(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】温度制御システム、及び統合温度制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 23/00 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
G05D23/00 A
(21)【出願番号】P 2019203218
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 雅之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 功宏
(72)【発明者】
【氏名】中澤 敏治
(72)【発明者】
【氏名】高梨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】福住 幸大
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/066763(WO,A1)
【文献】特開2001-134324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する第1調整装置と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備え、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体の温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調整して吐出する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えて
おり、
前記第1調整装置は、前記第1熱媒体を貯留する第1タンクを有し、前記第1タンクは、前記第1温度に調整された前記第1熱媒体を貯留し、
前記第2調整装置は、前記第2熱媒体を貯留する第2タンクを有し、前記第2タンクは、前記第2温度に調整された前記第1熱媒体を貯留する、温度制御システム。
【請求項2】
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、
前記第1往路は、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部まで流通させ、
前記第1復路は、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させ、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体が流通し、前記第3温度よりも高い第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、
前記第2往路は、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部まで流通させ、
前記第2復路は、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる、請求項
1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する第1調整装置と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備え、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体の温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調整して吐出する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えており、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、
前記第1往路は、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部まで流通させ、
前記第1復路は、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させ、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体が流通し、前記第3温度よりも高い第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、
前記第2往路は、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部まで流通させ、
前記第2復路は、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる、温度制御システム。
【請求項4】
前記調整部は、
前記第1往路に設けられ、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部と前記第1蓄熱部とに分配する比率を変更する第1分配弁と、
前記第2往路に設けられ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部と前記第2蓄熱部とに分配する比率を変更する第2分配弁と、を含む、請求項
2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記第1分配弁及び前記第2分配弁を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1流通部に流通させる場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2流通部に流通させる場合に、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させる、請求項4に記載の温度制御システム。
【請求項6】
前記第1蓄熱部は、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体が流通する第1放熱流通部と、
前記第1放熱流通部から独立しており、前記第1流通部を流通していない前記第1熱媒体が流通する第1蓄熱流通部と、を含み、
前記第2蓄熱部は、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体が流通する第2放熱流通部と、
前記第2放熱流通部から独立しており、前記第2流通部を流通していない前記第2熱媒体が流通する第2蓄熱流通部と、を含む、請求項4又は5に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記第1分配弁では、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部と前記第1蓄熱部とに分配する比率にかかわらず、前記第1熱媒体の圧力損失が一定であり、
前記第2分配弁では、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部と前記第2蓄熱部とに分配する比率にかかわらず、前記第2熱媒体の圧力損失が一定である、請求項4~6のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項9】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する第1調整装置と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備え、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体の温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調整して吐出する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えており、
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含む、温度制御システム。
【請求項10】
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含み、
前記第1分配弁、前記第2分配弁、及び前記第3分配弁を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記熱交換部から前記第3流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させ、前記熱交換部から前記第4流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させる、請求項4~7のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項11】
前記第3復路は、
前記熱交換部から前記第1蓄熱部を介して前記第3流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第1仲介復路と、
前記熱交換部から前記第2蓄熱部を介して前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第2仲介復路と、を含む、請求項
10に記載の温度制御システム。
【請求項12】
前記第3分配弁では、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率にかかわらず、前記第3熱媒体の圧力損失が一定である、請求項8~
11のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項13】
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部を介さず前記熱交換部まで戻る前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第4分配弁を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項14】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する第1調整装置と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備え、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体の温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調整して吐出する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えており、
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部を介さず前記熱交換部まで戻る前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第4分配弁を含む、温度制御システム。
【請求項15】
前記第1循環回路、前記第2循環回路、及び前記第3循環回路から独立しており、第4熱媒体が循環する第4循環回路を備え、
前記第3熱媒体の使用可能な温度範囲は、前記第4熱媒体の使用可能な温度範囲よりも広く、
前記第4循環回路は、
前記第4熱媒体の温度を前記第1温度よりも低い第5温度に調整して吐出する第3調整装置と、
前記第4熱媒体が流通する第5流通部と、
前記第3調整装置から供給された前記第4熱媒体を、前記第5流通部まで流通させる第4往路と、
前記第5流通部を流通した前記第4熱媒体を、前記第3調整装置まで流通させる第4復路と、を備え、
前記第3循環回路は、前記第3熱媒体が流通し、前記第5流通部と熱交換する第6流通部を備え、
前記第3往路は、前記第3流通部、前記第4流通部、及び前記第6流通部から、前記熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させ、
前記第3復路は、前記熱交換部から前記第3流通部、前記第4流通部、及び前記第6流通部まで前記第3熱媒体を流通させ、
前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第6流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する、請求項1~7のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項16】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する第1調整装置と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備え、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体の温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調整して吐出する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えており、
前記第1循環回路、前記第2循環回路、及び前記第3循環回路から独立しており、第4熱媒体が循環する第4循環回路を備え、
前記第3熱媒体の使用可能な温度範囲は、前記第4熱媒体の使用可能な温度範囲よりも広く、
前記第4循環回路は、
前記第4熱媒体の温度を前記第1温度よりも低い第5温度に調整して吐出する第3調整装置と、
前記第4熱媒体が流通する第5流通部と、
前記第3調整装置から供給された前記第4熱媒体を、前記第5流通部まで流通させる第4往路と、
前記第5流通部を流通した前記第4熱媒体を、前記第3調整装置まで流通させる第4復路と、を備え、
前記第3循環回路は、前記第3熱媒体が流通し、前記第5流通部と熱交換する第6流通部を備え、
前記第3往路は、前記第3流通部、前記第4流通部、及び前記第6流通部から、前記熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させ、
前記第3復路は、前記熱交換部から前記第3流通部、前記第4流通部、及び前記第6流通部まで前記第3熱媒体を流通させ、
前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第6流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する、温度制御システム。
【請求項17】
前記調整部は、前記第3復路に設けられた第5分配弁と第6分配弁とを含み、
前記第5分配弁は、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第6分配弁まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更し、
前記第6分配弁は、前記第5分配弁から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記第5分配弁から前記第6流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する、請求項
15又は16に記載の温度制御システム。
【請求項18】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の温度制御システムを複数備え、
前記第1調整装置は、複数の前記温度制御システムに対して1台設けられている、統合温度制御システム。
【請求項19】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の温度制御システムを複数備え、
複数の前記第1調整装置は、共通の往ヘッダに前記第1温度に調整した前記第1熱媒体を吐出し、共通の復ヘッダから前記第1熱媒体を吸入し、
複数の前記温度制御システムの前記第1往路は、前記往ヘッダに接続されており、
複数の前記温度制御システムの前記第1復路は、前記復ヘッダに接続されている、統合温度制御システム。
【請求項20】
複数の前記第1調整装置の冷却負荷の合計に応じて運転させる前記第1調整装置の台数を設定し、複数の前記第1調整装置の運転時間が均等になるように複数の前記第1調整装置を運転させる、請求項
19に記載の統合温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象の温度を制御する温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度制御対象との間で熱交換を行う熱交換器と、冷却手段と熱交換流体の貯留タンクとを有する冷却側循環回路と、加熱手段と熱交換流体の貯留タンクとを有する加熱側循環回路と、熱交換器に対して冷却側循環回路と加熱側循環回路とを切り替えて接続する切替弁と、を備え、熱交換器に熱交換流体を循環供給する温度調整システムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の温度調整システム(温度制御システム)では、熱交換器と冷却側循環回路と加熱側循環回路とに、共通の熱交換流体(熱媒体)を循環させている。このため、熱交換器に循環供給する熱交換流体の量が多くなり、熱交換流体の温度を速やかに変化させることができない。したがって、特許文献1に記載の温度調整システムは、温度制御対象(制御対象)の温度を制御する応答性を向上させる上で、改善の余地がある。また、低温から高温まで広い温度範囲で使用可能な熱交換流体は、高価であることが多く、高価な熱交換流体の使用量を減少させることが望ましい。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、高価な熱媒体の使用量を減少させることができ、且つ制御対象の温度を制御する応答性を向上させることのできる温度制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する第1調整装置と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備え、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体の温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調整して吐出する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えている。
【0007】
上記構成によれば、温度制御システムは、制御対象の温度を制御する。温度制御システムは、第1熱媒体が循環する第1循環回路と、第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、第3循環回路とを備えている。第3循環回路は、第1循環回路及び第2循環回路から独立しており、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する。このため、第3熱媒体が高価であったとしても、第3循環回路にのみ第3熱媒体を循環させて、第3熱媒体の使用量を減少させることができる。しかも、第3循環回路は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。このため、第3循環回路を循環する第3熱媒体の量を、さらに減少させることができる。なお、第1熱媒体と第2熱媒体とは同じ種類の熱媒体であってもよい。
【0008】
第1循環回路は、第1調整装置を備えている。第1調整装置は、第1熱媒体の温度を第1温度に調整して吐出する。このため、熱交換に使用する第1温度に調整された第1熱媒体を供給することができる。第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体を使用しているため、第1熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0009】
第1循環回路は、第1熱媒体が流通する第1流通部と、第1調整装置から供給された第1熱媒体を、第1流通部まで流通させる第1往路と、第1流通部を流通した第1熱媒体を、第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備えている。このため、第1熱媒体を介して、第1流通部まで熱エネルギを供給することができる。また、第2循環回路では、第2調整装置が第2熱媒体の温度を第1温度よりも高い第2温度に調整し、第1循環回路と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。
【0010】
第3循環回路は、第3熱媒体が流通し、第1流通部と熱交換する第3流通部と、第3熱媒体が流通し、第2流通部と熱交換する第4流通部と、を備えている。このため、第1流通部まで供給された熱エネルギを、第1流通部と第3流通部との熱交換を通じて第3流通部に供給することができる。同様に、第2流通部まで供給された熱エネルギを、第2流通部と第4流通部との熱交換を通じて第4流通部に供給することができる。
【0011】
第3循環回路は、第3流通部及び第4流通部から、制御対象と熱交換する熱交換部まで第3熱媒体を流通させる第3往路と、熱交換部から第3流通部及び第4流通部まで第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備えている。このため、第3熱媒体を介して、制御対象と熱交換する熱交換部まで熱エネルギを供給することができる。温度制御システムは、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量、及び第2流通部と第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えている。このため、調整部により、第3流通部及び第4流通部に供給する熱エネルギを調整することができ、第3熱媒体を介して熱交換部に供給する熱エネルギ、ひいては制御対象の温度を制御することができる。ここで、上記のように、第3循環回路を循環する第3熱媒体の量を減少させることができる。したがって、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができ、制御対象の温度を制御する応答性を向上させることができる。
【0012】
第2の手段では、前記第1調整装置は、前記第1熱媒体を貯留する第1タンクを有し、前記第1タンクは、前記第1温度に調整された前記第1熱媒体を貯留し、前記第2調整装置は、前記第2熱媒体を貯留する第2タンクを有し、前記第2タンクは、前記第2温度に調整された前記第1熱媒体を貯留する。
【0013】
上記構成によれば、第1調整装置は、第1熱媒体を貯留する第1タンクを有し、第1タンクは、第1温度に調整された第1熱媒体を貯留する。このため、熱交換に使用する第1温度に調整された第1熱媒体を、第1調整装置の第1タンクから充分に供給することができる。その場合であっても、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体を使用しているため、第1熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。同様に、第2循環回路において、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第2熱媒体を使用しているため、第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0014】
第3の手段では、
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、
前記第1往路は、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部まで流通させ、
前記第1復路は、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部を流通した前記第1熱媒体を、前記第1調整装置まで流通させ、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体が流通し、前記第3温度よりも高い第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、
前記第2往路は、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部まで流通させ、
前記第2復路は、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる。
【0015】
上記構成によれば、第1蓄熱部と、第1調整装置から供給された第1熱媒体を、第1流通部及び第1蓄熱部まで流通させる第1往路と、第1流通部及び第1蓄熱部を流通した第1熱媒体を、第1調整装置まで流通させる第1復路と、を備えている。このため、第1熱媒体を介して、第1流通部及び第1蓄熱部まで熱エネルギを供給することができる。第1蓄熱部は、第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。このため、制御対象の温度を変化させる時等に備えて、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えておくことができる。また、第2循環回路では、第2調整装置が第2熱媒体の温度を第1温度よりも高い第2温度に調整し、第1循環回路と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。
【0016】
そして、調整部により、第3流通部及び第4流通部に供給する熱エネルギを調整する際に、第1蓄熱部及び第2蓄熱部に蓄えておいた熱エネルギも使用することができる。このため、第3流通部及び第4流通部に供給する熱エネルギを増加させることができ、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができる。したがって、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0017】
第4の手段では、前記第1往路に設けられ、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部と前記第1蓄熱部とに分配する比率を変更する第1分配弁と、前記第2往路に設けられ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部と前記第2蓄熱部とに分配する比率を変更する第2分配弁と、を含む。
【0018】
上記構成によれば、第1往路には、第1調整装置から供給された第1熱媒体を、第1流通部と第1蓄熱部とに分配する比率を変更する第1分配弁が設けられている。このため、第1調整装置から、第1流通部に供給する熱エネルギと、第1蓄熱部に供給する熱エネルギとの比率を、第1分配弁により変更することができる。したがって、第1流通部と第3流通部との熱交換に使用する熱エネルギと、第1蓄熱部に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。同様に、第2流通部と第4流通部との熱交換に使用する熱エネルギと、第2蓄熱部に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。
【0019】
第5の手段では、前記第1分配弁及び前記第2分配弁を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1流通部に流通させる場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2流通部に流通させる場合に、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させる。
【0020】
上記構成によれば、温度制御システムは、第1分配弁及び第2分配弁を制御する制御部を備えている。そして、制御部は、第1調整装置から供給された第1熱媒体を第1分配弁により第1流通部に流通させる場合に、第2調整装置から供給された第2熱媒体を第2分配弁により第2蓄熱部に流通させる。このため、第1調整装置から供給された第1熱媒体を第1流通部に流通させる場合、すなわち第2流通部と第4流通部とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第2蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。一方、第2調整装置から供給された第2熱媒体を第2流通部に流通させる場合、すなわち第1流通部と第3流通部とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。
【0021】
第6の手段では、前記第1蓄熱部は、前記第1流通部を流通した前記第1熱媒体が流通する第1放熱流通部と、前記第1放熱流通部から独立しており、前記第1流通部を流通していない前記第1熱媒体が流通する第1蓄熱流通部と、を含み、前記第2蓄熱部は、前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体が流通する第2放熱流通部と、前記第2放熱流通部から独立しており、前記第2流通部を流通していない前記第2熱媒体が流通する第2蓄熱流通部と、を含む。
【0022】
上記構成によれば、第1流通部を流通した第1熱媒体と、第1流通部を流通していない第1熱媒体とを、互いに独立させて第1蓄熱部に流通させることができる。このため、第1蓄熱部において、第1流通部を流通した第1熱媒体と、第1流通部を流通していない第1熱媒体とが混合する構成と比較して、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄える効率を向上させることができる。同様に、第2蓄熱部に熱エネルギを蓄える効率を向上させることができる。
【0023】
第7の手段では、前記第1分配弁では、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を、前記第1流通部と前記第1蓄熱部とに分配する比率にかかわらず、前記第1熱媒体の圧力損失が一定であり、前記第2分配弁では、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部と前記第2蓄熱部とに分配する比率にかかわらず、前記第2熱媒体の圧力損失が一定である。
【0024】
上記構成によれば、第1分配弁では、第1調整装置から供給された第1熱媒体を、第1流通部と第1蓄熱部とに分配する比率にかかわらず、第1熱媒体の圧力損失が一定である。このため、第1熱媒体の圧力損失が変動することによる負荷を、第1調整装置にかけないようにすることができる。さらに、ポンプにより第1循環回路に第1熱媒体を循環させる場合に、第1分配弁での第1熱媒体の圧力損失が一定であるため、ポンプの駆動状態を制御する必要がなく、一定の駆動状態でポンプを駆動することができる。第2循環回路においても同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
第8の手段では、前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含む。
【0026】
上記構成によれば、第3復路には、熱交換部から第3流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第4流通部まで流通する第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁が設けられている。このため、第3流通部が第1流通部から受け取る熱エネルギと、第4流通部が第2流通部から受け取る熱エネルギとの比率を、第3分配弁により変更することができる。さらに、例えば熱交換部から第4流通部にのみ第3熱媒体を流通させることにより、第3流通部に第3熱媒体が流通することによる第1流通部と第3流通部との熱交換を抑制することができる。なお、第3流通部に第3熱媒体が流通する場合は、第1流通部に第1熱媒体が流通していなくても、第1流通部に残留する熱エネルギが第3流通部に供給されるおそれがある。この点、上記構成によれば、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0027】
第9の手段では、前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含み、前記第1分配弁、前記第2分配弁、及び前記第3分配弁を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記熱交換部から前記第3流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第1調整装置から供給された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させ、前記熱交換部から前記第4流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させる。
【0028】
上記構成によれば、温度制御システムは、第1分配弁、第2分配弁、及び第3分配弁を制御する制御部を備えている。そして、制御部は、熱交換部から第3流通部まで第3分配弁により第3熱媒体を流通させない場合に、第1調整装置から供給された第1熱媒体を第1分配弁により第1蓄熱部に流通させる。このため、熱交換部から第3流通部まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第1流通部と第3流通部とで熱交換を行う必要がない場合に、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。一方、熱交換部から第4流通部まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第2流通部と第4流通部とで熱交換を行う必要がない場合に、第2蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。
【0029】
第10の手段では、前記第3復路は、前記熱交換部から前記第1蓄熱部を介して前記第3流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第1仲介復路と、前記熱交換部から前記第2蓄熱部を介して前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第2仲介復路と、を含む。
【0030】
上記構成によれば、第3復路は、熱交換部から第1蓄熱部を介して第3流通部まで第3熱媒体を流通させる第1仲介復路を含んでいる。このため、熱交換部から第3流通部まで第3熱媒体を流通させる場合に、第1蓄熱部から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。同様に、熱交換部から第4流通部まで第3熱媒体を流通させる場合に、第2蓄熱部から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。したがって、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0031】
第11の手段では、前記第3分配弁では、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率にかかわらず、前記第3熱媒体の圧力損失が一定である。このため、ポンプにより第3循環回路に第3熱媒体を循環させる場合に、ポンプの駆動状態を制御する必要がなく、一定の駆動状態でポンプを駆動することができる。
【0032】
第12の手段では、前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部を介さず前記熱交換部まで戻る前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第4分配弁を含む。
【0033】
上記構成によれば、第3復路には、熱交換部から第3流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第3流通部及び第4流通部を介さず熱交換部まで戻る第3熱媒体と、熱交換部から第4流通部まで流通する第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁が設けられている。このため、第3流通部が第1流通部から受け取る熱エネルギと、熱交換部に戻す熱エネルギと、第4流通部が第2流通部から受け取る熱エネルギとの比率を、第4分配弁により変更することができる。さらに、熱交換部から第3流通部及び第4流通部まで第3熱媒体を流通させず、熱交換部から流出した第3熱媒体を熱交換部にそのまま戻す状態を実現することができる。
【0034】
第13の手段では、
前記第1循環回路、前記第2循環回路、及び前記第3循環回路から独立しており、第4熱媒体が循環する第4循環回路を備え、
前記第3熱媒体の使用可能な温度範囲は、前記第4熱媒体の使用可能な温度範囲よりも広く、
前記第4循環回路は、
前記第4熱媒体の温度を前記第1温度よりも低い第5温度に調整して吐出する第3調整装置と、
前記第4熱媒体が流通する第5流通部と、
前記第3調整装置から供給された前記第4熱媒体を、前記第5流通部まで流通させる第4往路と、
前記第5流通部を流通した前記第4熱媒体を、前記第3調整装置まで流通させる第4復路と、を備え、
前記第3循環回路は、前記第3熱媒体が流通し、前記第5流通部と熱交換する第6流通部を備え、
前記第3往路は、前記第3流通部、前記第4流通部、及び前記第6流通部から、前記熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させ、
前記第3復路は、前記熱交換部から前記第3流通部、前記第4流通部、及び前記第6流通部まで前記第3熱媒体を流通させ、
前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第6流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する。
【0035】
上記構成によれば、第4循環回路では、第3調整装置が第4熱媒体の温度を第1温度よりも低い第5温度に調整し、第1循環回路と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。調整部は、第3復路に設けられ、熱交換部から第3流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第4流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第6流通部まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。このため、第3流通部が第1流通部から受け取る熱エネルギと、第4流通部が第2流通部から受け取る熱エネルギと、第6流通部が第5流通部から受け取る熱エネルギとの比率を変更することができる。したがって、例えば制御対象の温度を第1温度に近い温度まで低下させる際に、第3熱媒体を第6流通部に一時的に流通させることにより、制御対象の温度を急速に低下させることができる。その結果、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0036】
具体的には、第14の手段のように、前記調整部は、前記第3復路に設けられた第5分配弁と第6分配弁とを含み、前記第5分配弁は、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第6分配弁まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更し、前記第6分配弁は、前記第5分配弁から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記第5分配弁から前記第6流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する、といった構成を採用することができる。こうした構成よれば、熱交換部から第3流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第4流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第6流通部まで流通する第3熱媒体との比率を、2つの分配弁により任意に変更することができる。
【0037】
第15の手段は、統合温度制御システムであって、第1~第12のいずれか1つの手段の温度制御システムを複数備え、前記第1調整装置は、複数の前記温度制御システムに対して1台設けられている。こうした構成によれば、第1熱媒体の温度を第2温度よりも低い第1温度に調整して吐出する第1調整装置を、複数の温度制御システムにおいて1台にまとめることができる。このため、第1調整装置として、例えば一般的なチラーの10~100倍の冷却能力を有する冷凍機を採用することができ、複数の温度制御システムを備える統合温度制御システムの構成を簡潔にすることができる。
【0038】
ここで、温度制御システムは、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量、及び第2流通部と第4流通部とで交換する熱量を調整部により調整して、制御対象の温度を制御する。このため、第1調整装置は第1熱媒体の温度を一定の第1温度に調整して吐出すればよく、制御対象の目標温度の変化に応じて第1熱媒体の温度を変化させる必要がない。したがって、複数の温度制御システムに対して1台の第1調整装置が設けられた構成であっても、各温度制御システムの制御対象の温度を制御することができる。
【0039】
第16の手段は、統合温度制御システムであって、第1~第12のいずれか1つの手段の温度制御システムを複数備え、複数の前記第1調整装置は、共通の往ヘッダに前記第1温度に調整した前記第1熱媒体を吐出し、共通の復ヘッダから前記第1熱媒体を吸入し、複数の前記温度制御システムの前記第1往路は、前記往ヘッダに接続されており、複数の前記温度制御システムの前記第1復路は、前記復ヘッダに接続されている。
【0040】
上記構成によれば、複数の第1調整装置は、共通の往ヘッダに第1温度に調整した第1熱媒体を吐出する。そして、複数の温度制御システムの第1往路は、往ヘッダに接続されている。このため、複数の第1調整装置から吐出された第1温度の第1熱媒体を、共通の往ヘッダに貯めておくことができる。そして、例えば特定の制御対象の温度を急速に下げたい場合等、1台の第1調整装置では第1温度の第1熱媒体を供給する能力が不足する場合であっても、往ヘッダから第1温度の第1熱媒体を充分に供給することができる。
【0041】
そして、複数の温度制御システムの第1復路は、共通の復ヘッダに接続されており、複数の第1調整装置は、復ヘッダから第1熱媒体を吸入する。このため、復ヘッダにおいて、複数の温度制御システムの第1復路から戻る第1熱媒体を混ぜることができる。したがって、第1熱媒体の温度を平均化してから各第1調整装置に第1熱媒体を戻すことができ、複数の第1調整装置の冷却負荷が偏ることを抑制することができる。
【0042】
第17の手段では、複数の前記第1調整装置の冷却負荷の合計に応じて運転させる前記第1調整装置の台数を設定し、複数の前記第1調整装置の運転時間が均等になるように複数の前記第1調整装置を運転させる。
【0043】
上記構成によれば、複数の第1調整装置の冷却負荷の合計に応じて運転させる第1調整装置の台数が設定される。このため、複数の第1調整装置の運転台数を適切に設定することができ、第1調整装置の運転効率を向上させることができる。さらに、複数の第1調整装置の運転時間が均等になるように複数の第1調整装置が運転させられる。このため、特定の第1調整装置の運転時間のみが長くなることを抑制することができ、特定の第1調整装置の寿命が短くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図7】第7実施形態の統合温度制御システムの模式図。
【
図8】第8実施形態の統合温度制御システムの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(第1実施形態)
以下、半導体製造装置の下部電極(制御対象)の温度を制御する温度制御システムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0046】
図1に示すように、温度制御システム100は、第1循環回路10、第2循環回路20、第3循環回路30、及び制御部80等を備えている。
【0047】
第1循環回路10は、第1熱媒体が循環する回路である。第1熱媒体は、例えばエチレングリコール60%、及び水40%からなる液体である。第2循環回路20は、第1循環回路10から独立しており、第2熱媒体が循環する回路である。第2熱媒体は、例えば第1熱媒体と同一の液体である。第1熱媒体及び第2熱媒体は、比較的安価である。
【0048】
第3循環回路30は、第1循環回路10及び第2循環回路20から独立しており、第3熱媒体が循環する回路である。第3熱媒体は、例えばフッ素系の不活性液体である。第3熱媒体の使用可能な下限温度は、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な下限温度よりも低い。第3熱媒体の使用可能な上限温度は、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な上限温度よりも高い。すなわち、第3熱媒体の使用可能な温度は範囲は、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも広い。このため、第3熱媒体は、第1熱媒体及び第2熱媒体よりも高価である。
【0049】
第1循環回路10は、第1チラー11、第1分配弁12、流量計13、3つ(複数)の第1流通部14、第1蓄熱ユニット16等を備えている。
【0050】
第1チラー11(第1調整装置)は、タンク11a、ポンプ11b等を備えている。第1チラー11は、第1熱媒体の温度を-20℃(第1温度)に調整する。タンク11a(第1タンク)は、-20℃に調整された第1熱媒体を貯留する。ポンプ11bは、タンク11aに貯留された第1熱媒体を流路17aへ吐出する。流路17aは、第1分配弁12のコモンポート(COM)に接続されている。
【0051】
第1分配弁12(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。Aポートには、流路17bが接続されている。Bポートには、流路17dが接続されている。第1分配弁12は、流路17aから、流路17bへ流れる第1熱媒体の流量と、流路17dへ流れる第1熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。第1分配弁12は、流路17aから流路17bへ第1熱媒体が100%流れる状態と、流路17aから流路17dへ第1熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。第1分配弁12では、第1チラー11から供給された第1熱媒体を、3つの第1流通部14と第1蓄熱ユニット16の第1蓄熱流通部16bとに分配する比率にかかわらず、第1熱媒体の圧力損失が一定である。第1分配弁12の分配比率にかかわらず、ポンプ11bの負荷が変化しないため、ポンプ11bは一定の駆動状態で駆動される。
【0052】
流路17bには、流量計13が設けられている。流量計13は、流路17bを流れる第1熱媒体の流量を計測する。流路17bは、3つ(複数)の流路17cに分岐している。各流路17cは、各第1流通部14に接続されている。3つの第1流通部14は、熱交換器31の内部に設けられており、第1熱媒体が流通する。
【0053】
各第1流通部14には、各流路18aが接続されている。3つ(複数)の流路18aは、流路18bに統合している。
【0054】
第1蓄熱ユニット16(第1蓄熱部)は、第1蓄熱材16a、第1蓄熱流通部16b、及び第1放熱流通部16cを備えている。第1蓄熱材16aは、固体と液体との間で状態変化する際の潜熱を、熱エネルギとして蓄える。第1蓄熱材16aは、-10℃(第3温度)において固体と液体との間で状態変化する。第1蓄熱材16aの状態変化温度や蓄熱エネルギは、第1蓄熱材16aの成分割合を変更することで調整可能である。第1蓄熱流通部16b及び第1放熱流通部16cは、第1蓄熱材16aと一体化されている。第1蓄熱流通部16bと第1蓄熱材16aとで熱交換し、第1放熱流通部16cと第1蓄熱材16aとで熱交換する。
【0055】
第1蓄熱流通部16bは、上記流路17dに接続されており、第1熱媒体が流通する。第1蓄熱流通部16bには、流路17eが接続されている。第1放熱流通部16cは、上記流路18bに接続されており、第1熱媒体が流通する。第1放熱流通部16cには、流路18cが接続されている。流路18cは、第1チラー11のタンク11aに接続されている。流路18cには、流路17eが接続されている。なお、流路17a、流路17b、流路17c、及び流路17dによって、第1往路が構成されている。流路18a、流路18b、及び流路18cによって、第1復路が構成されている。
【0056】
第1分配弁12は、第1チラー11から流路17aを介して供給された第1熱媒体を、3つの第1流通部14と第1蓄熱ユニット16の第1蓄熱流通部16bとに分配する比率を変更する。第1放熱流通部16cには、第1流通部14を流通した第1熱媒体が流通する。第1蓄熱流通部16bには、第1流通部14を流通していない第1熱媒体が流通する。すなわち、第1蓄熱流通部16bと第1放熱流通部16cとは、独立している。
【0057】
第1蓄熱流通部16bに-20℃の第1熱媒体が流通することにより、第1蓄熱材16aが-10℃で固体に変化して潜熱を熱エネルギとして蓄える。そして、第1放熱流通部16cに-10℃よりも高い温度の第1熱媒体が流通することにより、第1蓄熱材16aに蓄えられた潜熱(熱エネルギ)が第1熱媒体の冷却に用いられる。
【0058】
第2循環回路20は、第2チラー21、第2分配弁22、流量計23、3つ(複数)の第2流通部24、第2蓄熱ユニット26等を備えている。
【0059】
第2チラー21(第2調整装置)は、タンク21a、ポンプ21b等を備えている。第2チラー21は、第2熱媒体の温度を-20℃(第1温度)よりも高い90℃(第2温度)に調整する。タンク21a(第2タンク)は、90℃に調整された第2熱媒体を貯留する。ポンプ21bは、タンク21aに貯留された第2熱媒体を流路27aへ吐出する。流路27aは、第2分配弁22のコモンポート(COM)に接続されている。
【0060】
第2分配弁22(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。Aポートには、流路27bが接続されている。Bポートには、流路27dが接続されている。第2分配弁22は、流路27aから、流路27bへ流れる第2熱媒体の流量と、流路27dへ流れる第2熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。第2分配弁22は、流路27aから流路27bへ第2熱媒体が100%流れる状態と、流路27aから流路27dへ第2熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。第2分配弁22では、第2チラー21から供給された第2熱媒体を、3つの第2流通部24と第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱流通部26bとに分配する比率にかかわらず、第2熱媒体の圧力損失が一定である。第2分配弁22の分配比率にかかわらず、ポンプ21bの負荷が変化しないため、ポンプ21bは一定の駆動状態で駆動される。
【0061】
流路27bには、流量計23が設けられている。流量計23は、流路27bを流れる第2熱媒体の流量を計測する。流路27bは、3つ(複数)の流路27cに分岐している。各流路27cは、各第2流通部24に接続されている。3つの第2流通部24は、熱交換器31の内部に設けられており、第2熱媒体が流通する。
【0062】
各第2流通部24には、各流路28aが接続されている。3つ(複数)の流路28aは、流路28bに統合している。
【0063】
第2蓄熱ユニット26(第2蓄熱部)は、第2蓄熱材26a、第2蓄熱流通部26b、及び第2放熱流通部26cを備えている。第2蓄熱材26aは、固体と液体との間で状態変化する際の潜熱を、熱エネルギとして蓄える。第2蓄熱材26aは、-10℃(第3温度)よりも高い100℃(第4温度)において固体と液体との間で状態変化する。第2蓄熱材26aの状態変化温度や蓄熱エネルギは、第2蓄熱材26aの成分割合を変更することで調整可能である。第2蓄熱流通部26b及び第2放熱流通部26cは、第2蓄熱材26aと一体化されている。第2蓄熱流通部26bと第2蓄熱材26aとで熱交換し、第2放熱流通部26cと第2蓄熱材26aとで熱交換する。
【0064】
第2蓄熱流通部26bは、上記流路27dに接続されており、第2熱媒体が流通する。第2蓄熱流通部26bには、流路27eが接続されている。第2放熱流通部26cは、上記流路28bに接続されており、第2熱媒体が流通する。第2放熱流通部26cには、流路28cが接続されている。流路28cは、第2チラー21のタンク21aに接続されている。流路28cには、流路27eが接続されている。なお、流路27a、流路27b、流路27c、及び流路27dによって、第2往路が構成されている。流路28a、流路28b、及び流路28cによって、第2復路が構成されている。
【0065】
第2分配弁22は、第2チラー21から流路27aを介して供給された第2熱媒体を、3つの第2流通部24と第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱流通部26bとに分配する比率を変更する。第2放熱流通部26cには、第2流通部24を流通した第2熱媒体が流通する。第2蓄熱流通部26bには、第2流通部24を流通していない第2熱媒体が流通する。すなわち、第2蓄熱流通部26bと第2放熱流通部26cとは、独立している。
【0066】
第2蓄熱流通部26bに90℃の第2熱媒体が流通することにより、第2蓄熱材26aが100℃で固体に変化して潜熱を熱エネルギとして蓄える。そして、第2放熱流通部26cに100℃よりも高い温度の第1熱媒体が流通することにより、第2蓄熱材26aに蓄えられた潜熱(熱エネルギ)が第2熱媒体の冷却に用いられる。
【0067】
第3循環回路30は、5つ(複数)の共通流通部34、ポンプ32等を備えている。
【0068】
5つの共通流通部34(第3流通部、第4流通部)は、熱交換器31の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。共通流通部34は、第1流通部14及び第2流通部24と一体化されており、第1流通部14及び第2流通部24と熱交換する。
【0069】
各共通流通部34には、各流路35aが接続されている。5つ(複数)の流路35aは、流路35bに統合している。
【0070】
半導体製造装置90は、上部電極91及び下部電極92を備え、上部電極91と下部電極92との間にプラズマPを発生させる。下部電極92の上には、ウエハー等のワークWが載置される。温度センサ94は、下部電極92の温度を検出する。下部電極92は、熱交換器93と一体化されている。熱交換器93と下部電極92とで熱交換する。
【0071】
熱交換器93(熱交換部)は、上記流路35bに接続されており、第3熱媒体が流通する。熱交換器93には、流路36bが接続されている。流路36bには、ポンプ32が設けられている。流路36bは、5つ(複数)の流路36cに分岐している。各流路36cは、各共通流通部34に接続されている。
【0072】
ポンプ32は、流路36bにおいて、熱交換器93側から第3熱媒体を吸入し、共通流通部34側へ吐出する。ポンプ32は一定の駆動状態で駆動される。これにより、ポンプ32は、第3循環回路30に第3熱媒体を循環させる。第3循環回路30は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。なお、流路35a及び流路35bによって、第3往路が構成されている。流路36b及び流路36cによって、第3復路が構成されている。
【0073】
制御部80は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータである。制御部80は、流量計13,23及び温度センサ94等の検出結果を入力する。制御部80は、下部電極92の温度を設定温度に制御する。設定温度(目標温度)は、半導体製造装置90での工程に応じて、90℃、0℃、-20℃等に変更される。プラズマPから下部電極92へ熱が流入するため、プラズマPの発生時には下部電極92の温度は120℃程度まで上昇することがある。これに伴って、熱交換器93から流出する第3熱媒体の温度も120℃近くまで上昇することがある。
【0074】
制御部80は、下部電極92の設定温度、流量計13,23及び温度センサ94の検出結果に基づいて、第1分配弁12及び第2分配弁22の分配比率を制御する。これにより、第1流通部14に流通する第1熱媒体の流量、ひいては第1流通部14と共通流通部34(第3流通部)とで交換する熱量が調整される。また、第2流通部24に流通する第2熱媒体の流量、ひいては第2流通部24と共通流通部34(第4流通部)とで交換する熱量が調整される。
【0075】
さらに、制御部80は、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1流通部14に流通させる場合に、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させる。例えば、制御部80は、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1流通部14に100%(所定分配比率よりも多く)流通させる場合に、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に100%(所定分配比率よりも多く)流通させる。これにより、第2蓄熱材26aが100℃で固体に変化して、第2蓄熱ユニット26に熱エネルギが蓄えられる。そして、第2放熱流通部26cに100℃よりも高い温度の第2熱媒体が流通する場合に、第2蓄熱材26aに蓄えられた熱エネルギが第2熱媒体の冷却に用いられる。
【0076】
また、制御部80は、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2流通部24に流通させる場合に、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させる。例えば、制御部80は、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2流通部24に100%(所定分配比率よりも多く)流通させる場合に、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に100%(所定分配比率よりも多く)流通させる。これにより、第1蓄熱材16aが-10℃で固体に変化して、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギが蓄えられる。そして、第1放熱流通部16cに-10℃よりも高い温度の第1熱媒体が流通する場合に、第1蓄熱材16aに蓄えられた熱エネルギが第1熱媒体の冷却に用いられる。
【0077】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0078】
・第3循環回路30は、第1循環回路10及び第2循環回路20から独立しており、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する。このため、第3熱媒体が高価であったとしても、第3循環回路30にのみ第3熱媒体を循環させて、第3熱媒体の使用量を減少させることができる。しかも、第3循環回路30は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。このため、第3循環回路30を循環する第3熱媒体の量を、さらに減少させることができる。
【0079】
・第1循環回路10及び第2循環回路20では、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体及び第2熱媒体をそれぞれ使用しているため、第1熱媒体及び第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0080】
・第3循環回路30は、第3熱媒体が流通し、第1流通部14と熱交換する共通流通部34と、第3熱媒体が流通し、第2流通部24と熱交換する共通流通部34と、を備えている。このため、第1流通部14まで供給された熱エネルギを、第1流通部14と共通流通部34との熱交換を通じて共通流通部34に供給することができる。同様に、第2流通部24まで供給された熱エネルギを、第2流通部24と共通流通部34との熱交換を通じて共通流通部34に供給することができる。
【0081】
・第3循環回路30は、共通流通部34から、下部電極92と熱交換する熱交換器93まで第3熱媒体を流通させる流路35a,35bと、熱交換器93から共通流通部34まで第3熱媒体を流通させる流路36b,36cと、を備えている。このため、第3熱媒体を介して、下部電極92と熱交換する熱交換器93まで熱エネルギを供給することができる。
【0082】
・温度制御システム100は、第1流通部14と共通流通部34とで交換する熱量、及び第2流通部24と共通流通部34とで交換する熱量を調整する第1分配弁12及び第2分配弁22を備えている。このため、第1分配弁12及び第2分配弁22により、共通流通部34に供給する熱エネルギを調整することができ、第3熱媒体を介して熱交換器93に供給する熱エネルギ、ひいては下部電極92の温度を制御することができる。ここで、上記のように、第3循環回路30を循環する第3熱媒体の量を減少させることができる。したがって、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができ、下部電極92の温度を制御する応答性を向上させることができる。
【0083】
・第1チラー11は、第1熱媒体を貯留するタンク11aを有し、タンク11aは、-20℃に調整された第1熱媒体を貯留する。このため、熱交換に使用する-20℃に調整された第1熱媒体を、第1チラー11のタンク11aから充分に供給することができる。その場合であっても、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体を使用しているため、第1熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。同様に、第2循環回路20において、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第2熱媒体を使用しているため、第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0084】
・第1蓄熱ユニット16は、第1熱媒体が流通し、-10℃において第1蓄熱材16aの状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。このため、下部電極92の温度を変化させる時等に備えて、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えておくことができる。また、第2循環回路20では、第2チラー21が第2熱媒体の温度を-20℃よりも高い90℃に調整し、第1循環回路10と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
・第1分配弁12及び第2分配弁22により、共通流通部34に供給する熱エネルギを調整する際に、第1蓄熱ユニット16及び第2蓄熱ユニット26に蓄えておいた熱エネルギも使用することができる。このため、共通流通部34に供給する熱エネルギを増加させることができ、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができる。したがって、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0086】
・流路17bには、第1チラー11から供給された第1熱媒体を、第1流通部14と第1蓄熱ユニット16とに分配する比率を変更する第1分配弁12が設けられている。このため、第1チラー11から、第1流通部14に供給する熱エネルギと、第1蓄熱ユニット16に供給する熱エネルギとの比率を、第1分配弁12により変更することができる。したがって、第1流通部14と共通流通部34との熱交換に使用する熱エネルギと、第1蓄熱ユニット16に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。同様に、第2流通部24と共通流通部34との熱交換に使用する熱エネルギと、第2蓄熱ユニット26に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。
【0087】
・温度制御システム100は、第1分配弁12及び第2分配弁22を制御する制御部80を備えている。そして、制御部80は、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1流通部14に流通させる場合に、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させる。このため、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1流通部14に流通させる場合、すなわち第2流通部24と共通流通部34とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第2蓄熱ユニット26に熱エネルギを蓄えることができる。一方、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2流通部24に流通させる場合、すなわち第1流通部14と共通流通部34とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えることができる。
【0088】
・第1流通部14を流通した第1熱媒体と、第1流通部14を流通していない第1熱媒体とを、互いに独立させて第1蓄熱ユニット16に流通させることができる。このため、第1蓄熱ユニット16において、第1流通部14を流通した第1熱媒体と、第1流通部14を流通していない第1熱媒体とが混合する構成と比較して、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄える効率を向上させることができる。同様に、第2蓄熱ユニット26に熱エネルギを蓄える効率を向上させることができる。
【0089】
・第1分配弁12では、第1チラー11から供給された第1熱媒体を、第1流通部14と第1蓄熱ユニット16とに分配する比率にかかわらず、第1熱媒体の圧力損失が一定である。このため、第1熱媒体の圧力損失が変動することによる負荷を、第1チラー11にかけないようにすることができる。さらに、ポンプ11bにより第1循環回路10に第1熱媒体を循環させる場合に、第1分配弁12での第1熱媒体の圧力損失が一定であるため、ポンプ11bの駆動状態を制御する必要がなく、一定の駆動状態でポンプ11bを駆動することができる。第2循環回路20においても同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
なお、第1実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0091】
・第1分配弁12において、第1チラー11から供給された第1熱媒体を、第1流通部14と第1蓄熱ユニット16とに分配する比率に応じて、第1熱媒体の圧力損失が変動してもよい。その場合、ポンプ11bの駆動状態を適宜変更すればよい。第2分配弁22についても同様である。
【0092】
・流量計13,23を省略することもできる。その場合、制御部80は、下部電極92の設定温度及び温度センサ94の検出結果に基づいて、第1分配弁12及び第2分配弁22(調整部)の分配比率を制御すればよい。
【0093】
・制御部80は、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1流通部14に流通させていない場合に、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させてもよい。制御部80は、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2流通部24に流通させていない場合に、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させてもよい。
【0094】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0095】
図2に示すように、温度制御システム200は、第1循環回路110、第2循環回路120、第3循環回路130、及び制御部80等を備えている。
【0096】
第1循環回路110は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路120は、第1循環回路110から独立しており、上記第2熱媒体が循環する回路である。第3循環回路130は、第1循環回路110及び第2循環回路120から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0097】
第1循環回路110は、第1チラー11、第1流通部114等を備えている。第1循環回路110は、上記流量計13、上記第1分配弁12、及び上記第1蓄熱ユニット16を備えていない。
【0098】
ポンプ11bは、タンク11aに貯留された第1熱媒体を流路117へ吐出する。流路117は、第1流通部114に接続されている。第1流通部114は、熱交換器131の内部に設けられており、第1熱媒体が流通する。
【0099】
第1流通部114には、流路118が接続されている。流路118は、第1チラー11のタンク11aに接続されている。なお、流路117によって第1往路が構成されている。流路118によって第1復路が構成されている。
【0100】
第2循環回路120は、第2チラー21、第2流通部124等を備えている。第2循環回路120は、上記流量計23、上記第2分配弁22、及び上記第2蓄熱ユニット26を備えていない。
【0101】
ポンプ21bは、タンク21aに貯留された第2熱媒体を流路127へ吐出する。流路127は、第2流通部124に接続されている。第2流通部124は、熱交換器132の内部に設けられており、第2熱媒体が流通する。
【0102】
第2流通部124には、流路128が接続されている。流路128は、第2チラー21のタンク21aに接続されている。なお、流路127によって第2往路が構成されている。流路128によって第2復路が構成されている。
【0103】
第3循環回路130は、第3流通部133、第4流通部134、第3分配弁135、第1逆止弁136、第2逆止弁137、ポンプ32等を備えている。
【0104】
第3流通部133は、熱交換器131の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。第3流通部133は、第1流通部114と一体化されており、第1流通部114と熱交換する。
【0105】
第3流通部133には、流路133aが接続されている。流路133aには、第1逆止弁136が設けられている。第1逆止弁136は、第3流通部133から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第3流通部133への第3熱媒体の流通を禁止する。
【0106】
第4流通部134には、流路134aが接続されている。流路134aには、第2逆止弁137が設けられている。第2逆止弁137は、第4流通部134から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第4流通部134への第3熱媒体の流通を禁止する。
【0107】
流路133a及び流路134aは、合流点P1において流路135aに接続されている。流路135aは、熱交換器93の流入ポートに接続されている。熱交換器93の流出ポートには、流路135bが接続されている。流路135bには、ポンプ32が設けられている。流路135bは、第3分配弁135のコモンポートに接続されている。
【0108】
第3分配弁135(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。Bポートには、流路135cが接続されている。Aポートには、流路135dが接続されている。流路135cは、熱交換器131の第3流通部133に接続されている。流路135dは、熱交換器132の第4流通部134に接続されている。
【0109】
第3分配弁135は、流路135bから、流路135cへ流れる第3熱媒体の流量と、流路135dへ流れる第3熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。すなわち、第3分配弁135は、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。第3分配弁135は、流路135bから流路135cへ第3熱媒体が100%流れる状態と、流路135bから流路135dへ第3熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。第3分配弁135では、ポンプ32から供給された第3熱媒体を、熱交換器131の第3流通部133と熱交換器132の第4流通部134とに分配する比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。
【0110】
第3分配弁135の分配比率にかかわらず、ポンプ32の負荷が変化しないため、ポンプ32は一定の駆動状態で駆動される。これにより、ポンプ32は、第3循環回路130に第3熱媒体を循環させる。第3循環回路130は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。なお、流路133a、流路134a、及び流路135aによって、第3往路が構成されている。流路135b、流路135c、及び流路135dによって、第3復路が構成されている。
【0111】
制御部80は、下部電極92の温度を設定温度に制御する。制御部80は、下部電極92の設定温度及び温度センサ94の検出結果に基づいて、第3分配弁135の分配比率を制御する。これにより、第3流通部133に流通する第3熱媒体の流量、ひいては第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量が調整される。また、第4流通部134に流通する第3熱媒体の流量、ひいては第2流通部124と第4流通部134とで交換する熱量が調整される。
【0112】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0113】
・第3循環回路130は、第3熱媒体が流通し、第1流通部114と熱交換する第3流通部133と、第3熱媒体が流通し、第2流通部124と熱交換する第4流通部134と、を備えている。このため、第1流通部114まで供給された熱エネルギを、第1流通部114と第3流通部133との熱交換を通じて第3流通部133に供給することができる。同様に、第2流通部124まで供給された熱エネルギを、第2流通部124と第4流通部134との熱交換を通じて第4流通部134に供給することができる。
【0114】
・第3循環回路130は、第3流通部133及び第4流通部134から、下部電極92と熱交換する熱交換器93まで第3熱媒体を流通させる流路133a,134a,135aと、熱交換器93から第3流通部133及び第4流通部134まで第3熱媒体を流通させる流路135b,135c,135dと、を備えている。このため、第3熱媒体を介して、下部電極92と熱交換する熱交換器93まで熱エネルギを供給することができる。
【0115】
・第3循環回路130には、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁135が設けられている。このため、第3流通部133が第1流通部114から受け取る熱エネルギと、第4流通部134が第2流通部124から受け取る熱エネルギとの比率を、第3分配弁135により変更することができる。さらに、例えば熱交換器93から第4流通部134にのみ第3熱媒体を流通させることにより、第3流通部133に第3熱媒体が流通することによる第1流通部114と第3流通部133との熱交換を抑制することができる。なお、第3流通部133に第3熱媒体が流通する場合は、第1流通部114に第1熱媒体が流通していなくても、第1流通部114に残留する熱エネルギが第3流通部133に供給されるおそれがある。この点、上記構成によれば、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0116】
・第3分配弁135では、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。このため、ポンプ32により第3循環回路130に第3熱媒体を循環させる場合に、ポンプ32の駆動状態を制御する必要がなく、一定の駆動状態でポンプ32を駆動することができる。
【0117】
なお、第3分配弁135において、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率に応じて、第3熱媒体の圧力損失が変動してもよい。その場合、ポンプ32の駆動状態を適宜変更すればよい。
【0118】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1,第2実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0119】
図3に示すように、本実施形態の温度制御システム300は、第2実施形態の温度制御システム200に、第1蓄熱ユニット16及び第2蓄熱ユニット26を追加している。
【0120】
第1循環回路210は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路220は、第1循環回路210から独立しており、上記第2熱媒体が循環する回路である。第3循環回路230は、第1循環回路210及び第2循環回路220から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0121】
第1循環回路210は、第1チラー11、第1流通部114、第1蓄熱流通部16b等を備えている。第1循環回路210は、上記第1分配弁12及び上記流量計13を備えていない。
【0122】
第1流通部114と第1蓄熱流通部16bとが、流路218によって接続されている。第1蓄熱流通部16bと第1チラー11のタンク11aとが、流路219によって接続されている。なお、流路117及び流路218によって、第1往路が構成されている。流路219によって、第1復路が構成されている。
【0123】
第3分配弁135のBポートと第1放熱流通部16cとが、流路235によって接続されている。第1放熱流通部16cと第3流通部133とが、流路236によって接続されている。第1放熱流通部16cは、第1蓄熱ユニット16の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。なお、流路235及び流路236によって、第1仲介復路が構成されている。
【0124】
第1蓄熱流通部16bに-20℃の第1熱媒体が流通することにより、第1蓄熱材16aが-10℃で固体に変化して潜熱を熱エネルギとして蓄える。そして、第1放熱流通部16cに-10℃よりも高い温度の第3熱媒体が流通することにより、第1蓄熱材16aに蓄えられた潜熱(熱エネルギ)が第3熱媒体の冷却に用いられる。
【0125】
第2循環回路220は、第2チラー21、第2流通部124、第2蓄熱流通部26b等を備えている。第2循環回路220は、上記第2分配弁22及び上記流量計23を備えていない。
【0126】
第2流通部124と第2蓄熱流通部26bとが、流路228によって接続されている。第2蓄熱流通部26bと第2チラー21のタンク21aとが、流路229によって接続されている。なお、流路127及び流路228によって、第2往路が構成されている。流路229によって、第2復路が構成されている。
【0127】
第3分配弁135のAポートと第2放熱流通部26cとが、流路237によって接続されている。第2放熱流通部26cと第4流通部134とが、流路238によって接続されている。第2放熱流通部26cは、第2蓄熱ユニット26の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。なお、流路237及び流路238によって、第2仲介復路が構成されている。流路135b,235,236,237,238によって、第3復路が構成されている。
【0128】
第2蓄熱流通部26bに90℃の第2熱媒体が流通することにより、第2蓄熱材26aが100℃で固体に変化して潜熱を熱エネルギとして蓄える。そして、第2放熱流通部26cに100℃よりも高い温度の第3熱媒体が流通することにより、第2蓄熱材26aに蓄えられた潜熱(熱エネルギ)が第3熱媒体の冷却に用いられる。
【0129】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第2実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0130】
・第1蓄熱ユニット16は、第1熱媒体が流通し、-10℃において第1蓄熱材16aの状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。このため、下部電極92の温度を変化させる時等に備えて、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えておくことができる。また、第2循環回路220では、第2チラー21が第2熱媒体の温度を-20℃よりも高い90℃に調整し、第1循環回路210と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。
【0131】
・第3流通部133が第1流通部114から熱エネルギを受け取る際と、第4流通部134が第2流通部124から熱エネルギを受け取る際に、それぞれ第1蓄熱ユニット16及び第2蓄熱ユニット26に蓄えておいた熱エネルギも使用することができる。このため、第3流通部133及び第4流通部134に供給する熱エネルギを増加させることができ、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができる。したがって、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0132】
・第3循環回路230は、熱交換器93から第1蓄熱ユニット16を介して第3流通部133まで第3熱媒体を流通させる流路235,236を含んでいる。このため、熱交換器93から第3流通部133まで第3熱媒体を流通させる場合に、第1蓄熱ユニット16から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。同様に、熱交換器93から第4流通部134まで第3熱媒体を流通させる場合に、第2蓄熱ユニット26から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。したがって、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0133】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第3実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0134】
図4に示すように、本実施形態の温度制御システム400は、第3実施形態の温度制御システム300に、第1分配弁12及び第2分配弁22を追加している。
【0135】
第1循環回路310は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路320は、第1循環回路310から独立しており、上記第2熱媒体が循環する回路である。第3循環回路230は、第1循環回路310及び第2循環回路320から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0136】
第1蓄熱流通部16bと第1チラー11のタンク11aとが、流路319によって接続されている。第1流通部114と流路319とが、流路318によって接続されている。なお、流路17a,17b,17dによって第1往路が構成されている。流路318,319によって、第1復路が構成されている。
【0137】
第1分配弁12は、第1チラー11から流路17aを介して供給された第1熱媒体を、第1流通部114と第1蓄熱ユニット16の第1蓄熱流通部16bとに分配する比率を変更する。
【0138】
第2蓄熱流通部26bと第2チラー21のタンク21aとが、流路329によって接続されている。第2流通部124と流路329とが、流路328によって接続されている。なお、流路27a,27b,27dによって第2往路が構成されている。流路328,329によって、第2復路が構成されている。
【0139】
第2分配弁22は、第2チラー21から流路27aを介して供給された第2熱媒体を、第2流通部124と第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱流通部26bとに分配する比率を変更する。
【0140】
制御部80は、熱交換器93から第3流通部133まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させない場合に、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させる。また、制御部80は、熱交換器93から第4流通部134まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させない場合に、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させる。
【0141】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1,第3実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0142】
・温度制御システム400は、第1分配弁12、第2分配弁22、及び第3分配弁135を制御する制御部80を備えている。そして、制御部80は、熱交換器93から第3流通部133まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させない場合に、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させる。このため、熱交換器93から第3流通部133まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第1流通部114と第3流通部133とで熱交換を行う必要がない場合に、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えることができる。一方、熱交換器93から第4流通部134まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第2流通部124と第4流通部134とで熱交換を行う必要がない場合に、第2蓄熱ユニット26に熱エネルギを蓄えることができる。
【0143】
なお、制御部80は、熱交換器93から第3流通部133まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させている場合に、第1チラー11から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させてもよい。制御部80は、熱交換器93から第4流通部134まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させている場合に、第2チラー21から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させてもよい。
【0144】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第4実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0145】
図5に示すように、本実施形態の温度制御システム500は、第4実施形態の温度制御システム400において、第3分配弁135を第4分配弁435に変更している。
【0146】
第4分配弁435(調整部)は、コモンポート、Hポート、Bポート、及びCポートを備える4方弁である。Cポートには、流路235が接続されている。流路235は、第1蓄熱ユニット16の第1放熱流通部16cに接続されている。Bポートには、流路239が接続されている。流路239は、合流点P1において流路135aに接続されている。流路239には、第3逆止弁138が設けられている。第3逆止弁138は、第4分配弁435から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第4分配弁435への第3熱媒体の流通を禁止する。Hポートには、流路237が接続されている。流路237は、第2蓄熱ユニット26の第2放熱流通部26cに接続されている。
【0147】
第4分配弁435は、流路135bから、流路235へ流れる第3熱媒体の流量と、流路239へ流れる第3熱媒体の流量と、流路237へ流れる第3熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。すなわち、第4分配弁435は、熱交換器93から第1放熱流通部16c及び第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第3流通部133及び第4流通部134を介さず熱交換器93まで戻る第3熱媒体と、熱交換器93から第2放熱流通部26c及び第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。第4分配弁435は、流路135bから流路235へ第3熱媒体が100%流れる状態と、流路135bから流路235,239へ第3熱媒体が流れる状態と、流路135bから流路239へ第3熱媒体が100%流れる状態と、流路135bから流路239,237へ第3熱媒体が流れる状態と、流路135bから流路237へ第3熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。第4分配弁435では、ポンプ32から供給された第3熱媒体を、流路235と流路239と流路237とに分配する比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。
【0148】
第4分配弁435の分配比率にかかわらず、ポンプ32の負荷が変化しないため、ポンプ32は一定の駆動状態で駆動される。これにより、ポンプ32は、第3循環回路430に第3熱媒体を循環させる。第3循環回路430は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。なお、流路133a、流路134a、及び流路135aによって、第3往路が構成されている。流路135b、流路235、流路236、流路237、及び流路238によって、第3復路が構成されている。
【0149】
制御部80は、下部電極92の温度を設定温度に制御する。制御部80は、下部電極92の設定温度、流量計13,23及び温度センサ94の検出結果に基づいて、第4分配弁435の分配比率を制御する。
【0150】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第4実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0151】
・第3流通部133が第1流通部114から受け取る熱エネルギと、熱交換器93に戻す熱エネルギと、第4流通部134が第2流通部124から受け取る熱エネルギとの比率を、第4分配弁435により変更することができる。さらに、熱交換器93から第3流通部133及び第4流通部134まで第3熱媒体を流通させず、熱交換器93から流出した第3熱媒体を熱交換器93にそのまま戻す状態を実現することができる。
【0152】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第5実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0153】
図6に示すように、本実施形態の温度制御システム600は、第4実施形態の温度制御システム400に、第4循環回路330、第6流通部346、及び第3放熱流通部336cを追加している。さらに、第3循環回路530は、上記第3分配弁135に代えて、第5分配弁535及び第6分配弁536を備えている。
【0154】
第4循環回路330は、第1循環回路310、第2循環回路320、及び第3循環回路530から独立しており、第4熱媒体が循環する回路である。第4熱媒体は、第1熱媒体及び第2熱媒体と同一の液体である。第3循環回路530は、第1循環回路310、第2循環回路320、及び第4循環回路330から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0155】
第4循環回路330は、第3チラー331(第3調整装置)が-20℃(第1温度)よりも低い-30℃(第5温度)に調整した第4熱媒体を吐出する点を除いて、第1循環回路310と同様の構成を備えている。第5流通部345には、第4熱媒体が循環する。なお、流路337a,337b,37dによって第4往路が構成されている。流路338,339によって、第4復路が構成されている。
【0156】
第5分配弁535及び第6分配弁536は、第3分配弁135と同様の3方弁である。第5分配弁535のコモンポートには、流路135bが接続されている。第5分配弁535のBポートと第6分配弁536のコモンポートとが、流路348によって接続されている。第5分配弁535のAポートと第2蓄熱ユニット26の第2放熱流通部26cとが、流路237によって接続されている。第6分配弁536のBポートと第3蓄熱ユニット336の第3放熱流通部336cとが、流路349によって接続されている。第6分配弁536のAポートと第1蓄熱ユニット16の第1放熱流通部16cとが、流路235によって接続されている。
【0157】
第6流通部346は、熱交換器341の内部に設けられている。熱交換器341において、第5流通部345と第6流通部346とで熱交換する。第6流通部346と合流点P1とが流路347によって接続されている。流路347には、第4逆止弁139が設けられている。第4逆止弁139は、第6流通部346から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第6流通部346への第3熱媒体の流通を禁止する。
【0158】
第5分配弁535(調整部)は、熱交換器93から第2放熱流通部26c及び第4流通部134まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第6分配弁536まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。第6分配弁536(調整部)は、第5分配弁535から第1放熱流通部16c及び第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、第5分配弁535から第3放熱流通部336c及び第6流通部346まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。すなわち、第5分配弁535及び第6分配弁536は、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第6流通部346まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。なお、流路133a、流路134a、流路347、及び流路135aによって、第3往路が構成されている。流路135b、流路348、流路235、流路236、流路237、流路238、流路349、及び流路340によって、第3復路が構成されている。
【0159】
制御部80は、例えば設定温度が0℃から-20℃に変更された場合に、第5分配弁535及び第6分配弁536を制御して、一時的に第3蓄熱ユニット336の第3放熱流通部336c及び第6流通部346に第3熱媒体を100%流通させる。その後、制御部80は、第5分配弁535及び第6分配弁536を制御して、第1蓄熱ユニット16の第1放熱流通部16c及び第3流通部133に第3熱媒体を100%流通させる。
【0160】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第4実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0161】
・第4循環回路330では、第3チラー331が第4熱媒体の温度を-20℃よりも低い-30℃に調整し、第1循環回路310と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。第5分配弁535及び第6分配弁536は、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第6流通部346まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。このため、第3流通部133が第1流通部114から受け取る熱エネルギと、第4流通部134が第2流通部124から受け取る熱エネルギと、第6流通部346が第5流通部345から受け取る熱エネルギとの比率を変更することができる。したがって、下部電極92の温度を-20℃にまで低下させる際に、第3熱媒体を第6流通部346に一時的に流通させることにより、下部電極92の温度を急速に低下させることができる。その結果、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0162】
・熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第6流通部346まで流通する第3熱媒体との比率を、2つの分配弁535,536により任意に変更することができる。
【0163】
なお、第5分配弁535のBポートを第3蓄熱ユニット336の第3放熱流通部336cに接続し、第5分配弁535のAポートを第6分配弁536のコモンポートに接続し、第6分配弁536のBポートを第1蓄熱ユニット16の第1放熱流通部16cに接続し、第6分配弁536のAポートを第2蓄熱ユニット26の第2放熱流通部26cに接続することもできる。
【0164】
また、温度制御システム600は、第4循環回路330は代えて、90℃(第2温度)よりも高い100℃(第6温度)の第5熱媒体が循環する第5循環回路を備えていてもよい。第5熱媒体は、例えば第2熱媒体と同一の液体である。第5循環回路の第5チラー(第5調整装置)は、100℃に調整した第5熱媒体を吐出する。第5循環回路は、第2流通部124と同様の第7流通部と、第4流通部134と同様の第8流通部とを備えている。こうした構成によれば、下部電極92の温度を90℃にまで上昇させる際に、第5熱媒体を第8流通部に一時的に流通させることにより、下部電極92の温度を急速に上昇させることができる。その結果、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0165】
(第7実施形態)
以下、第7実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第6実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0166】
図7に示すように、本実施形態の統合温度制御システム700は、第4実施形態の温度制御システム400を3つ(複数)備えている。ただし、統合温度制御システム700は、3台の第1チラー11に代えて1台の冷凍機611を備えている。
【0167】
冷凍機611(第1調整装置)は、第1チラー11の3~100倍の冷却能力を有する大容量の冷凍機である。冷凍機611は、タンク611aを備えている。冷凍機611は、第1熱媒体の温度を-20℃(第1温度)に調整する。タンク611aは、-20℃に調整された第1熱媒体を貯留する。ポンプ612は、タンク611aに貯留された第1熱媒体を流路611b(第1往路)を介してコモン流路613へ吐出する。コモン流路613(第1往路)は、3つ(複数)の上記流路17aに分岐している。各流路17aは、各温度制御システム400の第1分配弁12のコモンポート(COM)に接続されている。
【0168】
各温度制御システム400の流路319は、コモン流路614(第1復路)に接続されている。コモン流路614と冷凍機611のタンク611aとが、流路615(第1復路)によって接続されている。
【0169】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第4実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0170】
・3つの温度制御システム400において、第1熱媒体の温度を-20℃に調整して吐出する3台の第1チラー11を、1台の冷凍機611にまとめている。このため、3台の第1チラー11に代えて、一般的なチラーの10~100倍の冷却能力を有する冷凍機611を採用することができ、3つの温度制御システム400を備える統合温度制御システム700の構成を簡潔にすることができる。なお、統合温度制御システム700は、数十~数百の温度制御システム400を備える場合があり、このような場合に上記効果は顕著となる。
【0171】
・各温度制御システム400は、第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量、及び第2流通部124と第4流通部134とで交換する熱量を、第1分配弁12、第2分配弁22、及び第3分配弁135により調整して、下部電極92の温度を制御する。このため、冷凍機611は第1熱媒体の温度を一定の-20℃に調整して吐出すればよく、下部電極92の設定温度の変化に応じて第1熱媒体の温度を変化させる必要がない。したがって、複数の温度制御システム400に対して1台の冷凍機611が設けられた構成であっても、各温度制御システム400の下部電極92の温度を制御することができる。
【0172】
なお、3つ(複数)の制御部80に代えて、1つの統合制御部を設けることもできる。その場合、統合制御部は、各温度制御システム400の設定温度、温度センサ94及び流量計13,23の検出結果に応じて、冷凍機611の駆動状態及びポンプ612の駆動状態を制御することができる。また、冷凍機611内の圧縮機(図示せず)をバイパスしてフリークーリングを実施することもできる。
【0173】
(第8実施形態)
以下、第8実施形態について、第7実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第7実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0174】
図8に示すように、本実施形態の統合温度制御システム800は、第7実施形態の冷凍機611に代えて、3つ(複数)の第1チラー11、往ヘッダ741、及び復ヘッダ742等を備えている。
【0175】
各第1チラー11のポンプ11bと往ヘッダ741とが、各流路712(第1往路)によって接続されている。往ヘッダ741は、所定量の第1熱媒体を貯留する。往ヘッダ741とポンプ612とが、流路713によって接続されている。ポンプ612は、往ヘッダ741に貯留された第1熱媒体を流路713を介してコモン流路613へ吐出する。コモン流路613は、3つ(複数)の上記流路17aに分岐している。各流路17aは、各温度制御システム400の第1分配弁12のコモンポート(COM)に接続されている。
【0176】
各温度制御システム400の流路319は、コモン流路614(第1復路)に接続されている。コモン流路614と復ヘッダ742とが、流路615(第1復路)によって接続されている。復ヘッダ742は、所定量の第1熱媒体を貯留する。復ヘッダ742と各第1チラー11のタンク11aとが、各流路714(第1復路)によって接続されている。
【0177】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第4実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0178】
・複数の第1チラー11は、共通の往ヘッダ741に-20℃に調整した第1熱媒体を吐出する。そして、各第1チラー11の流路712は、往ヘッダ741に接続されている。このため、複数の第1チラー11から吐出された-20℃の第1熱媒体を、共通の往ヘッダ741に貯めておくことができる。そして、特定の下部電極92の温度を急速に下げたい場合等、1台の第1チラー11では-20℃の第1熱媒体を供給する能力が不足する場合であっても、往ヘッダ741から-20℃の第1熱媒体を充分に供給することができる。
【0179】
・流路615は、共通の復ヘッダ742に接続されており、複数の第1チラー11は、復ヘッダ742から第1熱媒体を吸入する。このため、復ヘッダ742において、複数の温度制御システム400の流路319から戻る第1熱媒体を混ぜることができる。したがって、第1熱媒体の温度を平均化してから各第1チラー11に第1熱媒体を戻すことができ、複数の第1チラー11の冷却負荷が偏ることを抑制することができる。
【0180】
なお、第8実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第8実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0181】
・3つ(複数)の制御部80に代えて、1つの統合制御部を設けることもできる。その場合、統合制御部は、複数の第1チラー11の冷却負荷の合計に応じて運転させる第1チラー11の台数を設定し、複数の第1チラー11の運転時間が均等になるように複数の第1チラー11を運転させる。こうした構成によれば、複数の第1チラー11の運転台数を適切に設定することができ、第1チラー11の運転効率を向上させることができる。さらに、複数の第1チラー11の運転時間が均等になるように複数の第1チラー11が運転させられる。このため、特定の第1チラー11の運転時間のみが長くなることを抑制することができ、特定の第1チラー11の寿命が短くなることを抑制することができる。
【0182】
・温度制御システム400の数と第1チラー11の数とが異なっていてもよい。
【0183】
また、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記の各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0184】
・第1熱媒体と第2熱媒体と第4熱媒体とが、異なる液体であってもよい。例えば、第1熱媒体と第2熱媒体と第4熱媒体とにおいて、エチレングリコールと水との割合が互いに異なっていてもよい。また、第1熱媒体と第2熱媒体と第4熱媒体とが、互いに異なる物質により構成されていてもよい。ただし、第1熱媒体と第2熱媒体と第4熱媒体とは、第3熱媒体よりも安価であることが望ましい。
【0185】
・第1チラー11のタンク11a、及び第2チラー21のタンク21aを省略することもできる。
【0186】
・第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱材26aが、90℃(第2温度)よりも低い80℃(第4温度)において固体と液体との間で状態変化するようにしてもよい。この場合、制御部80は、第2チラー21から供給された90℃の第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させることにより、第2蓄熱材26aを80℃で液体に変化させて、第2蓄熱ユニット26に潜熱(熱エネルギ)を蓄えることができる。そして、第2放熱流通部26cに80℃よりも低い温度の第2熱媒体(第3熱媒体)が流通する場合に、第2蓄熱材26aに蓄えられた熱エネルギを第2熱媒体(第3熱媒体)の加熱に用いることができる。
【0187】
・制御対象は、下部電極92に限らず、半導体製造装置90の上部電極91であってもよい。また、上記の各温度制御システムを適用する対象は、半導体製造装置90に限らず、他の製造装置や処理装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0188】
10…第1循環回路、11…第1チラー(第1調整装置)、11a…タンク(第1タンク)、12…第1分配弁(調整部)、14…第1流通部、16…第1蓄熱ユニット(第1蓄熱部)、16a…第1蓄熱材、16b…第1蓄熱流通部、16c…第1放熱流通部、20…第2循環回路、21…第2チラー(第2調整装置)、21a…タンク(第2タンク)、22…第2分配弁(調整部)、24…第2流通部、26…第2蓄熱ユニット(第2蓄熱部)、26a…第2蓄熱材、26b…第2蓄熱流通部、26c…第2放熱流通部、30…第3循環回路、31…熱交換器、34…共通流通部(第3流通部、第4流通部)、80…制御部、90…半導体製造装置、92…下部電極(制御対象)、93…熱交換器(熱交換部)、100…温度制御システム、110…第1循環回路、114…第1流通部、120…第2循環回路、124…第2流通部、130…第3循環回路、131…熱交換器、132…熱交換器、133…第3流通部、134…第4流通部、135…第3分配弁(調整部)、200…温度制御システム、210…第1循環回路、220…第2循環回路、230…第3循環回路、300…温度制御システム、310…第1循環回路、320…第2循環回路、330…第4循環回路、331…第3チラー(第3調整装置)、336…第3蓄熱ユニット、336c…第3放熱流通部、341…熱交換器、345…第5流通部、346…第6流通部、400…温度制御システム、430…第3循環回路、435…第4分配弁(調整部)、500…温度制御システム、530…第3循環回路、535…第5分配弁(調整部)、536…第6分配弁(調整部)、600…温度制御システム、611…冷凍機(第1調整装置)、700…統合温度制御システム、741…往ヘッダ、742…復ヘッダ、800…統合温度制御システム。