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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】反射回折格子の製造
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230922BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230922BHJP
   G01N 23/201 20180101ALI20230922BHJP
【FI】
G02B5/18
G03F7/20 503
G01N23/201
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021552831
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2020056050
(87)【国際公開番号】W WO2020200646
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】19167133.8
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニーンフイス,ハン-クワン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ポスト,シートセ,テイメン
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-045267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G03F 7/20
G01N 23/201
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子であって側壁のいずれかの側が前記入射ビームに面する第1の下部構造及び第2の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する反射回折格子を製造する方法であって、
第2の下部構造を含む格子周期上の前記格子の周期性の方向に対して斜入射角で入射する前記ビームを第1の下部構造から零次方向に鏡面反射されたビームへ鏡面反射するために前記第1の下部構造の構成を判断する工程と、
1つ又は複数の非零回折次数方向に格子周期から前記ビームを回折するために前記第2の下部構造を含む前記格子周期の固定又は可変ピッチ構成を判断する工程と、
前記第2の下部構造から前記零次方向へ一回反射する前記ビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように前記第2の下部構造及びその格子周期の前記側壁の構成を前記斜入射角に基づき判断する工程と、
前記第1の下部構造及び前記第2の下部構造並びに前記側壁の前記判断された構成を使用して格子を製造する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の下部構造及び前記側壁の構成を判断する前記工程は、選択された非零回折次数方向へ前記第2の下部構造から回折する前記ビームのいかなる光線も前記側壁により隠蔽されるように構成を前記入射ビームの波長及び前記第2の下部構造を含む前記格子周期のピッチを使用して判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格子を製造する前記工程は、前記鏡面上に格子を作製することを含み
記鏡面は、湾曲される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の下部構造は、リッジを含み、
前記第2の下部構造は、トレンチを含み
記リッジは、平らな上部を含み、
前記トレンチは、前記リッジの前記平らな上部に平行な平らなフロアを含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の下部構造及び前記側壁の構成を判断する前記工程は、前記トレンチの形状を判断することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の下部構造及び前記側壁の構成を判断する前記工程は、前記トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを判断することを含み
記トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを前記判断することは、次の不等式を満足することを含み、
【数1】
ここで、Dはトレンチの深さであり、Wはトレンチの上部幅であり、βは斜入射角であり、β′は零次方向又は非零回折次数方向である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記格子は、前記トレンチの可変上部幅を有し、前記トレンチの前記深さは、前記可変上部幅の最大上部幅に関し前記不等式を満足するように選択されること、
前記格子は、前記トレンチの可変上部幅を有し、前記トレンチの前記深さは、前記可変幅に応じて前記不等式を満足するように変更されること、
のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記格子周期は、0.5超のトレンチ幅比を超える格子ピッチで構成される、請求項4乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記格子周期は、前記鏡面反射及び回折された放射線の大部分を鏡面反射するように構成される、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記格子周期は、前記鏡面反射及び回折された放射線の70%超を鏡面反射するように構成される、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記放射線は、1nm~100nmの範囲内の波長を有する、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記斜入射角は、1度~17度の範囲内である、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子であって、側壁の何れかの側が前記入射ビームに面する第1の下部構造及び第2の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する反射回折格子において、
第2の下部構造を含む格子周期上の前記格子の周期性の方向に対して斜入射角で入射するビームを第1の下部構造から零次方向に鏡面反射されたビームへ鏡面反射するように構成された第1の下部構造と
定又は可変ピッチにより構成される前記第2の下部構造を含む格子周期であって、1つ又は複数の非零回折次数方向に前記格子周期から前記ビームを回折する、格子周期と、を備え、
前記第2の下部構造及び側壁は、前記第2の下部構造から零次方向へ一回反射する前記ビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成され、
前記格子周期は、前記鏡面反射及び回折された放射線の大部分を鏡面反射するように構成される、反射回折格子。
【請求項14】
前記第2の下部構造及び前記側壁は、選択された非零回折次数方向へ前記第2の下部構造から回折する前記ビームのいかなる光線も前記側壁により隠蔽されるように構成される、請求項13に記載の反射回折格子。
【請求項15】
ターゲットの照射のための放射線のビームを提供するように動作可能な放射線源と、
放射線の前記ビームを受信するように構成された請求項13又は14に記載の反射回折格子と、
前記鏡面反射されたビームを受信するように配置された前記ターゲットを支持するためのターゲット支持体と、
前記格子周期から回折される回折ビームを受信するように配置された検出器と、
を含む、メトロロジ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によって完全な形で本明細書に組み込まれている、2019年4月3日に出願された欧州特許出願第19167133.8号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本発明は、反射回折格子を製造する方法、並びに関連検査装置、メトロロジ装置及びリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)にあるパターン(「デザインレイアウト」又は「デザイン」と呼ばれることも多い)を、基板(例えば、ウェハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0003] リソグラフィ装置は、基板にパターンを投影するために電磁放射を使用し得る。この放射の波長により、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。波長が4~100nmの範囲、例えば6.7nm又は13.5nmである極端紫外線(EUV)の放射を使用するリソグラフィ装置であれば、例えば、波長が193nmである放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することが可能である。
【0005】
[0004] リソグラフィプロセスでは、生成された構造の頻繁な測定(例えばプロセス制御及び検証のための)を行うことが望ましい。走査型電子顕微鏡又は様々な形式のメトロロジ装置(スキャトロメータなど)を含むこのような測定を行うための様々なツールが知られている。既知のスキャトロメータのいくつかの例は、アンダーフィル型(underfilled)ターゲット(様々な層内の単一格子又は重畳格子の形式のターゲットであって「測定ビームが格子より小さいスポットを生成する」のに十分に大きいターゲット)又はオーバーフィル型(overfilled)ターゲット(これにより、照射スポットがターゲットを部分的に又は完全に含む)などの専用メトロロジターゲットの手立てにしばしば依存する。さらに、メトロロジツール(例えばアンダーフィル型ターゲット(格子など)を照射する角度分解型(angular resolved)スキャトロメータ)の使用は、散乱放射線とターゲット構造の数学モデルとの相互作用をシミュレートしそしてシミュレーション結果と測定結果とを比較することにより格子の特性が計算され得る所謂再構築方法の使用を可能にする。数学モデルのパラメータは、シミュレートされた相互作用が、実際のターゲットから観察されるものと同様な回折パターンを生成するまで調節される。
【0006】
[0005] スキャトロメータは、スキャトロメータの対物レンズの瞳若しくは瞳に対する共役面にセンサを有すること(通常、瞳ベース測定と呼ばれる)により又は像面若しくは像面に対する共役面にセンサを有すること(この場合、像又はフィールドベース測定と通常呼ばれる)によりリソグラフィプロセスのパラメータの測定を可能にする多目的計器である。このようなスキャトロメータ及び関連測定技術は、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第20100328655号、同第2011102753A1号、同第20120044470A号、同第20110249244号、同第20110026032号又は欧州特許出願公開第1,628,164A号にさらに説明されている。上述のスキャトロメータは、軟X線波長範囲及び可視波長範囲から近赤外波長範囲の光を使用して複数の格子からの複数のターゲットを1画像内で測定し得る。
【0007】
[0006] 光学的メトロロジ方法の代替案として、例えば0.01nm~100nm、又は任意選択的に1nm~100nm、又は任意選択的に1nm~50nm、又は任意選択的に10nm~20nmの波長範囲の放射線である硬X線(HXR:hard X-ray)及び軟X線(SXR:soft X-ray)を含むX線又はEUV放射線(これら3つのすべては簡潔性理由のために本発明の以下の明細書では併せてSXRとして言及され得る)を使用することも検討されてきた。上に提示した波長範囲の1つにおいて機能するメトロロジツールの一例は、透過型小角度X線散乱(その内容は、全体として参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2007224518A号におけるT-SAXS)である。T-SAXSを用いたプロファイル(CD)測定は、Lemaill et et al,“Intercomparison between optical and X-ray scatterometry measurements of FinFET structures”, Proc. of SPIE, 2013, 8681により論述されている。基板上の膜及び層のスタックの特性を測定するために、斜入射におけるX線(GI-XRS)及び極端紫外線(EUV)放射線を用いる反射率測定技術が知られている。反射率測定の一般的な分野では、三角法技術及び/又は分光技術が適用され得る。三角法では、様々な入射角を有する反射ビームのバリエーションが測定される。一方、分光反射率測定は、(広帯域放射線を用いて)所与の角度で反射した波長のスペクトルを測定する。例えば、EUVリソグラフィにおいて使用するためのレチクル(パターン化デバイス)の製造に先立って、EUV反射率測定がマスクブランクの検査に使用されてきた。
【0008】
[0007] 用途の範囲が軟X線又はEUV領域内の波長の使用を不十分にさせることが起こり得る。したがって、米国特許出願公開第20130304424A1号及び米国特許出願公開第2014019097A1号(Bakemanら/KLA)は、X線を使用して行われる測定と120nm~2000nmの範囲内の波長を用いた光学的測定とが併せて組み合わせられてCDなどのパラメータの測定結果を得るハイブリッドメトロロジ技術を記載している。CD測定結果は、1つ又は複数の共通数学モデルを介しX線数学モデルと光学的数学モデルとを結合することにより取得される。前述の米国特許出願の内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0009】
[0008] その表面上に格子パターンを有するHXR、SXR及びEUVのための従来の鏡は通常、入射放射線の比較的大きな割合(数十パーセント)を回折するために最適化され;光の鏡面反射された部分は通常それほど重要ではない。
【発明の概要】
【0010】
[0009] SXR又はEUVメトロロジに関して、鏡面反射されたものの極一部分だけがターゲットの外側に到達するべきである。これは、鏡の粗度仕様に翻訳され得る。総積分散乱(TIS:total integrated scatter)の一割合を必要要件として、二乗平均平方根表面誤差(zRMS)に関する必要要件は次式により与えられる。
【数1】
ここで、βは斜入射角であり、λは波長である。例えば、λ=15nm、β=10度及びTIS=0.1%において、必要要件はzRMS<0.2nmである。これは表面要件の単純計算である。より洗練化されたモデルが使用され得る。
【0011】
[0010] 回折格子付き鏡は十分に定義された回折次数(零次反射すなわち鏡面反射を含む)の外に可能な限り少ない迷光(散乱光)を生成することが望ましい。鏡の粗度仕様は格子要件へ容易には翻訳され得ない。従来、格子製造者は零次周囲の最小可能迷光を実現し得る設計及び製造方法を持っていなかった。
【0012】
[0011] 本発明の第1の態様によると、格子に入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子であって側壁のいずれかの側が入射ビームに面する第1及び第2の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する反射回折格子を製造する方法が提供される。本方法は、以下の工程を含む:
第2の下部構造を含む格子周期上の格子の周期性の方向に対して第1の下部構造から零次方向に鏡面反射されたビームへの斜入射角で入射するビームを鏡面反射するために第1の下部構造の構成を判断する工程;
1つ又は複数の非零回折次数方向に格子周期からビームを回折するために第2の下部構造を含む格子周期の固定又は可変ピッチ構成を判断する工程;
第2の下部構造から零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように第2の下部構造及びその格子周期の側壁の構成を斜入射角に基づき判断する工程;及び
第1及び第2の下部構造及び側壁の判断された構成を使用して格子を製造すること。
【0013】
[0012] 好適には、第2の下部構造及び側壁の構成を判断する工程は、選択された非零回折次数方向へ第2の下部構造から回折するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成を、入射ビームの波長及び第2の下部構造を含む格子周期のピッチを使用して判断することを含む。これは、測定された回折スペクトルへの迷光の寄与を削減する効果がある。これはスペクトル測定をより精確にする。
【0014】
[0013] 好適には、格子を製造する工程は鏡面上に格子を作製することを含む。これは、メトロロジ用途に役立つ効率的鏡面反射を提供する効果がある。
【0015】
[0014] 好適には、鏡面は湾曲される。これは、メトロロジ用途に役立つターゲット上への鏡面反射されたビームの集束を可能にする。
【0016】
[0015] 好適には、第1の下部構造はリッジを含み、第2の下部構造はトレンチを含む。これらは製造するために便利な構造である。
【0017】
[0016] 好適には、リッジは平らな上部を含み、トレンチはリッジの平らな上部に平行な平らなフロアを含む。リッジの平らな上部はメトロロジ用途に役立つ効率的鏡面反射を提供する。平らなフロアは従来のリソグラフィプロセスを使用して製造するのに便利な構造である。
【0018】
[0017] 好適には、第2の下部構造及び側壁の構成を判断する工程はトレンチの形状を判断することを含む。この形状は製造プロセスにおける選択により好都合に制御され得るものである。
【0019】
[0018] 好適には、第2の下部構造及び側壁の構成を判断する工程は、トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを判断することを含む。アスペクト比はトレンチの設計を規定するために有用なやり方である。
【0020】
[0019] 好適には、トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを判断することは次の不等式を満足することを含む。
【数2】
ここで、Dはトレンチの深さであり、Wはトレンチの上部幅であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。この単純な幾何学的規則は、使用するのが容易であり、そして余りに大きな迷光がターゲットの外側に到達しないように格子の鏡面反射に関する散乱性能を改善することに驚くほど効果的である。
【0021】
[0020] 好適には、格子はトレンチの可変上部幅を有し、トレンチの深さは可変上部幅の最大上部幅の不等式を満足するように選択される。これは、鏡面散乱性能が格子全体にわたるすべての上部幅に関し保証されるという効果を有する。
【0022】
[0021] 好適には、格子はトレンチの可変上部幅を有し、トレンチの深さは可変幅に対応する不等式を満足するように変更される。これは、最も狭いトレンチがあまりにも深くなる(製造するのが困難な場合がある)ことを必要とすること無く鏡面散乱性能が格子全体にわたるすべての上部幅について保証されるという効果を有する。
【0023】
[0022] 好適には、格子周期は、0.5超、より好適には0.7超、最も好適には0.9超のトレンチ幅比を超える格子ピッチで構成される。これらの増加する比は、メトロロジに役立つより多くの鏡面反射された光をターゲット上へ漸進的に提供する。
【0024】
[0023] 好適には、格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の大部分、より好適には70%超、最も好適には90%超を鏡面反射するように構成される。これらの増加するパーセントは、メトロロジに役立つより多くの鏡面反射された光をターゲット上へ漸進的に提供する。
【0025】
[0024] 好適には、放射線は1nm~100nmの範囲又は10nm~20nmの範囲内の波長を有する。これらは、特にEUV半導体製造における、メトロロジ用途に有用な波長範囲である。
【0026】
[0025] 好適には、斜入射角は1度~17度の範囲内、より好適には3度~5度の範囲内である。
【0027】
[0026] 本発明の第2の態様によると、格子に入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子であって側壁のいずれかの側が入射ビームに面する第1及び第2の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する反射回折格子が提供される。本反射回折格子は以下のものを含む:
第2の下部構造を含む格子周期上の格子の周期性の方向に対して斜入射角で入射するビームを第1の下部構造から零次方向に鏡面反射されたビームへ鏡面反射するように構成された第1の下部構造、及び
1つ又は複数の非零回折次数方向に格子周期からビームを回折するために固定又は可変ピッチにより構成される第2の下部構造を含む格子周期であって、第2の下部構造及び側壁は、第2の下部構造から零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成され、格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の大部分を鏡面反射するように構成される、格子周期。
【0028】
[0027] 本発明の第3の態様によると、以下のものを含む検査装置が提供される:
ターゲットの照射のための放射線のビームを提供するように動作可能な放射線源;
放射線のビームを受信するように配置された第2の態様による反射回折格子;
鏡面反射されたビームを受信するように配置されたターゲットを支持するためのターゲット支持体;及び、
格子周期から回折される回折ビームを受信するように配置された検出器。
【0029】
[0028] 本発明の第4の態様によると、第3の態様の検査装置を含むメトロロジ装置が提供される。
【0030】
[0029] 本発明の第5の態様によると、第3の態様の検査装置を含むリソグラフィ装置が提供される。
【0031】
[0030] 以下では、添付の概略図面を参照して、本発明の実施形態をあくまで例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】[0030]リソグラフィ装置の概略図を描写する。
図2】[0030]本発明のいくつかの実施形態が実施され得るメトロロジ装置302の概略図を描写する。
図3】[0030]本発明の一実施形態によるメトロロジ装置内の放射線経路の概略図を描写する。
図4】[0030]幾何学的パラメータを示す放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折する格子の概略図を描写する。
図5】[0030]格子パラメータを示す格子の断面の概略図を描写する。
図6】[0030]放射線の斜入射ビームを鏡面反射する格子の概略幾何学的表現を描写する。
図7】[0030]側壁により隠蔽されるトレンチフロアからの鏡面反射の深さ閾値における格子トレンチの概略幾何学的表現を描写する。
図8】[0030]本発明の一実施形態によるトレンチフロアからの鏡面反射が側壁により隠蔽されるように深い格子トレンチの概略幾何学的表現を描写する。
図9】[0030]本発明の一実施形態による側壁により隠蔽されるトレンチフロアからの一次回折の深さ閾値における格子トレンチの概略幾何学的表現を描写する。
図10】[0030]発散入射光線を有する湾曲格子の概略幾何学的表現を描写する。
図11】[0030]湾曲された可変ライン/間隔格子(curved variable line/space grating)の概略幾何学的表現を描写する。
図12】[0030]側壁により隠蔽される最も広い上部を有するトレンチのフロアからの鏡面反射の閾値におけるトレンチ深さを有する湾曲された可変ライン/間隔格子の概略幾何学的表現を描写する。
図13】[0030]側壁により隠蔽される任意のトレンチフロアからの鏡面反射の閾値における可変トレンチ深さを有する湾曲可変線/空間格子の概略幾何学的表現を描写する。
図14】[0030]本発明の実施形態による反射回折格子を製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0031] 本明細書では、用語「放射線」及び「ビーム」は、紫外線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)並びに硬X線(HXR)及び軟X線(SXR)を含むEUV及びX線(例えば、0.01nm~50nm、又は任意選択的に1nm~100nm、又は任意選択的に1nm~50nm、又は任意選択的に10nm~20nmの波長範囲内の)を含むすべてのタイプの電磁放射線を包含するように使用される。
【0034】
[0032] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された(イルミネータとも呼ばれる)照射システムILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築されて、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスク支持部(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェハ)Wを保持するように構築されて、特定のパラメータに従って基板支持部を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板支持部(例えば、ウェハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0035】
[0033] 稼働中、照射システムILは、放射源SOから(例えば、ビーム送達システムBDを介して)放射ビームを受ける。照射システムILは、放射の誘導、整形及び/又は制御のために様々なタイプの光学コンポーネントを含み得、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型及び/又は他のタイプの光学コンポーネント又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。イルミネータILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAの面において所望の空間強度分布及び角度強度分布をその断面に有するように、放射ビームBを調節するために使用され得る。
【0036】
[0034] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されたい。そのようなシステムには、使用されている露光放射の必要に応じて及び/又は他の要因(例えば、液浸液の使用又は真空の使用)の必要に応じて、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型及び/又は静電光学型のシステム又はこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用されている場合、それらは、全てより一般的な用語である「投影システム」PSと同義であると見なされ得る。
【0037】
[0035] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を埋めるように、基板の少なくとも一部分が、屈折率が比較的高い液体(例えば、水)で覆われ得るタイプであり得、これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6952253号に示されている。
【0038】
[0036] リソグラフィ装置LAは、基板支持部WTが2つ以上あるタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であってもよい。そのような「複数ステージ」マシンでは、それらの基板支持部WTは並行して使用されてよく、及び/又は、それらの基板支持部WTの一方に載っている基板Wが、その基板Wにパターンを露光することに使用されている間に、他方の基板支持部WTに載っている別の基板Wに対して、その別の基板Wのその後の露光の準備の手順が実施されてよい。
【0039】
[0037] 基板支持部WTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含んでよい。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニング装置を保持するように構成されている。センサは、投影システムPSの特性、又は放射ビームBの特性を測定するように構成されてよい。測定ステージは複数のセンサを保持してよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部、又は液浸液を供給するシステムの一部をクリーニングするように構成されてよい。測定ステージは、基板支持部WTが投影システムPSから離れているときに、投影システムPSの下を動いてよい。
【0040】
[0038] 稼働中は、放射ビームBが、パターニングデバイス(例えば、マスク支持物MT上に保持されたマスクMA)に入射し、パターニングデバイスMA上にあるパターン(設計レイアウト)によってパターニングされる。放射ビームBは、マスクMAを横断した後、投影システムPSを通り抜け、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上にフォーカスさせる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの支援により、基板支持部WTは正確に動くことが可能であり、例えば、様々なターゲット部分Cが、放射ビームBの経路中のフォーカス及びアライメントされる位置に位置決めされるように正確に動くことが可能である。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めする為に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(これは図1に明示されていない)と、が使用されてよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてよい。基板アライメントマークP1、P2は、図示されたように専用ターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間に配置されてよい。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に配置される場合には、スクライブラインアライメントマークと呼ばれる。
【0041】
[0039] リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確且つ確実に露光されるために、基板を検査して、パターン形成された構造の特性、例えば連続する層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)等を測定することが望ましい。そのために、検査ツール(図示せず)が用いられ得る。エラーが検出された場合、例えば、連続する基板の露光又は基板Wに対して実施されるべき他のプロセスステップに対する調節が行われ得、これは、特に同じバッチ又はロットの他の基板Wが引き続き露光又はプロセスされる前に検査が行われる場合に行われ得る。
【0042】
[0040] メトロロジ装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性を測定するために使用され、特に異なる複数の基板Wの特性がどのようにばらつくか、又は同じ基板Wの異なる複数の層に関連付けられた特性が層ごとにどのようにばらつくかを測定するために使用される。検査装置は、代わりに、基板W上の欠陥を識別するように構築され得、例えばリソセル(図示せず)の一部分であり得るか、又はリソグラフィ装置LAに組み込まれ得るか、又はスタンドアロン装置であり得る。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)に関する特性、又は半潜像(露光後ベーク工程PEB後のレジスト層内の像)に関する特性、又は現像されたレジスト像(レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている)に関する特性、又は更に(エッチング等のパターン転写工程後の)エッチングされた像に関する特性を測定し得る。
【0043】
[0041] 図2は、純粋に一例として本発明のいくつかの実施形態が実施され得る斜入射においてEUV及び/又はX線放射線を使用する分光スキャトロメータを含むメトロロジ装置302の概略物理的配置を示す。
【0044】
[0042] 検査装置302は、放射源310、照射システム312、基板支持部316、検出システム318、398、及びメトロロジ処理ユニット(MPU)320を含む。
【0045】
[0043] この例の放射源310は、高調波発生(HHG)技術に基づく、EUV又は軟X線放射のジェネレータを含む。このような放射源は、例えば、米国コロラド州BoulderにあるKMLabsから入手可能である(http://www.kmlabs.com/)。放射源の主なコンポーネントは、ドライブレーザ330及びHHGガスセル332である。ガス供給334は、適切なガスをガスセルに供給し、そこでガスは、任意選択で、電源336によってイオン化される。ドライブレーザ300は、例えば、必要に応じて、最大数メガヘルツのパルス繰り返し率を有する、例えば1パルス当たり1ns(1ナノ秒)未満持続し得る赤外線のパルスを生成する、光増幅器を備えたファイバベースのレーザでもよい。赤外線の波長は、例えば、1μm(1ミクロン)の領域内でもよい。レーザパルスは、第1の放射ビーム340として、HHGガスセル332に送られ、そこで、ガス中で、放射の一部が、所望の1つ又は複数の波長のコヒーレントな第2の放射を含むビーム342へと、第1の放射よりも高い周波数に変換される。
【0046】
[0044] 第2の放射は、複数の波長を含み得る。万一放射が単色であった場合、測定計算(例えば、再構築)が単純化され得るが、HHGを用いれば、幾つかの波長を有する放射を生成することがより簡単である。ガスセル332内のガスの体積は、HHG空間を規定する(とはいえ、この空間は、完全に密閉されている必要はなく、静的な体積の代わりに、ガスのフローが用いられ得る)。ガスは、例えば、ネオン(Ne)又はアルゴン(Ar)などの希ガスでもよい。N2、O2、He、Ar、Kr、Xeガスが、全て検討され得る。これらは、設計上の選択の問題であり、同じ装置内で選択可能な選択肢であってもよい。異なる波長は、例えば、異なる材料の構造を結像する際に、異なるレベルのコントラストを提供する。例えば、金属構造又はシリコン構造の検査のために、(炭素系)レジストのフィーチャを結像するため、又はこのような異なる材料の汚染を検出するために使用されるものとは異なる波長が選択され得る。1つ又は複数のフィルタリングデバイス344が設けられてもよい。例えば、アルミニウム(Al)の薄膜などのフィルタが、基本的な赤外放射が検査装置の内部にさらに入ることを減らすように機能し得る。ガスセルで発生した調波の波長の中から、1つ又は複数の特定の調波の波長を選択するために、格子(図示されない)が設けられてもよい。空中を進むときにSXR/EUV放射が吸収されることを念頭に置き、ビーム経路の一部又は全てが、真空環境内に含まれてもよい。放射源310の様々なコンポーネント及び照明光学系312は、同じ装置内の異なる複数のメトロロジ「レシピ」を実施するために調節可能となり得る。例えば、異なる複数の波長及び/又は偏光が選択可能にされ得る。
【0047】
[0045] 検査下の構造の材料に応じて、異なる複数の波長が、下側の層への所望のレベルの侵入を提供し得る。最小のデバイスフィーチャ及び最小のデバイスフィーチャの中の欠陥を解像するために、短波長が好まれる可能性が高い。例えば、1~20nmの範囲内、又は任意選択で1~10nmの範囲内、又は任意選択で10~20nmの範囲内の1つ又は複数の波長が選ばれ得る。5nmより短い波長は、一般的に半導体製造において関心対象材料に反射するときに、非常に低い臨界角に苦慮する。したがって、5nmを超える波長を選ぶことは、より高い入射角で、より強い信号を提供する。一方、検査タスクが、ある特定の材料の存在を検出すること(例えば、汚染を検出すること)である場合には、最大で50nmまでの波長が有用となり得る。
【0048】
[0046] フィルタリングされたビーム342は、放射源310から検査チャンバ350に入り、そこで、関心対象構造(ターゲットとしても知られる)を含む基板Wが、検査のために、基板支持部316によって、測定位置に保持される。関心対象構造は、Tと表示される。EUVの放射が、過度の減衰なく大気中を通過できるように、検査チャンバ350内の大気が、真空ポンプ352によって、ほぼ真空に維持される。照射システム312は、フォーカスビーム356へと放射をフォーカスさせる機能を有し、例えば、上述の米国特許出願公開第2017/0184981A1号(その内容は、参照によって完全な形で本明細書に組み込まれている)に記載されるような2次元湾曲ミラー、又は一連の1次元湾曲ミラーを含み得る。フォーカシングは、関心対象構造上に投影されたときに、直径10μm未満の円形又は楕円形のスポットSを得るように行われる。基板支持部316は、例えば、X-Y平行移動ステージ及び回転ステージを含み、これによって、基板Wのどの部分も、所望の方位となるように、ビームの焦点に合わせることができる。したがって、放射スポットSが、関心対象構造上に形成される。代替的又は追加的に、基板支持部316は、例えば、関心対象構造T上で、フォーカスビームの入射角を制御するために、ある特定の角度に基板Wを傾斜させることができる傾斜ステージを含む。
【0049】
[0047] 任意選択で、照射システム312は、フィルタリングされたビーム342の異なる複数の波長のスペクトル及び/又は強度を測定するように構成され得る基準検出器314に基準放射ビームを提供する。基準検出器314は、プロセッサ310に提供される信号315を発生させるように構成されてもよく、フィルタは、フィルタリングされたビーム342のスペクトル、及び/又はフィルタリングされたビームの異なる複数の波長の強度に関する情報を含んでもよい。
【0050】
[0048] 反射放射360は、検出器318によって捕捉され、ターゲット構造Tの特性の計算に使用するために、プロセッサ320へとスペクトルが提供される。したがって、照射システム312及び検出システム318は、検査装置を成す。この検査装置は、その内容が参照によって完全な形で本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2016282282A1号に記載される種類の軟X線及び/又はEUV分光反射率計を含んでもよい。
【0051】
[0049] ターゲットTが、ある特定の周期性を有する場合、フォーカスビーム356の放射も、部分的に回折され得る。回折放射397は、入射角に対して明確に規定された角度で、反射放射360と異なる別の経路をたどる。図2では、図示された回折放射397は、概略的に示されており、回折放射397は、図示された経路と異なる多くの他の経路をたどり得る。また、検査装置302は、回折放射397の少なくとも一部の検出及び/又は結像を行うさらなる検出システム398を含んでもよい。図2では、単一のさらなる検出システム398が図示されているが、検査装置302の実施形態は、複数の回折方向の回折放射397の検出及び/又は結像を行うために、異なる複数の位置に配置された、2つ以上のさらなる検出システム398も含み得る。つまり、ターゲットTに当たる、(より高い)回折次数のフォーカスされた放射ビームの検出及び/又は結像が、1つ又は複数のさらなる検出システム398によって行われる。1つ又は複数の検出システム398は、メトロロジプロセッサ320に提供される信号399を発生させる。信号399は、回折光397の情報を含んでもよく、及び/又は回折光397から取得された像を含んでもよい。
【0052】
[0050] 所望の製品構造に対するスポットSのアライメント及びフォーカシングを支援するために、検査装置302は、メトロロジプロセッサ320の制御下で、補助放射を用いる補助光学系も提供し得る。メトロロジプロセッサ320は、平行移動ステージ、回転及び/又は傾斜ステージを動作させる位置コントローラ372と通信することもできる。プロセッサ320は、センサを介して、基板の位置及び方位に関する非常に正確なフィードバックを受け取る。センサ374は、例えば、ピコメートルの範囲内で精度を提供し得る干渉計を含んでもよい。検査装置302の動作において、検出システム318によって捕捉されたスペクトルデータ382が、メトロロジ処理ユニット320へと送られる。
【0053】
[0051] 上述の通り、検査装置の代替形態は、例えば、非対称性の回折ベースの測定を行うために、法線入射又は近法線入射の軟X線及び/又はEUVの放射を用いる。ハイブリッドメトロロジシステムにおいて、両方のタイプの検査装置が設けられてもよい。測定される性能パラメータには、オーバーレイ(OVL)、クリティカルディメンジョン(CD)、コヒーレント回折結像(CDI)、及び解像度オーバーレイ(ARO(at-resolution overlay))メトロロジが含まれ得る。軟X線及び/又はEUVの放射は、例えば5~30nmの範囲内、又は任意選択で10nm~20nmの範囲内の放射を用いて、例えば100nm未満の波長を有し得る。放射は、性質的に、狭帯域又は広帯域のものでもよい。放射は、ある特定の波長帯域内で離散ピークを有してもよく、又はより連続的な性質を有してもよい。
【0054】
[0052] 現在の製造設備で使用される光学スキャトロメータのように、リソセル内で処理されたレジスト材料内の構造を測定するために(現像後検査又はADI)、及び/又は構造がより硬い材料中に形成された後に、それらを測定するために(エッチング後検査又はAEI)、検査装置302が使用され得る。例えば、基板は、現像装置、エッチング装置、アニーリング装置、及び/又は他の装置によって処理された後に、検査装置302を用いて検査されてもよい。
【0055】
[0053] 図3はメトロロジ装置内の放射線経路の概略図を描写する。図2、3に描写される例示的メトロロジ装置では、ほぼ回折限界放射線源311からの放射線はウェハW上のターゲットT上へ合焦される。ターゲットは通常、ウェハ上の有限サイズ(例えば50μm×50μm又は5μm×5μm)領域である。当該の格子/鏡非一様性の長さスケール(例えば>1μm)は、格子からターゲットまでの光路の目標サイズ及び長さに依存する。放射線は、EUV範囲の一部としても説明され得る1nm~100nmの範囲(好適には10nm~20nmの軟質X線(SXR)範囲)内の波長を有する。精確なメトロロジに関し、以下の点が重要である(数ある中でも):余りに多くのSXR光がターゲットの外側に到達するべきでない(例えば入射パワーの<0.05、<0.01、又は<0.001の割合)。ターゲットTに入射するSXR放射線356のスペクトルが測定され得る(好適にはターゲットの露光と同時に)。
【0056】
[0054] 斜入射(GI:grazing-incidence)鏡312はSXRビームをターゲットT上へ集束する。ターゲットから散乱される放射線360は検出器318により捕捉される。鏡の表面上のラインパターン(格子)はSXR放射線の一部358をアレイセンサ314方向へ回折し、様々な波長成分がアレイセンサ上の様々な点に到達する。アレイセンサからの信号はスペクトルとして解釈され得る。
【0057】
[0055] SXR又はEUVメトロロジに関して、鏡面反射されたものの極一部分だけがターゲットの外側に到達するべきである。これは、鏡の粗度仕様に翻訳され得る。総積分散乱(TIS)の割合を必要要件として、二乗平均平方根表面誤差(zRMS)に関する必要要件は次式により与えられる。
【数3】
ここで、βは斜入射角であり、λは波長である。例えば、λ=15nm、β=10度及びTIS=0.1%において、必要要件はzRMS<0.2nmである。これは表面要件の単純計算である。より洗練化されたモデルが使用され得る。
【0058】
[0056] 回折格子付き鏡は十分に定義された回折次数(零次反射すなわち鏡面反射を含む)の外に可能な限り少ない迷光(散乱光)を生成することが望ましい。鏡の粗度仕様は格子要件へ容易には翻訳され得ない。従来、格子製造者は零次周囲の最小可能迷光を実現し得る設計及び製造方法を持っていなかった。
【0059】
[0057] 図4は、放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折する格子の概略図を描写し、幾何学的パラメータを示す。光線402により示される入射放射線ビームは波長λを有する関連波頭404を有する。ビームは斜入射角βを有する。この例における光線402は格子の周期性412の方向に対し角度φで鏡416上の格子414に入射する。この角度φが、平面回折の条件である零である場合、ビームは格子の周期性の方向に対し斜入射角βを有する。平面回折は入射光線及びすべての反射及び回折された光線が(平らな)面内にあれば発生する。非零φ(例えばφ=90度)において光線は円錐上にあり;このケースは「円錐状回折」と呼ばれる。純粋な円錐状回折(φ=90度)の条件では、トレンチの底部はいかなる実際的トレンチ断面についても決して隠蔽されない。しかし、本明細書において説明される実施形態は(ほぼ)平面的回折(好適にはφ<10度)と共に使用される。入射ビームは発散するので、φはビーム全体にわたって変動する。いくつかの実施形態は好適には、3度の半角に対応する0.05未満の開口数を有する。
【0060】
[0058] ビームは、面406内で零次方向410に(βに等しい角度で)鏡面反射される。ビームは、1又は複数の回折次数方向、この例では+1次方向408に(βに等しくない角度で)回折される。
【0061】
[0059] 図5は鏡416上の反射回折格子の断面の概略図を描写し、格子パラメータを示す。格子周期は、上部幅W及びリッジ508を有するトレンチ502(溝としても知られる)を側壁506のいずれかの側に有する。反射回折格子の形状は主要パラメータ(格子周期を跨ぐピッチP、溝幅W、溝深さD)の観点で特徴付けられ得る。さらに、図5に示すように側壁角度(SWA:side-wall angle)及び側壁角度非対称性(SWAA:sidewall angle asymmetry)がある。トレンチ底面(フロア)の傾斜及びトレンチ底面の曲率などのより多くの形状パラメータを導入する可能性がある。トレンチの幅は十分に小さく且つ側壁角度は十分に大きくてもよいので側壁間にいかなる平らな底面(フロア)も存在しない。このトレンチ構成はv字型溝510である。
【0062】
[0060] 図6は放射線の斜入射ビームを鏡面反射する格子の概略幾何学的表現を描写する。SXR波長よりはるかに大きい格子ピッチ(例えばそれぞれ500nm及び14nm)が使用され得る。したがって、我々は準幾何学的光学系に基づき感度を推定し得る。図6を参照すると、入射光束の一部は、トレンチの深さ及びトレンチのフロア上のトレンチ端のシャドーイング効果に起因して失われ(602)そして鏡面反射しない。入射ビームの一部604は、トレンチ上部から反射されるビーム608及びトレンチフロアの中心から鏡面反射されるビーム610と同じ零次方向606に鏡面反射されない。トレンチフロアから反射される入射光束610は、リッジの上部から反射される入射光束608に対する位相差を獲得する。これはトレンチの深さから生じる経路長差の結果である。底部610及び上部608から反射された波形はコヒーレントに(コヒーレントな和で)加算され;位相及び振幅効果が考慮される。
【0063】
[0061] 格子の製造プロセスが図3における幾何学的パラメータの局所的変動を生じれば、格子の製造プロセスは滑らかな鏡内の局所的高さ変動が迷光を生じるのと全く同様に迷光を生じる。SXRメトロロジ装置内の斜入射鏡又は格子に関して、我々は1μm~1mmの長さスケール上の局所的変動について特に関心がある。これは散乱角が局所的変動の長さスケールに反比例するからであり;十分に大きな散乱角は光路内でクリップされそして十分に小さな散乱角はターゲット外照射(すなわち迷光)に至らない。
【0064】
[0062] 鏡面反射の複素反射係数γ(位相及び振幅)は幾何学的パラメータに依存するということに留意されたい。複素反射係数は、商業的に又はオープンソースとして入手可能であるシミューレーションソフトウェアを使用して計算され得る。
【0065】
[0063] 格子周期が光の波長よりはるかに大きければ幾何光学に基づき粗推定を行うことも可能であり;これは以下の式を生じる:
【数4】
【0066】
[0064] ここで、Rflatは滑らかな鏡面の反射率(振幅ではなくパワー)である。数式1bは、非常に深いので溝の底面(すなわちトレンチフロア)を介するいかなる光路も縦側壁により隠蔽される溝と理解され得る。これは、側壁から底面上へ後方散乱される光路を含まない。
【0067】
[0065] このパラメータ化では、溝が、低粗度(例えば<0.2nm)まで元々磨かれた表面内へエッチングされるということを仮定する。製造プロセスはまた、研磨された滑らかな表面の上にリッジを蒸着し得、この場合、以下の式が成立するであろう:
【数5】
【0068】
[0066] 特定格子設計は複素反射係数γを生じるパラメータP、W、Dを有するということを仮定する(特定斜入角β及び波長λを仮定する)。局所的変動ΔW、ΔD(RMS値として表現される)が総積分散乱を生じることになる。
【数6】
【0069】
[0067] P、W及びDは、偏導関数∂r/∂W及び∂r/∂Dが可能な限り小さくなるように判断され、その結果、W及びDの変動に対する感度は可能な限り小さい。
【0070】
[0068] この例では、W、Dだけが空間的変動を有するパラメータとして考慮される。これは、対応する二次項を式(3)の分子へ加えることにより、より多くのパラメータについて一般化され得る。
【0071】
[0069] パラメータの最適組み合わせは、いかに良くW、Dがパターン化プロセスにおいて制御され得るかに依存する。例えば、Wは高精度で制御され得るがDは制御され得なければ、W、DはW<2D/tanβとなるように判断され得;次に(式1bによると)、Dパラメータに対する感度は無い。
【0072】
[0070] 式(1)、(2)は近似である。しかし、厳密なシミュレーションは、狭く且つ深い溝が広く且つ浅い溝より溝深さに関するはるかに大きな(2×~4×)公差を許容するということを示す。10≦λ≦20nmの当該SXR波長(任意の漏洩赤外線光よりむしろ)を有するメトロロジ装置用途では、1度<β<17度の範囲内の斜入射角が有用である。有用なピッチは、次の範囲内である。
【数7】
【0073】
[0071] ここで、α=0.5、α=0.05(これらの定数は有用な最も高い及び最も低い一次回折角(ラジアン)である)。リソグラフィパターン化プロセスは、光リソグラフィに関して比0.25<W/P<0.75について最も容易であると考えられ得る。溝深さに対する低感度は、次式に関しほぼ達成される。
D>0.6Wtanβ (式4)
【0074】
[0072] 係数0.6は解析閾値である「1/2より若干大きい」。ピッチは波長よりはるかに大きいが、これは深さ(以下の例では7~15nm)に関しては当てはまらない。したがって、放射線の波状性質が格子の反射/回折特性に依然として影響を与える。0.4~0.8の範囲内の溝深さDに対する感度の強い低下があるということが分かった。したがって、閾値は例えば0.4、0.6、又は0.8に設定され得る。
【0075】
[0073] これらの不等式は、溝深さに対する感度を最小化する目的でもって関心があるであろう4Dパラメータ空間(P,W,D,β)内の領域を定義する。パラメータ空間は、例えばトレンチフロア傾斜又は他のパラメータが含まれればさらなる次元を含み得る。
【0076】
[0074] 溝深さが上記表現に従って採用される場合、これは、その他がすべて等しければ溝幅Wに対する大きな感度を生じる傾向がある。また、深い溝はより大きな吸収損に至る傾向がある。溝深さ及び溝幅の両方に対する感度を低減することは式(4)に従って可能な限り小さい溝幅及び深さを選択することにより実現され得る。
【0077】
[0075] メトロロジ装置における実施のゴールは、零次(R0)における高反射率、一次(R1)における低回折効率、及び幅及び深さ変動に対する低感度を有する格子である。上記考慮点を使用して、多くの可能実施形態が考えられ得る。第1の例は500nmの定格ピッチ及び50%のデューティサイクル(W/P)を有する格子である。入射角は光学設計考慮点により許容される最小角である。深さは或るマージンにより式4を満たすように選択される。
【0078】
【表1】
【0079】
[0076] 光学設計境界条件の異なるセットが採用される場合、格子上のより小さな入射角が許容され得る。これは上記表を次表のように変更する。
【0080】
【表2】
【0081】
[0077] 上記両方の例は50%のデューティサイクルを考慮する。理想的には、散乱を低減し、R0を増加し、そしてR1を減少するのではるかに小さなデューティサイクルが使用される。このような格子は次表により記述される可能性がある。
【0082】
【表3】
【0083】
[0078] 格子は、格子表面全体にわたって定ピッチではなく徐々に変化するピッチを有する可変ライン間隔(VLS:Variable Line Space)格子であり得る。VLSの1つの目的は検出器上の回折光の収差を最小化することである。念のため、最大ピッチが考慮されるべきである。これは、このピッチが最大幅も有しそして式4に従って性能を制限するからである。これは図12を参照して以下に説明される。代替的に、処理が許せば、溝深さは、散乱対R0を局所的に最適化するために格子全体にわたって変更される可能性がある(より大きな局所的ピッチはより大きな深さである)。これは図13を参照して以下に説明される。
【0084】
[0079] 上記説明は鏡面反射に関する散乱性能(零次回折)を改善することに関係する。測定スペクトルへの迷光の寄与を削減することを望めば、同様な手法(シミュレーション又は幾何学的引数)を使用する可能性がある。式(4)における幾何学的規則は、格子の周期性の方向に対する斜入射角βが「反射」の斜入角β’に等しくない(例えば一次回折がそうであるように)場合について一般化され得る。幾何学的規則は次のようになる:
【数8】
【0085】
[0080] ここで、係数1.2は、幾何学的近似が十分には正しくないという事実を考慮するために「1より多少大きい」ということを意味する。
【0086】
[0081] 図7は、側壁により隠蔽されるトレンチフロアからの鏡面反射に関する、深さ閾値D=0.5Wtanβにおける格子トレンチの概略幾何学的表現を描写する。トレンチフロアの左側半分702は斜入射角βを有する入射光束の陰内に在る。零次方向におけるトレンチフロアの残りの右側半分704からのビームの鏡面反射は入射ビームに面する側壁706により隠蔽される。零次方向のリッジ708の上部からの鏡面反射がある(図6に示すように)。したがって、D=0.5Wtanβのとき、同じ零次方向にトレンチからそれて鏡面反射される入射ビームの一部は零になる傾向がある(側壁706の上部周囲の回折が無いことを仮定すると)。
【0087】
[0082] 図8は、トレンチフロアからの鏡面反射が側壁により隠蔽されるような深い格子トレンチの概略幾何学的表現を描写する。
【0088】
[0083] 図8を参照すると、トレンチ及びリッジは、格子に入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子の一部である。格子は、入射ビーム800に面する側壁806のいずれかの側に、第1(リッジ)及び第2(トレンチ)下部構造を含む格子周期を有する周期構造(図5図6に示すように)を有する。入射ビームは、トレンチを含む格子周期の周期性の局所的方向に対しトレンチにおいて斜入射角βを有する。斜入射角βは1度~17度の範囲内、好適には3度~5度の範囲内である。リッジはビームをリッジの平らな上面808から零次方向β’=βに鏡面反射されたビーム810へ鏡面反射するように構成される。ビームは、トレンチを含む格子周期上に斜入射角βで入射する。トレンチを含むこれらの格子周期(したがって考察中のトレンチに対し局所的であるもの)は、ビームを格子周期から1つ又は複数の非零回折次数方向β’≠βに回折するように固定又は可変ピッチで構成される(図8に示さず)。考察中のトレンチを含まない格子周期(例えば考察中のトレンチに対し局所的でないもの)がある。格子が湾曲される場合及び/又は格子のピッチが変化する場合、それらの格子周期はビームを考察中のトレンチに対し異なる非零回折次数方向に回折し得る。
【0089】
[0084] 上述のように、トレンチの形状は、トレンチのアスペクト比を定義する構造パラメータ上部幅W及び深さDにより記述され得る。トレンチなどの下部構造のアスペクト比は様々な次元におけるそのサイズの比(本明細書ではW/Dとして定義される)である。形状は、零次方向にトレンチフロアから一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように判断される。図8の例では、トレンチ(及びしたがってトレンチ上部からそれを分離する側壁)は、図7に同じスケールで示されるものより大きい深さDを有するように判断される。したがって、トレンチフロア802、804及び側壁806は、零次方向にトレンチフロアから一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成される。リッジの平らな上面及びトレンチの平らなフロアは平行である。鏡面が湾曲した場合、リッジの平らな上面及びトレンチの平らなフロアの、対応するが小さな曲率(鏡面の曲率に適合する)となり得る。より大きな深さは、トレンチフロアの左手側802の半分超を入射ビーム800の陰内に在らしめる。零次方向のトレンチフロアの残り右手側領域804からのビームの鏡面反射はすべて側壁806により隠蔽される。これは、吸収されるか又は入射ビーム方向へ鏡面反射して戻されるかのいずれかであるので零次方向から隠蔽される。トレンチフロア802上へ戻される及び他の側壁812からそれる側壁806の上部からの多重反射は、無視できる割合のビームを零次方向に方向転換する可能性がある。同様に、斜入射角及び側壁角度の特定構成について、側壁806の上部からの二重反射及び他の側壁812からそれる二重反射は無視できる割合のビームを零次方向に方向転換する可能性がある。これは、この短波長放射線の反射に関する損失及び20度超の側壁表面に対する斜入角における損失のために無視できる。したがって、リッジ上部からの鏡面反射と同じ零次方向にトレンチからそれて鏡面反射される入射ビームの一部は零になる傾向がある。
【0090】
[0085] 格子は、湾曲された湾曲鏡面(図3を参照して説明した楕円鏡など)上に作製され得る。他の好適な湾曲形状は環状体、楕円柱、放物面、放物柱、双曲面及び双曲柱を含む。平らなリッジ上部及びトレンチフロアは鏡の曲率に準拠するために若干湾曲され得る。鏡は低散乱反射面を取得するために研磨された基板である。表面は、散乱が十分に抑制されるように、そして所望のものより多くの散乱を(実施形態に従って作製されると)加えない格子が加えられるように研磨される。ホログラフィック方法が、エッチングなどの好適なパターン転写技術により格子をパターン化するために使用され得る。
【0091】
[0086] トレンチのアスペクト比を定義する構造パラメータは次の不等式を満足するように判断される:
【数9】
【0092】
[0087] ここで、Dはトレンチの深さであり、Wはトレンチの上部幅であり、βは格子の周期性の方向に対する斜入射角であり、β’は格子の周期性の方向に対し零次方向(β’=β)又は非零回折次数方向(β’≠β)である。この式は、β’=β及び解析閾値の0.5Wが許容される0.6Wへ変更されると式4になる。
【0093】
[0088] いくつかの実施形態は、第1回折次数における低回折効率と高鏡面反射率とを有し、鏡面反射周囲の散乱は大いに低減される。したがって、格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の好適には大部分、より好適には70%超、又は最も好適には90%超を鏡面反射するように構成される。1又は2度の斜入射角度及び最適鏡材を有する理想的ケースでは、格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の97%超(すなわち反射及び回折された全パワー)を鏡面反射するように構成される。格子周期は、好適には0.5超、より好適には0.7超、又は最も好適には0.9超のトレンチ幅比を超える格子ピッチで構成される。放射線は、1nm~100nmの範囲内、好適には10nm~20nmの範囲内の波長を有する。
【0094】
[0089] 他の例では、入射ビームによる照準線内には平らなフロアが存在しないのでビームのいかなる光線も第2の下部構造から零次方向へ一回も反射しない。このような例は、v字型溝トレンチ、十分に大きな側壁傾斜を有するトレンチ、又は(リッジ面と比較して)傾斜フロアを有するトレンチを含む。このような例では、第2の下部構造から零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるということが成り立つ。
【0095】
[0090] 図9は、側壁により隠蔽されるトレンチフロアからの一次回折の深さ閾値における格子トレンチの概略幾何学的表現を描写する。
【0096】
[0091] トレンチ及び側壁の構成は、選択された非零回折次数(この例では一次)方向におけるトレンチからのビームのいかなる回折も側壁により隠蔽されるように入射ビームの波長とトレンチを含む格子周期のピッチ(P)とを使用して判断される。トレンチのアスペクト比を定義する構造パラメータは式6の不等式(β’≠β)を満足するように判断される。
【0097】
[0092] 図10は発散入射光線を有する湾曲格子の概略幾何学的表現を描写する。いくつかの実施形態は、シンクロトロンと比較して大きな開口数NA(例えば0.005<NA<0.1)を有するメトロロジ装置において実施される。発散ビーム及び湾曲鏡はシンクロトロンと比較して短い経路長及び小さい容積を許容する。入射ビームの発散は格子全体にわたる格子上の様々な斜入射角αを生じる。図10の中央トレンチへの斜入射角をβと定義すれば、格子上の斜入射角αは格子全体にわたりβ超の値からβ未満の値まで変化する。図10は様々な角度間の不等式を示すが、サイン(<又は>)は楕円のどの部が示されるかに依存する。図10におけるβ及びβの不等式は、物体焦点が像焦点より鏡からさらにそれる場合に適用する。
【0098】
[0093] 格子の曲率及び入射ビームの発散は、格子全体にわたるトレンチにおいて入射するビームの様々な斜入角β(局所的に、それぞれのトレンチの基準座標系に対する)を生じる。ビーム発散及び曲率の影響は併せてβの結果局所値をもたらす。この例では、トレンチにおいて入射するビームの斜入射角βはβ未満の値からβ超の値まで変化する。
【0099】
[0094] 図11は湾曲された可変ライン/間隔格子の概略幾何学的表現を描写する。トレンチ深さは一様な値Dである。格子は、例えば可変ピッチと製造するのに便利な一定デューティサイクルとを有するのでトレンチ上部の可変上部幅W(W<W~W>W)を有し得る。右側トレンチはD<0.5Wtanβを有し、したがって、零次方向におけるトレンチフロアからのビームの一部鏡面反射は側壁により隠蔽されない。これは、ターゲットの外側に到達する望ましくない迷光を生じ得る。
【0100】
[0095] 図12は、トレンチのフロアからの鏡面反射の閾値におけるトレンチ深さを有する湾曲された可変ライン/間隔格子の概略幾何学的表現を描写し、最も広い上部は側壁により隠蔽される。格子がトレンチ上部の可変上部幅Wを有する場合、トレンチの深さ(D>D)は、可変上部幅の最大上部幅について式6の不等式を満足するように選択され得る。平らな格子上で入射ビームの発散は入射角の変動に至り、同様な最適化がこのようなケースにおいて行われ得るということにも留意されたい。
【0101】
[0096] 図13は湾曲された可変ライン/間隔格子の概略幾何学的表現を描写し、任意のトレンチフロアからの鏡面反射の閾値における可変トレンチ深さは側壁により隠蔽される。図12に関し、格子はトレンチの可変上部幅Wを有する。この場合、すべてのトレンチの深い溝深さを選択するのではなく、トレンチの深さ(D)は可変幅に応じて式6の不等式を満足するように変更され得る(D<D~D>D)。
【0102】
[0097] 図4図13を参照して説明した格子は、図2図3を参照して説明したメトロロジ装置などの検査装置おいて使用され得る。図4図13を参照して説明した格子はまた、図1を参照して説明したようなリソグラフィ装置おいて使用され得る。次に、これらの装置は以下のものを含む:
放射線のビームを提供するように動作可能な放射線源310、311;
放射線のビームを受信するように配置された図4図13を参照して説明した反射回折格子312;
鏡面反射されたビームを受信するように配置されたターゲットTを支持するためのターゲット支持部316;及び、
格子周期から回折される回折ビームを受信するように配置された検出器314。
【0103】
[0098] 図14は本発明の実施形態による反射回折格子を製造する方法の流れ図である。本方法は、格子に入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子を製造する。放射線は、1nm~100nmの範囲内、好適には10nm~20nmの範囲内の波長を有し得る。格子は、側壁のいずれかの側が入射ビームに面する第1(リッジ)及び第2(トレンチ)の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する図8図13を参照して説明したようなものであり得る。本方法は以下の工程を含む:
【0104】
[0099] 1402:ビームをリッジから零次方向β’=βに鏡面反射されたビームへ鏡面反射するためにリッジの構成を判断する工程。ビームは、トレンチを含む格子周期上の格子の周期性の方向に対し斜入射角βで入射する。格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の好適には大部分、より好適には70%超、又は最も好適には90%超を鏡面反射するように構成される。1又は2度の斜入射角度及び最適鏡材を有する理想的ケースでは、格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の97%超(すなわち反射及び回折された全パワー)を鏡面反射するように構成される。格子周期は、好適には0.5超、より好適には0.7超、又は最も好適には0.9超のトレンチ幅比を超える格子ピッチで構成される。
【0105】
[0100] 1406:1つ又は複数の非零回折次数方向(β’≠β)に格子周期からビームを回折するためにトレンチを含む格子周期の固定又は可変ピッチ構成を判断する工程。これは、入射ビームの波長及び考察中のトレンチを含む格子周期のピッチを含む情報1404を使用する。リッジは平らな上部を含み、トレンチはリッジの平らな上部に平行な平らなフロアを含む。
【0106】
[0101] 1410:トレンチから零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるようにトレンチ及びその格子周期の側壁の構成をトレンチに入射するビームの斜入射角βに基づき判断する工程(1408)。斜入射角βは1度~17度の範囲内、好適には3度~5度の範囲内であり得る。トレンチ及び側壁の構成を判断するこの工程は、選択された非零回折次数方向(β’≠β)におけるトレンチからのビームのいかなる回折も側壁により隠蔽されるように入射ビームの波長とトレンチを含む格子周期のピッチ(P)とを使用して構成を判断することを含み得る。工程1408はトレンチの形状を判断することを含む。これはトレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータ(W、D)を判断することに関与する。これは次の不等式を満足することを含む。
【数10】
ここで、Dはトレンチの深さであり、Wはトレンチの上部幅であり、βは格子の周期性の方向に対する斜入射角であり、β’は格子の周期性の方向に対し零次方向(β’=β)又は非零回折次数方向(β’≠β)である。格子がトレンチの可変上部幅(W)を有する場合、トレンチの深さ(D)は、図12を参照して説明したように、可変上部幅の最大上部幅について上記不等式を満足するように選択される。代替的に、トレンチの深さ(D)は、図13を参照して説明したように、可変幅に応じて上記不等式を満足するように変更される。別の工程が、フロア傾斜及び/又はSWA及び/又は他のパラメータを最適化するために含まれ得る。
【0107】
[0102] 1412:リッジ、側壁及びトレンチの判断された構成を使用して格子を製造する工程。格子は鏡面上に製造され得る。
【0108】
[0103] さらなる実施形態が以降の番号付き条項において提供される:
1.側壁のいずれかの側が入射ビームに面する第1及び第2の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する格子に入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子を製造する方法であって、本方法は以下の工程を含む:
第2の下部構造を含む格子周期上の格子の周期性の方向に対して斜入射角で入射するビームを第1の下部構造から零次方向に鏡面反射されたビームへ鏡面反射するために第1の下部構造の構成を判断する工程、及び
1つ又は複数の非零回折次数方向に格子周期からビームを回折するために第2の下部構造を含む格子周期の固定又は可変ピッチ構成を判断する工程;
第2の下部構造から零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように第2の下部構造及びその格子周期の側壁の構成を斜入射角に基づき判断する工程;及び
第1及び第2の下部構造及び側壁の判断された構成を使用して格子を製造する工程。
2.第2の下部構造及び側壁の構成を判断する工程は、選択された非零回折次数方向へ第2の下部構造から回折するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成を、入射ビームの波長及び第2の下部構造を含む格子周期のピッチを使用して判断することを含む、条項1に記載の方法。
3.格子を製造する工程は鏡面上に格子を作製することを含む、条項1乃至2のいずれか一条項に記載の方法。
4.鏡面は湾曲される、条項3に記載の方法。
5.第1の下部構造はリッジを含み、第2の下部構造はトレンチを含む、条項1乃至4のいずれか一条項に記載の方法。
6.リッジは平らな上面を含み、トレンチはリッジの平らな上面に平行な平らなフロアを含む、条項5に記載の方法。
7.第2の下部構造及び側壁の構成を判断する工程はトレンチの形状を判断することを含む、条項5又は条項6に記載の方法。
8.第2の下部構造及び側壁の構成を判断する工程はトレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを判断することを含む、条項5乃至7のいずれか一条項に記載の方法。
9.トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを判断することは次の不等式を満足することを含む、条項8に記載の方法:
【数11】
ここで、Dはトレンチの深さであり、Wはトレンチの上部幅であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。
10.格子はトレンチの可変上部幅を有し、トレンチの深さは可変上部幅の最大上部幅に関し上記不等式を満足するように選択される、条項9に記載の方法。
11.格子はトレンチの可変上部幅を有し、トレンチの深さは可変幅に応じて上記不等式を満足するように変更される、条項9に記載の方法。
12.格子周期は0.5超のトレンチ幅比を超える格子ピッチにより構成される、条項5乃至11のいずれか一条項に記載の方法。
13.格子周期は0.7超のトレンチ幅比を超える格子ピッチにより構成される、条項12に記載の方法。
14.格子周期は0.9超のトレンチ幅比を超える格子ピッチにより構成される、条項13に記載の方法。
15.格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の大部分を鏡面反射するように構成される、条項1乃至11のいずれか一条項に記載の方法。
16.格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の70%超を鏡面反射するように構成される、条項15に記載の方法。
17.格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の90%超を鏡面反射するように構成される、条項16に記載の方法。
18.放射線は1nm~100nmの範囲内の波長を有する、条項1乃至17のいずれか一条項に記載の方法。
19.放射線は10nm~20nmの範囲内の波長を有する、条項18に記載の方法。
20.斜入射角は1度~17度の範囲内である、条項1乃至19のいずれか一条項に記載の方法。
21.斜入射角は3度~5度の範囲内である、条項20に記載の方法。
22.鏡面は0.2nm未満の二乗平均平方根表面誤差を有する、条項3を参照した条項1乃至21のいずれか一条項に記載の方法。
23.固定又は可変ピッチは、次の範囲内である、条項1乃至22のいずれか一条項に記載の方法:
【数12】
ここで、α=0.5及びα=0.05、λは波長であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。
24.トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータを判断することは次の不等式を満足することを含む、条項8に記載の方法:
D>0.6Wtanβ
ここで、Dはトレンチの深さであり、βは斜入射角であり、そしてWはトレンチの上部幅である。
25.反射回折格子は可変ライン間隔格子である、条項1乃至24のいずれか一条項に記載の方法。
26.可変ライン間隔格子の最大ピッチは次の範囲である、条項25のいずれかに記載の方法:
【数13】
ここで、α=0.5及びα=0.05、λは波長であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。
27.入射する放射線の斜入射ビームを鏡面反射及び回折するための反射回折格子であって側壁のいずれかの側が入射ビームに面する第1及び第2の下部構造を含む格子周期を有する周期構造を有する反射回折格子において、本反射回折格子は以下のものを含む:
第2の下部構造を含む格子周期上の格子の周期性の方向に対して斜入射角で入射するビームを第1の下部構造から零次方向に鏡面反射されたビームへ鏡面反射するように構成された第1の下部構造、及び
1つ又は複数の非零回折次数方向に格子周期からビームを回折するために固定又は可変ピッチにより構成される第2の下部構造を含む格子周期であって、第2の下部構造及び側壁は、第2の下部構造から零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成され、格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の大部分を鏡面反射するように構成される、反射回折格子。
28.格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の70%超を鏡面反射するように構成される、条項27に記載の反射回折格子。
29.格子周期は鏡面反射及び回折された放射線の90%超を鏡面反射するように構成される、条項28に記載の反射回折格子。
30.第2の下部構造及び側壁は、選択された非零回折次数方向へ第2の下部構造から回折するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成される、条項27乃至29のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
31.格子は鏡面上に作製される、条項27乃至29のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
32.鏡面は湾曲される、条項31に記載の反射回折格子。
33.第1の下部構造はリッジを含み、第2の下部構造はトレンチを含む、条項27乃至32のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
34.リッジは平らな上面を含み、トレンチはリッジの平らな上面に平行な平らなフロアを含む、条項33に記載の反射回折格子。
35.トレンチの形状は、第2の下部構造から零次方向へ一回反射するビームのいかなる光線も側壁により隠蔽されるように構成される、条項33又は条項34に記載の反射回折格子。
36.トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータは次の不等式を満足する、条項33乃至35のいずれか一条項に記載の反射回折格子:
【数14】
ここで、Dはトレンチの深さであり、Wはトレンチの上部幅であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。
37.格子はトレンチの可変上部幅を有し、トレンチの深さは可変上部幅の最大上部幅に関し上記不等式を満足するように構成される、条項36に記載の反射回折格子。
38.格子はトレンチの可変上部幅を有し、トレンチの深さは可変幅に応じて不等式を満足するように変更される、条項36に記載の反射回折格子。
39.格子周期は0.5超のトレンチ幅比を超える格子ピッチにより構成される、条項33乃至38のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
40.格子周期は0.7超のトレンチ幅比を超える格子ピッチにより構成される、条項39に記載の反射回折格子。
41.格子周期は0.9超のトレンチ幅比を超える格子ピッチにより構成される、条項40に記載の反射回折格子。
42.放射線は1nm~100nmの範囲内の波長を有する、条項27乃至41のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
43.放射線は10nm~20nmの範囲内の波長を有する、条項42に記載の反射回折格子。
44.斜入射角は1度~17度の範囲内である、条項27乃至43のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
45.鏡面は0.2nm未満の二乗平均平方根表面誤差を有する、条項31を参照した条項27乃至44のいずれか一条項に記載の方法。
46.固定又は可変ピッチは次の範囲内である、条項27乃至45のいずれか一条項に記載の方法:
【数15】
ここで、α=0.5及びα=0.05、λは波長であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。
47.トレンチのアスペクト比を定義する1つ又は複数の構造パラメータは次の不等式を満足する、条項33乃至35のいずれか一条項に記載の反射回折格子:
D>0.6Wtanβ
ここで、Dはトレンチの深さであり、βは斜入射角であり、Wはトレンチの上部幅である。
48.反射回折格子は可変ライン間隔格子である、条項27乃至47のいずれか一条項に記載の反射回折格子。
49.可変ライン間隔格子の最大ピッチは次の範囲である、条項48に記載の反射回折格子:
【数16】
ここで、α=0.5及びα=0.05、λは波長であり、βは斜入射角であり、β’は零次方向又は非零回折次数方向である。
50.斜入射角は3度~5度の範囲内である、条項44に記載の反射回折格子。
51.
ターゲットの照射のための放射線のビームを提供するように動作可能な放射線源;
放射線のビームを受信するように配置された条項22~40のいずれか一条項の反射回折格子;
鏡面反射されたビームを受信するように配置されたターゲットを支持するためのターゲット支持体;及び
格子周期から回折される回折ビームを受信するように配置された検出器、を含む検査装置。
52.条項46の検査装置を含むメトロロジ装置。
53.条項46の検査装置を含むリソグラフィ装置。
【0109】
[0104] 本明細書では、検査、メトロロジ、及びリソグラフィ装置をICの製造で使用することが具体的に参照されているが、本明細書に記載の装置は、他の用途を有し得ることが理解されるべきである。可能な他の用途として、一体型光学系、磁区メモリのガイダンスパターン及び検出パターン、平面パネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造がある。
【0110】
[0105] 本明細書では、本発明の実施形態をリソグラフィ装置に関連して具体的に参照している場合があるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用され得る。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置或いはウェハ(若しくは他の基板)又はマスク(若しくは他のパターニングデバイス)等の物体を測定又はプロセスする任意の装置の一部をなし得る。これらの装置は、まとめてリソグラフィツールと呼ばれ得る。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を用い得る。
【0111】
[0106] 本発明の実施形態を光リソグラフィに関連して使用することをここまで具体的に参照してきたが、本発明は、文脈が許す限り、光リソグラフィに限定されず、他の用途で使用され得、例えばインプリントリソグラフィで使用され得ることが理解される。
【0112】
[0107] ここまで本発明の特定の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明は、説明された以外の方法で実施され得る。上述の説明は、限定的ではなく、例示的であるものとする。したがって、当業者であれば明らかなように、以下に示される特許請求項の範囲から逸脱しない限り、記載された本発明に対する修正形態がなされ得る。
【0113】
[0108] SXR、又はSXR及びEUV電磁放射線が具体的に参照されるが、本発明は、文脈が許す場合、電波、マイクロ波、赤外線、(可視)光、紫外線、X線及びガンマ線を含むすべての電磁放射線により実行され得るということが理解されることになる。光学メトロロジ方法の代案として、メトロロジ測定のためのX線、任意選択的に硬X線、例えば波長範囲0.01nm~10nm、又は任意選択的に0.01nm~0.2nm、又は任意選択的に0.1nm~0.2nm内の放射線を使用することも考慮された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14