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特許7354103回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の固定体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の固定体
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20230925BHJP
【FI】
H01R35/04 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020525456
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2019022019
(87)【国際公開番号】W WO2019239943
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2018110970
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】北尾 啓
(72)【発明者】
【氏名】南部 真吾
(72)【発明者】
【氏名】吉村 賢二
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149291(JP,A)
【文献】特開2005-327575(JP,A)
【文献】特開平11-097141(JP,A)
【文献】特開2009-238588(JP,A)
【文献】特開2012-089382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R35/00-35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有する固定体と、
前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられた回転体と、を備え、
前記固定体は、前記固定体と前記回転体とが相対回転しないようにする固定具を挿入するための被挿入部を有し、
前記被挿入部の内側空間と、前記固定体の前記空間とは、隔離されており、
前記固定体は、前記回転軸に実質的に垂直な第1壁と、前記回転軸に実質的に平行な軸方向において前記第1壁と間隔を空けて配置された第2壁と、を有し、
前記固定体の前記空間は、前記第1壁と前記第2壁との間に設けられ、
前記被挿入部は、前記第1壁に設けられた第1開口を有し、
前記被挿入部は、前記回転軸に実質的に平行な軸方向において前記固定体を貫通している、
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記被挿入部は、前記第2壁に設けられた第2開口を有し、
前記第1開口の面積は、前記第2開口の面積と実質的に同じである
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記固定体は、第1固定体部と、前記第1固定体部に結合された第2固定体部とを有し、
前記第1固定体部は、前記軸方向において前記第1開口の外縁から延伸する第3壁を有し、
前記第2固定体部は、前記軸方向において前記第2開口の外縁から延伸する第4壁を有し、
前記回転軸に実質的に直交する方向において前記第3壁と前記第4壁とは当接している
請求項2に記載の回転コネクタ装置。
【請求項4】
前記空間において前記固定体に配置された導体をさらに備え、
前記第4壁は、前記導体と間隔を空けて配置された壁部を有し、
前記第3壁は、前記回転軸に実質的に直交する方向において前記壁部に覆われている
請求項3に記載の回転コネクタ装置。
【請求項5】
前記第3壁と前記第4壁の隙間は、前記軸方向において、前記第1開口よりも前記第2開口に近い
請求項3または4に記載の回転コネクタ装置。
【請求項6】
内部に空間を有する固定体と、
前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられた回転体と、を備え、
前記固定体は、前記固定体と前記回転体とが相対回転しないようにする固定具を挿入するための被挿入部を有し、
前記被挿入部の内側空間と、前記固定体の前記空間とは、隔離されており、
前記固定体は、前記回転軸に実質的に垂直な第1壁と、前記回転軸に実質的に平行な軸方向において前記第1壁と間隔を空けて配置された第2壁と、を有し、
前記被挿入部は、前記第1壁に設けられた第1開口を有し、
前記固定体は、前記軸方向において前記第1開口の外縁から延伸し且つ前記第2壁に接続されている第3壁を有し、
前記第3壁及び前記第1壁は、単一部材で構成されている
回転コネクタ装置。
【請求項7】
前記固定具をさらに備えた請求項1~6のいずれか1項に記載の回転コネクタ装置。
【請求項8】
内部に空間を有する固定体と、
前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられた回転体と、を備え、
前記固定体は、前記固定体と前記回転体とが相対回転しないようにする固定具を挿入するための被挿入部を有し、
前記被挿入部の内側空間と、前記固定体の前記空間とは、隔離されており、
前記被挿入部は、前記空間に囲まれている
回転コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の固定体に関する。
【背景技術】
【0002】
固定体と、固定体に対して回転可能に固定体に組付けられた回転体と、固定体と回転体の相対回転を不能にする固定ピンとを備える回転コネクタ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された固定ピンは、固定体に設けられた挿入開口に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-149291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された回転コネクタ装置では、挿入開口を介して固定体の内部の空間に異物が侵入する可能性がある。
【0005】
そこで、本願に開示される技術の課題は、回転コネクタ装置の耐環境性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の特徴に係る回転コネクタ装置は、内部に空間を有する固定体と、固定体に対して回転軸周りに回転可能に固定体に組付けられた回転体と、を備える。固定体は、固定体と回転体とが相対回転しないようにする固定具を挿入するための被挿入部を有する。被挿入部の内側空間と、固定体の空間とは、隔離されている。
【0007】
回転コネクタ装置によれば、被挿入部の内側空間と固定体の内部の空間が隔離されているので、被挿入部を介して固定体の内部の空間に異物が侵入することが抑制される。その結果、回転コネクタ装置の耐環境性は高まる。なお、異物とは、水等の流体や、埃等の粉体である。
【0008】
また、被挿入部は、回転軸に実質的に平行な軸方向において固定体を貫通していてもよい。
【0009】
この構成によれば、軸方向に沿って異物が被挿入部の内側空間に侵入したとしても、侵入した異物は軸方向に沿って被挿入部の外へ抜けるので、被挿入部の内側空間に異物が溜まりにくくなる。
【0010】
また、固定体は、回転軸に実質的に垂直な第1壁と、回転軸に実質的に平行な軸方向において第1壁と間隔を空けて配置された第2壁と、を有し、固定体の内部の空間は、第1壁と第2壁の間に設けられ、被挿入部は、第1壁に設けられた第1開口を有していてもよい。
【0011】
第1壁に異物が接触しやすく且つ第1壁に第1開口が設けられても、被挿入部の内側空間と固定体の内部の空間が隔離されているので、第1開口を介して固定体の内部の空間に異物が侵入することが抑制される。
【0012】
また、被挿入部は、第2壁に設けられた第2開口を有し、第1開口の面積は、第2開口の面積と実質的に同じであってもよい。
【0013】
この構成では、第2開口の面積が第1開口の面積よりも小さい場合よりも、被挿入部の内側空間に侵入した異物が第2開口を介して被挿入部の外へ抜けやすくなる。
【0014】
固定体は、軸方向において第1開口の外縁から延伸する第3壁と、軸方向において第2開口の外縁から延伸する第4壁と、を有し、回転軸に実質的に直交する方向において第3壁と第4壁とは当接している。
【0015】
この構造では、軸方向において第3壁と第4壁とが結合するだけの構造よりも、第3壁と第4壁の隙間から固定体の内部の空間に至るまでの隙間経路が長くなる。従って、この構造では、第3壁と第4壁の隙間を介して異物が固定体の内部の空間に侵入することが抑制される。
【0016】
また、回転コネクタ装置は、空間において固定体に配置された導体をさらに備え、第4壁は、導体と間隔を空けて配置された壁部を有し、第3壁は、回転軸に実質的に直交する方向において壁部に覆われていてもよい。
【0017】
第3壁と第4壁の隙間から異物が侵入したとしても、隙間から導体に至る隙間経路は、壁部によって長くなる。従って、異物は、導体に到達しにくくなる。
【0018】
また、隙間は、軸方向において、第1開口よりも第2開口に近くてもよい。
【0019】
この構成では、第1開口から侵入した異物は、隙間に到達しにくくなるので、隙間を介して固定体の空間に侵入しにくくなる。
【0020】
固定体は、回転軸に実質的に垂直な第1壁と、回転軸に実質的に平行な軸方向において第1壁と間隔を空けて配置された第2壁と、を有し、被挿入部は、第1壁に設けられた第1開口を有し、固定体は、軸方向において第1開口の外縁から延伸し且つ第2壁に接続されている第3壁を有し、第3壁及び第1壁は、単一部材で構成されていてもよい。
【0021】
この構成では、第1壁と第3壁が単一部材で構成されているので、第1壁と第3壁の隙間がない。従って、被挿入部を介して異物が固定体の内部の空間に侵入しにくくなる。
【0022】
回転コネクタ装置は、固定具をさらに備えてもよい。
【0023】
被挿入部は、固定体の空間に囲まれてもよい。
【0024】
被挿入部が固定体の空間に囲まれても、内側空間と固定体の空間が隔離されているので、被挿入部を介して異物が固定体に空間に侵入することが抑制される。
【0025】
本願の第2の特徴に係る回転コネクタ装置の固定体は、導電ケーブルを収容するための収容空間を内部に有し且つ回転軸周りに回転可能な回転体に組付けられる固定体本体(と、導体を配置するための空間を内部に有し且つ固定体本体に接続された延伸部と、を備え、延伸部は、固定体本体と回転体とが相対回転しないようにする固定具を挿入するための被挿入部を有し、被挿入部の内側空間は、収容空間及び延伸部の空間と、隔離されている。
【0026】
回転コネクタ装置の固定体によれば、被挿入部を介して収容空間及び延伸部の内部の空間に異物が侵入することが抑制される。その結果、回転コネクタ装置の耐環境性は高まる。
【発明の効果】
【0027】
本願に開示される技術によれば、回転コネクタ装置の耐環境性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態に係る回転コネクタ装置の斜視図である。
図2図2は、回転体から固定体と固定具を取り外した分解斜視図である。
図3図3Aは、固定体の上面図である。図3Bは、図3AのIIIB-IIIB断面線で固定体を断面した図である。
図4図4は、被挿入部の第1開口を示すための、回転コネクタ装置の斜視図の拡大図である。
図5図5は、被挿入部の第2開口を示すための、回転コネクタ装置の斜視図の拡大図である。
図6図6は、回転コネクタ装置の側面図である。
図7図7は、第1固定体部の斜視図である。
図8図8は、図3AのVIII-VIII断面線で回転コネクタ装置を断面した図である。
図9図9は、変形例に係る回転コネクタ装置の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
【0030】
<回転コネクタ装置の概要>
図1は、実施形態に係る回転コネクタ装置100の斜視図である。図2は、回転体20から固定体10と固定具50Tとを取り外した分解斜視図である。
【0031】
図1および図2に示すように、回転コネクタ装置100は、固定体10と回転体20とを備えている。回転体20は、固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能に、固定体10に組付けられている。回転体20が固定体10に組付けられた状態において、固定体10と回転体20との間には、収容空間ASが規定される。
【0032】
図2に示すように、導電ケーブル30は、収容空間ASに配置される。導電ケーブル30は、一端が固定体10に接続され、他端が回転体20に接続される。導電ケーブル30が固定体10および回転体20に接続された状態で、回転体20は、固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能である。ただし、回転コネクタ装置100が備えるケーブルの本数は1本に限らない。例えば、ケーブルの本数は、偶数であり、例えば、4本でもよい。また、例えば、ケーブルの本数は、奇数であり、例えば、3本でもよい。
【0033】
回転コネクタ装置100は、例えば、本体と、本体に対して回転可能な操舵部とを備えた移動体(例えば自動車)に用いられる。具体的には、固定体10は、移動体の本体に取り付けられる。回転体20は、操舵部に取り付けられる。すなわち、回転体20は、実質的な垂直方向において、固定体10よりも上に設けられる。導電ケーブル30の一端は、移動体の本体に設けられた電気機器にそれぞれ電気的に接続される。導電ケーブル30の他端は、それぞれ操舵部に設けられた電気機器(例えばスイッチ)に電気的に接続される。これにより、回転コネクタ装置100は、移動体の本体に設けられた電気機器と操舵部に設けられた電気機器との間で電力または電気的信号を送受信する。ただし、回転コネクタ装置100は、移動体以外にも用いられてもよい。
【0034】
<固定体の構成>
図1および図2に示すように、固定体10は、第1固定体部12と第2固定体部14とを備えている。第2固定体部14は、第1固定体部12の上に配置された状態で、第1固定体部12と結合している。第1固定体部12は、固定体10の底部10bを構成する。第2固定体部14は、固定体10の側壁10lを構成する。第1固定体部12と第2固定体部14は、固定体本体を構成する。
【0035】
図1および図2に示すように、第1固定体部12は、第1リング部120と、第1延伸部122(図3B)と、を備えている。第1リング部120は、回転軸AXに実質的に平行な軸方向ADに回転コネクタ装置100を見たときに、リング形状を有する。第1リング部120は、回転軸AXが第1リング部120の中心を通過するように配置される。図3Bに示すように、第1延伸部122は、回転軸AXの径方向において、第1リング部120の外周120aから外側に延びている。
【0036】
図2に示すように、第2固定体部14は、外周筒部140と、第2延伸部142(図3B)と、を備えている。外周筒部140は、外周筒部140の中空部140aが軸方向ADに延伸するように配置される。外周筒部140は、第1リング部120の外周120aから、軸方向ADに沿って上方に延びている。図3Bに示すように、第2延伸部142は、回転軸AXの径方向において、外周筒部140から外側に延びている。第2延伸部142は、軸方向ADにおいて、第1延伸部122と間隔を空けて配置されている。なお、第1延伸部122と第2延伸部142は、延伸部を構成する。
【0037】
図3Aは、固定体10の上面図である。図3Bは、図3Aの断面線IIIB-IIIBで固定体10を断面した図である。図3Bに示すように、第1延伸部122と第2延伸部142は、間に空間S1を有するように、軸方向ADにおいて結合している。より具体的には、第2延伸部142は、回転軸AXに実質的に直交する方向において、外周筒部140から延伸する第1壁510を備えている。第1延伸部122は、回転軸AXに直交する方向において、第1リング部120の外周120aから延伸する第2壁520を備えている。第1壁510と第2壁520は、軸方向ADにおいて間隔を空けて配置されている。第2延伸部142は、軸方向ADに延伸し且つ第1壁510および第2壁520を接続する側壁512を備えている。これにより、第1壁510、側壁512、第2壁520、及び外周筒部140によって、固定体10の内部の空間S1が規定されている。空間S1には、後述する導体404(図8を参照)が配置される。固定体10の内部の空間は、空間S1と、収容空間ASを含む。ただし、側壁512は、第1延伸部122に設けられてもよい。
【0038】
<回転体の構成>
図2に示すように、回転体20は、第2リング部200と、内周筒部202と、を備えている。第2リング部200は、回転コネクタ装置100を軸方向ADに見たときに、リング形状を有する。第2リング部200は、回転軸AXが第2リング部200の中心を通過するように配置される。内周筒部202は、内周筒部202の中空部202aが軸方向ADに延伸するように配置される。内周筒部202は、第2リング部200の内周200aから軸方向ADに沿って下方に延びている。内周筒部202は、回転軸AXの径方向において、外周筒部140の内側に配置される。これにより、収容空間ASは、第1リング部120、外周筒部140、第2リング部200、および内周筒部202によって規定されている。換言すれば、収容空間ASは、外周筒部140の中空部140aから内周筒部202の中空部202aを除いた空間に等しい。
【0039】
本実施形態では、内周筒部202が回転体20に設けられている。しかし、収容空間ASを規定するために、内周筒部202は、固定体10に設けられてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、回転コネクタ装置100は、中空部202aを有する形状であったが、回転コネクタ装置100は中空部202aを有さなくてもよい。
【0041】
<コネクタの構成>
図1に示すように、回転コネクタ装置100は、第1コネクタ40と、第2コネクタ42とを備えている。第1コネクタ40は、例えば、移動体の本体から延びる外部ケーブルに接続される。第2コネクタ42は、例えば、移動体の操舵部から延びる外部ケーブルに接続される。第1コネクタ40と第2コネクタ42は、導電ケーブル30を介して電気的に接続される。より具体的には、導電ケーブル30の一端は、空間S1に配置された導体404(図8を参照)に接続される。導体404は、第1コネクタ40の端子に電気的に接続される。第1コネクタ40は、第1延伸部122及び第2延伸部142を介して固定体10に接続されている。第2コネクタ42は、回転体20の上に配置されている。ただし、第2コネクタ42の位置は、図1および図2に示す位置に限らない。
【0042】
<固定具の構成>
固定具50Tは、固定体10に対して回転体20が回転軸AX周りに回転しないようにするために設けられる。固定具50Tは、第1挿入部51Tと、第2挿入部52Tと、把持部54Tと、を備えている。図2に示すように、第1挿入部51Tは、把持部54Tから延伸している。第2挿入部52Tは、第1挿入部51Tが延伸する方向と実質的に同じ方向において把持部54Tから延伸している。第1挿入部51Tと第2挿入部52Tが延伸する方向と実質的に直交する方向において、第1挿入部51Tと第2挿入部52Tは、異なる位置に設けられる。
【0043】
第1挿入部51Tは、軸方向ADにおいて、固定体10に設けられた被挿入部50に挿抜可能である。第2挿入部52Tは、第1挿入部51Tが被挿入部50に挿入されると、軸方向ADにおいて、回転体20の第2リング部200に設けられた溝204に挿抜される。これにより、固定体10に対する回転体20の回転軸AX周りの回転位置が固定される。第2挿入部52Tは、第1挿入部51Tが被挿入部50から脱着されると、溝204から脱着される。ただし、第2挿入部52Tが回転体20に係止される構造は、図2に示す例に限らない。
【0044】
より具体的には、図4及び図5に示すように、被挿入部50は、軸方向ADに実質的に平行な方向において、第1固定体部12の第1延伸部122および第2固定体部14の第2延伸部142を貫通している。被挿入部50の第1開口51は、第1壁510に設けられている。被挿入部50の第2開口52は、第2壁520に設けられている。第2開口52の面積は、第1開口51の面積と実質的に同じである。固定具50Tの第1挿入部51Tは、軸方向ADにおいて第1開口51を介して被挿入部50に挿入される。
【0045】
図4に示すように、第2延伸部142は、軸方向ADにおいて第1開口51の外縁51aから第2開口52に向けて延伸する第3壁530を有している。すなわち、第3壁530は、第1壁510に接続されている。本実施形態では、第3壁530と第1壁510は、単一部材で構成されている。ただし、第3壁530と第1壁510は、別々の部材で構成されてもよい。
【0046】
第3壁530は、被挿入部50の内側空間S2を規定するように、軸方向ADにおいて延伸する筒形状を有している。図5に示すように、第3壁530は、第2開口52の外縁52aにまで到達している。第3壁530は、回転軸AXに実質的に直交する方向において、回転軸AXと間隔を空けて配置された径方向内側部532を有している。径方向内側部532は、外周筒部140の一部で構成されている。このように、被挿入部50の内側空間S2を規定するための第3壁530を、外周筒部140の一部と共通にすれば、固定体10の構造を簡素化することができる。ただし、径方向内側部532と外周筒部140とを別々に構成してもよい。
【0047】
図7に示すように、第1延伸部122は、軸方向ADにおいて第2開口52の外縁52aから第1開口51に向けて延伸する第4壁540を有している。すなわち、第4壁540は、第2壁520と接続されている。本実施形態では、第4壁540と第2壁520は、単一の部材で構成されているが、別々の部材で構成されてもよい。
【0048】
図8の断面図に示すように、回転軸AXに実質的に直交する方向において、第4壁540の内面540Sが第3壁530の外面530Sに当接するように、第3壁530と第4壁540は嵌合している。すなわち、回転軸AXに実質的に直交する方向において、第3壁530は、直接的に接触する形で、第4壁540に覆われている。これにより、第3壁530と第4壁540の隙間Gから固定体10の空間S1に至る隙間経路は、軸方向ADにおいて上向きに設けられる。従って、軸方向ADにおいて第1開口51から下方に侵入した異物は、上向きの隙間経路を通過しにくくなる。ただし、第3壁530の内面が第4壁540の外面に当接するように、第3壁530と第4壁540は嵌合してもよい。
【0049】
また、第3壁530と第4壁540の隙間Gは、軸方向ADにおいて、第1開口51よりも第2開口52に近い。ただし、第3壁530と第4壁540の隙間Gは、軸方向ADにおいて、第2開口52よりも第1開口51に近くてもよい。また、第4壁540は、省略されてもよい。例えば、第4壁540が省略される場合、第3壁530は、軸方向ADにおいて第2壁520に接続するまで、延伸する。
【0050】
上述の構造により、図8に示すように、内側空間S2と、固定体10の内部の空間S1とは、隔離されている。従って、内側空間S2と空間S1に配置された導体404とは隔離されている。また、内側空間S2と、収容空間ASとは、隔離されている。
【0051】
本実施形態では、第4壁540は、軸方向ADに見たときに、回転軸AXの径方向の内側部分が欠けた筒形状を有している。第4壁540は、空間S1に配置された導体404と間隔を空けて配置された壁部542を少なくとも有している。従って、壁部542と第3壁530の隙間経路は、軸方向ADにおいて長くなっている。ただし、第4壁540は、欠けた部分が設けられない筒形状であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、被挿入部50は、軸方向ADに直交する方向において、収容空間ASと空間S1とに囲まれている。ただし、被挿入部50は、収容空間ASと空間S1とに囲まれなくてもよい。すなわち、被挿入部50は、固定体10の空間に囲まれなくてもよい。
【0053】
次に、被挿入部50の変形例に係る被挿入部50Aについて図9を用いて説明する。被挿入部50Aは、軸方向ADにおいて第1延伸部122を貫通しない点において、被挿入部50と相違する。重複する構成の説明は省略される。
【0054】
被挿入部50Aは、図9に示すように、軸方向ADにおいて第1壁510から下方に凹んでいる。具体的には、第5壁550は、軸方向ADにおける第3壁530の下方の開口を塞ぐように、回転軸AXに実質的に直交する方向に延伸している。被挿入部50Aの内側空間S2Aは、第3壁530と、第5壁550によって規定されている。本変形例においても、被挿入部50Aの内側空間S2Aは、固定体10の内部の空間S1と隔離されている。なお、第5壁550は、第2壁520の一部で構成されてもよい。すなわち、第2開口52が設けられない第2壁520の一部が、被挿入部50Aの底壁となってもよい。
【0055】
<実施形態と変形例の特徴>
回転コネクタ装置100は、内部に空間S1及び収容空間ASを有する固定体10と、固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能に固定体10に組付けられた回転体20と、を備える。固定体10は、固定体10と回転体20とが相対回転しないようにする固定具50Tを挿入するための被挿入部50を有する。被挿入部50の内側空間S2は、空間S1及び収容空間ASと、隔離されている。
【0056】
回転コネクタ装置100によれば、被挿入部50の内側空間S2が固定体10の空間S1及び収容空間AS隔離されているので、被挿入部50を介して空間S1及び収容空間ASに異物が侵入することが抑制される。その結果、回転コネクタ装置100の耐環境性は高まる。なお、異物とは、水等の流体や、埃等の粉体である。ただし、内側空間S2は、収容空間ASと隔離されていなくてもよい。
【0057】
また、被挿入部50は、回転軸AXに実質的に平行な軸方向ADにおいて固定体10を貫通している。
【0058】
従って、軸方向ADに沿って異物が被挿入部50の内側空間S2に侵入したとしても、侵入した異物は軸方向ADに沿って被挿入部50の外へ抜けるので、被挿入部50の内側空間S2に異物が溜まりにくくなる。
【0059】
また、固定体10は、回転軸AXに実質的に直交する第1壁510と、回転軸AXに実質的に平行な軸方向ADにおいて第1壁510と間隔を空けて配置された第2壁520と、を有し、空間S1は、第1壁510と第2壁520の間に設けられ、被挿入部50は、第1壁510に設けられた第1開口51を有し、第1壁510は、軸方向ADにおいて第2壁520よりも回転体20に近い。詳細には、図8に示すように、第1壁510は、軸方向ADにおいて第2壁520よりも回転体20の第2リング部200に近い。
【0060】
回転体20に近い第1壁510に異物が接触しやすく且つ第1壁510に第1開口51が設けられても、被挿入部50の内側空間S2と固定体10の空間S1が隔離されているので、第1開口51を介して固定体10の空間S1に異物が侵入することが抑制される。
【0061】
また、被挿入部50は、第2壁520に設けられた第2開口52を有し、第1開口51の面積は、第2開口52の面積と実質的に同じである。
【0062】
従って、第2開口52の面積が第1開口51の面積よりも小さい場合よりも、被挿入部50の内側空間S2に侵入した異物が第2開口52を介して被挿入部50の外へ抜けやすくなる。
【0063】
固定体10は、軸方向ADにおいて第1開口51の外縁51aから延伸する第3壁530と、軸方向ADにおいて第2開口52の外縁52aから延伸する第4壁540と、を有し、回転軸AXに実質的に直交する方向において第3壁530と第4壁540とは当接している。
【0064】
従って、軸方向ADにおいて第3壁530と第4壁540とが結合するだけの構造よりも、第3壁530と第4壁540の隙間Gから固定体10の空間S1に至るまでの隙間経路が長くなる。従って、第3壁530と第4壁540の隙間Gを介して異物が固定体10の空間S1に侵入することが抑制される。
【0065】
また、回転コネクタ装置100は、空間S1において固定体10に配置された導体404をさらに備え、第4壁540は、導体404と間隔を空けて配置された壁部542を有し、第3壁530は、回転軸AXに実質的に直交する方向において壁部542に覆われている。
【0066】
従って、第3壁530と第4壁540の隙間Gから異物が侵入したとしても、隙間Gから導体404に至る隙間経路は、壁部542によって長くなる。従って、異物は、導体404に到達しにくくなる。
【0067】
また、隙間Gは、軸方向ADにおいて、第1開口51よりも第2開口52に近い。
【0068】
従って、第1開口51から侵入した異物は、隙間Gに到達しにくくなるので、隙間Gを介して固定体10の空間S1及び収容空間ASに侵入しにくくなる。
【0069】
また、固定体10は、回転軸AXに実質的に垂直な第1壁510と、回転軸AXに実質的に平行な軸方向ADにおいて第1壁510と間隔を空けて配置された第2壁520と、を有し、被挿入部50は、第1壁510に設けられた第1開口51を有し、固定体10は、軸方向ADにおいて第1開口51の外縁51aから延伸し且つ第2壁520に接続されている第3壁530を有し、第3壁530及び第1壁510は、単一部材で構成されている。
【0070】
第1壁510と第3壁530が単一部材で構成されているので、第1壁510と第3壁530の隙間がない。従って、被挿入部50を介して異物が固定体10の空間S1及び収容空間ASに侵入しにくい。
【0071】
また、被挿入部50及び被挿入部50Aは、空間S1及び収容空間ASに囲まれている。
【0072】
このように、被挿入部50及び被挿入部50Aが固定体10の空間に囲まれても、内側空間S2及び内側空間S2Aと、固定体10の空間が隔離されているので、被挿入部50及び被挿入部50Aを介して異物が固定体10の空間に侵入しにくい。
【0073】
また、固定体10は、回転軸AX周りに回転可能な回転体20に組付けられる固定体本体(第1固定体部12及び第2固定体部14)と、内部に空間S1を有し且つ固定体本体に接続された延伸部(第1延伸部122及び第2延伸部142)と、を備え、延伸部は、固定体本体と回転体20とが相対回転しないようにする固定具50Tを挿入するための被挿入部50を有し、被挿入部50の内側空間S2は、延伸部の空間S1及び収容空間ASとは、隔離されている。
【0074】
この構成によれば、被挿入部50の内側空間S2を介して空間S1及び収容空間ASに異物が侵入することが抑制される。その結果、回転コネクタ装置100の耐環境性は高まる。ただし、内側空間S2は、収容空間ASと隔離されなくてもよい。
【0075】
<その他の実施例>
なお、被挿入部50が固定体10を貫通する方向(凹む方向)は、上述の例に限らない。例えば、被挿入部50は、回転軸AXに実質的に直交する方向において、側壁512から凹んでもよい。また、被挿入部50は、回転軸AXに実質的に直交する方向において、外周筒部140を貫通または外周筒部140から凹む形状であってもよい。
【0076】
また、第3壁530は、第1延伸部122に設けられ、第4壁540は、第2延伸部142に設けられてもよい。
【0077】
なお、本願においては、「備えている」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有している」、「含んでいる」およびそれらの派生語にも適用される。
【0078】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0079】
また、本開示における「平行」「直交」および「一致」の表現は、厳密に解釈されるべきではなく、「実質的な平行」「実質的な直交」および「実質的な一致」の意味をそれぞれ含む。また、その他の配置に関する表現も、厳密に解釈されるものではない。
【0080】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 :回転コネクタ装置
10 :固定体
20 :回転体
30 :導電ケーブル
40 :第1コネクタ
42 :第2コネクタ
50 :被挿入部
510 :第1壁
520 :第2壁
530 :第3壁
540 :第4壁
50T :固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9