間プラグを形成する、ステップと、
前記第2の開口を第2の充填層で充填するステップと、
前記第2の開口の上端に第3の半導体プラグを形成するステップと、
犠牲層を導体層と置換するステップと、
をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化シリコンより高い誘電率κを有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の半導体プラグは前記基板の上方に形成される、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の誘電体デッキの一方または両方の頂面を平坦化するステップ
をさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つは、前記基板の上方に垂直に積み重ねられた2つ以上の層を含み、前記2つ以上の層のそれぞれは高κ誘電体層である、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
基板と、
第1の複数の交互の導体層および誘電体層ならびに第1のチャネル構造を含む、前記基板の上方の第1のメモリデッキと、
前記第1のメモリデッキの上方の高κ誘電体層と、
第2の複数の交互の導体層および誘電体層ならびに第2のチャネル構造を含む、前記高κ誘電体層の上方の第2のメモリデッキと、
前記高κ誘電体層の開口に前記第1のメモリデッキと前記第2のメモリデッキとの間に少なくとも部分的に配置された半導体プラグと、
を含み、
前記第1のチャネル構造の上端の中間チャネルプラグをさらに含み、
前記半導体プラグは前記中間チャネルプラグの上に配置されている、三次元(3D)メモリデバイス。
【請求項16】
前記第1のチャネル構造に前記第1のチャネル構造の側壁に沿って形成された第1のメモリフィルムと、
前記第2のチャネル構造に前記第2のチャネル構造の側壁に沿って形成された第2のメモリフィルムと、
をさらに含み、
前記半導体プラグは、前記第1のメモリフィルムおよび前記第2のメモリフィルムの両方と電子的に接続されている、
請求項
15に記載の3Dメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、三次元(3D)メモリデバイスおよびその製造方法に関し、特に3Dメモリデバイスにおける高κ誘電体層およびその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
平面メモリセルは、プロセス技術、回路設計、プログラミングアルゴリズム、および製造プロセスを改善することによって、より小さなサイズに縮小される。しかしながら、メモリセルのフィーチャサイズが下限に近づくと、平面プロセスおよび製造技術は困難でコストがかかるようになる。結果として、平面メモリセルについてのメモリ密度は上限に近づく。
【0003】
3Dメモリアーキテクチャは、平面メモリセルにおける密度の限界に対処することができる。3Dメモリアーキテクチャは、メモリアレイおよびメモリアレイとの間で信号を制御するための周辺デバイスを含む。これには、同じビット密度について平面メモリセルより占めるウエハ面積が少ないという利点がある。3Dメモリアーキテクチャにおけるメモリストリングは、ストリングが基板の上方に垂直に配置されているという点において平面メモリセルにおけるそれとは異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セルサイズが縮小し続けると、既存の3Dメモリ構造および製造方法のコスト、信頼性、および性能に関してさまざまな問題が発生する。したがって、これらの問題を解決するために新規な3Dメモリデバイスおよびその製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスおよびこれを形成するための方法の実施形態が本明細書に開示される。
【0006】
一例において、3Dメモリデバイスが、基板と、基板の上方の第1の高κ誘電体層ならびに第1の高κ誘電体層の上方の第1の複数の交互の導体層および誘電体層を含むメモリデッキと、基板の上方で第1の高κ誘電体層の開口に配置された半導体プラグと、を含む。
【0007】
他の一例において、3Dメモリデバイスを形成するための方法が開示される。基板の上方の第1の高κ誘電体層ならびに第1の高κ誘電体層の上方の第1の複数の交互の犠牲層および誘電体層を含む第1の誘電体デッキが、基板の上方に形成される。第1の誘電体デッキを通って垂直に延在する第1の誘電体デッキにおける第1の開口が形成される。第1の開口の底部で第1のメモリフィルムおよび第1の半導体チャネルに第1のホールが形成され、第1のホールは第1の高κ誘電体層を露出させる。第1のホールに露出した第1の高κ誘電体層の一部が除去される。第1のホールに第1の半導体プラグが形成される。第1の開口の上端にチャネルプラグが形成され、チャネルプラグは第1の半導体チャネルに接触している。犠牲層は導体層と置換される。
【0008】
さらに他の一例において、3Dメモリデバイスが、基板と、第1の複数の交互の導体層および誘電体層ならびに第1のチャネル構造を有する基板の上方の第1のメモリデッキと、第1のメモリデッキの上方の高κ誘電体層と、第2の複数の交互の導体層および誘電体層ならびに第2のチャネル構造を有する高κ誘電体層の上方の第2のメモリデッキと、高κ誘電体層の開口に第1のメモリデッキと第2のメモリデッキとの間に少なくとも部分的に配置された半導体プラグと、を含む。
【0009】
本明細書に組み込まれて明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明し、当業者が本開示を作製および使用することを可能にするのにさらに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】既存の3Dメモリデバイスの断面図である。
【
図1B】
図1Aにおけるデッキ間プラグの周りの領域の拡大断面図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する例示的な3Dメモリデバイスの断面図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3E】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3F】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3G】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図3H】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0012】
具体的な構成および配置を議論しているが、これは説明のみを目的として行われていることが理解されるべきである。当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成および配置を用いることができるということを認識するであろう。本開示がさまざまな他の用途にも使用することができるということが当業者に明らかであろう。
【0013】
明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「一例の実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らないことを示すということが留意される。また、このような句は必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性が一実施形態に関連して説明されるとき、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してこのような特徴、構造、または特性を達成することは、当業者の知識の範囲内であろう。
【0014】
一般に、文脈における使用法から少なくとも部分的に用語を理解することができる。たとえば、本明細書で用いられるような「1つまたは複数」という用語は、少なくとも部分的に文脈に応じて、任意の特徴、構造、または特性を単数の意味において説明するために用いることができ、または特徴、構造または特性の組み合わせを複数の意味において説明するために用いることができる。同様に、「a」、「an」、または「the」のような用語も、少なくとも部分的に文脈に応じて、単数の使用法を伝える、または複数の使用法を伝えるように理解することができる。加えて、「に基づく」という用語は、必ずしも排他的な一組の要素を伝えるようには意図されないと理解することができ、代わりに、ここでも少なくとも部分的に文脈に応じて、必ずしも明示的に説明されていない追加の要素の存在を可能にし得る。
【0015】
本開示における「上」、「より上」、および「上方」の意味は、「上」が何かの「直接上」を意味するだけでなく、中間の特徴またはその間の層とともに何かの「上」の意味も含むように、最も広い方法で解釈されるべきであり、「より上」または「上方」は、何かの「より上」または「上方」の意味を意味するだけでなく、これが中間の特徴またはその間の層なしで「より上」または「上方」(すなわち、何かの直接上)にあるという意味も含むことができるということが、容易に理解されるべきである。
【0016】
さらに、「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などのような、空間的に相対的な用語を、説明を容易にするために本明細書で用いて、図に示すような1つの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明することができる。空間的に相対的な用語は、図に描く向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる向きを包含するように意図されている。他の方法で装置を配向(90度または他の向きに回転)することができ、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述語は同様にこれに応じて解釈することができる。
【0017】
本明細書で用いられるとき、「基板」という用語は、後続の材料層が追加される材料を指す。基板自体をパターニングすることができる。基板の上に追加された材料は、パターニングすることも、パターニングしないでおくこともできる。さらに、基板は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、リン化インジウムなどのような、幅広い半導体材料を含むことができる。あるいは、基板は、ガラス、プラスチック、またはサファイアウエハのような、非導電性材料から作製することができる。
【0018】
本明細書で用いられるとき、「層」という用語は、厚さのある領域を含む材料部分を指す。層は、下にあるまたは上にある構造の全体にかけて延在することができ、または下にあるまたは上にある構造の範囲より少ない範囲を有することができる。さらに、層は、均質または不均質の連続構造の、その連続構造の厚さより少ない厚さを有する領域であり得る。たとえば、層は、連続構造の頂面と底面との間、またはそこにある水平面の任意の対の間に配置することができる。層は、水平に、垂直に、および/または漸減表面に沿って延在することができる。基板は層であり得、その中に1つまたは複数の層を含むことができ、および/またはその上、その上方、および/またはその下方に1つまたは複数の層を有することができる。1つの層が複数の層を含むことができる。たとえば、相互接続層は、1つまたは複数の導体および接触層(相互接続線および/またはビア接点が形成される)および1つまたは複数の誘電体層を含むことができる。
【0019】
本明細書で用いられるとき、「名目/名目上」という用語は、製品またはプロセスの設計段階中に設定される、部品またはプロセス動作についての特性またはパラメータの所望の、または目標の値を、その所望の値の上方および/または下方の値の範囲とともに指す。値の範囲は、製造プロセスまたは公差におけるわずかな変化のためであり得る。本明細書で用いられるとき、「約」という用語は、対象の半導体デバイスに関連する特定の技術ノードに基づいて変化し得る所与の量の値を示す。その特定の技術ノードに基づいて、「約」という用語は、たとえば、値の10~30%以内(たとえば、値の±10%、±20%、または±30%)で変化する所与の量の値を示すことができる。
【0020】
本明細書で用いられるとき、「3Dメモリデバイス」という用語は、横に配向された基板上に、メモリセルトランジスタの垂直に配向されたストリング(本明細書では、NANDメモリストリングのような「メモリストリング」と呼ぶ)を備えて、メモリストリングが基板に対して垂直方向に延在する半導体デバイスを指す。本明細書で用いられるとき、「垂直の/垂直に」という用語は、基板の横表面に名目上垂直であることを意味する。
【0021】
96以上のレベルを有するような、高度な技術を備えた3D NANDメモリデバイスを製造する際、二重デッキアーキテクチャが通常用いられ、これは、デッキ間プラグ構造によって電気的に接続することができる2つのスタックチャネル構造を含む。しかしながら、デッキ間プラグの既知の構造は、厚さおよび均一性の制御に関して重大な問題が生じる。
【0022】
図1Aは、二重デッキメモリスタック104(下部メモリデッキ104Aおよび上部メモリデッキ104Bを含む)を通って垂直に延在する2つの隣接する3Dメモリストリングを有する既存の3Dメモリデバイス100の断面図を示す。下部および上部メモリデッキ104Aおよび104Bのそれぞれは、それぞれが基板102の上方に形成された導体層106および誘電体層108を含む複数の対を含む。半導体プラグ116が基板102に部分的に埋め込まれている。半導体プラグ116および基板102は同じ単結晶シリコン材料を用いるため、これは基板102から上向きに選択的エピタキシャル成長(SEG)プロセスによって形成される。半導体プラグ116は、下部半導体チャネル112に電気的に接続している。シリコンベースのデッキ間プラグ110が、下部メモリデッキ104Aと上部メモリデッキ104Bとの間の接合酸化物層113に設けられている。デッキ間プラグ110は、下部半導体チャネル112を上部半導体チャネル114と、両チャネルとの接触を通して電気的に接続する。
【0023】
図1Bは、
図1Aにおけるデッキ間プラグの周りの領域120の拡大断面図を示す。
図1Bから分かるように、デッキ間プラグ110の右部分130は、デッキ間プラグ110の反対側端部の左部分より狭い突起を有する。これは、エッチング前の意図された領域からのフォトレジスト層のずれ、または上部チャネルのエッチング中のデッキ間プラグへの損傷のような、既存の技術における非効果的なエッチング停止制御によって引き起こされ得る。下部半導体チャネル112と上部半導体チャネル114との間のデッキ間プラグ110を通過する電子は、この通常より狭い部分130において漏れやすい。半導体デバイスにおける漏れは、電荷キャリアが絶縁領域を通り抜け、これによって電力消費の増加または完全な回路障害さえ引き起こす量子現象を指す。他方、デッキ間プラグ110の左部分を通過する電子は、2つの半導体チャネル間を流れる電流の量を減少させるより長い経路を取り、したがって3Dメモリデバイス100の性能を妨げる電流降下を引き起こす。
【0024】
さらに、デッキ間プラグ110が設けられた接合酸化物層113にはエッチング停止能力がないので、デッキ間プラグ110を通したエッチングを回避するため、後続のメモリデバイス100の製造中にデッキ間プラグ110の形成後のエッチングの制御が要求される。このエッチング制御プロセスは「ガウジング」としても知られている。
【0025】
本開示によるさまざまな実施形態が、3Dメモリデバイスにおけるエッチング停止層として高κ誘電体層を用いる新規で有利な構造およびこれを製造するための方法を提供する。この構造および製造方法は、半導体プラグおよびデッキ間プラグでの電子の漏れを減少させ、基板とメモリストリングの下部デッキとの間およびメモリストリングの上部および下部デッキ間の電気的接続を改善し、チャネルのエッチング中のプラグへの損傷を低減し、プラグ形成に関するガウジングおよびSEGプロセスを取り除くことによってコストを節約することができる。
【0026】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な3Dメモリデバイス200の断面図を示す。
図2における3Dメモリデバイス200は基板202を含むことができ、これは、シリコン(たとえば、単結晶シリコン)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンオンインシュレータ(SOI)、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)、または任意の他の適切な材料を含むことができる。3Dメモリデバイス200における構成要素の空間的関係をさらに説明するためにx軸およびy軸が
図2に含まれることが留意される。3Dメモリデバイス200の基板202は、x方向(すなわち、横方向)に横に延在する2つの横表面(たとえば、頂面および底面)を含む。本明細書で用いられるとき、1つの構成要素(たとえば、層またはデバイス)が3Dメモリデバイス(たとえば、3Dメモリデバイス200)の他の構成要素(たとえば、層またはデバイス)の「上」、「上方」、または「下方」にあるかどうかは、3Dメモリデバイスの基板(たとえば、基板202)が3Dメモリデバイスのy方向(すなわち、垂直方向)における最も低い平面に配置されているときのy方向における基板に対して決定される。空間的関係を説明するための同じ概念が本開示全体に適用される。
【0027】
3Dメモリデバイス200は、モノリシック3Dメモリデバイスの一部とすることができる。「モノリシック」という用語は、3Dメモリデバイスの構成要素(たとえば、周辺デバイスおよびメモリアレイデバイス)が単一の基板上に形成されていることを意味する。モノリシック3Dメモリデバイスでは、周辺デバイス処理およびメモリアレイデバイス処理の畳み込みにより、製造に追加の制限がある。たとえば、メモリアレイデバイス(たとえば、NANDメモリストリング)の製造は、同じ基板上に形成された、または形成されるべき周辺デバイスに関連する熱履歴によって制約される。
【0028】
あるいは、3Dメモリデバイス200は、非モノリシック3Dメモリデバイスの一部とすることができ、構成要素(たとえば、周辺デバイスおよびメモリアレイデバイス)は、異なる基板上に別々に形成され、次いで、たとえば、対面方式で接合され得る。いくつかの実施形態において、メモリアレイデバイス基板(たとえば、基板202)は、接合された非モノリシック3Dメモリデバイスの基板として残り、周辺デバイス(たとえば、ページバッファ、デコーダ、およびラッチのような、3Dメモリデバイス200の動作を促進するために用いられる任意の適切なデジタル、アナログ、および/または混合信号周辺回路を含む、図示せず)は、ハイブリッド接合のために裏返され、メモリアレイデバイス(たとえば、NANDメモリストリング)に向かって下向きになる。いくつかの実施形態において、メモリアレイデバイス基板(たとえば、基板202)は、ハイブリッド接合のために裏返され、周辺デバイス(図示せず)に向かって下向きになり、接合された非モノリシック3Dメモリデバイスにおいて、メモリアレイデバイスが周辺デバイスの上方にくるようになることが理解される。メモリアレイデバイス基板(たとえば、基板202)は、薄型基板(これは接合された非モノリシック3Dメモリデバイスの基板ではない)とすることができ、非モノリシック3Dメモリデバイスのバックエンドオブライン(BEOL)相互接続は、薄型メモリアレイデバイス基板の裏側に形成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、
図2に示すように、3Dメモリデバイス200は、二重デッキメモリスタック204を通って基板202の上方に垂直に延在するNANDメモリストリングのアレイの形態で提供されたメモリセルを有するNANDフラッシュメモリデバイスである。
図2に示すように、メモリストリングは、下部チャネル構造212および上部チャネル構造214を含むことができる。下部および上部チャネル構造212および214のそれぞれは、円筒形状(たとえば、柱形状)を有することができる。メモリスタック204は、下部メモリデッキ204Aおよび上部メモリデッキ204Bを含む。下部チャネル構造212は、下部メモリデッキ204Aに配置され、これを通って垂直に延在する一方、上部チャネル構造214は、上部メモリデッキ204Bに配置され、これを通って垂直に延在する。下部および上部チャネル構造212および214のそれぞれは、それぞれが導体層206および誘電体層208を含む複数の対(本明細書では「導体/誘電体層対」と呼ぶ)を通って延在することができる。メモリスタック204における導体/誘電体層対の数(たとえば、32、64、96、または128)により、3Dメモリデバイス200におけるメモリセルの数が決まる。メモリスタック204は、複数の交互の導体層206および誘電体層208を含むことができる。メモリスタック204における導体層206および誘電体層208は、垂直方向に交互にすることができる。導体層206は、タングステン(W)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ポリシリコン、ドープシリコン、ケイ化物、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、導電性材料を含むことができる。誘電体層208は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、誘電体材料を含むことができる。下部および上部メモリデッキ204Aおよび204Bのそれぞれにおける導体/誘電体層対の数は、同じでも異なってもよい。
【0030】
図2に示すように、3Dメモリデバイス200はまた、下部チャネル構造212の下端に半導体プラグ216、および上部チャネル構造214の上端にチャネルプラグ218を含むことができる。本明細書で用いられるとき、構成要素の「上端」は、基板202が3Dメモリデバイス200の最も低い平面に配置されたとき、基板202からy方向に遠い方の端であり、構成要素の「下端」は、基板202にy方向に近い方の端である。
【0031】
いくつかの実施形態において、下部チャネル構造212と上部チャネル構造214との間の接続として、下部チャネル構造212はその上部にデッキ間プラグ210を含む。下部チャネル構造212は、その側壁に沿って下部メモリフィルム226および下部半導体チャネル227をさらに含む。同様に、上部チャネル構造214は、その側壁に沿って上部メモリフィルム228および上部半導体チャネル229を含む。メモリフィルム226および228のそれぞれは、トンネリング層、貯蔵層(「電荷蓄積層」としても知られる)、およびブロッキング層(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、半導体チャネル227およびメモリフィルム226は、柱の中心から外面に向かってこの順序で径方向に配置することができる。同じ配置が、上部半導体チャネル229および上部メモリフィルム228にも当てはまり得る。
【0032】
いくつかの実施形態と一致して、下部チャネル構造212および上部チャネル構造214はそれぞれ、その対向面でデッキ間プラグ210と接触することができ、したがって、デッキ間プラグ210によって電気的に接続することができる。下部チャネル構造212および上部チャネル構造214は、それぞれ、半導体プラグ216およびチャネルプラグ218に電気的に接続することができる。
【0033】
本開示によれば、メモリスタック204の下部メモリデッキ204Aは、基板202の上方に形成された高κ誘電体層232をさらに含むことができる。高κは、高誘電率κを備えた材料を指す。半導体業界において、高κは通常、材料の誘電率κが、3.9である二酸化シリコンのそれより高いという意味を有する。本開示による実施形態において高κ誘電体層232として用いることができる高κ材料の例は、二酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化チタン(TiO2)、酸窒化シリコン(SiOxNy)、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。従来の二酸化シリコンと比較して、高κ材料を用いて基板の上方により薄い層を提供しながら、優れたゲート容量および漏れ効果の減少を達成することができる。いくつかの実施形態において、本開示による高κ誘電体層の厚さは、約5nmから約50nmの間(たとえば、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、これらの値のいずれかによって下端に接している任意の範囲、またはこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内)とすることができる。これは、通常100nmと150nmとの間の厚さを有するシリコン酸化物層を用いるより大幅に薄くなる。
【0034】
本開示による高κ誘電体層232は、基板202の頂面全体を横に覆うことができる。あるいは、これは基板202の頂面の一部のみを横に覆うこともできる(たとえば、下部メモリデッキ204Aが基板202の上方に延在する領域およびその周囲で)。
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示による高κ誘電体層232の材料は必ずしも層全体にわたって均質である必要はない。漏れを低減して電気的接続を改善するという同じ目的を達成しながら、材料はさまざまな領域で異なり得る。他の実施形態において、高κ誘電体層232を集合的に形成するため、1より多くの高κ誘電体層を基板202の上方に垂直に積み重ねることができる。1より多くの高κ誘電体層が積み重ねられるとき、このような組み合わされた高κ誘電体層232の厚さは、約30nmと約100nmとの間(たとえば、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、これらの値のいずれかによって下端に接している任意の範囲、またはこれらの値のいずれか2つによって定義された任意の範囲内)とすることができる。
【0036】
本開示による実施形態と一致して、高κ誘電体層は、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層堆積(ALD)、熱酸化、電気めっき、無電解めっき、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の薄膜堆積プロセスによって形成することができる。いくつかの実施形態において、好ましくは、膜がその表面をガス種(典型的にはプリカーサと呼ばれる)に交互に曝露することによって基板上に成長するALDを用いることができる。ALDプロセスには、基板の表面にわたって高い均一性および精度で高κ誘電体層を形成するという利点がある。
【0037】
図2に示すように、複数の交互の導体層206および誘電体層208を、メモリスタック204の下部メモリデッキ204Aにおいて高κ誘電体層232の上方に配置することができる。これらの導体/誘電体層対は、それぞれ導体層206および誘電体層208を作製する異なる材料を交互に堆積させることによって形成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、メモリスタック204の形成前にシリコン基板上に、シリコン酸化物のような誘電体材料を堆積させることによって、または熱酸化によって、基板202と高κ誘電体層232との間に絶縁層(
図2には示さず)を任意選択で形成することができる。この任意選択の絶縁層は、トランジスタのゲートと基板202との間の漏れをさらに防止することができる。
【0039】
図2に示すように、本開示による実施形態は、下部チャネル構造212の下端にある半導体プラグ216をさらに開示している。いくつかの実施形態において、半導体プラグ216は、高κ誘電体層232の開口に配置されているポリシリコンを含むことができるということが理解される。半導体プラグ216は、CVD、PVD、ALD、熱酸化、電気めっき、無電解めっき、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、シリコン基板202の上の1つまたは複数の薄膜堆積プロセスによって形成することができる。したがって、結果の半導体プラグ216は、材料および場所の両方の点において従来の半導体プラグ116とは違う。より具体的には、半導体プラグ216は、SEGプロセスを用いずに形成され、そのため基板202および従来の半導体プラグ116に見られる単結晶シリコンとは対照的にポリシリコンを含む。さらに、半導体プラグ216は、SEGプロセスのために基板202に部分的に埋め込まれている従来の半導体プラグ216とは対照的に、基板202の上方に配置される。
【0040】
半導体プラグ216は、下部チャネル構造212のソース選択ゲージによって制御されるチャネルとして機能することができる。開口をエッチングすることができる限り、フッ化水素(HF)酸または他の適切な液相エッチャントのような液相エッチャントを使用するウエットエッチング製造プロセスを用いて高κ誘電体層232をエッチングすることによって開口を作成することができる。エッチングされていない高κ誘電体層232の部分は、
図2に示すように、3Dメモリデバイス200に残ることができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、半導体プラグ216は、下部メモリフィルム226と接触して、半導体プラグ216を下部チャネル構造212と電気的に接続することができる。接触領域は、半導体プラグ216の上面全体でも、半導体プラグ216の上面の一部のみでもよい。
【0042】
多重デッキ3Dメモリデバイスが用いられる実施形態において、1つまたは複数の高κ誘電体層を2つのデッキ間に設けることができる。
図2を一例として用いると、3Dメモリデバイス200は、下部メモリデッキ204Aおよび上部メモリデッキ204Bを含む二重デッキ構造を有する。下部メモリデッキ204Aが製造された後、原子層堆積(ALD)のような、高κ誘電体層232の形成と同じ製造プロセスを用いて、高κ誘電体層234を下部メモリデッキ204Aの上方に形成することができる。複数の交互の導体層206および誘電体層208を、メモリスタック204の上部メモリデッキ204Bにおいて高κ誘電体層234の上方に配置することができる。これらの導体/誘電体層対は、それぞれ導体層206および誘電体層208を作製する異なる材料を交互に堆積させることによって形成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層232における開口と同様に、たとえば、ウエットエッチングプロセスによって高κ誘電体層234に開口を作成することができ、下部メモリフィルム226と上部メモリフィルム228との間の接触を可能にするデッキ間プラグ210を形成することができるようになる。従来の接合酸化物層の代わりに高κ誘電体層232が用いられるため、後続の製造プロセスによるデッキ間プラグ210を通したエッチングのリスクが大幅に低減され、したがって、本開示によれば、「ガウジング」プロセスはもはや必要でなくなり得る。
【0044】
高κ誘電体層234は、高κ誘電体層232と同じ材料を含むことができる。あるいは、高κ誘電体層234の一部または全部が、高κ誘電体層232とは異なる材料を含むことができる。これらの材料は、HfO2、Ta2O5、TiO2、SiOxNy、またはこれらの任意の組み合わせの1つまたは複数とすることができる。
【0045】
高κ誘電体層232と同様に、高κ誘電体層234は、約5nmと約50nmとの間(たとえば、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、これらの値のいずれかによって下端に接している任意の範囲、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内)の厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、高κ誘電体層234は、下部メモリデッキ204Aの上面全体を横に覆うことができる。あるいは、これは下部メモリデッキ204Aの上面の一部のみを横に覆うこともできる(たとえば、上部メモリデッキ204Bが下部メモリデッキ204Aの上方に延在する領域およびその周囲で)。
【0046】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層234の材料は必ずしも層全体にわたって均質である必要はない。漏れを低減して電気的接続を改善するという同じ目的を達成しながら、材料はさまざまな領域で異なり得る。他の実施形態において、高κ誘電体層234を集合的に形成するため、1より多くの高κ誘電体層を下部メモリデッキ204Aの上方に垂直に積み重ねることができる。1より多くの高κ誘電体層が積み重ねられるとき、このような組み合わされた高κ誘電体層234の厚さは、約30nmと約100nmとの間(たとえば、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、これらの値のいずれかによって下端に接している任意の範囲、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内)とすることができる。さらなる実施形態において、上部メモリデッキ204Bの形成前にシリコン基板上に、シリコン酸化物のような誘電体材料を堆積させることによって、または熱酸化によって、下部メモリデッキ204Aと高κ誘電体層232との間に絶縁層(
図2には示さず)を任意選択で形成することができる。この任意選択の絶縁層は、トランジスタのゲートとデッキ間プラグ210との間の漏れをさらに防止することができる。
【0047】
本開示による実施形態は、3Dメモリデバイスに1つまたは複数の高κ誘電体層を提供し、これは、メモリデバイスの製造プロセス中にエッチング停止層として機能することができる。これにより、従来のシリコン酸化物層と比較して、膜厚を減少させ、全体的な均一性を向上させることができ、したがって半導体プラグおよびデッキ間プラグでの電子の漏れが減少し、基板とメモリストリングの下部デッキとの間およびメモリストリングの上部および下部デッキ間の電気的接続が改善されるという有益な結果が得られる。これにより、プラグ形成に関するガウジングおよびSEGプロセスを取り除くことによって、チャネルのエッチング中のプラグへの損傷をさらに低減し、コストを節約することができる。
【0048】
図3A~
図3Hは、本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な製造プロセスを示す。
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の高κ誘電体層を有する3Dメモリデバイスを形成するための例示的な方法400のフローチャートを示す。
図3A~
図3Hおよび
図4に描く3Dメモリデバイスの例は、
図2に描く3Dメモリデバイス200を含む。
図3A~
図3Hおよび
図4を一緒に説明する。方法400に示す動作は網羅的ではなく、他の動作が、図示する動作のいずれかの前、後、または間にも実行され得るということが理解される。さらに、動作のいくつかは、同時に、または
図4に示すものとは異なる順序で実行することができる。
【0049】
図4を参照すると、方法400は動作402で開始し、誘電体デッキが基板上に形成される。基板はシリコン基板とすることができる。誘電体デッキは、高κ誘電体層ならびに複数の交互の犠牲層および誘電体層を含むことができる。
図3Aを参照すると、高κ誘電体層332と、誘電体層306および誘電体層(「犠牲層」として知られる)308(まとめて本明細書では「誘電体層対」と呼ぶ)の複数の対と、を含む下部誘電体デッキ304Aが、シリコン基板302上に形成される。いくつかの実施形態において、下部誘電体デッキ304Aの形成前にシリコン基板302上に、シリコン酸化物のような誘電体材料を堆積させることによって、または熱酸化によって、下部誘電体デッキ304Aとシリコン基板302との間に絶縁層303を任意選択で形成することができる。
【0050】
本開示による実施形態と一致して、高κ誘電体層332は、CVD、PVD、ALD、熱酸化、電気めっき、無電解めっき、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、シリコン基板302の上(または存在すれば絶縁層303の上)の1つまたは複数の薄膜堆積プロセスによって形成することができる。好ましくは、ALDを用いて、シリコン基板302の(または存在すれば絶縁層303の)表面を交互にガス種(通常プレカーサと呼ばれる)に曝露して、高κ誘電体材料の薄膜をシリコン基板302上(または存在すれば絶縁層303上)に成長させることができるようにする。本開示による実施形態において高κ誘電体層332として用いることができる高κ材料の例は、HfO2、Ta2O5、TiO2、SiOxNy、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。高κ誘電体層332の厚さは、約5nmから約50nmの間(たとえば、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、これらの値のいずれかによって下端に接している任意の範囲、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲内)とすることができる。
【0051】
本開示による高κ誘電体層332は、シリコン基板302の上面全体を横に覆うように形成することができる。あるいは、これはシリコン基板302の上面の一部のみを横に覆うように形成することもできる(たとえば、下部誘電体デッキ304Aがシリコン基板302の上方に延在する領域およびその周囲で)。
【0052】
いくつかの実施形態において、本開示による高κ誘電体層332の材料は必ずしも層全体にわたって均質である必要はない。漏れを低減して電気的接続を改善するという同じ目的を達成しながら、材料はさまざまな領域で異なり得る。他の実施形態において、高κ誘電体層332を集合的に形成するため、1より多くの高κ誘電体層をシリコン基板302の上方に垂直に積み重ねることができる。1より多くの高κ誘電体層が積み重ねられるとき、このような組み合わされた高κ誘電体層332の厚さは、約30nmと約100nmとの間(たとえば、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、これらの値のいずれかによって下端に接している任意の範囲、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内)とすることができる。
【0053】
本開示によれば、下部誘電体デッキ304Aは、いくつかの実施形態によれば、交互の犠牲層308および誘電体層306を含む。誘電体層306および犠牲層308はあるいは、高κ誘電体層332上に堆積して下部誘電体デッキ304Aを形成することができる。いくつかの実施形態において、各誘電体層306はシリコン酸化物の層を含み、各犠牲層308はシリコン窒化物の層を含む。下部誘電体デッキ304Aは、CVD、PVD、ALD、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の薄膜堆積プロセスによって形成することができる。
【0054】
図4に示すように、方法400は動作404に進み、誘電体デッキを通って高κ誘電体層まで垂直に延在する開口が形成される。
図3Bに示すように、3Dメモリデバイスの製造中にエッチング停止層として機能することができる高κ誘電体層332に到達するまで、下部誘電体デッキ304Aを通って垂直に延在する開口352が形成される。いくつかの実施形態において、複数の開口が下部誘電体デッキ304Aを通して形成され、各開口が、後のプロセスにおいて個々のNANDメモリストリングを成長させるための場所になるようになっている。
図3Bに示すように、このような開口の2つが形成される。いくつかの実施形態において、開口352を形成するための製造プロセスは、深掘りイオン反応性エッチング(DRIE)のような、ウエットエッチングおよび/またはドライエッチングを含むことができる。
【0055】
図4に示すように、方法400は動作406に進み、メモリフィルムおよび半導体チャネルが形成される。
図3Cに示すように、メモリフィルム326(ブロッキング層、貯蔵層、およびトンネリング層(図示せず)を含む)および半導体チャネル327が、開口352にその側壁に沿って形成される。いくつかの実施形態において、メモリフィルム326をまず開口352の側壁に沿ってそして高κ誘電体層332上に堆積させることができ、半導体チャネル327を次いでメモリフィルム326の上に堆積させることができる。ブロッキング層、貯蔵層、およびトンネリング層を続いて、ALD、CVD、PVD、任意の他の適切なプロセス、またはこれらの任意の組み合わせのような、1つまたは複数の薄膜堆積プロセスを用いてこの順序で堆積させて、メモリフィルム326を形成することができる。次いで、ALD、CVD、PVD、任意の他の適切なプロセス、またはこれらの任意の組み合わせのような、1つまたは複数の薄膜堆積プロセスを用いてポリシリコンまたは任意の他の適切な材料をトンネリング層上に堆積させることによって、半導体チャネル327を形成することができる。
図3Cに示すように、メモリフィルム326および半導体チャネル327は、開口352の底面(高κ誘電体層332の上)および側壁の両方を覆うことができる。いくつかの実施形態において、シリコン酸化物層、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、およびポリシリコン層(「ONOP」構造)を順次堆積させて、メモリフィルム326(ブロック層、貯蔵層、およびトンネリング層として)および半導体チャネル327を形成することができる。
【0056】
図4に示すように、方法400は動作408に進み、メモリフィルムおよび半導体チャネルが形成される。
図3Dに示すように、開口352の底部でメモリフィルム326および半導体チャネル327にホール354が形成される。いくつかの実施形態において、ホール354は、「PONO」パンチとして知られている製造プロセスを通して作成することができる。「PONO」パンチを用いて、ポリシリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物、およびシリコン酸化物の順序で材料が積み重ねられた層の構造を通してエッチングすることができ、これは、半導体チャネル327からメモリフィルム326のブロッキング層、貯蔵層、およびトンネリング層までの材料と同じ順序である。「PONO」パンチは高κ誘電体層332で停止し、これはエッチング停止層として機能することができる。いくつかの実施形態において、
図3Dに示すように、メモリフィルム326および半導体チャネル327のL形状突起356および358が、エッチング後、開口352の左および右底部の一方または両方に残ることがある。突起356および358は、次のステップにおいてさらに除去することができる。
【0057】
図4に示すように、方法400は動作410に進み、ウエットエッチングを適用して、開口に露出した高κ誘電体層の一部を除去することができる。
図3Eに示すように、ウエットエッチングプロセスを用いて、開口352に露出している高κ誘電体層332の一部を除去することができる。ウエットエッチングは、HF酸または他の適切な液相エッチャントのような液相エッチャントを使用する。ウエットエッチングプロセスの具体的な一例として、下部誘電体スタック304Aおよびシリコン基板302を含むウエハをエッチャント浴に浸漬し、これにより次にエッチャントに曝露された高κ誘電体層332の部分を除去する。いくつかの実施形態において、ウエットエッチングはまた、突起356および358が前のステップから残っていればこれらを除去し、これによって、
図3Eに示すように、ホール354を拡大することができる。他の実施形態において、ウエットエッチングは、高κ誘電体層332の除去された部分に当接する絶縁層303(存在すれば)の一部をさらに除去することができる。さらなる実施形態において、下部誘電体デッキ304Aを通るウエットエッチングプロセスはシリコン基板302の頂面で停止することなくシリコン基板302の一部をエッチングし続けることができるため、ホール354は、シリコン基板302の頂部にさらに延在することができる。あるいは、別のエッチングプロセスを用いて、下部誘電体デッキ304Aを通るエッチング後にシリコン基板302の一部をエッチングすることができる。
【0058】
図4に示すように、方法400は動作412に進み、ホールをポリシリコンで少なくとも部分的に充填することによって半導体プラグが形成される。
図3Fに示すように、PVD、CVD、電気めっき、無電解めっき、またはこれらの任意の組み合わせのような、1つまたは複数の薄膜堆積プロセスを用いてホール354を充填するためにポリシリコンが用いられ、したがって半導体プラグ316を形成することができる。堆積プロセスを通して形成される半導体プラグ316は、ガウジングおよびSEGプロセスによって形成されるプラグと比較して均一性およびゲートから基板への漏れに関してより良好な結果を達成することができる。半導体プラグ316は、半導体チャネル327と接触することができる。
【0059】
図4に示すように、方法400は動作414に進み、開口は充填層で充填され、開口の上端に中間チャネルプラグが形成される。
図3Gに示すように、半導体プラグ316の形成後、開口352の残りの未充填空間を、シリコン酸化物のような誘電体材料を含む充填層で部分的または完全に充填することができる。開口352は円筒形状(たとえば、柱形状)を有することができる。いくつかの実施形態によれば、開口352、半導体チャネル327、およびメモリフィルム326は、柱の中心から外面に向かってこの順序で径方向に配置することができる。
【0060】
本開示によるいくつかの実施形態において、下部誘電体デッキ304Aの表面の上に接合酸化物層313を形成することができる。これは、開口352の充填層と同時に形成されても、あるいは充填層の形成に続いて別々に形成されてもよい。
図3Gに示すように、接合酸化物層313が部分的に除去された場所に中間チャネルプラグ311を形成することができるように、開口352に当接する接合酸化物層313の一部を除去することができるということが理解される。除去は、たとえば、ウエットエッチングおよび/またはドライエッチングによって実行することができる。
【0061】
いくつかの実施形態と一致して、中間チャネルプラグ311は、たとえば、接合酸化物層313の除去後に作成されたホールにポリシリコンを堆積させることによって形成することができる。中間チャネルプラグ311と半導体プラグ316との間を電子が流れるための経路を作成することができるように、中間チャネルプラグ311は半導体チャネル327と接触している。続いて、下部誘電体デッキ304Aの頂面は、化学機械研磨(CMP)、ウエットエッチング、および/またはドライエッチングによって平坦化することができ、中間チャネルプラグ311の頂面が下部誘電体デッキ304Aの頂面と同一平面になるようにする。
【0062】
図4に示すように、方法400は動作416に進み、動作402から414が繰り返されて第2の誘電体デッキを製造し、これは、第1の誘電体デッキの中間チャネルプラグに結合してデッキ間プラグを形成する下部チャネルプラグを含む。
図3Hに示すように、上で議論した動作402から414を繰り返すことによって上部誘電体デッキ304Bを形成することができる。簡潔にするため、下部誘電体デッキ304Aと上部誘電体デッキ304Bとを形成することの間の違いのみをここで詳述する。
【0063】
上部誘電体デッキ304Bには基板が必要とされないため、下部誘電体デッキ304Aの上に間に基板なしで第2の高κ誘電体層334を形成することができる。第2の高κ誘電体層334の一部が除去された後、上部誘電体デッキ304Bの底部で半導体プラグを中間チャネルプラグ311の上に形成することができる。中間チャネルプラグ311および半導体プラグは両方ともその材料としてポリシリコンを含むため、
図3Hに示すように、2つのプラグは結合されてデッキ間プラグ310を形成することができる。下部誘電体デッキ304Aから第1のメモリデッキを形成するのと同様に、上部誘電体デッキ304Bにおける犠牲層308を導体層と置換することによって第2のメモリデッキを形成することができる。したがって、エッチング停止層として高κ誘電体層を用いる二重デッキメモリスタックを、上の動作で得ることができる。
【0064】
図3Hにおいて、
図2におけるものに対応する数字によって示されるさまざまな部品および構成要素で3Dメモリデバイス300が示されている。たとえば、3Dメモリデバイス300は、基板302、下部メモリデッキ304Aおよび上部メモリデッキ304Bを有するメモリスタック304、第1の高κ誘電体層332、第2の高κ誘電体層334、複数の交互の導体層306および誘電体層308、半導体プラグ316、デッキ間プラグ310、チャネルプラグ318、下部チャネル構造312、上部チャネル構造314、下部メモリフィルム326、上部メモリフィルム328、下部半導体チャネル327、および上部半導体チャネル329の1つまたは複数を含むことができる。
【0065】
図示していないが、
図3A~
図3Hに示すような下部および上部誘電体デッキ304Aおよび304Bの形成後、下部および上部誘電体デッキ304Aおよび304Bにおける犠牲層308を導体層と置換することによってメモリデッキを形成することができるということが理解される。メモリデッキはしたがって複数の導体/誘電体層対を含むことができる。いくつかの実施形態において、メモリデッキを形成するため、スリット開口(たとえば、ゲートラインスリット)を下部および上部誘電体デッキ304Aおよび304Bを通して形成することができ、スリット開口を通してエッチャントを塗布して複数の横方向のくぼみを形成することによって、下部および上部誘電体デッキ304Aおよび304Bにおける犠牲層308をエッチングすることができ、導体層を横方向のくぼみに堆積させることができる。単一デッキメモリスタックが設けられているいくつかの他の実施形態において、メモリスタックに誘電体デッキを形成した後に犠牲層の導体層との同じ置換を単一デッキメモリスタックに適用することもできるということがさらに理解される。同様に、3つ以上の誘電体デッキを備えたメモリスタックでは、すべての誘電体デッキが形成された後に同じ置換プロセスを適用することができる。
【0066】
本開示による実施形態は、1つまたは複数の高κ誘電体層を備えた3Dメモリデバイスを形成するための方法を提供し、これは、メモリデバイスの製造プロセス中にエッチング停止層として機能することができる。これにより、従来のシリコン酸化物層と比較して、膜厚を減少させ、全体的な均一性を向上させることができ、したがって半導体プラグとデッキ間プラグでの電子の漏れが減少し、基板とメモリストリングの下部デッキとの間およびメモリストリングの上部および下部デッキ間の電気的接続が改善されるという有益な結果が得られる。これにより、プラグ形成に関するガウジングおよびSEGプロセスを取り除くことによって、チャネルのエッチング中のプラグへの損傷をさらに低減し、コストを節約することができる。
【0067】
本開示の一態様によれば、3Dメモリデバイスが、基板と、基板の上方の第1の高κ誘電体層ならびに第1の高κ誘電体層の上方の第1の複数の交互の導体層および誘電体層を含むメモリデッキと、基板の上方で第1の高κ誘電体層の開口に配置された半導体プラグと、を含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、半導体プラグの上方でメモリスタックを通って垂直に延在する第1のチャネル構造をさらに含む。第1のチャネル構造は、第1の高κ誘電体層の上方の第1のチャネル構造の側壁に沿った第1のメモリフィルムを含む。第1のメモリフィルムは半導体プラグと接触している。
【0069】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、第1のメモリストリングの上方でメモリスタックを通って垂直に延在する第2のチャネル構造と、第1のチャネル構造と第2のチャネル構造との間に配置された第2の高κ誘電体層と、第2の高κ誘電体層の開口に配置されたデッキ間プラグと、をさらに含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、第2の高κ誘電体層の上方の第2のチャネル構造の側壁に沿った第2のメモリフィルムをさらに含み、上記第2のメモリフィルムはデッキ間プラグと接触している。
【0071】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化シリコンより高い誘電率κを有する。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化ハフニウム、五酸化タンタル、二酸化チタン、または酸窒化シリコンの1つまたは複数を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、半導体プラグはポリシリコンを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つはALDによって準備されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれの厚さは、約5nmと約50nmとの間である。
【0076】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つは、基板の上方に垂直に積み重ねられた2つ以上の層を含み、2つ以上の層のそれぞれは高κ誘電体層である。これらの実施形態における第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれの厚さは、約30nmと約100nmとの間である。
【0077】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つの開口は、ウエットエッチングによってエッチングされている。
【0078】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、第1の高κ誘電体層と基板との間に絶縁層をさらに含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、第2の高κ誘電体層と下部チャネル構造との間に絶縁層をさらに含む。
【0080】
本開示の他の一態様によれば、3Dメモリデバイスを形成するための方法が開示される。基板の上方の第1の高κ誘電体層ならびに第1の高κ誘電体層の上方の第1の複数の交互の犠牲層および誘電体層を含む第1の誘電体デッキが、基板の上方に形成される。第1の誘電体デッキを通って垂直に延在する第1の誘電体デッキにおける第1の開口が形成される。第1の開口の底部で第1のメモリフィルムおよび第1の半導体チャネルに第1のホールが形成され、第1のホールは第1の高κ誘電体層を露出させる。第1のホールに露出した第1の高κ誘電体層の一部が除去される。第1のホールに第1の半導体プラグが形成される。第1の開口の上端にチャネルプラグが形成され、チャネルプラグは第1の半導体チャネルに接触している。犠牲層は導体層と置換される。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1の誘電体デッキの上に第2の誘電体デッキが形成される。第2の誘電体デッキは、基板の上方の第2の高κ誘電体層と、第2の高κ誘電体層の上方の第2の複数の交互の犠牲層および誘電体層と、を含む。第2の誘電体デッキを通って垂直に延在する第2の誘電体デッキにおける第2の開口が形成される。第2の開口に第2の開口の側壁に沿って第2のメモリフィルムおよび第2の半導体チャネルが形成される。第2の開口の底部で第2のメモリフィルムおよび第2の半導体チャネルに第2のホールが形成される。第2のホールは第2の高κ誘電体層を露出させる。第2のホールに露出した第2の高κ誘電体層の一部が除去される。第2のホールに第2の半導体プラグが形成される。第2の半導体プラグはチャネルプラグと結合してデッキ間プラグを形成する。第2の開口は第2の充填層で充填される。第2の開口の上端に第3の半導体プラグが形成される。犠牲層は導体層と置換される。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化シリコンより高い誘電率κを有する。
【0083】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれは、二酸化ハフニウム、五酸化タンタル、二酸化チタン、または酸窒化シリコンの1つまたは複数を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、第1の半導体プラグは基板の上方に形成される。
【0085】
いくつかの実施形態において、第1の半導体プラグはポリシリコンを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、第1および第2の誘電体デッキの一方または両方の頂面は平坦化される。
【0087】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つはALDによって準備される。
【0088】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれの厚さは、約5nmと約50nmとの間である。
【0089】
いくつかの実施形態において、第1および第2の高κ誘電体層の少なくとも1つは、基板の上方に垂直に積み重ねられた2つ以上の層を含み、2つ以上の層のそれぞれは高κ誘電体層である。これらの実施形態における第1および第2の高κ誘電体層のそれぞれの厚さは、約30nmと約100nmとの間である。
【0090】
いくつかの実施形態において、第1および第2のホールの少なくとも1つはウエットエッチングによって形成される。
【0091】
いくつかの実施形態において、第1の高κ誘電体層と基板との間に絶縁層が形成される。
【0092】
いくつかの実施形態において、第2の高κ誘電体層と第1の誘電体デッキの頂面との間に絶縁層が形成される。
【0093】
本開示の他の一態様によれば、3Dメモリデバイスが、基板と、第1の複数の交互の導体層および誘電体層ならびに第1のチャネル構造を有する基板の上方の第1のメモリデッキと、第1のメモリデッキの上方の高κ誘電体層と、第2の複数の交互の導体層および誘電体層ならびに第2のチャネル構造を有する高κ誘電体層の上方の第2のメモリデッキと、高κ誘電体層の開口に第1のメモリデッキと第2のメモリデッキとの間に少なくとも部分的に配置された半導体プラグと、を含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、第1のチャネル構造に第1のチャネル構造の側壁に沿って形成された第1のメモリフィルムと、第2のチャネル構造に第2のチャネル構造の側壁に沿って形成された第2のメモリフィルムと、をさらに含む。半導体プラグは、第1のメモリフィルムおよび第2のメモリフィルムの両方と電子的に接続されている。
【0095】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層は、二酸化シリコンより高い誘電率κを有する。
【0096】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層は、二酸化ハフニウム、五酸化タンタル、二酸化チタン、または酸窒化シリコンの1つまたは複数を含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、半導体プラグはポリシリコンを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層はALDによって準備されている。
【0099】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層の厚さは、約5nmと約50nmとの間である。
【0100】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層は、基板の上方に垂直に積み重ねられた2つ以上の層を含み、2つ以上の層のそれぞれは高κ誘電体層である。これらの実施形態における高κ誘電体層の厚さは、約30nmと約100nmとの間である。
【0101】
いくつかの実施形態において、高κ誘電体層の開口はウエットエッチングによってエッチングされている。
【0102】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、高κ誘電体層と第1のメモリデッキとの間に絶縁層をさらに含む。
【0103】
具体的な実施形態の前述の説明は、他者が当該技術の範囲内で知識を適用することによって、過度の実験なしに、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、このような具体的な実施形態を容易に修正および/またはさまざまな用途に適合させることができるように、本開示の一般的な性質を明らかにしているだろう。したがって、このような適合および修正は、本明細書に提示される教示および指示に基づいて、開示された実施形態の同等物の意味および範囲内にあるように意図されている。本明細書の表現または用語は、説明を目的とするものであって限定ではなく、そのため本明細書の表現または用語は、教示および指示に照らして当業者によって解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0104】
指定された機能およびそれらの関係の実装を例示する機能的構成要素の助けを借りて、本開示の実施形態を上で説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書で任意に定義されてきた。指定された機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、代替境界を定義することができる。
【0105】
概要および要約の部分は、本発明者によって企図されるような本開示のすべてではないが1つまたは複数の例示的な実施形態を記載することができ、したがって、本開示および添付の請求項を限定するように決して意図されていない。
【0106】
本開示の幅および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、次の請求項およびそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0107】
100 3Dメモリデバイス
102 基板
104 二重デッキメモリスタック
104A 下部メモリデッキ
104B 上部メモリデッキ
106 導体層
108 誘電体層
110 デッキ間プラグ
112 下部半導体チャネル
113 接合酸化物層
114 上部半導体チャネル
116 半導体プラグ
120 デッキ間プラグの周りの領域
130 右部分
200 3Dメモリデバイス
202 基板
204 二重デッキメモリスタック
204A 下部メモリデッキ
204B 上部メモリデッキ
206 導体層
208 誘電体層
210 デッキ間プラグ
212 下部チャネル構造
214 上部チャネル構造
216 半導体プラグ
218 チャネルプラグ
226 下部メモリフィルム
227 下部半導体チャネル
228 上部メモリフィルム
229 上部半導体チャネル
232 高κ誘電体層
234 高κ誘電体層
300 3Dメモリデバイス
302 シリコン基板
303 絶縁層
304 メモリスタック
304A 下部誘電体デッキ
304B 上部誘電体デッキ
306 誘電体層
308 犠牲層
310 デッキ間プラグ
311 中間チャネルプラグ
312 下部チャネル構造
313 接合酸化物層
314 上部チャネル構造
316 半導体プラグ
318 チャネルプラグ
326 下部メモリフィルム
327 下部半導体チャネル
328 上部メモリフィルム
329 上部半導体チャネル
332 高κ誘電体層
334 第2の高κ誘電体層
352 開口
354 ホール
356 L形状突起
358 L形状突起